JP2019182968A - 成形用樹脂組成物および成形体 - Google Patents

成形用樹脂組成物および成形体 Download PDF

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三上 譲司
Joshi Mikami
譲司 三上
基貴 田中
Motoki Tanaka
基貴 田中
秋生 日水
Akio Himizu
秋生 日水
正也 佐々木
Masaya Sasaki
正也 佐々木
啓介 増子
Keisuke Masuko
啓介 増子
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Abstract

【課題】本発明は、短波長側の可視光を大きく遮断しつつ、前記波長の長波長側の可視光を透過できるため内容物を視認できる成形体を作製可能な成形用樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】ポリオレフィン(A)、着色剤(B)、および紫外線吸収剤(C)を含み、前記着色剤(B)が、モノアゾ色素である成形用樹脂組成物。なお、前記着色剤(B)は、顔料、またはイオン性樹脂とイオン性染料との反応物の造塩化合物であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、着色成形品等を作製できる成形用樹脂組成物に関する。
従来から樹脂成形体(以下、成形体という)は、医薬用薬剤や化粧品等の包装材料として使用されていた。しかし、樹脂は紫外線を透過するため、内容物が、紫外線で劣化する場合があった。
そのため、特許文献1では、紫外線吸収剤を使用した組成物が開示されている。
特開2014−24570号公報
しかし、内容物の種類によっては、紫外線に近い短波長側の可視光で劣化する一方、従来の成形体では、短波長側の可視光を遮断できなかった。これに対して、成形体にアルミ蒸着層等のバリア層を設けると短波長側の可視光を遮断できるが、全ての光を遮断するため、内容物の減り具合を視認することができない問題があった。
本発明は、紫外線および短波長側の可視光を大きく遮断しつつ、前記波長の長波長側の可視光を透過できるため内容物を視認できる成形体を作製可能な成形用樹脂組成物の提供を目的とする。
本発明の成形用樹脂組成物は、ポリオレフィン(A)、着色剤(B)、および紫外線吸収剤(C)を含み、
前記着色剤(B)が、モノアゾ色素である。
上記の本発明によれば、紫外線および短波長側の可視光を大きく遮断しつつ、前記波長の長波長側の可視光を透過できるため内容物を視認できる成形体を作製できる成形用樹脂組成物を提供できる。
本明細書の成形用樹脂組成物(以下、組成物という)は、ポリオレフィン(A)、着色剤(B)、および紫外線吸収剤(C)を含み、
前記着色剤(B)が、モノアゾ色素である。
組成物から成形する成形体は、紫外線吸収剤(C)により波長250〜400nmの光透過率を2%以下に抑制しつつ、モノアゾ色素により波長400〜430nmの光透過率が15%以下、および波長480nmの光透過率が50%以上の光特性を有している。これにより前記成形体を包装材料として使用すると、内容物の充填量やその減り具合を外部から視認しつつ、紫外線領域や短波長側の可視光(波長400〜430nm)で劣化しやすい内容物の劣化を抑制できる。
<ポリオレフィン(A)>
ポリオレフィン(A)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、およびポリ−4−メチルペンテン、ならびにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、結晶性または非晶性ポリプロピレンが挙げられる。
これらを用いた共重合体は、例えば、エチレン−プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α−オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体およびエチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
これらの中でも結晶性または非晶性ポリプロピレン、エチレン−プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体が好ましく、プロピレン−エチレンブロック共重合体がより好ましい。また安価で、比重が小さいために成形品を軽量化できる観点からはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン(A)のメルトフローレイト(MFR)は1〜100(g/10分)が好ましい。なお、MFRはJISK−7210に準拠して求めた数値である。
<着色剤(B)>
着色剤(B)は、モノアゾ色素である。このモノアゾ色素を含む成形体は、短波長側の可視光透過を抑制しつつ、その長波長側に光を適度に透過できるため内容物の減り具合を容易に確認できる。
モノアゾ色素は、顔料、染料が挙げられる。なお、溶剤に溶解すると染料、溶剤に不要であれば顔料という。
モノアゾ色素は、短波長側の可視光を大きく遮断しつつ、前記波長の長波長側の可視光を透過できる光特性が得られれば良く、その構造は限定されないところ、下記一般式(1)で示す化合物、下記一般式(2)で示す化合物が好ましい。
一般式(1)
[一般式(1)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン、ニトロ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基等の置換基を表す。]
一般式(2)

[一般式(2)中、Rは、水素原子、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン、ニトロ基、アルキル基、アリール基、アルコキシル基等の置換基を表す。]
着色剤(B)が顔料である場合、水や溶媒に不溶で結晶性を持つ。その場合、成形体中でマイグレーションは、生じ難い。
