JP7192630B2 - 紫外線吸収材料および樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、紫外線吸収材料および樹脂組成物に関する。
従来から、塗料、粘着剤、樹脂成形体(以下、成形体という)は、紫外線による劣化を防止するため紫外線吸収剤が配合されていた。しかし、紫外線吸収剤は、マイグレーションにより被膜内の凝集、表面への析出、または内容物への移行が起こる場合が多かった。
上記の塗料を塗布したフィルムや、上記の粘着剤を積層したフィルム、また上記の成形体は、洗剤、飲料、医薬用薬剤、化粧品等の包装材料として使用されていた。特に飲料、医薬用薬剤、化粧品等の用途は、内容物を視認しつつ、その紫外線劣化を防止する必要があったが、紫外線吸収剤がマイグレーションすると内容物の品質に影響を与えていた。
紫外線吸収化合物のマイグレーションを抑制する方法として、特許文献1および2には、エチレン性不飽和結合を有するベンゾトリアゾール系化合物を重合した重合体を使用した樹脂組成物が開示されている。
特開2001-72722号公報 特開2001-114842号公報
しかし、従来の樹脂組成物は、可視光に近い360nm付近の紫外線を遮断できるものの、可視光に含まれるより長波長領域の光を遮断できなかった。そのため、例えば、410nm付近の光で劣化する医薬品を包装する成形体は、視認性、または医薬品のセルフライフを同時に満たすことは難しかった。
本発明は、紫外線、および可視光の短波長領域を遮断しつつ、紫外線吸収剤のマイグレーションを抑制する紫外線吸収材料の提供を目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で示すアニオン性染料(A)と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)との反応造塩物である紫外線吸収材料に関する。
Figure 0007192630000001
(一般式(1)中、R~R10は、1個がヒドロキシ基であり、1~4個がXであり、その他は水素原子であり、X-は、SO 、またはCOOを表し、Yは、無機または有機のカチオンを表す。)
また、本発明は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)が、下記一般式(2)で示す単位を含むことを特徴とする上記紫外線吸収材料に関する。
Figure 0007192630000002
(一般式(2)中、R11は、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R12~R14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R12~R14のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、―CONH-R15-、―COO-R15-を表し、R15はアルキレン基を表す。Pは無機または有機のアニオンを表す。)
また、本発明は、アニオン性染料(A)に由来する構造部位が、造塩反応物全体の2~33質量%であること特徴とする上記紫外線吸収材料に関する。
また、本発明は、上記紫外線吸収材料、および熱可塑性樹脂を含む成形用樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記紫外線吸収材料を含む粘着剤用樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記紫外線吸収材料、重合性不飽和単量体、および光重合性開始剤を含む、光硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記樹脂組成物を含む、成形体に関する。
また、本発明は、上記樹脂組成物を含む、粘着シートに関する。
また、本発明は、上記樹脂組成物を含む、ハードコードに関する。
上記の本発明によれば、紫外線、および可視光の短波長領域を遮断しつつ、紫外線吸収剤のマイグレーションを抑制する紫外線吸収材料、樹脂組成物、および成形体、粘着剤、ハードコート剤を提供できる。
本明細書の用語を定義する。本明細書において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」等は、「アクリル又はメタクリル」、「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロイル又はメタクリロイル」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。不飽和単量体、モノマーおよび単量体は、エチレン性不飽和基含有化合物である。
本発明の紫外線吸収材料は、一般式(1)で示すアニオン性染料(A)と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)との反応造塩物である紫外線吸収材料である。
本発明の紫外線吸収材料は、例えば、塗料、成形体、粘着シート、ハードコート等の紫外線を遮断したい用途に制限なく使用できる。
Figure 0007192630000003
一般式(1)中、R~R10は、1個がヒドロキシ基であり、1~4個がXであり、その他は水素原子であり、X-は、SO 、またはCOOを表し、Yは、無機または有機のカチオンを表す。
<アニオン性染料(A)>
一般式(1)で示すアニオン性染料(A)として、例えば、以下の化学式が挙げられる。
Figure 0007192630000004
Figure 0007192630000005
<側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)>
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、側鎖に少なくとも1つのオニウム塩基を有する樹脂が好ましい。オニウム塩は、例えば、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩が挙げられる。これらの中でも保存安定性(熱安定性)の面で、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、アクリル系樹脂が好ましい。
また、側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(2)で示す単位を含むことが好ましい。
Figure 0007192630000006
(一般式(2)中、R11は、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R12~R14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R12~R14のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、―CONH-R15-、―COO-R15-を表し、R15はアルキレン基を表す。Y-は無機または有機のアニオンを表す。)
11におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましく、炭素数1~4のアルキル基がさらに好ましい。
11で表されるアルキル基が置換基を有する場合、当該置換基は、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
11は、水素原子、メチル基が特に好ましい。
一般式(2)中、R12~R14は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
12~R14におけるアルキル基は、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシルおよびn-オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、イソヘキシル、2-エチルヘキシルおよび1,1,3,3-テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル等)、架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチルおよびピナニル等)が挙げられる。アルキル基は、炭素数1~18のアルキル基が好ましく、炭素数1~8のアルキル基がより好ましい。
12~R14におけるアルケニル基は、例えば、直鎖または分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-1-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニルおよび2-メチル-2-プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2-シクロヘキセニルおよび3-シクロヘキセニル等)が挙げられる。アルケニル基は、炭素数2~18のアルケニル基が好ましく、炭素数2~8のアルケニル基がより好ましい。
12~R14におけるアリール基は、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニルおよびナフトキノリル等)および芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9-オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)および9-オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
