JP2022036653A - 湿気硬化型ホットメルト接着剤、接着体、及び被着体の回収方法 - Google Patents

湿気硬化型ホットメルト接着剤、接着体、及び被着体の回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使用時に充分な接着性を有するとともに、解体時において、被着体が同質の材料同士であっても加温によって接着強さを低下させることが可能な易解体性を有し、さらには解体時の破壊状態が界面剥離となり易いことによる接着剤自体の易除去性を有する湿気硬化型ホットメルト接着剤を提供すること。【解決手段】ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有し、粘着付与樹脂が25℃で液体状のロジンエステル樹脂を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤。【選択図】なし

Description

本開示は、湿気硬化型ホットメルト接着剤、接着体、及び被着体の回収方法に関する。
ホットメルト接着剤は、無溶剤型の接着剤であることから、環境及び人体への負荷が少ない接着剤であり、短時間接着が可能であることから、生産性向上に適した接着剤である。そのため、ホットメルト接着剤は、製本、繊維、建材等の産業界で広く利用されている。
ホットメルト接着剤は、主成分が熱可塑性樹脂であるか、又は反応性樹脂であるかで2つに大別できる。主成分が熱可塑性樹脂であるホットメルト接着剤は、主にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)が利用されている。
一方、主成分が反応性樹脂であるホットメルト接着剤は、主にイソシアネート基を末端基として有するウレタンプレポリマーが利用されている。これらは、空気中又は被着体表面の水分との反応によって高分子量化することから、湿気硬化型ホットメルト接着剤と呼ばれている。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、被着体同士を貼り合わせた後、接着剤自体の冷却固化によって、短時間である程度の接着強さを発現する。その後、ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基が空気中又は被着体表面の水分と反応して高分子量化し、優れた接着力を有する接着剤層を形成する。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、常温時に加えて熱間時でも使用することが可能である。
ところで、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、接着力が高く一度被着体同士を貼り合わせて接着体を製造すると、接着体から被着体を回収して再利用することが難しい。このような接着力の高さは、特に液晶パネル等の高額部品を接着して得られる接着体を含む最終製品において、一部部品の傷等の不具合によって、高額部品を回収して再利用する動機を妨げるものとなり得る。このような観点から、湿気硬化型ホットメルト接着剤には、従来の接着性を確保しつつ、接着体を容易に解体することが可能な性質(易解体性)を有しているとともに、解体された被着体から湿気硬化型ホットメルト接着剤自体を容易に除去することが可能な性質(易除去性)を有していることが望まれている。
このような接着剤として、特許文献1には、(メタ)アクリレートポリマー及びイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを含む反応性ホットメルト接着剤であって、(メタ)アクリレートポリマーは90~140℃の融点及び20000~80000g/molの数平均分子量を有する、反応性ホットメルト接着剤が開示されている。また、特許文献2には、所定のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、アクリル重合体、及び、所定の熱可塑性樹脂を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が開示されている。
特表2017-526764号公報 特開2016-113551号公報
しかしながら、従来の接着剤は、依然として接着力が高く、被着体が破損しない程度の温度(例えば、80℃)によって接着体を解体することが難しい傾向にある。このような傾向は、被着体が同質の材料同士である場合に顕著である。さらに、従来の接着剤は、解体時において、接着剤の破壊状態が凝集破壊になり易い傾向にある。破壊状態が凝集破壊であると、接着剤の厚みがそれぞれの被着体面で薄く、かつランダムに凹凸面が残存することから、接着剤膜が破れ易く、解体された被着体からの接着剤自体を除去することが困難となる傾向にある。
そこで、本開示は、使用時に充分な接着性を有するとともに、解体時において、被着体が同質の材料同士であっても加温によって接着強さを低下させることが可能な易解体性を有し、さらには解体時の破壊状態が界面剥離となり易いことによる接着剤自体の易除去性を有する湿気硬化型ホットメルト接着剤を提供することを主な目的とする。
本開示の一側面は、湿気硬化型ホットメルト接着剤(以下、単に「ホットメルト接着剤」という場合がある。)に関する。当該ホットメルト接着剤は、ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有し、以下の条件(i)、条件(ii)、又は条件(iii)のいずれかを満たす。このとき、当該ホットメルト接着剤は、条件(i)、条件(ii)、及び条件(iii)のうち、複数の条件を満たしていてもよい。
・条件(i):粘着付与樹脂は25℃で液体状のロジンエステル樹脂を含む。
・条件(ii):粘着付与樹脂はロジンエステル樹脂を含む。ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールは、1価アルコール、及び、エーテル結合を有する多価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
・条件(iii):粘着付与樹脂はロジンエステル樹脂を含む。湿気硬化後の硬化膜において、25℃の貯蔵弾性率E’が30~1000MPaであり、かつ80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比が38以下である。貯蔵弾性率比は22以下であってよい。
このようなホットメルト接着剤によれば、使用時に充分な接着性を有する接着剤となり得る。また、このようなホットメルト接着剤によれば、加温によって接着性が低減することから、解体時に被着体が破損しない程度の加温温度(例えば、80℃)によって易解体性が発現し得る。さらに、このようなホットメルト接着剤によれば、解体時の接着剤の破壊状態が界面破壊となり易く、凝集破壊が破壊状態となる場合に比べて、接着剤を一体として除去し易くなり、接着剤自体の易除去性も発現し得る。そのため、このようなホットメルト接着剤を用いることによって、使用時に充分な接着性を有するとともに、解体時において、被着体が同質の材料同士であっても加温によって接着強さを低下させて、接着体を容易に解体することができ、さらに接着体を解体した後に、解体時の接着剤の破壊状態が界面剥離であることから、接着剤を被着体から容易に除去することができる。これによって、最終製品において不具合があった場合でも、最終部品(接着体)から被着体を回収して再利用することが可能となる。
ウレタンプレポリマーは、ジフェニルメタンジイソシアネートに由来する構造単位を含んでいてもよい。
