以下、本発明の各実施形態に係る作業機械の一態様として、自重が10トン以下の小型の油圧ショベルであるミニショベルについて説明する。
<ミニショベル1の全体構成>
まず、ミニショベル1の全体構成について図1~3を参照して説明する。
図1は、本発明の各実施形態に係るミニショベル1の一構成例を示す外観側面図である。図2は、キャノピー22側から見た運転部122内の構成を示す図である。図3は、左右走行レバー24L,24Rおよび左右作業レバー25L,25Rのそれぞれにおける操作方向について説明する模式図である。
ミニショベル1は、自走可能なクローラ式の走行体11と、走行体11の上方に旋回可能に取り付けられた旋回体12と、旋回体12の前部に取り付けられて掘削等の作業を行うフロント作業装置13と、を備えている。
走行体11は、前後方向に延びる一対のクローラ110を備え、走行モータの駆動力により一対のクローラ110を地面に接触させた状態で回転させて車体を移動させる。一対のクローラ110は車体の左右方向に並んで配置されており、走行モータも左右それぞれのクローラ110に対応して走行体11の左右両側にそれぞれ搭載されている。
オペレータは、後述する左右一対の走行レバー24L,24R(図2および図3参照)を操作して左右の走行モータをそれぞれ独立して駆動させることにより、左右のクローラ110をそれぞれ独立して正逆回転させることができる。なお、図1では、左右のクローラ110のうち、左側のクローラ110のみを示している。
旋回体12は、旋回フレーム121と、旋回フレーム121上に載置されてオペレータが搭乗する運転部122と、運転部122の後側に配置されてエンジンや油圧ポンプ等の各機器を内部に収容する機械室123と、旋回フレーム121の後部に取り付けられて車体が傾倒しないようにフロント作業装置13とのバランスを保つためのカウンタウェイト124と、を有している。
フロント作業装置13は、旋回フレーム121に基端部が回動可能に取り付けられたブーム31と、ブーム31を駆動するブームシリンダ31Aと、ブーム31の先端部に回動可能に取り付けられたアーム32と、アーム32を駆動するアームシリンダ32Aと、アーム32の先端部に回動可能に取り付けられたバケット33と、バケット33を駆動するバケットシリンダ33Aと、各シリンダ31A,32A,33Aに作動油を導く複数の配管(不図示)と、を有している。
ブーム31は、ブームシリンダ31Aに作動油が流出入してロッドが伸縮することにより旋回フレーム121に対して上下方向に回動する。アーム32は、アームシリンダ32Aに作動油が流出入してロッドが伸縮することによりブーム31に対して上下方向に回動する。バケット33は、バケットシリンダ33Aに作動油が流出入してロッドが伸縮することによりアーム32に対して上下方向に回動(チルトまたはダンプ)する。
ミニショベル1では旋回体12をコンパクトに設計することが求められることから、運転部122は、上下方向に延びる支柱21で支持されたキャノピー22により運転席23の上方が覆われ前後左右が開放されたキャノピー構造をなしている。
本実施形態では、キャノピー22を支持する支柱21は、運転席23の後方において左右方向(車幅方向)に一対並んで配置されている。なお、以下の説明では、一対の支柱21のうち、運転席23に着座したオペレータの左手側に配置された支柱を「左側の支柱21L」とし、運転席23に着座したオペレータの右手側に配置された支柱を「右側の支柱21R」とする。また、図1では、左側の支柱21Lのみを示している。
図2に示すように、運転部122には、オペレータが着座するための運転席23の他に、ミニショベル1を操作するための操作ユニット20が、運転席23の前側に設けられている。操作ユニット20は、走行体11を操作するための左右一対の走行レバー24L,24R(以下、単に「左右走行レバー24L,24R」とする)と、旋回体12およびフロント作業装置13を操作するための左右一対の作業レバー25L,25R(以下、単に「左右作業レバー25L,25R」とする)と、エンジンのキースイッチ26と、を含んで構成される。
左右走行レバー24L,24Rは、左右方向に隣接して操作ユニット20の中央部に配置されている。左右走行レバー24L,24Rはそれぞれ、前後の2方向に操作可能となっている。
左走行レバー24Lは、図3に示す矢印Aの方向(前方向)に操作されると左側のクローラ110を正回転(前方向に回転)させ、図3に示す矢印Bの方向(後方向)に操作されると左側のクローラ110を逆回転(後方向に回転)させる。同様に、右走行レバー24Rは、図3に示す矢印Cの方向(前方向)に操作されると右側のクローラ110を正回転させ、図3に示す矢印Dの方向(後方向)に操作されると右側のクローラ110を逆回転(後方向に回転)させる。
前述したように、左右の走行レバー24L,24Rは、左右のクローラ110をそれぞれ独立して正逆回転させることができる。例えば、オペレータが、左走行レバー24Lのみを図3に示す矢印Aの方向に操作した場合、あるいは右走行レバー24Rのみを図3に示す矢印Dの方向に操作した場合には、走行体11は、その場で右方向(時計回り)に旋回する。他方で、オペレータが、左走行レバー24Lのみを図3に示す矢印Bの方向に操作した場合、あるいは右走行レバー24Rのみを図3に示す矢印Cの方向に操作した場合には、走行体11は、その場で左方向(反時計回り)に旋回する。なお、以下の説明において、このような車体の走行を「小回り走行」と呼ぶ場合がある。
また、オペレータは、左走行レバー24Lを図3に示す矢印Aの方向に、かつ右走行レバー24Rを図3に示す矢印Cの方向に同時に操作すると車体を前進させることができ、左走行レバー24Lを図3に示す矢印Bの方向に、かつ右走行レバー24Rを図3に示す矢印Dの方向に同時に操作すると車体を後進させることができる。
左右作業レバー25L,25Rは、左右走行レバー24L,24Rの左右両側にそれぞれ配置されている。具体的には、左走行レバー24Lの左方前側に左作業レバー25Lが、右走行レバー24Rの右方前側に右作業レバー25Rが、それぞれ配置されている。左右作業レバー25L,25Rはそれぞれ、前後左右の4方向に操作可能となっている。
具体的には、左作業レバー25Lは、図3に示す矢印Eの方向(前方向)に操作されるとアーム32をブーム31に対して上方向に回動させ(アーム押し動作)、図3に示す矢印Fの方向(後方向)に操作されるとアーム32をブーム31に対して下方向に回動させる(アーム引き動作)。また、左作業レバー25Lは、図3に示す矢印Gの方向(左方向)に操作されると旋回体12を左方向に旋回させ、図3に示す矢印Hの方向(右方向)に操作されると旋回体12を右方向に旋回させる。
右作業レバー25Rは、図3に示す矢印Iの方向(前方向)に操作されるとブーム31を旋回体12に対して下方向に回動させ(ブーム下げ)、図3に示す矢印Jの方向に操作されるとブーム31を旋回体12に対して上方向に回動させる(ブーム上げ)。また、右作業レバー25Rは、図3に示す矢印Kの方向(左方向)に操作されるとバケット33をアーム32に対して下方向に回動させ(掘削)、図3に示す矢印Lの方向(右方向)に操作されるとバケット33をアーム32に対して上方向に回動させる(放土)。
なお、図3に示す操作方向とミニショベル1の動作内容との対応関係は、これらに限らず、車体の仕様などに応じて適宜変更することが可能である。また、このミニショベル1では、左右走行レバー24L,24Rにより車体の走行操作を行っているが、必ずしもレバー操作である必要はなく、例えばペダル操作によって車体の走行操作を行ってもよい。
左右走行レバー24L,24Rおよび左右作業レバー25L,25Rのうち、左右走行レバー24L,24Rおよび左作業レバー25Lはそれぞれ、車体の動作方向を操作するための操作装置の一態様である。具体的には、左右走行レバー24L,24Rは車体を移動させるための操作装置に相当し、左作業レバー25Lは旋回体12を左右方向(時計回りまたは反時計回り)に旋回させるための操作装置に相当する。
このキャノピー構造の運転部122は、密閉された空間内に運転席が設けられた、いわゆるキャブ構造の運転室と異なり、常に外部(屋外)に開放された状態となる。したがって、気温が高くなる夏場には、運転席23に着座しているオペレータは、空調環境が整ったキャブ構造の運転室内に設置された運転席に着座している場合と異なり、非常に暑い環境下で運転を行うことになる。そこで、ミニショベル1には、オペレータに向かってミストを噴射して冷却効果を与える冷却用のミスト噴射装置が搭載されている。以下、このミスト噴射装置の構成について実施形態ごとに説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るミスト噴射装置4の構成について、図4~9を参照して説明する。
(ミスト噴射装置4の全体構成)
まず、ミスト噴射装置4の全体構成について、図4~6を参照して説明する。
図4は、ミスト噴射装置4の一構成例を示す図である。図5は、取付部材411の一構成例を示す斜視図である。図6は、ミスト噴射装置4のシステム構成の一例を示すシステム構成図である。なお、図4において、運転席23に着座したオペレータの左手側を「左方向」、オペレータの右手側を「右方向」、オペレータの正面側を「前方向」、およびオペレータの背面側を「後方向」とする。
図4に示すように、ミスト噴射装置4は、冷却用のミストを噴射する4つのノズル41,42,43,44と、これら4つのノズル41,42,43,44に水を供給する水供給装置45と、4つのノズル41,42,43,44にガスを供給するガス供給装置46と、水供給装置45から吐出された水およびガス供給装置46から吐出されたガスをそれぞれ4つのノズル41,42,43,44へ導く回路装置47と、を備える。
