JP2022150926A - 硫黄含有組成物、セメント組成物及び地盤改良材の製造方法 - Google Patents

硫黄含有組成物、セメント組成物及び地盤改良材の製造方法 Download PDF

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雄一郎 高松
Yuichiro Takamatsu
貴康 伊藤
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計介 武永
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Abstract

【課題】低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することが可能な硫黄含有組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】炭素源と石膏含有廃棄物から硫化カルシウムを含む硫黄含有組成物を得る硫黄含有組成物の製造方法であって、炭素源は、Si及びAlを含む無機成分を含有しており、炭素源と石膏含有廃棄物とを600~1400℃の温度範囲で加熱して互いに反応させて加熱処理物を得る加熱工程と、加熱処理物を改質して硫黄含有組成物を得る改質工程と、を有する、硫黄含有組成物の製造方法を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、硫黄含有組成物、セメント組成物及び地盤改良材の製造方法に関する。
セメントクリンカーは、石灰石、粘土、硅石、酸化鉄等を主原料として製造される。セメントクリンカーの製造では、これらの主原料の他に、各種産業副産物及び産業廃棄物等を原燃料として有効利用している。ところが、原材料の選択に応じて、セメントクリンカー中に、各種原燃料に由来するカドミウム、クロム、鉛等の重金属類が極少量混入することがある。
重金属類のうち、六価クロムは、他の重金属類とは異なり、クロム酸イオン(CrO 2-)等の安定なオキソ陰イオンの状態で存在し、高pH条件下であっても難溶性の水酸化物を形成しない。このため、セメント系地盤改良材を用いて地盤の固化処理を行う場合には、土質、添加量、及び強度発現性等、その使用条件によっては、六価クロムが溶出することが懸念される。セメント系固化材を用いた固化処理土からの六価クロムの溶出抑制方法については、多くの検討がなされている。例えば、特許文献1では、セメントに還元材を添加することで固化処理土からの六価クロムの溶出を低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、特許文献2には石膏廃材と廃木材を混合し、還元雰囲気下で焼成して硫化カルシウム系重金属固定化剤を製造する技術が提案されている。
特開2010-222795号公報 特開2004-269822号公報
しかしながら,特許文献2に記載されるように、石膏廃材と廃木材から硫化カルシウム系重金属固定化剤を得るためには比較的長時間の焼成が必要である。このような製造方法では、生産が非効率となってしまう。一方で、生産効率を高くするため、石膏廃材と廃木材の代わりに品質が安定している高純度の原料を用いると、原料コストが上昇し硫化カルシウムの製造コストが高くなってしまう。
そこで、本開示では、低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することが可能な硫黄含有組成物の製造方法を提供する。また、そのような硫黄含有組成物を用いることによって、低い製造コストでセメント組成物製造することが可能なセメント組成物の製造方法を提供する。また、低い製造コストで地盤改良材を製造することが可能な地盤改良材の製造方法を提供する。
本開示の一側面に係る硫黄含有組成物の製造方法は、炭素源と石膏含有廃棄物から硫化カルシウムを含む硫黄含有組成物を得る硫黄含有組成物の製造方法であって、炭素源は、Si及びAlを含む無機成分を含有しており、炭素源と石膏含有廃棄物とを600~1400℃の温度範囲で加熱して互いに反応させて加熱処理物を得る加熱工程と、加熱処理物を改質して硫黄含有組成物を得る改質工程と、を有する。
上記の硫黄含有組成物の製造方法では、石膏を含有する廃棄物を用いることから、原料コストを低くすることができる。また、Si及びAlを含む無機成分を含有する炭素源は、石膏の還元反応を促進できるため、硫黄含有組成物を高い生産効率で製造することができる。また、製造に必要な燃料消費量も低減することができる。よって、上記製造方法によれば、低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することができる。このようにして得られる硫黄含有組成物は六価クロムの溶出抑制にも有効である。
上述の加熱工程で用いられる石膏含有廃棄物及び炭素源に含まれる石膏と炭素のモル比が下記式(1)を満たすことが好ましい。ここで、式(1)中、Cは炭素のモル数を示し、CaSOは石膏のモル数を示す。このようなモル比とすることで、石膏の還元に十分な炭素が供給され、加熱処理物に残存する未反応分を十分に低減することができる。
C/CaSO≧3 (1)
上述の加熱工程よりも前に、炭素源と石膏含有廃棄物とを混合して造粒する造粒工程を有することが好ましい。これによって、硫黄含有廃棄物と炭素源との混合状態の均一性が向上するとともに、造粒によってハンドリング性も向上する。このような造粒工程を備えることで、加熱工程での反応性のばらつきが低減するとともに、反応が一層速やかに進行する。これによって、加熱処理物に残留する不純物も低減することができる。
