JP2022032717A - 鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法 - Google Patents

鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水冷熱伝達係数の学習値の算出精度を高めることにより、鋼板の冷却精度を向上させることができる鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法を提供する。【解決手段】圧延機20によって圧延された鋼板Sを搬送しながら冷却装置40によって冷却する際の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法であって、冷却後における鋼板の温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する少なくとも一つの物理量を含むパラメータを入力変数とし、鋼板の水冷熱伝達係数の関連値を出力変数として、過去の物理量を含む冷却装置の過去の操業データから生成された予測モデルに対して、圧延対象の鋼板のパラメータを入力することによって、圧延対象の鋼板について関連値を予測し、予測された関連値から水冷熱伝達係数を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法に関する。
圧延機によって熱間圧延された鋼板を冷却する冷却装置では、一般的に、鋼板の搬送速度を決定する際に、熱流束を用いた冷却計算を実施し、目標となる冷却停止温度に到達させる方法が行われる。
また、従来は、熱流束を計算する際に、鋼種、板厚、冷却開始温度および冷却停止温度によって区切られたテーブルを用いて、対象の一本前の製造実績に応じて熱流束の計算式の内部項である水冷熱伝達係数にゲイン(学習値)をかけて、冷却精度を担保する方法が行われている。しかしながら、このテーブル値を用いる方法では、冷却精度を高めるのに限界があった。
そこで、このような問題を解決するため、例えば特許文献1,2では鋼板の成分、板厚、水温、鋼板搬送速度、冷却開始温度および冷却停止温度等の過去データを用いて、水冷熱伝達係数の学習値(補正値)を算出する方法が提案されている。
特開2014-108446号公報 特開2012-101235号公報
特許文献1,2で提案されている方法では、従来のテーブル値を用いる方法と比較して水冷熱伝達係数の学習値の算出精度が高くなる。しかしながら、冷却精度を更に高める観点から改善の余地があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、水冷熱伝達係数の学習値の算出精度を高めることにより、鋼板の冷却精度を向上させることができる鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、圧延機によって圧延された鋼板を搬送しながら冷却装置によって冷却する際の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法であって、冷却後における前記鋼板の温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する少なくとも一つの物理量を含むパラメータを入力変数とし、前記鋼板の水冷熱伝達係数の関連値を出力変数として、過去の前記物理量を含む前記冷却装置の過去の操業データから生成された予測モデルに対して、圧延対象の鋼板の前記パラメータを入力することによって、圧延対象の鋼板について前記関連値を予測し、予測された前記関連値から前記水冷熱伝達係数を決定する。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記関連値が、前記水冷熱伝達係数を補正するための補正値であり、予測された前記補正値によって前記水冷熱伝達係数を補正する。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記関連値が、補正された水冷熱伝達係数である。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記冷却装置が、前記鋼板の搬送方向に沿って設けられた複数の冷却ゾーンと、各冷却ゾーンに設けられ、前記鋼板の上面および下面にそれぞれ冷却水を吐出するノズルと、を備え、前記物理量として、前記複数の冷却ゾーンのうち、前記鋼板の冷却に用いる冷却ゾーンを示す冷却ゾーンの制御パターンを含む。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記冷却装置が、前記鋼板の搬送方向に沿って設けられた複数の冷却ゾーンと、各冷却ゾーンに設けられ、前記鋼板の上面および下面にそれぞれ冷却水を吐出するノズルと、前記鋼板の下面に冷却水を吐出するノズルのうち、前記鋼板の搬送方向の最上流側のノズルに設けられ、前記ノズルによる冷却水の吐出量を調整するマスキング装置と、を備え、前記物理量として、前記マスキング装置によって調整された前記最上流側のノズルによる冷却水の吐出量を含む。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記冷却装置の前記鋼板の搬送方向の上流側に、冷却前の前記鋼板を圧下して前記鋼板の歪みを矯正するレベラが設けられており、前記物理量として、前記レベラにかかる荷重を含む。
