図1~図4は、実施例に係る金属材の曲げ加工装置としてのロールベンダー10を示すものであって、該ロールベンダー10は、1本の上ロール11と、2本の下ロール12,13とを備え、これら3本のロール11,12,13の間に平板状の金属材14を通過させることで、該金属材14を円筒形や楕円筒形となるように曲げ加工し得るよう構成される。ロールベンダー10は、基礎フレーム15に、所要間隔離間して一対の上支持部材16,16が上下方向に昇降可能に支持されると共に、該一対の上支持部材16,16間に、前記上ロール11が回転可能に架設される。各上支持部材16は、駆動手段としての昇降用油圧シリンダ(昇降手段)17により昇降動するよう構成され、一対の昇降用油圧シリンダ17,17を同期して駆動することで、上ロール11は下ロール12,13に対して近接・離間するよう平行に昇降動する。上ロール11は、その中心軸Oを通って前記2本の下ロール12,13の軸心を結んだ線分Kに垂直な垂線Sに沿って昇降可能に構成されて、後述する演算式で算出されたデータ値またはティーチングによって設定記憶されたデータ値に基づいて、金属材14に付与する曲率に応じた位置(曲げ位置)に、前記昇降用油圧シリンダ17,17によって移動するよう構成される。昇降用油圧シリンダ17,17は、図5に示す制御手段18によって同期して駆動するよう制御される。また、一方の昇降用油圧シリンダ17は、上ロール11の移動量を検出可能な上ロール用ストロークセンサ(検出手段)19を備え、該上ロール用ストロークセンサ19が制御手段18に接続されて、該制御手段18は、上ロール11の現在位置(高さ位置)を認識し得るよう構成される。
図2に示す如く、前記下ロール12,13を挟む左右両側に、金属材14を搬送するコンベヤ20,21が配設される。該コンベヤ20,21としては、ロール11,12,13の軸(ロール軸)と平行な軸回りに回転自在に支持した複数のローラを駆動モータにより回転駆動して、ローラ上に載置された金属材14を搬送するローラコンベヤが採用される。実施例では、曲げ加工前の平板状の金属材14を、上ロール11と下ロール12,13との間に、図2および図4において右側から送り込むよう構成されているので、下ロール12,13の右側のコンベヤを入側コンベヤ20と指称すると共に、左側のコンベヤを出側コンベヤ21と指称する。また、金属材14の移動方向(送り方向)や、後述する各種装置等についても、特に断りのない限り、平板状の金属材14を上ロール11と下ロール12,13との間に最初に送り込む方向との関係で、入側、出側を指称する。なお、下ロール12,13より出側に、入側から送り込まれる金属材14の先端が当接して、該金属材14を位置決めするストッパ(図示せず)が設けられる。このストッパは、必要時以外にはコンベヤ20,21による材料搬送面より下方に移動して金属材14の搬送に支障を来たさないようになっている。
図1、図4に示す如く、前記一方の上支持部材16にモータ等の送り用駆動モータ22が配設され、該送り用駆動モータ22が上ロール11に連結されており、送り用駆動モータ22を正転方向または逆転方向に回転駆動することで、上ロール11を正転方向または逆転方向に回転するよう構成される。そして、前記コンベヤ20,21で送り込まれた金属材14を3本のロール11,12,13で挟持した状態で、送り用駆動モータ22により上ロール11を回転することで、金属材14が所定方向に送られる。実施例では、上ロール11を回転駆動する送り用駆動モータ22が、金属材14を移動する送り手段となる。また、実施例では、上ロール11の回転方向について、金属材14における3つのロール11,12,13で挟持されている部位が、入側から出側に向けて送られる方向を正転、出側から入側に向けて送られる方向を逆転と指称する。
図1、図2に示す如く、前記基礎フレーム15に、前記上ロール11の中心軸Oと交差する方向(材料移動方向)に移動自在な移動台23が配設されると共に、上ロール11の軸方向に離間して移動台23に立設した一対の下支持部材24,24間に、前記下ロール12,13が材料移動方向の前後に離間して回転可能に支持されている。移動台23には、駆動手段としてのシフト用駆動モータ(前後動手段)25(図5参照)が連結されており、金属材14の曲げ加工に際し、両下ロール12,13を材料移動方向の前後に移動可能に構成される。なお、下ロール12,13の前後移動について、シフト移動と称する場合がある。シフト用駆動モータ25は、下ロール12,13の基準位置(下ロール12,13の軸心間の中央が垂線Sと一致する位置)からの移動量を検出可能なシフト用ストロークセンサ(検出手段)26を備え、該シフト用ストロークセンサ26が前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、下ロール12,13の現在位置を認識し得るよう構成される。
前記移動台23には、下ロール12,13を下側から支持するバックアップロール27が回転可能に支持されている。実施例では、各下ロール12,13の軸方向の中央を支持するようにバックアップロール27が配置されると共に、該バックアップロール27は、駆動手段としてのバックアップ用油圧シリンダ28(図5参照)によって昇降動するよう構成される。バックアップ用油圧シリンダ28は、バックアップロール27の基準位置からの移動量を検出可能なバックアップ用ストロークセンサ(検出手段)29を備え、該バックアップ用ストロークセンサ29が前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、バックアップロール27の現在位置(高さ位置)を認識し得るよう構成される。
図2に示す如く、前記両下ロール12,13の間に計測ロール30が配置され、該計測ロール30は、常に金属材14に接触して自由回転し、該計測ロール30に接続するパルス発生器等からなる回転計測手段(検出手段)31によって金属材14の移動量(送り量)を検出し得るよう構成される。回転計測手段31は前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、前記上ロール11の回転によって移動される金属材14の移動量を認識し得るよう構成される。そして、ロールベンダー10での曲げ加工は、回転計測手段31で検出される金属材14の移動量に応じて、制御手段18により上ロール11を垂線Sに沿って昇降動したり下ロール12,13をシフト移動することによって達成される。
