JP2022024753A - プライマー付き基材及びその製造方法、並びに接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる任意の材料からなる同種材又は異種材を、溶着により十分な接合強度で接合させることができる、プライマー付き基材及びその製造方法、並びに、前記プライマー付き基材を用いた接合体及びその製造方法を提供する。【解決手段】基材1、及び、基材1上に積層された1層又は複数層のプライマー層2を有するプライマー付き基材10であって、基材1は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる1種以上を含む材料からなり、プライマー層2の少なくとも最表面の層が、2種以上の現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなり、前記重合物が相互侵入高分子網目構造を形成している。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる任意の材料からなる基材を用いた接合体を得るのに好適なプライマー付き材料及びその製造方法に関する。また、前記プライマー付き材料を用いた接合体及びその製造方法に関する。
自動車を始めとする輸送機器においては、CO2排出量削減や省エネルギー化の観点から、軽量化が重要な課題となっている。このような課題に対して、近年、マルチマテリアル化のための技術開発が積極的に進められている。
マルチマテリアル化とは、高抗張力鋼板(ハイテン)、アルミニウム、及び炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の樹脂の、機能や特性がそれぞれ異なる材料(以下、異種材と言う。)を併用することによって、材料の軽量化や高強度化等を図る手法である。マルチマテリアル化の実現には、異種材の接合技術が不可欠である。
従来、異種材の接合方法としては、リベットで締結する方法や、接着剤で接着させる方法が主流であった。
リベット締結は点接合であり、接着剤による接着が面接合可能であるのに比べて、疲労特性に劣る。このため、リベット締結は、適用用途が制限され、例えば、操縦安定性が要求されるような自動車用部材での適用は好ましくない。また、例えば、CFRPと他の材料とのリベット締結では、炭素繊維が切断されやすくなる場合があり、接合する異種材の選択も制限されるものであった。
一方、接着剤による接着は、面接合可能であるため、例えば、薄膜状の異種材を接合した場合でも優れた疲労特性を示し、また、締結部品が不要であることにより軽量化を図れる等の利点を有しているものの、接着剤が硬化し、十分な接合力が得られるまでに時間がかかるという課題を有していた。
また、上記のようなリベット締結や接着剤での接着における課題を解決する接合方法として、溶着による接合も提案されている。例えば、特許文献1に、金属部材と、繊維強化熱可塑性樹脂部材とを、熱可塑性樹脂からなる絶縁性層を介して溶着させることが開示されている。
特開2016-36955号公報
溶着は、一般的には、同種の熱可塑性樹脂材の接合方法として知られている。異種材の接合に溶着を適用する場合は、特許文献1に記載のように、被接合材の一方が熱可塑性樹脂材であり、他方の被接合材の接合面に熱可塑性樹脂層を配置したり、あるいはまた、被接合材の両接合面ともに、熱可塑性樹脂層を配置したりして溶着する必要があった。
このように、従来の溶着による異種材の接合は、接合体の設計の自由度が制限され、また、両接合面への熱可塑性樹脂層の配置の作業に手間を要し、さらに、十分な接合強度が得られ難い等の課題を有していた。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる任意の材料からなる同種材又は異種材を、溶着により十分な接合強度で接合させることができる、プライマー付き基材及びその製造方法を提供することを目的とする。また、前記プライマー付き基材を用いて、十分な接合強度で、かつ簡便に、上記のような同種材又は異種材が接合された接合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる材料からなる基材上に、所定のプライマー層を積層させた被接合材によれば、溶着により十分な接合強度で接合された接合体が得られることを見出したことに基づく。
すなわち、本発明は、以下の手段を提供するものである。
[1]基材、及び、前記基材上に積層された1層又は複数層のプライマー層を有するプライマー付き基材であって、前記基材は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる1種以上を含む材料からなり、前記プライマー層の少なくとも最表面の層が、2種以上の現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなり、前記重合物が相互侵入高分子網目構造を形成している、プライマー付き基材。
[2]前記現場重合型樹脂組成物が、下記(A1)~(A6)からなる群より選ばれる1種以上を含有する組成物(A)、及び、下記(B1)~(B4)からなる群より選ばれる1種以上を含有する組成物(B)を含む、上記[1]に記載のプライマー付き基材。
(A1)ジイソシアネート化合物及びジオール化合物
(A2)ジイソシアネート化合物及びジアミノ化合物
(A3)ジイソシアネート化合物及びジチオール化合物
(A4)2官能エポキシ化合物及びジオール化合物
(A5)2官能エポキシ化合物及びジカルボン酸化合物
(A6)2官能エポキシ化合物及びジチオール化合物
(B1)(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
(B2)2官能エポキシ化合物、及び、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム
(B3)2官能エポキシ化合物、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
(B4)両末端を(メタ)アクリロイル化したカルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
[3]前記現場重合型樹脂組成物に含まれる前記組成物(A)と前記組成物(B)の質量比が、40/60~90/10である、上記[2]に記載のプライマー付き基材。
[4]前記組成物(A)が前記(A4)であり、かつ、前記(A4)におけるジオール化合物が2官能フェノール化合物である、上記[2]又は[3]に記載のプライマー付き基材。
[5]前記プライマー層の合計厚さが、1μm~10mmである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のプライマー付き基材。
[6]前記プライマー層の前記現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなる層が、前記基材に接している、上記[1]~[5]のいずれかに記載のプライマー付き基材。
[7]前記基材が官能基付与処理面を有し、該官能基付与処理面に前記プライマー層が接しており、前記官能基付与処理面が、下記(C1)~(C7)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む、上記[1]~[6]のいずれかに記載のプライマー付き基材。
(C1)シランカップリング剤由来の、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基
(C2)シランカップリング剤由来のアミノ基と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C3)シランカップリング剤由来のメルカプト基と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基及びを有する化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C4)シランカップリング剤由来の(メタ)アクリロイル基と、チオール化合物とが反応して生じた官能基
(C5)シランカップリング剤由来のエポキシ基と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C6)イソシアネート化合物由来のイソシアナト基
(C7)チオール化合物由来のメルカプト基
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載のプライマー付き基材を製造する方法において、前記現場重合型樹脂組成物を前記基材上で反応させて、前記プライマー層の前記重合物からなる層を形成する、プライマー付き基材の製造方法。
[9]前記現場重合型樹脂組成物を溶液として、前記基材上に塗布して反応させる、上記[8]に記載のプライマー付き基材の製造方法。
[10]前記現場重合型樹脂組成物を一部反応させ、フィルム、粉体及びエマルジョンからなる群より選ばれる1種の形態で、前記基材上に配置した後、該基材上で反応を進行させる、上記[9]に記載のプライマー付き基材の製造方法。
[11]前記基材上に、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して、官能基付与処理面を形成した後、該官能基付与処理面に、前記プライマー層を積層させる、上記[8]~[10]のいずれかに記載のプライマー付き基材の製造方法。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
[12]被接合材(1)と被接合材(2)とが接合された接合体であって、前記被接合材(1)及び前記被接合材(2)の少なくともいずれか一方が、上記[1]~[7]のいずれかに記載のプライマー付き基材である、接合体。
[13]上記[12]に記載の接合体を製造する方法において、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導溶着法、高周波溶着法、レーザー溶着法、熱プレス溶着法及び射出溶着法からなる群より選ばれる1種以上の方法で、前記被接合材(1)と前記被接合材(2)を接合する、接合体の製造方法。
本発明のプライマー付き基材によれば、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる任意の材料からなる同種材又は異種材を、溶着により十分な接合強度で接合させることができる。
