JP2022035333A - 整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれは、伸ばし易く、毛髪にまとまりを与える整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法を提供する。【解決手段】この課題は、樹脂と平均繊維幅が100nm以下のセルロース微細繊維を含む整髪料組成物、及び分散媒に増粘剤を添加して増粘液を得る工程と、前記増粘液に中和剤を添加し、pH6~10に調整してジェルを得る工程と、セルロース微細繊維分散液に、樹脂、液状油分を添加して混合分散液を得る工程と、前記ジェルと前記混合分散液を混ぜる工程を有する、ことを特徴とする整髪料組成物の製造方法によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法に関するものである。
従来から、毛髪の形状を整えたり、自然な風合いを付与したりして、所望のコンディションとするために整髪料が用いられてきた。消費者は、自身の髪質やその日の予定等に合せて、種々のタイプの整髪料を使い分ける場合がある。使用の際には、例えば、消費者は、適量の整髪料を手のひらに採って伸ばしつつ、毛髪の一部又は全部に塗布し、コンディショニングするので、伸ばし易い整髪料が好まれる傾向にある。また、整えた毛髪がばらつき難く、まとまりの良い整髪料が好まれる場合もある。
特開2019-194167号公報 特開2019-199671号公報 特開2016-185938号公報 WO2018/186260号公報 特開2002-308727号公報
整髪料の伸ばし易さを向上させるには、例えば、整髪料組成物に液状油分を含ませるとよい(特許文献1や特許文献4)。液状油分が付与された整髪料組成物は、滑らかさを有し、伸ばし易いものとなる。しかしながら、液状油分が多く含まれた整髪料組成物は、組成の一つである樹脂の分散性が悪くなり、整髪料組成物中において樹脂の濃度分布に偏りが生じ易くなる。樹脂の濃度分布に偏りがある整髪料組成物を毛髪に塗布すると、毛髪において部分的にまとまりの良くない箇所が発生して、不自然な印象を与えるおそれがある。このようなことから、本発明では、伸ばし易く、毛髪にまとまりを与える整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための態様を次記に示す。
(第1の態様)
樹脂と平均繊維幅が100nm以下のセルロース微細繊維を含む整髪料組成物。
上記課題を解決するために種々研究を重ね、本発明者は、セルロース微細繊維の分散性に着目した。セルロース微細繊維は、液状媒体に混ぜると、相互に分散した状態を維持する。これは、おそらく次の理由によるものと推測される。セルロース微細繊維は、高いアスペクト比を有し、セルロース繊維にあるヒドロキシ基が他のセルロース微細繊維又は水分子と水素結合して、三次元的なネットワーク構造を形成する。三次元ネットワーク構造を形成したセルロース微細繊維は、大小様々な空隙を形成しつつ相互に分散して、凝集化が抑制されるからと推測される。
従来の整髪料組成物には、例えば、毛髪に被膜を形成するための樹脂が含まれるが、この樹脂は、相互作用により凝集してしまうことがあった。樹脂が凝集した状態の整髪料組成物を毛髪に塗ると、塗りムラが発生する。具体的には、樹脂が密に塗られた部分と疎に塗られた部分が発生し、自然な仕上がりにならないどころか、樹脂が密に塗られた部分は、液状媒体が乾燥すると、粉が吹いたように見える場合があり、スタイリッシュ性に欠けるおそれがあった。
また、塗りムラがなるべく生じないように、従来では、樹脂の濃度を高めた整髪料組成物もあるが、当該整髪料組成物を毛髪に塗ると、液状媒体の気化により、やはり塗布部が粉が吹いたように見えることもあり、樹脂の配合量の決定が困難な場合があった。
本態様では、セルロース微細繊維が分散されているので、セルロース微細繊維の分散に伴って樹脂も分散性の良いものとなっていると推測される。樹脂が分散性に富むと、塗りムラが抑制されたものとなり、毛髪が自然な仕上がりとなる。
また、整髪料組成物は、セルロース微細繊維に備わるチキソトロピー性の作用により、せん断力等の外力を受けると外力の方向に伸び、外力を受けない状態では、そのままの形態を維持する、という性質を有する。本態様の整髪料組成物を手や櫛に含ませて、毛髪に塗るときは当該整髪料組成物が容易に伸びる。そして、毛髪の形状を整えた後は、所定以上の外力が加わらなければ、毛髪は当該形状に維持される。
本態様の整髪料組成物が付着した毛髪は、複数本束になって、まとまった形態になる。毛髪がまとまった形態となる理由は定かではないが、おそらく、複数本の毛髪の間にセルロース微細繊維が介在することで当該毛髪が束を形成して、当該セルロース微細繊維が当該毛髪の束に付着した状態が維持されているためと推測される。この場合、セルロース微細繊維は、直接に毛髪に付着されていてもよいし、樹脂が付着した毛髪に、樹脂を介して間接に付着されていてもよい。
(第2の態様)
前記樹脂が固形分基準で5質量%以下含まれる、
第1の態様の整髪料組成物。
毛髪に被膜を形成する目的で樹脂を整髪料組成物に含ませることができる。被膜された毛髪は相互にまとまりがよくなる。樹脂は、整髪料組成物に多く含有されていると、相互に凝集する場合があるが、本態様の濃度であればセルロース微細繊維の分散に伴って分散するので、凝集し難いものとなる。
