第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
まず、図1および図2により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよび熱収縮チューブであるプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図3参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
これらのうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
これらのうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm〜250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g〜20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10の満注容量は特に制限されるものではないが、例えば、100ml〜2000mlのボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L〜60Lの大型のボトルであっても良い。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は、後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られる。また、このプラスチック製部材40aは、熱が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮する作用を持つものである(熱収縮チューブ)。プラスチック製部材40aが、熱収縮チューブであることにより、プリフォーム10aに対してずれが生じないため好ましい。また、ブロー成形後において、容器本体10と、プラスチック製部材40との間に入り込む空気が少なく、これらの密着性は高い。
プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることによりプラスチック製部材40は得られる。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30を除く、肩部12および胴部20を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12および胴部20に対して所望の機能や特性を付与することができる。なお、これに限られず、プラスチック製部材40は、例えば、底部30おn一部または全域を覆うものであってもよい。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および底部30を除く、首部13、肩部12および胴部20の全体を覆うように設けられていても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、これに加え、底部30の一部を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を首部13の外面および胴部20の外面にそれぞれ設けても良い。
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次に、図3により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図3に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた無底円筒状のプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aとを備えている。
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。これらのうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域を覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、首部13を含む、胴部20aの全体を覆うように設けられていても良い。あるいは、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、胴部20aの全域と、底部30aの一部領域とを覆っていても良い。さらに、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
次に複合プリフォーム70の製造方法について説明する。まず、プリフォーム10aにプラスチック製部材40aを緩挿する。次いで、プラスチック製部材40aの温度が50〜200℃となるように、例えば加熱装置を用いて、少なくともプラスチック製部材40aを加熱する。これにより、プラスチック製部材40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着し、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材40aとを備えた複合プリフォーム70が得られる。加熱温度が上記数値範囲であることにより、プリフォーム自体に余計な熱をかけずに収縮を充分に行うことができる。加熱温度は、80〜175℃であることがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。また、加熱時間は1〜30秒であることが好ましく、2〜10秒であることがより好ましく、3〜8秒であることがさらに好ましい。加熱装置の熱源としては、熱風、熱板ローラー、赤外線ヒーターなどを用いることができる。
プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを形成する材料は、これを用いて作製されるプラスチック製部材40aが熱収縮性を有していれば特に限定されるものではないが、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂および/またはポリアミド系樹脂などを含んでなる樹脂材料を用いて作製することができる。これらの中でも、容器本体の酸素バリア性または水蒸気バリア性等のガスバリア性や紫外線等の光線バリア性の向上という観点から、樹脂材料は、ポリエステル系樹脂を含んでなることが好ましく、リサイクルの容易性という観点からは、樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含んでなることが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタレートおよびポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられ、これらの中でも、上記バリア性、さらには機械強度を向上させることができるため、PET、PENが好ましく、PENがより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられ、これらの中でも、易成形性という理由から、PE、PPが好ましい。
上記した樹脂の他にも、樹脂材料はポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を含んでいて良い。
また、樹脂材料は、上記した樹脂を構成する2以上のモノマー単位が重合した共重合体を含んでいても良い。さらに、樹脂材料は上記した樹脂を2種以上を含んでなるブレンド樹脂材料であってよい。さらに、樹脂材料は、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤を含んでいてよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等が挙げられる。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料を含んでいても良い。例えば、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、プラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなる層を備えていても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば、強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、PE、PP等のポリオレフィン系樹脂、PET、PEN等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを挙げることができる。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料を含んでいても良い。例えば、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、プラスチック製部材40aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなる層(ガスバリア層)を備えていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13および胴部20の全域および底部30の一部にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、PEN(ポリエチレンナフタレート)またはこれらの材料に脂肪酸塩等の酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、紫外線等の光線バリア性を有する材料を含んでいても良い。例えば、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、プラスチック製部材40aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなる層(光線バリア層)を備えていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20の全域および底部の一部にプラスチック製部材40aを設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、上記した樹脂を2種類以上含んでなる樹脂材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)を含んでいても良い。例えば、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、プラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなる層(低熱伝導性層)を備えていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。上記樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクOP−84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH−5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40aの各層に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料を含んでいても良い。例えば、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、プラスチック製部材40aは、プラスチック材料よりも滑りにくい材料からなる層を最外層として備えていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
また、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)は、上記した樹脂材料の他に、着色剤を少なくとも含んでなることができる。着色剤は、茶色、黒色、緑色、白色、赤色または青色などの着色剤を使用することができる。着色剤は、顔料であっても、染料であってもよいが、耐光性という観点からは、顔料であることが好ましい。上記した着色剤の中でも、光反射性顔料である、チタンホワイト、アルミニウム粉、マイカ粉、硫化亜鉛、亜鉛華、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの白色顔料、光吸収性顔料である、カーボンブラック、セラミックブラック、ボーンブラックなどの有色顔料が好ましい。着色層がこれらのような顔料を含んでなることにより、ブロー成形後のプラスチック製部材40の可視光の透過率を低下させることができ、複合容器10Aに充填される内容液の品質変化を防止することができる。またプラスチック製部材40aは、透明であっても良く、不透明であっても良い。
