JP2022042060A - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイル温度の推定値を、温度センサによるコイル温度の検出値により精度よく修正することができる回転電機の制御装置を提供する。【解決手段】温度センサの出力信号に基づいてコイル温度Tmpdを検出し、回転電機の運転状態に基づいて、コイル温度Tmpeを推定し、回転電機の回転速度が速度閾値以下であり、且つ、回転電機のトルクがトルク閾値以下である低速度低負荷状態が、判定期間の間継続した場合に、コイル温度の検出値Tmpdに基づいて、コイル温度の推定値Tmpeを修正する回転電機の制御装置。【選択図】図9

Description

本願は、回転電機の制御装置に関するものである。
回転電機は、コイルが巻装された固定子コアを有する固定子と、固定子の径方向内側に配置された回転子と、を有する。回転電機は、コイルに電流が流れることにより、電動機又は発電機として機能する。コイルに電流が流れると、コイル及び固定子コア等が発熱する。この発熱によりコイルの温度が上昇すると、コイルの故障が生じる可能性がある。
コイルに温度センサを取り付け、コイルの温度を検出し回転電機の過熱保護が行われる。コイルの発熱量が大きく、温度上昇が急峻な場合には、温度センサによる検出温度が、推定を行うコイル部分の実際のコイル温度に追従できないことがある。
特許文献1には、コイルを流れる電流によりコイルの発熱量を算出し、コイルから放熱される放熱量を算出し、コイル温度を推定する技術が開示されている。
特開2008-187858号公報
しかしながら、回転電機の回転速度及びトルクの動作点が繰り返し変化した場合は、発熱量の誤差、放熱量の誤差が蓄積され、コイル温度の推定誤差が大きくなる問題があった。一方、温度センサによる検出温度により、推定温度を修正しようとすると、コイルの発熱量が大きい条件では、検出温度と推定部分の実際のコイル温度との温度差が大きくなり、検出温度により推定温度を修正すると、かえって推定誤差が大きくなる問題があった。
そこで、本願は、コイル温度の推定値を、温度センサによるコイル温度の検出値により精度よく修正することができる回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る回転電機の制御装置は、
回転電機の固定子に設けられたコイルの温度を検出する温度センサの出力信号に基づいて、温度を検出する温度検出部と、
回転電機の運転状態に基づいて、コイルの温度を推定する温度推定部と、
回転電機の回転速度が速度閾値以下であり、且つ、回転電機のトルクがトルク閾値以下である低速度低負荷状態が、判定期間の間継続した場合に、温度の検出値に基づいて、前記温度推定部において推定される温度の推定値を修正する温度修正部と、を備えたものである。
本願の回転電機の制御装置によれば、低速度低負荷状態では、コイルの通電電流が小さくなり、コイルの発熱量が小さくなる。この低速度低負荷状態が判定期間の間継続した場合は、温度推定部分と温度検出部分との温度差が小さくなるため、この状態で、温度の検出値に基づいて温度の推定値を修正することにより、修正精度を向上させることができる。
実施の形態1に係る回転電機及び回転電機の制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る回転電機の概略断面図である。 実施の形態1に係るインバータの概略回路図である。 実施の形態1に係る回転電機の制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る回転電機の制御装置の概略ハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る低速度低負荷状態の領域を説明する図である。 実施の形態1に係るトルクが大きい動作点aにおける各コイル温度の変化を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係るトルクが小さい動作点bにおける各コイル温度の変化を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係る温度修正部の処理を説明するタイムチャートである。 実施の形態1に係るトルク低減率データを説明する図である。 実施の形態2に係るオフセット温度データを説明する図である。 実施の形態2に係る温度修正部の処理を説明するタイムチャートである。 実施の形態3に係る温度修正部の処理を説明するタイムチャートである。 実施の形態5に係る温度推定部の温度予測データを説明する図である。 実施の形態5に係る温度推定部のブロック図である。
1.実施の形態1
以下、実施の形態1に係る回転電機の制御装置30(以下、単に、制御装置30と称す)について図面を参照して説明する。図1は、回転電機1、インバータ4、及び制御装置30等の概略構成図である。
1-1.回転電機1
図2に、回転軸心を通る平面で切断した回転電機1の断面図を示す。回転電機1は、円筒状の固定子100と、固定子100の径方向内側に配置され、軸受204、205により回転可能に支持された円筒状の回転子200と、を有している。本実施の形態では、回転電機1は、永久磁石同期モータとされており、固定子100にはコイル102が巻装され、回転子200には永久磁石202が設けられている。なお、回転電機1は、回転子に界磁コイルが設けられた、界磁コイル式の同期モータであってもよい。或いは、回転電機1は、回転子にかご型の電気導電体が設けられた、誘導モータであってもよい。
固定子100は、円環板状の電磁鋼板が軸方向に積層された固定子コア101と、固定子コア101の各ティースに巻装されたコイル102と、を備えている。ティースは、周方向に均等間隔で複数備えられている。コイル102は、固定子コア101内(スロット内)に配置されたコイル部分104(コア内コイル部104)と、固定子コア101から軸方向両側に突出したコイルエンド部103と、を有している。コイル102として、複数相のコイル(本例では、U相、V相、W相の3相のコイルCu、Cv、Cw)が設けられており、各相のコイルの端部は、インバータ4に接続されている。なお、3相のコイルが複数組(例えば、2組)設けられてもよい。
コイルの温度を検出する温度センサ110が備えられている。本実施の形態では、温度センサ110は、軸方向一方側のコイルエンド部103に取り付けられ、コイルエンド部103の温度を検出する。温度センサ110の出力信号は、制御装置30に入力される。