(第3の態様)
前記セルロース微細繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基がリンオキソ酸でエステル化されたものである、
第1の態様又は第2の態様の整髪料組成物。
セルロース微細繊維は、平均繊維幅にもよるが、白味がかった色を呈する。しかしながら、化学的な処理、特にセルロース繊維のヒドロキシ基をリンオキソ酸でエステル化する処理がなされて製造されたセルロース微細繊維は、透明性に優れたものになり、これが分散された分散液も透明性に優れる。当該エステル化処理されたセルロース微細繊維を含む整髪料組成物は、このセルロース微細繊維以外に含まれる組成物の色を呈したものになる。
また、化学的な処理がなされたセルロース微細繊維と当該処理がなされていないセルロース微細繊維とでは、粘度が異なり、これらのセルロース微細繊維を混在させることで、整髪料組成物を所望の粘度に調整することができる。
(第4の態様)
前記セルロース微細繊維が固形分基準で5質量%以下含まれる、
第1の態様~第3の態様のいずれかの態様の整髪料組成物。
セルロース微細繊維は、分散体とすると粘度やチキソトロピー性を帯びる。整髪料組成物中に含まれるセルロース微細繊維は、濃度が低くなると粘度が小さくなる。セルロース微細繊維の濃度が上記範囲だと、粘度が抑制され、毛髪に塗った場合に、整髪料組成物の伸びが良いものとなる。
(第5の態様)
前記セルロース微細繊維の水分散液0.2%(w/v)における光透過率が40%以上である、
第1の態様~第4の態様のいずれかの態様の整髪料組成物。
本態様のセルロース微細繊維は透明性に優れるので、セルロース微細繊維を含有したことによる整髪料組成物の変色が抑制される。
(第6の態様)
液状油分が50質量%以下含まれる、
第1の態様~第5の態様のいずれかの態様の整髪料組成物。
液状油分が上記範囲含まれるので、伸ばし易さに優れるとの効果が奏される。
(第7の態様)
分散媒に増粘剤を添加して増粘液を得る工程と、
前記増粘液に中和剤を添加し、pH6~10に調整してジェルを得る工程と、
セルロース微細繊維分散液に、樹脂、液状油分を添加して混合分散液を得る工程と、
前記ジェルと前記混合分散液を混ぜる工程を有する、
ことを特徴とする整髪料組成物の製造方法。
伸ばし易く、毛髪にまとまりを与える整髪料組成物を製造することができる。
本発明によると、主たる効果として伸ばし易く、毛髪にまとまりを与える整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法となる。また、副次的な効果としてツヤ感を損なわない整髪料組成物及び整髪料組成物の製造方法となる。
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本発明における整髪料組成物は、セルロース微細繊維を含むことを特徴とする。整髪料組成物は、セルロース微細繊維の他、基材と液状媒体を含めることができる。基材とは、毛髪を所望の形態にセットするために用いられるものである。基材は、例えば、樹脂、液状油分で主に構成され、この他に界面活性剤が含まれていてもよい。
(樹脂)
樹脂は、毛髪に被膜を形成するためのものである。特に水系樹脂は毛髪に塗る際に伸ばし易く、またシャワー等の水(お湯)で洗い落とし易いので好ましい。また、整髪料組成物に樹脂が含まれていると、毛髪が適度の束にまとまり、自然なスタイルに仕上がり好ましい。樹脂は、整髪料組成物に固形分基準で5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは、0.01~2質量%、特に好ましくは0.01~1質量%含まれているとよい。整髪料組成物に含まれる樹脂が5質量%を超えると、整髪力(セット力)はより強固になるが、一方でベタつきが発生しやすくなる。従来の整髪料組成物には樹脂が5質量%を超えて含まれているものもある。しかしながら、本態様の整髪料組成物は、樹脂とともに含まれるセルロース微細繊維が、十分に毛髪の形態を維持する高い整髪力を発現するので、樹脂の含有量を5質量%以下にしても、毛髪のまとまりをよくして、毛髪の形態を維持する整髪力を備えたものとなっている。
樹脂としては、ノニオン性樹脂、アニオン性樹脂、両性樹脂を用いることができる。樹脂として用いられるものの一例を以下に列挙するが、これらに限られるものではない。樹脂は、以下のうちから1種用いてもよいし、2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。
ノニオン性樹脂としては、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体、酢酸ビニル/N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン共重合体、(ビニルピロリドン/VA)コポリマーが挙げられる。
アニオン性樹脂としては、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロニルアクリレート共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、を挙げることができる。
