JP2022018886A - 平屋建て木造住宅 - Google Patents

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【課題】間取り変更の自由度を高め、且つ間取り変更を容易に行うことができる平屋建て木造住宅を提供する。【解決手段】 本発明の平屋建て木造住宅1は、フロア40の外周部に配置される外壁10と、フロアの中央に配置されるコア20と、外壁及びコアに支持される屋根面30とを備えており、フロアのコア以外の空間を間仕切り壁41で区画することで居住スペースとする。木造住宅を平屋建てにしたことで屋根面からの荷重を外壁及びコアのみで支持し、且つコアの周囲に充分な広さの空間を確保することが可能になった。間仕切り壁は構造体の一部として耐力を分担する部材ではないため、リフォーム時に間取りを容易且つ自在に変更することができる。【選択図】図1

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特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:令和2年4月1日、刊行物名:「平屋の家 一ノ邸」コンセプトブック、該当頁:第14~15頁、発行者:株式会社AXSデザイン 展示日:令和2年5月15日、展示会名:一ノ邸展示場での内見会、開催場所:一ノ邸西都展示場、公開者:株式会社AXSデザイン 発行日:令和2年6月1日、刊行物名:「平屋の家 一ノ邸」スペックブック、該当頁:第6~7頁、発行者:株式会社AXSデザイン 公開日:令和2年6月12日、公開場所:一ノ邸西都展示場、公開者:株式会社AXSデザイン
本発明は間取り変更の自由度を高め、且つ間取り変更を容易に行うことができる平屋建て木造住宅に関する。
近年、高寿命化や住宅の耐久性向上に伴いリフォームの要望が増えている。例えば、夫婦と子供が同居している間は個々のプライベートを重視した複数の部屋を備えた間取りが好まれるが、子供が独立して夫婦のみの間は広々としたリビングルームを備えた間取りが好まれ、更に夫婦が高齢になってからは車椅子での生活や介護に備えてバリアフリーでスムーズな動線を確保し、且つトイレや風呂等の水回りのスペースを広く確保した間取りが好まれる。
このように間取りを容易に変更できる住宅のニーズが高まっている。例えば特許文献1には中層又は高層の集合住宅において各住宅のほぼ中央に水回りの設備を集中的に配置し、その周囲をフリースペースとする構造が開示されている。この構造によればフリースペースを可動間仕切りで自在に区画できる。また、特許文献2には高層又は超高層の集合住宅建物において、建物の中心部を取り囲むように鉄筋コンクリート造の高剛性のコアウォールを設け、コアウォールの内側を共用ゾーンとし、その周囲に共用廊下を設けて、共用廊下の外側を住戸ゾーンとする構造が開示されている。この構造によれば住戸ゾーン全体が無柱且つ無梁の空間になるので住戸ゾーンを自由に区画し、また区画を自在に変更することができる。
特開2000-320168号公報 特開2002-121925号公報
しかし、上記従来技術はいずれも中層以上の鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete : RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(Steel Reinforced Concrete : SRC造)の集合住宅に関するものである。そもそも、RC造やSRC造は構造上、大空間を作りやすい工法であることから、間取り変更も容易である。
一方、一般的な木造住宅では次のような問題がある。
木材という素材の強度上、大空間を作ることは難しく、特に多雪エリアにあっては屋根加重が増すので更に難しくなる。木造で大空間を作る際には間取りを区画する各壁に構造上必要な柱や耐力壁を設けることが多く、間取りを変更する場合、この柱や耐力壁を除去することが難しいため間取り変更の自由度が低くなる。
