以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10の構成の一例を示す。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。以下において説明をする点を除き、本例の印刷システム10及び印刷システム10の各構成は、公知の印刷システム及び公知の印刷システムの各構成と同一又は特徴を有してよい。
本例において、印刷システム10は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うシステムであり、印刷装置12及び制御PC14を備える。この場合、媒体50は、インクの吐出対象の一例である。印刷装置12は、媒体50に対してインクを吐出する印刷の動作を実行するインクジェットプリンタであり、制御PC14の制御に応じて、媒体50への印刷の動作を実行する。制御PC14は、印刷装置12の動作を制御するコンピュータであり、印刷すべき画像を示す印刷データを印刷装置12へ供給することにより、印刷装置12の動作を制御する。また、より具体的に、制御PC14は、例えば、RIP(Raster Image Processor)処理を行うことで印刷データを生成し、生成した印刷データを印刷装置12へ供給する。
尚、上記のように、本例において、印刷システム10は、複数の装置である印刷装置12及び制御PC14を備える。印刷システム10の構成の変形例においては、例えば、1台の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、制御PC14の機能を兼ねた印刷装置12を用いること等が考えられる。また、印刷システム10の構成の更なる変形例においては、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、複数の印刷装置12及び制御PC14により印刷システム10を構成すること等が考えられる。また、例えば、印刷装置12又は制御PC14の一部の機能を有する他の装置を更に用いて、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。
続いて、本例における印刷装置12の構成について、更に詳しく説明をする。本例において、印刷装置12は、ヘッド部102、プラテン104、主走査駆動部106、副走査駆動部108、及び制御部110を有する。ヘッド部102は、媒体50に対してインクを吐出する部分である。また、本例において、ヘッド部102は、キャリッジ200、複数の複合ヘッド202、及び複数の紫外線光源204を有する。キャリッジ200は、ヘッド部102における他の部材を保持する保持部材である。複数の複合ヘッド202のそれぞれは、印刷に使用する各色のインクを吐出する構成である。この場合、複数の複合ヘッド202のそれぞれにより、互いに異なる色のインクを吐出することが考えられる。より具体的に、本例において、複数の複合ヘッド202のそれぞれは、カラー印刷での基本色であるプロセスカラーの各色のインクを吐出する。プロセスカラーの各色のインクとしては、例えば、シアン色(C色)、マゼンタ色(M色)、イエロー色(Y色)、及びブラック色(K色)の各色のインクを用いることが考えられる。また、本例において、それぞれの複合ヘッド202は、複数のインクジェットヘッドによって構成される。インクジェットヘッドについては、例えば、インクジェット方式で液体と吐出する吐出ヘッド等と考えることができる。また、複合ヘッド202の構成については、後に更に詳しく説明をする。
また、本例において、複数の複合ヘッド202のそれぞれは、紫外線の照射に応じて硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を吐出する。この場合、例えば、公知の紫外線硬化型インク等を好適に用いることができる。また、本例において、複数の複合ヘッド202は、印刷装置12において予め設定された副走査方向(図中のX方向)における位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(図中のY方向)へ並べて配設される。副走査方向については、例えば、ヘッド部102に対して媒体50を送るフィード方向と平行な方向等と考えることができる。主走査方向については、例えば、以下において説明をする主走査動作でのヘッド部102の相対移動の方向であるスキャン方向と平行な方向等と考えることもできる。また、ヘッド部102の構成の変形例においては、複数の複合ヘッド202の配置について、上記と異ならせてもよい。例えば、一部の複合ヘッド202の副走査方向における位置について、他の複合ヘッド202と異ならせてもよい。また、複合ヘッド202として、CMYKの各色以外の色のインクを吐出する構成を用いてもよい。
複数の紫外線光源204は、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を照射する光源である。紫外線光源204としては、例えばUVLED等を好適に用いることができる。また、本例において、複数の紫外線光源204のそれぞれは、主走査方向において複数の複合ヘッド202の並びの一方側及び他方側のそれぞれに配設される。また、これにより、紫外線光源204は、例えば、以下において説明をする主走査動作中に媒体50上のインクへ紫外線を照射して、媒体50に対してインクを定着させる。
尚、本例において、複数の紫外線光源204は、インクの定着手段の一例である。また、印刷装置12の変形例においては、紫外線硬化型インク以外のインクを用いること等も考えられる。この場合、紫外線光源204に代えて、使用するインクに合わせた定着手段を用いることが考えられる。例えば、インク中の溶媒を蒸発させるインク(蒸発乾燥型のインク)を用いる場合、定着手段として、ヒータ等を用いることが考えられる。
プラテン104は、媒体50を上面に載置する台状部材であり、印刷装置12における複数の複合ヘッド202と対向させた状態で媒体50を保持する。主走査駆動部106は、ヘッド部102に主走査動作を行わせる駆動部である。この場合、ヘッド部102に主走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102における複合ヘッド202に主走査動作を行わせること等と考えることができる。複合ヘッド202に主走査動作を行わせることについては、例えば、複合ヘッド202を構成する複数のインクジェットヘッドに主走査動作を行わせること等と考えることができる。本例での主走査動作時において、主走査駆動部106は、制御部110の制御に応じて、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置に対し、複数の複合ヘッド202のそれぞれが有するインクジェットヘッドにインクを吐出させる。また、本例において、主走査動作については、例えば、主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。
副走査駆動部108は、ヘッド部102に副走査動作を行わせる駆動部である。この場合、ヘッド部102に副走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102における複合ヘッド202に副走査動作を行わせること等と考えることができる。複合ヘッド202に副走査動作を行わせることについては、例えば、複合ヘッド202を構成する複数のインクジェットヘッドに副走査動作を行わせること等と考えることができる。本例において、副走査動作については、例えば、媒体50に対して相対的に副走査方向へ移動する動作等と考えることができる。また、副走査動作については、例えば、主走査動作の合間に副走査方向へ媒体50を送る動作等と考えることもできる。
制御部110は、例えば印刷装置12におけるCPU等を含む部分であり、印刷装置12の各部の動作を制御する。また、上記においても説明をしたように、本例において、主走査駆動部106は、制御部110の制御に応じて、ヘッド部102におけるインクジェットヘッドにインクを吐出させる。この場合、制御部110について、例えば、それぞれのインクジェットヘッドからのインクの吐出の制御をしていると考えることができる。また、本例において、制御部110は、吐出制御部の一例であり、それぞれの複合ヘッド202を構成する複数のインクジェットヘッドによるインクの吐出対象である媒体50の各位置へのインクの吐出を制御する。
