JP2022044542A - バイオマス灰粉粒物、セメント混練体、セメント混練体の製造方法、 - Google Patents

バイオマス灰粉粒物、セメント混練体、セメント混練体の製造方法、 Download PDF

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Abstract

【課題】セメント混練体の塩素含有率の上昇を抑制しつつ、バイオマス灰を骨材の代替材料として有効に活用するためのバイオマス灰粉粒物、セメント混練体、およびセメント混練体の製造方法を提供する。【解決手段】バイオマス灰粉粒物は、粒度分布の累積体積百分率が10%の値(D10)が35μm以上であり、さらに、塩素(Cl)の含有率が0.1質量%以下であり、非晶質の含有率が60質量%以下であることが好ましい。セメント混練体の製造方法は、バイオマス灰を粗粉と細粉に分級する工程(a)と、前記工程(a)で得られた前記粗粉を、粉砕することなくセメント及び水に混合する工程(b)とを有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明はバイオマス灰粉粒物に関し、特にコンクリート等のセメント混練体への利用に適したバイオマス灰粉粒物に関する。また、本発明は、バイオマス灰粉粒物を含むセメント混練体及びその製造方法に関する。
都市ゴミの焼却等により発生する焼却灰は、近年、処分場が逼迫しつつあることを背景に、セメント原料等として資源化することが望まれている。また、再生可能エネルギーの普及に向けた諸般の取り組みにより、バイオマス発電設備の建設や運開が進んでおり、バイオマス発電で発生する焼却灰(バイオマス灰)の発生量も増大している。このため、バイオマス灰についても、都市ゴミ等の焼却灰と同様に、セメント原料等として資源化することが期待されている。
このような課題に関連して、例えば下記非特許文献1では、バイオマス灰をセメント混和材に適用することが検討されている。
佐川孝広 他,『木質バイオマス焼却灰のセメント混和材への適用』,第70回セメント技術大会講演要旨,2016〔1307〕
近年、環境保全の観点から、コンクリートの製造時に利用される骨材として、山砂や川砂に代わる材料が望まれている。一方、パームヤシ柄等のバイオマスはカーボンニュートラルな燃料として着目されており、使用量が増加傾向にある。この傾向に伴い多量のバイオマス灰が発生している。そこで、バイオマス灰の処分場の逼迫を防止するため、バイオマス灰の活用が求められている。そこで、本発明者らは、バイオマス灰を骨材の代替材料として利用することを検討している。
上記非特許文献1では、木質バイオマスを単独で燃焼した焼却灰を90μmを分級点として篩にて分類した上で、篩の残留分(粗粉)を細骨材質量に対して10%置換して得られたモルタルの供試体に対する圧縮強度の検証が行われている。
しかしながら、バイオマス灰には塩素が多く含まれる。非特許文献1に記載された方法で得られた細骨材代替物を利用してコンクリートを製造した場合、コンクリートの塩素含有量が規制値を超過し、場合によっては鉄筋腐食を生じさせるおそれがある。
本発明は、コンクリート等のセメント混練体の塩素含有率の上昇を抑制しつつ、バイオマス灰を有効に活用できる技術を提供することを目的とする。
本発明に係るバイオマス灰粉粒物は、粒度分布の累積体積百分率が10%の値(D10)が35μm以上であることを特徴とする。
上記構成によれば、塩素(Cl)の含有率が抑制されたバイオマス灰粉粒物が実現される。このバイオマス灰粉粒物を、細骨材の一部代替材料として利用してセメント混練体を製造した場合、得られたセメント混練体に含まれる塩素量の上昇を抑制することが可能となる。すなわち、前記バイオマス灰粉粒物は、セメント混練体用の細骨材の置換用途に利用されるものとしても構わない。
本明細書において、「セメント混練体」とはコンクリート及びモルタルを含む概念であって、硬化前の状態と硬化後の状態とを包括する。また、「セメント硬化物」とは前記セメント混練体が硬化された後の状態を指す。
バイオマス灰のうち、相対的に粒度の大きい粗粉は、相対的に粒度の小さい細粉に比べて、カルシウム、硫黄、塩素、及び炭素の含有率が低い。このため、D10を35μm以上とすることで、塩素含有率(塩素濃度)の低いバイオマス粉粒物が得られる。より好ましくは、前記バイオマス灰粉粒物のD10が50μm~115μmである。バイオマス灰粉粒物のD10を115μm以下とすることで、結合材としての作用(ポゾラン反応)が期待できるため、セメント硬化物の強度を確保できる。同様の観点から、前記バイオマス灰粉粒物の粒度分布の累積体積百分率が90%の値(D90)を、80μm~400μmとするのが好ましい。
また、前記バイオマス灰粉粒物の粒度分布の累積体積百分率が50%の値(D50)は、100μm~300μmとするのが好ましく、150μm~250μmとするのがより好ましく、175μm~200μmとするのが特に好ましい。
前記バイオマス灰粉粒物の粒度分布は、例えばレーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置により測定できる。
前記バイオマス灰粉粒物の塩素(Cl)の含有率は、0.1質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがより好ましい。
前記バイオマス灰粉粒物に含まれる塩素の割合は、周知の方法で測定することができ、例えば、湿式定量分析、蛍光X線装置を用いた検量線法等が好ましく例示される。
前記バイオマス灰粉粒物は、非晶質の含有率が60質量%以下の粉粒物であるのが好ましい。
前記のように、バイオマス灰粉粒物はD10が35μm以上であり、セメント混練体の製造時に利用されるセメントと比べて、粒径は大きい。このような粒度を示すバイオマス灰粉粒物に含まれる非晶質の割合が高まると、このバイオマス粉粒物を利用してセメント混練体を製造した際、アルカリ金属(Na,K)との反応性が高まってアルカリシリカゲルの発生量が増え、この反応に伴う吸水膨張に起因して耐久性が低下する現象(アルカリシリカ反応)が生じやすくなる。バイオマス灰粉粒物に含まれる非晶質の割合を60質量%以下とすることで、アルカリ金属に対する反応性が低下し、アルカリシリカ反応が生じにくくなる。アルカリシリカ反応は、「アルカリ骨材反応」とも称される。
上記観点から、前記バイオマス灰粉粒物に含まれる非晶質の割合は、50質量%以下であるのがより好ましく、40質量%以下であるのが更に好ましく、30質量%以下であるが特に好ましい。
前記バイオマス灰粉粒物に含まれる非晶質の割合の測定に際しては、例えば、X線回折の測定結果をリートベルト解析により算定する方法(XRD-リートベルト法)が利用できる。
前記バイオマス灰粉粒物に含まれるSO3の含有率は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。前記バイオマス灰粉粒物に含まれるSO3の含有率が1質量%を超えると、セメント混練体の製造に利用した場合に、異常膨張を示す等、セメント硬化物の品質に対して影響を及ぼす可能性がある。
前記バイオマス灰粉粒物に含まれるSO3の含有率の測定方法は、周知の方法で測定することができ、例えば、湿式定量分析、蛍光X線装置を用いた検量線等が好ましく例示される。
前記バイオマス灰粉粒物の強熱減量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましい。前記バイオマス灰粉粒物の強熱減量が3質量%を超えると、未燃カーボンの量が多くなり、セメント混練体の製造に利用した場合に、混練体に添加する化学混和剤を吸着し、流動性や空気量に悪影響を及ぼしたり、得られたセメント硬化物に黒ずみが生じる可能性がある。
前記バイオマス灰粉粒物の強熱減量の測定方法は、周知の方法で測定することができ、例えば、JIS R 5202「セメントの化学分析方法」に準拠した方法等が好ましく例示される。
本発明に係るセメント混練体は、セメント及び細骨材を含んでなり、
前記細骨材の5質量%~40質量%が前記バイオマス粉粒物で構成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、細骨材の一部をバイオマス灰粉粒物に置換しつつ、塩素含有率の上昇が抑制されたセメント混練体が実現される。
ただし、前記バイオマス灰粉粒物は、JIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」に規定されている一般的な細骨材の粒径よりも細かい。このため、細骨材全体の40質量%を超える割合でバイオマス灰粉粒物を混合した場合には、細骨材に含まれる微粉の割合が高まり過ぎて、セメント混練体の流動性に影響が生じる可能性がある。他方、細骨材全体の5質量%未満の割合でバイオマス灰粉粒物を混合した場合には、発生量が増加傾向にあるバイオマス灰を十分に活用できない。
本発明に係るセメント混練体の製造方法は、
バイオマス灰を粗粉と細粉に分級する工程(a)と、
前記工程(a)で得られた前記粗粉を、粉砕することなくセメント及び水に混合する工程(b)とを有することを特徴とする。
工程(a)において分級された粗粉は、バイオマス灰のうち相対的に粒度の大きいものであるため、細粉と比べて塩素の含有率が低下されている。これにより、細骨材への代替材料として利用してセメント混練体を製造した場合であっても、得られたセメント混練体に含まれる塩素量を規制値以内に留めることが可能となる。
この工程(a)は、水が添加されておらず水和物の形成反応が進行していない状態のバイオマス灰(好ましくは乾灰)に対して実行されるのが好ましい。例えば、バイオマス灰が湿灰であって、凝集したり水和物が形成されている状態の場合には、分級を行った場合においても、粗粉側にも塩素が多く含まれる可能性がある。
本明細書において、「乾灰」とは、バイオマス灰のうち乾燥された状態で回収され、分級処理を行うまでに水が添加されておらず、凝集したり水和物が形成されていないものを指す。また、前記の乾灰は、分級処理を行う前に水が添加されても、水が多く添加され分散された状態であり、長期間の保管により水和物が形成されていない場合も含む。また、本明細書において、「湿灰」とは、例えば焼却炉の炉底から排出される焼却残留物である主灰や集塵機等で回収された飛灰を、水冷又は散水されたことで水分を含む状態で回収されたものや、それを乾燥したものを指す。一般的に、湿灰は含水率が15質量%以上である。
前記工程(a)を行うに際しては、バイオマス灰をμmオーダの分級点で分級できる装置であれば特に限定されず、例えば、篩、重力沈降、慣性分級装置、遠心分級装置、重力式分級装置等が好適に使用でき、特に分級精度の観点から、サイクロン型エアセパレータ、渦流型遠心分級装置、篩分け装置等の使用が好ましい。この際に、30μm~100μmの範囲内の基準値を分級点として分級するのが好ましい。
前記工程(b)は、前記粗粉と共に調整用粉体を混合することで、前記粗粉及び前記調整用粉体の混合物内における非晶質の割合が60質量%以下を示すように調整された状態で、セメント及び水に混合する工程としても構わない。
