JP2022016333A - 成形用樹脂組成物、および成形体 - Google Patents

成形用樹脂組成物、および成形体 Download PDF

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Tomoyuki Aotani
ちひろ 村田
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Hao Hu
健 西中
Takeshi Nishinaka
康平 高橋
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Abstract

【課題】本発明は、安価に精製できる紫外線吸収性ポリマーを含み、ポリオレフィンとの相溶性が良好で、透明性が良好な成形体を形成できる成形用樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】熱可塑性樹脂、および紫外線吸収性ポリマーを含む、成形用樹脂組成物であって、前記紫外線吸収性ポリマーは、下記一般式(1)で示す単量体単位、下記一般式(2)で示す単量体単位、およびチオール系連鎖移動剤残基を有するポリマーであり、前記チオール系連鎖移動剤残基を形成するチオール系連鎖移動剤は、チオール基、ならびにカルボキシル基、水酸基およびエステル結合からなる群より選択される1種以上の部位を有する成形用樹脂組成物。【化1】TIFF2022016333000026.tif42170【選択図】なし

Description

本発明は、成形用樹脂組成物に関する。
従来から樹脂成形体(以下、成形体という)は、医薬用薬剤や化粧品等の包装材料として使用されていた。医薬用薬剤や化粧品等の内容物は、紫外線で劣化しやすいが、紫外線吸収剤を配合すると、紫外線吸収剤が移行して内容物を汚染する場合があった。
そこで、特許文献1及び2では、ポリオレフィンと紫外線吸収性モノマー等を二軸押出機中で重合する成形用樹脂組成物が開示されている。特許文献3では、連鎖移動剤として1-ドデカンチオールを使用して重合した紫外線吸収性ポリマーを含む成形用樹脂組成物が開示されている。
特開2001-72722号公報 特開2001-114842号公報 特開平5-255447号公報
しかし、特許文献1および2の成形用樹脂組成物は、含有する素材同士の相溶性が低く成形体のヘーズ(haze)が高い上、紫外線吸収性を高めるために紫外線吸収性モノマーを増量すると成形体の透明性が低下する問題があった。また、特許文献3の成形用樹脂組成物は、医薬用薬剤用途や化粧品用途を考慮して、紫外線吸収性ポリマー中の低分子量ポリマーを除去するために、安価な低沸点アルコールを使用して精製しようとすると、前記紫外線吸収性ポリマーは、分子末端に疎水性が高い1―ドデカンチオール残基を有するため、前記アルコールに対する溶解性が低く精製に時間がかかる。これに対して非アルコール溶剤を使用すると、残留する非アルコール溶剤が臭気等人体に悪影響を与える問題があった。
本発明は、安価で効率良く精製できる紫外線吸収性ポリマーを含み、ポリオレフィンとの相溶性が良好で、透明性が良好な成形体を形成できる成形用樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明の成形用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、および紫外線吸収性ポリマーを含む、成形用樹脂組成物であって、
前記紫外線吸収性ポリマーは、下記一般式(1)で示す単量体単位、下記一般式(2)で示す単量体単位、およびチオール系連鎖移動剤残基を有するポリマーであり、
前記チオール系連鎖移動剤残基を形成するチオール系連鎖移動剤は、チオール基、ならびにカルボキシル基、水酸基およびエステル結合からなる群より選択される1種以上の部位を有する。
Figure 2022016333000001
一般式(1)中、R11は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Uは、紫外線を吸収する骨格を有する炭化水素基でありヘテロ原子を含んでもよい、
一般式(2)中、R21は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Zは、炭素数10以上の鎖状炭化水素基、および環状炭化水素基からなる群より選択されるいずれかを表す。
上記の本発明によれば、安価で効率良く精製できる紫外線吸収性ポリマーを含み、ポリオレフィンとの相溶性が良好で、透明性が良好な成形体を形成できる成形用樹脂組成物、および成形体を提供できる。
本明細書等の用語を定義する。本明細書等において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」等は、「アクリル又はメタクリル」、「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロイル又はメタクリロイル」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、単量体は、エチレン性不飽和基含有化合物を意味する。重合後の単量体を単量体単位、重合前は単量体という。
本発明の成形用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、紫外線吸収性ポリマーを含む、成形用樹脂組成物であって、以下、本発明の組成物が含有する各成分について詳述する
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート等のポリアクリル、ポリエステル、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及びポリエーテルイミドが挙げられる。これらの中でも、良好な成形性及び成形品の機械強度を得られることから、ポリオレフィン、シクロオレフィン樹脂を選択することが特に好ましい。また、ポリエステル、ポリアクリル、ポリカーボネートも好ましい。熱可塑性樹脂の数平均分子量は3万を超えることが好ましい。
<ポリオレフィン>
ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、及びポリ-4-メチルペンテン、並びにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリオレフィンの重量平均分子量は、30,000~500,000程度であり、30
,000~200,000であると好ましい。
ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。ポリプロピレンは、例えば、結晶性又は非晶性ポリプロピンが挙げられる。
これらの共重合体は、例えば、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α-オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも結晶性又は非晶性ポリプロピレン、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体が好ましく、プロピレン-エチレンブロック共重合体がより好ましい。また安価で、比重が小さいために成形体を軽量化できる観点からはポリプロピレンが好ましい。
ポリオレフィンのメルトフローレイト(MFR)は、1~100(g/10分)が好ましい。なお、MFRはJISK-7210に準拠して求めた数値である。
<ポリカーボネート>