また、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法は、上記発明において、前記物理量として、前記鋼板を冷却する冷却水の水温と、前記冷却水を吐出する時刻とを含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋼板の冷却方法は、上記の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法によって算出された水冷熱伝達係数を用いて熱流束を算出し、前記熱流束に基づいて鋼板の搬送速度を決定する工程を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鋼板の製造方法は、上記の鋼板の冷却方法を用いて熱延後の鋼板を冷却する工程を含む。
本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法によれば、従来は考慮していなかった、冷却後における鋼板の温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する少なくとも一つの物理量を入力変数として学習させた予測モデルを用いることにより、水冷熱伝達係数の学習値の算出精度を高めることができ、鋼板の冷却精度を向上させることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る鋼板の製造設備の概略的な構成を示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係る鋼板の冷却装置の概略的な構成を示す図である。 図3は、本発明の実施形態に係る水冷熱伝達係数の算出装置の概略的な構成を示す図である。 図4は、本発明の実施例であり、逆算学習値を用いて従来手法と本発明の学習値の精度を比較した結果を示すグラフである。 図5は、本発明の実施例であり、従来手法と本発明の冷停精度を比較した結果を示すグラフである。
本発明の実施形態に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
〔鋼板の製造設備〕
まず、本発明の実施形態に係る鋼板の製造設備の構成について、図1を参照しながら説明する。製造設備1は、加熱炉10と、圧延機20と、レベラ30と、冷却装置40と、温度計50と、搬送装置60と、を備えている。同図に示すように、加熱炉10、圧延機20、レベラ30、冷却装置40および温度計50は、鋼板Sの搬送方向の上流側から下流側に向かって順に配置されている。
加熱炉10は、搬送中の鋼板Sを所定の温度まで加熱する。圧延機20は、加熱後の鋼板Sに対して、熱間粗圧延および仕上圧延を行う。レベラ30は、冷却前の鋼板Sを圧下して、当該鋼板Sの歪みを矯正する。冷却装置40は、熱間圧延後かつ歪み矯正後の鋼板Sを冷却する。温度計50は、冷却後の鋼板Sの表面温度を計測するとともに、鋼板Sの冷却停止温度を取得する。搬送装置60は、鋼板Sを所定の方向に搬送する。
〔鋼板の冷却装置〕
続いて、本発明の実施形態に係る鋼板の冷却装置40の具体的構成について、図2を参照しながら説明する。
冷却装置40は、鋼板Sの搬送方向に沿って複数の冷却ゾーンが設けられている。熱間圧延後の鋼板Sは、冷却装置40内において、各冷却ゾーンで冷却され、冷却装置40から搬出される。冷却装置40の各冷却ゾーンには、水切りロール41と、テーブルロール42と、上ヘッダ43と、上ノズル44と、下ヘッダ45と、下ノズル46と、マスキング装置47と、を備えている。なお、同図では、冷却ゾーンを3つのみ図示しているが、実際の冷却ゾーンは、例えば14個設けられる。
水切りロール41は、上ノズル44から吐出された冷却水が、次の冷却ゾーンに流れ込まないようにカットするためのロールである。水切りロール41は、テーブルロール42の直上に配置されている。これにより、水切りロール41とテーブルロール42とで鋼板Sを挟む形となっている。このように、冷却ゾーンは、水切りロール41同士およびテーブルロール42同士が向かい合う空間により構成されている。