着色剤(B)が染料である場合、成形体中でマイグレーションする場合がある。この場合、内容物を汚染する恐れがあるため、染料と樹脂との反応物を使用してマイグレーションを抑制できる。前記反応物は、イオン性樹脂とイオン性染料との反応物の造塩化合物が好ましい。イオン性の染料をイオン性の樹脂と造塩させることで、マイグレーションが抑制される。その場合、得られた造塩化合物は、イオン性染料が有する光学特性をそのまま有する。なお、イオン性染料は、例えば、アニオン性染料、カチオン性染料が挙げられる。
(イオン性樹脂)
イオン性樹脂は、塩を形成できるイオン性基を有する樹脂である。樹脂のイオン性基と染料のイオン性基を反応させる造塩化合物は、染料のマイグレーションを抑制できる。
造塩化合物は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂とアニオン性染料との反応物、または側鎖にアニオン性基を有する樹脂とカチオン性染料との反応物が好ましい。
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂)
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、側鎖に少なくとも1つのオニウム塩基を有する樹脂が好ましい。オニウム塩は、例えば、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中でも保存安定性(熱安定性)の面で、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の樹脂ユニットは、アクリル系樹脂が好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(11)で示す単位を含むことが好ましい。
(一般式(11)中、R11は、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R12〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R12〜R14のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、―CONH−R15−、―COO−R15−を表し、R15はアルキレン基を表す。Y-は無機または有機のアニオンを表す。)
一般式(11)中、R11は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R11におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。
11で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
11としては、水素原子、メチル基が特に好ましい。
一般式(11)中、R12〜R14としては、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
12〜R14におけるアルキル基は、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)、架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。アルキル基は、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
12〜R14におけるアルケニル基は、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が挙げられる。アルケニル基は、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜8のアルケニル基がより好ましい。
12〜R14におけるアリール基は、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9−オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9−オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
12〜R14で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基は、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。置換基は、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が好ましい。
12〜R14としては、安定性の観点から置換されていてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。
また、R12〜R14は、2つの部位が互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(11)中、C−C主鎖部位とアンモニウム塩基を連結するQ部位は、アルキレン基、アリーレン基、−CONH−R15−、−COO−R15−を表し、R15はアルキレン基を表すが、中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R15−、−COO−R15−が好ましい。また、R15は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(11)中、Y-ユニットは、無機または有機のアニオンが好ましい。
