JP4421088B2 - 焼却灰の廃棄方法及び廃棄物最終処分場 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却灰の廃棄方法と廃棄物最終処分場に関するもので、特に、廃棄物最終処分場を早期に再利用化可能とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、リサイクルができない生ゴミ等の可燃物は、主に、ストーカ式焼却炉あるいは流動床式焼却炉において焼却され、焼却炉の焼却残渣(主灰)は焼却灰として廃棄物最終処分場(以下、最終処分場と略す)に埋立処分される。
このような焼却灰には、重金属類や焼却過程で生じたダイオキシン等の有害物質が付着していることから、最終処分場の安全性を高めるため、埋立てられる焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量が、法律で定められる所定値を越えるものについては、遮断型最終処分場へ埋立処分するか、溶融・セメント固化等の処理やダイオキシン類の分解処理を行った後、管理型最終処分場へ埋立処分するように義務づけられている。
上記管理型最終処分場は、埋立地に遮水工を施すとともに、自然降雨等による埋立地内の浸出水を集水して処理する浸出水処理を有し、上記浸出水により、埋立てられた廃棄物の浄化が行えるような施設を有する処分場で、近年は、散水設備を備え、人工的な散水を行って上記廃棄物を浄化することができる屋根付きの処分場も多く建設されている。
【0003】
最終処分場は、早いもので5年、通常15年〜20年で満杯となるが、最終処分場を廃止して本格的な跡地利用を行うためには、上記埋立地内の廃棄物が以下の廃止条件を満たしていることが必要である。
1 保有水等の性質が2年以上に亘って(設置許可段階での)排水基準値に達していること。
2 ガスの発生がほとんど認められず、ガスの発生量の増加が2年以上に亘って認められないこと。
3 埋立て地の内部温度が周辺の地中温度に比して異常な高温となっていないこと。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の最終処分場では、人工的な散水を行って廃棄物を徐々に浄化していった場合でも、浄化の進行速度が遅いため、廃止の時期については目途が立たないのが現状であった。
一方、焼却灰を約1500℃以上の高温で溶融する溶融固化処理を行った後、これを最終処分場に廃棄する方法も考えられるが、溶融固化では、焼却灰を高温で溶融するため、溶融炉等の大型設備を必要とすることや、多大なエネルギーを必要とすることから、設備の建設費や処理コストが高いといった問題点があるため、焼却灰を全て溶融固化して廃棄することは現実的には困難である。
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、早期に再利用することのできる廃棄物最終処分場と焼却灰の廃棄方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、埋立地内に、焼却灰に湿式処理による前処理を施して得られた処理灰を埋立てて成る廃棄物最終処分場であって、上記前処理は、焼却灰から粒径が40mmを超える夾雑物を分離する第1のステップと、上記夾雑物が分離された焼却灰に加水しながら上記焼却灰を加水磨砕処理して細粒化する第2のステップと、上記加水磨砕処理された焼却灰から、選別スクリーンにて、粒径が5mmを超える粒状体を分離して集積する第3のステップと、上記選別スクリーンを通過した粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーを微粒子分離装置に送り、粒径が75μm以下の微粒子分を含むスラリーを上記微粒子分離装置から排出することで、上記粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーから粒径が75μmを超える粒状体を分離して集積する第4のステップとを備え、上記処理灰は、第3のステップで集積された粒径が5mm〜40mmの礫分を主とした粒状体と第4のステップで集積された粒径が75μm〜5mmの砂分を主とした粒状体であり、上記加水磨砕処理は、内周面に軸方向に沿って取付けられ、中心方向に突出する複数の外羽根を有する円筒状の回転ドラムと、外周面に軸方向に沿って取付けられ、径方向に突出する複数の内羽根を有し、上記回転ドラムの内部に偏心して取付けられたロータとを備えた磨砕処理装置