以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。図1乃至図10は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
複合容器の構成
まず、図1および図2により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。
なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図7および図8参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。容器本体10に内容液等の内容物が充填され、口部11に図示しないキャップが螺着されることにより、内容物入り複合容器が作製される。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状(水平断面において徐々に面積が拡大する形状)を有している。
胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、後述する光変調部21以外の凹凸、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm以上250μm以下程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g以上20g以下とすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なお容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを射出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml以上2000ml以下のボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L以上60L以下の大型のボトルであっても良い。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。または、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30の中心部を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられていても良い。
プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができる。
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40は、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られる。
プラスチック製部材40としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。また、それらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。さらに、プラスチック製部材40の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
プラスチック製部材40は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。
プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
ところで、本実施の形態において、プラスチック製部材40の外面に、入射した光の位相を変調することによって光像102(図3Aおよび図3B参照)を再生する光変調部21(図1の網掛部)が形成されている。
光変調部21は、入射した再生光の位相を変調して光像102を再生する位相変調型のホログラム構造体によって構成されており、特にフーリエ変換ホログラムによって構成される後述する要素素子22を含んでいる。フーリエ変換ホログラムは、原画像のフーリエ変換像の波面情報を記録することで作製されるホログラムであり、いわゆるフーリエ変換レンズとして機能する。特に、位相変調型のフーリエ変換ホログラムは、フーリエ変換像の位相情報を多値化して深さとして媒体に記録することで作製される凹凸形状を有するホログラムであり、媒体の光路長差に基づく回折現象を利用して再生光から原画像の光像102を再生する。このフーリエ変換ホログラムは、例えば、所望の光像102(すなわち原画像)を精度良く再生できる一方で、比較的簡単に作製することができる点で有利である。こうした位相変調型のホログラムはキノフォームとも言われる。ただし、光変調部21の要素素子22は、フーリエ変換ホログラムには限定されず、他の方法で光像102を再生するホログラムや他の構造を有していてもよい。
以下の説明では、光変調部21に入射させる再生光として様々な波長を含む白色光を例として挙げているが、再生光は必ずしも白色光である必要はない。すなわち、光変調部21によって再生される光像102の色に対応する波長の光が含まれていれば、再生光に含まれる波長は特に限定されない。また、以下の説明では、屈折率の具体的な値は、特に断りがない限り、波長589.3nmの光を基準としている。また、以下の説明では、ホログラム構造体(光変調部)21に関して示される屈折率や凹凸形状の特性値は、特に断りがない限り、屈折率が1.0の空気環境下において複合容器10Aが使用される場合を想定して導き出された値である。