ウレタンプレポリマーは、非晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位及び非晶性ポリエーテルポリオールに由来する構造単位の少なくとも一方を含んでいてもよい。
ホットメルト接着剤は、シランカップリング剤をさらに含有していてもよい。
粘着付与樹脂の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、2~35質量%であってよい。
ロジンエステル樹脂は、水添ロジンエステル樹脂であってよい。
本開示の他の一側面は、接着体に関する。当該接着体は、一対の被着体と、一対の被着体を互いに接着する接着剤層とを備える。接着剤層は、上記のホットメルト接着剤の硬化物を含む。
本開示の他の一側面は、被着体の回収方法に関する。当該被着体の回収方法は、上記の接着体を、加温を含む方法によって解体し、一対の被着体の少なくとも一方を回収する工程を備える。
本開示によれば、使用時に充分な接着性を有するとともに、解体時において、被着体が同質の材料同士であっても加温によって接着強さを低下させることが可能な易解体性を有し、さらには解体時の破壊状態が界面剥離となり易いことによる接着剤自体の易除去性を有する湿気硬化型ホットメルト接着剤が提供される。また、本開示によれば、このような湿気硬化型ホットメルト接着剤を用いた接着体が提供される。さらに、本開示によれば、このような接着体を解体し、被着体を回収する被着体の回収方法が提供される。
図1は、せん断接着強さの測定後の試験片の破壊状態を示す模式図である。図1(a)は、せん断接着強さの測定前の試験片を示す模式断面図である。図1(b)は、試験片の破壊状態が凝集破壊であることを示す模式断面図である。図1(c)は、試験片の破壊状態が界面破壊であることを示す模式断面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
本明細書において、「ポリオール」とは、分子内の平均水酸基数が1を含まず、1より大きい化合物を意味する。
本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、分子内の平均イソシアネート基数が1を含まず、1より大きい化合物を意味する。
本明細書において、「結晶性」とは、JISK7121-1987に準拠したDSC(示差走査熱量測定)において、結晶化熱又は融解熱のピークを確認できるものを意味し、「非晶性」とは、そのようなピークを確認できないものを意味する。
[湿気硬化型ホットメルト接着剤]
一実施形態のホットメルト接着剤は、(A)ウレタンプレポリマーと、(B)粘着付与樹脂とを含有する。
<(A)ウレタンプレポリマー>
ウレタンプレポリマーは、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含むポリマー鎖を含む。ウレタンプレポリマーは、ポリマー鎖の末端基としてイソシアネート基を有している。ウレタンプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートを反応させることによって得ることができる。すなわち、ウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物ということができる。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、このようなウレタンプレポリマーを含有することによって、湿気硬化後に優れた接着性を発現することができる。
(a)ポリオール
ポリオールに由来する構造単位を与えるポリオールは、例えば、(a1)結晶性ポリオールに由来する構造単位を与える結晶性ポリオール及び(a2)非晶性ポリオールに由来する構造単位を与える非晶性ポリオールを含んでいてもよい。なお、各構造単位の含有量は、それぞれの構造単位を与える各ポリオールの仕込み量に対応する。すなわち、各構造単位の含有量の調整は、各構造単位を与える各ポリオールの仕込み量の調整によって行うことができる。
(a1)結晶性ポリオール
(a1)結晶性ポリオールは、構造由来の結晶性によってホットメルト接着剤に優れた凝集力を付与することができ、結晶状態において優れた接着性に寄与する。また、ホットメルト接着剤が湿気硬化する際に発生する炭酸ガスによるホットメルト接着剤内外の発泡抑制にも寄与する。結晶性ポリオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。結晶性ポリオールは、融点が40℃以上、好ましくは50℃以上である結晶性ポリオールを少なくとも1種含んでいてもよい。このような結晶性ポリオールを含むことによって、養生時の発泡を抑制し、養生後の接着性に寄与する凝集力を付与することが可能となる。なお、本明細書において、結晶性ポリオールの融点とは、JISK7121-1987に準拠したDSC(示差走査熱量測定)において、結晶化熱又は融解熱のピーク頂点の温度を意味する。
ウレタンプレポリマーにおいて、結晶性ポリオールに由来する構造単位の含有量は、ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~60質量%、さらに好ましくは15~50質量%である。結晶性ポリオールに由来する構造単位の含有量が、ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、5質量%以上であると、結晶性ポリオールを含有する効果が充分に発揮される傾向にあり、70質量%以下であると、接着剤膜が硬くなり過ぎることを抑制し、実用的な耐衝撃性が得られる傾向にある。
結晶性ポリオールの水酸基価は、好ましくは5~300mgKOH/g、より好ましくは10~200mgKOH/g、さらに好ましくは15~100mgKOH/gである。結晶性ポリオールの水酸基価が5mgKOH/g以上であると、ポリマー鎖中のウレタン結合が増えて、接着性が向上する傾向にあり、300mgKOH/g以下であると、ウレタン結合が増え過ぎて接着剤膜が硬くなり過ぎることを抑制し、実用的な耐衝撃性が得られる傾向にある。なお、本明細書における水酸基価とは、JISK1557-1に準拠して測定される値を意味し、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのmg数である。
結晶性ポリオールに由来する構造単位は、粘着付与樹脂との相溶性の観点から、結晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位を含んでいてもよい。すなわち、ウレタンプレポリマーは、結晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位を含んでいてもよい。結晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位の含有量は、結晶性ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、例えば、60~100質量%、70~100質量%、又は80~100質量%であってよい。結晶性ポリオールに由来する構造単位は、結晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位から構成されるものであってもよい。