また、より具体的に、本例において、制御部110は、マルチパス方式でのインクの吐出が行われるように、主走査駆動部106及び副走査駆動部108の動作を制御する。この場合、マルチパス方式でインクを吐出する動作については、例えば、媒体50の各位置をいずれかのインクジェットヘッドが通過する主走査動作の回数が複数になる動作等と考えることができる。また、この場合、媒体50の各位置をいずれかのインクジェットヘッドが通過することについては、例えば、それぞれの複合ヘッド202を構成する複数のインクジェットヘッドのうちのいずれかのインクジェットヘッドが媒体50の各位置を通過すること等と考えることができる。また、媒体50の各位置をいずれかのインクジェットヘッドが通過する主走査動作の回数が複数になることについては、例えば、同じ色用の複数のインクジェットヘッドについて、媒体50の各位置をいずれかのインクジェットヘッドが通過する主走査動作の回数が複数になること等と考えることもできる。また、本例において実行するマルチパス方式の動作については、後に更に詳しく説明をする。本例によれば、例えば、媒体50に対する印刷の動作を適切に行うことができる。
続いて、ヘッド部102における複合ヘッド202の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、複合ヘッド202の構成について説明をする図である。図2(a)は、複合ヘッド202の構成の一例を示す図であり、1つの色用の複合ヘッド202の構成の例を示す。上記においても説明をしたように、本例において、複合ヘッド202は、複数のインクジェットヘッドにより構成される。また、より具体的に、図2(a)に示す構成の場合、1つの複合ヘッド202は、図中にヘッド1及びヘッド2として区別して示す2つのヘッドユニット212により構成されている。この場合、それぞれのヘッドユニット212は、複合ヘッド202を構成するそれぞれのインクジェットヘッドであり、例えば図中に示すように、副走査方向における位置を互いにずらして並ぶ複数のノズル302により構成されるノズル列304を有する。また、本例において、それぞれのヘッドユニット212における複数のノズル302は、副走査方向における間隔を一定にして並ぶ。
また、複合ヘッド202において、複数のヘッドユニット212のそれぞれは、例えば図中に示すように、副走査方向における位置を互いにずらして配設される。この場合、副走査方向における位置を互いにずらしてヘッドユニット212が配設されることについては、例えば、それぞれのヘッドユニット212におけるノズル列304の位置が副走査方向においてずれるようにヘッドユニット212が配設されること等と考えることができる。また、より具体的に、本例において、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212は、それぞれのノズル列304の範囲が副走査方向において重ならないように、副走査方向における位置を互いにずらして配設される。
このように構成した場合、例えば図2(b)に示すように、それぞれのヘッドユニット212におけるノズル列304により、複合ヘッド202のノズル列312を構成することができる。図2(b)は、複合ヘッド202のノズル列312について説明をする図である。この場合、複合ヘッド202のノズル列312については、例えば、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212のノズル列304を合わせることで実現する仮想的なノズル列等と考えることができる。また、ノズル列312については、例えば、それぞれのヘッドユニット212におけるノズル302の副走査方向における位置に着目してノズル302の並びを考えた列等と考えることもできる。また、ノズル列312について、例えば、それぞれのヘッドユニット212におけるノズル列304をつなげた列等と考えることもできる。
また、本例においては、複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長について、例えば図中に示すように、複合ヘッド202を構成するヘッドユニット212におけるノズル列304のノズル長を合わせた長さになっていると考えることができる。この場合、ヘッドユニット212におけるノズル列304のノズル長については、例えば、ヘッドユニット212においてノズル302が存在する範囲の副走査方向における幅等と考えることができる。また、複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長について、複合ヘッド202を構成するヘッドユニット212におけるノズル列304のノズル長を合わせた長さになっていることについては、例えば、複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長と、複合ヘッド202におけるそれぞれのヘッドユニット212でのノズル列304のノズル長の合計とが実質的に等しくなっていること等と考えることができる。複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長とそれぞれのヘッドユニット212でのノズル列304のノズル長の合計とが実質的に等しくなることについては、例えば、それぞれのヘッドユニット212における端のノズル列304の扱い方等によって生じる調整分等を除いて、複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長とそれぞれのヘッドユニット212でのノズル列304のノズル長の合計とが等しくなること等と考えることができる。
また、より具体的に、本例において、複合ヘッド202が有する複数のヘッドユニット212のそれぞれは、同じノズル長Lhのノズル列304を有する。この場合、ヘッドユニット212のノズル長Lhについては、例えば、副走査方向におけるノズルの周期にノズルの数を乗じた距離になっていると考えることができる。また、副走査方向におけるノズルの周期については、例えば、副走査方向において隣接するノズル302の中心間の副走査方向における間隔等と考えることができる。ノズルの数については、例えば、1つのヘッドユニット212のノズル列304においてインクを吐出するノズル302の数等と考えることができる。インクを吐出するノズル302については、例えば、意図的に不吐出に設定したノズル以外のノズル等と考えることができる。そして、この場合、例えば図中に示すように、複合ヘッド202におけるノズル列312のノズル長Lnについて、複合ヘッド202を構成するヘッドユニット212の数をLhに乗じた距離になると考えることができる。また、ヘッドユニット212のノズル長Lhについては、例えば、ヘッドユニット212において複数のノズルが並ぶ範囲の副走査方向における幅等と考えることもできる。
尚、図2(a)においては、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212について、副走査方向における端の部分がわずかに重なるように図示をしている。しかし、図中に示すノズル302の並び方や上記の説明等から理解できるように、この重なり部分は、ヘッドユニット212におけるノズル列304の外側にある部分である。そのため、ヘッドユニット212においてインクの吐出を行う実効的な部分に着目した場合、図2に示す複数のヘッドユニット212について、例えば、副走査方向における位置が重ならないように配設されていると考えることができる。また、以降の図面においては、図示を簡略化するため、必要に応じて、ヘッドユニット212の副走査方向における幅について、実効的な部分の幅のみを図示する。また、複合ヘッド202の構成の変形例においては、複数のヘッドユニット212の並べ方等について、上記と異ならせること等も考えられる。このような変形例については、後に更に詳しく説明をする。
続いて、複合ヘッド202を用いて実行するマルチパス方式の動作について、更に詳しく説明をする。先ず、説明の便宜上、複合ヘッド202を用いて公知の方法で実行する一般的なマルチパス方式の動作について、説明をする。図3は、公知のマルチパス方式の動作について説明をする図である。図3(a)は、パス数を2とする動作(2パスの動作)の例を示す。図3(b)は、パス数を4とする動作(4パスの動作)の例を示す。この場合、パス数については、例えば、媒体50における1つの位置と対向する位置を通過する主走査動作を1つの複合ヘッド202いずれかのヘッドユニット212(図2参照)が行う数等と考えることができる。
また、マルチパス方式での印刷の動作を実行する場合、印刷装置12(図1参照)は、副走査動作での送り量を複合ヘッド202のノズル長Lnよりも小さくすることで、パス数を複数回にする。この場合、副走査動作での送り量については、例えば、副走査動作での媒体50に対するヘッドユニット212の相対移動量等と考えることができる。また、より具体的に、パス数を2にする場合、例えば図3(a)に示すように、副走査動作での送り量である副走査移動量Dxについて、複合ヘッド202のノズル長Lnの1/2(Ln/2)にする。また、パス数を4にする場合、例えば図3(b)に示すように、副走査移動量Dxについて、複合ヘッド202のノズル長Lnの1/4(Ln/4)にする。