両性の樹脂としては、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、を挙げることができる。
上記のうちアニオン性樹脂やノニオン性樹脂はアニオン性を示すセルロース分散液と混合した際に、凝集あるいは、部分ゲル化が発生しにくくなり、親和性に優れるため好ましく、具体的にはポリビニルピロリドン(PVP)や(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーがより好ましい。
(液状油分)
液状油分は、毛髪を保湿し、べたつきを抑え、伸びの良さを付与するために加えることができる。液状油分は、例えば、整髪料組成物に50質量%以下、好ましくは、1~40質量%含まれているとよい。50質量%を超えると、セット力が低下するおそれがある。本態様の整髪料組成物には、セルロース微細繊維が含まれており、セルロース微細繊維は保水度が相対的に高いものであるため、液状油分を従来品よりも低減し、又は含めなくても毛髪の保湿効果が維持され、所望の調髪力を発揮したものとなる。また、伸びの良さについても、セルロース微細繊維のチキソトロピー性の作用によって向上されるので、液状油分を、削減、又は添加しないものとしてもよい。
液状油分として用いられるものの一例を以下に列挙するが、これらに限られるものではない。液状油分は、以下のうちから1種用いてもよいし、2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。
液状油分として、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール(BG)、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、デカンジオールなどのジオール、グリセリン、その他、トリグリセリド、シリコーン、炭化水素油、高級アルコール、高級脂肪酸、及び植物油を挙げることができる。特に、植物油として、ヒマワリ種子油、ヤシ油、クルミ油、オリーブ油、ツバキ油、を用いることができる。また、シリコーンとして、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、を用いることができる。高級アルコールとしてオレイルアルコール、高級脂肪酸としてオレイン酸、炭化水素油としてパラフィンを用いることができる。トリグリセリドとして、トリカプリル酸グリセリルを用いることができる。特に保湿を担保するとの観点からは、1,3-ブタンジオール(BG)が好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、整髪料組成物中の組成物相互の分散性の安定化、感触の向上の観点から適宜加えることができる。
界面活性剤として用いられるものの一例を以下に列挙するが、これらに限られるものではない。界面活性剤は、以下のうちから1種用いてもよいし、2種以上を選択して組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤として、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イミダゾリン系、脂肪酸アミドプロピルベタインを用いることができる。
樹脂の分散を安定化させるため、増粘剤を整髪料組成物に加えてもよい。増粘剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、カラヤガム、トロロアオイ、マンナン、コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ザンサンガム、プルラン、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、コンドロイチン硫酸塩、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、可溶性デンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、メチルデンプン、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルピドリドン、ポリビニルアルコール、ビニルピドリドン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキルコポリマー、アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシドコポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミドコポリマーAMP、ポリ酢酸ビニル部分けん化物、マレイン酸共重合体、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジアルキルアミノアルキル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ポリエステル、水分散性ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エチル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体、カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、が好ましいものとして挙げられる。特に、セルロース微細繊維の分散安定性を阻害しないものとして、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマーがより好ましい。