結晶性ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合反応によって生成するポリエステルポリオールであって、結晶性を示す化合物等が挙げられる。ここで、ポリエステルポリオールは、例えば、2~15個の炭素原子及び2又は3個の水酸基を有する多価アルコールと、2~14個の炭素原子(カルボキシル基中の炭素原子を含む)を有し、2~6個のカルボキシル基を有する多価カルボン酸との重縮合物であってもよい。ポリエステルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルポリオールは、ジオールとジカルボン酸とから生成する直鎖ポリエステルジオールであってもよく、トリオールとジカルボン酸とから生成する分岐ポリエステルトリオールであってもよい。また、分岐ポリエステルトリオールは、ジオールとトリカルボン酸との反応によって得ることもできる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオールの各異性体、ペンタンジオールの各異性体、ヘキサンジオールの各異性体、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族又は脂環族ジオール;4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオールなどが挙げられる。多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、好ましくは脂肪族ジオール、より好ましくは2~6個の炭素原子を有する脂肪族ジオールである。
多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジエン-1,2-ジカルボン酸等の脂肪族又は脂環族多価カルボン酸などが挙げられる。多価カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の多価カルボン酸に代えて、カルボン酸無水物、カルボキシル基の一部がエステル化された化合物等の多価カルボン酸誘導体を用いることもできる。多価カルボン酸誘導体としては、例えば、ドデシルマレイン酸、オクタデセニルマレイン酸等が挙げられる。
(a2)非晶性ポリオール
(a2)非晶性ポリオールは、湿気硬化後の硬化膜に柔軟性を付与することができる。非晶性ポリオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
ウレタンプレポリマーにおいて、非晶性ポリオールに由来する構造単位の含有量は、ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、好ましくは30~95質量%、より好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは50~85質量%である。非晶性ポリオールに由来する構造単位の含有量が、ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、30質量%以上であると、接着剤膜が硬くなり過ぎることを抑制し、実用的な耐衝撃性が得られる傾向にあり、95質量%以下であると、接着剤膜の柔軟性が高くなり過ぎることを抑制することができる傾向にある。
非晶性ポリオールの水酸基価は、好ましくは5~300mgKOH/g、より好ましくは10~200mgKOH/g、さらに好ましくは15~100mgKOH/gである。非晶性ポリオールの水酸基価が5mgKOH/g以上であると、ポリマー鎖中のウレタン結合が増えて、接着性が向上する傾向にあり、300mgKOH/g以下であると、ウレタン結合が増え過ぎることを抑制し、実用的な耐衝撃性が得られる傾向にある。
非晶性ポリオールに由来する構造単位は、硬化膜の物性及び接着性の観点から、非晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位及び非晶性ポリエーテルポリオールに由来する構造単位の少なくとも一方を含んでいてもよい。すなわち、ウレタンプレポリマーは、非晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位及び非晶性ポリエーテルポリオールに由来する構造単位の少なくとも一方を含み得る。非晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位及び非晶性ポリエーテルポリオールに由来する構造単位の含有量は、非晶性ポリオールに由来する構造単位の全量を基準として、例えば、60~100質量%、70~100質量%、又は80~100質量%であってよい。
非晶性ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合反応によって生成するポリエステルポリオールであって、非晶性を示す化合物等が挙げられる。なお、ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多価カルボン酸との組み合わせによって、結晶性を示すもの(結晶性ポリエステルポリオール)と非晶性を示すもの(非晶性ポリエステルポリオール)とが存在する。非晶性ポリエステルポリオールの構成成分である多価アルコール及び多価カルボン酸は、結晶性ポリエステルポリオールの構成成分である多価アルコール及び多価カルボン酸と同様であるので、ここでは重複する記載は省略する。
非晶性ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ポリエーテルポリオールは、好ましくはポリプロピレングリコールである。このようなポリオールは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシランを、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等を開始剤として重合して得ることができる。
ポリオールは、上記の結晶性ポリエステルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール、及び非晶性ポリエーテルポリオールに加えて、その他の結晶性又は非晶性のポリオールを含んでいてもよい。その他の結晶性又は非晶性のポリオールとしては、例えば、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。その他の結晶性又は非晶性のポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸と、上記ポリエーテルポリオールとを反応させて生成する化合物等が挙げられる。ここで、多価カルボン酸は、上記のポリエステルポリオールの多価カルボン酸と同様のものを例示できる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、2又は3の水酸基を有する多価アルコールとカーボネート化合物又はホスゲンとを反応させて生成する化合物;環状カーボネート化合物を、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオールで開環重合させて生成する化合物等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添化ポリブタジエンポリオール、水添化ポリイソプレンポリオールが挙げられる。
(b)ポリイソシアネート
