JP2022044432A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者による介入操舵時の操舵感触を向上させることができる新規の操舵制御装置を提供する。【解決手段】制御装置50は、モータ21にアシスト力を発生させるためのアシスト制御量I1*を操舵トルクThに応じて演算する。制御装置50は、上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成するモータ21の回転角θmの目標値である目標角度θ*に実際のモータ21の回転角θmを追従させるための自動運転制御量I3*を演算する。制御装置50は、上位制御装置が操舵制御に介入する際、自動運転制御量I3*を相殺するためのアシスト補正量I2*を操舵トルクThに応じて演算する。制御装置50は、アシスト補正量I2*と自動運転制御量I3*とを合算することにより最終的な自動運転制御量I4*を演算する。制御装置50は、最終的な自動運転制御量I4*の値を定められた許容範囲内に制限する。【選択図】図8

Description

本発明は、操舵制御装置に関する。
たとえば特許文献1の制御装置は、車両をレーンに沿って走行させるレーンキープ制御、および運転者の操舵を補助するアシスト制御を実行する。制御装置は、操舵トルクに応じてアシストトルクを発生させるためのアシスト指令を生成する。また、制御装置は、上位の制御装置により設定される目標角度に応じて自動操舵トルクを発生させるための追従指令を生成する。制御装置は、アシスト指令と追従指令との加算値に基づきモータへの給電を制御する。
制御装置は、運転者によるレーンキープ制御への介入が検出されるとき、介入の程度が大きいほど自動操舵トルクに対するアシストトルクの比率を増大させる。制御装置は、操舵トルクに応じた介入係数を算出し、この算出される介入係数に応じて追従指令の許容範囲を変化させる。操舵トルクの値が大きいときほど、介入係数が零に近づき追従指令の許容範囲はより狭くなる。介入操舵に抗する追従指令が制限されることにより、運転者はハンドルを操作しやすくなる。
特開2015-20604号公報
近年では、操舵制御装置の仕様あるいは操舵制御装置が搭載される車両の仕様などに基づき操舵制御装置に対する顧客の要求はますます多様化してきている。これらの要求に応えるために操舵制御装置の構成についての多岐にわたる研究開発が行われている。
本発明の目的は、運転者による介入操舵時の操舵感触を向上させることができる新規の操舵制御装置を提供することにある。
上記目的を達成し得る操舵制御装置は、ステアリングホイールの操舵を補助するアシスト力の発生源であるモータを制御する。操舵制御装置は、第1の演算部、第2の演算部および第3の演算部を有している。第1の演算部は、前記モータにアシスト力を発生させるための第1の制御量を操舵状態に応じて演算する。第2の演算部は、上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成する前記ステアリングホイールの操舵角に換算可能な目標角度に実角度を追従させるための第2の制御量を演算する。第3の演算部は、前記上位制御装置が操舵制御に介入する際、前記第2の制御量を相殺するための第3の制御量を操舵状態に応じて演算する。
上位制御装置が操舵制御に介入している場合、運転者がステアリングホイールを操舵したとき、目標角度に対する実角度の偏差が拡大する。第2の演算部は、拡大する偏差を解消するために、より大きな値の第2の制御量を演算する。すなわち、運転者による介入操舵によって生じる目標角度に対する実角度の偏差を打ち消そうとするトルクが発生する。このトルクによって運転者の操舵が阻害されるおそれがある。また、運転者に違和感を与えるおそれがある。
この点、上記の操舵制御装置によれば、上位制御装置が操舵制御に介入している場合、運転者がステアリングホイールを操舵したとき、その操舵状態に応じた第1の制御量のみならず、操舵状態に応じた第3の制御量が演算される。この第3の制御量は、目標角度に対する実角度の偏差に応じた第2の制御量を相殺する観点に基づき演算されるものである。このため、運転者による介入操舵によって生じる目標角度に対する実角度の偏差を打ち消そうとするトルクの発生が抑制される。したがって、上位制御装置が操舵制御に介入している場合であれ、運転者は円滑にステアリングホイールを操舵することが可能である。すなわち、上位制御装置が操舵制御に介入している場合において、運転者による介入操舵時の操舵感触を向上させることができる。このような作用および効果が得られる新規の操舵制御装置が得られる。
上記の操舵制御装置において、前記第2の演算部により演算される前記第2の制御量の値を定められた許容範囲内に制限する第4の演算部を有していてもよい。
この構成によれば、過大な値の第2の制御量が演算される場合、この過大な値の第2の制御量に基づく過大なモータ出力を抑えることができる。
上記の操舵制御装置において、前記第2の制御量と前記第3の制御量とを合算することにより第4の制御量を演算する第5の演算部と、前記第5の演算部により演算される前記第4の制御量の値を定められた許容範囲内に制限する第6の演算部と、を有していてもよい。
前述したように、過大なモータ出力を抑制する観点に基づき、前記第2の演算部により演算される前記第2の制御量の値のみを定められた許容範囲内に制限する構成を採用する場合、つぎのことが懸念される。
すなわち、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを介して切り戻し操舵を行った場合、第2の制御量のみが制限されて第3の制御量のみが増加する状況が発生する。これに対して、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを介して切り込み操舵を行った場合、第2の制御量のみが制限されて、第3の制御量のみが増加する状況は発生しない。このため、切り戻し操舵時と切り込み操舵時とでステアリングホイールを介した手応えが異なるおそれがある。
この点、上記の操舵制御装置によれば、前記第2の制御量と前記第3の制御量とを合算することにより得られる第4の制御量に対して制限が施される。すなわち、第2の制御量が第3の制御量によって相殺された後の値を有する第4の制御量に対して制限が施される。このため、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを介して切り戻し操舵を行った場合、第2の制御量のみが制限されて第3の制御量のみが増加する状況の発生が抑制される。したがって、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。したがって、上位制御装置が操舵制御に介入している場合において、運転者による介入操舵時の操舵感触を向上させることができる。
上記の操舵制御装置において、前記第2の演算部は、前記目標角度に実角度を追従させるフィードフォワード制御の実行を通じてフィードフォワード制御量を演算するフィードフォワード制御部と、前記目標角度に対する実角度の偏差に対して比例演算を実行することにより前記偏差に比例した値の第1のフィードバック制御量を演算する比例制御部と、前記偏差に対して積分演算を実行することにより前記偏差の積分値に比例した値の第2のフィードバック制御量を演算する積分制御部と、前記偏差に対して微分演算を実行することにより前記偏差の微分値に比例した値の第3のフィードバック制御量を演算する微分制御部と、前記フィードフォワード制御量と前記第2のフィードバック制御量とを加算することにより第1の加算値を演算する第1の加算器と、前記第1のフィードバック制御量と前記第3のフィードバック制御量とを加算することにより第2の加算値を演算する第2の加算器と、前記第1の加算値を定められた許容範囲内に制限する第1の制限処理部と、前記第2の加算値を定められた許容範囲内に制限する第2の制限処理部と、前記第1の制限処理部を経た前記第1の加算値と前記第2の制限処理部を経た前記第2の加算値とを加算することにより最終的な前記第2の制御量を演算する第3の加算器と、を有していてもよい。
この構成によれば、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵することに伴う第2の制御量の増加が抑制される。また、最終的な第2の制御量を上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵していないときに演算される第2の制御量に相当する値に制限することも可能である。このため、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。