図3、図4に示す如く、前記基礎フレーム15の左右両側に、曲げ加工される金属材14の外周面(外側)を支持する外側支持装置32,33が配設される。外側支持装置32,33は、入側に位置する入側支持装置32と、出側に位置する出側支持装置33とから構成される。入側支持装置32および出側支持装置33は左右対称であるので、入側支持装置32の構成について説明し、出側支持装置33の同一部材には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図3、図4に示す如く、前記入側支持装置32は、基礎フレーム15に回動自在に支持された第1支持部(支持手段)34と、該第1支持部34に対して回動自在に支持された第2支持部(支持手段)35と、該第2支持部35に対して回動自在に支持された第3支持部(支持手段)36とを備え、これら3つの支持部34,35,36が、出側から入側に向けて順に位置する。第1支持部34は、複数のアームを連結した第1アーム体37の長手方向の一端部が基礎フレーム15に回動自在に支持され、該第1アーム体37に、基礎フレーム15に配設した移動手段としての第1傾動用油圧シリンダ38のロッドが連結されて、該第1傾動用油圧シリンダ38を駆動することによって第1アーム体37が傾動するよう構成される。また、第1アーム体37には、各アームの上面に長手方向に離間して複数のローラ39が、ローラ軸と平行な軸回りに回転自在に支持されており、第1アーム体37を、その自由端をロール側に近接する方向に傾動することで、曲げ加工される金属材14の外周面を複数のローラ39で支持し得るよう構成される。第1支持部34は、第1アーム体37の水平姿勢(図3の状態)を基準として、自由端がロール側に近接する傾斜角度を検出可能な第1角度検出器(検出手段)40(図5参照)を備え、該第1角度検出器40が前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、第1支持部34(第1アーム体37)の傾斜角度を認識し得るよう構成される。
図3、図4に示す如く、前記第2支持部35は、複数のアームを連結した第2アーム体41の長手方向の一端部が、第1アーム体37の自由端部に回動自在に支持され、該第2アーム体41に、第1アーム体37に配設した移動手段としての第2傾動用油圧シリンダ42のロッドが連結されて、該第2傾動用油圧シリンダ42を駆動することによって第2アーム体41が傾動するよう構成される。また、第2アーム体41には、各アームの上面に長手方向に離間して複数のローラ39が、ローラ軸と平行な軸回りに回転自在に支持されており、第2アーム体41を、その自由端をロール側に近接する方向に傾動することで、曲げ加工される金属材14の外周面を複数のローラ39で支持し得るよう構成される。第2支持部35は、第2アーム体41の長手方向が第1アーム体37の長手方向に沿う姿勢を基準として、自由端がロール側に近接する傾斜角度を検出可能な第2角度検出器(検出手段)43(図5参照)を備え、該第2角度検出器43が前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、第2支持部35(第2アーム体41)の傾斜角度を認識し得るよう構成される。
前記第3支持部36は、複数のアームを連結した第3アーム体44の長手方向の一端部が、第2アーム体41の自由端部に回動自在に支持され、該第3アーム体44に、第2アーム体41に配設した移動手段としての第3傾動用油圧シリンダ45のロッドが連結されて、該第3傾動用油圧シリンダ45を駆動することによって第3アーム体44が傾動するよう構成される。また、第3アーム体44には、各アームの上面に長手方向に離間して複数のローラ39が、ローラ軸と平行な軸回りに回転自在に支持されており、第3アーム体44を、その自由端をロール側に近接する方向に傾動することで、曲げ加工される金属材14の外周面を複数のローラ39で支持し得るよう構成される。第3支持部36は、第3アーム体44の長手方向が第2アーム体41の長手方向に沿う姿勢を基準として、自由端がロール側に近接する傾斜角度を検出可能な第3角度検出器(検出手段)46(図5参照)を備え、該第3角度検出器46が前記制御手段18に接続されて、該制御手段18は、第3支持部36(第3アーム体44)の傾斜角度を認識し得るよう構成される。
前記入側支持装置32および出側支持装置33は、3つの支持部34,35,36のアーム体37,41,44を夫々異なる角度で傾斜することで、加工中の金属材14の外周面の曲率に略倣う姿勢に変化可能に構成されて(図10参照)、曲げ加工される金属材14の外周面を各支持部34,35,36で支持して、加工中の金属材14が自重によって撓んだり変形したりするのを防ぐよう構成される。
実施例のロールベンダー10は、前記上ロール11の上方に、曲げ加工される金属材14の内周面(内側)を支持する内側支持装置47を備える。内側支持装置47は、図1に示す如く、前記基礎フレーム15におけるロール11,12,13から軸方向に離間した位置に立設した支持枠48に昇降動自在に支持され、該支持枠48に配設された昇降装置49によって昇降動する昇降体50と、該昇降体50に配設されて上ロール11の略真上に位置する金属材14の内周面を支持する第1内支持部51と、該第1内支持部51での金属材14の支持位置より下方において、金属材14における左側(出側)または右側(入側)に偏倚した内周面を支持可能な第2内支持部52とを備える。
図1、図3に示す如く、前記昇降体50から上ロール11の直上へロール軸と平行に張出し部53が延出し、該張出し部53に、前記第1内支持部51が設けられる。第1内支持部51は、張出し部53に配設されてロール軸方向に離間する複数の取付部材54に、ロール軸と平行な軸回りに回転自在に支持した第1受けローラ(支持手段)55を備える。そして、前記昇降体50を移動して第1受けローラ55の高さを、曲げ加工された金属材14における上ロール11の略真上の内周面の高さ位置に合わせた位置に維持することで、曲げ加工される金属材14が自重で垂れ下がって変形するのを防ぐよう構成される(図11参照)。実施例の昇降装置49は、移動手段としての第1内支持用駆動モータ56で回転駆動されるスプロケットに巻き掛けた無端チェンを昇降体50に連結した機構が採用されるが、その他の公知の各種機構を採用することができる。第1内支持用駆動モータ56には、エンコーダ等の第1内支持用回転検出器(検出手段)57が設けられ、該第1内支持用回転検出器57が前記制御手段18に接続され、該制御手段18は、第1内支持用回転検出器57から入力される検出信号によって、第1受けローラ55の現在位置(高さ位置)を認識し得るよう構成される。
図1、図3に示す如く、前記第2内支持部52は、前記張出し部53の下側に配設される。第2内支持部52は、ロール軸方向に離間して、左右方向(出側方向と入側方向)に移動自在に支持された複数の作動部材58を備え、該複数の作動部材58が作動装置59によって一体的に左右方向に移動するよう構成される。また、各作動部材58における左右の端部の夫々に、第2受けローラ(支持手段)60が、ロール軸と平行な軸回りに回転自在に支持される。第2内支持部52の作動装置59は、張出し部53に回転自在に支持されてロール軸と平行に延在する回転軸61と、該回転軸61を正逆方向に回転する移動手段としての第2内支持用駆動モータ62とを備え、回転軸61における各作動部材58と対応する位置に設けたピニオンが、作動部材58に設けられて左右方向に延在するラックに噛合している。すなわち、第2内支持用駆動モータ62によって回転軸61を正転または逆転することで、複数の作動部材58が一体的に左方向(出側方向)または右方向(入側方向)に移動する。また、第2内支持用駆動モータ62には、エンコーダ等の第2内支持用回転検出器(検出手段)63が設けられ、該第2内支持用回転検出器63が前記制御手段18に接続され、該制御手段18は、第2内支持用回転検出器63から入力される検出信号によって、第2受けローラ60の現在位置(左右方向の位置)を認識し得るよう構成される。