光変調部21は、図3Aに示すように観察者100および光源101が光変調部21に対して同じ側に配置される反射型ホログラム構造体と、図3Bに示すように観察者100および光源101が光変調部21を介して相互に異なる側に配置される透過型ホログラム構造体とに分類できる。反射型ホログラム構造体としては、例えば、再生光を反射するための追加の層がプラスチック製部材40上に設けられる構造体の他に、追加の反射層を設けずに、後述する要素素子22の凹凸形状を空気に露出させて、プラスチック製部材40と空気との間の屈折率の差を利用して再生光を反射させる構造体がある。一方、透過型ホログラム構造体にはそのような反射層が設けられない。これらの反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体は、要素素子22の凹凸形状の光路長差に起因する回折現象によって所望の光像102を再生する点で共通している。なお、要素素子22の凹凸形状の具体的な凹凸深さについては、透過型ホログラム構造体および反射型ホログラム構造体のそれぞれに関して最適な値が存在する。以下において、反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体のいずれか一方についてのみ説明されている内容は、特に断りがない限り、基本的に反射型ホログラム構造体および透過型ホログラム構造体の両方に対して応用が可能である。
本実施の形態では、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面は、曲面形状をもっている。具体的には、光変調部21は、容器本体10のうち、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有する胴部20の一部を覆うように設けられている。この場合、容器本体10に内容物が充填されている状態では、点光源から照射され、複合容器10A内に入射する光は、レンズ効果により、容器本体10と内容物との間で楕円状に広がり、光源が点光源とは見なせなくなる。これにより、光変調部21が透過型ホログラム構造体である場合、容器本体10に内容物が充填されている状態では、光変調部21は光像102を再生しない。一方、容器本体10に内容物が充填されていない状態では、点光源から照射された光は、レンズ効果による影響を受けることなく光変調部21に入射し、光変調部21は光像102を再生する。
図4および図5に示すように、光変調部21は、凹凸形状を含む要素素子(「ホログラムセル」とも呼ばれる)22を有している。本実施形態の光変調部21は、複数の要素素子22を含んでおり、複数の要素素子22は、二次元的に規則的に配置されている。各々の要素素子22は、それぞれ数μm~数mm四方(例えば2mm四方)の平面サイズを有し、入射した再生光の位相を変調して光像102を再生する。
本実施の形態では、要素素子22は、フーリエ変換ホログラムである。すなわち、要素素子22は、再生する原画像102a(図5参照)をフーリエ変換することにより作製されたホログラムである。この要素素子22の凹凸形状は、原画像のフーリエ変換画像に対応した凹凸パターンを有し、フーリエ変換画像の画素毎に対応の凹凸深さを有する。このような要素素子22を有する光変調部21を形成する場合、例えば、ブロー成形型50を用いてブロー成形を行う際に、プラスチック製部材40の外面に型本体52の表面形状を転写することにより、光変調部21を形成することができる。
また、各要素素子22の平面視サイズおよび平面視形状も特に限定されず、各要素素子22は任意のサイズおよび形状を有し得る。例えば、各要素素子22の平面視形状を、正方形、長方形、台形等の四角形、他の多角形状(例えば三角形、五角形、六角形等)、真円、楕円、他の円形、星型形状、或いはハート型形状等であってもよく、光変調部21は2種類以上の平面視形状の要素素子22を有していてもよい。
ここで、光変調部21が凹凸形状を含む要素素子22を含んでいるため、紫外線等により劣化するインクを使用することなく、複合容器10Aの意匠性を向上させることができる。これにより、例えばプラスチック製部材40の外面に印刷を施した場合と比較して、長期間にわたり、意匠性を保つことができる。さらに、本実施の形態による複合容器10Aでは、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去し、無色透明な容器本体10をリサイクルする場合がある。一方、本実施の形態においては、プラスチック製部材40に対して顔料や染料を添加することなく、光変調部21により複合容器10Aの意匠性を向上させることができるため、容器本体10のリサイクル性を向上させることができる。
また、本実施の形態による光変調部21は、凹凸形状を含む要素素子22により、入射した再生光の位相を変調して光像102を再生する。この場合、類似品を作製することが困難であるため商品の信頼性を高めることができるとともに、複合容器10Aの美粧性を高めることができる。
このような光変調部21に対して点光源(例えば、LED光源)から光が入射すると、凹凸形状の凹凸パターンに応じた光像102(すなわち原画像(図3Aおよび図3Bに示す例においては、「OK」という文字))が再生される。この種の光変調部21は、光像102を投影するためのスクリーン等が不要であり、また、点光源である光源101からの光が入射する場合にとりわけ良好に光像102を再生する。このため、光変調部21は、キャラクター像を再生するなどエンターテイメント用途および意匠用途として使用することが可能であり、複合容器10Aの意匠性を向上させることができる。また、光変調部21は、上述したように類似品を作製することが困難であるため、真贋判定などのセキュリティ用途、あるいはその他の用途に対して利便性よく広範に利用可能である。このような光変調部21によって再生可能な光像は特に限定されず、文字の他、例えば、記号、線画、絵柄、模様(パターン)およびこれらの組み合わせ等を、原画像および再生可能な光像とし得る。