回転子200は、円環板状の電磁鋼板が軸方向に積層された回転子コア201と、回転子コア201の各スロットに装着された永久磁石202と、回転子コア201の内周面に固定された回転軸203と、を備えている。なお、永久磁石202は、回転子コア201の外周面に固定されてもよい。
固定子100及び回転子200は、ハウジング内に収容されている。ハウジングとして、底の深い有底円筒状の第1ハウジング300と、第1ハウジング300の開口部を塞ぐ、底の浅い有底円筒状の第2ハウジング301と、を備えている。第1ハウジング300の周壁の内周面に、固定子100(固定子コア101)が固定されている。第1ハウジング300の底壁及び第2ハウジング301の底壁には、回転軸203が貫通する貫通孔が設けられており、第1ハウジング300の底壁の貫通孔の内周面が、第1軸受204を介して、回転軸203の軸方向の一方側を回転可能に支持し、第2ハウジング301の底壁の貫通孔の内周面が、第2軸受205を介して、回転軸203の軸方向の他方側を回転可能に支持している。
回転電機1の冷却機構には、各種の冷却機構が用いられ、例えば、ハウジング内に冷却油が供給され、固定子及び回転子が冷却される油冷式、ハウジング及び固定子が冷却水により冷却される水冷式、冷却風により固定子及び回転式が冷却される空冷式などとされる。
回転軸203には、回転子200の回転角度を検出するための回転センサ2が備えられている。回転センサ2には、レゾルバ、エンコーダ、MRセンサ等が用いられる。回転センサ2の出力信号は、制御装置30に入力される。
1-2.インバータ4
図3に示すように、インバータ4は、直流電源3の正極側に接続される正極側のスイッチング素子SPと直流電源3の負極側に接続される負極側のスイッチング素子SNとが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相に対応して3セット設けている。そして、各相の直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、対応する相のコイルに接続されている。
具体的には、U相の直列回路では、U相の正極側のスイッチング素子SPuとU相の負極側のスイッチング素子SNuとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がU相のコイルCuに接続されている。V相の直列回路では、V相の正極側のスイッチング素子SPvとV相の負極側のスイッチング素子SNvとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がV相のコイルCvに接続されている。W相の直列回路では、Wの正極側のスイッチング素子SPwとW相の負極側のスイッチング素子SNwとが直列接続され、2つのスイッチング素子の接続点がW相のコイルCwに接続されている。平滑コンデンサ7が、直流電源3の正極側と負極側との間に接続される。
スイッチング素子には、ダイオードが逆並列接続されたFET(Field Effect Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、ゲート駆動回路等を介して、制御装置30に接続されている。各スイッチング素子は、制御装置30から出力されたスイッチング信号によりオン又はオフされる。
直流電源3は、インバータ4に直流電圧Vdcを出力する。直流電源3として、バッテリー、DC-DCコンバータ、ダイオード整流器、PWM整流器等の直流電圧を出力する機器であれば、どのような機器であってもよい。直流電源3には、直流電源3の直流電圧Vdcを検出する電圧センサ6が設けられ、電圧センサ6の出力信号が制御装置30に入力される。
各相のコイルに流れる電流を検出する電流センサ5が設けられている。電流センサ5は、各相の2つのスイッチング素子の直列回路と各相のコイルとを接続する電線上に備えられている。電流センサ5の出力信号は、制御装置30に入力される。なお、電流センサ5は、各相の2つのスイッチング素子の直列回路に備えられてもよい。
1-3.制御装置30
制御装置30は、インバータ4を介して回転電機1を制御する。図4に示すように、制御装置30は、運転状態検出部31、トルク制御部32、温度検出部33、温度推定部34、温度修正部35、及び出力制限部36等を備えている。制御装置30の各機能は、制御装置30が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置30は、図5に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、回転センサ2、電流センサ5、電圧センサ6、温度センサ110等の各種のセンサ、スイッチが接続され、これらセンサ、スイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置30が備える図4の各制御部31~36等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置30の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~36等が用いる速度閾値N1、トルク閾値Tq1、判定期間Tth、及び判定カウンタ値Cth等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置30の各機能について詳細に説明する。
1-3-1.運転状態検出部31
運転状態検出部31は、電気角での回転子の磁極位置θ(回転子の回転角度θ)及び回転角速度ωを検出する。本実施の形態では、運転状態検出部31は、回転センサ2の出力信号に基づいて、回転子の回転角度θ(磁極位置θ)及び回転角速度ωを検出する。磁極位置θ(回転角度θ)は、回転子に設けられた永久磁石のN極の向きに設定される。運転状態検出部31は、電気角での回転角速度ω[rad/s]に所定の換算定数を乗算して、機械角での回転速度N[rpm]を算出する。なお、運転状態検出部31は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度(磁極位置)を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
運転状態検出部31は、電流センサ5の出力信号に基づいて、3相各相のコイルに流れる電流Iur、Ivr、Iwrを検出する。運転状態検出部31は、電圧センサ6の出力信号に基づいて、インバータ4に供給される直流電圧Vdcを検出する。
