JP2021124525A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ライフを通じて帯電性能が安定し、長期の繰り返しによる通電疲労が起きても地汚れなどの画像不良を発生することなく、帯電性能の維持が可能であり、長期にわたり安定した画像性能を維持し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。【解決手段】基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、前記電荷発生物質が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5であるオキソチタニルフタロシアニンであることを特徴とする電子写真感光体により、上記の課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、電荷発生物質として特定の結晶型を有するオキソチタニルフタロシアニンを含有する積層型感光層を備えた電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。
電子写真技術を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに多用されている。
電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、基体上に光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成されている。
現在、有機系光導電性材料を主成分とする感光層を備えた感光体(「有機系感光体」ともいう)の研究開発が進み、現在では感光体の主流を占めている。
有機系感光体としては、基体(「導電性支持体」ともいう)上に、電荷発生物質および電荷輸送物質(「電荷移動物質」ともいう)をバインダ樹脂(「結着樹脂」、「結着剤樹脂」ともいう)に分散させた単層型感光層を備える構成、および電荷発生物質をバインダ樹脂に分散させた電荷発生層と電荷輸送物質をバインダ樹脂に分散させた電荷輸送層とをこの順で積層した積層型感光層を備える構成が提案されている。これらの内、後者の機能分離型の感光体は、電子写真性能および耐久性に優れ、材料選択の自由度が高く、感光体性能を様々に設計できることから広く実用化されている。
例えば、電荷発生物質として結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを用いた有機系感光体は、長波長光に対して高感度で、残留電位が低く、帯電性能が高く、静電性能に優れていることから幅広く活用されている。
しかしながら、結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを用いた感光体は、長期繰り返し通電疲労による帯電低下が大きく、感光体の耐用期間に制限があるという課題があった。
他方、複写機などの画像形成装置は、高速化や小型化の要望が高まっている。
例えば、高速化の手段としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の画像形成要素に対して、感光体、帯電、露光、現像、クリーニング、除電などの画像形成ユニットを並べたタンデム方式が広く採用されている。そこで、装置の小型化を達成するためには、個々の画像形成ユニット自体をコンパクトにすることが必要になり、感光体の小径化が求められる。従来、感光体は、そのメンテナンスサイクルを長くするために大径化が求められていたが、タンデム方式の採用により、感光体の小径化が必須になっている。
しかしながら、感光体の小径化には、耐刷性の向上、繰り返しの通電疲労による電位変動の安定化など、感光体のライフ(寿命)を延ばす上で、多くの技術課題がある。
一般に感光体は、繰り返しの帯電、露光、除電の画像形成プロセスによる通電疲労により、帯電性能の低下、画像性能の低下が発生することから、上記のような技術課題に対して、多くの対策が提案されてきた。
その1つとして感光体を構成する電荷発生物質である結晶型のオキソチタニルフタロシアニンの性能改善の提案がなされている。
例えば、製造工程において出発原料に四塩化チタンのようなハロゲン化金属を用いず、チタンテトラアルコキシドとフタロニトリル類とを尿素および有機溶媒の存在下で反応・結晶化させたオキソチタニルフタロシアニン(特開平6−293769号公報:特許文献1)および塩素のようなハロゲンの含有量を低減したオキソチタニルフタロシアニン(特開平3−11358号公報:特許文献2)が提案されてきた。
特開平6−293769号公報 特開平3−11358号公報
しかしながら、上記の先行技術の結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを電荷発生物質として用いた感光体でもその帯電安定性は十分とはいえない。
また、繰り返しの通電疲労による、低湿環境における帯電性能の維持および感度の安定性に課題があることが知られている。詳細には、通電疲労後、帯電性能が低下(「V0低下」という)する問題や、画像形成完了後に、一定時間が経過した状態(放置状態)から画像形成をさせた場合に、感光体の一回転目の帯電性能が低下(「FV0低下」という)し、二回転目、三回転目と徐々に回復する傾向があるため、画像形成の前に感光体を予め数回転させる前回転動作(制御)を行う必要があった。近年ではプロセススピードの高速化により、前回転動作を行うことによる時間的なロスが大きな問題になっている。
そこで、本発明は、ライフを通じて帯電性能が安定し、長期の繰り返しによる通電疲労が起きても地汚れなどの画像不良を発生することなく、帯電性能の維持が可能であり、長期にわたり安定した画像性能(画質性能ともいう)を維持し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、電荷発生物質として、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、特定のブラッグ角(2θ±0.2°)に回折ピークを有し、かつ特定のブラッグ角の回折ピーク強度比を有するオキソチタニルフタロシアニンを用いることで、ライフを通じて帯電性能が安定し、長期の繰り返しによる通電疲労が起きても地汚れなどの画像不良を発生することなく、帯電性能の維持が可能であり、長期にわたり安定した画像性能を維持し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして、本発明によれば、基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、
前記電荷発生物質が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5であるオキソチタニルフタロシアニンであることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、上記の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、電荷発生物質の、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5の範囲に調整することで、低湿環境の通電疲労における帯電性能の低下および放置状態からの画像形成の際の帯電性能の低下が抑制される。したがって、ライフを通じて帯電性能が安定し、長期の繰り返しによる通電疲労が起きても地汚れなどの画像不良を発生することなく、帯電性能の維持が可能であり、長期にわたり安定した画像性能を維持し得る電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
本発明の感光体は、次の条件(1)〜(6)のいずれか1つを満たす場合に、上記の効果をより発揮する。
(1)電荷発生物質が、0.15〜0.35μmの平均粒径D(50%)を有するオキソチタニルフタロシアニンである。
(2)電荷発生層がバインダ樹脂を含み、該バインダ樹脂が2種類以上のアルデヒドとポリビニルアルコールとのアセタール化反応により得られた樹脂でありかつその重量平均分子量が6万以上20万以下である。
(3)電荷発生層の電荷発生物質の質量Eとバインダ樹脂の質量Fとの比率(E/F)が、80/20〜55/45である。
(4)電荷発生物質が、0.2〜1.5質量%のテトラヒドロフランを含有するオキソチタニルフタロシアニンである。
(5)電荷発生物質が、塩素を含まないか、もしくは0.2質量%以下の塩素含有量のオキソチタニルフタロシアニンである。
(6)基体と積層型感光層との間に下引き層を備える。
本発明の感光体を構成する電荷発生物質のオキソチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルにおけるブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)と、帯電性能との相関関係を示す図である。 本発明の感光体(積層型感光体)F01の要部の構成を示す概略断面図である。 本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。 オキソチタニルフタロシアニン中の残留テトラヒドロフランを測定するための3水準の濃度の測定結果(a)〜(c)とそれらにより作成した検量線(d)を示す図である。 製造例1のオキソチタニルフタロシアニンの熱分解ガスクロマトグラフィーの測定結果を示す図である。 製造例1のオキソチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルパターンを示す図である。
