JP2022042758A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた感光体の高感度特性を維持しつつメモリー発生を抑制し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも感光層を備え、前記感光層が、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料、および一般式(I):TIFF2022042758000010.tif83165で表される特定のPEG化カリックス[n]アレーン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、感光層に電荷発生物質としてフタロシアニンを含有し、高感度特性を有し、かつメモリー発生を抑制し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、支持体上に光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成されている。
近年、有機系光導電性材料を主成分とする感光層を備えた感光体(「有機系感光体」ともいう)の研究開発が進み、現在では感光体の主流を占めている。
有機系感光体としては、支持体(「導電性支持体」ともいう)上に、電荷発生物質および電荷輸送物質(「電荷移動物質」ともいう)をバインダ樹脂(「結着樹脂」、「結着剤樹脂」ともいう)に分散させた単層型感光層を備える構成、および電荷発生物質をバインダ樹脂に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質をバインダ樹脂に分散させた電荷輸送層とをこの順で積層した積層型感光層を備える構成が提案されている。これらの内、後者の機能分離型(「積層型」ともいう)の感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度が高く、感光体特性を様々に設計し易く、広く活用されている。
これらの中でも、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料の蒸着膜からなる電荷発生層またはチタニルフタロシアニン顔料をバインダ樹脂中に分散させた電荷発生層と、低分子の有機化合物を電荷輸送物質としてバインダ樹脂中に分散させた電荷輸送層とで構成される有機感光体に関しては多くの提案がなされている。
有機系感光体、特に電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料を用いた有機系感光体は、長波長光に対して高感度で、残留電位が低く、帯電性が高く、静電特性に優れているが、フタロシアニンの合成過程で生成する不純物に起因するメモリー発生によりこれらの利点を維持できないという課題がある。これは、生成したフォトキャリアーが感光層に残留し易く、一種のメモリーとして電位変動を起こし易いという欠点である。
このような課題に対して、例えば、特開2001-66804号公報(特許文献1)には、支持体上に感光層を有し、該感光層がフタロシアニン顔料を含有し、かつ特定のアゾ化カリックス[n]アレーン化合物を含有する電子写真感光体が提案されている。
特開2001-66804号公報
しかしながら、上記の特許文献1の先行技術では、メモリー抑制に対する効果が十分ではなかった。
そこで、本発明は、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた感光体の高感度特性を維持しつつメモリー発生を抑制し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題する。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた感光体において、感光層にフタロシアニン顔料と共にPEG化カリックス[n]アレーン化合物を用いることにより、フタロシアニン顔料による感光体の高感度特性を維持しつつメモリー発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、導電性支持体上に、少なくとも感光層を備え、
前記感光層が、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料、および一般式(I):
Figure 2022042758000002
[式中、mは10~100の整数であり、nは4~8の整数であり、pは1~10の整数であり、R1およびR2は同一または異なって水素原子またはアルキル基である]
で表されるPEG化カリックス[n]アレーン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いた感光体の高感度特性を維持しつつメモリー発生を抑制し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
PEG化カリックス[n]アレーン化合物によるメモリー抑制効果のメカニズムは明らかではないが、本発明者は、PEG化カリックス[n]アレーン化合物が親水性部と親油性部とを併せもつことで、フタロシアニン顔料の合成過程で生成される不純物などの疎水性の物質を、PEG化カリックス[n]アレーン化合物自身の集合体内に内包するためと考えている。
本発明の感光体は、次の条件(1)~(9)のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)PEG化カリックス[n]アレーン化合物は、一般式(I)におけるmが10~50の整数であり、nが4~6の整数であり、pが3~6の整数であり、かつR1およびR2が同一または異なって水素原子またはアルキル基である化合物である。
(2)PEG化カリックス[n]アレーン化合物は、一般式(I)におけるmが22であり、nが4であり、pが5であり、かつR1およびR2が共に水素原子である化合物である。
(3)前記PEG化カリックス[n]アレーン化合物の含有量が、フタロシアニン顔料に対して0.5~15質量%である。
(4)フタロシアニン顔料が、チタニルフタロシアニンである。
(5)チタニルフタロシアニンが、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に少なくとも回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニンである。
(6)フタロシアニン顔料が、ガリウムフタロシアニンまたはX型無金属フタロシアニンダイマーである。
(7)感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、または電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層型感光層である。
(8)感光層が、積層型感光層である。
(9)導電性支持体と感光層との間に、下引き層を備える。
本発明の感光体(積層型感光体)F01の要部の構成を示す概略断面図である。 本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。
(1)感光体
本発明の感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を備え、
前記感光層が、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料、および一般式(I):
Figure 2022042758000003
[式中、mは10~100の整数であり、nは4~8の整数であり、pは1~10の整数であり、R1およびR2は同一または異なって水素原子またはアルキル基である]
で表されるPEG化カリックス[n]アレーン化合物(以下「アレーン化合物」ともいう)を含有することを特徴とする。
まず、アレーン化合物およびフタロシアニン顔料について説明し、その後で感光体およびそれを備えた画像形成装置について説明する。
<PEG化カリックス[n]アレーン化合物>
カリックスアレーンは、フェノールの2,6位がメチレン基を介して数個環状につながったオリゴマーの総称であり、収率よく得られるものとして、4、6および8量体が知られている。
上記のように、本発明のアレーン化合物は、親水性部と親油性部とを併せもつことで、フタロシアニン顔料の合成過程で生成される不純物などの疎水性の物質に、アレーン化合物自身の集合体内に内包され、メモリー抑制効果が得られるものと考えられる。
また、先行技術の特許文献1に記載されているような従来のアゾ化カリックス[n]アレーン化合物は、親水性部位と疎水性部位とを比較すると後者が極端に大きく、両者のバランスが悪いが、本発明のアレーン化合物は、カリックスアレーン部およびPEG部の選択により、親水性部位と疎水性部位のバランスを最適化することができ、これにより感光体において電位変動の原因となる不純物を内包して感光体の特性を向上させることができる、すなわち優れたメモリー抑制効果が得られるものと考えられる。
さらに、電荷輸送物質のフタロシアニン顔料との組み合わせにより、より優れた特性を与えることができる。
一般式(I)の置換基R1およびR2のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などが挙げられ、一般式(I)の置換基R1およびR2としては、PEG修飾時の立体障害をできるだけ小さくするため、水素原子が好ましい。
好ましいアレーン化合物は、一般式(I)におけるmが10~50の整数であり、nが4~6の整数であり、pが3~6の整数であり、かつR1およびR2が同一または異なって水素原子またはアルキル基である化合物である。
