JP5460988B2 - 廃棄物の前処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焼却灰等の廃棄物を最終処分場に埋立処分する前に行う前処理技術に関し、特に、有機物や重金属、塩類などの洗い出し、または溶出の抑制に適用して有効な技術に関するものである。
廃棄物最終処分場は、周辺住民にとっては、迷惑施設としてのイメージが強い。周辺環境への影響に対する不安感が根強く、処分場建設の住民合意を得ることが難しい。そのため、日本各地で、新規建設が困難になっている。
かかるなか、最終処分場に廃棄物を埋立する前に、周辺環境への影響の少ない状態に、廃棄物を前以って変化(安定化)させる処理(前処理)が種々提案されている。すなわち、かかる前処理方法は、埋立前に、埋立廃棄物に含まれる有機物や塩類、重金属等を、溶出しにくい安全性の高い状態に人工的に安定化させる技術である。
かかる技術としては、例えば、特許文献1に記載のように、埋立前に廃棄物を洗浄する方法がある。廃棄物を機械的に洗浄することで、廃棄物に含まれる有機物や塩類を洗い出して廃棄物を安定化するものである。また、特許文献2に記載のように、埋立前に廃棄物に散水および通気することで安定化を促進する方法がある。散水と通気により、廃棄物中の有機物や塩類、重金属等の洗い出し、あるいは不溶化を行う方法である。かかる方法により、廃棄物の安定化を促進する技術である。
かかる廃棄物の洗い出しについては、以下のような理論的モデルが提案されている。すなわち、焼却灰等からの汚濁成分の洗い出しについては、石井らが非特許文献1で、散水−洗い出しモデルとして提案した。すなわち、図1に示すように、「固相」、「不動水相」および「流動相」の3相を考慮したモデルである。焼却灰等の粒子としての「固相(S)」、粒子周囲に膜状に存在する水としての「不動水相(L1)」、散水により粒子間を流動する水としての「流動相(L2)」である。
かかるモデルによると、汚濁成分は、固相(S)から不動水相(L1)へゆっくりと溶出する。図中、経路<1>の矢印で示す。次いで、散水により生じる流動水である流動相(L2)へと移動し、洗い出されるとされている。図中、経路<2>として示した。
また、特許文献3には、焼却灰(ボトムアッシュ、あるいはボトムアッシュと飛灰)から、重金属、ダイオキシン等の有害物を除去して、有価物として利用するシステムに関しての技術が記載されている。
特開2002−59106号公報 特開2006−281006号公報 特開2003−53298号公報 梁取優丞、石井一英、「クローズドシステム処分場安定化促進のための散水−洗い出しモデルの実験的検討」、第14回廃棄物学会研究発表会講演論文集、2003年
前述の特許文献1、2に記載の如く、前処理方法では、廃棄物を機械的な洗浄で行う場合と、散水・通気によって行う方法とに分けられた。機械的な洗浄方法では、洗浄のための設備・動力、および比較的大量の洗浄水の処理が必要となる。一方、散水・通気による方法では、機械洗浄と比較して機械設備や洗浄水の処理負担は少ない。しかし、反面、安定化させるための前処理期間は長くなる。そのため、かかる方法では、前処理のための敷地面積の増大が付随的に発生する。
本発明の目的は、散水・通気による前処理の利点を活かしながら、前処期間を短縮する技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明は、廃棄物の前処理において、塩類等の溶出量に応じて、処理期間を複数に分割し、且つ、回を追うごとに散水量を減らすことで、効率的散水が行える。
かかる散水処理は、通気処理と併せて、事前の試験により適切な条件設定が行える。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明では、廃棄物量、廃棄物の安定化の進行に応じた散水条件を変化させることで、廃棄物の安定化を促進することができる。また、前処理期間の短縮と安定化に必要な水量削減を図ることができる。
かかる散水処理は、通気処理と併せて、事前の試験により適切な条件設定が行える。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明は、焼却主灰等の廃棄物の前処理に関する技術である。最終処分場で埋立等の最終処分を行う前に、廃棄物を周辺環境への影響の少ない状態に変化させる前処理技術である。
(実施の形態1)
かかる前処理技術では、先ず、前処理期間を複数の期間に分けることを特徴とする。かかる複数の前処理期間では、有機物や重金属等の洗い出しに要する散水量を、回を追うごとに少なくすることを特徴とするものである。このようにして、散水量を、従来の前処理方法に比べて、相対的に少なくし得るのである。また、かかる複数の前処理期間は、散水量と溶出成分とを勘案して設定することを特徴とするものである。例えば、散水量と溶出成分とをプロットして、そのプロットしたグラフから変曲点を求めることで行うことを特徴とする。
例えば、前処理期間を、初期、中期、後期と3区分した場合には、以下のようになる。先ず、前処理は、焼却主灰等の廃棄物を、最終処分場での埋立等の最終処分を行う前に、所定のエリア内に一定密度で積み上げる。積み上げた廃棄物の高さに応じて、前処理のための散水量等を含めた散水強度を設定する。かかる前処理では、通気と散水とを併せて行う。散水を塩類等の散水量あたりの溶出量、すなわち散水効率に応じて変化させることで、前処理を短時間かつ最適な散水量で行うものである。かかる処理要領は、前処理の初期、中期、後期の全期間通じて共通である。
かかる前処理は、複数の前処理期間から構成する。例えば、初期、中期、後期の3期間から構成する。複数の前処理期間は、一日あたりの散水回数に基づく散水量が異なる複数の前処理期間から成り立っている。
初期の前処理期間は、前処理期間の中で最も散水量が多い前処理期間である。初期の機能としては、廃棄物の水分含有量を一定にして、廃棄物表面近傍に存在する溶出しやすい有機物や塩類の洗い出しを行うものである。
中期の前処理期間は、機能としては、埋立処分後の廃棄物から溶出する浸出水の水質に影響を与える有機物や塩類の洗い出しを行うものである。初期と比較して、散水量を減らすことができる。
後期の前処理期間は、機能としては、埋立処分後の廃棄物の溶出値に影響を与える有機物や塩類の洗い出し、または不溶化を行うものである。中期と比較して、さらに散水量を減らすことができる。
このように、本発明では、初期、中期、後期等と複数の前処理期間に分けることを特徴とするものである。さらに、かかる複数の前処理期間では、回数を追うごとに、散水量を減らすことができるものである。上記3区分した例では、初期より中期、中期より後期と、順次に散水量を減らすことができるのである。従来のように、一律に散水する場合とは異なり、格段に、散水量を減らすことができるのである。すなわち、効率のよい、散水を行えるのである。
複数の各前処理期間は、予め、浸出水水質等の各期間毎の目標値が設定されていて、目標値に達した時点で次の前処理期間に移行する。かかる目標値としては、浸出水水質等を一つの指標として挙げたが、例えば、処理期間の最大時間を指標としても構わない。例えば、初期の期間は2日と設定し、2日が経過したら中期に移行させ、中期の期間の3日が終了したら、4日の期間の後期に移行する等させても構わない。
例えば、浸出水水質を各期間の目標値とする場合には、散水により洗い出される成分を目標値とすればよい。かかる目標値は、例えば、電気伝導度、有機炭素濃度、有機系化合物濃度、窒素濃度、金属濃度等の数値目標として把握すればよい。
すなわち、予め各期間毎の最大期間、あるいは浸出水水質等の目標値を設定しておき、目標値に達した時点で次の前処理期間に移行させるようにすればよい。移行した次の期間では、所定の散水条件で散水を施す。漸次、段階的に散水量を減らしながら、溶出量を規定の値にまで減らして安定化させることができる。
このように、前処理を複数の期間に分け、期間毎に定めた水質に応じて適切な散水量に減らして散水することで、全期間を通して、散水の効果を高めることができる。
本発明の前処理技術は、前記非特許文献1に記載の洗い出しモデルを、独自に発展させることで得られた知見に基づきなされた新規なものである。以下、かかる点について、説明する。
すなわち、本発明では、先ず、粒子表面や内部に存在する塩類や有機物等の成分を、水で溶出させることを前提とする。かかる溶出を、図1に示す散水−洗い出しモデルにおける固相(S)から不動水相(L1)への汚濁物質の移動として捉えた。すなわち、矢印で示す経路<1>として捉えた。さらに、また不動水相に存在している流出しやすい状態の成分を洗い流すことを、図1に示す散水−洗い出しモデルの不動水相(L1)から流動相(L2)への汚濁物質の移動として捉えた。すなわち、図に示す経路<2>として捉えた。
図2に、焼却灰に一定量の散水を続けた場合の塩類の洗い出し量の推移を示した。すなわち、塩類の溶出状況を示す溶出曲線のグラフである。図2では、横軸を紙面右に行くほど期間が経過している。散水初期は、水で洗い流され易いものが先に洗い出される筈である。すなわち、図1に示す不動水相に存在している流出しやすい状態の成分が、不動水相(L1)から流動相(L2)へ移動して洗い流されると捉えることができる。図1の経路<2>に示すように、不動水相付近に存在する流出し易い状態の成分が主体となって浸出水に排出される期間である。かかる期間を、例えば図2に示すように、Phase1と名付ける。
その後、不動水相に保持されていた成分の洗い出しが進むにつれ、洗い出し易い成分が洗い出されて、次第に、洗い出されにくい成分が溶出して来ることとなる。すなわち、図1の経路<1>によって粒子表面や内部より溶出されて不動水相に移行した成分が、流動水に速やかに洗い出されて浸出水中に排出されるのである。かかる期間を、例えば図2に示すように、Phase2と名付ける。Phase1からPhase2へと移行するのである。
Phase1では、上述の如く、不動水相付近に存在する流出し易い状態の成分の洗い出しが主体となる。そのため、散水量に応じて洗い流しが進み、散水量が多いほどその効果も大きくなる特徴がある。図2に示すように、横軸の総散水量に比例して、縦軸の塩類等洗い流し量が増えているのである。そのため、かかるPhase1では、グラフは、右上がりの角度の直線として示される筈である。
一方、Phase2では、上述の如く、洗い出されにくい成分の洗い出しが主体となる。そのため、固相から不動水相へ洗い出されにくい成分が移動するための時間が必要となり、固相から不動水相への成分の移動が律速となる筈である。Phase1と比較して、散水量を増しても洗い出しの効果が得にくいのである。すなわち、散水量にほぼ比例した形の溶出直線は得られない筈である。かかるPhase2の期間では、散水量を増やしても経路<1>による成分の移動速度を超える散水は無駄に流されることとなる。溶出量に応じて、散水量を減らすことができるのである。