例えば、分級後に得られた粗粉の非晶質の割合が60質量%を超える場合には、非晶質の割合の低い調整用粉体(他のバイオマス灰等)を混合することで、混合物全体の非晶質割合を60質量%以下とすることができる。この混合物を、細骨材の一部代替材料として活用することで、アルカリシリカ反応による膨張が生じにくくなる。
前記セメント混練体の製造方法は、更に前記工程(a)で得られた前記粗粉を水洗する工程(c)を有し、
前記工程(b)は、前記工程(c)によって水洗された後の前記粗粉を混合する工程であるものとしても構わない。
これにより、粗粉に含まれる塩素、アルカリ金属、及び硫黄成分を更に低下させることができる。また、環境汚染のおそれのあるセレンやクロム等の重金属類や、易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムの量を減少させることができる。
水洗工程(c)は、バイオマス灰に水を加えてスラリーにする工程(c1)と、このスラリーに対して水洗水を供給して水洗する工程(c2)と、水洗後のスラリーを脱水する工程(c3)とを有するのが好適である。スラリーにした後に水洗し、その後に脱水することで脱水物を得るため、塩素及び重金属を取り除くことができる。
前記セメント混練体の製造方法は、更に前記工程(c)の実行中又は前記工程(c)の実行後に、前記バイオマス灰を酸化処理する工程(d)を有するものとしても構わない。
この方法によれば、水洗時のpHが酸性側に調整されるため、塩素をより効率的に取り除くことができる。また、バイオマス灰中に易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムが大量に含まれる場合であっても、炭酸カルシウムや硫酸カルシウムの形態に漏れなく置換できるため、硬化前のセメント混練体の流動性等の品質を均質化させることができる。
この工程(d)としては、バイオマス灰の水洗中に酸溶液を添加したり、二酸化炭素(CO2)含有ガスを吹き込むものとしても構わないし、水洗処理後のバイオマス灰に対してCO2含有ガスを吹き込むものとしても構わない。特に、CO2含有ガスとして、セメントキルンの燃焼排ガスや塩素バイパスの抽気ガス、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスを用いることで、これらのガスに含まれるCO2を炭酸カルシウムに変化させてバイオマス灰に固定できるため、CO2排出量の削減効果も期待できる。加えて、前記排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)等の有害ガスについても、硫酸カルシウムに変化させてバイオマス灰に固定化できる。
また、特に工程(d)において、工程(c)に係る水洗中にバイオマス灰を炭酸化処理することで、水洗後の廃液に多く含まれるカルシウム分が炭酸カルシウムとして析出できるため、スケールの発生が抑制される。これにより、排水処理のための配管等が閉塞するのを抑制できる。
前記セメント混練体の製造方法は、更に前記工程(c)の実行中に、前記バイオマス灰に含まれる未燃カーボンを除去する工程(e)を有するものとしても構わない。
バイオマス灰(原灰)には、多くの未燃カーボンが含まれる可能性がある。このため、カーボンを多く含むバイオマス灰を細骨材の代替材料として使用する場合には、得られたセメント硬化物に黒ずみが生じたり、化学混和剤がカーボンに吸着することで硬化前のセメント混練体の流動性が低下したり空気量が低下するおそれがある。
これに対し、上記方法によれば、水洗中に未燃カーボンが除去できるため、前述したような課題の招来を抑制できる。具体的には、油や界面活性剤等の脱未燃炭素剤を混合して浮遊選鉱を行うことで、含有されている未燃カーボンの量を低下するものとして構わない。
また、本発明に係るセメント混練体及びセメントの製造方法は、上述したセメント混練体の製造方法を含み、
前記工程(a)で得られた前記細粉を、セメントキルンに投入されるセメントクリンカ原料、前記セメントキルンから得られたセメントクリンカ、又は前記セメントクリンカに対する粉砕処理後に得られるセメント、の少なくともいずれかに対して投入する工程(f1)を有することを特徴とする。
バイオマス灰は活性が低いが、粒度の小さい細粉ほど活性が高く、アルカリ金属含有量も高い。このため、上記方法のように、バイオマス灰を分級した後に得られる細粉が、セメントクリンカ原料やセメントクリンカ(以下、両者をまとめて「セメント原料」と称することがある。)、又はセメントに対して混合されることで、反応が活性化する。従って、分級前のバイオマス灰をセメント原料やセメントに投入した場合よりも、セメント硬化物の強度が高められる。
つまり、上記方法によれば、塩素含有率が相対的に低い粗粉は細骨材の一部代替材料として利用され、塩素含有率が相対的に高い細粉はセメント原料やセメント混合材の一部代替材料として利用される。これにより、バイオマス灰を余すことなく有効的に活用できる。
セメント製造の際にバイオマス灰の分級後の細粉が投入されると、アルカリ金属含有量の高いセメントが生成され得る。このセメントと骨材を混合してセメント硬化物(コンクリート)を生成すると、アルカリシリカ反応が生じるおそれがある。これに対し、高炉スラグ等の潜在水硬性物質や、ポゾラン(珪石粉末、石粉等の天然ポゾランや、フライアッシュ、焼成粘土等の人工ポゾランを含む)を細粉と併せて投入することで、アルカリシリカ反応を抑制できる。
バイオマス灰粉粒物(粗粉)の非晶質の割合が60質量%を超える場合や、バイオマス灰粉粒物の細骨材の代替率が40質量%を超える場合には、同様にアルカリシリカ反応の抑制の観点から、前記工程(b)においても潜在水硬性物質及びポゾランの少なくとも一種を混和材として混合しても構わない。
前記セメント混練体及びセメントの製造方法は、前記工程(a)の実行前又は実行後に前記バイオマス灰を水洗する工程(c)を有し、
前記工程(f1)は、前記工程(c)によって水洗された後の前記細粉を投入する工程としても構わない。
本発明者らの検討によれば、バイオマス灰を分級した後に得られる粗粉と細粉を対比すると、バイオマス灰に含まれる塩素分の多くは細粉に含まれることが確認された。このため、水洗後のバイオマス灰によれば、セメント忌避成分である塩素が効率よく除去されているため、これをセメント原料やセメントに投入した状態で利用されることで、コンクリートの鉄筋腐食が抑制できる。
前記セメント硬化物及びセメントの製造方法は、前記工程(a)で得られた前記粗粉のうち、非晶質の割合が60質量%を超える前記粗粉を粉砕する工程(g)を有し、
前記工程(g)で粉砕された前記粗粉を、前記セメントクリンカ原料、前記セメントクリンカ、又は前記セメントクリンカに対する粉砕処理後に得られたセメント、の少なくともいずれかに対して投入する工程(f2)を有するものとしても構わない。
バイオマス灰を分級後に得られた粗粉に含まれる非晶質の割合が、60質量%を超える程度に高い場合、この粗粉を細骨材の一部代替材料として利用すると、アルカリシリカ反応が生じるおそれがある。一方で、バイオマス灰を分級後に得られた粗粉は、カルシウム、硫黄、塩素、及び炭素の含有率が低く、石炭灰の組成に近いため、セメントクリンカ原料として利用した場合、従来のクリンカ原料に対する均質性が確保できる。特に、硫黄や塩素の含有率が低いため、セメントキルン内におけるコーチングが生成されにくく、塩素バイパスに対する負荷の増加が生じにくいという効果を有する。また、混合材として利用した場合であっても、コンクリートの品質に影響を与える硫黄、塩素、及び炭素の含有率が低く、粉砕により反応性が高められたセメント混合材又はコンクリート混和材として利用できる。
前記工程(f1)及び前記工程(f2)の具体的な方法としては、セメントクリンカの原料の調合のための混合機や粉砕機等の原料調合系統設備への投入、セメントキルン(ロータリーキルン)前のプレヒータトップや仮焼炉への投入、セメントキルン窯尻への投入、セメントキルン窯前への投入、焼成して得られたセメントクリンカを冷却するためのクリンカクーラへの投入、セメントクリンカを粉砕するための粉砕装置(ミル)への投入、混合セメント製造用の混合機への投入、コンクリートミキサへの投入等が挙げられる。
なお、前記粗粉の非晶質の割合が60質量%を超える場合において、前記粗粉を粉砕することなくセメントクリンカ原料に投入するものとしても構わない。
本発明によれば、コンクリート等のセメント硬化物の塩素含有率の上昇を抑制しつつ、バイオマス灰を有効に活用することが可能となる。
セメント混練体及びセメントの製造方法の第一実施形態の処理フローを模式的に示す図面である。 図1に示される処理フローを実施する製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 検証1で利用されたバイオマス発電施設P1から得られた焼却飛灰の粒度分布を示すグラフである。 セメント混練体及びセメントの製造方法の第二実施形態の処理フローを模式的に示す図面である。 水洗工程の詳細な処理フローの一例を模式的に示す図面である。 図4に示される処理フローを実施する製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 図6内の水洗設備の構造の一例を模式的に示すブロック図である。 図4に示される製造方法において、水洗工程と共に酸化工程と未燃カーボン除去工程が実行される場合の処理フローの一例を模式的に示す図面である。 図6内の水洗設備の構造の別の一例を模式的に示すブロック図である。 セメント混練体及びセメントの製造方法の第二実施形態の別の処理フローを模式的に示す図面である。 図10に示される処理フローを実施する製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 図10に示される製造方法において、水洗工程と共に酸化工程と未燃カーボン除去工程が実行される場合の処理フローの一例を模式的に示す図面である。 図10に示される処理フローを実施する製造システムの別の構成を模式的に示すブロック図である。 セメント混練体及びセメントの製造方法の第三実施形態の処理フローを模式的に示す図面である。 図14に示される処理フローを実施する製造システムの構成を模式的に示すブロック図である。 バイオマス灰の偏光顕微鏡観察画像である。
[第一実施形態]
本発明に係るセメント混練体及びセメントの製造方法の第一実施形態について説明する。本発明が想定するバイオマス灰粉粒物についても、この項目内で説明される。
図1は、セメント混練体及びセメントの製造方法の第一実施形態の処理フローを模式的に示す図面である。図2は、この製造方法を実施するシステムの構造を模式的に示すブロック図である。
図2に示す製造システム1は、セメントクリンカ原料Y1が貯槽された原料槽3と、バイオマス灰B1が貯槽された粉体貯槽5と、クリンカ製造設備10と、分級設備20と、粉砕設備31と、混合設備33とを備える。
