JP2023003079A - 熱溶着性フィルム及びそれを用いた接合体 - Google Patents

熱溶着性フィルム及びそれを用いた接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱溶着性フィルムを介して溶着する方法においても十分な接合強度を確保するための熱溶着性フィルム及びその関連技術を提供すること。【解決手段】コアフィルムと、2つの最外層を形成する有機層を含む3層以上の層構成からなる、熱溶着性フィルムであって、前記有機層が、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかである、熱溶着性フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、同種又は異種の基材を容易に強固に溶着する用途に好適な熱溶着性フィルムおよびその製造方法、溶着性フィルムを用いた接合体およびその製造方法に関する。
近年、製品の軽量化及び高性能化等の観点より、自動車部品、医療機器、家電製品等、各種分野では部品のマルチマテリアル化が進んでいる。そのことから例えば樹脂、金属、CFRP等の異材接合技術が必要とされている。
このような異材接合を行う手段として、機械的接合、接着剤接合、溶着が使用されている。このうち、溶着は特に信頼性及び生産性が高く有用な接合法である。溶着は、熱可塑性樹脂の融点が超えるまで加熱し、加圧、冷却することにより接合させる技術であり、従来技術として、超音波溶着や振動溶着、熱溶着、熱風溶着、誘導溶着等の種類がある。
溶着は、一般的に、同種の熱可塑性樹脂材の接合に用いられる接合法であるが、接合強度は溶着法や樹脂の種類によっては十分に発現できない場合がある。溶着時の母材の破損の影響で、例えば元々の母材強度の5~8割程度であることが多い。このため溶着法の改良が行われている。
改良された溶着法として、熱溶着可能がフィルムを介して、基材と基材を接合する技術がある。例えば特許文献1では、接着性が乏しいポリオレフィン系樹脂の接着を可能にする熱溶着性フィルムとして、変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなる熱溶着性フィルムを開示している。
特開2014-210842号公報
しかし、特許文献1の技術では、変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなる熱溶着性フィルム自体の強度が低いため、接合強度は十分に発現できないという問題点があった。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、熱溶着性フィルムを介して溶着する方法においても十分な接合強度を確保するための熱溶着性フィルム及びその関連技術を提供することを課題とする。前記関連技術とは、熱溶着性フィルムの製造方法、前記熱溶着性フィルムを用い接合体及びその製造方法、を意味する。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
なお、本明細書において、接合とは、物と物を繋合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープや接着剤の様な有機材(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味し、溶着とは、被着材である熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、接触加圧と冷却により分子拡散による絡み合いと結晶化で接合状態とすることを意味する。
<熱溶着性フィルム>
[1]
3層以上の層構成からなり、
コアフィルムと、前記コアフィルムの両面に積層された有機層を有し、
前記有機層が、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかである、熱溶着性フィルム。
(1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(7)単官能ラジカル重合性モノマー
(8)2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(9)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物の組み合わせ
(10)2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(11)2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(12)2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(13)2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(14)無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種
[2]
前記有機層が、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物を前記コアフィルムの上で重合させてなる重合物層、及び、前記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物を前記コアフィルムの上で重合させてなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合物層である、[1]に記載の熱溶着性フィルム。
[3]
前記コアフィルムが、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、及びポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる樹脂フィルムである、[1]又は[2]に記載の熱溶着性フィルム。
[4]
前記コアフィルムが、アルミニウム、銅、及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種からなる無機箔である、[1]又は[2]に記載の熱溶着性フィルム。
<熱溶着性フィルムの製造方法>
[5]
3層以上の層構成からなり、コアフィルムと、前記コアフィルムの両面に積層された熱溶着可能な有機層を有する熱溶着性フィルムの製造方法であって、
前記コアフィルムの上で、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと、下記(14)を含む重合型組成物、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合型組成物を重合させて、前記有機層を形成する、熱溶着性フィルムの製造方法。
(1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(7)単官能ラジカル重合性モノマー
(8)2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(9)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物の組み合わせ
(10)2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(11)2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(12)2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(13)2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(14)無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種
[6]
前記重合を、前記コアフィルムの表面処理された面上で行い、
前記表面処理は、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載の熱溶着性フィルムの製造方法。
[7]
前記有機層を形成する前に、前記コアフィルムを、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくとも何れかを含む溶液で処理することにより、前記コアフィルムの表面に官能基を付与する、[5]又は[6]に記載の熱溶着性フィルムの製造方法。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
<接合体>
[8]
[1]~[4]の何れかに記載の熱溶着性フィルムを介して、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第1の基材と、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第2の基材を溶着により接合一体化してなる、接合体。
<接合体の製造方法>
[9]
[1]~[4]の何れかに記載の熱溶着性フィルムを介して、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第1の基材と、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第2の基材を、溶着し、前記第1の基材と前記第2の基材を接合一体化する、接合体の製造方法。