ポリカーボネートは、2価のフェノールとカーボネート前駆体とを公知の方法で合成した化合物である。2価のフェノールは、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ビドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4-ビドロキシフェニル)サルファイド等が挙げられる。これらの中でビス(4-ビドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAと称される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンがより好ましい。カーボネート前駆体は、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価のフェノールのジハロホルメート等が挙げられる。この中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
<ポリアクリル>
ポリアクリルは、アクリル酸及び/メタクリル酸メチル及び/又はメタクリル酸エチル等のモノマーを公知の方法で重合した化合物である。例えば、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体及びエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。前記モノマーの他に、例えば、ブタジエン、α-メチルスチレン、無水マレイン酸等のモノマーを加えて重合することもでき、モノマー量と分子量によって耐熱性、流動性、衝撃性を調整することができる。
<ポリエステル>
ポリエステルは、分子の主鎖にエステル結合を有する樹脂であり、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、ジオール(2価アルコール又は2価フェノール)とから合成した重縮合物;、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、環状エーテル化合物とから合成した重縮合物;、環状エーテル化合物の開環重合物等が挙げられる。ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールの重合体によるホモポリマー、複数の原料を使用するコポリマー、これらを混合するポリマーブレンド体が挙げられる。なお、ジカルボン酸の誘導体とは、酸無水物、エステル化物である。ジカルボン酸は、脂肪族及び芳香族の2種類のジカルボン酸があるところ、耐熱性が向上する芳香族がより好ましい。
<シクロオレフィン樹脂>
シクロオレフィン樹脂は、エチレン又はα-オレフィンと環状オレフィンとの重合体である。α-オレフィンはC4~C12(炭素数4~12)のαオレフィンから誘導されるモノマーであり、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-
ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等が挙げられる。環状オレフィンはノルボルネンから誘導されるモノマーであり、水素基、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基の置換物が挙げられる。これらの中でも無置換のノルボルネンが好ましい。
<塩化ビニル樹脂>
塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体のほか、塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、「塩化ビニル共重合体」ともいう)、該塩化ビニル共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
塩化ビニルと共重合可能な単量体は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸類;アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニル等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド類等が挙げられる。
塩化ビニル共重合体以外の重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよく、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン等が挙げられる。
塩化ビニル樹脂には可塑剤を使用できる。可塑剤は、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル系可塑剤;エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポシキ化アマニ油脂肪酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ化エステル系可塑剤;トリ-2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)等のリン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらの中でも、樹脂シートの成形性、加工性等の点から、エポキシ化エステル系可塑剤が好ましい。
熱可塑性樹脂の融点は、120~330℃が好ましく、150~300℃がより好ましい。
<紫外線吸収性ポリマー>
紫外線吸収性ポリマーは、下記一般式(1)で示す単量体単位、下記一般式(2)で示す単量体単位、およびチオール系連鎖移動剤残基を有するポリマーであり、
前記チオール系連鎖移動剤残基を形成するチオール系連鎖移動剤は、チオール基、ならびにカルボキシル基、水酸基およびエステル結合からなる群より選択される1種以上の部位を有する。
Figure 2022016333000002
一般式(1)中、R11は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Uは、紫外線を吸収する骨格を有する炭化水素基でありヘテロ原子を含んでもよい。
一般式(2)中、R21は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Zは、炭素数10以上の鎖状炭化水素基、および環状炭化水素基からなる群より選択されるいずれかを表す。
<一般式(1)>
11は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Uは、紫外線を吸収する骨格を有する、炭化水素基または複素環基を1種以上含む部位である。一般式(1)で示す単量体単位が紫外線を吸収する骨格を有することで、紫外線吸収性ポリマーは、紫外線吸収性を有する。紫外線吸収性は、紫外線を吸収する骨格に由来する。
一般式(1)で示す単量体単位は、下記一般式(11)で示す単量体を重合して形成する単位である。
(一般式11)
Figure 2022016333000003
一般式(11)中、R11およびUは一般式(1)と同様である。
<一般式(11)で示す単量体単位>
一般式(11)で示す単量体単位中、Uは、紫外線を吸収する骨格を有する炭化水素基でありヘテロ原子を含んでもよい。紫外線を吸収する骨格は、例えば、ベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群より選択される1種が好ましい。これらの中でも、コスト及び工業的な入手しやすさの観点からベンゾトリアゾール骨格が好ましい。以下、紫外線を吸収する骨格ごとに単量体単位を説明する。
(ベンゾトリアゾール骨格を含む単量体単位)
一般式(11)中、Uがベンゾトリアゾール骨格である場合、例えば、下記化学式(a1-1)~(a1-3-32)で示す単量体単位が挙げられる。
Figure 2022016333000004
Figure 2022016333000005

