JP2022044857A - 外装部材、電子機器、時計及び外装部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、基材の上に有色層(特許文献1では、漆層)を設け、その上に金粉等を蒔いたり金箔等を設けて模様を描く等の装飾を施すことが開示されている。
有色層と、
前記有色層に接して設けられ、前記有色層よりも透過率の高い第1の透明層と、
前記第1の透明層における前記有色層に接する面とは逆側の面に設けられる飾り部材と、
を備えることを特徴としている。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態における時計100は、例えばステンレスやチタン等の金属やセラミック、各種の合成樹脂等で形成されたケース(以下、実施形態において「時計ケース1」とする。)を備えている。なお、時計ケース1を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
また、時計100の裏面側には、図示しない裏蓋が取り付けられている。
この時計ケース1の図1における上下両端部、つまり時計の12時方向側の端部及び6時方向側の端部には、図示しない時計バンドが取り付けられるバンド取付部12が設けられている。
また、時計ケース1の外周部には、時刻合わせの指示などの種々の操作指示が入力される複数の操作ボタン13が設けられている。
本実施形態においてベゼル部材2は、電子機器である時計100において外部から視認される部分に配置される外装部材5である。
なお、外装部材5としてのベゼル部材2の具体的な構成については後述する。
時計ケース1内であって風防部材11の下方には、表示部を構成する文字板3が配置されている。
本実施形態において文字板3は、ベゼル部材2と同様に、電子機器である時計100において外部から視認される部分に配置される外装部材5である。
なお、外装部材5としての文字板3の具体的な構成については後述する。
また本実施形態では、各種の機能表示(例えば曜日の表示やタイマー表示等)を行う機能針を有する小窓部33が設けられている。さらに、文字板3における3時の位置には日付を表示させる日付表示窓34が設けられている。なお、文字板3が小窓部33や日付表示窓34を備えることは必須ではない。文字板3のデザイン・構成等は図示例に限定されず、例えば、液晶表示部等が設けられていてもよい。
なお、外装部材5は、ベゼル部材2及び文字板3に限定されず、外観に現れユーザに視認される部分を広く含んでもよい。例えば時計ケース1のバンド取付部12や時計ケース1の側面(外周面)等が外装部材5として後述するような構成を備えていてもよい。
図2(a)は、外装部材の要部断面図である。なお、図2(a)では、外装部材5を時計100に実装した場合に視認側(時計100の表面側)となる側が上になるように図示している。
外装部材5は、有色層52、第1の透明層53、飾り部材54を備えている。また、本実施形態において、外装部材5は、基材51、第2の透明層55を含んでいる。
基材51は、視認側から逆側の面を見通すことの可能な、透過率の高い材料で形成されている板状の透明な部材である。
なお、本実施形態において「透明」とは、光をよく通し、透き通って見えることを言うが、光透過性に優れていればよく、完全に無色透明の場合のみに限定されない。例えば、半透明等も含む概念とする。
また、外装部材5が文字板3である場合には、基材51は例えば透明性が高く比較的軽量であるアクリル樹脂等の合成樹脂で形成されることが好ましい。
なお、外装部材5の基材を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
なお、基材51の形状等は特に限定されない。基材51は、平板状のものに限定されず、凹凸やカーブ等を有する立体的な形状に形成されていてもよい。
有色層52を形成する材料は、例えば漆、又は漆の黒(いわゆる「漆黒」)を再現することができるような合成樹脂を主成分とするインク等の液剤、その他透過率の低い層(有色層52)を形成することのできる各種の液剤である。なお、有色層52の色は黒に限定されず、適宜各色を選択可能である。1枚の基材51が複数の色に塗り分けられていてもよい。
有色層52の厚みは特に限定されないが、透過率が十分に低くなるとともに、乾燥した際に割れ等を生じない程度の厚みとする。
第1の透明層53を形成する材料は、例えば透明な樹脂の液剤である。
後述するように、第1の透明層53は、層を形成した後、硬化させる。このため、第1の透明層53を形成する材料は、例えば透過率が高い樹脂であって、熱で硬化する熱硬化性樹脂や光(例えばUV等)で硬化する光硬化性樹脂等が好適に適用される。なお、第1の透明層53を形成する材料として何を適用するかは、第1の透明層53が設けられる面との相性等により適宜決定されることが好ましい。
なお、第1の透明層53は、乾燥状態(硬化状態)で透明となればよく、例えば塗布したての状態では、透過率の低い状態であってもよい。
