JP2021519579A - バニリンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、改良した生体触媒を適用することによって、バニリン及び/又はそれらの誘導体を製造するための新規方法に関する。前記改良した生体触媒を製造するための発現系も提供する。さらに、これと共に、バニリンの生化学的製造において適用可能な、対応する配列及びベクターをコードする、新規の酵素変異体が提供される。本発明はさらに、生体触媒の機能的発現を改善するために遺伝子改変された組換え宿主細胞又は生物、並びにバニリンを生成するのに有用な組換え宿主細胞又は生物を提供する。

Description

本明細書において、新規のポリペプチドの組み合わせの使用を含む、バニリン並びに関連する化合物及び誘導体を製造するための生化学的方法が提供される。さらに、これと共に、バニリンの生化学的製造において適用可能な新規の酵素変異体が提供される。
背景技術
バニリンは、食品、飲料、及び医薬品において使用するための世界的に重要な化合物である。世界の生産のごく一部のみが、バニラの鞘からの抽出によって天然に自然に得られるが、しかしながら、これらの天然植物源の利用可能性は低く、生産方法は面倒で時間がかかる。ラン科のV.プラニフォリア(V. planifolia)又はV.タヒテンシス(V. tahitensis)の鞘から得られる複雑な抽出物は、独特で複雑な混合物及び嗅覚特性を高コストで提供する一方で、バニリンの大部分(>99%、すなわち年間16000トン)は、石油化学原料から生産され、未だ少量の画分が、製紙産業のリグニン廃棄物から得られている。しかしながら、主に北米及び欧州に供給している天然の「豆由来ではないバニリン(vanillin not from the bean)」(NFB)についての市場は小さくても成長している。天然の状態を主張するための規制要件は、これら2つの市場で異なる。
フェルラ酸、クルクミン、オイゲノール、又はイソオイゲノールを含む種々の出発材料は、種々の生化学を使用してバニリンに変換できる。バニリンを製造するための生化学法は、調査されている[Gallage NJ, Moller BL. 2015. Mol Plant 8, 40−57; Kaur, B, Chakraborty, D. 2013. Appl Biochem Biotechnol 169,1353−1372; Walton NJ, Mayer MJ, Narbad A. 2003. Phytochem 63, 505−515]。
最近では、単純な炭素源、例えばグルコースのような糖をバニリンに変換できる微生物が設計されている[Hansen EH, Lindberg Moller B, Kock GR, Buenner CM, C Kristensen, Jensen OR, Okkels FT, Olsen CE, Motawia MS, Hansen J. 2009. Appl Environ Microbiol 75, 2765−2774; Ni J, Tao F, Du H, Xu P. 2015. Sci Rep 5, 1−11]。
イソオイゲノールは、多くの植物において見られるフェニルプロペノイドである。しかしながら、それは、強塩基の存在下で熱下での異性化によって伝統的に得られているオイゲノールよりも豊富ではないようである。その方法は、天然のフレーバー付与物質についての欧州の法律にもはや適合しない。しかしながら、イソオイゲノールを豊富に含む植物を同定できた。
イソオイゲノールは、種々の生化学的方法によってバニリンに変換されうる。例えば、非ヘム鉄含有酵素、例えばリポキシゲナーゼ、又は鉄ポルフィリン含有酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ)は、イソオイゲノールをバニリンに酸化により切断するために使用されてきた。近年、精製されたヘミンのみが、かかる生体内変化のための非特異的ヘム含有酵素と同様に優れていることが見出された[Mutti FG. 2012. Bioorg Chem Appl 2012,1−13; Li Y−H, Sun Z−H, Zhao L−Q, Xu Y. 2005. Appl Biochem Biotechnol 125, 1−10; Mutti FG, Lara M, Kroutil M, Kroutil W. 2010. Chem Eur J 16, 14142−14148]。しかしながら、これらの方法は、副生成物を形成する傾向がある。
興味深いことに、イソオイゲノールモノオキシゲナーゼを含むがこれに限定されない微生物起源のイソオイゲノール酸化酵素は、イソオイゲノールをバニリンに変換するために記載されている[Ryu J−Y, J Seo, S Park, J−H Ahn, Y Chong, MJ Sadowsky, H−G Hur. 2013. Biosci Biotechnol Biochem 77, 289−294; Yamada M, Y Okada, T Yoshida, T Nagasawa. 2007. Appl Microbiol Biotechnol 73, 1025−1030; Yamada M, Y Okada, T Yoshida, T Nagasawa 2008. Biotechnol Lett 30, 665−670]。かかる酵素でのイソオイゲノールの酸化は、主生成物としてバニリン及びアセトアルデヒドの形成を示した[Yamada M, Y Okada, T Yoshida, T Nagasawa. 2007. Arch Microbiol 187, 511−517 ; Ryu J−Y, J Seo, S Park, J−H Ahn, Y Chong, MJ Sadowsky, H−G Hur. 2013. Biosci Biotechnol Biochem 77, 289−294]。しかしながら、それらに記載されるアプローチは、バニリンの工業規模の生産を対象としていない。
工業プロセスについて、しばしば、組換え細菌、例えば大腸菌(E.coli)において1つ以上の機能酵素を過剰生産する必要がある。適した細菌における酵素の過剰生産は、その酵素の安全で経済的な供給源を提供する。主要な酵素の過剰生産は、宿主生物の内因性酵素活性によって生じる副活性(side activities)を最小限にするためにも役立つ(例えば、バニリンを、それぞれバニリルアルコールもしくはバニリン酸に還元又は酸化することができる酵素)。
宿主生物における酵素の正しいフォールティングは、触媒活性にとって重要である。正しくフォールディングされていない酵素は、宿主で凝集(例えば封入体)又は分解する傾向があるため、触媒活性が低下しているか、触媒活性がない。種々の戦略を適用して、宿主生物で正しくフォールディングされた酵素を確実にすることができる。例えば、低い遺伝子投与量による組換え宿主生物における発現レベル、低い誘導物質濃度(誘導可能なシステムの場合に)又は低いプロモーター強度による低い転写レベルを低下させることは有益であってよい。酵素合成中の低温は、組換えタンパク質のフォールディングを改善するためにも役立ちうる。あるいは、正しくフォールディングされていない酵素は、強力な変性化学物質によってフォールディングされないことがあり、その後、生理学的条件下でリフォールディングされる。しかしながら、かかる手順は、時間を消費し費用がかかる。
分子生物学において、分子シャペロンの大きな分類は、共有結合のフォールディング又はアンフォールディング、及び他の高分子構造の構築又は分解を補助するタンパク質を表す。シャペロニンタンパク質の群は、前記のシャペロン分子の大きな分類に属する。これらのシャペロニンの構造は、バレルを作成するために互いに積み重ねられた2つのドーナツ状の構造に似ている。それぞれのリングは、シャペロニンが見出された生物に応じて、7、8、又は9つのサブユニットから構成される。
群Iのシャペロニンは、細菌並びに内共生起源のオルガネラである葉緑体及びミトコンドリアにおいて見出される。真核生物の細胞質ゾル及び古細菌において見出される群IIのシャペロニンは、あまり特徴付けられていない。GroEL/GroES複合体は、群Iのシャペロニンである。群IIのシャペロニンは、それらの基質をフォールディングするためにGroES型の補因子を利用するとは考えられていない。
前述のように、シャペロニン系GroES/GroELは、ATPの消費時にリフォールディングのためにミスフォールドしたタンパク質の取り込みを可能にする空洞を有するバレルのような構造を形成する[Gragerov A, E Nudler, N Komissarova, GA Gaitanaris, ME Gottesman, V Nikiforov. 1992. Proc Nat Acad Sci 89, 10341−10344; Keskin O, Bahar I, Flatow D, Covell DG, Jernigan RL. 2002. Biochem 41, 491−501]。
バニリンの酵素的合成のためのモノオキシゲナーゼ、特にイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの組換え生産のためのシャペロンの大きな分類の任意の群の適用性は、これまでに調査されていない。
バイオエンジニアリングによる天然のバニリン生産の報告はいくつかあるが(例えば、国際公開第2013/022881号(WO2013/022881)、韓国登録特許第101163542号公報(KR101163542(B1)))、天然のバニリンの生産のためのより単純で効率的及びコスト/又は効果的なプロセスの発見が依然として必要である。特に、酵素の比活性が高くなるほど、触媒の装填量が少なくなり、プロセス性能及び経済性が向上させる。さらに、特に出発物質としてのイソオイゲノールからのバニリンの生化学的生成において適用可能なさらに改善された酵素が要求される。
要約
本発明は、バニリンの生化学的製造のためにこれまで適用されてきた公知のシステムに関連する上記の欠点に対処する。
本発明者らは、驚くべきことに、特定のヘルパーポリペプチドが、高機能活性の特定の公知の及び特定の新規のイソオイゲノール酸化酵素の大規模製造においてうまく使用されうることを観察した。特に、驚くべきことに、本発明者らは、シャペロニンGroES及びGroELでの同時発現が、細菌の大腸菌中で生成される触媒活性イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ酵素の量を有意に改善することを見出した。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)種の微生物からの微生物オキシダーゼ酵素を遺伝子改変することができ、その結果、分子状酸素の存在下でのイソオイゲノール、特に(E)−イソオイゲノールのバニリンへの変換に初めて適用可能となった。
したがって、本発明者らは、驚くべきことに、以下により詳細に記載されるように、生成及び/又は遺伝子改変したイソオイゲノール酸化酵素を適用することにより、イソオイゲノールによるバニリンの製造の生化学的アプローチを改善できた。
バニリン及びアセトアルデヒドへのイソオイゲノールの一段階変換。 P.ニトロレデュセンス(P. nitroreducens)Jin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM1)をシャペロニンGroES及びGroELで、低コピー及び高コピープラスミドを使用して同時発現するためのポリシストロン性構築物。低コピー数の構築物のプラスミド名を、それぞれの構築物の左側に示す。水平バーの上にある数字は、以下の要素を示す: 1:RBS(強い); 2:IEM1; 3:GroES; 4:天然のRBS; 5:GroEL; 6:スペーサー; 7:RBS(中程度); 8:RBS(弱い)。 IEM1に基づく第1世代の触媒:pH10.5での非制限的な基質濃度下での異なる生体触媒負荷での生成物力価。記号:バニリン(黒いダイヤ)、残りのトランスイソオイゲノール(■)、残りの(Z)−イソオイゲノール(▲)。2つの実験の平均データを示す。 第2世代の触媒:異なる光学セル密度として表される異なる触媒負荷での生成物力価:OD600=18(縦縞)、OD600=10(横縞)、OD600=5(点線)、OD600=2(斜線)、OD600=1(黒)。生体触媒を、事前にLB培地中で増殖させた。IEM1:P.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼ。同時発現したシャペロンも示している。IEM1(対照)は、実施例1に従って任意のシャペロンの非存在下で発現させたP.ニトロレデュセンスJin1の野生型イソオイゲノールモノオキシゲナーゼの活性を表す。値は、偏差10%以内での平均化エンドポイント測定を反映している。 第1世代の触媒(縦線)、第2世代の触媒(横線)、及び第3世代の触媒(点線)の1つを使用した、触媒負荷OD600=5の小規模反応からの生成物力価。陰性対照を空の細胞で得た(黒塗り)。二重実験の平均化エンドポイント濃度(最大10%偏差)を示す。 P.プチダIE27(IEM2)のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの単一変異体、二重変異体及び三重変異体で得たバニリン力価。「Ref」は、参照として使用したP.プチダIE27の(不活性)イソオイゲノールモノオキシゲナーゼに関する。P.ニトロレデュセンスJin1(IEM1)のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼを生成する細胞は、陽性対照(C+)として機能した。空のベクターを含む細胞は、陰性対照(C−)として機能した。データポイントを、二重実験から平均化した。 P.プチダIE27のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM2)のトリプルコドン変異体(水平方向の線)について、及びP.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM1)(垂直方向の線)について示した異なる触媒負荷でのバニリンへのイソオイゲノールの生体内変換。イソオイゲノールモノオキシゲナーゼとシャペロニンGroES及びGroELとを同時発現するための2プラスミド系を保有する大腸菌の細胞が触媒として機能した。P.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼを、高コピー構築物で生成した一方で、P.プチダIE27の三重変異体を、低コピー構築物で生成した。10%未満の偏差で2つの実験の平均生成物力価を示す。 シュードモナス・ニトロレデュセンスJin1のIEM1とシュードモナス・プチダIE27のIEM2のアミノ酸配列アラインメント。 シュードモナス・プチダIE27のIEM2の三重変異体を発現するためのプラスミドpIEM2_C154_T222_A1318のアノテーション及び対応するプラスミドマップ。 アミノ酸位置T52、Q74又はD440での個々の飽和変異誘発によって得られたP.プチダIE27のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの変異体の相対活性。これらの位置での対応するアミノ酸を横軸に示す。それぞれの変異体の相対活性を、標準アッセイ条件下で変異体「C154」(すなわち、変異体a154c;PQDに対応)で得られた平均化バニリン力価の割合として表す。比較のために、事前に同定した変異体「T222」(すなわち、変異体g222t;THDに対応する)及びG1318(すなわち、変異体g1318a;TQNに対応する)も示される。空の細胞が陰性対照(C−)として機能した。 本明細書に記載されるイソオイゲノールモノオキシゲナーゼIE27の三重変異体、及びシャペロニンGroES及びGroELのようなIEMを発現するための改変した挿入構造の一般的なスキーム。 シャペロニンGroES及びGroELと一緒にイソオイゲノールモノオキシゲナーゼIE27の三重変異体を発現させるために図11の一般的なスキームに従って作成した異なるプラスミド構築物を含む大腸菌の株での標準アッセイ条件下で得たバニリンの規準化した生成物力価。プラスミド構築物は、シャペロニンを発現するためのプロモーター配列が異なり、任意にそれぞれ+term又は−termとして示したイソオイゲノールモノオキシゲナーゼのORFの後に転写ターミネーターを含んだ。ポリシストロン性構築物PC1_tripleを、参照C+として示す。
使用した省略形:
bp 塩基対
kb キロベース
DNA デオキシリボ核酸
cDNA 相補的DNA
DTT ジチオトレイトール
GC ガスクロマトグラフ
IPTG イソプロピル−D−チオガラクト−ピラノシド
IEM イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ
LB 溶原性培地
MS 質量分析計/質量分析法
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RBS リボソーム結合部位
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーリボ核酸
miRNA マイクロRNA
siRNA 低分子干渉RNA
rRNA リボソームRNA
tRNA トランスファーRNA
P. シュードモナス(Pseudomonas)。
特定の定義
「イソオイゲノール」という用語は、それぞれ、2−メトキシ−4−(プロペ−1−エン−1−イル)フェノール(CAS登録番号:97−54−1)、及びトランスイソオイゲノールとシスイソオイゲノールとの任意の異性体混合物、又は(E)−イソオイゲノール及び(Z)−イソオイゲノールをいう。
「イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ」又は「イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチド」又は「イソオイゲノールモノオキシゲナーゼタンパク質」又は「イソオイゲノール酸化酵素」又は「イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチド」又は「イソオイゲノール酸化タンパク質」又は「IEM」という用語は、イソオイゲノールから出発して、アセトアルデヒドの形成下で分子状酸素の存在下で、前記酵素の作用の特定の分子機構に限定されることなく、バニリンの合成を触媒できるポリペプチドに関する。好ましくは、前記酵素は、イソオイゲノールの(E)異性体又はトランス異性体を立体特異的に変換する。バニリンは、好ましくは主生成物として得られる。
「イソオイゲノール酸化活性」は、本明細書における以下の実施例においてより詳細に記載される「標準条件」下で決定される:これは、組換えIEM発現細胞、破壊されたIEM発現細胞、これらの断片、又は濃縮もしくは精製したIEM酵素を使用して、8.5〜11、好ましくは9〜10の範囲のpHを有する反応媒体、好ましくは緩衝させた反応媒体中で、分子状酸素の存在下で、約20〜30℃の範囲の温度で、基準基質、ここではイソオイゲノール、特にトランスイソオイゲノールの存在下で、1〜40mg/ml、好ましくは1〜10mg/ml、より好ましくは3〜7mg/mlの範囲の初期濃度で、決定される。
「生物学的機能」、「機能」、「生物学的活性」又は「活性」という用語は、イソオイゲノール酸化酵素がイソオイゲノールからのバニリンの形成を触媒する能力をいう。
本明細書において使用されるように、「宿主細胞」又は「形質転換細胞」という用語は、転写に対して本明細書において記載されるように使用するためのポリペプチドをもたらす、少なくとも1つの核酸分子、例えば所望のタンパク質又は核酸配列をコードする組換え遺伝子を宿すように改変された細胞(又は生物)をいう。宿主細胞は、特に細菌細胞、真菌細胞又は植物細胞である。宿主細胞は、宿主細胞の核ゲノム又はオルガネラゲノムに組込まれる組換え遺伝子を含んでよい。代わりに、宿主は、組換え遺伝子を染色体外で含んでよい。
「相同配列」は、オルソガス配列又はパラロガス配列を含む。系統学的方法、配列類似性、及びハイブリダイゼーション法を含む、オルソガス又はパラロガスを同定する方法は、当業者に公知であり、本明細書において記載されている。