前記アニオンは、例えば、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオン;ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン;ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン等の錯体イオンが挙げられる。これらに中でも反応性や安定性の面でハロゲンイオン、カルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましい。なお、アニオンがカルボン酸イオン等の有機アニオンの場合、樹脂中の有機アニオンが共有結合し、分子内塩を形成していてもよい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の合成は、例えば、アンモニウム塩基を有するモノマーを単量体成分として共重合する方法、アミノ基を有するモノマーを単量体成分として共重合したアミノ基を有する樹脂に対して、オニウム塩化剤を反応させて、アンモニウム塩を形成する方法が挙げられる。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の合成に使用するモノマーの具体例を説明する。なお、モノマーは、エチレン性不飽和基含有単量体である。「(メタ)アクリル」は、「アクリル、メタクリル」を含む。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル、メタクリロイル」を含む。
4級アンモニウム塩基を有するモノマーは、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーは、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、N−ビニルピロリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族モノマーが挙げられる。
オニウム塩化剤は、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、またはジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、またはベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、またはオクチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、またはオクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド、あるいは、ベンジルクロライド、またはベンジルブロマイド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとオニウム塩化剤との反応は、通常はアミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するモノマー溶液に滴下するで行う。アンモニウム塩形成反応時の温度は、90℃程度以下であり、特にビニルモノマーをアンモニウム塩化する場合には30℃程度以下が好ましい。反応時間は1〜4時間程度である。
他のオニウム塩化剤として、アルコキシカルボニルアルキルハライドが挙げられる。アルコキシカルボニルアルキルハライドは下記一般式(12)で示す化合物である。
Z−R16−COOR17 一般式(12)
(一般式(12)中、Zは、塩素、または臭素等のハロゲン、好ましくは臭素であり、R16は、炭素数1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアルキレン基であり、R17は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。)
アミノ基を有するモノマーとアルコキシカルボニルアルキルハライドとの反応は、アミノ基に対して等モル以下のアルコキシカルボニルアルキルハライドを上記オニウム塩化剤同様に反応させた後、−COOR17を加水分解してカルボキシレートイオン(−COO-)に変換することにより得られる。これにより、一般式(12)で示すカルボキシベタイン構造を有しアンモニウム塩基を有するモノマーを合成できる。
一般式(11)で示す構造単位以外で使用できるその他モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルアルコールのエステル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、酸性基含有モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
クロトン酸エステルは、例えば、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステルは、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステルは、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステルは、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステルは、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
(メタ)アクリルアミドは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエーテルは、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。スチレンの例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
酸性基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の合成は、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、及びリビングラジカル重合等が挙げられる。これらの中でもフリーラジカル重合、リビングラジカル重合が好ましい。
フリーラジカル重合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、過酸化物が好ましい。アゾ系化合物は、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。反応温度は、40〜150℃が好ましく、50〜110℃がより好ましい。反応時間は、3〜30時間が好ましく、5〜20時間がより好ましい。