図5に示す如く、前記制御手段18に、前記昇降用油圧シリンダ17、バックアップ用油圧シリンダ28、第1傾動用油圧シリンダ38、第2傾動用油圧シリンダ42、第3傾動用油圧シリンダ45、送り用駆動モータ22、シフト用駆動モータ25、第1内支持用駆動モータ56、第2内支持用駆動モータ62が、各油圧シリンダ17,28,38,42,45および各駆動モータ22,25,56,62を夫々制御可能に接続される。また、制御手段18に、上ロール用ストロークセンサ19、シフト用ストロークセンサ26、バックアップ用ストロークセンサ29、第1角度検出器40、第2角度検出器43、第3角度検出器46、回転計測手段31、第1内支持用回転検出器57、第2内支持用回転検出器63が接続される。制御手段18には、前記入側コンベヤ20および出側コンベヤ21(具体的にはコンベヤの駆動モータ)が接続されて、該コンベヤ20,21を制御手段18で運転制御するよう構成される。なお、図5では、制御手段18に接続される油圧シリンダや角度検出器等の手段について、符号を共通とする複数の手段では一部の手段のみを図示している。
前記制御手段18は、金属材14の曲げ加工に必要となる各種のデータを記憶する記憶手段としての記憶部64aおよび各種演算処理を実行する演算部64bを備える。また、制御手段18には、前記各油圧シリンダ17,28,38,42,45や各駆動モータ22,25,56,62を動作制御するためのデータ値の入力など、ロールベンダー10を運転する各種データ値(制御データ)を設定するための入力手段と、その設定されたデータ値やロールベンダー10の運転に係るさまざまな設定情報などを表示する表示手段とからなる操作部としてのタッチパネル65が接続される。また、制御手段18には、前記各油圧シリンダ17,28、各駆動モータ22,56,62およびコンベヤ20,21を手動操作により運転制御する第1手動操作手段(手動操作手段)66と、入側支持装置32および出側支持装置33の各油圧シリンダ38,42,45、内側支持装置47の各駆動モータ56,62を手動操作により運転制御する第2手動操作手段(手動操作手段)67とが接続される。実施例では、第1手動操作手段66および第2手動操作手段67は、制御手段18に無線で接続されているが、有線であってもよい。
前記第1手動操作手段66は、図6に示す如く、上ロール11を上昇する上ロール上昇ボタン68a、上ロール11を下降する上ロール下降ボタン68b、上ロール11を正転する(入側から出側に金属材14を移動する)ロール正転ボタン69a、上ロール11を逆転する(出側から入側に金属材14を移動する)ロール逆転ボタン69b、下ロール12,13を前進(入側から出側へシフト移動)する下ロール前進ボタン70a、下ロール12,13を後退(出側から入側へのシフト移動)する下ロール後退ボタン70b、バックアップロール27を上昇するバックアップ上昇ボタン71a、バックアップロール27を下降するバックアップ下降ボタン71b、入側コンベヤ20を前進(入側から出側へ金属材14を移動)する入側CV前進ボタン72a、入側コンベヤ20を後退(出側から入側へ金属材14を移動)する入側CV後退ボタン72b、出側コンベヤ21を前進(入側から出側へ金属材14を移動)する出側CV前進ボタン73a、出側コンベヤ21を後退(出側から入側へ金属材14を移動)する出側CV後退ボタン73bが設けられる。そして、前記制御手段18は、各ボタン68a,68b,69a,69b,70a,70b,71a,71b,72a,72b,73a,73bを操作することで第1手動操作手段66から入力される操作情報に基づいて、油圧シリンダ17,28や駆動モータ22,25、コンベヤ20,21を運転制御する。なお、制御手段18は、油圧シリンダ17,28や駆動モータ22,25、コンベヤ20,21を、ボタン68a,68b,69a,69b,70a,70b,71a,71b,72a,72b,73a,73bを押すことで駆動し、離すことで停止するよう制御する。
前記第2手動操作手段67には、図7に示す如く、前記入側支持装置32における第1支持部34を、ロール側に近接するように傾動させる入側第1UPボタン74aおよびロール側から離間するように傾動させる入側第1DOWNボタン74b、入側支持装置32における第2支持部35を、ロール側に近接するように傾動させる入側第2UPボタン75aおよびロール側から離間するように傾動させる入側第2DOWNボタン75b、入側支持装置32における第3支持部36を、ロール側に近接するように傾動させる入側第3UPボタン76aおよびロール側から離間するように傾動させる入側第3DOWNボタン76bが設けられる。また、第2手動操作手段67には、前記出側支持装置33における第1支持部34、第2支持部35および第3支持部36を、入側支持装置32と同様に傾動させる出側第1UPボタン77a、出側第1DOWNボタン77b、出側第2UPボタン78a、出側第2DOWNボタン78b、出側第3UPボタン79a、出側第3DOWNボタン79bが設けられる。そして、前記制御手段18は、各ボタン74a,74b,75a,75b,76a,76b,77a,77b,78a,78b,79a,79bを操作することで第2手動操作手段67から入力される操作情報に基づいて、入側および出側の各傾動用油圧シリンダ38,42,45を運転制御する。また、図示しないが、第2手動操作手段67には、前記内側支持装置47における昇降体50(ローラ55,60)を上昇する昇降体上昇ボタン、昇降体50(ローラ55,60)を下降する昇降体下降ボタン、作動部材58(第2受けローラ60)を左側に移動(シフト)する作動部材左ボタン、作動部材58(第2受けローラ60)を右側に移動(シフト)する作動部材右ボタンが設けられ、制御手段18は、内側支持装置47に関連するボタンを操作することで第2手動操作手段67から入力される操作情報に基づいて、各内支持用駆動モータ56,62を運転制御する。なお、制御手段18は、各傾動用油圧シリンダ38,42,45や内支持用駆動モータ56,62を、ボタン74a,74b,75a,75b,76a,76b,77a,77b,78a,78b,79a,79bを押すことで駆動し、離すことで停止するよう制御する。
実施例のロールベンダー10は、金属材14の曲げ加工を自動で行う自動モードと、前記第1手動操作手段66を用いて金属材14の曲げ加工を手動操作で行うティーチングモードとを選択可能に構成される。前記タッチパネル65に表示された選択ボタンによって、自動モードとティーチングモードとが選択できるようになっている。自動モードでは、タッチパネル65に表示された自動モード用画面において、加工対象となる金属材14に関する諸条件、例えば、板厚(厚み)、板幅(幅)、板長(長さ)、曲げ内径、降伏点、スプリングバック係数等を入力することで、前記記憶部64aに記憶されている自動演算曲げプログラムで設定された手順(工程)毎に、前記演算部64bにおいて記憶部64aに記憶されている演算式によって上ロール11の昇降動、下ロール12,13のシフト移動、金属材14の移動、バックアップロール27の昇降動等に関するデータ値(制御データ)が算出され、該データ値が、曲げ工程毎に設定される。そして、自動モードでの運転を開始することで、前記制御手段18が、自動演算により算出されて各工程毎に設定されたデータ値に基づいて対応する油圧シリンダや駆動モータを制御して、上ロール11、下ロール12,13、バックアップロール27、金属材14を移動することで金属材14が自動で曲げ加工される。