また、この場合、印刷装置12における制御部110(図1参照)の動作について、例えば、複合ヘッド202におけるノズル列312やそれぞれのヘッドユニット212におけるノズル列304に対し、パス数分の各回の主走査動作でのインクの吐出を行うパス領域322を設定すると考えることができる。より具体的に、パス数を2にする場合、制御部110は、例えば図3(a)に示すように、ノズル列312及びノズル列304に対し、1パス目及び2パス目のそれぞれに対応するパス領域322を設定する。また、パス数を4にする場合、制御部110は、例えば図3(b)に示すように、ノズル列312及びノズル列304に対し、1パス目~4パス目のそれぞれに対応するパス領域322を設定する。このように構成すれば、例えば、マルチパス方式での印刷の動作を適切に行うことができる。
また、マルチパス方式で印刷を行う場合、主走査方向へ複数の吐出位置が並ぶライン(以下、主走査方向ラインという)について、例えば図4を用いて以下において説明をするように、複数回の主走査動作で形成することになる。主走査方向ラインについては、例えば、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置のうち、副走査方向の位置を揃えて主走査方向へ並ぶ複数の吐出位置の並び等と考えることができる。また、主走査方向ラインについては、例えば、印刷の解像度に応じて設定されるインクの吐出位置のうち、副走査方向における位置が同じ吐出位置を抜き出した集合等と考えることもできる。
図4は、マルチパス方式の動作について更に詳しく説明をする図である。図4(a)は、印刷の実行時に媒体上に形成されるインクのドット402の並びの一例を示す図であり、100%の濃度(印字濃度)での印刷を行う場合について、1つの複合ヘッド202によって媒体の一部の上に形成されるインクのドットの並びの一例を示す。図4(b)、(c)は、マルチパス方式での印刷の動作に関し、1つの主走査方向ラインにおける吐出位置に対して複数回の主走査動作でインクを吐出する動作の一例を示す。
この場合、100%の濃度での印刷を行うことについては、例えば、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に対して所定の回数のインクを吐出すること等と考えることができる。また、より具体的に、上記及び以下において説明をする構成において、100%の濃度での印刷を行うことについては、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に対して1回ずつインクを吐出すること等と考えることができる。また、マルチパス方式でインクの吐出(マルチパス方式での印刷)を行う場合において、100%の濃度での印刷を行うことについては、例えば、各位置に対して行う全ての主走査動作が完了した時点での最終的な印字濃度が100%になるように印刷を行うこと等と考えることができる。また、濃度が100%になるように印刷を行うことについては、例えば、いわゆるベタ印字を行うこと等と考えることもできる。
そして、この場合、例えば図中に示すように、印刷の解像度に応じて設定されるそれぞれの吐出位置に、1つのインクのドット402が形成されることになる。また、この場合、1つの主走査方向ラインを構成する複数の吐出位置に着目すると、例えば図4(b)、(c)に示すように、一部の吐出位置のドット402をある回の主走査動作で形成し、他の少なくとも一部の吐出位置のドット402を他の回の主走査動作で形成することになる。より具体的に、図4(b)においては、1つの主走査方向ラインにおける吐出位置に形成される複数のインクのドット402a、bについて、同じ回の主走査動作で形成されるドットの網掛け模様を同じにして、異なる回の主走査動作で形成されるドットの網掛け模様を互いに異ならせて図示をしている。すなわち、図4(b)に示す場合、印刷装置12は、同じ網掛け模様で示す複数のドット402aをいずれかの1回の主走査動作で形成し、他の同じ網掛け模様で示す複数のドット402bを他のいずれかの1回の主走査動作で形成することで、1つの主走査方向ラインを構成する複数の吐出位置に対して、2回の主走査動作でインクを吐出する。
また、この場合、印刷装置12は、この2回の主走査動作を行う間に、少なくとも1回の副走査動作を行う。そして、この場合、1つの主走査方向ラインの一部の吐出位置に対し、複合ヘッド202(図1参照)におけるいずれかの1つのノズルでインクを吐出して、その主走査方向ラインの他の一部の吐出位置に対し、複合ヘッド202における他のいずれかの1つのノズルでインクを吐出する。また、図4(c)においては、一つの主走査方向ラインに含まれるドット402a、bについて、対応するノズル毎に分けて、位置をずらして図示をしている。この場合、図中にヘッド1、ヘッド2、ノズルA、及びノズルBと区別して示すように、図4(b)における複数のドット402aについて、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212のうちのいずれかのヘッドユニット212(ヘッド1)におけるいずれかのノズル(ノズルA)で形成し、複数のドット402bについて、複合ヘッド202中の他のヘッドユニット212(ヘッド2)におけるいずれかのノズル(ノズルB)で形成していると考えることができる。また、この場合、ノズルBについて、例えば、ノズルA以外のノズルの一例と考えることができる。このように構成すれば、例えば、それぞれの主走査方向ラインについて、複数回の主走査動作で適切に形成することができる。また、これにより、例えば、マルチパス方式での印刷の動作を適切に実行することができる。
ここで、マルチパス方式で印刷を行う場合、上記のように、1つの主走査方向ラインについて、複数回の主走査動作で形成することになる。そして、この場合、1回の主走査動作で1つのノズルでインクを吐出する吐出位置については、主走査方向ラインを構成する複数の吐出位置の一部になっていると考えることができる。そこで、以下においては、それぞれのノズルからインクを吐出する吐出位置の割合について、ノズルの吐出濃度と考える。ノズルの吐出濃度については、例えば、1回の主走査動作で1つのノズルからインクを吐出する吐出位置の割合等と考えることができる。また、この割合については、例えば、最終的に100%の濃度での印刷を行う場合にそのノズルからインクを吐出する吐出位置の割合等と考えることができる。この割合については、例えば、その回の主走査動作でそのノズルがインクを吐出する吐出位置を含む主走査方向ラインを構成する吐出位置に対する割合等と考えることもできる。また、図3及び図4等を用いて上記において説明をした事項等から理解できるように、吐出濃度については、例えば、印刷の解像度に応じて主走査方向における単位長さ中に設定されるインクの吐出位置の数に対して1回の主走査動作で1つのノズルにインクを吐出させる吐出位置の数の割合等と考えることもできる。
また、マルチパス方式での印刷を行う場合、各回の主走査動作において、複合ヘッド202のノズル列312におけるそれぞれのノズルは、パス数等に応じて設定される吐出濃度で、インクを吐出する。例えば、図3等を用いて説明をした動作によりマルチパス方式の動作を行う場合、それぞれのノズルの吐出濃度について、パス数に反比例する一定の吐出濃度に設定することになる。これに対し、以下に説明をする本例におけるマルチパス方式の動作では、それぞれのヘッドユニット212における一部のノズルの吐出濃度について、例えば図5に示すように、他のノズルと異ならせる。
図5は、本例における吐出濃度の設定の仕方について更に詳しく説明をする図である。図5(a)、(b)は、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212における複数のノズルに対する吐出濃度の設定の仕方の例を示す。図5(a)、(b)において、左側の図は、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212の配置の例を示す。また、右側の図は、それぞれのヘッドユニット212におけるそれぞれのノズルに設定する吐出濃度の例を示す。
上記においても説明をしたように、本例の印刷装置12(図1参照)においては、制御部110(図1参照)が、印刷装置12の各部の動作を制御する。また、このような制御の一例として、制御部110は、例えば、制御PC14(図1参照)から受け取る印刷データに基づき、それぞれのノズル302によりインクを吐出する吐出位置を決定する。この場合、制御部110の動作について、例えば、印刷データに基づいてそれぞれのノズル302の吐出濃度を決定していると考えることができる。そのため、本例においては、複合ヘッド202を構成するそれぞれのヘッドユニット212におけるそれぞれのノズルによりインクを吐出する吐出位置を決定する制御部110の動作について、例えば、それぞれのノズルの吐出濃度を設定する動作等と考えることができる。
また、図6に図示した事項等から理解できるように、本例において、制御部110は、それぞれのヘッドユニット212の副走査方向における端付近のノズルに対する吐出濃度について、端に近づくに従って吐出濃度が低くなるように設定する。より具体的に、本例において、制御部110は、複合ヘッド202を構成するそれぞれのヘッドユニット212に対し、図中に示すように、複数のグラデーション域G1、G2、及びフラット域Fを設定する。この場合、複数のグラデーション域G1、G2のそれぞれは、複数のノズルを含む端部領域の一例であり、ヘッドユニット212での副走査方向における一端側及び他端側のそれぞれに設定される。また、フラット域Fは、複数のノズルを含む中央部領域の一例であり、グラデーション域G1とグラデーション域G2との間に設定される。