上述の改質工程では、加熱処理物から粗粉を除去して硫黄含有組成物を得ることが好ましい。加熱処理物に残留するSi及びAlは、発泡状態の粗粉を形成する傾向にある。このため、粗粉を除去することによって、不純物であるSi及びAlを低減し、純度の高い硫黄含有組成物を製造することができる。
上述の改質工程では、CaOを含む無機粉体と加熱処理物とを混合して得られる混合物から粗粉を除去して硫黄含有組成物を得ることが好ましい。加熱処理物に硫化カルシウム等が含まれる場合、空気中の湿分等と反応して微量の硫化水素等が発生する場合がある。そこで、CaOを含む無機粉体を添加してアルカリ性環境を保つことによって、硫化水素等の発生を十分に抑制することができる。
上記無機粉体は、遊離石灰、石膏、亜硫酸カルシウム、セメントクリンカー、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これによって、加熱処理物及び硫黄含有組成物をアルカリ性に維持し易くなる。そして、無機粉体が硫化カルシウムの粒子表面に付着することで空気中の湿分等が直接接触する機会を減らすことができる。
上記無機粉体が、セメント製造工程から発生する副産物を含むことが好ましい。このように、副産物を利用することで環境負荷を低減しつつ、硫黄含有組成物を十分低い製造コストで製造することができる。
炭素源の無機成分に含まれるSi及びAlをそれぞれSiO及びAlに換算したとき、無機成分全体に対するSiO及びAlの合計比率が10質量%以上であることが好ましい。石炭源が石膏の還元を促進するSi及びAlを無機成分中に所定値以上の濃度で含有することで、加熱工程における反応効率を向上させることができる。
上記炭素源が、石炭ガス化スラグを含むことが好ましい。石炭ガス化スラグは、副産物又は廃棄物として入手することが可能であるうえに、炭素、Al及びSiの含有量が多い傾向にある。したがって、資源の有効利用を促進しつつ、一層低い製造コスト、且つ一層高い生産効率で、硫黄含有組成物を製造することができる。
上記石膏含有廃棄物は、廃石膏ボード、排煙脱硫石膏、及び硫黄含有汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。これらは副産物又は廃棄物として入手することが可能であるため、一層低い製造コストで硫黄含有組成物を製造することができる。
上記硫黄含有組成物全量に対する硫化カルシウムの含有量は5質量%以上であることが好ましい。このような硫黄含有組成物は、十分に高い重金属抑制効果を有するため、還元材用途に好適に利用することができる。
上述の改質工程では、20~200μmの範囲内に分級点を設定し、当該分級点で加熱処理物を粗粉と微粉に分級し、微粉として硫黄含有組成物を得ることが好ましい。加熱処理物に残存するSi及びAlは発泡状態の粗粉を形成する傾向にあるため、上述の範囲内の分級点で分級することで、加熱処理物から効果的にSi及びAlを除去することができる。
上述の加熱工程で生成する反応排ガスとアルカリ源を含むアルカリ含有スラリーとを接触させてガス処理生成スラリーを得るガス処理工程と、ガス処理生成スラリーから、反応排ガスに含まれる酸性ガスとアルカリ源とが反応して生成する脱硫組成物を回収する回収工程と、を有することが好ましい。加熱工程では石膏含有廃棄物の還元により硫黄を含有する酸性ガスが発生する場合がある。反応排ガスがこのように酸性ガスを含む場合に、アルカリ源を含有するアルカリ含有スラリーと接触させることで、酸性ガスを効果的に回収し、排ガスによる環境負荷を低減することができる。また、ガス処理工程で得られるガス処理生成スラリーから脱硫組成物を回収することで、種々の用途に有用な副産物を得ることができる。
上記反応排ガスが亜硫酸ガスを含み、上記アルカリ源がカルシウム塩を含んでおり、上記脱硫組成物が亜硫酸カルシウム及び石膏の少なくとも一方を含むことが好ましい。アルカリ源がカルシウム塩を含むことで、亜硫酸ガスの吸収効率を高くすることができる。また、亜硫酸ガスを含む反応排ガスとアルカリ含有スラリーとを接触させることで、亜硫酸カルシウム及び石膏を含む脱硫組成物を固形分として得ることができる。これらは有用性が高い副産物である。例えば、亜硫酸カルシウムは還元材として、石膏はセメント原料等に利用することができる。
本開示の一側面に係るセメント組成物の製造方法は、上述のいずれかの製造方法で得られる硫黄含有組成物と、セメントクリンカーと、石膏と、を用いてセメント組成物を得る混合工程を有する。この製造方法では、低い製造コストで製造された硫黄含有組成物を用いることから、重金属の溶出を抑制することが可能なセメント組成物を低い製造コストで製造することができる。
本開示の一側面に係る地盤改良材は、上述のいずれかの硫黄含有組成物の製造方法で得られる硫黄含有組成物、及び/又は、上述のセメント組成物の製造方法で得られるセメント組成物を用いる。したがって、重金属の溶出を抑制することが可能な地盤改良材を低い製造コストで製造することができる。
本開示によれば、低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することが可能な硫黄含有組成物の製造方法を提供することができる。また、そのような硫黄含有組成物を用いることによって、低い製造コストでセメント組成物製造することが可能なセメント組成物の製造方法を提供することができる。また、低い製造コストで地盤改良材を製造することが可能な地盤改良材の製造方法を提供することができる。