ポリイソシアネートに由来する構造単位を与えるポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、m-又はp-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-又は2,6-ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネートは、例えば、イソシアネート基を2個有する化合物(ジイソシアネート)であってよい。その中でも、ポリイソシアネートは、湿気硬化速度の観点から、好ましくは芳香族ジイソシアネートを含み、より好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートを含む。すなわち、ウレタンプレポリマーは、好ましくは芳香族ジイソシアネートに由来する構造単位を含み、より好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートに由来する構造単位を含む。
ウレタンプレポリマーは、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含むポリマー鎖を含み、ポリマー鎖の末端基としてイソシアネート基を有している。このようなウレタンプレポリマーを合成する場合、ポリオールのヒドロキシ基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)当量の比(ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)当量/ポリオールのヒドロキシ基(OH)当量、NCO/OH)は、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.5~3.5である。NCO/OHが1.3以上であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎることを抑え、作業性が向上し易くなる傾向にある。NCO/OHが3.5以下であると、ホットメルト接着剤の湿気硬化反応の際に発泡が生じ難くなり、接着強度の低下を抑制し易くなる傾向にある。
<(B)粘着付与樹脂>
粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂、ピュアモノマー系石油樹脂、水添石油樹脂、ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂、水添ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。これらの中でも、粘着付与樹脂は、好ましくはロジンエステル樹脂又は水添ロジンエステル樹脂、より好ましくは水添ロジンエステル樹脂である。水添ロジンエステル樹脂は、ロジン骨格が完全に水添されたロジンエステル樹脂であっても、ロジン骨格が部分的に水添されたロジンエステル樹脂であってもよい。
粘着付与樹脂の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、好ましくは1~50質量%、より好ましくは2~35質量%、さらに好ましくは2~25質量%である。
本実施形態のホットメルト接着剤は、条件(i)、条件(ii)、又は条件(iii)のいずれかを満たす。このとき、当該ホットメルト接着剤は、条件(i)、条件(ii)、及び条件(iii)のうち、複数の条件を満たしていてもよい。
・条件(i):粘着付与樹脂は25℃で液体状のロジンエステル樹脂を含む。
・条件(ii):粘着付与樹脂はロジンエステル樹脂を含む。ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールは、1価アルコール、及び、エーテル結合を有する多価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
・条件(iii):粘着付与樹脂はロジンエステル樹脂を含む。湿気硬化後の硬化膜において、25℃の貯蔵弾性率E’が30~1000MPaであり、かつ80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比が38以下である。貯蔵弾性率比は22以下であってよい。
ホットメルト接着剤は、一態様において、ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有する。ここで、粘着付与樹脂は、25℃で液体状のロジンエステル樹脂を含む。
一般的に粘着付与樹脂は、接着剤膜に粘着性を付与することで密着力向上に寄与する。本発明者らの検討によると、ホットメルト接着剤に25℃で固形の粘着付与樹脂を適用した場合、解体時に加温(例えば、加温温度80℃)によって易解体性が発現したものの、解体時の接着剤の破壊状態が凝集破壊となり易く、接着剤自体の易除去性は充分でないことが見出された。本発明者らのさらなる検討によると、ホットメルト接着剤に25℃で液体状のロジンエステル樹脂を適用した場合、同様の条件で易解体性が発現した上で、解体時の接着剤の破壊状態が界面破壊となり易く、接着剤自体の易除去性も発現することが見出された。このような効果が発現する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは、例えば、25℃(室温)から80℃(被着体が破損しない程度の温度)までの温度範囲において、25℃で液体状のロジンエステル樹脂は軟化点及び/又はガラス転移点を有しておらず、昇温工程において、ホットメルト接着剤に含有される粘着付与樹脂の液化等の転移現象が発生しないためであると考えている。なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K6863に準拠し、環球法により測定される値を意味する。また、ここで、ガラス転移点は、例えば、文献「櫻井良寛:タッキファイヤーの効果と応用、日本接着学会誌、Vol.50、No.2(2014)」で軟化点との相関関係が明示されているとおり、次式によって類推することができる。
ガラス転移点(℃)=軟化点(℃)-{50±5(℃)}
本明細書において、液体状とは、容器に入れた場合に容器に合わせて形状を変える流動性を有していることを意味し、25℃で液体状とは、25℃でそのような流動性を有していることを意味する。
25℃で液体状のロジンエステル樹脂の市販品としては、例えば、イーストマンケミカル社製の商品名「Foralyn 5020-F」(メタノールによってエステル化された部分水添ロジンエステル樹脂、酸価:6mgKOH/g)、商品名「Staybelite Ester 3-E」(トリエチレングリコールによってエステル化された部分水添ロジンエステル樹脂、酸価:8mgKOH/g)、DRT社製の商品名「Hercolyn D」(メタノールによってエステル化された部分水添ロジンエステル樹脂、酸価:6mgKOH/g)、商品名「GRANOLITE TEG」(トリエチレングリコールによってエステル化された未水添ロジンエステル樹脂、酸価10mgKOH/g)、広西梧州日成林産化工社製の商品名「M-GDR」(メタノールによってエステル化された未水添ロジンエステル樹脂、酸価:6mgKOH/g)、商品名「M-HDR」(メタノールによってエステル化された完全水添ロジンエステル樹脂、酸価:6mgKOH/g)、商品名「DER-LM」(ジグリセロールによってエステル化された未水添ロジンエステル樹脂、酸価:15mgKOH/g)、商品名「TER-LM」(トリグリセロールによってエステル化された未水添ロジンエステル樹脂、酸価:15mgKOH/g)等が挙げられる。
25℃で液体状のロジンエステル樹脂の酸価は、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは1~15mgKOH/gである。25℃で液体状のロジンエステル樹脂の酸価が上記範囲にあると、ホットメルト接着剤の加熱安定性及びウレタンプレポリマーとの相溶性を充分に保つことができる傾向にある。本明細書において、酸価とは、JISK0070-1992に準拠して測定される値を意味し、試料1g中に含まれる遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。