次に、要素素子22の凹凸形状について説明する。図6に示すように、要素素子22の凹凸形状は多段形状(すなわち2段以上の段形状)を有している。図6は、凹凸形状の段構造の概略を示す要素素子22の断面図であり、図6は4段タイプの凹凸形状を示している。なお、凹凸形状の段数は特に限定されない。また、図6に示すように、凹凸形状は再生される光像102(すなわち原画像)に応じた、ランダムな段形状を有する。
複数色によって光像102を再生する場合、要素素子22の凹凸形状は3段以上の段数を有することが好ましく、特に、4段以上の段数を有する凹凸形状によれば、複雑な構図を持つ原画像を高精細に再生することが可能である。要素素子22の凹凸形状の凹凸パターンのピッチP1(すなわち画素ピッチ)は、0.38μm以上500μm以下であることが好ましく、0.5μm以上100μm以下であることが更に好ましい。凹凸形状のピッチP1が0.38μm以上であることにより、ブロー成形時の賦形性を良好にすることができるとともに、可視域で高い回折効率を示すことができる。また、凹凸形状のピッチP1が500μm以下であることにより、光像102を精度良く再生するとともに、可視域にて高い回折効率を示し、視認しやすい大きさの像を再生することができる。なお、本明細書中、「要素素子の凹凸形状のピッチ」とは、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離した後に、プラスチック製部材40を展開させた状態で測定されたピッチ(隣接する最上段部220間の距離)であって、互いに異なる最上段部220を選択して測定された5つのピッチの平均値をいう。
凹凸形状の1段当たりの深さdは、光変調部21が反射型の場合、10nm以上10μm以下であることが好ましく、20nm以上8μm以下であることが更に好ましい。深さdが10nm以上であることにより、ブロー成形時の賦形性を良好にすることができるとともに、可視域領域で高い回折効率を示すことができる。深さdが10μm以下であることにより、光像102を精度良く再生するとともに、可視域領域で高い回折効率を示すことができる。光変調部21が透過型の場合、深さdは、60nm以上60μm以下であることが好ましく、120nm以上48μm以下であることが更に好ましい。深さdが60nm以上であることにより、ブロー成形時の賦形性を良好にすることができるとともに、可視域領域で高い回折効率を示すことができる。深さdが60μm以下であることにより、光像102を精度良く再生するとともに、可視域領域で高い回折効率を示すことができる。
一例として、透過型の光変調部21において、プラスチック製部材40の屈折率が1.5であり、凹凸形状が4段の深さ構造を有し、1段当たりの深さdが660nmの場合、光変調部21は青色の光像102を再生する。なお、透過型の光変調部21によって再生される光像102の色(波長帯域)は、屈折率が1.0の空気環境下で使用される場合を想定している。
また、観察者100が反射型の光変調部21によって再生される光像102を観察する場合、観察者100が観察する光変調部21からの反射像は、プラスチック製部材40を通過することなく表面に形成された凹凸形状で反射した光によって構成される。このような場合、プラスチック製部材40の屈折率ではなく、プラスチック製部材40よりも観察者100側の媒体の屈折率、例えば空気の屈折率(1.0)に基づいた光路長で、凹凸形状の1段当たりの深さdを設定する必要がある。したがって、プラスチック製部材40の屈折率を空気の屈折率(1.0)と仮定しつつ、凹凸形状の構造を設計することで、観察者100は所望像を観察することが可能である。具体的には、空気の屈折率を1.0として、凹凸形状の1段当たりの深さdを165nmとした場合、凹凸形状の1段当たりの光路長は330nmとなる。この場合、凹凸形状が4段の深さ構造を有することによって、光変調部21は青系の波長帯域において最大回折効率を示し、青色の光像102を再生する。
このような光変調部21は、容器本体10の胴部20に位置するプラスチック製部材40の外面全体または外面の一部のみに形成されていても良い。また、容器本体10の胴部20の外面に、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されている場合、原画像を高精細に再生するという観点からは、光変調部21は、プラスチック製部材40のうち、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていない領域に対応する位置に形成されていることが好ましい。さらに、光変調部21は、胴部20に限らず、肩部12、首部13、および/または、底部30に位置するプラスチック製部材40の一部または全体に形成されていても良い。
複合プリフォームの構成
次に、図7および図8により、複合プリフォームの構成について説明する。
図7および図8に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aの全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。または、プラスチック製部材40aは、底部30を除く、胴部20aを覆うように設けられていても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