水供給装置45は、水を貯留するタンクと、電動モータにより駆動され、タンク内に貯留された水を吐出する水圧ポンプと、を含んで構成される。なお、この「水」は、無色無臭の真水でもよいし、例えばアロマオイルが混合された液体や虫よけ成分が含まれている液体などであってもよい。また、ガス供給装置46は、電動モータにより駆動され、外部から吸い込んだ空気を圧縮して、加圧ガスを吐出するコンプレッサを含んで構成される。なお、図4において、空気の吸込み口をガス供給装置46の左側部に丸印にて示す。
本実施形態では、水供給装置45、ガス供給装置46、および回路装置47は、ミスト供給ユニット400として一体に構成されており、左側の支柱21Lと右側の支柱21Rとの間(一対の支柱21L,21Rの間)に配置されている。ミスト供給ユニット400は、面ファスナー400Aが設けられた4つのバンド部材401~404により一対の支柱21L,21Rにそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
具体的には、ミスト供給ユニット400の上端部左側に設けられた第1バンド部材401とミスト供給ユニット400の下端部左側に設けられた第2バンド部材402とが左側の支柱21Lに取り付けられ、ミスト供給ユニット400の上端部右側に設けられた第3バンド部材403とミスト供給ユニット400の下端部右側に設けられた第4バンド部材404とが右側の支柱21Rに取り付けられている。
このように、水供給装置45、ガス供給装置46、および回路装置47は、ミスト供給ユニット400として一体に構成され、4つのバンド部材401~404により一対の支柱21L,21Rにそれぞれ着脱可能に取り付けられるため、ミニショベル1に対してミスト噴射装置4を後付けすることができ、汎用性が高い。
なお、図4では、ミスト供給ユニット400において、右側に水供給装置45が、左側にガス供給装置46が、水供給装置45およびガス供給装置46の上側に回路装置47が配置されているが、水供給装置45、ガス供給装置46、および回路装置47の配置関係は必ずしも図4に示す配置関係である必要はなく、4つのノズル41~44のそれぞれに水およびガスが供給可能な構成であれば、互いの配置関係については特に制限はない。
4つのノズル41,42,43,44はそれぞれ、運転席23に着座したオペレータに噴射口が向けられ、かつオペレータを囲むように配置されている。本実施形態では、4つのノズル41,42,43,44のうち、第1ノズル41がキャノピー22の内側の面における前方左側に、第2ノズル42がキャノピー22の内側の面における前方右側に、第3ノズル43が左側の支柱21Lの上端部に、第4ノズル44が右側の支柱21Rの上端部に、それぞれ配置されている。なお、「キャノピー22の内側の面」とは、運転席23を覆う部分の面のうち、運転席23に対向する側の面のことを指す。
具体的には、第1ノズル41は第1取付部材411を介して、第2ノズル42は第2取付部材421を介して、キャノピー22の内側の面にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。第1取付部材411および第2取付部材421はいずれも、図5に示すように、六角柱の形状をなした磁石により形成されている。なお、第1取付部材411および第2取付部材421はいずれも同様の構成を有しているため、図5では第1取付部材411を示し、以下、第1取付部材411を例に挙げて説明する。
第1取付部材411は、第1ノズル41が固定される固定面411Aと、固定面411Aに対向する対向面411Bと、固定面411Aと対向面411Bとの間における第1~第6側面411C~411Hと、を有する。固定面411A以外の各面411B~411Hはいずれも、キャノピー22の内側の面との取付面となる。
第1側面411Cおよび第2側面411Dはそれぞれ、六角形状に形成されており、固定面411Aと対向面411Bとの間を接続する。第3側面411Eおよび第4側面411Fはそれぞれ、固定面411Aから垂直に立設して第1側面411Cと第2側面411Dとの間を接続する。第5側面411Gは、対向面411Bと第3側面411Eとの間および第1側面411Cと第2側面411Dとの間を接続する。第6側面411Hは、対向面411Bと第4側面411Fとの間および第1側面411Cと第2側面411Dとの間を接続する。
本実施形態では、図5に示すように、第5側面411Gは、固定面411Aに対して90°よりも小さい角度αで傾斜しており、第6側面411Hは、固定面411Aに対して角度αよりも大きく90°よりも小さい角度β(>α)で傾斜している。すなわち、第5側面411Gと第6側面411Hとでは、固定面411Aに対する傾斜角度が異なっている。このように、第1取付部材411には、固定面411Aに対して90°よりも小さい角度(鋭角)であって互いに異なる角度で傾斜する傾斜面として、2つの第5側面411Gおよび第6側面411Hが形成されているため、第1ノズル41の噴射口の方向を90°よりも小さい角度で変えて微調整を行うことができる。
図4に示すように、第3ノズル43は第3取付部材431を介して左側の支柱21Lの上端部に、第4ノズル44は第4取付部材441を介して右側の支柱21Rの上端部に、それぞれ着脱可能に取り付けられている。第3取付部材431および第4取付部材441はいずれも、弾性変形可能な円弧状の板部材により形成されている。
なお、第1~第4ノズル41~44は、少なくともオペレータに噴射口が向けられ、かつオペレータを囲むように配置されていれば、取付方法や取付場所については特に制限はない。したがって、例えば、第1~第4ノズル41~44を旋回フレーム121に取り付けてもよい。また、本実施形態では、冷却用のミストが4つの第1~第4ノズル41~44からそれぞれ噴射されるが、ノズルの数についても複数であれば特に制限はない。
図6に示すように、回路装置47は、水供給装置45と4つのノズル41,42,43,44のそれぞれとの間に設けられて4つのノズル41,42,43,44からそれぞれ噴射される水の流量を個別に制御する4つの流量制御弁41A,42A,43A,44Aと、ガス供給装置46と4つのノズル41,42,43,44のそれぞれとの間に設けられて4つのノズル41,42,43,44からそれぞれ噴射されるガスの圧力を個別に制御する4つの圧力制御弁41B,42B,43B,44Bと、を含んで構成される。
4つの流量制御弁41A~44Aで流量が制御された水および4つの圧力制御弁41B~44Bで圧力が制御されたガスはいずれも、図4に示すように、可撓性を有するホース412,422,432,442を通って第1~第4ノズル41~44から噴射される。
4つの流量制御弁41A~44Aおよび4つの圧力制御弁41B~44Bはそれぞれ、電磁比例弁であって、図6に示すように、コントローラ5と電気的に接続されており、コントローラ5から出力される開度指令信号にしたがって開度が個別に制御される。
また、コントローラ5には、車体の動作方向を操作するための操作装置である左右走行レバー24L,24Rおよび左作業レバー25L、ならびに4つのノズル41~44からミストを噴射させるためのスイッチ27が電気的に接続されている。スイッチ27は、左右走行レバー24L,24Rおよび左作業レバー25Lと同様に、運転部122内に設けられている。
コントローラ5は、左右走行レバー24L,24Rや左作業レバー25Lから出力された車体の動作に係る操作信号およびスイッチ27から出力されたON/OFF信号に基づいて、4つの流量制御弁41A~44Aの開度および4つの圧力制御弁41B~44Bの開度を個別に制御する。
なお、以下の説明では、車体が停止している状態で旋回体12が旋回動作を行った場合、すなわちコントローラ5が、左作業レバー25Lから出力された旋回動作に係る操作信号のみに基づいて、4つの流量制御弁41A~44Aの開度および4つの圧力制御弁41B~44Bの開度を個別に制御する場合を例に挙げ、その他の動作に係る操作信号に基づいた第1~第4ノズル41~44の制御については他の実施形態にて説明する。
(コントローラ5の構成)
次に、コントローラ5の構成について、図7を参照して説明する。
図7は、コントローラ5が有する機能を示す機能ブロック図である。
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM、HDD、入力I/F、および出力I/Fがバスを介して互いに接続されて構成される。そして、左右走行レバー24L,24Rや左作業レバー25L、スイッチ27といった各種の操作に係る装置などが入力I/Fに接続され、第1~第4流量制御弁41A~44Aおよび第1~第4圧力制御弁41B~44Bなどが出力I/Fに接続されている。
このようなハードウェア構成において、ROMやHDD若しくは光学ディスク等の記録媒体に格納された制御プログラム(ソフトウェア)をCPUが読み出してRAM上に展開し、展開された制御プログラムを実行することにより、制御プログラムとハードウェアとが協働して、コントローラ5の機能を実現する。
なお、本実施形態では、コントローラ5をソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成されるコンピュータとして説明しているが、これに限らず、例えば他のコンピュータの構成の一例として、ミニショベル1の側で実行される制御プログラムの機能を実現する集積回路を用いてもよい。
コントローラ5は、信号取得部51と、動作方向判定部52と、信号出力部53と、記憶部54と、時間計測部55と、を含む。