したがって、本発明によれば、前記プライマー付き基材を用いて、十分な接合強度で、かつ簡便に、上記のような同種材又は異種材が接合された接合体を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るプライマー付き基材の模式断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るプライマー付き基材の模式断面図である。
以下、本発明のプライマー付き基材及びその製造方法、並びに、接合体及びその製造方法の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、本明細書における各用語の定義は、以下のとおりである。
「接合」とは、物と物を繋ぎ合わせることを意味し、溶着、接着は、その下位概念である。「溶着」とは、同種材又は異種材の接合面同士を、少なくとも一方の軟化点を超える温度まで加熱して加圧し、接触加圧及び冷却での分子拡散による絡み合いや結晶化によって接合状態とすることを意味する。「接着」とは、テープや接着剤等の有機材料(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、被着材を接合状態とすることを意味する。
「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。同様に、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
「常温」とは、5~30℃の範囲内の一般的な室温を意味する。
[プライマー付き基材]
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係るプライマー付き基材の模式断面図を図1に示す。図1に示すプライマー付き基材10は、基材1上に、プライマー層2が積層されている。
プライマー付き基材10は、樹脂、金属、ガラス及び/又はセラミックスの同種材又は異種材を、溶着により十分な接合強度で接合させることができるものである。また、プライマー付き基材10は、作製後、数か月程度経過してから被接合材と接合させる場合であっても、十分な接合強度を発揮し得る。
<基材>
基材1は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる材料からなり、これらのうちの1種であっても、2種以上を含む材料からなるものであってもよい。
基材1の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム状、薄板状、柱状、管状、凹凸や曲面を有する立体形状等であってもよい。
(樹脂)
基材1の材料としての樹脂は、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよく、特に限定されるものではない。
前記樹脂としては、一般的な合成樹脂でよく、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等の汎用樹脂;ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6(ポリアミド6)やナイロン66(ポリアミド66)等のポリアミド樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル等の汎用エンジニアリングプラスチック;ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスルホン、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
前記樹脂は、樹脂のみで構成されているものであっても、ガラス繊維や炭素繊維で強化された繊維強化プラスチック(FRP)等であってもよい。
前記樹脂は、予め成形された成形体であることが好ましく、また、塗膜として形成されたものであってもよい。前記樹脂の形態としては、例えば、バルク、フィルム、シート、FRP成形体等が挙げられる。これらのうちからなる群より選ばれる1種であっても、2種以上の複合体であってもよい。
前記形態の樹脂の製造方法や成形方法は、特に限定されるものではなく、本実施形態では、公知の方法で得られる樹脂を適用することができる。前記樹脂は、例えば、顔料等の着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(金属)
前記金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、鋼等が挙げられる。これらのうち、得られる接合体の軽量化の観点からは、アルミニウムが好ましい。
(ガラス)
前記ガラスとしては、特に限定されるものではなく、一般的なガラスの他、耐熱ガラス、防火ガラス、耐火ガラス、スマートフォンの保護等に用いられる化学強化ガラス等であってもよい。具体的には、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等が挙げられる。
(セラミックス)
前記セラミックスとしては、特に限定されるものではく、例えば、半導体、自動車、産業用機器等に用いられるファインセラミックス等が挙げられる。具体的には、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム等の酸化物系セラミックス;ハイドロキシアパタイト等の水酸化物系セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物系セラミックス;窒化ケイ素等の窒化物系セラミックス等が挙げられる。
(前処理)
基材1のプライマー層2を積層させる面は、清浄化やアンカー効果によるプライマー層2の接着性の向上の観点から、プライマー層2を積層させる前に、前処理を施しておいてもよい。特に、基材1が金属、セラミックス又はFRPである場合に、このような前処理により、プライマー層2と基材1との接着性が良好になりやすく、基材1と被接合材との接合強度の向上にも間接的に寄与し得る。
前記前処理としては、例えば、溶剤等による洗浄、脱脂処理、ブラスト処理、サンディング等の研磨処理、プラズマ処理、レーザー処理、エッチング処理、ベーマイト処理等の化成処理等が挙げられ、基材1の材料に応じて、適宜選択される。前記前処理は、1種のみであってもよく、2種以上組み合わせて行ってもよい。前記前処理の具体的な方法は、公知の方法を適用することができる。
<プライマー層>
基材1上に積層されているプライマー層2は、1層であっても、複数層であってもよい。
ここで、本発明におけるプライマー層とは、基材上に積層されており、該基材と接合させる被接合材との間に介在させることにより、溶着によって、基材と被接合材とを接合させることができる重合性組成物を含む層を指す。
プライマー層2は、基材1の表面を、汚れや酸化等の変質から保護する役割も有し得る。
プライマー層2の少なくとも最表面の層は、2種以上の現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなる。以下、このような重合物からなる層を、「現場重合層」と略称する。前記現場重合層における重合物は、相互侵入高分子網目(IPN:interpenetrating polymer network)構造を形成している。
プライマー層2のうち、現場重合層は1層であっても、2層以上積層されていてもよい。
現場重合層は、基材1と接合する被接合材との十分な接合強度を得る観点から、基材1側とは反対側の、プライマー層2の少なくとも最表面、すなわち、図1における最上面となるように積層されている。
プライマー層2が複数層からなる場合、プライマー層2と基材1との良好な接着性を得ら観点から、現場重合層は、基材1に接していることが好ましい。
プライマー層2は、現場重合層以外に、基材1上への現場重合層の積層を容易にする観点から、1層又は複数層の熱硬化性樹脂層を含んでいてもよい。前記熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
プライマー層2の厚さは、基材1及び被接合材の材料の種類や接合部分の接触面積等にもよるが、十分な接合強度を得るため、また、基材1と被接合材が異種材である場合、両者の熱膨張係数の差に起因して、得られる接合体が熱変形を生じることを抑制する観点から、1μm~10mmであることが好ましい。より好ましくは10μm~8mmであり、更に好ましくは50μm~5mmである。プライマー層2が複数層からなる場合は、プライマー層2の厚さは、各層の厚さの合計の値とする。
プライマー層2の各層は、該プライマー層2の溶着により得られる十分な接合強度を得られる範囲内において、必要に応じて、着色剤、酸化防止剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。
現場重合層における重合物を形成する2種以上の現場重合型樹脂組成物は、現場で、すなわち、基材1上で、2官能化合物の所定の組み合わせである組成物(A)を重付加反応させるとともに、所定の単官能モノマーやゴム成分の組み合わせである組成物(B)を重合反応させることにより、熱可塑性樹脂によるIPN構造を形成し得る樹脂組成物を含むことが好ましい。IPN構造を形成している前記重合物は、架橋構造によって3次元ネットワークを形成する熱硬化性樹脂とは異なり、熱可塑性を有する。
第1の実施形態のプライマー付き基材10は、プライマー層2として、このようなIPN構造を形成する重合物からなる現場重合層を備えていることにより、溶着によって、種々の材料からなる被接合材と十分な接合強度で接合させることができる。
なお、IPN構造の形成は、例えば、動的粘弾性測定で求められるガラス転移温度や、得られる重合物の透明性等が、組成物(A)の重付加反応物、組成物(B)の反応重合物、又はこれらの混合物とは異なること等から推測され得る。
前記IPN構造は、組成物(A)の重付加反応、及び、組成物(B)の重合反応の進行を調整することにより、制御することができる。例えば、組成物(B)が、(B1)、(B3)又は(B4)であり、光ラジカル重合開始剤を含む場合には、加熱前に光照射を行い、組成物(B)の光ラジカル重合反応を先行させたり、光照射前に加熱して、組成物(A)の重付加反応を先行させたり、光照射と加熱を同時に行ったりすることにより、異なるIPN構造が形成され得る。
なお、重付加反応及び重合反応は、反応する官能基の種類によって、反応条件や重合度等が異なり、形成されるIPN構造を、官能基の種類に応じた個別具体的態様について包括的に表現することは困難であり、具体的な化学構造又は特性で直接的に特定することは不可能又は非実際的である。
