JP2024032602A - ウォラストナイト含有焼成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物を利用して、セメント、コンクリート等の水硬性組成物に配合する材料などとして有用なウォラストナイト含有素材を提供する。【解決手段】ケイ酸質原料にCa源とCl源とを調合する原料調合工程と、前記原料調合工程を経て得られた原料調合物を焼成してウォラストナイト(CaSiO3)を形成させる鉱物形成工程とを含む、ウォラストナイト含有焼成物の製造方法である。そのケイ酸質原料としては、バイオマス灰や建設発生土など、アルカリ金属を難水溶性の状態で含む原料組成物を用いることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント等に配合する材料などとして利用されるウォラストナイト含有素材に関する。
ケイ酸塩鉱物として知られるウォラストナイト(CaSiO)は、樹脂、塗料、建材、ゴム、セラミックなど多くの分野に利用されている。なかでも、セメント系建材や炭酸化養生コンクリートでは、二酸化炭素と反応して強度発現するため、硬化材として有用であり、また、その際に二酸化炭素が吸収/固定されることから、CO削減の面からも注目されている(非特許文献1参照)。
一方、近年、再生可能エネルギーの普及に向けた諸般の取り組みにより、バイオマス発電設備の建設・運開ラッシュとなっている。バイオマス発電で発生する燃焼灰(バイオマス灰)の発生量も増大しており、これらを、都市ゴミで発生する焼却灰と同様に、セメント原料などとして資源化することが望まれている。また、建設工事にともなって排出される土砂についても、そのような建設発生土を有効に活用して処理することが望まれている。
兵頭 他「炭酸化によるセメント系材料のCO2吸収固定」太平洋セメント研究報告第179号(2020)第15-30頁
従来、バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物を利用してケイ酸塩鉱物を人造する技術については、知見に乏しいところがあった。
本発明の目的は、セメント等に配合する材料などとして有用なウォラストナイト含有素材を、バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物を利用して効率的に製造する技術を提供することにある。
上記課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討したところ、バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物を原料にして、これにCa源とCl源とを調合したうえ焼成の処理を施すことにより、ケイ酸塩鉱物として知られるウォラストナイト(CaSiO)が効率的に形成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおり構成を備えたものである。
[1]ケイ酸質原料にCa源とCl源とを調合する原料調合工程と、前記原料調合工程を経て得られた原料調合物を焼成してウォラストナイト(CaSiO)を形成させる鉱物形成工程とを含む、ウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[2]前記ケイ酸質原料としてアルカリ金属を難水溶性の状態で含む原料組成物を用いる、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法
[3]前記ケイ酸質原料としてアルカリ金属をケイ酸塩鉱物の構成元素として含む原料組成物及び/又はアルカリ金属を非晶質シリカに包埋した状態で含む原料組成物を用いる、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[4]前記Ca源として製紙汚泥、ペーパースラッジ焼却灰、下水汚泥焼却灰、生コンスラッジ、塩素バイパスダスト水洗残渣、副産消石灰、石灰石、生石灰、及び消石灰からなる群から選ばれた1種又は2種以上を用いる、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[5]前記Cl源として塩素含有可燃性廃棄物及び無機塩素化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上を用いる、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[6]前記原料調合物の水硬率が0.2~1.0であり、且つ、前記ケイ酸質原料に含まれるKモル量に対する前記Cl源のClモル量がCl/K比0.5~4となるよう該Cl源を調合する、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[7]前記原料調合物を900℃~1,300℃で焼成する、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[8]前記鉱物形成工程を経て得られた焼成物を更に水洗及び/又は分級して、前記ウォラストナイト含有焼成物となす、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[9]前記ケイ酸質原料は、前記原料調合工程に供する前にあらかじめ粉砕及び/又は分級し、前記原料調合工程に供する、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[10]前記原料調合物は、前記焼成工程に供する前にあらかじめ粉砕及び/又は分級し、前記焼成工程に供する、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
[11]前記鉱物形成工程における焼成によって排出される排ガスから塩素を回収し、前記Cl源として再利用する、上記[1]記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
本発明によれば、バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物を原料として利用した工程により、セメント等に配合する材料などとして有用なウォラストナイト含有素材を効率的に製造することができる。
本発明の一実施形態を説明するフロー図である。 本発明の他の実施形態を説明するフロー図である。 試験例1で行った水準1、水準2、水準7、水準9(加熱温度は1,200℃、Cl/K比は2で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。 試験例1で行った水準5~8(水硬率(HM)は0.54、Cl/K比は2で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。 試験例1で行った水準3、水準4、水準7(加熱温度は1,200℃、水硬率(HM)は0.54で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。 試験例1で行った水準7、水準10(加熱温度は1,200℃、水硬率(HM)は0.54で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)濃度の処理前及び処理後の濃度の結果をグラフにして示す図表である。 試験例2で行った水準1、水準5、水準8(加熱温度は1,000℃、Cl/K比は2で統一)ならびに水準2、水準7、水準9(加熱温度は1,200℃、Cl/K比は2で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。 試験例2で行った水準5~7(水硬率(HM)は0.54、Cl/K比は2で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。 試験例2で行った水準3~5(加熱温度は1,000℃、水硬率(HM)は0.54で統一)の結果について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す図表である。
図1には、本発明の一実施形態を説明するフロー図が示される。この実施形態に示されるように、本発明は、ケイ酸質原料にCa源とCl源とを調合し、その原料調合物に焼成の処理を施すことにより、ケイ酸塩鉱物として知られるウォラストナイト(CaSiO)を形成させ、そのように形成させたウォラストナイトを含有する焼成物を得るものである。ケイ酸質原料や焼成前の原料調合物には、任意に粉砕及び/又は分級の処理を施してもよい。また、焼成後の焼成物は、任意に水洗及び/又は分級の処理を施して、これを本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物となしてもよい。焼成は、バッチ式の電気炉のほか、内熱式又は外熱式のロータリーキルン(この場合、連続式に処理し得る)等、適宜、慣用の手段を利用することができる。例えば、ロータリーキルンの場合、Ca源やCl源を調合する手段を兼ねることができる。
図2には、本発明の他の実施形態を説明するフロー図が示される。この実施形態では、焼成によって排出される排ガスにはガス化した塩素が含まれているのでその塩素を回収して、Cl源として再利用するようにしている。
