JP2024065910A - ユニット式集合住宅 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024065910000001
【課題】界壁により住戸内のスペースが狭くなるのを抑制することができるユニット式集合住宅を提供する。
【解決手段】ユニット式集合住宅10は、柱及び梁を有する複数の建物ユニット20が互いに組み合わされることで構築されている。建物ユニット20として、桁方向の寸法が妻方向の寸法の2倍以上とされた建物ユニット20Aを備えるとともに、その建物ユニット20Aが妻方向に複数並べて配置されることで建物ユニット群30Aが形成されている。建物ユニット群30Aには、建物ユニット群30Aを構成する各建物ユニット20Aの桁方向の中間部に跨がって延びる界壁16Bと、界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11A,11Bとが設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の建物ユニットが組み合わされて構築されたユニット式集合住宅に関するものである。
従来より、アパートやマンション等の集合住宅として、複数の建物ユニットが互いに組み合わされることにより構築されたユニット式集合住宅が知られている(例えば特許文献1参照)。図8にユニット式集合住宅90の一例を示す。なお、図8では、ユニット式集合住宅90を構成する建物ユニット91について、その4隅に配置された柱92のみ示している。
図8に示すユニット式集合住宅90は、横並びに設けられた複数の住戸93を備える。複数の住戸93はそれぞれ、建物ユニット91が妻方向(平面視における短手方向)に複数並べられた建物ユニット群94により構成されている。この場合、建物ユニット91としては、標準サイズのものが用いられ、詳しくは桁方向(平面視における長手方向)の長さが妻方向の長さの2倍より短いものが用いられている。
隣り合う住戸93は界壁95により仕切られている。界壁95は、隣り合う建物ユニット群94(住戸93)の境界部に沿って延びている。界壁95の内部には、上記境界部において隣接する各建物ユニット91の柱92が配置されている。
特開2013-117131号公報
ところで、上述したユニット式集合住宅90では、界壁95の内部に建物ユニット91の柱92が配置されている関係で界壁95の厚みを必要以上に大きくする必要がある。しかしながら、界壁95の厚みを大きくすると、その分住戸93内のスペースが狭くなってしまう。そのため、上述のユニット式集合住宅90は、その点で未だ改善の余地があるといえる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、界壁により住戸内のスペースが狭くなるのを抑制することができるユニット式集合住宅を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明のユニット式集合住宅は、柱及び梁を有する複数の建物ユニットが互いに組み合わされることで構築されたユニット式の集合住宅であって、前記建物ユニットとして、桁方向の寸法が妻方向の寸法の2倍以上とされた長尺ユニットを備え、その長尺ユニットが前記妻方向に複数並べて配置されることで長尺ユニット群が形成されており、前記長尺ユニット群には、前記各長尺ユニットの桁方向の中間部に跨がって延びる第1界壁と、前記第1界壁により仕切られた2つの住戸とが設けられている。
第1の発明によれば、建物ユニットとして、桁方向の寸法が妻方向の寸法の2倍以上とされた長尺ユニットを備えており、その長尺ユニットが妻方向に複数並べて配置されることで長尺ユニット群が形成されている。長尺ユニット群には、各長尺ユニットの桁方向の中間部に跨がって延びる第1界壁と、第1界壁により仕切られた2つの住戸とが設けられている。この場合、第1界壁は、隣り合う建物ユニットの境界部とは異なる位置に配置されるため、第1界壁の内部には、上記境界部で隣接する建物ユニットの柱を配置する必要がない。これにより、第1界壁の厚みを小さくすることができ、その結果、界壁により住戸内のスペースが狭くなるのを抑制することができる。