[10]
前記溶着を、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で行う、[9]
に記載の接合体の製造方法。
本発明によれば、基材と基材を強固に溶着する用途に好適な熱溶着性フィルム及びその関連技術を提供することができる。
本発明の一実施形態における熱溶着性フィルムの構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態における接合体の構成を示す説明図である。
本発明の熱溶着性フィルムおよびその関連技術について詳述する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本明細書において、重合型組成物とは、特定の2官能の化合物の組み合わせを、触媒存在下で重付加反応することにより、若しくは、特定の単官能のモノマーのラジカル重合反応により、熱可塑構造、すなわち、リニアポリマー構造を形成する組成物を意味する。重合型組成物は、重合すると架橋構造による3次元ネットワークを構成する熱硬化性樹脂とは異なり、架橋構造による3次元ネットワークをほとんど構成せず、熱可塑性を有する。
[熱溶着性フィルム]
図1に示すように、本実施形態の熱溶着性フィルム1は、3層の層構成からなり、コアフィルム2の両面に有機層3を有する。有機層3は、熱溶着性フィルムを熱溶着可能とする機能を有する。
本発明の熱溶着性フィルム1の層構成は3層に限定されず、少なくとも、コアフィルム2と、最外層(すなわち、熱溶着性フィルム1の最表面)の有機層3を含む、3層以上の層構成とすることができる。一方の最外層を構成する有機層と、他方の最外層を構成する有機層が、それぞれ、異なる重合型組成物の重合物層であってもよい。
<コアフィルム>
コアフィルムとしては、既存のフィルムが使用できる。例えばポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、エチレン-ビニルアルコール等のフィルムが挙げられる。
コアフィルムは、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリデン、からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる樹脂フィルムであることが好ましい。ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナイロンからなる群から選択される少なくとも1種を選択することで耐熱性を向上させることができる。ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種を選択することで強度を向上させることができる。ポリ塩化ビニリデンを選択することでしなやかさを向上させ、基材への追従性を向上させることができる。
コアフィルムは、アルミニウム、銅、及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種からなる無機箔であってもよい。
コアフィルムの厚さは、1~1000μmとすることが好ましく、5~500μmとすることがより好ましく、5~250μmとすることがさらに好ましい。
<有機層>
有機層3は、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと、下記(14)を含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかである。
(1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
(2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
(3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
(5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
(6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
(7)単官能ラジカル重合性モノマー
(8)2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(9)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物の組み合わせ
(10)2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(11)2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(12)2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(13)2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
(14)無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種
本明細書において、「(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物」の表現における「含む」とは、重合型組成物の組成物原料として、(1)~(13)の少なくとも何れかが配合されていることを意味する。「(1)~(13)の少なくとも何れかと、(14)を含む重合型組成物」の表現における「含む」とは、重合型組成物の組成物原料として、(1)~(13)の少なくとも何れかに、更に(14)を加えた組み合わせが配合されていること、を意味する。
(1)における2官能イソシアネート化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(2)における2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物との配合量比は、アミノ基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(3)における2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するイソシアネート基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(4)における2官能エポキシ化合物とジオールとの配合量比は、水酸基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(5)における2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物との配合量比は、カルボキシ基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(6)における2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物との配合量比は、チオール基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(7)における単官能ラジカル重合性モノマーは1種以上とする。
(8)における2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種との配合量比は、エポキシ基に対する水酸基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(9)におけるフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物との配合量比は、エポキシ基に対する水酸基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(10)における2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種との配合量比は、チオール基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(11)における2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種との配合量比は、アミノ基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(12)における2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種との配合量比は、カルボキシル基に対するエポキシ基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(13)における2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種との配合量比は、イソシアネート基に対する水酸基のモル当量比が、0.7~1.5となるように設定されることが好ましい。より好ましくは0.8~1.4、さらに好ましくは0.9~1.3とする。