本発明の感光体は、基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、
前記電荷発生物質が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5であるオキソチタニルフタロシアニンであることを特徴とする。
すなわち、本発明の感光体の特徴は、基体上に備えられた積層型感光層に、電荷発生物質として特定のオキソチタニルフタロシアニンを含有することにある。
まず、オキソチタニルフタロシアニンについて説明し、その後で感光体およびそれを備えた画像形成装置について説明する。
<オキソチタニルフタロシアニン(「チタニルフタロシアニン」ともいう)>
本発明において電荷発生物質として用いられるオキソチタニルフタロシアニンは、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5である。
そのオキソチタニルフタロシアニンは、次式(A)で表される。
Figure 2021124525
式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニンは、例えば、特開平6−293769号公報、特開2003−183534号公報、特開平7−271073号公報およびFrank H, MoserおよびArthur L. Thomas著、「Phthalocyanine Compounds」、Reinhold Publishing Corporation(New York)、1963年に記載されている公知の合成方法により製造することができる。
公知の合成方法には、出発原料としてハロゲン化チタンを用いる場合と用いない場合があるが、上記のX線回折スペクトルの特徴を有するオキソチタニウムフタロシアニンであれば、合成の出発原料やその方法に関わらず、本発明の優れた効果が得られることを本発明者らは確認している。但し、後述するように、オキソチタニウムフタロシアニン中の塩素のようなハロゲンの含有が感光体の帯電性能に悪影響を与えることがあり、オキソチタニウムフタロシアニンは、塩素などのハロゲンを含まない原料由来のものが好ましい。
以下に合成方法を例示する。
フタロニトリルとテトラブトキシチタンなどのチタンアルコキシドとを、尿素の存在下、温度を150℃に持続しつつ、少なくとも5時間以上撹拌下で反応させる。反応終了後の生成したオキソチタニルフタロシアニンを濾別する。得られた生成物を、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムなどの塩素系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などの溶剤により洗浄し、オキソチタニルフタロシアニンを得る。これらの溶剤にオキソチタニルフタロシアニンは溶解せず、オキソチタニルフタロシアニンに付着した不純物が溶解するので、洗浄を繰り返すことにより、不純物の残留を極限まで低減することができる。
また、o−フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するかまたはα−クロロナフタレンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することにより、オキソチタニルフタロシアニンを得る。
さらに、イソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドンなどの適当な溶剤中で加熱反応させることにより、オキソチタニウムフタロシアニンを得る。このオキソチタニルフタロシアニンは、ベンゼン環の水素原子が塩素、フツ素、ニトロ基、シアノ基およびスルホン基などの置換基で置換されたフタロシアニン誘導体を含有していてもよい。
このようにして得られたオキソチタニルフタロシアニンを、水の存在下にジクロロエタンなどの水に非混和性の有機溶剤で処理することにより、本発明において電荷発生物質として用いられる結晶型のオキソチタニルフタロシアニンを得ることができる。
その処理方法(結晶変換方法)としては、例えば、オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させて有機溶剤で処理する方法、膨潤処理を行わずに、水を有機溶剤中に添加し、その中にオキソチタニルフタロシアニン粉末を投入する方法などが挙げられる。
オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させる方法としては、例えば、オキソチタニルフタロシアニンを10〜30倍の濃硫酸に溶解させ、不溶物が出てきた場合は濾過などにより除去し、これを冷却した水中で析出させ。次いで、得られたオキソチタニルフタロシアニンをイオン交換水などで濾過して酸を除去し、中性になるまで洗浄操作を繰り返して、ウエットケーキ(「ウエットペースト」ともいう)を得る。
オキソチタニルフタロシアニンを水で膨潤させる際には、ホモミキサー、ペイントミキサー、ボールミルおよびサンドミルなどの公知の撹拌・分散装置を用いてもよい。
このようにして、不定形オキソチタニルフタロシアニン(低結晶性オキソチタニルフタロシアニン)を、特定の回折ピークを有するオキソチタニルフタロシアニン結晶に変換することができる
さらに詳しく、チタニルフタロシアニンの結晶変換方法について説明する。
具体的には、前記ウエットケーキ状の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水と有機溶剤の存在下で混合・撹拌することにより、目的とする結晶型を得ることができる。
ここで使用される有機溶剤は、テトラヒドロフラン単独であっても、所望の結晶型が得られるものであれば、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼンおよび1,1,2−トリクロロエタンの中から選択される1種との混合溶剤であってもよい。
また、ウエットケーキの不定形オキソチタニルフタロシアニンを十分な時間の撹拌、もしくは、機械的な歪力をもってミリングすることによっても本発明のオキソチタニルフタロシアニンを得ことができる。
この処理に用いられる装置としては、一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサー、ペイントミキサー、デイスパーサー、アジター、およびボールミル、サンドミル、アトライター、超音波分散装置などが挙げられる。処理後には、公知の方法により、濾過し、メタノール、エタノールまたは水などを用いて洗浄し単離すればよい。
本発明者らは、上記の処理において、ウエットケーキ状のオキソチタニルフタロシアニンの結晶変換時の溶剤種の選定、ウエットケーキでの保持時間、機械的な歪力の微調整により、上記のような本発明のX線回折スペクトルの特徴を有するオキソチタニウムフタロシアニンが得られ、これにより、感光体の低湿環境での通電疲労による帯電性能の安定性を改善でき、Y型チタニルフタロシアニン本来の性能を維持したまま、その欠点を抑制できることを見出した。
本発明において電荷発生物質として用いられる結晶型のオキソチタニルフタロシアニンは、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5である。
ピーク強度比が0.88未満では、通電疲労による帯電性能が不安定になり、変動幅の抑制に十分な効果が得られないことがある。理由は定かではないが、上記のピーク強度比の範囲にすることで、電荷発生層と電荷輸送層の界面で適度にキャリアが発生し、通電疲労により徐々に蓄積された余剰キャリアが失活し易い結晶構造であるため、繰り返し帯電露光を繰り返す画像形成プロセスにおいて、帯電低下が抑制されているものと推察される。
一方、ピーク強度比が1.5を超えると、通電疲労による帯電性能の安定性が維持できず、感度の低下により画像品質の維持が困難になることがある。
より好ましい回折ピーク強度比は、1.0〜1.4である。
後述する実施例のように、チタニルフタロシアニンの結晶化条件または電荷発生層形成用塗布液の調製(分散)条件の調整により、上記の結晶回折パターンおよびピーク強度比を有するチタニルフタロシアニンを得ることができる。
本発明において電荷発生物質として用いられるオキソチタニルフタロシアニンは、0.2〜1.5質量%のテトラヒドロフランを含有するオキソチタニルフタロシアニンであるのが好ましい。
また、本発明者らは、結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶に含まれる、テトラヒドロフランの溶剤量(「残留量」または「含有量」)を0.2〜1.5質量%に調整することで、環境変動に伴う、感度変動を抑制でき、チタニルフタロシアニン本来の性能を維持したまま、その欠点を抑制できることを見出した。
テトラヒドロフランの残留量が0.2質量%未満では、顔料のチタニルフタロシアニンに残存分のテトラヒドロフランが少なすぎ、感度が低下傾向になり、環境変動に伴う、感度変動が顕著となり、感度性能の維持に対して十分な効果が得られないことがある。一方、テトラヒドロフランの残留量が1.5質量%を超えると、電荷発生層または単層型感光層中に精製したキャリアが各層の界面に残留し易くなり感度が低下しさらには帯電性能が低下することがある。
好ましいトラヒドロフランの残留量は、0.2〜0.5質量%である。
また、低湿環境での感度低下の抑制には、テトラヒドロフランの残留量が最も影響を与えているものと考えられ、その効果を阻害しない範囲で、例えば、上記の混合溶剤に例示のトルエンのような他の溶剤が含まれていてもよく、その含有量は、全溶剤残留量の30質量%以下であるのが好ましい。
オキソチタニルフタロシアニンの結晶内部にテトラヒドロフランを残留させるには、ウエットケーキ状態のオキソチタニルフタロシアニンを結晶化処理するときの条件を適宜設定すればよい。本発明者らは、結晶内部のテトラヒドロフランの残留量が結晶化処理の条件に依存することを確認している。