上記の操舵制御装置において、前記第2の演算部は、前記目標角度に実角度を追従させるフィードフォワード制御の実行を通じてフィードフォワード制御量を演算するフィードフォワード制御部と、前記目標角度に対する実角度の偏差に対して比例演算を実行することにより前記偏差に比例した値の第1のフィードバック制御量を演算する比例制御部と、前記偏差に対して積分演算を実行することにより前記偏差の積分値に比例した値の第2のフィードバック制御量を演算する積分制御部と、前記偏差に対して微分演算を実行することにより前記偏差の微分値に比例した値の第3のフィードバック制御量を演算する微分制御部と、前記第1のフィードバック制御量、第2のフィードバック制御量および前記第3のフィードバック制御量を加算することにより最終フィードバック制御量を演算する第1の加算器と、前記フィードフォワード制御量を定められた許容範囲内に制限する第1の制限処理部と、前記最終フィードバック制御量を定められた許容範囲内に制限する第2の制限処理部と、前記第1の制限処理部を経た前記フィードフォワード制御量と前記第2の制限処理部を経た前記最終フィードバック制御量とを加算することにより最終的な前記第2の制御量を演算する第2の加算器と、を有していてもよい。
この構成によれば、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵することに伴う第2の制御量の増加が抑制される。また、最終的な第2の制御量の値を上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵していないときに演算される第2の制御量に相当する値に制限することも可能である。このため、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。
上記の操舵制御装置において、前記第3の演算部は、前記第2の制御量の絶対値が定められた許容範囲の限界値に達したとき、前記第3の制御量を前記第2の制御量の絶対値が定められた許容範囲の限界値に達したときの値に保持するようにしてもよい。
この構成によれば、第2の制御量のみが制限されて、第3の制御量のみが増加することが抑制される。したがって、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。
上記の操舵制御装置において、前記上位制御装置が操舵制御に介入している場合、前記ステアリングホイールが操舵されるとき、前記第2の制御量と前記第3の制御量との合算値が、前記ステアリングホイールが操舵される直前の前記第2の制御量となるように、前記第2の制御量および前記第3の制御量が調節されるようにしてもよい。
この構成によっても、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。
上記の操舵制御装置において、前記第2の演算部は、前記上位制御装置が操舵制御に介入している場合、前記ステアリングホイールが操舵されるとき、制御パラメータである比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインの値をデフォルト値よりも小さい値に設定するようにしてもよい。
この構成によれば、目標角度に対する実角度の追従性能が抑制される。これにより、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触との差が低減される。
上記の操舵制御装置において、前記ステアリングホイールの操舵方向に基づき前記ステアリングホイールの操舵状態が切り戻し操舵状態であるのか切り込み操舵状態であるのかを判定する操舵方向判定部と、前記操舵方向判定部により前記ステアリングホイールの操舵状態が切り戻し操舵状態である旨判定されるとき、前記第3の演算部により演算される前記第3の制御量を操舵状態に応じた本来の前記第3の制御量よりも小さい値に補正する補正処理部と、を有していてもよい。
この構成によれば、ステアリングホイールの操舵状態が切り戻し操舵状態であるとき、第3の制御量が操舵状態に応じた本来の第3の制御量よりも小さい値に補正される。第2の制御量のみが制限されて、第3の制御量のみが増加することが抑制される。したがって、上位制御装置の操舵制御への介入による車両の旋回時に運転者がステアリングホイールを操舵する場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とを均等に近い状態にすることが可能である。
本発明の操舵制御装置によれば、運転者による介入操舵時の操舵感触を向上させることができる新規の操舵制御装置が得られる。
操舵制御装置の第1の実施の形態が搭載される電動パワーステアリング装置の構成図。 操舵制御装置の第1の実施の形態のブロック図。 第1の実施の形態におけるアシストマップを示すグラフ。 第1の実施の形態におけるアシスト補正マップを示すグラフ。 (a)は自動運転制御によって車両が左旋回しているときのステアリングホイールの位置を示す模式図、(b)は自動運転制御によって車両が左旋回している場合に運転者によって切り戻し操舵が行われたときのステアリングホイールの模式図、(c)は自動運転制御によって車両が左旋回している場合に運転者によって切り込み操舵が行われたときのステアリングホイールの模式図。 第1の実施の形態における自動運転制御量などの経時的変化を示すグラフ。 第1の実施の形態における操舵角と操舵トルクとの関係を示すグラフ。 操舵制御装置の第2の実施の形態のブロック図。 第2の実施の形態における最終的な自動運転制御量とその許容範囲の限界値との関係を示すグラフ。 第2の実施の形態における操舵角と操舵トルクとの関係を示すグラフ。 第2の実施の形態における自動運転制御量などの経時的変化を示すグラフ。 操舵制御装置の第3の実施の形態におけるマイクロコンピュータのブロック図。 操舵制御装置の第4の実施の形態におけるマイクロコンピュータのブロック図。 (a)は操舵制御装置の第5の実施の形態における切り戻し操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ、(b)は切り込み操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ。 (a)は操舵制御装置の第6の実施の形態における切り戻し操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ、(b)は切り込み操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ。 (a)は操舵制御装置の第7の実施の形態における切り戻し操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ、(b)は切り込み操舵時の自動運転制御量およびアシスト補正量の経時的な変化を示すグラフ。 操舵制御装置の第8の実施の形態におけるマイクロコンピュータのブロック図。
<第1の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPS(電動パワーステアリング装置)の制御装置に具体化した第1の実施の形態を説明する。
図1に示すように、EPS10は、ステアリングホイール11と転舵輪12,12との間の動力伝達経路として機能するステアリングシャフト13、ピニオンシャフト14および転舵シャフト15を有している。転舵シャフト15は車幅方向(図1中の左右方向)に沿って延びている。転舵シャフト15の両端にはタイロッド16,16を介して転舵輪12,12が連結されている。ピニオンシャフト14は、転舵シャフト15に対して交わるように設けられている。ピニオンシャフト14のピニオン歯14aは、転舵シャフト15のラック歯15aに噛み合わされている。ステアリングホイール11の回転操作に連動して転舵シャフト15が直線運動する。転舵シャフト15の直線運動がタイロッド16を介して左右の転舵輪12,12に伝達されることにより、転舵輪12,12の転舵角θが変更される。