より好ましいアレーン化合物は、一般式(I)におけるmが22であり、nが4であり、pが5であり、かつR1およびR2が共に水素原子である化合物である。
アレーン化合物におけるPEG原料のmPEG-Alkyneの分子量は、カリックス[n]アレーン部とのバランスにより化合物全体の物性に影響を与えるものと考えられる。
分子量は、一般式(I)の指数mにより決まり、親水性部位と疎水性部位のバランスの点で、500~5000が好ましい。
分子量が500未満では、塗液中でアレーン化合物が溶解できないことがある。一方、分子量が5000を超えると、メモリー発生を抑制する効果が十分でないことがある。
好ましい分子量は、500~4000であり、より好ましくは1000~3000である。
一般式(I)のアレーン化合物は、特に限定されないが、例えば、実施例に記載の方法により製造することができる。
温度、時間、圧力、撹拌および溶媒などの反応条件、生成物の単離方法などは、得ようとする化合物および用いる原料化合物などにより適宜設定すればよい。
アレーン化合物の含有量は、フタロシアニン顔料に対して0.5~15質量%であるのが好ましい。
アレーン化合物の含有量が0.5質量%未満では、メモリー発生を抑制する効果が十分でないことがある。一方、アレーン化合物の含有量が15質量%を超えると、感光体の電気特性が悪化することがある。
好ましいアレーン化合物の含有量は、1.0~10.0質量%であり、より好ましくは2.0~8.0質量%である。
<フタロシアニン顔料>
本発明において電荷発生物質として用いられるフタロシアニン顔料は、当該技術分野で電荷発生物質として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、チタニルフタロシアニン、ガリウムなどのその他の金属フタロシアニン類およびX型無金属フタロシアニンなどが挙げられ、これらの中でも、チタニルフタロシアニンおよびガリウムフタロシアニンまたはX型無金属フタロシアニンダイマーが好ましく、チタニルフタロシアニンがより好ましく、アモルファスのチタニルフタロシアニンよりも結晶型のチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
結晶型のチタニルフタロシアニンは、α型、β型、Y型の結晶型があり、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に少なくとも回折ピークを有するY型の結晶型のチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
本発明において電荷発生物質として特に好ましい結晶型のチタニルフタロシアニンは、次式(A)で表される。
Figure 2022042758000004
式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニンは、例えば、特開平6-293769号公報、特開2003-183534号公報、特開平7-271073号公報およびFrank H, MoserおよびArthur L. Thomas著、「Phthalocyanine Compounds」、Reinhold Publishing Corporation(New York)、1963年に記載されている公知の合成方法により製造することができる。
公知の合成方法には、出発原料としてハロゲン化チタンを用いる場合と用いない場合があるが、上記のX線回折スペクトルの特徴を有するオキソチタニウムフタロシアニンであれば、合成の出発原料やその方法に関わらず、本発明の優れた効果が得られることを本発明者らは確認している。但し、後述するように、オキソチタニウムフタロシアニン中の塩素のようなハロゲンの含有が感光体の帯電性能に悪影響を与えることがあり、オキソチタニウムフタロシアニンは、塩素などのハロゲンを含まない原料由来のものが好ましい。
以下に合成方法を例示する。但し、以下の合成ルートは一例であって、これに限ったものではない
フタロニトリルとテトラブトキシチタンなどのチタンアルコキシドとを、尿素の存在下、温度を150℃に持続しつつ、少なくとも5時間以上撹拌下で反応させる。反応終了後の生成したチタニルフタロシアニンを濾別する。得られた生成物を、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムなどの塩素系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などの溶剤により洗浄し、チタニルフタロシアニンを得る。これらの溶剤にチタニルフタロシアニンは溶解せず、チタニルフタロシアニンに付着した不純物が溶解するので、洗浄を繰り返すことにより、不純物の残留を極限まで低減することができる。
また、o-フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα-クロロナフタレンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することにより、チタニルフタロシアニンを得る。
さらに、イソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N-メチルピロリドンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることにより、オキソチタニウムフタロシアニンを得る。このチタニルフタロシアニンは、ベンゼン環の水素原子が塩素、フツ素、ニトロ基、シアノ基およびスルホン基などの置換基で置換されたフタロシアニン誘導体を含有していてもよい。
このようにして得られたチタニルフタロシアニンを、水の存在下にジクロロエタンなどの水に非混和性の有機溶剤で処理することにより、本発明において電荷発生物質として用いられる結晶型のチタニルフタロシアニンを得ることができる。
その処理方法(結晶変換方法)としては、例えば、チタニルフタロシアニンを水で膨潤させて有機溶剤で処理する方法、膨潤処理を行わずに、水を有機溶剤中に添加し、その中にチタニルフタロシアニン粉末を投入する方法などが挙げられる。
チタニルフタロシアニンを水で膨潤させる方法としては、例えば、チタニルフタロシアニンを10~30倍の濃硫酸に溶解させ、不溶物が出てきた場合は濾過などにより除去し、これを冷却した水中で析出させ。次いで、得られたチタニルフタロシアニンをイオン交換水などで濾過して酸を除去し、中性になるまで洗浄操作を繰り返して、ウエットケーキ(「ウエットペースト」ともいう)を得る。
チタニルフタロシアニンを水で膨潤させる際には、ホモミキサー、ペイントミキサー、ボールミルおよびサンドミルなどの公知の撹拌・分散装置を用いてもよい。
このようにして、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、特定の回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶に変換することができる。
さらに詳しく、チタニルフタロシアニンの結晶変換方法について説明する。
具体的には、前記ウエットケーキ状の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水と有機溶剤の存在下で混合・撹拌することにより、目的とする結晶型を得ることができる。
ここで使用される有機溶剤は、テトラヒドロフラン単独であっても、所望の結晶型が得られるものであれば、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼンおよび1,1,2-トリクロロエタンの中から選択される1種との混合溶剤であってもよい。
また、ウエットケーキの不定形チタニルフタロシアニンを十分な時間の撹拌、もしくは、機械的な歪力をもってミリングすることによっても本発明のチタニルフタロシアニンを得ことができる。
この処理に用いられる装置としては、一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサー、ペイントミキサー、デイスパーサー、アジター、およびボールミル、サンドミル、アトライター、超音波分散装置などが挙げられる。処理後には、公知の方法により、濾過し、メタノール、エタノールまたは水などを用いて洗浄し単離すればよい。
本発明において電荷発生物質として用いられるチタニルフタロシアニンは、0.15~0.3μmの平均粒子径D(50%)を有することが好ましい。
例えば、後述する電荷発生層形成用塗布液の分散時にチタニルフタロシアニンが粉砕(解砕)されて、その平均粒子径が0.15μm未満になると、キャリアの発生効率が低下し、感光体の感度が悪化傾向になる。一方、平均粒子径が0.3μmを超えると、長期保管における粒度分布が悪化傾向になり、電荷発生層の成膜時に塗布欠陥が発生し易くなる。
より好ましいチタニルフタロシアニンの平均粒子径は、0.18~0.28μmであり、さらに好ましくは0.17~0.25μmである。
<電子写真感光体>
本発明の感光体は、支持体上に感光層を備える。
感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、または電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層型感光層であるのが好ましく、積層型感光層であるのが特に好ましい。
以下に図面を用いて、積層型感光層を備える本発明の積層型感光体を説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。