硫黄含有組成物の製造方法の一例を示す図である。
以下、場合により図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。
本実施形態に係る硫黄含有組成物の製造方法は、炭素源と石膏含有廃棄物とを600~1400℃の温度範囲で加熱して互いに反応させて加熱処理物を得る加熱工程と、加熱処理物を処理して硫黄含有組成物を得る改質工程と、を有する。
石膏含有廃棄物としては、廃石膏ボード、排煙脱硫石膏、硫黄含有汚泥、脱硫スラッジ、及び脱硫スラグ等が挙げられる。石膏含有廃棄物は、こちらの例示物の少なくとも一つを含むことが好ましい。なお、廃石膏ボードは、石膏ボードの表面に付着している樹脂及び紙等の有機物、及び金属等の無機系の不純物を含んでいてもよい。有機系不純物を含有する場合、石膏含有廃棄物についても炭素含有量の評価を行い、炭素源との配合比を設定する際に考慮してもよい。なお、硫黄含有組成物をより一層安定的に製造する観点から、石膏含有廃棄物は、廃石膏ボードを含むことが好ましい。
石膏含有廃棄物の石膏含有量は、SO換算で10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、55質量%以上であることが最も好ましい。このような含有量とすることで、優れた品位を有する硫黄含有組成物を得ることができる。石膏含有廃棄物に含まれる石膏(CaSO)のモル数は、この質量基準の含有量を、CaSOの分子量でモルに換算することで求めることができる。
石膏含有廃棄物中の石膏含有量は、例えばXRDリートベルト法により得た値を用いることができる。
石膏含有廃棄物は粒状であることが好ましい。石膏含有廃棄物の平均粒径は、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましく、8mm以下が特に好ましく、5mm以下が最も好ましい。本明細書における石膏含有廃棄物の粒径は、二次元の画像において、粒子の外縁に外接する外接円の直径として測定される。平均粒径は、任意に選択した100個の粒子の粒径を上述の方法で測定し、その算術平均値として求められる。
石膏含有廃棄物に含まれる全粒子数のうち、80%以上の粒子が目開き30mmの篩を通過することが好ましく、80%以上の粒子が目開き20mmの篩を通過することがより好ましく、80%以上の粒子が目開き10mm以下の篩を通過することがさらに好ましく、80%以上の粒子が目開き8mmの篩を通過することが特に好ましく、80%以上の粒子が目開き5mmの篩を通過することが最も好ましい。
炭素源は、無機系炭素及び有機系炭素の少なくとも一方を含む。炭素源全量に対する炭素(C)の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。
炭素源はSi及びAlを含む無機成分を含有する。無機成分は非晶質又は結晶質として炭素源に含まれていてよい。無機成分は、Si及びAl以外の成分を含有していてもよい。炭素源に含まれるSi及びAlは単体で含まれていてもよいし、合金又は化合物として含まれていてもよい。炭素源として複数種類のものを用いる場合、そのうちの少なくとも一種にSi及びAlが含まれていればよい。無機成分に含まれるSi及びAlをそれぞれSiOに及びAlに換算したとき、無機成分全体に対するSiO及びAlの合計比率は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは、20質量%以上であり、さらに好ましくは、50質量%以上である。
硫黄含有組成物の生産効率を十分に高くする観点から、炭素源に含まれるSi及びAlをそれぞれSiOに及びAlに換算したとき、炭素源の全量に対するSiO及びAlの合計比率は、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは8~30質量%であり、さらに好ましくは10~20質量%である。このような炭素源を用いることによって、石膏含有廃棄物と反応を十分に促進することができる。
Al及びSiを含む無機成分を含有する炭素源としては、石炭ガス化スラグ、石炭灰、都市ゴミ焼却灰、バイオマス灰、木屑等、及び下水汚泥焼却灰等が挙げられる。ただし、これに限定されず、Al及びSiを含むものであればよい。また、Al及びSiを含む炭素源とともに、Al及びSiの一方又は双方を含まない他の炭素源を用いてもよい。
炭素源は、樹脂廃棄物を含んでもよい。樹脂廃棄物は、RPF及びRDF等の樹脂含有量が比較的多い樹脂のみならず、ASR及びCFRP等の多様な不純物を含む樹脂等を含んでいてよい。このように、副産物又は廃棄物を利用することで環境負荷を低減しつつ、硫黄含有組成物の製造コストを一層低減することができる。なお、RPFとは、Refuse Paper&Plastic Fuelの略語であり、古紙及びプラスチック類を原料として得られる固形燃料である。RDFとは、Refuse Derived Fuelの略語であり、家庭ゴミ等の一般廃棄物を主原料とするゴミ固形燃料である。ASRとは、Automobile Shredder Residueの略語であり、自動車破砕残渣である。CFRPとは、Carbon Fiber Reinforced Plasticの略語であり、炭素繊維強化プラスチックである。