また、EPS10は、運転者による操舵を補助するための力であるアシスト力を生成する構成として、モータ21および減速機構22を有している。モータ21は、アシスト力の発生源であるアシストモータとして機能する。モータ21としては、たとえば三相のブラシレスモータが採用される。モータ21は、減速機構22を介してピニオンシャフト23に連結されている。ピニオンシャフト23のピニオン歯23aは、転舵シャフト15のラック歯15bに噛み合わされている。モータ21の回転は減速機構22によって減速されて、当該減速された回転力がアシスト力としてピニオンシャフト23を介して転舵シャフト15に伝達される。モータ21の回転に応じて、転舵シャフト15は車幅方向に沿って移動する。
また、EPS10は、制御装置50を有している。制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づきモータ21を制御する。センサには、トルクセンサ51、車速センサ52および回転角センサ53が含まれている。トルクセンサ51は、ステアリングホイール11の回転操作を通じてステアリングシャフト13に加わる操舵トルクTを検出する。車速センサ52は、車速Vを検出する。回転角センサ53はモータ21に設けられている。回転角センサ53はモータ21の回転角θを検出する。制御装置50は、モータ21に対する通電制御を通じて操舵トルクTに応じたアシスト力を発生させるアシスト制御を実行する。制御装置50は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクT、車速センサ52を通じて検出される車速V、および回転角センサ53を通じて検出される回転角θに基づき、モータ21に対する給電を制御する。
ここで、車両にはその安全性あるいは利便性をより向上させるための様々な運転支援機能あるいはシステムが運転を代替する自動運転機能を実現する自動運転システムが搭載されることがある。この場合、車両には各種の車載システムの制御装置を統括制御する上位制御装置500が搭載される。上位制御装置500は、その時々の車両の状態に基づき最適な制御方法を求め、その求められる制御方法に応じて各種の車載制御装置に対して個別の制御を指令する。
上位制御装置500は、制御装置50による操舵制御に介入する。上位制御装置500は、運転席などに設けられる図示しないスイッチの操作を通じて、自己の自動運転制御機能をオン(有効)とオフ(無効)との間で切り替える。ただし、自動運転制御機能には、車両の安全性あるいは利便性をより向上させるための運転支援制御機能も含まれる。
上位制御装置500は、自動運転制御機能がオンされた状態において、車両に目標車線上を走行させるための指令値として目標角度θを演算する。目標角度θとは、たとえばモータ21の回転角θ、ピニオン角θあるいは操舵角θの目標値をいい、本実施の形態ではモータ21の回転角θの目標値が採用される。制御装置50は、上位制御装置500により演算される目標角度θに基づきモータ21を制御する。ちなみに、モータ21の回転角θ、ピニオン角θおよび操舵角θは、ステアリングホイール11の操舵角θ、および転舵輪12の転舵角θに換算可能な角度である。
つぎに、制御装置50について詳細に説明する。
図2に示すように、制御装置50は、マイクロコンピュータ50Aおよび駆動回路50Bを有している。駆動回路50Bは、マイクロコンピュータ50Aにより演算される電流指令値Iに応じた駆動電力をモータ21へ供給する。
マイクロコンピュータ50Aは、アシスト制御量演算部61、アシスト補正量演算部62、自動運転制御量演算部63、制限処理部64、および加算器65を有している。これらの演算部はマイクロコンピュータ50AのCPU(中央処理装置)が制御プログラムを実行することによって実現される機能部分である。ただし、各演算部がソフトウェアによって実現されることはあくまでも一例であって、少なくとも一部の演算部をロジック回路などのハードウェアによって実現してもよい。
アシスト制御量演算部61は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクThに基づきアシスト制御量I を演算する。アシスト制御量I は、操舵トルクTに応じた適切な大きさのアシスト力を発生させるためにモータ21へ供給すべき電流量を示す。アシスト制御量演算部61は、アシストマップM1を使用してアシスト制御量I を演算する。アシストマップM1は制御装置50の記憶装置に格納される。
図3のグラフに示すように、アシストマップM1は、横軸を操舵トルクTの絶対値、縦軸をアシスト制御量I の絶対値とするマップであって、つぎの特性を有する。すなわち、操舵トルクTの絶対値が増加するほど、アシスト制御量I の絶対値はより大きな値に設定される。
ちなみに、アシスト制御量演算部61は、車速センサ52を通じて検出される車速Vを考慮してアシスト制御量I を演算するようにしてもよい。この場合、アシストマップM1の特性は、つぎのように設定される。すなわち、操舵トルクTの絶対値が増加するほど、また車速Vが遅くなるほど、アシスト制御量I の絶対値はより大きい値に設定される。
アシスト補正量演算部62は、自動運転制御機能がオンされている期間だけ動作する。アシスト補正量演算部62は、トルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクThに基づきアシスト補正量I を演算する。アシスト補正量I は、自動運転制御の実行中において運転者による操舵介入があったとき、操舵トルクTに応じた適切な大きさのアシスト力を発生させるために付加すべき電流量を示す。すなわち、アシスト補正量I は、後述する自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I を相殺する観点に基づき演算される。アシスト補正量演算部62は、アシスト補正マップM2を使用してアシスト補正量I を演算する。アシスト補正マップM2は制御装置50の記憶装置に格納される。
図4のグラフに示すように、アシスト補正マップM2は、横軸を操舵トルクTの絶対値、縦軸をアシスト補正量I の絶対値とするマップであって、つぎの特性を有する。すなわち、操舵トルクTの絶対値が増加するほど、アシスト補正量I の絶対値はより大きな値に設定される。ただし、操舵トルクTの絶対値が増加するほど、操舵トルクTの増加量に対するアシスト補正量I の増加量の比率である傾きは徐々に小さくなる。
ちなみに、図4のグラフに二点鎖線で示すように、アシスト補正マップM2は先の図3のグラフに示されるアシストマップM1と同じ特性を有していてもよい。また、アシスト補正量演算部62は、車速センサ52を通じて検出される車速Vを考慮してアシスト補正量I を演算するようにしてもよい。この場合、アシスト補正マップM2の特性は、つぎのように設定される。すなわち、操舵トルクTの絶対値が増加するほど、また車速Vが遅くなるほど、アシスト補正量I の絶対値はより大きい値に設定される。
自動運転制御量演算部63は、自動運転制御機能がオンされている期間だけ動作する。自動運転制御量演算部63は、上位制御装置500により演算される目標角度θ、および回転角センサ53を通じて検出されるモータ21の回転角θを取り込む。自動運転制御量演算部63は、モータ21の回転角θを目標角度θに追従させるフィードバック制御の実行を通じて自動運転制御量I を演算する。自動運転制御量演算部63は、たとえば目標角度θとモータ21の回転角θとの偏差Δθ(=θ-θ)を演算し、この演算される偏差Δθに対して比例演算、積分演算および微分演算を実行することにより自動運転制御量I を演算する。すなわち、自動運転制御量I は、偏差Δθを入力とする比例要素の出力値、積分要素の出力値および微分要素の出力値の和である。自動運転制御量I は、モータ21の回転角θを目標角度θに追従させるトルクをモータ21に発生させるためにモータ21へ供給すべき電流量を示す。
制限処理部64は、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I の値を定められた許容範囲内の値に制限する制限処理を行う。自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値を超えるとき、自動運転制御量I の値は限界値に制限される。自動運転制御量I が正の値である場合、自動運転制御量I の値が正の限界値を超えるとき、自動運転制御量Iの値は正の限界値に制限される。自動運転制御量I が負の値である場合、自動運転制御量I の値が負の限界値を超えるとき、自動運転制御量I の値は負の限界値に制限される。したがって、許容範囲の限界値を超える過大な自動運転制御量I に基づきモータ21が過大なトルクを発生することが抑制される。