本発明が適用されるバイオマス灰B1としては、広く一般にバイオマスの焼却灰であるものを含み、例えば草木竹の焼却灰や食品残渣の焼却灰を含む。バイオマス灰は、水溶性のアルカリ金属塩化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩を含んでいる。バイオマス灰は、都市ごみ焼却灰や塩素バイパスダストに比べて、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属炭酸塩の占める割合が多く、アルカリ塩素物濃度は低いという利点を有する。
本実施形態では、バイオマス灰B1が分級された後、後述するようにセメントCn2の製造過程(セメントクリンカCn1の製造過程を含む。)で投入されたり、セメント混練体Cn3の製造過程で投入されることが想定されている。
バイオマス灰B1のK2Oの含有率は、2質量%~10質量%であることが好ましく、3質量%~8質量%であることがより好ましく、3質量%~5質量%であることが更により好ましい。バイオマス灰のK2O含有率が2質量%未満であると、混合材として用いた場合のセメントの強度が低くなる可能性があり、また、そもそもセメントに添加する材料としての必要な量が確保できないおそれがある。一方、バイオマス灰のK2O含有率が10質量%を超えると、セメントクリンカの原料として用いた場合の使用量が制限されたり、混合材として用いた場合のアルカリシリカ反応の発生が増加するおそれがある。
バイオマス灰B1に含まれる全アルカリ濃度は、R2O換算(R2O=Na2O+0.658×K2O)で2質量%~11質量%が好ましく、3質量%~6質量%がより好ましい。また、バイオマス灰に含まれる硫黄酸化物(SO3)濃度は、0.5質量%~6質量%が好ましく、1質量%~5質量%がより好ましい。
バイオマス発電所では、バイオマスと石炭との混焼を行う場合もあるが、本発明が適用されるバイオマス灰B1には、そのような混焼を行う場合に生じる灰も含まれる。ただし、一般に石炭を燃焼した石炭灰はK2O含有率が低くなるので、混焼時の石炭の使用量によりバイオマス灰の活性が異なる。そのため、石炭との混焼である場合、燃料中のバイオマスの比率が50質量%以上のものから得られた灰であることが好ましい。
バイオマス灰B1としては、草木竹の焼却灰のなかでもパーム椰子殻を燃料として得られたパーム椰子殻灰(PKS灰)も好適に例示される。パーム椰子殻はパーム油生産の副産物であり、天然バイオマス・エネルギー産業で主に使用されている。パーム椰子殻は、灰分の少ない黄褐色の繊維状物質で、その粒径は5mm~40mm程度であり、発熱量は4000Kcal/kg程度であるため、再生可能資源を用いたエネルギー生産において、パーム椰子殻は、近年、バイオマス発電の燃料としての利用が増えている。
一般に、バイオマス発電の燃焼炉には、ストーカ式や流動床式があるが、流動床式である循環流動床式や加圧式流動床式の燃焼炉では炉内で脱硫を行うために石灰石が投入される。そのような燃焼炉からのバイオマス灰には、カルシウム成分や硫黄成分が多く含まれており、例えばCaO含有率は、一般に5質量%~45質量%である。また、投入した石灰石由来のCa化合物の形態として、CaO(生石灰)、Ca(OH)2(消石灰)、CaCO3(炭酸カルシウム)、CaSO4(石膏)等の形態が含まれる。また、流動媒体として砂が投入され、投入した砂由来の鉱物の形態として石英や長石が含まれる。
バイオマス灰B1は、バイオマス発電の燃焼炉等で炉底に燃え残る主灰であっても構わないし、燃焼排ガスに含まれて気体として浮遊する煤塵を乾燥状態のままで集塵機により収集して得られる飛灰であっても構わない。このうち飛灰は、アルカリ金属や塩素濃度がより高い上に、分級や水洗により塩素が分離しやすく、効率的なため、好ましい。
また、バイオマス灰B1としては、乾灰であることが好ましい。一度水を噴霧されたバイオマス灰は、粒状になったり、生成した水和物に塩素が取り込まれて、分級や水洗により塩素が分離しにくい場合がある。乾灰としては、例えば、粉末X線回折法により水和物であるフリーデル氏塩、またはエトリンガイトが検出されないことが好ましい。または、含水率が10質量%以下であることが好ましく、5%質量以下であることがより好ましい。または、強熱減量が10%以下であることが好ましい。含水率は、105℃で乾燥した際の質量減少率として求めることができる。また、強熱減量は、105℃で乾燥された対象物を975℃で加熱した際の質量減少率として求めることができる。
バイオマス灰B1は、セメント混練体の強度を高くする観点から、粒度のメジアン径(D50)が200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることが更に好ましい。粒度は、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置が使用でき、例えば、マイクロトラック・ベル社製 MW3300EXII にてエタノールを分散媒とし、1分間の超音波分散後に測定すること等により測定することができる。なお、D50とは、粒度分布の累積体積百分率が50%の値を意味する。
クリンカ製造設備10は、セメントクリンカ原料Y1を焼成してセメントクリンカCn1を生成する設備であり、焼成用のセメントキルン12と、セメントキルン12に投入する前にセメントクリンカ原料Y1を事前に加熱するプレヒータ11と、焼成後のセメントクリンカCn1を冷却するクリンカクーラ13とを備える。
粉砕設備31は、セメントクリンカCn1を必要に応じて石膏等と共に混合して粉砕して、粒度の細かいセメントCn2を生成する設備であり、チューブミル等の仕上げ工程で利用される一般的なミルが利用できる。
混合設備33は、セメントCn2、水W1、細骨材FA、及び粗骨材CAを混練してセメント混練体Cn3を生成する設備であり、公知のミキサで構成される。混合設備33は、例えばコンクリート工場内に設置される。ここでは、セメント混練体Cn3はコンクリートである。
図1に示すように、本実施形態の製造方法は、バイオマス灰B1を分級する工程S10と、分級された粗粉B1Cをセメント混練体Cn3の製造工程で投入する工程S20と、分級された細粉B1FをセメントCn2の製造工程で投入する工程S30とを有する。なお、以下では、投入又は添加工程を「投入」工程と総称する。
(分級工程S10)
粉体貯槽5に貯槽されたバイオマス灰B1は、分級設備20によって、所定の分級点を基準として粒度の粗い粗粉B1Cと、粒度の細かい細粉B1Fとに分級される。
分級工程S10において定められる分級点は、好ましくは30μm~100μmの範囲内であり、より好ましくは30μm~90μmの範囲内であり、特に好ましくは38μm~75μmの範囲内である。
分級設備20としては、バイオマス灰B1を上述したようなμmオーダの分級点で分級できる装置であれば特に限定されず、例えば、篩、重力沈降、慣性分級装置、遠心分級装置、重力式分級装置等が好適に使用でき、特に分級精度の観点から、サイクロン型エアセパレータ、渦流型遠心分級装置、篩分け装置等の使用が好ましい。なお、第二実施形態において後述されるように、水洗工程S40が行われる場合には、湿式で分級を行うと効率的である。
流動床式である焼却炉には、流動媒体としての石英を主成分とした砂と脱硫用の石灰石が投入される。そのような焼却炉からのバイオマス灰の飛灰には、比較的粗粒な溶融固化や凝集したガラスや砂由来物と、比較的細粒な揮発したアルカリ金属塩や前述の石灰石由来物、細かいガラス粒子とが含まれる。そこで、バイオマス灰を粒度分布を頻度で表した場合の、細粒側の山と粗粒側の山の間を分級点とすると、塩素分、硫黄分、カルシウム分を効率よく分離することができる。
図3は、後述する検証1で利用される、バイオマス発電施設P1から得られた焼却飛灰の粒度分布を示すグラフである。図3のグラフによれば、粒度が相対的に細かい細粉側と、粒度が相対的に粗い粗粉側とに、それぞれ頻度値の高い山が現れていることが確認される。細粉側は、石灰類、アルカリ金属塩に由来するものであり、粗粉側は、石英や長石に由来するものであると考えられる。よって、これらの山の間の領域(谷の領域)の粒度を分級点として分級することで、塩素分、硫黄分、カルシウム分を効率よく分離できることが分かる。流動床式である焼却炉には、ボイラ、空気予熱器及び高温ガス流路等に沈降した焼却灰を回収する設備や、サイクロンやバグフィルタ等の焼却灰を回収する設備が備えられている場合がある。これらの回収設備で回収された焼却灰の粒度は異なることから、これらを分別回収することで分級装置に代えることもできる。
分級設備20には、バイオマス灰B1の貯槽が付設されていてもよい。更に、この貯槽からバイオマス灰B1を定量的に分級設備20に供給するための供給装置が付設されていてもよい。これらの貯槽や供給装置は、受入れたバイオマス灰B1の状態に応じて適宜に使用するようにしてもよい。
分級工程S10における分級の目安としては、第一に分級後に得られる粗粉B1Cの粒度が挙げられる。具体的には、分級後に得られる粗粉B1Cの粒度のD10値が35μm以上となるように、分級工程S10において分級される。より好ましくは、分級後の粗粉B1CのD10値が50μm~115μmである。
粗粉B1Cの粒度のメジアン値(D50)は、好ましくは100μm~300μmであり、より好ましくは150μm~250μmであり、特に好ましくは175μm~200μmである。また、粗粉B1Cの粒度のD90値は、好ましくは80μm~400μmである。
上記の粒度分布を示す粗粉B1Cによれば、典型的には塩素(Cl)の含有率が0.2質量%以下にまで低減される。好ましくは、粗粉B1Cの塩素の含有率は0.01質量%~0.1質量%であり、更に好ましくは0.01質量%~0.05質量%である。
なお、粗粉B1Cに対する細粉B1Fの塩素濃度比(塩素含有率の比)は、4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましい。細粉B1Fの塩素の含有率は、例えば典型的には0.2質量%~2質量%となり、より典型的には0.3質量%~1.5質量%となる。すなわちこの分級工程S10によって、バイオマス灰B1(原灰)が、相対的に塩素の含有率が低い粗粉B1Cと相対的に塩素の含有率が高い細粉B1Fとに分離される。
分級工程S10における分級の他の目安項目としては、非晶質の含有率、活性度指数、収率、硫黄酸化物(SO3)濃度、酸化カルシウム(CaO)濃度、強熱減量等が挙げられる。
分級後に得られた粗粉B1Cは、典型的には非晶質の含有率が60質量%以下である。粗粉B1Cの非晶質の含有率は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。なお、細粉B1Fに含まれる非晶質の含有率は、典型的には50質量%~80質量%であり、より典型的には、60質量%~70質量%である。すなわち、この分級工程S10によって、相対的に非晶質の含有率が低い粗粉B1Cと、相対的に非晶質の含有率が高い細粉B1Fとに分離される。この点は、実施例を参照して後述される。
分級工程S10で得られる細粉B1Fの活性度指数は、バイオマス灰(原灰)B1より高い値となり、典型的には7日で70%以上、28日で65%以上となり、より典型的には7日で75%以上、28日で70%以上となる。バイオマス灰B1(B1C,B1F)に含まれる活性度指数については、周知の方法で測定することができ、例えば、JISA 6201:2015「コンクリート用フライアッシュ」に準拠した方法が好ましく例示される。