1-3-2.トルク制御部32
トルク制御部32は、回転電機1の3相コイルに印加する印加電圧を制御して、回転電機1のトルクを制御する。本実施の形態では、トルク制御部32は、電流指令値算出部321、電圧指令値算出部322、及びスイッチング制御部323を備えている。
電流指令値算出部321は、トルク指令値To、回転速度N、及び直流電圧Vdcに基づいて、電流指令値を算出する。本実施の形態では、電流指令値算出部321は、d軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoを算出する。d軸は、ロータの磁極(N極、磁極位置θ)の方向に定められ、q軸は、d軸より電気角で90°進んだ方向に定められている。dq軸の回転座標系は、ロータの磁極位置θの回転に同期して回転する。本実施の形態では、トルク指令値Toとして、後述する出力制限部36による処理後の値が用いられる。
電流指令値算出部321は、最大トルク電流制御、弱め界磁制御、Id=0制御などの公知のベクトル制御方法に従って、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを算出する。トルク指令値Toは、制御装置30の内部で演算されてもよいし、制御装置30の外部から伝達されてもよい。
電圧指令値算出部322は、電流指令値に基づいて3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoを算出する。本実施の形態では、電圧指令値算出部322は、d軸及びq軸の電流検出値Idr、Iqrが、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに近づくように、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを変化させる電流フィードバック制御を行う。
電圧指令値算出部322は、3相コイルの電流検出値Iur、Ivr、Iwrを、磁極位置θに基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸の電流検出値Idr及びq軸の電流検出値Iqrに変換する。
そして、電圧指令値算出部322は、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、磁極位置θに基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに変換する。
スイッチング制御部323は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに基づいて、PWM制御(Pulse Width Modulation)により、インバータ4が有するスイッチング素子をオンオフ制御することにより、3相のコイルに電圧を印加する。スイッチング制御部323は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoのそれぞれとキャリア波とを比較することにより、複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。キャリア波は、PWM周期で直流電圧Vdcの振幅で振動する三角波とされている。
1-3-3.温度検出部33
温度検出部33は、温度センサ110の出力信号に基づいて、コイル温度Tmpd(以下、検出温度Tmpdと称す)を検出する。本実施の形態では、温度センサ110は、コイルエンド部103に取り付けられており、検出温度Tmpdは、コイルエンド部103の温度である。コイルエンド部103は、固定子コアから外部に露出しており、冷媒(他えば、油、空気)により冷却され易くなっている。
一方、後述する温度推定部34によりコイル温度が推定されるコイルの部分である温度推定部分は、冷却機構により冷却され難く、温度が高くなるコイル部分に設定される。本実施の形態では、温度推定部分は、固定子コア内に配置されたコア内コイル部104(例えば、軸方向の中心部分)に設定されている。
なお、温度センサ110の取り付け箇所、及び温度推定部分は、冷却機構の構成、回転電機の構造によって、変化されてもよい。
1-3-4.温度推定部34
温度推定部34は、回転電機の運転状態に基づいて、コイル温度Tmpe(以下、推定温度Tmpeと称す)を推定する。コイル温度の推定方法として、公知の各種の方法を用いることができるが、本実施の形態では、以下の簡単な例を示す。
温度推定部34は、次式に示すように、前回の演算周期で算出した推定温度Tmpe(n-1)に、コイルの発熱によるコイルの温度上昇量ΔTupを加算し、コイルの放熱によるコイルの温度低下量ΔTdwnを減算した値を、今回の演算周期の推定温度Tmpe(n)として算出する。
Tmpe(n)=Tmpe(n-1)+ΔTup(n)-ΔTdwn(n)
ΔTup(n)=K1×I(n)
ΔTdwn(n)=K2×{Tmpe(n-1)-Tnbr} ・・・(1)
ここで、I(n)は、コイルを流れる電流値を表し、電流検出値又は電流指令値に基づいて算出される。K1は、コイルの抵抗に応じた発熱係数である。Tnbrは、コイルの熱が伝達される周辺部材の温度であり、例えば、単純化して冷媒の標準的な温度が設定される。K2は、コイルと周辺部材との間の熱伝導率に応じた放熱係数である。(n-1)は、前回の演算周期の算出値であることを示し、(n)は、今回の演算周期の算出値であることを示す。
なお、特許文献1のように、より複雑な演算式を用いて、推定温度Tmpeが算出されてもよい。
1-3-5.温度修正部35
<温度修正の課題>
温度推定処理の推定誤差、冷却機構の冷媒の状態(温度、流量)、回転電機の周辺環境、回転電機の経年変化などの誤差要因によって、推定温度Tmpeは、温度推定部分の実温度Tmprとずれる場合がある。ずれが生じた場合に、検出温度Tmpdによって、推定温度Tmpeを修正することが望まれる。しかし、温度検出部分と温度推定部分とが異なるため、温度検出部分の検出温度Tmpdと温度推定部分の実温度Tmprとには温度差が生じ、温度差が、回転電機の運転状態によって変化する。そのため、回転電機の運転状態を考慮して、検出温度Tmpdにより推定温度Tmpeを修正しないと、修正により、かえって推定温度Tmpeが実温度Tmprからずれるおそれがある。