ここで、ロールベンダー10による金属材14の曲げ加工は、基本的には以下の工程手順で行われる。なお、曲げ加工は、入側から出側に向けて送った金属材14の先端が、前記ストッパに当接した状態から開始される。
1.下ロール12,13を基準位置から入側にシフトすると共に、バックアップロール27を上昇する。
2.上ロール11を基準位置から下降し、下ロール12,13とで金属材14を挟んで上ロール11の回転によって金属材14を移動可能とする。
3.上ロール11を逆転して、金属材14の先端部を上ロール11と下ロール12,13とで曲げ可能な位置まで移動する。
4.上ロール11を適正な曲げ位置まで下降し、金属材14を移動しつつ該金属材の曲げ加工を行う。
5.金属材14における後端部の曲げ加工に際し、下ロール12,13を基準位置から出側にシフトする。
なお、4.5.の工程では、金属材14の先端部および後端部と、先端部と後端部との間の中間部を曲げ加工する際には、上ロール11の位置(高さ位置)や、上ロール11に対する下ロール12,13の前後位置が変更される複数の工程に分けられる。
前記自動モードにおいて演算式によって算出されたデータ値が、前記各工程毎に設定された工程表は、前記記憶部64aの所定の記憶領域において、金属材14の品種毎に設定された品種番号に関連付けて記憶(登録)される。そして、既に登録されている品種の金属材14を曲げ加工する場合には、タッチパネル65で品種番号を入力したり複数から選択することで制御手段18は、記憶領域から対応する品種番号に関連付けられた自動演算に係る工程表を呼び出し、当該工程表のデータ値に基づいて金属材14を自動で曲げ加工し得るよう構成される。なお、自動演算に係る工程表に設定されるデータ値は、上ロール11、下ロール12,13およびバックアップロール27を、対応する油圧シリンダ17,28や駆動モータ25を駆動して移動する移動量に関する制御データである。
前記ティーチングモードでは、作業者が前記第1手動操作手段66を操作して、前記昇降用油圧シリンダ17、シフト用駆動モータ25、バックアップ用油圧シリンダ28、送り用駆動モータ22を制御することで、上ロール11の昇降動、下ロール12,13のシフト移動、バックアップロール27の昇降動、金属材14の移動(材料送り)が実行される。そして、上ロール11の昇降動、下ロール12,13のシフト移動、バックアップロール27の昇降動および金属材14の移動を停止したもとで、前記タッチパネル65の記憶ボタンを押すことで、上ロール11、下ロール12,13、バックアップロール27、金属材14が停止した位置での、前記上ロール用ストロークセンサ19、シフト用ストロークセンサ26、バックアップ用ストロークセンサ29、回転計測手段31の検出値に基づいて得られる、上ロール11、下ロール12,13、バックアップロール27および金属材14の停止状態からの移動量が、データ値として前記記憶部64aに設定記憶される。なお、前記制御手段18は、第1手動操作手段66のボタン操作により入力される操作情報によって、上ロール11や下ロール12,13等の制御対象を特定すると共に、該制御対象の移動方向(上昇、下降、前進、後退等)を特定し、データ値と共に記憶する。
前記1.~5.の工程手順で概ね進行される曲げ加工を実行するためのティーチングモードにおいて、データ値を設定記憶する操作について、具体的に説明する。前記選択ボタンによる選択によってタッチパネル65に表示されたティーチングモード用画面において、自動モードの場合と同様に、加工対象となる金属材14を特定するために、前述した諸条件を入力する。ティーチングモード用画面では、例えば図8に示す工程表80が表示される。この工程表80では、工程番号の項目81と、制御対象となる上ロール昇降動の項目82、下ロールシフト移動の項目83、金属材移動の項目84、バックアップロール昇降動の項目85が横一列で表示される。なお、初期状態では、制御対象となる全ての項目82,83,84,85に対応する欄の数値(データ値)は、0または0.0となっている。
ティーチングモード用画面では、データ値を設定記憶させる工程番号の欄の表示色を、基本色から変更する。この状態で、例えば、前記シフト用駆動モータ25を手動操作によって駆動し、下ロール12,13を適正な位置までシフト移動して停止すると共に、前記バックアップ用油圧シリンダ28を手動操作によって駆動し、バックアップロール27を適正な位置まで上昇して停止した状態で、タッチパネル65の記憶ボタンを押すことで、前記制御手段18は、第1手動操作手段66から入力される操作情報に基づいて制御対象を特定する。また、制御手段18は、前記シフト用ストロークセンサ26およびバックアップ用ストロークセンサ29によって検出される下ロール12,13およびバックアップロール27の夫々の移動量に対応するデータ値B1,D1を、工程番号1における制御対象の項目(下ロールシフト移動、バックアップロール昇降動)83,85の対応する欄に表示すると共に、当該データ値B1,D1を設定記憶する。制御手段18は、記憶ボタンが押され、制御対象およびデータ値B1,D1を設定記憶すると、工程番号1の欄の表示色を基本色に戻すと共に次の工程番号2の欄の表示色を基本色から変更し、当該工程番号2に対応する各項目の欄にデータ値を設定記憶可能な状態とする。工程番号2の欄の表示色が変更された状態で、前記昇降用油圧シリンダ17を手動操作によって駆動し、上ロール11を適正な位置まで下降して停止した状態で、タッチパネル65の記憶ボタンを押すことで、制御手段18は、第1手動操作手段66から入力される操作情報に基づいて制御対象を特定し、前記上ロール用ストロークセンサ19によって検出される上ロール11の移動量に対応するデータ値A1を、工程番号2における制御対象の項目(上ロール昇降動)82の対応する欄に表示すると共に、当該データ値A1を設定記憶する。制御手段18は、記憶ボタンが押され、制御対象およびデータ値A1を設定記憶すると、工程番号2の欄の表示色を基本色に戻すと共に次の工程番号3の欄の表示色を変更し、当該工程番号3に対応する各項目の欄にデータ値を設定記憶可能な状態とする。工程番号3の欄の表示色が変更された状態で、前記送り用駆動モータ22を手動操作によって駆動し、金属材14を目標位置まで移動して停止した状態で、タッチパネル65の記憶ボタンを押すことで、制御手段18は、第1手動操作手段66から入力される操作情報に基づいて制御対象を特定し、前記回転計測手段31によって検出される金属材14の移動量に対応するデータ値C1を、工程番号3における制御対象の項目(金属材移動)84の対応する欄に表示すると共に、当該データ値C1を設定記憶する。制御手段18は、記憶ボタンが押され、制御対象およびデータ値C1を設定記憶すると、工程番号3の欄の表示色を基本色に戻すと共に次の工程番号4の欄の表示色を変更し、当該工程番号4に対応する各項目の欄にデータ値を設定記憶可能な状態とする。