テーブルロール42は、鋼板Sを搬送方向に搬送するためのロールである。上ノズル44は、上ヘッダ43に設置されており、鋼板Sの上面に対して冷却水を吐出する。下ノズル46は、下ヘッダ45に設置されており、鋼板Sの下面に対して冷却水を吐出する。また、下ノズル46は、鋼板Sの幅方向および長さ方向に複数配置されている。
マスキング装置47は、下ノズル46による冷却水の吐出量を調整するためのものである。マスキング装置47は、下ノズル46のうち、鋼板Sの搬送方向の最上流側の下ノズル46に設けられている。また、マスキング装置47は、鋼板Sの搬送方向に対して垂直に動作可能となっており、マスキング装置47によるマスキングの位置が変わることにより、下ノズル46の吐出口の開度が変わり、下ノズル46による冷却水の吐出量が変化する。
以上のような構成を備える鋼板の冷却装置40では、後記する鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法によって算出された水冷熱伝達係数を用いて熱流束を算出し、当該熱流束に基づいて、冷却装置40によって鋼板Sを冷却する際の搬送速度を決定する搬送速度決定工程を行う。
搬送速度決定工程では、例えば下記式(1)によって、鋼板水冷区間の表裏面の熱流束を算出する。
Figure 2022032717000002
また、上記式(1)の水冷熱伝達係数は、例えば下記式(2)により算出することができる。
Figure 2022032717000003
搬送速度決定工程では、後記する水冷熱伝達係数の算出方法において、上記式(2)により算出された水冷熱伝達係数を用いて、上記式(1)によって鋼板Sの熱流束を算出する。そして、鋼板Sの冷却停止温度実績が、冷却停止温度目標と一致するような鋼板Sの搬送速度を決定する。
〔水冷熱伝達係数の算出装置の構成〕
続いて、本発明の実施形態に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出装置の構成について、図3を参照しながら説明する。算出装置100は、情報処理装置101と、入力装置102と、出力装置103と、を備えている。
情報処理装置101は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用の装置によって構成されており、RAM111、ROM112およびCPU113を備えている。RAM111は、CPU113が実行する処理に関する処理プログラムや処理データを一時的に記憶し、CPU113のワーキングエリアとして機能する。
ROM112は、本発明の実施形態に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出を実行する制御プログラム112aと、情報処理装置101全体の動作を制御する処理プログラムや処理データを記憶している。
CPU113は、ROM112内に記憶されている制御プログラム112aおよび処理プログラムに従って情報処理装置101全体の動作を制御する。
入力装置102は、キーボード、マウスポインタ、テンキー等の装置によって構成され、情報処理装置101に対して各種情報を入力する際に操作される。出力装置103は、表示装置や印刷装置等によって構成され、情報処理装置101の各種処理情報を出力する。
〔水冷熱伝達係数の算出方法〕
続いて、前記した算出装置100による鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法について説明する。この水冷熱伝達係数の算出方法では、圧延機20によって圧延された鋼板Sを搬送しながら冷却装置40によって冷却する際の、鋼板Sの水冷熱伝達係数を決定する。
水冷熱伝達係数の算出方法では、学習値予測工程と、水冷熱伝達係数算出工程と、を行う。学習値予測工程では、冷却装置40の過去の操業データから生成された予測モデルに対して、圧延対象の鋼板Sのパラメータを入力することにより、当該圧延対象の鋼板Sについて、水冷熱伝達係数の関連値を予測する。この関連値は、例えば水冷熱伝達係数を算出する際の学習値(補正値)Kである(上記式(2)参照)。
ここで、上記の予測モデルは、冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する少なくとも一つの物理量を含むパラメータを入力変数とし、鋼板Sの水冷熱伝達係数を補正するための学習値Kを出力変数として、過去の物理量を含む冷却装置40の過去の操業データから生成される。なお、予測モデルは、学習値予測工程および水冷熱伝達係数算出工程を実施する前に予め作成しておく。
予測モデルに入力されるパラメータとしては、例えば鋼板Sの化学成分(Si,C,Mn,Cr,Nb,N,Ti,Mo,V,Ni,B,Cu)、板厚、板幅、板長、スラブ重量、搬送速度、冷却開始温度目標値、冷却停止温度目標値、仕上温度実績値、加熱炉名等が挙げられる。