組成物(A)と組成物(B)の配合比は、現場重合層においてIPN構造が形成され、かつ、現場重合層の熱可塑性が十分に確保されるようにする観点から、質量比((A)/(B))で40/60~90/10であることが好ましく、より好ましくは50/50~80/20、さらに好ましくは55/45~75/25である。
組成物(A)は、重付加反応する2官能化合物の所定の組み合わせであり、具体的には、下記(A1)~(A6)からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(A1)ジイソシアネート化合物及びジオール化合物
(A2)ジイソシアネート化合物及びジアミノ化合物
(A3)ジイソシアネート化合物及びジチオール化合物
(A4)2官能エポキシ化合物及びジオール化合物
(A5)2官能エポキシ化合物及びジカルボン酸化合物
(A6)2官能エポキシ化合物及びジチオール化合物
(A1)~(A6)における2種の2官能化合物の配合比は、両化合物の重付加反応の反応性を考慮して設定することができる。例えば、(A1)の場合、ジイソシアネート化合物のイソシアナト基とジオール化合物の水酸基とのモル当量比、すなわち、ジイソシアネート化合物のジオール化合物に対するモル比が、0.7~1.5であることが好ましく、より好ましくは0.8~1.4、更に好ましくは0.9~1.3である。
(A2)~(A6)についても、前者の2官能化合物と後者の2官能化合物との配合比を、上述した(A1)の場合と同様に設定することが好ましい。
組成物(B)は、ラジカル重合反応する所定の単官能モノマーやゴム成分の組み合わせであり、具体的には、下記(B1)~(B4)からなる群より選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
(B1)(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
(B2)2官能エポキシ化合物、及び、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム
(B3)2官能エポキシ化合物、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
(B4)両末端を(メタ)アクリロイル化したカルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
(B1)において、ラジカル重合性単官能モノマー100質量部中、(メタ)アクリロイルモルホリンの配合量は、好ましくは10~80質量部、より好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは10~40質量部である。ラウリル(メタ)アクリレートの配合量も、ラジカル重合性単官能モノマー100質量部中、好ましくは10~80質量部、より好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは10~40質量部である。
(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートは、硬化物の伸び率に寄与する成分であり、それぞれ、10質量部以上であることにより、伸び率向上の効果が得られやすい。また、80質量部以下であれば、伸び率等の適度な物性が得られやすい。
(B2)において、2官能エポキシ化合物とカルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム(以下、「CTBN」と略称する。)との配合比は、熱可塑性樹脂としての網目構造を得る観点から、モル当量比で、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~80/20である。
(B3)において、2官能エポキシ化合物、CTBN、及び、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴムの3成分の合計100モル部のうち、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴムは、ラジカル重合性単官能モノマーとエポキシ化合物とを繋ぐ役割を十分に果たす観点から、好ましくは3~15モル部、より好ましくは4~10モル部、更に好ましくは5~8モル部である。前記3成分中のエポキシ基とカルボキシ基の当量比は、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10、更に好ましくは20/80~80/20である。
前記3成分と、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマーの合計100質量部中、ラジカル重合性単官能モノマーは、伸び率等の適度な物性等の観点から、好ましくは10~80質量部、より好ましくは20~60質量部、更に好ましくは20~50質量部である。
(B4)において、両末端を(メタ)アクリロイル化したCTBN、並びに、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマーの合計100質量部中、両末端を(メタ)アクリロイル化したCTBNは、架橋を抑制し、熱可塑性を十分に得られるようにする観点から、好ましくは10~70質量部、より好ましくは10~60質量部、更に好ましくは10~50質量部である。
組成物(A)及び組成物(B)における具体的な化合物の組み合わせは、化合物同士の反応性や相溶性等を勘案して、適宜決めることができる。
組成物(A)及び組成物(B)には、それぞれの混合における均一性、また、現場重合層を形成する際の塗布容易性等の観点から、溶剤が含まれていてもよい。前記溶剤としては、例えば、アセトンやトルエン等の汎用の揮発性溶剤が挙げられる。
組成物(A)には、重付加反応のための触媒として、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン系触媒、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が含まれていてもよい。
(ジイソシアネート化合物)
(A1)~(A3)におけるジイソシアネート化合物は、イソシアナト基を2個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)又はその混合物、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、プライマー層の強度の観点から、TDI、MDIが好ましい。
(ジオール化合物)
(A1)及び(A4)におけるジオール化合物は、水酸基を2個有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール化合物;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の2官能フェノール化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、プライマー層の強靭性の観点からは、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が好ましい。また、(A4)において、2官能エポキシ化合物と組み合わせるジオール化合物としては、2官能フェノール化合物が好ましく、ビスフェノール類が特に好ましい。
(ジアミノ化合物)
(A2)におけるジアミノ化合物は、アミノ基を2個有する化合物であり、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジン等の脂肪族ジアミン化合物;ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルプロパン等の芳香族ジアミン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、プライマー層の強靭性の観点からは、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン等が好ましい。
(ジチオール化合物)
(A3)及び(A6)におけるジチオール化合物は、メルカプト基を2個有する化合物であり、これらのうち、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。前記ジチオール化合物としては、例えば、第二級ジチオール化合物である1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、「カレンズMT(登録商標) BD1」(昭和電工株式会社製))等が挙げられる。
(2官能エポキシ化合物)
(A4)~(A6)、(B2)及び(B3)における2官能エポキシ化合物は、エポキシ基を2個有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂;1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエ-テル等の脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。具体的な商品としては、「jER(登録商標) 828、834、1001、1004、1007、YX-4000」(いずれも三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
なお、組成物(A)又は(B)に2官能エポキシ化合物が含まれている場合は、触媒として、前記第三級アミン系触媒又は前記リン系触媒等が含まれていることが好ましい。
(ジカルボン酸化合物)
(A5)におけるジカルボン酸化合物は、カルボキシ基を2つ有する化合物であり、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、プライマー層の強度や強靭性等の観点からは、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸が好ましい。
(ラジカル重合性単官能モノマー)
(B1)、(B3)及び(B4)におけるラジカル重合性単官能モノマーは、エチレン性不飽和結合を1個有するモノマーであり、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートが含まれる。(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレート以外のラジカル重合性単官能モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキル、ニトロ、シアノ、アミド又はエステル置換(α-、o-、m-又はp-)のスチレン誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ノルマルプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、プライマー層の強度や強靭性等の観点から、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートのうちのいずれか1種以上が、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートと併用されることが好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