また、本例において、フラット域Fは、グラデーション域G1とグラデーション域G2との間において、グラデーション域G1、G2との間に隙間を空けずに設定される。そのため、それぞれのヘッドユニット212におけるそれぞれのノズルは、グラデーション域G1、グラデーション域G2、又はフラット域Fのいずれかに含まれる。そして、制御部110は、それぞれのヘッドユニット212におけるそれぞれのノズルの吐出濃度について、グラデーション域G1、G2のそれぞれにおいてヘッドユニット212の端(副走査方向における端)へ近づくに従って吐出濃度が徐々に低くなり、かつ、フラット域Fにおいて吐出濃度が一定になるように設定する。
この場合、フラット域Fについては、例えば、吐出濃度を一定にする領域域等と考えることができる。グラデーション域G1、G2については、例えば、吐出濃度をグラデーション状に変化させる領域域等と考えることができる。また、本例における上記のような吐出濃度の設定については、例えば、それぞれのヘッドユニット212における端付近のそれぞれのノズルでインクを吐出する吐出位置が端に向けて徐々に少なくなるようにそれぞれのノズルの吐出濃度をグラデーション状に変化させる設定等と考えることもできる。また、グラデーション域G1、G2での吐出濃度について、ヘッドユニット212の端へ近づくに従って吐出濃度が徐々に低くなることについては、例えば、ヘッドユニット212の端部に向けて吐出濃度が漸減(逓減)すること等と考えることができる。また、グラデーション域G1、G2での吐出濃度については、例えば、ヘッドユニット212の端部から中央部に向けて漸増すると考えることもできる。
このように吐出濃度を設定した場合、例えば、それぞれのヘッドユニット212における端のノズルの吐出濃度を低くすることで、端のノズルの影響を適切に低減することができる。また、この場合において、ヘッドユニット212の端へ近づくに従って吐出濃度が徐々に低くなるように吐出濃度を変化させることで、吐出濃度について、例えばステップ状に変化させる場合と比べ、穏やかに変化させることができる。このように構成すれば、例えば、ノズルによって吐出濃度を変化させることで意図しない縞等が発生すること等を適切に防止することができる。また、これにより、例えば、端のノズルの影響で印刷物の画質が低下すること等をより適切に防ぐことができる。
また、本例においては、単に吐出濃度をグラデーション状に変化させるのではなく、グラデーション域G1、G2の副走査方向における幅について、フラット域Fの副走査方向における幅よりも狭くしている。この場合、例えば、グラデーション域G1及びグラデーション域G2のそれぞれの幅について、フラット域Fの幅よりも小さくなっていると考えることができる。また、より具体的に、本例においては、それぞれのヘッドユニット212において、グラデーション域G1の幅とグラデーション域G2の幅との合計について、フラット域Fの幅よりも狭くしている。
このように構成すれば、例えば、グラデーション域G1、G2を設けることの影響を低減しつつ、それぞれのヘッドユニット212における端のノズルの影響を適切に低減することができる。より具体的に、この場合、例えば、副走査動作での送り量について、グラデーション域G1、G2を設けることで過度に小さくなること等を適切に防止することができる。そのため、本例によれば、例えば、副走査動作での送り量への影響を抑えつつ、吐出濃度を適切にグラデーション状に変化させることができる。また、これにより、例えば、印刷速度の大幅な低下等を防いで効率的に印刷を行いつつ、意図しない縞等の発生を適切に防止することができる。グラデーション域G1、G2の幅と副走査動作での送り量との関係については、後に更に詳しく説明をする。
また、本例においては、ヘッドユニット212にフラット域Fを設けることで、例えば、一部のノズルで吐出濃度が高くなり過ぎることの防止等も可能になる。より具体的に、例えば、フラット域Fを設けずに、ヘッドユニット212に対してグラデーション域G1、G2のみを設定する場合、例えばヘッドユニット212の中心部分で、吐出濃度が最も高くなると考えられる。そして、この場合、例えば印刷を効率的に行うためにパス数を少なくすると、この中心部分での吐出濃度が極めて高くなること等が考えられる。また、その結果、中心部分のノズルでインクを吐出する吐出位置が極めて多くなり、ビーディング等の問題が生じやすくなる。これに対し、本例によれば、ヘッドユニット212にフラット域Fを設定することで、例えば、一部のノズルにおいて吐出濃度が高くなり過ぎること等を適切に防止することができる。また、この場合、例えば、フラット域Fにおいて、高い品質での印刷を適切に行うこと等も可能になる。
ここで、上記においても説明をしたように、図5(a)、(b)のそれぞれは、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212における複数のノズルに対する吐出濃度の設定の仕方の例を示している。また、これらの例のいずれにおいても、それぞれのヘッドユニット212に対し、フラット域F、及びグラデーション域G1、G2を設定して、ノズルの吐出濃度の設定を行っている。しかし、図中に示すように、図5(a)に示す例と、図5(b)に示す例とでは、具体的な吐出濃度の値が異なっている。
より具体的に、図5(a)に示す例では、複合ヘッド202を構成する全てのヘッドユニット212に対し、同じように吐出濃度の設定を行っている。これに対し、図5(b)に示す例では、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度について、ヘッドユニット212毎に異ならせている。また、これに伴い、グラデーション域G1、G2で吐出濃度が変化する範囲についても、ヘッドユニット212毎に異なっている。このような吐出濃度の設定については、例えば、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212に関し、いずれかのヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度について、他のヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度よりも低く設定していると考えることができる。このような吐出濃度の設定を行うことで、例えば、吐出濃度の設定をより柔軟に行うことができる。また、この場合、例えば、印刷物の仕上がりの所望の状態、使用するインク、又は吐出対象の特性等に応じて、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を設定すること等が考えられる。
また、更に具体的に、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度の設定の仕方に関し、例えば、インクの吐出対象である媒体50の各位置に対して最後にインクを吐出するヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を低くすること等が考えられる。この場合、印刷装置12における制御部110は、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212のうち、媒体50の各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度について、他のヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度よりも低く設定する。このように構成すれば、例えば、印刷結果における表面の状態を滑らかにすることができる。最後にインクを吐出するヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を低くすることで得られる効果等については、後に更に詳しく説明をする。
続いて、本例において実行するマルチパス方式の動作や、グラデーション域G1、G2の幅と副走査動作での送り量との関係等について、更に詳しく説明をする。図6は、本例において実行するマルチパス方式の動作の一例を示す図であり、図5(b)に示すように吐出濃度の設定を行う場合のマルチパス方式での動作の例に関し、図中に1スキャン目~3スキャン目として示す連続する3回の主走査動作について、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212(図5参照)であるヘッド1及びヘッド2の副走査方向における位置の例を示す。