また、予測モデルに入力されるパラメータのうち、冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する物理量としては、例えば冷却ゾーンの制御パターン、マスキング装置47によって調整された最上流側の下ノズル46による冷却水の吐出量、レベラ30の荷重、鋼板Sを冷却する冷却水の水温および冷却水を吐出する時刻、が挙げられる。以下、各物理量を用いる理由について説明する。
(冷却ゾーンの制御パターン)
冷却ゾーンの制御パターンとは、具体的には、冷却装置40における複数の冷却ゾーンのうち、鋼板Sの冷却に用いる冷却ゾーンを示す番号のことを示している。図2に示すように、冷却装置40は、鋼板Sの搬送方向に沿って複数の冷却ゾーンが設けられており、例えば上流側から順に1番~14番の冷却ゾーンがある。各冷却ゾーンを搬送される鋼板Sの搬送速度は、それぞれ調整(制御)可能となっており、冷却ゾーンの制御パターン、すなわちどの冷却ゾーンを使用して冷却を行うかは、製造指示に基づいて決定される。
鋼板Sの冷却停止温度を取得している温度計50(図1参照)は、例えば冷却装置40の後面から30m下流側に設置されており、その30mの間で鋼板Sが復熱する。そして、冷却時に例えば1番~10番の冷却ゾーンを使用した場合と、1番~2番の冷却ゾーンを使用した場合と、3番~5番の冷却ゾーンを使用した場合と、6番~10番の冷却ゾーンを使用した場合とでは、それぞれ鋼板Sの冷却履歴が異なるため、冷却装置40の後面以降の復熱度合いも変わってくる。従って、冷却ゾーンの制御パターン(冷却時に使用する冷却ゾーンの違い)は、冷却完了後の鋼板Sの復熱の度合いに直接影響し、冷却精度への影響度が大きい。
このように、冷却完了後の鋼板Sの復熱の度合いに直接的に影響する冷却ゾーンの制御パターンを、予測モデルの入力変数として用いることにより、冷却完了後の復熱の度合いも考慮された予測モデルとすることができ、学習値Kの算出(予測)精度を高めることができる。
(マスキング装置が設けられた下ノズルの吐出量)
図2に示すように、冷却装置40の各冷却ゾーンの下部には、鋼板Sの搬送方向に、例えば5列の下ノズル46が設けられており、そのうちの最上流側の1列目の下ノズル46の上部に、下ノズル46の吐出口を覆うようにマスキング装置47が設けられている。そして、マスキング装置47によるマスキングの位置が変わることにより、下ノズル46の吐出口の開度が変わり、下ノズル46による冷却水の吐出量が変化する。
そして、鋼板Sの各冷却ゾーンへの進入開始時に、マスキングの位置を調整することにより、鋼板Sの表裏面の温度差を調整し、鋼板Sの歪を調整する。マスキングによる下ノズル46の吐出口の開度、すなわち下ノズル46による冷却水の吐出量は、鋼板Sの歪に影響する。また、鋼板Sの歪は、当該鋼板Sの温度分布や温度低下度合いに影響するため、冷却精度への影響度が大きい。
このように、冷却完了後の鋼板Sの温度分布および温度低下度合いに間接的に影響する、マスキング装置47が設けられた下ノズル46による冷却水の吐出量を、予測モデルの入力変数として用いることにより、冷却完了後の温度分布および温度低下度合いも考慮された予測モデルとすることができ、学習値Kの算出(予測)精度を高めることができる。
(レベラの荷重)
図1に示すように、冷却装置40の上流側(圧延機20と冷却装置40の間)には、レベラ30が設けられている。このレベラ30は、冷却前の鋼板Sを圧下して当該鋼板Sの歪みを矯正するためのものである。そのため、レベラ30にかかる荷重は、鋼板Sの歪みに影響する。また、鋼板Sの歪は、当該鋼板Sの温度分布や温度低下度合いに影響するため、冷却精度への影響度が大きい。
このように、冷却完了後の鋼板Sの温度分布および温度低下度合いに間接的に影響する、レベラ30の荷重を、予測モデルの入力変数として用いることにより、冷却完了後の温度分布および温度低下度合いも考慮された予測モデルとすることができ、学習値Kの算出(予測)精度を高めることができる。
(冷却水の水温および吐出時刻)
冷却装置40の上ノズル44および下ノズル46から吐出される冷却水の水温は、鋼板Sを冷却する際の時刻(および季節)によって変化する。そのため、上ノズル44および下ノズル46に供給される冷却水の水温だけではなく、冷却する際の時刻(および季節)も考慮することにより、鋼板Sに吐出される水温の正確な値を算出することができ、結果的に冷却精度が向上する。
このように、冷却完了後の鋼板Sの温度分布および温度低下度合いに直接的に影響する、冷却水の水温および吐出時刻を、予測モデルの入力変数として用いることにより、冷却完了後の温度分布および温度低下度合いも考慮された予測モデルとすることができ、学習値Kの算出(予測)精度を高めることができる。