図6に、横軸を回転速度Nとし、縦軸をトルクTとした、回転電機の動作領域を示している。図6には、各回転速度Nにおいて、回転電機が出力可能な最大トルクTmaxを示している。各回転速度Nにおいて、最大トルクTmax以下の範囲が、回転電機の動作領域である。図6に、後述する低速度低負荷状態の領域を示している。
図7に、図6の低速度低負荷状態の領域よりもトルクTが大きい動作点aにおける、推定温度Tmpe、温度推定部分の実温度Tmpr、及び検出温度Tmpdの過渡的な温度上昇挙動の一例を示す。実温度Tmprは、実験用に設けられた温度センサにより計測される、又は解析により得られる。図8に、図6の低速度低負荷状態の領域内の動作点bにおける、推定温度Tmpe、温度推定部分の実温度Tmpr、及び検出温度Tmpdの過渡的な温度上昇挙動の一例を示す。
動作点aでは、トルクTが大きいため、コイルの通電電流が大きく、コイルの発熱量が大きい。そのため、比較的に温度が高くなるコイル部分に設定された温度推定部分の推定温度Tmpe及び実温度Tmprの温度上昇が急峻であり、冷却機構により冷却され難い。一方、温度検出部分は、冷却機構により冷却され易いコイル部分であるので、検出温度Tmpdは、推定温度Tmpe及び実温度Tmprよりも温度上昇が緩やかになっており、推定温度Tmpe及び実温度Tmprに対して検出温度Tmpdの乖離が大きくなっている。すなわち、コイルの発熱量が大きい動作点aでは、冷却機構により冷却され難い温度推定部分と、冷却機構により冷却され易い温度検出部分との温度勾配が大きくなっている。
一方、動作点bでは、トルクTが小さいため、通電電流が小さく、コイルの発熱量が小さい。そのため、温度推定部分の推定温度Tmpe及び実温度Tmprの温度上昇が緩やかであり、検出温度Tmpdの温度上昇も緩やかである。よって、推定温度Tmpe及び実温度Tmprに対して検出温度Tmpdの乖離が小さくなっている。すなわち、コイルの発熱量が小さい動作点bでは、冷却機構により冷却され難い温度推定部分と、冷却機構により冷却され易い温度検出部分との温度勾配が小さくなっている。
従って、コイルの発熱量が小さい動作点における定常状態では、温度推定部分と温度検出部分との温度差が小さくなるため、この状態で、検出温度Tmpdにより推定温度Tmpeを修正すれば、修正精度を向上できる。
<低速度低負荷状態における温度修正>
そこで、温度修正部35は、回転速度Nが速度閾値N1以下であり、且つ、トルクがトルク閾値Tq1以下である低速度低負荷状態が、判定期間Tthの間継続した場合に、検出温度Tmpdに基づいて、温度推定部34において推定される推定温度Tmpeを修正する。
低速度低負荷状態では、コイルの通電電流が小さくなり、コイルの発熱量が小さくなる。この低速度低負荷状態が判定期間Tthの間継続した場合は、温度推定部分と温度検出部分との温度差が小さくなるため、この状態で、検出温度Tmpdにより推定温度Tmpeを修正すれば、修正精度を向上できる。
例えば、低速度低負荷状態は、図6に示すように設定される。すなわち、回転速度Nが、速度閾値N1以下であり、且つ、トルクTがトルク閾値Tq1以下であり、且つ、回転電機の出力Pが、出力閾値P1以下である領域に、低速度低負荷状態が設定される。出力Pの条件はなくてもよい。出力Pは、回転速度NとトルクTとを乗算して算出される。このような低速度低負荷状態では、回転電機のコイルの発熱量が比較的小さく、推定温度Tmpeと検出温度Tmpdとの差が小さくなる。トルクTとして、トルク指令値Toが用いられてもよいし、公知のトルク算出式を用い、dq軸電流検出値及び回転速度Nに基づいて算出された実トルク値が用いられてもよい。
本実施の形態では、温度修正部35は、検出温度Tmpdに基づいて推定温度Tmpeを修正する際に、次式に示すように、推定温度Tmpeを検出温度Tmpdに修正する。
Tmpe(n)=Tmpd ・・・(2)
<温度変動幅による温度修正の許可>
低速度低負荷状態が、判定期間Tthの間継続した場合でも、何らかの要因(例えば、低速度低負荷状態になる前の状態、冷媒温度の変化、低速度低負荷状態での動作点の変化)により、温度が十分に安定していない場合がある。
そこで、本実施の形態では、温度修正部35は、判定期間Tthの間、低速度低負荷状態が継続し、且つ、検出温度Tmpdの変動幅が判定幅ΔTmpd以下であり、且つ、推定温度Tmpeの変動幅が判定幅ΔTmpe以下であった場合に、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正するように構成されている。
この構成によれば、温度が確実に安定している状態で、温度修正を行うことができ、修正精度を高めることができる。
<カウンタ値による判定>
本実施の形態では、制御装置30のカウンタ機能を用いて、温度修正を行うか否かを判定するように構成されている。温度修正部35は、低速度低負荷状態である場合に、経過時間を計測するカウンタ値Cntをカウントアップし、低速度低負荷状態でない場合に、カウンタ値Cntを0にリセットし、カウンタ値Cntが、判定期間Tthに対応する判定カウンタ値Cthに到達した場合に、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正するように構成されている。
この構成によれば、制御装置30が有するカウンタ機能を用いて、温度修正を行うか否かを判定することができる。
また、温度修正部35は、カウンタ値Cntを0からカウントアップし始めた時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定し、カウンタ値Cntを0からカウントアップし始めた後、検出温度Tmpdが、基準検出値Tmpd0を基準に設定した判定範囲を逸脱した場合に、カウンタ値Cntを0にリセットする。また、温度修正部35は、カウンタ値Cntを0からカウントアップし始めた時点の推定温度Tmpeを基準推定値Tmpe0として設定し、カウンタ値Cntを0からカウントアップし始めた後、推定温度Tmpeが、基準推定値Tmpe0を基準に設定した判定範囲を逸脱した場合に、カウンタ値Cntを0にリセットする。
この構成よれば、カウンタ機能を用いて、検出温度Tmpd及び推定温度Tmpeが安定しているかを判定することができ、低速度低負荷状態において、検出温度Tmpd及び推定温度Tmpeの双方が判定期間Tthの間、判定範囲に安定している場合に、温度修正を行うことができ、修正精度を高めることができる。
<制御挙動>