炭素源に含まれる炭素(C)の含有量はJIS M 8812「石炭類及びコークス類-工業分析方法に規定する固定炭素量及び強熱減量」に基づいて測定することができる。炭素源に含まれる炭素(C)の含有量は、硫黄含有組成物の生産効率を十分に高くする観点から、好ましくは5~90質量%であり、より好ましくは20~90質量%であり、更に好ましくは50~90質量%である。炭素源に含まれる炭素(C)のモル数は、このようにして求められる炭素の含有量をモルに換算することで求めることができる。
粒状である炭素源の粒径は、石膏との接触頻度を十分に高くする観点から100mm以下、好ましくは30mm以下、より好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下、特に好ましくは2.5mm以下である。一方、後述する改質工程における、発泡後の分級の観点から、炭素源の粒径は、好ましくは20μm以上、より好ましくは45μm以上、さらに好ましくは90μm以上である。炭素源の粒径は、例えば、粒状の炭素源の二次元画像において、粒子の外縁に外接する外接円の直径として測定することができる。
加熱工程では、炭素源と石膏含有廃棄物とを加熱して互いに反応させる。加熱工程は、通常の加熱装置を用いて行ってよい。加熱装置は、連続式でもよいし、回分式でもよい。加熱方式としては、外熱式及び内熱式のどちらも使用可能である。熱源も特に限定されず、例えば、重油、微粉炭、及び電気のいずれであってもよい。加熱装置の具体例としては、ロータリーキルン及び流動層炉等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。反応雰囲気の制御が容易になるように、加熱装置の各部にはシール処理が施されていることが好ましい。
加熱工程では例えば以下の反応式(1)で表される反応が進行する。また同時に以下の反応式(2)で表される反応も進行し、SOが発生する。石膏含有廃棄物も炭素を含んでいてもよい。この炭素は、例えば、紙、廃プラスチック、炭素繊維、バイオマス、石炭及び石油からなる群より選ばれる少なくとも一種に含まれる。
CaSO+2C→ CaS+2CO (1)
CaSO+CaS→ 2CaO+2SO (2)
加熱工程では、石膏含有廃棄物と炭素源とを、600~1400℃の温度範囲で加熱する。当該温度範囲は、好ましくは800~1300℃であり、より好ましくは900~1250℃である。このような温度範囲で加熱することで、炭素源の燃焼による損失を抑制しつつ、石膏と炭素との反応を十分に進行することができる。
上記温度範囲で加熱する時間は特に限定されず、例えば5分間以上であってよく、好ましくは15分間以上であり、より好ましくは30分間以上であり、さらに好ましくは45分間以上であり、特に好ましくは60分間以上である。上記温度範囲で加熱する時間は、例えば、4時間未満であり、好ましくは3時間以下であり、より好ましくは2時間以下であり、特に好ましくは90分間以下である。このような範囲であれば、効率的に硫黄含有組成物を製造することができる。なお、加熱時間が短い条件では、硫黄含有組成物における硫化カルシウムの含有量は低くなる傾向にあるが、石膏の含有量は高くなる傾向にある。石膏もセメント組成物及び地盤改良材の成分として有用である。硫黄含有組成物における硫化カルシウムの含有量の目標値に応じて加熱時間を調整してもよい。
加熱工程における加熱雰囲気の酸素濃度は、21体積%未満が好ましく、10体積%未満がより好ましく、5体積%未満がさらに好ましい。酸素濃度を低くすることによって、炭素源に含まれる炭素の燃焼が抑制され、硫黄含有廃棄物と反応する炭素を増やすことができる。加熱工程における加熱雰囲気の酸素濃度は、100体積ppm以上であってもよく、1000体積ppm以上であってもよい。ある程度の酸素が存在することで、効率よく硫黄含有組成物を製造できる。
加熱工程で用いられる石膏含有廃棄物及び炭素源に含まれる石膏と炭素のモル比は、好ましくは下記式(3)、より好ましくは下記式(4)、さらに好ましくは下記式(5)を満たすことが好ましい。なお、式(3)、(4)及び(5)中、Cは炭素のモル数を示し、CaSOは石膏のモル数を示す。
C/CaSO≧3 (3)
C/CaSO>4 (4)
C/CaSO>5 (5)
炭素源及び石膏含有廃棄物の両方に炭素が含まれる場合、上記各式の炭素(C)は、それぞれに含まれる炭素の合計となる。これと同様に、炭素源及び石膏含有廃棄物の両方に石膏(CaSO)が含まれる場合、上記各式の石膏(CaSO)は、それぞれに含まれる石膏の合計となる。
加熱工程では、上述のモル比で、炭素源と石膏含有廃棄物とを反応させることによって、加熱処理物に未反応分が残留することが抑制され、十分に高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することができる。なお、C/CaSOは、加熱工程におけるCOの発生を抑制する観点から、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下である。
炭素源及び石膏含有廃棄物を連続して供給する連続式の加熱装置を用いる場合、炭素源及び石膏含有廃棄物に含まれる炭素と石膏の含有量に基づいて、炭素源及び石膏含有廃棄物の供給速度を調整して、石膏と炭素のモル比を上述のいずれかの式を満たすようにしてもよい。炭素と石膏の含有量が変動する場合、炭素と石膏の含有量に基づいて炭素源及び石膏含有廃棄物の配合比率を調整する調整工程を行ってもよい。調整工程では、好ましくは上記式(3)、より好ましくは上記式(4)、さらに好ましくは上記式(5)を満たすように、石膏含有廃棄物と炭素源との配合比率を調整する。