「パラログ」又はパラロガス配列は、類似した配列及び類似した機能を有する2以上の遺伝子を生じる遺伝子重複から生じる。パラログは、典型的に、一緒にクラスター形成し、関連する植物種内で遺伝子の重複によって形成される。パラログは、ペアワイズのBlast解析を使用して類似の遺伝子の群で見出されるか、又はプログラム、例えばCLUSTALを使用した遺伝子ファミリーの系統発生解析中に見出される。パラログにおいて、コンセンサス配列は、関連する遺伝子内の配列及び遺伝子の類似の機能を有する配列に対して特徴的に同定されうる。
「オルソログ」又はオルソガス配列は、それらが共通祖先の子孫である種において見出されることから、互いに類似する配列である。例えば、共通祖先を有する植物種は、類似した配列及び機能を有する多くの酵素を含むことが公知である。当業者は、オルソガス配列を同定することができ、かつオルソログの機能を、例えばCLUSTAL又はBLASTプログラムを使用して1つの種の遺伝子ファミリーについてのポリジーン系図(polygenic tree)を構築することによって予測することができる。相同配列中の類似した機能を同定又は確認するための方法は、関連するポリペプチドを過剰発現又は欠失する(ノックアウト/ノックダウンで)宿主細胞又は生物、例えば植物又は微生物中で転写プロフィールを比較することによる。当業者は、通常50%より多くの調節された転写で、又は通常70%より多くの調節された転写で、又は通常90%より多くの調節された転写で類似した転写プロフィールを有する遺伝子が類似した機能を有することを理解している。ホモログ、パラログ、オルソログ及び本発明における配列のあらゆる他のバリアントは、イソオイゲノールモノオキシゲナーゼを生成する宿主細胞、生物、例えば植物又は微生物を作成することによって類似する方法で機能することが予期される。
「植物」という用語は、植物プロトプラスト、植物組織、再生植物を生じる植物細胞組織培養物、又は植物の一部、又は植物器官、例えば根、茎、葉、花、花粉、胚珠、胚、果実等を含む植物細胞を含むために区別なく使用される。任意の植物を使用して、本明細書における実施形態の方法を実施できる。
特定の生物又は細胞は、本明細書において記載された核酸で形質転換する前に、又は前記核酸と一緒に、天然にバニリンを製造する場合に、又は天然にバニリンを製造しないがバニリンを製造するように形質転換される場合に、「バニリンを製造できる」ことを意味する。生物又は細胞を天然に生じるよりも高い量のバニリンを製造するために形質転換させた生物又は細胞は、「バニリンを製造することができる生物又は細胞」にも包含される。
本明細書において使用される「精製された」、「実質的に精製された」、及び「単離された」の用語は、本発明の化合物が通常その天然の状態で会合している他の異なる化合物を有さない状態をいい、そのため、「精製された」、「実質的に精製された」、及び「単離された」対象物は、所与の試料の質量の少なくとも0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%もしくは20質量%、又は少なくとも50質量%もしくは75質量%を含む。一実施形態において、これらの用語は、所与の試料の少なくとも95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%又は100質量%の質量を含む本発明の化合物をいう。本明細書において使用されるように、核酸又はタンパク質に関する場合に、「精製された」、「実質的に精製された」、及び「単離された」核酸又はタンパク質の用語は、天然に、例えば原核生物又は真核生物の環境で、例えば細菌又は真菌細胞で、又は哺乳動物、特にヒトの身体で生じるものとは異なる精製又は濃縮された状態もいう。(1)他の関連する構造もしくは化合物からの精製又は(2)前記原核生物又は真核生物の環境で通常会合しないものに対する構造又は化合物との会合、を含む、天然に生じるものよりも大きい精製又は濃縮の任意の程度は、「単離された」の意味の範囲内である。本明細書において記載される核酸もしくはタンパク質又は核酸もしくはタンパク質の種類は、当業者に公知の種々の方法及びプロセスに従って単離されてよく又はそうでなければ通常天然に会合していないものに対する構造又は化合物と会合されてよい。
本明細書において提供される記載及び付属の特許請求の範囲の記載内容において、「又は」の使用は、特に明記されない限り「及び/又は」を意味する。
同様に、「含有する(comprise)」、「含有する(comprises)」、「含有している(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含んでいる(including)」は、置き換えることができ、かつ制限することを意図しない。
さらに、種々の実施形態の記載が「含有している(comprising)」という用語を使用する場合に、当業者は、ある特定の例において、一実施形態が「実質的にからなる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」という言語を使用して代わりに記載されてよいことを理解していることを、さらに理解すべきである。
「約」という用語は、示された値の±25%、特に±15%、±10%、より具体的には±5%、±2%又は±1%の潜在的な変動を示す。
「実質的に」という用語は、約80〜100%、例えば85〜99.9%、特に90〜99.9%、より具体的には95〜99.9%、又は98〜99.9%、特に99〜99.9%の値の範囲を表す。
「主に」とは、例えば51〜100%の範囲、特に75〜99.9%の範囲、より具体的には85〜98.5%、例えば95〜99%のように、50%超の範囲の比率をいう。
本発明の記載内容における「主生成物」は、単一の化合物、又は少なくとも2つの化合物、例えば2つ、3つ、4つ、5つもしくはそれ以上、特に2つもしくは3つの化合物の群を示し、単一の化合物又は化合物の群は、本明細書に記載の反応により「主に」製造され、前記反応により形成される生成物の構成成分の合計量に基づく主な割合で前記反応に含まれるものを示す。前記比率は、モル比率、重量比率、又は、好ましくはクロマトグラフィー分析に基づいて、反応生成物の対応するクロマトグラムから算出された面積比率であってよい。
本発明の記載内容における「副生成物」は、単一の化合物、又は少なくとも2つの化合物、例えば2つ、3つ、4つ、5つもしくはそれ以上、特に2つもしくは3つの化合物の群を示し、単一の化合物又は化合物の群は、本明細書に記載の反応により「主に」製造されないものを示す。
酵素反応の可逆性のため、本発明は、特に明記しない限り、本明細書に記載される酵素又は生体触媒反応の双方の反応方向に関する。
本明細書に記載されるポリペプチドの「機能的変異体」は、以下に定義されるようなポリペプチドの「機能的等価物」を含む。
「立体異性体」という用語は、特に立体配座異性体を含む。
本発明に従って、本明細書に記載の化合物の全ての「立体異性体」、例えば構造異性体、及び特に、立体異性体及びそれらの混合物、例えば光学異性体、又は幾何異性体、例えばE異性体及びZ異性体、並びにそれらの組み合わせが、一般的に含まれる。1つの分子中にいくつかの非対称中心が存在する場合に、本発明は、これらの非対称中心の異なる立体構造、例えばエナンチオマー対の全ての組み合わせを包含する。
「立体選択性」は、化合物の特定の立体異性体を立体異性的に純粋な形で生成する能力、又は本明細書に記載の酵素触媒法で特定の立体異性体を複数の立体異性体から特異的に変換する能力を表す。より詳述すれば、これは、本発明の生成物が特定の立体異性体に関して濃縮されているか、又はエダクトが特定の立体異性体に関して枯渇しうることを意味する。これは、式:
%ee=[XA−XB]/[XA+XB]*100
に従って算出した純度%eeパラメータによって定量化されてよく、ここで式中、XA及びXBは、立体異性体AとBのモル比(Molenbruch)を表す。
本発明による反応の「収量」及び/又は「変換率」は、例えば、反応が起こる4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間又は48時間の定義された期間にわたって決定される。特に、反応は、正確に定義された条件下で、例えば、本明細書において定義される「標準条件」で実施される。
異なる収量パラメータ(「収量」又はYP/S;「特定生産性収量(Specific Productivity Yield)」、又は空時収量(STY))は、当該技術分野において周知であり、かつ文献において記載されているように決定される。
「収量」及び「YP/S」(それぞれ生成した生成物の質量/消費した材料の質量で表される)は、本明細書において同義語として使用される。
特定生産性収量は、1時間あたりに生産される生成物の量、例えばバニリンの量、及びバイオマス1gあたりのL発酵ブロスを表す。WCWとして示される湿潤細胞質量の量は、生化学反応における生物活性微生物の量を表す。この値は、1時間あたりのWCWあたりのg生成物(すなわちg/gWCW-1-1)として表される。代わりに、バイオマスの量は、DCWとして示される乾燥細胞質量の量として表してもよい。さらに、バイオマス濃度は、600nmでの光学密度(OD600)を測定し、そして対応する湿潤細胞又は乾燥細胞の質量をそれぞれ推定するために実験的に測定した相関係数を使用することによってより簡単に決定できる。
「発酵生産」又は「発酵」という用語は、微生物(前記微生物に含まれるか又は生じる酵素活性によって支援される)が、インキュベーションに添加した少なくとも1つの炭素源を利用して細胞培養物中で化合物を生産する能力を示す。
「発酵ブロス」という用語は、発酵プロセスに基づいており、例えば、本明細書において記載される後処理していない又は後処理した液体、特に水性又は水性/有機溶液を意味すると解される。
「酵素による触媒化」又は「生体触媒」法は、本明細書において定義されるように、酵素変異体を含む酵素の触媒作用下で前記方法を実施することを意味する。したがって、前記方法は、単離された(精製された、濃縮された)もしくは粗製の前記酵素の存在下で、又は細胞系、特に、活性型の前記酵素を含み、かつ本明細書において開示される変換反応を触媒する能力を有する天然の微生物又は組換え微生物の存在下で実施されうる。
「選択的に変換する」又は「選択性を増加させる」という用語は、一般に、例えば不飽和炭化水素のE型のような特定の立体異性体が、前記反応の全過程の間(すなわち、反応の開始と終了の間)、前記反応の特定の時点、又は前記反応の「間隔」の間に、対応するZ形よりも(モルベースで比較して)高い比率又は量で変換されることを意味する。特に、前記選択性は、基質の初期量の1〜99%、2〜95%、3〜90%、5〜85%、10〜80%、15〜75%、20〜70%、25〜65%、30〜60、又は40〜50%の変換に対応する「間隔」中に観察されうる。前記のより高い割合又は量は、例えば、以下の観点:
− 反応の全過程又はそれらの間隔中に観察される異性体のより高い最大収量;
− 基質の変換率の定義された%度での異性体のより高い相対量;及び/又は
− 変換値のより高い%度での異性体の同一の相対量;
で表されてよく、それらのそれぞれは、好ましくは参照方法と比較して観察され、前記参照方法は、他の点では公知の化学的又は生化学的手段と同一の条件下で実施される。
「E−立体選択性」又は「E−選択性」は、E−異性的に純粋な又は本質的に純粋な又は濃縮された形で特定のC=C−二重結合のE−異性体を生成する能力、又は二重結合の前記特定の位置での複数の他の異性体又はE−異性体とZ−異性体との混合物からの、本明細書において記載した酵素による触媒化法でE−異性体を特異的又は本質的に特異的に変換する能力を表す。
一般に、本発明に従って、本明細書において記載される化合物の全ての「異性体」、例えば構成異性体、並びに特に立体異性体及びこれらの混合物、例えば光学異性体又は幾何異性体、例えばE異性体及びZ異性体、及びそれらの組み合わせも含まれる。いくつかの非対称中心が分子中に存在する場合に、本発明は、これらの非対称中心の異なる立体構造の全ての組み合わせ、例えば、対の鏡像異性体、又は立体異性形の任意の混合物を含む。
本開示が異なる優先度の特徴、パラメータ及びそれらの範囲(一般的に、明確に好ましい特徴ではない特徴、パラメータ及びそれらの範囲を含む)を示す場合に、特に明記しない限り、かかる特徴、パラメータ及びそれらの範囲の2つ以上の任意の組み合わせは、それらのそれぞれの優先度に関係なく、本明細書の開示に含まれる。
「ポリシストロン性」は、同一の核酸分子内で別々に1超のポリペプチドをコードすることができる核酸分子、特にmRNA又は対応するcDNAを示す。
「ポリシストロン性」構築物又は核酸分子「に由来する」とは、前記核酸分子に含まれる少なくとも1つのコード配列の転写及び/又は翻訳に影響を与えるか又は調節するために、プロモーター、RBS及び/又はターミネーターのような適切な位置で1つ以上の同一又は異なる制御配列を導入することによって分子を改変しうることを意味する。
発明の詳細な説明
a. 本発明の特定の実施形態
本発明は、特に次の実施形態に関する。
1. イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドの組換え発現のための発現系であって、少なくとも1つの組換え核酸構築物中に含まれる少なくとも2つの異なる核酸配列の組み合わせを含み、かつ
a. イソオイゲノール酸化活性を有し、特に酸素、特に分子状酸素の存在下で触媒作用を及ぼし、イソオイゲノールからバニリン及びアセトアルデヒドを形成するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(A)、並びに
b. 前記ヌクレオチド配列(A)によりコードされる少なくとも1つ、例えば1つ、2つ、又は3つ、好ましくは2つのヘルパーポリペプチドであって、単独で、又は好ましくは協力して、ポリペプチドの機能的発現、特に前記で発現したポリペプチドの正しいフォールディングを助けるヘルパーポリペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列(B)
を含み、前記ヌクレオチド配列(A)及び(B)の同時発現を提供する、前記発現系。
2. 実施形態1に記載の発現系であって、
a. 前記核酸配列(A)及び前記少なくとも1つの核酸(B)をそれぞれ保有する少なくとも2つの、好ましくは互いに独立して作用又は機能する核酸構築物の組み合わせ、及び
b. 前記核酸配列(A)及び前記少なくとも1つの核酸(B)を保有する単一の核酸構築物であって、最終的には、(A)酵素イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドのコード配列及び(B)ヘルパーポリペプチドのコード配列を含む単一のmRNA分子に転写される、例えば複数のクローニング部位を保有する核酸構築物もしくはベクターであってもよく、又はより好ましくはポリシストロン性核酸構築物であってもよい単一の核酸構築物
から選択される発現系。前記核酸配列(A)及び前記少なくとも1つの核酸(B)を保有する前記単一の核酸構築物は、ポリシストロン性核酸構築物にも由来しうる。それは、例えば、実験の段落においてさらに例示されるように、前記核酸分子に含まれる(A)及び(B)の少なくとも1つのコード配列の転写及び/又は翻訳に影響を与えるか又は調節するために、適切な位置、例えばプロモーター、RBS及び/又はターミネーターに1つ以上の同一又は異なる制御配列を導入することにより、それらから誘導されうる。
3. 実施形態1又は2に記載の発現系であって、前記ヌクレオチド配列(A)が、
a. イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ配列番号2(すなわち、本来のシュードモナス・ニトロレデュセンスJin1から単離されたIEM1)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド、又は
b. イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ配列番号4(すなわち、本来のシュードモナス・プチダIE27から単離されたIEM2)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、ここで、配列番号4に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列は、T52、Q74、D440から選択されたアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異を含み、かつ任意にN120、T121、F281、M298、及びL470から選択される、特にN120I、T121P、F281Q、M298K、及びL470Sから選択されるアミノ酸配列位置で、少なくとも1つ、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのさらなる変異を含む、前記ポリペプチド
をコードする、前記発現系。
4. 実施形態3に記載の発現系であって、イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ配列番号4に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドが、T52、Q74及びD440から選択されるアミノ酸配列位置において少なくとも1つの変異を含む変異体ポリペプチドである、前記発現系。
5. 実施形態4に記載の発現系であって、前記変異体が、以下のIEM2変異体
a. 単一変異体(T52X1)、(Q74X2)及び(D440X3
b. 二重変異体(T52X1、Q74X2)、(T52X1、D440X3)及び(Q74X2、D440X3)、並びに
c. 三重変異体(T52X1、Q74X2、D440X3
から選択され、
式中、
1は、P、KもしくはM、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、好ましくはX1は、P又はMであり、最も好ましくはPであり、
2は、HもしくはA、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、最も好ましくは、X2はHであり、
3は、N、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはY、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、好ましくはX3は、N、A、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、S、T、V又はYであり、かつ最も好ましくはNである、
前記発現系。
かかる発現系により発現されるかかる二重変異体の制限のない例としては以下を挙げてよい:
(T52X1、Q74X2):
式中、X1はPであり、かつX2はHもしくはAであるか;又は
1はKであり、かつX2はHもしくはAであるか;又は
1はMであり、かつX2はHもしくはAである。
(T52X1、D440X3
式中、X1はPであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはYであるか;又は
1はKであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはYであるか;又は
1はMであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはYである。
(Q74X2、D440X3
式中、X2はHであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはYであるか;又は
2はAであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはYである。
好ましい二重変異体は、以下である:
(T52P、Q74H);
(T52P、D440X3)、式中、X3は、N、A、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、S、T、V、又はYである
(Q74H、D440X3)、式中、X3は、N、A、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、S、T、V、又はYである。
かかる発現系により発現されるかかる三重変異体の制限のない例としては以下を挙げてよい:
(T52X1、Q74X2、D440X3
式中、X1はPであり、X2はHであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである;