図9に制御挙動の例を示す。図9には、推定温度Tmpeの変動によるカウンタ値Cntのリセット処理については説明を省略する。時刻t01より前は、低速度低負荷状態よりもトルクTが高い状態であり、コイルの発熱量が大きく、検出温度Tmpd及び推定温度Tmpeが高い状態である。トルクが低下していき、時刻t01で、低速度低負荷状態になっている。
時刻t01で、温度修正部35は、低速度低負荷状態になったと判定し、カウンタ値Cntを0からカウントアップを開始すると共に、その時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定している。そして、温度修正部35は、基準検出値Tmpd0に判定幅ΔTmpdを加算した値を判定範囲の上限値Tmpmaxとして設定すると共に、基準検出値Tmpd0から判定幅ΔTmpdを減算した値を判定範囲の下限値Tmpminとして設定する。図示を省略するが、推定温度Tmpeについても、同様に判定範囲が設定され、推定温度Tmpeの変動が判定される。
低速度低負荷状態になった後も、熱容量及び放熱による応答遅れにより、検出温度Tmpd及び推定温度Tmpeはすぐには低下せず、遅れを有して低下している。図9の例では、低速度低負荷状態になる前のコイルの発熱量が大きく、検出温度Tmpd及び推定温度Tmpeが高かったため、低速度低負荷状態になった後も、検出温度Tmpdの低下が大きく、時刻t02で、検出温度Tmpdが、判定範囲の下限値Tmpminを下回ったので、温度修正部35は、検出温度Tmpdが判定範囲を逸脱したと判定し、カウンタ値Cntを0にリセットしている。このように、温度変化が大きい場合は、カウンタ値が0にリセットされ、温度修正が行われず、修正精度が悪化することを抑制できる。
時刻t02で、リセットした後、温度修正部35は、低速度低負荷状態であるので、カウンタ値Cntを0からカウントアップを開始すると共に、その時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定し、基準検出値Tmpd0を基準に、判定範囲の上限値Tmpmax及び下限値Tmpminを設定している。
時刻t03から時刻t04の間、トルクの増加により、低速度低負荷状態でなくなったので、温度修正部35は、カウンタ値Cntを0にリセットしている。そして、時刻t04で、トルクの低下により、再び低速度低負荷状態になったので、温度修正部35は、低速度低負荷状態であるので、カウンタ値Cntを0からカウントアップを開始すると共に、その時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定し、基準検出値Tmpd0を基準に、判定範囲の上限値Tmpmax及び下限値Tmpminを設定している。
時刻t04以降、検出温度Tmpdの温度変化が小さいので、検出温度Tmpdは、判定範囲に収まっており、カウンタ値Cntは0にリセットされない。時刻t05で、温度修正部35は、カウンタ値Cntが判定カウンタ値Cthに到達し、判定期間Tthが経過したので、温度修正の条件が成立したと判定し、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正している。このように、温度変化が小さい場合は、カウンタ値が0にリセットされず、温度が安定した状態で、精度よく温度修正が行われる。
温度修正後、温度修正部35は、カウンタ値Cntを0にリセットし、カウントアップを再び開始している。時刻t06以降、トルクの増加により、低速度低負荷状態でなくなったので、温度修正部35は、カウンタ値Cntを0にリセットしている。
1-3-6.出力制限部36
出力制限部36は、推定温度Tmpeが、閾値温度Tmpaを超えた場合に、回転電機の出力制限を行う。例えば、出力制限部36は、図10に示すような推定温度Tmpeとトルク低減率Tdcrとの関係が予め設定されたトルク低減率データを参照し、現在の推定温度Tmpeに対応するトルク低減率Tdcrを算出する。図10に示すように、推定温度Tmpeが、閾値温度Tmpa以下の場合は、トルク低減率Tdcrは、100%に設定され、推定温度Tmpeが、閾値温度Tmpaよりも大きくなるに従って、トルク低減率Tdcrは100%から次第に低下される。或いは、出力制限部36は、推定温度Tmpeが閾値温度Tmpaを超えている場合に、トルク低減率Tdcrを次第に減少させ、推定温度Tmpeが閾値温度Tmpaを下回っている場合に、トルク低減率Tdcrを次第に増加させるフィードバック制御を行ってもよい。
出力制限部36は、トルク指令値Toに、トルク低減率Tdcrを乗算した値を、最終的なトルク指令値Toに設定する。出力制限を行うことより、回転電機のコイル温度が上昇し過ぎることを抑制し、温度上昇による故障を抑制することができる。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る制御装置30について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機1及び制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、検出温度Tmpdに基づいた推定温度Tmpeの修正方法が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、温度修正部35は、検出温度Tmpdに基づいて推定温度Tmpeを修正する際に、次式に示すように、推定温度Tmpeを、検出温度Tmpdにオフセット温度ΔToffを加算した値に修正する。
Tmpe(n)=Tmpd+ΔToff ・・・(3)
この構成によれば、低速度低負荷状態の定常状態における、温度推定部分と温度検出部分との温度差をオフセット温度ΔToffに設定することで、温度修正の精度を向上させることができる。
オフセット温度ΔToffは、低速度低負荷状態において定常状態である場合に、温度推定部分の温度と温度センサの取付け箇所(温度検出部分)の温度との間に生じる温度差に対応して予め設定されている。
温度修正部35は、回転速度Nとオフセット温度ΔToffとの関係が予め設定されたオフセット温度データを参照し、回転速度の検出値に対応するオフセット温度ΔToffを算出する。例えば、オフセット温度データは、図11に示すような、回転速度Nをマップ軸としたマップデータとされている。