プラスチック製部材40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
なお、プラスチック製部材40aが熱収縮作用をもつ場合、円筒状のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aの下端部(口部11aとは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図9(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与することができる。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したダイレクトブローチューブやシート成形チューブ、射出成形チューブを挙げることができる。
また、図9(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブを用いることができる。
また、図9(c)および図9(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図9(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図9(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
複合プリフォーム及び複合容器の製造方法
次に、図10(a)-(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図10(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図10(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図10(a)-(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図10(c)-(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図10(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
また、ブロー成形型50を準備する。そして、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、複合容器10Aを作製するためのブロー成形型50に送られる(図10(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形型50は、プラスチック製部材40の外面に光変調部21を形成するための表面形状部53(図10(d)-(f)の網掛部)を備えている。本実施の形態では、ブロー成形型50は、金属型または樹脂型である型本体52を備えており、型本体52の内面のうち、光変調部21に対応する位置に表面形状部53が設けられている。この表面形状部53は、光変調部21の要素素子22の凹凸形状に対応する凹凸模様を有している。
ここで、型本体52に表面形状部53を設ける際、まず、原画像の2次元画像がコンピュータによって読み込まれる(Step1)。
次に、コンピュータは、読み込んだ2次元画像の各画素値を振幅値とするとともに、各画素に対して0から2πの間のランダムな値を位相値として割り当てることにより、2次元複素振幅画像を得る(Step2)。
次いで、コンピュータは、この2次元複素振幅画像の2次元フーリエ変換を行うことによって、2次元フーリエ変換画像を得る(Step3)。なお、コンピュータは、必要に応じて、繰り返しフーリエ変換法や遺伝的アルゴリズムなどの任意の最適化処理を行ってもよい(Step4)。
次に、コンピュータは、2次元フーリエ変換画像の各画素の位相値を、複数段階(例えば「0」、「π/2」、「π」および「3π/2」の4段階、或いは「0」、「π/4」、「π/2」、「3π/4」、「π」、「5π/4」、「3π/2」および「7π/4」の8段階)に離散化する(Step5)。
そして、離散化された対応の位相値に応じた深さを各画素が有するように、2次元フーリエ変換画像に対応する表面形状部53(特に凹凸形状)が作製される(Step6)。例えば、上述のStep5において2次元フーリエ変換画像の画素値が4段階に離散化された場合には、Step6において、4段階の深さを持つ凹凸形状(図6参照)が、型本体52の内面のうち、光変調部21に対応する位置に形成される。
凹凸形状の深さは、実現しようとする回折効率特性だけではなく、様々な他の関連パラメータ(例えば、プラスチック製部材40を構成する材料の屈折率)も考慮されて、コンピュータにより決定される。例えば、青色の光像102を再生するための反射型の光変調部21をプラスチック製部材40に形成する場合、凹凸形状の段数が4段であり、当該凹凸形状が1段当たり330nmの光路長を持つ表面形状部53を作製することができる。なお、反射型の光変調部21および透過型の光変調部21はそれぞれ特有の凹凸形状の深さ構造を有し、例えば同様の回折特性を実現しようとする場合であっても、光変調部21の凹凸形状の深さの具体的な値は反射型と透過型との間で異なる。このため、型本体52に形成する表面形状部53の凹凸形状の深さの具体的な値も、反射型と透過型との間で異なる。