従来の如く、かかる期間でも、初期に設定した一律の水量を散水し続けることは無駄な散水を施していることになるのである。本発明において、初めて、一律な散水量を施すことの不都合が明確に示されたのである。その不都合は、Phase2の期間を示すグラフから、それに適した散水量に絞ることで、無駄のない散水が可能であることを明確に示したのである。そのため、洗い出しの期間に応じた散水計画が必要となるのである。
図2においてグラフの傾きが横軸に沿って緩やかになるPhase2の期間は、散水速度に対して溶出速度(経路<1>の速度)が追いつかない。そのため、散水量あたりの溶出量が減少しているのである。これらの結果は、適切な散水の管理が必要となってくることを示している。
上記の発想によるメカニズムに基づき、本発明では、効率的な散水の仕方を提供する。すなわち、本発明での効率的な散水とは、散水された水がどれだけの塩類や有機物などを洗い流すことができているかを示すものである。つまり効率的な散水とは、散水量当たりの洗い流すことができた塩類等の量が多いのに対して、非効率的な散水とは、散水量あたりの洗い流すことができた塩類等の量が少ないことを意味している。
図3は、散水量の多少による洗い流し量の推移を、効率と言う観点からみた場合を示している。グラフの傾きが急角度で直線的(図中、効率的な散水と表示した一点鎖線の範囲)であれば、散水効率が高いことを意味している。すなわち、散水量あたりの塩類の溶出量が大きいのである。かかる効率は、塩類の溶出量あたりの散水量が少ない状態とも言える。
一方、グラフの傾きが横軸に沿ってねたようになっている部分(図中、非効率的な散水部分と表示した破線の範囲)では、傾きが急角度の直線的態様で散水を続けると、散水量あたりの塩類の溶出量が少なくなるのである。すなわち、塩類の溶出量あたりの散水量が多い過多の部分である。
しかし、非効率的な散水部分と表示した破線の範囲に合わせて、当初から散水量を減らした態様では、洗い出しに要する期間が長くなるのである。かかる点は、例えば、図4に散水少量で一定と示した状態となる。
そこで、非効率的な散水部分を、効率的な散水部分に近づけるためには、塩類の溶出量に見合った散水量で散水する必要があることが分かる。すなわち、図2に示す塩類の溶出曲線に沿った形で、散水量を変えることが必要であることが分かる。本発明では、洗い出し量だけでなく、洗い出しのための時間の要素を含めた効率的な散水方法を提供する。
本発明では上記発想の洗い流しメカニズムを利用し、Phase1においては比較的多量の散水を行う。また、Phase2においてはPhase1より散水量を減らし、適切な散水量に切り替える方法で散水を行うことを特徴とする。かかる手法を用いることで、Phase1では流出し易い状態の成分を速やかに排出することができる。Phase2では、無駄のない効率的な散水量で散水を行うことが可能となる。
図3の矢印に示すように、散水量の最適化により、非効率的な散水のため傾きがねた部分を直線的にする。すなわち、Phase1からPhase2において散水量の最適化を行うことにより、散水量あたりの洗い流し量を効率的に保つことができる。併せて、かつ、図4に示すように、当初より散水量を少量に減らして行う場合よりも、洗い流しに要する期間の短縮を図ることも可能となる。
すなわち、本発明では、例えば、Phase1とPhase2のそれぞれに必要な散水量を組み合わせることで、例えば図2に示すような溶出曲線に合わせて、適切な散水量で、散水量の効率化を図りながら、溶出量の低減を図る前処理における期間の短縮ができるのである。
尚、Phase2については、不動水相との濃度勾配により溶出が進むため、その成分や含有量によって溶出速度が異なってくる。そのため散水量の切り替え点をさらに増やし、きめ細かい散水を行うことが望ましい。すなわち、Phase2、Phase3、Phase4・・・等と、対応する溶出種ごとに合わせて、散水量を適宜に減らして、より溶出曲線に散水量を近づけるようにすればよい。
本発明では、効率的な散水を行うために、例えば、前処理期間の分割回数を次のようにして設定する。すなわち、先ず、(1)対象とする廃棄物を充填した試験カラムに基準散水量で散水する。この場合、例えば、4mm/日(30cmカラム)を基準散水量とする。基準散水量は4mm/日以上で行うことにより短期間でトリータビリティ試験が行え、散水の変更点の設定が可能となる。しかし、少ない散水量で40〜50日かけて行う方がより精度の高い散水量の設定が可能となる。
次に、図5に示すように、(2)液固比(累積浸出水量/廃棄物量)と累積汚濁物質量(EC、TOC等)の関係をグラフにする(トリータビリティ試験を行う)。さらに、図6に示すように、(3)グラフの溶出傾向から散水量の変更回数を設定する。変更回数はグラフの溶出傾向の接線をとりながら検討する。接線が切り替わるポイントを、散水変更点とする。散水変更点までの液固比(総浸出水量)を設定散水量で割ることにより、その設定散水量においての散水期間を決定することができる。
図5に示す場合は、概ね、その溶出状態を表す曲線は、当初急角度で直線的に上昇し、その後角度が穏やかに登る直線で示される。すなわち、2つの直線で近似できる図5に示す場合には、すなわち、おおむね2つの傾向が見られる場合には、図6に示すように、散水量の変更回数は2回とすればよい。この場合の散水変更点は、Phase<1>からPhase<2>へ切り替わるポイントとして、例えば、液固比で0.12(図6の矢印の箇所)程度と設定できる。
また、散水量の設定に際しては、Phase<1>のように直線的に洗い出される累積汚濁物質量が増加している段階では、不動水相に存在している物質が主体として流出していると考えられる。そのため、散水量は基準散水量(この場合は4mm/日=液固比0.012/日)以上に設定することが可能である。かかる液固比は、4mm散水、30cmカラム(φ10cm)使用の条件でトリータビリティ試験を行ったとき、(散水量4mm/日×カラム断面積)/(カラム断面積×30cm×充填密度)=液固比0.012/日として設定される。一方、Phase<2>においては、固相より移動してきた物質(経路<2>)が主体と考えられ、基準散水量(この場合4mm/日)以下の散水量に設定することが望ましい。
最後に、(4)散水計画(散水量、散水期間)を立案する。すなわち、安定化の対象とする廃棄物、例えば焼却灰1tに対して、上記のように散水変更点が液固比で0.12と設定される場合は、第一段階の総散水量は120Lになることを示している。対象面積を1mとすると、120mm散水することになる。散水装置の性能等を考慮して、例えば、第一段階の日散水量を60mmに設定したとすると、第一段階の散水期間は2日というように決定される。
第二段階の散水量は、前記(3)にあるように、液固比0.012/日よりも少ない散水量で行う。第二段階の散水終了の判断については、汚濁物質濃度で判断する。第二段階以上の散水期間については、モニタリングしている汚濁物質の累積流出量と総散水量から、図5のような散水効率のグラフを作成し、オンタイムでその傾きを計測しながら散水量変更点を決定する手法を用いても構わない。
例えば、以下のようにして本発明において、散水量の変更点を求めることができる。すなわち、図7は溶融スラグに対して基準散水量として4mm/日、30cmカラム(液固比0.012/日)の散水を行った場合の、電気伝導度(ECの累積と浸出水量(≒散水量)との関係を示している。図7に示すように、このグラフには概ね2つの溶出傾向(図中<1>、<2>)が見られる。そのためこの溶融スラグに対して行う散水の分割回数は、前記図5の場合と同様に、2回で良いと判断される。
この場合の散水変更点は、<1>→<2>で液固比0.76となる。<1>→<2>散水変更点が液固比で0.76と設定されると、溶融スラグ1tに対して第一段階の総散水量は760Lになる。対象面積を1mとすると、760mm散水することになる。散水装置の性能等から日散水量を180mmに設定したとすると、第一段階の散水期間は約4日になる。第二段階の散水量は液固比0.012/日よりも少ない散水量で行い、散水終了の判断については汚濁物質濃度等で判断する。
図8は、破砕不燃物における溶出傾向を示している。図8は、破砕不燃物に対して基準散水量として4mm/日、30cmカラム(液固比0.012/日)の散水を行った場合のEC値の累積と浸出水量(≒散水量)の関係を示している。図8では、グラフからは概ね3つの傾向が見いだされる。この破砕不燃物における散水方法としては、前処理期間を3区分に分割することが望ましい。この場合の散水変更点は、<1>→<2>で液固比0.18、<2>→<3>で0.67となる。
破砕不燃物1tに対して、<1>→<2>散水変更点が液固比で0.18と設定された場合、第一段階の総散水量180Lになる。対象面積を1mとすると、180mm散水することになる。散水装置の性能等から日散水量を60mmに設定したとすると、第一段階の散水期間は3日になる。第二段階の総散水量については、液固比0.67−0.18=0.49となる。これに対して液固比0.012/日よりも少ない散水量で行う必要があるため、仮に0.01/日とすると約50日と設定される。
第三段階ではさらに散水量を減らすため、0.01/日以下で散水を行う。第二段階の散水終了の判断については、汚濁物質濃度で判断してもよい。第二段階以上の散水期間については、モニタリングしている散水効率グラフの傾きを計測しながら散水量変更点をオンタイムで決定することも可能である。
以上のように、本発明では、廃棄物量・廃棄物の安定化の進行に応じ散水条件を変化させることで、廃棄物の安定化を促進し、前処理期間の短縮と安定化に必要な水量削減の両立を可能とした。以上の説明を、図9に示す例を用いて、簡単に以下にまとめた。
図9は、焼却主灰の前処理における散水量を三段階(4、12、36mm/日)に変えて行った場合の浸出水量(≒散水量)あたりのナトリウム(Na)溶出量を示している。つまり、図9における傾きが散水効率を示している。傾きが急であるほど効率的な散水であることを意味している。図中<1>の範囲では、上記の3種の散水量における三処理区ともにほぼ同じ傾きが得られている。
しかし、範囲<2>では、4mmと12mm区はほぼ同じ傾向を示すが、36mm区の傾きは緩やかになっている。範囲<3>では4mm区が、他の二処理区より明らかに傾きが急である。この散水量と溶出量の関係を利用することにより、範囲<1>では36mmの散水量で散水を行い、範囲<2>では12mmの散水量で、範囲<3>では4mm散水量で散水を行うことにより前処理期間を通じて無駄のない効率的な散水が行うことができる。且つ、範囲<1><2>では4mmの散水量で散水を行うよりも、洗い出し期間を<1>では約1.8日→約0.2日と1/9、<2>では約9日→約3日と1/3短縮することができるのである。