すなわち、酸処理(アッシドペースト処理)直後のウエットケーキ状態では、チタニルフタロシアニンの周りに最も潤沢に水が存在するため、この時点で水との親和性の高いテトラヒドロフランを用いて結晶化処理することにより、結晶内部に水と残留溶剤としてテトラヒドロフランが取り込まれ(抱き込まれ)易くなるものと考えられる。なお、具体的な結晶化処理およびテトラヒドロフランの残留量の測定方法については、実施例において詳述する。
このように結晶内部に取り込まれたテトラヒドロフランによって、オキソチタニルフタロシアニンが水分を取り込み易い結晶構造になるために、感光体において、通常のY型チタニルフタロシアニンよりも低湿環境での感度低下が抑制されるものと考えられる。
本発明において電荷発生物質として用いられるオキソチタニルフタロシアニンは、塩素を含まないか、もしくは0.2質量%以下の塩素含有量のオキソチタニルフタロシアニンであるのが好ましい。
上記のように、オキソチタニルフタロシアニンは、塩素を含まないのが最も好ましく、含んでいても上記の許容範囲であればよいが、その上限、0.2質量%を超えると、繰り返しの通電疲労により感度や帯電性能が低下することがある。
このことから、オキソチタニルフタロシアニンは、塩化物を含まない原材料を使用して合成されたものが好ましい。
塩素含有量は公知の方法により測定することができ、その具体的な測定方法については、実施例において詳述する。
本発明において電荷発生物質として用いられるオキソチタニルフタロシアニンは、0.15〜0.35μmの平均粒径D(50%)を有することが好ましい。
後述する電荷発生層形成用塗布液の分散時に平均粒径が0.15μm未満まで解砕してしまうと、キャリアの発生効率が低下し、感度が低下することになる。一方、平均粒径が0.35μmを超えると、長期保管における粒度分布が低下することになり、成膜時に塗布欠陥が発生し易くなる。
より好ましいオキソチタニルフタロシアニンの平均粒径は、0.18〜0.28μmである。
平均粒径の測定方法については、実施例において詳述する。
<電子写真感光体>
本発明の感光体は、基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備える。
以下に図面を用いて、本発明の感光体を説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。
図2は、本発明の感光体(積層型感光体)F01の要部の構成を示す概略断面図である。
積層型感光体F01は、基体F1上に、下引き層F21および電荷発生物質を含有する電荷発生層F22と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層F23とがこの順で積層された感光層を備えている。図中、Faは感光体表面を示す。
<基体F1>
基体(「導電性基体」または「導電性支持体」ともいう)は、感光体の電極としての機能と支持部材としての機能とを有し、その構成材料は、当該技術分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス鋼およびチタンなどの金属材料、ならびに表面に金属箔ラミネート、金属蒸着処理または導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布した、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンおよびポリスチレンなどの高分子材料、硬質紙ならびにガラスなどが挙げられる。これらの中でも、加工の容易性の点からアルミニウムが好ましく、JIS3003系、JIS5000系およびJIS6000系などのアルミニウム合金が特に好ましい。
導電性支持体の形状は、図3に示すような円筒状(ドラム状)に限定されず、シート状、円柱状、無端ベルト状などであってもよい。
また、導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、レーザ光による干渉縞防止のために、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水などによる表面処理、着色処理、または表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
<下引き層F21>
本発明の感光体は、基体と積層型感光層との間に下引き層(「中間層」ともいう)を備えるのが好ましい。
下引き層は、一般に、基体の表面の凸凹を被覆し均一にして、積層型感光層の成膜性を高め、感光層の導電性支持体からの剥離を抑え、基体と感光層との接着性を向上させる。具体的には、基体からの感光層への電荷の注入が防止され、感光層の帯電性能の低下を防ぎ、画像のかぶり(いわゆる黒ぽち)を防止することができる。
下引き層は、例えば、バインダ樹脂を適当な溶剤に溶解または分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を基体の表面に塗布し、乾燥により有機溶剤を除去することによって形成することができる。
バインダ樹脂としては、アセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。バインダ樹脂は、下引き層上に感光体層を形成する際に用いられる溶剤に対して溶解や膨潤などが起こらないこと、導電性支持体との接着性に優れること、可撓性を有することなどの性能が要求されることから、上記のバインダ樹脂の中でも、ポリアミド樹脂が好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂およびピペラジン系化合物を含有したポリアミド樹脂が好ましい。
アルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナイロン、11−ナイロンおよび12−ナイロンなどの単独重合または共重合ナイロン、N−アルコキシメチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプなどが挙げられる。
また、バインダ樹脂を架橋する硬化剤を用いて、硬化膜としてもよい。硬化剤としては、塗液の保存安定性や電気性能の観点からブロック化イソシアネートが好ましい。
溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノールなどの低級アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は、バインダ樹脂の溶解性、下引き層の表面平滑性などから適切な溶剤を選択し、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。金属酸化物粒子は、下引き層の体積抵抗値を容易に調節することができ、電荷発生層および単層型感光層への電荷の注入をさらに抑制することができると共に、各種環境下において感光体の電気性能を維持することができる。
金属酸化物粒子に用いることができる材料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどが挙げられる。
下引き層形成用塗布液におけるバインダ樹脂と金属酸化物粒子との合計質量Aと溶剤の質量Bとの比率(A/B)としては、例えば、1/99〜30/70程度が好ましく、2/98〜40/60程度が特に好ましい。
また、バインダ樹脂の質量Cと金属酸化物粒子の質量Dとの比率(C/D)としては、例えば、90/10〜1/99程度が好ましく、70/30〜5/95程度が特に好ましい。
下引き層用塗布液の塗布方法は、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択すればよく、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。
これらの中でも、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体の製造に好適に用いることができる。浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置が設けられていてもよい。
自然乾燥により塗膜中の溶剤を除去してもよいが、加熱により強制的に塗膜中の溶剤を除去してもよい。
このような乾燥工程における温度は、使用した溶剤を除去し得る温度であれば特に限定されないが、50〜140℃程度が適当であり、80〜130℃程度が特に好ましい。
乾燥温度が50℃未満では、乾燥時間が長くなることがあり、また溶剤が充分に蒸発せず感光体層中に残ることがある。また、乾燥温度が約140℃を超えると、感光体の繰り返し使用時の電気性能が低下して、得られる画像が劣化することがある。
このような温度条件は、下引き層のみならず、後述する感光層などの層形成や他の処理においても共通する。
下引き層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.05〜10μmである。
下引き層の膜厚が0.01μm未満であると、導電性基体側からの電子の注入のブロッキング性および、光散乱による干渉縞対策に対する十分な効果が得られないことがある。一方、下引き層の膜厚が20μmを超えると、連続印字した際の感度変化が大きくなり、ひいては画像濃度の変化が大きくなることがある。
<電荷発生層F22>
電荷発生層は、画像形成装置などの電子写真装置において、半導体レーザのような光ビームなどの光出射装置で照射された光を吸収することによって電荷を発生する機能を有し、電荷発生物質を主成分とし、必要に応じてバインダ樹脂や添加剤を含有する。