リビングラジカル重合は、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、更には、重合の成長が均一に起こる為、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成できる。
リビングラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法は、広範囲の単量体に適応できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1〜8等に記載された方法で行うことができる。
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329;
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules 1995,28,7901,Science,1996,272,866
(参考文献5)国際公開第96/030421号
(参考文献6)国際公開第97/018247号
(参考文献7)特開平9−208616号公報
(参考文献8)特開平8−41117号公報
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の合成には、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
一般式(11)で示す単位の好ましい含有量は、樹脂の主鎖を形成に使用するモノマーの合計100質量%中、4〜74質量%が好ましく、8〜48質量%がより好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜15,000がより好ましい。
(アニオン性染料)
アニオン性染料は、一般式(1)で示す化合物、または一般式(2)で示す化合物でスルホ基またはカルボキシル基を有する化合物が好ましい。これらの化合物は、置換基としてスルホ基が好ましい。
(造塩化合物の合成)
造塩化合物は、例えば、側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、アニオン性染料とを溶解させた水溶液を攪拌等する方法、または、側鎖にカチオン性基を有する樹脂の水溶液とアニオン性染料の水溶液とを攪拌等する方法で合成できる。
前記水溶液中で、樹脂のカチオン性基と染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。そのため、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は、除去することが好ましい。
塩形成時に使用する水溶液として、側鎖にカチオン性基を有する樹脂、およびアニオン性染料を溶解させるため、水と水溶性有機溶剤との混合溶液を使用してもよい。水溶性有機溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセトン、ジアセトンアルコール、アニリン、ピリジン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、2−ピロリドン、2−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ヘキサンジオール、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペンタノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、水溶液の全質量を基準(100質量%)として、5〜50質量%用いることが好ましく、5〜20質量%用いることが最も好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂と、アニオン性染料との比率は、樹脂の全カチオンユニットとアニオン性染料の全アニオン性基とのモル比が10/1〜1/4の範囲であれば
本発明の造塩化合物を好適に調整でき、2/1〜1/2の範囲であればより好ましい。
(側鎖にアニオン性基を有する樹脂)
側鎖にアニオン性基を有する樹脂は、下記一般式(21)で示す単位を含む樹脂が好ましい。
(一般式(21)中、R25は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Uは、アルキレン基、アリーレン基、−CONH−R22−、−COO−R22−を表し、R22は、アルキレン基を表す。Pは、―SO 又は−COOを表す。Zは無機または有機のカチオンを表す。)
一般式(2)中、R25は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R25におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。
25で表されるアルキル基が置換基を有する場合、置換基は、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
上記の中でも、R25は、水素原子、メチル基が好ましい。
一般式(21)中、アクリル部位とPを連結するUの成分はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R22−、−COO−R22−を表し、R22はアルキレン基を表す。これらの中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R22−、−COO−R22−が好ましい。また、R25は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(21)中におけるZの成分は、無機または有機のカチオンを表す。Yとして具体的には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム化合物等が挙げられる。アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属は、例えば、カルシウム、マグネシウムが挙げられる。また、アンモニウム化合物は、NH または、その水素原子を炭化水素基などで置換した化合物である。