Figure 2022016333000006

Figure 2022016333000007
Figure 2022016333000008
Figure 2022016333000009
Figure 2022016333000010

Figure 2022016333000011

Figure 2022016333000012

Figure 2022016333000013

(トリアジン骨格を含む単量体単位)
一般式(11)中、Uがトリアジン骨格である場合、例えば、下記化学式(a1-4-1)~(a1-4-21)で示す単量体単位が挙げられる。なお、トリアジン骨格は、トリフェニルトリアジン骨格が好ましい。
Figure 2022016333000014

Figure 2022016333000015

Figure 2022016333000016

Figure 2022016333000017

Figure 2022016333000018

Figure 2022016333000019
Figure 2022016333000020

(ベンゾフェノン骨格を含む単量体単位)
一般式(11)中、Uがベンゾフェノン骨格である場合、以下の単量体が挙げられる。
ベンゾフェノン骨格を有する単量体は、例えば、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-メチル-2-アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキ
シ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物のうち、2‐[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールは、重合制御性、コスト、
紫外線吸収性のバランスに好ましい。
一般式(1)で示す単量体単位は、単独または2種類以上を併用できる。
一般式(1)で示す単量体単位の含有量は、全単量体単位100質量%中、3~60質
量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~45質量%がさらに好ましい。適量含有することで紫外線吸収性、及びポリオレフィンとの相溶性を高度に両立できる。
<一般式(2)>
一般式(2)中、R21は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Zは、炭素数10以上の、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基からなる群より選択されるいずれかを表す。
一般式(2)
Figure 2022016333000021
一般式(2)で示す単量体単位は、下記一般式(21)で示す単量体を重合して形成する単位である。
一般式(21)
Figure 2022016333000022
一般式(21)中、R21およびZは一般式(2)と同様である。
Zが炭素数10以上の、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基より選択されるいずれかであることにより疎水性が高まる。これにより紫外線吸収性ポリマーは、疎水性の高いポリオレフィンとの親和性が向上するため両者の相溶性が向上する。なお、Zの炭素数の上限は、限定されないところ、強いて挙げれば30以下が好ましく、22以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
一般式(21)中、炭素数10以上の鎖状炭化水素基は、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。鎖状炭化水素基は、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基のアルキル基等が挙げられる。鎖状炭化水素基は、分岐構造が好ましく、イソステアリル基がより好ましい。なお、直鎖構造及び分岐構造の炭化水素基の炭素数は、14以上が好ましい。なお前記炭化水素も上限は重合できればよく限定されないところ、22以下が好ましい。
環状構造の炭化水素基(環状炭化水素基)は、脂環式炭化水素基、多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基とは、芳香族性を有しない飽和又は不飽和の炭素環を1つ
有する基であり、多環式炭化水素基は、芳香族性を有しない飽和又は不飽和の炭素環を複数有する基である。
脂環式炭化水素基は、例えば、シクロドデシル基、t-ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
多環式炭化水素基は、例えば、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、2-メチル-2-アダマンチル基、2-エチル-2-アダマンチル基等が挙げられる。これらの脂環式炭化水素基及び多環式炭化水素基は、多環式炭化水素基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。これにより、疎水性の高いポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との親和性が特に向上する。
一般式(21)で示す単量体は、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等が挙げられる。これらの中でも、イソステアリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
一般式(21)で示す単量体単位は、単独または2種以上を併用して使用できる。なお、紫外線吸収性ポリマーは、そのガラス転移温度が下がりすぎないことから環状炭化水素基単量体単位、または鎖状炭化水素基単量体単位および環状炭化水素基単量体の併用が好ましい。前記併用は、鎖状炭化水素基単量体と環状炭化水素基単量体を1:1~1:3の比率で用いることが好ましい。これによりポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との親和性がより向上する
