第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図10は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
まず、図1および図2により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図3参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、その全体が所定の色に着色されており、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30の形状は、特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状、例えば、平底形状、ペタロイド底形状、丸底形状等を有していても良い。
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm〜250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g〜20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10の満注容量は特に制限されるものではないが、例えば、100ml〜2000mlのボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L〜60Lの大型のボトルであっても良い。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40(40a)は樹脂材料と、着色剤と、紫外線吸収剤とを含んでなり、その全体が所定の色に着色されている。所定の色としては、茶色、黒色、緑色、白色、青色および赤色などが挙げられる。なお、本明細書においては、例えば、「茶色」に着色されたプラスチック製部材40(40a)には、茶色であって、透明なプラスチック製部材40(40a)、不透明なプラスチック製部材40(40a)および半透明なプラスチック製部材40(40a)が含まれる。プラスチック製部材が、その全体が所定の色に着色されていることにより、所望の波長域の可視光線をカット(吸収または反射)することができ、可視光線により複合容器10Aに充填される内容液が変性してしまう不具合を防止することができる。例えば、波長400〜500nmの可視光線をカットすることが求められる内容物が充填される場合、プラスチック製部材40(40a)の全体を茶色に着色することにより、波長400〜500nmの可視光線をカットすることができ、内容物の変性を防止することができる。本明細書中、可視光線とは、波長が380nm〜800nmの光線をいう。また、可視光の透過率は、JIS A5759に準ずる方法により測定することができる。例えば、分光光度計(島津製作所(株)製、UV3100)を使用して、波長220〜800nmの範囲にいて、0.5nm間隔で測定し、可視光線波長の光線透過率を求めることができる。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
プラスチック製部材40(40a)は、好ましくは、紫外線の透過率が5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。紫外線とは、波長が10nm〜400nmの光線をいう。また、紫外線の透過率が5%以下であるとは、紫外線の波長領域(10nm〜400nm)の全域でその透過率が5%以下となることをいう。また、可視光および紫外線の透過率は、JIS A5759に準ずる方法により測定することができる。例えば、分光光度計(島津製作所(株)製、UV3100)を使用して、波長10nm〜400nmの範囲にいて、0.5nm間隔で測定し、可視光線および紫外線波長の光線透過率をそれぞれ求めることができる。
一方、プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離したりすることができる。これにより、印刷が施されたプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10を容易にリサイクルすることができる。
またプラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次に図3により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図3に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、その全体が所定の色に着色され、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40aは1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。ブロー成形後において、容器本体と、プラスチック製部材40との間に入り込む空気が少ない、即ち、密着性が高いという観点からは、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつもの(収縮チューブ)であることが好ましい。
前者の場合、プラスチック製部材40aとしては、例えばブロー成形により作製されたブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ、射出成形チューブ等を用いることができるが、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法を用いても良い。
一方、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材(収縮チューブ)40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
プラスチック製部材40a(40)は、着色剤、紫外線吸収剤および樹脂材料を含んでなるものである。プラスチック製部材40a(40)が多層からなる場合、これらは同一の層に含まれていても良く、異なる層に含まれていても良い。
プラスチック製部材40a(40)が含有する着色剤としては、茶色、黒色、緑色、白色、黄色、赤色または青色などを挙げることができ、単独で使用しても、2以上を併用しても良い。また、着色剤は、顔料であっても、染料であってもよいが、耐光性という観点からは、顔料であることが好ましい。さらに、顔料の中でも、光反射性顔料、光吸収性顔料が好ましい。光反射性顔料としては、チタンホワイト、アルミニウム粉、マイカ粉、硫化亜鉛、亜鉛華、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの白色顔料が挙げられ、光吸収性顔料としては、カーボンブラック、セラミックブラック、ボーンブラックなどの有色顔料が挙げられる。プラスチック製部材40(40a)が光反射性着色剤および/または光吸収性着色剤を含んでなることにより、より広い波長領域の可視光線をカットすることができ、複合容器10Aに充填される内容物の変性を防止することができる。なお、プラスチック製部材40(40a)が多層からなる場合、着色剤を含んでなる層は2以上であってよい。
着色剤の含有量は、プラスチック製部材40(40a)が単層である場合は、プラスチック製部材40(40a)に含まれる樹脂材料100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜2.0質量部であることがさらに好ましい。また、プラスチック製部材40(40a)が多層である場合は、着色剤が含まれる層が含む樹脂材料100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜2.0質量部であることがさらに好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤およびベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、プラスチック製部材40aが単層からなる場合、プラスチック製部材40aに含まれる樹脂材料100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。プラスチック製部材40aが多層からなる場合、紫外線吸収剤が含まれるプラスチック製部材40aの層に含まれる樹脂材料100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。
プラスチック製部材40a(40)が含有する樹脂材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH))、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン−1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD−6)、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂などを含んでなることができる。また、樹脂材料は、上記した樹脂を構成する2以上のモノマー単位が重合した共重合体を含んでいても良い。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
プラスチック製部材40aは、上記したように多層からなるものであってもよく、例えば、最内面と最外面との層を構成する主成分(樹脂材料)が同じであっても、異なっていてもよい。具体的な層構成としては、最内面から、低密度PE/接着層/EVOH/接着層/低密度PEのもの、PP/接着層/EVOH/接着層/PPのものが挙げられる。着色剤および紫外線吸収剤はプラスチック製部材40aが備える層のいずれに含まれていても良く、接着性を損なわない範囲であれば、接着層に含まれていてもよい。接着層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤などが挙げられる。
またプラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料を含んでいても良い。また、プラスチック製部材40a(40)が多層からなる場合、プラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなる層を備えていても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺および底部30周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を挙げることができる。
またプラスチック製部材40a(40)は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料を含む樹脂材料を含んでなることが好ましい。例えば、プラスチック製部材40a(40)が多層からなる場合、プラスチック製部材40a(40)は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなる層(ガスバリア層)を備えていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、MXD−6およびEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)が挙げられる。
またプラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)を含んでいても良い。また、プラスチック製部材40a(40)が多層からなる場合、プラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなる層を備えていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン−アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP−1055、ローペイクHP−91、ローペイクOP−84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH−5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることもできる。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40aが単層からなる場合、プラスチック製部材40aに含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。プラスチック製部材40aが多層からなる場合、中空粒子が含有されるプラスチック製部材40aの層に含まれる樹脂材料100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
またプラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料を含んでいても良い。また、プラスチック製部材40a(40)が多層からなる場合、プラスチック製部材40a(40)は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなる層を最外層として備えていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
またプラスチック製部材40a(40)は、その特性が損なわれない範囲において、主成分である上記の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5〜100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
さらにプラスチック製部材40a(40)には、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を表示しても良い。印刷は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により、無地のプラスチック製部材40aにデザイン又は印字が施されて形成されても良い。例えば、インクジェット法を用いる場合、プラスチック製部材40aにUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。この印刷は、プリフォーム10aに取り付けられる前のプラスチック製部材(収縮チューブ)40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aのプラスチック製部材40に印刷が施されても良い。プラスチック製部材40の材料としては、容器本体10と同一のものを用いても良く、容器本体10と異なるものを用いても良い。また、プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
図3および図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したブローチューブ、シート成形チューブ、射出成形チューブを挙げることができる。
また、図9(後述)および図4(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブ、射出成形チューブを用いることができる。
また、図4(c)および図4(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、樹脂シートを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図4(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図4(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。この場合、プラスチック製部材40aとしては、例えばブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ、シート成形チューブ、射出成形チューブを用いることができる。
次に、プラスチック製部材40aの製造方法について説明する。
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、樹脂材料を含んでなる樹脂シートを成形することにより製造することができる。成形方法としては、例えば、深絞り成形、または樹脂シートをチューブ状に成形し、その端部を融着、または接着する方法などが挙げられる。また、多層からなるプラスチック製部材40aは、2以上の樹脂シートを、上記した接着剤を介して積層させた積層樹脂シートを成形することにより得ることができる。
上記樹脂シートは、市販品を用いてもよいし、従来公知の方法により製造することができる。本発明においては、押出成形により製造することが好ましく、押出成形が、Tダイ法またはインフレーション法により行われることが好ましい。
例えば、以下の方法で、押出成形により樹脂シートを成形することができる。上記した樹脂材料を乾燥させた後、熱可塑性樹脂の融点以上の温度(Tm)〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂材料を加熱溶融し、例えばTダイ等のダイよりシート状に押出し、押し出されたシート状物を回転している冷却ドラム等で急冷固化することにより樹脂シートを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
加熱温度は、インフレーション法では、好ましくは170〜230℃、より好ましくは180〜220℃、Tダイ法では好ましくは180〜300℃、より好ましくは210〜270℃である。
上記の樹脂材料は、例えば、0.3〜30g/10分、インフレーション法では好ましくは0.3〜8g/10分、0.3〜6g/10分、Tダイ法では好ましくは0.3〜20g/10分、より好ましくは4〜15g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。樹脂材料のMFRが0.3g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、樹脂材料のMFRが30g/10分以下であれば、該樹脂材料からなる樹脂シートの機械的強度を高めることができる。
一実施形態において、プラスチック製部材40aは、加熱溶融した樹脂材料、着色剤および紫外線吸収剤の混合物をチューブ状に押し出すことによっても製造することができる。多層からなるプラスチック製部材40aは、この樹脂材料を多層押し出しすることにより得ることができる。また、上記混合物の押し出しを金型内で行い、さらにその金型内において、金型の内面に沿って拡径するようにブロー成形することによっても、プラスチック製部材40aを得ることができる。
また、さらに上記混合物を押し出すことにより得られたチューブの一端を接着、溶着などにより閉鎖する。一端を閉鎖したチューブを、チューブの外径よりも大きい内径を有するチューブ状の金型内に配置し、チューブの他端にブロー装置を配置する。このとき、ブロー装置は、チューブと、これらの間からエアが漏れないよう密着させることが好ましい。次いで、このチューブ、金型およびブロー装置を、この配置のまま加熱炉に送り込み、加熱炉の内部で70〜150℃に加熱する。加熱炉としては、その内部を均一な温度にするために、熱風循環式加熱炉を用いても良い。あるいはチューブ、金型およびブロー装置を、加熱した液体中を通過させることにより、これらを加熱しても良い。次に、チューブ、金型およびブロー装置を、加熱炉から取り出し、ブロー装置からチューブ内にエアを噴出することにより、チューブの内面を加圧延伸する。これにより、チューブは、膨張し、金型の内面形状に沿って拡径される。その後、ブロー装置からエアを噴出した状態のまま、チューブを冷水中で冷却し、チューブを金型から取り出す。これを所望の大きさにカットすることにより収縮性を有するプラスチック製部材40aが得られる。