一般式(21)で示す単位を含む樹脂は、例えば、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するモノマーを共重合する方法が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマー(酸無水物基含有モノマーも含む)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するモノマーは、下記一般式(IV)で示すモノマー、およびその水溶性塩が好ましい。水溶性塩は、アルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩、ナトリウム塩、およびアンモニウム塩がより好ましい。
26(R27)C=C(R28)−X−SOH 一般式(IV)
[式中、R26、R27およびR28は、互いに独立して、水素原子、C原子1〜12個を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜12のモノ不飽和またはポリ不飽和のアルケニル基(その際、後者の2個の基は非置換であるか、または1個以上の基−NH2、−OHまたは−COOHによって置換されている)、−COOHまたは−COOR29であり、またR26はXSOHであり;R29は、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖の炭素数2〜12の炭化水素であり;Xは、単結合、n=1〜4である−(CH)n−、フェニレン、好ましくは1,4−フェニレン、−CH−O−(好ましくは1,4)フェニレン、−CH−O−CH−CH(OH)−CH−、k=1〜6である−COO−(CH)k−、−CO−NH−、m=0〜3である−CO−NH−CR’R’’−(CH)mまたは−CO−NH−CH−CH(OH)−CH−であり;R’は、−H、−CHまたは−CでありかつR’’は、−Hまたは−CHである。なお、mは整数である。]
スルホン酸基含有モノマーは、例えば、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸(2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、およびスルホメチルメタクリルアミド、ならびにこれらの塩、ならびにこれらのエステルが挙げられる。これらに中でも2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびスチレンスルホン酸が好ましい。
また、スルホン酸基を有するモノマーは、塩を形成したスルホン酸基含有モノマーが好ましい。前記塩は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
側鎖にアニオン性基を有する樹脂の合成に使用できるカルボキシル基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマー以外のモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルアルコールのエステル、スチレン、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。これらは既に例示したモノマーを使用できる。
本明細書では、さらに酸基を有するモノマーを用いてもよい。
酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
一般式(21)で示す単位を含む樹脂は、一般式(11)で示す単位を含む樹脂と同様の方法で合成できる。
側鎖にアニオン性基を有する樹脂は、共重合に使用するモノマー中、カルボキシル基を有するモノマー、スルホン酸基を有するモノマーを合計5〜35質量%使用することが好ましく、10〜30質量%がより好ましい。5〜35質量%使用すると造塩反応が起こりやすく、耐熱性がより向上する。
側鎖にアニオン性基を有する樹脂の重量平均分子量は、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜15,000がより好ましい。
(カチオン性染料)
カチオン性染料は、カチオン性官能基を有し、側鎖にアニオン性基を有する樹脂との間で造塩化合物を生成すれば良く限定されない。成形物の光透過性がより向上する面で、C.I.ベーシック イエロー57が好ましい。
(造塩化合物の合成)
造塩化合物は、側鎖にアニオン性基を有する樹脂と、カチオン性染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいは側鎖にアニオン性基を有する樹脂の水溶液とカチオン性染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させることにより、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアニオン性基と染料のカチオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対カチオンと塩基性染料の対アニオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は、水洗等により除去することが好ましい。
塩形成時に使用する水溶液は、既に説明した水溶性有機溶剤を使用できる。
側鎖にアニオン性基を有する樹脂と、カチオン性染料との比率は、樹脂の全アニオンユニット(A)とカチオン性染料の全カチオン性基(K)とのモル比(A)/(K)=10/1〜1/4が好ましく、2/1〜1/2がより好ましい。
造塩化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
着色剤(B)の含有量は、ポリオレフィン(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.03〜3質量部がより好ましい。