なお、予測モデルには、前記した、冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する物理量の他に、鋼種、スラブの重量、寸法、合金成分量、冷却開始温度、冷却停止温度、加熱炉名等のパラメータも入力される。また、予測モデルは、例えば勾配ブースティング回帰木(Extreme Gradient Boosted Trees Regressor with early stopping)、勾配ブースティング回帰木のAVG Blender、ランダムフォレスト、Elastic Net回帰、ニューラルネットワーク、回帰木、勾配ブースティング等の機械学習により生成することができる。
水冷熱伝達係数算出工程では、上記式(2)に示すように、学習値予測工程で予測された学習値Kを用いて、基準熱伝達係数を補正することにより、鋼板Sの水冷熱伝達係数を算出する。
〔実施例〕
図4は、本発明の実施例であり、逆算学習値を用いて従来手法と本発明の学習値の精度を比較した結果を示すグラフであり、縦軸は学習値予測工程で予測した学習値(補正値)、横軸は逆算学習値である。本実施例では、冷却計算モデル式によって、鋼板Sの冷却停止温度の実績から逆算した逆算学習値を用いて、学習値予測工程で予測した学習値と、逆算学習値との最小二乗誤差(RMSE:Root Mean Square Error)を評価した。
従来手法によって予測した学習値と逆算学習値との最小二乗誤差は、「18.2」であった。一方、本発明によって予測した学習値と逆算学習値との最小二乗誤差は、「15.2」であった。従って、本発明を用いることにより、学習値Kの算出(予測)精度が向上することがわかる。
図5は、従来手法と本発明の冷停精度(冷却停止温度精度)を比較した結果を示すグラフであり、縦軸は冷却停止温度精度(冷却停止温度精度=冷却停止温度実績値-冷却停止温度目標値)、横軸は冷却開始温度実績である。
本発明に係る水冷熱伝達係数の算出方法を用いることにより、例えば図5のA部で示すような冷却停止温度が大きく(例えば±15℃以上)外れる現象が発生することがなくなり、従来よりも冷停精度が向上していることがわかる。
表1は、従来手法と本発明の冷停精度の変化を示している。表1に示すように、従来手法と本発明とで、冷停精度の平均(Ave)に変化はないものの、冷停精度の標準偏差(σ)は7.5℃から6.9℃へと小さくなり、従来よりも冷停精度が向上していることがわかる。
Figure 2022032717000004
表2は、冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する各物理量の、影響度(相対的有用性)を示す表である。この影響度は、予測モデルに対する影響度が最も大きい「化学成分(Si)」を100%としたときの、各物理量の影響度を相対的に表している。
Figure 2022032717000005
表2に示すように、冷却水の吐出時刻、冷却ゾーンの制御パターン、レベラ荷重、マスキング位置の吐出量(マスキング装置47が設けられた下ノズル46の吐出量)の順に、予測モデルに対する影響度が大きくなることわかる。従って、冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する物理量のうち、マスキング位置の吐出量を、予測モデルに対して優先的に入力することにより、学習値の算出精度をより高めることが可能となる。
以上説明した実施形態に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法によれば、従来は考慮していなかった「冷却後における鋼板Sの温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する物理量(冷却ゾーンの制御パターン、マスキング装置47によって調整された最上流側の下ノズル46による冷却水の吐出量、レベラ30の荷重、鋼板Sを冷却する冷却水の水温および冷却水を吐出する時刻)」を入力変数として学習させた予測モデルを用いることにより、水冷熱伝達係数の学習値Kの算出精度を高めることができる。そして、算出された学習値Kを用いて水冷熱伝達係数および鋼板Sの熱流束を求め、鋼板Sの搬送速度を決定することにより、鋼板Sの冷却精度を向上させることができる。