実際に金属材14の曲げ加工を進行させ、制御対象を停止した状態で得たデータ値を設定記憶する工程を繰り返し、金属材14の曲げ加工が完了した後、タッチパネル65の登録ボタンを押すことで、ティーチングモードにおいてデータ値が各工程毎に設定された工程表80は、前記記憶部64aの所定の記憶領域において、金属材14の品種毎に設定された品種番号に関連付けて記憶(登録)される。そして、既にティーチングによる工程表80が登録されている品種の金属材14を曲げ加工する場合には、自動モードにおいてタッチパネル65で品種番号を入力等することで制御手段18は、記憶領域から対応する品種番号に係る工程表80を呼び出し、当該工程表80のデータ値に基づいて各油圧シリンダ17,28や駆動モータ22,25を制御して、ロール11,12,13,27や金属材14を移動することで、該金属材14を自動で曲げ加工し得るよう構成される。なお、図8において、データ値が設定記憶された工程番号の次の工程番号において、各項目に対応する欄に表示される「0」や「0.0」の数値は、前の工程番号で設定されたデータ値に基づいて移動した位置から移動しないように、各制御対象(具体的には制御対象を移動する油圧シリンダや駆動モータ)を制御することを示している。すなわち、ティーチングにより工程表80を作成する際には、各工程において、ロール11,12,13,27および金属材14の内、実際に手動操作によって移動した制御対象に対応する項目の欄にのみ、移動量に対応するデータ値が設定される。
実施例のロールベンダー10では、前記演算式によって算出されたデータ値が設定された工程表に基づいて金属材14を曲げ加工する場合およびティーチングモードで作成した工程表80に基づいて金属材14を曲げ加工する場合の何れにおいても、前記入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47について、ティーチングによって姿勢(傾斜角度)および位置(高さ位置および左右方向の位置)を変化させる工程表を作成し、該工程表に基づいて入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47を自動で動作させ得るよう構成される。
前記入側支持装置32および出側支持装置33のティーチングは、金属材14の加工中(具体的には加工途中で金属材14の移動を停止した状態)において、作業者が前記第2手動操作手段67を操作して、前記各傾動用油圧シリンダ38,42,45を制御することで、入側支持装置32または出側支持装置33の各第1支持部34、第2支持部35または第3支持部36を、金属材14の外周面を支持可能な傾斜角度となるように移動(傾動)する動作を実行することで行われる。そして、傾斜角度を変更した第1支持部34、第2支持部35または第3支持部36を停止したもとで、前記タッチパネル65の記憶ボタンを押すことで、前記制御手段18は、第2手動操作手段67から入力される操作情報に基づいて制御対象(支持部)を特定する。また、制御手段18は、制御対象である第1支持部34、第2支持部35または第3支持部36が停止した位置での、前記第1角度検出器40、第2角度検出器43または第3角度検出器46の検出値に基づいて得られる、第1支持部34、第2支持部35または第3支持部36の現在の傾斜角度を、データ値として前記記憶部64aに設定記憶する。実施例では、支持部34,35,36を金属材14の外周面を支持する支持位置に移動したときの、該支持位置に関係する制御データとし、該支持部34,35,36の傾斜角度の数値が用いられる。
例えば、ティーチングにより作成した図8に示す曲げ加工に係る工程表80に基づいて金属材14を曲げ加工する場合に実行される入側支持装置32および出側支持装置33のティーチングについて説明する。入側支持装置32および出側支持装置33のティーチングを実行する場合は、前記ティーチングモード用画面に、曲げ加工に係る工程表80および支持装置用の工程表86(図9参照)が表示される。なお、支持装置用の工程表86では、内側支持装置47のティーチングによる各データ値を表示す項目も表示されるが、先に入側支持装置32および出側支持装置33のティーチングに関連する部分について説明する。支持装置用の工程表86では、工程番号の項目81と、各支持部34,35,36の傾斜角度を変更する位置となる作動位置の項目87と、制御対象となる入側の第1支持部34に対応する入側第1の項目88、入側の第2支持部35に対応する入側第2の項目89、入側の第3支持部36に対応する入側第3の項目90、出側の第1支持部34に対応する出側第1の項目91、出側の第2支持部35に対応する出側第2の項目92、出側の第3支持部36に対応する出側第3の項目93が横一列で表示される。なお、初期状態では、作動位置の項目87および制御対象となる全ての項目88,89,90,91,92,93に対応する欄の数値(データ値)は、0.0となっている。また、実施例では、支持部34,35,36の傾斜角度を変更する位置を指定する作動位置は、金属材14の移動量に対応するデータ値で特定するようになっている。また、支持装置用の工程表86における工程番号は、曲げ加工に係る工程表80の工程番号と対応している。
すなわち、工程表80に基づく金属材14の曲げ加工が進行し、工程番号4の工程が実行されている際に、曲げ加工を一旦停止し、前記第2手動操作手段67を用いて出側支持装置33の第1傾動用油圧シリンダ38を駆動して、曲げ加工された金属材14の外周面を支持可能な傾斜角度まで第1支持部34を水平姿勢から傾動して停止する。また、第2手動操作手段67を用いて出側支持装置33の第3傾動用油圧シリンダ45を駆動して、曲げ加工された金属材14の外周面を支持可能な傾斜角度まで第3支持部36を基準姿勢から傾動して停止する。この状態で、前記記憶ボタンを押すことで、制御手段18は、前記第1角度検出器40および第3角度検出器46によって検出される第1支持部34および第3支持部36の現在の傾斜角度のデータ値H1,J1を、工程番号4における制御対象の項目(出側第1、出側第3)91,93の対応する欄に表示すると共に、当該データ値H1,J1を設定記憶する。なお、工程表80に基づく曲げ加工を停止したときの、前記回転計測手段31で検出される金属材14の移動量に対応するデータ値C2’が、工程番号4における作動位置の項目87に対応する欄に表示されると共に設定記憶される。データ値C2’は、具体的には、金属材14が、工程表80の工程番号3の工程が完了した時点での金属材14の現在位置から、工程表80の工程番号4で設定記憶されたデータ値C2に対応する移動量となる位置まで金属材14が移動される途中の移動量の値となる。
前述したように、工程表80に基づく曲げ加工が進行している状態で、入側支持装置32および出側支持装置33での金属材14の支持が必要となる時点で曲げ加工を一旦停止し、その停止状態で第1支持部34、第2支持部35、第3支持部36の何れか一つ、または二つ、または三つを対応する傾動用油圧シリンダ38,42,45によって傾動させて、当該位置での傾斜角度のデータ値および金属材14の停止時の移動量のデータ値を設定記憶することを繰り返すことで、入側支持装置32および出側支持装置33を自動で動作するための工程表86が作成される。作成した工程表86は、タッチパネル65の登録ボタンを押すことで、曲げ加工されている金属材14の品種番号に関連付けて記憶(登録)される。そして、既に登録されている品種の金属材14を曲げ加工する場合に、自動モードにおいてタッチパネル65で品種番号を入力等することで制御手段18は、記憶領域から対応する品種番号に係る曲げ加工に係る工程表80および支持装置用の工程表86を呼び出し、当該曲げ加工に係る工程表80のデータ値に基づいて金属材14を自動で曲げ加工し得ると共に、入側支持装置32および出側支持装置33を支持装置用の工程表86のデータ値に基づいて自動で姿勢変化させて金属材14の外周面を支持するよう構成される。