<紫外線吸収剤(C)>
本明細書の組成物は、紫外線吸収剤(C)を含有する。紫外線吸収剤を使用することで、成形体の波長250〜400nmでの透過率を2%以下に抑制できる。紫外線吸収剤(C)は、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系などが挙げられる。
紫外線吸収剤(C)は、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリ−4−(2−アクリロキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル 、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2,2−ビス{[2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイルオキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル−ビス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート)などが挙げられる。
また、紫外線吸収剤は、上述の着色剤(B)と同様の方法でイオン性の紫外線吸収剤をイオン性の樹脂と造塩させて、造塩化合物として用いることもできる。イオン性樹脂との造塩化合物にすると紫外線吸収剤のマイグレーションを抑制できる。なお、造塩方法は、着色剤(B)と同様に行うことができる。
紫外線吸収剤(C)の含有量は、ポリオレフィン(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましい。
本明細書の組成物は、ワックスを含有することができる。
ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。ワックスの融点は、50〜180℃が好ましく、80〜170℃がより好ましい。なお、ワックスの融点は、示差走査熱量計を用いて窒素雰囲気下で測定する。なお、ポリオレフィン(A)は、融点を有さず、軟化点を有する化合物である。
ワックスの数平均分子量は、500〜25000が好ましく、1000〜15000がより好ましい。なお、数平均分子量はJIS K2207:1996(日本工業規格)に準拠して測定した数値である。
ワックスの含有量は、ポリオレフィン(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
本明細書の組成物は、例えば、着色剤(B)および紫外線吸収剤(C)を高濃度で配合したマスターバッチとして製造することが好ましい。マスターバッチは、例えば、着色剤(B)、紫外線吸収剤(C)、ポリオレフィン(A)を溶融混練し、ペレタイザーを使用してペレット状に製造できる。なお、着色剤(B)や紫外線吸収剤(C)の凝集を防ぐため、予め、着色剤(B)とワックスを溶融混練した分散体を作製した後、ポリオレフィン(A)と共に、溶融混錬してマスターバッチを作製することが好ましい。ここで、分散体の作製は、ブレンドミキサーや3本ロールミルを用いることが好ましい。
着色剤(B)や紫外線吸収剤(C)は、成形体が含む相当量を成形時に配合するよりも、一旦、マスターバッチとして着色成形用樹脂組成物に予備分散した後に、希釈樹脂の熱可塑性樹脂と配合(溶融混錬)して所望の成形体を製造すると、着色剤(B)や紫外線吸収剤(C)を成形体内に均一に分散しやすくなる。
組成物をマスターバッチとして作製する場合、ポリオレフィン(A)100質量部に対して、着色剤(B)や紫外線吸収剤(C)をそれぞれ1〜30質量部配合することが好ましい。マスターバッチ(X)と希釈用樹脂(Y)との質量比は、X/Y=1/5〜1/100が好ましい。この範囲にすると成形品は、良好な光特性が得やすい。
希釈用樹脂は、ポリオレフィンに限定されず、ポリオレフィン(A)と相溶性の良い熱可塑性樹脂を適宜選択して使用できる。
溶融混練は、例えば単軸混練押出機、二軸混練押出機、タンデム式二軸混練押出機等を用が好ましい。溶融混錬温度は、ポリオレフィン(A)の種類により異なるが、通常150〜250℃程度である。
本明細書の組成物は、ポリオレフィン(A)、着色剤(B)および紫外線吸収剤(C)以外に酸化防止剤、光安定剤、分散剤等を含むことができる。
本明細書の成形体は、組成物を成形して作製する。
成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形などが挙げられる。押出成形は、例えばコンプレッション成形、パイプ押出成形、ラミネート成形、Tダイ成形、インフレーション成形、溶融紡糸等が挙げられる。
成形温度は、希釈樹脂の軟化点によるところ、通常160〜240℃である。
本明細書の成形体は、通常の押出成形よりも成形速度が速い高速押出成形(成形機スクリュー回転数:150rpm程度)や、無剪断領域が長いコンプレッション成形で製造する場合にも色ムラ・色わかれが生じにくい。特に射出成形の約10倍の成形速度である高速コンプレッション成形(生産速度500個/分以上、場合によっては700〜900個/分)においても成形品に色ムラ・色わかれが生じにくい優れた効果が得られる。
本明細書の成形体の製造方法の1例としてコンプレッション成形の説明をする。まず、本発明の着色成形用樹脂組成物を溶融混合し、圧縮成型機に投入し、当該圧縮成型機内で剪断力を加えず、圧縮による押し出す力を加えることで成型品を得る工程を含む、成型品の製造方法である。ここで剪断力を加えず、圧縮による押し出す力を加えることは、着色成形用樹脂組成物には混合する力が加わっていない状態、すなわち無剪断領域に着色成形用樹脂組成物が存在している。この成型品は、例えばPETボトルのフラスチックキャップ等が好ましい。なお本発明で成型品は型に樹脂を投入し物品を得るものである。また成形品は、プラスチックフィルムなど型を使用せずに得た物品と成型品を含むものである。
本明細書の成形品は、例えば、医療用薬剤、化粧品、食品用容器および包装材、雑貨、繊維製品、医薬品用容器、各種産業用被覆材、自動車用部品、家電製品、住宅等の建材、トイレタリー用品などの用途で幅広く使用できる。