12~R14で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基は、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。置換基は、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が好ましい。
12~R14としては、安定性の観点から置換されていてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。
また、R12~R14は、2つの部位が互いに結合して環を形成しても良い。
一般式(2)中、C-C主鎖部位とアンモニウム塩基を連結するQ部位は、アルキレン基、アリーレン基、-CONH-R15-、-COO-R15-を表し、R15はアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、重合性、入手性の理由から、-CONH-R15-、-COO-R15-が好ましい。また、R15は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
一般式(2)中、Pユニットは、無機または有機のアニオンが好ましい。
無機アニオンとしては、例えば、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイオンが挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン;ヘキサシアノ鉄(III)酸イオン等の錯体イオンが挙げられる。これらに中でも反応性や安定性の面でハロゲンイオン、カルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンがより好ましい。なお、アニオンがカルボン酸イオン等の有機アニオンの場合、樹脂中の有機アニオンが共有結合し、分子内塩を形成していてもよい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)に、カチオン性基を有させるためには、例えば、4級アンモニウム塩基を有するモノマーを単量体成分として共重合する方法、アミノ基を有するモノマーを単量体成分として共重合したアミノ基を有する樹脂に対して、オニウム塩化剤を反応させて、アンモニウム塩を形成する方法が挙げられる。
4級アンモニウム塩基を有するモノマーは、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーは、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリルアミドが挙げられ、
ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン、
ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、
N-ビニルピロリジン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族モノマーが挙げられる。
オニウム塩化剤は、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、またはジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p-トルエンスルホン酸メチル、またはベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、またはオクチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、またはオクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド、あるいは、ベンジルクロライド、またはベンジルブロマイド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーもしくは樹脂と、オニウム塩化剤との反応は、通常はアミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するモノマーもしくは樹脂溶液に滴下して行う。アンモニウム塩形成反応時の温度は、90℃程度以下であり、特にビニル基を有するモノマーをアンモニウム塩化する場合には30℃程度以下が好ましい。反応時間は1~4時間程度である。
他のオニウム塩化剤として、アルコキシカルボニルアルキルハライドが挙げられる。アルコキシカルボニルアルキルハライドは下記一般式(12)で示す化合物である。
Z-R16-COOR17 一般式(12)
(一般式(12)中、Zは、塩素、または臭素等のハロゲン、好ましくは臭素であり、R16は、炭素数1~6、好ましくは1~5、より好ましくは1~3のアルキレン基であり、R17は、炭素数1~6、好ましくは1~3のアルキル基である。)例えば、クロロ酢酸が挙げられる。
一般式(2)で示す単位は、R12~R14の少なくとも1つは、アニオン性基で置換された基であってもよい。このとき、側鎖にカチオン性基有する樹脂は、側鎖にカチオン性基とアニオン性基とを有する樹脂(ベタイン構造を有する樹脂)となる。側鎖にカチオン性基とアニオン性基とを有する樹脂を合成するために必要なモノマーは、アミノ基を有するモノマーと一般式(12)で示す化合物とを、例えば、アミノ基に対して等モル以下の一般式(12)で示す化合物を上記オニウム塩化剤同様に反応させた後、前記-COOR17を加水分解してカルボキシレートイオン(-COO)に変換することにより得られる。これにより、カルボキシベタイン構造を有しアンモニウム塩基を有するモノマーを合成できる。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂は、前記モノマー(4級アンモニウム塩基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、カルボキシベタイン構造を有しアンモニウム塩基を有するモノマー)を重合させてなるが、前記モノマー以外にその他のモノマーと共重合させてもよい。このとき使用できるその他モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、ビニルエステル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル、イタコン酸ジエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルアルコールのエステル、スチレン系化合物、(メタ)アクリロニトリル、酸性基含有モノマー、水酸基含有モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t-オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β-フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチル等が挙げられる。
クロトン酸エステルは、例えば、クロトン酸ブチル、およびクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステルは、例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、および安息香酸ビニル等が挙げられる。
マレイン酸ジエステルは、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、およびマレイン酸ジブチル等が挙げられる。
フマル酸ジエステルは、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、およびフマル酸ジブチル等が挙げられる。
イタコン酸ジエステルは、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、およびイタコン酸ジブチル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエーテルは、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、およびメトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
スチレン系化合物の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt-Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、およびα-メチルスチレン等が挙げられる。
酸性基含有モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロルアクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物;こはく酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル;ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレート等を挙げられる。