表面形状部53の製造装置は特に限定されず、例えば、上述のStep1~Step5を実行するコンピュータによって制御される装置であってもよいし、当該コンピュータとは別個に設けられた装置であってもよい。
このようにして、型本体52に表面形状部53が設けられる。
次に、型本体52に複合プリフォーム70が取り付けられる。ここで、型本体52は、互いに分割された一対の胴部型50a、50bと、底部型50cとからなる(図10(d)参照)。型本体52の内面は、容器本体10の肩部12、首部13、胴部20および底部30に対応する形状を有している。図10(d)において、一対の胴部型50a、50b間は互いに開いており、底部型50cは上方に上がっている。この状態で型本体52の一対の胴部型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に、図10(e)に示すように、底部型50cが下がったのちに一対の胴部型50a、50bが閉鎖され、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cにより密閉されたブロー成形型50が構成される。次に、プリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
これにより、複合プリフォーム70は、ブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形され、ブロー成形型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。また、ブロー成形型50内では、ブロー成形型50(型本体52)の表面形状が転写され、ブロー成形後のプラスチック製部材40の外面に、入射した光の位相を変調することによって光像102を再生する光変調部21が形成される。この際、ブロー成形型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
その後、図10(f)に示すように、型本体52の一対の胴部型50a、50bおよび底部型50cが互いに離れ、ブロー成形型50内から複合容器10Aが取出される。このようにして、図1および図2に示す複合容器10Aが得られる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40の外面に、入射した光の位相を変調することによって光像102を再生する光変調部21が設けられている。この場合、光変調部21に対して点光源から光が入射すると、所定の光像102(すなわち原画像)が再生される。このため、光変調部21は、キャラクター像を再生するなどエンターテイメント用途および意匠用途として使用することが可能であり、複合容器10Aの意匠性を向上させることができる。また、紫外線等により劣化するインクを使用しないため、例えばプラスチック製部材40の外面に印刷を施した場合と比較して、長期間にわたり、意匠性を保つことができる。
また、本実施の形態によれば、要素素子22は、フーリエ変換ホログラムである。これにより、所望の光像102(すなわち原画像)を精度良く再生できるとともに、要素素子22を比較的簡単に作製することができる。
また、本実施の形態によれば、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面は、曲面形状をもっている。これにより、光変調部21が透過型ホログラム構造体である場合、容器本体10に内容物が充填されている状態では、光変調部21は光像102を再生しない。一方、容器本体10に内容物が充填されていない状態では、光変調部21に光が入射し、光変調部21が光像102を再生する。このように、複合容器10Aが状況に応じて異なる意匠を有することができる。このため、複合容器10Aの意匠性を効果的に向上させることができる。
また、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が曲面形状をもっている場合、例えば、光変調部21は、使用者にプレゼントするノベルティ等の当選結果等を示す用途に利用されてもよい。すなわち、この場合、容器本体10に内容物が充填されている状態では、光変調部21が光像102を再生しないため、当該当選結果等を隠蔽することができる。一方、容器本体10に内容物が充填されていない状態では、光変調部21は光像102を再生することができるため、内容物が空になった複合容器10Aにおいて、当該当選結果等を使用者に対して表示することができる。
また、本実施の形態によれば、ブロー成形型50を用いてブロー成形を行い、複合容器10Aを作製する。このとき、プラスチック製部材40の外面に、型本体52の表面形状が転写される。これにより、複合容器10Aの表面に、凹凸形状を含む要素素子22を有する光変調部21を容易に形成することができる。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40として、容器本体10の材料(例えばポリエチレンテレフタレート)よりも賦形性の良好な材料(例えばポリエチレンやポリプロピレン)を用いることが可能である。このため、型本体52の表面形状を直接容器本体10に転写する場合と比較して、型本体52の表面形状を明確にプラスチック製部材40に転写することができる。これにより、より微細(例えば3μm以下)な凹凸形状をプラスチック製部材40の表面に発現させることができる。
変形例
次に、図11乃至図17により、本実施の形態による複合容器10Aの変形例について説明する。図11乃至図17において、図1乃至図10に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