例えば、ロータの回転により冷却油がかきあげられる場合、回転速度Nが低い場合は、冷却油の攪拌度合いが低く、コイル温度のむらが大きくなる。そのため、低速度低負荷状態においても、回転速度Nに応じて、温度推定部分と温度検出部分との温度差が異なる。或いは、ロータの回転により冷却風のファンが駆動される場合は、同様に、回転速度Nに応じて温度差が異なる。また、回転速度Nが増加すると、同じトルクでも、出力が増加し、コイルの発熱量が増加し、温度差が異なる。よって、回転速度Nに応じて、オフセット温度ΔToffを設定することで、修正精度を向上させることができる。
なお、各回転速度NにおいてトルクTが異なれば、温度推定部分と温度検出部分との温度差が異なるが、各回転速度Nにおいて低速度低負荷状態の領域の最大トルク(本例では、トルク閾値Tq1等)の場合の定常状態の温度差を、オフセット温度ΔToffに設定すれば、推定温度Tmpeは温度が高くなる側に修正されるので、過熱保護の観点から安全側に修正することができる。なお、オフセット温度ΔToffは、回転速度Nに加えてトルクTに基づいて設定されてもよい。
オフセット温度データを参照する際に用いられる回転速度Nの検出値として、直前の判定期間Tthの間の回転速度Nの平均値が用いられる。このように回転速度Nの平均値を用いることにより、判定期間Tthの間の平均的な回転電機の発熱状態及び冷却状態による温度差を算出することができ、オフセット温度ΔToffの設定精度を高めることができる。
本実施の形態では、温度センサは、定常状態で、温度推定部分よりも温度が低くなる箇所に取り付けられている。本実施の形態では、上述したように、温度センサは、固定子コアから軸方向に突出したコイルエンド部103に取り付けられ、温度推定部分は、固定子コア内に配置されたコイル部分104(コア内コイル部104)とされている。オフセット温度ΔToffは、正の値に設定されている。また、回転速度Nが増加するに従って、オフセット温度ΔToffが増加するように設定されている。
このように、温度センサを、取付けが容易なコイルエンド部103に取り付けた場合でも、オフセット温度ΔToffを正の値に設定し、より温度が高くなる温度推定部分の温度修正を行うことで、修正精度を高めることができる。なお、オフセット温度ΔToffは、負の値に設定されてもよい。
<制御挙動>
図12に、本実施の形態に係る制御挙動の例を示す。時刻t11で、温度修正部35は、低速度低負荷状態になったと判定し、カウンタ値Cntを0からカウントアップを開始すると共に、その時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定し、基準検出値Tmpd0を基準に、判定範囲の上限値Tmpmax及び下限値Tmpminを設定している(不図示)。
時刻t11以降、検出温度Tmpdの温度変化が小さいので、検出温度Tmpdは、判定範囲に収まっており、カウンタ値Cntは0にリセットされない。なお、図12には、カウンタ値Cntの挙動は示していない。時刻t12で、温度修正部35は、カウンタ値Cntが判定カウンタ値Cthに到達したので、温度修正の条件が成立したと判定し、直前の判定期間Tthの間の回転速度Nの平均値を算出し、回転速度Nの平均値に対応するオフセット温度ΔToffを算出し、推定温度Tmpeを、検出温度Tmpdにオフセット温度ΔToffを加算した値に修正している。その結果、推定温度Tmpeを、温度推定部分の実温度Tmprに近づけることができている。
3.実施の形態3
実施の形態3に係る制御装置30について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機1及び制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、温度の修正条件が成立し、判定期間Tth経過した後も、定期的に温度修正が行われる点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、温度修正部35は、判定期間Tth以上の間、低速度低負荷状態が継続し、且つ、検出温度Tmpdの変動幅が判定幅ΔTmpd以下であり、且つ、推定温度Tmpeの変動幅が判定幅ΔTmpe以下である場合に、定期的に、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正するように構成されている。
この構成によれば、温度の修正条件が判定期間Tth以上の間成立している場合に、定期的に、最新の検出温度Tmpdにより推定温度Tmpeが修正され、修正精度を高めることができる。
定期的な修正周期は、所定の周期に設定されてもよいし、推定温度Tmpe又はカウンタ値Cntの演算周期に設定されてもよい。
本実施の形態では、温度修正部35は、カウンタ値Cntが、判定期間Tthに対応する判定カウンタ値Cth以上である場合に、定期的に、検出温度Tmpdに基づいて推定温度Tmpeを修正するように構成されている。
<制御挙動>
図13に、本実施の形態に係る制御挙動の例を示す。時刻t21で、温度修正部35は、低速度低負荷状態になったと判定し、カウンタ値Cntを0からカウントアップを開始すると共に、その時点の検出温度Tmpdを基準検出値Tmpd0として設定し、基準検出値Tmpd0を基準に、判定範囲の上限値Tmpmax及び下限値Tmpminを設定している(不図示)。
時刻t21以降、検出温度Tmpdの温度変化が小さいので、検出温度Tmpdは、判定範囲に収まっており、カウンタ値Cntは0にリセットされない。時刻t22で、温度修正部35は、カウンタ値Cntが判定カウンタ値Cth以上になったので、温度修正の条件が成立したと判定し、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正している。なお、カウンタ値Cntは、判定カウンタ値Cthにより上限制限されてもよい。
時刻t22以降、温度修正部35は、カウンタ値Cntが判定カウンタ値Cth以上になっている間、修正周期毎に、検出温度Tmpdに基づいて、推定温度Tmpeを修正している。図13の例では、修正周期は、カウンタ値Cntのカウントアップ周期とされている。
図13の例では、実施の形態2のように、温度修正部35は、各修正時点で、回転速度Nに基づいてオフセット温度ΔToffを算出し、推定温度Tmpeを、検出温度Tmpdにオフセット温度ΔToffを加算した値に修正するように構成されている。
温度修正部35は、各修正時点で温度修正を行う際に、各修正時点の直前の判定期間Tthの間の回転速度Nの平均値を算出し、オフセット温度データを参照し、回転速度Nの平均値に対応するオフセット温度ΔToffを算出している。