第2の発明のユニット式集合住宅は、第1の発明において、前記2つの住戸のうち一方は第1住戸、他方は第2住戸であり、前記第1住戸は、前記第2住戸とは反対側で他の住戸と隣接しており、前記長尺ユニット群と隣接し、前記他の住戸を形成する隣接ユニット群を備え、前記隣接ユニット群は、前記建物ユニットが前記各長尺ユニットの並ぶ方向に複数並べられることにより形成され、前記長尺ユニット群と前記隣接ユニット群との境界部に沿って延び、前記第1住戸を前記他の住戸と仕切る第2界壁を備え、前記第2界壁の内部には、前記境界部に配置された前記柱が配設され、前記第1界壁の厚みは、前記第2界壁の厚みよりも小さくなっている。
第2の発明によれば、第1住戸が第2住戸と第1界壁により仕切られているとともに、他の住戸と第2界壁により仕切られている。他の住戸は、長尺ユニット群と隣接する隣接ユニット群により形成されている。第2界壁は、長尺ユニット群と隣接ユニット群との境界部に沿って延び、その内部には上記境界部に配置された(両ユニット群を構成する)建物ユニットの柱が配設されている。この場合、第2界壁の厚みを必要以上に大きくする必要があるため、第1住戸のスペースが狭くなるおそれがある。その点、第1界壁の厚みは第2界壁の厚みよりも小さくなっているため、それら両界壁に挟まれた第1住戸について、そのスペースが狭くなるのを抑制することができる。
第3の発明のユニット式集合住宅は、第2の発明において、前記第1住戸には、屋内空間として複数の水廻り空間が設けられており、前記複数の水廻り空間はいずれも前記第2界壁に隣接している一方、前記第1界壁からは離間している。
ところで、一の長尺ユニット群に2つの住戸(第1住戸及び第2住戸)が形成される上述の構成では、それらの住戸が幅狭に形成されることが想定される。そのため、例えば第1住戸内にトイレや浴室等の水廻り空間を配置する場合、水廻り空間を第1界壁及び第2界壁のいずれかに隣接して配置する必要が生じる。そこで第3の発明では、第1住戸に設けられる複数の水廻り空間をいずれも第2界壁に隣接させる一方、第1界壁からは離間させて配置している。第2界壁は、第1界壁よりも厚みが大きいため、遮音性に優れた壁部を構築し易い。これにより、住戸が幅狭に形成される構成にあって、水廻り空間で発生する水の音等が隣りの住戸に伝わるのを好適に抑制することができる。
第4の発明のユニット式集合住宅は、第2の発明において、前記第1住戸には、配管が通るパイプスペースが設けられ、前記パイプスペースは、前記第1界壁及び前記第2界壁のうち前記第2界壁に沿って配置されている。
第4の発明によれば、配管が通るパイプスペースが第2界壁に沿って配置されている一方、第1界壁には設けられていない。この場合、水等の流体が配管を流れる音が隣りの住戸に伝わるのを抑制する上で好適な構成とすることができる。
第5の発明のユニット式集合住宅は、第2乃至第4のいずれかの発明において、前記第1住戸には、前記第1界壁及び前記第2界壁と直交する方向に延びる複数の間仕切壁が設けられ、前記第2界壁には、前記複数の間仕切壁がそれぞれ接続されており、前記第1界壁には、前記複数の間仕切壁のうち一部の間仕切壁が接続されている、又は前記複数の間仕切壁のいずれも接続されていない。
第2界壁は、その内部に柱が配設されているため、柱を用いて剛性の高い壁を構築できる一方、第1界壁は、その内部に柱が配設されていないため、第2界壁よりも剛性が低くなると考えられる。そこで、第5の発明では、その点に鑑み、第2界壁に、第1住戸に設けられた複数の間仕切壁をそれぞれ接続する一方、第1界壁には、複数の間仕切壁のうち一部だけを接続するか、又は複数の間仕切壁のいずれも接続しないようにしている。これにより、複数の間仕切壁は、各界壁のうち主に剛性の高い第2界壁により支持されるため、間仕切壁を安定した状態で支持する上で好適な構成とすることができる。
第6の発明のユニット式集合住宅は、第1の発明において、前記2つの住戸には、床が土間床により形成された玄関が設けられており、前記2つの住戸の前記玄関は前記第1界壁を挟んで互いに隣接している。
第6の発明によれば、第1界壁により仕切られた2つの住戸の玄関が第1界壁を挟んで互いに隣接している。この場合、2つの住戸の玄関の土間床を形成する際、連続して形成する等、施工し易くすることができる。
ユニット式集合住宅の一階部分を示す平面図。 一階部分を構成する各建物ユニットの配置構成を示す図。 建物ユニットの構成を示す斜視図。 図1のA枠内を拡大して示す横断面図。 図1のB枠内を拡大して示す横断面図。 住戸の間取りを示す平面図。 リフォームを行った後の住戸の間取りを示す平面図。 従来のユニット式集合住宅の一例を示す図。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットが組み合わされて構築されるユニット式集合住宅について具体化している。また、ユニット式集合住宅として、賃貸式のアパートを想定している。なお、図1は、ユニット式集合住宅の一階部分を示す平面図である。