加算器65は、アシスト制御量I 、アシスト補正量I および自動運転制御量I を加算することによりモータ21に対する電流指令値Iを演算する。
したがって、第1の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動運転制御の実行中において運転者が操舵に介入した場合、操舵トルクTに応じたアシスト制御量I のみならず操舵トルクTに応じたアシスト補正量I が演算される。このため、モータ21は、アシスト制御量I とアシスト補正量I とを合算した電流値に応じたアシスト力を発生する。すなわち、モータ21は自動運転制御機能がオフされている場合の通常の手動操作時に発生するアシスト力よりもアシスト補正量I の分だけ大きいアシスト力を発生する。しかも、アシスト補正量I は自動運転制御量I を相殺する観点に基づき演算されるものである。したがって、自動運転制御の実行中であれ、運転者は円滑にステアリングホイール11を操作することが可能である。すなわち、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵が許容されるとともに、その介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。このような作用および効果が得られる新規の制御装置50が得られる。
なお、ステアリングホイール11から手を放した手放し運転を想定した自動運転制御では、たとえばライントレース性能を担保するため、制御装置50は目標角度θに対してより大きな絶対値の自動運転制御量I を演算するとともに、より高いフィードバック性能を有することが考えられる。このような状況を想定した場合、自動運転制御中に運転者による介入操舵が行われた際の操舵感触を向上させるために、自動運転制御量I を相殺するためのアシスト補正量I を通常のアシスト制御の実行時に使用されるアシスト制御量I に加える本実施の形態の制御装置50は特に好適である。
<第2の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第2の実施の形態を説明する。
先の第1の実施の形態では、つぎのようなことが懸念される。すなわち、自動運転制御による車両の旋回中に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時と切り戻し操舵時とで操舵感触が異なることにより運転者が違和感を覚えるおそれがある。
ちなみに、切り込み操舵とは、自動操舵によりステアリングホイール11が回転している方向と同じ方向へ向けて運転者がステアリングホイール11にトルクを与えている操舵状態をいう。切り戻し操舵とは、自動操舵によりステアリングホイール11が回転している方向と反対方向へ向けて運転者がステアリングホイール11にトルクを与えている操舵状態をいう。
図5(a),(b)に示すように、たとえば自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって逆方向へ向けた切り戻し操舵が行われたとき、目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差が車両の旋回方向と逆方向(ここでは右方向)へ向けて拡大する。これに伴い、自動運転制御量演算部63は拡大した偏差を打ち消すために自動運転制御量I を演算する。ただし、このとき演算される自動運転制御量I は、モータ21の回転角θが目標角度θを切り戻し方向へ超える分だけモータ21の回転角θを切り込み方向へ戻そうとするものである。このため、現状の自動運転制御量I の符号と同じ符号を有する自動運転制御量I が演算される。したがって、自動運転制御量I の絶対値は目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差が拡大するほど増加し、やがて図6のグラフに実線で示されるように制限処理部64によって制限される。
これに対し、アシスト補正量演算部62は、先のアシスト補正マップM2に従って切り戻し操舵量、すなわち操舵トルクThの絶対値が増加するほどより大きな絶対値のアシスト補正量I を演算する。ここでは自動運転制御量I の値が制限されているため、図6のグラフに破線で示されるように、切り戻し操舵に伴いアシスト補正量I のみが増加する状況が発生する。したがって、自動運転中の円滑な操舵介入が許容されるとともに、運転者はステアリングホイールを介した手応えとしてより軽く感じる。
図5(a),(c)に示すように、たとえば自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって同方向へ向けた切り込み操舵が行われたとき、目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差は車両の旋回方向と同じ方向(ここでは左方向)へ向けて拡大する。これに伴い、自動運転制御量演算部63は拡大した偏差を打ち消すために自動運転制御量I を演算する。ただし、このとき演算される自動運転制御量I は、モータ21の回転角θが目標角度θを切り込み方向へ超える分だけモータ21の回転角θを切り戻し方向へ戻そうとするものである。このため、現状の自動運転制御量I の符号と逆の符号を有する自動運転制御量I が演算される。したがって、自動運転制御量I の絶対値は、目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差の拡大に対して増加しにくい。すなわち、図6のグラフに実線で示されるように、切り込み操舵時においては自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達しにくく、自動運転制御量I は制限処理部64によって制限されにくい。
ちなみに、アシスト補正量演算部62は、先のアシスト補正マップM2に従って操舵トルクThに応じたアシスト補正量I を演算する。ここでは自動運転制御量I の値が制限されない。このため、図6のグラフに破線で示されるように、切り戻し操舵に伴いアシスト補正量I のみが増加する状況は発生しない。したがって、自動運転中の円滑な操舵介入は許容されるものの、運転者はステアリングホイール11を介した手応えとして切り戻し操舵時よりも重く感じる。
すなわち、図7のグラフに示すように、操舵角θの変化に対する操舵トルクThの絶対値の変化特性は、目標操舵角θ を基準とする切り込み操舵時と切り戻し操舵時とで異なる。目標操舵角θ とは、モータ21の回転角θが目標角度θに一致するときのステアリングホイール11の回転角度をいう。より具体的には、切り戻し操舵時の操舵トルクThの最大絶対値は、切り込み操舵時の操舵トルクTの最大絶対値よりも小さい値となる。すなわち、自動運転制御による車両の旋回中に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時と切り戻し操舵時とで運転者がステアリングホイール11を介した手応えとして感じる操舵感触が異なる。
なお、自動運転制御によって車両が右旋回している場合に切り込み操舵および切り戻し操舵が行われたときについても、自動運転制御によって車両が左旋回している場合に切り込み操舵および切り戻し操舵されたときと同様に、切り込み操舵時と切り戻し操舵時とで操舵感触が異なる。
そこで、自動運転制御の実行中の運転者による介入操舵時の違和感を解消するために、本実施の形態では、制御装置50として、つぎの構成を採用している。
図8に示すように、マイクロコンピュータ50Aは、加算器66および制限処理部67を有している。加算器66は、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I と、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I とを加算することにより、最終的な自動運転制御量I を演算する。
制限処理部67は、加算器66により演算される最終的な自動運転制御量I を定められた許容範囲内の値に制限する。加算器66により演算される最終的な自動運転制御量I の値が許容範囲内の値である場合、加算器66により演算される最終的な自動運転制御量I がそのままモータ21の制御に使用される。
つぎに、本実施の形態の作用を説明する。