このように、温度の修正条件が判定期間Tth以上の間成立している場合に、定期的に、最新の検出温度Tmpdにより推定温度Tmpeが修正され、修正精度を高めることができる。
4.実施の形態4
実施の形態4に係る制御装置30について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機1及び制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、複数の温度センサが設けられ、複数の検出温度に基づいて、推定温度が修正される点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、温度センサは複数設けられている。そして、温度検出部33は、複数の温度センサの出力信号に基づいて、複数のコイル部分の温度を検出する。そして、温度修正部35は、検出温度Tmpdに基づいて推定温度Tmpeを修正する際に、複数の検出温度の中の最も高い検出温度に基づいて、推定温度Tmpeを修正する。
上述したように、回転速度N等による冷却機構の冷却状態により、コイル温度にむらが生じる場合がある。この構成によれば、コイル温度のむらにより、複数の検出温度に差が生じた場合に、推定温度は温度が高くなる側に修正されるので、過熱保護の観点から安全側に修正することができる。
なお、検出温度の変動幅が判定幅以下であるかの判定、及び検出温度の変動によるカウンタ値のリセット処理は、複数の検出温度のそれぞれについて行われてもよいし、最も高い検出温度について行われてもよいし、予め設定された単数又は複数の温度センサによる検出温度について行われてもよい。
5.実施の形態5
実施の形態5に係る制御装置30について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る回転電機1及び制御装置30の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、温度推定部34におけるコイル温度の推定方法が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、温度推定部34は、予め設定された推定演算周期Δt毎の演算タイミングで、温度予測データを参照し、現在の回転速度N、現在のトルク情報、及び前回の演算タイミングで算出された推定温度Tmpe(n-1)に対応する、前回の演算タイミングから推定演算周期Δtの経過後の推定温度Tmpe(n)(以下、現在の演算タイミングの推定温度Tmpe(n)と称す)を算出する。温度予測データには、回転速度N、トルク情報、及び基準時点t0のコイル温度Tmp(t0)と、基準時点t0から推定演算周期Δtの経過後のコイル温度Tmp(t0+Δt)との関係が予め設定されている。温度予測データは、回転速度N及びトルクTの各動作点において、実験又は解析により取得したコイル温度の時系列の挙動に基づいて設定される。
温度推定部34は、温度予測データから、前回の演算タイミングで算出された回転電機の推定温度Tmpe(n-1)に対応する基準時点の温度Tmp(t0)、現在の回転速度Nに対応する回転速度N、及び現在のトルク情報に対応するトルク情報を探索し、探索した基準時点の温度Tmp(t0)、回転速度N、及びトルク情報に対応して設定されている基準時点t0から推定演算周期Δtの経過後の回転電機の温度Tmp(t0+Δt)を、前回の演算タイミングから推定演算周期Δtの経過後の推定温度Tmpe(n)として算出する。
本実施の形態では、トルク情報として、対応する回転速度Nにおいて出力可能な最大トルクTmaxに対する回転電機のトルクTの比であるトルク負荷率Tload(=T/Tmax×100%)が用いられる。なお、トルク情報として、トルクTが用いられてもよい。
温度推定部34は、図6に示すような、回転速度Nと最大トルクTmaxとの関係が予め設定された最大トルクデータを参照し、現在の回転速度Nに対応する最大トルクTmaxを算出する。そして、温度推定部34は、現在のトルクTを、算出した最大トルクTmaxで除算して、現在のトルク負荷率Tloadを算出する。
また、温度予測データとして、予め設定された複数の回転電機の基準回転速度N0、N1・・・のそれぞれについて、トルク情報及び基準時点t0のコイル温度Tmp(t0)と、基準時点t0から推定演算周期Δtの経過後のコイル温度Tmp(t0+Δt)との関係が予め設定された基準速度の温度予測データが設けられている。そして、温度推定部34は、複数の基準回転速度N0、N1・・・のそれぞれに対応して設けられた複数の基準速度の温度予測データから、現在の回転速度Nに対応する基準速度の温度予測データを選択し、選択した基準速度の温度予測データを参照し、現在のトルク情報、及び前回の演算タイミングで算出された推定温度Tmpe(n-1)に対応する、現在の演算タイミングの推定温度Tmpe(n)を算出する。
本実施の形態では、図14に示すように、各基準回転速度の基準速度の温度予測データは、トルク負荷率Tload及び基準時点のコイル温度Tmp(t0)をマップ軸としたマップデータとされている。トルク負荷率Tloadのマップ軸、及び基準時点のコイル温度Tmp(t0)のマップ軸の格子点は、それぞれ、所定の刻みで設定されている。トルク負荷率Tloadのマップ軸の各格子点と基準時点のコイル温度Tmp(t0)のマップ軸の各格子点との各交点に、対応する基準時点t0から推定演算周期Δtの経過後の回転電機のコイル温度Tmp(t0+Δt)の値が設定されている。
本実施の形態では、7つの基準回転速度N0、N1、・・・N6が設けられ、トルク負荷率Tloadのマップ軸の刻みは、20%に設定されており、基準時点の温度Tmp(t0)のマップ軸の刻みは、20℃に設定されている。
温度推定部34の温度推定の処理は、推定演算周期Δt毎に実行される。図15に示すように、温度推定部34は、上述したように、最大トルクデータを参照し、現在の回転速度Nに対応する最大トルクTmaxを算出する。そして、温度推定部34は、現在のトルクT(本例ではトルク指令値To)を最大トルクTmaxで除算して、トルク負荷率Tloadを算出する。そして、温度推定部34は、温度予測データを参照し、現在の回転速度N、現在のトルク負荷率Tload、前回の演算タイミングの推定温度Tmpe(n-1)に対応する、現在の演算タイミングの推定温度Tmpe(n)を算出する。温度推定部34は、現在の演算タイミングの推定温度Tmpe(n)をRAM等に保持し、次回の演算タイミングで、前回の演算タイミングの推定温度Tmpe(n-1)として用いる。