に焼却灰を投入して加水し、上記回転ドラムと上記ロータとをそれぞれ互いに逆方向に回転させて、上記焼却灰に圧縮及びすべり応力を作用させ、塊状となった焼却灰を独立した粒状体に分離して細粒化するとともに、上記細粒化された粒状体に対して、粒状体相互間の擦り合わせの力を作用させて、粒状体同士の摩擦による相互研磨を行わせ、上記粒状体の表面に付着しているダイオキシン類もしくは環境基準項目に定められた重金属類を含む有害物質を処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離することを特徴とするもので、これにより、廃棄物最終処分場を早期に再利用することが可能となる。
なお、上記環境基準項目に定められた物質とは、法律で定められた「土壌の環境汚染に係わる環境上の条件」(平成3年8月23日環境庁告示第46号)に定められた物質であり、具体的には、カドミウム,シアン,鉛,六価クロムなどの重金属類や、四塩化炭素,1,2−ジクロロエタン,ベンゼンなどの有機物があり、土壌中の最大検出濃度(利用形態により異なるが、現行では、鉛;0.01mg/L以下など)が定められている。また、土壌中のダイオキシン類の含有量についても同様に土壌中の最大含有量(現行〜平成11年12月27日環境庁告示第68号では、1000pg-TEQ/g以下)が定められている。塩類あるいはカルシウムの濃度は、例えば、緑地とし使用する際には、所定濃度(例えば、200mg/L)以下であることが望ましい。
【0009】
請求項2に記載の廃棄物最終処分場は、散水設備を備え、上記埋立てられた処理灰に散水して、ダイオキシン類、環境基準項目に定められた重金属類や有機物、もしくは塩類あるいはカルシウムの一部を上記散水された水と共に回収して、埋立てられた焼却灰の浄化を更に促進するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、廃棄物最終処分場に、焼却灰に湿式処理による前処理を施して得られた処理灰を廃棄する方法であって、上記前処理は、焼却灰から粒径が40mmを超える夾雑物を分離する第1のステップと、上記夾雑物が分離された焼却灰に加水しながら上記焼却灰を加水磨砕処理して細粒化する第2のステップと、上記加水磨砕処理された焼却灰から、選別スクリーンにて、粒径が5mmを超える粒状体を分離して集積する第3のステップと、上記選別スクリーンを通過した粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーを微粒子分離装置に送り、粒径が75μm以下の微粒子分を含むスラリーを上記微粒子分離装置から排出することで、粒径が75μmを超える粒状体を分離して集積する第4のステップと、上記第3のステップで集積された粒径が5mm〜40mmの礫分を主とした粒状体と第4のステップで集積された粒径が75μm〜5mmの砂分を主とした粒状体とを処理灰として埋立地内に埋立てる第5のステップとを備え、上記加水磨砕処理は、内周面に軸方向に沿って取付けられ、中心方向に突出する複数の外羽根を有する円筒状の回転ドラムと、外周面に軸方向に沿って取付けられ、径方向に突出する複数の内羽根を有し、上記回転ドラムの内部に偏心して取付けられたロータとを備えた磨砕処理装置に焼却灰を投入して加水し、上記回転ドラムと上記ロータとをそれぞれ互いに逆方向に回転させて、上記焼却灰に圧縮及びすべり応力を作用させ、塊状となった焼却灰を独立した粒状体に分離して細粒化するとともに、上記細粒化された粒状体に対して、粒状体相互間の擦り合わせの力を作用させて、粒状体同士の摩擦による相互研磨を行わせ、上記粒状体の表面に付着しているダイオキシン類もしくは環境基準項目に定められた重金属類を含む有害物質を処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本実施の形態に係わる焼却灰の処理方法示す図で、図2は廃棄物最終処分場(以下、最終処分場という)10の一構成例を示す図である。
本実施の形態では、予め、埋立地11内に埋立てる焼却灰に対して、ダイオキシン類の含有量、環境基準項目に定められた重金属類や有機物の濃度、塩類,カルシウムの濃度が所定の数値以下に低減する前処理を行い、この前処理された焼却灰(処理灰)を、散水設備12と浸出水処理施設13とを備えた最終処分場10に埋立てた後、上記埋立てられた処理灰(以下、廃棄物という)に対して定期的に散水して上記廃棄物を浄化し、上記最終処分場10を早期に再利用することができるようにしたものである。