炭素源と石膏含有廃棄物は、それぞれ個別に加熱装置に導入してもよいし、予め混合又は造粒した後に、混合物又は造粒物を加熱装置に導入してもよい。加熱装置には、炭素源及び石膏含有廃棄物に加えて、硫黄、粘土系物質、珪砂及び微粉炭のうちの一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて加熱装置に導入してもよい。
図1は、本実施形態の製造方法の一例を示す図である。図1の例では、加熱工程の前に、炭素源と石膏含有廃棄物とを混合して調合原料を得る調合工程と、調合原料を造粒する造粒工程とを、この順に有する。調合工程では、石膏含有廃棄物における石膏含有量と、炭素源における炭素含有量と、に基づいて、石膏含有廃棄物と炭素源との配合比率を決定し、当該配合比率に基づいて、石膏含有廃棄物と炭素源とを調合することが好ましい。調合の際に、水、粘土系物質、水ガラス等の無機系物質、又は高分子化合物を、バインダとして添加してもよい。バインダを添加する場合、バインダが炭素又は石膏を含む場合もあるので、調合原料に含まれる炭素及び石膏が、上記式(3)、(4)又は(5)を満たすことが好ましい。なお、バインダを添加しなくても、造粒工程では、炭素源の付着力により造粒物を得ることができる。
造粒工程では、一層安定した造粒物を得るために、例えばパン型造粒機、加圧成形であるブリケットマシーン、又は顆粒成形機等を用いてもよい。また、造粒物の強度を保つために、含水率の調整を行ってもよい。このようにして得られる造粒物を、加熱装置に導入して加熱工程を行ってもよい。造粒工程を有することによって、設備内における調合原料の飛散を抑制することができる。また、造粒物の通気性を確保することが可能となり、炭素源と石膏との反応性を向上することができる。
変形例では、石膏含有廃棄物及び/又は炭素源を粉砕する原料粉砕工程を有してもよい。このように、石膏含有廃棄物及び炭素源を個別に粉砕する原料粉砕工程は有していてもよいし、調合工程において石膏含有廃棄物と炭素源とを混合しながら粉砕して調合原料を調製してもよい。この調合原料を用いて造粒工程を行ってもよいし、造粒工程を行わずに調合原料を加熱装置に導入して加熱工程を行ってもよい。原料粉砕工程は、通常の粉砕機を用いて行うことができる。なお、原料粉砕工程を行うことは必須ではない。
加熱工程で得られる加熱処理物は、硫化カルシウム、未反応の石膏、原料由来の不純物、及び、炭素源が含有するSi及びAlを含む無機成分が発泡して生成する粗粉を含有する。このように無機成分が発泡して粗粉が生成する詳細なメカニズムは不明であるが、加熱工程で無機成分が溶融し、その後さらに加熱されて、内包した炭素分がガス化することで発泡が生じて粗粉を生成すると推察される。加熱処理物は、酸化カルシウム及び多硫化カルシウム等の副生成物を含んでいてもよい。
改質工程の内容は、硫黄含有組成物が求められる性状に応じて、加熱処理物に対する改質処理を選択することができる。例えば、改質工程の例としては、篩通し(篩い分け)、風力選別、磁力選別、渦電流選別等による粗粉又は異物の除去、破砕及び分級等の粒径調整、洗浄及び乾燥、スラリー化、及び添加物の配合等が挙げられる。改質工程は、これらのうちの一種を単独で行ってもよいし、二種以上を組み合わせて行ってもよい。このように、改質工程では、加熱処理物の物理的又は化学的な性質を変化させる処理を行う。例えば、加熱処理物は、Si及びAlに起因する発泡による粗粉を含むため、改質工程が、加熱処理物から粗粉を除去する粗粉分離工程を含むことによって、簡便に硫黄含有組成物の品位を向上することができる。
加熱処理物から粗粉を除去する方法は特に限定されず、分級機を用いてもよいし、篩い分けのような簡便な手法を用いてもよい。粗粉を除去して得られる微粉(篩い分けの場合は篩下)を、硫黄含有組成物として回収する。粗粉を除去することによって、Si及びAl等の無機成分が除去され、硫黄含有組成物の目的成分の純度を高めることができる。
改質工程において分級を行う場合、20~200μmの範囲内に分級点を設定し、当該分級点で加熱処理物を粗粉と微粉に分級し、微粉として硫黄含有組成物を得ることができる。分級点は、好ましくは20~150μmの範囲内に設定され、より好ましくは20~110μmの範囲内に設定され、更に好ましくは20~90μmの範囲内に設定され、特に好ましくは20~50μmの範囲内に設定される。分級点が小さいほど回収される硫黄含有組成物の純度が高くなる傾向がある。一方、分級点が大きいほど、硫黄含有組成物の収量が多くなる傾向にある。
加熱処理物に硫化カルシウム等が含まれる場合、空気中の湿分等と反応して微量の硫化水素等が発生する場合がある。そこで、無機粉体を添加してアルカリ性環境を保つことによって、硫化水素等の発生を十分に抑制することができる。この場合、CaOを含む無機粉体と加熱処理物とを混合した後に、混合物から粗粉を除去してもよい。CaOを含む無機粉体は、遊離石灰、石膏、亜硫酸カルシウム、セメントクリンカー、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでいてもよい。これによって、加熱処理物及び硫黄含有組成物をアルカリ性に維持し易くなる。そして、無機粉体が硫化カルシウムの粒子表面に付着することで空気中の湿分等が直接接触する機会を減らすことができる。CaOを含む無機粉体は、セメント製造工程で発生する副産物を含んでよい。これによって、硫黄含有組成物の製造コストを十分に低く維持することができる。