粘着付与樹脂中の25℃で液体状のロジンエステル樹脂の含有量は、加温解体時の凝集破壊抑制の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、100質量%であってもよい。粘着付与樹脂中の25℃で液体状のロジンエステル樹脂の含有量が100質量%である場合、25℃で液体状のロジンエステル樹脂の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、1~50質量%、2~35質量%、又は2~25質量%であり得る。
ホットメルト接着剤は、一態様において、ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有する。ここで、粘着付与樹脂は、ロジンエステル樹脂を含み、ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールは、1価アルコール、及び、エーテル結合を有する多価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等の脂肪族基を有するアルコールなどが挙げられる。脂肪族基は、直鎖状、分岐状、又は環状の脂肪族基であってよい。これらの中でも、1価アルコールは、ロジンエステル樹脂が25℃で液体状となり易いこと又は接着剤除去性に優れることから、メタノール、エタノール、又はプロパノールであってよく、メタノールであってもよい。
エーテル結合を有する多価アルコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール等が挙げられる。これらの中でも、エーテル結合を有する多価アルコールは、ロジンエステル樹脂が25℃で液体状となり易いこと又は接着剤除去性に優れることから、トリエチレングリコール、ジグリセロール、又はトリグリセロールであってよい。
ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールは、例えば、メタノール、トリエチレングリコール、ジグリセロール、及びトリグリセロールからなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールがこのようなアルコールであることによって、ロジンエステル樹脂は25℃で液体状となり易い傾向又は接着剤除去性に優れる傾向にある。ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールは、メタノールであってもよい。
<(C)硬化触媒>
ホットメルト接着剤は、硬化触媒をさらに含有していてもよい。硬化触媒は、ウレタンプレポリマーの湿気硬化反応を促進する化合物であれば特に制限されないが、アミン系触媒であってよい。アミン系触媒としては、例えば、3級アミノ基を有する3級アミン化合物等が挙げられる。3級アミン化合物は、例えば、モルホリン環を有するモルホリン化合物であってよい。モルホリン化合物としては、例えば、N-エチルモルホリン、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(3,5-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、ビス(3,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテル、4-(3,5-ジメチルモルホリノ)-4’-(3,6-ジメチルモルホリノ)ジエチルエーテル等が挙げられる。
硬化触媒は、アミン系触媒に加えて、その他の触媒をさらに含有していてもよい。その他の触媒としては、例えば、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジオクチル酸ジブチルスズ、ジステアリン酸ジブチルスズ、ビス(2-エチルヘキサン酸)ジブチルスズ、ステアリン酸トリブチルスズ、ステアリン酸トリプロピルスズ、ステアリン酸トリフェニルスズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズ-3-メルカプトプロピオン酸塩、ジオクチルスズ-3-メルカプトプロピオン酸塩、ジブチルスズマレートポリマー等のスズ化合物;アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ステアリン酸アルミニウム、2-エチルヘキサン酸アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート等のアルミニウム化合物;テトラメチルオキシチタン、テトラエチルオキシチタン、テトラステアリルオキシチタン、ヒドロキシステアリルチタン、イソプロポキシステアリルチタン、ボリ(チタンアセチルアセトナート)、ポリ(ヒドロキシチタンステアレート)等のチタン化合物;ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート等のジルコニウム化合物などが挙げられる。
硬化触媒の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、好ましくは0.001~5質量%、より好ましくは0.01~2質量%、さらに好ましくは0.05~1質量%である。硬化触媒の含有量が上記範囲にあると、ホットメルト接着剤の湿気硬化速度が充分となり、接着剤膜における発泡を抑制できる傾向にある。
<(D)シランカップリング剤>
ホットメルト接着剤は、シランカップリング剤をさらに含有していてもよい。シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、ジメチルジメトキシフェニルシラン、トリエトキシフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N’-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン等が挙げられる。シランカップリング剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてよい。
シランカップリング剤の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.1~2質量%、さらに好ましくは0.3~1質量%である。
ホットメルト接着剤は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、パラフィンオイル等の軟化剤、アジピン酸ジイソノニル等の可塑剤、アクリル重合体等の熱可塑性ポリマー、顔料、界面活性剤、難燃剤、充填剤、消泡剤、造核剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。これらの各添加剤の含有量は、ホットメルト接着剤の全量を基準として、例えば、0~40質量%、0~20質量%、又は0~10質量%であってよい。
ホットメルト接着剤の製造方法は、粘着付与樹脂及びその他の成分の存在下、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを得る工程を含んでいてもよく、また、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンプレポリマーを得る工程と、ウレタンプレポリマーと粘着付与樹脂及びその他の成分とを混合する工程とを含んでいてもよい。ポリオールとポリイソシアネートとの反応温度は、例えば、85~120℃であってよい。ウレタンプレポリマーと粘着付与樹脂とを混合する温度は、例えば、85~120℃であってよい。なお、当該混合において、減圧脱泡を行ってもよい。