一般式(21)で示す単量体単位の含有量は、全単量体単位中、30~85質量%が好ましく、35~80質量%がより好ましく、40~75質量%が最も好ましい。適量含有することで紫外線吸収性、及びポリオレフィンとの相溶性を両立しやすい。
<その他単量体単位>
紫外線吸収性ポリマーは、一般式(1)で示す単量体単位及び一般式(2)で示す単量体単位以外のその他単量体単位を含有できる。その他単量体単位は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単位、芳香族ビニル単量体単位、その他ビニル単量体単位を含有できる。
(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエ
チレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、安息香酸ビニル、ビニル安息香酸メチル、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばtert-ブトキシカルボニル基(t-Boc)など)で保護されたヒドロキシスチレン等が挙げられる。
その他ビニル単量体単位は、例えば、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、(メタ)アクリロニトリル、酸性基含有単量体、窒素含有複素環単量体等が挙げられる。
クロトン酸エステルは、例えば、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステルは、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート等が挙げられる。
マレイン酸ジエステルは、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
フマル酸ジエステルは、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等が挙げられる。
イタコン酸ジエステルは、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエーテルは、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
酸性基含有単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽
和ジカルボン酸又はその酸無水物;等が挙げられる。
窒素含有複素環単量体は、例えば、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ペンタメチルピペリジニルメタクリレート、ペンタメチルピペリジニルアクリレート、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
窒素含有複素環単量体単位を含む紫外線吸収性ポリマーは、窒素含有複素環により光安定性が向上するため好ましい。窒素含有複素環単量体は単量体混合物100質量%中、3~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~25質量%がさらに好ましい。適量含有することで光安定性、及びポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との相溶性を両立しやすい。
<合成方法>
紫外線吸収性ポリマーの合成法は、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、及びリビングラジカル重合等が挙げられる。この中でも、コスト及び生産性の観点よりフリーラジカル重合により合成されたものが好ましい。
紫外線吸収性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との相溶性の観点から3,000~150,000が好ましく、4,000~100,000がより好ましく、5,000~80,000がさらに好ましく、6,000~40,000が特に好ましい。紫外線吸収性ポリマーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲に
なると成形時の流動性がより向上する。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数値である。
紫外線吸収性ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1.2~5.0がより好ましく、1.3~3.0がさらに好ましい。上記範囲内にあることで、ポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との相溶性が向上し、紫外線吸収性ポリマーがブリードアウトしにくい。
紫外線吸収性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、60℃~180℃が好ましく、70℃~170℃がより好ましく、80℃~160℃がさらに好ましい。上記範囲にあると、加工性とポリオレフィンやシクロオレフィン樹脂との相溶性とのバランスが良い。
紫外線吸収性ポリマーの熱分解温度(Td)は、特に限定されないが、例えば、200℃以上、好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上が好ましい。上記範囲であれば、高温での成形加工時でも黄変などが起こりにくい。
なお、TgやTdは、例えば、後述の方法により測定できる。
<チオール系連鎖移動剤>
紫外線吸収性ポリマーは、チオール系連鎖移動剤残基を有する。前記チオール系連鎖移動剤残基は、チオール基、ならびにカルボキシル基、水酸基およびエステル結合のうち1種以上の部位を有する。チオール系連鎖移動剤のポリマー分子量調整効果は知られている。これに対して、本明細書では前記効果に加え、紫外線吸収性ポリマーの末端のチオール
系連鎖移動剤残基が、カルボキシル基、水酸基およびエステル結合のうち1種以上の部位を有することで、ポリマーと安価で除去が容易な低級アルコールとの親和性が向上する。これにより紫外線吸収性ポリマーから低分子量ポリマーや未反応のチオール系連鎖移動剤等を除去する精製工程に低級アルコールを使用することが可能になり、低コストかつ簡易な精製が可能になる予想外の効果が得られる。