信号取得部51は、左作業レバー25Lから出力された操作信号およびスイッチ27から出力された信号(ON信号またはOFF信号)をそれぞれ取得する。左作業レバー25Lから出力される操作信号は、左方向への旋回(反時計回り)動作に係る左旋回信号、右方向への旋回(時計回り)動作に係る右旋回信号、および旋回動作の停止に係る停止信号の3種類である。
動作方向判定部52は、信号取得部51において取得された操作信号に基づいて、旋回体12の旋回方向を判定する。具体的には、動作方向判定部52は、信号取得部51において左旋回信号が取得された場合には旋回体12が左方向に旋回動作を行っている状態であると判定し、信号取得部51において右旋回信号が取得された場合には旋回体12が右方向に旋回動作を行っている状態であると判定し、信号取得部51において停止信号が取得された場合には旋回体12が停止状態(本実施形態では、走行体11および旋回体12を含めた車体全体が停止の状態)であると判定する。
信号出力部53は、動作方向判定部52において旋回体12が停止状態であると判定された場合、第1~第4流量制御弁41A~44Aおよび第1~第4圧力制御弁41B~44Bに対して、それぞれ開指令信号を出力する。これにより、旋回体12が旋回停止の状態では、第1~第4ノズル41~44の全てからミストが噴射される。
また、信号出力部53は、動作方向判定部52において旋回体12が左旋回を行っている状態であると判定された場合、第1流量制御弁41A、第1圧力制御弁41B、第3流量制御弁43A、および第3圧力制御弁43Bに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第2流量制御弁42A、および第2圧力制御弁42B、第4流量制御弁44A、および第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する。これにより、旋回体12が左旋回を行っている状態では、車体の動作方向の側であるオペレータの左側に配置された第1ノズル41および第3ノズル43のみからミストが噴射される。
その後、本実施形態では、信号出力部53は、設定時間T1が経過した場合に、開の状態である第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する。続いて、信号出力部53は、設定時間T2が経過した場合に、閉の状態である第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ開指令信号を出力する。第1ノズル41および第3ノズル43は、所定の時間間隔で、ミスト(水およびガスの混合物)の噴射とガス(風)のみの噴射とを交互に繰り返す。
ここで、「設定時間T1」および「設定時間T2」は、ミストの噴射とガスの噴射との時間間隔に相当し、オペレータの好みなどに合わせて任意に設定することが可能である。例えば、設定時間T1および設定時間T2を同じ1秒に設定してもよいし、設定時間T1を1秒に設定し、設定時間T2を1.5秒に設定するなど、異なる時間に設定してもよい。設定時間T1および設定時間T2はいずれも、記憶部54に予め記憶されている。
同様にして、信号出力部53は、動作方向判定部52において旋回体12が右旋回を行っている状態であると判定された場合、第2流量制御弁42A、および第2圧力制御弁42B、第4流量制御弁44A、および第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第1流量制御弁41A、第1圧力制御弁41B、第3流量制御弁43A、および第3圧力制御弁43Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する。これにより、旋回体12が右旋回を行っている状態では、車体の動作方向の側であるオペレータの右側に配置された第2ノズル42および第4ノズル44のみからミストが噴射される。
その後、本実施形態では、信号出力部53は、設定時間T1が経過した場合に、開の状態である第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する。続いて、信号出力部53は、設定時間T2が経過した場合に、閉の状態である第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ開指令信号を出力する。第2ノズル42および第4ノズル44は、所定の時間間隔で、ミストの噴射とガスのみの噴射とを交互に繰り返す。
なお、コントローラ5が第1~第4流量制御弁41A~44Aに対して出力する「開指令信号」は、オペレータに対してミストとして必要な水を噴射するための開度とする第1の開度指令信号の一態様である。そして、コントローラ5が第1~第4圧力制御弁41B~44Bに対して出力する「開指令信号」は、オペレータに対してミストとして必要なガスを噴射するための開度とする第3の開度指令信号の一態様である。
これら第1の開度指令信号および第3の開度指令信号は、必ずしも第1~第4流量制御弁41A~44Aの開度および第1~第4圧力制御弁41B~44Bの開度を全開(100%)とする指令信号でなくともよく、車体の仕様や作業環境、オペレータの好みに応じた開度とすることが可能である。
また、コントローラが第1~第4流量制御弁41A~44Aに対して出力する「閉指令信号」は、第1の開度指令信号に係る開度よりも小さい開度とする第2の開度指令信号の一態様である。そして、コントローラ5が第1~第4圧力制御弁41B~44Bに対して出力する「閉指令信号」は、第3の開度指令信号に係る開度よりも小さい開度とする第4の開度指令信号の一態様である。
これら第2の開度指令信号および第4の開度指令信号は、必ずしも第1~第4流量制御弁41A~44Aの開度および第1~第4圧力制御弁41B~44Bの開度を全閉(0%)とする指令信号でなくともよい。したがって、第1~第4流量制御弁41A~44Aおよび第1~第4圧力制御弁41B~44Bはそれぞれ、例えば、コントローラ5から第2の開度指令信号および第4の指令信号がそれぞれ出力された場合において、数%程度開いた状態であってもよい。
時間計測部55は、信号出力部53から開指令信号や閉指令信号が出力されてからの経過時間を計測して、記憶部54に記憶されている設定時間T1や設定時間T2を経過したか否かを判定する。
(コントローラ5内での処理)
次に、コントローラ5内で実行される具体的な処理の流れについて、図8~11を参照して説明する。
図8は、コントローラ5で実行される全体処理の流れを示すフローチャートである。図9は、第1ミスト噴射処理(ステップS504)の流れを示すフローチャートである。図10は、第2ミスト噴射処理(ステップS505)の流れを示すフローチャートである。図11は、第3ミスト噴射処理(ステップS506)の流れを示すフローチャートである。
まず、コントローラ5は、図8に示すように、信号取得部51がスイッチ27からのON信号を取得したか否か、すなわちスイッチ27がONされたか否かを判定する(ステップS501)。
ステップS501においてスイッチ27からのON信号が取得されたと判定された場合(ステップS501/YES)、続いて、信号取得部51は、左作業レバー25Lから出力された旋回操作信号を取得する(ステップS502)。
一方、ステップS501においてスイッチ27からのON信号が取得されていない、すなわちスイッチ27がOFFのままであると判定された場合には(ステップS501/NO)、コントローラ5は、スイッチ27からのON信号が取得される(ステップS501/YESになる)まで次の処理へは進まない。このように、本実施形態では、ミスト噴射装置4を稼働させて第1~第4ノズル41~44からミストを噴射させるかどうかをオペレータが任意に選択することが可能となっている。
次に、動作方向判定部52は、ステップS502において取得された操作信号に基づいて、旋回体12が左旋回の状態、右旋回の状態、および動作停止の状態のうちのいずれの状態であるかを判定する(ステップS503)。
ステップS503において旋回体12が動作停止の状態であると判定された場合(ステップS503/停止)、第1ミスト噴射処理(ステップS504)に進む。また、ステップS503において旋回体12が左旋回の状態であると判定された場合(ステップS503/左旋回)、第2ミスト噴射処理(ステップS505)に進む。そして、ステップS503において旋回体12が右旋回の状態であると判定された場合(ステップS503/右旋回)、第3ミスト噴射処理(ステップS506)に進む。
ここで、第1ミスト噴射処理(ステップS504)、第2ミスト噴射処理(ステップS505)、および第3ミスト噴射処理(ステップS506)について、図9~11を参照して説明する。
図9に示すように、第1ミスト噴射処理(ステップS504)では、信号出力部53が、第1~第4流量制御弁41A~44Aの全てに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS541)。続いて、信号出力部53は、第1~第4圧力制御弁41B~44Bの全てに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS542)。
これにより、スイッチ27がONであって旋回体12が動作停止の状態では、第1~第4ノズル41~44の全て、すなわち運転席23に着座しているオペレータを囲む四方向からミストが噴射されるため、オペレータに対して十分な冷却効果を与えることができる。
なお、図9では、コントローラ5は、ステップS541の次にステップS542を実行しているが、これに限らず、ステップS542を先に実行した後にステップS541を実行してもよいし、ステップS541とステップS542とを同時に実行してもよい。