ホットメルト接着剤の回転粘度計を用いて測定される120℃における溶融粘度は、塗布性を向上させる観点から、10Pa・s以下又は5Pa・s以下であってよい。120℃における溶融粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1Pa・s以上であってよい。なお、本明細書において、ホットメルト接着剤の120℃における溶融粘度は、実施例に記載の方法によって測定される値を意味する。
ホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜は、例えば、加温して溶融したホットメルト接着剤を塗布することによって接着剤膜を形成し、次いで、接着剤膜を、例えば、温度25℃、50%R.H.(相対湿度)で24時間以上養生することによって得ることができる。接着剤膜をこのような条件で養生することによって、接着剤膜中のウレタンプレポリマーの末端基としてのイソシアネート基が空気中又は被着体表面の水分と反応してウレタンプレポリマーの高分子量化が進行し、ホットメルト接着剤の硬化膜が形成される。
ホットメルト接着剤の加温溶融温度は、例えば、80~180℃であってよい。ホットメルト接着剤の塗布方法は、特に制限されないが、例えば、ダイコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置を用いる方法が挙げられる。小型部品等の狭小な部位へ塗布する場合には、ディスペンサーが適している。
ホットメルト接着剤は、一態様において、ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有する。ここで、粘着付与樹脂は、ロジンエステル樹脂を含み、湿気硬化後の硬化膜において、25℃の貯蔵弾性率E’が30~1000MPaであり、かつ80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比が38以下である。
ホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜の25℃の貯蔵弾性率E’は、30~1000MPaであり、好ましくは40~500MPa、より好ましくは50~250MPaである。25℃の貯蔵弾性率E’が30MPa以上であると、良好な25℃における引張りせん断接着強さが得られ、接着剤膜における発泡を防ぐことができる傾向にあり、1000MPa以下であると、充分な耐衝撃性が得られる傾向にある。なお、本明細書において、ホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜の貯蔵弾性率E’は、実施例に記載の動的粘弾性測定によって測定される値を意味し、測定対象であるホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜の作製条件は、実施例に記載の作製条件(例えば、温度25℃、50%R.H.(相対湿度)で72時間)と同様であってよい。
ホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜の80℃の貯蔵弾性率E’は、好ましくは2~9MPaであり、より好ましくは2~8MPa、さらに好ましくは3~7MPaである。80℃の貯蔵弾性率E’が2MPa以上であると、80℃での解体時に接着剤膜が凝集破壊になり難く、接着剤自体の易除去性が得られ易い傾向にある。80℃の貯蔵弾性率E’が9MPa以下であると、80℃におけるせん断接着強さを充分に低くでき、接着剤自体の易除去性が得られ易い傾向にある。
80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比(25℃の貯蔵弾性率E’/80℃の貯蔵弾性率E’)は38以下であり、好ましくは30以下、より好ましくは22以下、さらに好ましくは20以下であり、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上である。当該貯蔵弾性率比が上記範囲内にあると、25℃における接着性と80℃における易解体性及び易除去性とのバランスが取り易い傾向にある。
[接着体及びその製造方法]
一実施形態の接着体は、一対の被着体と、一対の被着体を互いに接着する接着剤層とを備える。接着剤層は、上記のホットメルト接着剤の硬化物を含む。本実施形態の接着体としては、例えば、半導体装置、電子機器等が挙げられる。本実施形態の接着体は、加温によって容易に解体することが可能な性質(易解体性)を有している。
一対の被着体(第1の被着体及び第2の被着体)は、被着体としては、例えば、SUS、アルミニウム等の金属基材、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド、ガラス等の非金属基材などが挙げられる。被着体は、例えば、非金属基材であってよい。一対の被着体(第1の被着体及び第2の被着体)は、同種材被着体であっても、異種材被着体であってもよい。
接着体は、上記のホットメルト接着剤を加温溶融させ、一つの被着体(第1の被着体)に塗布して接着剤層を形成する工程と、接着剤層上にもう一つの被着体(第2の被着体)を配置し、当該被着体(第2の被着体)を圧着することによって接着体前駆体を得る工程と、得られた接着体前駆体の接着剤層に含まれるホットメルト接着剤を硬化させる工程とを備える方法によって製造することができる。
ホットメルト接着剤の加温溶融温度及びホットメルト接着剤の塗布方法は、上記と同様であってよい。
第2の被着体を圧着する方法としては、例えば、プレス機、加圧ロール等を用いて圧着する方法等が挙げられる。
接着体前駆体の接着剤層に含まれるホットメルト接着剤を硬化させる条件は、上記のホットメルト接着剤の湿気硬化後の硬化膜を作製する条件と同様であってよい。
[被着体の回収方法]
一実施形態の被着体の回収方法は、上記の接着体を、加温を含む方法によって解体し、一対の被着体の少なくとも一方を回収する工程を備える。本実施形態の被着体の回収方法は、上記のホットメルト接着剤を用いることから、加温によって接着体を容易に解体することができ、さらに接着体を解体した後に、接着剤自体を被着体から容易に除去することができる。そのため、本実施形態の被着体の回収方法によって回収された被着体は、その後、再利用することが可能となる。
接着体の加温温度は、被着体が破損しない程度の温度であれば特に制限されないが、例えば、70~90℃であってよい。
以下、本開示について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1~5及び比較例1~5)
[ホットメルト接着剤の作製]
予め脱水処理した、(a)ポリオール((a1)結晶性ポリオール及び(a2)非晶性ポリオール)、(b)ポリイソシアネート、(B)粘着付与樹脂、並びに(E)酸化防止剤を、表1及び表2に示す配合量(単位:質量部)で反応容器に加えて混合物を得た。この混合物を窒素フロー下、110℃で30分反応させることによって、ポリオールに由来する構造単位及びポリイソシアネートに由来する構造単位を含む(A)ウレタンプレポリマーを合成し、(A)成分を含む混合物を得た。表1及び表2に示すとおり、(NCO)当量/(OH)当量が1より大きいことから、得られたウレタンプレポリマーは、ポリマー鎖の末端基としてイソシアネート基を有していることが推測される。次いで、(A)成分を含む混合物に(C)硬化触媒及び(D)シランカップリング剤を、表1及び表2に示す配合量で加え、真空下、110℃で45分さらに反応させ、実施例1~5及び比較例1~5のホットメルト接着剤を得た。