チオール系連鎖移動剤は、分子量調整の面で、ポリチオール化合物よりモノチオール化合物が好ましく、さらに1級チオール基を有するモノチオール化合物が好ましい。これにより、不純物が少ない紫外線吸収性ポリマーが得られるため、例えば、医薬用薬剤や化粧品の用途に好適である。
カルボキシル基を有するチオール系連鎖移動剤は、例えば、α-メルカプトプロピオン酸、β-メルカプトプロピオン酸、2,3-ジメルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオ乳酸o-メルカプト安息香酸、m-メルカプト安息香酸、チオリンゴ酸、o-チオクマル酸、α-メルカプトブタン酸、β-メルカプトブタン酸、γ-メルカプトブタン酸、11-メルカプトウンデカン酸等が挙げられる。
水酸基を有するチオール系連鎖移動剤は、例えば、メルカプトメタノール、1-メルカプトエタノール、2-メルカプトエタノール、1-メルカプトプロパノール、3-メルカプトプロパノール、1-メルカプト-2,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2-ブタノール、1-メルカプト-2,3-ブタンジオール、1-メルカプト-3,4-ブタンジオール,1-メルカプト-3,4,4'-ブタントリオール、2-メルカプト-3-
ブタノール、2-メルカプト-3,4-ブタンジオールおよび2-メルカプト-3,4,4'-ブタントリオール、チオグリセロール等が挙げられる。
エステル結合を有するチオール系連鎖移動剤は、例えば、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチルなどのチオグリコール酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシルなどのメルカプトプロピオン酸アルキルエステル等が挙げられる。
チオール系連鎖移動剤の分子量は、101~300が好ましく、150~250がより好ましい。この範囲のチオール系連鎖移動剤を用いることで、チオール系連鎖移動剤自体の揮発性を抑えつつ、少量添加で連鎖移動効果が得られるため、分子量制御が容易になる。
これらの中でも、1級チオール基を持つ化合物が特に連鎖移動剤効果が高く、分子量調整が容易のため好ましい。特に臭気と分子量調整の容易さのバランスから、β-メルカプトプロピオン酸、チオグリセロール、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルが好ましい。
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種以上を併用して使用できる。
チオール系連鎖移動剤の含有量は、前記紫外線吸収性ポリマーの全単量体単位100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~4質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。適量含有すると分子量調整および低級アルコールとの親和性を高度に両立できる。なお、チオール系連鎖移動剤は、全単量体単位には含めない。
紫外線吸収性ポリマーは、全単量体単位100質量部に対して、前記チオール系連鎖移
動剤由来の硫黄原子を0.001~0.3質量部含有することが好ましく、0.001~0.25質量部がより好ましく、0.001~0.2質量部がさらに好ましい。適量含有すると分子量調整および低級アルコールとの親和性を高度に両立できる。なお、上記紫外線吸収性ポリマー中のチオール系連鎖移動剤由来の硫黄原子含有量は、後述する方法で測定ができる。具体的には、紫外線吸収性ポリマーを燃焼させて、硫黄含有ガス放散量を測定することで算出する。
紫外線吸収性ポリマーは、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等公知の重合手法で合成できるところ、本明細書では反応制御が容易な溶液重合が好ましい。
また、重合は、ランダム重合、ブロック重合等を適宜選択できる、また重合は、イオン重合、ラジカル重合等のうちラジカル重合が好ましい。
<重合開始剤>
紫外線吸収性ポリマーの合成には、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、過酸化物が好ましい。アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
重合開始剤は、単独または2種以上を併用できる。
重合温度は、40~150℃程度が好ましく、50~110℃がより好ましい。反応時間は、3~30時間程度が好ましく、5~20時間がより好ましい。
<有機溶剤>
紫外線吸収性ポリマーの合成は、有機溶剤を使用できる。有機溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
なお、紫外線吸収性ポリマーの精製工程に使用する溶剤は、紫外線吸収性ポリマーの溶解性が低く、コストや純度、紫外線吸収性ポリマーから溶剤を除去しやすいことからメタノールを使用することが好ましい。
有機溶剤は、単独または2種以上を併用できる。
<成形用樹脂組成物>
成形用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、紫外線吸収性ポリマーを含む。必要に応じて、着
色剤、添加剤を含有できる。紫外線吸収性ポリマーの配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01~30質量部が好ましく、0.05~25質量部が好ましく、0.1~20質量部がより好ましい。
<ワックス>
成形用樹脂組成物は、ワックスを含有できる。
ワックスは、低分子量ポリオレフィン類からなる。これらは、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンモノマーの重合体であり、ブロック、ランダムコポリマーまたはターポリマーであっても構わない。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)のようなα-オレフィン類の重合体である。これらは単独または2種以上で併用できる。
ワックスの数平均分子量は、1,000~30,000が好ましく、2,000~25,000がより好ましい。この範囲内にあることでワックスが適度に成形品表面へ移行するため、摺動性とブリードアウト抑制のバランスに優れる。