1はKであり、X2はHであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである;
1はMであり、X2はHであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである;
1はPであり、X2はAであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである;
1はKであり、X2はAであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである;
1はMであり、X2はAであり、X3はN、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W、又はYである。
好ましい三重変異体は以下である:
(T52P、Q74H、D440X3)、式中、X3は、N、A、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、S、T、V、又はYである。
前記した単一変異体、二重変異体又は三重変異体は、任意に、N120、T121、F281、M298、及びL470から選択され、特に変異体N120I、T121P、F281Q、M298K、及びL470Sから選択される配列番号4のアミノ酸配列位置における少なくとも1つ、例えば1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ、好ましくは1つ、2つ又は3つ、最も好ましくは1つのさらなる変異によってさらに改変されてよい。
6. 実施形態1から5までのいずれか1つにおいて記載される発現系であって、前記少なくともヌクレオチド配列(B)が、ヌクレオチド配列(B1)及び(B2)を含み、
a. (B1)は、配列番号8(GroEL)に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシャペロニン活性を有するポリペプチドをコードし、かつ
b. (B2)は、配列番号10(GroES)に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシャペロニン活性を有するポリペプチドをコードする、
前記発現系。
本発明の好ましい発現系の制限のない例は、IEM1発現系であって、配列番号11(PC1)、配列番号12(PC2)、配列番号13(PC3)、配列番号14(PC4)、配列番号15(PC5)から選択される配列に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み;イソオイゲノール酸化活性を有する機能的ポリペプチドを発現するために本発明に従って適用可能であり、配列番号2(IEM1)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、IEM1発現系である。
好ましい発現系のさらに制限のない例は、前記実施形態5で記載した、配列番号4に由来する機能的IEM2変異体をコードするヌクレオチド配列でIEM1のコード配列を置き換えることによって、配列番号11、12、13、14又は15のかかるIEM−1発現系から得られてよい。かかるIEM2発現系も好ましい。
7. イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ実施形態1から6までのいずれか1つにおいて定義した発現系を使用した組換え発現により得られるポリペプチド。
8. イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ配列番号4(すなわちIEM2)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、配列番号4に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列が、T52、Q74、D440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異、任意にN120、T121、F281、M298、及びL470から選択される、特にN120I、T121P、F281Q、M298K、及びL470Sから選択されるアミノ酸配列位置でさらなる変異を含む、ポリペプチド。
9. 実施形態8に記載のポリペプチドであって、配列番号4のT52、Q74及びD440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異を含む変異体ポリペプチドである、ポリペプチド。
10. 実施形態9に記載のポリペプチドであって、前記変異体が、
a. 単一変異体(T52X1)、(Q74X2)及び(D440X3
b. 二重変異体(T52X1、Q74X2)、(T52X1、D440X3)及び(Q74X2、D440X3)、並びに
c. 三重変異体(T52X1、Q74X2、D440X3
から選択され、
式中、
1は、P、KもしくはM、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、好ましくはX1は、P又はMであり、最も好ましくはPであり、
2は、HもしくはA、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、最も好ましくは、X2はHであり、
3は、N、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、WもしくはY、又は他の天然もしくは非天然の、特に天然の、機能的にバニリンを生成する酵素変異体をもたらすアミノ酸置換であり、好ましくはX3は、N、A、C、E、F、G、H、K、L、M、Q、R、S、T、V又はYであり、かつ最も好ましくはNである、
ポリペプチド。
本発明のかかる二重変異体及び三重変異体の制限のない例に関しては、前記実施形態5を参照する。
前記単一変異体、二重変異体又は三重変異体は、任意に、N120、T121、F281、M298、及びL470から選択される、特にN120I、T121P、F281Q、M298K、及びL470Sから選択される配列番号4のアミノ酸配列位置における少なくとも1つ、例えば1つ、2つ、3つ、4つ又は5つ、好ましくは1つ、2つ又は3つ、最も好ましくは1つのさらなる変異によりさらに改変されてよい。
11. 実施形態8から10までのいずれか1つに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組換え核酸。
12. 配列番号1、3もしくは5に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%又は100%未満、例えば99.9%の配列同一性を有するヌクレオチド配列又はその逆相補体を含む組換え核酸。
関連する実施形態は、配列番号1、3もしくは5による核酸配列に対して、又はストリンジェントな条件下で配列番号1、3もしくは5によるヌクレオチド配列の少なくとも一部にハイブリダイズする核酸配列に対して相補的である核酸配列を提供する。
組換え核酸の特定の例は、配列番号3又は5に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%又は100%未満、例えば99.9%の配列同一性を有し、かつ実施形態5について前記したようにIEM2変異体をコードするヌクレオチド配列、又はその逆相補体を含むものである。
かかる組換え核酸は、本明細書においてさらに記載されるように、モノシストロン性又はポリシストロン性の発現ベクターに含まれてよい。
13. 実施形態11又は実施形態12の組換え核酸、又はそれらの逆相補体を含む、組換え核酸構築物。
14. 以下、
a. 実施形態1から6までのいずれか1つに記載の組換え発現系、又は前記部分核酸構築物の1つ、又はそれらの逆相補体、又は
b. 実施形態11又は12において定義した核酸、又は
c. 実施形態13に記載の構築物
を含む発現ベクター。
15. 実施形態14に記載の発現ベクターであって、ベクターが、原核生物ベクター、ウイルスベクター、真核生物ベクター、又は1つ以上のプラスミドである、発現ベクター。
前記した核酸分子又はベクターは、本発明のイソオイゲノール酸化酵素及び本明細書において記載した1つ以上のヘルパーポリペプチドをコードする、モノシストロン性mRNA又は特にポリシストロン性mRNAが発現時に転写されるようなものであってよい。
16. 任意にそのゲノムに安定に組み込まれ、
a. 実施形態1から6のいずれか1つに記載の組換え発現系又は前記部分核酸構築物の1つ、又は
b. 実施形態11又は12において定義した核酸又はその逆相補体、又は
c. 実施形態13に記載の構築物、又は
d. 実施形態14又は15に記載のベクター
を含む、非ヒト宿主生物又は宿主細胞。
17. 原核生物もしくは真核生物の微生物、植物、又はそれらに由来する細胞から選択される、実施形態16に記載の非ヒト宿主生物又は宿主細胞。
18. 微生物が、細菌又は真菌、特に酵母である、実施形態17に記載の非ヒト宿主生物又は宿主細胞。
19. 前記細菌が、エシェリキア(Escherichia)属、特に大腸菌種から選択され、かつ前記酵母が、サッカロミセス(Saccharomyces)属又はピキア(Pichia)属から選択され、特にサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)種又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)種から選択される、実施形態18に記載の非ヒト宿主生物又は宿主細胞。
20. イソオイゲノール酸化活性を有する単離した触媒活性ポリペプチドを製造するための方法であって、イソオイゲノール酸化活性を有する前記ポリペプチドと、宿主細胞系において実施形態1から6のいずれかにおいて定義した発現系によってそれぞれコードされる少なくとも1つのヘルパーポリペプチドとの同時発現、例えば実質的に同時の、及び特に同時の発現、並びに任意にイソオイゲノール酸化活性を有する前記ポリペプチドの単離を含む、前記方法。
「同時発現」又は「同時発現すること」は、イソオイゲノール酸化活性(IEM)を有するポリペプチドの機能的発現、特に前記発現したIEMポリペプチドの正しいフォールディングを助けるヘルパーポリペプチドの協同的作用をもたらす方法で行われる限り、広く理解されるべきである。双方のポリペプチドの同時又は実質的に同時の同時発現は、とりわけ制限のない代替案の1つである。他の制限のない代替案は、ヘルパーポリペプチドの発現で始まり、その後にIEMポリペプチド発現が続く、双方のポリペプチドの適時の連続的な発現において見られてよい。他の制限のない代替案は、双方のポリペプチドの適時の重複同時発現で見られ、初期段階においてヘルパーポリペプチドのみが発現され、重複段階において双方のポリペプチドが発現される。他の代替案は、発明的な努力なしに熟練した読者によって開発されてよい。
21. 実施形態7から10までのいずれか1つにおいて定義したイソオイゲノール酸化酵素を製造する、実施形態20に記載の方法。
22. 実施形態16から19までのいずれか1つにおいて定義した非ヒト宿主生物又は宿主細胞を発現のために適用する、実施形態20又は21に記載の方法。
23. 以下、
a. イソオイゲノールと、実施形態7から10までのいずれか1つにおいて定義したイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチド又は実施形態20から22までのいずれか1つに記載の方法によって製造したイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドとを、酸素、特に分子状酸素の存在下で接触させて、バニリン及びアセトアルデヒドを製造するステップ、及び
b. 任意に、ステップaにおいて製造したバニリンを単離するステップ
を含む、バニリンの製造方法。
好ましい実施形態において、バニリンは単離される。
他の好ましい実施形態において、バニリン(及びアセトアルデヒド)は、イソオイゲノール酸素化方法の主生成物として得られる。
本明細書において記載される方法のいずれかにおいて製造されるバニリンは、誘導体に、例えば、これらに制限されないが、炭化水素、エステル、アミド、グリコシド、エーテル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、アルコール、ジオール、アセタール又はケタールに変換されてよい。
バニリン誘導体は、化学的方法、例えば、これらに制限されないが、酸化、還元、アルキル化、アシル化、及び/又は転位によって得られてよい。
代わりに、バニリン誘導体は、バニリンを、酵素、例えば、これらに限定されないが、酸化還元酵素、モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、トランスフェラーゼと接触させることによる生化学的方法を使用して得られてよい。生化学的変換は、単離された酵素、溶解細胞からの酵素を使用してインビトロで、又は全細胞を使用してインビボで実施してよい。
24. 実施形態1から6のいずれか1つにおいて定義した発現系で非ヒト宿主生物又は宿主細胞を形質転換して、それらのコードヌクレオチド配列(A)及び(B)を発現させることを含む、実施形態23に記載の方法。
25. イソオイゲノールを、宿主細胞、宿主細胞の細胞溶解物、又は前記宿主細胞を含む培養培地及び/又は宿主細胞、細胞溶解物又は培養培地から単離した実施形態7から10のいずれか1つにおいて定義したイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドと接触させる、実施形態23又は24に記載の方法。
イソオイゲノール基質は、適用される反応培地に添加してもよく、又は代替の実施形態において、イソオイゲノールをすでに製造できる非ヒト宿主生物又は宿主細胞は、実施形態1から6までのいずれかにおいて定義した発現系で形質転換して、イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを発現し、バニリンの製造をもたらす条件下で培養される。
26. バニリンを、前記非ヒト宿主生物又は宿主細胞によって発酵により製造する、実施形態25に記載の方法。
27. バニリンを、酸素及び任意にさらなるアジュバントの存在下で、実施形態7から10のいずれか1つにおいて定義したイソオイゲノール酸化活性を有する単離したポリペプチドでのイソオイゲノールの変換によって酵素により製造する、実施形態25に記載の方法。
28. ステップaの前に、オイゲノールをイソオイゲノールに化学的又は生化学的に異性化するステップ、及び任意に反応媒体からイソオイゲノールを単離するステップをさらに含む、実施形態23から27のいずれか1つに記載の方法。
29. イソオイゲノール酸化活性を有する変異体ポリペプチドを製造する方法であって、
a. 実施形態11又は12に従って核酸を選択するステップ、
b. 選択した核酸を改変して、少なくとも1つの変異体核酸を得るステップ、
c. 宿主細胞又は単細胞生物に変異体核酸配列を提供して、変異体核酸配列によってコードされるポリペプチドを発現させるステップ、
d. イソオイゲノールの酸化において活性を有する少なくとも1つの変異体ポリペプチドをスクリーニングするステップ、
e. 任意に、変異させたポリペプチドが所望の活性を有さない場合に、所望の活性を有するポリペプチドが得られるまでプロセスステップa.〜d.を繰り返すステップ、及び
f. 任意に、所望の活性を有する変異体ポリペプチドをステップd.又はe.において同定した場合に、対応する変異体核酸を単離するステップ
を含む、前記方法。
特定の好ましい実施形態を参照して前記した本発明のさらなる態様及び実施形態を、後続の段落において説明する。
b. 本発明に従って適用可能なポリペプチド
本記載内容において、次の定義が適用される。
互換的に使用されうる「ポリペプチド」又は「ペプチド」という総称は、約10から1000超の残基を含む、連続したペプチド結合したアミノ酸残基の天然又は合成の直鎖又は連続をいう。30残基までの短鎖ポリペプチドは、「オリゴペプチド」とも呼ばれる。
「タンパク質」という用語は、1つ以上のポリペプチドからなる高分子構造をいう。そのポリペプチドのアミノ酸配列は、タンパク質の「一次構造」を示す。アミノ酸配列は、ポリペプチド鎖内で形成される特別な構造要素、例えばアルファヘリックス及びベータシート構造の形成によりタンパク質の「二次構造」も事前に決定する。複数のかかる二次構造要素の配置は、タンパク質の「三次構造」又は空間配置を定義する。タンパク質が1つ以上のポリペプチド鎖を含む場合に、前記鎖は、空間的に配置され、タンパク質の「四次構造」を形成する。タンパク質の正しい空間配置又は「フォールディング」は、タンパク質機能の必要条件である。変性又はアンフォールディングはタンパク質機能を破壊する。かかる破壊が可逆的である場合に、タンパク質の機能は、リフォールディングによって回復されうる。
本明細書において言及される典型的なタンパク質機能は、「酵素機能」であり、すなわち、タンパク質は、基質、例えば化学化合物に対する生体触媒として作用し、生成物への前記基質の変換に触媒作用を及ぼす。酵素は、高度又は低度の基質及び/又は生成物特異性を示しうる。
したがって、本明細書において特定の「活性」を有するといわれる「ポリペプチド」は、示された活性、例えば特異的な酵素活性を示す正しくフォールディングされたタンパク質を暗黙的に示す。
したがって、特に明示されない限り、「ポリペプチド」という用語は、「タンパク質」及び「酵素」という用語も包含する。
同様に、「ポリペプチド断片」という用語は、「タンパク質断片」及び「酵素断片」という用語を包含する。
「単離されたポリペプチド」という用語は、その自然環境から、組換え法、生化学的方法及び合成法を含む当業者に公知の任意の方法又は方法の組み合わせによって取り出したアミノ酸配列をいう。
「標的ペプチド」は、タンパク質、又は細胞内オルガネラ、すなわちミトコンドリア、もしくは色素体に対するポリペプチド、又は細胞外空間に対するポリペプチド(分泌シグナルペプチド)を標的とするアミノ酸配列をいう。標的ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端、例えばN−末端をコードする核酸配列に融合されてよく、又は天然の標的ポリペプチドを置き換えるために使用されてよい。
本発明は、本明細書において具体的に記載されるポリペプチドの「機能的等価物」(「アナログ」又は「機能的変異」としても示される)にも関する。
例えば、「機能的等価物」は、酵素によるイソオイゲノール酸化活性、又はより詳述すればIEM活性を測定するために使用した試験において、特に本明細書において定義したそれぞれのポリペプチドよりも、少なくとも1〜10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%又は少なくとも90%高いか又は低いIME活性を示すポリペプチドをいう。
「機能的同等物」は、例えば、別の、好ましくは酵素的に活性なポリペプチドの機能的発現、特に前記発現したポリペプチド、例えばイソオイゲノール酸化活性又はより詳述すればIEM活性を有するポリペプチドの正しいフォールディングを助ける前記したヘルパーポリペプチドに由来してもよい。かかる改変したヘルパーポリペプチドは、それが他の点では同一の条件下であるがかかるヘルパーポリペプチドの非存在下で、同一の酵素活性ポリペプチドの発現と比較して、酵素活性ポリペプチドの正しい発現又はフォールディングを改善する限り、機能的であると見されてよい。
本発明による「機能的等価物」は、本明細書において挙げたアミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置において、具体的に挙げたアミノ酸とは異なるが前述の生物学的活性、例えば酵素活性の1つを呈するアミノ酸を有する特定の変異体も包含する。したがって、「機能的等価物」は、1個以上、例えば1〜20個、特に1〜15個又は5〜10個のアミノ酸の追加、置換、特に保存的置換、欠失及び/又は逆位によって得られる変異体を含み、挙げた変化は、本発明による特性プロフィールを有する変異体を導く限り、任意の配列位置で起こりうる。機能的等価物は、特に、活性パターンが変異体と未変化のポリペプチドとの間で定性的に一致する場合、すなわち、例えば同一のアゴニスト又はアンタゴニスト又は基質との相互作用が異なる速度である場合(すなわち、EC50又はIC50値で表されるか、又は現在の技術分野に適した他のパラメータにより表される場合)にも提供される。適した(保存的)アミノ酸置換の例を次の表に示す:
Figure 2021519579
前記の意味での「機能的等価物」は、本明細書において記載したポリペプチドの「前駆体」、並びにポリペプチドの「機能的誘導体」及び「塩」でもある。
「前駆体」は、その場合、所望の生物学的活性を有するか又は有さないポリペプチドの天然又は合成の前駆体である。
「塩」という表現は、本発明によるタンパク質分子のアミノ基のカルボキシル基の塩及び酸付加の塩を意味する。カルボキシル基の塩は、公知の方法で生成されてよく、無機塩、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄及び亜鉛塩、並びに有機塩基との塩、例えばアミン、例えばトリエタノールアミン、アルギニン、リジン、ピペリジン等との塩を含む。酸付加の塩、例えば無機酸、例えば塩酸又は硫酸との塩、及び有機酸、例えば酢酸及びシュウ酸との塩も本発明に含まれる。
本発明によるポリペプチドの「機能的誘導体」は、公知の技術を使用して、機能的アミノ酸の側鎖基上又はそれらのN末端もしくはC末端で生成されてもよい。かかる誘導体は、例えば、カルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアとの又は第一級もしくは第二級アミンとの反応によって得られるカルボン酸基のアミド;アシル基との反応によって生成される遊離アミノ基のN−アシル誘導体;又はアシル基との反応によって生成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体を含む。
「機能的等価物」は、当然、他の生物から得られるポリペプチド、及び天然に生じるバリアントも含む。例えば、相同配列領域の範囲は、配列比較により確立されてよく、かつ同等のポリペプチドは、本発明の具体的なパラメータに基づいて決定されてよい。
「機能的等価物」は、所望の生物学的機能を示すか又は示さなくてよい、本発明によるポリペプチドの「断片」、特に個々のドメイン又は配列モチーフ、又はN末端及びC末端切断型も含む。好ましくは、かかる「断片」は、少なくとも定性的に所望の生物学的機能を保持する。
「機能的等価物」は、さらに、本明細書において挙げたポリペプチド配列又はそれに由来する機能的等価物の1つ及びN末端又はC末端会合における少なくとも1つのさらに機能的に異なる異種配列を有する融合タンパク質である(すなわち融合タンパク質部分の実質的な相互機能障害を有さない)。これらの異種配列の限定されない例は、例えばシグナルペプチド、ヒスチジンアンカー又は酵素である。
同様に本発明に従って含まれる「機能的等価物」は、具体的に開示されたポリペプチドの相同体である。これらは、Pearson及びLipmanのアルゴリズム(Proc. Natl. Acad, Sci. (USA) 85(8), 1988, 2444−2448)によって計算して、具体的に開示されたアミノ酸配列の1つに対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも80%又は85%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の相同性(又は同一性)を有する。本発明による相同ポリペプチドのパーセンテージとして表される相同性又は同一性は、特に、本明細書において具体的に記載されるアミノ酸配列の1つの全長に基づくアミノ酸残基のパーセンテージとして表される同一性を意味する。
パーセンテージとして表される同一性のデータは、BLASTアライメント、アルゴリズムblastp(タンパク質−タンパク質BLAST)を利用して、又は本明細書において以下に規定されるClustal設定を適用することによって決定することもできる。
可能なタンパク質グリコシル化の場合に、本発明による「機能的等価物」は、脱グリコシル化又はグリコシル化の形態で、及びグリコシル化パターンを変更することによって得られる改変した形態で本明細書に記載のポリペプチドを含む。
本発明によるポリペプチドの機能的等価物又は相同体は、変異誘発によって、例えばタンパク質の点突然変異、伸長もしくは短縮によって、又は以下でより詳細に記載されるように生成されうる。
本発明によるポリペプチドの機能的等価物又は相同体は、変異体の、例えば短縮変異体のコンビナトリアルデータベースをスクリーニングすることにより同定されうる。例えば、タンパク質バリアントの多様なデータベースは、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によって、例えば合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素によるライゲーションによって生成されうる。変性オリゴヌクレオチド配列から潜在的な相同体のデータベースの生成のために使用できる非常に多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNAシンセサイザーで実施してよく、そして合成遺伝子を適した発現ベクターに連結させてよい。縮重ゲノムの使用は、混合物中で全ての配列を提供することを可能にし、潜在的なタンパク質配列の所望のセットをコードする。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は、当業者に公知である。
点変異又は短縮によって生成されたコンビナトリアルデータベースの遺伝子産物のスクリーニングのための、及び選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーのスクリーニングのためのいくつかの技術が公知である。これらの技術は、本発明による相同体のコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子バンクの迅速なスクリーニングに適応されうる。ハイスループット分析に基づいた大規模な遺伝子バンクのスクリーニングについて最も頻繁に使用される技術は、複製できる発現ベクターでの遺伝子バンクのクローニング、得られたベクターデータベースでの適した細胞の形質転換、及び所望の活性の検出が生成物を検出した遺伝子をコードするベクターの単離を促進する条件下での組み合わせ遺伝子の発現を含む。データベースにおける機能的変異体の頻度を増加させる技術ある再帰的アンサンブル変異(REM)は、相同体を同定するためにスクリーニング試験と組み合わせて使用できる。
本明細書において提供される実施形態は、本明細書において開示されるポリペプチドのオルソログ及びパラログ、並びにかかるオルソログ及びパラログを同定及び単離するための方法を提供する。
c. 本発明に従って適用可能なコード核酸配列
本記載内容において、次の定義が適用される。
「核酸配列」、「核酸」、「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、ヌクレオチドの配列を意味する。核酸配列は、一本鎖又は二本鎖のデオキシリボヌクレオチド、又は任意の長さのリボヌクレオチドであってよく、遺伝子のコード配列及び非コード配列、エキソン、イントロン、センス及びアンチセンスの相補的配列、ゲノムDNA、cDNA、miRNA、siRNA、mRNA、rRNA、tRNA、組換え核酸配列、単離された及び精製された天然に生じるDNA及び/又はRNA配列、合成DNA及びRNA配列、断片、プライマー及び核酸プローブを含む。当業者は、RNAの核酸配列が、種々のチミン(T)をウラシル(U)によって置き換えたDNAの配列と同一であることに気付いている。「ヌクレオチド配列」という用語は、別々のフラグメントの形で、又はより大きい核酸の成分としてポリヌクレオチド分子又はオリゴヌクレオチド分子を含むとも解されるべきである。
「単離された核酸」又は「単離された核酸配列」は、天然に生じる核酸又は核酸配列とは異なる環境にあり、かつ実質的に内因性物質が汚染されていないものを含みうる核酸又は核酸配列に関する。本明細書において使用される核酸に適用される「天然に生じる」という用語は、天然に生物の細胞中で見られ、かつ研究室において人間により意図的に改変されていない核酸をいう。
ポリヌクレオチド又は核酸配列の「断片」は、特に、本明細書における実施形態のポリヌクレオチドの長さが少なくとも15bp、少なくとも30bp、少なくとも40bp、少なくとも50bp、及び/又は少なくとも60bpである連続したヌクレオチドを示す。特に、ポリヌクレオチドの断片は、本明細書における実施形態のポリヌクレオチドの少なくとも25、より具体的には少なくとも50、より具体的には少なくとも75、より具体的には少なくとも100、より具体的には少なくとも150、より具体的には少なくとも200、より具体的には少なくとも300、より具体的には少なくとも400、より具体的には少なくとも500、より具体的には少なくとも600、より具体的には少なくとも700、より具体的には少なくとも800、より具体的には少なくとも900、より具体的には少なくとも1000の連続ヌクレオチドを含む。制限されることなく、本明細書におけるポリヌクレオチドの断片は、PCRプライマーとして、及び/又はプローブとして、又はアンチセンス遺伝子のサイレンシング又はRNAiのために使用されてよい。
本明細書において使用されるように、特定の条件下での「ハイブリダイゼーション」又はハイブリダイズという用語は、互いに有意に同一又は相同であるヌクレオチド配列が互いに結合したままであるハイブリダイゼーション及び洗浄の条件をいうことを意図している。前記条件は、少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、及び少なくとも約85%、90%、又は95%同一である配列が互いに結合したままである条件であってよい。低いストリンジェンシー、中程度、及び高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の定義を以下の本明細書において提供する。適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubelら(1995, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, sections 2、4、及び6)において説明されているような最小の実験で当業者によっても選択されうる。さらに、ストリンジェンシーな条件は、Sambrookら(1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, chapters 7、9及び11)において記載されている。
「組換え核酸配列」は、天然に生じない、そうでなければ生物学的生物において見られない核酸配列を生じる又は改変する、1種以上の源からの遺伝物質と一緒にもたらすための実験的方法(例えば分子クローニング)の使用から生じる核酸配列である。
「組換えDNA技術」は、例えば、Weigel及びGlazebrookによって編集されたLaboratory Manuals(2002 Cold Spring Harbor Lab Press)、並びにSambrookら(1989 Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory Press)において記載されているような組換え核酸配列を生成するための分子生物学的方法をいう。
「遺伝子」の用語は、適した調節領域、例えばプロモーターに操作可能に連結された、RNA分子、例えば細胞中のmRNAにおいて転写された領域を含むDNA配列を意味する。遺伝子は、したがって、いくつかの操作可能に連結された配列、例えばプロモーター、例えば翻訳開始において含まれる配列を含む5’リーダー配列、cDNA又はゲノムDNAのコード領域、イントロン、エキソン、及び/又は例えば転写終結点を含む3’非翻訳配列を含む。
「ポリシストロン性」は、同一の核酸分子内で別々に1超のポリペプチドをコードすることができる核酸分子、特にmRNA又は対応するcDNAを示す。ポリシストロン性遺伝子は、単一の配列上の2つ以上の部位での翻訳開始を可能にする。
「キメラ遺伝子」は、通常、種において天然に見られないあらゆる遺伝子、特に、互いに天然に関連しない核酸配列の1以上の部位が存在する遺伝子をいう。例えば、プロモーターは、転写領域の一部もしくは全てと又は他の調節領域と天然に関連しない。「キメラ遺伝子」という用語は、プロモーター又は転写制御配列が、1つ以上のコード配列に、もしくは1つのアンチセンス、すなわちセンス鎖の逆相補鎖に操作可能に連結され、又は繰り返し配列を逆転させる(センス及びアンチセンス、それによりRNA転写が転写に対して二本鎖RNAを形成する)、発現構築物を含むと解される。「キメラ遺伝子」という用語は、新たな遺伝子を製造するために1つ以上のコード配列の一部を組み合わせて得られる遺伝子も含む。
「3’UTR」又は「3’非翻訳配列」(「3’非翻訳領域」又は「3’末端」ともいわれる)は、例えば転写終結点及び(ほとんど、しかし全てではないが真核mRNAの)ポリアデニル化シグナル、例えばAAUAAA又はそれらのバリアントを含む、遺伝子のコード配列の下流に見られる核酸配列をいう。転写の終結後に、mRNA転写は、ポリアデニル化シグナルの下流で開裂してよく、かつ翻訳の場所、例えば細胞質へのmRNAの輸送中に含まれるポリ(A)末端が付加されてよい。
「プライマー」という用語は、鋳型の核酸配列にハイブリダイズされ、かつ鋳型に対して相補的な核酸配列の重合のために使用される、短い核酸配列をいう。
「選択可能なマーカー」という用語は、発現に対して、選択可能なマーカーを含む1つの細胞又は複数の細胞を選択するために使用されてよい任意の遺伝子をいう。選択可能なマーカーの例を以下に記載する。当業者は、種々の抗生物質、殺菌剤、栄養要求性又は除草剤の選択可能なマーカーが種々の標的種に適用可能であることを周知している。
本発明は、本明細書において定義したポリペプチドをコードする核酸配列にも関する。
特に、本発明は、例えば人工ヌクレオチド類似体を使用して得られた前記ポリペプチド及びそれらの機能的等価物の1つをコードする核酸配列(一本鎖及び二本鎖DNA及びRNA配列、例えばcDNA、ゲノムDNA及びmRNA)にも関する。
本発明は、本発明によるポリペプチド又はそれらの生物学的に活性のあるセグメントをコードする単離された核酸分子、及び例えば本発明によるコード核酸を同定又は増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ又はプライマーとして使用できる核酸断片の双方に関する。
本発明は、本明細書において具体的に開示した配列とある程度の「同一性」を有する核酸にも関する。2つの核酸間の「同一性」は、それぞれの場合において核酸の全長にわたる、ヌクレオチドの同一性を意味する。
2つのヌクレオチド配列間の「同一性」(ペプチド又はアミノ酸配列に対しても同様のことが当てはまる)は、ヌクレオチド残基(又はアミノ酸残基)又はこれらの2つの配列のアライメントが生じる場合に2つの配列において同一であるものの数の関数である。同一残基は、アライメントの与えられた位置で2つの配列において同一である残基と定義される。配列同一性のパーセンテージは、本明細書において使用されるように、2つの配列間の同一の残基の数を最も短い配列における残基の総数で割り、100をかけることによって最適なアライメントから算出される。最適なアライメントは、同一性のパーセンテージが最も高い可能性があるアライメントである。ギャップは、1つ又は双方の配列中に、最適なアライメントを得るためにアライメントの1つ以上の位置で導入されうる。これらのギャップは、同一でない残基として、配列同一性のパーセンテージの計算のために考慮に入れられる。アミノ酸又は核酸の配列同一性のパーセンテージを決定する目的のためのアライメントは、コンピュータプログラム及び例えばウェブ上で入手できる公的に入手可能なコンピュータプログラムを使用する種々の方法で得られてよい。
特に、国立バイオテクノロジーセンター(National Center for Biotechnology Information(NCBI))ウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/bl2seq/wblast2.cgiから入手できるデフォルトパラメータに対するBLASTプログラム(Tatianaら、 FEMS Microbiol Lett., 1999, 174:247−250, 1999)セットが、タンパク質又は核酸配列の最適なアライメントを得るため、及び配列同一性のパーセンテージを算出するために使用されてよい。
他の例において、同一性を、Clustal Method(Higgins DG、Sharp PM.(1989))を使用するInformax社(USA)のVector NTI Suite 7.1プログラムによって以下の設定で計算してよい:
Figure 2021519579
代わりに、同一性を、Chennaら(2003)のwebページ:http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#に従って、及び以下の設定で測定してよい:
Figure 2021519579
本明細書において挙げた全ての核酸配列(一本鎖及び二本鎖のDNA及びRNA配列、例えばcDNA及びmRNA)は、ヌクレオチド構成要素からの化学合成によって、例えば、二重らせんの個々の重複する相補的な核酸構成要素の断片縮重によって公知の方法で生成されうる。オリゴヌクレオチドの化学合成は、例えば、亜リン酸アミダイト法(Voet, Voet, 2nd edition, Wiley Press, New York, pages 896−897)によって公知の方法で実施されうる。合成オリゴヌクレオチドの蓄積及びDNAポリメラーゼのKlenow断片及びライゲーション反応によるギャップの充填、並びに一般的なクローニング技術は、Sambrookら(1989)において記載されている(以下を参照されたい)。
本発明による核酸分子は、さらに、コード遺伝子領域の3’末端及び/又は5’末端からの非翻訳配列を含みうる。
本発明は、さらに、具体的に記載されたヌクレオチド配列又はそのセグメントに相補的である核酸分子に関する。
本発明によるヌクレオチド配列は、他の細胞型及び生物における相同配列の同定及び/又はクローニングのために使用できるプローブ及びプライマーの生成を可能にする。かかるプローブ又はプライマーは、一般的に、本発明による核酸配列のセンス鎖又は対応するアンチセンス鎖の少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、例えば約40個、50個又は75個の連続したヌクレオチドで「ストリンジェント」な条件下(本明細書の他の場所で定義される)でハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離され、さらに、組換え技術により生成される場合に他の細胞材料又は培地を実質的に有さなくてよく、又は化学的に合成されている場合には、化学前駆体又は他の化学物質を有さなくてよい。
本発明による核酸分子は、分子生物学の標準技術及び本発明に従って提供される配列情報によって単離されうる。例えば、cDNAを、具体的に開示された全配列又はそのセグメントの1つをハイブリダイゼーションプローブ及び標準ハイブリダイゼーション技術(例えばSambrook(1989)において記載される)として使用して、適したcDNAライブラリーから単離することができる。
さらに、開示された配列の1つ又はそのセグメントを含む核酸分子は、この配列に基づいて構築されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応により単離されうる。こうして増幅させた核酸は、適したベクター中にクローニングされ、かつDNAシーケンシングによって特徴付けられる。本発明によるオリゴヌクレオチドは、標準的な合成方法によって、例えば自動DNAシンセサイザーを使用しても生成されうる。
本発明による核酸配列又はそれらの誘導体、それらの配列の相同体又は一部は、例えば、通常のハイブリダイゼーション技術又は他の細菌からのPCR技術によって、例えばゲノム又はcDNAライブラリーを解して単離されうる。これらのDNA配列は、標準の条件下で本発明による配列とハイブリダイズする。
「ハイブリダイズする」は、標準条件でほとんど相補的な配列に結合するポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの能力を意味するが、非特異的結合は、これらの条件下で非相補的パートナー間では生じない。このため、配列は90〜100%相補的であってよい。互いに特異的に結合できる相補配列の特性は、例えばノーザンブロット又はサザンブロット法で、又はPCRもしくはRT−PCRにおけるプライマー結合で利用される。