図1は、本発明の感光体(積層型感光体)F01の要部の構成を示す概略断面図である。
積層型感光体F01は、導電性支持体F1上に、下引き層F21および電荷発生物質を含有する電荷発生層F22と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層F23とがこの順で積層された感光層を備えている。図中、Faは感光体表面を示す。
<導電性支持体F1>
導電性支持体(「支持体」、「基体」または「導電性基体」ともいう)は、感光体の電極としての機能と支持部材としての機能とを有し、その構成材料は、当該技術分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼およびチタンなどの金属材料、ならびに表面に金属箔ラミネート、金属蒸着処理または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布した、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙ならびにガラスなどが挙げられる。これらの中でも、加工の容易性の点からアルミニウムが好ましく、JIS3003系、JIS5000系およびJIS6000系などのアルミニウム合金が特に好ましい。
導電性支持体の形状は、図3に示すような円筒状(ドラム状)に限定されず、シート状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
また、導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、レーザ光による干渉縞防止のために、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
<下引き層F21>
本発明の感光体は、支持体と感光層との間に下引き層(「中間層」ともいう)を備えるのが好ましい。
下引き層は、一般に、支持体の表面の凸凹を被覆し均一にして、感光層の成膜性を高め、感光層の導電性支持体からの剥離を抑え、支持体と感光層との接着性を向上させる。具体的には、支持体からの感光層への電荷の注入が防止され、感光層の帯電性の低下を防ぎ、画像のかぶり(いわゆる黒ぽち)を防止することができる。
下引き層は、例えば、バインダ樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を支持体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成することができる。
バインダ樹脂としては、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。バインダ樹脂は、下引き層上に感光体層を形成する際に用いられる溶剤に対して溶解や膨潤などが起こらないこと、導電性支持体との接着性に優れること、可撓性を有することなどの特性が要求されることから、上記のバインダ樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂およびピペラジン系化合物を含有したポリアミド樹脂が好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば、6-ナイロン、66-ナイロン、610-ナイロン、11-ナイロンおよび12-ナイロンなどの単独重合または共重合ナイロン、N-アルコキシメチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプなどが挙げられる。
また、バインダ樹脂を架橋する硬化剤を用いて、硬化膜としてもよい。硬化剤としては、塗液の保存安定性や電気特性の観点からブロック化イソシアネートが好ましい。
溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、2-ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、バインダ樹脂の溶解性、下引き層の表面平滑性などから適切な溶剤を選択し、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節することができ、感光層への電荷の注入をさらに抑制することができると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持することができる。
金属酸化物粒子に用いることができる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどが挙げられる。
下引き層形成用塗布液におけるバインダ樹脂と金属酸化物粒子との合計質量Aと溶剤の質量Bとの比率(A/B)としては、例えば、1/99~30/70程度が好ましく、2/98~40/60程度が特に好ましい。
また、バインダ樹脂の質量Cと金属酸化物粒子の質量Dとの比率(C/D)としては、例えば、90/10~1/99程度が好ましく、70/30~5/95程度が特に好ましい。
下引き層用塗布液の塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択すればよく、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。
これらの中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に支持体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって支持体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体の製造に好適に用いることができる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置が設けられていてもよい。
自然乾燥により塗膜中の溶剤を除去してもよいが、加熱により強制的に塗膜中の溶剤を除去してもよい。
このような乾燥工程における温度は、使用した溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50~140℃程度が適当であり、80~130℃程度が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがあり、また溶剤が充分に蒸発せず感光体層中に残ることがある。また、乾燥温度が約140℃を超えると、感光体の繰り返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化することがある。
このような温度条件は、下引き層のみならず、後述する感光層などの層形成や他の処理においても共通する。
下引き層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μmである。
下引き層の膜厚が0.01μm未満であると、導電性支持体側からの電子の注入のブロッキング性および、光散乱による干渉縞対策に対する十分な効果が得られないことがある。一方、下引き層の膜厚が20μmを超えると、連続印字した際の感度変化が大きくなり、ひいては画像濃度の変化が大きくなることがある。
<電荷発生層F22>
電荷発生層は、画像形成装置などの電子写真装置において、半導体レーザのような光ビームなどの光出射装置で照射された光を吸収することによって電荷を発生する機能を有し、電荷発生物質を主成分とし、必要に応じてバインダ樹脂や添加剤を含有する。
電荷発生物質としては、上記のフタロシアニン顔料が用いられ、その効果が阻害されない範囲で、当該技術分野で公知の他の電荷発生物質を併用してもよいが、本発明の感光体は、フタロシアニン顔料の含有量に応じて特性が改善されるため、その含有量は多いほどよく、少なくとも80%以上含有するのが好ましい。
電荷発生層の形成方法としては、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷発生層用塗布液を下引き層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
他の電荷発生物質としては、上記のフタロシアニンとは結晶型において異なるα型、β型、Y型、アモルファスのチタニルフタロシアニン、または、ガリウムなどのその他の金属フタロシアニン類、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、オキソチタニウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびに、セレンおよび非晶質シリコーンなどの無機光導電性材料などが挙げられ、露光波長域に感度を有するものを適宜選択して用いることができる。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂および上記の下引き層で例示したバインダ樹脂を使用することができ、電荷発生物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。共重合体樹脂としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;1,2-ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層と同様に、電荷発生物質をバインダ樹脂溶液中に溶解または分散させるために、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどの分散機を用いることができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定することが好ましい。