次に、コントローラ5は、信号取得部51において、左旋回信号、右旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS543)。
ステップS543において左旋回信号、右旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得された場合(ステップS543/YES)、第1ミスト噴射処理(ステップS504)が終了し、図8に示すステップS507に進む。一方、ステップS543において左旋回信号、右旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれの信号も取得されなかった場合、すなわち旋回停止に係る操作信号が継続して取得されている場合(ステップS543/NO)、ステップS543がYESとなるまでステップS541の処理およびステップS542の処理を継続して実行する。
図10に示すように、第2ミスト噴射処理(ステップS505)では、信号出力部53が、第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS551)。
続いて、信号出力部53は、第1圧力制御弁41Bおよび第3圧力制御弁43Bに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第2圧力制御弁42Bおよび第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS552)。
これにより、スイッチ27がONであって旋回体12が左旋回を行っている状態では、車体の動作方向の側、すなわち左方向の側に配置された第1ノズル41および第3ノズル43からオペレータに向かってミストが噴射されるため、噴射されたミストが旋回体12の左旋回動作によってオペレータの着座する側と異なる方向に流されにくくなる。よって、ミスト(水)を無駄に消費することなく、十分な冷却効果を効率的にオペレータに与えることができる。
なお、図10では、ステップS551の次にステップS552を実行しているが、必ずしもその処理の順番である必要はなく、ステップS552を先に実行した後にステップS551を実行してもよいし、ステップS551とステップS552とを同時に実行してもよい。
次に、時間計測部55は、ステップS552の処理を実行してから設定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS553)。ステップS533において設定時間T1が経過したと判定された場合(ステップS553/YES)、信号出力部53は、第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS554)。これにより、第1ノズル41および第3ノズル43からガスのみが噴射する。なお、ステップS553において設定時間T1が経過していない場合には(ステップS553/NO)、設定時間T1が経過するまでステップS554に進まない。
続いて、時間計測部55は、ステップS554の処理を実行してから設定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS555)。ステップS555において設定時間T2が経過したと判定された場合(ステップS555/YES)、信号出力部53は、第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS556)。これにより、再び、第1ノズル41および第3ノズル43からミストが噴射する。なお、ステップS555において設定時間T2が経過していない場合には(ステップS555/NO)、設定時間T2が経過するまでステップS556に進まない。
次に、コントローラ5は、信号取得部51において、旋回停止信号、右旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS557)。
ステップS557において右旋回信号、停止信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得された場合(ステップS557/YES)、第2ミスト噴射処理(ステップS505)が終了し、図8に示すステップS509に進む。一方、ステップS557において右旋回信号、停止信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち左旋回信号が継続して取得されている場合(ステップS557/NO)、ステップS553に戻って処理を繰り返す。
このように、本実施形態では、旋回体12が左旋回を行っている間、第1ノズル41および第3ノズル43からミストとガスとが交互に噴射されるため、オペレータに対し、ミストのみが継続して噴射される場合よりもヒンヤリとした冷却感を与えることができ、より高い冷却効果が得られる。
図11に示すように、第3ミスト噴射処理(ステップS506)では、信号出力部53が、第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第1流量制御弁41Aおよび第3流量制御弁43Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS561)。
続いて、信号出力部53は、第2圧力制御弁42Bおよび第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第1圧力制御弁41Bおよび第3圧力制御弁43Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS562)。
これにより、スイッチ27がONであって旋回体12が右旋回を行っている状態では、車体の動作方向の側、すなわち右方向の側に配置された第2ノズル42および第4ノズル44からオペレータに向かってミストが噴射されるため、噴射されたミストが旋回体12の右旋回動作によってオペレータの着座する側と異なる方向に流されにくくなる。よって、旋回体12が左旋回を行っている場合と同様に、ミスト(水)を無駄に消費することなく、十分な冷却効果を効率的にオペレータに与えることができる。
なお、図11では、ステップS561の次にステップS562を実行しているが、必ずしもその処理の順番である必要はなく、ステップS562を先に実行した後にステップS561を実行してもよいし、ステップS561とステップS562とを同時に実行してもよい。
次に、時間計測部55は、ステップS562の処理を実行してから設定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS563)。ステップS563において設定時間T1が経過したと判定された場合(ステップS563/YES)、信号出力部53は、第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS564)。これにより、第2ノズル42および第4ノズル44からガスのみが噴射する。なお、ステップS563において設定時間T1が経過していない場合には(ステップS563/NO)、設定時間T1が経過するまでステップS564に進まない。
続いて、時間計測部55は、ステップS564の処理を実行してから設定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS565)。ステップS565において設定時間T2が経過したと判定された場合(ステップS565/YES)、信号出力部53は、第2流量制御弁42Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS566)。これにより、再び、第2ノズル42および第4ノズル44からミストが噴射する。なお、ステップS565において設定時間T2が経過していない場合には(ステップS565/NO)、設定時間T2が経過するまでステップS566に進まない。
次に、コントローラ5は、信号取得部51において、旋回停止信号、左旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS567)。
ステップS567において左旋回信号、停止信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得された場合(ステップS567/YES)、第3ミスト噴射処理(ステップS506)が終了し、図8に示すステップS511に進む。一方、ステップS567において左旋回信号、旋回停止信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち右旋回信号が継続して取得されている場合(ステップS567/NO)、ステップS563に戻って処理を繰り返す。
このように、本実施形態では、旋回体12が右旋回を行っている間においても、左旋回を行っている場合と同様に、第2ノズル42および第4ノズル44からミストとガスとが交互に噴射されるため、オペレータに対し、ミストのみが継続して噴射される場合よりもヒンヤリとした冷却感を与えることができ、より高い冷却効果が得られる。
図8に示すように、第1ミスト噴射処理(ステップS504)が終了すると、コントローラ5は、ステップS543において取得された信号が左旋回信号、右旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS507)。
ステップS507において左旋回信号が取得されたと判定された場合(ステップS507/左)、第2ミスト噴射処理(ステップS505)に進む。また、ステップS507において右旋回信号が取得されたと判定された場合(ステップS507/右)、第3ミスト噴射処理(ステップS506)に進む。そして、ステップS507においてスイッチ27のOFF信号が取得されたと判定された場合(ステップS507/OFF)、コントローラ5における処理が終了する。