飾り部材54は、例えば蒔絵に用いられるような金粉や銀粉、プラチナ粉、金箔等の各種箔・粉である。なお、飾り部材54はこれらに限定されない。例えば各種貴石の欠片やガラス片、貝殻、ラメ等を広く含む。
第2の透明層55を形成する材料は特に限定されないが、後述するように、第1の透明層53は、層を形成した後、硬化させる。このため、第1の透明層53と同様に、例えば透過率が高い樹脂であって、熱で硬化する熱硬化性樹脂や光(例えばUV等)で硬化する光硬化性樹脂等が好適に適用される。
例えば外装部材5がベゼル部材2であるのように、基材51がガラス等で形成されている場合には、第1の透明層53を形成する材料として、透過率の高い熱硬化性樹脂を使うことが好ましい。また、例えば、外装部材5が樹脂の文字板3である場合のように、基材51が樹脂で形成されている場合には、第1の透明層53を形成する材料として、透過率の高い光硬化性樹脂(例えばUV硬化性樹脂)を使うことが好ましい。
なお、第1の透明層53と同様に、第2の透明層55は、乾燥状態(硬化状態)で透明となればよく、例えば塗布したての状態では、透過率の低い状態であってもよい。
図2(b)では、有色層52、第1の透明層53、飾り部材54、第2の透明層55が設けられる基材51を、裏面側を上にした状態で一番下に配置した場合における、各部の積層順を示している。
第2の透明層55を形成する手法は特に限定されないが、例えばシルクスクリーン印刷(以下において「シルク印刷」という。)等による。
第2の透明層55を形成する材料は前述のように基材51の材質との相性によって、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を選択して用いる。
本実施形態では、第2の透明層55が完全に硬化する前に、この第2の透明層55の上(基材51と接しているのは逆側、図2(b)において上側)に飾り部材54を配置する(飾り部材配置工程)。
具体的には、蒔絵の手法のように、金粉等の金属粉、金箔等の箔等の飾り部材54をデザイン等に応じて第2の透明層55の上に置いたり散らしたりする。
第2の透明層55が柔らかすぎて流れやすい状態だと上に配置した飾り部材54が動いたり流れたりして好ましくない。この点、0.1mPa・S~200Pa・Sの粘性を有する液剤で第2の透明層55を形成した場合には、基材51の上で流れ過ぎず、適度に基材51の面上にとどまるとともに、飾り部材54を配置する作業時間程度の時間では完全硬化せずに接着剤として機能する。
なお、次の工程(本実施形態では、第1の透明層53を形成する工程)に行く前に第2の透明層55を完全硬化させることは必須でない。第2の透明層55の上に施された飾り部材54が次の工程において、流れたり剥がれたりしない程度まで硬化して仮固定されれば、完全硬化前に次の工程に進んでもよい。なお、次の工程(第1の透明層53を形成する工程)がシルク印刷等、版を用いるものである場合には、第2の透明層55やその上に施された飾り部材54が版に張り付かない程度に硬化していることを要する。
第1の透明層53を形成する手法は特に限定されないが、例えば第2の透明層55を形成する場合と同様に、シルク印刷等による。
そして、第1の透明層53を形成する材料に応じた手法(熱硬化や光硬化)で第1の透明層53を硬化させる。この場合の硬化は、第2の透明層55の場合と同様、完全硬化まで至らない仮固定状態であってもよい。
これにより、飾り部材54が2つの透明層(第1の透明層53と第2の透明層55)に挟み込まれた状態となる。
なお、本実施形態では、2層目の透明層(すなわち、第1の透明層53)を形成した後には、飾り部材54の配置等を行わない。このため、1層目の透明層(すなわち、第2の透明層55)を形成する場合と比べて、簡易的に硬化させることができる。また、2層目の透明層(すなわち、第1の透明層53)については1層目の透明層(すなわち、第2の透明層55)と異なり、粘性についても特に限定されるものではない。
有色層52は、例えばシルク印刷等によって形成される。なお、有色層52を形成する手法は特に限定されない。例えば、インクジェット方式による印刷や、各種塗装、蒸着等の各種製膜技術を用いて有色層52を形成してもよい。
そして、有色層52を形成する材料に応じた手法(熱硬化や光硬化)で有色層52を硬化させる。この場合には、各層が完全硬化するように条件を設定し、基材51上に形成された各層を完全に硬化させ、外装部材5が完成する。
例えば、基材51の裏面に1層目の透明層(すなわち、第2の透明層55)を形成し、飾り部材54を配置してから、その上にさらに第2の透明層55を形成し、飾り部材54を配置してもよい。この場合、第2の透明層55についてはすべて上記した1層目の透明層(すなわち、第2の透明層55)と同様の粘性等の条件を満たすようにする。そして、有色層52を形成する前に、第2の透明層55及び飾り部材54と有色層52との間に、第1の透明層53(すなわち、上記の「2層目の透明層」)を設ける。