細粉B1Fの収率は、10質量%~80質量%であることが好ましく、20質量%~70質量%であることがより好ましく、30質量%~60質量%であることが更に好ましい。細粉B1Fの収率は、分級工程S10の実行前のバイオマス灰B1の全質量に対する、得られた細粉B1Fの全質量の割合として構わない。一方、粗粉B1Cの収率は、20質量%~90質量%であることが好ましく、30質量%~80質量%であることがより好ましく、40質量%~70質量%であることが更に好ましい。
粗粉B1Cに対する細粉B1Fの全アルカリ濃度比は、R2O換算(R2O=Na2O+0.658×K2O)で1.05以上であることが好ましく、1.1以上であることがより好ましく、1.2以上であることが更に好ましい。細粉B1Fの全アルカリ濃度は、例えば典型的には2質量%~10質量%であり、より典型的には3質量%~8質量%である。一方、粗粉B1Cの全アルカリ濃度は、典型的には0.5質量%~6質量%にまで低減され、より典型的には2質量%~5質量%にまで低減される。バイオマス灰B1(B1C,B1F)に含まれる全アルカリ濃度については、周知の方法で測定することができ、例えば、湿式定量分析、蛍光X線装置を用いた検量線等が好ましく例示される。塩素、硫黄酸化物、酸化カルシウム等の濃度の測定に際しても、同様の方法が利用できる。
粗粉B1Cに対する細粉B1Fの硫黄酸化物(SO3)の含有率の比は、5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることが更に好ましい。細粉B1Fの硫黄酸化物の含有率は、例えば典型的には1質量%~6質量%となり、より典型的には2質量%~5質量%となる。一方、粗粉B1Cの硫黄酸化物の含有率は、典型的には1質量%以下にまで低減され、より好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.2質量%以下である。
粗粉B1Cに対する細粉B1Fの酸化カルシウム濃度比は、1.5以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることが更に好ましい。細粉B1Fの酸化カルシウム濃度は、例えば典型的には8質量%~40質量%となり、より典型的には15質量%~35質量%となる。一方、粗粉B1Cの酸化カルシウム濃度は、典型的には3質量%~15質量%にまで低減され、より典型的には5質量%~10質量%にまで低減される。
粗粉B1Cの強熱減量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましい。一方、細粉B1Fの強熱減量は、典型的には、5質量%~15質量%であり、より典型的には、5質量%~10質量%である。すなわち、この分級工程S10によって、相対的に強熱減量が低い粗粉B1Cと、相対的に強熱減量が高い細粉B1Fとに分離される。バイオマス灰B1(B1C,B1F)の強熱減量の測定方法は、周知の方法で測定することができ、例えば、JIS R 5202「セメントの化学分析方法」に準拠した方法等が好ましく例示される。
この分級工程S10が工程(a)に対応し、この分級工程S10で得られた粗粉B1Cが「バイオマス灰粉粒物」に対応する。
(投入工程S20:セメント混練体製造時)
分級工程S10で得られた粗粉B1Cは、コンクリート等のセメント混練体Cn3の製造時に、細骨材FAの一部代替材料として投入される。図2の例では、混合設備33内において、セメントCn2、水W1、細骨材FA、及び粗骨材CAと共に、粗粉B1Cが混合される場合が図示されている。混合設備33としては、上記のとおり一般的なミキサが用いられる。
セメント混練体Cn3の製造に際し、細骨材FAに対する粗粉B1Cの代替率は、5質量%~40質量%とするのが好ましく、10質量%~30質量%とするのがより好ましく、15質量%~25質量%とするのが特に好ましい。
上述したように、分級工程S10においてバイオマス灰(原灰)B1から分離された粗粉B1Cは、塩素含有率が低い。よって、セメント混練体Cn3の製造時に、細骨材FAの一部代替材料としてセメントCn2と共に混合しても、セメント混練体Cn3に含まれる塩素量を規制値以内に留めることができる。
上述したように、分級工程S10においてバイオマス灰(原灰)B1から分離された粗粉B1Cは、非晶質の含有率が相対的に低い。よって、セメント混練体Cn3の製造時に、細骨材FAの一部代替材料としてセメントCn2と共に混合しても、アルカリシリカ反応による膨張が生じにくい。
上述したように、分級工程S10においてバイオマス灰(原灰)B1から分離された粗粉B1Cは、硫黄酸化物の含有率が相対的に低い。よって、セメント混練体Cn3の製造時に、細骨材FAの一部代替材料としてセメントCn2と共に混合しても、セメント混練体Cn3の凝結が所望の状態から促進されるということがなく、セメント硬化物の品質を均質化できる。
上述したように、分級工程S10においてバイオマス灰(原灰)B1から分離された粗粉B1Cは、強熱減量が相対的に低く未燃カーボンの量が少ない。よって、セメント混練体Cn3の製造時に、細骨材FAの一部代替材料としてセメントCn2と共に混合しても、得られたセメント硬化物に黒ずみが生じさせる可能性が低い。
上述した、セメント混練体Cn3の製造過程における投入工程S20が、工程(b)に対応する。
(投入工程S30:セメント製造時)
分級工程S10で得られた細粉B1Fは、セメントクリンカCn1の原料に対して、又は、セメントクリンカCn1若しくはセメントCn2に対して投入(添加)される。図2の例では、細粉B1Fが、クリンカ製造設備10に投入される場合と、セメントCn2を製造するための粉砕設備31に投入される場合が図示されている。後者の場合、細粉B1Fに対してセメントクリンカCn1と共に粉砕処理が行われることで、混合セメントが生成される。その際、必要に応じて散水や粉砕助剤が添加される。ただし、細粉B1Fは、クリンカ製造設備10と粉砕設備31のいずれか一方に投入されるものとしても構わない。ただし、得られた細粉B1Fを全て投入するとバイオマス灰の原粉(原灰B1)をそのまま投入することと同じことになる。したがって、分級後のバイオマス灰(すなわち、粗粉B1Cや微粉B1F)の化学組成等の特性が異なることを利用して、細粉B1FをセメントクリンカCn1の原料又はセメント混合材、コンクリート混和材に一部投入したり、後述の水洗を行ってから投入するものとしてよい。
粉砕設備31としては、チューブミル等の仕上げ工程で利用される一般的なミルが利用できる。ミルは仕上げ粉砕機とも呼ばれ、円筒状のドラムの中で鋼鉄のボールと、セメントクリンカCn1、及び必要に応じて付加される石膏がドラムの回転によって互いに衝突しながら粉砕される。石膏を使用する場合、その石膏は、特に限定されるものではなく、例えば、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏等が例示できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
細粉B1Fは、セメント原料の一部と置換するものである。粉砕設備31に投入される場合、セメントクリンカCn1の質量に対して0.5質量%~30質量%添加することが好ましい。また、石膏は、SO3換算で好ましくは1.5質量%~5.0質量%添加することが、セメントCn2の強度発現性および流動性を向上する上で好ましい。
別の方法として、分級工程S10で得られた細粉B1Fをクリンカクーラ13に直接投入しても構わない。投入方法としては、クリンカクーラ13内の所望の温度の位置に、クリンカクーラ13の上部から落下させる方法が挙げられる。投入量は、セメントクリンカCn1の質量に対して0.5質量%~20質量%程度となるように設定されるのが好ましい。なお、クリンカクーラ13として、エアクエンチングクーラーを使用すれば、クリンカクーラ13内の所定の位置に細粉B1Fを投入できるので、好適である。
第二実施形態で後述するように、細粉B1Fを水洗した後に投入する場合には、クリンカクーラ13に投入することにより、セメントクリンカCn1の製造とは直接関係のない熱エネルギーを利用して水分を蒸発除去できるため好都合である。また、クリンカクーラ13内に粉塵が大量に発生することを防ぐ意味から、細粉B1Fは含水率を好ましくは50質量%以下とし、塊状か粒状のまま投入することが好ましい。
なお、図2には図示されていないが、粉砕設備31において粉砕されて得られたセメントCn2に対して細粉B1Fが投入されても構わない。具体的には、この投入のタイミングは、粉砕設備31の後段においてセメントが貯槽されるセメントサイロまでの経路上であっても構わないし、セメントサイロ内であっても構わない。ただし、より厳密にいえば、細粉B1Fは、粉砕設備31においてセメントクリンカCn1が粉砕された後に得られるセメントCn2に対して混合する場合よりも、セメントクリンカCn1又は粉砕設備31に投入する場合の方が、より粒度が細かく反応性が高くなるので好ましい。
上述した、セメントCn2の製造過程における投入工程S30が、工程(f1)に対応する。
[第二実施形態]
セメント混練体及びセメントの製造方法の第二実施形態について、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。図4は、本実施形態における製造方法の処理フローを模式的に示す図面である。図5は、後述する水洗工程S40の詳細な処理フローの一例を模式的に示す図面である。図6は、本実施形態の製造方法を実施する製造システム1を、図2にならって模式的に示すブロック図である。
図6に示す本実施形態の製造システム1は、第一実施形態と比較して、水洗設備40を備える点が異なる。水洗設備40は、バイオマス灰B1を水洗する設備であり、バイオマス灰B1に含まれる塩素等のセメント忌避成分の濃度を低下する目的で設けられている。水洗設備40の詳細な構造の一例については、図7を参照して後述される。
なお、図4に示す処理フローでは、分級工程S10後に得られた細粉B1Fに対してのみ水洗工程S40が行われる場合が示されている。これは、第一実施形態で上述したように、分級工程S10によってバイオマス灰(原灰)B1が分級されることで、粗粉B1Cについては塩素含有率が低下される一方、細粉B1Fについては塩素含有率が相対的に高くなっているためである。しかし、後述するように、粗粉B1Cに対しても水洗工程S40が実行されても構わないし、分級工程S10と共に水洗工程S40が実行されても構わない。
(水洗工程S40)
本実施形態では、分級工程S10でバイオマス灰(原灰)B1が分級されることで得られた細粉B1Fに対し、水洗設備40によって水洗処理が施される。より詳細には、図5に示すように、細粉B1Fをスラリー化する工程S41と、スラリーを水洗する工程S42と、脱水する工程S43とが実行される。
一例として、図7に示す水洗設備40には、分級後に得られた細粉B1Fに水W2を加えてスラリーLr1にして水洗するための粉体溶解槽43と、水洗後に粉体溶解槽43から排出されたスラリーLr2を脱水するための固液分離装置46と、固液分離装置46で分離された脱水物Ck1を搬送するための搬送装置47を備えている。