改質工程で得られる硫黄含有組成物は、硫化カルシウムを含有していることが好ましい。また、加熱処理物に含まれていたその他の含有成分、改質工程で添加したCaO等の添加物を含んでいてもよい。硫黄含有組成物全体に対する硫化カルシウムの含有量は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。硫黄含有組成物における硫化カルシウムの含有量は例えばXRD-リートベルト法によって求めることができる。硫黄含有組成物が硫化カルシウムを高い含有量で含有することによって、還元材としての作用を一層強くすることができる。
加熱工程で発生する反応排ガスは酸性ガスを含有する。酸性ガスの成分として、たとえば上記式(2)の反応によって生成する亜硫酸ガスを含む。また、反応排ガスは、炭素源及び石膏含有廃棄物の含有成分、並びに加熱工程での反応条件によって、SO、Cl、CO、及びCO等を含んでいてもよい。このような成分を含む反応排ガスを処理するガス処理工程を行ってもよい。ガス処理工程は、反応排ガスとアルカリ源及び水を含むアルカリ含有スラリーとを接触させること、二次燃焼すること、並びに湿式EPで集塵することを含んでいてよい。
図1の例では、ガス処理工程において、反応排ガスとアルカリ含有スラリーとを接触させている。アルカリ源としては、アルカリ金属の水酸化物及び炭酸塩、並びに、アルカリ土類金属の水酸化物及び炭酸塩が挙げられる。アルカリ源は、これらのうちの少なくとも一種を含んでいてよく、カルシウム塩を含むことが好ましい。
アルカリ源は、セメントクリンカーの原料の粉砕時に発生する炭酸カルシウムを主成分とする微粒子粉末、塩素バイパス部から抽出されるカルシウム化合物のダスト粒子、当該ダスト粒子を水洗して得られる水洗ダスト粒子、セメント及びセメント水和物の少なくとも一方を含む汚泥等、セメントの製造工程における副産物を含んでよい。これによって、アルカリ含有スラリーによる反応排ガスの処理コストを低減することができる。
ガス処理工程の前に、アルカリ源と水とを含むアルカリ含有スラリーを調製するスラリー調製工程を有してもよい。アルカリ含有スラリーに含まれる固形分の割合は、ハンドリング性を向上しつつ脱水及び乾粉化を円滑にする観点から、好ましくは0.1~50質量%であり、より好ましくは1~30質量%であり、さらに好ましくは3~28質量%であり、特に好ましくは10~25質量%である。
ガス処理工程では、アルカリ含有スラリーに含まれるアルカリ源と、反応工程で生成する反応排ガスとを接触させることで、ガス処理生成スラリーを得る。ガス処理工程を行うガス処理部はバブリング槽であってもよい。ガス処理生成スラリーは、脱硫生成物を含んでよい。脱硫生成物は、亜硫酸カルシウム等の亜硫酸塩及び石膏の少なくとも一方を含むことが好ましい。図1に示すように、このようなガス処理生成スラリーから、脱硫生成物を固形の脱硫組成物として回収部で回収する回収工程を行ってもよい。回収工程で回収された脱硫組成物は、硫黄含有組成物とともに、例えばセメント製造の際の還元材やセメント原料として好適に用いることができる。
ガス処理生成スラリーは、亜硫酸塩以外の成分を含んでよい。例えば、反応工程で生成する反応排ガスに硫化水素が含まれる場合、ガス処理工程では、亜硫酸塩に加えて、硫化カルシウム、硫化ナトリウム、及び硫化マグネシウム等の塩が生成し得る。この場合、ガス処理生成スラリーは、脱硫生成物として、亜硫酸塩に加えて、硫化カルシウム、硫化ナトリウム、及び硫化マグネシウム等の塩を含んでよい。
ガス処理生成スラリーのその他の含有成分として、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム及び硫酸カルシウム等が挙げられる。ガス処理生成スラリーは、これらの成分の少なくとも一種を含んでよい。硫酸カルシウムは、二水和物(二水石膏)、半水和物(半水石膏)、及び無水物(無水石膏)のいずれを含んでもよい。
ガス処理工程で得られる生成物はスラリー状でなくてもよい。変形例では、ガス処理工程において、アルカリ含有スラリーを、亜硫酸ガス等を含む反応排ガス中に噴霧して乾燥するスプレードライを行うことによって、粉状の脱硫生成物を得てもよい。また、別の変形例では、アルカリ含有スラリーの代わりに、アルカリ含有スラリーに含まれる成分(アルカリ源)を固形(粉状)のまま、亜硫酸ガス等を含む反応排ガスと接触させて、ガス処理工程を行ってもよい。この場合、ガス処理工程は、例えば、アルカリ源、カルシウム化合物及び灰分等を固体粒子とする流動層を用いて行うことができる。この場合も、粉状の脱硫生成物を得ることができる。
本実施形態の硫黄含有組成物の製造方法では、石膏を含有する廃棄物を用いることから、原料コストを低くすることができる。また、Si及びAlを含む無機成分を含有する炭素源は、石膏の還元反応を促進できるため、硫黄含有組成物を高い生産効率で製造することができる。また、製造に必要な燃料消費量も低減することができる。よって、上記製造方法によれば、低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することができる。
一実施形態に係るセメント組成物の製造方法は、上述の硫黄含有組成物と、セメントクリンカーと、石膏と、を用いてセメント組成物を得る混合工程を有する。