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、「質量部」は、「部」、「質量%」は「%」と記載する。
実施例で使用したポリオレフィンを以下に示す。
(A−1)ポリエチレン(サンテックLD M2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)
(A−2)ポリエチレン(ノバテックUJ790、MFR=50g/10min、日本ポリエチレン社製)
(A−3)ポリプロピレン(ノバテックPP FA3EB、MFR=10.5g/10min、日本ポリプロ社製)
(A−4)ポリプロピレン(プライムポリプロJ226T、MFR=20g/10min、プライムポリマー社製)
また実施例で使用したワックスを以下に示す。
(D−1)ポリエチレンワックス(サンワックス131−P 平均分子量3500、融点105℃、三洋化成工業社製)
(D−2)ポリエチレンワックス(ハイワックス405MP 平均分子量4500、融点120℃、三井化学社製)
(D−3)ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP056 数平均分子量7200、融点130℃、三井化学社製)
[着色剤(B)の製造例]
<顔料の調整>
(顔料(BP−1))
以下の顔料を公知の方法で合成し、顔料(BP−1)とした。
(BP−1)

下記の手順で、イオン性樹脂とイオン性染料とを反応させて、造塩化合物である着色剤(B)を作製した。
<側鎖にカチオン性基を有する樹脂(X1)の製造例>
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール100.0部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート45.0部、イソステアリルアクリレート45.0部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩10.0部、2.2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)を10.0部、およびイソプロピルアルコール40.0部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上である事を確認し、50℃へ冷却した。このようにして不揮発分が40質量%の側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は27mgKOH/gであった。
<側鎖にアニオン性基を有する樹脂(Y1)の製造例>
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10.0部、メチルメタクリレート45.0部、イソステアリルアクリレート45.0部、2.2’−アゾビス(イソ酪酸メチル)を10.0部、およびイソプロピルアルコール40.0部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上である事を確認し、50℃へ冷却した。このようにして不揮発分が40質量%の側鎖にアニオン性基を有する樹脂Y1を得た。
<染料1の製造例>
公知の方法で、以下の構造を有する染料1を合成した。
(染料1)

<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(BD−1))
下記の手順でスルホン酸基を有するアニオン性染料であるC.I.ダイレクトイエロー8と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1とからなる造塩化合物(BD−1)を製造した。
撹拌容器に水2000部、N−メチルピロリドン1000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1を添加し、十分に攪拌混合を行った。別途、N−メチルピロリドン50部に5.1部のC.I.ダイレクトイエロー8を溶解させ、それに100部の水を加えた水溶液を調製した。次いで前記水溶液を、前記樹脂X1溶液に30分間で均一滴下した。滴下後、十分に攪拌し造塩反応を行った。反応の終点は、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、22部のC.I.ダイレクトイエロー8と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1との造塩化合物(BD−1)を得た。
(造塩化合物(BD−2))
下記の手順で染料1と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1とからなる造塩化合物(BD−2)を製造した。
撹拌容器に水2000部、N−メチルピロリドン1000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1を添加し、十分に攪拌混合を行った。別途、N−メチルピロリドン50部に3.4部の染料1を溶解させ、それに100部の水を加えた水溶液を調製した。次いで前記水溶液を、前記樹脂X1溶液に30分間で均一滴下した。滴下後、十分に攪拌し造塩反応を行った。反応の終点は、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、20部の染料1と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1との造塩化合物(BD−2)を得た。
(造塩化合物(BD−3))
下記の手順でカチオン性染料であるC.I.ベーシックイエロー57と側鎖にアニオン性基を有する樹脂Y1とからなる造塩化合物(BD−3)を製造した。