ワックスの融点は60~150℃が好ましく、70~140℃がより好ましい。この範囲内にあることで熱可塑性樹脂とワックスとを溶融混練する際の加工性が良好となる。
なお、ワックスのJIS K-7210に準拠して求めたメルトフローレイト(MFR)は、100g/10分より大きいことが好ましい。
ワックスの配合量は、成形体が含有する熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。
成形用樹脂組成物は、例えば、成形体の組成比で製造することができる。または、紫外線吸収性ポリマーを高濃度で含有するマスターバッチとして製造することもできる。本明細書では、紫外線吸収性ポリマーを成形体中に均一に分散し易い面でマスターバッチが好ましい。
マスターバッチは、例えば、熱可塑性樹脂と紫外線吸収性ポリマーを溶融混練し、次いで任意の形状に成形することが好ましい。次いで、前記マスターバッチと希釈樹脂(例えば、マスターバッチに使用した熱可塑性樹脂)とを溶融混練し、所望の形状の成形体を成形できる。マスターバッチの形状は、例えば、ペレット状、粉末状、板状等が挙げられる。なお、紫外線吸収性ポリマーの凝集を防ぐため、予め、紫外線吸収性ポリマーとワックスを溶融混練した分散体を製造した後、熱可塑性樹脂と共に、溶融混錬してマスターバッチを製造することが好ましい。分散体に使用する装置は、例えば、ブレンドミキサーや3本ロールミル等が好ましい。
マスターバッチの作成に使用する熱可塑性樹脂は、希釈樹脂(Y)と同じ熱可塑性樹脂が好ましいが、相溶性に問題なければ、他の熱可塑性樹脂を使用しても構わない。
成形用樹脂組成物をマスターバッチとして製造する場合、熱可塑性樹脂100質量部に対して、紫外線吸収性ポリマーを1~200質量部配合することが好ましく5~70質量部がより好ましい。マスターバッチ(X)と、成形体の母材樹脂となる希釈樹脂(Y)との質量比は、X/Y=1/1~1/100が好ましく、1/3~2/100がより好ましい。この範囲にすると成形体に紫外線吸収性ポリマーが均一に分散し、良好な紫外線吸収性及び光透過性が得やすい。
溶融混練は、例えば、単軸混練押出機、二軸混練押出機、タンデム式二軸混練押出機等が挙げられる。溶融混錬温度は、ポリオレフィンの種類により異なるが、通常150~250℃程度である。
成形用樹脂組成物は、必要に応じて、さらに酸化防止剤、光安定剤、分散剤等を含むことができる。
<成形体>
成形用樹脂組成物は、例えば、食品包装材、医薬品包装材、ディスプレイ用途に使用することが好ましい。食品包装材や医薬品包装材は、熱可塑性樹脂に、例えば、ポリオレフィンやポリエステル等を使用することが好ましい。これら成形体は、柔軟性及び視認性が向上し、内容物の劣化を抑制できる。これにより、医薬品や化粧品等のセルフライフが延長できる。また、ディスプレイ用途(例えば、テレビ、パソコン、スマホ等)は、熱可塑性樹脂に、例えば、ポリアクリルやポリカーボネート等を使用することが好ましい。これら成形体は、バックライトに含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、目への悪影響を抑制することができ、また、太陽光に含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、ディスプレイの表示素子の劣化を抑制することができ、さらにマイグレーションによる透明性低下を抑制することができる。さらに、ディスプレイ用材料、センサー用材料、光学制御材料などの用途でも幅広く使用できる。
成形用樹脂組成物がマスターバッチである場合、成形体は希釈樹脂(Y)を含有する。成形体は、成形用樹脂組成物を成形して作製する。
成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。押出成形は、例えばコンプレッション成形、パイプ押出成形、ラミネート成形、Tダイ成形、インフレーション成形、溶融紡糸等が挙げられる。
成形温度は、希釈樹脂の軟化点によるところ、通常160~280℃である。
成形体は、例えば、医療用薬剤、化粧品、食品用容器、包装材、雑貨、繊維製品、医薬品用容器、各種産業用被覆材、自動車用部品、家電製品、住宅等の建材、トイレタリー用品などの用途で幅広く使用できる。なお、成形体は型に樹脂を投入し物品を得るものである。なお、成形体は型に樹脂を投入し物品を得たもの、および、プラスチックフィルムなど型を使用せずに得た物品を含む。
以下、実験例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実験例に限定されない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
(分子量)
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8320GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の
上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
(不揮発分)
不揮発分は、試料0.5gをアルミ容器に秤量し、電気オーブンで200℃雰囲気下10分後の乾燥前後の重量比から算出した。
不揮発分%=(乾燥後の重量)/(乾燥前の重量)×100
[紫外線吸収性ポリマーの製造例(B-1)~(B-11)]
(紫外線吸収性ポリマー(B-1))
温度計、撹拌機、滴下ロート、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン250部、一般式(1)で示す単量体として2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールを30部、一般式(2)で示す単量体としてイソステアリルアクリレートを35部、ジシクロペンタニルメタクリレートを35部、チオール系連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシルを1部仕込み、窒素気流下で30分撹拌した。その後、2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を1.0部仕込み、昇温し還流し重合反応を開始した。昇温後、2時間経過したところで、1時間おきに2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を0.1部加え、合計8時間反応させた。その後、サンプリングを行い転化率が98%以上であることを確認し、冷却後、メチルエチルケトンで希釈し、不揮発分30%の樹脂溶液b-1を製造した。