本例のように、グラデーション域G1、G2を設定して一部のノズルの吐出濃度を低くする場合、グラデーション域G1、G2における各回の主走査動作での吐出濃度の低下分について、他の回の主走査動作で補うことが必要になる。そして、この場合、このような補填関係が成り立つように、副走査動作での送り量Dxを調整することが考えられる。より具体的に、本例のように、それぞれのヘッドユニット212における副走査方向の一端側及び他端側にグラデーション域G1、G2を設定する場合、1つのヘッドユニット212内でのグラデーション域G1の幅(副走査方向における幅)とグラデーション域G2の幅とを同じにして、グラデーション域G1(又はグラデーション域G2)の幅に対応する距離に応じて、副走査送り量Dxを小さく設定することが考えられる。例えば、図3(a)に示す従来の2パスの動作に対応するマルチパス方式の動作を本例において実行する場合、フラット域Fの副走査方向における幅をFと表し、グラデーション域G1の副走査方向における幅をG1と表すと、副走査動作での送り量Dxについて、図中に示すように、F+G1に設定することが考えられる。
この場合、従来の2パスの動作に対応するマルチパス方式の動作については、例えば、フラット域Fでの吐出濃度を従来の2パスの動作の実行時と同様に設定する場合の動作等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例においては、グラデーション域G1、G2の幅について、同じに設定する。そのため、本例における上記の送り量Dxについては、F+G2に等しいと考えることもできる。また、この送り量Dxについては、従来の2パスの動作での送り量と比べ、1つのグラデーション域(グラデーション域G1又はグラデーション域G2)の幅の分だけ短くなっていると考えることができる。
また、上記において説明をした本例の構成等から理解できるように、本例において実行するマルチパス方式の動作としては、従来の2パスの動作に対応する動作に限らず、より多くのパス数の従来の動作に対応する動作も実行可能である。より具体的に、本例において実行するマルチパス方式の動作については、例えば、従来のNパスの動作(Nは、2以上の整数)に対応する動作を実行可能と考えることができる。この場合、従来のNパスの動作については、例えば、図3に示した2パス及び4パスの動作と同様にして行うパス数がNのマルチパス方式の動作等と考えることができる。また、Nパスの動作に対応する本例におけるマルチパス方式の動作については、例えば、フラット域Fでの吐出濃度を従来のNパスの動作の実行時と同様に設定する場合の動作等と考えることができる。そして、この場合、本例における副走査動作での送り量Dxについては、例えば、従来のNパスの動作での送り量と比べ、1つのグラデーション域の幅に応じた距離だけ短くすることが考えられる。
そのため、本例においてマルチパス方式の動作を実行する場合、副走査動作での送り量Dxについて、グラデーション域G1、G2を広くするほど短くなると考えることができる。これに対し、本例においては、上記においても説明をしたように、グラデーション域G1の幅とグラデーション域G2の幅との合計について、フラット域Fよりも狭くしている。そのため、本例によれば、例えば、上記においても説明をしたように、副走査動作での送り量Dxについて、グラデーション域G1、G2を設けることで過度に小さくなること等を適切に防止することができる。また、これにより、例えば、副走査動作での送り量Dxへの影響を抑えつつ、吐出濃度を適切にグラデーション状に変化させることができる。
また、この場合、フラット域Fの幅と、ヘッドユニット212のノズル長Lhとの比較で考えると、それぞれのヘッドユニット212において、フラット域Fの幅について、例えば、ノズル長Lhの55%以上、95%未満程度にすることが好ましいと考えることができる。このように構成すれば、例えば、マルチパス方式での印刷の動作を効率的かつ適切に行うことができる。また、この場合、例えば、フラット域Fの幅を広くするほど、より効率的に印刷を行うことが可能になるといえる。また、フラット域Fの幅は、好ましくは、ノズル長Lhの60%程度以上、より好ましくは、75%程度以上である。
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。先ず、本例において実行するマルチパス方式の動作でのパス数の考え方の例について、説明をする。本例のように、ヘッドユニット212の一部にグラデーション域G1、G2を設定する場合、複合ヘッド202におけるそれぞれのヘッドユニット212のフラット域Fにあるノズルのみからインクを吐出する領域と、グラデーション域G1又はグラデーション域G2の少なくともいずれかにあるノズルからもインクを吐出する領域との間で、その領域と対向する位置をいずれかのヘッドユニット212が通過する主走査動作の回数に差が生じることになる。そして、このような場合、例えば、副走査動作での送り量Dxと複合ヘッド202のノズル列312(図2参照)のノズル長Lnとの関係に基づき、パス数を定義することが考えられる。より具体的に、例えば、上記において説明をした本例の構成のように、複合ヘッド202における複数のヘッドユニット212のノズル列304(図2参照)が副走査方向における隙間を空けずに並ぶ場合、パス数Nについて、N=Ln/Dxになると考えることができる。また、この場合、パス数Nについて、整数以外の値を取り得ると考えることができる。
また、この場合、グラデーション域G1、G2の幅がフラット域Fよりも大きくなる場合等も含めて考え、フラット域Fの幅(以下、Fとする)、グラデーション域G1の幅(以下、G1とする)、及びグラデーション域G2の幅(以下、G2とする)とパス数Nとの関係に着目すると、パス数Nが増加することで、幅Fが0に近づき、幅G1及びG2がF/2に近づくことになる。また、F=0になる条件から、更にパス数Nを増やす場合には、フラット域F、及びグラデーション域G1、G2における吐出濃度を低くして、再度、ヘッドユニット212におけるノズル列304の全体がフラット域Fになり、グラデーション域G1、G1を設定しない状態(F=ALL、G1=0、G2=0の状態)から、幅Fを減らせばよい。
また、この場合、フラット域Fでの吐出濃度を最も大きくした状態について、例えば、従来の構成で1パスでの印刷を行う動作に対応していると考えることができる。フラット域Fでの吐出濃度を最も大きくした状態については、例えば、フラット域Fでの吐出濃度を100%にした状態等と考えることができる。また、この場合、フラット域Fのノズルの動作について、例えば、主走査方向ラインを構成する全ての吐出位置へのインクの吐出を1回の主走査動作で行うと考えることができる。また、この場合、グラデーション域G1、G2の幅を大きくすると、F=0になるまで、パス数Nは、徐々に大きくなる。また、この状態からパス数Nを更に大きくする場合、フラット域F、及びグラデーション域G1、G2における吐出濃度について、例えば、上記の半分にすることが考えられる。この場合、フラット域Fのノズルの動作について、例えば、主走査方向ラインを構成する全ての吐出位置へのインクの吐出を2回の主走査動作で行うと考えることができる。また、フラット域F、及びグラデーション域G1、G2における吐出濃度をより低くすることで、より大きなパス数Nでの印刷の動作を実行することができる。
また、このような特徴をより一般化して考えた場合、例えば、フラット域Fのノズルの動作について、主走査方向ラインを構成する全ての吐出位置へのインクの吐出をk回(kは、1以上の整数)の主走査動作で行うと考えることができる。この場合、フラット域F、及びグラデーション域G1、G2における吐出濃度について、kの値に応じて設定することが考えられる。また、この場合、グラデーション域G1、G2のノズルからインクを吐出する領域では、例えば、k+1回の主走査動作を行うことで主走査方向ラインを完成することが考えられる。より具体的に、この場合、例えば図6に図示したように、複合ヘッド202におけるそれぞれのヘッドユニット212(ヘッド1及びヘッド2のそれぞれ)において、異なる回の主走査動作で、吐出濃度の立ち上がりに立ち下がりが重なることになる。このように構成すれば、例えば、グラデーション域G1、G2での吐出濃度の減少分について、補填関係を適切に成り立たせることができる。
続いて、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212に対する吐出濃度の設定の仕方等について、更に詳しく説明をする。図5(b)等を用いて上記において説明をしたように、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度については、ヘッドユニット212毎に異ならせてもよい。この点に関し、例えば、印刷物の仕上がりの所望の状態、印刷に使用するインク、又は使用する媒体等によっては、マルチパス方式での複数回の主走査動作のうち、先に行う主走査動作でより多くのインクを吐出することが好ましい場合や、逆に、先に行う主走査動作では少なめのインクを吐出することが好ましい場合等も考えられる。そして、このような場合、複合ヘッド202を構成するそれぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を個別に設定することで、例えば、各回の主走査動作で吐出するインクの量について、好ましい条件に合わせて適切に調整することができる。