(B1)、(B3)及び(B4)においては、ラジカル重合開始剤を、前記ラジカル重合性単官能モノマーと併用する。
前記ラジカル重合開始剤としては、公知の有機過酸化物や光重合開始剤、また、有機過酸化物にコバルト金属塩やアミン類を組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアリルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシジカーボネート類等が挙げられる。光重合開始剤は、紫外線~可視光の波長領域の光照射によりラジカル重合を開始可能なものであることが好ましい。これらは、1種単独で用いられても、2種以上が併用されてもよい。
(カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム(CTBN))
(B2)及び(B3)においては、ゴム成分として、CTBNを用いる。組成物(B)に、このようなゴム成分を含有していることにより、組成物(A)とのIPN構造を形成する上で、組成物(A)とゴム成分の骨格とが絡み合うことにより、現場重合層自体の靭性が向上し、十分な接合強度が得られるプライマー層を好適に形成することができる。
(末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴム)
(B3)においては、ゴム成分として、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴムを、CTBNと併用する。末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴムは、CTBNの末端の一方のカルボキシ基が(メタ)アクリロイル化されたものである。末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴムは、片末端の(メタ)アクリロイル基が、ラジカル重合性単官能モノマーと一部結合することにより、現場重合層の強度を向上させることができる。
(両末端を(メタ)アクリロイル化したカルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム)
(B4)においては、ゴム成分として、両末端を(メタ)アクリロイル化したCTBNを用いる。両末端を(メタ)アクリロイル化したCTBNの両末端の(メタ)アクリロイル基は、架橋構造を形成し得るため、現場重合層の熱可塑性を保持しつつ、部分的な架橋構造による強度の向上を図ることができる。
<プライマー付き基材の製造方法>
プライマー付き基材10の製造においては、前記現場重合型樹脂組成物を基材1上で反応させて、プライマー層2の前記重合物からなる層、すなわち、現場重合層を形成する。
基材1上で前記現場重合型樹脂組成物を反応させて現場重合層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記現場重合型樹脂組成物の溶液を、基材1上に塗布して反応させることが好ましい。
前記溶液は、塗布のしやすさ及び現場重合層の所望の厚さ等に応じて、組成物(A)及び組成物(B)を所定の配合比で配合して撹拌混合した混合溶液として調製することができる。
前記溶液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の前記現場重合型樹脂組成物の20~100℃の溶液中に、基材1を1分~5日間浸漬し、引き上げた後、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させ、次いで、常温~200℃の範囲内の温度に加熱して5~120分間放置し、さらに、常温~100℃で10秒~60分間、紫外線又は可視光を照射することにより、現場重合層を形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の溶液を、基材1に吹き付けた後、常温~100℃の範囲内の温度で1分~5時間乾燥させ、次いで、常温~200℃の範囲内の温度に加熱して5~120分間放置し、さらに、常温~100℃の範囲内の温度で10秒~60分間、紫外線又は可視光を照射することにより、現場重合層を形成することができる。
また、前記現場重合型樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、離型フィルム上に塗布し、常温~40℃の環境下で溶剤を揮発させて一部反応させたフィルムを形成し、該フィルムを基材1に当接するように配置した後、前記離型フィルムを剥離して、基材1上で、前記フィルムにおける現場重合型樹脂組成物の反応をさらに進行させて現場重合層を形成してもよい。
あるいはまた、現場重合層は、前記現場重合型樹脂組成物を含む粉体又はエマルジョンの形態で、基材1上に塗布して反応させて形成することもできる。前記粉体としては、例えば、前記フィルムを粉砕したものを粉体塗料等の態様で用いることができ、また、この粉砕したものを、乳化剤を用いて水等に乳化させて前記エマルジョンとすることができる。
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係るプライマー付き基材の模式断面図を、図2に示す。図2に示すプライマー付き基材20は、基材1が官能基付与処理面1aを有しており、該官能基付与処理面1aにプライマー層2が接するように形成されている。
プライマー付き基材20は、基材1の、プライマー層2と接する面が、官能基付与処理面1aであることにより、プライマー層2と基材1との接着性が良好になりやすく、基材1と被接合材との接合強度の向上にも間接的に寄与し得る。
官能基付与処理面1aは、同様の観点から、上述した第1の実施形態における基材1の前処理を施した面に形成されていることも好ましい。
なお、プライマー付き基材20における基材1の官能基付与処理面1a以外の構成及びプライマー層2は、上述した第1の実施形態のプライマー付き基材10の基材1及びプライマー層2と同様であるため、説明を省略する。
<官能基付与処理面>
プライマー付き基材20における基材1の官能基付与処理面1aは、下記(C1)~(C7)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含むものである。
(C1)シランカップリング剤由来の、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基
(C2)シランカップリング剤由来のアミノ基と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C3)シランカップリング剤由来のメルカプト基と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C4)シランカップリング剤由来の(メタ)アクリロイル基と、チオール化合物とが反応して生じた官能基
(C5)シランカップリング剤由来のエポキシ基と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C6)イソシアネート化合物由来のイソシアナト基
(C7)チオール化合物由来のメルカプト基
官能基付与処理面1aは、上記の(C1)~(C7)の官能基のうち、プライマー層2の現場重合層を形成する現場重合型樹脂組成物の官能基と反応性を有する官能基を含んでいることが好ましい。これらの官能基は、1種単独でも、2種以上を含んでいてもよい。
官能基付与処理面1aが有する官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、カルボキシ基、水酸基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
(C1)及び(C5)におけるエポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C2)におけるアミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C4)における(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C3)におけるメルカプト基を有するシランカップリング剤としては3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(C2)及び(C3)におけるエポキシ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した組成物(A)及び(B)における2官能エポキシ化合物等が挙げられる。
(C2)、(C4)、(C5)及び(C7)におけるチオール化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した組成物(A)におけるジチオール化合物等が挙げられる。
(C3)及び(C5)におけるアミノ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した組成物(A)におけるジアミノ化合物等が挙げられる。
官能基(C3)及び(C6)におけるイソシアネート化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した組成物(A)におけるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
(C3)におけるエポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C3)及び(C5)におけるアミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
プライマー付き基材20は、基材1上に、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して、官能基付与処理面1aを形成した後、官能基付与処理面1aに、プライマー層2を積層させることにより得られる。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