(14)と、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物の重合物からなる重合物層である有機層は、特にポリオレフィンとの接合には有効である。(14)と、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物における無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種の配合量比は、無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種の含有量が5~95質量%が好ましい。より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは15~85質量%とする。
(2官能イソシアネート化合物)
前記2官能イソシアネート化合物は、イソシアナト基を2個有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはその混合物、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネート化合物が挙げられる。
(ジオール)
前記ジオールは、ヒドロキシ基を2個有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類が挙げられる。なかでもプライマーの強靭性の観点から、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が好ましい。
(2官能アミノ化合物)
前記2官能アミノ化合物は、アミノ基を2個有する化合物であり、例えば、2官能の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、N-アミノエチルピペラジンなどが挙げられ、芳香族ジアミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルプロパン等が挙げられる。なかでもプライマーの強靭性の観点から、1,3-プロパンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン等が好ましい。
(2官能チオール化合物)
前記2官能チオール化合物は、分子内にメルカプト基を2つ有する化合物であり、例えば、2官能2級チオール化合物の1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン(例えば、昭和電工(株)製「カレンズMT(登録商標) BD1」)が挙げられる。
(2官能エポキシ化合物)
前記2官能エポキシ化合物は、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型2官能エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂や1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
これらのうち、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
具体的には、三菱ケミカル(株)製「jER(登録商標)828」、同「jER(登録商標)834」、同「jER(登録商標)1001」、同「jER(登録商標)1004」、同「jER(登録商標) YX-4000」等が挙げられる。その他2官能であれば特殊な構造のエポキシ化合物でも使用可能である。これらのうち、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(2官能カルボキシ化合物)
前記2官能カルボキシ化合物としては、カルボキシ基を2つ有する化合物であればよく、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。なかでもプライマーの強度や強靭性の観点から、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸等が好ましい。
(単官能ラジカル重合性モノマー)
前記単官能ラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合を1個有するモノマーである。例えば、スチレンモノマー、スチレンのα-,o-,m-,p-アルキル,ニトロ,シアノ,アミド,エステル誘導体、クロルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸-i-プロピル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートおよびフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記化合物のうち、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。なかでもプライマーの強度や強靭性の観点から、スチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのうちの一種、または2種以上の組み合わせが好ましい。
ラジカル重合反応を十分に進行させ、所望のフィルムに由来する層を形成させるため、溶剤や、必要に応じて着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。この場合、前記ラジカル重合性組成物の溶剤以外の含有成分中、前記単官能ラジカル重合性モノマーが主成分であることが好ましい。前記主成分とは、前記単官能ラジカル重合性モノマーの含有率が50~100質量%であることを意味する。前記含有率は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
ラジカル重合反応のための重合開始剤としては、例えば、公知の有機過酸化物や光開始剤等が好適に用いられる。有機過酸化物にコバルト金属塩やアミン類を組み合わせた常温ラジカル重合開始剤を使用してもよい。有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。光開始剤としては、紫外線から可視線で重合開始できるものを使用することが望ましい。
ラジカル重合反応は、反応化合物等の種類にもよるが、常温~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。また光硬化の場合は紫外線や可視光を照射して重合反応を行う。
(フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂)
前記フェノールノボラック樹脂としては、具体的にはBRG-555、BRG-556、BRG-557、BRG-558、CRG-951(以上、アイカ工業(株)製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック樹脂としては、オルト、メタ、パラ体のクレゾールノボラックが挙げられる。具体的には、例えばメタパラクレゾールノボラック:LF-100、LF-110、LF-120、オルトクレゾールノボラック:LF-200、パラクレゾールノボラック:LF-400(以上、リグナイト(株)製)等が挙げられる。
(2官能フェノール化合物)
2官能フェノール化合物は、分子内にフェノール性水酸基を2つ有する化合物である。例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、4,4´-(1-メチルエチリデン)ビス(2-メチルフェノール)、4,4´-(1,3-ジメチルブチルデン)ビスフェノール、ビスフェノールフルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製)等の各種ビスフェノール化合物、4,4´-ジヒドロキシ-ジフェニル等各種ビフェノール化合物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び/またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂と2官能フェノール化合物におけるフェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、公知のものが使用できる。具体的には、例えばYDPN-638(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、N-740(DIC(株)製)等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としても公知のものが使用できる。具体的にはo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としてYDCN-700-7、YDCN-700-10、YDCN-704、YDCN-704L(以上日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、N-680(DIC(株)製)、CNE-202(長春グループ製)等が挙げられる。
(無水マレイン酸変性ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン)
無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。無水マレイン酸変性ポリプロピレンは無水マレイン酸でグラフト変性されたポリプロピレンである。化薬アクゾ社製カヤブリッド002PP、002PP-NW、003PP、003PP-NW、三菱ケミカル社製Modic(登録商標)シリーズ等がある。