同様にして、第2ミスト噴射処理(ステップS505)が終了すると、コントローラ5は、ステップS557において取得された信号が旋回停止信号、右旋回信号およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS508)。
ステップS508において旋回停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS508/旋回停止)、第1ミスト噴射処理(ステップS504)に進む。また、ステップS508において右旋回信号が取得されたと判定された場合(ステップS508/右)、第3ミスト噴射処理(ステップS506)に進む。そして、ステップS508においてスイッチ27のOFF信号が取得されたと判定された場合(ステップS508/OFF)、コントローラ5における処理が終了する。
また同様にして、第3ミスト噴射処理(ステップS506)が終了すると、コントローラ5は、ステップS567において取得された信号が旋回停止信号、左旋回信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS509)。
ステップS509において旋回停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS509/旋回停止)、第1ミスト噴射処理(ステップS504)に進む。また、ステップS509において左旋回信号が取得されたと判定された場合(ステップS509/左)、第2ミスト噴射処理(ステップS505)に進む。そして、ステップS509においてスイッチ27のOFF信号が取得されたと判定された場合(ステップS509/OFF)、コントローラ5における処理が終了する。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るミスト噴射装置4について、図12~18を参照して説明する。なお、図12~18において、第1実施形態に係るミスト噴射装置4について説明したものと共通する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略し、以下、第3実施形態および第4実施形態においても同様とする。
第2実施形態では、旋回動作を行わずに車体が走行動作のみを行った場合、すなわちコントローラ5が、左右走行レバー24L,24Rから出力された走行動作に係る操作信号のみに基づいて、4つの流量制御弁41A~44Aの開度および4つの圧力制御弁41B~44Bの開度を個別に制御する場合について説明する。
(車体が前後進走行を行う場合)
まず、車体が前後進動作を行う場合におけるコントローラ5の制御について、図12~15を参照して説明する。
図12は、第2実施形態に係るミスト噴射装置4において、車体が前後進走行を行う場合にコントローラ5で実行される全体処理の流れを示すフローチャートである。図13は、第4ミスト噴射処理(ステップS604)の流れを示すフローチャートである。図14は、第5ミスト噴射処理(ステップS605)の流れを示すフローチャートである。図15は、第6ミスト噴射処理(ステップS606)の流れを示すフローチャートである。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、コントローラ5は、まず、信号取得部51がスイッチ27からのON信号を取得したか否か、すなわちスイッチ27がONされたか否かを判定する(ステップS601)。
ステップS601においてスイッチ27がONされたと判定された場合(ステップS601/YES)、続いて、信号取得部51は、左走行レバー24Lから出力された左側走行操作信号および右走行レバー24Rから出力された右側走行操作信号をそれぞれ取得する(ステップS602)。
一方、ステップS601においてスイッチ27がOFFのままであると判定された場合には(ステップS601/NO)、第1実施形態と同様に、コントローラ5は、スイッチ27がONになるまで次の処理へは進まない。
次に、動作方向判定部52は、ステップS602において取得された操作信号に基づいて、車体が前進走行の状態、後進走行の状態、および走行停止の状態のうちのいずれの状態であるかを判定する(ステップS603)。
ステップS603において車体が走行停止中であると判定された場合(ステップS603/走行停止)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS603において車体が前進走行中であると判定された場合(ステップS603/前進)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)に進む。そして、ステップS603において車体が後進走行中であると判定された場合(ステップS603/後進)、第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。
ここで、第4ミスト噴射処理(ステップS604)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)、および第6ミスト噴射処理(ステップS606)について、図13~15を参照して説明する。
図13に示すように、第4ミスト噴射処理(ステップS604)では、第1ミスト噴射処理(ステップS504)と同様に、信号出力部53が、第1~第4流量制御弁41A~44Aの全てに対してそれぞれ開指令信号を出力し(ステップS641)、続いて、第1~第4圧力制御弁41B~44Bの全てに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS642)。
なお、図13では、コントローラ5は、ステップS641の次にステップS642を実行しているが、これに限らず、ステップS642を先に実行した後にステップS641を実行してもよいし、ステップS641とステップS642とを同時に実行してもよい。
次に、コントローラ5は、信号取得部51において、前進に係る操作信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうち、いずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS643)。
ステップS643において前進に係る操作信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたと判定された場合(ステップS643/YES)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)が終了し、図12に示すステップS607に進む。
一方、ステップS643において前進に係る操作信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれの信号も取得されなかった場合、すなわち走行停止に係る操作信号が継続して取得されていると判定された場合(ステップS643/NO)、ステップS643がYESとなるまでステップS641およびステップS642の処理を継続して実行する。
図14に示すように、第5ミスト噴射処理(ステップS605)では、信号出力部53が、第1流量制御弁41Aおよび第2流量制御弁42Aに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第3流量制御弁43Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS651)。
続いて、信号出力部53は、第1圧力制御弁41Bおよび第2圧力制御弁42Bに対して開指令信号を出力すると共に、第3圧力制御弁43Bおよび第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS652)。
これにより、車体が前進走行を行っている状態であっても、車体の動作方向の側となる前方向の側に配置された第1ノズル41および第2ノズル42からオペレータに向かってミストが噴射されるため、噴射された水とが前進走行動作によってオペレータが着座する側と異なる方向に流されにくくなる。
なお、図14においても、ステップS651の次にステップS652を実行しているが、必ずしもその処理の順番である必要はなく、ステップS652を先に実行した後にステップS651を実行してもよいし、ステップS651とステップS652とを同時に実行してもよい。
次に、時間計測部55は、ステップS652の処理を実行してから設定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS653)。ステップS653において設定時間T1が経過したと判定された場合(ステップS653/YES)、信号出力部53は、第1流量制御弁41Aおよび第2流量制御弁42Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS654)。これにより、第1ノズル41および第2ノズル42からガスのみが噴射する。なお、ステップS653において設定時間T1が経過していない場合には(ステップS653/NO)、設定時間T1が経過するまでステップS654に進まない。