図5(a),(b)に示すように、たとえば自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって逆方向へ向けた切り戻し操舵が行われたとき、目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差が車両の旋回方向と逆方向へ向けて拡大する。これに伴い、自動運転制御量演算部63は拡大した偏差を打ち消すために自動運転制御量I を演算する。ただし、このとき演算される自動運転制御量I は、モータ21の回転角θが目標角度θを切り戻し方向へ超える分だけモータ21の回転角θを切り込み方向へ戻そうとするものである。このため、現状の自動運転制御量I の符号と同じ符号を有する自動運転制御量I が演算される。したがって、自動運転制御量I の絶対値は目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差が拡大するほど増加する。
これに対し、アシスト補正量演算部62は、先のアシスト補正マップM2に従って切り戻し操舵量、すなわち操舵トルクThの絶対値が増加するほどより大きな絶対値のアシスト補正量I を演算する。ここで、アシスト補正量I は、アシスト制御量演算部61により演算されるアシスト制御量I と同じ符号を有する。また、アシスト補正量I は、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I を打ち消す観点に基づき演算されるものである。このため、アシスト補正量I の符号は、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I と逆の符号となる。
したがって、図9のグラフに示すように、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I の絶対値がたとえ許容範囲の限界値を超える場合であれ、加算器66により演算される最終的な自動運転制御量I の絶対値は許容範囲内の値となる。これは、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I がアシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I によって相殺されるからである。このため、図10のグラフに実線で示されるように、自動運転制御量演算部63により演算される自動運転制御量I の絶対値がたとえ許容範囲の限界値を超える場合であれ、自動運転制御量I の値が制限されることはない。
また、アシスト補正量演算部62は、先のアシスト補正マップM2に従って切り戻し操舵量、すなわち操舵トルクThに応じたアシスト補正量I を演算するところ、ここでは自動運転制御量I の値が制限されないとして見ることができる。このため、図10のグラフに破線で示されるように、切り戻し操舵量の増加に伴いアシスト補正量I のみが増加する状況は発生しない。自動運転制御量I の絶対値も切り戻し操作量、すなわち目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差に応じて増加する。したがって、アシスト補正量I の値と自動運転制御量I の値との関係が、自動運転制御量I の値が制限されない場合の本来の関係に維持される。
図5(a),(c)に示すように、たとえば自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって同方向へ向けた切り込み操舵が行われたとき、現状の自動運転制御量I の符号と逆の符号を有する自動運転制御量I が演算される。このため、切り込み操舵時においては、自動運転制御量I の絶対値は目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差の拡大に対して増加しにくく、図10のグラフに実線で示されるように、自動運転制御量I は制限されにくい。
また、アシスト補正量演算部62は、先のアシスト補正マップM2に従って操舵トルクThに応じたアシスト補正量I を演算する。ここでは自動運転制御量I の値が制限されないため、図10のグラフに破線で示されるように、切り戻し操舵に伴いアシスト補正量I のみが増加する状況は発生しない。自動運転制御量I の絶対値も切り戻し操作量、すなわち操舵トルクTに応じて増加する。したがって、自動運転中の円滑な操舵介入が許容されるとともに、運転者はステアリングホイール11を介した手応えとして切り戻し操舵時と同様の操舵感触が得られる。
図11のグラフに示すように、操舵角θの変化に対する操舵トルクThの絶対値の変化特性は、目標操舵角θ を基準とする切り込み操舵時と切り戻し操舵時とでほぼ同じになる。より具体的には、切り戻し操舵時の操舵トルクThの最大絶対値は、切り込み操舵時の操舵トルクTの最大絶対値とほぼ同じ値となる。すなわち、自動運転制御による車両の旋回中に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時と切り戻し操舵時とで運転者がステアリングホイール11を介した手応えとして感じる操舵感触がほぼ同じになる。
したがって、第2の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態の(1)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(2)加算器66によってアシスト補正量I と自動運転制御量I とを加算することにより最終的な自動運転制御量I を演算し、この最終的な自動運転制御量I を定められた許容範囲内の値に制限するようにした。これにより、自動運転制御量I のみが制限されて、アシスト補正量I のみが増加する状況の発生が抑制される。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第3の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、マイクロコンピュータ50Aの構成の点で先の第1の実施の形態と異なる。
図12に示すように、自動運転制御量演算部63は、減算器71、フィードフォワード制御部72、比例制御部73、積分制御部74、微分制御部75、3つの加算器76,77,78、および2つの制限処理部79A,79Bを有している。
減算器71は、上位制御装置500により演算される目標角度θと回転角センサ53を通じて検出されるモータ21の回転角θとの偏差Δθ(=θ-θ)を演算する。
フィードフォワード制御部72は、EPS10の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。フィードフォワード制御部72は、目標角度θを2階微分することにより、目標角加速度α(=dθ/dt)を演算し、この演算される目標角加速度αにEPS10の慣性Jを乗算することにより、慣性補償値としてのフィードフォワード制御量I (=J・α)を演算する。慣性Jは、たとえばEPS10の物理モデルから求められる。
比例制御部73は、減算器71によって演算される偏差Δθに対して比例演算を実行することにより、偏差Δθに比例した値の第1のフィードバック制御量I を演算する。
積分制御部74は、減算器71によって演算される偏差Δθに対して積分演算を実行することにより、偏差Δθの積分値に比例した値の第2のフィードバック制御量I を演算する。ただし、自動運転制御の実行中における運転者の介入操舵時、積分制御部74は積分動作を停止する。
微分制御部75は、減算器71によって演算される偏差Δθに対して微分演算を実行することにより、偏差Δθの微分値に比例した値の第3のフィードバック制御量I を演算する。
加算器76は、フィードフォワード制御部72により演算されるフィードフォワード制御量I と、積分制御部74により演算される第2のフィードバック制御量I とを加算することにより、第1の自動運転制御量I を演算する。
加算器77は、比例制御部73により演算される第1のフィードバック制御量I と、微分制御部75により演算される第3のフィードバック制御量I とを加算することにより、第2の自動運転制御量I10 を演算する。
制限処理部79Aは、加算器76により演算される第1の自動運転制御量I を定められた許容範囲内の値に制限する。また、制限処理部79Bは、加算器77により演算される第2の自動運転制御量I10 を定められた許容範囲内の値に制限する。許容範囲は、たとえば手放し運転を想定した自動運転制御が実行されている場合に演算される自動運転制御量I を基準として設定される。