温度修正部35は、検出温度Tmpdに基づいて推定温度Tmpe(n)を修正する際に、温度予測データを参照して算出された推定温度Tmpe(n)を修正すると共に、次回の演算タイミングで用いられる、RAM等に保持された推定温度Tmpe(n-1)も修正する。
なお、冷却機構の状態及び直流電圧Vdcの一方又は双方に対応して、複数の温度予測データが予め設定されており、冷却機構の状態及び直流電圧Vdcの一方又は双方に応じて、推定演算に用いられる温度予測データが変更されてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 回転電機、30 回転電機の制御装置、33 温度検出部、34 温度推定部、35 温度修正部、100 固定子、101 固定子コア、102 コイル、103 コイルエンド部、110 温度センサ、Cnt カウンタ値、Cth 判定カウンタ値、N 回転速度、N0 基準回転速度、N1 速度閾値、Tmpd 検出温度(コイル温度の検出値)、Tmpd0 基準検出値、Tmpe 推定温度(コイル温度の推定値)、Tmpe0 基準推定値、Tq1 トルク閾値、Tth 判定期間、ΔToff オフセット温度

Claims (13)

  1. 回転電機の固定子に設けられたコイルの温度を検出する温度センサの出力信号に基づいて、温度を検出する温度検出部と、
    回転電機の運転状態に基づいて、コイルの温度を推定する温度推定部と、
    回転電機の回転速度が速度閾値以下であり、且つ、回転電機のトルクがトルク閾値以下である低速度低負荷状態が、判定期間の間継続した場合に、温度の検出値に基づいて、前記温度推定部において推定される温度の推定値を修正する温度修正部と、を備えた回転電機の制御装置。
  2. 前記温度修正部は、前記判定期間の間、前記低速度低負荷状態が継続し、且つ、前記温度の検出値の変動幅が判定幅以下であり、且つ、前記温度の推定値の変動幅が判定幅以下であった場合に、前記温度の検出値に基づいて、前記温度の推定値を修正する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記温度修正部は、前記温度の検出値に基づいて前記温度の推定値を修正する際に、前記温度の推定値を、前記温度の検出値にオフセット温度を加算した値に修正する請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記オフセット温度は、前記低速度低負荷状態において、定常状態である場合に、温度を推定するコイルの部分である温度推定部分の温度と前記温度センサの取付け箇所の温度との間に生じる温度差に対応して予め設定されている請求項3に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記温度修正部は、前記回転速度と前記オフセット温度との関係が予め設定されたオフセット温度データを参照し、前記回転速度の検出値に対応する前記オフセット温度を算出する請求項3又は4に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記温度修正部は、前記回転速度の検出値として、直前の前記判定期間の間の前記回転速度の検出値の平均値を用いる請求項5に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記温度センサは、定常状態で、温度を推定するコイルの部分である温度推定部分よりも温度が低くなる箇所に取り付けられ、
    前記オフセット温度は、正の値に設定される請求項3から6のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  8. 前記温度センサは、固定子コアから軸方向に突出したコイルエンド部に取り付けられ、
    温度を推定するコイルの部分である温度推定部分は、前記固定子コア内に配置されたコイル部分であり、
    前記オフセット温度は、正の値に設定される請求項3から7のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
  9. 前記温度修正部は、前記判定期間以上の間、前記低速度低負荷状態が継続し、且つ、前記温度の検出値の変動幅が判定幅以下であり、且つ、前記温度の推定値の変動幅が判定幅以下である場合に、定期的に、前記温度の検出値に基づいて、前記温度の推定値を修正する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  10. 前記温度修正部は、前記低速度低負荷状態である場合に、経過時間を計測するカウンタ値をカウントアップし、前記低速度低負荷状態でない場合に、前記カウンタ値を0にリセットし、前記カウンタ値が、前記判定期間に対応する判定カウンタ値に到達した場合に、前記温度の検出値に基づいて、前記温度の推定値を修正する請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  11. 前記温度修正部は、前記カウンタ値を0からカウントアップし始めた時点の前記温度の検出値を基準検出値として設定し、前記カウンタ値を0からカウントアップし始めた後、前記温度の検出値が、前記基準検出値を基準に設定した判定範囲を逸脱した場合に、前記カウンタ値を0にリセットし、
    前記カウンタ値を0からカウントアップし始めた時点の前記温度の推定値を基準推定値として設定し、前記カウンタ値を0からカウントアップし始めた後、前記温度の推定値が、前記基準推定値を基準に設定した判定範囲を逸脱した場合に、前記カウンタ値を0にリセットする請求項10に記載の回転電機の制御装置。
  12. 前記温度修正部は、前記カウンタ値が、前記判定カウンタ値以上である場合に、定期的に、前記温度の検出値に基づいて、前記温度の推定値を修正する請求項10又は11に記載の回転電機の制御装置。
  13. 前記温度センサは複数設けられ、
    前記温度検出部は、複数の前記温度センサの出力信号に基づいて、複数の温度を検出し、
    前記温度修正部は、前記温度の検出値に基づいて前記温度の推定値を修正する際に、複数の温度の検出値の中の最も高い温度の検出値に基づいて、前記温度の推定値を修正する請求項1から12のいずれか一項に記載の回転電機の制御装置。
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