また、より具体的に、本例の印刷装置12においては、例えば図5(b)に示すように、最後にインクを吐出するヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を低くすることで、表面の凹凸を少なくした状態での印刷を行うことができる。また、これにより、例えば、印刷物の表面の平滑性を適切に高めることができる。また、例えば、紫外線硬化インクの使用時に問題となりやすい光縞の発生を適切に防止することができる。
ここで、本願の発明者は、図5(a)、(b)のそれぞれに対応する吐出濃度の設定で実際に印刷を行う実験等を行うことで、図5(a)のようにそれぞれのヘッドユニット212に対して同じ吐出濃度を設定する場合と比べて、図5(b)のように吐出濃度を設定して、先に行う主走査動作でより多くのインクを吐出して、最後に行う主走査動作でより少ないインクを吐出する方が、印刷物の表面の凹凸が少なく、滑らかな仕上がりになることを確認した。また、この場合、表面の凹凸が少ないことについては、手を用いた触覚や、印刷された画像の見え方から判断を行った。この理由については、現時点では定かではないが、媒体50の各位置へ先にインクを吐出するヘッドユニット212(ヘッド1)で多くのインクを吐出した後、最後のインクの吐出を行うヘッドユニット212(ヘッド2)で少量のインクを吐出することで、例えば、ヘッド1により形成されるインクで形成される表面の凹凸を埋めるようにヘッド2によるインクの吐出が行われて、表面の凹凸が軽減され、滑らかになること等が考えられる。また、この実験では、図5(b)に示す場合と反対に、先にインクを吐出するヘッドユニット212(ヘッド1)のフラット域Fでの吐出濃度を後でインクを吐出するヘッドユニット212(ヘッド2)のフラット域Fでの吐出濃度よりも低くする設定でも、印刷を行った。そして、このような設定と比べた場合にも、図5(b)に示す設定により、表面の凹凸を低減できることを確認した。
また、媒体50の各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度を低くする場合、印刷装置12における制御部110(図1参照)は、例えば、媒体50の各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度と、他のヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度との比率について、40:60~10:90の範囲の比率に設定する。このように構成すれば、例えば、各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度を低くすることによる上記の効果を適切に得ることができる。また、この比率は、好ましくは、40:60~20:80、更に好ましくは、40:60~30:70である。
また、上記のように、本例の印刷装置12では、インクとして、紫外線硬化型インクを用いる。そして、この場合、上記のように吐出濃度の設定により印刷物の表面の凹凸を低減することで、例えば光縞の防止等の紫外線硬化型インクを用いる場合に特有の効果を得ることができる。しかし、媒体50の各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度を低くすることで得られる効果については、紫外線硬化型インク以外のインクを用いる場合にも得ることができる。より具体的に、例えば、蒸発乾燥型のインクを用いる場合、インクの滲みの問題が発生しやすくなることが考えられる。特に、例えばインクを吸収する性質の媒体と蒸発乾燥型のインクとを組み合わせて用いる場合、媒体にインクがしみこむことで、滲みの問題が生じやすくなる。また、例えば布の媒体を用いる場合、布の織り目とインクのドットの位置との関係により、モアレ模様が発生すること等も考えられる。これに対し、上記のように、各位置へのインクの吐出を最後に行うヘッドユニット212におけるフラット域Fでのノズルの吐出濃度を低くした場合、このような問題に対し、改善効果が得られることが考えられる。
続いて、それぞれのヘッドユニット212に対する吐出濃度の設定の仕方や、複合ヘッド202の構成等について、様々な変形例を説明する。図7及び図8は、それぞれのヘッドユニット212に対する吐出濃度の設定の仕方の変形例について説明をする図である。図7(a)、(b)は、吐出濃度の設定の仕方の変形例を示す。図8は、図7(a)に示す吐出濃度の設定を行う場合におけるマルチパス方式の動作の一例を示す。また、以下に説明をする点を除き、以降に説明する図面において図1~6と同じ符号を付した構成は、図1~6における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
上記においては、それぞれのヘッドユニット212のグラデーション域G1、G2での吐出濃度について、主に、線形(リニア)に変化させる場合の例を説明した。この場合、吐出濃度を線形に変化することについては、例えば、副走査方向におけるヘッドユニット212の端からの距離に対して吐出濃度が線形に変化すること等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、グラデーション域G1、G2での吐出濃度の設定をより容易に行うことができる。
これに対し、吐出濃度の設定の仕方の変形例においては、グラデーション域G1、G2での吐出濃度について、例えば、図7(a)に示すように、非線形に変化させてもよい。この場合、吐出濃度を非線形に変化させることについては、例えば、副走査方向におけるヘッドユニット212の端からの距離と吐出濃度との関係が1次式では表せない関係になるように吐出濃度を変化させること等と考えることができる。また、この場合、印刷装置12における制御部110(図1参照)は、例えば、それぞれのヘッドユニット212におけるグラデーション域G1、G2での吐出濃度について、副走査方向におけるヘッドユニット212の端からの距離に対して吐出濃度が非線形に変化するように、それぞれのノズルの吐出濃度を設定する。この場合、例えば図中に示すように、非線形に変化し、かつ、ヘッドユニット212の端に近づくほど吐出濃度が低くなるように吐出濃度を設定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、グラデーション域G1、G2での吐出濃度の設定をより柔軟に行うことができる。また、これにより、例えば、求められる印刷の品質等に合わせた吐出濃度の設定等をより適切に行うことができる。
また、この場合、グラデーション域G1、G2での吐出濃度について、例えば、より狭い幅で急峻かつ適切に変化させること等が可能になる。この場合、吐出濃度が急峻に変化することについては、例えば、ヘッドユニット212の端からの距離に応じた吐出濃度の変化が急峻な立ち上がり、又は急峻な立ち下がりになること等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、ヘッドユニット212におけるノズル長に対するグラデーション域G1、G2の比率を小さくして、フラット域Fの比率を大きくすることで、グラデーション域G1、G2を設けることで生じる印刷速度への影響を適切に低減することができる。また、この場合、グラデーション域G1、G2での吐出濃度の変化について、予め定めた吐出濃度への変化を早期に行い得ると考えることもできる。
ここで、吐出濃度の変化を狭い幅で行うことを考えた場合、例えば隣接する2個のノズルの間で吐出濃度が一気に変化するように、ステップ状に吐出濃度を変化させればよいようにも思われる。しかし、この場合、例えば吐出濃度の変化が急峻になり過ぎることで、吐出濃度を変化させるノズルに対応する位置(印刷物における位置)において、意図しない縞等が発生しやすくなる。そのため、グラデーション域G1、G2での吐出濃度の変化については、ステップ状の変化にはならない範囲で、非線形に変化させることが好ましい。より具体的に、この場合、グラデーション域G1、G2が含む一部のノズルの吐出濃度について、フラット域Fでの吐出濃度よりも小さく、かつ、0よりも大きくなるように設定することが考えられる。また、この場合、グラデーション域G1及びグラデーション域G2のそれぞれについて、3個以上のノズルを含む領域にすることが考えられる。また、ステップ状の変化にはならないように急峻に吐出濃度を変化させることを考えた場合、グラデーション域G1の幅とグラデーション域G2の幅との合計については、例えば、ヘッドユニット212のノズル長の1~15%程度に設定することが考えられる。この合計は、好ましくは10%未満(例えば1~10%程度、好ましくは3~8%程度)である。