(セルロース微細繊維)
セルロース微細繊維は、セルロース繊維の水素結合点を増やし、もって成形体の強度を向上する役割を有する。セルロース微細繊維は、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができ、化学処理、機械処理等公知の処理手法で製造することができる。
セルロース微細繊維の原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物の状態等であってもよい。近年のオーガニック成分含有の整髪料組成物の需要が増加傾向にあり、古紙以外の植物由来の広葉樹や針葉樹を原料とする木材パルプが好まれ、広葉樹が好適である。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ等(DP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。特に、セルロース成分を高める木材パルプである、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプが好ましく、さらに整髪料組成物の色味の観点からは、漂白されたパルプである広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)であれば、整髪料組成物の色味に影響を及ぼしがたいので好適である。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
セルロース微細繊維の解繊に先立っては、原料パルプを化学的手法によって前処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)、TEMPO触媒による酸化(酸化処理)、リンオキソ酸によるエステル化(化学的処理)等を例示することができる。セルロース微細繊維のうち、化学的手法によって前処理されたものを「変性セルロース微細繊維」、化学的手法によって前処理されていないものを「未変性セルロース微細繊維」ということができる。変性セルロース微細繊維とは、例えば、セルロース微細繊維のセルロース繊維が、酸処理により加水分解(酸処理)されたものや酵素により加水分解(酵素処理)されたもの、アルカリによって多糖が膨潤したもの、セルロース繊維のヒドロキシ基がリンオキソ酸でエステル化されたもの等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。本形態の整髪料組成物に含まれるセルロース微細繊維の一部が、変性セルロース微細繊維である場合、残りのセルロース微細繊維は、未変性セルロース微細繊維ということができる。変性セルロース微細繊維と未変性セルロース微細繊維との配合比は、特に限定されず、変性セルロース微細繊維の質量:未変性セルロース微細繊維の質量=100:0~0:100、好ましくは90:10~10:90、より好ましくは80:20~20:80とするとよい。この配合比を調整することにより、組成物の粘性の調整や、ツヤ感の向上などを調整することができる。
解繊に先立って原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、均質性を高くすることができる。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。セルロース繊維の分散性は、例えば、成形体の均質性向上に資する。ただし、前処理は、セルロース微細繊維のアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
解繊に先立ってリンオキソ酸によるエステル化(化学的処理)を施すと、繊維原料を微細化でき、製造されるセルロース微細繊維は、アスペクト比が大きく強度に優れ、光透過度及び粘度が高いものとなる。リンオキソ酸によるエステル化は、特許文献(特開2019-199671号公報)に掲げる手法で行うことができる。セルロース繊維のヒドロキシ基がリンオキソ酸でエステル化されたセルロース微細繊維の一例を次記に示す。セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されてリンオキソ酸でエステル化されており、構造式(1)に示す官能基の導入量が、セルロース繊維1gあたり2mmоlを超えるセルロース微細繊維を例示できる。
〔構造式(1)〕
Figure 2022035333000001
構造式(1)において、a,b,m,nは自然数である。
A1,A2,・・・,AnおよびA’のうちの少なくとも1つはOであり、残りはR、OR、NHR、及び、なしのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。αは有機物又は無機物からなる陽イオンである。このセルロース微細繊維は光透過度及び粘度が極めて高いものである。