図1に示すように、ユニット式集合住宅10(以下、略して集合住宅10という)の一階部分には、複数の住戸11が横並びに設けられている。これらの住戸11はいずれも平面視にて長方形状をなしている。詳しくは、各住戸11は、平面視にて、それら各住戸11の並ぶ住戸並び方向Xと直交する方向に長い長方形状をなしている。したがって、平面視における住戸11の長手方向(以下、住戸長手方向Yという)は住戸並び方向Xと直交する方向となっている。また、より詳しくは、各住戸11は、住戸長手方向Yの長さが住戸並び方向X(換言すると、平面視における住戸11の短手方向)の長さの3倍以上とされた細長(幅狭)の長方形状とされている。
図1には、各住戸11のうち一部の住戸11A~11Eが示されている。これら各住戸11A~11Eは、住戸並び方向Xの端に位置するものから順に、住戸11A、住戸11B、住戸11C、住戸11D、住戸11Eとなっている。これらの住戸11A~11Eのうち、各住戸11A~11Dはいずれも同じ間取りとなっており、住戸11Eは、各住戸11A~11Dと異なる間取りとなっている。また、詳しくは、住戸11A,11Cと住戸11B,11Dとは住戸並び方向Xに対象な間取りとなっている。
隣り合う住戸11の間には界壁16が設けられている。界壁16は、隣り合う住戸11ごとに設けられ、住戸長手方向Yに直線状に延びている。この界壁16により、隣り合う住戸11が互いに仕切られている。
集合住宅10の一階部分には、各住戸11に通じる共用廊下12が設けられている。共用廊下12は、住戸並び方向Xに直線状に延びている。共用廊下12はエントランス13に通じており、エントランス13には共用出入口14が設けられている。この共用出入口14を通じて屋外からエントランス13への出入りが可能となっており、ひいては集合住宅10への出入りが可能となっている。また、共用廊下12は二階部分へ延びる階段15に通じており、その階段15を通じて二階部分の共用廊下へ移動可能となっている。なお、図示は省略するが、集合住宅10の二階部分にも、一階部分と同様、横並びに設けられた複数の住戸と、それら各住戸に通じる共用廊下とが設けられている。
続いて、集合住宅10を構成する建物ユニット20について図3に基づき説明する。図3は、建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の枠体が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部を水平方向の内側に向けて配置されている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。また、建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
建物ユニット20は、ユニット製造工場において製造され、製造後、トラック等の搬送手段により集合住宅10の施工現場に搬送されるようになっている。そして、施工現場では、搬送された各建物ユニット20が所定の設置位置に設置されるとともに、互いに連結されることで集合住宅10が構築されるようになっている。
続いて、集合住宅10の一階部分を構成する各建物ユニット20の配置構成について図1に加え、図2に基づき説明する。図2は、一階部分を構成する各建物ユニット20の配置構成を示す図である。なお、図2では、建物ユニット20を簡略化して矩形枠で示している。また、図1では、建物ユニット20の柱21のみ示している。
図1及び図2に示すように、集合住宅10の一階部分は、水平方向に並設された複数の建物ユニット20を備えて構成されている。集合住宅10の一階部分は、大きく分けて、住戸並び方向Xに並ぶ複数の建物ユニット群30からなる。各建物ユニット群30はいずれも住戸長手方向Yに一列に並ぶ複数の建物ユニット20からなる。建物ユニット群30を構成する各建物ユニット20は、その妻方向(平面視における短手方向)を住戸長手方向Yに向けた状態でそれぞれ配置されている。そのため、各建物ユニット群30では、建物ユニット20が妻方向に並んで複数配置されている。
複数の建物ユニット群30には、隣り合う各住戸11A,11Bを形成する建物ユニット群30Aと、隣り合う各住戸11C,11Dを形成する建物ユニット群30Bと、住戸11Eを形成する建物ユニット群30Cとが含まれている。本実施形態では、各建物ユニット群30A,30Bが5つの建物ユニット20からなり、建物ユニット群30Cが6つの建物ユニット20からなる。