水酸基含有モノマーは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル-α-ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、2-(又は3-)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2-(又は3-又は4-)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテルが挙げられる。
また、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル-α-ヒドロキシアルキルアクリレート、N-(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明方法において、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(a2)として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1, 2-、1,4-、2,3-又は1,3-ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用 系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム 及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ-バレロラクト ン、ε-カプロラクトン、炭素原子数1~6のアルキル基で置換されたε-カプロラクト ン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
好ましくは、その他のモノマーのうち、下記一般式(3)で示す不飽和単量体、および下記一般式(4)で示す不飽和単量体のうち少なくとも一方が挙げられる。
Figure 0007192630000007
一般式(3)中、R16は、水素原子又はメチル基を表す。Zは、炭素数が10以上の炭化水素基を表す。
Figure 0007192630000008
一般式(4)中、R17は、水素原子又は炭素数1~8の炭水素基を表す。
一般式(3)で示す不飽和単量体は、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、イソステアリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
一般式(4)で示す不飽和単量体は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、4-エチルスチレン、4-n-ブチルスチレン、4-tertブチルスチレン、4-n-オクチルスチレン等が挙げられる。
後述するが、本発明の紫外線吸収材料は、熱可塑性樹脂と併用して成型用樹脂組成物として用いられる。その際、熱可塑性樹脂がオレフィンの場合は、一般式(3)もしくは一般式(4)で示す不飽和単量体を使用すると、オレフィンとの相溶性が向上する。これは、一般式(3)および一般式(4)で示す不飽和単量体の疎水性が高く、疎水性が高いオレフィンとの親和性が向上するからである。
ポリオレフィンを含む成型用樹脂組成物としても用いる場合、一般式(3)で示す不飽和単量体、および一般式(4)で示す不飽和単量体の合計する含有量は、単量体混合物中、30~97質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましい。適量含有すると相溶性と透明性がより向上する。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)は、上記モノマーを、例えば、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、フリーラジカル重合、およびリビングラジカル重合等して得られる。これらの中でもフリーラジカル重合、リビングラジカル重合が好ましい。
フリーラジカル重合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤は、例えば、アゾ系化合物、過酸化物が好ましい。アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、または2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
重合反応温度は、40~150℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。反応時間は、3~30時間が好ましく、5~20時間がより好ましい。
リビングラジカル重合は、一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、更には、重合の成長が均一に起こる為、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂(分子量分布が狭い樹脂)を合成できる。
リビングラジカル重合は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法は、広範囲の単量体に適応できる点、既存の設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記の参考文献1~8等に記載された方法で行うことができる。
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,5614
(参考文献4)Macromolecules1995,28,7901,Science,1996,272,866
(参考文献5)国際公開第96/030421号パンフレット
(参考文献6)国際公開第97/018247号パンフレット
(参考文献7)特開平9-208616号公報
(参考文献8)特開平8-41117号公報
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)の重合は、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
また、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)は、(メタ)アクリロイル基を有することもできる。後述するが、光硬化性樹脂組成物として用いる場合には、(メタ)アクリロイル基を有することで、より感光性が高く、硬度の高い塗膜が形成され、ハードコード剤に使用する場合には好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)に(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、以下の方法が挙げられる。
(方法1)
側鎖にカチオン性基と水酸基を有する樹脂を合成する。これは、アンモニウム塩を有する不飽和単量体とともに、水酸基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にカチオン性基と水酸基を有する樹脂を得ても良く、また、アミノ基を有する不飽和単量体とともに、水酸基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にアミノ基と水酸基を有する樹脂を合成した後、オニウム塩化剤を用いて、側鎖にカチオン性基と水酸基を有する樹脂を得ても良い。
次に、イソシアネート基を有する不飽和単量体を添加し、反応させる。これにより、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入することができる。
イソシアネート基を有する不飽和単量体としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート基を有する不飽和単量体を添加した後の反応は、反応温度50℃~150℃、好ましくは70℃~120℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、150℃を超えると反応により生成したウレタン基が分解してしまう。
(方法2)
側鎖にカチオン性基とカルボキシル基を有する樹脂を合成する。これについても、アンモニウム塩を有する不飽和単量体とともに、カルボキシル基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にカチオン性基とカルボキシル基を有する樹脂を得ても良く、また、アミノ基を有する不飽和単量体とともに、カルボキシル基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にアミノ基とカルボキシル基を有する樹脂を合成した後、オニウム塩化剤を用いて、側鎖にカチオン性基とカルボキシル基を有する樹脂を得ても良い。
次に、エポキシ基を有する不飽和単量体を添加し、反応させる。これにより、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入することができる。
エポキシ基を有する不飽和単量体は、例えば、グリシジルメタクリレートが挙げられる。
エポキシ基を有する不飽和単量体を添加した後の反応は、反応温度70℃~150℃、好ましくは80℃~120℃の範囲で行う。反応温度が70℃未満では反応速度が遅く、150℃を超えると副反応が起こる可能性がある。
(方法3)