(c1)~(c7)の化合物は、上記の(C1)~(C7)の官能基にそれぞれ対応し、これらの官能基を生成させるものである。すなわち、(c1)を含む溶液を用いた官能基付与処理により、(C1)の官能基を含む官能基付与処理面1aを形成することができる。(c2)~(c7)についても同様である。
例えば、(c2)による処理で、アミノ基にジチオール化合物を反応させた場合、該ジチオール化合物が有する官能基であるメルカプト基が末端に導入される。同様に、(c3)による処理で、メルカプト基に多官能イソシアネート化合物を反応させた場合、該多官能イソシアネート化合物が有する官能基であるイソシアナト基が末端に導入される。
なお、プライマー付き基材20においては、基材1の官能基付与処理面1aにプライマー層2が積層され、官能基付与処理面1aの(C1)~(C7)の官能基は、プライマー層2を構成する化合物の官能基と反応するため、存在を確認することは不可能である。また、(c1)~(c7)の各化合物を用いて生じさせた官能基は、1種に限られず、多岐にわたる場合もある。このような事情に鑑みて、本発明では、所定の官能基同士の反応により所定の官能基が生じるとの周知技術及びそれに基づく推測から、所定の官能基を有する化合物による官能基付与処理を行うことにより、所定の官能基を有する官能基付与処面1aが形成されるものとみなして、(C1)~(C7)及び(c1)~(c7)のように表記している。
前記溶液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の20~100℃の前記溶液中に、基材1を1分~5日間浸漬し、引き上げた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面1aを形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の前記溶液を、基材1に吹き付けた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面1aを形成することができる。
プライマー付き基材20の製造においては、前記現場重合型樹脂組成物を基材1の官能基付与処理面1a上で反応させて、プライマー層2の前記重合物からなる層、すなわち、現場重合層を形成する。
官能基付与処理面1a上で前記現場重合型樹脂組成物を反応させて現場重合層を形成する方法は、上述した第1の実施形態のプライマー付き基材10において、基材1上で現場重合層を形成する方法と同様にして行うことができる。
なお、基材1の官能基付与処理面1aを形成する面は、清浄化やアンカー効果による官能基の付与のしやすさ等の観点から、官能基付与処理前に、上述した第1の実施形態と同様の前処理を施しておいてもよい。特に、基材1が金属、セラミックス又はFRPである場合に、このような前処理により、官能基が付与されやすくなり、基材1と被接合材との接合強度の向上にも間接的に寄与し得る。
[接合体]
本発明の実施形態に係る接合体は、被接合材(1)と被接合材(2)とが接合された接合体であって、被接合材(1)及び/又は被接合材(2)を、プライマー付き基材10又はプライマー付き基材20としたものである。
すなわち、前記接合体は、プライマー付き基材10及び/又はプライマー付き基材20を用いて得られた接合体であり、基材1と被接合材とが、プライマー付き基材10及び/又はプライマー付き基材20のプライマー層2を介して接合されている。
前記接合体において、プライマー付き基材10及びプライマー付き基材20のいずれでもない被接合材としては、プライマー付き基材10及びプライマー付き基材20における基材1と同様のものが挙げられる。
したがって、前記接合材の被接合材(1)と被接合材(2)の組み合わせ(順序は問わない。)としては、具体的には、プライマー付き基材10又はプライマー付き基材20と、基材1との組み合わせが挙げられる。また、プライマー付き基材10又はプライマー付き基材20と、プライマー付き基材10又はプライマー付き基材20との組み合わせであってもよい。
被接合材(1)及び被接合材(2)の各基材は、同種材であっても、異種材であってもよい。
前記接合体は、被接合材(1)と被接合材(2)を溶着により接合させたものである。溶着の具体的な方法としては、例えば、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導溶着法、高周波溶着法、レーザー溶着法、熱プレス溶着法、射出溶着法等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上の方法を併用して、接合させることができる。
溶着は、前記接合体の接合部分に、プライマー付き基材10及び/又はプライマー付き基材20のプライマー層2が配置されるように、被接合材(1)と被接合材(2)を重ね合わせて行う。これにより、被接合材(1)と被接合材(2)の各基材が、同種材であるか、異種材であるかを問わず、両者を十分な接合強度で接合させることができる。
以下、本実施形態を、実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例の各接合体試料を作製した。
まず、接合体試料の作製に用いた各種材料及び各種処理の詳細を説明する。
[基材]
被接合材(1)及び被接合材(2)の試験片の製造に用いた各種基材の詳細を下記に示す。
・鋼:鋼板、SPHC(JIS G 3131:2018)、25mm×100mm、厚さ1.6mm
・アルミニウム(1):A6063、25mm×100mm、厚さ2mm
・CFRP:炭素繊維強化不飽和ポリエステル樹脂;「リゴラック(登録商標) RCS-1000BK」(昭和電工株式会社製)に炭素繊維50質量%を含有させた炭素繊維シートモールディングコンパウンド(CF-SMC)の圧縮成形品、25mm×100mm、厚さ3mm
・銅:C1100P(JIS H 3100:2012)、25mm×100mm、厚さ2.6mm
・ガラス:化学強化専用ガラス、「Dinorex(登録商標)(ダイノレックス) T2X-1」、日本電気硝子株式会社製、18mm×45mm、厚さ1.1mm
・セラミックス:アルミナ、厚膜用基板、京セラ株式会社製、厚さ1mm
・アルミニウム(2):A6063、18mm×45mm、厚さ1.5mm
また、以下の樹脂からなる各基材は、射出成形機(「SE100V」、住友重機械工業株式会社製;以下、同様。)で、下記表1に示す各条件で射出成形し、サイズ10mm×45mm×3mmとした。
・PC:ポリカーボネート、「マクロロン(登録商標) 2405」、コベストロ社製
・PEI:ポリエーテルイミド、「ウルテム(登録商標) 1040A」、SABIC社製
・PA6:ポリアミド6、ガラス繊維30質量%含有、「ノバミド(登録商標)」、DSM社製
・PBT:ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊維30質量%含有、「バロックス 507」、SABIC社製
・PPS:ポリフェニレンサルファイド、ガラス繊維40質量%含有、「FZ-2140」、DIC株式会社製
・PA66:ポリアミド66、ガラス繊維30質量%含有、「ノバミド(登録商標)」、DSM社製
Figure 2022024753000002
[前処理]
被接合材(1)及び被接合材(2)の試験片の製造において、基材の前処理は、以下のようにして行った。
・脱脂処理:アセトン洗浄
・サンディング処理:サンドペーパー(#1000)で表面研磨した後、アセトン洗浄した。
・ベーマイト処理:濃度5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に、アルミニウムの基材を1.5分間浸漬し、濃度5質量%の硝酸水溶液で中和した後、水洗、乾燥して、エッチング処理を行った。エッチング処理した基材を、純水中で10分間煮沸した後、250℃で10分間ベーキングした。
[官能基付与処理]
被接合材(1)及び被接合材(2)の試験片の製造において、基材の官能基付与処理は、以下のようにして行った。官能基付与処理に用いた各種化合物の詳細を下記に示す。
・「KBM-903」:3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、シランカップリング剤(末端アミノ基アルコキシシラン)
・BD1:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、「カレンズMT(登録商標) BD1」、昭和電工株式会社製、ジチオール化合物
・DMP-30:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、反応促進剤
(処理1)
KBM-903 0.5gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃の溶液中に、基材のプライマー層を形成する側の面を20分間浸漬し、引き上げた後、40℃で20分間乾燥し、基材に、アミノ基を有する官能基付与処理面(1)を形成した。
(処理2)
KBM-903 0.5gを工業用エタノール1000gに溶解させた70℃の溶液中に、基材のプライマー層を形成する側の面を20分間浸漬し、引き上げた後、40℃で20分間乾燥した。次いで、BD1 0.6g、DMP-30 0.05gを、トルエン150g中に溶解させた70℃の溶液中に、基材のプライマー層を形成する側の面を10分間浸漬し、引き上げた後、トルエンで洗浄し、40℃で20分間乾燥し、メルカプト基を有する官能基付与処理面(2)を形成した。
[現場重合型樹脂組成物の調製]
被接合材(1)及び(2)の試験片の製造に用いる現場重合型樹脂組成物を構成する組成物(a1)~(a6)及び組成物(b1)~(b4)を、下記の調製例により調製した。下記調製例で用いた各種化合物の詳細を以下に示す。
・MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート、「ミリオネート MR-200」、東ソー株式会社製、ジイソシアネート化合物
・DMP-30:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、反応促進剤
・BD1:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、「カレンズMT(登録商標) BD1」、昭和電工株式会社製、ジチオール化合物
・「jER(登録商標;以下、省略。) 1007」:三菱ケミカル株式会社製、2官能エポキシ化合物