保存された領域の短いオリゴヌクレオチドは、有利にはハイブリダイゼーションのために使用される。しかしながら、本発明による核酸のより長い断片又はハイブリダイゼーションのための全配列を使用することも可能である。これらの「標準条件」は、使用される核酸に依存して(オリゴヌクレオチド、より長い断片又は全配列)、又はハイブリダイゼーションのために使用される核酸のタイプ(DNA又はRNA)に依存して変化する。例えば、DNA:DNAハイブリッドについての融解温度は、同一の長さのDNA:RNAハイブリッドよりも約10℃低い。
例えば、特定の核酸に依存して、標準条件は、0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)の濃度での緩衝水溶液中で又はさらに50%ホルムアミドの存在下で42〜58℃、例えば5×SSC、50%ホルムアミド中で42℃の温度を意味する。有利には、DNA:DNAハイブリッドのハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSCであり、温度は約20℃〜45℃、好ましくは約30℃〜45℃である。DNA:RNAハイブリッドについてのハイブリダイゼーション条件は、有利には0.1×SSCであり、かつ温度は約30℃〜55℃、好ましくは約45℃〜55℃である。ハイブリダイゼーションのこれらの前記温度は、ホルムアミドの非存在下で、約100ヌクレオチドの長さ及び50%のG+C含有量を有する核酸について計算した溶融温度値の例である。DNAハイブリダイゼーションの実験条件は、関連する遺伝学の教科書、例えばSambrookら(1989)において記載されており、かつ例えば核酸の長さ、ハイブリッドのタイプ又はG+C含有量に依存して、当業者に公知である式を使用して計算されうる。当業者は、以下の教科書からハイブリダイゼーションに関するさらなる情報を得られる:Ausubelら(eds)(1985)、Brown(ed)(1991)。
「ハイブリダイゼーション」は、特に、厳しい条件下で実施されうる。かかるハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook(1989)において、又はCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY(1989),6.3.1−6.3.6において記載されている。
本明細書において使用されるように、特定の条件下でのハイブリダイゼーション又はハイブリダイズという用語は、互いに有意に同一又は相同であるヌクレオチド配列が互いに結合したままであるハイブリダイゼーション及び洗浄の条件をいうことを意図している。前記条件は、少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、及び少なくとも約85%、90%、又は95%同一である配列が互いに結合したままである条件であってよい。低いストリンジェンシー、中程度、及び高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の定義を本明細書において提供する。
適切なハイブリダイゼーション条件は、Ausubelら(1995, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, sections 2、4、及び6)において説明されているような最小の実験で当業者により選択されうる。さらに、ストリンジェンシーな条件は、Sambrookら(1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, chapters 7、9及び11)において記載されている。
本明細書において使用されるように、低いストリンジェンシーの定義された条件は以下である。DNAを含むフィルターを、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%Ficoll、1%BSA、及び500μg/ml変性サケ精子DNAを含む溶液中で6時間40℃で前処理する。ハイブリダイゼーションを、同一の溶液中で次の変更を加えて実施する:0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸、及び5〜20×106 32P標識プローブを使用する。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で40℃で18〜20時間インキュベートし、そして55℃で1.5時間洗浄する。2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、及び0.1%SDSを含む溶液中で。洗浄溶液を新たな溶液に交換し、さらに60℃で1.5時間インキュベートする。フィルターを吸い取って乾かし、オートラジオグラフィーのためにさらす。
本明細書において使用されるように、中程度のストリンジェンシーの定義された条件は以下である。DNAを含むフィルターを、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%Ficoll、1%BSA、及び500μg/ml変性サケ精子DNAを含む溶液中で7時間50℃で前処理する。ハイブリダイゼーションを、同一の溶液中で次の変更を加えて実施する:0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸、及び5〜20×106 32P標識プローブを使用する。フィルターをハイブリダイゼーション混合物中で50℃で30時間インキュベートし、そして55℃で1.5時間洗浄する。2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、及び0.1%SDSを含む溶液中で。洗浄溶液を新たな溶液に交換し、さらに60℃で1.5時間インキュベートする。フィルターを吸い取って乾かし、オートラジオグラフィーのためにさらす。
本明細書において使用されるように、高いストリンジェンシーの定義された条件は以下である。DNAを含むフィルターの事前ハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.02%BSA、及び500μg/ml変性サケ精子DNAから構成される緩衝液中で8時間〜一晩65℃で実施する。フィルターを、100μg/mlの変性サケ精子DNA及び5〜20×106cpmの32P標識プローブを含むプレハイブリダイゼーション混合液中で65℃で48時間ハイブリダイズする。フィルターの洗浄を、2×SSC、0.01%PVP、0.01%Ficoll、及び0.01%BSAを含む溶液中で37℃で1時間実施する。続いて、50℃で0.1×SSCで45分間洗浄する。
当該技術分野で周知の低い、中程度、及び高いストリンジェンシーの他の条件(例えば、種間ハイブリダイゼーションに使用される)を、前記条件が不適切な場合(例えば、種間ハイブリダイゼーションに使用される場合)に使用してよい。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列のための検出キットは、該ポリペプチドをコードする核酸配列について特異的なプライマー及び/又はプローブ、並びに試料中で該ポリペプチドをコードする核酸配列を検出するためにプライマー及び/又はプローブを使用するための関連するプロトコルを含んでよい。かかる検出キットは、植物、生物、微生物又は細胞が改変されているかどうか、すなわち該前記ポリペプチドをコードする配列で形質転換されているかどうかを決定するために使用されてよい。
本明細書における実施形態に従ったバリアントDNA配列の機能を試験するために、目的の配列は、選択可能な又はスクリーニング可能なマーカー遺伝子に操作可能に連結され、かつレポーター遺伝子の発現が、例えば微生物での又はプロトプラストでの又は安定して形質転換された植物中での一過性の発現アッセイで試験される。
本発明は、具体的に開示された核酸配列又は誘導可能な核酸配列の誘導体にも関する。
したがって、本発明によるさらなる核酸配列は、本明細書において具体的に開示された配列に由来してよく、かつ1つ又はいくつかの(例えば1〜10)のヌクレオチドの1つ以上、例えば1〜20、特に1〜15、又は5〜10の付加、置換、挿入又は欠失によってそれとは異なり、さらに所望の特性のプロフィールを有するポリペプチドをコードしてよい。
本発明は、特別な原生物又は宿主生物コドン使用に従って、具体的に挙げられた配列と比較して、いわゆるサイレント変異を含むか又は変更されている核酸配列も包含する。
本発明の特定の実施形態に従って、バリアント核酸は、そのヌクレオチド配列を特定の発現系に適応するために製造されてよい。例えば、細菌発現系は、アミノ酸が特定のコドンによってコードされる場合に、ポリペプチドをより効率的に発現することが公知である。遺伝子コードの縮重によって、1超のコドンは、同一のアミノ酸配列をコードしてよく、多重核酸配列は、同一のタンパク質又はポリペプチドについてコードでき、全てのこれらのDNA配列は、本発明における実施形態に含まれる。適宜、本明細書において記載されるポリペプチドをコードする核酸配列は、宿主細胞中で増加させた発現について最適化されうる。例えば、本明細書における実施形態の核酸を、改良された発現のために特に宿主にコドンを使用して合成してよい。
本発明は、本明細書において記載される配列の天然に生じるバリアント、例えばスプライシングバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
対立遺伝子バリアントは、誘導されたアミノ酸のレベルで少なくとも60%の相同性、好ましくは全配列範囲にわたって少なくとも80%の相同性、非常に特に好ましくは少なくとも90%の相同性を有する(アミノ酸レベルでの相同性に関しては、ポリペプチドについて前記で提供した詳細を参照されたい)。有利には、相同性は、配列の部分領域よりも高くてよい。
本発明は、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、それらの結果として、問題のアミノ酸が、同一の電荷、サイズ、極性、及び/又は溶解性のアミノ酸に置き換えられること)によって得られる配列にも関する。
本発明は、配列多型により具体的に開示された核酸に由来する分子にも関する。かかる遺伝的多型は、異なる集団からの細胞中に又は天然の対立遺伝子変異による集団内に存在しうる。対立遺伝子バリアントは機能的等価物を含んでもよい。これらの自然なバリエーションは、通常、遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変動を生じる。前記多型は、本明細書において開示されるポリペプチドのアミノ酸配列の変化を導きうる。対立遺伝子バリアントは機能的等価物を含んでもよい。
さらに、誘導体は、本発明による核酸配列のホモログ、例えば、動物、植物、真菌又は細菌のホモログ、短縮配列、コーディング及び非コーディングDNA配列の一本鎖DNA又は一本鎖RNAであると理解されるべきでもある。例えば、ホモログは、DNAレベルで、本明細書において具体的に開示された配列における所与のDNA領域全体にわたって、少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、非常に特に好ましくは少なくとも80%の相同性を有する。
さらに、誘導体は、例えば、プロモーターとの融合物であると理解されるべきである。挙げられたヌクレオチド配列に付加されるプロモーターは、少なくとも1つのヌクレオチド交換、少なくとも1つの挿入、反転及び/又は欠失によって改質されてよいが、プロモーターの機能性又は効率を損なうことはない。さらに、プロモーターの効率は、それらの配列を変更することにより高められてよく、又は異なる属の生物であってもより効率的なプロモーターと完全に交換することができる。
d. 機能性ポリペプチド変異体の生成
さらに、当業者は、本明細書において開示した配列番号に関連するアミノ酸のいずれかに対して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であるか、及び/又は本明細書において開示した配列番号に関連するアミノ酸のいずれかに対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、又はそれらの逆相補体を含む核酸分子によりコードされる、機能的変異体を生じるための方法を熟知している。
使用される技術に依存して、当業者は、遺伝子又は非コード核酸領域(例えば発現を調節するために重要である)に完全にランダム変異又はより指向性のある変異を導入し、続いて遺伝子ライブラリーを生成することができる。この目的のために必要な分子生物学の方法は、当業者に公知であり、例えば、Sambrook及びRussell(Molecular Cloning. 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001)において記載されている。
遺伝子を改変するため方法、したがって遺伝子によってコードされるポリペプチドを改変する方法は、例えば以下のように、長い間当業者に公知である:
− 遺伝子の個々のヌクレオチド又はいくつかのヌクレオチドが指定された方法で置換される部位特異的変異誘発(Trower MK (Ed.) 1996; In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)、
− 任意のアミノ酸のコドンを遺伝子の任意の箇所で交換又は不可できる飽和変異誘発(Kegler−Ebo DM, Docktor CM, DiMaio D (1994) Nucleic Acids Res 22:1593; Barettino D, Feigenbutz M, Valcarel R, Stunnenberg HG (1994) Nucleic Acids Res 22:541; Barik S (1995) Mol Biotechnol 3:1)
− エラープローンポリメラーゼ連鎖反応によりヌクレオチド配列を変異させるエラープローンDNAポリメラーゼ(Eckert KA, Kunkel TA (1990) Nucleic Acids Res 18:3739);
− 好ましい変換をポリメラーゼにより妨げるSeSaM法(配列飽和法)、Schenkら(Biospektrum, Vol. 3, 2006, 277−279)、
− 例えばDNA修復機構の欠陥によりヌクレオチド配列の変異率が増加する、変異誘発株における遺伝子の継代(Greener A, Callahan M, Jerpseth B (1996) An efficient random mutagenesis technique using an E.coli mutator strain. In: Trower MK (Ed.) In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)、又は
− 密接に関連する遺伝子のプールを形成して消化し、そしてその断片を、反復鎖分離及び再結合により全長モザイク遺伝子を最終的に生成するポリメラーゼ連鎖反応のための鋳型として使用する、DNAシャッフリング(Stemmer WPC (1994) Nature 370:389; Stemmer WPC (1994) Proc Natl Acad Sci USA 91:10747)。
いわゆる定向進化(とりわけ、Reetz MT及びJaeger K−E (1999), Topics Curr Chem 200:31; Zhao H, Moore JC, Volkov AA, Arnold FH (1999), Methods for optimizing industrial polypeptides by directed evolution, In: Demain AL, Davies JE (Ed.) Manual of industrial microbiology and biotechnology. American Society for Microbiologyにおいて記載される)を使用して、当業者は、機能的な変異体を指示された方法で大規模に生産できる。この目的のために、最初のステップで、それぞれのポリペプチドの遺伝子ライブラリーを、例えば前記方法を使用して最初に生成する。遺伝子ライブラリーを、例えば細菌によって又はファージディスプレイシステムによって、適した方法で発現させる。
所望の特性に十分に対応する特性を有する機能的変異体を発現する宿主生物の関連遺伝子は、他の変異サイクルに従ってよい。変異及び選択又はスクリーニングのステップは、存在する機能的変異体が十分な程度まで所望の特性を有するまで反復して繰り返されてよい。この反復手順を使用して、制限された数の変異、例えば1、2、3、4、又は5つの変異を段階的に実施し、問題の活性に対する影響について評価及び選択してよい。選択された変異体は、同一の方法でさらなる変異ステップに送られる。これにより、調査されるべき個々の変異体の数を著しく減らすことができる。
本発明に従った結果は、関連するポリペプチドの構造及び配列に関する重要な情報も提供し、これは、標的とされる方法で、所望の改変した特性を有するさらなるポリペプチドを生じるために必要である。特に、いわゆる「ホットスポット」、すなわち標的変異を導入することにより特性を改変するために潜在的に適している配列セグメントを定義することが可能である。
アミノ酸配列の位置に関する情報も推定でき、その領域では、おそらく活性にほとんど影響を及ぼさないであろう変異が生じ、潜在的な「サイレント変異」として設計されうる。
e. 本発明のポリペプチドを発現するための構築物
本記載内容において、次の定義が適用される。
「遺伝子の発現」は、「異種発現」及び「過剰発現」を包含し、かつ遺伝子の転写及びタンパク質へのmRNAの翻訳を含む。過剰発現は、同一の遺伝的背景の非形質転換細胞又は非形質転換生物における生成物のレベルを超える、トランスジェニック細胞又はトランスジェニック生物におけるmRNA、ポリペプチド及び/又は酵素活性のレベルによって測定される遺伝子生成物の生成をいう。
本明細書において使用される「発現ベクター」は、宿主細胞中へ異物又は外因性のDNAを導入するための分子生物学的方法及び組換えDNA技術を使用して設計された核酸分子を意味する。発現ベクターは、典型的に、ヌクレオチド配列の適正な転写のために要求される配列を含む。コード領域は、通常、目的のタンパク質についてコードするが、RNA、例えばアンチセンスRNA、siRNA等についてもコードしてよい。
本明細書において使用される「発現ベクター」は、これらに制限されないが、ウイルスベクター、バクテリオファージ及びプラスミドを含む、あらゆる線状又は環状の組み換えベクターを含む。当業者は、発現系に従って適したベクターを選択することができる。一実施形態において、発現ベクターは、転写、翻訳、開始及び終結を制御する少なくとも1つの「制御配列」、例えば転写プロモーター、オペレーターもしくはエンハンサー、又はmRNAリボソーム結合部位に操作可能に連結し、及び任意に少なくとも1つの選択マーカーを含む、本明細書における実施形態の核酸を含む。ヌクレオチド配列は、制御配列が、本明細書における実施形態の核酸に機能的に関連する場合に、「操作可能に連結」される。
本明細書において使用される「発現系」は、所与の発現宿主のin vivoで又はin vitroでの、1つの発現、又は2つ以上のポリペプチドの同時発現のために要求される核酸分子の任意の組み合わせを包含する。それぞれのコード配列は、単一の核酸分子又はベクター、例えば複数のクローニング部位を含むベクター上に、又はポリシストロン性核酸上に配置するか、又は2つ以上の物理的に異なるベクターに分布させてよい。
本明細書において使用されるように、「増幅している」及び「増幅」の用語は、以下に詳細に記載されるように、天然に発現された核酸の組換えを生じる又は検出するための任意の適した増幅の使用をいう。例えば、本発明は、in vivo、ex vivo又はin vitroで天然に発現されたもの(例えばゲノムDNA又はmRNA)又は本発明の核酸を組換え(例えばcDNA)核酸を(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって)増幅するための方法及び試薬(例えば、特異的縮重オリゴヌクレオチドプライマー対、オリゴdTプライマー)を提供する。