前記内側支持装置47のティーチングは、前記入側支持装置32および出側支持装置33のティーチングと同様であって、金属材14の加工中(具体的には加工途中で金属材14の移動を停止した状態)において、作業者が前記第2手動操作手段67を操作して、前記各内支持用駆動モータ56,62を制御することで、内側支持装置47の第1受けローリ55または第2受けローラ60を、金属材14の内周面を支持可能な位置に位置付くように移動(昇降および左右移動)する動作を実行することで行われる。内側支持装置47のティーチングについて、図8に示す曲げ加工に係る工程表80に基づいて金属材14を曲げ加工する場合に実行されるティーチングで説明する。すなわち、内側支持装置47のティーチングを実行する場合は、前記ティーチングモード用画面に、曲げ加工に係る工程表80および支持装置用の工程表86(図9参照)が表示される。支持装置用の工程表86では、工程番号の項目81に並んで、制御対象となる昇降体50の昇降に対応する支持昇降の項目94と、制御体象となる第2内支持部52における作動部材68の左右移動に対応する支持シフトの項目95とが表示される。
工程表80に基づく金属材14の曲げ加工が進行し、例えば工程番号6の工程が実行されている際に、曲げ加工を一旦停止し、前記第2手動操作手段67を用いて内側支持装置47の第1内支持用駆動モータ56を駆動して、曲げ加工された金属材14の内周面を支持可能な高さ位置まで第1受けローラを移動して停止する。また、第2手動操作手段67を用いて内側支持装置47の第2内支持用駆動モータ62を駆動して、曲げ加工された金属材14の内周面を支持可能な左右方向の位置まで第2受けローラ60を移動して停止する。この状態で、前記記憶ボタンを押すことで、制御手段18は、前記第1内支持用回転検出器57および第2内支持用回転検出器63によって検出される第1受けローラ55および第2受けローラ60の現在の位置のデータ値Q1,R1を、工程番号6における制御対象の項目(支持昇降、支持シフト)64,65の対応する欄に表示すると共に、当該データ値Q1,R1を設定記憶する。また、工程表80に基づく曲げ加工を停止したときの、前記回転計測手段31で検出される金属材14の移動量に対応するデータ値C4’が、工程番号6における作動位置の項目87に対応する欄に表示されると共に設定記憶される。なお、実施例では、入側支持装置32および出側支持装置33における各支持部34,35,36を姿勢変化させる位置(工程番号)と、内側支持装置47における各受けローラ55,60の位置を変化させる位置(工程番号)とが同じとなっている場合で説明したが、異なる場合であってもよいことは勿論である。すなわち、支持部34,35,36で金属材14の外周面を適正に支持するために姿勢変化させる位置(作動位置)と、受けローラ55,60で金属材14の内周面を適正に支持するために支持位置を変化させる位置(作動位置)とは異なる場合があるので、支持部34,35,36を姿勢変化させる位置(作動位置)と、受けローラ55,60の支持位置を変化させる位置(作動位置)とは夫々個別に設定できる。
内側支持装置47のティーチングにおいて、前記曲げ加工の一旦停止、第1受けローラ55または第2受けローラ60の移動、支持位置に関するデータ値および金属材14の移動量に対応するデータ値の設定記憶の作業を、曲げ加工による位置が変化して金属材14を適正に支持し得なくなる毎に繰り返し実行することで、支持装置用の工程表86を作成し、該支持装置用の工程表86を金属材14の品種番号に関連付けて記憶(登録)する。すなわち、既に登録されている品種の金属材14を曲げ加工する場合に、自動モードにおいてタッチパネル65で品種番号を入力等することで制御手段18は、記憶領域から対応する品種番号に係る自動演算またはティーチングより作成した工程表86を呼び出し、当該工程表86のデータ値に基づいて金属材14を自動で曲げ加工し得ると共に、内側支持装置47を支持装置用の工程表86のデータ値に基づいて自動で移動して金属材14の内周面を支持し得るよう構成される。
ここで、実施例のロールベンダー10では、自動演算またはティーチングによって作成した工程表の各データ値について、タッチパネル65を用いて修正して更新し得るよう構成される。例えば、記憶部64aに既に記憶されている工程表をタッチパネル65に表示し、該タッチパネル65に表示されたスクロールボタン等を操作して修正する工程の項目を選択し、該項目のデータ値を、テンキー等による数値入力により変更した後に、記憶ボタンの操作により設定記憶することで更新できる。
〔実施例の作用〕
次に、前述のように構成された実施例のロールベンダー10の作用につき、ティーチングモードで作成した図8に示す工程表86に従って金属材14を曲げ加工する場合で説明する。
前記制御手段18は、図8に示す工程表86による金属材14の曲げ加工を開始すると、上ロール11および金属材14を停止したもとで、前記シフト用駆動モータ25およびバックアップ用油圧シリンダ28を駆動し、下ロール12,13を入側に向けてシフト移動すると共に、バックアップロール27を上昇させる。前記シフト用ストロークセンサ26で検出される移動量が、工程番号1に対応する下ロールシフト移動の欄に設定記憶されているデータ値B1と一致すると、前記制御手段18はシフト用駆動モータ25を停止制御する。また、前記バックアップ用ストロークセンサ29で検出される移動量が、工程番号1に対応するバックアップロール昇降動の欄に設定記憶されているデータ値D1と一致すると、制御手段18はバックアップ用油圧シリンダ28を停止制御する。制御手段18は、工程番号1で特定される動作を完了すると、続いて工程番号2のの動作を行うべく、前記昇降用油圧シリンダ17を駆動して上ロール11を下降し、前記上ロール用ストロークセンサ19で検出される移動量が、工程番号2に対応する上ロール昇降動の欄に設定記憶されているデータ値A1と一致すると、前記制御手段18は昇降用油圧シリンダ17を停止制御する。
前記制御手段18は、工程番号2で特定される動作を完了すると、続いて工程番号3のの動作を行うべく、前記送り用駆動モータ22を駆動して金属材14を入側に移動し、該金属材14の先端部を上ロール11および下ロール12,13で曲げ可能な位置に向けて移動する。前記回転計測手段31で検出される金属材14の移動量が、工程番号3に対応する金属材移動の欄に設定記憶されているデータ値C1と一致すると、制御手段18は送り用駆動モータ22を停止制御する。工程番号3で特定される動作を完了すると、続いて工程番号4の動作を行うべく、前記昇降用油圧シリンダ17を駆動して上ロール11を下降し、前記上ロール用ストロークセンサ19で検出される移動量が、工程番号4に対応する上ロール昇降動の欄に設定記憶されているデータ値A2と一致すると、前記制御手段18は昇降用油圧シリンダ17を停止制御する。また、前記送り用駆動モータ22を駆動し、工程番号4に対応する金属材移動の欄に設定記憶されているデータ値C2だけ金属材14を出側に移動し、該金属材14の先端部を上ロール11および下ロール12,13で曲げ加工する。