リンオキソ酸によるエステル化の反応は、セルロース繊維に、リンオキソ酸類及びリンオキソ酸金属塩類の少なくともいずれか一方を含む添加物からなるpH3.0未満の溶液を添加し、加熱し、解繊することで進行する。
添加物としては、例えば、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。これらの添加物は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
原料パルプの解繊は、得られるセルロース微細繊維の平均繊維幅(径)、平均繊維長、擬似粒度分布のピーク値、B型粘度が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
セルロース微細繊維の平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、1000nm以下とするとよい。セルロース微細繊維の平均繊維幅がこの範囲だと、セルロース微細繊維相互が絡み合い難く、分散するので、整髪料組成物が伸び易く、毛髪に塗りやすい。また、平均繊維幅1000nm以下のセルロース微細繊維が毛髪に付着している場合、セルロース微細繊維が相対的に細いため、当該毛髪を外観しても、セルロース微細繊維が付着していることに気づき難い。セルロース微細繊維の平均繊維幅が好ましくは1~1000nm、より好ましくは2~500nm、特に好ましくは3~100nmであるとよい。特にセルロース微細繊維の平均繊維幅が1nm以上だと、毛髪に塗る場合に、整髪料組成物の流動性がより向上し、また、毛髪にまとまりを与え、見た目にも自然な仕上がりとなる。セルロース微細繊維の平均繊維幅が1000nmを上回ると、水素結合点の増加効果が得られないおそれがあるほか、このセルロース微細繊維に由来する繊維質が毛髪に付着しているように外見上見え、あたかも異物が毛髪に付着している印象を与える可能性が高くなる。
セルロース微細繊維の平均繊維幅は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
特に、前述のリンオキソ酸によるエステル化を施して解繊したセルロース微細繊維の平均繊維幅が上記範囲だと、製造されるセルロース微細繊維は光透過度が高いものとなる。このセルロース微細繊維を含む整髪料組成物は、セルロース微細繊維以外の組成物の本来の色調に近い色調を呈するので好ましい。整髪料組成物におけるセルロース微細繊維以外の組成物が透明な素材で構成されている場合は、整髪料組成物全体の色調が透明又は透明に近い色調になる。当該整髪料組成物を塗った毛髪は、当該毛髪本来の色調を呈し、好ましい。なお、リンオキソ酸によるエステル化を施していないセルロース微細繊維を、例えば、精製水に分散させて分散液とすると、この分散液は、白みがかった色調を呈する。しかしながら、リンオキソ酸によるエステル化を施して解繊したセルロース微細繊維を精製水に分散させて分散液とすると、この分散液の色調は、精製水そのものの色調を呈する。
セルロース微細繊維の平均繊維幅の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%のセルロース微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維幅とする。
セルロース微細繊維の平均繊維長(単繊維の長さ)は、好ましくは0.01~1000μm、より好ましくは0.1~500μm、特に好ましくは3~300μmである。セルロース微細繊維の平均繊維長が0.01μmを下回ると、繊維のネットワーク構造が形成しにくくなり、結果、毛髪にまとまりを与える効果が不十分となる。他方、セルロース微細繊維の平均繊維長が1000μmを超えると、セルロース微細繊維相互が凝集して凝集物となり、あたかも異物が毛髪に付着している印象を与える可能性が高くなる。
セルロース微細繊維の平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
セルロース微細繊維の平均繊維長の測定方法は、平均繊維幅の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
セルロース微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は、好ましくは10~1000000、より好ましくは20~500000、特に好ましくは30~100000である。軸比が10未満であるとセルロース分はほぼ粒子形状になっているので、繊維のネットワーク形成によるまとまり感が出にくい。他方、軸比が1000000を超えると繊維同士の凝集が起こりやすく、セルロースのネットワーク形成の阻害につながるほか、毛髪に付着するセルロース微細繊維の凝集物が異物として認識され易い。
セルロース微細繊維の結晶化度は、50~100、より好ましくは60~90、特に好ましくは65~85である。結晶化度が50未満であると、ハリやコシが発揮されにくい。