具体的に、焼成キルン等の装置では、所定の抽気装置を通じて排ガスを抽気することができるので、この排ガスをサイクロン型エアセパレータ、バグフィルタ等の固気分離装置にかけて、KCl、NaCl等を含んでなるアルカリダストとガスに分離する。このガス中には、HO、CO、NなどともにHCl、Cl等の塩素ガスが含まれているので、これを排ガス処理剤としてCa(OH)などと反応させ、CaClOH、CaCl等として無害化させて、再度サイクロン型エアセパレータ、バグフィルタ等の固気分離装置にかけて、粉体とガスに分離する。得られた粉体中には、無害化させた塩素がCaClOH、CaCl等として回収されるので、これをケイ酸質原料と調合するためのCl源として再利用することができる。また、粉体には、一部未反応のCa(OH)が残る場合があるが、これはケイ酸質原料に調合するCa源として、同様に使用可能である。なお、焼成キルン等の装置から抽気した抽気ガスを固気分離したときに生じるアルカリダストは、別途、水洗して、残渣を原料として利用することもできる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」の記述は、特にことわりがない場合には、全体質量中に存在する質量換算での内割り百分率であるものとする。また、数値範囲の「~」の記述は、特にことわりがない場合には、以上から以下を表し、両端の数値を含むものとする。
〔1.焼成の原料〕
<ケイ酸質原料>
本明細書において「ケイ酸質原料」とは、通常、当業者に理解される意義と同義である。すなわち、ウォラストナイト(CaSiO)を形成させるためSiO源を含む原料であればよい。
ケイ酸質原料としては、アルカリ金属を難水溶性の状態で含む原料組成物を用いることが好ましい。具体的には、アルカリ長石等、K、Na等のアルカリ金属をケイ酸塩鉱物の構成元素として含む原料組成物や、カリウムガラス等、K、Na等のアルカリ金属を非晶質シリカに包埋した状態で含む原料組成物が挙げられる。より具体的には、例えば、バイオマス灰や建設発生土などの廃棄物であり得る。建設発生土としては、具体的には、例えば、建設現場や工事現場等で副次的に発生する土壌、土砂、残土、廃土壌、建設汚泥などで得あり得る。また、火山灰などの火山由来物、珪石、粘土なども使用し得る。なお、アルカリ金属を難水溶性の状態で含むとは、ケイ酸質原料を水洗しても除かれない状態で含まれていることをいう。
ケイ酸質原料は、任意に粉砕及び/又は分級の処理を施して、所定粒度に調整して用いてもよい。そのブレーン比表面積としては、例えば、1,000cm/g~8,000cm/gであり得、2,000cm/g~5,000cm/gであり得る。このような粒度調整によれば、ウォラストナイト(CaSiO)を形成させるための反応性が高められる。粉砕手段は、特に限定されるものではなく、ボールミル等の慣用の装置を使用することができる。分級手段は、特に限定されるものではなく、回転羽根付きの遠心式空気分級機等の慣用の装置を使用することができる。
以下、本発明に用いるケイ酸質原料としてバイオマス灰について、更に詳細に説明する。
<バイオマス灰>
本明細書において「バイオマス灰」とは、通常、当業者に理解される意義と同義である。すなわち、動植物に由来する有機物である資源(ただし、化石資源を除く)からなるバイオマスを、焼却又は燃焼させたあとに残る灰のことである。典型的に、例えば、草木竹の焼却灰、食品残渣の焼却灰などが挙げられる。また、バイオマスを石炭と混合して燃焼して得られる燃焼灰であってもよい。バイオマスの有効活用を促進する観点からは、バイオマス灰中に含まれるバイオマスに由来する灰の割合は、好ましくは50質量%~100質量%であり、より好ましくは60質量%~95質量%であり、特に好ましくは70質量%~90質量%である。
バイオマス灰としては、草木竹の燃焼灰のなかでも、パーム椰子殻を燃料として得られたパーム椰子殻灰(PKS灰)が好適に例示される。パーム椰子殻はパーム油生産の副産物であり、天然バイオマス・エネルギー産業で主に使用されている。パーム椰子殻は、灰分の少ない黄褐色の繊維状物質で、その粒径は5mm~40mm程度であり、発熱量は4,000kcal/kg程度であるため、近年では、再生可能資源を用いたエネルギー生産において、バイオマス発電の燃料としての利用が増えている。
バイオマスを焼却又は燃焼する態様としては、特に限定されるものではなく、例えば、ストーカ式の燃焼炉を用いた方法、流動床式の燃焼炉を用いた方法などであってよい。なかでも、流動床式の燃焼炉では、燃焼炉内で脱硫を行う目的で石灰石が投入されるため、カルシウム分や硫黄分が含まれており、バイオマス灰中では主に石膏(CaSO・2HO)の形態として含まれている。焼成によりウォラストナイト(CaSiO)が形成される際には、これがCa源としても作用する。また、流動床式の燃焼炉の飛灰であれば、粒度が細かく粉砕や混合が容易であり、易焼成性が高い。よって、バイオマス灰として、流動床式の燃焼炉の飛灰を用いることが好ましい。流動床式の燃焼炉の例としては、循環流動床式の燃焼炉、加圧式流動床式の燃焼炉などが挙げられる。
<バイオマス灰の前処理>
バイオマス灰は、流動床式の燃焼炉等の設備が備わるバイオマス発電施設などから入手して、それをそのまま用いてもよく、必要に応じて、分級や水洗などの前処理を施したうえで用いてもよい。
・分級
本発明においては、次のような理由から、原料バイオマス灰を分級してその細粉を用いることが好ましい。
流動床式の燃焼炉の設備では、流動媒体として、石英を主成分とした砂が投入される。このため、バイオマス灰には、溶融固化又は凝集したガラス、砂由来の粒子(比較的粗い粒子)、及び、前述の石灰石由来又はバイオマス由来であってアルカリ金属及び塩素が含まれる粒子(比較的細かい粒子)が含まれている。よって、流動床式の燃焼炉等の設備が備わるバイオマス発電施設などから入手したバイオマス灰には、その粒度分布において、粒径が小さい側のピークと、粒径が大きい側のピークとが存在し、その間で任意に選択した粒径を分級点として、バイオマス灰を粗粒分と細粒分とに分別し、採取することができる。
一般に、流動床式の燃焼炉等の設備から回収されるバイオマス灰のブレーン比表面積は典型的に、例えば、1,000cm/g~4,000cm/gであり、より典型的には1,500cm/g~3,500cm/gであり、更により典型的には2,000cm/g~3,000cm/gである。この原料バイオマス灰を分級して細粉分を採取すると、そのブレーン比表面積は、典型的に、例えば、2,500cm/g~7,000cm/gであり、より典型的には3,000cm/g~6,000cm/gであり、更により典型的には4,000cm/g~5,000cm/gである。一方、細粉分を採取したあとに残る粗粉分のブレーン比表面積は、典型的に、例えば、250cm/g~2,000cm/gであり、より典型的には500cm/g~1,500cm/gであり、更により典型的には750cm/g~1,250cm/gである。
原料バイオマス灰を分級して得られる細粉にはCaOが比較的多く含まれており、ウォラストナイト(CaSiO)の形成に必要なCa源とSiO源とのバランスがよい。また、粉末度が高く、粉砕しなくても易焼成性が高いために相対的に低温の焼成温度、または短い焼成時間でウォラストナイトが生成される。一方で、塩素分や硫黄分が比較的多く含まれているが、必要に応じて後述する水洗の処理により除去してもよいし、あるいは、それらは含有量によっては焼成時に揮発除去され得る。
一方、原料バイオマス灰を分級して得られる粗粉は、ケイ素分が多く、塩素分や硫黄分が少ないため、一般的なセメントクリンカ原料、特に粘土や石炭灰の代替原料として好適に使用される。なお、セメント混合材やコンクリート混和材、ALC・ケイ酸カルシウム板のケイ酸質材料として用いる場合は、粉砕して、反応性を高めるとよい。また、粗粉を粉砕せずにコンクリートやモルタル、炭酸化硬化体の細骨材(砂)として用いることもできる。
以上のように、バイオマス灰は、分級により分別される成分の特徴を生かして、より合理的に資源化することができる。すなわち、原料バイオマス灰を分級して得られた細粉については、焼成によりウォラストナイトを形成させるための原料に使用するとよく、その分級により得られた粗粉については、コンクリート用骨材、コンクリート混和材、セメント混合材、セメントクリンカ原料等、水硬性組成物による硬化体の材料として使用するとよい。また、細粉から焼成によりウォラストナイトを形成させて得られた焼成物については、必要に応じて、粒度を調整したり、塩素分や硫黄分除去したりしたうえ、こちらもコンクリート用骨材、コンクリート混和材、セメント混合材等、水硬性組成物による硬化体の材料として利用することができる。この場合、細粉からの材料と粗粉からの材料とを、共に共通する硬化体の材料として利用すると、製造する硬化体あたりに占める原料バイオマス灰からの資源化率が高められ、より効率的である。例えば、細粉を原料として得られた焼成物を水硬性組成物の材料として、これを使用して硬化体を得、一方で粗粉をその硬化体の骨材あるいは粉砕して混合材(混和材)として使用するなどである。
原料バイオマス灰を分級して細粉と粗粉に分別する場合、その分級点としては、上記したような成分の分離の観点から、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは30μm~90μm、特に好ましくは38μm~75μmの範囲内において任意に選択することができる。
分級手段としては、バイオマス灰を上述したようなμmオーダの分級点で分級できる手段であればよく、特に限定されないが、例えば、ふるい、重力沈降、慣性分級装置、遠心分級装置、重力式分級装置などが挙げられる。なかでも、分級精度の観点から、サイクロン型エアセパレータ、渦流型遠心分級装置、ふるい分け装置などが好ましい。
なお、分級を湿式で行うと塩素が水に溶解するため、比較的塩素分の多い細粒についても、その塩素がほとんど除かれたものになる。
また、流動床式である焼却炉には、ボイラ、空気予熱器、高温ガス流路などに沈降した焼却灰を回収するための設備、サイクロンによる焼却灰回収設備、バグフィルタによる焼却灰回収設備などが備えられている場合がある。これら回収設備で回収された焼却灰の粒度は、回収設備毎に異なり、特定の回収設備からは特定の粒度のバイオマス灰を回収することができる。このため、原料バイオマス灰を分級する代わりに、上記設備を適宜選択してバイオマス灰を回収することにより、所望する粒度を有するバイオマス灰を準備するようにしてもよい。
・水洗