以後は、前記制御手段18が、工程表80に設定される工程順で動作を行うように油圧シリンダ17,25,28および駆動モータ22を制御することで、金属材14は自動で曲げ加工される。
実施例のロールベンダー10は、演算式によってデータ値を自動で算出して工程表を作成する自動モードとは別に、前記第1手動操作手段66を用いて実際に金属材14を曲げ加工しつつデータ値を設定記憶した工程表を作成し得るティーチングモードを選択可能に構成している。そして、ティーチングモードで作成した工程表を登録し、同一品種の金属材14を曲げ加工する場合は、登録した工程表を呼び出し、該工程表に従って金属材14を自動で曲げ加工することができるので、同一品種の金属材14を曲げ加工する都度、ティーチングモードでの作業者による曲げ作業を行う必要はなく、金属材14の加工能率を向上することができると共に省力化を図ることができる。すなわち、金属材14を、曲率が一様でない、楕円筒形等の異形筒形に形成する場合に、最初にティーチングモードで工程表を作成しておけば、以後の同一品種の金属材14の曲げ加工は自動で行うことができる。また、熟練した作業者によって最初に工程表を作成しておけば、次からは自動で曲げ加工することができるので、作業者の熟練度に関係なく製品品質のバラツキをなくすことができる。
次に、前記入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47を、既に作成した支持装置用の工程表に従って動作させる場合の作用について説明する。
前記自動モードにおいて、前記自動演算またはティーチングによって作成した曲げ加工に係る工程表に基づいて金属材14を自動で曲げ加工する場合に、前記制御手段18は、各工程表に対応付けて記憶されている支持装置用の工程表に従って、前記入側および外側の支持装置32,33における各傾動用油圧シリンダ38,42,45を制御して、支持部34,35,36の姿勢を変化する。すなわち、先端部が曲げ加工された金属材14が出側に移動し、該金属材14の移動量が、外側支持装置用の工程表における支持部34,35,36の傾斜角度を変更する所定の工程番号に対応して設定された作動位置に到達すると、制御手段18は、該工程番号に対応する項目で設定された支持部34,35,36の傾動用油圧シリンダ38,42,45を駆動し、対応する支持部34,35,36を、角度検出器40,43,46の検出値に基づいて支持装置用の工程表に設定されたデータ値(傾斜角度)と一致する位置で停止する。これにより、図10に示す如く、出側支持装置33における各支持部34,35,36は、金属材14の曲がりに概ね沿う姿勢に変化し、自重によって金属材14が外側に撓んだり変形するのは防止される。
また、前記制御手段18は、前記内側支持装置47の前記第1内支持用駆動モータ56および第2内支持用駆動モータ62を支持装置用の工程表のデータ値に基づいて制御して、前記第1受けローラ55の高さ位置および第2受けローラ60の左右方向の位置を変化する。すなわち、曲げ加工される金属材14の先端部が、前記上ロール11の真上に至る前の金属材14の移動量が、内側支持装置用の工程表における第1受けローラ55の高さ位置を変更する移動量に到達すると、前記第1内支持用駆動モータ56が駆動されて第1受けローラ55の高さ位置が変更され、前記第1内支持用回転検出器57の検出値に基づいて、支持装置用の工程表に設定されたデータ値(移動量)と一致する支持位置で停止する。また、曲げ加工される金属材14の先端部が、前記上ロール11の真上に至る前の金属材14の移動量が、支持装置用の工程表における第2受けローラ60の左右方向の位置を変更する移動量に到達すると、前記第2内支持用駆動モータ62が駆動され、出側の第2受けローラ60の位置が変更され、前記第2内支持用回転検出器63の検出値に基づいて、支持装置用の工程表に設定されたデータ値(移動量)と一致する支持位置で停止する。これにより、図11(a)に示す如く、第1受けローラ55は、上ロール11の真上を越えて入側に移動する金属材14の内周面を支持すると共に、金属材14における出側に位置する部位の内周面が第2受けローラ60で支持され、自重によって金属材14が内側(下側や入側)に撓んだり変形するのは防止される。
前記金属材14の曲げ加工が進行し、その先端部が上ロール11を越えて入側に移動し、該金属材14の移動量が、支持装置用の工程表における入側支持装置32の支持部34,35,36の傾斜角度を変更する所定の工程番号に対応して設定された作動位置に到達すると、前記制御手段18は、該工程番号に対応する項目で設定された支持部34,35,36の傾動用油圧シリンダ38,42,45を駆動し、対応する支持部34,35,36を、角度検出器40,43,46の検出値に基づいて支持装置用の工程表に設定されたデータ値(傾斜角度)と一致する位置で停止する(図10(d)参照)。これにより、入側支持装置32における各支持部34,35,36は、金属材14の曲がりに概ね沿う姿勢に変化し、自重によって金属材14が外側に撓んだり変形するのは防止される。
また、金属材14の先端部が上ロール11を越えて入側に移動し、金属材14の移動量が、支持装置用の工程表における第2受けローラ60の左右方向の位置を変更する移動量に到達すると、前記制御手段18は、前記第2内支持用駆動モータ62を駆動し、入側の第2受けローラ60の位置が変更され、前記第2内支持用回転検出器63の検出値に基づいて、支持装置用の工程表に設定されたデータ値(移動量)と一致する位置で停止する。これにより、図11(b)に示す如く、金属材14における入側に位置する部位の内周面が第2受けローラ60で支持され、自重によって金属材14が内側(下側や入側)に撓んだり変形するのは防止される。
実施例のロールベンダー10では、前記入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47を動作制御するための支持装置用の工程表をティーチングにより作成し、該工程表のデータ値に基づいて入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47を、金属材14の品種毎に対応して動作し得るよう構成した。これにより、加工中の金属材14の外周面および内周面を適正に支持することができ、金属材14が加工中に撓んだり変形したりすることなく、金属材14を目的の形状に精度よく曲げ加工することができる。また、入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47は、品種に対応して予め登録した工程表のデータ値に従って自動で動作するので、曲げ加工の都度、作業者が手動操作で入側支持装置32や出側支持装置33の姿勢や、内側支持装置47の位置を変更する作業を省略することができ、省力化を図ることができる。また、工程表のデータ値は、ティーチングによって得るので、金属材14を、曲率が一様の円筒形に曲げ加工する場合に限らず、曲率が一様でない楕円筒形等の異形筒形に曲げ加工する場合においても、入側支持装置32、出側支持装置33および内側支持装置47を自動で動作して金属材14を内外から支持することができる。