加算器78は、制限処理部79Aを経た第1の自動運転制御量I と、制限処理部79Bを経た第2の自動運転制御量I10 とを加算することにより、最終的な自動運転制御量I を演算する。
したがって、第3の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(3)フィードフォワード制御量I と第2のフィードバック制御量I との加算値である第1の自動運転制御量I 、および第1のフィードバック制御量I と第3のフィードバック制御量I との加算値である第2の自動運転制御量I10 は、それぞれ定められた許容範囲内の値に制限される。これら第1の自動運転制御量I と第2の自動運転制御量I10 との加算値が最終的な自動運転制御量I としてモータ21の制御に使用される。これにより、介入操舵に伴う自動運転制御量I の増加が抑制される。また、最終的な自動運転制御量I を、手放し運転を想定した自動運転制御が実行されている場合に演算される自動運転制御量I に相当する値に制限することも可能である。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第4の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第4の実施の形態を説明する。本実施の形態は、自動運転制御量演算部63の構成の点で先の第3の実施の形態と異なる。
図13に示すように、自動運転制御量演算部63は、減算器71、フィードフォワード制御部72、比例制御部73、積分制御部74、微分制御部75、加算器78、および2つの制限処理部79A,79Bに加えて、加算器81を有している。
加算器81は、比例制御部73により演算される第1のフィードバック制御量I と、積分制御部74により演算される第2のフィードバック制御量I と、微分制御部75により演算される第3のフィードバック制御量I とを加算することにより、最終的なフィードバック制御量I11 を演算する。
制限処理部79Aは、フィードフォワード制御部72により演算されるフィードフォワード制御量I を定められた許容範囲内の値に制限する。制限処理部79Bは、加算器81により演算される最終的なフィードバック制御量I11 を定められた許容範囲内の値に制限する。
加算器78は、制限処理部79Aを経たフィードフォワード制御量I と、制限処理部79Bを経たフィードバック制御量I11 とを加算することにより、自動運転制御量I を演算する。
したがって、第4の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(4)フィードフォワード制御部72により演算されるフィードフォワード制御量I 、および加算器81により演算される最終的なフィードバック制御量I11 は、それぞれ定められた許容範囲内の値に制限される。これら制限されるフィードフォワード制御量I とフィードバック制御量I11 との加算値が最終的な自動運転制御量I としてモータ21の制御に使用される。これにより、介入操舵に伴う自動運転制御量I の増加が抑制される。また、最終的な自動運転制御量I を、手放し運転を想定した自動運転制御が実行されている場合に演算される自動運転制御量I に相当する値に制限することも可能である。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第5の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第5の実施の形態を説明する。本実施の形態は、マイクロコンピュータ50Aにより実行される処理の点で先の第1の実施の形態と異なる。
図14(a)のグラフに実線の特性線で示すように、自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって逆方向へ向けた切り戻し操舵が行われたとき(時刻T1)、目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差の拡大に伴い自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達して制限処理部64により制限されることがある。これに対し、アシスト補正量I の絶対値は切り戻し操舵量、すなわち操舵トルクThの絶対値が増加するほどより大きな値となる。このため、切り戻し操舵に伴いアシスト補正量I のみが増加する状況が発生するおそれがある。
そこで、マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値(たとえば正の限界値)に達したとき、マイクロコンピュータ50Aは、つぎの処理を実行する。
すなわち、図14(a)のグラフに点線の特性線で示すように、マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したとき(時刻T2)、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I を自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したときの値に保持(ホールド)する。これにより、切り戻し操舵による操舵トルクTの増加に伴いアシスト補正量I のみが増加することが抑制される。また、このとき保持されるアシスト補正量I の絶対値は、切り戻し操舵によって増加した分の自動運転制御量I の絶対値と同じである。このため、制限された自動運転制御量I と保持されたアシスト補正量I とを合算した合算値(=I +I )は、つぎのような値となる。
すなわち、図14(a)のグラフに破線の特性線で示すように、自動運転制御量I とアシスト補正量I との合算値は、運転者による切り戻し操舵が行われる時刻T1以前の自動運転制御量I と同じ値となる。
図14(b)のグラフに実線の特性線で示すように、自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって同方向へ向けた切り込み操舵が行われたときにおいても(時刻T3)、自動運転制御量I の絶対値が制限処理部64により制限されることがある。このため、切り込み操舵時においても、アシスト補正量I のみが増加するおそれがある。したがって、マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値(たとえば負の限界値)に達したとき、つぎの処理を実行する。
すなわち、図14(b)のグラフに点線の特性線で示すように、マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したとき(時刻T4)、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I を自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したときの値に保持する。これにより、切り込み操舵による操舵トルクTの増加に伴いアシスト補正量I のみが増加することが抑制される。また、このとき保持されるアシスト補正量I の絶対値は、切り込み操舵によって増加した分の自動運転制御量I の絶対値と同じである。このため、制限された自動運転制御量I と保持されたアシスト補正量I とを合算した合算値(=I +I )は、つぎのような値となる。
すなわち、図14(b)のグラフに破線の特性線で示すように、自動運転制御量I とアシスト補正量I との合算値は、運転者による切り戻し操舵が行われる時刻T3以前の自動運転制御量I と同じ値となる。
なお、自動運転制御によって車両が右旋回している場合に切り込み操舵および切り戻し操舵が行われたときについても、自動運転制御によって車両が左旋回している場合に切り込み操舵および切り戻し操舵されたときと同様である。