また、構造上必要な柱や耐力壁を設けた壁の直下に基礎の立ち上がりを作ることが一般的であるため、図14に示すように基礎内部は多くの立ち上がりが入り組んで迷路のようになる事が多い。したがって、水回りの位置を変更しようとすると水回り器材や配管のルートが立ち上がりに干渉する確率が高くなり、これにより間取り変更の自由度が低くなったり、作業性が低下したりする問題もある。
本発明は、上記のような問題を考慮して、間取り変更の自由度を高め、且つ間取り変更を容易に行うことができる平屋建て木造住宅を提供することを課題とする。
本発明の平屋建て木造住宅は、フロアの外周部に配置される外壁と、前記フロアの中央に配置されるコアと、前記外壁及び前記コアに支持される屋根面とを備えており、前記フロアの前記コア以外の空間を間仕切り壁で区画することで居住スペースとすることを特徴とする。
また、前記外壁の下方と前記コアの下方のみに基礎の立ち上がりを備えることを特徴とする。
また、前記基礎が長方形であり、前記基礎の外周の前記立ち上がりのうち長辺側の前記立ち上がりの長手方向の中央部分に水回り用の複数のさや管を備えることを特徴とする。
また、複数の前記さや管の直径が同一であることを特徴とする。
また、前記コアが水平方向に開口した開口部を備えていることを特徴とする。
また、前記開口部の内部が収納スペースであることを特徴とする。
本発明では屋根面の荷重をフロアの中央に配置したコアと外壁で支持する。これは木造住宅を平屋建てにしたからこそ実現できたことである。仮に複数階建ての木造住宅とすると、屋根面からの荷重を外壁及びコアのみで支持し、且つコアの周囲に充分な広さの空間を確保することは構造強度の観点から極めて困難である。本発明では平屋建てにしたことで屋根面からの荷重を外壁及びコアのみで支持し、且つコアの周囲に充分な広さの空間を確保することが可能になった。
リビング、寝室、水回り等の居住スペースはフロアのコア以外の空間を間仕切り壁で区画して形成する。間仕切り壁は構造体の一部として耐力を分担する部材ではなく、簡易な材料で制作できる。したがって、構造強度を気にせず容易に取り外すことが可能で、間取り変更の自由度が高まり、且つ間取り変更を容易に行うことができるようになった。
また、屋根面の荷重を外壁及びコアのみで支持するので、基礎の立ち上がりを外壁及びコアの下方のみに設ければ済むことになり、基礎の立ち上がりを大幅に減らすことができ、基礎のメンテナンス性の向上を実現できる。
特に、水回り用の複数のさや管を基礎の長辺側の立ち上がりの中央部分に配置することで、従来と比較して水回りの位置を変更する際に水回り器材や配管のルートが立ち上がりに干渉する確率が大幅に低くなる。また、配管が長くなりすぎることを防ぎ、配管の勾配を確保することが容易になる。
更に、複数のさや管を同一径にすれば、間取り変更の際のさや管の差し替えを容易に行うことができる。
このように水回りの位置を大きく移動させることができるのでライフスタイルに合わせた大幅な間取り変更が可能となった。
コアが開口部を備えることにすれば空間を有効利用でき、デッドスペースを少なくすることができる。
特に、平屋建ての住宅は複数階建ての住宅と比較して空間が狭くなり、収納スペースを確保するのが難しいが、コアの開口部の内部を収納スペースとして利用することでこの問題を解消できる。また、コアの周囲に配置されるリビング、寝室、水回り等からコア内部の収納スペースに容易にアクセスできるので利便性が向上する。
本発明の平屋建て木造住宅においてフロアが4.5間×5.5間の場合の平面図 断面図 正面図(a)、背面図(b)、左側面図(c)及び右側面図(d) 基礎の平面図(a)及び(b) 本発明の平屋建て木造住宅においてフロアが5.5間×6間の場合の平面図 本発明の平屋建て木造住宅においてフロアが5間×6間の場合の平面図 斜視図 縦断面図 正面図(a)、背面図(b)、左側面図(c)及び右側面図(d) 一般的な施工方法で水回り用のさや管を配置した場合の配管の例を示す斜視図(a)及び間取り変更後の斜視図(b) 本発明の配管の例を示す斜視図(a)及び間取り変更後の斜視図(b) 間取り変更の例を示す平面図 小屋裏収納を備えた平屋建て木造住宅の縦断面図 一般的な木造住宅の基礎の構造を示す平面図