各建物ユニット群30A,30Bを構成する建物ユニット20(以下、建物ユニット20Aという)は、桁方向(平面視における長手方向)の長さL1が建物ユニット群30Cを構成する建物ユニット20(以下、建物ユニット20Bという)の桁方向の長さL3よりも長くなっている。また、建物ユニット20Aは、妻方向の長さL2が建物ユニット20Bの妻方向の長さL4と同じとなっている。
詳しくは、建物ユニット20Aは、桁方向の長さL1が妻方向の長さL2の2倍以上とされており、より詳しくは桁方向の長さL1が妻方向の長さL2の2.5倍とされている。また、建物ユニット20Bは、桁方向の長さL3が妻方向の長さL4の2倍よりも短くなっている。なお、建物ユニット20Aが長尺ユニットに相当し、各建物ユニット群30A,30Bが長尺ユニット群に相当する。
続いて、住戸11間を仕切る界壁16について図1及び図2に加え、図4及び図5に基づき説明する。なお、図4は、図1のA枠内を拡大して示す横断面図である。また、図5は、図1のB枠内を拡大して示す横断面図である。
図1及び図2に示すように、界壁16には、隣り合う建物ユニット群30の境界部ごとに設けられた界壁16Aと、各建物ユニット群30A,30Bにおいて住戸並び方向Xの中間部に設けられた界壁16Bとが含まれている。界壁16Aは、隣り合う建物ユニット群30の境界部において、建物ユニット群30を構成する各建物ユニット20に跨がって延びている。なお、界壁16Aが第2界壁に相当し、界壁16Bが第1界壁に相当する。
図4に示すように、界壁16Aは、互いに対向する一対の壁面材32を有している。一対の壁面材32は、2枚重ねされた石膏ボードにより形成されている。各壁面材32の間、つまり界壁16Aの内部空間には、隣り合う建物ユニット群30の境界部にて隣接する建物ユニット20の各柱21が配設されている。壁面材32は、これら各柱21にビス等で固定されている。
各壁面材32の裏面側には壁フレーム33が設けられている。壁フレーム33は、木製の角材が矩形枠状に組まれることにより形成され、各柱21の間に配置されている。壁フレーム33は、建物ユニット20の天井大梁22及び床大梁23に固定されている。この壁フレーム33に壁面材32がビス等で固定されている。
各壁面材32の間には、遮音材としてグラスウール34が配設されている。グラスウール34は各壁フレーム33の内側に配置され、壁面材32の裏面に重ねられている。これにより、界壁16Aを挟んで隣り合う住戸11間の遮音性が確保されている。
界壁16Bは、各建物ユニット群30A,30Bにおいて、建物ユニット群30A,30Bを構成する各建物ユニット20Aの桁方向(換言すると住戸並び方向X)の中間部に跨がって延びており、詳しくは各建物ユニット20Aの桁方向の中央部に跨がって延びている。建物ユニット群30Aでは、界壁16Bにより隣り合う各住戸11A,11Bが互いに仕切られており、建物ユニット群30Bでは、界壁16Bにより隣り合う各住戸11C,11Dが互いに仕切られている。これにより、各建物ユニット群30A(30B)ではそれぞれ2つの住戸11A,11B(11C,11D)が形成されている。
なお、上記の構成においては、例えば建物ユニット群30Bにおいて界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11C,11Dのうち、住戸11Dが「第1住戸」に相当し、住戸11Cが「第2住戸」に相当する。この場合、住戸11Dは、住戸11Cとは反対側で住戸11Eと隣接しているため、住戸11Eが「他の住戸」に相当する。また、住戸11Eを形成する建物ユニット群30Cが、各住戸11C,11Dを形成する建物ユニット群30B(長尺ユニット群)と隣接する「隣接ユニット群」に相当する。
また、住戸11Cが「第1住戸」に相当し、住戸11Dが「第2住戸」に相当するとした場合には、住戸11Cが住戸11Dとは反対側で住戸11Bと隣接しているため、住戸11Bが「他の住戸」に相当する。また、住戸11Bを形成する建物ユニット群30Aが、各住戸11C,11Dを形成する建物ユニット群30B(長尺ユニット群)と隣接する「隣接ユニット群」に相当する。