また無水マレイン酸で機能化させたポリプロピレン添加剤としてBYK社製SCONA TPPP2112GA、TPPP8112GA、TPPP9212GAを併用してもよい。
塩素化ポリオレフィンとしては、東洋紡社製ハードレン(登録商標)13-LP、13-LLP、15-LP、日本製紙社製スーパークロン(登録商標)814HS、390S、803LT(トルエン溶液)、803L(トルエン溶液)、1026(トルエン溶液)等がある。
本発明における有機層3(重合型組成物の重合物からなる重合物層)は複数の化合物を組成成分としており、これらの複数の化合物の配合比率や反応条件等によって、複数の官能基が関与して様々な複雑な反応を生じ得ることは、当業者にとって技術常識である。このため、重合型組成物の重合物からなる重合物層の具体的な化学構造又は特性を、直接特定して包括的に表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。よって、本発明においては、前記重合物層について、該重合物層を形成する組成物原料の組成により特定することとしている。
<有機層の形成>
有機層3は、前記コアフィルム2の上で、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物、及び、前記(1)~(13)の少なくとも何れかと、下記(14)を含む重合型組成物、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合型組成物を重合させて、形成することが好ましい。
熱溶着性フィルム1が3層の層構成(有機層3/コアフィルム2/有機層3)からなる場合、有機層3は、前記コアフィルム2の表面上で、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物、及び、前記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合型組成物を重合させて、形成することが好ましい。
熱溶着性フィルム1が4層以上の層構成からなる場合、(例えば、有機層3/有機層に接する下方層/コアフィルム2/有機層に接する下方層/有機層3)からなる場合、有機層3は、有機層3とコアフィルム2有機層に接する下方層の表面上で、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物、及び、前記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合型組成物を重合させて、形成することが好ましい。
有機層3は、前記(7)以外を含む重合型組成物であって、前記(1)~(6)及び(8)~(13)の少なくとも一種を含有する重合型組成物を、触媒存在下で重付加反応させて得ることができる。重付加反応のための触媒としては、例えば、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン-トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が好適に用いられる。前記重付加反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~120分間加熱して行うことが好ましい。
有機層3は、前記(1)~(6)及び(8)~(13)の少なくとも一種を含有する重合型組成物を前記コアフィルム2の表面上で重付加反応させる方法(いわゆる、現場重合)で、コアフィルムと一体化させることが好ましい。前記重合型組成物を前記コアフィルム2の表面上で重付加反応させて得た熱溶着性フィルムを介して基材を接合した接合体は、特に優れた接合強度を示す。その機構の詳細は明らかではないが、熱溶着性フィルム1の両面の有機層3と各基材の界面で何らかの化学結合を形成すること、及び、熱溶着性フィルムのコアフィルム2と有機層3の界面で何らかの化学結合を形成することが主な要因であると推測される。しかしながら、前記接合体や前記熱溶着性フィルムを、具体的な化学構造や前記界面の状態又は特性を特定することにより、現場重合によらないものと区別すべく表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。
有機層3は、前記(1)~(6)及び(8)~(13)の少なくとも一種を含有する重合型組成物を溶剤に溶解した溶液をコアフィルムの両表面に塗布して、溶剤揮発後に加熱等して重合することが好ましい。
有機層3は、前記(7)を含む重合型組成物を、ラジカル重合反応させて得ることもできる。前記ラジカル重合反応は、組成物の組成にもよるが、常温~200℃で、5~90分間加熱して行うことが好ましい。また光硬化の場合は紫外線や可視光を照射して重合反応を行う。
有機層3は、前記(7)の単官能ラジカル重合性モノマーを含有する重合型組成物の重合物からなる有機層を前記コアフィルムの両面に配置し、形成することもできる。
有機層3は、有機層の原料そのまま或いは溶剤に溶解した溶液をコアフィルムの両面に塗布して、溶剤揮発後に加熱等して重合することが好ましい。
<表面処理>
有機層3を形成するコアフィルム2は、表面処理された表面を有することが好ましい。
表面処理は、コアフィルムの表面の清浄化、該表面に水酸基を生じさせることによって、又は、該表面に微細な凹凸形成(粗面化)によるアンカー効果によって、該コアフィルムの表面に対する有機層3の接着性を向上させる作用を奏する。
表面処理は、表面に水酸基を発生させるという観点では、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理の何れかであることが好ましい。表面処理により発生した水酸基は、後述する官能基付与処理によってコアフィルムの表面に官能基を付与する先の基点となる。
コアフィルムがガラス箔の場合、表面処理は、表面の有機系不純物の除去を行う表面洗浄法の一つとなる。
コアフィルムがアルミニウム、銅等の金属箔の場合、表面処理は、溶剤等による洗浄、脱脂処理、ブラスト処理、サンディング等の研磨処理が有効で、コアフィルムがアルミニウムの場合は、苛性ソーダ等のエッチング処理、ベーマイト処理が特に有効である。
上記のような方法で表面処理されたコアフィルムの表面の性状は、表面処理された面上に有機層等が形成されることにより、表面処理直後とは変化している場合もある。このため、本発明の熱溶着性フィルムにおいて、表面処理されたコアフィルムの表面の性状を特定して表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。
前記表面処理の各種処理は、公知の方法で行うことができる。具体的な処理方法としては、例えば、以下に示す方法により行うことができる。
(プラズマ処理)
前記プラズマ処理とは、高圧電源とロッドでプラズマビームを作り素材表面にぶつけて分子を励起させて官能状態とするもので、素材表面に水酸基や極性基を付与できる大気圧プラズマ処理方法等が挙げられる。
(コロナ放電処理)
前記コロナ放電処理とは、高分子フィルムの表面改質に施される方法が挙げられ、電極から放出された電子が高分子表面層の高分子主鎖や側鎖を切断し発生したラジカルを起点に表面に水酸基や極性基を発生させる方法である。
(UVオゾン処理)
UVオゾン処理とは、低圧水銀ランプから発光する短波長の紫外線の持つエネルギーとそれにより発生するオゾン(O3)の力で、表面を洗浄したり改質する方法で、ガラスの場合、表面の有機系不純物の除去を行う表面洗浄法の一つとなる。一般に低圧水銀ランプを用いた装置は、「UVオゾンクリーナー」、「UV洗浄装置」、「紫外線表面改質装置」などと呼ばれている。
(洗浄・脱脂処理)
溶剤等による洗浄又は脱脂処理としては、例えば、コアフィルムの表面を、アセトン、トルエン等の有機溶剤を用いて、洗浄したり、拭くことにより脱脂する等の方法が挙げられる。
(ブラスト処理)
前記ブラスト処理としては、例えば、ショットブラストやサンドブラスト等が挙げられる。
(研磨処理)
前記研磨処理としては、例えば、研磨布を用いたバフ研磨や、研磨紙(サンドペーパー)を用いたロール研磨、電解研磨等が挙げられる。
(エッチング処理)
コアフィルムがアルミニウムである場合の前記エッチング処理としては、例えば、アルカリ法、リン酸-硫酸法、フッ化物法、クロム酸-硫酸法、塩鉄法等の化学的エッチング処理、また、電解エッチング法等の電気化学的エッチング処理等が挙げられる。
コアフィルムがアルミニウムである場合のエッチング処理は、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を用いたアルカリ法が好ましく、特に、水酸化ナトリウム水溶液を用いた苛性ソーダ法が好ましい。
前記アルカリ法としては、例えば、アルミニウム箔を濃度3~20質量%の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液に、20~70℃で1~15分間浸漬させることにより行うことができる。添加剤として、キレート剤、酸化剤、リン酸塩等を添加してもよい。前記浸漬後、5~20質量%の硝酸水溶液等で中和(脱スマット)し、水洗、乾燥を行うことが好ましい。
(化成処理)
前記化成処理とは、主としてコアフィルムの表面に、化成皮膜を形成するものである。
コアフィルムがアルミニウムからなる場合に施される化成処理としては、例えば、ベーマイト処理、ジルコニウム処理等が挙げられ、特に、ベーマイト処理が好ましい。
化成処理は、前記エッチング処理の後に行うことも好ましい。