上記最終処分場10は、図2に示すように、周囲の地盤に対する遮水機能を備えたコンクリートの隔壁14で囲まれた埋立地11を有し、この埋立地11の上部には屋根15が設けられ、この屋根15の天井付近に上記散水設備12が設けられている。また、埋立地11の底部には、集水タンク16に接続された浸出水集水管17を備えた地下調整層18が設けられ、更に、上記地下調整層18の上面には砂分を主体とした排水・通気層19が設けられている。そして、この排水・通気層19の上部に上記前処理された焼却灰が投入される。なお、20は埋立てられた焼却灰中のガス濃度や温度を検出するための検出器で、これにより、定期的に上記処理灰中のガス濃度や温度を検出して処理灰の浄化の促進状態を管理することができるようにしている。
【0014】
ところで、焼却灰は、塊状の焼却された可燃物と上記可燃物に混って焼却された金属屑やガラスあるいは陶器類の欠片や土砂、及びこれらに付着しているダイオキシン類,環境基準項目に定められた重金属類や有機物などの有害物質や塩類あるいはカルシウムなどの土壌の成分として不適当な物質(以下、簡単のため、まとめて有害物質という)の微粒子から構成されているので、上記焼却灰に対して上記有害物質の含有量あるいは濃度を所定の数値以下にする前処理を行った後に、最終処分場10に廃棄する。上記前処理は、上記焼却灰に対して、散水,浸積,加水攪拌あるいは加水磨砕などの湿式処理を施して、焼却灰中の粒状体の表面に付着している上記有害物質を水中に浮遊あるいは溶解させて分離するとともに、振動ふるいなどの分級手段を用いて、上記有害物質が分離された粒径の大きな粒状体を取り出す分級処理を行い、上記有害物質の含有量あるいは濃度が所定の数値以下に処理された焼却灰(処理灰)を廃棄物として最終処分場10に廃棄する。また、上記有害物質の微粒分を多く含む粒径の小さな粒状体を含むスラリーを脱水処理して脱水ケーキを作製し、その後、この脱水ケーキに溶融固化などの無害化処理を施し、当該最終処分場10あるいは他の最終処分場に廃棄する。なお、微粒子分離装置である液体サイクロンのように湿式処理と分級処理と同時に行う装置を用いて上記前処理を行ってもよい。
【0015】
以下、湿式処理として加水磨砕を用いた場合の前処理方法について、図3のフローチャートを参照して説明する。
まず、焼却灰を粒径選別用のふるい(スクリーン)に投入し、焼却灰中の粒径が約40mmを超えるガラス片や陶器類の欠片などの夾雑物や鉄屑などを予め排除する(ステップS1)。
次に、上記スクリーンを通過した粒状体を、投入された焼却灰に処理水を加水しながら、上記焼却灰中の粒状体を細粒化する磨砕処理工程に投入して、上記粒状体同士を擦り合わせて、塊状となった焼却灰をほぼ独立した粒状体に分離するとともに、上記粒状体の表面に付着している重金属類やダイオキシン等の有害物質を剥離して、処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離する磨砕処理(一次磨砕処理)を行う(ステップS2)。
図4(a),(b)は、上記一次磨砕処理に用いられる第1の磨砕処理装置30の構成を示す図で、(a)図は側面図、(b)図はそのA−A断面図である。第1の磨砕処理装置30は、内周面に軸方向に沿って取付けられ、中心方向に突出する複数の外羽根31Wを有する円筒状の回転ドラム31と、外周面に軸方向に沿って取付けられ、径方向に突出する複数の内羽根32Wを有し、上記回転ドラム31の内部に偏心して取付けられたロータ32とを備え、回転ドラム31の外周に設けられた環状歯車33をモータ34により駆動し、ロータ32に取付けられた回転軸35を駆動機構36により駆動して、回転ドラム31とロータ32とをそれぞれ互いに逆方向に回転させ、材料投入口37から投入された処理材料である焼却灰に圧縮及びすべり応力を作用させ、塊状となった焼却灰をほぼ独立した粒状体に分離して細粒化するとともに、上記細粒化された粒状体に対して、主に粒状体相互間の擦り合わせの力を作用させて、粒状体同士の摩擦による相互研磨を行わせ、上記粒状体の表面に付着している重金属類やダイオキシン等の有害物質を処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離する磨砕処理を行う。
【0016】
第1の磨砕処理装置30で磨砕処理された焼却灰は、選別用のスクリーンで洗浄されながら粒径が5mm〜40mm程度の大きさの粒状体と、粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーとに分けられ、上記粒径が大きな粒状体は、処理灰として図示しない集積場に集積される(ステップS3)。