(第1変形例)
上記実施の形態において、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が、曲面形状をもっている例について説明したが、これに限られない。例えば、図11に示すように、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が、平坦面形状をもっていてもよい。図示された例においては、胴部20は、四角形筒形状を有している。このように、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が平坦面形状をもっている場合、光変調部21が透過型ホログラム構造体であって、かつ、容器本体10に内容物が充填されている状態であっても、点光源から照射された光はレンズ効果による影響を受けることなく光変調部21に入射し、光変調部21が光像102を再生する。このため、例えば、内容物が酒類である場合に、内容物が酒類であることを光変調部21によって使用者に意識させることができる。このため、光変調部21によって使用者の注意を喚起することにより、使用者(例えば小児等)が酒類を誤飲することを抑制することができる。
(第2変形例)
また、図12に示すように、プラスチック製部材40の外面に、光変調部21に入射する前の光を分光させる分光形成部23が設けられていてもよい。この場合、光変調部21は、分光形成部23で形成された分光の位相を変調することによって複数の光像102を再生する。例えば、図13に示すように、分光形成部23が光を4方向に分けた場合、光変調部21は、4方向に分けられた光の位相および分光形成部23を直進する光の位相を変調することによって、5つの光像102を再生する。なお、本明細書中、「分光」とは、回折・屈折・反射を問わず、点光源から照射された光が複数に分かれる現象をいう。
図14に示すように、分光形成部23は、凹凸形状を含んでいる。この凹凸形状は、周期的な構造を有する規則的な凹凸模様であってもよい。この場合、凹凸形状の凸部の配置は、得られる分光後の光の態様に基づいて、適宜設定することができる。例えば、凹凸形状の凸部は、正方格子状に配置されていてもよく、三角格子状に配置されていてもよい。
また、分光形成部23の凹凸形状のピッチP2(隣接する凸部の間の間隔)は、0.2μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.5μm以上100μm以下であることが更に好ましい。凹凸形状のピッチP2が0.2μm以上であることにより、ブロー成形時の賦形性を良好にすることができるとともに、光変調部21に入射する前の光を効果的に分光させることができる。また、凹凸形状のピッチP2が1000μm以下であることにより、光変調部21に入射する前の光を効果的に分光させることができる。さらに、凹凸形状のピッチP2が0.5μm以上100μm以下であることにより、光変調部21に入射する前の光を更に効果的に分光させることができる。なお、本明細書中、「分光形成部の凹凸形状のピッチ」とは、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離した後に、プラスチック製部材40を展開させた状態で測定されたピッチであって、任意の10mm四方の領域内で測定された5つのピッチの平均値をいう。
なお、図示された例においては、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が、平坦面形状をもっているが、これに限られない。図示はしないが、容器本体10の外面のうち、光変調部21に覆われる領域の外面が、曲面形状をもっていてもよい。
(第3変形例)
また、上記実施の形態において、光変調部21が複数の要素素子22から構成されている例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、光変調部21が単一の要素素子22によって構成されていてもよい。
(第4変形例)
また、光変調部21が複数の要素素子22から構成されている例について説明したが、各要素素子22は、任意の波長範囲を持つ色によって光像102を再生することも可能である。言い換えれば、光変調部21は、波長範囲の異なる複数種類の要素素子を含んでいてもよい。例えば、図15に示すように、光変調部21は、赤色の光像102を再生する第1の要素素子22a、青色の光像102を再生する第2の要素素子22bおよび緑色の光像102を再生する第3の要素素子22cを含んでいてもよい。
また、任意の波長範囲を持つ原画像に基づいて各要素素子22を設計する場合にも、任意の波長範囲を持つ色によって光像102を再生することが可能である。これらの場合、光変調部21は、白色光が入射した場合に、フルカラーの光像102を再生することも可能である。
なお、上述した図15に示す光変調部21は、縦方向および横方向の双方に関して隣接配置される要素素子22の種類が互いに異なっているが、複数種類の要素素子22の配置態様は特に限定されない。例えば、光変調部21は、ストライプ状に配置された複数種類の要素素子22を含んでいてもよく、縦方向および横方向のうちの一方に関しては隣接して配置される要素素子22の種類が異なっているが、他方に関しては隣接して配置される要素素子22の種類が同じであってもよい。また、市松模様状の配置およびストライプ状の配置が組み合わされた配置態様によって、複数種類の要素素子22が配置されてもよい。
(第5変形例)