本発明の限定されない任意の態様においては、原料となるバイオマス灰は、水洗の処理を施してから用いてもよい。その水洗処理により、塩素分、硫黄分、カリウム分など、セメント、コンクリート等の水硬性組成物に配合する材料として忌避される成分を除去することができる。
水洗処理の方法は、特に限定されるものではなく、慣用の方法によればよい。例えば、国際公開第2021/193668号公報に記載のバイオマス灰の処理方法などを、次に説明するように適宜参照し得る。ただし、水洗処理の方法としては、以下に説明する具体例に限らないことは勿論である。
その処理方法としては、例えば、バイオマス灰に水を加えてスラリーにするスラリー化工程と、そのスラリーを水洗する水洗工程と、その水洗後のスラリーを脱水する脱水工程を備えている。スラリー化は、バイオマス灰と水を収容するための容器と、それらを混合してスラリーとなすための攪拌手段を少なくとも備えた粉体溶解槽を使用して行い得る。水洗は、スラリーを所定時間静置又は攪拌することによりなされる。これにより、バイオマス灰の溶解性成分がスラリーの液相に溶出した状態のスラリーとなる。その状態のスラリーを粉体溶解槽から排出して、フィルタープレス等の固液分離装置で脱水する。
上記スラリー化工程におけるバイオマス灰(M1とする)と水(W1とする)との質量比(W1/M1)は、4~10が好ましく、4~7がより好ましく、4~5が特に好ましい。質量比(W1/M1)が4よりも小さいと、バイオマス灰からの塩素等のセメント忌避成分の溶出が不十分となるなど、改質効果が不十分となる場合がある。また、質量比(W1/M1)が10よりも大きいと、排水の量が多くなってしまう。
水洗工程の所要時間は、バイオマス灰を水で十分に処理するため、30分間以上とすることが好ましく、45分間以上がより好ましい。また、温度条件は、高い程、バイオマス灰からの塩素等の忌避成分の溶出効率がよくなるが、処理に係るコストの観点からは、5℃~50℃とすることが好ましく、25℃~50℃がより好ましい。
脱水工程においては、スラリー中に含まれる塩素等の忌避成分が液相と共に残留することを防ぐため、脱水物の水分は20質量%~90質量%とすることが好ましく、30質量%~70質量%とすることがより好ましい。また、必要に応じて、脱水物に新たに水を加えて再度脱水する。これによれば、スラリーの液相がほとんど水に置き換わるので、より好ましい。
上記処理方法において、好ましくは、水洗の際のpHを強アルカリ性側から弱アルカリ性~酸性側に調整する。すなわちpHを低減させることで、pH調整しない場合に比べて、塩素をより効率よく除くことができる。pH調整剤としては、スラリーのpHを低減することができるものであれば特に制限はない。例えば、酸溶液、CО含有ガス等が挙げられる。すなわち、例えば、セメント製造設備のロータリーキルンの燃焼排ガスやバイオマスの焼却設備やバイオマス発電所の燃焼排ガスには二酸化炭素(CO)が含まれているので、その燃焼排ガスをスラリーに吹込むことにより、pHを弱アルカリ性に低減することができる。CО含有ガスは二酸化炭素が含まれていればよいが、効率的な炭酸化を促すためには、二酸化炭素濃度は10体積%以上が好ましく、20体積%がより好ましい。また、燃焼排ガスのなかでも、特にセメント製造設備の塩素バイパスダストを捕集後のガスには硫黄酸化物(SOx)などの有害ガスが含まれるので、これを固定化する効果も期待できる。
スラリーの水洗の際のpH条件としては、pH4~12.5であることが好ましく、pH5~12であることがより好ましい。
・乾燥灰
本発明の限定されない任意の態様においては、原料バイオマス灰として乾燥灰を用いてもよい。乾燥灰とは、一度も水を噴霧されたことがなく、粒状になっておらず、水和物を生成していない灰のことをいう。これに対して、一度水を噴霧され、粒状になったり、生成した水和物に塩素が取り込まれたりすると、上述したようにして分級、あるいは水洗の処理により特徴的な成分を分別することが困難となる場合がある。よって、原料バイオマス灰として乾燥灰を用いて、上述したような分級の処理とともに水洗の処理を行うような場合には、分級の処理を水洗の処理を施す前に行って、例えばその細粉を得、これを水洗するようにすることが好ましい。
乾燥灰としては、例えば、粉末X線回折法により水和物であるフリーデル氏塩、またはエトリンガイトが検出されないことが好ましい。また、含水率は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。また、強熱減量が10%以下であることが好ましい。ここで、含水率は、105℃で乾燥した際の質量減少率として求めることができる。また、強熱減量は、105℃で乾燥された対象物を975℃で加熱した際の質量減少率として求めることができる。
<バイオマス灰の組成特性>
以下、ケイ酸質原料とされるバイオマス灰について、これらに限定されないが、典型的な組成特性について説明する。
ケイ酸質原料とされるバイオマス灰中のCaOの割合(強熱原料ベース)は、好ましくは10質量%~40質量%、より好ましくは15質量%~35質量%である。CaOの割合が上記範囲内であれば、ウォラストナイト(CaSiO)の形成に必要なCa源の添加量が少なくなるか、分級を行った際は不要となるため、別途添加設備の追加や添加にかかる薬剤コストを低く抑えることができる。
ケイ酸質原料とされるバイオマス灰のケイ酸率(S.M.)は、好ましくは3.0~20.0、より好ましくは4.0~18.0、更に好ましくは5.0~16.0、特に好ましくは8.0~13.0である。ケイ酸率(S.M.)が上記範囲内であれば、SiOに対するAlとFeの合計量を少なく抑えることができるので、ウォラストナイトの生成量をより多くすることができる。したがって、焼成物を水硬性組成物の材料として利用する場合、その強度発現性をより向上させることができる。ここで、ケイ酸率(S.M.)は、SiO量のAlとFeの合計量との比率である。
ケイ酸質原料とされるバイオマス灰中のAlの割合(強熱原料ベース)は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。Alの割合が上記範囲を超えると、焼成により非反応性のメリライト類が多く生成する場合がある。なお、バイオマス灰は一般的な石炭灰に比べてAlの割合が少なく好適である。
ケイ酸質原料とされるバイオマス灰中の非晶質量(アモルファス量)は、ウォラストナイトの生成速度の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、特に好ましくは40質量%以上である。
ケイ酸質原料とされるバイオマス灰中のアルカリ金属の割合(強熱原料ベース)は、酸化物(RO)換算で、好ましくは1.0質量%~5.0質量%、より好ましくは1.5質量%~4.0質量%である。アルカリ金属の割合が上記範囲未満であると、ウォラストナイトの生成速度が遅くなる場合がある。一方、アルカリ金属の割合が上記範囲を超えると、焼成の処理により非反応性の長石類が多く生成したり、焼成中に溶融したり、大塊が発生しやすいために、キルンでの焼成が困難となったりする場合がある。また、焼成物をセメント混合材、コンクリート混和材、コンクリートの骨材として使用する場合に、アルカリ骨材反応が発生するおそれがある。
なお、アルカリ金属(R)の酸化物(RO)換算の割合は、試料中のNaO及びKOの各割合(質量%)から以下の式(1)を用いて算出することができる。
O=NaO+0.658KO ・・・(1)
<焼成用原料調合物>
本発明においては、上記したケイ酸質原料にCa源とCl源とを調合して、焼成用の原料調合物となす。バッチ式に撹拌混合槽にそれぞれの原料を投入して撹拌混合するようにしてもよく、あるいは焼成キルン等の装置であれば、連続式にそれぞれの原料を投入して、調合しつつ、焼成の処理も同一の装置で行うことができる。
Ca源としては、例えば、製紙汚泥、ペーパースラッジ焼却灰、下水汚泥焼却灰、生コンスラッジ、塩素バイパスダスト水洗残渣、副産消石灰等の廃棄物などが好ましく例示される。また、石灰石、生石灰、消石灰等の工業用原料素材を用いてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、Cl源としては、例えば、廃プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル)等の塩素含有可燃性廃棄物が好ましく例示される。また、無機塩素化合物(CaCl、MgCl)等の工業用原料素材を用いてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・他の原料
SiO源として用いることができる他のケイ酸質原料としては、例えば、建設発生土(建設現場や工事現場等で副次的に発生する土壌、土砂、残土、廃土壌、建設汚泥)、火山灰などの火山由来物、珪石、粘土などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。あるいは、場合によっては、上記バイオマス灰を配合せず、これらの建設発生土等のみを用いてもよい。
Ca源として用いることができる他の原料としては、例えば、石灰石、生石灰、消石灰、貝殻、カルシウムを含有する産業廃棄物又は一般廃棄物などが挙げられる。カルシウムを含有する産業廃棄物としては、例えば、生コンスラッジ、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、製鉄汚泥等)、建設廃材、コンクリート廃材、各種焼却灰(例えば、バイオマス灰、石炭灰、鶏糞灰、家畜糞灰、汚泥焼却灰)、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、各種副産物、未利用資源(使用されずに残存した材料等)などが挙げられる。カルシウムを含有する一般廃棄物としては、例えば、下水汚泥乾粉、及び都市ごみ焼却灰などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