・「jER 1004」:三菱ケミカル株式会社製、2官能エポキシ化合物
・「イルガキュア(登録商標;以下、省略。) 819」:BASF社製、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)
・CTBN:「ハイカー(登録商標) CTBN 1300×13」、ルーブリゾール社製、末端カルボキシ基ブタジエンニトリルゴム
(調製例A1)
MDI 100g、プロピレングリコール60.8g、及びDMP-30 0.5gを、アセトン299gに溶解し、組成物(a1)を調製した。
(調製例A2)
MDI 100g、及び4,4’-ジアミノジフェニルメタン158gを、アセトン480gに溶解して、組成物(a2)を調製した。
(調製例A3)
MDI 100g、BD1 119.8g、及びDMP-30 0.5gを、アセトン408gに溶解して、組成物(a3)を調製した。
(調製例A4)
jER 1007 100g、ビスフェノールS 6.2g、及びトリフェニルホスフィン0.4gを、アセトン197gに溶解して、組成物(a4)を調製した。
(調製例A5)
jER 1004 100g、テレフタル酸9.2g、及びトリフェニルホスフィン0.4gを、アセトン203gに溶解して、組成物(a5)を調製した。
(調製例A6)
jER 1004 100g、BD1 7.4g、及びトリフェニルホスフィン1.1gを、アセトン203gに溶解して、組成物(a6)を調製した。
(調製例B1)
アクリロイルモルホリン30g、ラウリルメタクリレート35g、2-エチルヘキシルメタクリレート35g、イルガキュア 819 0.5gを混合して、組成物(b1)を調製した。
(調製例B2)
jER 1007 100g、CTBN 84.9g、及びトリフェニルホスフィン0.7gを、トルエン343gに溶解して、組成物(b2)を調製した。
(調製例B3)
フラスコに、CTBN 1724g、グリシジルメタクリレート17.75g(CTBNに対して1/8当量)、重合禁止剤としてハイドロキノン0.3g、触媒としてトリフェニルホスフィン0.5g、及びキシレン1741.8gを仕込み、120℃で2時間撹拌して、CTBNへのグリシジルメタクリレートの付加反応を行った。酸価の測定により、反応終了を確認した。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて、反応生成物が、CTBN及びCTBNのモノメタクリレートの2成分(以下、「CTBN-1/8メタクリレート」と略称する。)であることを確認した。
常温に放冷後、イルガキュア 819 5.2gを添加し、CTBN-1/8メタクリレート及びラジカル重合開始剤の混合物を得た。
jER 1007 39g、上記で得られた混合物(CTBN-1/8メタクリレート40g相当)、アクリロイルモルホリン10g、ラウリルメタクリレート25g、2-エチルヘキシルメタクリレート25g、及びトリフェニルホスフィン0.2gを、トルエン100gに溶解して、組成物(b3)を調製した。
(調製例B4)
フラスコに、CTBN 1724g、グリシジルメタクリレート142g(CTBNのカルボキシ基に対してエポキシ基1.0当量)、重合禁止剤としてハイドロキノン0.56g、触媒としてトリフェニルホスフィン5g、及びキシレン1866gを仕込み、120℃で3時間撹拌して、CTBNへのグリシジルメタクリレートの付加反応を行い、両末端をメタクリロイル化したCTBN(以下、「CTBNメタクリレート」と略称する。)を得た。酸価の測定により、反応終了を確認した。
常温に放冷後、ラジカル重合開始剤7.5gを添加し、CTBNメタクリレート及びラジカル重合開始剤の混合物を得た。
上記で得られた混合物(CTBNメタクリレート40g相当)、アクリロイルモルホリン10g、ラウリルメタクリレート25g、及び2-エチルヘキシルメタクリレート25gを、トルエン100gに溶解して、組成物(b4)を調製した。
[接合体試料の作製(1)]
(実施例1-1)
鋼をサンディング処理した面に、組成物(a1)及び組成物(b1)の混合物(配合質量比(溶媒及び触媒を除く;以下、同様。)70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間、重付加反応を行い、常温まで放冷して、250Wメタルハライドランプで10cmの距離から30分間、可視光照射して光ラジカル重合を行い、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-1)2枚を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせてクリップで挟み、150℃で5分間保持して熱溶着し、接合体試料を作製した。
(実施例1-2)
鋼の非処理面に、組成物(a2)及び組成物(b2)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した。大気中、常温で30分間放置して溶剤を揮発させた後、温度150℃の炉内で30分間、重付加反応を行い、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-2)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-2)のプライマー層の表面と鋼の非処理面(プライマーなし試験片(Q1-1))とを、接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-3)
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)に、組成物(a3)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-3)を作製した。
鋼の非処理面にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-4)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-3)及び(P1-4)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-4)
アルミニウム(1)の非処理面に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-5)を作製した。
銅をサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-6)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-5)及び(P1-6)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-5)
CFRPの非処理面に、組成物(a4)及び組成物(b4)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-7)を作製した。
鋼をサンディング処理した面にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-8)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-7)及び(P1-8)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-6)
CFRPをサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)に、組成物(a6)及び組成物(b1)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-9)を作製した。
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-10)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-9)及び(P1-10)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-7)
銅の非処理面に、組成物(a5)及び(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-11)を作製した。
鋼をサンディング処理した面にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-12)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-11)及び(P1-12)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-8)
セラミックスをサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-13)を作製した。
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)にも、上記と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-14)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-13)及び(P1-14)を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-9)
ガラスを官能基付与処理した官能基付与処理面(1)に、組成物(a5)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-15)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-15)2枚を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-10)
銅の非処理面に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-16)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-16)のプライマー層の表面とアルミニウムの非処理面(プライマーなし試験片(Q1-2))とを、接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(実施例1-11)