さらに、建物ユニット群30Aにおいて界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11A,11Bのうち、住戸11Bが「第1住戸」に相当し、住戸11Aが「第2住戸」に相当するとした場合、住戸11Bは、住戸11Aとは反対側で住戸11Cと隣接しているため、住戸11Cが「他の住戸」に相当する。また、住戸11Cを形成する建物ユニット群30Bが、各住戸11A,11Bを形成する建物ユニット群30A(長尺ユニット群)と隣接する「隣接ユニット群」に相当する。
図5に示すように、界壁16Bは、互いに対向する一対の壁面材35と、各壁面材35の間に配置された壁フレーム36及びグラスウール37とを有している。壁面材35は、2枚重ねされた石膏ボードにより形成されている。壁フレーム36は、木製の角材が矩形枠状に組まれることにより形成され、例えば建物ユニット20Aの天井小梁25及び床小梁26に固定されている。その壁フレーム36に対して各壁面材35がビス等により固定されている。また、グラスウール37は遮音材であり、壁フレーム36の枠内に配設されている。これにより、界壁16Bを挟んで隣接する住戸11A,11B(11C,11D)間の遮音性が確保されている。
界壁16Bは、ユニット境界部に配置された界壁16Aと異なり、壁内部に建物ユニット20の柱21が配設されていない。そのため、界壁16Bの厚みt2は界壁16Aの厚みt1よりも小さくなっており、詳しくは界壁16Aの厚みt1の半分以下となっている。なお、本実施形態では、界壁16Aの厚みt1が380mmとなっており、界壁16Bの厚みt2が150mmとなっている。
また、界壁16Bは建物ユニット20Aの内部に形成されているため、ユニット製造工場において建物ユニット20Aを製造する際に、界壁16Bの少なくとも一部を建物ユニット20Aに組み付けることが可能となっている。そのため、現場での界壁16Bの施工作業の低減を図ることが可能となっている。
続いて、住戸11A~11Dの間取りについて図6に基づき説明する。図6は、住戸11A~11Dの間取りを示す平面図である。なお、図6では、建物ユニット群30Bの各住戸11C,11Dを示している。また、図6では説明の便宜上、住戸11Dにのみ家具や設備等を記載している(この点は図1も同様)。
図6に示すように、各住戸11A~11Dには、屋内空間として、玄関41と、廊下42と、キッチン43と、居室44と、収納室45と、トイレ46と、洗面室47と、浴室48とが設けられている。玄関41は、住戸11A~11Dにおいて住戸長手方向Yの一方側に配置されている。玄関41には玄関口51が設けられ、その玄関口51を介して共用廊下12から玄関41に出入りが可能となっている。また、玄関口51には玄関ドア52が設けられている。
玄関41は、床が土間床54により形成され、界壁16Bに隣接している。この場合、界壁16Bにより仕切られた両住戸11A,11B(11C,11D)の玄関41は界壁16Bを挟んで互いに隣接している。また、廊下42は玄関41と連続しており、界壁16Bに沿って延びている。廊下42の途中には出入口56が設けられている。出入口56には、開き戸からなるドア57が設けられている。
キッチン43は、廊下42を挟んで玄関41とは反対側には設けられている。キッチン43は、界壁16Bに隣接する壁側スペース43aと、壁側スペース43aを挟んで界壁16Bとは反対側に設けられた設備スペース43bとを有している。壁側スペース43aは廊下42と連続しており、居室44に通じている。壁側スペース43aは、キッチン43で作業する際に用いられる作業スペースであるとともに、居室44へ移動する際に用いられる通路スペースとなっている。また、設備スペース43bには、コンロやシンク等を有するキッチン設備58が設置されている。
居室44は、キッチン43を挟んで廊下42(換言すると玄関41)とは反対側に設けられている。居室44は、各界壁16A,16Bにそれぞれ跨がって形成されている。居室44を挟んでキッチン43とは反対側には、バルコニー61が設けられている。これにより、各住戸11A~11Dには、複数の屋内空間41~48に加え、バルコニー61が設けられている。バルコニー61は、複数の屋内空間41~48を挟んで共用廊下12とは反対側に配置されている。隣り合う各住戸11A,11B(11C,11D)のバルコニー61は、隔て板62により仕切られている。隔て板62は、界壁16Bの幅方向に界壁16Bと並んでいる。
収納室45は、キッチン43を挟んで界壁16Bとは反対側に設けられている。収納室45はウォークインクローゼットからなり、キッチン43と住戸並び方向Xに隣接している。収納室45と居室44とは間仕切壁63により仕切られている。間仕切壁63は、界壁16と直交する方向(換言すると界壁16の厚み方向)に延びており、各界壁16A,16Bのうち界壁16Aにのみ接続されている。また、間仕切壁63には、居室44から収納室45に出入りするための出入口64が形成されている。