また、上記においても説明をしたように、グラデーション域G1、G2を設定して一部のノズルの吐出濃度を低くする場合、各回の主走査動作での吐出濃度の低下分について、他の回の主走査動作で補うことが必要になる。そして、本変形例のように、グラデーション域G1、G2での吐出濃度を非線形に変化させる場合、例えば図中に示すように、グラデーション域G1、G2の一方での吐出濃度の上がり方に合わせて他方での吐出濃度が下がるように、吐出濃度を設定することが考えられる。また、このような吐出濃度の設定については、例えば、非線形な変化に合わせて対称的に行う吐出濃度の設定等と考えることもできる。
また、図7(a)に示す吐出濃度の仕方については、例えば、図中にヘッド1及びヘッド2として示すそれぞれのヘッドユニット212において、一方の端部で非線形にインクの吐出濃度を上げ、他方の端部で非線形に吐出濃度を下げていると考えることができる。そして、この場合、非線形な吐出濃度の変化について、線形に吐出濃度を変化させる場合よりも急峻に吐出濃度を変化させることが考えられる。このように構成した場合、現時点で理由や原理は定かではないが、例えば図5(b)及び図6に示したように線形に吐出濃度を変化させる(上げる/下げる)場合と比べ、光縞の影響を更に軽減することができる。
また、上記のような非線形な吐出濃度の変化としては、例えば、対数関数的な変化を用いることが考えられる。この場合、吐出濃度を対数関数的に変化させることについては、例えば、それぞれのノズルの位置と吐出濃度の関係を示す曲線について、実質的に対数関数で示せること等と考えることができる。また、ノズルの位置と吐出濃度の関係を示す曲線を実質的に対数関数で示せることについては、例えば、それぞれのノズルに対して設定可能な吐出濃度の精度等に応じて、ノズルの位置と吐出濃度の関係を示す曲線を対数関数で示せること等と考えることができる。
また、図7(a)に示すように吐出濃度の設定を行う場合には、例えば図8に示すように、マルチパス方式での動作(マルチスキャン)を行うことが考えられる。より具体的に、図8においては、図7(a)に示すように吐出濃度の設定を行う場合のマルチパス方式での動作の例に関し、図中に1スキャン目~3スキャン目として示す連続する3回の主走査動作について、ヘッド1及びヘッド2の副走査方向における位置の例を示す。吐出濃度を線形に変化させる場合に関する図5(b)及び図6に図示した事項と、非線形に(例えば対数関数的に)吐出濃度を変化させる場合に関する図7(a)及び図8図に示した事項との比較等からより明確に理解できるように、上記のように非線形に吐出濃度を変化させた場合、上記においても説明をしたように、例えば、ヘッド1及びヘッド2の一端側において、予め定めた吐出濃度(フラット域Fでの吐出濃度)への吐出濃度の上昇を早期に適切に行うことができる。また、ヘッド1及びヘッド2の他端側では、一端側とは対称的に、早期に適切に吐出濃度を下げることができる。また、その結果、例えば吐出濃度を線形に変化させる場合と比べて、グラデーション域G1、G2をより狭くして、フラット域Fをより広くすることができる。そのため、このように構成すれば、例えば、より効率的な印刷を適切に行うことができる。また、この場合も、例えば、従来の構成等と比べて、インクが吐出される印刷物の表面の平滑性を適切に高めること等が可能になる。
また、上記においては、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を異ならせる場合に関し、主に、媒体50の各位置に最後にインクを吐出するヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を低くする場合の例について、説明をした。しかし、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度については、様々な理由で異ならせることが考えられる。この場合、例えば、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度について、それぞれのヘッドユニット212の状態に応じて設定すること等が考えられる。
より具体的に、複数のヘッドユニット212により構成される複合ヘッド202を用いて印刷を行う場合、一部のヘッドユニット212の状態(調子)が他のヘッドユニット212よりも悪くなること等も考えられる。そして、この場合、例えば、状態の悪いヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度を低くすることで、そのヘッドユニット212の影響を低減すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、一部のヘッドユニット212の状態が悪い場合等にも、高い品質での印刷をより適切に行うことができる。また、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度については、上記に限らず、印刷物の仕上がりの所望の状態、印刷に使用するインク、又は吐出対象の媒体等に応じて、様々に異ならせること等も考えられる。そして、これらの場合、例えば、図7(b)に示すように、吐出濃度の設定を行うこと等も考えられる。また、このような吐出濃度の設定については、例えば、吐出濃度とヘッドユニット212との関係が図5(b)に示す場合と反対になっていると考えることもできる。
また、複合ヘッド202の構成の変形例においては、複数のヘッドユニット212の並べ方等について、上記において説明をした構成と異ならせること等も考えられる。より具体的に、上記においては、複合ヘッド202における複数のヘッドユニット212の配置について、主に、副走査方向において隙間を空けずに複数のヘッドユニット212が並ぶ構成について、説明をした。これに対し、ヘッド部102の構成の変形例においては、例えば図9に示すように、副走査方向において隙間を空けて、複数のヘッドユニット212を配設してもよい。
図9は、複合ヘッド202の構成の変形例を示す。本変形例において、複合ヘッド202における複数のヘッドユニット212は、図中に示すように、副走査方向において隙間Sを空けて配設される。このように構成した場合も、それぞれのヘッドユニット212に対してフラット域F及びグラデーション域G1、G2を設定することで、上記と同様の効果を得ることができる。
ここで、図中に示す場合において、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域F及びグラデーション域G1、G2での吐出濃度は、図5(b)に示す場合と同じように設定されている。この場合、例えば、隙間Sに対応する位相差に合わせてそれぞれのヘッドユニット212でのインクの吐出のタイミングを調整することで、図5(b)に示す複合ヘッド202を用いる場合と同様に印刷の動作を実行することができる。
より具体的に、上記において説明をした各構成のように、複数のヘッドユニット212で構成される複合ヘッド202を用いて、マルチパス方式での印刷を行う場合、それぞれのヘッドユニット212によってインクを吐出する吐出位置について、マスクパターンに従って選択することが考えられる。例えば、図5(b)や図9等に示すように吐出濃度を設定する場合、図中にヘッド1として示すヘッドユニット212によって、完成画像の吐出位置の60%の吐出位置へのインクを吐出する。この場合、完成画像の吐出位置については、例えば、印刷が完了した時点の画像を構成する吐出位置等と考えることができる。また、完成画像の吐出位置について、例えば、マルチパス方式で実現する印刷の解像度に応じて設定される吐出位置等と考えることもできる。また、この場合、ヘッド1でインクを吐出する吐出位置については、例えば、マスクパターンに従って、ランダムに選択することが考えられる。吐出位置をランダムに選択することについては、例えば、選択する吐出位置に対応するパターン等が発生しないように、ランダムと見なせるように吐出位置を選択すること等と考えることができる。また、この場合、図中にヘッド2として示す残りのヘッドユニット212によって、残りの40%の吐出位置へインクを吐出する。ヘッド2でインクを吐出する吐出位置についても、例えば、マスクパターンに従って、ランダムに選択することが考えられる。
また、この場合、ヘッド1及びヘッド2での吐出位置を決定するためのマスクパターンの適用の仕方について、ヘッド1及びヘッド2の副走査方向における位置の違いに応じた位相差分の調整を行って、マスクパターンを適用することが考えられる。より具体的に、例えば、図5(b)に示すように複数のヘッドユニット212を配設する場合、1つのヘッドユニット212の副走査方向における幅の分(1ヘッド分)だけヘッド1とヘッド2とがずれていると考えることができる。そして、この場合、例えば、1ヘッド分に対応する位相差分だけ副走査方向に位相をずらしてマスクパターンの適用を行うことで、ヘッド1及びヘッド2へのマスクパターンの適用時の位相を合わせることが考えられる。また、例えば図9に示すようにヘッド1とヘッド2との間に隙間Sを空ける場合において、ヘッド1及びヘッド2の副走査方向における位置の違いが1ヘッド分の2倍(2ヘッド分)等になっている場合には、例えば、同様にして、2ヘッド分の位相の調整を行うことが考えられる。また、ヘッド1及びヘッド2の副走査方向における位置の違いが上記以外の距離になっている場合にも、その距離に応じて、位相の調整を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、隙間Sを空けて複数のヘッドユニット212を配設する場合にも、複数のヘッドユニット212を用いて、全ての吐出位置へのインクの吐出を適切に行うことができる。