焼成用原料調合物には、セメントクリンカの製造に用いられる一般的な原料を、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜含有せしめてもよい。例えば、粘土等のアルミニウム含有原料(Al源)、鉄滓、鉄ケーキ等の鉄含有原料(Fe源)などが挙げられ得る。
焼成用原料調合物は、上述したバイオマス灰や、Ca源、SiO源等の他の原料などを、適宜それらの所定量を混合することにより、調合することができる。また、その際、原料は必要に応じて粉砕を行ってもよい。原料調合の手段は、特に限定するものではなく、例えば、ミキサ等の慣用の装置を使用すればよい。また、粉砕手段としては、例えば、ボールミル等の慣用の装置を使用することができる。
<焼成用原料調合物の組成特性>
以下、焼成用原料調合物について、これらに限定されないが、典型的な組成特性について説明する。
焼成用原料調合物の水硬率(H.M.)は、好ましくは0.2~1.0であり、より好ましくは0.3~0.8、更により好ましくは0.5~0.7である。水硬率(H.M.)が上記範囲内であれば、ウォラストナイトの形成に必要なCa源を確保することができるので、ウォラストナイトの生成量をより多くすることができる。また、焼成物を水硬性組成物の材料として利用する場合、その強度発現性をより向上させることができる。ここで、水硬率(H.M.)は、CaOの量とSiOとAlとFeの合計量との比率である。
焼成用原料調合物は、上記したCl源を、配合するケイ酸質原料に含まれるKモル量に対するClモル量がCl/K比0.5~4となるよう該Cl源を調合することが好ましい。Cl/K比は、好ましくは1~3、より好ましくは2~3である。Cl/K比が上記範囲内であれば、ケイ酸質原料に難水溶性の状態で含まれるアルカリ金属を除き、その過程で、易反応性SiO源を生じさせることができ、ウォラストナイトの生成量をより多くすることができる。一方、Cl/K比が上記範囲を超えるときは、系内に塩素を過剰に投入することになるので、焼成物中に塩素が固溶して残存したり、塩素ガスが過剰に発生して設備を腐食したり、塩素ガスの処理費が増大したり、設備内部に低融点付着物の過剰に生成して閉塞したりするなど、デメリットを生じてしまう場合もある。
焼成用原料調合物は、任意に粉砕及び/又は分級の処理を施して、所定粒度に調整して用いてもよい。そのブレーン比表面積としては、例えば、1,000cm/g~8,000cm/gであり得、2,000cm/g~5,000cm/gであり得る。このような粒度調整によれば、ウォラストナイト(CaSiO)を形成させるための反応性が高められる。粉砕手段は、特に限定されるものではなく、ボールミル等の慣用の装置を使用することができる。分級手段は、特に限定されるものではなく、回転羽根付きの遠心式空気分級機等の慣用の装置を使用することができる。
なお、焼成用原料調合物中のCaOとSiOの質量比(CaO/SiO)は、ウォラストナイトの生成量の観点から、好ましくは0.5~1.2、より好ましくは0.5~1.1、更に好ましくは0.6~1.0、特に好ましくは0.7~0.9である。
焼成用原料調合物のケイ酸率(S.M.)は、好ましくは3.0~20.0、より好ましくは4.0~19.0、更に好ましくは5.0~18.0、更により好ましくは8.0~17.0、特に好ましくは10.0~17.0、最も好ましくは12.0~17.0である。ケイ酸率(S.M.)が上記範囲内であれば、SiOに対するAlとFeの合計量を少なく抑えることができるので、ウォラストナイトの生成量をより多くすることができる。したがって、焼成物を水硬性組成物の材料として利用する場合、その強度発現性をより向上させることができる。
焼成用原料調合物中のAlの割合(強熱原料ベース)は、好ましくは1.0質量%~7.0質量%、より好ましくは1.5質量%~5.0質量%、特に好ましくは2.0質量%~3.0質量%である。Alの割合が上記範囲内であればウォラストナイトの生成量をより多くすることができる。ただし、Alの割合が上記範囲を超えると、焼成により非反応性のメリライト類が多く生成する場合がある。
焼成用原料調合物中のアルカリ金属の割合(強熱原料ベース)は、酸化物(RO)換算で、好ましくは0.3質量%~4.0質量%、より好ましくは1.1質量%~3.0質量%、特に好ましくは1.2質量%~2.5質量%である。アルカリ金属の割合が上記範囲未満であると、ウォラストナイトの生成速度が遅くなる場合がある。一方、アルカリ金属の割合が上記範囲を超えると、焼成の処理により非反応性の長石類が多く生成したり、焼成中に溶融したり、大塊が発生しやすいために、キルンでの焼成が困難となったりする場合がある。また、焼成物をセメント混合材、コンクリート混和材、コンクリートの骨材として使用する場合に、アルカリ骨材反応が発生するおそれがある。
なお、アルカリ金属(R)の酸化物(RO)換算の割合は、上述した式(1)を用いて算出することができる。また、焼成用原料調合物中のアルカリ金属(RO)の割合が高い場合や焼成物中のアルカリ金属を低下させたい場合は、塩素を添加して後述の焼成を行うことにより、アルカリ金属を塩化させて、揮発あるいは生成物の水洗により除去してもよい。
〔2.焼成〕
本発明においては、上記のようにして調製した原料調合物に焼成の処理を施すことにより、ケイ酸塩鉱物として知られるウォラストナイト(CaSiO)を含有する焼成物を得る。
<焼成処理>
焼成処理の条件としては、ウォラストナイトを形成させることができればよく、特に限定されないが、好ましくは900℃~1300℃、より好ましくは1,000℃~1,250℃、更に好ましくは1,100℃~1,200℃の温度条件で行うことができる。
焼成手段は、特に限定されるものではなく、例えば、ロータリーキルン等の慣用の装置を使用することができる。ロータリーキルンを使用して焼成を行う際には、燃料代替廃棄物として、例えば、廃油、廃タイヤ、廃プラスチック等を使用してもよい。
<ウォラストナイト含有焼成物>
上記焼成後の焼成物には、ケイ酸塩鉱物として知られるウォラストナイト(CaSiO)が含まれている。ウォラストナイトには、珪灰石(α型、低温型)や偽珪灰石(β型、高温型)の形態が存在することが知られている。本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物は、それらの一方の形態を単一的に含んでいてもよく、複数の形態を複合的に含んでいてもよい。ウォラストナイトの含有量としては(複数の形態を複合的に含んでいる場合にはその合計として)、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。なお、二酸化炭素吸収性は、偽珪灰石(β型、高温型)の形態のほうがより活性が高い。よって、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を二酸化炭素吸収の目的で用いる場合には、ウォラストナイトのうち偽珪灰石の形態が多くを占めることが好ましく、例えば、ウォラストナイトの形態のうち半分以上を占めることがより好ましい。
上記焼成後の焼成物には、ウォラストナイト以外にも他の鉱物成分が含まれている場合がある。例えば、ランキナイト(3CaO・2SiO)が挙げられる。ランキナイトは二酸化炭素との反応性を有するとともに、その反応による強度発現性を有する。ただし、ウォラストナイト含量を確保する観点からは、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物においては、ランキナイトの含有量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。また、メリライト類が挙げられる。すなわち、オケルマン石成分(CaMgSi)、フェロオケルマン石成分(CaFeSi)、ゲーレン石成分(CaAlSiO)、ソーダメリライト成分(CaNaAlSi)、ハーディストン石成分(CaZnSi)、グギア石成分(CaBeSi)、岡山石成分(CaSiO)、フェリゲーレン石成分(CaFe+2SiO)、及びフェリアルミニウムゲーレン石成分(CaFe+AlSiO)などである。ここで、メリライト類は、二酸化炭素との反応性に乏しく、その反応による強度発現性に乏しい。よって、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物においては、メリライト類の含有量は20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
上記焼成後の焼成物には、中間反応鉱物成分としてラーナイト(2CaO・SiO)が含まれている場合がある。あるいは、未反応鉱物成分として、生石灰、石英、長石類、非晶質相などが含まれている場合がある。ここで、ウォラストナイト含量を確保する観点からは、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物においては、生石灰の含有量は8質量%以下であることが好ましく、石英の含有量は40質量%以下であることが好ましく、長石類の含有量は30質量%以下であることが好ましい。また、非晶質量としては、45質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。
なお、本明細書において「鉱物」とは、地質学的に天然物として形成された鉱物以外にも、上述した焼成の処理などにより形成された、天然鉱物と同様な成分組成、結晶構造を有する人工鉱物をも含む意味である。鉱物成分の形態は、常法に従い、粉末X線回折、顕微鏡観察、電子線後方散乱回折(Electron Backscatter Diffraction:EBSD)等を用いて測定することができる。また、鉱物成分の含有量は、粉末X線回折の場合にはリートベルト法や、顕微鏡観察や電子線後方散乱回折の場合にはポイントカウンティングなどによって測定することが可能である。
<焼成物の後処理>