上述したように散水量変更のための判断は、塩類や有機物等の散水により洗い出される汚濁物質濃度をモニタリングすることにより設定しても良い。そのモニタリングの方法としては、例えばECがある。前処理が終了した廃棄物からの浸出水の目標EC値を、例えば、1S/mとする。そうすると、第一段階の散水量変更基準値は例えば目標値の5〜10倍(5〜10S/m)程度、第二段階は例えば2〜5倍(2〜5S/m)程度、第三段階は例えば2倍(2S/m)以下等と設定すればよい。設定したあとは、実際の濃度および散水効率をモニタリングしながら調整する。
前処理実施前にサンプルの入手が可能であるならばトリータビリティテストを行うことが好ましい。かかるテストを行って基準値を設定すれば、より適切な設定を行うことができる。
また、当然のことながら、対象とする溶出成分により目標数値は異なる。例えば、設定基準値の何倍にするかも異なってくる。例えば、廃棄物中の溶出成分のNa濃度を基準値設定に採用した場合、目標値を500mg/Lとすれば、第一段階の基準値は目標値の20〜30倍(10,000〜15,000mg/L)程度となる。
但し、基準値のみで散水量の変更を行なった場合、基準値を満足できないと過剰散水の虞れがあるため、散水日数による限度を各散水段階に設けることとする。最大散水日数としては第一、第二段階では5〜10日程度である。
対象とする成分としては洗い出される成分で測定可能なものを採用すればよい。例えば、電気伝導度、有機炭素濃度、フェノール類などの有機系化合物、窒素濃度、金属濃度などを挙げることができる。
散水量変更の段階数、すなわち分割回数は、廃棄物の特性に応じて決定する。焼却主灰ではおおよそ三段階で効率的な散水が可能と考えられる。より塩濃度が高い飛灰などの廃棄物を対象とする場合は、四段階、五段階と散水量を変更することも可能である。また破砕不燃物など塩濃度が低く、初期溶出のみが問題となる廃棄物は二段階でも構わない。
以上の本実施の形態1において述べた散水量の変更等を、例えば、ベンチスケール試験で求めた結果に基づき行う場合について具体的に説明する。
ベンチスケール試験は、模式的に図10に示すような試験装置を用いて行った。すなわち、ベンチスケール試験に用いる試験装置10は、カラム11と、給水タンク12と、浸出水受器13と、コンプレッサ14とから構成されている。試験に供する廃棄物の焼却灰20a等の試料20は、カラム11内に収容することができるようになっている。カラム11内には、図10に示すように、下方に排水層30として粒径10〜20mm程度の砕石30aが5cm厚程で充填されている。焼却灰20aは、所定層厚で、かかる排水層30上に充填されている。
かかるカラム11には、ポンプ12aを介して、給水タンク12が接続されている。ポンプ12aは、タイマー12bにより給水時間の管理が行われ、カラム11内の焼却灰20aの上方から散水できるようになっている。カラム11内に散水された水は、カラム11内の焼却灰20a、排水層30を通り、カラム11の下方に接続した浸出水受器13に溜められるようになっている。
一方、カラム11には、図10に示すように、マスフローコントローラ14aを介して、通気装置としてのコンプレッサ14が接続されている。マスフローコントローラ14aにより給気量、給気時間等が管理された上で、コンプレッサ14で、カラム11内の排水層30から、焼却灰20に向けて、下方から上方に通気することができるようになっている。
本試験では、焼却主灰を試料として用いた。かかる焼却主灰を、排水層上に、通気、透水を妨げない密度で高さ180cmに充填した。試験では、密度は、例えば1.3g/cm3で設定した。上部から、給水タンクから水を供給して、散水を行った。試験では、散水は1日あたり36〜180mmになるように水量を設定し、24〜120回に分割して散水した。1回あたりの散水量は1.5mmとした。
尚、本発明での散水量とは、散水面積と同じ断面積の容器に散水した場合に溜まる水の高さを示す散水量を表すものとする。すなわち、降雨量を示すと同様の基準を採用した。
浸出水は経時的に採取し、水質を分析した。試験期間は50日とした。
本ベンチスケール試験では、浸出水水質の指標として、浸出水に含まれる塩類濃度と相関する電気伝導度(EC)を用いて、前処理期間中の散水条件の設定を行った。尚、浸出水水質の指標は電気伝導度の他に全有機態炭素(TOC)や全窒素など浸出水に含まれる成分項目であれば、本発明の指標として適用可能である。
図11は、ベンチスケール試験における試験区と対照区との結果を示している。対照区では、前処理実験期間中の一日あたりの散水量を36mmで一定としている。すなわち、散水条件を変えることなく、一律の散水量で、従来通りの塩類溶出を行っている。
一方、試験区では、前処理期間中に浸出水のEC値に応じて、本発明に関わる散水条件の変更行っている。すなわち、塩類の溶出量に応じて、散水量を減らして効率的散水をするようにしている。本試験では、前処理期間を、3期間に分割した。前処理期間−1、−2、−3とし、以下説明する。
1)前処理期間−1(廃棄物の焼却主灰に含水させ、易溶出成分を除去する期間):一日あたりの散水量を180mmになるように設定して散水試験を開始した。散水条件は1回あたりの散水量は1.5mm、1日あたりの散水回数は120回である。試験開始後5日の時点で、EC値が6S/mを下回ったことが確認された。その時点で、前処理期間−1の終了時点として判断し、前処理期間−2の散水条件に設定を変更した。かかる前処理期間−1では、廃棄物粒子表面付近もしくは易溶出の成分を洗い出す機能を持つ。
併せて、初期含水量が異なる廃棄物に散水を施し、散水した水量とほぼ同じ浸出水を排水させる状態にすることで、廃棄物を所定の含水量に設定することもできる。廃棄物の種類により異なるものの、例えば、廃棄物が焼却灰の場合には、含水率を30〜40%程度に設定することができる。
2)前処理期間−2(浸出水水質に影響を与える有機物や塩類の洗い出しを行う期間):試験開始6日以降は、一日あたりの散水量を72mmになるように設定して散水を継続した。散水条件は1回あたりの散水量は1.5mm、1日あたりの散水回数は48回である。試験開始後10日の時点で、EC値が2S/mを下回った。その時点で、前処理期間−2の終了時点として判断し、前処理期間−3の散水条件に設定を変更した。かかる前処理期間−2では、主に埋立処分後の浸出水水質に影響を与える有機物・塩類の洗い出しを行う機能を持つ。
3)前処理期間−3(溶出値に影響を与える有機物や塩類の洗い出しと不溶化):試験開始10日以降は、一日あたりの散水量を36mmになるように設定して散水を継続した。散水条件は1回あたりの散水量は1.5mm、1日あたりの散水回数は24回である。試験開始後20日の時点で、EC値が0.5S/mを下回った。その時点で、前処理期間の終了時点として判断した。しかし、50日までは、試験を継続して浸出水質が一定となることを確認した。かかる前処理期間−3では、主に埋立処分後の廃棄物の溶出値に影響を与えると考えられる溶出し難い有機物・塩類の洗い出し、または不溶化を行う機能を持つ。
かかる試験からは、図11にその結果を示すように、明らかに、試験区の方が、対照区よりも、短い期間で溶出量を示すEC値が下がっていることが確認される。さらには、対照区と、試験区とでは、試験終了時点での溶出量が、EC値で、約2S/m違うことが確認された。すなわち、試験区の方が、対照区より、EC値で2S/m低いのである。本発明の如く、溶出量に応じて散水量を変更する効率的散水条件を用いた方が、十分に溶出させ得ることが確認された。
有効性がベンチスケール試験でも確認された本願発明は、実際には、以下のようにして適用すればよい。図12に、実際に適用可能な前処理の手順を、例示した。図12では、処理工程ごとに手順を示している。
先ず、実際に本発明を適用しようとする廃棄物のサンプルを採取して、前記図5で説明したトリータビリティ試験を行う。これにより、散水条件の変更回数を決定する。尚、実際にサンプルを採取して試験するのではなく、予め、適用しようとする廃棄物組成がある程度分かれば、それに見合った過去の実績から、その散水量変更条件を探して、それを適用することでも構わない。例えば、前処理期間を、前処理期間−1、−2、−3の3回に分割するのが有効と出た場合を想定して以下説明する。
本発明を適用しようとする廃棄物を、実際の前処理エリアに、所定密度で撒き出す。前処理エリアは雨水を排除できる建屋に設置する。かかる前処理エリアは、上部に散水設備、下部(底部)に通気・排水設備を設置しておく。排水設備には浸出水を一時的に貯留する装置を設置する。
このように予め準備した前処理エリアに、対象とする廃棄物を所定密度で撒きだす。密度は焼却主灰の場合は、例えば、標準で1.3g/cmである。かかる撒き出し密度は、例えば、0.5g/cm以上〜1.8g/cmの範囲で設定可能である。尚、撒きだし厚さは任意に設定可能であるが、望ましくは0.3m〜2mの範囲である。
次に、上記の如く、撒き出した廃棄物に対して、1回あたりの散水量を決定する。すなわち、上記撒き出した廃棄物の撒きだし厚さから、次の式を用いて、1回あたりの散水量を決定する。1回あたりの散水量はY(mm)は、廃棄物の塩含有量等の特性により変化する比例係数Aを介して、撒きだし厚さX(m)に比例する。すなわち、Y=AXとして表される。尚、係数Aは、上記の如く、廃棄物の特性(塩含有量など)により変化するが、例えば、0.4以上〜4.0以下の範囲で設定可能である。
前処理期間−1では、次のような処理を行う。すなわち、撒き出した廃棄物層に下部から通気を行う。併せて、12分間隔で散水を行う。1日あたりの散水回数は120回である。散水に伴って発生する浸出水のEC値を監視、記録する。前処理期間−1の終了時点の判断は、浸出水のEC値が6S/mを下回った時点とする。あるいは、前処理開始後5日経過した時点としても構わない。勿論、前処理期間−1の終了時点の判断は、実際の廃棄物の性状により任意に変更が可能であることは言うまでもない。
また、浸出水の水質は前処理エリアに設置した浸出水一時貯留装置に集められた浸出水を分析すればよい。分析は、分析項目を正確に測定できる方法であれば、自動、手動の方法は問わない。
例えば、上記の如く、浸出水のEC値が6S/mを下回った時点で、散水量を変更して、前処理期間−2に移行する。前処理期間−2では、次のような処理を行う。すなわち、廃棄物層に下部から通気を行う。併せて、廃棄物に対して、30分間隔で散水を行う。1日あたりの散水回数は48回である。散水に伴って発生する浸出水のEC値を監視・記録する。かかる浸出水のECの値で、前処理期間−2の終了時期を判断する。前処理期間−2の終了時点は、浸出水のEC値が2S/mを下回った時点とすればよい。あるいは、前処理期間終了の判断は、前処理期間−2への散水条件の変更後5日としても構わない。かかる前処理期間−2の終了時点の判断は、適宜に、廃棄物の性状により任意に変更が可能である。