結晶化度は、JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、セルロース微細繊維は、非晶質部分と結晶質部分とを有しており、結晶化度はセルロース微細繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。
セルロース微細繊維の光透過率(固形分基準0.2%水分散液)は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。光透過率が40%未満であると、セルロース微細繊維の色調が強調され、整髪料組成物中のセルロース微細繊維以外の組成物の色調が隠蔽されてしまう。特に、透明性が求められるジェルやグリースなどでは、ツヤだしを阻害するおそれがあり、好ましくない。しかしながら、マット調等の自然な風合いをもたらす整髪料組成物の場合、セルロース微細繊維の光透過率は特に限定されない。
光透過率は、0.2%(w/v)のセルロース微細繊維水分散液の透明度(350~880nm光の透過率)をSpectrophotometer U-2910(日立製作所)を用いて測定した値である。なお、分散媒は精製水である。
セルロース微細繊維の擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、セルロース微細繊維は、繊維長及び繊維径の均一性が高く、整髪料組成物中に含まれるセルロース微細繊維以外の組成物の分散性が良好になる。
セルロース微細繊維のピーク値はISO-13320(2009)に準拠して測定する。より詳細には、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用してセルロース微細繊維の水分散液における体積基準粒度分布を調べる。そして、この分布からセルロース微細繊維の最頻径を測定する。この最頻径をピーク値とする。セルロース微細繊維は、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において単一のピークを有することが好ましい。このように、一つのピークを有するセルロース微細繊維は、十分な微細化が進行しており、セルロース微細繊維としての良好な物性を発揮することができ、得られる整髪料組成物が均質化され好ましい。なお、上記単一のピークとなるセルロース微細繊維の粒径の擬似粒度分布のピーク値は、例えば500μm以下であるのが好ましく、400μm以下であるのがより好ましく、300μm以下であるのが特に好ましい。ピーク値が500μmを超えると繊維が大きすぎて、チキソトロピー性の付与、整髪料組成物の流動性が低下するおそれがある。
セルロース微細繊維の粒径におけるピーク値、及び擬似粒度分布の中位径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
解繊して得られたセルロース微細繊維は、整髪料組成物を調製するのに先立って水系液状媒体中に分散して分散液としておくことができる。水系液状媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水分散液)。ただし、水系液状媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
セルロース微細繊維と樹脂が含まれた整髪料組成物では、樹脂が、セルロース微細繊維に付着されていたり、セルロース微細繊維相互で形成される空隙に留まっていたりするものと推測される。セルロース微細繊維が適度に整髪料組成物中に分散していることで、樹脂の分散性が優れたものとなる。
(粘度等)
セルロース微細繊維が液状媒体に分散されてなるセルロース微細繊維分散体は、粘度を帯びたものとなる。本態様の整髪料組成物が入った容器から適量を取り分けたとき、取り分けられた同整髪料組成物は、セルロース微細繊維が配合されているので垂れにくい特徴を有する。具体的には、消費者が整髪料組成物を手のひらに適量取り分けても、その整髪料組成物は、垂れにくく、手のひらから零れ難たいものとなっている。また、セルロース微細繊維分散体はチキソトロピー性を備えるので、手のひらに取り分けた整髪料組成物は、両手で伸ばすこともできるし、毛髪に滑らかに塗ることもできる。
セルロース微細繊維の濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、10~300000cP、より好ましくは100~100000cP、B型粘度が10cP未満であると粘度が低すぎるため、チキソトロピー性が発揮され難く、整髪料組成物を毛髪に塗る場合にべたつきやゴワツキの軽減効果が期待できない。他方、B型粘度が200000cPを超えると、セルロース微細繊維の整髪料組成物への分散性が低下する。
従来の整髪料組成物には、増粘度を向上させるために増粘剤を添加することがある。しかしながら、本形態の整髪料組成物は、セルロース微細繊維自体が粘度を有するので、増粘剤を軽減したり、添加しなかったりしても、十分な粘度が備わったものとなる。
整髪料組成物に配合する増粘剤としては、ローカストビーンガム、クィーンスシード、カラギーナン、ガラクタン、タラガム、タマリンド、ファーセレラン、キサンタンガム、ジェランガム、キチン、キトサン、寒天、カッソウエキス、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルデンプン、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコールを例示できる。増粘剤は、整髪料組成物に0.1~10質量%、好ましくは0.2~5.0質量%配合するとよい。