側鎖にカチオン性基とエポキシ基を有する樹脂を合成する。これについても、アンモニウム塩を有する不飽和単量体とともに、エポキシ基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にカチオン性基とエポキシ基を有する樹脂を得ても良く、また、アミノ基を有する不飽和単量体とともに、エポキシ基を有する不飽和単量体を含有させた不飽和単量体を重合させることで、側鎖にアミノ基とエポキシ基を有する樹脂を合成した後、オニウム塩化剤を用いて、側鎖にカチオン性基とエポキシ基を有する樹脂を得ても良い。
次に、カルボキシル基を有する不飽和単量体を添加し、反応させる。これにより、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入することができる。
カルボキシル基を有する不飽和単量体を添加した後の反応は、反応温度70℃~150℃、好ましくは80℃~120℃の範囲で行う。反応温度が70℃未満では反応速度が遅く、150℃を超えると副反応が起こる可能性がある。
一般式(2)で示す単位の好ましい含有量は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)100質量%中、4~74質量%が好ましく、8~48質量%がより好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、1,000~50,000が好ましく、3,000~15,000がより好ましい。なお、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する。
(塩形成、造塩)
本発明の紫外線吸収材料は、例えば、アニオン性染料(A)と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)を溶解させた水溶液を攪拌または振動させることにより造塩反応(塩形成ともいう)して、容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のカチオン性基と染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水不溶性となり析出する。逆に、樹脂の対アニオンと酸性染料の対カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用する側鎖にカチオン性基を有する樹脂、およびアニオン性染料は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。また、場合によっては、カチオン性基を有する化合物として、4級アンモニウム塩化合物を用いても構わない。
塩形成時に使用する水溶液は、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)を溶解させるため、水と水溶性有機溶剤との混合溶液を使用できる。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセトン、ジアセトンアルコール、アニリン、ピリジン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、2-ピロリドン、2-メチルピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,2-ヘキサンジオール、2,4,6-ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4-メトキシ-4メチルペンタノン等が挙げられる。
塩形成時に使用する水溶液100質量%中、塩形成により得られる紫外線吸収材料は、1~20質量%であることが好ましい。
塩形成時に使用する水溶液100質量%中、水溶性有機溶剤は5~50質量%が好ましく、5~20質量%用いることがより好ましい。
側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)と、アニオン性染料(A)との比率は、樹脂の全カチオン性基とアニオン性染料の全アニオン性基とのモル比で10/1~1/4が好ましく、2/1~1/2がより好ましい。
また、造塩反応物全体のうち、アニオン性染料(A)に由来する構造部位が、2~33質量%であることが好ましい。
これは、造塩反応物とアニオン性染料(A)の同一濃度における最大吸収波長の吸光度を測定することで算出される。
ある濃度における、造塩反応物の最大吸収波長の吸光度がrであり、同じ濃度におけるアニオン性染料(A)の最大吸収波長の吸光度がaであり、
アニオン性染料(A)の分子量がMa、そのうちうち対カチオンの合計分子量がMcである場合、
造塩反応物全体のうち、アニオン性染料(A)に由来する構造部位は、以下の計算式で表される比率となる。
r×(Ma-Mc)/(a×Ma)

造塩反応物全体のうち、アニオン性染料(A)に由来する構造部位が、2質量%より少ないと紫外線吸収の効率が少なくことがあり、33質量%より多いと他の樹脂との相溶性や溶媒に対する溶解性が悪くなることがある。
<熱可塑性樹脂との成型用樹脂組成物として用いる場合>
本発明の紫外線吸収材料は、熱可塑性樹脂と併用することで、成形用樹脂組成物として用いることができる。
例えば、食品包装材、医薬品包装材、ディスプレイ用途に使用することが好ましい。食品包装材や医薬品包装材は、熱可塑性樹脂に、例えば、ポリオレフィンやポリエステル等を使用することが好ましい。これら成形体は、柔軟性および視認性が向上し、内容物の劣化を抑制できる。
また、ディスプレイ用途(例えば、テレビ、パソコン、スマホ等)は、熱可塑性樹脂に、例えば、ポリアクリルやポリカーボネート等を使用することが好ましい。これら成形体は、バックライトに含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、目への悪影響を抑制することができ、また、太陽光に含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、ディスプレイの表示素子の劣化を抑制することができ、さらにマイグレーションによる透明性低下を抑制することができる。
<ポリオレフィン>
ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、およびポリ-4-メチルペンテン、ならびにこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、結晶性または非晶性ポリプロピレンが挙げられる。
これらを用いた共重合体は、例えば、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体、α-オレフィンとエチレンあるいはプロピレンの共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらの中でも結晶性または非晶性ポリプロピレン、エチレン-プロピレンのランダム、ブロックあるいはグラフト共重合体が好ましく、プロピレン-エチレンブロック共重合体がより好ましい。また安価で、比重が小さいために成形品を軽量化できる観点からはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィンのメルトフローレイト(MFR)は、1~100(g/10分)が好ましい。なお、MFRはJISK-7210に準拠して求めた数値である。
<ポリカーボネート>
ポリカーボネートは、2価のフェノールとカーボネート前駆体とを公知の方法で合成した化合物である。2価のフェノールは、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ビドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4-ビドロキシフェニル)サルファイド等が挙げられる。これらの中でビス(4-ビドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAと称される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンがより好ましい。
カーボネート前駆体は、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価のフェノールのジハロホルメート等が挙げられる。この中でもジフェニルカーボネートが好ましい。
2価のフェノール、およびカーボネート前駆体は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
<ポリメタクリレート>
ポリメタクリレートは、メタクリル酸メチルモノマー又は/かつメタクリル酸エチルモノマーとを公知の方法で重合した化合物であり、例えば、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体およびエチレン-アクリル酸共重合体等が挙げられる。前記モノマーの他に、ブタジエン、α-メチルスチレン、無水マレイン酸等のモノマーを加えて重合することもでき、モノマー量と分子量によって耐熱性、流動性、衝撃性を調整することができる。
<ポリエステル>