上記焼成処理により得られた焼成物は、それをそのまま後述するような各種の用途に利用することができる。また、必要に応じて、水洗、分級などの後処理を施したうえ、その後処理後のものを本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物となしてもよい。この場合、後処理は、複数の処理を併用して施してもよい。例えば、水洗後に分級して所定の粒度に調整したりしてよく、あるいは、分級処理の後の所定粒度のものについて、更に水洗の処理を施したりしてもよい。
・水洗
水洗処理により、塩素分、硫黄分、カリウム分など、セメント、コンクリート等の水硬性組成物に配合する材料として忌避される成分を除去することができる。特に、本発明においては、上記焼成後の焼成物には、Cl源として添加した塩素や易水溶性状態のアルカリ金属(KCl、NaCl)が揮散せず残存している場合があるので、水洗を施すことにより、これらを効果的に除去することができる。水洗処理の手段としては、特に制限はなく、上述したバイオマス灰の前処理の際と同様にして、粉体と水を混合するための粉体溶解槽等、周知の手段を使用して行い得る。例えば、水と混合して所定時間静置又は攪拌して、これにより、溶解性成分がスラリーの液相に溶出した状態となるので、その状態で粉体溶解槽から排出してフィルタープレス等の固液分離装置で脱水するなどである。
・分級
分級処理により、その細粉側で回収されたダストには、硫黄分、アルカリ分など、セメント、コンクリート等の水硬性組成物に配合する材料として忌避される成分が偏在しているので、これを除去することができる。また、その細粉側で回収されたダストには、ウォラストナイト含有焼成物も混入しているので、細粉側で回収されたダストのみに水洗処理を施すことによって、易水溶性状態のアルカリ金属を除去(処理)したうえ、水洗処理後の残渣は焼成品として利用することで、水洗処理に供する焼成物の量を大幅に低減し、かつ焼成物中の忌避成分量を低減できることができる。分級処理の手段としては、特に制限はなく、上述したバイオマス灰の前処理と同様にして、例えば、ふるい、重力沈降、慣性分級装置、遠心分級装置、重力式分級装置などが挙げられる。なかでも、分級精度の観点から、サイクロン型エアセパレータ、渦流型遠心分級装置、ふるい分け装置などが好ましい。
〔3.焼成物の用途〕
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物は、必要に応じて粗砕などの粒度調整を行ったうえで、路盤材、埋め戻し材等の土木資材などの用途に利用することが可能である。あるいは、モルタルやコンクリート用の骨材などの用途に利用することも可能である。すなわち、通常、細骨材としては砂などを使用し、粗骨材としては砂利などを使用するが、それらの代わりに利用され得る。
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物は、また、樹脂強化用のフィラー、セメント混合材、コンクリート混和材、ALC・ケイ酸カルシウム板のケイ酸質材料などの用途に利用することも可能である。この場合には、必要に応じて粉砕や分級の処理を施して、適宜粒度を調整して用いるとよい。例えば、ブレーン比表面積が、好ましくは2,500cm/g~10,000cm/g、より好ましくは3,000cm/g~9,000cm/gである。その粉砕時には、既往の石膏や粉砕助剤を添加してもよい。粉砕手段は、特に限定されるものではなく、ボールミル等の慣用の装置を使用することができる。分級手段は、特に限定されるものではなく、回転羽根付きの遠心式空気分級機等の慣用の装置を使用することができる。
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を、上記のように適宜粒度を調整したうえ、セメント混合材、コンクリート混和材などとして用いると、水と混練して硬化させる際において、ブリーディング低減、流動性の向上、水和熱の低減などの効果が期待できる。
また、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を、上記のように適宜粒度を調整したうえ、早強ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントクリンカ、C3A高含有セメント(例えばC3A含量10質量%~15質量%)、又はC3A高含有セメントクリンカ(例えばC3A含量10質量%~15質量%)など、既往のセメント100質量部に対して、外割で、5質量部~25質量部となる量を混合して用いると、普通ポルトランドセメントと同等品質のセメントを得ることができる。
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物は、例えば、ポルトランドセメントなどの既往のセメントと比較したとき、原料として使用する石灰石の量を少なくすることができ、かつ、より低い焼成温度で製造することができるため、後述するようにセメントの代わりに水硬性組成物の材料として用いることで、全体としてセメント製造にかかわる二酸化炭素の排出量をより小さくすることができる。
<水硬性組成物>
上述したように、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物は、セメント、モルタル、コンクリートなどの水硬性組成物の材料として利用することができる。ここで、本明細書において「水硬性組成物」とは、通常、当業者に理解される意義と同義である。すなわち、水と合わせて混練することにより硬化する組成物のことである。通常、そのような組成物は、水と合わせる前の形態としては、粉末状に調製されている。
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を水硬性組成物の材料として用いる場合、必要に応じて粉砕や分級の処理を施して、適宜粒度を調整して用いるとよい。例えば、ブレーン比表面積が、好ましくは2,500cm/g~10,000cm/g、より好ましくは3,000cm/g~9,000cm/gである。上記ブレーン比表面積が2,500cm/g以上であれば、得られる硬化体の強度がより大きくなる。一方で、上記ブレーン比表面積が10,000cm/g以下であれば、製造コストの観点から、粉砕に要するエネルギーをより低く抑えることができる。
粉砕手段は、特に限定されるものではなく、ボールミル等の慣用の装置を使用することができる。分級手段は、特に限定されるものではなく、回転羽根付きの遠心式空気分級機等の慣用の装置を使用することができる。
・セメント
本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を水硬性組成物の材料として用いる場合、その水硬性組成物中には、得られる硬化体の強度をより大きくする観点からは、既往のセメントを含むことが好ましい。そのようなセメントとしては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、エコセメント、速硬セメント、超速硬セメントなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、強度発現性やコストの観点から、普通ポルトランドセメント及び早強ポルトランドセメントの少なくとも1種以上が好ましい。ウォラストナイト含有焼成物を水硬性組成物の材料として用いる場合、例えば、セメント組成物100質量部中において、内割で、5質量部~50質量部であってよく、10質量部~35質量部であってよく、15質量部~25質量部であってよい。また、水硬性組成物より炭酸化硬化体を製造する場合、水硬性組成物中に含まれる上記焼成物の割合は、二酸化炭素の吸収量をより大きくし、かつ、得られる硬化体の強度をより大きくする観点からは、その割合の下限として、例えば、セメント組成物100質量部中において、内割で、20質量部以上であってよく、30質量部以上であってよく、50質量部以上であってよく、75質量部以上であってよい。一方で、脱型を行う際の硬化体の強度をより大きくする、又は、脱型を行う時期をより早くして、硬化体からなる製品の生産効率をより向上する観点からは、上記割合の上限として、例えば、セメント組成物100質量部中において、内割で、95質量部以下であってよく、90質量部以下であってよく、更に好ましくは75質量部以下であってよく、60質量部以下であってよく、50質量部以下であってよい。
なお、上記水硬性組成物は、既往のセメントを含まない態様であってもよく、例えば、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物をそのまま用いてもよい。すなわち例えば、水硬性組成物として、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を100質量%含有するものであってもよい。ただし、そのようにして既往のセメントを含まないか、あるいは少量しか含まない態様で用いる場合、強度発現性等の観点からは、ブレーン比表面積を大きくし、例えば、8,000cm/g~12,000cm/gなどとなるよう粉砕したり、あるいは、水と合わせて混練して硬化させる際に加熱養生したりするなど、これらのうち少なくともいずれか一方を行うことが好ましい。
・石膏
上記水硬性組成物には、硬化前の混練物の流動性や作業性等の観点から、その材料として石膏を配合してもよい。石膏としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然二水石膏、排煙脱硫石膏、リン酸石膏、チタン石膏、フッ酸石膏などが挙げられる。また、石膏の形態の例としては、二水石膏、半水石膏及び無水石膏が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
石膏の配合量は、硬化前の混練物の流動性や作業性等の観点から、水硬性組成物(粉末状)100質量部に対して、外割で、好ましくは1質量部~6質量部、より好ましくは3質量部~5質量部である。