続いて、時間計測部55は、ステップS654の処理を実行してから設定時間T2が経過したか否かを判定する(ステップS655)。ステップS655において設定時間T2が経過したと判定された場合(ステップS655/YES)、信号出力部53は、第1流量制御弁41Aおよび第2流量制御弁42Aに対してそれぞれ開指令信号を出力する(ステップS656)。これにより、再び、第1ノズル41および第2ノズル42からミストが噴射する。なお、ステップS655において設定時間T2が経過していない場合には(ステップS655/NO)、設定時間T2が経過するまでステップS656に進まない。
次に、コントローラ5は、信号取得部51において、走行停止信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS657)。
ステップ657において走行停止信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得された場合(ステップS657/YES)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)が終了し、図12に示すステップS609に進む。一方、ステップ657において走行停止信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち前進に係る操作信号が継続して取得されている場合(ステップS657/NO)、ステップS653に戻って処理を繰り返す。
このように、本実施形態においても、車体が前進走行を行っている間、第1ノズル41および第2ノズル42からミストとガスとが交互に噴射されるため、オペレータに対し、ミストのみが継続して噴射される場合よりもヒンヤリとした冷却感を与えることができる。
図15に示すように、第6ミスト噴射処理(ステップS606)では、信号出力部53、第3流量制御弁43Aおよび第4流量制御弁44Aに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第1流量制御弁41Aおよび第2流量制御弁42Aに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS661)。
続いて、信号出力部53は、第3圧力制御弁43Bおよび第4圧力制御弁44Bに対してそれぞれ開指令信号を出力すると共に、第1圧力制御弁41Bおよび第2圧力制御弁42Bに対してそれぞれ閉指令信号を出力する(ステップS662)。
これにより、車体が後進走行を行っている状態であっても、車体の動作方向の側となる後方向の側に配置された第3ノズル43および第4ノズル44からオペレータに向かってミストが噴射されるため、噴射された水とが前進走行動作によってオペレータが着座する側と異なる方向に流されにくくなる。
なお、図15においても、ステップS661の次にステップS662を実行しているが、必ずしもその処理の順番である必要はなく、ステップS662を先に実行した後にステップS661を実行してもよいし、ステップS661とステップS662とを同時に実行してもよい。
以降のステップS663~S666では、第5ミスト噴射処理(ステップS605)の場合と同様に、信号出力部53は、所定の時間間隔で第3流量制御弁43Aおよび第4流量制御弁44Aに対して開指令信号と閉指令信号とを交互に出力する。これにより、車体が後進走行を行っている間、第3ノズル43および第4ノズル44からミストとガスとが交互に噴射される。
そして、コントローラ5は、信号取得部51において、走行停止信号、前進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS667)。
ステップ667において走行停止信号、前進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得された場合(ステップS667/YES)、第6ミスト噴射処理(ステップS606)が終了し、図12に示すステップS611に進む。一方、ステップ667において走行停止信号、前進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち後進に係る操作信号が継続して取得されている場合(ステップS667/NO)、ステップS663に戻って処理を繰り返す。
図12に示すように、第4ミスト噴射処理(ステップS604)が終了すると、コントローラ5は、スイッチ27がON状態のままであるか否か、すなわちステップS643においてスイッチ27のOFF信号が入力されたか否かを判定する(ステップS607)。
ステップS607においてスイッチ27がON状態のままであると判定された場合(ステップS607/YES)、ステップS643において取得された信号が、前進に係る操作信号、後進に係る操作信号、および小回り走行に係る操作信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS608)。一方、ステップS607においてスイッチ27がOFF状態であると判定された場合(ステップS607/NO)、コントローラ5における処理が終了する。
ステップS608において前進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS608/前進)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)に進む。また、ステップS608において後進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS608/後進)、第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。そして、ステップS608において小回り走行に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS608/小回り)、後述する第7ミスト噴射処理(ステップS705)または第8ミスト噴射処理(ステップS706)に進む。
同様に、第5ミスト噴射処理(ステップS605)が終了すると、コントローラ5は、スイッチ27がON状態のままであるか否か、すなわちステップS657においてスイッチ27のOFF信号が入力されたか否かを判定する(ステップS609)。
ステップS609においてスイッチ27がON状態のままであると判定された場合(ステップS609/YES)、ステップS657において取得された信号が、走行停止信号、後進に係る操作信号、および小回り走行に係る操作信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS610)。一方、ステップS609においてスイッチ27がOFF状態であると判定された場合(ステップS609/NO)、コントローラ5における処理が終了する。
ステップS610において走行停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS610/走行停止)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS610において後進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS610/後進)、第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。そして、ステップS610において小回り走行に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS610/小回り)、後述する第7ミスト噴射処理(ステップS705)または第8ミスト噴射処理(ステップS706)に進む。
また同様に、第6ミスト噴射処理(ステップS606)が終了すると、コントローラ5は、スイッチ27がON状態のままであるか否か、すなわちステップS667においてスイッチ27のOFF信号が入力されたか否かを判定する(ステップS611)。
ステップS611においてスイッチ27がON状態のままであると判定された場合(ステップS611/YES)、ステップS667において取得された信号が、走行停止信号、前進に係る操作信号、および小回り走行に係る操作信号のうちのいずれの信号であるかを判定する(ステップS612)。一方、ステップS611においてスイッチ27がOFF状態であると判定された場合(ステップS611/NO)、コントローラ5における処理が終了する。
ステップS612において走行停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS612/走行停止)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS612において前進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS612/前進)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)に進む。そして、ステップS612において小回り走行に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS612/小回り走行)、後述する第7ミスト噴射処理(ステップS705)または第8ミスト噴射処理(ステップS706)に進む。
(車体が小回り走行を行う場合)
次に、車体が小回り走行を行う場合におけるコントローラ5の制御について、図16~18を参照して説明する。
図16は、第2実施形態に係るミスト噴射装置4において、車体が小回り走行を行う場合にコントローラ5で実行される全体処理の流れを示すフローチャートである。図17は、第7ミスト噴射処理(ステップS705)の流れを示すフローチャートである。図18は、第8ミスト噴射処理(ステップS706)の流れを示すフローチャートである。