上記の如く、例えば、浸出水のEC値が2S/mを下回った時点で、散水量を変更して、前処理期間−3に移行する。前処理期間−3では、次のような処理を行う。すなわち、廃棄物層に下部から通気を行う。併せて、廃棄物に対して、60分間隔で散水を行う。1日あたりの散水回数は24回である。散水に伴って発生する浸出水のEC値を監視・記録する。かかる浸出水のECの値で、前処理期間−3の終了時期を判断する。前処理期間−3の終了時点は、浸出水のEC値が0.5S/mを下回った時点とすればよい。あるいは、前処理期間終了の判断は、前処理期間開始後40日としても構わない。かかる前処理期間−3の終了時点の判断は、適宜に、廃棄物の性状により任意に変更が可能である。また、本実施では、前処理期間−3の終了をもて、前処理の終了とする。
かかる前処理は、例えば、図13に示す工程を経て行われる。すなわち、図13に示すように、廃棄物搬入・撒きだし工程により、廃棄物を焼却場等から回収して搬出する。回収、搬出に際しては、図13に示すように、自動車等の車両で行う。かかる廃棄物は、所定層厚で撒き出され、撒き出し厚さが測定される。併せて、所定層厚に応じて前処理に必要な散水量が設定される。
その後、安定化エリアでの処理工程に移り、実際に撒き出した廃棄物に対して安定化処理としての前記説明の効率的散水による前処理が施される。ここで、前処理は、例えば、可搬式のコンテナ方式、あるいは、設置式のブロック方式の二通りでの処理方法が採用される。コンテナ方式、あるいはブロック方式のいずれの場合にも、安定化エリア内の排水設備、水封・採水ますが備えられた処理専用区画で、前処理が行われる。
例えば、コンテナ方式で行う場合は、図14(a)〜(c)に示すように、可搬式コンテナに構成されている。すなわち、可搬式前処理場100は、図14(a)〜(c)に示すように、トラック等に車載可能に構成され、可搬式前処理場100を車載により所望箇所まで移動できるようになっている。
かかる可搬式前処理場100は、図14(a)に示すように、上方が開放可能に構成された覆蓋を有する投入口110を有する箱型に形成されている。かかる投入口110から、焼却灰の積み込みを、焼却場の搬出用ホッパー等により簡単に行えるようになっている。かかる箱型の可搬式前処理場100の内側には、傾斜が設けられた底部120が設けられている。図14(a)に示す場合には、底部120の傾斜は、箱形の長手方向に向けて設けられている場合を示している。
かかる底部120に傾斜を設けておくことで、可搬式前処理場100に積み込んだ焼却灰に前処理で散水したときに、図中の矢印で示すように、散水した水が底部120の傾斜面に沿って流れることができる。かかる底部120の傾斜下端側には、図14(b)に示すように、排水処理部材として排水管130が設けられている。底部120の傾斜面に沿って流れ落ちてきた散水による水を、効率的に集水して排水できるようになっている。かかる排水管130は、例えば、その管端の排水口130aが可搬式前処理場100の外側に出るように構成され、排水口130aへの管端接続が容易にできるようになっている。
一方、傾斜面に形成された底部120の下方には、図14(a)に示すように送気処理部材として送気管140が敷設されている。かかる送気管140は、例えば、図14(c)に示すように、平面的に見た場合には、可搬式前処理場100の底面全体にわたって、分岐条に形成されている。このようにして敷設された送気管140には多数の送気孔が設けられ、可搬式前処理場100に積載した焼却灰に透水方向(図中矢印で表示)に対向して通気することができるようになっている。
また、かかる送気管140の管端の送気口140aは、例えば、可搬式前処理場100の外側に出るように構成され、送気口140aへの管端接続が容易に行えるようになっている。
また、かかる構成の箱形の可搬式前処理場100には、図14(a)に示すように、側面の一部が開閉扉150に形成され、開閉扉150を介して積載した焼却灰てに際して排出できるようになっている。さらに、可搬式前処理場100には脱着用のフック160等が設けられ、車載に際してフック160でトラック等の車載車両に確実に係止できるようになっている。
かかる構成の可搬式コンテナ100で、焼却場からの廃棄物の回収、搬出が行われる。
廃棄物を回収した可搬式コンテナ100は、車両に載せられ、安定化エリア内の処理専用区画に搬入される。処理専用区画では、可搬式コンテナ100が設置可能な小区画が複数設けられている。かかる小区画内には、それぞれ、上方にスプリンクラー等の散水施設と、排水溝を含めた排水設備が設けられている。
かかる小区画に可搬式コンテナ100が搬入、設置される。設置した状態で、例えば、可搬式コンテナ100の投入口110の上方からスプリンクラーにより散水が行われる。かかる散水は、前述の如く、廃棄物の溶出塩類に応じた散水量に適宜に変更される効率的散水量での散水が行われる。このようにして可搬式コンテナ100内に散水された水は、予め可搬式コンテナ100内の傾斜した底部に沿って流れる。流れた水は、上記小区画に可搬式コンテナ100を設置した際に接続させた排水溝に流れる。排水溝への接続に際しては、図14(b)に示すように、水封・採水ます200を介して行う。
かかる水封・採水ます200は、図15にその概要を示した。すなわち、可搬式コンテナ100の排水口130aに接続されて、散水された水が廃棄物層から図15の矢印に示すように水封・採水ます200内に流れ込む。水封・採水ます200は、浸出水集水管を上方に設けた集水ますに構成され、流れ込んだ水は、集水ます内に溜められる。溜められた水は水位が次第に上がって、浸出水集水管まで上がるとオーバーフローして、浸出水集水管を通って、処理区画内に巡らされた排水溝から浸出水処理装置へ送られるようになっている。
一方、集水ますの側壁には、採水弁が設けられ、適宜必要に応じて廃棄物中の塩類等の溶出量の分析が行えるようになっている。また、集水ますには、図15に示すように、pH、ECセンサが設けられ、図示はしない信号変換器を介して、随時、塩類の溶出濃度等が監視可能に構成されている。このようにして、安定化エリアでの処理工程が済んだら、最終の埋立工程に移る。埋立工程では、安定化処理済みの廃棄物が、所定の場所に埋められる。
かかる安定化エリア内での前処理は、可搬式コンテナを用いなくても構わない。例えば、図16に示すように、安定化エリア内を処理専用区画300に構成する。かかる構成は、上記可搬式コンテナ100の場合と同様に構成しておけばよい。かかる処理専用区画は、さらに小区画310に区分けされている。丸が囲んだ小区画310内に搬入された廃棄物は、拡大図に示すようにブルドーザー等の車両320で所定層厚に撒き出され、小区画内の上方に設けたスプリンクラー330により散水が施される。かかる散水は、前記の如く、塩類等の溶出量に応じて、適宜に散水量を減らした効率的散水により行われる。かかる小区画には、可搬式コンテナ100で述べた構成の水封・採水ます200々に設けられ、小区画毎の溶出に基づく前処理が行えるようになっている。尚、処理専用区画300には、図16に示すように、浸出水ピットが設けられ、浸出水を一時的に貯留することができるようになっている。また、洗い水集水側溝が設けられ、浸出水と洗い水とを分離することが可能な構造になっている。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、散水処理においては、散水処理期間を複数に分割することで、効率的な散水が行えることを説明した。かかる効率的な散水を行うに際しての方法も具体的に説明した。本実施の形態では、上記結果を踏まえて、よりシステマティックに通気処理も含めた散水処理を行う場合について説明する。前記実施の形態に説明した方法は、確実に散水量を減らすことができる方法であり、現実的に極めて有効である。しかし、実際に運用するにあたっては、処理期間を複数に分割する際の手段等を、よりシステマティックに行えるようにすることで、誰でもが容易に実際に適用できるようにすることが望ましい。このようにすることで、今までにない有効な本発明の普及を促すことができる。
散水処理と通気処理とを併用する前処理を実施するに際しては、その前に前処理の対象とするサンプルを入手して、事前試験としてのトリータビリティ試験(トリータビリティテストに同じ)を行い、前処理の条件を設定する。かかる事前の試験を行うことで、実際の廃棄物に則したより適切な処理条件の設定が行える。
因みに、トリータビリティテストについては、業界で確定した適切な日本語訳が未だ定義されていない。そこで、本発明では、事前調査試験と広く定義する。かかる定義は、例えば技術の適用性についての事前検討等を意味する。より狭くは、事前に対象サンプルでおこなう分析及び実験を意味する。かかる定義の範囲内にある試験、テストならば、当然に本明細書で使用するトリータビリティテスト(トリータビリティ試験に同じ)と見做すことができる。
先ず、本実施の形態で使用するトリータビリティ試験の装置について説明する。かかる装置は、前記実施の形態1で説明したベンチスケール試験に用いる装置を転用することができる。例えば、図10に記載した装置をそのまま転用して、トリータビリティ試験を行うことができる。
すなわち、トリータビリティ試験装置は、焼却灰等の廃棄物を充填する容器と、その容器内に充填した焼却灰等の廃棄物に散水処理を施す散水手段と、散水処理が施されている容器内の焼却灰等の廃棄物に下方から通気処理を行う通気手段とを有するものである。
例えば、図10に示すように、試験装置10は、焼却灰等の廃棄物を充填する容器としてカラム11を有している。かかるカラム11内には、廃棄物の焼却灰20a等の試料20が充填されている。充填に際しては、カラム11内の下方に排水層30を設け、その上に焼却灰20a等の廃棄物としての試料20が収容されている。カラム11内の下方の排水層30は、例えば粒径10〜20mm程度の砕石30aが5cm厚程で充填されている。焼却灰20aは、所定層厚で、かかる排水層30上に充填されている。試料20として使用する焼却灰20a等の廃棄物のカラム11内への充填密度は、透水、通気を妨げない密度としておけばよい。
また、カラム11内に充填した焼却灰20a等の廃棄物の試料20に散水処理を施す散水手段として、ポンプ12aを介して、給水タンク12が給水管を介して接続されている。ポンプ12aは、タイマー12bにより給水時間の管理が行われ、カラム11内に充填した焼却灰20a等の廃棄物の上方から散水できるようになっている。