なお、上記水硬性組成物に、その材料として配合する石膏としては、予め粉砕してなる石膏粉末を用いてもよいが、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を粉砕して適当な粒度とする際に、石膏も一緒に粉砕して、その石膏が上記水硬性組成物中に含有されるようにしてもよい。
・アミン類
上記水硬性組成物には、その材料としてアミン類を配合してもよい。アミン類には、二酸化炭素と反応して炭酸イオンの生成を促進する作用があることが知られており、水硬性組成物がアミン類を含む場合、水硬性組成物に含まれるカルシウム成分の炭酸化がより効率よく進行し、後述する炭酸化硬化体の強度を高めることができる。
アミン類としては、分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)などが挙げられる。なお、これらのアミン類は、一般的に粉砕助剤として知られている。また、アミン類として、工場等の排ガスから二酸化炭素を回収するためのアミン系二酸化炭素回収装置から回収される使用済みのアミン類を含む廃液を用いてもよい。すなわち、そのような使用済みのアミン類は、通常、廃液処分とされているが、上記アミン類として使用することで有効に再利用することができる。
アミン類の配合量は、硬化体の炭酸化を速める観点、あるいは、例えば、炭酸化養生を行う場合にその強度発現性を高める観点から、水硬性組成物(粉末状)100質量部に対して、外割で、好ましくは0.002質量部~1質量部、より好ましくは0.01質量部~0.1質量部である。
なお、アミン類は、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を粉砕して適当な粒度とする際の粉砕助剤として使用して、そのアミン類が上記水硬性組成物中に含有されるようにしてもよい。
・その他の材料
上記水硬性組成物には、適宜、必要に応じて他の材料を配合してもよい。他の材料としては、減水剤、消泡剤、収縮低減剤等の各種添加剤や、フライアッシュ、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末等の各種混和材などが挙げられる。また、初期強度を高め、ハンドリングを向上させるために急硬材、硬化促進剤などを配合してもよい。上記水硬性組成物中のその他の材料の割合は、その材料の種類によっても異なるが、典型的に、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下などである。
・石膏やフリーライムの含有量
上記水硬性組成物中の石膏の含有量は、SO換算で、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%~4.0質量%である。石膏の含有量が上記範囲内であれば、硬化前の混練物の流動性がより向上する。
上記水硬性組成物中のフリーライム(遊離石灰)の割合は、後述する炭酸化養生工程における強度発現性の観点から、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは0.2~1.5質量%である。
なお、上記水硬性組成物が、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物以外の材料を配合してなるものである場合、上記石膏や遊離石灰の含有量には、その材料に由来する石膏や遊離石灰が含まれるものとする。
<硬化体>
上記水硬性組成物を水と合わせて混練して硬化させることにより、ウォラストナイト含有焼成物を利用した硬化体を得ることができる。
・水
上記硬化体を得るための水としては、特に限定されず、水道水、スラッジ水などが挙げられる。水と水硬性組成物(粉末状)との質量比(水/粉末状水硬性材料)は、好ましくは0.3~1.0、より好ましくは0.4~0.7である。上記比が0.3以上であれば、通気性が確保され二酸化炭素の吸収効果がより大きくなる。また、水硬性組成物の混練物のワーカビリティが向上する。上記比が1.0以下であれば、硬化体の強度が確保できる。
・骨材
上記水硬性組成物を硬化させる際には、得られる硬化体のボディを形成させるための骨材を使用してもよい。骨材として、例えば、細骨材の例としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、スラグ、軽量細骨材、再生骨材、人工焼成骨材、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。また、粗骨材の例としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、スラグ、軽量粗骨材、再生骨材、人工焼成骨材、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
上記水硬性組成物を硬化させる際に使用する上記骨材としては、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を用いてもよい(以下、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を骨材として用いる場合のことを、「焼成物骨材」という場合がある。)。これによれば、上記焼成物骨材の表面の大部分は、ウォラストナイトが存在し、それらが炭酸化することで硬化体に吸収される二酸化炭素の総量を増加することができ、かつ、セメントペーストと骨材との界面が炭酸化反応で緻密になることで硬化体の強度をより大きくすることができる。
上記水硬性組成物に上記焼成物骨材を使用する場合、細骨材及び粗骨材の少なくともいずれか一方の骨材として使用することが可能である。また、この場合、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物には、適宜、所望の骨材(細骨材あるいは粗骨材等)としての使用に適した粒度となるように破砕や粒度調整を行い、そのようにして調製された焼成物骨材を用いるとよい。
上記水硬性組成物に上記焼成物骨材を使用する場合、例えば、その水硬性組成物による硬化体が既往のモルタル様である場合は、そのようなモルタルに通常用いられる細骨材の代用として、あるいは、その水硬性組成物による硬化物が既往のコンクリート様である場合は、そのようなコンクリートに通常用いられる細骨材及び粗骨材の少なくともいずれか一方の代用として含まれていればよいが、硬化体に吸収される二酸化炭素の総量を増加する観点からは、通常用いられる細骨材の代用として含まれていることが好ましい。
上記水硬性組成物に上記焼成物骨材を使用する場合、上記焼成物骨材に加えて、それ以外の骨材を使用してもよい。骨材としては、上述したように、例えば、細骨材の例としては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、スラグ、軽量細骨材、再生骨材、人工焼成骨材、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。また、粗骨材の例としては、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、スラグ、軽量粗骨材、再生骨材、人工焼成骨材、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
上記水硬性組成物に上記焼成物骨材を使用する場合、使用する骨材全量中の上記焼成物骨材の割合は、好ましくはその下限として、20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよく、30質量%以上であってよく、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。使用する骨材全量中の上記焼成物骨材の割合が上記範囲以上であれば、一般的な骨材を用いた場合と比較して、得られる硬化体が吸収することができる二酸化炭素の総量をより増やすことができ、かつ、得られる硬化体の強度をより大きくすることができる。
また、上記焼成物骨材が細骨材である場合、細骨材全量中の上記焼成物骨材の割合は、好ましくはその下限として、20質量%以上であってよく、25質量%以上であってよく、30質量%以上であってよく、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってよく、90質量%以上であってよく、100質量%であってよい。使用する細骨材全量中の上記焼成物骨材の割合が上記範囲以上であれば、一般的な骨材を用いた場合と比較して、得られる硬化体が吸収することができる二酸化炭素の総量をより増やすことができ、かつ、得られる硬化体の強度をより大きくすることができる。
上記水硬性組成物に骨材を使用する場合、骨材の配合量(細骨材と粗骨材を併用する場合はその合計量)は、水硬性組成物(粉末状)100質量部に対して、外割で、好ましくは200質量部~700質量部、より好ましくは200質量部~600質量部である。骨材の配合量が上記範囲内であれば、得られる硬化体の強度が良好となる一方で、収縮率が小さく抑えられる。
上記水硬性組成物に細骨材と粗骨材を組み合わせて使用する場合、細骨材率(全骨材質量に対する細骨材の質量の百分率)は、好ましくは5%~60%である。細骨材率が上記範囲内であれば、混練物のワーカビリティや成形のし易さが向上する。また、粗粒率は、好ましくは1.0~7.0、より好ましくは1.5~6.5である。
<炭酸化硬化体>
上記水硬性組成物を水と合わせて混練して硬化させることにより、ウォラストナイト含有焼成物を利用した硬化体を得ることができる。また、その硬化の際に炭酸化の処理を施すことにより、二酸化炭素を吸収してなる炭酸化硬化体を得ることができる。ここで、本明細書において「炭酸化」とは、上記水硬性組成物による硬化体中のアルカリ性の成分が、二酸化炭素と反応して、該アルカリ性の成分のpHを低下させることをいう。