この場合、いずれの層に配置された飾り部材54も透明層(第1の透明層53又は第2の透明層55)の間に挟み込むことができ、飾り部材54の有色層52への埋没を防ぐことができる。
このように、透明層に挟み込まれた飾り部材54のセットを複数層設けた場合には、漆等で形成される有色層52の上に奥行き感のある立体的なデザインを表現することも可能となり、より意匠性に優れた外装部材5を実現することができる。
これにより、図1に示すような、ベゼル部材2や文字板3に蒔絵のような技法を用いた装飾が施された、意匠性に優れた時計100が完成する。
図3に、漆や黒インク等で形成される有色層62の上に直接金粉等である飾り部材64が配置される外装部材7の例を示す。この場合には、透明な接着剤等で構成される透明層65によって飾り部材64を基材61に接着固定させることはできるが、図3に示すように、飾り部材64が有色層62の中に埋没してしまったり、有色層62が飾り部材64の視認側に回り込んだりしてしまう。このため、飾り部材64を視認しづらくなり、美しい装飾を実現することができなかった。
この点、本実施形態のように漆や黒インク等で形成される有色層52と、金粉等である飾り部材54との間に透明な層(第1の透明層53)を配置した場合には、飾り部材54が有色層52の中に埋没するのを防止し、有色層52の飾り部材54の視認側への回り込みも防ぐことができる。また、有色層52と飾り部材54との間に介在する層は、透過率の高い材料で形成される透明な層(第1の透明層)であるため、有色層52を背景とした飾り部材54の見栄えを阻害しない。これにより、飾り部材54が有色層52を背景としてくっきりと浮かび上がり、より美しい外観の外装部材5を実現することができる。
このように、装飾を基材51の裏面側から施すことで、外から衝撃を受けても傷付きにくく、劣化を防止することができる。これにより、長く美しい外観の外装部材5を楽しむことができる。
このため、飾り部材54を透明な層の中に閉じ込めて安定させることができ、長期間製造時の美しい状態を保つことができる。また、飾り部材54を透明な層の中に閉じ込める構成とした場合、例えば貴石やガラス片のようなある程度重量のあるものでも所定の位置に保つことができ、装飾のバリエーションが広がる。
本実施形態では第2の透明層55の上に飾り部材54が設けられる。このとき、第2の透明層55が流れやすい状態であると、せっかく配置した飾り部材54が流されて、意図した位置にとどまることができない。この点、一定の粘性を有する材料で第2の透明層55を形成することで、飾り部材54を意図した通りに配置することができる。また、シルク印刷等によって良好に第2の透明層55を形成することができる。さらに、第2の透明層55は形成後、徐々に硬化していくが、飾り部材54を配置する作業中に完全硬化することはなく、作業性にも優れている。
これにより外観が美しく、高級感のある意匠性に優れた時計を実現することができる。
例えば図4に示すように、外装部材7は、基材71の表面側に有色層72、第1の透明層73、飾り部材74、第2の透明層75が設けられたものであってもよい。
この場合には、図4に示す下側の層から順に基材71の上に積層して外装部材7を形成する。
この点、図4に示すように漆や黒インク等で形成される有色層72と、金粉等である飾り部材74との間に透明な層(第1の透明層73)を配置した場合には、飾り部材74が有色層72の中に埋没するのを防止し、有色層72の飾り部材74の視認側への回り込みも防ぐことができる。また、有色層72と飾り部材74との間に介在する層は、透過率の高い材料で形成される透明な層(第1の透明層)であるため、有色層72を背景とした飾り部材74の見栄えを阻害しない。これにより、飾り部材74が有色層72を背景としてくっきりと浮かび上がり、より美しい外観の外装部材7を実現することができる。
金属の基材の上に有色層72等を設けることで、有色層72等が設けられていない部分と異なる質感を創り出すことができる。また、漆や黒インク等の有色層72を設けた上に飾り部材74を配置することで、金属等の上に直接設けるよりもコントラストの際立つ美しい外観を実現することができる。
また、本実施形態で示したベゼル部材2や文字板3についても、基材51の表面側に有色層、第1の透明層、飾り部材、第2の透明層を設けてもよい。
例えば、歩数計、心拍数計、高度計、気圧計等や、いわゆるスマートウォッチ等に本発明の外装部材5を適用してもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
有色層と、
前記有色層に接して設けられ、前記有色層よりも透過率の高い第1の透明層と、
前記第1の透明層における前記有色層に接する面とは逆側の面に設けられる飾り部材と、
を備えることを特徴とする外装部材。
<請求項2>
視認側から逆側の面を見通すことの可能な透過率の基材をさらに備え、