次に、1Lのビーカーにメタノール300部を仕込み、デイスパーを用いて1,000
回転で撹拌したところに樹脂溶液b-1、100部を1時間かけて滴下した。その後直径150mmのブフナー漏斗で、定性濾紙(ADVANTEC社製、品名No.2)を用いて減圧吸引し、生成した白色沈殿物をろ過した。濾液200gが抜けるのに所要した時間は1分未満で、濾過性は問題なかった。さらに30分間減圧吸引を続け、濾液が出なくなったことを確認し、ついで、得られた白色沈殿物を真空乾燥機で50℃12時間乾燥し、ポリマー(B-1)を製造した。得られたポリマー(B-1)の不揮発分は99%以上だった。
下記表1のように、使用する単量体、連鎖移動剤を変更した以外は、紫外線吸収性ポリマー(B-1)と同様な方法で、紫外線吸収性ポリマー(B-2)~(B-10)を得た。
(紫外線吸収性ポリマー(B-11))
温度計、撹拌機、滴下ロート、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン250部、一般式(1)で示す単量体単位として2-[2-ヒドロキシ-5
-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾールを30部
、一般式(2)で示す単量体単位として、ジシクロペンタニルメタクリレートを70部、チオール系連鎖移動剤として1-ドデカンチオールを1部仕込み、窒素気流下で30分撹拌した。その後、2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を1.0部仕込み、昇温し還流し重合反応を開始した。昇温後、2時間経過したところで、1時間おきに2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を0.1部加え、合計8時間反応させた。その後、サンプリングを行い重合収率が98%以上であることを確認し、冷却後、メチルエチルケトンで希釈し、不揮発分30%の樹脂溶液b-11を製造した。
次に、1Lのビーカーにヘキサン300部を仕込み、デイスパーを用いて1,000回転
で撹拌したところに樹脂溶液b-11、100部を1時間かけて滴下した。ポリマー(B-11)は、沈殿物はガム状となり、ディスパーや容器に少量樹脂が付着していた。
その後直径150mmのブフナー漏斗で、定性濾紙(ADVANTEC社製、品名No.2)を用いて減圧吸引し、生成した白色沈殿物をろ過した。濾液200gが抜けるのに所要した時間は1分以上かかり、濾過性に劣っていた。さらに30分間減圧吸引を続け、濾液が出なくなったことを確認し、得られた白色沈殿物を真空乾燥機で50℃12時間乾燥した。不揮発分は99%以上に達しなかったため、さらに真空乾燥機で50℃12時間乾燥させた。不揮発分が99%に到達したことを確認し、ポリマー(B-11)を得た。
<濾過性>
紫外線吸収ポリマーのスラリー溶液400gを、直径150mmのブフナー漏斗、定性濾紙(ADVANTEC社製、品名No.2)を用いて減圧吸引させた。この時、濾液2
00gが抜けるのに所要した時間を計測した。
良好:所要時間が1分未満
不良:所要時間が1分以上
<乾燥性>
紫外線吸収性ポリマーの白色沈殿物を真空乾燥機で50℃条件下、圧力15kPa(A)で加熱減圧乾燥させて、不揮発分が99%以上に達する時間を計測した。
良好:所要時間が12時間未満
不良:所要時間が12時間以上
<チオール系連鎖移動剤残基由来の硫黄原子濃度測定>
得られた紫外線吸収性ポリマー0 .1gを燃焼装置用試料ボートに載せ、燃焼装置(
ダイアインスツルメンツ社製の自動試料燃焼装置、型式「AQF-100」)を用いて100℃で5分間加熱した。このとき紫外線吸収性ポリマーから発生したガスを濃度30ppmの過酸化水素水(吸収液)10mLに通過させ、上記発生ガスに含まれた硫黄含有ガス(HS、SO等)をSO 2-に変換して捕集した。上記発生ガスを通過させた
後の吸収液に純水を加えて20mLの容量に調整し、イオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、商品名「DX-320」)を用いてSO 2-の定量分析を行うことにより、紫外線吸収性ポリマーに含まれる硫黄原子濃度を求めた。これら測定で得られた硫黄原子濃度は、紫外線吸収性ポリマーに組み込まれたチオール系連鎖移動剤残基もしくは、精製で除去できなかったチオール系連鎖移動剤に由来する。
Figure 2022016333000023
なお、表1中の用語は以下の通りである。
一般式(1)で示す単量体単位
ベンゾトリアゾール骨格:2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチ
ル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール
トリアジン骨格:化合物(a1-4-1)
ベンゾフェノン骨格:4-アクリロイルオキシベンゾフェノン
(実施例1)
〔成形用樹脂組成物(マスターバッチ)の製造〕
熱可塑性樹脂として、ポリエチレン(サンテックLD M2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)100部、及び紫外線吸収性ポリマー(B-1)20部を別々の供給口から供給して二軸押出機(日本製鋼所製)を用いて180℃で溶融混練した後、冷却し、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチを製造した。
[フィルム成形]
希釈樹脂として前記ポリエチレン(サンテックLD M2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)100部に対して、製造した前記マスターバッチ10部を混合した。次いで、T-ダイ成形機(東洋精機社製)を用いて、温度180℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルムを成形した。