トイレ46と洗面室47と浴室48とはいずれも界壁16Aに隣接して配置されている。トイレ46、洗面室47及び浴室48はいずれも水廻り空間に相当し、以下ではこれらをまとめて水廻り空間46~48ともいう。トイレ46、洗面室47及び浴室48は、界壁16Aに沿って並んでおり、つまりは住戸長手方向Yに並んでいる。トイレ46は、玄関41を挟んで界壁16Bとは反対側に配置され、洗面室47及び浴室48は廊下42を挟んで界壁16Bとは反対側に配置されている。したがって、各水廻り空間46~48はいずれも界壁16Aに隣接している一方、界壁16Bからは離間している。
洗面室47は、トイレ46と浴室48との間に配置され、廊下42から出入口65を介して出入り可能となっている。洗面室47とトイレ46とは間仕切壁67により仕切られている。間仕切壁67は界壁16と直交する方向に延びており、各界壁16A,16Bのうち界壁16Aにのみ接続されている。また、間仕切壁67には、洗面室47からトイレ46に出入りするための出入口68が形成されている。
洗面室47と浴室48とは間仕切壁71により仕切られている。間仕切壁71は、界壁16と直交する方向に延びており、各界壁16A,16Bにそれぞれ接続されている。詳しくは、間仕切壁71は、洗面室47と浴室48との間から廊下42へ延びており、その廊下42へ延びた部分に上記の出入口56が形成されている。
間仕切壁71には、洗面室47から浴室48に出入りするための出入口72が形成されている。また、浴室48は、洗面室47とは反対側で収納室45と隣接している。浴室48と収納室45とは間仕切壁74により仕切られている。間仕切壁74は、界壁16と直交する方向に延びており、各界壁16A,16Bのうち界壁16Aにのみ接続されている。
界壁16Aには、配管が配設されるパイプスペース76が設けられている。パイプスペース76は、周囲が壁により囲まれた扁平空間であり、界壁16Aに沿って上下に延びている。水廻り空間46~48から延びる配管は、このパイプスペース76を通じて二階部分へ延びている。また、パイプスペース76は界壁16Aに対してのみ設けられ、界壁16Bに対しては設けられていない。
ここで、本集合住宅10では、建物ユニット群30A(30B)に設けられた界壁16Bを除去することにより、建物ユニット群30A(30B)に一の住戸を形成するリフォームを行うことが可能となっている。そこで、以下では、そのリフォームの一例について図7に基づき説明する。なお、図7は、リフォーム後の住戸の間取りを示す平面図である。また、ここでは、建物ユニット群30Bにおいて住戸のリフォームを行った場合について説明する。図7では、建物ユニット群30Bにおけるリフォーム後の状態が示されている。
図7に示すように、建物ユニット群30Bのリフォーム後においては、建物ユニット群30Bの界壁16Bが除去されることにより、建物ユニット群30Bに一の住戸80が形成されている。すなわち、リフォーム後においては、建物ユニット群30Bに2つの住戸11C,11Dに代えて、一の住戸80が形成されている。この場合、住戸80は、対向する一対の界壁16Aに跨がって形成されている。
住戸80には、屋内空間として、玄関81と、LDK82と、洋室83と、浴室84と、洗面室85と、トイレ86と、収納室87とが設けられている。玄関81は、リフォーム前における各住戸11C,11Dの玄関41の位置に跨がるように形成されている。この場合、玄関81の土間床を形成するにあたり、各住戸11C,11Dの玄関41の土間床54を利用して形成することができる。このため、玄関81の施工を容易に行うことができる。
LDK82は、住戸80を挟んだ両側の各界壁16Aのうち一方の界壁16Aに隣接している。また、浴室84、洗面室85、トイレ86及び収納室87は他方の界壁16Aに隣接している。LDK92は、建物ユニット群30Bを構成する各建物ユニット20Aに跨がって形成されている。
住戸80には、各屋内空間81~87に加え、バルコニー88が設けられている。バルコニー88は、リフォーム前の建物ユニット群30Bに設けられていた隔て板62を除去することにより形成されている。つまり、バルコニー88は、リフォーム前の各住戸11C,11Dのバルコニー61を用いて形成されている。