「制御配列」は、本明細書における実施形態の核酸配列の発現レベルを決定し、かつ制御配列に操作可能に連結させた核酸配列の転写の速度を制御することができる核酸配列を示す。制御配列は、プロモーター、エンハンサー、転写因子、プロモーターエレメント等を含む。
「プロモーター」、「プロモーター活性を有する核酸」又は「プロモーター配列」は、本発明に従って、転写されるべき核酸に機能的に連結された場合に、前記核酸の転写を調節する核酸を意味すると理解される。「プロモーター」は、特に、RNAポリメラーゼのための結合部位、及びこれらに制限されないが転写因子結合部位、リプレッサー及び活性化タンパク質結合部位を含む適正な転写のために要求される他の因子を提供することにより、コード配列の発現を制御する核酸配列をいう。プロモーターの用語の意味は、「プロモーター制御配列」の用語も含む。プロモーター制御配列は、転写、RNAプロセシング又は関連するコード核酸配列の安定性に影響しうる上流及び下流のエレメントを含みうる。プロモーターは、天然由来の配列及び合成の配列を含む。コード核酸配列は、通常、転写開始部位で出発する転写の方向に関連してプロモーターの下流に配置される。
本記載内容において、「機能的」又は「操作可能な」連結は、例えば、制御配列を有する核酸の1つの連続配置を意味すると解される。例えば、プロモーター活性、転写されるべき核酸配列、及び任意にさらなる調節エレメント、例えば核酸の転写を確実にする配列、例えばターミネーターを有する配列は、それぞれの調節エレメントが核酸配列の転写時にその機能を果たすことができる方法で、連結される。これは必ずしも化学的な意味での直接的な連結を必要としない。遺伝子制御配列、例えばエンハンサー配列は、より離れた位置から、又は他のDNA分子からでも標的配列に対して機能を発揮できる。好ましい配置は、転写されるべき核酸配列がプロモーター配列の後ろに(すなわち、3’末端に)配置されて、2つの配列が共有結合で一緒に結合される配置である。プロモーター配列と組換えにより発現される核酸配列との距離は、200塩基対未満、又は100塩基対未満、又は50塩基対未満であってよい。
プロモーター及びターミネーターに加えて、以下が他の調節エレメントの例として挙げられてよい:標的配列、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点等。適した調節配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990))において記載されている。
「構成的プロモーター」という用語は、操作可能に連結される核酸配列の連続的な転写を可能にする非制御プロモーターをいう。
「操作可能に連結」という用語は、機能的関連にあるポリヌクレオチドエレメントの連結をいう。核酸は、それが他の核酸配列と機能的関係に置かれる場合に「操作可能に連結」される。例えば、プロモーター、むしろ転写制御配列は、コード配列の転写に影響する場合に、コード配列に操作可能に連結される。操作可能に連結は、連結されているDNA配列が典型的に隣接することを意味する。プロモーター配列に関連付けられたヌクレオチド配列は、形質転換されるべき植物に関して相同性又は異種性の起源のものであってよい。前記配列は、全体的に又は部分的に合成されているものでもよい。起源に関わらず、プロモーター配列に関連する核酸配列は、本明細書における実施形態のポリペプチドへの結合後に連結されるプロモーター特性に従って発現されるか又は発現抑制される。関連する核酸は、全ての時間で又は代わりに特定の時間で生物を通じて、又は特異的な組織、細胞もしくは細胞コンパートメント中で、発現又は抑制されるべきであることが所望されるタンパク質についてコードしてよい。かかるヌクレオチド配列は、特に、それらで改変された又は形質転換された宿主細胞又は生物に対して所望の表現型の特徴を付与するタンパク質をコードする。より詳述すれば、関連するヌクレオチド配列は、細胞又は生物中でバニリンの製造を導く。特に、ヌクレオチド配列は、IEMをコードする。
本明細書において前記したヌクレオチド配列は、発現カセットの一部であってよい。「発現カセット」及び「発現構築物」という用語は、同義的に使用される。(好ましくは組換え)発現構築物は、本発明によるポリペプチドをコードし、調節核酸配列の遺伝的制御下にあるヌクレオチド配列を含む。
本発明に従って適用されるプロセスにおいて、発現カセットは、「発現ベクター」、特に組換え発現ベクターの一部であってよい。
「発現ユニット」は、本発明に従って、本明細書において定義されるプロモーターを含み、発現されるべき核酸又は遺伝子と機能的に結合した後に発現を調節する発現活性、すなわち前記核酸又は前記遺伝子の転写及び翻訳を有する核酸を意味すると理解される。したがって、これに関連して、「調節核酸配列」ともいう。プロモーターに加えて、他の調節エレメント、例えばエンハンサーも存在してよい。
「発現カセット」又は「発現構築物」は、本発明に従って、発現されるべき核酸又は発現されるべき遺伝子に機能的に連結させた発現ユニットを意味すると理解される。したがって、発現ユニットとは対照的に、発現カセットは、転写及び翻訳を調節する核酸配列だけでなく、転写及び翻訳の結果物としてタンパク質として発現されるべき核酸配列も含む。
「発現」又は「過剰発現」という用語は、本発明の記載内容において、対応するDNAによってコードされる微生物中の1つ以上のポリペプチドの細胞内活性の生成又は増加を表す。この目的のために、例えば、生物に遺伝子を導入する、既存の遺伝子を他の遺伝子で置き換える、遺伝子のコピー数を増やす、強力なプロモーターを使用する、又は高い活性を有する対応するポリペプチドをコードする遺伝子を使用することが可能であり、任意に、これらの測定を組み合わせることができる。
好ましくは、本発明によるかかる構築物は、それぞれのコード配列の5’−上流のプロモーター及び3’−下流のターミネーター配列、及び任意に他の通常の調節エレメントを含み、それぞれの場合にコード配列と機能的に連結する。
本発明による核酸構築物は、特に、例えば本明細書において記載した配列番号に関するアミノ酸又はそれらの逆相補体に由来するポリペプチドをコードする配列、又はそれらの誘導体及びホモログ、及び遺伝子発現を有利に制御、例えば増加させるために、1つ以上の調節シグナルと操作的又は機能的に連結させた核酸配列を含む。
これらの調節配列に加えて、これらの配列の自然調節が、実際の構造遺伝子の前にまだ存在していてよく、かつ任意に遺伝子改変されて、自然調節がオフになり、遺伝子の発現が強化される。しかしながら、核酸構築物は、より単純な構造、すなわち、コード配列の前に追加の調節シグナルが挿入されておらず、その調節を伴う天然のプロモーターが除去されていない構造であってもよい。代わりに、天然の調節配列が変異して、調節が起こらず、そして遺伝子発現が増加される。
好ましい核酸構築物は、有利には、プロモーターと機能的に連結した既に挙げた1つ以上の「エンハンサー」配列も含み、これらの配列は、核酸配列の発現の増強を可能にする。追加の有利な配列、例えばさらなる調節エレメント又はターミネーターを、DNA配列の3’末端に挿入してもよい。本発明による核酸の1つ以上のコピーが構築物中に存在していてよい。構築物において、他のマーカー、例えば栄養要求性又は抗生物質耐性を補う遺伝子が、構築物を選択するために任意で存在してもよい。
適した調節配列の例は、プロモーター、例えばcos、tac、trp、tet、trp−tet、lpp、lac、lpp−lac、lacIq、T7、T5、T3、H9、H10、G6、C4、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、ラムダPR又はラムダPLのプロモーターに存在し、これらは有利にはグラム陰性菌で使用される。さらなる有利な調節配列は、例えば、グラム陽性プロモーターamy及びSPO2に、酵母又は真菌プロモーターADC1、MFalpha、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHに存在する。人工プロモーターも調節のために使用できる。例えば、Jonesら、ePathOptimize: A Combinatorial Approach for Transcriptional Balancing of Metabolic Pathways. Sci. Rep. 2015, 5, 11301も参照されたい。
宿主生物中での発現のために、核酸構築物は、ベクター、例えばプラスミド又はファージに有利に挿入され、これにより宿主での遺伝子の最適な発現を可能にする。ベクターは、プラスミド及びファージに加えて、当業者に公知である全ての他のベクター、すなわち例えばウイルス、例えばSV40、CMV、バキュロウイルス及びアデノウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファスミド、コスミド及び線状又は環状DNA又は人工染色体を意味するとも解される。これらのベクターを、宿主生物内又は染色体上で自動的に複製することができる。これらのベクターは、本発明のさらなる発展である。バイナリーの又はcpo統合ベクトルも適用できる。
適したプラスミドは、例えば大腸菌のpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223−3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN−III113−B1、λgt11もしくはpBdCI、ストレプトミセス属(Streptomyces)のpIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361、バチルス属(Bacillus)のpUB110、pC194もしくはpBD214、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)のpSA77もしくはpAJ667、真菌のpALS1、pIL2もしくはpBB116、酵母の2alphaM、pAG−1、YEp6、YEp13もしくはpEMBLYe23、又は植物のpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004もしくはpDH51である。前記プラスミドは、可能なプラスミドの小規模の選択肢である。さらなるプラスミドは、当業者に周知であり、かつ例えばクローニングベクターの本(Eds. Pouwels P. H. ら、Elsevier, Amsterdam−New York−Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)において見出される。
ベクターのさらなる開発において、本発明による核酸構築物又は本発明による核酸を含むベクターは、有利には線状DNAの形態で微生物に導入され、異種組換え又は相同組換えを介して宿主生物のゲノムに組み込まれてもよい。この線状DNAは、線状化されたベクター、例えばプラスミドの、又は本発明による核酸構築物もしくは核酸のみからなってよい。
生物における異種遺伝子の最適な発現のために、核酸配列を改変して、生物で使用される特定の「コドン使用」に一致させることが有利である。「コドン使用」は、問題の生物の他の公知の遺伝子のコンピューター評価により容易に決定されうる。
本発明による発現カセットは、適したプロモーターを適したコードヌクレオチド配列及びターミネーター又はポリアデニル化シグナルに融合することによって生じる。通常の組換え及びクローニング技術がこの目的のために使用され、例えばT. Maniatis, E.F. Fritsch及びJ. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)において、並びにT.J. Silhavy, M.L. Berman及びL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)において、並びにAusubel, F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)において記載されている。
適した宿主生物での発現のために、組換え核酸構築物又は遺伝子構築物は、宿主における遺伝子の最適な発現を可能にする宿主特異的ベクターに有利に挿入される。ベクターは、当業者に周知であり、例えば「クローニングベクター」(Pouwels P. H. ら、Ed., Elsevier, Amsterdam−New York−Oxford, 1985)において見出される。
本明細書における実施形態の代わりの実施形態は、宿主細胞において「遺伝子発現を変化させる」方法を提供する。例えば、本明細書における実施形態のポリヌクレオチドは、宿主細胞又は宿主生物において、特定の状況(例えば、特定の温度又は培養条件への曝露時)で増強又は過剰発現又は誘導されうる。
本明細書において提供されるポリヌクレオチドの発現の変化は、変化させた生物における、及び対照又は野生型の生物における種々の発現パターンである異所性発現ももたらしうる。発現の変化は、本明細書における実施形態のポリペプチドと外因性又は内因性モジュレーターとの相互作用から、又はポリペプチドの化学修飾の結果として生じる。この用語は、検出レベル未満で変化するか又は完全に抑制された活性である、本明細書における実施形態のポリヌクレオチドの変化した発現パターンを示す。
一実施形態において、本明細書において提供されるポリペプチド又はバリアントポリペプチドをコードする単離された組換え又は合成ポリヌクレオチドも本明細書において提供される。
一実施形態において、いくつかのポリペプチドをコードする核酸配列は、特に異なるプロモーターの制御下で、単一の宿主中で同時発現される。他の実施形態において、いくつかのポリペプチドをコードする核酸配列は、単独の形質転換ベクターが存在してよく、又は別々のベクターを使用して、及び双方のキメラ遺伝子を含む形質転換体を選択して、同時に同時形質転換されてよい。同様に、1つ又はポリペプチドをコードする遺伝子を、他のキメラ遺伝子と共に、単一の植物、細胞、微生物、又は生物中で発現させてよい。
f. 本発明に適用される微生物
本記載内容に応じて、「微生物」という用語は、野生型微生物又は遺伝子改変した組換え微生物又はその双方を意味しうる。
一実施形態において、本発明によるベクターを使用して、例えば本発明による少なくとも1つのベクターで形質転換され、本発明によるポリペプチドを生成するために使用できる組換え微生物を生成することができる。有利には、前記した本発明による組換え構築物は、適した宿主系に導入され、発現される。好ましくは、当業者に公知の慣用的なクローニング法及びトランスフェクション法、例えば、共沈、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクション等が、それぞれの発現系で所定の核酸を発現させるために使用される。適した系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubelら, Ed., Wiley Interscience, New York 1997、又はSambrookら. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989において記載されている。
原則として、全ての原核生物又は真核生物は、本発明による核酸又は核酸構築物のための組換え宿主生物と見なされてよい。有利には、微生物、例えば細菌、真菌又は酵母が、宿主生物として使用される。有利には、グラム陽性菌又はグラム陰性菌、好ましくは腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、ストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)又はノカルジア科(Nocardiaceae)の細菌、特に好ましくは、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ノカルジア属(Nocardia)、バークホルデリア属(Burkholderia)、サルモネラ属(Salmonella)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)又はロドコッカス属(Rhodococcus)の細菌が使用される。エシェリキア・コリ(Escherichia coli、大腸菌)の属種が極めて特に好ましい。さらに、他の有利な細菌は、アルファプロテオバクテリア、ベータプロテオバクテリア又はガンマプロテオバクテリアの群において見出される。
宿主生物に応じて、本発明による方法において使用される生物は、当業者に公知の方法で成長又は培養される。培養は、バッチ式、セミバッチ式、又は連続的であってよい。栄養素は、発酵の初めに存在するか、又は後に、半連続的又は連続的に供給できる。これについても以下で詳細に記載する。
g. 本発明によるポリペプチドの組換え生成
本発明は、さらに、本発明によるポリペプチド又はそれらの機能的な生物学的に活性のある断片の組換え生成のための方法に関し、ここでポリペプチド生産微生物を培養し、任意にポリペプチドの発現を、少なくとも1つの誘導因子誘導遺伝子発現を適用することにより誘導させ、発現したポリペプチドを培養物から単離する。ポリペプチドを、所望の場合に、この方法で工業規模で生産してもよい。
本発明により生成した微生物を、バッチ法又はフェドバッチ法又は反復流フェドバッチ法で連続的又は不連続的に培養してよい。公知の培養方法の要約は、Chmiel (Bioprozesstechnik 1. Einfuehrung in die Bioverfahrenstechnik [Bioprocess technology 1. Introduction to bioprocess technology] (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))による経本において、又はStorhas (Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [Bioreactors and peripheral equipment] (Vieweg Verlag, Braunschweig/Wiesbaden, 1994))による経本において見出される。
使用する培養液は、それぞれの株の要件を適切に満たす必要がある。種々の微生物の培地の説明は、the American Society for Bacteriologyのマニュアル「Manual of Methods for General Bacteriology」(Washington D. C., USA, 1981)において提供される。
本発明に従って使用可能なこれらの培地は、通常、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン及び/又は微量元素を含む。
好ましい炭素源は、糖、例えば単糖、二糖又は多糖である。非常に優れた炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン又はセルロースである。糖を、複雑な化合物、例えば糖蜜、又は糖精製の他の副生成物を介して培地に添加してもよい。異なる炭素源の混合物を添加することも有利であってよい。他の可能な炭素源は、油及び脂肪、例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油及びココナッツ油、脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸又はリノール酸、アルコール、例えばグリセロール、メタノール又はエタノール、及び有機酸、例えば酢酸又は乳酸である。
窒素源は、通常、有機もしくは無機の窒素化合物又はこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例は、アンモニアガス、又はアンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、硝酸塩、尿素、アミノ酸、又は複雑な窒素源、例えばコーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母エキス、肉エキス等が含まれる。窒素源は、単独で又は混合物として使用されてよい。
培地中に存在しうる無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅及び鉄の塩化物、リン又は硫酸塩を含む。