また、一実施形態において、プラスチック製部材40aは、射出成形法によっても得ることができる。具体的には、まず、樹脂材料、着色剤および紫外線吸収剤の混合物を加熱溶融する。次いで、加熱溶融した混合物を金型内に射出する。これを冷却し、金型内から取り出すことによっても、プラスチック製部材40aを得ることができる。
次に図5(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図5(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図5(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、後述するように、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図5(a)〜(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図5(c)〜(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図5(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図5(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図5(d)参照)。図5(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に図5(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
次に図5(f)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
ブロー成形方法の変形例
次に、図6(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の変形例について説明する。図6(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、他の構成は、図5(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図6(a)〜(f)において、図5(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図6(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設ける(図6(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材(収縮チューブ)40は、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、加熱装置51によって加熱される(図6(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図6(c)参照)。なお、プラスチック製部材(収縮チューブ)40a自体が収縮性を有する場合、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けた時点(図6(b)参照)でプラスチック製部材(収縮チューブ)40aがプリフォーム10aの外側に密着していても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図6(d)参照)。
プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図5(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材(収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図6(d)〜(f)参照)。
次に図7(a)〜(g)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の他の変形例について説明する。図7(a)〜(g)に示す変形例は、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもち、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図5(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図7(a)〜(g)において、図5(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図7(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設ける(図7(b)参照)。この場合、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材(収縮チューブ)40は、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
次に、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図7(c)参照)。このとき、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば50℃乃至100℃としても良い。
プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材(収縮チューブ)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図7(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図7(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図7(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置51によって加熱される(図7(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図7(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図5(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた収縮チューブ(収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図7(e)〜(g)参照)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。これにより、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。
また、本実施の形態によれば、プラスチック製部材は、その全体が所定の色に着色されていることにより、所望の波長域の可視光線をカット(吸収または反射)することができ、可視光線により複合容器に充填される内容物が変性してしまう不具合を防止することができる。さらに紫外線吸収剤を含んでなることにより、紫外線をカットすることができ、紫外線による内容物の変性も同時に防止することができる。また、着色剤および紫外線吸収剤を含有するのは、容器本体ではなく、プラスチック製部材であるため、使用後の容器本体をリサイクルすることができる。
変形例
次に図8、図9および図10(a)〜(f)により本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。
図8、図9および図10(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状のプラスチック製部材40aを用いたものである。
図8に示す複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図9に示す複合プリフォーム70において、プラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図8、図9および図10(a)〜(f)において他の構成は、図1乃至図5に示す実施の形態と略同一である。図8、図9および図10(a)〜(f)に示す変形例において、図1乃至図5に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図1乃至図5に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。また、図8、図9および図10(a)〜(f)において、プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものを用いても良い。
第2の実施の形態
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図11乃至図20は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図11乃至図20において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図11および図12により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。
図11および図12に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図13参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