なお、焼却灰中の粒径が約2mm以上の粒径の大きな粒状体には、重金属類やダイオキシン等の有害物質があまり付着しておらず、付着していてもその付着力は弱いことから、第1の磨砕処理装置30での磨砕処理のみで、上記粒径の大きな粒状体中の環境基準項目に定められた重金属類や有機物の濃度やダイオキシン類の含有量を十分土壌環境基準値以下にすることができるとともに、塩類やカルシウムの濃度を所定の基準値以下にすることができる。
【0017】
上記選別用のスクリーンを通過した粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーは、再び磨砕処理される(ステップS4)。この二次磨砕処理を行うための二次磨砕処理装置(図示せず)は、上記第1の磨砕処理装置30と同様のほぼ構成であるが、上記第1の磨砕処理装置30よりもロータ32の径と偏心度とを大きくして回転ドラム31とロータ32との間隔Dを狭くするとともに、回転ドラム31とロータ32との相対的な回転速度を速くして、粒状体同士の摩擦による相互研磨を主体とした磨砕処理を行い、投入された粒径が5mm以下の粒状体に強く付着している重金属類やダイオキシン類を離脱させる。
なお、上記二次磨砕処理は、必ずしも行う必要はなく、処理される焼却灰の状態に応じて適宜行うようにすればよい。
【0018】
上記二次磨砕処理された焼却灰は、例えば、液体サイクロンのような微粒子分離装置に送られ、粒径が約75μm以下の微粒子を含むスラリーと、粒径が75μm〜5mmの砂礫を主とした粒状体とに分級される(ステップS5)。
上記砂礫を主とした粒状体は、二次磨砕処理により、重金属類の濃度やダイオキシン類の含有量とが土壌環境基準値よりも大幅に低減されているので、上述した粒径が5mm〜40mm程度の大きさの粒状体を集積した集積場に送られ、最終処分場10に埋立てられる。
一方、微粒子分離装置から排出された粒径が75μmm未満の微粒分を含むスラリーには、重金属類やダイオキシン等の有害物質の微粒子が多く含まれているので、これをフィルタプレス等の脱水機に送り、脱水ケーキを作製する(ステップS6)。上記脱水機の濾水は浄化処理され、例えば、一次磨砕処理装置30の処理水やスクリーンの洗浄水として再利用される(ステップS7)。
なお、上記脱水ケーキは、有害物質の微粒子を多く含んでいるので、例えば、溶融固化処理して無害化した後に廃棄する。
【0019】
図5は、上述した加水磨砕処理後の廃棄物の重量比率の一例を示す図で、投入された焼却灰の約85%は、粒径が15mm〜40mmの粒状体(9.7%)と、粒径が5mm〜15mmの粒状体(8.9%)と、粒径が0.5mm〜5mmの粒状体(9.7%)及び粒径が75μm〜0.5mmの粒状体(9.7%)とから成る処理灰であり、約10%が粒径が75μm未満の微粒分を含むスラリーから作製された脱水ケーキ、残りは金属片と狭窄物である。
図6(a)は、投入された4種類(A〜D)の焼却灰と、この焼却灰を前処理した処理灰の鉛溶出濃度を比較した棒グラフで、このグラフに示すように、上記前処理により、環境基準項目に定められた重金属類である鉛の濃度は、前処理後はほとんど検出されていないことがわかる。
また、図6(b)は、投入された5種類(a〜e)の焼却灰と、この焼却灰を前処理した処理灰のダイオキシン類の含有量を比較した棒グラフで、このグラフに示すように、上記前処理により、ダイオキシン類の含有量は、現行の環境基準値である1000pg-TEQ/gに対して大幅に低減されているだけでなく、環境基準値以下であっても法律で定める調査が必要な含有量である250pg-TEQ/gを十分に下回っていることが確認された。
また、図7(a),(b)に示すように、塩化物イオン濃度とカルシウムイオン濃度についても、上記前処理により、上述した所定の濃度である200mg/L以下に低減することができる。
【0020】
最終処分場10では、散水設備12の散水タンク12aに貯蔵された水道水をポンプ12bにより散水装置12cに送って、上記埋立てられた処理灰(廃棄物)に散水し、廃棄物中の重金属類や塩化物イオン,カルシウムイオンなどを上記散水中に溶解させて回収したり、ダイオキシン類を水とともに回収して上記焼却灰を浄化する。