電荷発生物質の質量Eとバインダ樹脂の質量Fとの比率(E/F)としては、例えば、80/20~55/45程度が好ましい。
比率(E/F)が80/20を超える、すなわち電荷発生物質の質量Eが大きくなると、電荷発生物質が多すぎ、バインダ樹脂中での分散安定性が悪くなることがある。一方、比率(E/F)が55/45未満、すなわち電荷発生物質の質量Eが小さくなると、電荷発生効率がおち感度が悪化することがある。
より好ましい比率は、60/40~70/30程度である。
電荷発生層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05~5μmであり、より好ましくは0.1~1μmである。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下することがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり感光体の感度が低下することがある。
<電荷輸送層F23>
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れて感光体の表面(図1中のFa)まで輸送する機能を有し、電荷輸送物質およびバインダ樹脂、必要に応じて添加剤を含有する。
電荷輸送物質としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる化合物を使用することができる。
具体的には、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン、エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ-9-ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷輸送層の形成方法としては、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷輸送物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用することができ、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイドなどの樹脂、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ、成膜性、電位特性などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類;、並びに、N,N-ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。また、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
電荷輸送物質の質量Gとバインダ樹脂の質量Hとの比率(G/H)としては、例えば、10/12~10/30程度が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~40μm程度である。
電荷輸送層の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下することがある。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下することがある。
(2)画像形成装置100>
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する(可視像化する)現像手段と、現像によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明の画像形成装置およびその動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図2は、本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。
図2の画像形成装置(レーザプリンタ)100は、本発明の感光体1(図1のF01に相当)と、露光手段(半導体レーザ)31と、帯電手段(帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35と、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。符号51は記録媒体(記録紙または転写紙)を示す。
感光体1は、画像形成装置100本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線44回りに矢符41方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体1の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。帯電手段(帯電器)32、露光手段31、現像手段(現像器)33、転写手段(転写帯電器)34およびクリーニング手段(クリーナ)36は、この順序で、感光体1の外周面に沿って、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器32は、感光体1の外周面(図1のFaに相当)を均一に所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電手段としては、例えば、帯電チャージャーによるコロナ帯電方式のような非接触帯電方式、および例えば、帯電ローラもしくは帯電ブラシによる接触帯電方式が挙げられる。
露光手段31は、半導体レーザを光源として備え、光源から出力されるレーザビーム光を、帯電器32と現像器33との間の感光体1の表面に照射することによって、帯電された感光体1の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である感光体1の回転軸線44の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体1の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器32により均一に帯電された感光体1の帯電量がレーザビームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
現像器33は、露光によって感光体1の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)によって現像する現像手段であり、感光体1を臨んで設けられ、感光体1の外周面にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写帯電器34は、現像によって感光体1の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写帯電器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。転写帯電器34は、例えば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙51上に転写させる接触式の転写手段である。
クリーナ36は、転写帯電器34による転写動作後に感光体1の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。また、このクリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置100には、感光体1と転写帯電器34との間を通過した転写紙51が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ、加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
符号37は、転写紙と感光体を分離する分離手段、符号38は、画像形成装置の前記の各手段を収容するハウジングを示す。
この画像形成装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。
まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段32から、感光体1の表面に対して画像情報に応じた光が照射される。感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段33による光の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33から、静電潜像の形成された感光体1の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体1に対する露光と同期して、感光体1と転写帯電器34との間に、転写紙51が供給される。転写帯電器34によって、供給された転写紙51にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写紙51上に転写される。
トナー像の転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、転写帯電器34によるトナー像の転写後も感光体1の表面上に残留するトナーは、クリーナ36によって感光体1の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体1の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