実施例のロールベンダー10では、自動演算またはティーチングによる曲げ加工に係る工程表(データ値)と、外側支持装置32,33および内側支装置47の支持に係る工程表(データ値)とを、金属材14の品種毎に対応付けて記憶部64aに記憶するよう構成したので、品種を選択するだけで、金属材14の曲げ加工および加工中の金属材14の支持を自動で行うことができ、作業性がよい。
ここで、演算式によって算出したデータ値に基づく曲げ加工に係る工程表を用いて、金属材14を曲率が一様な円筒形に曲げ加工しても、加工精度が低く手直しが必要となる場合がある。この場合は、加工後の作業者による矯正作業が必要となって手間が掛かり、加工能率が低下する。しかるに、実施例のロールベンダー10では、既に記憶した工程表の各データ値を修正可能に構成したので、金属材14を曲率が一様な円筒形に曲げ加工する場合の加工精度を向上し得ると共に、加工能率が低下するのを防ぐことができる。また、実施例のロールベンダー10では、自動演算により作成した工程表に限らず、ティーチングによって作成した曲げ加工に係る工程表や支持装置用の工程表についても、該工程表に設定された各データ値を修正可能に構成したので、同一品種であっても加工精度にバラツキが生じた場合には、データ値を修正することで、加工精度を向上させることができる。
(別実施例について)
実施例のロールベンダー10では、自動演算またはティーチングにより工程表を夫々独立して作成するよう構成したが、別実施例のロールベンダーでは、自動演算とティーチングとを組み合わせて工程表を作成することができるよう構成される。なお、別実施例のロールベンダーの構成は、実施例のロールベンダー10と同一であって、制御手段18での工程表の作成方式が異なるのみであるので、構成の詳細説明は省略すると共に、既出の同一部材には同じ符号を付すものとする。
自動演算による工程表の作成は、金属材14を曲率が一様な円筒形に曲げ加工する場合に用いられ、ティーチングによる工程表の作成は、金属材14を楕円筒形等の曲率が一様でない異形筒形に曲げ加工する場合に好適に用いられる。そこで、別実施例のロールベンダーにおいて、金属材14を、曲率が一様な部分と、曲率が一様でない部分とが組み合わされた異形筒形に曲げ加工する場合に、先ず自動モードにおいて、曲率が一様な円筒形に曲げ加工するための自動演算による工程表を作成(必要なデータ値を記憶)する。その後に、前記作成した工程表を呼び出し、当該工程表に従って、曲率が一様な部分の曲げ加工を自動で実行させる。そして、曲率が一様でない部分を加工する工程については、自動での曲げ加工を停止し、前記第1手動操作手段66を用いて対応する上ロール11や金属材14を実際に移動して適切な曲げ加工を行い、前記ティーチングモードの場合と同様に、曲げ加工を停止する毎に、上ロール11や金属材14の停止時の移動量に関するデータ値を、当該工程のデータ値として変更して設定記憶する。このようにして、自動演算によるデータ値の算出と、ティーチングによるデータ値の設定とを組み合わせた工程表を作成することで、自動演算によるデータ値を有効に利用することができ、金属材14を異形筒形に曲げ加工する場合に、最初に必要となる曲げ加工に係る時間を短縮し得ると共に作業者の負担を軽減することができる。
〔変更例〕
本願は、前述した実施例や別実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.実施例等では、金属材を円筒形や楕円筒形等に曲げ加工する場合で説明したが、曲げ加工する形状は、筒形に限らず、U字形や半円形等であってもよい。
2.実施例等では、金属材の曲げ加工に関わる油圧シリンダや駆動モータを手動操作で制御する第1手動操作手段と、金属材の支持に関わる油圧シリンダや駆動モータを手動操作で制御する第2手動操作手段とを別々に設けたが、1つの手動操作手段によって各油圧シリンダや駆動モータを制御する構成を採用することができる。
3.実施例等では、ティーチングモードにおいて、制御手段とは別体で設けた第1手動操作手段を手動操作して各手段(油圧シリンダや駆動モータ)を制御するよう構成したが、タッチパネルに、第1手動操作手段に設けたと同様に機能する操作ボタンを表示させ、該操作ボタンを操作して各手段(油圧シリンダや駆動モータ)を制御する構成を採用することができる。また、同様に、第2手動操作手段の機能を、タッチパネルが備えるようにすることもできる。
4.実施例等では、上ロールを加圧手段としての油圧シリンダによって昇降動するよう構成したが、定位置に保持した上ロールに対して両下ロールを加圧手段(油圧シリンダや電気モータ)によって昇降動することで、両下ロールに載置した金属材を上ロールとの間で挟持して曲げ加工する構成を採用し得る。すなわち、上ロールと下ロールとは、相対的に近接離間移動し得るものであればよい。
5.実施例等では、両下ロールを一定の軸心間距離に保持したもとで一体的に水平方向に移動するよう構成したが、両下ロールを夫々独立して水平方向に移動する構成を採用し得る。
6.実施例等では、上ロールに対して下ロールを材料移動方向の前後にシフト移動するよう構成したが、下ロールに対して上ロールを材料移動方向の前後にシフト移動する構成を採用することができる。
7.実施例等では、上ロールを回転駆動して金属材を移動させるよう構成したが、下ロールを駆動モータで回転して金属材を移動するようにしたり、上下のロールを夫々駆動モータで回転して金属材を移動する構成を採用することができる。
8.バックアップロールは、下ロールの軸方向に離間して複数配置し、各バックアップロールの位置を、下ロールの軸線が上ロールの軸線と平行となるように昇降するよう駆動手段を制御する構成を採用することができる。
9.入側支持装置および出側支持装置を構成する支持部の数は、3つに限らず1つ、2つまたは3つ以上を相互に回動自在に接続したものであってもよく、数を多くすることで、曲げ加工される金属材の外周面により倣う姿勢に変化させることができるので好適である。また、各支持部のアーム体は、直線状に限らず、金属材を向く面が、弧状となっているものであってもよい。
10.実施例等では、第2内支持部として、全ての作動部材を同一方向に移動するよう構成したが、夫々独立して左右方向に移動する右作動部材および左作動部材を設け、左右の作動部材の端部に設けた第2受けローラによって、金属材の内周面の左右両側を支持する構成を採用することができる。
11.実施例等では、内側支持装置について、ティーチングによって工程表を作成するよう構成したが、金属材を曲率が一定の円筒形に形成する場合では、金属材の曲率と金属材の移動量との関係に基づいて、演算式によって第1受けローラおよび第2受けローラの位置を変化するパターンを設定することは容易であるので、該内側支持装置の工程表を、自動演算による算出されるデータ値に基づいて作成する構成を採用することができる。
12.実施例等において、駆動手段や移動手段として油圧シリンダを用いる構成を、駆動モータに換えることができると共に、駆動手段として駆動モータを用いる構成を、油圧シリンダを用いる構成に換えることができる。
13.実施例等において、自動演算またはティーチングによって作成した工程表の各データ値について、タッチパネルを用いて修正して更新し得るよう構成したが、手動操作手段にタッチパネルと同等の機能を付加し、該手動操作手段によって工程表の各データ値を修正して更新する構成を採用することができる。