ベーマイト処理では、例えば、アルミニウム箔を90~100℃程度の熱水で処理することにより行われ、該アルミニウム箔表面にベーマイト(アルミニウム水和酸化物)皮膜が形成される。反応促進剤として、アンモニアやトリエタノールアミン等を水に添加してもよい。例えば、アルミニウム箔を、濃度0.1~5.0質量%でトリエタノールアミンを含む90~100℃の熱水中に3秒~5分間浸漬することにより、ベーマイト処理を行うこともできる。
ベーマイト処理においては、良好なベーマイト皮膜を形成させるため、前記熱水等での処理後、ベーキングすることが好ましい。
ジルコニウム処理では、例えば、アアルミニウム箔を、リン酸ジルコニウム等のジルコニウム塩含有液に浸漬することにより行われ、該アルミニウム箔表面にジルコニウム化合物の皮膜が形成される。例えば、アルミニウム箔を、「パルコート3762」、「パルコート3796」(以上、日本パーカライジング(株)製)等のジルコニウム処理用の化成剤の45~70℃の液中に0.5~3分間浸漬することにより、ジルコニウム処理を行うこともできる。
アルミニウム箔に表面処理を施す場合には、前記表面処理としては、エッチング処理及びベーマイト処理から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
(官能基付与処理)
有機層3を形成するコアフィルム2には、有機層3の形成に先立ち、官能基付与処理をすることが好ましい。
官能基付与処理により、コアフィルム2の表面に、下記(C1)~(C7)からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を付与することが好ましい。
(C1)シランカップリング剤由来の、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基
(C2)シランカップリング剤由来のアミノ基と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C3)シランカップリング剤由来のメルカプト基と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C4)シランカップリング剤由来の(メタ)アクリロイル基と、チオール化合物とが反応して生じた官能基
(C5)シランカップリング剤由来のエポキシ基と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とが反応して生じた官能基
(C6)イソシアネート化合物由来のイソシアナト基
(C7)チオール化合物由来のメルカプト基
官能基付与処理によりコアフィルム2の表面に付与される官能基は、上記の(C1)~(C7)の官能基のうち、官能基付与処理後に形成される有機層3を形成する重合型組成物の官能基と反応性を有する官能基を含んでいることが好ましい。これらの官能基は、1種単独でも、2種以上を含んでいてもよい。
官能基付与処理によりコアフィルム2の表面に付与される官能基としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアナト基、カルボキシ基、水酸基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
(C1)及び(C5)におけるエポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C2)におけるアミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C4)における(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
(C1)及び(C3)におけるメルカプト基を有するシランカップリング剤としては3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(C2)及び(C3)におけるエポキシ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した2官能エポキシ化合物等が挙げられる。
(C2)、(C4)、(C5)及び(C7)におけるチオール化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した2官能チオール化合物等が挙げられる。
(C3)及び(C5)におけるアミノ化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した2官能アミノ化合物等が挙げられる。
官能基(C3)及び(C6)におけるイソシアネート化合物としては、シランカップリング剤以外のものとして、例えば、上述した2官能イソシアネート化合物等が挙げられる。
(C3)における(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C3)及び(C5)における(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
官能基付与処理は、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくとも何れかを含む溶液を塗布して、行うことができる。
(c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
(c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
(c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(c6)イソシアネート化合物
(c7)チオール化合物
(c1)~(c7)の化合物は、上記の(C1)~(C7)の官能基にそれぞれ対応し、これらの官能基を生成させるものである。すなわち、(c1)を含む溶液を用いた官能基付与処理により、(C1)の官能基を含む官能基付与処理面1aを形成することができる。(c2)~(c7)についても同様である。
例えば、(c2)による処理で、アミノ基にジチオール化合物を反応させた場合、該ジチオール化合物が有する官能基であるメルカプト基が末端に導入される。同様に、(c3)による処理で、メルカプト基に多官能イソシアネート化合物を反応させた場合、該多官能イソシアネート化合物が有する官能基であるイソシアナト基が末端に導入される。
なお、(C1)~(C7)の官能基は、有機層3を構成する化合物の官能基と反応するため、存在を確認することは不可能である。また、(c1)~(c7)の各化合物を用いて生じさせた官能基は、1種に限られず、多岐にわたる場合もある。このような事情に鑑みて、本発明では、所定の官能基同士の反応により所定の官能基が生じるとの周知技術及びそれに基づく推測から、所定の官能基を有する化合物による官能基付与処理を行うことにより、所定の官能基を有する官能基付与処面1aが形成されるものとみなして、(C1)~(C7)及び(c1)~(c7)のように表記している。
官能基付与処理における前記溶液の塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えば、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。
浸漬法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の20~100℃の前記溶液中に、コアフィルムを1分~5日間浸漬し、引き上げた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面1aを形成することができる。
スプレー法の場合は、例えば、濃度0.5~50質量%程度の前記溶液を、コアフィルムに吹き付けた後、常温~100℃で1分~5時間乾燥させることにより、官能基付与処理面1aを形成することができる。
官能基付与処理は、上述した表面処理の後に行うことが好ましい。これにより、前記表面処理及び官能基付与処理がもたらす化学結合との相乗効果によって、コアフィルムと有機層とが、強固に接着しやすくなる。
[接合体]
図2に、本発明の接合体の一実施形態を示す。図2に示す接合体10は、熱溶着性フィルム1の両面の有機層3を介して、第1の基材4と第2の基材5が、溶着により接合一体化されたものである。このように得られた接合体は、特に優れた接合強度を示す。その機構の詳細は明らかではないが、熱溶着性フィルム1の両面の有機層3と各基材の界面で何らかの化学結合を形成することが主な要因であると推測される。しかしながら、前記接合体において、前記熱溶着性フィルムを、具体的な化学構造や前記界面の状態又は特性を特定することにより、現場重合によらないものと区別すべく表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。
熱溶着性フィルム1としての扱いやすさの観点から、熱溶着性フィルム1の厚さは、コアフィルム2を1~1000μm、有機層3を1~500μmとすることが好ましく、コアフィルム2を5~500μm、有機層3を5~200μmとすることがより好ましく、コアフィルム2を5~250μm、有機層3を5~50μmとすることがさらに好ましい。
第1の基材4と第2の基材5は、それぞれ、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成され、金属としては、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、鋼等が挙げられ、樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