(実施例2~22、27、28、比較例1)
実施例1で使用した材料を表2に示す材料及び配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして、マスターバッチ、フィルムを製造した。
(実施例23~26)
実施例1で使用した材料を表2に示す材料及び配合量に変更し、さらに成型温度を270℃に変更し、実施例1と同様にして、マスターバッチ、フィルムを製造した。
本実施例で使用した熱可塑性樹脂、可塑剤を以下に示す。
(A-1):ポリエチレン(サンテックLD M2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)
(A-2):ポリエチレン(ノバテックUJ790、MFR=50g/10min、日本ポリエチレン社製)
(A-3):ポリプロピレン(ノバテックPP FA3EB、MFR=10.5g/10min、日本ポリプロ社製)
(A-4):ポリプロピレン(プライムポリプロJ226T、MFR=20g/10min、プライムポリマー社製)
(A-5):ポリカーボネート(ユーピロンS3000、MFR=15g/10min、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
(A-6):ポリメタクリル樹脂(アクリペットMF、MFR=14g/10min、三菱レイヨン社製)
(A-7):ポリエステル(三井ペットSA135、三井化学社製)
(A-8):シクロオレフィン樹脂(TOPAS5013L-10、三井化学社製)
(A-9):ポリ塩化ビニル(SCB200JA、サン・アロー化成工業社製)
(A-10):ポリ塩化ビニリデン(サランテックスL574A、旭化成ケミカルズ社製)
可塑剤:エポキシ化大豆油(アデカサイザーO-130P、ADEKA社製)
上記実施例並びに比較例で得られたフィルムに関して、下記項目を評価した。
[精製工程作業性]
紫外線吸収性ポリマーの精製工程において、濾過性及び乾燥性に関して、生産性を評価
した。
良好:濾過工程、乾燥工程に特に問題はない。
不良:濾過工程、乾燥工程のいずれかで作業性低下が見られる。
[紫外線吸収性]
成形したフィルムの透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定した。透過率は白色標準板に対する分光透過率を測定した。以下の条件を満たすか否かを評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:波長290~360nmの光透過率が全領域にわたって2%未満。良好。
○:波長290~360nmの範囲で一部光透過率が2%以上の領域がある。実用域。
×:波長290~360nmの光透過率が全領域にわたって2%以上。実用不可。
[耐光性試験]
成形したフィルムをキセノンウェザーメーターで、波長300~400nmの光が60W/mの照度になる条件で1500時間暴露した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:黄変が全く認められない。良好。
○:黄変がわずかに認められる。実用域。
×:明らかに黄変が認められる。実用不可。
[透明性]
成形したフィルムの透過性を目視評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:濁りが全く認められない。優れている。
○:濁りがほとんど認められない。良好。
△:濁りが若干認められる。実用域。
×:明らかに濁りが認められる。実用不可。
[臭気評価]
成形したフィルムを、10cm角に切り取り、アルミ蒸着袋に入れて密閉し、40℃で24時間静置した。その後、5人のモニターにより臭気を確認した。
◎:臭気がほとんど認められない(モニター全員が臭気を感じない)。良好。
○:臭気がわずかに認められる。(モニター1~3人が臭気を感じる)。実用域。
×:明らかに臭気が認められる(モニター4人以上が臭気を感じる)。実用不可。
Figure 2022016333000024
表2の通り、カルボキシル基、水酸基およびエステル結合のうち1種以上の部位を有するチオール系連鎖移動剤を用いた紫外線吸収性ポリマーを含む成形用樹脂組成物は、安価
で効率良く精製でき、臭気が少なく、熱可塑性樹脂、特にポリオレフィンとの相溶性が良好で、透明性が良好な成形体を形成できる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂、および紫外線吸収性ポリマーを含む、成形用樹脂組成物であって、
    前記紫外線吸収性ポリマーは、下記一般式(1)で示す単量体単位、下記一般式(2)で示す単量体単位、およびチオール系連鎖移動剤残基を有するポリマーであり、
    前記チオール系連鎖移動剤残基を形成するチオール系連鎖移動剤は、チオール基、ならびにカルボキシル基、水酸基およびエステル結合からなる群より選択される1種以上の部位を有する、成形用樹脂組成物。
    Figure 2022016333000025


    (一般式(1)中、R11は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Uは、紫外線を吸収する骨格を有する炭化水素基でありヘテロ原子を含んでもよい、
    一般式(2)中、R21は、水素原子及びメチル基からなる群より選択されるいずれかを表し、Zは、炭素数10以上の鎖状炭化水素基、および環状炭化水素基からなる群より選択されるいずれかを表す。)
  2. 前記紫外線吸収性ポリマーの全単量体単位100質量部に対して、前記チオール系連鎖移動剤に由来する硫黄原子を0.001~0.3質量部含有する、請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  3. 前記紫外線吸収性ポリマーの全単量体単位100質量%中、一般式(2)で示す単量体単位を30~85質量%含有する、請求項1または2記載の成形用樹脂組成物。
  4. 前記紫外線吸収性ポリマーの重量平均分子量は、3,000~150,000である、請求項1~3いずれか1項に記載の成形用樹脂組成物。
  5. 請求項1~4いずれか1項に記載の成形用樹脂組成物を成形してなる、成形体。
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