したがって、第5の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(5)自動運転制御の実行中、運転者による介入操舵に伴い自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したとき、アシスト補正量I は自動運転制御量I の絶対値が許容範囲の限界値に達したときの値に保持される。これにより、自動運転制御量I のみが制限されて、アシスト補正量I のみが増加することが抑制される。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第6の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第6の実施の形態を説明する。本実施の形態は、マイクロコンピュータ50Aにより実行される処理の点で先の第1の実施の形態と異なる。
マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御の実行中における運転者による意図的な操舵介入を判定する機能を有している。マイクロコンピュータ50Aは、たとえばトルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTに基づき運転者による操舵介入を判定する。
図15(a)のグラフに示すように、自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって逆方向へ向けた切り戻し操舵が行われるとき(時刻T5)、その切り戻し操舵が行われている旨判定されることを契機として(時刻T6)、つぎのような処理が実行される。
すなわち、アシスト補正量I と自動運転制御量I との合算値(=I +I )が運転者による切り戻し操舵が行われる時刻T5以前の自動運転制御量I と同じ値となるように、自動運転制御量I の値およびアシスト補正量I の値がそれぞれ所定の値に保持される。
図15(b)のグラフに示すように、自動運転制御によって車両が右旋回している場合、運転者によって同方向へ向けた切り込み操舵が行われるとき(時刻T7)、その切り込み操舵が行われている旨判定されることを契機として(時刻T8)、つぎのような処理が実行される。
すなわち、アシスト補正量I と自動運転制御量I との合算値(=I +I )が運転者による切り込み操舵が行われる時刻T7直前の自動運転制御量I と同じ値となるように、自動運転制御量I の値およびアシスト補正量I の値がそれぞれ所定の値に調節されるとともに、この調節された値に保持される。
したがって、第6の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(6)自動運転制御の実行中、運転者による介入操舵が行われている旨判定されるとき、アシスト補正量I と自動運転制御量I との合算値が運転者による介入操舵が行われる直前の自動運転制御量I と同じ値に保持される。たとえば手放し運転を想定した自動運転制御が実行されている場合、車両は走行抵抗と釣り合っている。また、自動運転制御量I も車両の走行抵抗に釣り合った値となっている。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者による介入操舵が行われる場合、アシスト補正量I と自動運転制御量I との合算値を運転者による介入操舵が行われる直前の自動運転制御量I と同じ値に保持することにより、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第7の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第7の実施の形態を説明する。本実施の形態は、マイクロコンピュータ50Aにより実行される処理の点で先の第1の実施の形態と異なる。
マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御の実行中における運転者による意図的な操舵介入を判定する機能を有している。マイクロコンピュータ50Aは、たとえばトルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTに基づき運転者による操舵介入を判定する。マイクロコンピュータ50Aは、自動運転制御の実行中、運転者によって操舵が行われているとき、PID制御の制御パラメータであるPIDゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)の値をデフォルト値よりも小さい値に設定する。これにより、PID制御において、目標値に対する追従性能が抑制される。
図16(a)のグラフに示すように、自動運転制御によって車両が左旋回している場合、運転者によって逆方向へ向けた切り戻し操舵が行われるとき(時刻T9)、自動運転制御量I の絶対値は目標角度θに対するモータ21の回転角θの偏差が拡大するほど増加する。ここで、自動運転制御の実行中において運転者により操舵されている期間、PIDゲインの値がデフォルト値よりも小さい値に設定される。PID制御の目標角度θに対する追従性能が抑制されることによって、自動運転制御量I の絶対値の増加が抑制される。
図16(b)のグラフに示すように、自動運転制御によって車両が右旋回している場合、運転者によって同方向へ向けた切り込み操舵が行われるとき(時刻T10)についても、切り戻し操舵時と同様に、PID制御の目標角度θに対する追従性能が抑制されることによって、自動運転制御量I の絶対値の増加が抑制される。
したがって、第6の実施の形態によれば、先の第1の実施の形態の(1)の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(7)自動運転制御の実行中、運転者による介入操舵が行われている期間、PIDゲインの値がデフォルト値よりも小さい値に設定される。PID制御の目標角度θに対する実際の回転角θの追従性能が抑制されることによって、自動運転制御量I の絶対値の増加が抑制される。自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触との差が低減される。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<第8の実施の形態>
つぎに、操舵制御装置をEPSの制御装置に具体化した第8の実施の形態を説明する。本実施の形態は、マイクロコンピュータ50Aの構成の点で先の第1の実施の形態と異なる。
図17に示すように、マイクロコンピュータ50Aは、アシスト制御量演算部61、アシスト補正量演算部62、自動運転制御量演算部63、制限処理部64および加算器65に加えて、操舵方向判定部91およびゲイン乗算部92を有している。
操舵方向判定部91は、たとえばトルクセンサ51を通じて検出される操舵トルクTに基づきステアリングホイール11の中立位置を基準とする操舵方向を判定する。また、操舵方向判定部91は、操舵方向に基づきステアリングホイール11の操舵状態が切り戻し操舵状態であるのか切り込み操舵状態であるのかを判定し、その判定結果に応じてフラグFの値をセットする。操舵方向判定部91は、ステアリングホイール11の操舵状態が切り戻し操舵状態である旨判定されるとき、フラグFの値を「1」にセットする。操舵方向判定部91は、ステアリングホイール11の操舵状態が切り込み操舵状態である旨判定されるとき、フラグFの値を「0」にセットする。
ゲイン乗算部92は、操舵方向判定部91によりセットされるフラグFの値を取り込む。ゲイン乗算部92は、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I に対してゲインGを乗算する。ただし、ゲイン乗算部92は、フラグFの値に応じてゲインGの値を変更する。ゲイン乗算部92は、フラグFの値が「1」であるとき、ゲインGを「1」よりも小さい値に設定する。これは、アシスト補正量I を減少させる観点に基づく。ゲイン乗算部92は、フラグFの値が「0」であるとき、ゲインGを「1」に設定する。
なお、自動運転制御量演算部63は、先の第3の実施の形態と同様の減算器71、フィードフォワード制御部72、比例制御部73、積分制御部74および微分制御部75に加えて、加算器93を有している。加算器93は、フィードフォワード制御部72により演算されるフィードフォワード制御量I 、比例制御部73により演算される第1のフィードバック制御量I 、積分制御部74により演算される第2のフィードバック制御量I 、微分制御部75により演算される第3のフィードバック制御量I を加算することにより自動運転制御量I を演算する。