他の効果としては、セルロース微細繊維は引張弾性率に優れるので、本態様の整髪料組成物は、引張弾性率が大きなものとなる。樹脂とセルロース微細繊維が混ざり合っていることで、樹脂による被膜効果とセルロース微細繊維による(大きい引張弾性力に基づく)補強効果によって、整髪料組成物が塗布された毛髪は、ハリやコシが付与されたものとなる。
(配合率)
整髪料組成物中には、セルロース微細繊維が固形分換算で、10質量%以下、好ましくは0.1~8質量%、特に好ましくは1~5質量%である。整髪料組成物におけるセルロース微細繊維の配合率が10質量%を超えると、セルロース微細繊維における整髪料組成物への分散性が低下するおそれがある。一方、同配合率が0.1%以上であると、毛髪に塗りやすさ、まとまりが低下するおそれがある。
従来の整髪料組成物は、整髪料組成物中に樹脂が十分に分散されていない場合があり、各組成物の濃度に濃淡があった。そのため、塗りムラが発生することがあった。一方、本発明の整髪料組成物は、各組成物がセルロース微細繊維と共に十分に分散されているので、各組成物、特に樹脂の濃度が相対的に低くても、塗りムラが発生し難いものとなっている。また、セルロース微細繊維のチキソトロピー性の作用により、整髪料組成物の伸びが良く、従来品で使用する量よりも少量で、毛髪が所望の形態になるように塗ることができる。一回当たりの整髪料組成物の使用量を抑制でき、経済的である。
(整髪料組成物の製造方法)
本形態の整髪料組成物は、例えば次のように製造できる。
(1)分散媒を入れた容器Aに、セルロース微細繊維を分散させて、セルロース微細繊維分散液とする。
(2)セルロース微細繊維分散液に樹脂を添加して撹拌し、整髪料組成物を得る。
この他にも、次記に示す方法で整髪料組成物を製造することができる。
<他の製造方法>
(1)分散媒を入れた容器Bに、増粘剤を添加して、増粘液とする。
(2)上記(1)の増粘液に中和剤(例えば、トリエタノールアミン)を添加し、pH6~10に調整してジェルを得る。
(3)セルロース微細繊維分散液が入った容器Aに、樹脂、液状油分を添加し、混合分散液とする。ここで、容器Aにさらに、1,3-ブタンジオール(BG)、エタノールのうちの、少なくとも1つ以上を添加して混合分散液としてもよい。
(4)上記(2)のジェルと上記(3)の混合分散液を混ぜて、撹拌し整髪料組成物を得る。ここで、さらに防腐剤(例えば、フェノキシエタノール)を添加して整髪料組成物としてもよい。
本発明の整髪料組成物は、公知の状態で提供できるが、例えば、液状、乳液状、ゲル状、泡状、ミルク状、ジェル状、ローション状、グリース状等にして提供できる。
試験例1~試験例6、参照例7を製造するのに用いた試薬等は、未変性セルロース微細繊維(大王製紙社製ELLEX(登録商標)-S(2質量%)、広葉樹由来、(「未変性CNF」ともいう。))、変性セルロース微細繊維(大王製紙社製ELLEX(登録商標)-☆(スター)(1質量%)、広葉樹由来、(「変性CNF」ともいう。))、TEMPO酸化CNF(第一工業製薬社製 レオクリスタ(登録商標) I-2SX(2質量%))、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na、ダイセルファインケム(株)製 品番1330)、エタノール(純度99.5)(富士フィルム和光純薬株式会社製)、ポリビニルピロリドン(PVP)(東京化成工業株式会社 K30)、1,3-ブタンジオール(BG)(富士フィルム和光純薬株式会社製)、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー(住友精化株式会社製 AQUPEC HV-803ERK(CT-1))、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬(株)製)、ポリソルベート80(Cafe de Savon製)、2-フェノキシエタノール(富士フイルム和光純薬(株))、トリエタノールアミン(林純薬工業株式会社製、20W/V%、(「TEA」ともいう。))、及び精製水である。
試験例1~試験例6、参照例7は次のとおりに調整した。精製水が入った容器Aに、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマーを入れ、分散液を得た。トリエタノールアミンを添加し、pH7.5に調整してジェルを得た。次に、セルロース微細繊維分散液が入った別の容器Bにポリビニルピロリドン(PVP)、1,3-ブタンジオール(BG)、エタノール、流動パラフィン、ポリソルベートを入れ、精製水でメスアップして混合して混合分散液を得た。容器Aのジェルと、容器Bの混合分散液を混合して、さらにフェノキシエタノールを混合して試験例1~試験例6、参照例7を調整した。なお、セルロース微細繊維分散液に含まれるセルロース微細繊維は、変性セルロース微細繊維、未変性セルロース微細繊維、TEMPO酸化CNFのうちのいずれか1つ以上である。