第1の基材4と第2の基材5はどのような組み合わせてもよい。
第1の基材4と第2の基材5の形状は特に限定されない。
[接合体の製造方法]
熱溶着性フィルム1の両面の有機層3を介して、第1の基材4と第2の基材5を溶着する方法としては、熱溶着性フィルム1を基材と基材の間に挟むように配置して、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で溶着する方法や、熱溶着性フィルム1の一方の有機層と第1の基材4を予め溶着しておき、他方の有機層の上に、射出成形によって他の熱可塑性樹脂材を成形する方法が挙げられる。
コアフィルムの両側の有機層は同一であっても異なっていてもよい。接合する基材によって合わせればよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。以下の実施例において、前記「第1の基材4」と「第2の基材5」をまとめて接合基材という。
<コアフィルム>
Figure 2023003079000002
<接合基材>
以下の接合基材(幅1.0cm、長さ5cm、厚さ2.0mm)を準備した。
塩化ビニル樹脂板:タキロンシーアイ 塩ビ板(透明)
PC板:タキロンシーアイ ポリカーボネートプレートPC(透明)
PP板:アズワン品番2-9221-02 PP板ナチュラル
PE板:(株)光ポリプラートPE340-1(ポリエチレン、低発泡材、ホワイト)
ステンレス板(SUS-304)
アルミニウム板(A6063)
[実施例1~13]
<コアフィルムの表面処理>
(コアフィルムの表面処理-1)UVオゾン処理
表1に示すPPS、PET、PVC、PVDCの各フィルム両面のUVオゾン処理を、センエンジニアリング(株)製卓上表面処理装置PL16-110を用いて、低圧紫外線ランプで照射距離5cm、照射時間2分間という条件で両面に紫外線照射して行った。
(コアフィルムの表面処理-2)コロナ放電処理
表1に示すPC、PA6、PIの各フィルム両面のコロナ放電処理を、春日電機(株)製KCT-4Aを用いて、出力104W、速度1m/min、極間距離2mmという条件で両面に6回ずつ行った。
(コアフィルムの表面処理-3)プラズマ処理+官能基付与処理
表1に示すアルミニウム箔、ガラス箔両面の官能基付与処理を以下のように行った。
まずプラズマ処理(プラズマトリート(株)製 大気圧プラズマ処理機:FG5001、照射距離:15mm、送り速度5m/分)を両面に行った。
次に表面処理後のステンレス及びアルミニウムを、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコー(株)製 KBM-903;シランカップリング剤)0.5gを工業用エタノール100gに溶解せしめてなる70℃のシランカップリング剤溶液中に、アルミニウム箔を5分間浸漬した後に取り出し、表面にアミノ基を付与した。
<接合基材の表面処理>
ステンレス板(SUS-304)についてはアセトン脱脂を行い、アルミニウム板(A6063)については、コアフィルムであるアルミニウム箔と同じ方法(前記(コアフィルムの表面処理-3)に記載の方法)で表面にアミノ基を付与した。他の基材は、表面処理は行わなかった。
<熱溶着性フィルム>
(重合型組成物A)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂「N-740」(DIC(株)製)100g、2官能チオール化合物:1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン「カレンズMT BD1」(昭和電工(株)製)41.6g、トリフェニルホスフィン2.8gをメチルエチルケトン263gに溶解し重合型組成物Aを作製した。
(熱溶着性フィルムAA)
コアフィルムの両表面に、重合型組成物Aを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムAAを得た。
(重合型組成物B)
塩素化ポリプロピレン「スーパークロン814HS」(日本製紙(株)製)35gをメチルエチルケトン65gに溶解した溶液に、重合型組成物A100gを混合し、重合型組成物Bを作製した。
(熱溶着性フィルムBB)
コアフィルムの両表面に、重合型組成物Bを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムBBを得た。
(重合型組成物C)
ジフェニルメタンジイソシアネート:100g、プロピレングリコール60.8g、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.6gを、メチルエチルケトン299g中に溶解して、重合型組成物C´を作製した。
次に塩素化ポリプロピレン「スーパークロン814HS」(日本製紙(株)製)35gをメチルエチルケトン65gに溶解した溶液に、重合型組成物C´100gを混合し、重合型組成物Cを作製した。
(熱溶着性フィルムCC)
コアフィルムの両表面に、重合型組成物Cを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、100℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムCCを得た。
(重合型組成物D)
jER(登録商標)1007(三菱ケミカル(株)製、2官能エポキシ化合物):100g、ビスフェノールA:5.6g、トリフェニルホスフィン:0.4g、メチルエチルケトン(MEK):196gに溶解し、重合型組成物Dを作製した。
(熱溶着性フィルムDD)
コアフィルムの両表面に、重合型組成物Dを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、150℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムDDを得た。
(重合型組成物E)
フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂PG-100(大阪ガスケミカル(株)製)100g、フルオレン骨格を有するフェノール化合物BPEF(大阪ガスケミカル(株)製)84.3g、及びトリフェニルホスフィン1.4gを、メチルエチルケトン342gに溶解し、重合型組成物Eを作製した。
(熱溶着性フィルムEE)
コアフィルムの両表面に、重合型組成物Eを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、190℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムEEを得た。
(熱溶着性フィルムAB)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Aを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、続いて、コアフィルムの他方の表面に、重合型組成物Bを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムABを得た。
(熱溶着性フィルムAD)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Aを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、続いて、コアフィルムの他方の表面に、重合型組成物Dを溶剤揮発後の厚さが表2に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、150℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムADを得た。
<基材の接合と接合強度の測定>
(溶着)
表2に示す組み合わせで、「接合基材/熱溶着性フィルム/接合基材」を、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み80℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
得られた接合体を常温で5分放置後、JISK 6850:1999に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」((株)島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 2023003079000003
[比較例1~13]
<コアフィルムの表面処理>
実施例1~13と同様に、コアフィルムの表面処理を行った。
<接合基材の表面処理>
実施例1~13と同様に、接合基材の表面処理を行った。
<熱溶着性フィルム>
(熱溶着性フィルムA)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Aを溶剤揮発後の厚さが表3に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムAを得た。
(熱溶着性フィルムB)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Bを溶剤揮発後の厚さが表3に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、70℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムBを得た。