電荷発生物質としては、上記のオキソチタニルフタロシアニンが用いられ、その効果が阻害されない範囲で、当該技術分野で公知の他の電荷発生物質を併用してもよいが、本発明の感光体は、オキソフタロシアニンの含有量に応じて性能が改善されるため、その含有量は多いほどよく、少なくとも80%以上含有するのが好ましい。
電荷発生層の形成方法としては、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷発生層用塗布液を下引き層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
他の電荷発生物質としては、上記のオキソチタニルフタロシアニンとは結晶型において異なるα型、β型、Y型、アモルファスのオキソチタニルフタロシアニン、または、ガリウムなどのその他の金属フタロシアニン類、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、オキソチタニウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびに、セレンおよび非晶質シリコーンなどの無機光導電性材料などが挙げられ、露光波長域に感度を有するものを適宜選択して用いることができる。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂および上記の下引き層で例示したバインダ樹脂を使用することができ、電荷発生物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール、これらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。共重合体樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、上記のバインダ樹脂の中でも、2種類以上のアルデヒドとポリビニルアルコールとのアセタール化反応により得られた樹脂であり、その重量平均分子量が6万以上20万以下であるのが好ましい。
重量平均分子量が6万未満であれば、本発明のチタニルフタロシアニンの分散性が悪くなることがあり、成膜性の不具合が発生し易く、長期保管における分散安定性に問題が生ずることがある。一方、重量平均分子量が20万を超えると、分散塗液の粘度が上がることより、チタニルフタロシアニンの結晶系が崩れることがある。
より好ましい重量平均分子量の範囲は、8万以上12万以下である。
重量平均分子量は、公知の方法により測定することができる。
溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
下引き層と同様に、電荷発生物質をバインダ樹脂溶液中に溶解または分散させるために、ペイントシェーカー、ボールミルおよびサンドミルなどの分散機を用いることができる。このとき、容器および分散機を構成する部材から摩耗などによって不純物が発生し、塗布液中に混入しないように、分散条件を適宜設定することが好ましい。
電荷発生物質の質量Eとバインダ樹脂の質量Fとの比率(E/F)としては、例えば、80/20〜55/45程度が好ましい。
比率(E/F)が80/20を超える、すなわち電荷発生物質の質量Eが大きくなると、電荷発生物質が多すぎるため、バインダ樹脂中での分散安定性が低下することがある。一方、比率(E/F)が55/45未満、すなわち電荷発生物質の質量Eが小さくなると、電荷発生効率が低下し、感度が低下することがある。
より好ましい比率は、60/40〜70/30程度である。
電荷発生層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.05〜5μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
電荷発生層の膜厚が0.05μm未満では、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下することがある。一方、電荷発生層の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程で、律速となり感光体の感度が低下することがある。
<電荷輸送層F23>
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受入れて感光体の表面(図2中のFa)まで輸送する機能を有し、電荷輸送物質およびバインダ樹脂、必要に応じて添加剤を含有する。
電荷輸送物質としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる化合物を使用することができる。
具体的には、カルバゾール誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、エナミン誘導体、ベンジジン誘導体、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマー(ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂、トリフェニルメタンポリマー、ポリ−9−ビニルアントラセンなど)、ポリシランなどが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合せて使用することができる。
電荷輸送層の形成方法としては、バインダ樹脂を溶剤中に混合して得られるバインダ樹脂溶液中に、電荷輸送物質を従来公知の方法によって分散させ、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布する方法が好ましい。以下、この方法について説明する。
バインダ樹脂としては、特に限定されず、当該技術分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用することができ、電荷輸送物質との相溶性に優れるものが好ましい。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体樹脂およびそれらの共重合体樹脂、ならびにポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイドなどの樹脂、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ、成膜性、電位性能などにも優れるので好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシメチルエーテルなどのエーテル類;、並びに、N,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。また、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルまたはメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することもできる。これらの溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、例えば、非ハロゲン系有機溶剤を好適に用いることができる。
電荷輸送物質の質量Gとバインダ樹脂の質量Hとの比率(G/H)としては、例えば、10/12〜10/30程度が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μm程度である。
電荷輸送層の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電性能が低下することがある。一方、電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下することがある。
<画像形成装置100>
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する(可視像化する)現像手段と、現像によって形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写されたトナー像を記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
以下、図面に基づいて本発明の画像形成装置およびその動作について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図3は、本発明の画像形成装置100の要部の構成を示す模式側面図である。
図3の画像形成装置(レーザプリンタ)100は、本発明の感光体1(図2のF01に相当)と、露光手段(半導体レーザ)31と、帯電手段(帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35と、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。符号51は記録媒体(記録紙または転写紙)を示す。
感光体1は、画像形成装置100本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線44回りに矢符41方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体1の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体1を所定の周速度で回転駆動させる。帯電手段(帯電器)32、露光手段31、現像手段(現像器)33、転写手段(転写帯電器)34およびクリーニング手段(クリーナ)36は、この順序で、感光体1の外周面に沿って、矢符41で示される感光体1の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器32は、感光体1の外周面(図2の感光体F01に相当)を均一に所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電手段としては、例えば、帯電チャージャーによるコロナ帯電方式のような非接触帯電方式、および例えば、帯電ローラもしくは帯電ブラシによる接触帯電方式が挙げられる。