自動運転制御量I のみが制限されてアシスト補正量I のみが増加する状況が発生しやすい切り戻し操舵時には、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I に対して「1」よりも小さい値のゲインGが乗算される。このため、モータ21の制御に使用される最終的なアシスト補正量I は、操舵トルクTに応じた本来のアシスト補正量I よりも小さい値となる。
したがって、第8の実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(8)ステアリングホイール11の操舵状態が切り戻し操舵状態であるとき、アシスト補正量演算部62により演算されるアシスト補正量I が操舵トルクTに応じた本来のアシスト補正量I よりも小さい値に補正される。これにより、切り戻し操舵時において、自動運転制御量I のみが制限されて、アシスト補正量I のみが増加する状況の発生が抑制される。このため、自動運転制御による車両の旋回時に運転者が介入操舵を行う場合、切り込み操舵時の操舵感触と切り戻し操舵時の操舵感触とが均等に近い状態になる。したがって、自動運転制御の実行中において、運転者の介入操舵時における操舵感触を向上させることができる。
<他の実施の形態>
なお、各実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・各実施の形態では、制御装置50の適用先として、転舵シャフト15にアシスト力を付与するタイプのEPS10を例に挙げたが、ステアリングシャフト13にアシスト力を付与するタイプのEPSであってもよい。図1に二点鎖線で示すように、モータ21は、たとえば減速機構22を介してステアリングシャフト13に連結される。ピニオンシャフト23は割愛することができる。
<他の技術的思想>
つぎに、各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記目標角度は、前記モータの回転角(θ)、転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトの回転角度であるピニオン角(θ)、またはステアリングホイールの回転角度である操舵角(θ)の目標値であること。
10…操舵装置
11…ステアリングホイール
21…モータ
50…制御装置(操舵制御装置)
61…アシスト制御量演算部(第1の演算部)
62…アシスト補正量演算部(第3の演算部)
63…自動運転制御量演算部(第2の演算部)
64…制限処理部(第4の演算部)
66…加算器(第5の演算部)
67…制限処理部(第6の演算部)
72…フィードフォワード制御部
73…比例制御部
74…積分制御部
75…微分制御部
76…加算器(第1の加算器)
77…加算器(第2の加算器)
79A…制限処理部(第1の制限処理部)
79B…制限処理部(第2の制限処理部)
78…加算器(第3の加算器、第2の加算器)
81…加算器(第1の加算器)
91…操舵方向判定部、
92…ゲイン乗算部(補正処理部)
500…上位制御装置
…アシスト制御量(第1の制御量)
…アシスト補正量(第3の制御量)
…自動運転制御量(第2の制御量)
…最終的な自動運転制御量(第4の制御量)

Claims (9)

  1. ステアリングホイールの操舵を補助するアシスト力の発生源であるモータを制御する操舵制御装置であって、
    前記モータにアシスト力を発生させるための第1の制御量を操舵状態に応じて演算する第1の演算部と、
    上位制御装置が操舵制御に介入する際に生成する前記ステアリングホイールの操舵角に換算可能な目標角度に実角度を追従させるための第2の制御量を演算する第2の演算部と、
    前記上位制御装置が操舵制御に介入する際、前記第2の制御量を相殺するための第3の制御量を操舵状態に応じて演算する第3の演算部と、を有している操舵制御装置。
  2. 前記第2の演算部により演算される前記第2の制御量の値を定められた許容範囲内に制限する第4の演算部を有している請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記第2の制御量と前記第3の制御量とを合算することにより第4の制御量を演算する第5の演算部と、
    前記第5の演算部により演算される前記第4の制御量の値を定められた許容範囲内に制限する第6の演算部と、を有している請求項1に記載の操舵制御装置。
  4. 前記第2の演算部は、前記目標角度に実角度を追従させるフィードフォワード制御の実行を通じてフィードフォワード制御量を演算するフィードフォワード制御部と、
    前記目標角度に対する実角度の偏差に対して比例演算を実行することにより前記偏差に比例した値の第1のフィードバック制御量を演算する比例制御部と、
    前記偏差に対して積分演算を実行することにより前記偏差の積分値に比例した値の第2のフィードバック制御量を演算する積分制御部と、
    前記偏差に対して微分演算を実行することにより前記偏差の微分値に比例した値の第3のフィードバック制御量を演算する微分制御部と、
    前記フィードフォワード制御量と前記第2のフィードバック制御量とを加算することにより第1の加算値を演算する第1の加算器と、
    前記第1のフィードバック制御量と前記第3のフィードバック制御量とを加算することにより第2の加算値を演算する第2の加算器と、
    前記第1の加算値を定められた許容範囲内に制限する第1の制限処理部と、
    前記第2の加算値を定められた許容範囲内に制限する第2の制限処理部と、
    前記第1の制限処理部を経た前記第1の加算値と前記第2の制限処理部を経た前記第2の加算値とを加算することにより最終的な前記第2の制御量を演算する第3の加算器と、を有している請求項1に記載の操舵制御装置。
  5. 前記第2の演算部は、前記目標角度に実角度を追従させるフィードフォワード制御の実行を通じてフィードフォワード制御量を演算するフィードフォワード制御部と、
    前記目標角度に対する実角度の偏差に対して比例演算を実行することにより前記偏差に比例した値の第1のフィードバック制御量を演算する比例制御部と、
    前記偏差に対して積分演算を実行することにより前記偏差の積分値に比例した値の第2のフィードバック制御量を演算する積分制御部と、
    前記偏差に対して微分演算を実行することにより前記偏差の微分値に比例した値の第3のフィードバック制御量を演算する微分制御部と、
    前記第1のフィードバック制御量、第2のフィードバック制御量および前記第3のフィードバック制御量を加算することにより最終フィードバック制御量を演算する第1の加算器と、
    前記フィードフォワード制御量を定められた許容範囲内に制限する第1の制限処理部と、
    前記最終フィードバック制御量を定められた許容範囲内に制限する第2の制限処理部と、
    前記第1の制限処理部を経た前記フィードフォワード制御量と前記第2の制限処理部を経た前記最終フィードバック制御量とを加算することにより最終的な前記第2の制御量を演算する第2の加算器と、を有している請求項1に記載の操舵制御装置。
  6. 前記第3の演算部は、前記第2の制御量の絶対値が定められた許容範囲の限界値に達したとき、前記第3の制御量を前記第2の制御量の絶対値が定められた許容範囲の限界値に達したときの値に保持する請求項1に記載の操舵制御装置。
  7. 前記上位制御装置が操舵制御に介入している場合、前記ステアリングホイールが操舵されるとき、前記第2の制御量と前記第3の制御量との合算値が、前記ステアリングホイールが操舵される直前の前記第2の制御量となるように、前記第2の制御量および前記第3の制御量が調節される請求項1に記載の操舵制御装置。
  8. 前記第2の演算部は、前記上位制御装置が操舵制御に介入している場合、前記ステアリングホイールが操舵されるとき、制御パラメータである比例ゲイン、積分ゲインおよび微分ゲインの値をデフォルト値よりも小さい値に設定する請求項1に記載の操舵制御装置。
  9. 前記ステアリングホイールの操舵方向に基づき前記ステアリングホイールの操舵状態が切り戻し操舵状態であるのか切り込み操舵状態であるのかを判定する操舵方向判定部と、
    前記操舵方向判定部により前記ステアリングホイールの操舵状態が切り戻し操舵状態である旨判定されるとき、前記第3の演算部により演算される前記第3の制御量を操舵状態に応じた本来の前記第3の制御量よりも小さい値に補正する補正処理部と、を有している請求項1または請求項2に記載の操舵制御装置。
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