前記有色層、前記第1の透明層、及び前記飾り部材は、前記基材における視認側とは逆側の面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の外装部材。
<請求項3>
前記第1の透明層を形成する材料は、0.1mPa・S~200Pa・Sの粘性を持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外装部材。
<請求項4>
前記有色層よりも透過率が高く、前記第1の透明層に接して前記飾り部材を前記第1の透明層との間に挟み込む第2の透明層がさらに設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の外装部材。
<請求項5>
前記第2の透明層を形成する材料は、0.1mPa・S~200Pa・Sの粘性を持つことを特徴とする請求項4に記載の外装部材。
<請求項6>
文字板として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の外装部材。
<請求項7>
ベゼル部材として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の外装部材。
<請求項8>
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の外装部材を備えることを特徴とする電子機器。
<請求項9>
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の外装部材を備えることを特徴とする時計。
<請求項10>
視認側から逆側の面を見通すことの可能な透過率の基材における視認側とは逆側の面に、1層目の透明層を形成する第1の透明層形成工程と、
前記1層目の透明層の上に飾り部材を配置する飾り部材配置工程と、
前記1層目の透明層に接して前記飾り部材を前記1層目の透明層との間に挟み込む2層目の透明層を形成する第2の透明層形成工程と
前記2層目の透明層に接して、前記1層目の透明層、及び前記2層目の透明層よりも透過率の低い有色層を形成する有色層形成工程と、
を含むことを特徴とする外装部材の製造方法。
2 ベゼル部材(外装部材)
3 文字板(外装部材)
5 外装部材
51 基材
52 有色層
53 第1の透明層
54 飾り部材
55 第2の透明層
100 時計
Claims (10)
- 有色層と、
前記有色層に接して設けられ、前記有色層よりも透過率の高い第1の透明層と、
前記第1の透明層における前記有色層に接する面とは逆側の面に設けられる飾り部材と、
を備えることを特徴とする外装部材。 - 視認側から逆側の面を見通すことの可能な透過率の基材をさらに備え、
前記有色層、前記第1の透明層、及び前記飾り部材は、前記基材における視認側とは逆側の面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の外装部材。 - 前記第1の透明層を形成する材料は、0.1mPa・S~200Pa・Sの粘性を持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外装部材。
- 前記有色層よりも透過率が高く、前記第1の透明層に接して前記飾り部材を前記第1の透明層との間に挟み込む第2の透明層がさらに設けられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の外装部材。
- 前記第2の透明層を形成する材料は、0.1mPa・S~200Pa・Sの粘性を持つことを特徴とする請求項4に記載の外装部材。
- 文字板として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の外装部材。
- ベゼル部材として構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の外装部材。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の外装部材を備えることを特徴とする電子機器。
- 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の外装部材を備えることを特徴とする時計。
- 視認側から逆側の面を見通すことの可能な透過率の基材における視認側とは逆側の面に、1層目の透明層を形成する第1の透明層形成工程と、
前記1層目の透明層の上に飾り部材を配置する飾り部材配置工程と、
前記1層目の透明層に接して前記飾り部材を前記1層目の透明層との間に挟み込む2層目の透明層を形成する第2の透明層形成工程と
前記2層目の透明層に接して、前記1層目の透明層、及び前記2層目の透明層よりも透過率の低い有色層を形成する有色層形成工程と、
を含むことを特徴とする外装部材の製造方法。
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