以上、本発明に係る鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法、鋼板の冷却方法および鋼板の製造方法について、発明を実施するための形態および実施例により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば実施形態に係る鋼板の冷却装置40では、鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法によって算出された水冷熱伝達係数に基づいて、冷却装置40によって鋼板Sを冷却する際の搬送速度を決定していたが、鋼板Sの搬送速度の代わりに、例えば上ノズル44および下ノズル46による冷却水の流量や、冷却水の流量を制御する際の上ノズル44および下ノズル46開度を決定してもよい。このように、鋼板Sの搬送速度に代えて、冷却水の流量やノズル開度を決定した場合であっても、鋼板Sの冷却精度を向上させることができる。
また、実施形態に係る水冷熱伝達係数の算出方法では、鋼板Sの水冷熱伝達係数の補正値を予測し、予測された補正値を用いて水冷熱伝達係数を補正していたが、補正値の代わりに、例えば補正値によって補正された水冷熱伝達係数を直接予測する構成としてもよい。
1 製造設備
10 加熱炉
20 圧延機
30 レベラ
40 冷却装置
41 水切りロール
42 テーブルロール
43 上ヘッダ
44 上ノズル
45 下ヘッダ
46 下ノズル
47 マスキング装置
50 温度計
60 搬送装置
100 算出装置
101 情報処理装置
102 入力装置
103 出力装置
111 RAM
112 ROM
112a 制御プログラム
113 CPU
S 鋼板

Claims (9)

  1. 圧延機によって圧延された鋼板を搬送しながら冷却装置によって冷却する際の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法であって、
    冷却後における前記鋼板の温度分布、温度低下度合いまたは復熱度合いに、直接的もしくは間接的に関連する少なくとも一つの物理量を含むパラメータを入力変数とし、前記鋼板の水冷熱伝達係数の関連値を出力変数として、過去の前記物理量を含む前記冷却装置の過去の操業データから生成された予測モデルに対して、圧延対象の鋼板の前記パラメータを入力することによって、圧延対象の鋼板について前記関連値を予測し、予測された前記関連値から前記水冷熱伝達係数を決定する、
    鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  2. 前記関連値は、前記水冷熱伝達係数を補正するための補正値であり、予測された前記補正値によって前記水冷熱伝達係数を補正する、
    請求項1に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  3. 前記関連値は、補正された水冷熱伝達係数である、
    請求項1に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  4. 前記冷却装置は、
    前記鋼板の搬送方向に沿って設けられた複数の冷却ゾーンと、
    各冷却ゾーンに設けられ、前記鋼板の上面および下面にそれぞれ冷却水を吐出するノズルと、
    を備え、
    前記物理量として、前記複数の冷却ゾーンのうち、前記鋼板の冷却に用いる冷却ゾーンを示す冷却ゾーンの制御パターンを含む、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  5. 前記冷却装置は、
    前記鋼板の搬送方向に沿って設けられた複数の冷却ゾーンと、
    各冷却ゾーンに設けられ、前記鋼板の上面および下面にそれぞれ冷却水を吐出するノズルと、
    前記鋼板の下面に冷却水を吐出するノズルのうち、前記鋼板の搬送方向の最上流側のノズルに設けられ、前記ノズルによる冷却水の吐出量を調整するマスキング装置と、
    を備え、
    前記物理量として、前記マスキング装置によって調整された前記最上流側のノズルによる冷却水の吐出量を含む、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  6. 前記冷却装置の前記鋼板の搬送方向の上流側に、冷却前の前記鋼板を圧下して前記鋼板の歪みを矯正するレベラが設けられており、
    前記物理量として、前記レベラにかかる荷重を含む、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  7. 前記物理量として、前記鋼板を冷却する冷却水の水温と、前記冷却水を吐出する時刻とを含む、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の鋼板の水冷熱伝達係数の算出方法によって算出された水冷熱伝達係数を用いて熱流束を算出し、前記熱流束に基づいて鋼板の搬送速度を決定する工程を含む、鋼板の冷却方法。
  9. 請求項8に記載の鋼板の冷却方法を用いて熱延後の鋼板を冷却する工程を含む、鋼板の製造方法。
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