離型フィルム上に、組成物(a1)及び組成物(b1)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した。大気中、40℃で24時間放置して溶剤を揮発させ、わずかに反応を進行させた現場重合型樹脂組成物フィルムを作製した。
鋼をサンディング処理した面に、前記現場重合型樹脂組成物フィルムを貼り付けて反対面の離型フィルムを剥がし、温度150℃の炉内で30分間、重付加反応を行い、常温まで放冷して、250Wメタルハライドランプで10cmの距離から30分間、可視光照射し、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P1-17)を作製した。
プライマー付き試験片(P1-17)2枚を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせてクリップで挟み、150℃で5分間保持して熱溶着し、接合体試料を作製した。
(比較例1-1)
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)(プライマーなし試験片(Q1-3))と、銅をサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)(プライマーなし試験片(Q1-4))とを、接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
(比較例1-2)
CFRPをサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(1)同士(プライマーなし試験片(Q1-5)2枚)を、接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
(比較例1-3)
フラスコに組成物a1を投入し、溶剤を揮発させた後、150℃で30分間保持して、熱可塑性エポキシ樹脂(a1の重合体)を得た。常温まで放冷後、アセトンで希釈し、濃度65質量%の重合済みA1溶液とした。
鋼をサンディング処理した面に、a1の重合体の溶液を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、50℃で5時間乾燥させて、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P’1-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P’1-1)2枚を、両プライマー層の表面同士の接合面が25mm×13mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
[接合体試料の接合強度評価(1)]
上記実施例及び比較例で得られた接合体試料について、常温で1日間放置後、JIS K 6850:1999に依拠して、引張試験機(精密万能試験機「オートグラフ AG-IS」、株式会社島津製作所製、ロードセル10kN、引張速度10mm/min、温度23℃、50%RH;以下、同様。)にて、引張せん断接着強度試験を行い、被接合材(1)と被接合材(2)との接着強度(接合強度)を測定した。これらの測定結果を下記表2にまとめて示す。
Figure 2022024753000003
[接合体試料の作製(2)]
(実施例2-1)
PA6の表面に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比60/40)を、乾燥後の厚さが50μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P2-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P2-1)のプライマー層の表面とPBTの非処理面(プライマーなし試験片(Q2-1))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(比較例2-1)
PA6の非処理面(プライマーなし試験片(Q2-2))とPBTの非処理面(プライマーなし試験片(Q2-1))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
(実施例2-2~2-6)
下記表3に示す各基材を用いた被接合材(1)の試験片を、実施例2-1と同様にして作製した。
得られた各被接合材(1)の試験片と下記表3に示す各被接合材(2)の試験片との接合体試料を、実施例2-1と同様にして作製した。
(比較例2-2~2-3)
下記表3に示す各基材の被接合材(1)及び被接合材(2)のプライマーなし試験片同士の接合体試料を、比較例2-1と同様にして作製しようと試みたが、接合させることができなかった。
(比較例2-4)
PEIの表面に、組成物(a4)を、乾燥後の厚さが50μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(Q2-7)を作製した。
プライマー付き試験片(Q2-7)のプライマー層の表面とPA6の非処理面(プライマーなし試験片(Q2-2))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(比較例2-5)
PCの表面に、組成物(a4)を、乾燥後の厚さが50μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(Q2-8)を作製した。
プライマー付き試験片(Q2-8)のプライマー層の表面とPA66の非処理面(プライマーなし試験片(Q2-4))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(比較例2-6)
PBTの表面に、組成物(a4)を、乾燥後の厚さが50μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(Q2-9)を作製した。
プライマー付き試験片(Q2-9)のプライマー層の表面とPPSの非処理面(プライマーなし試験片(Q2-6))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例1-1と同様にして、接合体試料を作製した。
[接合体試料の接合強度評価(2)]
上記実施例2-1~2-6及び比較例2-4~2-6で得られた接合体試料について、前記[接合体試料の接合強度評価(1)]と同様にして、被接合材(1)と被接合材(2)との接着強度(接合強度)を測定した。これらの測定結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 2022024753000004
[接合体試料の作製(3)]
(実施例3-1)
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比60/40)を、乾燥後の厚さが50μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P3-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P3-1)のプライマー層の表面とPA6の非処理面(プライマーなし試験片(Q3-1))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、電磁誘導ウェルダー(「UHT1002F」、精電舎電子工業株式会社製;出力1000W、発振周波数50kHz、6秒間)にて溶着し、接合体試料を作製した。
(比較例3-1)
アルミニウム(1)をベーマイト処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)(プライマーなし試験片(Q3-2))とPA6の非処理面(プライマーなし試験片(Q3-1))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例3-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
(実施例3-2)
銅をサンディング処理した面及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、実施例3-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P3-2)を作製した。
プライマー付き試験片(P3-2)のプライマー層の表面とPCの非処理面(プライマーなし試験片(Q3-3))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例3-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(比較例3-2)
銅をサンディング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)(プライマーなし試験片(Q3-4))とPCの非処理面(プライマーなし試験片(Q3-3))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例3-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
(実施例3-3)
鋼をサンディング処理した面に、実施例3-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P3-3)を作製した。
プライマー付き試験片(P3-3)のプライマー層の表面とPEIの非処理面(プライマーなし試験片(Q3-5))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例3-1と同様にして、接合体試料を作製した。
(比較例3-3)
鋼をサンディング処理した面(プライマーなし試験片(Q3-6))とPEIの非処理面(プライマーなし試験片(Q3-5))とを、接合面が10mm×10mmとなるように重ね合わせて、実施例3-1と同様にして、接合体試料の作製を試みたが、接合させることができなかった。
[接合体試料の接合強度評価(3)]
上記実施例3-1~3-3で得られた接合体試料について、前記[接合体試料の接合強度評価(1)]と同様にして、被接合材(1)と被接合材(2)との接着強度(接合強度)を測定した。これらの測定結果を下記表4にまとめて示す。
Figure 2022024753000005
[接合体試料の作製(4)]
(実施例4-1)