ポリエステルは、分子の主鎖にエステル結合を有する樹脂であり、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、ジオール(2価アルコールまたは2価フェノール)とから合成した重縮合物;、ジカルボン酸(その誘導体を含む)と、環状エーテル化合物とから合成した重縮合物;、環状エーテル化合物の開環重合物等が挙げられる。ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールでの重合体によるホモポリマー、複数の原料を使用するコポリマー、これらを混合するポリマーブレンド体が挙げられる。なお、ジカルボン酸の誘導体とは、酸無水物、エステル化物である。ジカルボン酸は、脂肪族および芳香族の2種類のジカルボン酸があるところ、耐熱性が向上する芳香族がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシルフェニル酢酸、m-フェニレンジグリゴール酸、p-フェニレンジグリコール酸、ジフェニルジ酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジ酢酸、ジフェニルメタン-p,p’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-m,m’-ジカルボン酸、スチルベンジルカルボン酸、ジフェニルブタン-p,p’-ジカルボン酸、ベンゾフェノン-4,4’-ジカルボン酸、ナフタリン-1,4-ジカルボン酸、ナフタリン-1,5-ジカルボン酸、ナフタリン-2,6-ジカルボン酸、ナフタリン-2,7-ジカルボン酸、p-カルボキシフェノキシ酢酸、p-カルボキシフェノキシブチル酸、1,2-ジフェノキシプロパン-p,p’-ジカルボン酸、1,5-ジフェノキシペンタン-p,p’-ジカルボン酸、1,6-ジフェノキシヘキサン-p,p’-ジカルボン酸、p-(p-カルボキシフェノキシ)安息香酸、1,2-ビス(2-メトキシフェノキシ)-エタン-p,p’-ジカルボン酸、1,3-ビス(2-メトキシフェノキシ)プロパン-p,p’-ジカルボン酸、1,4-ビス(2-メトキシフェノキシ)ブタン-p,p’-ジカルボン酸、1,5-ビス(2-メトキシフェノキシ)-3-オキシペンタン-p,p’-ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸は、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、コルク酸、マゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
ジカルボン酸は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
2価アルコールは、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,4-ジオール、cis-2-ブテン-1,4-ジオール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらの中でもエチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
2価フェノールは、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA等が挙げられる。
環状エーテル化合物は、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
ジカルボン酸は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
<シクロオレフィン樹脂>
シクロオレフィン樹脂は、エチレン又はα-オレフィンと環状オレフィンとの重合体である。α-オレフィンはC4~C12のαオレフィンから誘導されるモノマーであり、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等が挙げられる。環状オレフィンはノルボルネンから誘導されるモノマーであり、水素基、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基の置換物が挙げられる。これらの中でも無置換のノルボルネンが好ましい。
(成形用樹脂組成物の製造方法)
成形用樹脂組成物の製造方法は、例えば、本発明の紫外線吸収材料を高濃度で配合したマスターバッチとして製造することが好ましい。マスターバッチは、紫外線吸収材料と熱可塑性樹脂を溶融混練し、次いで任意の形状に成形することが好ましい。次いで、前記マスターバッチと希釈樹脂(前記熱可塑性樹脂)とを溶融混練し、所望の形状の成形体を成形できる。本発明の紫外線吸収材料は、材料を一括仕込みで溶融混練を行い、成形体を作製するよりも、一旦、マスターバッチを作製してから成形体を作製する方がより高度に分散できる。
マスターバッチの形状は、例えば、ペレット状、粉末状、板状等が挙げられる。前記溶融混練は、例えば、単軸混練押出機、二軸混練押出機、またはタンデム式二軸混練押出機等を用いるのが好ましい。溶融混錬温度は、熱可塑性樹脂の種類により異なるが通常150~250℃程度である。
また、本発明の紫外線吸収材料の凝集を抑制する面からら、予め、前記紫外線吸収材料とワックスを溶融混練した予備分散体を作製した後、次いで、熱可塑性樹脂と共に、溶融混錬して成形用樹脂組成物を作製することが好ましい。なお、予備分散体の作製は、例えば、ブレンドミキサーや3本ロールミルを用いることが好ましい。
マスターバッチ作製の際、本発明の紫外線吸収材料の使用量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、1~30質量部が好ましい。マスターバッチと希釈樹脂の質量比は、1/5~1/100が好ましい。適切な比率で使用すると成形品の着色度と機械強度を高度に両立できる。希釈樹脂は、マスターバッチに使用した熱可塑性樹脂に限定されず、当該樹脂と相溶性の良い熱可塑性樹脂であればよい。
本発明の紫外線吸収材料を用いた成形用樹脂組成物は、前記紫外線吸収性樹脂および熱可塑性樹脂以外の任意成分として、酸化防止剤、光安定剤、分散剤等を含むことができる。
本発明の紫外線吸収材料を用いて得られた成形体は、成形用樹脂組成物を成形して作製する。
成形方法は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形等が挙げられる。押出成形は、例えばコンプレッション成形、パイプ押出成形、ラミネート成形、Tダイ成形、インフレーション成形、溶融紡糸等が挙げられる。
成形体の成形温度は、通常160~240℃程度である。
本発明の紫外線吸収材料を用いて得られた成形体は、通常の押出成形よりも成形速度が速い高速押出成形(成形機スクリュー回転数:150rpm程度)や、無剪断領域が長いコンプレッション成形で製造する場合にも色ムラ・色わかれが生じにくい。特に射出成形の約10倍の成形速度である高速コンプレッション成形(生産速度500個/分以上、場合によっては700~900個/分)においても成形品に色ムラ・色わかれが生じにくい優れた効果が得られる。
本明細書の成形体の製造方法の1例としてコンプレッション成形の説明をする。まず、本発明の成形用樹脂組成物を溶融混合し、圧縮成型機に投入し、当該圧縮成型機内で剪断力を加えず、圧縮による押し出す力を加えることで成型品を得る工程を含む、成型品の製造方法である。ここで剪断力を加えず、圧縮による押し出す力を加えることは、成形用樹脂組成物には混合する力が加わっていない状態、すなわち無剪断領域に成形用樹脂組成物が存在している。この成型品は、例えばPETボトルのフラスチックキャップ等が好ましい。なお、本明細書で成型品は型に樹脂を投入し物品を得るものである。また成形品は、プラスチックフィルムなど型を使用せずに得た物品と成型品を含むものである。
本発明の紫外線吸収材料を用いて得られた成形品は、例えば、医療用薬剤、化粧品、食品用容器および包装材、雑貨、繊維製品、医薬品用容器、各種産業用被覆材、自動車用部品、家電製品、住宅等の建材、トイレタリー用品、ディスプレイ用材料、センサー用材料、光学制御材料などの用途で幅広く使用できる。
<粘着剤用樹脂組成物として用いる場合>
本発明の紫外線吸収材料は、粘着剤用樹脂組成物として用いることができる。
これは、ディスプレイ用途(例えば、テレビ、パソコン、スマホ等)で、ディスプレイに積層されるフィルムに使用する粘着剤として用いることができる。
ディスプレイに積層されるフィルムに用いる粘着剤に、本発明の紫外線吸収材料を含むことで、バックライトに含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収し、目への悪影響を抑制することができる。また、太陽光に含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、ディスプレイの表示素子の劣化を抑制することができ、さらにマイグレーションによる透明性低下を抑制することができる。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、粘着性樹脂と、紫外線吸収性材料と硬化剤とを含む。 粘着性樹脂は、粘着性を有する樹脂であることが必要である。具体的には、アクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマー、ウレタン系粘着剤たるポリウレタン、シリコーン系粘着剤、およびゴム系粘着剤からなる群より選択される粘着性を有する少なくとも一種を含む。粘着剤用樹脂組成物に求められる粘着力と高い透明性とを併せて実現するという観点からは、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
本発明の粘着剤用樹脂組成物は、公知の粘着シート用基材上に公知の方法で粘着剤用樹脂組成物を含んでなる粘着剤層を形成して、粘着シートとすることができる。