表1及び表2に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
(A)ウレタンプレポリマー
(a)ポリオール
(a1)結晶性ポリオール
(a1)-1:ジカルボン酸(アジピン酸)とジオール(1,6-ヘキサンジオール)とを主成分とする、結晶性ポリエステルポリオール(水酸基数:2、数平均分子量:5500、融点:56℃、水酸基価:20.5mgKOH/g)
(a1)-2:ジカルボン酸(アジピン酸)とジオール(エチレングリコール及び1,4-ブタンジオール)とを主成分とする、結晶性ポリエステルポリオール(水酸基数:2、数平均分子量:2000、融点:20℃、水酸基価:56mgKOH/g)
(a2)非晶性ポリオール
(a2)-1:ジカルボン酸(アジピン酸及びイソフタル酸)とジオール(エチレングリコール及びネオペンチルグリコール)とを主成分とする、非晶性ポリエステルポリオール(水酸基数:2、数平均分子量:2000、水酸基価:56mgKOH/g)
(a2)-2:ジカルボン酸(アゼライン酸及びイソフタル酸)とジオール(エチレングリコール及びネオペンチルグリコール)とを主成分とする、非晶性ポリエステルポリオール(水酸基数:2、数平均分子量:8000、水酸基価:14mgKOH/g)
(a2)-3:ポリプロピレングリコール(非晶性ポリエーテルポリオール)(旭硝子株式会社製、商品名:エクセノール2020、水酸基数:2、数平均分子量:2000、水酸基価:56mgKOH/g)
(b)ポリイソシアネート
(b)-1:ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:ミリオネートMT、イソシアネート基数:2)
(B)粘着付与樹脂
(B)-1:完全水添ロジンエステル樹脂(広西梧州日成林産化工社製、商品名:M-HDR、酸価:6mgKOH/g、形状:液体状(25℃)、ロジンエステル樹脂のエステルの構成成分であるアルコール:メタノール)
(B)-2:水添ジシクロペンタジエン系石油樹脂(JXTGエネルギー株式会社製、商品名:T-REZ HA085、軟化点:85℃)
(B)-3:安定化ロジンエステル樹脂(ハリマ化成株式会社製、商品名:ハリタックSE10、酸価:6mgKOH/g、軟化点:83℃、ロジンエステル樹脂のエステルの構成成分であるアルコール:グリセロール)
(B)-4:芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名:YSレジンTO85、軟化点:85℃)
(B)-5:テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名:YSポリスターT80、軟化点:80℃)
(C)硬化触媒
(C)-1:2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(サンアプロ株式会社製、商品名:UCAT660M)
(D)シランカップリング剤
(D)-1:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(ダウ・ケミカル社製、商品名:DOWSIL Z-6062 Silane)
(E)酸化防止剤
(E)-1:3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)プロピオン酸-n-オクタデシル(Songwon Industrial社製、商品名:SONGNOX1076)
(E)-2:2,2-ビス{[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート](株式会社ADEKA製、商品名:アデカスタブAO-412S)
[ホットメルト接着剤の評価]
実施例1~5及び比較例1~5のホットメルト接着剤について、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
<120℃粘度>
BH-HH型回転粘度計(東機産業株式会社製)で、4号ローターを使用して、ローター回転数50rpm(1/s)、120℃におけるホットメルト接着剤(試料量15g)の溶融粘度を測定した。
<耐発泡性>
100℃に加温溶融したホットメルト接着剤を、離型処理済PETフィルム上に滴下し、滴下したホットメルト接着剤上にもう一枚の離型処理済PETフィルムを重ねた。その後、直ちにプレス板部が100℃に調整されたプレス機で30秒間プレスした。プレスに際して、ホットメルト接着剤の接着剤膜の厚さは、厚さ300μmのPETフィルムをスペーサーとして離型処理済PETフィルム間の端部に挿入することによって制御した。プレス後、離型処理済PETフィルムとともに300μm厚の接着剤膜を、25℃、50%R.H.(相対湿度)の恒温槽で72時間静置することによって湿気硬化後の硬化膜を得た。耐発泡性については、硬化膜を目視にて観察し発泡の有無を確認することによって行った。なお、硬化膜の観察においては、硬化膜の900cm以上を観察対象とした。硬化膜に発泡がなかった場合を耐発泡性に優れるとして「A」、硬化膜に発泡があった場合を「B」と評価した。結果を表1及び表2に示す。
<動的粘弾性測定>
100℃に加温溶融したホットメルト接着剤を、離型処理済PETフィルム上に滴下し、滴下したホットメルト接着剤上にもう一枚の離型処理済PETフィルムを重ねた。その後、直ちにプレス板部が100℃に調整されたプレス機で30秒間プレスした。プレスに際して、ホットメルト接着剤の接着剤膜の厚さは、厚さ300μmのPETフィルムをスペーサーとして離型処理済PETフィルム間の端部に挿入することによって制御した。プレス後、離型処理済PETフィルムとともに300μm厚の接着剤膜を、25℃、50%R.H.(相対湿度)の恒温槽で72時間静置することによって湿気硬化後の硬化膜を得た。得られた硬化膜を4mm幅に切り出し、これを測定サンプルとした。測定サンプルをチャック間距離20mmで取り付け、Rheogel-E4000(株式会社ユービーエム)を用いて、引張モードで動的粘弾性測定を実施した。測定条件は、20℃から100℃までの昇温測定(昇温速度3℃/min)で、周波数10Hz、ひずみ0.05%とした。
25℃の貯蔵弾性率E’、80℃の貯蔵弾性率E’、25℃のtanδ、及び80℃のtanδは、動的粘弾性測定によって得られた測定値である。また、80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比は、(25℃の貯蔵弾性率E’の測定値)/(80℃の貯蔵弾性率E’の測定値)の計算値である。結果を表1及び表2に示す。
<引張りせん断接着強さの測定及び破壊状態の観察>
短辺25mm、長辺70mmの長方形型の脱脂済み被着体(板厚2mm)を二枚用意した。被着体の組み合わせとして、ポリカーボネート板(PC板)とポリカーボネート板(PC板)との同種材被着体の組み合わせ、ポリアミド板(PA板)とポリメチルメタクリレート板(PMMA板)との異種材被着体の組み合わせを用意した。PC板及びPMMA板の脱脂には2-プロパノールを用い、PA板の脱脂にはn-ヘキサンを用いた。