コントローラ5は、まず、信号取得部51がスイッチ27からのON信号を取得したか否か、すなわちスイッチ27がONされたか否かを判定する(ステップS701)。
ステップS701においてスイッチ27がONされたと判定された場合(ステップS701/YES)、続いて、信号取得部51は、左走行レバー24Lから出力された左側走行操作信号および右走行レバー24Rから出力された右側走行操作信号のいずれか一方を取得する(ステップS702)。
一方、ステップS701においてスイッチ27がOFFのままであると判定された場合には(ステップS701/NO)、コントローラ5は、スイッチ27がONになるまで次の処理へは進まない。
次に、動作方向判定部52は、ステップS702において取得された操作信号に基づいて、車体が左回り走行の状態、右回り走行の状態、および走行停止の状態のうちのいずれの状態であるかを判定する(ステップS702)。
ステップS702において車体が走行停止中であると判定された場合(ステップS703/走行停止)、前述した第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS703において車体が左回り走行中であると判定された場合(ステップS703/左回り)、第7ミスト噴射処理(ステップS705)に進む。そして、ステップS703において車体が右回り走行中であると判定された場合(ステップS703/右回り)、第8ミスト噴射処理(ステップS706)に進む。
ここで、第7ミスト噴射処理(ステップS705)および第8ミスト噴射処理(ステップS706)について、図17および図18を参照して説明する。
車体が左回りに小回り走行している場合は、旋回体12が左旋回している場合と同様であるため、図17に示すように、第7ミスト噴射処理(ステップS705)におけるステップS751~S756は、第2ミスト噴射処理(ステップS505)におけるステップS551~556と同様となっている。具体的には、ステップS751がステップS551に、ステップS752がステップS552に、ステップS753がステップS553に、ステップS754がステップS554に、ステップS755がステップS555に、ステップS756がステップS556に、それぞれ対応している。
そして、コントローラ5は、ステップS756の処理後、信号取得部51において、走行停止信号、前後進に係る操作信号、右回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS757)。
ステップS757において走行停止信号、前後進に係る操作信号、右回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたと判定された場合(ステップS757/YES)、第7ミスト噴射処理(ステップS705)が終了し、図16に示すステップS709に進む。一方、ステップS757において走行停止信号、前後進に係る操作信号、右回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち左回り走行に係る操作信号が継続して取得されている場合(ステップS757/NO)、ステップS753に戻って処理を繰り返す。
また、車体が右回りに小回り走行している場合は、旋回体12が右旋回している場合と同様であるため、図18に示すように、第8ミスト噴射処理(ステップS706)におけるステップS761~S766は、第3ミスト噴射処理(ステップS506)におけるステップS561~S566と同様となっている。具体的には、ステップS761がステップS561に、ステップS762がステップS562に、ステップS763がステップS563に、ステップS764がステップS564に、ステップS765がステップS565に、ステップS766がステップS566に、それぞれ対応している。
そして、コントローラ5は、ステップS766の処理後、信号取得部51において、走行停止信号、前後進に係る操作信号、左回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたか否かを判定する(ステップS767)。
ステップS767において走行停止信号、前後進に係る操作信号、左回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のうちのいずれかの信号が取得されたと判定された場合(ステップS767/YES)、第8ミスト噴射処理(ステップS706)が終了し、図16に示すステップS711に進む。一方、ステップS767において走行停止信号、前後進に係る操作信号、左回り走行に係る操作信号、およびスイッチ27のOFF信号のいずれも取得されなかった場合、すなわち右回り走行に係る操作信号が継続して取得されている場合(ステップS767/NO)、ステップS763に戻って処理を繰り返す。
図16に示すように、第4ミスト噴射処理(ステップS604)が終了すると、図12に示す処理と同様に、ステップS607およびステップS608に進む。また、第7ミスト噴射処理(ステップS705)が終了すると、コントローラ5は、スイッチ27がON状態のままである場合には(ステップS709/YES)、ステップS757において取得された信号が、走行停止信号、前後進に係る操作信号、および右回り走行に係る操作信号のうちのいずれの信号であるかを判定し(ステップS710)、スイッチ27がOFF状態となった場合には(ステップS709/NO)コントローラ5における処理が終了する。
ステップS710において走行停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS710/走行停止)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS710において前後進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS710/前後)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)または第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。そして、ステップS710において右回り走行に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS710/右)、第8ミスト噴射処理(ステップS706)に進む。
また、第8ミスト噴射処理(ステップS706)が終了すると、コントローラ5は、スイッチ27がON状態のままである場合には(ステップS711/YES)、ステップ767において取得された信号が、走行停止信号、前後進に係る操作信号、および左回り走行に係る操作信号のうちのいずれの信号であるかを判定し(ステップS712)、スイッチ27がOFF状態となった場合には(ステップS711/NO)コントローラ5における処理が終了する。
ステップS712において走行停止信号が取得されたと判定された場合(ステップS712/走行停止)、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。また、ステップS712において前後進に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS712/前後)、第5ミスト噴射処理(ステップS605)または第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。そして、ステップS712において左回り走行に係る操作信号が取得されたと判定された場合(ステップS712/左)、第7ミスト噴射処理(ステップS705)に進む。
このように、車体が小回り走行を行う場合においても、第1実施形態と同様の作用および効果を奏する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るミスト噴射装置4について、図19および図20を参照して説明する。
図19は、第3実施形態に係るミスト噴射装置4のコントローラ5Aが有する機能を示す機能ブロック図である。図20は、第3実施形態に係るミスト噴射装置4のコントローラ5Aで実行される全体処理の流れを示すフローチャートである。
第3実施形態では、ミニショベル1が前後進走行を行いながら旋回体12を旋回させた場合、すなわち走行動作と旋回動作との複合動作を行った場合におけるコントローラ5の制御について説明する。
図19に示すように、本実施形態に係るコントローラ5Aは、信号取得部51、動作方向判定部52、信号出力部53、記憶部54、および時間計測部55に加えて、優先選択部56を含んで構成される。
優先選択部56は、信号取得部51において走行に係る操作信号および旋回に係る操作信号の両方が取得された場合に、走行に係る操作信号を優先して選択する。具体的には、図20に示すように、スイッチ27がON状態であって(ステップS801/YES)、信号取得部51が左側走行操作信号、右側走行操作信号、および旋回操作信号の全てを取得すると(ステップS802)、優先選択部56は、左側走行操作信号および右側走行操作信号を優先して選択する(ステップS803)。
次に、動作方向判定部52は、ステップS803において選択された左側走行操作信号および右側走行操作信号に基づいて、車体が前進走行および後進走行のいずれであるかを判定する(ステップS804)。
ステップS804において車体が前進走行中であると判定された場合(ステップS804/前進)、前述した第5ミスト噴射処理(ステップS605)に進む。一方、ステップS804において車体が後進走行中であると判定された場合(ステップS804/後進)、前述した第6ミスト噴射処理(ステップS606)に進む。