さらに、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40(40a)には、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を表示しても良い。この場合、プラスチック製部材40の材料としては、容器本体10と同一のものを用いても良く、容器本体10と異なるものを用いても良い。印刷は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により、無地のプラスチック製部材40aにデザイン又は印字が施されて形成されても良い。例えば、インクジェット法を用いる場合、プラスチック製部材40aにUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。この印刷は、プリフォーム10aに取り付けられる前のプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aのプラスチック製部材40に印刷が施されても良い。
プラスチック製部材40(40a)が多層からなるものである場合、例えば、最内面と最外面との層を構成する主成分が同じであっても、異なっていてもよい。具体的な層構成としては、最内面から、低密度PE/接着層/EVOH/接着層/低密度PEのもの、PP/接着層/EVOH/接着層/PPのものが挙げられる。接着層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。
次に、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aの形状について説明する。
図3および図4に示すように、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、全体として無底円筒形状であることが好ましい。このようなプラスチック部材40を設けることにより、複合容器10Aの胴部20に様々な機能や特性を付与することができる。
図1に示す複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びている。また、図3に示す複合プリフォーム70において、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、プラスチック製部材40は、容器本体10の底部の一部を覆っていても良く、同様に、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プリフォーム10aの底部30aの一部を覆うものであってもよい。以下の態様においても同様である。
次に、プラスチック製部材40aの製造方法について説明する。
プラスチック製部材40aは、押出成形工程を含んでなる方法により作製される。より詳細には、まず、上記した樹脂材料を、押出装置内で加熱溶融し、溶融した樹脂材料をリングダイより連続的に押し出す。さらに、押し出された樹脂材料を冷却することにより未延伸の押出チューブ1に成形する(図5(a)参照)。なお、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂材料を共押し出しすることにより得ることができる。また、樹脂材料と着色剤などを混合した混合物を加熱溶融し、押し出してもよい。この未延伸の押出チューブ1の一端を溶着または接着することによって、押出チューブ1の一端を閉鎖する。次に、この一端が閉鎖された押出チューブ1をチューブ状の金型2内に配置する(図5(b)参照)。金型2の内径は、押出チューブ1の外径よりも大きい。次いで、押出チューブ1の他端にブロー装置3を配置(装着)する(図5(c)参照)。このとき、ブロー装置3は、押出チューブ1と、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。続いて、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、この配置のまま加熱炉4に送り込み、加熱炉4の内部で70〜150℃に加熱する(図5(d)参照)。加熱炉4としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいは押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。次に、押出チューブ1、金型2およびブロー装置3を、加熱炉4から取り出し、ブロー装置3から押出チューブ1内にエアを噴出することにより、押出チューブ1の内面を加圧延伸する。これにより、押出チューブ1は、膨張し、金型2の内面形状に沿って拡径される(図5(e)参照)。その後、ブロー装置3からエアを噴出した状態のまま、押出チューブ1を冷水中で冷却し、押出チューブを金型2から取り出す(図5(f)参照)。これを所望の大きさにカットすることによりプラスチック製部材40aが得られる(図5(g)参照)。
次に、図6(a)〜(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図6(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを緩挿する(図6(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部41を有している。このプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域を覆う。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プラスチック製部材40aの温度が50〜200℃となるように、加熱装置51によって加熱される(図6(c)参照)。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aとを有する複合プリフォーム70を作製することができる。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。
このように、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図6(c)参照)。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図6(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図6(d)参照)。図6(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に、図6(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
次に、図6(f)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
複合容器10Aの製造方法の変形例
次に、図7(a)〜(g)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)の他の変形例について説明する。図7(a)〜(g)に示す変形例は、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図6(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図7(a)〜(g)において、図6(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図7(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを緩挿する(図7(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、全体として無底円筒形状からなり、円筒状の胴部41を有している。このプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40は、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域を覆うように装着される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、プラスチック製部材40aの温度が50〜200℃となるように、第1の加熱装置55によって加熱される(図7(c)参照)。プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図7(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図7(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図7(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置51によって加熱される(図7(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図7(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図6(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた収縮チューブ(熱収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図7(e)〜(g)参照)。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。これにより、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。また、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けているので、プリフォーム10aを成形するための新たな成形設備を準備する必要も生じない。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材40aが熱収縮チューブであることにより、プラスチック製部材40aをプリフォーム10aに対して密着させたとき、プラスチック製部材40aがプリフォーム10aに対してずれないようにこれらを一体化することができる。また、プラスチック製部材40aがプリフォーム10aに対して一体化されていることにより、ブロー成形に対する追従性も高くすることができる。さらに、プラスチック製部材40aを加熱し、プラスチック製部材40aを熱収縮させてプリフォーム10aの外側に密着させる工程において、プラスチック製部材40aの加熱温度が50〜200℃であることにより、プリフォーム自体に余計な熱をかけずに収縮を充分に行うことができる。
第2の実施の形態
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図8乃至図13は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図8乃至図13において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図8および図9により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。
図8および図9に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図10参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
これらのうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
一方、内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面かつ内側ラベル部材60の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。なお、本実施の形態ではプラスチック製部材40の全体が透明である場合を例にとって説明する。