同種材被着体の組み合わせ及び異種材被着体の組み合わせに対して、ホットメルト接着剤を100℃に加熱溶融し、一枚の被着体の長方形板上の短辺から10mmの位置に、短辺と並行に25mmの長さとなるようにビード状に塗布した。なお、異種材被着体の組み合わせにおいては、ホットメルト接着剤をPA板に塗布し、これにPMMA板を貼り合わせるようにした。塗布後、厚さ100μmのポリカーボネート製フィルムをスペーサーとして、ホットメルト接着剤を塗布した被着体ともう一枚の被着体とを貼り合わせ、塗布したホットメルト接着剤からなる接着剤層の幅が、貼り合わせた後に6mmになるように調整した。すなわち、幅6mm×長さ25mm×厚さ100μmのホットメルト接着剤からなる接着剤層を2枚の被着体で挟んで圧着した。圧着後、25℃、50%R.H.(相対湿度)の恒温槽で72時間静置することによってそれぞれ試験片を得た。
得られた試験片を、AUTOGRAPH AGS-X 1kN(株式会社島津製作所製)を用いて、せん断方向に10mm/分で引っ張り、最大荷重をせん断接着強さとして評価した。測定雰囲気温度は25℃及び80℃とした。結果を表1及び表2に示す。せん断接着強さが低いほど、当該温度での易解体性に優れているといえる。
80℃の測定雰囲気温度で引張りせん断接着強さを測定した後の試験片を観察し、破壊状態を判断し、主たる破壊状態を決定した。図1は、せん断接着強さの測定後の試験片の破壊状態を示す模式図である。図1(a)は、せん断接着強さの測定前の試験片を示す模式断面図である。図1(a)に示される試験片10は、せん断接着強さの測定前において、被着体2a,2bと、これらの被着体を互いに接着する接着剤層1とを備えている。図1(b)は、試験片の破壊状態が凝集破壊であることを示す模式断面図である。凝集破壊が発生すると、図1(b)に示されるように、試験片10は接着剤層1の内部で分断される。図1(c)は、試験片の破壊状態が界面破壊であることを示す模式断面図である。界面破壊が発生すると、図1(c)に示されるように、試験片10は被着体2aと接着剤層1との界面(又は被着体2bと接着剤層1との界面)で分断される。試験片10の破壊は、通常、これらの破壊が複合して発生する。結果を表1及び表2に示す。表1及び表2において、「A」はPC板と接着剤層との界面における界面破壊が発生したことを意味する。「Aa」はPA板と接着剤層との界面における界面破壊が発生したことを意味する。「Am」はPMMA板と接着剤層との界面における界面破壊が発生したことを意味する。「C」は接着剤層の凝集破壊が発生したことを意味する。「/」は複数の破壊状態が観察されたことを意味し、「/」の左側に主たる破壊状態を示す。主たる破壊状態が界面破壊であると、後述の接着剤除去性が優れる傾向にある。
<接着剤除去性>
80℃の測定雰囲気温度で引張りせん断接着強さを測定した後の試験片を、25℃で30分間静置した。その後、25℃雰囲気中で、被着体に残存した接着剤層の端部を指で摘まんで接着剤層を引っ張った。このとき、残存した接着剤層が一度も破れることなく、きれいに剥がすことができた場合を接着剤除去性に優れるとして「A」、残存した接着剤層が破れてしまった場合を「B」と評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2022036653000001
Figure 2022036653000002
表1に示すとおり、実施例1~5のホットメルト接着剤は、同種材被着体の接着と異種材被着体の接着のいずれの場合においても実用上必要となる25℃雰囲気中で優れた接着力を示すとともに、接着体を解体する場合には80℃程度に加温することによって、容易に接着体を解体できることが判明した。また、接着体を解体する際に破壊状態が界面破壊になり易いことから、接着剤除去性にも優れることが判明した。これに対して、粘着付与樹脂を含有しない比較例1のホットメルト接着剤は、80℃のせん断接着強さが高く、易解体性が充分でなかった。また、所定の粘着付与樹脂を含有しない比較例2~5のホットメルト接着剤は、80℃のせん断接着強さが高く、易解体性が充分でない、又は、破壊状態が凝集破壊になり易く、接着剤除去性が充分でない傾向にあった。これらの傾向は、同種材被着体を用いた場合に顕著であった。以上より、本開示のホットメルト接着剤が、使用時に充分な接着性を有するとともに、解体時において、被着体が同質の材料同士であっても加温によって接着強さを低下させることが可能な易解体性を有し、さらには解体時の破壊状態が界面剥離となり易いことによる接着剤自体の易除去性を有することが確認された。
1…接着剤層、2a,2b…被着体、10…試験片。

Claims (11)

  1. ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有し、
    前記粘着付与樹脂が25℃で液体状のロジンエステル樹脂を含む、
    湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  2. ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有し、
    前記粘着付与樹脂がロジンエステル樹脂を含み、
    前記ロジンエステル樹脂におけるエステルの構成成分であるアルコールが、1価アルコール、及び、エーテル結合を有する多価アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、
    湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  3. ウレタンプレポリマーと、粘着付与樹脂とを含有し、
    前記粘着付与樹脂がロジンエステル樹脂を含み、
    湿気硬化後の硬化膜において、25℃の貯蔵弾性率E’が30~1000MPaであり、かつ80℃の貯蔵弾性率E’に対する25℃の貯蔵弾性率E’の貯蔵弾性率比が38以下である、
    湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  4. 前記貯蔵弾性率比が22以下である、
    請求項3に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  5. 前記ウレタンプレポリマーが、ジフェニルメタンジイソシアネートに由来する構造単位を含む、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  6. 前記ウレタンプレポリマーが、非晶性ポリエステルポリオールに由来する構造単位及び非晶性ポリエーテルポリオールに由来する構造単位の少なくとも一方を含む、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  7. シランカップリング剤をさらに含有する、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  8. 前記粘着付与樹脂の含有量が、湿気硬化型ホットメルト接着剤の全量を基準として、2~35質量%である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  9. 前記ロジンエステル樹脂が、水添ロジンエステル樹脂である、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
  10. 一対の被着体と、
    前記一対の被着体を互いに接着する接着剤層と、
    を備え、
    前記接着剤層が、請求項1~9のいずれか一項に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤の硬化物を含む、
    接着体。
  11. 請求項10に記載の接着体を、加温を含む方法によって解体し、前記一対の被着体の少なくとも一方を回収する工程を備える、
    被着体の回収方法。
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