このように、本変形例においては、例えば、マスクパターンを適用する位置の調整等を行うことで、複数のヘッドユニット212を適切に離すことができる。そのため、本変形例によれば、例えば、複合ヘッド202を構成する複数のヘッドユニット212のレイアウトについて、高い自由で設定することができる。また、この点に関し、例えばスタガ配置等の特定の配置のみを用いる場合、通常、ヘッドユニット212間の相対位置を調整するために位置出しを行うことが必須になる。そして、この場合、例えば、職人的技術を要する手動での調整が必要になる。これに対し、本変形例のように、自由な配置で複数のヘッドユニット212を配置する場合、例えばソフトウェアの制御によって、位相差を解消する調整を行うことになる。そして、この場合、ヘッドユニット212間の相対位置に多少のずれが生じていたとしても、このソフトウェア上での調整により、ずれの影響を容易かつ適切に低減することができる。そのため、本変形例によれば、例えば、ユーザの利便性を適切に高めること等も可能になる。
また、この場合、ヘッドユニット212間に隙間Sが空くことで、それぞれのヘッドユニット212について、他のヘッドユニット212からの干渉を避けて、より容易に設置することが可能になる。また、この場合、ヘッドユニット212を設置するスペースに余裕があることで、例えば、ヘッドユニット212として使用するインクジェットヘッドの製品等が変更になり、ヘッドユニット212のサイズが変わる場合等にも、より容易にヘッドユニット212を設置すること等が可能になる。また、ヘッドユニット212間に隙間Sを空ける場合、例えば、図中に示すように、複数のヘッドユニット212の主走査方向における位置を揃えること等も容易になる。また、これにより、例えば、複合ヘッド202の主走査方向におけるサイズをコンパクトにすること等も可能になる。
ここで、上記においては、副走査方向における隙間を空けずに複数のヘッドユニット212を並べることで複合ヘッド202を構成に関し、副走査動作での送り量Dx、複合ヘッド202のノズル長Ln、及びパス数Nとの関係について、N=Ln/Dxになると考え得ることを説明した。これに対し、副走査方向における隙間Sを空けて複数のヘッドユニット212を並べる場合、複合ヘッド202の副走査方向における幅をそのままノズル長Lnと考えると、隙間Sの影響が生じることになる。そのため、このような場合には、複合ヘッド202における実質的なノズル長Lnとして、隙間Sの分を除いて、ヘッドユニット212におけるノズル長の和に相当する長さを考えることができる。そして、この場合、副走査方向における隙間Sを空けて複数のヘッドユニット212を並べる場合についても、パス数Nについて、N=Ln/Dxになると考えることができる。また、この場合も、副走査動作での送り量Dxについて、グラデーション域G1、G2における各回の主走査動作での吐出濃度の低下分を、他の回の主走査動作で補うように設定することが考えられる。より具体的に、この場合も、最小のパス数での印刷を行う場合の送り量Dxについて、F+G1に設定することが考えられる。また、パス数をより大きくした場合の送り量Dxについても、パス数等に応じて調整を適宜行って、上記と同様に設定することが考えられる。
また、上記においては、複合ヘッド202の構成に関し、主に、複合ヘッド202が2個のヘッドユニット212を有している場合について、説明をした。これに対し、複合ヘッド202の構成の更なる変形例において、複合ヘッド202は、3個以上のヘッドユニット212を有してもよい。
図10は、複合ヘッド202の構成の更なる変形例を示す。本変形例において、複合ヘッド202は、図中にヘッド1~ヘッド4として区別して示す4個のヘッドユニット212により構成されている。また、この場合も、それぞれのヘッドユニット212に対し、上記と同様にしてフラット域F、及びグラデーション域G1、G2を設定することで、上記と同様の効果を得ることができる。また、より具体的に、この場合も、それぞれのヘッドユニット212において、グラデーション域G1の幅とグラデーション域G2の幅との合計について、フラット域Fの幅よりも狭くすることが考えられる。また、この場合、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度について、複合ヘッド202が有するヘッドユニット212の個数等に応じて、設定することが考えられる。より具体的に、この場合、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度について、例えば、複合ヘッド202を構成するヘッドユニット212の数とパス数との関係等に応じて設定することが考えられる。また、この場合も、フラット域Fでの吐出濃度について、ヘッドユニット212毎に異ならせてもよい。
より具体的に、図10においては、それぞれのヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度について、文字a1~a4を用いて示している。また、図10に示す例においては、媒体50の各位置に対して最後にインクを吐出するヘッドユニット212であるヘッド4におけるフラット域Fでの吐出濃度について、他のヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度よりも低くしている。また、各位置に対して最初にインクを吐出するヘッドユニット212であるヘッド1におけるフラット域Fでの吐出濃度について、他のヘッドユニット212におけるフラット域Fでの吐出濃度よりも高くしている。更に、副走査方向における中間にあるヘッドユニット212であるヘッド2及びヘッド3におけるフラット域Fでの吐出濃度について、同じ吐出濃度に設定している。
また、複合ヘッド202の構成の更なる変形例においては、3個以上のヘッドユニット212を有する複合ヘッド202について、副走査方向における隙間を空けてそれぞれのヘッドユニット212を配設してもよい。また、上記においては、複合ヘッド202を構成するそれぞれのヘッドユニット212におけるフラット域F及びグラデーション域G1、G2のそれぞれの副走査方向における幅について、全てのヘッドユニット212に対して同じように設定を行う例を説明した。これに対し、複合ヘッド202の構成の更なる変形例においては、フラット域F及びグラデーション域G1、G2のそれぞれの副走査方向における幅について、ヘッドユニット212毎に異ならせてもよい。この場合も、1つのヘッドユニット212に設定するグラデーション域G1の副走査方向における幅と、グラデーション域G2の副走査方向における幅とについては、同じにすることが考えられる。
また、上記においては、複合ヘッド202における複数のヘッドユニット212の並べ方について、主に、それぞれのヘッドユニット212におけるノズル列が副走査方向において重ならない構成の例を説明した。これに対し、複合ヘッド202の構成の更なる変形例においては、例えば、副走査方向において隣接するヘッドユニット212について、ノズル列の一部の位置が副走査方向において重なるように配設すること等も考えられる。この場合も、ノズル列が重なる部分でのインクの吐出を複数のヘッドユニット212に分担して行わせることで、複合ヘッド202を用いた印刷の動作を適切に行うことができる。また、この場合、ノズル列が重なる部分に含まれる一部のノズルについて、インクを吐出しないノズル(不吐出ノズル)に設定すること等も考えられる。また、この場合、不吐出ノズルを除いた部分について、ヘッドユニット212のノズル列と考えることもできる。
また、上記においては、印刷装置12(図1参照)について、主に、媒体に対してインクを吐出することで媒体上に2次元の画像を描くインクジェットプリンタとしての構成の例を説明した。これに対し、印刷装置12の変形例においては、印刷装置12として、立体的な造形物を造形する3Dプリンタ(3D印刷装置)等を用いることも考えられる。また、この場合、造形中の造形物を支持する造形台や、造形中の造形物について、インクの吐出対象と考えることができる。また、この場合も、上記と同様に印字濃度の設定を行うことで、例えば、複合ヘッド202を構成するそれぞれのヘッドユニット212における端のノズルの影響を適切に低減することができる。また、印刷装置12については、例えば、液体吐出装置の一例等と考えることもできる。この場合、インクについて、例えば、液体吐出装置が吐出する液体の一例と考えることができる。