<光硬化性樹脂組成物として用いる場合>
本発明の紫外線吸収材料は、重合性不飽和単量体、および光重合性開始剤と併用することで、光硬化性樹脂組成物として用いることができる。
これは、ディスプレイ用途(例えば、テレビ、パソコン、スマホ等)で、ディスプレイに塗布されるハードコート剤として用いることができる。
ディスプレイに塗布されるハードコート剤に、本発明の紫外線吸収材料を含むことで、バックライトに含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収し、目への悪影響を抑制することができる。また、太陽光に含まれる紫外線や可視光の短波長領域の光を吸収することで、ディスプレイの表示素子の劣化を抑制することができ、さらにマイグレーションによる透明性低下を抑制することができる。
以下に、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下特に断らない限り「質量部」は単に「部」、「質量%」は単に「%」と記載する。
<アニオン性染料(A)の製造>
(A-2)~(A-4)を、特許公報CN105272886に記載されているピラニンの合成法に準じて製造した。
<側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)の製造例>
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1))
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール100.0部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート(MMA)60.0部、ブチルアクリレート(BA)25.0部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩(DMCMA)15.0部、2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を10.0部、およびイソプロピルアルコール40.0部を均一に混合した後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上である事を確認し、50℃へ冷却した。このようにして不揮発分が40%の側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1)を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は41mgKOH/gであった。
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-2)~(B-5))
表1に示すように、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1)と同様にして、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-2)~(B-5)を製造した。なお、表1中、DCPMAはジシクロペンタニルメタクリレート、Stはスチレンである。
(側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-6))
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メトキシプロピルアセテート100.0部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート45.0部、ブチルアクリレート25.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15.0部、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)(DM)15.0部、2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を10.0部、およびメトキシプロピルアセテート40.0部を均一に混合した後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上である事を確認し、50℃へ冷却した。
次に、プロピルブロマイド(BP)11.7部を添加し、100℃で4時間反応させた。アミン価が2以下になったことを確認し、50℃へ冷却した。
さらに、空気の雰囲気化で、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)17.9部を添加し、さらに重合禁止剤としてメチルヒドロキノン0.05部を添加し、80℃4時間反応させた。イソシアネート当量が1以下になったことを確認し、反応を終了させた。
さらに、不揮発分を40%になるようにメトキシプロピルアセテートを加えて調整し、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-6)を得た。得られた樹脂のアンモニウム塩価は41mgKOH/gであった。
<比較紫外線吸収材料(RR-1)の製造例>
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピルアルコール100.0部を仕込み窒素気流下で75℃に昇温した。別途、メチルメタクリレート60.0部、ブチルアクリレート25.0部、RUVA-93(大塚化学製、ベンゾトリアゾール基を有するメタクリルモノマー)15.0部、2.2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)を10.0部、およびイソプロピルアルコール40.0部を均一に混合した後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上である事を確認し、50℃へ冷却した。このようにして比較紫外線吸収材料(RR-1)を得た。
Figure 0007192630000009
(紫外線吸収材料の実施例)
<紫外線吸収材料の製造方法>
(紫外線吸収材料(R-1))
下記の手順でピラニンと、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1)とからなる紫外線吸収材料(R-1)を製造した。
水2000部、N-メチルピロリドン400部にピラニンを10部添加し、十分に攪拌混合を行う。一方、水2000部、N-メチルピロリドン400部に、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1)を197.5部混合させ、白濁した溶液を得た。この溶液を先ほど調整したピラニンを含む水溶液に少しずつ滴下した。滴下終了後、十分に攪拌し反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、ピラニンと側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-1)との造塩反応物である紫外線吸収材料(R-1)80.0部を得た。
(紫外線吸収材料(R-2)、(R-4)~(R-7)、(R-9)~(R-10))
表2に示すように、紫外線吸収材料(R-1)と同様にして、紫外線吸収材料(R-2)、(R-4)~(R-7)、(R-9)~(R-10)をそれぞれ作製した。
(紫外線吸収材料(R-3))
下記の手順でピラニンと、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-2)とからなる紫外線吸収材料(R-3)を製造した。
水2000部、N-メチルピロリドン400部にピラニンを10部添加し、十分に攪拌混合を行う。一方、水2000部、N-メチルピロリドン400部に、側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-2)を131.4部、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBAC)を5.3部混合させ、白濁した溶液を得た。この溶液を先ほど調整したピラニンを含む水溶液に少しずつ滴下した。滴下終了後、十分に攪拌し反応を行った。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、吸引濾過を行い、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機にて水分を除去して乾燥し、ピラニンと側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B-2)およびテトラブチルアンモニウムクロリドとの造塩反応物である紫外線吸収材料(R-3)61.0部を得た。
(紫外線吸収材料(R-8))
表2に示すように、紫外線吸収材料(R-3)と同様にして、紫外線吸収材料(R-8)を作製した。
Figure 0007192630000010
<吸光度測定>
(紫外線吸収材料(R-1))
ピラニンおよび紫外線吸収材料(R-1)の40ppmのN-メチルピロリドン溶液を作製し、最大吸収波長の吸光度を測定した。
ピラニンの最大吸収波長は398nm、この波長における吸光度は1.83であり、紫外線吸収材料(R-1)の最大吸収波長は400nm、この波長における吸光度は0.1であった。ピラニンの分子量は524、対カチオンの全分子量は69であるため、これより算出すると、紫外線吸収材料のうちアニオン性染料(A)に由来する構造部位の比率は、4.7%であった。