アルミニウム(2)をエッチング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、組成物(a4)及び組成物(b1)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P4-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P4-1)のプライマー層の表面に、PPSを、射出成形機(シリンダー温度310℃、ツール温度150℃、射出速度14mm/s、最高圧160MPa、保圧140MPa)にて射出溶着し、ISO 19095:2015に依拠した重ね合わせ試験片(アルミニウム(2):18mm×45mm、厚さ1.5mm、PPS:10mm×45mm、厚さ3mm;接合部長さ5mm)の接合体試料を作製した。
(実施例4-2)
アルミニウム(2)をエッチング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、組成物(a4)及び組成物(b2)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P4-2)を作製した。
プライマー付き試験片(P4-2)のプライマー層の表面に、実施例4-1と同様にして、PPSを射出溶着し、接合体試料を作製した。
(実施例4-3)
アルミニウム(2)をエッチング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、組成物(a4)及び組成物(b3)の混合物(配合質量比70/30)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P4-3)を作製した。
プライマー付き試験片(P4-3)のプライマー層の表面に、実施例4-1と同様にして、PPSを射出溶着し、接合体試料を作製した。
(比較例4-1)
アルミニウム(2)をエッチング処理及び官能基付与処理した官能基付与処理面(2)に、組成物(a4)を、乾燥後の厚さが80μmになるように、スプレー法にて塗布した後、実施例1-1と同様にして、プライマー層を形成し、プライマー付き試験片(P’4-1)を作製した。
プライマー付き試験片(P’4-1)のプライマー層の表面に、実施例4-1と同様にして、PPSを射出溶着し、接合体試料を作製した。
[接合体試料の接合強度評価(4)]
上記実施例4-1~4-3及び比較例4-1で得られた接合体試料について、ISO 19095:2015に依拠して、引張試験機にて、引張せん断接着強度試験を行い、被接合材(1)と射出溶着したPPSとの接着強度(接合強度)を測定した。これらの測定結果を下記表5にまとめて示す。
Figure 2022024753000006
上記表2~5から分かるように、本発明の現場重合型樹脂組成物から形成された重合物でプライマー層を形成したプライマー付き基材によれば、種々の材料からなる被接合材を十分な接合強度で接合させることができ、また、接合強度を向上させることができる。
本発明のプライマー付き基材の用途は特に限定されるものではないが、例えば、ドアサイドパネル、ボンネットルーフ、テールゲート、ステアリングハンガー、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー、クラッシュボックス、パワーコントロールユニット(PCU)ハウジング、電動コンプレッサー部材(内壁部、吸入ポート部、エキゾーストコントロールバルブ(ECV)挿入部、マウントボス部等)、リチウムイオン電池(LIB)スペーサー、電池ケース、LEDヘッドランプ等の自動車用部品や、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートウオッチ、大型液晶テレビ(LCD-TV)、屋外LED照明の構造体等に適用することができる。
特に、被接合材の各基材をCFRPと金属とした、自動車等のマルチマテリアル材の用途で好適に適用することができる。また、被接合材の各基材をセラミックスやアルミニウム、FRP等と、銅箔とした、電子材料基板の用途にも好適である。
10、20 プライマー付き基材
1 基材
1a 官能基付与処理面
2 プライマー層

Claims (13)

  1. 基材、及び、前記基材上に積層された1層又は複数層のプライマー層を有するプライマー付き基材であって、
    前記基材は、樹脂、金属、ガラス及びセラミックスからなる群より選ばれる1種以上を含む材料からなり、
    前記プライマー層の少なくとも最表面の層が、2種以上の現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなり、
    前記重合物が相互侵入高分子網目構造を形成している、プライマー付き基材。
  2. 前記現場重合型樹脂組成物が、下記(A1)~(A6)からなる群より選ばれる1種以上を含有する組成物(A)、及び、下記(B1)~(B4)からなる群より選ばれる1種以上を含有する組成物(B)を含む、請求項1に記載のプライマー付き基材。
    (A1)ジイソシアネート化合物及びジオール化合物
    (A2)ジイソシアネート化合物及びジアミノ化合物
    (A3)ジイソシアネート化合物及びジチオール化合物
    (A4)2官能エポキシ化合物及びジオール化合物
    (A5)2官能エポキシ化合物及びジカルボン酸化合物
    (A6)2官能エポキシ化合物及びジチオール化合物
    (B1)(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
    (B2)2官能エポキシ化合物、及び、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム
    (B3)2官能エポキシ化合物、カルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、末端が(メタ)アクリロイル基とカルボキシ基であるブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
    (B4)両末端を(メタ)アクリロイル化したカルボキシ基末端ブタジエンニトリルゴム、(メタ)アクリロイルモルホリン及びラウリル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性単官能モノマー、並びにラジカル重合開始剤
  3. 前記現場重合型樹脂組成物に含まれる前記組成物(A)と前記組成物(B)の質量比が、40/60~90/10である、請求項2に記載のプライマー付き基材。
  4. 前記組成物(A)が前記(A4)であり、かつ、前記(A4)におけるジオール化合物が2官能フェノール化合物である、請求項2又は3に記載のプライマー付き基材。
  5. 前記プライマー層の合計厚さが、1μm~10mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のプライマー付き基材。
  6. 前記プライマー層の前記現場重合型樹脂組成物から形成された重合物からなる層が、前記基材に接している、請求項1~5のいずれか1項に記載のプライマー付き基材。
  7. 前記基材が官能基付与処理面を有し、該官能基付与処理面に前記プライマー層が接しており、
    前記官能基付与処理面が、下記(C1)~(C7)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のプライマー付き基材。
    (C1)シランカップリング剤由来の、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基
    (C2)シランカップリング剤由来のアミノ基と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
    (C3)シランカップリング剤由来のメルカプト基と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基及びを有する化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
    (C4)シランカップリング剤由来の(メタ)アクリロイル基と、チオール化合物とが反応して生じた官能基
    (C5)シランカップリング剤由来のエポキシ基と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
    (C6)イソシアネート化合物由来のイソシアナト基
    (C7)チオール化合物由来のメルカプト基
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のプライマー付き基材を製造する方法において、
    前記現場重合型樹脂組成物を前記基材上で反応させて、前記プライマー層の前記重合物からなる層を形成する、プライマー付き基材の製造方法。
  9. 前記現場重合型樹脂組成物を溶液として、前記基材上に塗布して反応させる、請求項8に記載のプライマー付き基材の製造方法。
  10. 前記現場重合型樹脂組成物を一部反応させ、フィルム、粉体及びエマルジョンからなる群より選ばれる1種の形態で、前記基材上に配置した後、該基材上で反応を進行させる、請求項9に記載のプライマー付き基材の製造方法。
  11. 前記基材上に、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む溶液を塗布して、官能基付与処理面を形成した後、該官能基付与処理面に、前記プライマー層を積層させる、請求項8~10のいずれか1項に記載のプライマー付き基材の製造方法。
    (c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
    (c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
    (c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c6)イソシアネート化合物
    (c7)チオール化合物
  12. 被接合材(1)と被接合材(2)とが接合された接合体であって、
    前記被接合材(1)及び前記被接合材(2)の少なくともいずれか一方が、請求項1~7のいずれか1項に記載のプライマー付き基材である、接合体。
  13. 請求項12に記載の接合体を製造する方法において、
    超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導溶着法、高周波溶着法、レーザー溶着法、熱プレス溶着法及び射出溶着法からなる群より選ばれる1種以上の方法で、前記被接合材(1)と前記被接合材(2)を接合する、接合体の製造方法。
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