一方、図10に示すように、マスフローコントローラ14aを介して、通気装置としてのコンプレッサ14がカラム11の下方に給気管を介して接続され、通気手段が構成されている。マスフローコントローラ14aにより給気量、給気時間等が管理されている。排水層30が充填されているカラム11部分に給気管が接続され、排水層30の上に充填された焼却灰20aの下方から通気できるようになっている。
このようにして、カラム11内に散水された水は、カラム11内の試料20としての焼却灰20a、排水層30を通り、カラム11の下方に接続した浸出水受器13に溜められる。かかる浸出水受器13に溜められた浸出水を経時的に採取して水質を分析し、所要の溶出結果を取得すればよい。
かかるトリータビリティ試験装置を用いて、例えば、次に示す方法で、トリータビリティ試験を行う。かかる試験は、一連の工程を経て行われる。かかる一連の工程としては、例えば、含水率調整工程、充填工程、散水量・通気量の設定工程が含まれる。
含水率調整工程では、対象とする試料としての廃棄物を、散水と同時に浸出水が得られるように含水率を調整する。かかる含水率は、{(廃棄物重量−乾燥廃棄物重量)/廃棄物重量}×100として定義し、試料としての廃棄物に水を含ませて調整する。調整する含水率の目安は25%以上〜45%以下に設定しておけばよい。正確には対象とする廃棄物により、その含水率は異なるが、実験した範囲内の焼却灰、飛灰、破砕不燃物等では、10%以上〜50%以下の範囲の含水率であった。すなわち、かかる含水率で廃棄物に水を含ませた場合には、廃棄物が水分を飽和させる程度に含んでいる状態と見做せる。従って、その状態では浸出水が殆ど出ない状態と言える。かかる状態の廃棄物に、散水処理を始めると、散水処理した量に略見合った浸出水が得られる状態とも言える。かかる含水率の調整は、トリータビリティ試験期間の短縮のためには行った方が好ましい。
尚、ここでいう乾燥廃棄物重量とは全蒸発残留物に相当する。その測定は、環境庁告示13号第一検液の作成の「備考」にて固形分を測定するために明示されている方法と同様の方法で行い、乾燥させた試料の測定値を乾燥廃棄物重量として用いる。
因みに、環境庁告示13号第一検液の作成の「備考」には、「当該産業廃棄物二十グラム以上百グラム以下(aグラム)を平形はかりびん(容量五十ミリリットル以上のもので、あらかじめ乾燥したもの)又は蒸発ざら(容量百ミリリットル以上のもので、あらかじめ乾燥したもの)に正確に計り取り、沸騰しないように注意して蒸発乾固し、摂氏百五度以上百十度以下で二時間乾燥した後、デシケーター中で三十分間放冷する。この結果平形はかりびん又は蒸発ざらに残留した物質の重量(bグラム)を正確に求めこれを固型分の重量とする。」の旨、記載されている。
充填工程では、上記要領で含水率を調整した試料の廃棄物を、所定密度になるようにトリータビリティ試験装置のカラム内に充填する。充填するに際しては、カラム内の所定容積に対して所定重量の試料を入れることで、所定密度に調整する。基本的には、充填に際しては締め固めは行わない。そのため、前記含水率調整が行われた状態の廃棄物は、その状態が維持されてカラム内に入れられた状態となっている。すなわち、かかる状態は、試験装置に廃棄物を通気・透水を妨げない密度で充填されている状態とも言える。
このように試料としての廃棄物をカラム内に充填した後は、散水量・通気量設定工程で、散水条件、通気条件をそれぞれ複数設定する。散水条件、通気条件は、別個独立に条件設定を行う。基本的には、散水条件、通気条件は、散水量、通気量をそれぞれ複数設定して、それぞれの溶出特性を確認しながら行う。複数の散水量、通気量で取得された溶出特性を解析して、最終的に実際の廃棄物等に適用する適切な散水量、通気量をそれぞれ設定すればよい。
散水条件の設定では、散水量を複数変化させて、溶出特性を取得する。例えば、塩類等洗い流し量と総散水量との関係をプロットして、図17に示すように、溶出特性を示すグラフを取得する。かかる溶出特性を示すグラフでは、例えば、塩類等の洗い流し量と液固比率(総散水量/廃棄物量で示す:単位はml/g)との関係をプロットしても構わない。上記散水量を複数変化させるに際しては、4mm/日は基準となる散水量となるため選定しておくことが望ましい。かかる散水量を変化させて溶出特性を取得するに際しては、通気条件を一定にしておく。例えば、2mm/sec等のように、2mm/sec以下に設定しておけばよい。かかる2mm/sec以下であれば、通気量の変化による溶出特性への影響は略一定と見做すことができるからである。
因みに、前記実施の形態1では、基準散水量の4mm/日を、液固比0.012/日という表現を用いていた。しかし、かかる表現は、本実施の形態2のトリータビリティ試験条件の「液固比」と混同する虞があるため、トリータビリティ試験条件においては敢えて「液固比率」として表現する。「液固比」と「液固比率」とは全く同一の意味内容を示し、廃棄物(固体)に対する散水量(液体)の割合であり同一概念である。また、上記基準散水量の4mm/日は、液固比0.012/日から、散水強度0.012mL/g・日としても表現できる。
複数の散水量の選定方法に関しては、より詳細には次のように行う。上記の如く、トリータビリティ試験では、散水量を複数変化させ、それに応じた溶出特性を得る。かかる散水量を複数変化させるに際しては、2段階あるいは、3段階以上変化させればよい。細かく複数回に分ける程、より緻密な散水計画を立てることができる。例えば、3段階散水量を変化させた場合には、図17に示すようになる。散水量に応じて設定される各処理区に対して、それぞれの散水量に応じた異なる溶出特性がみられる。図17には、かかる状況を模式的に示した。縦軸には、EC値やNa量等の塩濃度と浸出水量の積より算出した塩類洗い流し量を用いている。横軸には、日散水量と実験日数の積から求める総散水量が用いられている。あるいは、横軸には、総散水量と廃棄物量の比である液固比率(総散水量/廃棄物量)を用いてもよい。液固比率の分子部分はこの場合、総散水量を用いているがもちろん累積浸出水量を用いてもかまわない。
かかる溶出特性は、図17に示す場合には、散水量少の処理区では、略直線で示されている。散水量中の処理区では、溶出特性が始め直線的でその後に横軸に沿って寝たような溶出特性が得られる。また、散水量多では、散水量中と同じような形状の曲線であるが、直線的部分が散水量中より短い曲線が得られる。
トリータビリティ試験により得られた溶出特性を示すグラフが図17に示すような場合には、散水量が少ないほど廃棄物との接触時間が長いため溶出効率が上がり、グラフの傾きは急になる。それに対して、散水量が多いと十分な接触時間が得られず、薄い浸出水が大量に出てくることになり、図17に示すように、直線的部分の途中から横軸に沿って寝たような形状のグラフが得られる。
しかし、散水量多の処理区において、良好な直線性を示す直線的範囲は原点から破線で示すAまでの区間Aである。また、散水量中の処理区においては、良好な直線性を示す範囲は原点から破線で示すBまでの区間Bである。かかる散水量多の場合の区間A、散水量中の場合の区間Bでは、散水量少とほぼ同じ傾きの直線性が得られている。このことは、区間Aでは、散水量少、中、多の場合のいずれを選択しても、効率的な散水となることを示唆している。また、区間Bでは、散水量少、中の場合のいずれを選択しても、効率的な散水となることを示唆している。
尚、本明細書では、「良好な直線性」とは、4mm/日(散水強度0.012mL/g・日)の散水を行った場合のグラフの傾きを1とした場合に0.7以上、1.3以下の傾きを有する直線と定義する。「直線的」とは、グラフ上に記した測定点が線形で近似(決定係数で0.8以上)できるものと定義する。
一方、前記実施の形態1の図3、4の説明でも明らかなように、散水量が少ない場合には処理期間が長くなる。そのため、処理期間を短縮するためにはより散水量が多い方が好ましい。そこで、効率的で且つ処理期間を短縮できる散水処理を行うには、区間Aでは散水量多の直線性の部分で、区間Bでは散水量中の直線性の部分で、置き換えればよいことが分かる。区間B以降では散水量少の直線性の部分を、採用すればよいことが分かる。
すなわち、実際の廃棄物に対して散水による前処理を行うに際しては、かかる区間毎に散水量を変化させることで、処理を行えばよいと結論される。この廃棄物に対する散水は、総散水量Aまでは散水量多で行えばよい。また、A−B間は散水量中、B以降は散水量少で行えばよいのである。このようにして、基準となる散水量少のグラフの直線部分を、散水量中、散水量多のそれぞれの直線部分で置き換えた置き換え区間が、散水処理の複数の区間に対応するのである。複数区間に分けて、その区間の散水量をそれぞれ変化させるトリータビリティ試験を行うことで、最適な散水計画を立てることができるのである。
もちろん散水計画は必ずしもこの通りである必要は無く、前処理にかけることが可能な時間との調整や塩類等の含有量により決定してもよい。例えば、図18に示すように、塩類等の洗い流し量がMで十分で、その状態であればかかる廃棄物の埋立処理が行えるとする場合を想定する。かかる場合には、上記の如く、区間Aでは散水量多で、区間A−Bでは散水量中として散水すれば効率的で処理期間の短縮が図れる。また、区間B以降では、目標とする処理期間内であれば、散水量の無駄を省いた効率的な散水量少とすればよいことも上記説明から分かる。
しかし、上記散水処理では、処理期間が予め想定した処理期間内に入らない場合には、散水量の無駄は覚悟の上で、処理期間を短く抑えられることが求められる。すなわち、図18に示す塩類等洗い流し量Mを示す直線が、散水量少のグラフと交わる点をP1、散水量中のグラフと交わる点P2とすれば、P2の点を選択することとなる。このように散水量少を散水量中に変更することで、散水量が多くなる分処理期間の短縮が図られ、所定の処理期間内に処理を完了させることができるのである。逆に、処理期間が十分にある場合には、散水量少を選択することで、すなわちP1の点を通る散水量少のグラフを採用してより効率的に無駄を省いた散水処理を行えばよいことが分かる。
上記説明では、散水量を例えば3段階の複数に設定した場合を示したが、散水量を3段階より多い多段階に設定しても構わない。かかる多段階に設定した溶出特性を示すグラフの直線性を示す部分を、それぞれ継続して繋ぐように散水処理すれば、より精度の高い散水計画の設定が行える筈である。例えば、図19に示すように、散水量少のグラフと、散水量中のグラフとの間には、無数に溶出特性を示すグラフがある筈である。例えば、総散水量Cで、グラフが横軸に略沿って寝る曲線を示すグラフを散水量少中とする。かかる場合には、区間Aでは散水量多で、区間A−Bでは散水量中で、区間B−Cでは散水量少中で、区間C以降は散水量少として設定して、散水処理をより効率的に処理することができることとなる。