無機硫黄含有化合物、例えば、スルフェート、スルフィット、ジチオナイト、テトラチオネート、チオスルフェート、スルフィド、並びに有機硫黄化合物、例えばメルカプタン及びチオールを硫黄源として使用してよい。
リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム又は対応するナトリウム含有塩をリン源として使用してよい。
キレート剤を、溶液中で金属イオンを維持するために培地に添加してよい。特に適したキレート剤は、ジヒドロキシフェノール、例えばカテコール又はプロトカテクエート、又は有機酸、例えばクエン酸を含む。
本発明に従って使用される発酵培地は、通常、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸及びピリドキシンを含む他の成長因子、例えばビタミン又は成長促進剤も含む。成長因子及び塩は、しばしば、複雑な培地、例えば酵母エキス、糖蜜、コーンスティープリカー等の成分に由来する。さらに、適した前駆体を培地に添加してよい。培地中の化合物の正確な組成は、それぞれの実験に強く依存し、かつ特定の場合ごとに個別に決定される。培地最適化に対する情報は、教本「Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach」(Ed. P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) p. 53−73, ISBN 0 19 963577 3)に記載されている。増殖培地は、商業的供給者、例えば基準1(Merck)又はBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)等から入手してもよい。
培地の全ての成分は、加熱(1.5bar及び121℃で20分)又は滅菌ろ過のいずれかによって滅菌される。前記成分は、一緒に、又は必要に応じて個々に滅菌されてよい。培地の全ての成分は、培養の開始時に存在するか、又は連続的もしくはバッチ式で添加されてよい。
培養温度は、通常15℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃であり、実験中に変化又は一定に維持できる。培地のpHは、5〜8.5の範囲、好ましくは約7.0であるべきである。成長のためのpHは、酸性化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアもしくはアンモニア水、又は塩基性化合物、例えばリン酸もしくは硫酸を添加することにより、成長中に制御してよい。消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルは、発泡を制御するために使用されてよい。プラスミドの安定性を維持するために、適した選択的物質、例えば抗生物質を培地に添加してよい。好気性条件を維持するために、酸素又は酸素含有ガス混合物、例えば周囲空気を培養物に供給する。培養温度は、通常20℃〜45℃の範囲である。培養を、最大の所望の生成物が形成されるまで継続する。この目的は、通常、10時間〜160時間以内に達せられる。
次に、発酵ブロスをさらに処理する。要求に応じて、バイオマスを、分離技術、例えば遠心分離、ろ過、デカンテーション又はこれらの方法の組み合わせによって発酵ブロスから完全に又は部分的に除去するか、又は完全にそのままにしてよい。
ポリペプチドが培地中で分泌されない場合に、細胞を溶解してもよく、生成物を、タンパク質の単離のための公知の方法により溶解物から得てよい。任意に、高周波超音波、高圧で、例えばフレンチプレスで、浸透圧分解により、洗剤、溶解酵素又は有機溶媒の作用により、ホモジナイザーにより、又は前記方法のいくつかの組み合わせにより、細胞を破壊してよい。
ポリペプチドを、公知のクロマトグラフィー技術、例えば分子ふるいクロマトグラフィー(ゲルろ過)、例えばQ−セファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び疎水性クロマトグラフィーによって、並びに他の通常の技術、例えば限外ろ過、結晶化、塩析、透析及びネイティブゲル電気泳動で精製してよい。適した方法は、例えば、Cooper(T. G., Biochemische Arbeitsmethoden [Biochemical processes], Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New York)において、又はScopes(R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlin)において記載されている。
組換えタンパク質を単離するために、定義したヌクレオチド配列によってcDNAを延長し、したがって例えばより容易な精製に役立つ改変したポリペプチド又は融合タンパク質をコードする、ベクター系又はオリゴヌクレオチドを使用することが有利であってよい。このタイプの適した修飾は、例えばアンカーとして機能するいわゆる「タグ」、例えばヘキサヒスチジンアンカーとして公知の修飾、又は抗体の抗原として認識できるエピトープである(例えばHarlow, E. and Lane, D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressにおいて記載されている)。これらのアンカーは、例えば、クロマトグラフィーカラムにおける充填物として使用されるか、又はマイクロタイタープレートもしくはいくつかの他のキャリヤー上で使用されてよい、固体キャリヤー、例えばポリマーマトリックスにタンパク質を付着させるために提供されてよい。
同時に、これらのアンカーをタンパク質の認識のためにも使用してよい。タンパク質の認識のために、さらに、基質との反応後に検出可能な反応生成物を形成する通常のマーカー、例えば蛍光色素、酵素マーカー、又は放射性マーカーを、単独で又はタンパク質の誘導のためのアンカーと組み合わせて使用することも可能である。
本発明による変異体の発現について、野生型酵素EbN1の発現の説明、並びに明示的に参照される国際公開第2005/108590号(WO2005/108590)及び国際公開第2006/094945号(WO2006/094945)におけるこれに使用可能な発現系を参照してよい。
h. ポリペプチドの固定化
本発明による酵素又はポリペプチドを、本明細書において記載される方法において、遊離して又は固定化して使用してよい。固定化した酵素は、不活性キャリヤー上に固定された酵素である。適したキャリヤー材料及びその上に固定化した酵素は、欧州特許出願公開第1149849号明細書(EP−A−1149849)、欧州特許出願公開第1 069 183号明細書(EP−A−1 069 183)及び独国特許第100193773号明細書(DE−OS 100193773)、並びにそれらに引用される参考文献から公知である。これに関して、参照をもって全体の開示を組み込んだものとする。適したキャリヤー材料は、例えば、粘土、粘土鉱物、例えばカオリナイト、珪藻土、パーライト、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、陰イオン交換材料、合成ポリマー、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、及びポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレンが含まれる。支持された酵素を作製するために、キャリヤー材料は、通常、微粉砕した粒子の形で使用され、多孔質の形が好ましい。キャリヤー材料の粒子サイズは、通常5mm以下、特に2mm以下である(粒子サイズ分布曲線)。同様に、デヒドロゲナーゼを全細胞触媒として使用する場合に、遊離又は固定化した形を選択できる。キャリヤー材料は、例えばアルギン酸カルシウム、カラギーナンである。酵素及び細胞を、グルタルアルデヒドで直接架橋(CLEAへの架橋)してもよい。対応する及び他の固定化技術は、例えば、J. Lalonde及びA. Margolin「Immobilization of Enzymes」、K. Drauz及びH. Waldmann, Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002, Vol. III, 991−1032, Wiley−VCH, Weinheimにおいて記載されている。本発明による方法を実施するための生体内変換及びバイオリアクターに関するさらなる情報は、Rehmら(Ed.) Biotechnology, 2nd Edn, Vol 3, Chapter 17, VCH, Weinheimにおいても得られる。
i. 本発明の生体触媒製造方法のための反応条件
本発明の方法中に又は本明細書において前記で定義した多段階法の個々のステップ中に存在する少なくとも1つのポリペプチド/酵素は、天然に又は組換えにより1つ又は複数の酵素を生産する生細胞に、収穫された細胞に、死細胞に、透過処理した細胞に、粗細胞抽出物に、精製抽出物に、又は本質的に純粋なもしくは完全に純粋な形で存在してよい。少なくとも1つの酵素は、溶液中に存在してよく、又はキャリヤー上に固定化された酵素として存在してよい。1つ又はいくつかの酵素は、可溶性の及び/又は固定化した形で同時に存在しうる。
本発明による方法は、当業者公知である一般的な反応器中で、かつ異なる範囲のスケール、例えば実験室規模(数ミリリットル〜数十リットルの反応容量)から工業規模(数リットル〜数千立方メートルの反応容量)で実施してよい。生存していない、任意に透過処理した細胞によってカプセル化された形で、多少精製した細胞抽出物の形で、又は精製した形でポリペプチドを使用する場合に、化学反応器を使用してよい。化学反応器は、通常、少なくとも1つの酵素の量、少なくとも1つの基質の量、pH、温度及び反応媒体の循環を制御することを可能にする。少なくとも1つのポリペプチド/酵素が生細胞に存在する場合に、その方法は発酵であろう。この場合に、生体触媒生成を、バイオリアクター(発酵槽)で実施し、ここで、生細胞に適した生育条件に必要なパラメータ(例えば、栄養素を有する培養培地、温度、通気、酸素又は他の気体の有無、抗生物質等)を制御してよい。当業者は、化学反応器又はバイオリアクター、例えば化学的又は生物工学的方法を実験室規模から工業規模に拡大する手順、又はプロセスパラメータを最適化する手順を熟知しており、文献において広範にわたって記載されてもいる(生物工学的方法については、例えばCrueger und Crueger, Biotechnologie − Lehrbuch der angewandten Mikrobiologie, 2. Ed., R. Oldenbourg Verlag, Muenchen, Wien, 1984を参照されたい)。
少なくとも1つの酵素を含む細胞を、物理的又は機械的手段、例えば超音波もしくは無線周波数パルス、フレンチプレス、又は化学的手段、例えば低張培地、培地に存在する溶解酵素及び界面活性剤、又はかかる方法の組み合わせによって透過処理してよい。界面活性剤についての例は、ジギトニン、n−ドデシルマルトシド、オクチルグリコシド、Triton(登録商標)X−100、Tween(登録商標)20、デオキシコレート、CHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート)、Nonidet(登録商標)P40(エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル)等である。
生細胞の代わりに、必要な生体触媒を含む死細胞のバイオマスを、本発明の生体内変換反応にも適用してよい。
少なくとも1つの酵素を固定化する場合に、該酵素を、前記した不活性キャリヤーに付着させる。
変換反応は、バッチ式、セミバッチ式又は連続的に実施してよい。反応物(及び任意に栄養素)を、反応の開始時に供給してよく、又は半連続的もしくは連続的に後で供給してよい。
本発明の反応を、特定の反応タイプに応じて、水性、水性有機又は非水性の反応媒体中で実施してよい。
水性又は水性有機の媒体は、pHを5〜11、例えば6〜10の範囲の値に調整するために適した緩衝液を含みうる。
水性有機媒体において、水と混和性、部分的に混和性又は非混和性の有機溶媒を適用してよい。適した機溶媒の限定されない例を以下に挙げる。さらなる例は、一価又は多価の芳香族又は脂肪族アルコール、特に多価脂肪族アルコール、例えばグリセロールである。
非水性媒体は、実質的に水を含まず、すなわち、約1質量%又は0.5質量%未満の水を含む。
生体触媒法を、有機非水性媒体中で実施してもよい。適した有機溶媒としては、例えば炭素原子5〜8個を有する脂肪族炭化水素、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン又はシクロオクタン;芳香族炭水化物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン、脂肪族非環式、及びエーテル、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル;又はそれらの混合物が挙げられる。
反応物/基質の濃度を、適用される特定の酵素に依存しうる最適な反応条件に適合させてよい。例えば、初期基質濃度は、例えば、0.1〜0.5M、例えば10〜100mMであってよい。
反応温度を、適用される特定の酵素に依存しうる最適な反応条件に適合させてよい。例えば、反応を、0〜70℃、例えば20〜50℃又は25〜40℃の範囲の温度で実施してよい。反応温度の例は、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃及び約60℃である。
このプロセスは、基質と生成物との平衡が達せられるまで続行してよいが、早く停止してもよい。通常の処理時間は、1分〜25時間、特に10分〜6時間の範囲であり、例えば1時間〜4時間、特に1.5時間〜3.5時間の範囲である。これらのパラメータは、限定されないが適したプロセス条件の例である。
宿主がトランスジェニック植物である場合に、最適な成長条件、例えば最適な光条件、水条件及び栄養条件が提供されてよい。
k. 生成物の単離
本発明の方法論は、最終生成物又は中間生成物を、任意に立体異性的に又は鏡像異性的に実質的に純粋な形で回収するステップをさらに含んでよい。「回収する」という用語は、培養物又は反応培地から化合物を抽出すること、採取すること、単離すること又は精製することを含む。化合物の回収は、これらに限定されないが、従来の樹脂(例えば、陰イオン又は陽イオン交換樹脂、非イオン吸着樹脂等)での処理、従来の吸着剤(例えば、活性炭、ケイ酸、シリカゲル、セルロース、アルミナ等)、pHの変更、溶媒抽出(例えば、従来の溶媒、例えばアルコール、酢酸エチル、ヘキサン等)、蒸留、透析、濾過、濃縮、結晶化、再結晶、pH調整、凍結乾燥等での処理を含む、当該技術分野において公知の任意の従来の単離又は精製方法に従って実施してよい。
単離した生成物の同定及び精製を、公知の技術、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、分光法(例えばIR、UV、NMR)、彩色法、TLC、NIRS、酵素アッセイ又は微生物アッセイによって決定してよい(例えば、Patekら(1994) Appl. Environ. Microbiol. 60:133−140; Malakhovaら(1996) Biotekhnologiya 11 27−32;及びSchmidtら(1998) Bioprocess Engineer. 19:67−70. Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry (1996) Bd. A27, VCH: Weinheim, S. 89−90, S. 521−540, S. 540−547, S. 559−566, 575−581 und S. 581−587; Michal, G (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley and Sons; Fallon, A.ら(1987) Applications of HPLC in Biochemistry in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Bd. 17.を参照されたい)。
l. バニリンの発酵による生成
本発明は、バニリンの発酵による生成のための方法にも関する。
本発明に従って使用される発酵を、例えば、撹拌発酵槽、気泡塔及びループ反応器で実施してよい。撹拌器のタイプ及び幾何学的設計を含む可能なメソッドタイプの包括的な概要は、「Chmiel:Bioprozesstechnik:Einfuhrung in die Bioverfahrenstechnik、Band 1」にある。本発明の方法において、利用可能な典型的な変形は、当業者に公知であるか、又は例えば、「Chmiel、Hammes and Bailey:Biochemical Engineering」において説明されるもの、例えばバッチ、フェドバッチ、反復フェドバッチ、又はバイオマスのリサイクルの有無にかかわらず連続発酵である。生産株に応じて、空気、酸素、二酸化炭素、水素、窒素又は適切な気体混合物を散布して、良好な収率(YP/S)を達せられる。
使用される培養液は、適切な方法で特定の株の要件を満たす必要がある。種々の微生物の培地の説明は、the American Society for Bacteriologyのハンドブック「Manual of Methods for General Bacteriology」(Washington D. C., USA, 1981)において提供される。
本発明に従って使用されるこれらの培地は、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン及び/又は微量元素を含む。
好ましい炭素源は、糖、例えば単糖、二糖又は多糖である。非常に優れた炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン又はセルロースである。糖を、複雑な化合物、例えば糖蜜、又は糖精製からの他の副生成物を介して培地に添加してもよい。種々の炭素源の混合物を添加することも有利であってよい。他の可能な炭素源は、油及び脂肪、例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油及びココナッツ油、脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸又はリノール酸、アルコール、例えばグリセロール、メタノール又はエタノール、及び有機酸、例えば酢酸又は乳酸である。
窒素源は、通常、有機もしくは無機の窒素化合物又はこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例は、アンモニアガス、又はアンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウム、硝酸塩、尿素、アミノ酸、又は複雑な窒素源、例えばコーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母エキス、肉エキス等が含まれる。窒素源は、別々に又は混合物として使用されてよい。
培地中に存在しうる無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅及び鉄の塩化物、リン酸塩又は硫酸塩を含む。
無機硫黄含有化合物、例えば、スルフェート、スルフィット、ジチオナイト、テトラチオネート、チオスルフェート、スルフィド、並びに有機硫黄化合物、例えばメルカプタン及びチオールを硫黄源として使用してよい。
リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム又は対応するナトリウム含有塩をリン源として使用してよい。
キレート剤を、溶液中で金属イオンを維持するために培地に添加してよい。特に適したキレート剤は、ジヒドロキシフェノール、例えばカテコール又はプロトカテクエート、又は有機酸、例えばクエン酸を含む。