すなわち、埋立てられた時点では、上記廃棄物中の重金属類の濃度は土壌環境基準値よりも大幅に低減されているが、上記処理灰中に若干残存している重金属類が自然降雨などにより溶出し、重金属類の濃度が上昇することがあるので、上記散水装置12cにより、積極的に上記処理灰に散水して上記溶出した重金属類を回収する。また、廃棄物中に若干残留している塩化物イオンやカルシウムイオンも同時に回収する。
上記散水は、排水・通気層19を介して地下調整層18に設けられた浸出水集水管17を介して集水タンク16によりで集められ、ポンプ16aにより貯留タンク16bに送られて一時貯蔵された後、浸出水処理施設で薬品処理されて放流される。
なお、上記散水に加えて、薬品散布を行うようにすれば、上記廃棄物の浄化を更に促進させることが可能である。
また、上記埋立てられた処理灰は、粒径が75μm以上の大きな粒状体から成るので、埋立地11内の透水性が向上する。したがって、処理灰の浄化を促進することができるとともに、処理灰中にガスが発生した場合でも、ガス抜きが容易となる。処理灰中に発生するガスの内、二酸化炭素や硫化水素などの空気より重いガスは、排水・通気層19を介して地下調整層18に流れ、図示しない排気装置により、埋立地11より排気される。
また、ダイオキシン類の含有量は増加することはないが、上記散水により、上記処理灰中に残留しているダイオキシン類の微粒子の一部を回収することができる。
【0021】
このように、本実施の形態では、磨砕処理により、ダイオキシン類の含有量、環境基準項目に定められた重金属類や有機物の濃度、塩類,カルシウムの濃度が所定の数値よりも大幅に低減された、粒径が5mm〜40mmの礫分を主とした粒状体、及び粒径が75μm〜5mmの砂分を主とした粒状体が、最終処分場10の埋立地11に埋立てられ、かつ散水によって浄化されるので、処分場が満杯となっ時点で、埋立地内の廃棄物は土壌環境基準を満たしている可能性が高い。したがって、上述した廃止条件にあるように、所定期間(ここでは2年)の監視期間が過ぎた時点で廃止可能と判定されることは確定的であり、上記最終処分場10の土地を早期に再利用することができる。
【0022】
なお、上記実施の形態では、磨砕処理を施した粒径が75μm〜40mmの焼却灰中の粒状体を抽出してこれを最終処分場10に埋立てるようにしたが、最終処分場10に埋立てる焼却灰中の重金属類の濃度やダイオキシン類の含有率を低減する方法は、これに限るものではなく、上述した散水,浸積あるいは加水攪拌などの他の湿式処理と分級処理を行ってもよい。
また、キレート処理や硫化ナトリウム処理などにより重金属類を不溶化する薬品処理や、上記焼却灰に適量の水分を与えつつ二酸化炭素を供給して重金属類が溶出を防止するエージング処理を行ってもよい。
このとき、上記処理では、必ずしも焼却灰中から重金属類やダイオキシン類が検出されないレベルまで低減する必要はなく、最終処分場10の浄化施設の規模や種類あるいは廃止後の利用形態に応じて適宜決定すればよい。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、埋立地内に、加水磨砕を用いた湿式処理による前処理を施した焼却灰(処理灰)を埋立てたので、廃棄物最終処分場を早期に再利用することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、散水設備を備え、上記埋立てられた処理灰に散水して、ダイオキシン類、環境基準項目に定められた重金属類や有機物、もしくは塩類あるいはカルシウムの一部を上記散水された水と共に回収するようにしたので、処理灰の浄化を更に促進することができる。
【0028】
また、請求項3に記載の発明によれば、加水磨砕を用いた湿式処理による前処理を施して得られた処理灰を廃棄物最終処分場に廃棄するようにしたので、上記廃棄された処理灰は土壌として再利用可能であり、溶融処理する焼却灰の量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係わる焼却灰の処理方法示す図である。
【図2】 本実施の形態に係わる最終処分場の構成を示す図である。
【図3】 加水磨砕による前処理を示すフローチャートである。
【図4】 磨砕装置の構成を示す図である。
【図5】 加水磨砕処理後の廃棄物の重量比率を示す図である。
【図6】 前処理による鉛溶出量とダイオキシン類の含有量の低減効果を示す図である。
【図7】 前処理による塩化物イオン濃度とカルシウムイオン濃度の低減効果を示す図である。
【符号の説明】