また、図17に示すように、散水量を複数変化させるに際しては、先ず塩類等の洗い流し量が規定の値になるまで、できるだけ直線性を示す場合の散水量を見つけることが必要である。ある所定量以下の散水量で良好な直線性が得られる筈であるが、理想的には、直線性が得られる最大の散水量を求めることが望ましい。このようにして、溶出特性で直線性が得られる散水量を把握したら、かかる散水量より多い散水量で、さらに溶出特性を取得する。図17では、直線性が得られた散水量を、散水量少としている。さらに、かかる散水量少の場合より、大きい散水量で溶出特性をみている。図17では、散水量少、散水量中、散水量多との3種の散水量による溶出特性を確認している。図19では、散水量少、散水量少中、散水量中、散水量多の4種類で溶出特性を把握して、より精度高く散水条件の設定が行えるように配慮している。
散水量少の場合を除いては、散水量少よりも多い散水量では、溶出特性は始め略直線に沿うようにして、その後横軸に略平行に寝るような形のグラフが得られる。例えば、図17に示すように、散水量中、散水量多の二つの曲線を比べると、散水量中の曲線の方が、散水量多の曲線に比べて、直線性の部分が大きいことが分かる。両散水量中、散水量多の直線性の部分が横方向に分岐する点を、散水量を変化させる目安と設定すればよい。また、かかる点を境にして、前記実施の形態でも述べた複数の散水期間の目安とすることができる。
かかる分岐点の決め方は、例えば正確には直線の傾きが基準線(最も直線性が良い線)の傾きを1とした場合に0.7以下になった場合と判断すればよい。その場合、回帰直線に使用する測定点は決定係数は0.8以上になるように選択する。
ここで、上記散水量少に相当する基準には、例えば、基本的には4mm/日(散水強度0.012mL/g・日)を用いればよい。かかる4mm/日を基準とすれば上記散水量少に相当する。散水量中は散水量少の2〜10倍、散水量多は10〜100倍の範囲で設定を行う。ただし散水量少を4mm/日以下に設定しても問題はない。三段階以上の処理区を設ける場合は、この区分をさらに細かく設定することとなる。散水量は対象とする廃棄物の塩濃度やトリータビリティ試験期間によってこの範囲内で設定する。
尚、上記4mm/日を基準とし場合の散水量多における100倍量の上限設定の根拠は、100倍量では400mmとなり、この散水量は約5分に1回の散水に相当する(1.3mm/回の場合)ため、散水にかかる時間を考慮するとほぼ常時散水に略相当するためである。散水量中の上限は40mmであり、これは約1時間(50分)に1回の散水量に相当し、かかる場合を上限に設定した。
因みに、4mm/日量(散水強度0.012mL/g・日)の散水量は、基準として必ず選定しておくと述べたが、かかる日量の散水量では、廃棄物の種類を問わずに、溶出特性のグラフは良好な直線性を示すグラフとなることが確認されている。その意味で、かかる日量のグラフを効率的散水量の基準として使用できると見做すこともできる。
一方、通気条件の設定では、通気量を複数変化させ、溶出特性を取得する。例えば、各分析値と塩類等の洗い流し量と、固気比(廃棄物量/総通気量:単位kg/m3)とをプロットして、図20に示すように、溶出特性を示すグラフを取得する。あるいは、かかる溶出特性は、塩類等の洗い流し量と液気比(総散水量/総通気量:単位ml/m3)との関係をプロットしても構わない。尚、各分析値としては、例えば、浸出水のpH、TOC溶出値、浸出水中の塩類濃度、塩類等の累積溶出量等の分析値をとればよい。
また、上記通気量を複数変化させるに際しては、2mm/sec量の通気量は、基準として必ず選定しておく。さらに、かかる通気量の変化における溶出特性の取得に際しては、散水条件を一定にしておく。例えば、4mm/日(散水強度0.012mL/g・日)等と設定しておけばよい。かかる4mm/日と設定しておけば、通気量の差による効果を明確にできるためである。
かかる通気量を複数変化させるに際しては、例えば、2段階、あるいは3段階以上変化させればよい。2段階でもよいのだが、グラフが直線性の部分が少なく、曲線をとる可能性が高いため、より細かい散水計画を立案する場合は3段階以上の溶出特性を見ておく方がよい。例えば、複数段階に通気量を変化させた場合には、模式的には図20に示すようになる。図20に示す場合には、横軸には、図17の場合とは異なり、総通気量ではなく、固気比(廃棄物量/総通気量)、あるいは液気比(総散水量/総通気量)をとった場合を示している。横軸にプロットする固気比、あるいは液気比が上記複数変化させた場合の通気量に対応している。尚、総通気量としては、グラフの紙面横軸左側に向かって、すなわち原点方向に向かって増加することとなる。
縦軸には、前記の如く、溶出特性で使用する分析値をとる。かかる分析値としては、試験終了時点の浸出水のpH、試験終了後の廃棄物の溶出値(TOCや塩類等)、試験終了時点の浸出水の塩類等濃度、試験中における塩類等の累積溶出量(浸出水量と浸出水濃度の積により算出)の4つを用いる。これら4つの指標は、通気によりその溶出特性が影響を受けることが本発明者らの研究により初めて明らかとなっている項目である。一方、横軸には、上述の如く、トリータビリティ試験に使用した廃棄物量と、日通気量と実験日数の積から求める総通気量に基づき算出する固気比を用いればよい。あるいは、総散水量と総通気量の比である液気比を用いてもよい。
通気量を複数段階変化させて処理を行うことで、図20に示すような溶出特性を示すグラフが得られる。このようにして得られた溶出特性を示すグラフでは、浸出水pHは通気量が増加すると、低下する特徴を有している。すなわち、総通気量を増加させると、アルカリ性側から中正側にpHが低下し、ある一定値(pHが7〜8前後)を過ぎた辺りで、図20に示すように、その傾きはほぼ一定になってくる。因みに、縦軸の各分析値であるpHは、上に行くほど値は大きくなり、アルカリ側に向かうことを示している。
また、かかる総通気量の増加に基づき浸出水中のpHが低下すると、pHの低下により微生物活性が上昇し、廃棄物中のTOC溶出値は低下するものと考えられる。かかるTOCのグラフも、pHが7〜8辺りで、すなわち中性付近で分解が進み、値0に近いところまで低下する傾向がある。
一方、アルカリ側からpHが低下し始めると、ある一定値より塩類等の浸出水への溶出量が著しく増加し始めることも確認されている。場合によっては非常に高塩濃度の浸出水が排出されるため、急峻な左上がりの曲線となることもある。塩類等の累積溶出量も、塩類等の浸出水への溶出量のグラフを上方に位置をずらした同様な推移を示すグラフとなる。因みに、図20では、塩類等の浸出水への溶出量と、塩類等の累積溶出量を示すグラフを、まとめて一つのグラフで示した。pHが7〜8を過ぎた辺りまで少し上昇を続け、その後、濃度、あるいは累積溶出量も一定となる。
上記、浸出水のpH、試験終了後の廃棄物の溶出値(TOCや塩類等)、浸出水の塩類等濃度、試験中における塩類等の累積溶出量の傾向は、本発明者が実験を行った範囲では、対象とする種々の焼却灰等の廃棄物に対して通気量を変化させて得られるグラフに共通の傾向である。図20に示す通気量の変化による溶出特性を示すグラフは、焼却主灰、飛灰等の廃棄物に対して一般化できるものである。
ここで、通気量の設定については、2通りの考え方がある。一つは、前処理でできるだけ塩類を洗い出し、前処理後の溶出値を低く抑えたい場合である。別の一つは浸出水の塩濃度に配慮しながら通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果を得たい場合である。
上記の如く、前処理でできるだけ塩類を洗い出し、前処理後の溶出値を低く抑えたい場合には、塩類の溶出特性を示すグラフに着目する。例えば、図20に示す場合には、塩類の溶出特性を示すグラフからは、極力、グラフの左側の通気量が採用できれば好ましいことが分かる。すなわち、総通気量が大きい方向である。固気比、あるいは液気比では、その値が小さい方向である。
一方、塩類の溶出に影響を及ぼす浸出水のpHは、その曲線は、アルカリ側から低下して、pHが6以上、8以下でその傾きは穏やかでさらに一定になる傾向がある。かかるpHの推移を示す曲線が一定になると、浸出水における塩類の溶出量も余り大きくは増加しないで一定となる筈である。そこで、図20に示すように、浸出水のpHを示す曲線が、略一定となるところをAとして破線で設定すれば、少なくとも、そのAにおける通気量を採用すればいいことが分かる。焼却主灰では浸出水のpHを示す曲線が略一定のフラットとなるところは、上記の如く、pHの値で6以上8以下の範囲となる傾向がある。対象とする廃棄物により浸出水のpHが示す曲線の様子は変化する。
上記焼却主灰の場合は、pHが6以上〜8以下の範囲内で略一定となることが確認されたが、焼却飛灰等の場合には、pHが6以上〜12以下の範囲内で略一定となることが分かった。従って、焼却飛灰も含めた場合には、pHが6以上、12以下でpHの曲線は略一定のフラットとなる。
尚、ここでpHが一定とは、pHの変動が0以上、0.5以下と規定すればよい。さらに、固気比で0.1kg/m以下もしくは液気比で100mL/m以下の範囲内であればよい、pHは略一定と見做すことができる。
勿論、通気量の設定はA以下に設定する(通気量を増やす)ことで、pHが下がった分溶出は増えると思われるが、上記の如く、その増加量は小さいものと思われる。そのため、pHが6〜8の時点で、通気量を設定してもよいものと判断できる。
因みに、通気量は、前記の如く、日通気量と実験日数の積から求める総通気量との関係から、日通気量で表しても、あるいは総通気量として表しても構わない。いずれの表現形式を用いても構わない。
また、浸出水の塩濃度に配慮しながら通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果を得たい場合には、溶出特性のうち、特にTOC、塩類溶出特性の両グラフに着目する。TOCのグラフは、図20に示すように、紙面右側から左側に向かって総通気量が増加するにつれて、浸出水のpHが低下し、その分微生物活性が上昇してTOC溶出値は低下する。しかし、浸出水のpHは、前記破線Aを境にして、破線Aより左側ではpHの低下は次第に穏やかなフラットになる。そのため。微生物活性の上昇率も低下するものと思われる。そこで、TOC溶出値の低減効果が大きくグラフで読み取れる範囲内と設定すればよいことが分かる。
一方、塩類濃度にも配慮する必要があるため、上記TOCの溶出特性と一緒に、塩類濃度の推移も注意する。かかる塩類の溶出特性は、図20に示すように、左上がりの曲線となっている。すなわち、総通気量が増加するにつれて溶出値も増える傾向にあることが分かる。そこで、前処理終了時点での妥当な塩類の溶出値、すなわち前処理を終了して埋立処理して差し支えない塩類の溶出値を目安として、図20に示すように、破線で示すBと設定する。