更に、図7に示す水洗設備40の例では、水W2を供給するための液体供給装置42が付設されている。また、細粉B1Fと水W2の混合、及びその混合によって生成されたスラリーLr1の攪拌のために、攪拌翼を備えたスラリー攪拌装置44が付設されている。
粉体溶解槽43では、細粉B1Fと水W2を混合撹拌してスラリーLr1を生成するスラリー化工程S41、及びそのスラリーLr1中で塩素等のセメント忌避成分を液相に溶出させる水洗工程S42が行われる。そのためのスラリー攪拌装置44としては、例えば、パドル型やスクリュー型の一般的な撹拌装置を使用できる。
スラリー化工程S41における、細粉B1Fと水W2との質量比(W2/B1F)は、2~10が好ましく、3~7がより好ましく、4~5が特に好ましい。質量比(W2/B1F)が2よりも小さいと、細粉B1Fからの塩素等の水溶性成分の溶出が不十分となる等、改質効果が不十分となる場合がある。また、質量比(W2/B1F)が10よりも大きいと、排水W4の量が多くなってしまう。
水洗工程S42は、スラリーLr1を所定時間にわたって静置又は攪拌することによりなされる。これにより、細粉B1Fの溶解性成分がスラリーの液相に溶出した状態のスラリーLr2が得られる。
水洗工程S42の所要時間は、細粉B1Fを水W2で十分に改質するため、30分間以上とすることが好ましく、45分間以上がより好ましい。水洗工程S42の実行時の温度は高いほど、細粉B1Fからの塩素等の水溶性成分の溶出効率がよくなるが、処理に係るコストの観点からは、前記温度は5℃~50℃とすることが好ましく、25℃~50℃がより好ましい。
水洗工程S42の後、塩素等のセメント忌避成分がスラリー中で液相に溶出された状態となったスラリーLr2は、粉体溶解槽43から排出され、固液分離装置46に移送される。スラリーLr2の移送には、スラリー用渦巻きポンプ、ピストンポンプ、モーノポンプ等の通常のスラリー液用輸送装置(不図示)を用いればよい。
固液分離装置46は、スラリーLr2を固液分離して脱水物Ck1を得る(脱水工程S43)。固液分離装置46としては、フィルタープレス、加圧葉状ろ過装置、スクリュープレス、ベルトプレス、ベルトフィルター、沈降分離等の通常のろ過装置等を用いることができる。
脱水工程S43においては、スラリーLr2中に含まれる塩素等の水溶性成分が液相と共に残留することを防ぐため、脱水物の水分は20質量%~90質量%とすることが好ましく、30質量%~70質量%とすることがより好ましい。
スラリーLr2の液相に溶出させた成分は排水W4へと除かれるので、得られる脱水物Ck1は、水洗工程S40の実行前の細粉B1Fに比べて塩素等のセメント忌避成分の量が低下される。一方で、排水W4には、バイオマス灰B1に含まれていた重金属類等も溶出されているので、適宜に水質浄化処理を行った後に環境中に放流してもよい。
なお、図7に示すように、固液分離装置46に水洗浄装置49を付設し、脱水物Ck1に対して水W3を加えた後に再度脱水するものとしても構わない。これによれば、スラリーLr2の液相がほとんど水に置き換わるので、溶出させた成分をより確実に除去ができる。
この水洗工程S40が、工程(c)に対応する。
水洗工程S40を経て得られた脱水物Ck1は、塩素等のセメント忌避成分が減じられ、且つセメントCn2の強度発現性や流動性に影響を及ぼす易反応性の酸化カルシウムや水酸化カルシウムの含有量が十分に減じられている。よって、この細粉B1F由来の脱水物Ck1を用いて、第一実施形態と同様に、セメントクリンカCn1の原料に対して、又は、セメントクリンカCn1若しくはセメントCn2に対して投入されることで、得られるセメントCn2の品質を均質に保つことが容易となる。特に、原灰として、カルシウム成分を含む石灰石が投入された流動床式燃焼炉から排出されたバイオマス灰B1が用いられる場合には、上記効果を顕著に実現できる。
また、水洗工程S40を経て得られた細粉B1F由来の脱水物Ck1は、第一実施形態で得られた細粉B1Fと比べて水分を含む可能性がある。従って、この脱水物Ck1を粉砕設備31内に投入することで粉砕設備31内の温度制御にも利用できる。この脱水物Ck1に含まれる水分が過剰である場合には、沈降分離等で簡易的に脱水可能であるし、逆に水分が不足する場合には適切な量を粉砕設備31に散水すればよい。
脱水工程S43で得られる排水W4は、イオン交換樹脂、膜分離、銀や鉛イオンによる沈殿形成等の周知の方法で含有塩素イオンを低減した状態で、セメントクリンカCn1に混合しても構わない。これにより、鉄筋腐食を生じる塩素を除去しながら、排水W4に含まれる強度増進効果を示すアルカリ金属を有効活用できる。本実施形態のように、水洗工程S40を実行して得られる細粉B1F由来の脱水物Ck1は、水洗によって活性が低くなるので、水洗後の排水W4をセメント添加剤として添加することで活性度の低下を補うことができる。
バイオマス灰B1は、都市ごみ焼却灰よりは塩素含有率が低い。このため、排水W4に含まれる塩素の分離が容易であり、且つ排水W4には多くのアルカリ金属硫酸塩や炭酸塩が得られる。このため、クリンカクーラ13から粉砕設備31までの経路上において、排水W4を投入することで、セメント添加剤としてより多くのアルカリ金属を活用することもできる。
クリンカクーラ13から粉砕設備31までの経路上で排水W4を投入することで、乾燥や固形化することなく、セメントクリンカCn1の冷却用や粉砕設備31内の温度調整用の散水を兼ねることもできる。より具体的な投入箇所としては、クリンカ製造設備10における、400℃以下のクリンカクーラ13や、クリンカクーラ13から後段に搬送するための搬送装置、及び粉砕設備31が挙げられる。投入箇所の温度が400℃を超えると、瞬時に蒸発してしまうため、セメント添加剤としてのアルカリ金属がセメントCn2に含まれにくくなる。また、粉砕設備31より後段で排水W4が投入されると、セメントCn2に水分が残り、風化や水和の影響によって品質が低下するおそれがある。
排水W4に対して乾燥処理等を施して水分を減らした状態で、クリンカクーラ13から粉砕設備31の間に投入しても構わない。これによれば、セメントCn2を風化等させることなくセメント添加剤としてより多くのアルカリ金属を活用できる。特に、排水W4に対して乾燥固化を行えば、粉砕設備31における粉砕後に得られるセメントCn2に対して投入したり、混合設備33で行われる混練工程の際にも投入することが可能となり、任意の量を容易に添加することもできる。
含有塩素イオンを低減する手段としては、特に両性イオン交換樹脂やナノろ過膜によるものが好ましい。これによれば、選択的に硫酸イオン・炭酸イオンと塩素イオンを分離でき、硫酸イオン・炭酸イオン濃度が高くなり塩素イオン濃度が低くなった水と、硫酸イオン・炭酸イオン濃度が低くなり塩素イオン濃度が高くなった水を得ることができる。
細粉B1Fの水洗後に得られる排水W4には、セレンと六価クロムが含まれる場合が多い。上記の両性イオン交換樹脂やナノろ過膜を利用することで、硫酸イオンと同様の形態を示すセレンと六価クロムが塩素濃度の低い水側に分離される。塩素濃度が高い水は処分されるが、当該水はセレンと六価クロム濃度も低く、排水処理が容易となる。また、乾燥することなく水量を減らす(アルカリ金属濃度を高める)ことができ、クリンカクーラ13から粉砕設備31の間に投入する場合は、同じ散水量でセメント添加剤としてより多くのアルカリ金属を活用できる。
以上のように、水洗水から得られた排水W4(セメント添加剤)と、細粉B1Fの水洗後に得られる脱水物Ck1の双方を、セメントCn2の製造過程で利用できる。また、第一実施形態で上述したように、粗粉B1Cは、セメント混練体Cn3の製造時に細骨材FAの一部代替材料として利用できる。これにより、バイオマス灰B1を余すことなくセメントCn2やセメント混練体Cn3の製造に利用できる。また、処分される排水量やその排水処理負荷を削減する効果も期待できる。
なお、本実施形態において、水洗工程S40と共に、酸化工程S51や未燃カーボン除去工程S52を実行することも可能である(図8,図9参照)。これらの工程は、水洗工程S40の実行と並行して行われても構わないし、水洗工程S40の実行後に行われても構わない。なお、酸化工程S51と未燃カーボン除去工程S52は、いずれか一方だけが行われても構わない。
図8は、本実施形態において、酸化工程S51及び未燃カーボン除去工程S52の双方が実行される場合における処理フローを模式的に示す図面である。図9は、これらの工程S51及びS52が実行される場合における水洗設備40の構造を、図7にならって模式的に示す図面である。なお、図9には、水洗設備40と共に、ガス供給装置51及び浮遊選鉱装置53についても図示されている。
(酸化工程S51)
酸化工程S51は、細粉B1Fを酸化する工程である。一例として、水洗工程S40において、粉体溶解槽43内にpH調整剤を加えて水洗を行うことで実行できる。これにより、水洗工程S40と酸化工程S51とが並行して行われる。
水洗の際のpHを低減することで、pH調整しない場合に比べて、細粉B1Fに含まれる塩素をより効率よく水溶できる。また、細粉B1F中に含まれるカルシウム成分を、遅速反応性の炭酸カルシウムや、セメントCn2の製造時にセメントクリンカCn1に添加される硫酸カルシウムの形態へと変化させやすくなる。これにより、水洗工程S40後に得られる細粉B1F由来の脱水物Ck1が、品質変動の小さいセメント混合材として好適となる。
酸化工程S51におけるスラリーLr1のpH条件としては、pH4~13であることが好ましく、pH5~12であることがより好ましい。
pH調整剤としては、スラリーLr1のpHを低減できるものであれば特に制限はなく、例えば、硫酸等の酸溶液やCО2含有ガス等が挙げられる。CО2含有ガスとしては、セメントキルン12の燃焼排ガスや、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスを利用できる。これらの排ガスには二酸化炭素(CО2)が含まれているので、その燃焼排ガスをスラリーLr1に吹き込むことにより、pHを中性から弱アルカリ性に調整できる。これによれば、細粉B1F中に含まれるカルシウム成分を炭酸化して炭酸カルシウムの形態へとより反応させやすくなる。
図9では、一例として、ガス供給装置51からCО2含有ガスG1が粉体溶解槽43内のスラリーLr1に供給される場合が図示されている。この場合、ガス供給装置51は、前述した、セメントキルン12の燃焼排ガスや、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガス等を粉体溶解槽43に供給するための装置に対応する。
CО2含有ガスG1は二酸化炭素が含まれていればよいが、効率的な炭酸化を促すためには、二酸化炭素濃度は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、燃焼排ガスのなかでも、特にクリンカ製造設備10の塩素バイパスダストを捕集後のガスには硫黄酸化物(SOx)等の有害ガスが含まれるので、このガスをスラリーLr1に吹き込むことで、硫黄酸化物を固定化する効果も期待できる。