試験例1~試験例6、参照例7の組成比率は、表1に示すとおりである。未変性セルロース微細繊維、変性セルロース微細繊維の濃度は固形物基準である。
Figure 2022035333000002
試験例6はジェル化が不十分であったため評価の対象から除外した。
被験者10名に試験例1~試験例5、参照例7を毛髪に塗布してもらい、次記の評価項目について評価してもらった。評価項目は、粘度、伸ばし易さ、まとまり易さ、ツヤ、洗い落とし易さである。試験例1~試験例5、参照例7の全てについて、十分にジェル化しており、水分と油分への分離は生じていなかった。なお、ジェル化とは、流動性が低下した又は極端に欠乏した物体(試験例)をいう。
評価の手法は次のとおりである。まず、毛髪が乾いた被験者は、参照例7を毛髪に塗布して約8時間放置した後、完全に洗い落とし、その後完全に毛髪を乾かした。
次に、当該被験者は、試験例1を毛髪に塗布して同時間放置した後、完全に洗い落とし、その後完全に毛髪を乾かした。そして、上記評価項目について、試験例1が参照例7と比較してどうかを5段階で評価した。その後、試験例2~試験例5についても同様に塗布して、評価をした。
粘度について、試験例が参照例7と比較して、変わらない場合は3、高いと感じられた場合は5、不十分で水っぽいと感じられた場合は1として被験者は評価した。
伸ばし易さについて、試験例が参照例7と比較して、毛髪に塗布したときに伸び易さが変わらない場合は3、伸び易いと感じられた場合は5、伸びにくいと感じられた場合は1として被験者は評価した。
まとまり易さについて、試験例が参照例7と比較して、変わらない場合は3、毛髪がまとまり易いと感じられた場合は5、毛髪がまとまりにくいと感じられた場合は1として被験者は評価した。
ツヤについて、試験例が参照例7と比較して、変わらない場合は3、ツヤが強く出ていると感じられた場合は5、ツヤが弱いと感じられた場合は1として被験者は評価した。
洗い落とし易さについて、試験例が参照例7と比較して、変わらない場合は3、整髪料組成物を洗い落とし易いと感じられた場合は5、洗い落としにくいと感じられた場合は1として被験者は評価した。
上記の評価を試験例1~試験例5について行った。試験例1~試験例5それぞれの各評価項目について、10名により評価された評価点(1~5点)を平均して求めた平均値(小数点第2位を四捨五入した。)を表2に示した。
Figure 2022035333000003
顕著な結果について考察すると、伸ばし易さ及びまとまり易さについては、試験例1~試験例5が参照例7よりも高い評価となった。
ツヤについては、試験例1が参照例7と同程度であると評価され、参照例7と遜色ない評価ということができ、試験例1~試験例5が参照例7と比較して同程度又は高い評価となった。また、整髪料組成物は、変性セルロース微細繊維が含まれていることで、ツヤ感を付与する効果が奏されたものとなっている。
(その他)
・整髪料組成物のB型粘度は、JIS-Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌したときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。測定は、25℃で行った。
・上記明細書中に示すJISやTAPPIその他の試験、測定方法は特段断りがない場合は、室温、特に25℃、大気圧中、特に1atmで行っている。
本発明の整髪料組成物は、毛髪に利用可能である。

Claims (7)

  1. 樹脂と平均繊維幅が1000nm以下のセルロース微細繊維を含む整髪料組成物。
  2. 前記樹脂が固形分基準で5質量%以下含まれる、
    請求項1に記載の整髪料組成物。
  3. 前記セルロース微細繊維の一部は、セルロース繊維のヒドロキシ基がリンオキソ酸でエステル化されたものである、
    請求項1又は請求項2に記載の整髪料組成物。
  4. 前記セルロース微細繊維が固形分基準で5質量%以下含まれる、
    請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の整髪料組成物。
  5. 前記セルロース微細繊維の水分散液0.2%(w/v)における光透過率が40%以上である、
    請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の整髪料組成物。
  6. 液状油分が50質量%以下含まれる、
    請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の整髪料組成物。
  7. 分散媒に増粘剤を添加して増粘液を得る工程と、
    前記増粘液に中和剤を添加し、pH6~10に調整してジェルを得る工程と、
    セルロース微細繊維分散液に、樹脂、液状油分を添加して混合分散液を得る工程と、
    前記ジェルと前記混合分散液を混ぜる工程を有する、
    ことを特徴とする整髪料組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023188602A1 (ja) * 2022-03-31 2023-10-05 大王製紙株式会社 皮膚外用剤

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