上記の画像形成装置100は、モノクロの画像形成装置(プリンタ)であるが、例えば、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。具体的には、トナー像がそれぞれ形成される複数の電子写真感光体を所定方向(例えば水平方向Hまたは略水平方向H)に並設した構成、所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
以下に、製造例、比較製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例では、積層型感光層を備えた積層型感光体を採用したが、単層型感光層を備えた単層型感光体を用いても同様の効果が得られる。
(製造例1:例示化合物Iの合成)
下記の反応スキームにより、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=22、n=4およびp=5のアレーン化合物を合成した。
Figure 2022042758000005
<例示化合物I-1の製造>
十分に乾燥させた、硼珪酸ガラス製の容量1Lの撹拌容器に、カリックス[4]アレーン(東京化成工業株式会社製)10.0g、1-ブロモペンタン(富士フィルム和光純薬株式会社製)35.6gおよび水素化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)10.8gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド300mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、室温(約20℃)で36時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物I-1の粗生成物を得た。得られた粗生成物を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物I-1を得た(10.9g、収率65%)。
<例示化合物I-2の製造>
得られた例示化合物I-1の10.0gを1,4-ジオキサン500mLに溶解させ、上記と同じ撹拌容器に入れ、パラホルムアルデヒド6.3gを加え、次いで酢酸43.3g、リン酸36.5gおよび塩酸40.8gの順にゆっくり加え、80℃で還流しながら1週間撹拌した。その後、冷水を加えて沈殿物をろ過により回収した後、反応生成物をジクロロメタンで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物I-2の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘキサンで再結晶させて例示化合物I-2を得た(8.9g、収率69%)。
<例示化合物I-3の製造>
上記と同じ撹拌容器に、得られた例示化合物I-2の8.0gおよびアジ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)9.8gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド200mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、90℃で24時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物I-3の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物I-3を得た(6.6g、収率80%)。
<例示化合物Iの製造>
得られた例示化合物I-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=1000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2036)30.0g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸ナトリウム0.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で400mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物Iの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物Iの結晶を得た(8.8g、収率80%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance;略称:NMR)スペクトルを測定したところ、例示化合物Iの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例2:例示化合物IIの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=11、n=4およびp=5のアレーン化合物を合成した。
製造例1と同様にして、例示化合物I-3を得た。
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物I-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=550、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2037)15.3g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸ナトリウム0.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で400mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物IIの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物IIの結晶を得た(6.3g、収率91%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物IIの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例3:例示化合物IIIの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=44、n=4およびp=5のアレーン化合物を合成した。
製造例1と同様にして、例示化合物I-3を得た。
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物I-3の2.0g、mPEG-Alkyne(Mw=2000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2035)21.7g、硫酸銅(II)五水和物0.04gおよびL-アスコルビン酸ナトリウム0.13gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で400mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物IIの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物IIIの結晶を得た(13.2g、収率68%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物IIIの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例4:例示化合物IVの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=22、n=8およびp=5のアレーン化合物を合成した。
<例示化合物IV-1の製造>
十分に乾燥させた、上記と同じ撹拌容器に、カリックス[8]アレーン(東京化成工業株式会社製)10.0g、1-ブロモペンタン(富士フィルム和光純薬株式会社製)35.0gおよび水素化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)11.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド300mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、室温で36時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物IV-1の粗生成物を得た。得られた粗生成物を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物IV-1を得た(10.5g、収率63%)。
<例示化合物IV-2の製造>
得られた例示化合物IV-1の10.0gを1,4-ジオキサン400mLに溶解させ、上記と同じ撹拌容器に入れ、パラホルムアルデヒド6.3gを加え、次いで酢酸22.0g、リン酸20.7gおよび塩酸20.6gの順にゆっくり加え、80℃で還流しながら1週間撹拌した。その後、冷水を加えて沈殿物をろ過により回収した後、反応生成物をジクロロメタンで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物IV-2の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘキサンで再結晶させて例示化合物IV-2を得た(10.7g、収率84%)。