このようにクリンカ製造設備10の燃焼排ガスを用いれば、その場で二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを得て細粉B1Fの改質に利用でき、改質された細粉B1F(脱水物Ck1)はセメント混合材として利用できる。また、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスを用いれば、その場で得た二酸化炭素を含有する燃焼排ガスを用いて細粉B1Fを改質でき、これをクリンカ製造設備10や粉砕設備31等に輸送すれば、すぐさまセメント混合材として利用できる。
更に、水洗工程S40において、粉体溶解槽43内にアミン系二酸化炭素回収装置から得た廃液を加えて水洗を行ってもよい。工場等の排ガスから二酸化炭素を回収するためのアミン系二酸化炭素回収装置では、通常、劣化したアミン類を含む液は廃棄されるが、この方法によればその廃液を有効に活用できる。
アミン類は、二酸化炭素と反応して炭酸イオンの生成を促進する作用があることが知られており、効率よくカルシウム成分の炭酸化を進めることができる。また、アミン類は、粉砕設備31においてセメントクリンカCn1を粉砕する際に、粉砕助剤として機能することも知られている。アミン類としては、分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有するものであり、特に、粉砕助剤として使用されるアミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)等が挙げられる。従って、添加した廃液から持ち込まれたアミン類が取り込まれた状態の、細粉B1F由来の脱水物Ck1は、後工程での粉砕助剤としての機能性の付与が期待できるため、セメント混合材として好適となる。
なお、脱水工程S43を経て得られる脱水物Ck1に対して、CО2含有ガスG1を吹き込むものとしても構わない。これによれば、脱水物Ck1中に残る易反応性のカルシウム成分が炭酸化されるため、この脱水物Ck1を利用して製造されたセメントCn2に対して、品質の均質化を更に高めることができる。また、この方法によれば、脱水物Ck1中に含まれる水分を乾燥させる効果も期待される。
ガスの吹込み手段(ガス供給装置51)としては、脱水物Ck1をCО2含有ガスと接触できればよく、その方法は問わない。例えば、脱水物Ck1を充填した容器にCО2含有ガスを流通させたり、排ガス煙道中に脱水物Ck1を通過させたりする等の手段を使用できる。また、上記したスラリーLr1への吹込みと同様に、セメントキルン12の燃焼排ガスや、バイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスを、脱水物Ck1に吹き込むものとしても構わない。
この酸化工程S51が、工程(d)に対応する。
(未燃カーボン除去工程S52)
未燃カーボン除去工程S52は、細粉B1Fに含まれる未燃カーボンを除去する工程である。上述したように、分級後に得られる細粉B1Fは、粗粉B1Cと比べて強熱減量が高く、多くの未燃カーボンが含まれる。このため、細粉B1FをセメントクリンカCn1の原料として使用する場合にはプレヒータ11の高温化を招く場合があり、また混合材として使用する場合にはコンクリートの黒ずみや流動性の低下を招く場合がある。
具体的には、水洗工程S40の実行時に、脱未燃炭素剤供給装置52から粉体溶解槽43内に、油や界面活性剤等の脱未燃炭素剤D1を加えた状態で撹拌等の処理を行う方法が採用できる。得られたスラリーLr2aは、浮遊選鉱装置53において、例えば所定の起泡剤を添加して浮遊選鉱処理が行われ、未燃カーボンを含むフロスと、未燃カーボンが除去又は低減されたテールとに分離される。そして、テールとしてのスラリーLr2bが固液分離装置46に送られて固液分離される。
これにより、水洗工程S40と未燃カーボン除去工程S52とが並行的、連続的に行われる。
この未燃カーボン除去工程S52が、工程(e)に対応する。
水洗工程S40が実行されることで、細粉B1Fに含まれる塩素濃度(塩素含有率)は、例えば典型的には0.01質量%~0.2質量%まで低減され、より典型的には0.02質量%~0.1質量%まで低減される。
水洗工程S40が実行されることで、細粉B1Fに含まれる全アルカリ金属濃度は、例えば典型的には1質量%~8質量%まで低減され、より典型的には3質量%~6質量%まで低減される。
水洗工程S40が実行されることで、細粉B1Fに含まれる硫黄酸化物濃度は、例えば典型的には0.5質量%~4質量%まで低減され、より典型的には1質量%~3質量%まで低減される。
水洗工程S40が実行されることで、細粉B1Fのセレン(Se)の溶出量は、例えば典型的には0.002mg/L~0.02mg/L、より典型的には0.005mg/L~0.01mg/Lにまで低減される。また、細粉B1Fの六価クロム(Cr6+)溶出量は、例えば典型的には0.01mg/L~0.1mg/L、より典型的には0.02mg/L~0.05mg/Lにまで低減される。これらのセレン及び六価クロムの溶出量は、周知の方法で測定できる。測定方法の好適な一例としては、JISK 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-第1部:溶出試験方法 5.利用有姿による試験」に準拠し検液を作成した後、セレンについてはICP質量分析法によって、六価クロムについてはジフェニルカルバジド吸光光度法によって、それぞれ測定する方法が挙げられる。
なお、本実施形態の方法で得られる細粉B1F由来の脱水物Ck1は、水洗工程S40が実行されることでアルカリ金属含有量は低減しているものの、依然として石炭灰よりはアルカリ金属含有量が高い場合が想定される。このため、脱水物Ck1をセメントクリンカCn1の原料として用いるとアルカリ金属含有量の高いセメントCn2が製造される場合がある。また、排水W4から得られるセメント添加剤の主成分はアルカリ金属塩である。従って、これらがコンクリート(セメント混練体Cn3)に多く含まれると、利用される骨材(CA,FA)によってはアルカリシリカ反応を起こす可能性がある。
そこで、セメントCn2の製造工程において細粉B1F由来の脱水物Ck1を投入する場合には、アルカリシリカ反応の可能性を低減するために、高炉スラグ等の潜在水硬性物質、フライアッシュ、火山灰、火山岩、焼成粘土等のポゾラン物質についても、セメント混合材やコンクリート混和材として併せて投入(添加)するものとしても構わない。なお、このような潜在水硬性物質やポゾラン物質の投入(添加)は、第一実施形態のように水洗工程S40が実施されていない細粉B1Fが利用される場合にも適用できる。
(変形例)
本実施形態では、いくつかのバリエーションが可能である。
〈1〉図10に示すように、分級工程S10の後に得られる粗粉B1Cに対しても、水洗工程が実行されてもよい(水洗工程S40a)。この場合、図11に示すように、製造システム1は、分級後の粗粉B1Cを水洗するための水洗設備40aを備えるものとしても構わない。粗粉B1Cに対する水洗工程S40aの実行に際しては、上述した細粉B1Fに対する水洗工程S40と同様の方法が利用できる。この粗粉B1Cに対して水洗した後に得られる脱水物Ck1が、投入工程S20においてセメント混練体Cn3の製造時に細骨材FAの一部代替材料として投入される。
上述したように、粗粉B1Cについては細粉B1Fと比べて塩素含有率が低下しているものの、この実施形態のように水洗工程S40aを施すことによって、更なる塩素含有率の低下が期待される。
なお、図12に示すように、水洗工程S40aと共に、酸化工程S51a及び未燃カーボン除去工程S52aが実行されるものとしても構わない。酸化工程S51a及び未燃カーボン除去工程S52aは、それぞれ上述した酸化工程S51及び未燃カーボン除去工程S52と同様の方法を利用できる。
水洗工程S40aが工程(c)に対応し、酸化工程S51aが工程(d)に対応し、未燃カーボン除去工程S52aが工程(e)に対応する。
〈2〉図10に示す処理フローにおいて、分級工程S10と水洗工程(S40,S40a)とが並行的に実行されても構わない。この場合には、製造システム1として、水洗機能が搭載された分級設備20(40)が備えられる(図13参照)。この場合には、湿式分級機が好適に利用される。
更に、分級前の原灰(バイオマス灰B1)に対して水洗工程S40を行った後、分級工程S10を行っても構わない。この場合、分級工程S10は湿式による分級が採用される。
[第三実施形態]
セメント混練体及びセメントの製造方法の第三実施形態について、第一実施形態及び第二実施形態と異なる箇所を中心に説明する。図14は、本実施形態における製造方法の処理フローを模式的に示す図面である。図15は、本実施形態の製造方法を実施する製造システム1を、図2にならって模式的に示すブロック図である。図15に示す本実施形態の製造システム1は、第一実施形態と比較して、分析設備61及び粉砕設備62を備える点が異なる。
(分析工程S61)
分級工程S10で得られた粗粉B1Cが、分析設備61において分析され、非晶質の割合が計測される。この計測は、得られた粗粉B1Cから抽出された一部に対して行われるものとしても構わない。分析設備61は、X線回折装置及び演算処理装置を含み、計測方法としては、X線回折の測定結果をリートベルト解析により算定する方法(XRD-リートベルト法)が好適に利用できる。
(粉砕工程S62)
第一実施形態で上述したように、分級工程S10で得られた粗粉B1Cは、典型的には非晶質の割合が60質量%以下である。この非晶質の割合は、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。しかしながら、バイオマス灰(原灰)B1の性状によっては、分級工程S10で得られた粗粉B1Cの非晶質の割合が比較的高くなる場合も考えられる。
分析工程S61における分析結果に基づき、粗粉B1Cの非晶質の割合が基準値よりも高い場合には、粉砕設備62によって粉砕される。粉砕設備62は、粉砕設備31と同様の設備を利用できる。
非晶質の割合が基準値を上回る粗粉B1Cを、セメント混練体Cn3の製造時に細骨材FAの一部代替材料として利用されると、セメント混練体Cn3がアルカリシリカ反応を生じさせる可能性がある。一方で、この粗粉B1Cは、バイオマス灰B1を分級後に得られたものであり、カルシウム、硫黄、塩素、及び炭素の含有率が低く、石炭灰の組成に近い。このため、セメントクリンカCn1の原料やセメントCn2の製造時の混合材として活用できる。
粗粉B1Cはそのままでは粒径が大きいため、粉砕工程S62で粉砕された後、得られた粉砕粗粉B2CがセメントCn2の製造工程で投入される。この粉砕工程S62が工程(g)に対応し、粉砕粗粉B2CをセメントCn2の製造過程で投入する工程S30が工程(f2)に対応する。
ただし、粗粉B1Cが粉砕設備31に投入される場合には、粉砕設備62は必ずしも不要である。なお、粗粉B1CをセメントクリンカCn1の原料とする場合は、粉砕設備62は、クリンカ製造設備10における原料粉砕機としてもよい。
[別実施形態]