また、上記実施の形態において、光変調部21の要素素子22の凹凸形状が、型本体52の内面に設けられた表面形状部53から転写された形状である場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、光変調部21の要素素子22の凹凸形状が、複合容器10Aを成形するブロー成形型50に貼着された転写シート60から転写された形状であっても良い。
本変形例において、ブロー成形型50は、型本体52の内面に貼着され、プラスチック製部材40の外面に光変調部21を形成するための表面形状を有する転写シート60を更に備えている(後述する図17(a)参照)。図16に示すように、ブロー成形用の転写シート60は、ブロー成形型50の型本体52に貼着される貼着層61と、貼着層61上に配置され、複合容器10Aの外面に転写される形状を有する転写層62と、を備えている。
貼着層61は、粘着剤を含むものであっても良い。この粘着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、スチレン-ブタジエン共重合樹脂などの合成ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリロニトリル、炭化水素樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン、ロジントリグリセリド、水素化ロジンなどのロジン系樹脂が適用できる。貼着層61の厚みは、例えば5μm以上300μm以下の範囲としても良い。
貼着層61は、型本体52から剥がすことが可能であり、手作業または機械作業にて剥がすことが可能で、仮に貼着層61が型本体52に残存してしまう場合であっても水やアルコールで清掃することによって除去可能である。貼着層61を除去することにより、型本体52を、転写シート60を貼る前の状態に戻すことが可能である。この場合、型本体52に、再度、別の転写シート60を貼ることも可能となる。
転写層62としては、例えば塩化ビニル樹脂から作製された塩ビ紙等、耐候性および耐熱性に優れた材料を用いることが好ましい。転写層62の厚みは、例えば10μm以上3000μm以下の範囲としても良く、ボトル形状をより保ちたい場合には10μm以上100μm以下としても良い。
また、転写層62の表面に、プラスチック製部材40の外面に、入射した光の位相を変調することによって光像102を再生する光変調部21を形成するための表面形状部64が設けられている。表面形状部64の構成は、上述した型本体52の表面形状部53と同様であり、ここでは、詳細な説明を省略する。
また、貼着層61上には、剥離紙63が設けられている。剥離紙63は、貼着層61上であって、転写層62の反対側に剥離可能に貼着されている。この剥離紙63を貼着層61から剥離し、貼着層61を型本体52の外面に貼り付けることにより、転写層62が型本体52の内面に向けられる。この状態で、ブロー成形を行うことにより、複合容器10Aの外面に転写層62の凹凸形状が転写される。
剥離紙63は、例えば上質紙、コート紙、含浸紙、又はプラスチックフィルムなどの基材と、基材の片面に設けられた離型層とを有している。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂などがある。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。
次に、図17(a)-(c)により、本変形例による複合容器10Aの製造方法について説明する。
まず、例えば図10(a)-(c)に示す方法により、プリフォーム10aの外側に、プラスチック製部材40aを設け、加熱装置51によって加熱する。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、ブロー成形型50に送られる(図17(a)参照)。
プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、このブロー成形型50を用いて成形され、上述した図10(d)~(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる(図17(a)-(c)参照)。この際、転写シート60は、一対の胴部型50a、50bの内面にそれぞれ貼着されており、上述した光変調部21に対応する位置に設けられている。これにより、ブロー成形型50内では、転写シート60の表面形状が転写され、ブロー成形後のプラスチック製部材40の外面に、入射した光の位相を変調することによって光像102を再生する光変調部21が形成される。
本変形例によれば、光変調部21の要素素子22の凹凸形状が、複合容器10Aを成形するブロー成形型50に貼着された転写シート60から転写された形状である。この場合においても、プラスチック製部材40の外面に、型本体52に貼着された転写シート60の表面形状が転写されることにより、複合容器10Aの表面に凹凸形状を有する光変調部21を容易に形成することができる。また、型本体52に貼着された転写シート60を剥離し、他の転写シート60に交換することを容易に行うことができる。このため、複合容器10Aの表面の凹凸形状を容易かつ短時間で変更することができる。この場合、型本体52そのものを製造し直す必要がないので、型本体52の製造に必要な費用や時間を節減することができる。また、転写シート60は、既存の型本体52に貼着することができるので、既存の型本体52の全体的な形状を維持しつつ、複合容器10Aの表面に所望の様々な凹凸形状を付与することができる。
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。