混合工程では、セメントクリンカー、硫黄含有組成物、及び石膏の三種を、配合及び粉砕してセメント組成物を得る。粉砕及び配合の順番は特に制限されず、例えば、三種を順次又は同時に配合し、その後、必要に応じて再度粉砕を行ってセメント組成物を得てもよい。或いは、上記三種を配合する前に、三種の少なくとも一つを単独で粉砕してもよいし、三種のうちの二種を配合して粉砕、又は配合しながら粉砕してもよい。配合及び粉砕の順序は特に限定されず、粉砕及び配合を同時に行うことも可能である。このように、配合のパターン及び粉砕の回数も特に限定されない。混合工程は、例えば、ボールミル及び/又は竪型ミル等の設備を用いて行うことができる。
このようにして製造されるセメント組成物の種類に制限はなく、JIS R 5210:2003「ポルトランドセメント」に規定のポルトランドセメントにすることができる。ポルトランドセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等が挙げられる。これらのポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ及びシリカ質混合材から選ばれる少なくとも1種を加えて混合セメントにしてもよい。
セメント組成物は硫化物及び/又は亜硫酸塩を含むことが好ましい。セメント組成物の硫化物及び亜硫酸塩の合計含有量は、例えば0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。
セメント組成物は硫化カルシウムを含有することが好ましい。セメント組成物の硫化カルシウムの含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましく、8質量%以上であることが最も好ましい。このような範囲とすることで、強度発現性を維持しつつも重金属溶出を十分に抑制することが可能なセメント組成物を得ることができる。セメント組成物の硫化カルシウムの含有量は、強度発現性の観点から、50質量%以下であってよい。
セメント組成物のブレーン比表面積は、好ましくは2500~6000cm/gであり、より好ましくは3000~5000cm/gである。ブレーン比表面積が上記下限値以上であれば、優れた強度発現性を達成しやすくなる。他方、ブレーン比表面積が上記上限値以下であれば、コンクリート又は固化材スラリーとして使用したときの粘性を好適な範囲に制御しやすい。
このセメント組成物の製造方法では、低い製造コストで製造される硫黄含有組成物を用いている。したがって、セメント組成物を低い製造コストで製造することができる。このようなセメント組成物は、硫黄含有組成物を含むことから、六価クロム等の重金属の溶出を抑制することができる。
一実施形態に係る地盤改良材の製造方法は、上述いずれかの製造方法で得られる硫黄含有組成物、及び、上述の製造方法で得られるセメント組成物の一方又は双方を用いて地盤改良材を得る工程を有する。この工程では、硫黄含有組成物をそのまま地盤改良材としてもよいし、硫黄含有組成物と他の原材料と混合して地盤改良材を得てもよい。また、上述のセメント組成物の製造方法で得られるセメント組成物をそのまま地盤改良材としてもよいし、セメント組成物と他の原材料と混合して地盤改良材を得てもよい。
この製造方法では、低い製造コストで製造される硫黄含有組成物又はこれを含むセメント組成物を用いていることから、地盤改良材を低い製造コストで製造することができる。
地盤改良材に含まれる硫黄含有組成物は硫化カルシウムを含有することが好ましい。地盤改良材の硫化カルシウムの含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、土壌からの重金属の溶出を十分に抑制することができる。地盤改良材の硫化カルシウムの含有量の上限は、特に限定されず、例えば20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1~5、比較例1)
以下の原料を準備した。
・無水石膏
・炭素源・・・石炭ガス化スラグ(Cの含有量:50質量%、Siの含有量:30質量%、Alの含有量:15質量%)
無水石膏と石炭ガス化スラグとを、石膏(CaSO)と石炭ガス化スラグに含まれる炭素(C)のモル比が、C/CaSO=4となるように配合して混合し、混合物を得た。磁性るつぼに得られた混合物を入れ、電気炉において、大気中、950℃で焼成した(加熱工程)。950℃での焼成時間を表1に示すとおりとした。焼成して得られた加熱処理物を回収し、目開き90μmの篩を用いて微粉(篩下)と粗粉(篩上)とに分けた(改質工程)。このようにして得られた微粉を硫黄含有組成物として回収した。回収した硫黄含有組成物中の硫化カルシウム(CaS)の含有量をXRDリートベルト法によって定量した。結果は表1に示すとおりであった。なお、比較例1は、電気炉での焼成を行わず、混合物を目開き90μmの篩を用いて篩い分けし、得られた微粉(篩下)を分析したものである。
Figure 2022150926000002
表1に示すように、実施例1では、わずか15分間の焼成によって、CaSを2.2質量%含有する硫黄含有組成物を得ることができた。また、他の実施例の結果から、60~90分の焼成時間で、CaSの含有量を70質量%以上にできることが確認された。