上述したように、本集合住宅10では、界壁16Bと隔て板62とを除去する等の比較的簡単な作業により、建物ユニット群30Bにおいて2つの住戸11C,11Dから一の住戸80へのリフォームを行うことが可能となっている。これにより、周辺環境が変わる等したことに伴い、住戸の間取りをより広い間取りへ変更する際に、容易にリフォームすることが可能となっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物ユニット20として、桁方向の寸法が妻方向の寸法の2倍以上とされた建物ユニット20Aを備え、その建物ユニット20Aが妻方向に複数並べて配置されることで建物ユニット群30A(30B)が形成されている。建物ユニット群30A(30B)には、建物ユニット群30A(30B)を構成する各建物ユニット20Aの桁方向の中間部に跨がって延びる界壁16Bと、界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11A,11B(11C,11D)とが設けられている。この場合、界壁16Bは、隣り合う建物ユニット20の境界部とは異なる位置に配置されるため、界壁16Bの内部には、上記境界部で隣接する建物ユニット20の柱21を配置する必要がない。これにより、界壁16Bの厚みを小さくすることができ、その結果、界壁16Bにより住戸11A~11D内のスペースが狭くなるのを抑制することができる。
各住戸11B~11Dについては界壁16Aと界壁16Bとの間に形成され、界壁16Bにより隣りの住戸11と仕切られているとともに、界壁16Aにより隣りの住戸11と仕切られている。界壁16Aは、隣接する建物ユニット群30A,30B(30B,30C)の境界部に沿って延び、その内部には上記境界部に配置された建物ユニット20の柱21が配設されている。この場合、界壁16Aの厚みを必要以上に大きくする必要があるため、住戸11B~11D内のスペースが狭くなるおそれがある。その点、上記の実施形態では、界壁16Aの厚みが界壁16Bの厚みよりも小さくなっているため、それら両界壁16A,16Bに挟まれた住戸11B~11Dについて、そのスペースが狭くなるのを抑制することができる。
ところで、一の建物ユニット群30A(30B)に2つの住戸11A,11B(11C,11D)が形成される上述の構成では、それらの住戸11A~11Dが幅狭に形成されることが想定される。そのため、例えば住戸11B~11D内にトイレや浴室等の水廻り空間を配置する場合、水廻り空間を各界壁16A,16Bのいずれかに隣接して配置する必要が生じる。そこで上記の実施形態では、住戸11B~11Dに設けられる複数の水廻り空間46~48をいずれも界壁16Aに隣接させる一方、界壁16Bからは離間させて配置している。界壁16Aは界壁16Bよりも厚みが大きいため、遮音性に優れた壁部を構築し易い。これにより、住戸11B~11Dが幅狭に形成される構成にあって、水廻り空間46~48で発生する水の音等が隣りの住戸11に伝わるのを好適に抑制することができる。
配管が通るパイプスペース76が界壁16Aに沿って配置されている一方、界壁16Bには設けられていない。この場合、水等の流体が配管を流れる音が隣りの住戸11に伝わるのを抑制する上で好適な構成とすることができる。
界壁16Aは、その内部に柱21が配設されているため、柱21を用いて剛性の高い壁を構築できる一方、界壁16Bは、その内部に柱21が配設されていないため、界壁16Aよりも剛性が低くなると考えられる。そこで、上記の実施形態では、その点に鑑み、界壁16Aに、住戸11B~11Dに設けられた複数の間仕切壁63,67,71,74をそれぞれ接続する一方、界壁16Bには、複数の間仕切壁63,67,71,74のうち一部の間仕切壁71だけ接続している。これにより、複数の間仕切壁63,67,71,74は、各界壁16A,16Bのうち主に剛性の高い界壁16Aにより支持されるため、間仕切壁63,67,71,74を安定した状態で支持する上で好適な構成とすることができる。
界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11A,11B(11C,11D)の玄関41が界壁16Bを挟んで互いに隣接している。この場合、2つの住戸11A,11B(11C,11D)の玄関41の土間床54を形成する際、連続して形成する等、施工し易くすることができる。