以下、一例として、(A)水硬性組成物(粉末状)と、(B)水と、(C)骨材を混練して、水硬性組成物の混練物を調製する混練物を得、それを型枠内に打設し、養生して炭酸化硬化体を得る方法について説明する。
[混練物調製工程]
本工程は、上述した(A)水硬性組成物(粉末状)と、(B)水と、(C)骨材の各材料を混練して混練物を調製する工程である。
各材料を混練する方法は、特に限定されるものではない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、例えば、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
[打設工程]
本工程は、上記工程で得られた混練物を型枠内に打設する工程である。
打設方法としては、特に限定されるものではなく、流し込み成形等の慣用の方法を使用することができる。
混練物を型枠内に打設した後、脱型するまでの養生方法としては、特に限定されるもではなく、例えば、気中養生、湿空養生、水中養生、蒸気養生等の一般的な養生方法を採用することができる。
[脱型工程]
本工程は、型枠内の混練物が硬化した後に、混練物が硬化してなる水硬性組成物の硬化体を型枠から脱型する工程である。
[高強度化養生工程]
本工程は、脱型工程と炭酸化養生工程の間に任意に設けられる工程であって、水硬性組成物の硬化体の強度を高めるための工程である。
本工程において、型枠から脱型した水硬性組成物の硬化体を、その圧縮強さが、好ましくは3N/mm以上、より好ましくは5N/mm以上、特に好ましくは10N/mm以上となるまで養生することで、炭酸化養生後の炭酸化硬化体の強度(例えば、モルタルの圧縮強さ、コンクリートの圧縮強度)を高めることができる。
養生方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、気中養生、湿空養生、水中養生、及び蒸気養生等の一般的な養生方法を用いることができる。なお、高強度化養生工程における「養生」には、炭酸化養生は含まれないものとする。
[炭酸化養生工程]
本工程は、型枠から脱型した水硬性組成物の硬化体を炭酸化養生して、水硬性組成物の硬化体を、炭酸化してなる炭酸化硬化体を得る工程である。
本工程において炭酸化養生に用いられる二酸化炭素ガスの濃度は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上、更に好ましくは10体積%以上、更により好ましくは50体積%以上、特に好ましくは60体積%以上である。上記濃度が1体積%以上であれば、炭酸化養生工程における二酸化炭素の吸収量を大きくすることができる。
二酸化炭素ガスの濃度の上限は、特に限定されるものではなく、二酸化炭素ガスの濃度が高いほど、二酸化炭素の吸収量を増加させることができるが、一方で養生設備等のコストを低くする観点からは、好ましくは90体積%以下、より好ましくは70体積%以下、特に好ましくは50体積%以下である。
また、炭酸化養生工程における温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは5℃~100℃、より好ましくは10℃~50℃、特に好ましくは15℃~35℃である。炭酸化養生における温度が上記範囲内であれば、炭酸化硬化体の強度をより大きくすることができる。また、炭酸化硬化体からなる製品の生産性が向上する。
また、本発明により提供されるウォラストナイト含有焼成物を利用した炭酸化硬化体は、比較的低温(例えば、5℃~30℃)で炭酸化養生を行った場合であっても、二酸化炭素の排出量の低減効果が大きいものである。
本工程における相対湿度は、特に限定されるものではないが、好ましくは20%~90%、より好ましくは30%~80%、特に好ましくは40%~70%である。上記相対湿度が20%以上であれば、炭酸化硬化体の生産性がより向上し、炭酸化硬化体の強度がより大きくなる。上記相対湿度が90%を超えるものにすることは困難であり、設備等にかかるコストが過大となる。
炭酸化養生工程において、炭酸化硬化体の表面からの炭酸化深さは、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上、特に好ましくは10mm以上になるように、炭酸化養生を行うことが好ましい。炭酸化深さが2mm以上となるように炭酸化養生を行なうことで、炭酸化硬化体により多くの二酸化炭素を吸収させることができる。具体的には、上述した炭酸化養生工程における、二酸化炭素ガスの濃度、温度、及び相対湿度の数値や、養生時間を適宜調整することで、上記炭酸化深さを2mm以上にすることができる。
また、短時間で二酸化炭素を吸収させる観点から、好ましくは材齢(脱型後)1日、より好ましくは材齢(脱型後)3日において、上記炭酸化深さを2mm以上にするように炭酸化養生を行なうことが好ましい。
なお、「炭酸化硬化体の表面からの炭酸化深さ」は、「JIS A 1152:2018(コンクリートの中性化深さの測定方法)」に準拠して測定することができる。
得られた炭酸化硬化体は、路盤材やインターロッキングブロック等として利用することができる。また、路盤材等として設置した後も、二酸化炭素を継続して吸収して、固定化することができる。
また、水硬性組成物が焼成物骨材(上述した焼成物からなる骨材)を含む場合、緻密化させ骨材強度を高める観点から、混練物調製工程の前に、焼成物骨材に対して、炭酸化処理を行ってもよい。炭酸化処理は、例えば湿潤状態にし、二酸化炭素ガス存在下に静置すればよい。なお、この際に、焼成物骨材に過剰に炭酸化を行うと、炭酸化養生時に炭酸化反応が生じないので、炭酸化養生後の炭酸化硬化体の強度の向上が得られない場合がある。
上記製造方法によって得られた炭酸化硬化体は、焼成物粉砕物(上述した焼成物の粉砕物)に代えて、一般的なポルトランドセメントを用いた場合、又は、焼成物骨材に代えて、一般的な骨材を用いた場合と比較して、炭酸化硬化体の製造に際して排出される二酸化炭素の量が、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上低減されるものである。また、炭酸化硬化体の強度(例えば、圧縮強さ)の低下の割合が、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であるものである。
以下、試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの試験例によって限定されるものではない。
[試験例1]
建設発生土に多く含まれる、アルカリ長石を主鉱物とする真砂土について、各種の水準を設けて加熱処理を行い、得られた加熱処理品の鉱物組成ならびに化学組成の分析を行った。また、化学組成中にアルカリ含量が比較的低いことが知られている珪砂を使用して、一部の対照試験を行った。
〔1.試験材料〕
・真砂土:建材取扱会社より入手
・珪砂:鹿島6号珪砂、砂メーカーから入手
・炭酸カルシウム:特級試薬(関東化学株式会社製、粉末、純度99.5%以上)
・塩化カルシウム:特級試薬(関東化学株式会社製、粉末、純度95.0%以上)
〔2.分析方法〕
・粉末X線回折装置:Bruker/D8 advance(定性分析、XRD/リートベルト解析)
・蛍光X線分析装置:リガク/ZSX Primus II(ファンダメンタルパラメータ法(FP法)で分析)
・カリウム(K)濃度分析:SIIナノテクノロジー/SPECTRO BLUE EOP(湿式分析:酸分解-ICP発光分光分析)
〔3.試験試料の特性〕
表1には、試験に使用した真砂土又は珪砂の鉱物組成について、XRD定性分析により得られた結果を示す。
Figure 2024032602000001
表2には、試験に使用した真砂土又は珪砂の化学組成、あるいは真砂土又は珪砂に炭酸カルシウム(Ca源)を添加して調製した試料の化学組成について、XRF(FP法)分析より得られた結果を示す。
Figure 2024032602000002
なお、水硬率(HM)は、XRF分析より得られた化学組成の質量%を用いて、次式により算出した。
HM[-]=(CaO[%])/{(SiO[%])+(Al[%])+(Fe[%])}
〔4.試験水準〕
表3には、試験水準を示す。
Figure 2024032602000003
〔5.加熱処理〕
水準1~10の試験試料について、下記の処理条件に従い加熱処理を行った。
・加熱時使用炉:箱型電気炉(モトヤマ社製S7-2035D-OP)
・加熱温度:試験水準の通り
・加熱時間:60分
〔6.結果〕
表4には、加熱処理品のXRD/リートベルト解析結果を、処理前試料の構成の情報ならびに湿式分析によるカリウム(K)除去率の結果とともに示す。
Figure 2024032602000004
表5には、加熱処理品のXRF(FP法)分析の結果を、表4と同様、処理前試料の構成の情報ならびに湿式分析によるカリウム(K)除去率の結果とともに示す。
Figure 2024032602000005
図3には、水準1、水準2、水準7、水準9(加熱温度は1,200℃、Cl/K比は2で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図3に示されるように、原料調合物の水硬率(HM)の増加にともなって、ウォラストナイト生成量が増加し、また、カリウム(K)除去率も増加した。
図4には、水準5~8(水硬率(HM)は0.54、Cl/K比は2で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図4に示されるように、加熱処理の温度の上昇にともなって、ウォラストナイト生成量が増加し、また、カリウム(K)除去率も増加した。
図5には、水準3、水準4、水準7(加熱温度は1,200℃、水硬率(HM)は0.54で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図5に示されるように、Cl/K比の増加にともなって、ウォラストナイト生成量が増加し、また、カリウム(K)除去率も増加した。