このように破線Bを設定すれば、区間A−Bでは、塩類の溶出値は妥当な値以上を示し、且つ、TOCの溶出値の低減効果も大きい範囲であり、浸出水の塩濃度に配慮しながら通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果が得られる範囲であると言える。すなわち、浸出水の塩濃度に配慮しながら通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果が得られるようにするためには、区間A−Bの範囲内の通気量に設定すればよいことが分かる。通気量は、区間A−B間のTOC溶出値の低下が著しく、塩類溶出の傾向も大きくなる区間の通気量に設定すればよいと判断できる。因みに、図20では、破線Bは、塩類溶出特性が急激に変化する点とも言える。
尚、上記塩類等の溶出値の増加傾向が急峻な変化を示すBは、具体的には、ある特定の金属の濃度で設定すればよい。例えば、カルシウムイオン(Ca2+)等の特定の金属の濃度を指標として設定しておけばよい。廃棄物に多量に含まれる金属イオンの濃度で設定しておけばよい。その濃度としては、例えば、カルシウムイオンでは、200mg/Lが上記妥当な溶出値で、その溶出値を示すところで破線Bを設定すればよい。このように前処理での目的により通気量を変えることが有効であり、トリータビリティ試験の結果解析からその設定値が予測できる。
以上に説明の如く、トリータビリティ試験において、散水量、通気量をそれぞれ複数設定したら、その設定した散水量、通気量で一定期間、散水処理、通気処理からなる前処理をカラム内で行う。処理期間中、浸出水受器内に溜まった浸出水を定期的に採水して、浸出水のpH、EC、TOC、カルシウム等の金属濃度を測定する。また、トリータビリティ試験の前処理終了後には、カラム内の廃棄物を取り出し、溶出試験を行う。溶出試験は環境庁告示13号に準じて液固比率10で6時間振とうさせたものを静置し、その後ろ過したものを検液とする。その後、浸出水、溶出試験の検液の分析を行う。
このようにして決めた複数の散水量での溶出特性を、例えば図17に示すように取得する。併せて、複数の決めた通気量での溶出特性も、例えば図20に示すように取得する。かかる取得した溶出特性のグラフから、それぞれ実際の焼却灰等の廃棄物に適用する散水量、通気量を設定する。すなわち、散水量に関しては、例えば図17に示すように、最初は原点からAまでの区間Aでは散水量多で散水処理し、その後AからBまでの区間A−Bでは散水量中で散水処理し、B以降の区間は散水量少で散水すればよい。かかるA、Bの区分は、横軸にとった液固比率等を目安として行えばよい。あるいは、塩類の洗い流し量を目安に、あるいは液固比率、塩類の洗い流し量の双方を指標として目安にしても構わない。
一方、通気量は、例えば図20に示すように、前処理でできるだけ塩類を洗い出し、前処理後の溶出値を低く抑えたい場合には、原点からAまでの区間A内の通気量で散水処理と併せて通気処理すればよい。あるいは、浸出水の塩濃度に配慮しながら通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果を得たい場合には、AからBまでの区間A−B内の通気量で散水処理を行い、併せて通気処理すればよい。かかるA、Bの区分は、前述の如く、固気比、液気比を目安に、あるいは各分析値を目安に、あるいは固気比、液気比、各分析値を併用しものを指標として目安にすればよい。
このようにして、実際の焼却灰等の廃棄物に適用する適切な散水・通気計画を、立案すればよい。すなわち、上記の如く、トリータビリティ試験で設定した散水量、通気量から得られた溶出特性のグラフから、かかるグラフを解析することで、最適な散水量、通気量を決定して、実際に適用すればよい。
因みに、環境庁告示13号とは、産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法について、検液の作成、検定の方法等について詳細に規定したものである。
上記本実施の形態2で説明した内容を、より詳細に、具体的な実施の例に則して説明する。説明に際しては、焼却主灰を試料の対象とした場合を例に挙げて説明する。
トリータビリティ試験に用いる装置は、前述の通り、図10に示す構成のものを使用した。カラム11には、φ100mm、高さ400mmの透明な塩化ビニルビ製のカラムを使用した。試料20としては、上記の如く、焼却主灰を用いた、かかる焼却主灰に対して、含水率の調整を行った。焼却主灰の場合には、例えば、35%以上〜40%以下の含水率に調整した。かかる含水率を調整した焼却主灰を、下方に排水層を設けたカラム11内に、40cmの充填高さで入れた。充填密度は、0.77g/cmであった。
散水量は4段階、通気量に関しては3段階に変化させた。それぞれ変化させた散水処理、通気処理は、処理区として、図21のように示した。すなわち、P401、P1201、P3601、P7201のカラム番号については、通気量を1L/minとして一定にし、散水量を日量、4mm/日、12mm/日、36mm/日、72mm/日に変化させた場合を示している。因みに、一回の散水量は、1.33mm/回として、一日の散水回数を3回、9回、27回、54回にした。
また、P3602、P3604のカラム番号については、散水量を日量36mm/日と一定にして、通気量を2L/min、4L/minと変化させた。通気量に関しては、かかる2例と、先のP3601の場合とで、3段階変化させたことになる。
試験日数は、P401、P1201が共に60日であった。P3601、P3602、P3604は、それぞれ6日であった。P7201に関しては、4日であった。また試験日数も処理区によって変えたため固液比、固気比は処理区により異なる設定とした。
散水量については、図21に示すように4段階変化させ、試験日数のに示す期間行った。かかる試験に基づき、図22に示す溶出特性が得られた。かかる溶出特性では、前記実施の形態1でも述べたように、グラフは傾きが急であるほど無駄になる水の少ない効率的な散水である。実験の結果からは、4mm/日(P401)で行った処理区が最も効率的に散水が行われていることが明らかとなった。
一方、散水量が12mm/日((P1201)の場合には、図22に示すように、範囲<2>の区間では、すなわち範囲<3>の区間までは、略日量4mm/日の散水量の直線性と一致した傾きを有している。それ以降は、日量4mm/日の場合とは乖離し始め、横軸に寝たようになっている。さらに、日量36mm/日、72mm/日の場合には、範囲<1>で日量4mm/日の散水量と略同じ直線性を示すことが分かった。範囲<2>、<3>では、図22に示すように、横軸に寝たようなグラフの傾きは緩くなり過剰な散水状態となることを示している。
そこで、散水計画としては、範囲<1>では、日量36mm/日、あるいは72mm/日を選択して、より短い処理期間で塩類等を溶出させるようにする。一方、範囲<2>では、日量12mm/日の散水量を選択すればよい。さらに、範囲<3>では、日量4mm/日の散水量を選択して、散水の無駄を省いて効率的な散水量を選択するようにすればよい。すなわち、散水期間を3分割して、それぞれの区間で散水量を変化させる。かかる区間の散水量は、区間<1>、<2>、<3>と行くにしたがって、散水量が減るように設定されている。このように決めた複数の、例えば3段階の散水量での溶出特性のグラフから、より直線性が得られるように適宜に散水量を選択して、実際に適用する散水量を決定すればよい。
このように直線性が良好な散水量(例えば、日量4mm/日)を基準として、かかる基準散水量より多い散水量を複数取り、その溶出特性を得る。例えば、12mm/日、36mm/日、72mm/日である。それぞれの散水量の処理で得られた溶出特性から、基準散水量の直線性に略合致する傾きを有する範囲を区画する。例えば、<1>、<2>、<3>である。かかる複数の区画で、基準散水量より大きい散水量がある場合には、その散水量のうち最大の散水量を選択する。例えば区画<1>の場合には、12mm/日、36mm/日、72mm/日があり、72mm/日を選択する。
一方、かかる複数の範囲で、基準散水量の傾きから大きく外れている場合には、基準散水量を選択する。例えば、区画<3>では、12mm/日、36mm/日、72mm/日は、基準の散水量より大きく乖離しているので、基準散水量の4mmを選択する。このようにして、処理期間と、散水量との双方を兼ね備えた合理的な散水計画がシステマティックに行えることとなる。
次に、通気条件を設定する。通気条件による溶出特性は、例えば、焼却主灰の場合には、図23に示すようになる。図23では、横軸に廃棄物量(本実施例では、焼却主灰)を試験期間中の総通気量で除した固気比を用いている。縦軸には分析値として試験終了時の浸出水pH、TOC溶出値、試験終了時の浸出水Ca濃度、Na累積溶出量(浸出水量×浸出水中Na濃度)を用いている。尚、Na濃度は、図24に示すように、EC値との相関が極めて良く、EC値から予測することも可能である。
このようにして取得した図23に示す溶出特性から、前記実施の形態2で説明した如くにして、区画A、Bを設定すればよい。すなわち、区画Aの設定は、例えば、次のようにして行う。図23に示すように、横軸には、固気比(廃棄物量/総通気量:Kg/m)をとっている。縦軸には、試験終了直前浸出水のpH、試験終了後の廃棄物のTOC溶出値、試験終了直前浸出水のカルシウム(Ca)濃度、試験中におけるナトリウム(Na)の累積溶出量がとられている。
浸出水pHは、◆のプロットを結ぶ曲線で示すように、通気量の増加に伴い、アルカリ性側から中側にpHが低下している。この場合は、pHが8を過ぎた辺りでその傾きは緩やかになった。このpHの変化に合わせて微生物活性が上昇し、廃棄物中の■のプロットを結ぶ曲線でTOC溶出値は低下することが確認される。かかるTOCのグラフも、pH8辺りで、その傾きは穏やかになった。一方、アルカリ側からpHが低下し始めると、▲のプロットを結ぶ曲線で示すカルシウムの浸出水への溶出量も増加しはじめる。
そこで、図23に示すように、pHの低下が穏やかになるpH=8の点を区画Aとして設定する。図中、破線で示した。かかる区画Aを含めて原点との間での通気量に設定すれば、前処理でできるだけ塩類を洗い出し、前処理後の溶出値を低く抑えることができる。すなわち、pHを低下させることにより塩類の溶出を促進させたい場合は、図23に示すように、固気比0.03以下(区画Aを含めて原点側)の通気量に設定することが妥当である。
因みに、試験中における塩類等の累積溶出量は、累積Na量(×10mg)で、●のプロットを結ぶ曲線で図23に示した。