長尺の建物ユニット20Aを妻方向に複数並べた建物ユニット群30A(30B)に、界壁16Bにより仕切られた2つの住戸11A,11B(11C,11D)を形成した。この場合、一の建物ユニット群30A(30B)に2つの住戸11A,11B(11C,11D)が形成されるため、建物ユニット20を用いて複数の住戸11を形成する上で、建物ユニット20の個数を少なくすることができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、住戸11B~11Dにおいて界壁16Aに接続された複数の間仕切壁63,67,71,74のうち、一の間仕切壁71だけ界壁16Bに接続したが、例えばいずれか2つの間仕切壁を界壁16Bに接続するようにしてもよい。要するに、複数の間仕切壁63,67,71,74のうち一部の間仕切壁だけ界壁16Bに接続するようにすればよい。また、複数の間仕切壁63,67,71,74のすべてを界壁16Bに接続しないようにしてもよい。
・上記実施形態では、建物ユニット群30A,30B(長尺ユニット群)を構成する建物ユニット20A(長尺ユニット)の数を5個としたが、例えば4個にしたり、6個以上にしたりしてもよい。要するに、建物ユニット20Aの個数は、住戸11A~11Dの広さに応じて適宜設定すればよい。
・上記実施形態では、集合住宅10の一階部分において本発明を適用した場合について説明したが、二階部分においても同様に本発明を適用してもよい。
・上記実施形態では、集合住宅10としてアパートを想定し、そのアパートに本発明を適用したが、マンション等、アパート以外の集合住宅に本発明を適用してもよい。
10…ユニット式集合住宅、11…住戸、16…界壁、16A…第2界壁としての界壁、16B…第1界壁としての界壁、20…建物ユニット、20A…長尺ユニットとしての建物ユニット、21…柱、22…梁としての天井大梁、23…梁としての床大梁、30A,30B…長尺ユニット群としての建物ユニット群、41…玄関、46~48…水廻り空間、54…土間床、63…間仕切壁、67…間仕切壁、71…間仕切壁、74…間仕切壁、76…パイプスペース。

Claims (6)

  1. 柱及び梁を有する複数の建物ユニットが互いに組み合わされることで構築されたユニット式の集合住宅であって、
    前記建物ユニットとして、桁方向の寸法が妻方向の寸法の2倍以上とされた長尺ユニットを備え、その長尺ユニットが前記妻方向に複数並べて配置されることで長尺ユニット群が形成されており、
    前記長尺ユニット群には、前記各長尺ユニットの桁方向の中間部に跨がって延びる第1界壁と、前記第1界壁により仕切られた2つの住戸とが設けられている、ユニット式集合住宅。
  2. 前記2つの住戸のうち一方は第1住戸、他方は第2住戸であり、
    前記第1住戸は、前記第2住戸とは反対側で他の住戸と隣接しており、
    前記長尺ユニット群と隣接し、前記他の住戸を形成する隣接ユニット群を備え、
    前記隣接ユニット群は、前記建物ユニットが前記各長尺ユニットの並ぶ方向に複数並べられることにより形成され、
    前記長尺ユニット群と前記隣接ユニット群との境界部に沿って延び、前記第1住戸を前記他の住戸と仕切る第2界壁を備え、
    前記第2界壁の内部には、前記境界部に配置された前記柱が配設され、
    前記第1界壁の厚みは、前記第2界壁の厚みよりも小さくなっている、請求項1に記載のユニット式集合住宅。
  3. 前記第1住戸には、屋内空間として複数の水廻り空間が設けられており、
    前記複数の水廻り空間はいずれも前記第2界壁に隣接している一方、前記第1界壁からは離間している、請求項2に記載のユニット式集合住宅。
  4. 前記第1住戸には、配管が通るパイプスペースが設けられ、
    前記パイプスペースは、前記第1界壁及び前記第2界壁のうち前記第2界壁に沿って配置されている、請求項2に記載のユニット式集合住宅。
  5. 前記第1住戸には、前記第1界壁及び前記第2界壁と直交する方向に延びる複数の間仕切壁が設けられ、
    前記第2界壁には、前記複数の間仕切壁がそれぞれ接続されており、
    前記第1界壁には、前記複数の間仕切壁のうち一部の間仕切壁が接続されている、又は前記複数の間仕切壁のいずれも接続されていない、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のユニット式集合住宅。
  6. 前記2つの住戸には、床が土間床により形成された玄関が設けられており、
    前記2つの住戸の前記玄関は前記第1界壁を挟んで互いに隣接している、請求項1に記載のユニット式集合住宅。
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