図6には、水準7、水準10(加熱温度は1,200℃、水硬率(HM)は0.54で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)濃度の処理前及び処理後の濃度の結果をグラフにして示す。
図6に示されるように、本試験例における加熱処理・条件においては、珪砂をケイ酸質原料とするよりも、真砂土をケイ酸質原料にしたほうが、ウォラストナイト生成量が多くなった。
以上の結果から、ケイ酸質原料として真砂土を含む原料調合物において、これに調合するCa源及び/又はCl源によって水硬率(HM)とCl/K比を調整することで、より効率的にウォラストナイト含有焼成物が得られることが明らかとなった。
また、各水準にわたって、水硬率(HM)、加熱温度、Cl/K比、いずれのパラメータを変化させた場合にも、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率とはよく相関する結果となった。これは、真砂土に含まれるアルカリ長石(KAlSi,NaAlSi)からアルカリ(K,Na)が除去されることで、反応性が高くなったSiO分がCa源と反応して、好適にウォラストナイト形成されるといった機構によるものと考えられた。そして、水硬率(HM)の増加はウォラストナイト形成に必要なCa源が好適に補充されたため、加熱温度の増加はウォラストナイト形成の反応速度を好適に増進したため、Cl/K比の増加は、アルカリ長石などケイ酸塩鉱物の構成元素として難水溶性の状態で含まれるカリウム(K)等のアルカリ金属の除去を促進したため、いずれの場合もウォラストナイトの生成量がより高められたものと考えられた。
一方、珪砂では真砂土に比べて、水硬率(HM)と加熱温度を揃えた条件において、ウォラストナイトの生成量が低い結果となった。これは、珪砂では、これに含まれているケイ酸質の結晶性が高いために、真砂土に比べてCa源との反応性が低いことによるものと考えられた。
[試験例2]
バイオマス発電所から発生したバイオマス灰について、各種の水準を設けて加熱処理を行い、得られた加熱処理品の鉱物組成ならびに化学組成の分析を行った。
〔1.試験材料〕
・バイオマス灰:バイオマス発電所から発生したフライアッシュ(炉形式:循環流動層ボイラ(CFB)、燃料:ヤシ殻(PKS)100%)
・炭酸カルシウム:特級試薬(関東化学株式会社製、粉末、純度99.5%以上)
・塩化カルシウム:特級試薬(関東化学株式会社製、粉末、純度95.0%以上)
分析方法
〔2.分析方法〕
・粉末X線回折装置:Bruker/D8 advance(定性分析、XRD/リートベルト解析)
・蛍光X線分析装置:リガク/ZSX Primus II(ファンダメンタルパラメータ法(FP法)で分析)
・カリウム(K)濃度分析:SIIナノテクノロジー/SPECTRO BLUE EOP(湿式分析:酸分解-ICP発光分光分析)
〔3.試験試料の特性〕
表6には、試験に使用したバイオマス灰の鉱物組成について、XRD定性分析により得られた結果を示す。
Figure 2024032602000006
表7には、試験に使用したバイオマス灰の化学組成、あるいはバイオマス灰に炭酸カルシウム(Ca源)を添加して調製した試料の化学組成について、XRF(FP法)分析より得られた結果を示す。
Figure 2024032602000007
なお、水硬率(HM)は、XRF分析より得られた化学組成の質量%を用いて、試験例1と同様にして算出した。
〔4.試験水準〕
表8には、試験水準を示す。
Figure 2024032602000008
〔5.加熱処理〕
水準1~9の試験試料について、下記の処理条件に従い加熱処理を行った。
・加熱時使用炉:箱型電気炉(モトヤマ社製S7-2035D-OP)
・加熱温度:試験水準の通り
・加熱時間:60分
〔6.結果〕
表9には、加熱処理品のXRD/リートベルト解析結果を、処理前試料の構成の情報ならびに湿式分析によるカリウム(K)除去率の結果とともに示す。
Figure 2024032602000009
表10には、加熱処理品のXRF(FP法)分析の結果を、表4と同様、処理前試料の構成の情報ならびに湿式分析によるカリウム(K)除去率の結果とともに示す。
Figure 2024032602000010
図7には、水準1、水準5、水準8(加熱温度は1,000℃、Cl/K比は2で統一)、ならびに水準2、水準7、水準9(加熱温度は1,200℃、Cl/K比は2で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図7に示されるように、原料調合物の水硬率(HM)の増加にともなって、ウォラストナイト生成量が増加した。また、加熱温度が1,200℃の条件では、カリウム(K)除去率も増加した。
図8には、水準5~7(水硬率(HM)は0.54、Cl/K比は2で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図8に示されるように、加熱処理の温度の上昇にともなって、ウォラストナイト生成量が増加し、また、カリウム(K)除去率も増加した。
図9には、水準3~5(加熱温度は1,000℃、水硬率(HM)は0.54で統一)について、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率の結果をグラフにして示す。
図9に示されるように、Cl/K比の増加にともなって、ウォラストナイト生成量が増加し、また、カリウム(K)除去率も増加した。
以上の結果から、ケイ酸質原料としてバイオマス灰を含む原料調合物において、これに調合するCa源及び/又はCl源によって水硬率(HM)とCl/K比を調整することで、より効率的にウォラストナイト含有焼成物が得られることが明らかとなった。
また、各水準にわたって、水硬率(HM)、加熱温度、Cl/K比、いずれのパラメータを変化させた場合にも、ウォラストナイト生成量とカリウム(K)除去率とはよく相関する結果となった。これは、バイオマス灰に多く含まれる非晶質成分のカリウムガラス(KO-4SiO)や、その他アルカリ長石(KAlSi,NaAlSi)などからアルカリ(K,Na)が除去されることで、反応性が高くなったSiO分がCa源と反応して、好適にウォラストナイトが生成したものと考えられた。そして、水硬率(HM)の増加はウォラストナイト形成に必要なCa源が好適に補充されたため、加熱温度の増加はウォラストナイト形成の反応速度を好適に増進したため、Cl/K比の増加は、カリウムガラスなど非晶質シリカに包埋した状態、あるいはアルカリ長石などケイ酸塩鉱物の構成元素として、難水溶性の状態で含まれるカリウム(K)等のアルカリ金属の除去を促進したため、いずれの場合もウォラストナイトの生成量がより高められたものと考えられた。

Claims (11)

  1. ケイ酸質原料にCa源とCl源とを調合する原料調合工程と、前記原料調合工程を経て得られた原料調合物を焼成してウォラストナイト(CaSiO)を形成させる鉱物形成工程とを含む、ウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  2. 前記ケイ酸質原料としてアルカリ金属を難水溶性の状態で含む原料組成物を用いる、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  3. 前記ケイ酸質原料としてアルカリ金属をケイ酸塩鉱物の構成元素として含む原料組成物及び/又はアルカリ金属を非晶質シリカに包埋した状態で含む原料組成物を用いる、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  4. 前記Ca源として製紙汚泥、ペーパースラッジ焼却灰、下水汚泥焼却灰、生コンスラッジ、塩素バイパスダスト水洗残渣、副産消石灰、石灰石、生石灰、及び消石灰からなる群から選ばれた1種又は2種以上を用いる、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  5. 前記Cl源として塩素含有可燃性廃棄物及び無機塩素化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上を用いる、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  6. 前記原料調合物の水硬率が0.2~1.0であり、且つ、前記ケイ酸質原料に含まれるKモル量に対する前記Cl源のClモル量がCl/K比0.5~4となるよう該Cl源を調合する、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  7. 前記原料調合物を900℃~1,300℃で焼成する、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  8. 前記鉱物形成工程を経て得られた焼成物を更に水洗及び/又は分級して、前記ウォラストナイト含有焼成物となす、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  9. 前記ケイ酸質原料は、前記原料調合工程に供する前にあらかじめ粉砕及び/又は分級し、前記原料調合工程に供する、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  10. 前記原料調合物は、前記焼成工程に供する前にあらかじめ粉砕及び/又は分級し、前記焼成工程に供する、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
  11. 前記鉱物形成工程における焼成によって排出される排ガスから塩素を回収し、前記Cl源として再利用する、請求項1記載のウォラストナイト含有焼成物の製造方法。
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