(熱溶着性フィルムC)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Cを溶剤揮発後の厚さが表3に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、100℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムCを得た。
(熱溶着性フィルムD)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Dを溶剤揮発後の厚さが表3に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、150℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムDを得た。
(熱溶着性フィルムE)
コアフィルムの一方の表面に、重合型組成物Eを溶剤揮発後の厚さが表3に記載の厚さになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの一方の表面上で、190℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムEを得た。
<基材の接合と接合強度の測定>
(溶着)
表3に示す組み合わせで、「接合基材/熱溶着性フィルム/接合基材」を、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み80℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合を試みた。比較例1~4、8~13では、接合ができなかった。
(引張りせん断強度)
接合できたもの(比較例5~7)については、得られた接合体を常温で5分放置後、JISK 6850:1999に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」((株)島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2023003079000004
[実施例14~15]
<コアフィルムの表面処理>
表1に示すPIの両面にコロナ放電処理を行った。コロナ放電処理は、春日電機(株)製KCT-4Aを用いて、出力104W、速度1m/min、極間距離2mmという条件で両面に6回ずつ行った。
<接合基材の表面処理>
アルミニウム板(A6063)に対し、コアフィルムであるアルミニウム箔と同じ方法(前記(表面処理-3)に記載の方法)で表面にアミノ基を付与した。
<熱溶着性フィルム>
(重合型組成物F)
jER(登録商標)1007(三菱ケミカル(株)製、2官能エポキシ化合物):46.9g、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂PG-100(大阪ガスケミカル(株)製):30.8g、ビスフェノールS:2.89g、窒素原子を有するフェノール化合物TAM-005(アイカ工業(株)製):19.0g、及びトリフェニルホスフィン0.4gを、メチルエチルケトン186gに溶解し、重合型組成物Fを作製した。
(熱溶着性フィルムFF)
コアフィルム(PI)の両表面に、重合型組成物Fを溶剤揮発後の厚さが0μmになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、150℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムFFを得た。
(重合型組成物G)
jER(登録商標)1001(三菱ケミカル(株)製、2官能エポキシ化合物):100g、メタパラクレゾールノボラック:LF-100(リグナイト(株)製):24.6g、及びトリフェニルホスフィン0.5gを、メチルエチルケトン231gに溶解し、重合型組成物Gを作製した。
(熱溶着性フィルムGG)
コアフィルム(PI)の両表面に、重合型組成物Gを溶剤揮発後の厚さが0μmになるように塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、コアフィルムの両表面上で、150℃で1時間放置して重合反応を行い、熱溶着性フィルムFFを得た。
<基材の接合と接合強度の測定>
(溶着)
「接合基材/熱溶着性フィルム/接合基材」を、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み190℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
得られた接合体を常温で5分放置後、JISK 6850:1999に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」((株)島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表4に示す。
[比較例14]
<接合基材の表面処理>
実施例14と同様の方法で、アルミニウム板(A6063)の表面にアミノ基を付与した。
<基材の接合と接合強度の測定>
(溶着)
重合型組成物Fを溶剤揮発後の厚さが15μmになるように接合基材に塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、150℃で1時間放置して重合反応を行い熱溶着層F付きアルミニウムを得た。
次に、熱溶着層F付きアルミニウム同士を、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように、熱溶着層Fを介して重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み190℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
実施例14と同様の方法で、接合強度を測定した。測定結果を表4に示す。
[比較例15]
<接合基材の表面処理>
実施例15と同様の方法で、アルミニウム板(A6063)の表面にアミノ基を付与した。
<基材の接合と接合強度の測定>
(溶着)
重合型組成物Gを溶剤揮発後の厚さが15μmになるように接合基材に塗布し、室温で30分間溶剤を揮発し、150℃で1時間放置して重合反応を行い熱溶着層G付きアルミニウムを得た。
次に、熱溶着層F付きアルミニウム同士を、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように、熱溶着層Gを介して重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み190℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
実施例15と同様の方法で、接合強度を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 2023003079000005
<実施例16>
(現場重合によらない有機層を有する熱溶着性フィルム)
日鉄ケミカル&マテリアル(株)製フェノキシ樹脂YP-50S:35gをMEK65gに溶解した溶液を、表1のPET(コアフィルム)の両面に乾燥後の厚みが20μmになるように塗布して70℃で1時間放置し乾燥し、熱溶着性フィルムを得た。
(溶着)
この熱溶着性フィルムを、SUS-304板同士の間に挟んで、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み80℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
得られた接合体を常温で5分放置後、JISK 6850:1999に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」((株)島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表5に示す。
<実施例17>
(現場重合によらない有機層を有する熱溶着性フィルム)
日鉄ケミカル&マテリアル(株)製フェノキシ樹脂YP-50S:35gをMEK65gに溶解した溶液を、表1アルミニウム(コアフィルム)の両面に乾燥後の厚みが20μmになるように塗布して70℃で1時間放置し乾燥し、熱溶着性フィルムを得た。
(溶着)
この熱溶着性フィルムを、SUS-304板同士の間に挟んで、接合部が1.0cm×0.5cmとなるように重ね合わせ、重ね合わせた状態で、ダブルクリップで挟み80℃乾燥炉中に10分間静置した後、室温に戻し、接合体を得た。
(引張りせん断強度)
得られた接合体を常温で5分放置後、JISK 6850:1999に準拠して、引張試験機(万能試験機オートグラフ「AG-IS」((株)島津製作所製);ロードセル10kN、引張速度10mm/min)にて、23℃雰囲気での引張りせん断強度試験を行い、接合強度を測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 2023003079000006