一方、TOCのグラフは、図23に示すように、紙面右側から左側に向かって総通気量が増加するにつれて、浸出水のpHが低下し、その分微生物活性が上昇してTOC溶出値は低下する。区画Aを境にして、区画Aより左側ではpHの低下は穏やかになり、微生物活性の上昇率も低下してTOC溶出値の低減度合いが穏やかになる。他方、塩類(カルシウム)の溶出特性は、図23に示すように、左上がりの曲線となっている。かかる塩類溶出特性が200mg/Lになる点前処理の終了時点での妥当な溶出値の下限値とすれば、TOC溶出値が低下する範囲と略一致する。例えば、図23に示すように、区画Bと設定する。カルシウムの溶出特性が200mg/L以上であれば、これまでの経験では、十分な溶出値を示しているものと評価できるので区画かBの設定は妥当なものである。そこで、区間A−Bの間は、TOC溶出値の低下が著しく、カルシウムの溶出特性も十分大きくなると判断できる。
かかる区画Aと区画Bとの間における通気量に設定すれば、浸出水の塩(カルシウム)濃度に配慮しながら、通気によるTOCの低減に基づく安定化の効果を得ることができる。すなわち、固気比で0.03〜0.15(範囲A−B)に設定すれば、浸出水中の塩濃度に配慮しながら通気による安定化の効果を得ることができる。このように本発明を用いることにより前処理の目的に応じた通気量の設定を行うことが可能となる。
(実施の形態3)
上記実施の形態で述べたように、本発明にかかわるトリータビリティ試験を行い解析することにより、廃棄物を前処理する際の処理条件を適切に設定することが可能となる。すなわち、処理条件を適切に設定することにより、過剰な散水や、過剰な通気を減らしたり、前処理期間を短縮したり等でき、効率的な散水・通気条件の設定が行える。そのため、前処理施設のランニングコストの削減ができる。さらには、前処理が不十分なまま埋め立ててしまうリスクも抑制することができる。
かかる前処理条件の設定は、前記説明に係るトリータビリティ試験の結果と実際の前処理での結果をそれぞれ蓄積し、両者をすり合わせていくことにより、より精度の高いデータベースの構築ができるものである。例えば、廃棄物の種類ごとに、最適な前処理条件の設定が行えるようになる。同じ種類の廃棄物でも、含まれる塩類の濃度が異なる場合が多々みられる。さらには、塩類の種類もなる場合がある。すなわち、焼却対象によって、焼却灰等に含まれる塩類の種類、濃度等が異なるのである。かかる実際に則した前処理のデータを蓄積することで、将来に向けた前処理条件の設定をより精度が高いものとすることができる。
前記実施の形態でも述べたが、本発明は、図25に示すフロー図に基づいて前処理条件の散水量、通気量をそれぞれ設定し、廃棄物の前処理を行う。すなわち、ステップS100で、埋立予定の廃棄物を前処理の対象として特定する。ステップS200で、前処理の対象とした廃棄物のサンプルを採取する。ステップS300で、採取したサンプルを用いて、トリータビリティ試験を行う。ステップS400で、トリータビリティ試験の結果に基づき、散水、通気の両条件の設定を行う。ステップS500で、設定した条件で廃棄物に対して前処理を実施する。
上記ステップS300は、より詳細には、次の複数のステップを経て行われる。すなわち、ステップS301で、採取した廃棄物のサンプルの水分調整を行い、充填してカラムを作製する。ステップS302で、複数設定した散水量、通気量で、試料の前処理を行う。ステップS303で、試料の分析を行い、複数設定した散水量、通気量での溶出特性を取得する。ステップS304で、溶出特性のデータを解析する。すなわち、その試料に適切な散水量、通気量をグラフ等のデータで解析を行う。かかる解析を行うことにより、次のステップS400の確定した散水・通気条件の設定が行える。すなわち、最適な散水量、通気量の設定を行う。
一方、廃棄物の処理を行う都度、トリータビリティ試験のデータ解析結果を蓄積する。他方、かかるデータ解析に基づき設定した散水・通気条件で、実際に処理したデータを蓄積する。例えば、処理を行う廃棄物ごとに異なる識別番号等を付与しておく。かかる識別番号で、即座に、トリータビリティ試験の解析状況、解析結果等、及び実際の前処理条件、前処理結果等を検索することができるようにしておく。例えば、図中のステップS500からステップS304に向かう破線の矢印で示すように、実際の前処理条件、前処理結果等を蓄積し、データベースの構築を行う。
このようにして、データベースを構築しておくことで、過去の同一あるいは類似の対象の前処理の結果を、以降の条件設定、実際の前処理に反映させることができる。トリータビリティ試験の結果は対象とする廃棄物の性状により異なることが予想されるため、このように、試験データを蓄積するためのデータベースの構築が有効である。かかるデータベースには、実際の前処理を行った際のデータもフィードバックさせることで、よりその精度を向上させていくことができる。
データベースで管理するデータとしては、例えば、次のようなものがある。すなわち、廃棄物の種類(焼却主灰、飛灰など)、廃棄物性状(含水率など)、液固比率や固気比、浸出水の分析値(例えば、pH、EC、TOC、金属濃度等)、溶出水の分析値(例えば、pH、EC、TOC、金属濃度等)である。
本発明の廃棄物の前処理技術の分野で有効に使用することができる。
洗い流しモデルの説明図である。 洗い流し量の推移を示す説明図である。 散水効率を示す説明図である。 散水量の多少により効果の違い示す説明図である。 トリータビリティ試験の説明図である。 散水変更点の設定を示す説明図である。 本発明を適用する際の溶融スラグの流出傾向を示す説明図である。 本発明を適用する際の破砕不燃物の流出傾向を示す説明図である。 本発明における散水量の変更点を、累積Na溶出量で判断する場合の説明図である。 ベンチスケール試験の装置構成を示す説明図である。 本発明を適用した場合と、従来例とのEC値の変化を示す説明図である。 本発明を適用する際の手順等を表形式で示した説明図である。 本発明の運用例を模式的に示した説明図である。 (a)、(b)、(c)は、本発明の適用に際して使用する可搬式コンテナの断面説明図である。 水封・採水ますの概要を示す説明図である。 本発明をブロック式で適用する際の処理専用区画の状況を示す平面図である。 前処理における散水量を決定する際の参考とする溶出特性を模式的に示す説明図である。 散水量の決定方法の変形例を示す説明図である。 散水量の決定方法の変形例を示す説明図である。 前処理における通気量を決定する際の参考とする溶出特性を模式的に示す説明図である。 例示として示すトリータビリティ試験で使用する複数の散水量、通気量等の試験条件を表形式で示す説明図である。 例示として示すトリータビリティ試験で取得した散水量に関しての溶出特性を示す説明図である。 例示として示すトリータビリティ試験で取得した通気量に関しての溶出特性を示す説明図である。 ナトリウム濃度とECとの相関を示す説明図である。 本発明に係る散水量、通気量の決定方法を示すフロー図である。
符号の説明
10 試験装置
11 カラム
12 給水タンク
12a ポンプ
12b タイマー
13 浸出水受器
14 コンプレッサ
14a マスフローコントローラ
20 試料
20a 焼却灰
30 排水層
30a 砕石
100 可搬式前処理場
110 投入口
120 底部
130 排水管
130a 排水口
140 送気管
140a 送気口
150 開閉扉
160 フック
200 水封・採水ます
300 処理専用区画
310 小区画
320 車両
330 スプリンクラー

Claims (7)

  1. 焼却灰、溶融スラグまたは破砕不燃物のいずれかの廃棄物を埋め立てる前に、前記廃棄物に散水処理と通気処理との前処理を行う廃棄物の前処理方法であって、
    前処理期間は、期間内に散水する散水量の総量が異なる複数の期間に区分されており、各期間毎の前記散水量の総量は、期間の回が増える毎に、少なくなることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  2. 請求項1に記載の廃棄物の前処理方法において、
    前記各期間の散水量の総量は、散水により前記廃棄物から溶出される溶出物の量で決められ、
    前記溶出物の量とは、電気伝導度、有機炭素濃度、有機系化合物濃度、窒素濃度、金属濃度から選ばれる少なくとも一つの数値指標で示されることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の廃棄物の前処理方法において、
    散水による前記前処理は、可搬式コンテナ内に前記廃棄物を入れた状態で行うことを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の廃棄物の前処理方法において、
    前記通気処理の通気量は、前記前処理方法を適用する廃棄物の一部を採取して行う事前試験において前記通気量を複数変化させて得られる溶出特性を示すグラフ中で浸出水のpHを示す曲線が一定となるところの通気量か、あるいは前記浸出水のカルシウムイオンの濃度が200mg/L以上を示す範囲の通気量であることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  5. 焼却灰、溶融スラグまたは破砕不燃物のいずれかの廃棄物を埋め立てる前に、前記廃棄物に散水処理と通気処理との前処理を行う廃棄物の前処理方法であって、
    前処理期間は、期間内に散水する散水量の総量が異なる複数の期間に区分されて、
    前記複数の期間は、前記前処理方法を適用する廃棄物の一部を採取して行う事前試験において前記散水量を複数変化させて得られるそれぞれの溶出特性を示すグラフ内で、より散水量が少ないグラフを基準として選定し、
    前記基準として選定した散水量の少ないグラフの直線性部分を、前記基準以外の溶出特性を示すグラフの直線性が良好な範囲で置き換えて得られる置き換え区間で決定され、
    前記直線性が良好とは、基準とするグラフの直線性の傾きを1とすると、傾きが0.7以上、1.3以下であることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  6. 請求項5記載の廃棄物の前処理方法において、
    前記基準以外の溶出特性を示すグラフの直線性が良好な範囲で置き換えるに際しては、より前記散水量が多いグラフで置き換えることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
  7. 請求項5または6に記載の廃棄物の前処理方法において、
    前記通気処理の通気量は、前記前処理方法を適用する廃棄物の一部を採取して行う事前試験において前記通気量を複数変化させて得られる溶出特性を示すグラフ中で浸出水のpHを示す曲線が一定となるところの通気量か、あるいは前記浸出水のカルシウムイオンの濃度が200mg/L以上を示す範囲の通気量であることを特徴とする廃棄物の前処理方法。
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