上記実施形態では、バイオマス灰B1を分級した後に得られる粗粉B1Cと細粉B1Fの双方を、セメントCn2又はセメント混練体Cn3の製造に利用する場合について説明した。しかし、バイオマス灰B1を分級後に得られた粗粉B1Cが、少なくともセメント混練体Cn3の製造時に利用される場合、本発明の射程範囲である。言い換えれば、細粉B1Fについては他の用途に利用されても構わない。
[検証1]
パーム椰子殻を燃料にして循環流動床炉による発電を実施しているバイオマス発電施設P1から焼却飛灰BA-1(粒度D50が47.2μm、975℃における強熱減量(ig.loss)が4.17%)を入手し(バイオマス灰B1)、これを分級することによるバイオマス灰の成分組成に与える影響を検討した。パーム椰子殻と石炭の混合燃料中の石炭の含有率は10質量%であった。なお、この焼却飛灰BA-1の粒度分布(レーザー回析式粒度分布測定装置:マイクロトラック・ベル製MT3300EX IIを利用)は、図3に示した通りである。
《試験方法》
以下、試験方法を説明する。
〈1.分級〉
表1に示す分級点となるように設定された目開きの篩(スピンエアシーブ:セイシン企業製SAR-75/200)を用いてバイオマス灰B1を篩に掛け、篩通過分として細粉B1Fを、篩残分として粗粉B1Cを得た。この処理が分級工程S10に対応する。この分級点は、図3に示した粒度分布に基づいて設定されたものである。試験では、32μm、45μm、及び90μmの3種類の分級点において、それぞれバイオマス灰B1が分級された。なお、以下では、バイオマス灰B1が分級前であることを明確にするために、「原灰B1」と表記することがある。
分級後のバイオマス灰の粒度分布は表1の通りである。なお、表1には、バイオマス発電施設P1とは別のバイオマス発電施設P2から入手した焼却飛灰BA-2に対して、45μmを分級点として分級した後に得られた粗粉B1Cについても併せて示されている。粒度分布は、レーザー回析式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル製MT3300EX II)によって、測定された。
Figure 2022044542000002
〈2.鉱物組成分析〉
焼却飛灰BA-1由来の原灰B1(符号#1)、原灰B1を45μmで分級した粗粉B1C(符号#2)、原灰B1を45μmで分級した細粉B1F(符号#3)、原灰B1を90μmで分級した粗粉B1C(符号#6)、焼却飛灰BA-2由来の粗粉B1C(符号#8)の鉱物組成を、XRD/リートベルト法を用いて測定した。
なお、焼却飛灰BA-1由来の原灰B1(符号#1)については、更に外割で20質量%(含水率16.7質量%)の水を添加した後に20℃で3日間保管し、105℃で乾燥させることで湿灰とした上で、同様の方法で鉱物組成を測定した。このバイオマス灰は「符号#1W」と表記される。更に、この湿灰化された原灰B1(#1W)を45μmで分級した粗粉B1C(「符号#2W」と表記される。)についても同様の方法で鉱物組成を測定した。なお、湿灰化した原灰B1(#1W)を分級するに際しては、エアジェットシーブ(ホソカワミクロン社製、e200LS)が用いられた。
まず、上記各符号(#1,#2,#3,#6,#8,#1W,#2W)に対応するバイオマス灰に対し、内部標準物質としてコランダム(Al23)を内割りで10%添加した試料を用いて、X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス社製D8 ADVANCE A-25)によってX線回折パターンを測定した。X線回折の測定条件は、CuKα線、管電圧50kV、管電流40mA、走査範囲5°~65°(2θ)、ステップ幅0.0234、スキャンスピード0.13sec/stepとした。次に、得られた回折パターンを用いてソフトウェア(ブルカー・エイエックス社製TOPAS Ver.6.0)によりリートベルト解析を行い、鉱物組成の定量結果を得た。
得られた結果のうち、コランダム定量値より、以下の式(1)を用いて非晶質量を算出した。
G = 100・(A-R)/{A・(100-R)/100} …(1)
なお、(1)式において、Gは非晶質量(%)、RはAl233混合率(%)、AはAl23の定量値(%)である。
また、リートベルト解析から得られた定量結果を、コランダムの定量値を除いた組成の合計量が100%となるように標準化した上で、更にこの値から非晶質量を除いた割合で標準化した値をもって、各バイオマス灰(#1,#2,#3,#6,#8,#1W,#2W)の鉱物組成とした。
鉱物組成分析の結果を、表2に示す。
Figure 2022044542000003
表1によれば、#1~#3の対比結果から、分級工程S10によって得られる粗粉B1Cは、細粉B1Fよりも非晶質割合が低下することが確認される。なお、#1Wと#2Wの対比結果によれば、湿灰においても同様に、分級工程S10によって得られる粗粉B1Cは、細粉B1Fよりも非晶質割合が低下することが確認される。
なお、図16は、焼却飛灰BA-1由来の原灰B1の偏光顕微鏡観察画像である。詳細には、原灰B1を抽出してエポキシ樹脂で固めた後、20mm×30mm程度のチップを切り出して厚さ20μm程度の鏡面研磨薄片を作製した。この鏡面研磨薄片を偏光顕微鏡下で観察し、試料を構成する物質を確認した。
図16に示す画像によれば、石英粒子の周囲の一部のみが溶融してガラス化(非晶質化)していることが確認されており、粒径が相対的に大きい粗粉側に含まれる非晶質の割合が低いことが分かる。
〈3.圧縮強度試験,4.アルカリシリカ反応試験〉
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に準拠して、普通ポルトランドセメントと、水、及び細骨材を混合して供試体としてのモルタルを製作し、このモルタルに対して圧縮強度試験を行った。
また、JIS A 1146「骨材のアルカリシリカ反応性試験方法(モルタルバー法)」に準拠して、普通ポルトランドセメントと、水、及び細骨材を混合して供試体としてのモルタルを製作し、このモルタルに対してアルカリシリカ反応性試験を行った。
比較例1は、細骨材として山砂のみが利用された。また、実施例1~5は、細骨材の一部を山砂から上記表2内のバイオマス灰の粗粉B1C(#2,#6,#8)に所定の置換率で置換したものが利用された。試験に利用された山砂NSの性状を表3に示す。実施例1~5及び比較例1における、圧縮強度試験及びアルカリシリカ反応試験の結果を表4に示す。
Figure 2022044542000004
Figure 2022044542000005
表4によれば、焼却飛灰BA-1由来の粗粉B1C(#2,#6)を用いた実施例1~4、及び焼却飛灰BA-2由来の粗粉B1C(#8)を用いた実施例5のいずれにおいても、アルカリシリカ反応性試験の結果が区分Aであり、山砂NSのみを用いた比較例1と同様に、アルカリシリカ反応が生じにくいことが確認される。これは、いずれの粗粉B1C(#2,#6,#8)についても、非晶質の割合が60質量%以下に抑制されていることで、アルカリ金属に対する反応性が低く抑えられていることによるものと考えられる。ただし、実施例1~5の中では相対的に非晶質の割合が高い(48.2%)実施例5においては、モルタルバー法における膨張率が他の実施例よりも高くなっている。
また、同じ分級点(45μm)で分級されて得られた粗粉B1C(#2)の置換率を変えた実施例1~3を対比すると、置換率を高めるほど供試体のモルタルの圧縮強度が高められていることが分かる。これは、置換率が高められたことで、非晶質の量がアルカリシリカ反応を促進しない範囲内で増え、セメントペーストとの反応性が高まってセメントペーストと細骨材との付着強度が高まったことによるものと推察される。D10が110μmを超える実施例4では、他の実施例よりも膨張率と圧縮強度が低い。
〈5.化学組成分析〉
焼却飛灰BA-1由来の原灰B1(#1)、各粗粉B1C(#2,#4)、各細粉B1F(#3,#5)、原灰B1を湿灰化したもの(#1W)、湿灰化した原灰B1(#1W)を45μmで分級した粗粉B1C(#2W)のそれぞれに対し、化学成分を測定した。また、原灰B1を20μmを分級点として分級した粗粉B1C(#9)及び細粉B1F(#10)を得て、これらに対しても同様に化学成分を測定した。更に、原灰B1(#1)及び45μmで分級した細粉B1F(#3)に対しては、以下の方法で水洗処理を施したものを準備し(#1Wp,#3Wp)、同様に化学成分を測定した。
水洗処理の手順は以下の通りである。なお、この水洗処理は工程S40に対応する。
(手順1)バイオマス灰(B1,B1F)100gと水道水400gをビーカーに投入し、スラリーにして、攪拌機にて400rpmで30分間攪拌した。このとき、水洗時にCO2ガスを流入してpH調整を行う場合には、pHメータで液中pHを監視しながら流量を調整した。
(手順2)攪拌を停止後、ブフナーロートを使用して濾別し、得られた濾紙上のケーキに対して更に水道水400gを投入してスラリーを洗浄後、回収した。
(手順3)回収したケーキを自然乾燥後、質量を測定し、各種分析を行った。
化学成分の測定は、以下の方法で行われた。
準備された各試料(#1~#5,#9~#10,#1W,#2W,#1Wp,#3Wp)に対し、蛍光X線装置(リガク社製、ZSX Primus II)を用いて、検量線(石炭灰)法によって化学成分を測定した。また、それぞれの強熱減量(ig.loss)は、JIS R 5202 「セメントの化学分析方法」に準じた方法で測定した。
各試料(#1~#5,#9~#10,#1W,#2W,#1Wp,#3Wp)の化学組成分析結果を表5に示す。
Figure 2022044542000006
表5の結果によれば、乾灰である原灰B1を、粒度分布を頻度で表した場合の細粒側の山と粗粒側の山の間を分級点として分級すると、細粉(B1F)側に塩素成分と硫黄成分(SO3)のほとんどが含まれた。また、これを水洗することで効率的に塩素成分が除去できていることが確認された。このため、特に水洗後の細粉については、セメント混合材として好適であることが分かる。一方、粗粉B1Cは分級を行うのみでも効率的に塩素成分が除去できていることが確認された。
一方、原灰B1を湿灰化したもの(#1W)と、これを45μmで分級した粗粉B1C(#2W)とを対比すると、分級による塩素濃度の低下の程度は低いことが確認される。これは、原灰B1が湿灰化されたことで凝集と水和反応が生じており、生成された水和物に塩素(Cl)分が取り込まれた結果、分級による除去率が低下したものと推定される。原灰B1を湿灰化したもの(#1W)は水和反応が生じており、乾灰である原灰B1よりも強熱減量が増加していた。
〈6.物理試験〉
焼却飛灰BA-1由来の原灰B1(#1)、分級点を45μmとして得られた粗粉B1C(#2)及び細粉B1F(#3)につき、ブレーン比表面積、フロー値比、及び活性度指数を、JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」の附属書Cに準拠した方法で、測定した。更に、粗粉B1C(#2)に対しては細粉B1Fと同等程度の粒度になるようにミルで粉砕し、同様にブレーン比表面積、フロー値比、及び活性度指数を測定した。なお、粗粉B1Cを粉砕して得られた粉砕物(#2C)は、図14内の符号B2Cを模擬したものである。この測定結果を表6に示す。