露光手段31は、半導体レーザを光源として備え、光源から出力されるレーザビーム光を、帯電器32と現像器33との間の感光体1の表面に照射することによって、帯電された感光体1の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光は、主走査方向である感光体1の回転軸線44の延びる方向に繰返し走査され、これらが結像して感光体1の表面に静電潜像が順次形成される。すなわち、帯電器32により均一に帯電された感光体1の帯電量がレーザビームの照射および非照射によって差異が生じて静電潜像が形成される。
現像器33は、露光によって感光体1の表面に形成される静電潜像を、現像剤(トナー)によって現像する現像手段であり、感光体1を臨んで設けられ、感光体1の外周面にトナーを供給する現像ローラ33aと、現像ローラ33aを感光体1の回転軸線44と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33bとを備える。
転写帯電器34は、現像によって感光体1の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符42方向から感光体1と転写帯電器34との間に供給される記録媒体である転写紙51上に転写させる転写手段である。転写帯電器34は、例えば、帯電手段を備え、転写紙51にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙51上に転写させる接触式の転写手段である。
クリーナ36は、転写帯電器34による転写動作後に感光体1の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体1の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード36aと、クリーニングブレード36aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング36bとを備える。また、このクリーナ36は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置100には、感光体1と転写帯電器34との間を通過した転写紙51が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器35が設けられる。定着器35は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ35aと、加熱ローラ35aに対向して設けられ、加熱ローラ35aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ35bとを備える。
符号37は、転写紙と感光体を分離する分離手段、符号38は、画像形成装置の前記の各手段を収容するハウジングを示す。
この画像形成装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。
まず、感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段32から、感光体1の表面に対して画像情報に応じた光が照射される。感光体1は、この露光によって、光が照射された部分の表面電荷が除去され、光が照射された部分の表面電位と光が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段33による光の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられる現像器33から、静電潜像の形成された感光体1の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体1に対する露光と同期して、感光体1と転写帯電器34との間に、転写紙51が供給される。転写帯電器34によって、供給された転写紙51にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体1の表面に形成されたトナー像が、転写紙51上に転写される。
トナー像の転写された転写紙51は、搬送手段によって定着器35に搬送され、定着器35の加熱ローラ35aと加圧ローラ35bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙51に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙51は、搬送手段によって画像形成装置100の外部へ排紙される。
一方、転写帯電器34によるトナー像の転写後も感光体1の表面上に残留するトナーは、クリーナ36によって感光体1の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体1の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体1の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体1はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
上記の画像形成装置100は、モノクロの画像形成装置(プリンタ)であるが、例えば、カラー画像を形成できる中間転写方式のカラー画像形成装置であってもよい。具体的には、トナー像がそれぞれ形成される複数の電子写真感光体を所定方向(例えば水平方向Hまたは略水平方向H)に並設した構成、所謂タンデム式のフルカラー画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他のカラー画像形成装置、複写機、複合機またはファクシミリ装置であってもよい。
以下に、製造例、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下に記載のように、実施例1〜14および比較例1〜2では、電荷発生物質として、それぞれ製造例1〜7において製造したオキソチタニルフタロシアニンを用い、基体上に、下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液をこの順に塗布して、基体F1上に下引き層F21、電荷発生層F22および電荷輸送層F23がこの順で積層された、図2の積層型感光体F01を作製した。
また、実施例11では、下引き層F21を形成しないこと以外は実施例1と同様にして積層型感光体を作製した。
<オキソチタニルフタロシアニンの合成>
(製造例1)
1,3−ジイミノイソインドリン30質量部とスルホラン210質量部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド21質量部を滴下した。滴下終了後、180℃を保ちながら6時間撹拌して反応させた。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、得られた析出物の粉体をクロロホルムで洗浄し、次いでメタノールで入念に洗浄し、さらに85℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥して粗チタニルフタロシアニンを得た。得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニンのうち5質量部を硫酸100質量部中、3〜5℃で撹拌し、徐々に溶解させ、ろ過した。反応温度が5℃を超えると、フタロシアニンが分解する可能性があることから、温度管理を5℃以下に徹底した。
得られた硫酸溶液を氷水3500質量部に撹拌しながら少量ずつ滴下した。その間、氷水の温度を常に5℃以下に管理した。析出した結晶を濾過し、次いで洗浄液のpHが6〜7になるまで懸濁洗浄を繰り返し、目的とするチタニルフタロシアニンの水ペーストを得た。
得られた水ペーストにテトラヒドロフラン150質量部を加え、室温下でホモミキサーにより回転数2200rpmで撹拌し、1時間後、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、テトラヒドロフランのウエットケーキ9質量部を得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8質量部を得た。さらに、得られたチタニルフタロシアニン結晶3gをテトラヒドロフランにより2回目の結晶化処理を再度行い、減圧乾燥して製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶に含まれる残留テトラヒドロフラン量(THF含有量)を、下記の装置を用い、下記の分析条件および手順で測定した。
[装置および分析条件]
熱分解ガスクロマトグラフ:アジレント・テクノロジー社製、型式:7890A GCシステム
質量分析GC/MSシステム:アジレント・テクノロジー社製、型式:5975C GC/MSD
カラム:F-LAB UA5HT-30M−0.1F
カラム温度:40℃(保持1分)〜320℃(昇温20℃/分)
Injection Temp:300℃
キャリアガス:He
ガス流量:1ml/min
[手順]
(1)3水準の濃度(0.02%、0.2%および2%)のテトラヒドロフラン(THF)添加溶液を調製する。
(2)ダミーのチタニルフタロシアニンを一度熱分解し、残留溶剤がないことを確認し、その上に(1)で調製した濃度調整溶液12μL(約10mg)を添加し、検量線用試料とする。