本発明の平屋建て木造住宅の実施の形態について説明する。
図1~図3に示すように平屋建て木造住宅1は外壁10、コア20及び屋根面30を備えている。
外壁10はフロア40の外周部に配置される。フロア40の形状は特に限定されないが、長方形や正方形が好ましい。外壁は耐力壁及び柱で構成される。耐力壁とは「建物の壁のうち、構造体の一部として耐力を分担する壁面」(広辞苑)を指し、水平力及び建物の自重等による鉛直力に対抗する壁体である。耐力壁の構造は特に限定されず、例えば軸組において隣接する柱材間の開口部全面を覆うように構造用合板を張り付けた構造や、軸組において隣接する柱材間の開口部に筋交いを架け渡した構造が挙げられる。
外壁の材料は木材であればよい。外壁の外表面には化粧板が張り付けられる。
コア20はフロア40の中央に配置される部材である。コア20とは構造体の一部として耐力を分担する部位であり、耐力壁及び柱で構成される。コア20の材料は木材であればよい。「フロア40の中央」とは厳密な意味での中央でなくてもよく、少なくともコア20の周囲に通路(動線)23を確保でき、且つコア20を囲んで玄関、リビング、寝室、水回り等のための空間を配置できる程度にコア20から外壁10までの距離が離れていればよい。
図2及び図3に示すように屋根面30は外壁10及びコア20に支持される。本発明は平屋建てなので屋根面30からの荷重を外壁10及びコア20のみで支持し、且つコア20の周囲に充分な広さの空間を確保することが可能になった。一例として図4(a)に示すようにコア20から外壁10まで2間以上の空間を確保でき、垂直積雪量1.5mで耐震等級2相当の平屋建て木造住宅を実現できる。また、図4(b)に示すようにコアの周囲に充分な広さの空間Sを確保できると共に四方の外壁に設ける窓を居住スペースで有効活用できる。但し、本発明の場合、コア20から外壁10までを大スパンにすることは構造強度上、容易ではないため設計時に充分な注意を要する。屋根面30の形状は特に制限されないが、本実施の形態では切妻屋根になっている。
コア20は水平方向に開口した開口部21を備えている。図1には右側に向かって開口したコ字状のコア20を示しているが、他にも図5に示すようなL字状とI字状の部材を一組のコア20にしてこれを前後に二組配置してもよく、或いは図6に示すようなコ字状の部材から成る2つのコア20を互いの開口を向かい合わせて配置してもよい。図6の構造に関して図7は骨組みだけを示した斜視図(外壁10の構造用合板は図示略)、図8は断面図で、図9は外観図である。
コア20の開口部21の内部は主に収納スペース22として使用する。平屋建ての住宅は複数階建ての住宅と比較して空間が狭くなり、収納スペース22を確保するのが難しいが、本発明ではコア20の内部を収納スペース22として利用することでこの問題を解消している。また、コア20の周囲に配置するリビング、寝室、水回り等から収納スペース22に容易にアクセスできて利便性を向上させることができる。図5及び図6に示したコア20の場合、2つのコア20の間を通路(動線)23として使用することもできる。なお、コア20が開口部21を備えないことにしてもよい。
図2及び図8に示すように基礎50には外壁10及びコア20を下方から支える位置だけに立ち上がり51を設けている。基礎50の構造はべた基礎と布基礎のいずれでもよい。本発明の基礎50は一般的な木造住宅の基礎50と比較して立ち上がり51が少ないためフロア40からの荷重を支える目的でべた基礎50の方が好ましい。本発明の基礎50は立ち上がり51が少ない分、通気性が良く、湿気による劣化を抑えることができる。また、床下の作業性に優れているため、メンテナンス性がよく、リフォーム時に容易に間取りを変更することができる。
基礎50を長方形にした場合、図10(a)に示すように従来同様にキッチン、トイレ、洗面、浴槽の水回り用の複数のさや管60をそれぞれキッチン、トイレ、洗面所、浴室に近くなるように配置すると、図10(b)に示すように間取り変更の際に配管61同士が交差してしまったり、配管61の長さLが長くなり勾配が小さくなってしまったりする等の問題が生じる。また、各さや管60の直径を異ならせていた場合(例えば50φと75φ)、間取り変更の際に配管61の差し替えができないおそれが生じる。