(紫外線吸収材料(R-2)~(R-10))
紫外線吸収材料(R-1)の吸光度測定と同様にして、吸光度測定を行い、紫外線吸収材料(R-2)~(R-10)のうちアニオン性染料(A)に由来する構造部位の比率を算出した。これを表2に示す。
<成形用樹脂組成物>
実施例で使用した熱可塑性樹脂を以下に示す。
(C-1)ポリエチレン(サンテックLDM2270、MFR=7g/10min、旭化成ケミカルズ社製)
(C-2)ポリエチレン(ノバテックUJ790、MFR=50g/10min、日本ポリエチレン社製)
(C-3)ポリプロピレン(ノバテックPPFA3EB、MFR=10.5g/10min、日本ポリプロ社製)
(C-4)ポリプロピレン(プライムポリプロJ226T、MFR=20G/10MIN、プライムポリマー社製)
(C-5)ポリカーボネート(ユーピロンS3000、MFR=15g/10min、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
(C-6)メタクリル樹脂(アクリペットMF、MFR=14g/10min、三菱レイヨン社製)
(C-7)ポリエステル(三井ペットSA135、三井化学社製)
(C-8)シクロオレフィン樹脂(TOPAS5013L-10、三井化学社製)
実施例で使用したワックスを以下に示す。
(D-1)ポリエチレンワックス(サンワックス131-P、数平均分子量3500、融点105℃、三洋化成工業社製)
(D-2)ポリエチレンワックス(ハイワックス405MP、数平均分子量4500、融点120℃、三井化学社製)
(D-3)ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP056、数平均分子量7200、融点130℃、三井化学社製)
(実施例1)
(マスターバッチの製造)
ワックス(D‐1)100部に対し、紫外線吸収材料(R-1)20部を混合し、3本ロールミルにて160℃にて加熱混練し、紫外線吸収材料(R-1)の分散体を得た。次いで、ポリエチレン(C-1)100部に対し、得られた上記分散体10部をヘンシェルミキサーにて混合し、スクリュー径30mmの単軸押出機にて180℃で溶融混練し、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングして成形用樹脂組成物(マスターバッチ)を作製した。
(フィルム成形)
ポリエチレン(C-1)100部に対して、得られた成形用樹脂組成物10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度180℃で溶融混合し、厚さ250μmのT-ダイフィルムを成形した。
(実施例2~13、比較例1~2)
実施例2~13、および比較例1~2は、実施例1の材料を表3に記載された通りに変更した以外は、実施例1と同様に行い、それぞれマスターバッチを作製し、次いでT-ダイフィルムを作製した。
Figure 0007192630000011
(実施例14、比較例3)
(マスターバッチの製造)
ポリカーボネート(C-5)100部と表4に示した紫外線吸収材料2部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、280℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングして成形用樹脂組成物(マスターバッチ)を作製した。
Figure 0007192630000012
(フィルム成形)
希釈樹脂のポリカーボネート(C-5)100部に対して、得られた成形用樹脂組成物10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度280℃で溶融混合し、厚さ250μmのT-ダイフィルムを成形した。
(実施例15、比較例4)
(マスターバッチの製造)
ポリメタクリル樹脂(C-6)100部と表4に示した紫外線吸収材料2部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、240℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングして成形用樹脂組成物(マスターバッチ)を作製した。
(フィルム成形)
希釈樹脂のメタクリル樹脂(C-6)100部に対して、得られた成形用樹脂組成物10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度280℃で溶融混合し、厚さ250μmのT-ダイフィルムを成形した。
(実施例16、比較例5)
(マスターバッチの製造)
ポリカーボネート(C-7)100部と表4に示した紫外線吸収材料2部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、280℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングして成形用樹脂組成物(マスターバッチ)を作製した。
(フィルム成形)
希釈樹脂のポリカーボネート(C-7)100部に対して、得られた成形用樹脂組成物10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度280℃で溶融混合し、厚さ250μmのフィルムを成形した。
(実施例17、比較例6)
(マスターバッチの製造)
ポリメタクリル樹脂(C-8)100部と表4に示した紫外線吸収材料2部とを同じ供給口からスクリュー径30mmの二軸押出機(日本製鋼所社製)に投入し、240℃で溶融混錬した上で、ペレタイザーを用いてペレット状にカッティングして成形用樹脂組成物(マスターバッチ)を作製した。
(フィルム成形)
希釈樹脂のメタクリル樹脂(C-8)100部に対して、得られた成形用樹脂組成物10部を混合し、T-ダイ成形機(東洋精機製)を用いて、温度280℃で溶融混合し、厚さ250μmのT-ダイフィルムを成形した。
得られたT-ダイフィルムについて以下の通り評価した。
[光学特性]
得られたフィルムの透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて測定した。透過率は白色標準板に対しての分光透過率を測定した。
以下の条件を満たすか否かを評価した。
〇:波長380~420nmの光透過率が全領域にわたって2%以下:良好
△:波長380~420nmの光透過率が一部2%より上:実用域
×:波長380~420nmの光透過率が全領域にわたって2%より上:実用不可
[透明性評価]
得られたフィルムの透明性を目視評価した。
○:まったく濁りが認められない。良好
△:わずかに濁りが認められる。実用域
×:濁りが多く認められる。実用不可
[マイグレーション評価]
得られたフィルムを2枚の酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:280~400nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。良好
△:280~400nmにおける吸光度が0.05より上0.2以下。実用域
×:280~400nmにおける吸光度が0.2より上。実用不可
[抽出性評価]
得られたT-ダイフィルムを2×2cmに切り取り、50gのイオン交換水に入れ、80℃24時間抽出した後、イオン交換水の吸光度を測定し、下記基準で評価した。なお、吸光度がないサンプルは、イオン交換水への溶出が抑制できている。
○:吸光度なし。良好
△:吸光度0.2以下。実用域
×:吸光度0.2より上。実用不可
<粘着剤用樹脂組成物>
(粘着性樹脂の製造例E-1)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下にてn-ブチルアクリレート96.0部と、2-ヒドロキシルエチルアクリレート4.0部の合計量のうちの50%、及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリルを0.2部、溶剤として酢酸エチルを150部反応槽に仕込み、前記合計量の残りの50%と適量の酢酸エチルを滴下槽に仕込んだ。次いで、加熱を開始して反応槽内での反応開始を確認してから、還流下、滴下管の内容物、及び0.01部の2,2’-アゾビスイソブチルニトリルの酢酸エチル希釈液を滴下した。滴下終了後、還流状態を維持したまま5時間反応を行った。反応終了後、冷却し、適量の酢酸エチルを添加することで、アクリル系樹脂である粘着性樹脂の製造例E-1を得た。得られた製造例E-1の粘着剤樹脂の重量平均分子量は50万、不揮発分は40%、粘度は3,200mPa・sであった。
(粘着性樹脂の製造例E-2)
攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下管を備えた反応装置を使用して、窒素雰囲気下にてn-ブチルアクリレート96.0部と、アクリル酸4.0部の合計量のうちの50%、及び重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチルニトリルを0.2部、溶剤として酢酸エチルを150部反応槽に仕込み、前記合計量の残りの50%と適量の酢酸エチルを滴下槽に仕込んだ。次いで、加熱を開始して反応槽内での反応開始を確認してから、還流下、滴下管の内容物、及び0.01部の2,2’-アゾビスイソブチルニトリルの酢酸エチル希釈液を滴下した。滴下終了後、還流状態を維持したまま5時間反応を行った。反応終了後、冷却し、適量の酢酸エチルを添加することで、アクリル系樹脂である粘着性樹脂の製造例E-2を得た。得られた製造例E-2の粘着剤樹脂の重量平均分子量は60万、不揮発分は40%、粘度は4,000mPa・sであった。