第5ミスト噴射処理(ステップS605)が終了すると、コントローラ5Aは、ステップS657において取得された信号が、スイッチ27のOFF信号、後進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、および走行停止信号のいずれであるかを判定する(ステップS805)。
ステップS805においてスイッチ27のOFF信号であると判定された場合には(ステップS805/OFF)、コントローラ5Aにおける処理が終了する。また、ステップS805において後進に係る操作信号または小回り走行に係る操作信号(すなわち、前進に係る操作信号以外の走行に係る操作信号)であると判定された場合(ステップS805/その他)、各操作信号に応じて第6ミスト噴射処理(ステップS606)、第7ミスト噴射処理(ステップS705)、および第8ミスト噴射処理(ステップS706)のいずれかに進む。
そして、ステップS805において走行停止信号であると判定された場合(ステップS805/走行停止)、コントローラ5Aは、さらに旋回動作が継続中であるか否かを判定する(ステップS806)。
ステップS806において旋回動作が継続中であると判定された場合(ステップS806/YES)、旋回方向に応じて第2ミスト噴射処理(ステップS505)または第3ミスト噴射処理(ステップS506)に進む。一方、旋回動作が停止していると判定された場合(ステップS806/NO)、ミニショベル1全体が停止状態であるため、第4ミスト噴射処理(ステップS604)に進む。
第6ミスト噴射処理(ステップS606)が終了すると、コントローラ5Aは、ステップS667において取得された信号が、スイッチ27のOFF信号、前進に係る操作信号、小回り走行に係る操作信号、および走行停止信号のいずれであるかを判定する(ステップS807)。
ステップS807においてスイッチ27のOFF信号であると判定された場合には(ステップS805/OFF)、コントローラ5Aにおける処理が終了する。また、ステップS807において前進に係る操作信号または小回り走行に係る操作信号(すなわち、後進に係る操作信号以外の走行に係る操作信号)であると判定された場合(ステップS807/その他)、各操作信号に応じて第5ミスト噴射処理(ステップS605)、第7ミスト噴射処理(ステップS705)、および第8ミスト噴射処理(ステップS706)のいずれかに進む。そして、ステップS807において走行停止信号であると判定された場合(ステップS8057走行停止)、ステップS806に進む。
このように、ミニショベル1が旋回動作および走行動作の両方を複合して行うこともあり、その場合には、コントローラ5Aは、車体の動作方向として、旋回動作よりも速度が大きくなりやすい走行動作の方向(走行方向)を優先して選択することにより、十分な冷却効果を効率的にオペレータに与えることができる。
なお、本実施形態では、ミニショベル1が前進走行または後進走行をしながら旋回動作を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、ミニショベル1が小回り走行しながら旋回動作を行う場合においても同様に、コントローラ5Aは、走行動作の方向を優先してミストの噴射を制御する。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係るミスト噴射装置4Aについて、図21および図22を参照して説明する。
図21は、第4実施形態に係るミスト噴射装置4Aの一構成例を示す図である。図22は、第4実施形態に係るミスト噴射装置4Aのうち、運転席23Aの内部空間230に搭載されている部分の構成例を示す図である。
本実施形態に係るミスト噴射装置4Aは、第1実施形態に係るミスト噴射装置4と異なり、4つのノズル41~44からのミスト噴射に加えて、運転席23A側から風が吹き出す風吹き出し装置6を備えている。
本実施形態では、運転席23Aは、内部に空間230(以下、「内部空間230」とする)が形成された背もたれ部231および座面部232を有している。換言すれば、この運転席23Aは、背もたれ部231の内部および座面部232の内部がいずれも中空になっている。なお、図21および図22に示す運転席23Aでは、背もたれ部231にヘッドレストが含まれているが、運転席23Aの仕様によってはヘッドレストがないものであってもよい。
風吹き出し装置6は、電動モータにより駆動されて風を生成する一対のファン61L,61Rと、一対のファン61L,61Rでそれぞれ生成された風が内部を流通する一対の配管62L,62Rと、一対の配管62L,62Rにより導かれた風を吹き出す複数の吹き出し部63L,63Rと、を有し、これらの各部品が内部空間230に配置されている。
具体的には、内部空間230において、背もたれ部231のヘッドレストに相当する部分に一対のファン61L,61Rが配置され、背もたれ部231の両側部から座面部232の両側部に亘って一対の配管62L,62Rがそれぞれ延びており、一対の配管62L,62Rに沿って複数の吹き出し部63L,63Rがそれぞれ間隔を空けて並んで配置されている。なお、運転席23Aがヘッドレストを有していない場合には、一対のファン61L,61Rは、背もたれ部231の上部に配置されていればよい。
本実施形態では、運転席23Aの左側部に配置された一方の配管62Lに対応してファン61Lが、運転席23Aの右側部に配置された他方の配管62Rに対応してファン61Rが、それぞれ設けられているが、これに限らず、1つのファンから生成された風を一対の配管62L,62Rのそれぞれに分岐して導く構造としてもよい。また、本実施形態では、背もたれ部231におけるヘッドレストの部分が取り外し可能となっており、風吹き出し装置6のメンテナンス作業がしやすくなっている。
複数の吹き出し部63L,63Rはそれぞれ、一対の配管62L,62Rにより導かれた風を背もたれ部231の表面および座面部232の座面から吹き出す。なお、「背もたれ部231の表面」とは、オペレータが運転席23Aに着座している状態においてオペレータの背中と対向する面のことを示す。
図22では、左側の配管62Lに6つの吹き出し部63Lがそれぞれ設けられており、6つの吹き出し部63Lのうち3つの吹き出し部63Lが背もたれ部231側に、残り3つの吹き出し部63Lが座面部232側に、それぞれ配置されている。同様に、右側の配管62Rに6つの吹き出し部63Rがそれぞれ設けられており、6つの吹き出し部63Rのうち3つの吹き出し部63Rが背もたれ部231側に、残り3つの吹き出し部63Rが座面部232側に、それぞれ配置されている。
したがって、一対の配管62L,62Rによりそれぞれ導かれた風は、運転席23Aに着座しているオペレータの左腕の脇および右腕の脇からそれぞれ前方に向かって吹き出すと共に、オペレータの左大腿部の脇および右大腿部の脇からそれぞれ上方に向かって吹き出す。なお、本実施形態では、風吹き出し装置6は、6つの左側の吹き出し部63Lおよび6つの右側の吹き出し部63Rをそれぞれ備えていたが、吹き出し部63L,63Rの個数については複数であれば特に制限はない。
このように、本実施形態に係るミスト噴射装置4Aでは、4つのノズル41~43から噴射されるミストに加えて、運転席23A側から風が吹き出すため、運転席23Aに着座しているオペレータに対してより高い冷却効果を与えることができる。なお、複数の吹き出し部63L,63Rからの風の吹き出しについては、オペレータがスイッチ27をON状態にしてからOFF状態にするまで継続して行ってもよいし、4つのノズル41~44のそれぞれにおいてガスのみが噴射されるタイミングで行ってもよい。
また、本実施形態では、ミスト供給ユニット400が運転席23Aの背面部分(背もたれ部231の背面)に取り付けられている。ミスト供給ユニット400は、第1実施形態では、一対の支柱21L,21Rの間に設けられていたが、本実施形態のように、運転席23A側に設けてもよく、ミスト供給ユニット400の配置場所については特に制限はない。
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、本実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、本実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。またさらに、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、上記の各実施形態では、コントローラ5,5Aは、左右走行レバー24L,24Rや左作業レバー25Lから出力された操作信号に基づいて車体の動作方向を判定していたが、これに限らず、車体の動作方向を検出することが可能な方向センサを用いることにより車体の動作方向を判定してもよい。
また、上記の各実施形態では、第1ノズル41の取付部材411および第2ノズル42の取付部材421と、第3ノズル43の取付部材431および第4ノズル44の取付部材441と、において構造が異なっているが、取付部材411,421,431,441の素材や形状などについては特に制限はない。
また、上記の各実施形態では、水供給装置45から供給された水とガス供給装置46から供給されたガスとが混合した状態で、4つのノズル41~44からミストが吹き出していたが、これに限らず、少なくとも水供給装置45から供給された水を用いて4つのノズル41~44からミストが噴射するように構成されていればよい。
また、上記の各実施形態では、作業機械の一態様としてミニショベル1について説明したが、これに限らず、キャノピー仕様の運転部122を備えていれば、例えばホイールローダなどの他の作業機械に適用することも可能である。