<例示化合物IV-3の製造>
上記と同じ撹拌容器に、得られた例示化合物IV-2の10.0gおよびアジ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)9.2gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド250mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、90℃で24時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物IV-3の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物IV-3を得た(8.0g、収率78%)。
<例示化合物IVの製造>
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物IV-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=1000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2036)36.7g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸ナトリウム0.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で300mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物IVの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物IVの結晶を得た(19.9g、収率72%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物IVの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例5:例示化合物Vの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=22、n=4およびp=8のアレーン化合物を合成した。
<例示化合物V-1の製造>
十分に乾燥させた、上記と同じ撹拌容器に、カリックス[4]アレーン(東京化成工業株式会社製)10.0g、1-ブロモオクタン(富士フィルム和光純薬株式会社製)45.5gおよび水素化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)10.8gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド300mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、室温(約20℃)で36時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物V-1の粗生成物を得た。得られた粗生成物を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物V-1を得た(11.6g、収率56%)。
<例示化合物V-2の製造>
得られた例示化合物V-1の10.0gを1,4-ジオキサン400gに溶解させ、上記と同じ撹拌容器に入れ、パラホルムアルデヒド5.1gを加え、次いで酢酸35.5g、リン酸29.5gおよび塩酸33.0gの順にゆっくり加え、80℃で還流しながら1週間撹拌した。その後、冷水を加えて沈殿物をろ過により回収した後、反応生成物をジクロロメタンで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物V-2の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘキサンで再結晶させて例示化合物V-2を得た(10.7g、収率87%)。
<例示化合物V-3の製造>
上記と同じ撹拌容器に、得られた例示化合物V-2の10.0gおよびアジ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)7.9gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド200gまたはmLを加えて容器内の内容物を溶解させて、90℃で24時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物V-3の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物V-3を得た(8.4g、収率82%)。
<例示化合物Vの製造>
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物V-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=1000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2036)23.9g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸
ナトリウム0.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で300mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物Vの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物Vの結晶を得た(13.0g、収率54%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物Vの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例6:例示化合物VIの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=22、n=4およびp=3のアレーン化合物を合成した。
<例示化合物VI-1の製造>
十分に乾燥させた、上記と同じ撹拌容器に、カリックス[4]アレーン(東京化成工業株式会社製)10.0g、1-ブロモプロパン(富士フィルム和光純薬株式会社製)28.9gおよび水素化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)10.8gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド300mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、室温(約20℃)で36時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VI-1の粗生成物を得た。得られた粗生成物を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VI-1を得た(12.2g、収率87%)。
<例示化合物VI-2の製造>
得られた例示化合物VI-1の12.0gを1,4-ジオキサン500mLに溶解させ、上記と同じ撹拌容器に入れ、パラホルムアルデヒド9.0gを加え、次いで酢酸61.8g、リン酸52.0gおよび塩酸58.2gの順にゆっくり加え、80℃で還流しながら1週間撹拌した。その後、冷水を加えて沈殿物をろ過により回収した後、反応生成物をジクロロメタンで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VI-2の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘキサンで再結晶させて例示化合物VI-2を得た(11.0g、収率69%)。
<例示化合物VI-3の製造>
上記と同じ撹拌容器に、得られた例示化合物VI-2の10.0gおよびアジ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)14.0gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド300mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、90℃で24時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VI-3の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VI-3を得た(9.3g、収率90%)。
<例示化合物VIの製造>
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物VI-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=1000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2036)32.1g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸
ナトリウム0.3gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で300mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VIの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物VIの結晶を得た(16.3g、収率53%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物VIの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例7:例示化合物VIIの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=112(但し、一般式(II)の規定を逸脱)、n=4およびp=5のアレーン化合物を合成した。
製造例1と同様にして、例示化合物I-3を得た。
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物I-3の2.0g、mPEG-Alkyne(Mw=5000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2034)53.8g、硫酸銅(II)五水和物0.05gおよびL-アスコルビン
酸ナトリウム0.12gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で350mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VIIの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物VIIの結晶を得た(13.5g、収率30%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物VIIの構造を支持するスペクトルが得られた。
(製造例8:例示化合物VIIIの合成)
製造例1の反応スキームに準じて、一般式(I)におけるR1=H,R2=H、m=22、n=4およびp=12(但し、一般式(I)の規定を逸脱)のアレーン化合物を合成した。
<例示化合物VIII-1の製造>
十分に乾燥させた、上記と同じ撹拌容器に、カリックス[4]アレーン(東京化成工業株式会社製)7.0g、1-ブロモプロパン(富士フィルム和光純薬株式会社製)41.0gおよび水素化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)7.6gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド250mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、室温(約20℃)で36時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VIII-1の粗生成物を得た。得られた粗生成物を乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ジクロロメタン:ヘキサン=1:2)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VIII-1を得た(13.6g、収率75%)。
<例示化合物VIII-2の製造>
得られた例示化合物VIII-1の12.0gを1,4-ジオキサン450mLに溶解させ、上記と同じ撹拌容器に入れ、パラホルムアルデヒド4.9gを加え、次いで酢酸33.5g、リン酸28.1gおよび塩酸31.5gの順にゆっくり加え、80℃で還流しながら1週間撹拌した。その後、冷水を加えて沈殿物をろ過により回収した後、反応生成物をジクロロメタンで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VIII-2の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をジクロロメタン/ヘキサンで再結晶させて例示化合物VIII-2を得た(10.9g、収率77%)。
<例示化合物VIII-3の製造>
上記と同じ撹拌容器に、得られた例示化合物VIII-2の10.0gおよびアジ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)7.6gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミド250mLを加えて容器内の内容物を溶解させて、90℃で24時間撹拌した。その後、反応生成物を酢酸エチルで抽出し、油層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VIII-3の粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤/富士フィルム和光純薬株式会社製、製品名:ワコーゲル(登録商標)C-300E、展開溶媒/ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、減圧下で溶媒を留去して例示化合物VIII-3を得た(10.2g、収率80%)。
<例示化合物VIIIの製造>
上記と同じ二又フラスコに、得られた例示化合物VIII-3の5.0g、mPEG-Alkyne(Mw=1000、Creative PEGWorks社製、カタログ番号:PLS-2036)19.9g、硫酸銅(II)五水和物0.1gおよびL-アスコルビン酸ナトリウム0.2gを入れ、窒素置換を行った。次いで、溶媒として脱水N,N-ジメチルホルムアミドと脱水ジメチルスルホキシドとを7:3の割合で250mL加え、90℃で還流しながら24時間撹拌した。その後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、真空乾燥させて例示化合物VIIIの粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物を水で透析し、凍結乾燥により溶媒を留去して例示化合物VIIIの結晶を得た(13.0g、収率62%)。
得られた結晶の重クロロホルム(CDCl3)中におけるNMRスペクトルを測定したところ、例示化合物VIIIの構造を支持するスペクトルが得られた。
(実施例1)
(下引き層の形成)
酸化チタン(昭和電工株式会社製、商品名:TS-043)0.3kgおよび共重合ポリアミド(ナイロン)(東レ株式会社製、商品名:CM8000)0.2kgを、メチルアルコール2.5kgに加え、ペイントシェーカー(分散機)にて8時間分散処理して下引き層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、浸漬塗布法により、具体的には、得られた塗布液を塗布槽に満たし、直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状支持体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質として、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン(下記の<チタニルフタロシアニンの合成>により予め調製)0.03kg、バインダ樹脂としてのポリビニルブチラール(PVB)樹脂(積水化学工業株式会社製、商品名:BX-1)0.03kgおよび製造例1で得られた例示化合物Iの0.0012kg(フタロシ
アニン顔料に対して4質量%)を、メチルエチルケトン2.94kgに加え、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ-1、ビーズ径:1mm)用い、ペイントシェーカーにて2時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、下引き層の形成と同様に、浸漬塗布法にて電荷発生層形成用塗布液を下引き層の表面に塗布した。具体的には、得られた電荷発生層形成用塗布液を塗布槽に満たし、下引き層が形成されたドラム状支持体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、自然乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
<チタニルフタロシアニンの合成>
o-フタロジニトリル40gと4塩化チタン18g、α-クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200~250℃で3時間加熱撹拌し、100~130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα-クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。得られた粗生成物を室温にてα-クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間懸濁洗浄した。
濾過後、得られた粗生成物を水500ml中で、pHが6~7になるまで、懸濁洗浄を繰り返した後、濾取してウエットケーキを得た。
得られたウエットケーキを乾燥させてチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを、下記の装置および分析条件で測定した。
X線回折装置:株式会社リガク製、型式:ATX-G(薄膜構造評価用)
X線源 :CuKα=1.541Å
電圧 :50kV
電流 :300mA
スタート角度:5.0deg.
ストップ角度:30.0deg.
ステップ角度:0.02deg.
測定時間 :5deg./min.