同種又は異種の基材を、本発明に係る熱溶着性フィルムを介して接合一体化した接合体は、例えば、ドアサイドパネル、ボンネットルーフ、テールゲート、ステアリングハンガー、Aピラー、Bピラー、Cピラー、Dピラー、クラッシュボックス、パワーコントロールユニット(PCU)ハウジング、電動コンプレッサー部材(内壁部、吸入ポート部、エキゾーストコントロールバルブ(ECV)挿入部、マウントボス部等)、リチウムイオン電池(LIB)スペーサー、電池ケース、LEDヘッドランプ等の自動車用部品や、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマートウォッチ、大型液晶テレビ(LCD-TV)、屋外LED照明の構造体等として用いられるが、特にこれら例示の用途に限定されるものではない。
1 熱溶着性フィルム
2 コアフィルム
3 有機層
4 第1の基材
5 第2の基材
10 接合体

Claims (10)

  1. コアフィルムと、2つの最外層を形成する有機層を含む3層以上の層構成からなる、熱溶着性フィルムであって、
    前記有機層が、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物の重合物からなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかである、熱溶着性フィルム。
    (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
    (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
    (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
    (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
    (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (7)単官能ラジカル重合性モノマー
    (8)2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (9)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物の組み合わせ
    (10)2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (11)2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (12)2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (13)2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (14)無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種
  2. 前記有機層が、前記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物を前記コアフィルムの上で重合させてなる重合物層、及び、前記(1)~(13)の少なくとも何れかと下記(14)を含む重合型組成物を前記コアフィルムの上で重合させてなる重合物層、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合物層である、請求項1に記載の熱溶着性フィルム。
  3. 前記コアフィルムが、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、及びポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂からなる樹脂フィルムである、請求項1又は2に記載の熱溶着性フィルム。
  4. 前記コアフィルムが、アルミニウム、銅、及びガラスからなる群から選択される少なくとも1種からなる無機箔である、請求項1又は2に記載の熱溶着性フィルム。
  5. 3層以上の層構成からなり、コアフィルムと、前記コアフィルムの両面に積層された熱溶着可能な有機層を有する熱溶着性フィルムの製造方法であって、
    前記コアフィルムの上で、下記(1)~(13)の少なくとも何れかを含む重合型組成物、及び、下記(1)~(13)の少なくとも何れかと、下記(14)を含む重合型組成物、からなる群から選択される少なくとも何れかの重合型組成物を重合させて、前記有機層を形成する、熱溶着性フィルムの製造方法。
    (1)2官能イソシアネート化合物とジオールの組み合わせ
    (2)2官能イソシアネート化合物と2官能アミノ化合物の組み合わせ
    (3)2官能イソシアネート化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (4)2官能エポキシ化合物とジオールの組み合わせ
    (5)2官能エポキシ化合物と2官能カルボキシ化合物の組み合わせ
    (6)2官能エポキシ化合物と2官能チオール化合物の組み合わせ
    (7)単官能ラジカル重合性モノマー
    (8)2官能エポキシ化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (9)フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種と、2官能フェノール化合物の組み合わせ
    (10)2官能チオール化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (11)2官能アミノ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (12)2官能カルボキシ化合物と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (13)2官能イソシアネート化合物と、フェノールノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂の少なくとも1種の組み合わせ
    (14)無水マレイン酸変性ポリオレフィン及び塩素化ポリオレフィンの少なくとも1種
  6. 前記重合を、前記コアフィルムの表面処理された面上で行い、
    前記表面処理は、プラズマ処理、コロナ放電処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、エッチング処理及び化成処理からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の熱溶着性フィルムの製造方法。
  7. 前記有機層を形成する前に、前記コアフィルムを、下記(c1)~(c7)からなる群より選ばれる少なくとも何れかを含む溶液で処理することにより、前記コアフィルムの表面に官能基を付与する、請求項5又は6に記載の熱溶着性フィルムの製造方法。
    (c1)エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びメルカプト基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有するシランカップリング剤
    (c2)アミノ基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物及びチオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c3)メルカプト基を有するシランカップリング剤と、エポキシ化合物、アミノ化合物、イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基を有する化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c4)(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤と、チオール化合物
    (c5)エポキシ基を有するシランカップリング剤と、アミノ化合物、チオール化合物、並びに、(メタ)アクリロイル基及びアミノ基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
    (c6)イソシアネート化合物
    (c7)チオール化合物
  8. 請求項1~4の何れかに記載の熱溶着性フィルムを介して、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第1の基材と、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第2の基材を溶着により接合一体化してなる、接合体。
  9. 請求項1~4の何れかに記載の熱溶着性フィルムを介して、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第1の基材と、金属、樹脂、セラミックス及びガラスからなる群から選択される1種で構成される第2の基材を、溶着し、前記第1の基材と前記第2の基材を接合一体化する、接合体の製造方法。
  10. 前記溶着を、超音波溶着法、振動溶着法、電磁誘導法、高周波法、レーザー法、熱プレス法からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法で行う、請求項9に記載の接合体の製造方法。
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