一方、内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
また、プラスチック製部材40は、その全体が所定の色に着色されており、容器本体10の外面かつ内側ラベル部材60の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。なお、本実施の形態ではプラスチック製部材40の全体が透明である場合を例にとって説明する。
次に内側ラベル部材60について説明する。内側ラベル部材60(60a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、このプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
内側ラベル部材60は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。この内側ラベル部材60は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図12に示すように、内側ラベル部材60は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に所望の文字、画像等を付与し、複合容器10Aに対して装飾性をもたせたり、情報を表示させたりすることができる。
なお、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60は1つに限らず、複数設けても良い。なお、内側ラベル部材60は、プラスチック製部材40と同一の領域に設けられていても良く、プラスチック製部材40よりも狭い領域に設けられていても良い。後者の場合、内側ラベル部材60はプラスチック製部材40によって完全に覆われることが好ましい。
また内側ラベル部材60の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm〜50μm程度とすることができる。
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するように内側ラベル部材60aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は内側ラベル部材60の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、内側ラベル部材60の外面において薄く引き延ばされて内側ラベル部材60を覆っている。図12に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
このほか、容器本体10およびプラスチック製部材40の構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に図13により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図13に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた有底円筒状の内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着して設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aの外面に密着されており、プリフォーム10aに対して容易に移動又は回転しない状態で密着されている。内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
内側ラベル部材60aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、プリフォーム10aのうち胴部20aの全部又は一部に内側ラベル部材60aを設け、成形後に容器本体10の胴部20に画像や文字が表示されるようにしても良い。これにより、容器を密栓した後、ラベラーを用いてラベルを付与する工程が不要となるので、製造コストを抑制することができるとともに、歩留まりが低下することを防止することができる。
このような内側ラベル部材60aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などのシートを用いることができる。内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)および/またはプラスチック製部材40aと同一の材料からなっていても良く、異なる材料からなっていても良い。
また、内側ラベル部材60aとして、以下に説明する各種材料を用いることもできる。
例えば内側ラベル部材60aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD−6(ナイロン)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また内側ラベル部材60aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。
また内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。さらに中空粒子を含んでなることが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1〜200μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、上記したものと同様のものを挙げることができる。また、上記市販される中空粒子を用いることもできる。中空粒子の含有量としては、内側ラベル部材60aに含有される樹脂100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
一方、プラスチック製部材40aは、内側ラベル部材60aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはそれぞれ1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つの内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
後者の場合、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであれば良い。なお、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられることが好ましい。
このほか、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次にプラスチック製部材40aおよび/または内側ラベル部材60aの形状について説明する。
図13および図14(a)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41(胴部61)と、胴部41(胴部61)に連結された底部42(底部62)とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)の底部42(底部62)がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。
また、図19(後述)および図14(b)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41(胴部61)を有していても良い。この場合、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)としては、例えば押出チューブを用いることができる。
また、図14(c)および図14(d)に示すように、プラスチック製部材40a(内側ラベル部材60a)は、シートを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、図14(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41(胴部61)を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、図14(d)に示すように、底部42(底部62)を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
次に図15(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図15(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設ける。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図15(b)参照)。この場合、内側ラベル部材60aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部61と、胴部61に連結された底部62とを有している。
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつ内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを、それぞれプリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつ内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、この内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
また、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設けてもよい。