次に、内側ラベル部材60について説明する。内側ラベル部材60(60a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、このプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。この内側ラベル部材60は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図8に示すように、内側ラベル部材60は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11、首部13および底部30を除く、肩部12および胴部20を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12および胴部20に所望の文字、画像等を付与し、複合容器10Aに対して装飾性をもたせたり、情報を表示させたりすることができる。
なお、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の一部を覆うように設けられていても良い。あるいは、内側ラベル部材60は、首部13の全域、肩部12の全域、胴部20の全域および底部30の一部を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60は1つに限らず、複数設けても良い。なお、内側ラベル部材60は、プラスチック製部材40と同一の領域に設けられていても良く、プラスチック製部材40よりも狭い領域に設けられていても良い。後者の場合、内側ラベル部材60はプラスチック製部材40によって完全に覆われることが好ましい。
また、内側ラベル部材60の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するように内側ラベル部材60aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は、内側ラベル部材60の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。このプラスチック製部材40は、内側ラベル部材60の外面において薄く引き延ばされて内側ラベル部材60を覆っている。図9に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
このほか、容器本体10およびプラスチック製部材40の構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、図10により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図10に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた無底円筒状の内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着して設けられた無底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aの外面に密着されており、プリフォーム10aに対して容易に移動又は回転しない状態で密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
内側ラベル部材60aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、プリフォーム10aのうち胴部20aの全部又は一部に内側ラベル部材60aを設け、成形後に容器本体10の胴部20に画像や文字が表示されるようにしても良い。これにより、容器を密栓した後、ラベラーを用いてラベルを付与する工程が不要となるので、製造コストを抑制することができるとともに、歩留まりが低下することを防止することができる。
このような内側ラベル部材60aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂およびこれらをブレンドした材料等からなるフィルムを用いることができる。内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)および/またはプラスチック製部材40aと同一の材料からなっていても良く、異なる材料からなっていても良い。
また、内側ラベル部材60aとして、以下に説明する各種材料を用いることもできる。
例えば、内側ラベル部材60aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、PEN(ポリエチレンナフタレート)またはこれらの材料に脂肪酸塩等の酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また、内側ラベル部材60aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。
また、内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂等が考えられる。内側ラベル部材60aは、さらに中空粒子を含んでなることが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、上記したものと同様のものを挙げることができる。また、上記市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、内側ラベル部材60aに含有される樹脂100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
一方、プラスチック製部材40aは、熱収縮チューブであり、内側ラベル部材60aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域を覆うように設けられている。
なお、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、首部13を含む、胴部20aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはそれぞれ1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つの内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、プラスチック製部材40aに熱が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものである(熱収縮チューブ)。
このほか、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、プラスチック製部材40aおよび/または内側ラベル部材60aの形状について説明する。
図11に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、全体として無底円筒形状からなり円筒状の胴部41(胴部61)を有していることが好ましい。この場合、複合容器10Aに様々な機能や特性を付与することができる。
次に、図12(a)〜(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図12(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設ける(図12(b)参照)。内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域を覆うように装着される。このプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていてもよい。
この場合、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、加熱装置51によって加熱される(図12(c)参照)。このとき、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図12(c)参照)。なお、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40a自体が収縮性を有する場合、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設けた時点(図12(b)参照)でプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが内側ラベル部材60aの外側に密着していても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図12(d)参照)。
プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図12(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に設けられたプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図12(d)〜(f)参照)。
次に図13(a)〜(g)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法(ブロー成形方法)の他の変形例について説明する。図13(a)〜(g)に示す変形例は、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図12(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図12(a)〜(g)において、図12(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図13(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設ける(図13(b)参照)。プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域を覆うように装着される。このプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていても良い。
この場合、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図13(c)参照)。プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図13(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図13(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図13(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置51によって加熱される(図13(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図13(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図12(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材(熱収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図13(e)〜(g)参照)。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10と内側ラベル部材60とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。このためプリフォーム10aを用いて複合容器10Aを製造する段階で、予め複合容器10Aに内側ラベル部材60を設けておくことができる。したがって、複合容器10Aに内容液を充填して密栓した後、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がない。これにより、最終製品を製造するための製造コストを抑制することができる。
また、ラベラーの不具合等により最終製品を製造する際に歩留まりが低下することを防止することができる。
また本実施の形態によれば、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。