撹拌容器に水2000部、N−メチルピロリドン1000部に50部の側鎖にアニオン性基を有する樹脂Y1を添加し、十分に攪拌混合を行った。別途、N−メチルピロリドン50部に3.9部のC.I.ベーシックイエロー57を溶解させ、それに100部の水を加えた水溶液を調製した。次いで前記水溶液を、前記樹脂Y1溶液に30分間で均一滴下した。滴下後、十分に攪拌し造塩反応を行った。反応の終点は、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、20部のC.I.ベーシックイエロー57と側鎖にアニオン性基を有する樹脂Y1との造塩化合物(BD−3)を得た。
[紫外線吸収剤(C)の製造例]
(紫外線吸収剤造塩化合物(CD−1))
下記の手順で、以下の構造を有する紫外線吸収剤1と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1とからなる紫外線吸収剤造塩化合物(CD−1)を製造した。
(紫外線吸収剤1)
撹拌容器に水2000部、N−メチルピロリドン1000部に50部の側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1を添加し、十分に攪拌混合を行った。別途、N−メチルピロリドン50部に3.1部の紫外線吸収剤1を溶解させ、それに100部の水を加えた水溶液を調製した。次いで前記水溶液を、前記樹脂X1溶液に30分間で均一滴下した。滴下後、十分に攪拌し造塩反応を行った。反応の終点は、濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、20部の紫外線吸収剤1と側鎖にカチオン性基を有する樹脂X1との紫外線吸収剤の造塩化合物(CD−1)を得た。
(実施例1)
〔マスターバッチの製造〕
ワックス(D‐1)100質量部、着色剤(B)として造塩化合物(BD−1)50質量部、及び紫外線吸収剤(C)として紫外線吸収剤の造塩化合物(CD−1)50質量部を混合し、3本ロールミルを使用して160℃で混練を行い造塩化合物(BD−1)及び造塩化合物(CD−1)の分散体を得た。次いで、ポリオレフィン(A−1)100質量部と共に得られた上記分散体10質量部をヘンシェルミキサーで混合した。次いで、スクリュー径30mmの単軸押出機にて180℃で溶融混練した後、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングしてマスターバッチを得た。
[フィルム成形]
希釈樹脂としてポリオレフィン(A−1)100質量部に対して、得られたマスターバッチ10質量部を混合した。次いで、T−ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度180℃で溶融混合し成形を行い厚さ250μmのフィルムを得た。
[ボトルの成形]
希釈樹脂としてポリオレフィン(A−1)100質量部に対して、得られたマスターバッチ10質量部を混合し、温度180℃で溶融混練し、ブロー成形機を用いてボトルを成形した。
(実施例2〜15、比較例1〜3)
実施例1の材料を表1に示す材料および配合量に変更した以外は、実施例1と同様にして、マスターバッチを製造し、次いで実施例2〜15、比較例1〜5のフィルム及びボトルをそれぞれ製造した。
表中の材料は以下の通りである。
(着色剤(B))
染料1
ピグメントイエロー185(ランクセス社製)
(紫外線吸収剤)
TINUVIN460(BASF社製)
[フィルムの光透過率評価]
得られたフィルムの光透過率を紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定した。透過率は白色標準板に対しての分光透過率を測定した。
以下の条件を満たすか否かを評価した。なお、以下、3つの光学特性を満たすと紫外線および短波長側の可視光を大きく遮断しつつ、前記波長の長波長側の可視光を透過できる。
・波長480nmの光透過率が50%以上
・波長250〜400nmの光透過率が2%以下
・波長400〜430nmの光透過率が15%以下
[ボトル内容物の目視評価]
得られたボトルに、市販のうがい液を八分目まで満たして、密栓した。次いで、ボトルの内容物量が視認できるか否かを評価した。
○:ボトルの外から、内容物が問題なく確認できる。
×:ボトルの外から、内容物が確認しにくい。
[ボトル内容物の劣化評価]
上記[ボトル内容物の目視評価]で作製したボトルに対して、蛍光灯を240時間照射を行った。その後、うがい液の変色の有無を分光光度計UV−2600(島津製作所製)を使用してΔEを測定した。測定結果は下記評価した。
○:ΔEが1.5未満 良好
×:ΔEが1.5以上5以下 実用不可
××:ΔEが5を超える 実用不可
[マイグレーション評価]
得られたフィルムを酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートへの色移りを目視で観察し、下記4基準で評価した。
○:マイグレーションがない。良好
△:マイグレーションがわずかに確認された。実用域
×:マイグレーションが多い。実用不可


Claims (5)

  1. ポリオレフィン(A)、着色剤(B)、および紫外線吸収剤(C)を含み、前記着色剤(B)が、モノアゾ色素である成形用樹脂組成物。
  2. 前記着色剤(B)が顔料である、請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  3. 前記着色剤(B)が、イオン性樹脂とイオン性染料との反応物の造塩化合物である、請求項1記載の成形用樹脂組成物。
  4. 前記造塩化合物が側鎖にカチオン性基を有する樹脂とアニオン性染料との反応物、または側鎖にアニオン性基を有する樹脂とカチオン性染料との反応物である、請求項1または3項に記載の成形用樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか1項の成形用樹脂組成物を含む、成形物。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115698156A (zh) * 2020-06-10 2023-02-03 罗姆化学有限责任公司 将热塑性聚合物着色的方法

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