(実施例18)
粘着性樹脂として、製造例E-1の粘着性樹脂の不揮発分100部に対して、紫外線吸収材料(R-1)2部を混合し、シランカップリング剤としてKBM-403(信越化学工業製)を0.1部、硬化剤(D)としてトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(略号:TDI-TMP、NCO価=13.2、不揮発分=75%)を0.4部加え、よく攪拌し粘着剤を得た。その後、この粘着剤を厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート基材の剥離フィルム上に、乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、100℃の熱風オーブンで2分間乾燥させた。そして、粘着剤層側に25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合せ、この状態で室温にて7日間エージングさせ、粘着シートを得た。
(実施例19、比較例7)
表5に示すように、実施例18と同様に調整した。
Figure 0007192630000013
(粘着シートの評価)
(1)粘着力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性フィルムを剥がして露出した粘着剤層をガラス板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した。24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。(JIS Z0237:2000に準拠)
◎:「粘着力が15N以上であり、非常に良好。」
○:「粘着力が10N以上15N未満であり、良好。」
×:「粘着力が10N未満であり、実用不可。」
(2)保持力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。JIS Z0237:2000に準拠して前記粘着シートから剥離性シートを剥がして、研磨した幅30mm・縦150mmのステンレス板の下端部幅25mm・横25mmの部分に粘着剤層を貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。評価は、粘着シート貼付面上端部が下にずれた長さを測定した。
評価基準
○:「ずれた長さが0.5mm未満である。良好。」
×:「ずれた長さが0.5mm以上である。実用不可。」
(3)透明性
得られた粘着シートから剥離性シートを剥がして、粘着剤層の透明性を目視にて評価した。粘着剤層の外観に関しては、下記の3段階の評価 基準に基づいて評価を行った。
○:「粘着剤層は透明で実用上問題がない」
△:「粘着剤層はわずかに白化しており、実用上問題がある」
×:「粘着剤層が白化しており、実用不可である」
(4)マイグレーション性評価
得られた粘着シートを幅100mm・縦100mmの大きさに準備した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性フィルムを剥がして露出した粘着剤層をガラス板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した。ついで、同環境下で48時間放置し、ついで粘着シートを剥がして、ガラスへの紫外線吸収材料のマイグレーション性に関して、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行ったガラス上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:280~400nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。良好
△:280~400nmにおける吸光度が0.05より上0.2以下。実用域
×:280~400nmにおける吸光度が0.2より上。実用不可
<光硬化性樹脂組成物>
(実施例20)
以下の組成で、光硬化性樹脂組成物を調整した。
紫外線吸収材料(R-1) 10.0部
日本化薬(株)製「KAYARAD DPHA」 9.0部(多官能アクリレート)
IGM ResinBV製「Omnirad184」 1.0部(光重合開始剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
(実施例21、比較例8)
表6に示すように、実施例20と同様に調整した。
Figure 0007192630000014
(塗工物の作製)
上記の光硬化性樹脂組成物をバーコーターを用いて乾燥膜厚で6μmとなるよう塗布した。得られた塗布層を、100℃1分で乾燥したのち、高圧水銀ランプで400mJ/cmの紫外線を照射した。
(塗工物の評価)
得られた塗工物を、以下の方法で評価した。
[耐擦傷性]
塗工物を学振試験機にセットし、スチールウールを用いて、荷重250gで10回学振させた。取り出した塗工物について、キズのつき具合を以下の5段階の目視評価に従って判断した。数値が大きいほど、硬化膜の耐擦傷性が良好であることを示す。
5:キズが全くない。良好
4:僅かにキズが付いている。実用域
3:キズは付いているが、基材は見えていない。実用域
2:キズが付き、一部硬化膜が剥がれている。実用不可
1:硬化膜が剥がれてしまい、基材が剥き出しの状態。実用不可
[鉛筆硬度]
JIS-K5600に準拠し、鉛筆硬度試験機(HEIDON社製Scratching Tester HEIDON-14)を用い、鉛筆の芯の硬さを種々変えて、荷重500gにて5回試験をした。5回中、1回も傷がつかない、もしくは1回のみ傷が付く時の芯の硬さを、その硬化膜の鉛筆硬度とした。実用的な要求物性を考慮して、硬化膜の鉛筆硬度が、
A:2H以上。良好
B:H。実用域
C:Hより低い。実用不可
と判定した。
[透明性]
得られた塗工物の透明性を、目視評価した。
○:まったく濁りが認められない。良好
△:わずかに濁りが認められる。実用域
×:濁りが多く認められる。実用不可
[マイグレーション評価]
得られた塗工物を2枚の酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートで挟み、熱プレス機を使用して圧力100g/cm・温度170℃30秒間の条件で加熱圧着した。次いで、直ちにフィルムを外して酸化チタンを配合した軟質塩化ビニルシートへのマイグレーションを紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製)を用いて評価した。評価は、上記の処理を行った軟質塩化ビニルシート上の場所5点を選び、紫外領域の吸光度を測定し、その平均を算出することで行った。
○:280~400nmにおける吸光度が検出されない(0.05以下)。良好
△:280~400nmにおける吸光度が0.05より0.2以下。実用域
×:280~400nmにおける吸光度が0.2より上。実用不可

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で示すアニオン性染料(A)と側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)との造塩反応物であり、
    側鎖にカチオン性基を有する樹脂(B)が、下記一般式(2)で示す単位を含むことを特徴とする紫外線吸収材料。
    Figure 0007192630000015

    (一般式(1)中、R~R10は、1個がヒドロキシ基であり、1~4個がXであり、その他は水素原子であり、X-は、SO 、またはCOOを表し、Yは、無機または有機のカチオンを表す。)
    Figure 0007192630000016

    (一般式(2)中、R 11 は、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R 12 ~R 14 は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基を表し、R 12 ~R 14 のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。Qはアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R 15 -、-COO-R 15 -を表し、R 15 はアルキレン基を表す。P は無機または有機のアニオンを表す。)
  2. アニオン性染料(A)に由来する構造部位が、造塩反応物全体の2~33質量%であること特徴とする請求項1記載の紫外線吸収材料。
  3. 請求項1または2に記載の紫外線吸収材料、および熱可塑性樹脂を含む成形用樹脂組成物。
  4. 請求項1または2に記載の紫外線吸収材料を含む粘着剤用樹脂組成物。
  5. 請求項1または2に記載の紫外線吸収材料、重合性不飽和単量体、および光重合性開剤を含む、光硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項記載の成形用樹脂組成物を含む、成形体。
  7. 請求項4に記載の粘着剤用樹脂組成物を含む、粘着シート。
  8. 請求項5に記載の光硬化性樹脂組成物を含む、ハードコード。
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