(3)(2)で調製したTHF添加溶液を上記の装置および条件で測定し、THF量のピーク面積比を算出し、図4のような検量線を作成する。
(4)目的とするチタニルフタロシアニンについても、上記の分析条件でTHF量を分析し、検量線により、結晶中のTHF量を算出する。
図5は、製造例1のオキソチタニルフタロシアニンの熱分解ガスクロマトグラフィーの測定結果を示す図であり、THFのピーク面積値259438986.0からTHF含有量が0.25質量%であることがわかる。以下においても同様にして、チタニルフタロシアニン中のTHF含有量を測定した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶に含まれる塩素含有量を、元素分析装置(全有機ハロゲン分析装置、株式会社三菱ケミカルアナリテック製、型式:TOX−2100H)を用いて測定した。
その結果、製造例1のオキソチタニルフタロシアニン中の塩素含有量は検出限界以下(0.1質量%以下、下記の表1には0質量%と表記)であることがわかった。以下においても同様にして、オキソチタニルフタロシアニン中の塩素含有量を測定した。
電荷発生物質として、得られたオキソチタニルフタロシアニン3質量部、およびバインダ樹脂として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(重量平均分子量:10万、積水化学工業株式会社製、商品名:BX−1)2質量部を、メチルエチルケトン160質量部に加え、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ−2、ビーズ径:2mm)を用い、ペイントシェーカーにて2時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液20gを調製した。
得られた電荷発生層形成用塗布液の乾固物のX線回折スペクトルを、下記の装置を用い、下記の分析条件で測定した。
X線回折装置:株式会社リガク製、型式:ATX−G(薄膜構造評価用)
X線源 :CuKα=1.541Å
電圧 :50kV
電流 :300mA
スタート角度:5.0deg.
ストップ角度:30.0deg.
ステップ角度:0.02deg.
測定時間 :5deg./min.
測定方法 :θ/2θスキャン方法
図6は、製造例1のオキソチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルパターンを示す図であり、この図から、ブラッグ角7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有し、ブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が1.32であることがわかる。以下においても同様にして、オキソチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルパターンを測定した。
また、得られた電荷発生層形成用塗布液を用いてオキソチタニルフタロシアニンの平均粒径D(50%)を、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社(現:マイクロトラック・ベル株式会社)製、型式:マイクロトラックMT−3000II)を用いて測定した。
その結果、製造例1のオキソチタニルフタロシアニンの平均粒径D(50%)は、0.28μmであることがわかった。以下においても同様にして、オキソチタニルフタロシアニンの平均粒径D(50%)を測定した。
(製造例2)
o−フタロジニトリル40gと四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを窒素雰囲気下200〜250℃で3時間加熱撹拌し、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た。得られた粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で5回懸濁洗浄し、さらに熱水で数回洗浄した後、乾燥させて粗チタニルフタロシアニンを得た。得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニンのうち5質量部を硫酸100質量部中、3〜5℃で撹拌し、徐々に溶解させ、ろ過した。反応温度が5℃を超えると、フタロシアニンが分解する可能性があることから、温度管理を5℃以下に徹底した。
得られた硫酸溶液を氷水3500質量部に撹拌しながら少量ずつ滴下した。その間、氷水の温度を常に5℃以下に管理した。析出した結晶を濾過し、次いで洗浄液のpHが6〜7になるまで懸濁洗浄を繰り返し、目的とするチタニルフタロシアニンの水ペーストを得た。
得られたウエットケーキに、結晶化溶剤として、テトラヒドロフランを加え、室温下で、ホモミキサーにより、回転数1800rpmで撹拌し、濾過した。1時間、メタノールで洗浄した後、チタニルフタロシアニンを得た。さらにテトラヒドロフランにより2回目の結晶化処理を再度行い、減圧乾燥して製造例2のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.18質量%、塩素含有量は0.16質量%であった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例2のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例2の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は0.92、平均粒径D(50%)は0.22μmであった。
(製造例3)
結晶化溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)の代わりにTHF:トルエン=9:1の混合溶剤を用いること以外は製造例2と同様にして、製造例3のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.08質量%、塩素含有量は0.16質量%で、トルエンの残留もあった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例3のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例3の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.20、平均粒径D(50%)は0.28μmであった。
(製造例4)
オキソチタニルフタロシアニンのウエットケーキを結晶化する際のホモミキサーの回転数2200rpmを2000rpmにすること以外は、製造例1と同様にして、製造例4のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.92質量%、塩素含有量は検出限界以下であった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例4のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例4の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.43、平均粒径D(50%)は0.33μmであった。
(製造例5)
オキソチタニルフタロシアニンのウエットケーキを結晶化する際のホモミキサーの回転数1800rpmを2200rpmにすること以外は、製造例2と同様にして、製造例5のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.14質量%、塩素含有量は0.16質量%であった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例5のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例5の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.02、平均粒径D(50%)は0.26μmであった。
(製造例6)
オキソチタニルフタロシアニンのウエットケーキを結晶化する際のホモミキサーの回転数2200rpmを1500rpmにすること以外は、製造例1と同様にして、製造例6のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は1.60質量%、塩素含有量は検出限界以下であった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例6のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例4の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.26、平均粒径D(50%)は0.23μmであった。
(製造例7)
粗チタニルフタロシアニンを得る際に、ジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いでメタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で2回懸濁洗浄し、さらに熱水で数回洗浄した後、乾燥させて粗チタニルフタロシアニンを得ること以外は、製造例2と同様にして、製造例7のオキソチタニルフタロシアニン結晶を得た。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.18質量%、塩素含有量は0.32質量%であった。