Figure 2022044542000007
表6によれば、原灰B1を分級して得られた細粉B1Fを混合材として用いた場合は、原灰B1を用いた場合よりも活性度指数が高くなることが確認された。なお、粗粉B1Cについては、ブレーン比表面積が4000cm2/g以上になるまで粉砕を行えば、原灰B1よりも反応性の高いポゾラン混合材として利用できることが明らかとなった。よって、これより非晶質の割合が比較的高い粗粉B1Cを粉砕したものは、より反応性の高いセメントCn2の混合材として活用できることが示唆される。
[検証2]
木質バイオマス(間伐材)を燃料にして循環流動床炉による発電を実施しているバイオマス発電施設P2から飛灰(粒度D50(頻度)が45.3μm、750℃における強熱減量(ig.loss)が2.3%)を入手し、これを水洗すること、及びその水洗の際の酸化工程(特には炭酸化工程)の有無が成分組成に与える影響を検討した。なお、水洗方法については検証1と同様である。
以下の表7は、各水洗条件の水準を示す。
Figure 2022044542000008
《分析》
得られた試料につき、それぞれ以下の方法で分析を行った。
Clの定量:試料を硝酸分解処理した後、電位差滴定法により測定した。
K,Naの定量:試料を酸分解処理した後、ICP発光分光分析法により測定した。
Se,Cr6+の溶出試験:JIS K 0058-1「スラグ類の化学物質試験方法-第1部:溶出試験方法 5.利用有姿による試験」に準拠した方法で検液を作成した後、SeについてはICP質量分析法によって、Cr6+はジフェニルカルバジド吸光光度法によってそれぞれ測定した。
C,Mg,Al,Si,P,S,Ca,Feの定量:40℃乾燥処理を施した試料を蛍光X線装置(FP法:ファンダメンタルパラメータ法)によって測定した。
また、原灰及び得られた試料の炭酸化カルシウム量は、窒素雰囲気中で試料約50mgを昇温速度20℃/分にて1000℃まで昇温したときの600℃~700℃付近の質量減少量を求め、試薬との重量減少との比率により求めた(NETZSCH社製TG-DTA 2000SRを利用)。また、焼原灰と得られた試料の水酸化カルシウム量は、窒素雰囲気中で試料約50mgを昇温速度10℃/分にて1000℃まで昇温したときの400℃付近の吸熱量を求め、試薬との重量減少との比率により求めた(NETZSCH社製 DSC404F3を利用)。
測定結果を表8及び表9に示す。
Figure 2022044542000009
Figure 2022044542000010
表8によれば、原灰を水洗することにより塩素のほとんどが有効に除かれ、混合材として用いた場合のセメントを水硬化した後、鉄筋等への腐食作用のおそれがないと評価される許容基準の0.035質量%以下を満たすことが確認された。つまり、水洗後のバイオマス灰を分級した場合、細粉側及び粗粉側の双方にも塩素がほとんど含まれないことが分かる。
また、表8によれば、原灰に含まれる水溶性セレンや六価クロムも水洗により有効に除かれており、混合材として用いた場合の重金属類の溶出のおそれが低減することが明らかとなった。
表9に示すように、このバイオマス灰は、SiO2やCaOが主要な構成成分であり、反応性の高いポゾラン混合材として有用であることが明らかとなった。
水準2-2の結果によれば、CO2ガスを吹き込みながら水洗を行うことで、水洗後のバイオマス灰のCO2含有率が上昇することが明らかとなった。よって、pH調整のための成分は、水洗の操作後にはその少なくとも一部が灰中に固定化され、炭酸カルシウムが生成されたものと考えられる。また、CO2ガスを吹き込みながら水洗を行うことで、水酸化カルシウムが消失していた。表9において、水酸化カルシウムの含有量が0.01%未満であることは、検出限界未満であることを意味している。
下記表10には、XRD法により灰中のカルシウム成分の存在形態を調べた結果を示す。
Figure 2022044542000011
表9及び表10によれば、原灰ではカルシウム成分の形態として、CaO(生石灰)、Ca(OH)2(消石灰)、CaCO3(炭酸カルシウム)、CaSO4(石膏)の各Ca化合物の存在が確認された。これに対して、pH調整せずに水洗した水準2-1では、CaO(生石灰)の存在は消失し、Ca(OH)2(消石灰)の存在の減少が確認された。また、CO2ガスを吹込みながらpH9の条件で水洗した水準2-2では、CaO(生石灰)とCa(OH)2(消石灰)の存在が消失し、炭酸カルシウムが増加したことが確認された。
[検証3]
木質ペレットおよびパーム椰子殻を燃料にしてストーカ炉による発電を実施しているバイオマス発電施設P3から焼却飛灰(粒度D50(頻度)が20.0μm、750℃における強熱減量(ig.loss)6.1%)を入手して、検証と同様の試験を行った。その結果を表11及び表12に示す。なお、水準3-2では、水洗時にpH調整のための硫酸が添加されている。
Figure 2022044542000012
Figure 2022044542000013
表11によれば、検証2と同様に原灰を水洗することにより塩素のほとんどが有効に除かれ、混合材として用いた場合のセメントを水硬化した後、鉄筋等への腐食作用のおそれがないと評価される許容基準0.035質量%以下を満たすことが確認された。つまり、水洗後のバイオマス灰を分級した場合、細粉側及び粗粉側の双方にも塩素がほとんど含まれないことが分かる。
表12によれば、このバイオマス灰は、SiO2やCaOが主要な構成成分であり、反応性の高いポゾラン混合材として有用であることが明らかとなった。更に、硫酸を添加して水洗を行うことでSO3含有率が上昇することが明らかとなった。よって、pH調整のための硫酸成分は、水洗の操作後にはその少なくとも一部が灰中に固定化されているものと考えられる。
1 :製造システム
3 :原料槽
5 :粉体貯槽
10 :クリンカ製造設備
11 :プレヒータ
12 :セメントキルン
13 :クリンカクーラ
20 :分級設備
31 :粉砕設備
33 :混合設備
40,40a :水洗設備
42 :液体供給装置
43 :粉体溶解槽
44 :スラリー攪拌装置
46 :固液分離装置
47 :搬送装置
49 :水洗浄装置
51 :ガス供給装置
52 :脱未燃炭素剤供給装置
53 :浮遊選鉱装置
61 :分析設備
62 :粉砕設備
B1 :バイオマス灰(原灰)
B1C :粗粉
B1F :細粉
B2C :粉砕粗粉
Ck1 :脱水物
Cn1 :セメントクリンカ
Cn2 :セメント
Cn3 :セメント混練体
D1 :脱未燃炭素剤
FA :細骨材
G1 :CО2含有ガス
Lr1,Lr2,Lr2a,Lr2b :スラリー
W1,W2,W3 :水
W4 :排水
Y1 :セメントクリンカ原料

Claims (16)

  1. 粒度分布の累積体積百分率が10%の値(D10)が35μm以上であることを特徴とする、バイオマス灰粉粒物。
  2. 塩素(Cl)の含有率が0.1質量%以下の化学組成を示すことを特徴とする、請求項1に記載のバイオマス灰粉粒物。
  3. 非晶質の含有率が60質量%以下の粉粒物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバイオマス灰粉粒物。
  4. セメント硬化物用の細骨材の置換用途に利用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオマス灰粉粒物。
  5. セメント及び細骨材を含んでなるセメント混練体であって、
    前記細骨材の5質量%~40質量%が、請求項1~4のいずれか1項に記載の前記バイオマス粉粒物で構成されていることを特徴とする、セメント混練体。
  6. バイオマス灰を粗粉と細粉に分級する工程(a)と、
    前記工程(a)で得られた前記粗粉を、粉砕することなくセメント及び水に混合する工程(b)とを有することを特徴とする、セメント混練体の製造方法。
  7. 前記工程(a)は、30μm~100μmの範囲内の基準値を分級点として分級する工程であることを特徴とする、請求項6に記載のセメント混練体の製造方法。
  8. 前記工程(a)で得られた前記粗粉は、塩素(Cl)の含有率が0.1質量%以下であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のセメント混練体の製造方法。
  9. 前記工程(b)は、非晶質の割合が60質量%以下を示す前記粗粉をセメント及び水に混合する工程であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のセメント混練体の製造方法。
  10. 前記工程(b)は、前記粗粉と共に調整用粉体を混合することで、前記粗粉及び前記調整用粉体の混合物内における非晶質の割合が60質量%以下を示すように調整された状態で、セメント及び水に混合する工程であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のセメント混練体の製造方法。
  11. 前記工程(a)で得られた前記粗粉を水洗する工程(c)を有し、
    前記工程(b)は、前記工程(c)によって水洗された後の前記粗粉を混合する工程であることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載のセメント混練体の製造方法。
  12. 前記工程(c)の実行中又は前記工程(c)の実行後に、前記バイオマス灰を酸化処理する工程(d)を有することを特徴とする、請求項11に記載のセメント混練体の製造方法。
  13. 前記工程(c)の実行中に、前記バイオマス灰に含まれる未燃カーボンを除去する工程(e)を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載のセメント混練体の製造方法。
  14. 前記工程(a)で得られた前記細粉を、セメントキルンに投入されるセメントクリンカ原料、前記セメントキルンから得られたセメントクリンカ、又は前記セメントクリンカに対する粉砕処理後に得られるセメント、の少なくともいずれかに対して投入する工程(f1)を有することを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載のセメント混練体の製造方法。
  15. 前記工程(a)の実行前又は実行後に前記バイオマス灰を水洗する工程(c)を有し、
    前記工程(f1)は、前記工程(c)によって水洗された後の前記細粉を投入する工程であることを特徴とする、請求項14に記載のセメント混練体の製造方法。
  16. 前記工程(a)で得られた前記粗粉のうち、非晶質の割合が60質量%を超える前記粗粉を粉砕する工程(g)を有し、
    前記工程(g)で粉砕された前記粗粉を、前記セメントクリンカ原料、前記セメントクリンカ、又は前記セメントクリンカに対する粉砕処理後に得られたセメント、の少なくともいずれかに対して投入する工程(f2)を有することを特徴とする、請求項14又は15に記載のセメント混練体の製造方法。
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