実施例3の硫黄含有組成物をCaS含有量が4質量%となるようにセメント系固化材中に添加し、得られた固化材と火山灰質粘性土とを混合して、円柱形状の改良土供試体を作製した(固化材添加量:300kg/m、直径5cm×高さ10cm)。材齢28日経過した供試体からの六価クロム溶出量を環境庁告示46号法により測定した結果、六価クロムの溶出量は定量下限値未満であった。以上より、本開示の製造方法で製造された硫黄含有組成物が六価クロムの溶出抑制に有効であることが確認できた。
本開示によれば、低い製造コスト且つ高い生産効率で硫黄含有組成物を製造することが可能な硫黄含有組成物の製造方法を提供することができる。また、そのような硫黄含有組成物を用いることによって、低い製造コストでセメント組成物製造することが可能なセメント組成物の製造方法を提供することができる。また、低い製造コストで地盤改良材を製造することが可能な地盤改良材の製造方法を提供することができる。

Claims (16)

  1. 炭素源と石膏含有廃棄物から硫化カルシウムを含む硫黄含有組成物を得る硫黄含有組成物の製造方法であって、
    前記炭素源は、Si及びAlを含む無機成分を含有しており、
    前記炭素源と前記石膏含有廃棄物とを600~1400℃の温度範囲で加熱して互いに反応させて加熱処理物を得る加熱工程と、
    前記加熱処理物を改質して硫黄含有組成物を得る改質工程と、を有する、硫黄含有組成物の製造方法。
  2. 前記加熱工程で用いられる前記石膏含有廃棄物及び前記炭素源に含まれる石膏と炭素のモル比が下記式(1)を満たす、請求項1に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
    C/CaSO≧3 (1)
    [式(1)中、Cは炭素のモル数を示し、CaSOは石膏のモル数を示す。]
  3. 前記加熱工程よりも前に、前記炭素源と前記石膏含有廃棄物とを混合して造粒する造粒工程を有する、請求項1又は2に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  4. 前記改質工程では、前記加熱処理物から粗粉を除去して前記硫黄含有組成物を得る、請求項1~3のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  5. 前記改質工程では、CaOを含む無機粉体と前記加熱処理物とを混合して得られる混合物から粗粉を除去して前記硫黄含有組成物を得る、請求項1~4のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  6. 前記無機粉体が、遊離石灰、石膏、亜硫酸カルシウム、セメントクリンカー、水酸化カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項5に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  7. 前記無機粉体が、セメント製造工程で発生する副産物を含む、請求項5又は6に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  8. 前記無機成分に含まれるSi及びAlをそれぞれSiOに及びAlに換算したとき、前記無機成分全体に対するSiO及びAlの合計比率が10質量%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  9. 前記炭素源が、石炭ガス化スラグを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  10. 前記石膏含有廃棄物が、廃石膏ボード、排煙脱硫石膏、及び硫黄含有汚泥からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  11. 前記硫黄含有組成物全体に対する硫化カルシウムの含有量が5質量%以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  12. 前記改質工程では、20~200μmの範囲内に分級点を設定し、当該分級点で前記加熱処理物を粗粉と微粉に分級し、前記微粉として前記硫黄含有組成物を得る、請求項1~11のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  13. 前記加熱工程で生成する反応排ガスとアルカリ源を含むアルカリ含有スラリーとを接触させてガス処理生成スラリーを得るガス処理工程と、
    前記ガス処理生成スラリーから、前記反応排ガスに含まれる酸性ガスと前記アルカリ源とが反応して生成する脱硫組成物を回収する回収工程と、を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  14. 前記反応排ガスが亜硫酸ガスを含み、前記アルカリ源がカルシウム塩を含んでおり、
    前記脱硫組成物が亜硫酸カルシウム及び石膏の少なくとも一方を含む、請求項13に記載の硫黄含有組成物の製造方法。
  15. 請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で得られる硫黄含有組成物と、セメントクリンカーと、石膏と、を用いてセメント組成物を得る混合工程を有する、セメント組成物の製造方法。
  16. 請求項1~14のいずれか一項に記載の製造方法で得られる硫黄含有組成物、及び、請求項15に記載の製造方法で得られるセメント組成物の一方又は双方を用いて、地盤改良材を得る工程を有する、地盤改良材の製造方法。
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