このように、予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図15(a)〜(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図15(d)〜(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図15(c)参照)。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる。複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した第1の実施の形態の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる(図15(d)−(f)参照)。
このほか、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
ブロー成形方法の変形例
次に図16(a)〜(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の変形例について説明する。図16(a)〜(f)に示す変形例は、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものであり、他の構成は、図15(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図16(a)〜(f)において、図15(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図16(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設ける(図16(b)参照)。内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。このプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていてもよい。
この場合、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、加熱装置51によって加熱される(図16(c)参照)。このとき、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
このように、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する(図16(c)参照)。なお、プラスチック製部材(収縮チューブ)40a自体が収縮性を有する場合、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けた時点(図16(b)参照)でプラスチック製部材(収縮チューブ)40aが内側ラベル部材60aの外側に密着していても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱されたプリフォーム10a、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、ブロー成形金型50に送られる(図16(d)参照)。
プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図15(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材(収縮チューブ)40とを備えた複合容器10Aが得られる(図16(d)〜(f)参照)。
次に図17(a)〜(g)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)の他の変形例について説明する。図17(a)〜(g)に示す変形例は、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aがプリフォーム10aに対して収縮する作用をもち、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを2段階で加熱するものであり、他の構成は、図15(a)〜(f)に示す形態と略同一である。図17(a)〜(g)において、図15(a)〜(f)と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図17(a)参照)。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60の外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設ける(図17(b)参照)。プラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。このプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていても良い。
この場合、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを設けてもよい。
次に、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aは、第1の加熱装置55によって加熱される(図17(c)参照)。このとき、プリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば50℃乃至100℃としても良い。
プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが加熱されることにより、プラスチック製部材(収縮チューブ)40aが熱収縮し、プリフォーム10aの外側に密着する。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材(収縮チューブ)40aとを有する複合プリフォーム70が得られる(図17(c)参照)。
このように、第1の加熱装置55を用いて予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材(収縮チューブ)40aを加熱密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図17(a)〜(c))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図17(d)〜(g))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、第2の加熱装置51によって加熱される(図17(d)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、第2の加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材(収縮チューブ)40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、第2の加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図17(e)参照)。
複合プリフォーム70は、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した図15(a)〜(f)の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材(収縮チューブ)40aとを備えた複合容器10Aが得られる(図17(e)〜(g)参照)。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10と内側ラベル部材60とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。このためプリフォーム10aを用いて複合容器10Aを製造する段階で、予め複合容器10Aに内側ラベル部材60を設けておくことができる。したがって、複合容器10Aに内容液を充填して密栓した後、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がない。これにより、最終製品を製造するための製造コストを抑制することができる。
また、ラベラーの不具合等により最終製品を製造する際に歩留まりが低下することを防止することができる。
また本実施の形態によれば、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。
変形例
次に図18、図19および図20(a)〜(f)により本発明の変形例について説明する。
図18、図19および図20(a)〜(f)に示す変形例は、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状の内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを用いたものである。
図18に示す複合容器10Aにおいて、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図19に示す複合プリフォーム70において、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図18、図19および図20(a)〜(f)において他の構成は、図11乃至図15に示す実施の形態と略同一である。図18、図19および図20(a)〜(f)に示す変形例において、図11乃至図15に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図11乃至図15に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。また、図18、図19および図20(a)〜(f)において、プラスチック製部材40がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつものを用いても良い。