測定方法 :θ/2θスキャン方法
ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、26.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつ27.3°が最大ピークであるY型チタニルフタロシアニンであることを確認した。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質として、下記構造式(a):
Figure 2022042758000006
で表されるトリフェニルアミン系化合物(TPD)(東京化成工業株式会社製、商品名:D2448)0.21kgおよびバインダ樹脂としてのポリカーボネート(帝人化成株式会社製、商品名:TS2020)0.31kgに、テトラヒドロフラン2.48kgを加え撹拌・混合して、電荷輸送層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、下引き層の形成と同様に、浸漬塗布法にて電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の表面に塗布した。具体的には、得られた電荷輸送層形成用塗布液を塗布槽に満たし、電荷発生層の形成されたドラム状支持体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、130℃で1時間乾燥して、膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、図2に示す感光体F1を作製した。
(実施例2)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iの配合量0.012kgを0.0006kg(フタロシアニン顔料に対して2質量%)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光体F1を作製した。
(実施例3)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iの配合量0.012kgを0.003kg(フタロシアニン顔料に対して10質量%)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感光体F1を作製した。
(実施例4~8)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iをそれぞれ製造例2~6で得られた例示化合物II~VIに代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例4~8の感光体F1を作製した。
(実施例9)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、チタニルフタロシアニンをガリウムフタロシアニン(オリエント化学工業株式会社製、製品名:OPTRON GPL-G)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感光体F1を作製した。
(実施例10)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、チタニルフタロシアニンをX型無金属フタロシアニンダイマー(オリエント化学工業株式会社製、製品名:OPTRON HPL-X)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感光体F1を作製した。
(実施例11)
下引き層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の感光体F1を作製した。
(実施例12)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iの配合量0.012kgを0.00015kg(フタロシアニン顔料に対して0.5質量%)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例12の感光体F1を作製した。
(実施例13)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iの配合量0.012kgを0.0045kg(フタロシアニン顔料に対して15質量%)に代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、実施例13の感光体F1を作製した。
(比較例1)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iを配合しないで電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感光体F1を作製した。
(比較例2)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iを配合しないで電荷発生層を形成すること以外は、実施例9と同様にして、比較例2の感光体F1を作製した。
(比較例3および4)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、例示化合物Iをそれぞれ製造例7および8で得られた例示化合物VIIおよびVIIIに代えて電荷発生層を形成すること以外は、実施例1と同様にして、比較例3および4の感光体F1を作製した。
[評価]
デジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX-5140FN)を改造した試験用複写機を用い、実施例1~11および比較例1~4で作製した感光体F01について、常温/常湿(温度25℃/相対湿度50%)環境下における初期の明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った(評価1)。
また、同環境下において、通紙の実写エージングを5000枚行い、エージング直後と15時間放置直後の明部電位の測定およびゴースト画像の評価を行った(評価2および3)。
ゴースト画像は、ドラム一周分の数の直径30mmの丸パターンを印字し、そのあと全面ハーフトーン画像を印字して得られた画像を下記の基準で目視判定した。
1:ゴーストが全く見られず、非常に良好
2:ゴーストが殆ど見られず、良好
3:ゴーストがうっすらと見られるが、実使用可
4:はっきりとゴーストが見られ、実使用不可
[総合評価]
評価1~3の評価結果に基づいて、下記の基準で総合評価した。
VG:評価1~3において、ゴーストレベル1または2だけであり、ゴーストレベル3または4がない。
G :評価1~3において、ゴーストレベル3以下であり、ゴーストレベル4がない。
B :評価1~3の判定において、ゴーストレベル4がある。
表1に感光体の主要構成材料およびその配合量を、表2に得られた評価結果を示す。
Figure 2022042758000007
Figure 2022042758000008
表1から次のことがわかる。
(1)電荷発生層にPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例1~3)は、電荷発生層にPEG化カリックスアレーン化合物を添加せずに作製した感光体(比較例1~2)に比べて、初期およびエージング後のゴーストレベルが良化すること
(2)PEG分子量が2000以上のPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例5および比較例3)は、PEG分子量が1000以下のPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例1および4)に比べて、初期およびエージング後のゴーストレベルが悪化すること
(3)カリックスアレーン部分がカリックス[8]アレーンのPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例6)は、カリックスアレーン部分がカリックス[4]アレーンのPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例1)に比べて、ゴーストレベルの良化傾向を示さないこと
(4)アルキル鎖長が長いPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例7)と、アルキル鎖長が短いPEG化カリックスアレーン化合物を添加して作製した感光体(実施例8)は、初期およびエージング後のゴーストレベルが同等であること
F01 積層型電子写真感光体
F1 導電性支持体(支持体)
F21 下引き層(中間層)
F22 電荷発生層
F23 電荷輸送層
Fa 感光体表面
1 感光体
31 露光手段(半導体レーザ)
32 帯電手段(帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング
41、42 矢符
44 回転軸線
51 記録媒体(記録紙または転写紙)
100 画像形成装置(レーザプリンタ)

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層を備え、
    前記感光層が、電荷発生物質としてのフタロシアニン顔料、および一般式(I):
    Figure 2022042758000009
    [式中、mは10~100の整数であり、nは4~8の整数であり、pは1~10の整数であり、R1およびR2は同一または異なって水素原子またはアルキル基である]
    で表されるPEG化カリックス[n]アレーン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記PEG化カリックス[n]アレーン化合物は、一般式(I)におけるmが10~50の整数であり、nが4~6の整数であり、pが3~6の整数であり、かつR1およびR2が同一または異なって水素原子またはアルキル基である化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記PEG化カリックス[n]アレーン化合物は、一般式(I)におけるmが22であり、nが4であり、pが5であり、かつR1およびR2が共に水素原子である化合物である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記PEG化カリックス[n]アレーン化合物の含有量が、前記フタロシアニン顔料に対して0.5~15質量%である請求項1~3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 前記フタロシアニン顔料が、チタニルフタロシアニンである請求項1~4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記チタニルフタロシアニンが、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に少なくとも回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニンである請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記フタロシアニン顔料が、ガリウムフタロシアニンまたはX型無金属フタロシアニンダイマーである請求項1~4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  8. 前記感光層が、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層、または電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層型感光層である請求項1~7のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  9. 前記感光層が、前記積層型感光層である請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記導電性支持体と前記感光層との間に、下引き層を備える請求項1~9のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  11. 請求項1~10のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
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