そこで、図11(a)に示すように長辺側の立ち上がり51の長手方向の中央部分に複数のさや管60をまとめて配置すれば、間取り変更の際に配管61の長さを極力短くすることができ、充分な勾配を確保することができる。また、必要に応じて配管61をコア20の下の立ち上がり51の間に通すことで配管61を短くできたり、配管61同士が交差する事態を防止できたりする。
更に、各さや管60の直径を同一にしておけば、間取り変更の際にさや管60の差し替えを容易に行うことができる。さや管60の直径を可能な限り大きく(例えば100φ)することがさや管60の差し替えを更に容易にする観点から好ましい。
図12に示すようにリビング、寝室、水回り等の居住スペースはフロア40のコア20以外の空間を間仕切り壁41で区画することで形成する。間仕切り壁41は構造体の一部として耐力を分担する部材ではないため、リフォーム時に間取りを容易且つ自在に変更することができる。
図13に示すように平屋建て木造住宅2が小屋裏収納70を備えていてもよい。建築確認申請では小屋裏収納70の平均天井高さが1.4mを超えると2階建て住宅として申請することになるが、本明細書においては小屋裏収納の平均天井高さが1.4mを超えており、建築確認申請では2階建て住宅に該当する場合であっても居室が1階部分のみに存在する場合は「平屋建て」に含むものとする。
本発明は間取り変更の自由度を高め、且つ間取り変更を容易に行うことができる平屋建て木造住宅であり、産業上の利用可能性を有する。
1 平屋建て木造住宅
2 平屋建て木造住宅
10 外壁
20 コア
21 開口部
22 収納スペース
23 通路(動線)
30 屋根面
40 フロア
41 間仕切り壁
50 基礎
51 立ち上がり
60 さや管
61 配管61
70 小屋裏収納
本発明の平屋建て木造住宅は、フロアの外周部に配置される外壁と、前記フロアの中央に配置されるコアと、前記外壁及び前記コアに支持される屋根面とを備えており、前記フロアの下方において前記外壁の下方と前記コアの下方のみに基礎の立ち上がりを備えており、前記フロアの前記コア以外の空間を間仕切り壁で区画することで居住スペースとし、且つ前記間仕切り壁を移動又は取り外すことで間取りを変更できることを特徴とする。
また、前記基礎が長方形であり、前記基礎の外周の前記立ち上がりのうち長辺側の前記立ち上がりの長手方向の中央部分に水回り用の複数のさや管を備えることを特徴とする。
また、複数の前記さや管の直径が同一であることを特徴とする。
また、前記コアが水平方向に開口した開口部を備えていることを特徴とする。
また、前記開口部の内部が収納スペースであることを特徴とする。

Claims (6)

  1. フロアの外周部に配置される外壁と、前記フロアの中央に配置されるコアと、前記外壁及び前記コアに支持される屋根面とを備えており、
    前記フロアの前記コア以外の空間を間仕切り壁で区画することで居住スペースとすることを特徴とする平屋建て木造住宅。
  2. 前記外壁の下方と前記コアの下方のみに基礎の立ち上がりを備えることを特徴とする請求項1に記載の平屋建て木造住宅。
  3. 前記基礎が長方形であり、前記基礎の外周の前記立ち上がりのうち長辺側の前記立ち上がりの長手方向の中央部分に水回り用の複数のさや管を備えることを特徴とする請求項2に記載の平屋建て木造住宅。
  4. 複数の前記さや管の直径が同一であることを特徴とする請求項3に記載の平屋建て木造住宅。
  5. 前記コアが水平方向に開口した開口部を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の平屋建て木造住宅。
  6. 前記開口部の内部が収納スペースであることを特徴とする請求項5に記載の平屋建て木造住宅。
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