製造例1のオキソチタニルフタロシアニン結晶の代わりに製造例7のオキソチタニルフタロシアニン結晶を用いること以外は製造例1と同様にして、製造例7の電荷発生層形成用塗布液を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は0.90、平均粒径D(50%)は0.23μmであった。
(実施例1)
(下引き層の形成)
酸化チタン(昭和電工株式会社製、商品名:TS−043)3質量部および共重合ポリアミド(ナイロン)(東レ株式会社製、商品名:CM8000)2質量部を、メチルアルコール25質量部に加え、ペイントシェーカー(分散機)にて8時間分散処理して下引き層形成用塗布液3kgを調製した。次いで、浸漬塗布法により、具体的には、得られた塗布液を塗布槽に満たし、直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状基体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、乾燥して、膜厚1.0μmの下引き層を形成した。
(電荷発生層の形成)
下引き層形成と同様に、浸漬塗布法にて製造例1で得られた電荷発生層形成用塗布液を下引き層の表面に塗布した。具体的には、得られた電荷発生層形成用塗布液を塗布槽に満たし、下引き層が形成されたドラム状基体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、自然乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質として、次式:
Figure 2021124525
で表されるトリフェニルアミン系化合物(TPD)(東京化成工業株式会社製、商品名:D2448)10質量部、およびバインダ樹脂として、Z型ポリカーボネート(帝人化成株式会社製、商品名:TS2050)16質量部に、テトラヒドロフラン104質量部を加え撹拌・混合して、電荷輸送層形成用塗布液3kgを調製した。
次いで、下引き層形成と同様に、浸漬塗布法にて電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の表面に塗布した。具体的には、得られた電荷輸送層形成用の塗布液を塗布槽に満たし、電荷発生層の形成されたドラム状基体を塗布液に浸漬した後、引き上げ、130℃で1時間乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図2に示す感光体を作製した。
(実施例2)
電荷発生層形成用塗布液に製造例2で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製した。
(実施例3)
電荷発生層形成用塗布液に製造例3で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感光体を作製した。
(実施例4)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ−01、ビーズ径:0.1mm)を用いること以外は、製造例2と同様にして電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例1と同様にして実施例4の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.18質量%、塩素含有量は0.16質量%であった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は0.88、平均粒径D(50%)は0.16μmであった。
(実施例5)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、分散時間2時間を1時間にすること以外は、製造例3と同様にして電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例1と同様にして実施例5の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.08質量%、塩素含有量は0.16質量%で、トルエンの残留もあった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.05、平均粒径D(50%)は0.29μmであった。
(実施例6)
電荷発生層形成用塗布液に製造例4で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例6の感光体を作製した。
(実施例7)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、バインダ樹脂として、別のポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量:5万、株式会社クラレ製、商品名:B60HH)を用い、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ−01、ビーズ径:0.1mm)を用い、分散時間2時間を1.5時間にすること以外は、製造例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例1と同様にして、実施例7の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.25質量%、塩素含有量は検出限界以下であった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.42、平均粒径D(50%)は0.40μmであった。
(実施例8)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、バインダ樹脂として、別のポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量:21万、EastmanChemical社製、商品名:B−72)を用いること、分散時間2時間を2.5時間にすること以外は、製造例1と同様にして、電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例1と同様にして、実施例8の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.25量%、塩素含有量は検出限界以下であった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.28、平均粒径D(50%)は0.29μmであった。
(実施例9)
電荷発生層形成用塗布液に製造例5で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例9の感光体を作製した。
(実施例10)
電荷発生層形成用塗布液に製造例6で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例10の感光体を作製した。
(実施例11)
アルミニウム製のドラム状基体上に下引き層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11の感光体を作製した。
(実施例12)
電荷発生層形成用塗布液に製造例7で得られた電荷発生層形成用塗布液を用いること以外は、実施例1と同様にして、実施例12の感光体を作製した。
(実施例13)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、電荷発生物質として、得られたオキソチタニルフタロシアニン2.5質量部、およびバインダ樹脂として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(重量平均分子量:10万、積水化学工業株式会社製、商品名:BX−1)2.5質量部にすること以外は、実施例1と同様にして、実施例13の感光体を作製した。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.10、平均粒径D(50%)は0.25μmであった。
(実施例14)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、電荷発生物質として、得られたオキソチタニルフタロシアニン4.1質量部、およびバインダ樹脂として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(重量平均分子量:10万、積水化学工業株式会社製、商品名:BX−1)0.9質量部にし、分散時のメディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ−01、ビーズ径:0.1mm)を用い、すること以外は、実施例1と同様にして、実施例14の感光体を作製した。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.41、平均粒径D(50%)は0.28μmであった。
(比較例1)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、メディアとしてガラスビーズ(アズワン株式会社製、商品名:BZ−01、ビーズ径:0.1mm)を用いること以外は、製造例2と同様にして電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例2と同様にして比較例1の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.18質量%、塩素含有量は0.16質量%であった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は0.80、平均粒径D(50%)は0.14μmであった。