10 最終処分場、11 埋立地、12 散水設備、13 浸出水処理施設、14 隔壁、15 屋根、16 集水タンク、17 浸出水集水管、18 地下調整層、19 排水・通気層、20 検出器。
Claims (3)
- 埋立地内に、焼却灰に湿式処理による前処理を施して得られた処理灰を埋立てて成る廃棄物最終処分場であって、
上記前処理は、
焼却灰から粒径が40mmを超える夾雑物を分離する第1のステップと、
上記夾雑物が分離された焼却灰に加水しながら上記焼却灰を加水磨砕処理して細粒化する第2のステップと、
上記加水磨砕処理された焼却灰から、選別スクリーンにて、粒径が5mmを超える粒状体を分離して集積する第3のステップと、
上記選別スクリーンを通過した粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーを微粒子分離装置に送り、粒径が75μm以下の微粒子分を含むスラリーを上記微粒子分離装置から排出することで、上記粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーから粒径が75μmを超える粒状体を分離して集積する第4のステップとを備え、
上記処理灰は、
第3のステップで集積された粒径が5mm〜40mmの礫分を主とした粒状体と第4のステップで集積された粒径が75μm〜5mmの砂分を主とした粒状体であり、
上記加水磨砕処理は、
内周面に軸方向に沿って取付けられ、中心方向に突出する複数の外羽根を有する円筒状の回転ドラムと、外周面に軸方向に沿って取付けられ、径方向に突出する複数の内羽根を有し、上記回転ドラムの内部に偏心して取付けられたロータとを備えた磨砕処理装置に焼却灰を投入して加水し、上記回転ドラムと上記ロータとをそれぞれ互いに逆方向に回転させて、上記焼却灰に圧縮及びすべり応力を作用させ、塊状となった焼却灰を独立した粒状体に分離して細粒化するとともに、上記細粒化された粒状体に対して、粒状体相互間の擦り合わせの力を作用させて、粒状体同士の摩擦による相互研磨を行わせ、上記粒状体の表面に付着しているダイオキシン類もしくは環境基準項目に定められた重金属類を含む有害物質を処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離することを特徴とする廃棄物最終処分場。 - 散水設備を備え、上記埋立てられた処理灰に散水して、ダイオキシン類、環境基準項目に定められた重金属類や有機物、もしくは塩類あるいはカルシウムの一部を上記散水された水と共に回収するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の廃棄物最終処分場。
- 廃棄物最終処分場の埋立地に、湿式処理による前処理を施した焼却灰を廃棄する焼却灰の廃棄方法であって、
焼却灰から粒径が40mmを超える夾雑物を分離する第1のステップと、
上記夾雑物が分離された焼却灰に加水しながら上記焼却灰を加水磨砕処理して細粒化する第2のステップと、
上記加水磨砕処理された焼却灰から、選別スクリーンにて、粒径が5mmを超える粒状体を分離して集積する第3のステップと、
上記選別スクリーンを通過した粒径が5mm以下の粒状体を含むスラリーを微粒子分離装置に送り、粒径が75μm以下の微粒子分を含むスラリーを上記微粒子分離装置から排出することで、粒径が75μmを超える粒状体を分離して集積する第4のステップと、
上記第3のステップで集積された粒径が5mm〜40mmの礫分を主とした粒状体と第4のステップで集積された粒径が75μm〜5mmの砂分を主とした粒状体とを処理灰として埋立地内に埋立てる第5のステップとを備え、
上記加水磨砕処理は、
内周面に軸方向に沿って取付けられ、中心方向に突出する複数の外羽根を有する円筒状の回転ドラムと、外周面に軸方向に沿って取付けられ、径方向に突出する複数の内羽根を有し、上記回転ドラムの内部に偏心して取付けられたロータとを備えた磨砕処理装置に焼却灰を投入して加水し、上記回転ドラムと上記ロータとをそれぞれ互いに逆方向に回転させて、上記焼却灰に圧縮及びすべり応力を作用させ、塊状となった焼却灰を独立した粒状体に分離して細粒化するとともに、上記細粒化された粒状体に対して、粒状体相互間の擦り合わせの力を作用させて、粒状体同士の摩擦による相互研磨を行わせ、上記粒状体の表面に付着しているダイオキシン類もしくは環境基準項目に定められた重金属類を含む有害物質を処理水中に浮遊あるいは溶解させて分離することを特徴とする焼却灰の廃棄方法。
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