(比較例2)
電荷発生層形成用塗布液の調製において、バインダ樹脂として、別のポリビニルブチラール樹脂(重量平均分子量:5万、株式会社クラレ製、商品名:B60HH)を用いること以外は、製造例4と同様にして電荷発生層形成用塗布液を調製し、それを用いて実施例6と同様にして比較例2の感光体を作製した。
得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶中のTHF含有量は0.92質量%、塩素含有量は0質量%であった。
また、得られたオキソチタニルフタロシアニン結晶のブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は1.52、平均粒径D(50%)は0.45μmであった。
[評価]
デジタル複写機(シャープ株式会社製、商品名:MX−2600)を改造した試験用複写機を用い、下記の項目で実施例1〜14および比較例1〜2で作製した感光体F01を評価した。
[評価1]
評価対象の感光体(ドラム)を試験用複写機内に設置し、低湿(NL)環境下(25℃/10%)において、帯電、露光、除電のみのプロセスを600,000回繰り返し、初期の帯電電位および通電疲労後の帯電電位を計測し、これら差分ΔV0を低湿環境での帯電低下の指標とした。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
VG:非常に良好である(0≦ΔV0<60)
G :良好である(60≦ΔV0<80)
NB:やや良好である(80≦ΔV0<100)
B :良好でない(100≦ΔV0
[評価2]
評価1終了後、ウォーミングアップ動作を行わせず、複写機の電源を投入したまま1時間放置後、コピープロセスを実施し、1回転目の帯電電位および3回転目の帯電電位を計測し、その差分ΔFV0を通電疲労後における1回転目の帯電性能の指標とした。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
VG:非常に良好である(0≦ΔFV0<60)
G :良好である(60≦ΔFV0<90)
NB:やや良好である(90≦ΔFV0<110)
B :良好でない(110≦ΔFV0
[評価3]
評価対象の感光体(ドラム)を試験用複写機内に設置し、低湿(NL)環境下(25℃/10%)の表面電位VLを計測した。
得られた結果を、下記の基準で判定した。
VG:非常に良好である(0≦|VL|<150)
G :良好である(150≦|VL|<180)
NB:良好である(180≦|VL|<210)
B :良好でない(210≦|VL|)
[総合評価]
評価1〜4の判定結果に基づいて、下記の基準で総合判定した。
VG:評価1〜3の判定において、すべてVG。
G :評価1〜3の判定において、判定NBがない。
NB:評価1〜3の判定において、判定Bがないが一つ以上NBがある。
B :評価1〜3の判定において、判定Bがある。
評価NBが本発明の優れた効果が得られる最低のレベルであり、評価Gが好ましく、評価VGがより好ましい。一方、評価Bは従来技術のレベルであっても本発明の優れた効果が得られないレベルである。
表1に、オキソチタニルフタロシアニンのチタン成分の原料および得られたオキソチタニルフタロシアニン中の塩素含有量、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)、オキソチタニルフタロシアニンの粒度分布(平均粒径D(50%))、電荷発生層のバインダ樹脂の樹脂種、その重量平均分子量および電荷発生物質との質量比率(E/F)、オキソチタニルフタロシアニン中のテトラヒドロフラン(THF)含有量、ならびに感光体の下引き層の有無を示す。表1における塩素含有量の「0質量%」は、元素分析において検出限界以下を意味する。
また、表2に、上記の評価結果を示す。
Figure 2021124525
Figure 2021124525
表1の本発明の感光体の構成要件および表2の評価結果から次のことがわかる。
(1)実施例1〜14と比較例1〜2の比較によれば、電荷発生物質として本発明のX線回折スペクトルの要件を満たすオキソチタニルフタロシアニンを含有する電荷発生層を備えた感光体は、評価1〜2の結果から、通電疲労の前後でのΔV0およびΔFV0は小さい傾向にあること(低減できること)(図1参照)、また、評価3の結果から、NL環境におけるVLが良化傾向にあること。
(2)実施例2と実施例12との比較によれば、回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)は本発明の構成要件の範囲に設定することができるが、電荷発生物質中の塩素濃度が0.2質量%以下であれば、効果的にΔV0およびΔFV0を低減できること、またVLが良化傾向にあること
(3)実施例1と実施例11との比較によれば、アルミ基体と電荷発生層との間に下引き層を備えることで、より効果的にΔV0およびΔFV0を低減できること、またVLは良化傾向にあること
(4)実施例1と実施例7との比較によれば、電荷発生層形成用塗布液のバインダ樹脂の分子量が小さい場合には、オキソチタニルフタロシアニンの粒度分布が大きくなり、評価3の結果からNL環境におけるVLが若干悪化傾向にあること(評価3)
(5)一方、実施例8によれば、電荷発生層形成用塗布液のバインダ樹脂の分子量が20万を超える場合には、粒度分布を小さくするために塗布液の作成時に分散時間を長くする必要があり、そのため、オキソチタニルフタロシアニンに過剰なシェアが掛かり過ぎ、感度が低下することから、バインダ樹脂の分子量は6万〜20万の範囲がより好ましいこと(評価3)
(6)実施例1と実施例13、14との比較によれば、電荷発生層の電荷発生物質の質量Eとバインダ樹脂の質量Fとの比率(E/F)が、55/45より小さくなると、電荷発生物質が少ないため、感光体のN/L環境(評価3)における感度が低下し、80/20より大きくなると電荷発生物質が多すぎるため、バインダ樹脂中での分散安定性が低下し、粒度分布を小さくするための塗布液作成時の分散時間を長くする必要があり、そのため、オキソチタニルフタロシアニンに過剰なシェアが掛かり過ぎ、各性能の低下を招くおそれがあること(評価1〜3)
(7)実施例1と実施例10との比較によれば、オキソチタニルフタロシアニン中のテトラヒドロフラン含有量が0.2〜1.5質量%であれば、通電疲労の前後でのΔV0が小さい傾向にあること(評価1)
(8)実施例10によれば、オキソチタニルフタロシアニン中のテトラヒドロフラン含有量が1.5質量%を超えると、感光体のN/L環境(評価3)における感度が低下する傾向にあること
本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
F01 積層型電子写真感光体
F1 基体(導電性支持体)
F21 下引き層(中間層)
F22 電荷発生層
F23 電荷輸送層
Fa 感光体表面
31 露光手段(半導体レーザ)
32 帯電手段(帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング
41、42 矢符
44 回転軸線
51 記録媒体(記録紙または転写紙)
100 画像形成装置(レーザプリンタ)

Claims (8)

  1. 基体上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層を少なくとも備え、
    前記電荷発生物質が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、11.6°、24.2°および27.3°に少なくとも回折ピークを有しかつブラッグ角11.6°と24.2°との回折ピーク強度比(11.6°/24.2°)が0.88〜1.5であるオキソチタニルフタロシアニンであることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記電荷発生物質が、0.15〜0.35μmの平均粒径D(50%)を有するオキソチタニルフタロシアニンである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷発生層がバインダ樹脂を含み、該バインダ樹脂が2種類以上のアルデヒドとポリビニルアルコールとのアセタール化反応により得られた樹脂でありかつその重量平均分子量が6万以上20万以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記電荷発生層の電荷発生物質の質量Eとバインダ樹脂の質量Fとの比率(E/F)が、80/20〜55/45である請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷発生物質が、0.2〜1.5質量%のテトラヒドロフランを含有するオキソチタニルフタロシアニンである請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷発生物質が、塩素を含まないか、もしくは0.2質量%以下の塩素含有量のオキソチタニルフタロシアニンである請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  7. 前記基体と前記積層型感光層との間に下引き層を備える請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1つに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録媒体上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
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