本発明に従って使用される発酵培地は、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸及びピリドキシンを含む他の成長因子、例えばビタミン又は成長促進剤も含んでよい。成長因子及び塩は、しばしば、培地、例えば酵母エキス、糖蜜、コーンスティープリカー等の複雑な成分に由来する。さらに、適した前駆体を培地に添加してよい。培地中の化合物の正確な組成は、特定の実験に強く依存し、かつ特定の場合ごとに個別に決定される必要がある。培地最適化に対する情報は、教本「Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach」(1997)に記載されている。成長培地は、商業供給者、例えばStandard 1(Merck)又はBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)等からも入手できる。
培地の全ての成分は、加熱(1.5bar及び121℃で20分)又は滅菌ろ過のいずれかによって滅菌される。前記成分は、一緒に、又は必要に応じて個々に滅菌されてよい。培地の全ての成分は、成長の開始時に存在するか、又は任意に連続的もしくはバッチ式で添加されてよい。
培養温度を、通常15℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃であり、一定に維持するか又は実験中に変動させてよい。培地のpH値は、5〜8.5の範囲、好ましくは約7.0であるべきである。成長のためのpH値は、酸性化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアもしくはアンモニア水、又は塩基性化合物、例えばリン酸もしくは硫酸を添加することにより、成長中に制御してよい。消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルは、発泡を制御するために使用されてよい。プラスミドの安定性を維持するために、選択作用を有する適した物質、例えば抗生物質を培地に添加してよい。酸素又は酸素含有ガス混合物、例えば周囲の空気を、好気性条件を維持するために、培養物に供給される。培養温度は、通常20℃〜45℃である。培養を、最大の所望の生成物が形成されるまで継続する。これは、通常、1時間〜160時間以内に達せられる。
本発明の方法は、バニリンを回収するステップをさらに含んでよい。
「回収する」という用語は、培養物又は培地から化合物を抽出すること、採取すること、単離すること又は精製することを含む。化合物の回収は、これらに限定されないが、従来の樹脂(例えば、陰イオン又は陽イオン交換樹脂、非イオン吸着樹脂等)での処理、従来の吸着剤(例えば、活性炭、ケイ酸、シリカゲル、セルロース、アルミナ等)、pHの変更、溶媒抽出(例えば、従来の溶媒、例えばアルコール、酢酸エチル、ヘキサン等)、蒸留、透析、濾過、濃縮、結晶化、再結晶、pH調整、凍結乾燥等での処理を含む、当該技術分野において公知の任意の従来の単離又は精製方法に従って実施してよい。
意図した単離の前に、培養液のバイオマスを取り除いてもよい。バイオマスを取り除くための方法、例えば濾過、沈降及び浮選は当業者に公知である。したがって、バイオマスを、例えば、遠心分離機、分離器、デカンター、フィルターで、又は浮上分離装置で取り除いてよい。価値のある生成物の最大の回収のために、バイオマスの洗浄は、しばしば、例えばダイアフィルトレーションの形が推奨される。前記方法の選択は、発酵ブロス中のバイオマス含有量及びバイオマスの特性、並びにバイオマスと価値のある生成物との相互作用に依存する。
一実施形態において、発酵ブロスを、滅菌又は低温殺菌してよい。さらなる実施形態において、発酵ブロスを濃縮させる。必要に応じて、この濃縮を、バッチ式又は連続的に実施してよい。圧力及び温度の範囲は、最初に生成物の損傷が生じず、次に装置及びエネルギーの最小限の使用を必須とするように選択すべきである。特に多段蒸発のための圧力及び温度レベルの巧妙な選択は、エネルギーの節約を可能にする。
次の実施例は、例示のみであり、要約、明細書又は特許請求の範囲において挙げられる発明の範囲を制限することを意図しない。
本明細書において提供される開示を考慮した後、当業者には直ちに明らかになる多数の可能な変更も本発明の範囲内に入る。
実施例
材料:
特に明記しない限り、本明細書において使用される全ての化学的及び生化学的な材料及び微生物又は細胞は、市販の製品である。
特に明記されない限り、組換えタンパク質を、標準の方法、例えばSambrook, J., Fritsch, E.F.及びManiatis, T., Molecular cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989において記載される方法により、クローニング及び発現させる。
方法:
典型的なイソオイゲノールモノオキシゲナーゼアッセイにおいて、ガスクロマトグラフィーによる分析の前に、次の例で説明するように、反応物を遠心分離し、そしてMTBEで抽出した。
ガスクロマトグラフィーを、次のプログラム:100℃(1分)、20℃ min-1で245℃、245℃(10分)を使用して、FID検出器及びDB−WAXカラム(30m、250microM、0.25microM)を備えたAgilent Technologies’6850で実施した。キャリヤーガス:水素、75cm 秒-1、スピリット=50、注入体積=1μL。
実施例1:第1世代イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM1)の生成及び試験
次の第1世代生体触媒を使用した:
Figure 2021519579
BL21(DE3):pIEM1株の新たに成長させたコロニーを、LB寒天プレートから採取し、そしてアンピシリン100mg/Lを含むLB培地20mLに移した。20時間37℃で225rpmでの振盪下で培養させた。その培養液1mLを取り、1Lの三角フラスコを使用して、アンピシリン100mg L-1を有する滅菌LB培地200mLに接種した。OD600が0.4に達するまで220rpm及び37℃で振盪して成長させた。培養を続けてOD600が0.6に達するまで成長させながら、温度を20℃に下げた。培養物を1mM IPTGで誘導し、さらに18時間培養した。典型的に、一晩のインキュベーション後に、OD600は5.5〜7に達した。
細胞を9000g及び4℃で20分間遠心分離した。その上清を廃棄し、そして細胞を、10v/v%DMSOを含む100mMグリシン−NaOH緩衝液(pH10.5)に再懸濁させた(至適pHは、後でP.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼについて約pH9であったことを見出した)。OD60010〜90に対応する異なる細胞密度の懸濁液を準備した。20mLバイアル中に、定義した光学密度の細胞懸濁液2mL、イソオイゲノール(Sigma Aldrich#I17206)75mgを添加した。反応は、酸素化のために穴をあけたアルミニウムの膜で作成したバイアル栓を使用して、室温(24℃)で500rpmで20時間撹拌して反応させた。反応物を6滴の15%HClで酸性化し、ガスクロマトグラフィーによる分析前に、内部標準としてトリデカン1g L-1を含むMTBE 10mLで抽出した。陰性対照を、空の細胞を用いて同一の方法で実施した。バニリンの形成についての時間曲線を図3に示す。
実施例2:第1世代イソオイゲノールモノオキシゲナーゼ(IEM1)によるバニリン生成
バニリンを以下のように生成した:P.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼを発現する大腸菌(実施例1を参照されたい)の細胞を、アンピシリン含有LB寒天プレートから、炭素源としてグルコース15g L-1を有するアンピシリン含有ミネラル塩培地50mLに移し、そして225rpm、37℃で20時間振盪させながら増殖させた。無機塩培地は、グルコース15g L-1、(NH42HPO4 5g L-1、K2HPO4 16g L-1、クエン酸2g L-1、MgSO4 1g L-1、CaCl2 30mg L-1、微量元素、ビタミン、及びアンピシリン100mg L-1から構成した。そして、この培養液0.4mLを取り、1Lのフラスコを使用して同一の組成の無機塩培地200mLに接種した。いくつかのフラスコを並行に動かした。培養物を37℃、180rpmで振盪させながらOD600が2.5に達するまで増殖させた。温度を20℃に下げた。培養物を、OD600 3で1mM IPTGで誘導させ、20℃、180rpmでさらに17時間振盪させながら増殖させた。培養終了時のOD600は24であった。培養物を4000gで4℃で50分間遠心分離した。細胞を100mMグリシン−NaOH緩衝液(pH9)に再懸濁させ、最終OD600を45にした。
2Lの反応フラスコに、OD600が45の細胞懸濁液1.3L及びイソオイゲノール19.5gを添加した。室温で20時間撹拌して反応させた。ガスクロマトグラフィーによる反応の分析は、バニリン7.3g L-1、(Z)−イソオイゲノール1.2g L-1、及び残りは(E)−イソオイゲノール4.1g L-1を示した。反応ブロスの温度を12℃に下げ、pHをpH12.5に調整して、蒸留した酢酸エチル(1L)で抽出した。相分離及び有機相の除去後に、水相を再び12℃及びpH12.5に調整した。酢酸エチル700mLでの2回目の抽出を実施し、有機相を廃棄した。そして、水相のpHを15%のHClでpH7に調整した。水相を蒸留酢酸エチル1Lで2回抽出した。これらを合した抽出物は、GC分析に基づいてバニリン7.7gを含んでいた。次に、合した有機抽出物を水600mLで洗浄して、真空下で蒸発させた。黄色の残留物7.7gを得た。10℃、pH12.5での酢酸エチルによる他の抽出によって黄色を取り除く努力は失敗した。この作業においてバニリン約0.8gを損失し、わずかに黄色い固体の残留物6.9gが残った。残留物を55℃で熱水153mLに溶解した。全ての粗バニリンを溶解させたら、その溶液を室温で1時間放置した。温度を4℃に下げ、この温度で3時間維持した。最終的にその溶液を氷水浴で18時間冷却した。沈殿させたバニリンを有する溶液を、予め冷却した紙フィルターに通した。その結晶を氷冷水(30mL)で洗浄した。次に、その結晶をデシケーター内で室温で6時間真空下で乾燥させた。内部標準に基づくGCで99.7%のバニリンを含むわずかに黄色がかった固体残留物5.4gを回収した。化学的同一性を、GC−MS、1H−NMR及び13C−NMRによって検証した。精製中にいくらかの損失が生じた。酢酸エチルはアルカリ抽出にはあまり適しておらず、より安定した溶媒、例えばMTBEに置き換えてよい。
実施例3:第2世代イソオイゲノールモノオキシゲナーゼの生成
次の第2世代生体触媒(2つの異なるプラスミド上に位置するIEM及びヘルパーポリペプチド)を試験した:
Figure 2021519579
新たに成長した細胞を寒天プレートから単離し、光学密度OD600=1に達するまで37℃で振盪しながら、アンピシリン及びクロラムフェニコールを含むLB培地2mL中で成長させた。この培養液1mLを採取して、アンピシリン100mg L-1及びクロラムフェニコール30mg L-1を含むLB培地200mLに接種し、1000mLフラスコに入れたFeCl3 5mg L-1を補充した。シャペロンの誘導は、アラビノース2mg mL-1及び適宜テトラサイクリン5ng mL-1を使用して、製造元(Takara Bio Inc.)のプロトコルに従って培養の最初に実施した。OD600が0.4に達するまで37℃で180rpmで振盪させながら培養した。温度を20℃に下げ、OD600=0.6で1mM IPTGで誘導した。細胞を一晩培養した後に、3600gでの遠心分離により回収し、0.1MグリシンNaOH(pH9.5)の冷緩衝液に再懸濁させて、所望の光学密度にした。触媒活性を実施例1に記載したように試験した。異なる構築物で観察した触媒活性を図4に示す。ほとんどの第2世代触媒で第1世代触媒(対照)よりも高い比活性が得られた。P.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼとシャペロニンGroES及びGroELとを同時発現する細胞が最も活性が高かった。プラスミドpKJE7を保有する細胞は、非常に弱い増殖を示し、活性について試験しなかった。
実施例4:第2世代イソオイゲノールモノオキシゲナーゼのフェドバッチ培養
菌株BL21(DE3):pIEM1_pGro7を、フェッドバッチ培養条件下で試験した。フェドバッチ培養を、溶存酸素に基づくグルコース供給を使用して、作業容量3.7Lの反応器(Bioengineering、Switzerland)で実施した。酵母エキス5g L-1を含み、カルベニシリン及びクロラムフェニコールをpH7で補ったミネラル塩培地は、炭素源としてグルコースの代わりにグリセロールを使用する成長培地として機能した。培養は37℃であった。OD600 48で、温度を25℃に下げ、培養をOD600 51でアラビノース1.5g L-1で誘導した。OD600 59で、培養を1mM IPTGで誘導した。供給溶液は70%の無菌水性グリセロールを含んだ。NH3水溶液でpHを調整した。発酵を43時間続け、最終OD600 163に達した。プラスミドの安定性を、選択に適切な抗生物質を含むか又は含まない寒天プレートを使用して測定した。細菌細胞を、前記したように遠心分離によって収集し、100mMグリシン−NaOH緩衝液(pH9)に再懸濁させ、活性を試験した。バニリン3.7g L-1までを、OD600 5に相当する触媒添加量で、実施例1に記載したように実施した反応において、ガスクロマトグラフィーにより観察した。
実施例5:第3世代イソオイゲノールモノオキシゲナーゼの生成
次の第3世代生体触媒(1つの単一ポリシストロン性構築物上に位置するIEM及びヘルパーポリペプチド)を試験した:
Figure 2021519579
異なるポリシストロン性構築物の略図も示す(図2)。培養、誘導及び活性試験を実施例1に記載したように実施した。OD600が5の触媒負荷での比較活性試験は、ポリシストロン性構築物(第3世代触媒)の1つを発現する大腸菌の細胞が、第1世代及び第2世代の触媒と比較して、より高い比触媒活性を示すことを示した(図5)。
実施例6:P.プチダIE27のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの変異体の生成
P.プチダIE27(IEM2)のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの人工変異体を、プラスミドpJ431(T7、kanR、低コピー;供給者Atum、Newark、CA)に挿入して、大腸菌BL21(DE3)T1で発現させた。あるいは、P.プチダIE27の変異体の1つを生成する大腸菌の細胞を、シャペロニンGroES及びGroELを同時生成するためにプラスミドpGro7で同時形質転換した。
次の変異体を試験した:
Figure 2021519579
前記プラスミドでコードした変異体を保有する新たに成長させた大腸菌のコロニーをLB寒天プレートから取り出し、カナマイシン30mg L-1を含むLB液体培養液2mL中で220rpmで37℃で一晩(16時間)成長させた。そして、150μLを、必要な抗生物質を含むLB培地50mLが入ったフラスコに移し、OD600が0.45に達するまで約2時間200rpmで振盪しながら37℃で培養した。培養を続けてOD600が0.6になるまで成長させながら、温度を20℃に下げた。0.5mM IPTGで誘導後に、培養物を同じ条件下でさらに16時間増殖させた。P.プチダIE27の変異体イソオイゲノールモノオキシゲナーゼを含む大腸菌の細胞を遠心分離により回収し、そして10v/v%のDMSOを含む氷冷0.1Mグリシン緩衝液(pH9.5)に再懸濁して、最終的にOD600を45にした。P.ニトロレデュセンスJin1のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼを含む大腸菌細胞の場合(陽性対照として使用)、0.1Mグリシン緩衝液(pH9.0)を使用して同一の手順を適用した。20mLバイアルに、イソオイゲノール80mg、OD600=45の細胞懸濁液2mLを追加した。空気循環のために、穴を開けたアルミニウム膜でバイアルを閉じた。室温(23℃)で17時間、450rpmで磁石で撹拌して反応させた。反応物を3滴の15%HClで酸性化し、GCによる分析のための内部標準としてトリデカン1g L-1を含むMTBE10mLで抽出した。個々の変異体及び対照で得られたバニリン濃度を図6に示す。P.プチダIE27(IEM)のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼのさらなる変異体を、商業的製造業者によって実施したアミノ酸位置T52、又はQ74又はD440での個々の飽和変異誘発実験によって得た。これらの追加の変異体を、上記で同定した変異体と同様に試験した。図10に示すように、それぞれの変異体の相対活性を、標準アッセイ条件下で変異体「C154」(すなわち、変異体a154c;PQDに対応)で得られた平均化バニリン力価の割合として表す。
実施例7:GroES及びGroELで同時発現したP.プチダIE27のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの三重変異体
プラスミドpIEM2_c154_t222_a1318(図8のプラスミドマップ及び注釈、並びに配列番号16を参照されたい)を保有する大腸菌BL21(DE3)T1のコロニー及びpGro7を寒天プレートから単離し、カナマイシン30mg/L及びクロラムフェニコール30mg/Lを含むLB培地2mLに添加した。培養物を、220rpmで16時間振盪しながら37℃で増殖させた。150μLを、同一の抗生物質を含む新しいLB培地50mLに移した。細胞を、OD600が0.45に達するまで37℃で220rpmで振盪させながら増殖させた。アラビノース1.5g/Lで培養を誘導し、OD600が0.6に達するまで振盪しながら温度を20℃に下げた。培養物を、0.5mM IPTGで誘導させ、さらに16時間220rpmで振盪しながら20℃で増殖させた。遠心分離により細胞を回収し、氷冷した0.1Mグリシン緩衝液(pH9.5)に再懸濁した。2〜45のOD600に対応する異なる細胞希釈液を準備した。開いた20mL反応バイアルに、イソオイゲノール80mg、異なる光学密度の細胞懸濁液2mLを添加した。室温で17時間、500rpmで磁気バーで撹拌して反応させた。反応物を3滴の15%HClで酸性化し、GCによる分析のための内部標準としてトリデカン1g/Lを含むMTBE10mLで抽出した。異なる細胞密度を含む反応で観察したバニリン濃度を図7に示す。
実施例8:ポリシストロン性構築物PC1_triple(配列番号25;IEM IE27の三重変異体を含む)に由来する異なる発現構築物からのGroES及びGroELと同時発現させたP.プチダIE27のイソオイゲノールモノオキシゲナーゼの三重変異体
シャペロニンGroES及びGroELと一緒にイソオイゲノールモノオキシゲナーゼIE27の三重変異体を発現させるための異なるプラスミド構築物(図11の一般的なスキームに従って構築し、配列番号17〜24から選択されるヌクレオチド配列、及びIEMコード配列の転写ターミネーターが存在しない対応する構築物を有する)を保有する大腸菌細胞BL21(DE3)T1のコロニーを、カナマイシン含有寒天プレートから採取し、無機塩培地2mLに接種した。無機塩培地は、グリセロール30g/L、(NH42HPO4 5g L-1、K2HPO4 16g L-1、クエン酸 2g L-1、MgSO4 1g L-1、CaCl2 30mg L-1、酵母エキス 5g/L、微量元素及びカナマイシン50mg/Lを含んだ。
培養物を230rpmで37℃で16時間振盪した。培養液0.25mLを、同一の培地50mLを含むフラスコに移し、光学密度OD600が2.5に達するまで37℃で230rpmで培養した。温度を23℃に下げ、OD600が3に達するまで220rpmで培養を続けた。0.5mMのIPTGで培養を誘導し、同一の条件下で一晩維持した。
培養の最後に、600nmでの光学密度を決定するため、標準の質量測定法を使用して細胞の乾燥質量を推定するため、及び活性試験のために、試料を採取した。活性試験のために、培養物15mLを、4℃で3500gで35分間遠心分離し、そしてその上清を廃棄した。細胞ペレットを−80℃で数時間凍結した。凍結したペレットを氷上で解凍し、氷冷した0.1Mのグリシン緩衝液(pH9.5)に再懸濁して、最終的にOD600を20にした。
20mLフラスコに、イソオイゲノール80mg、氷冷0.1Mグリシン緩衝液(pH9.5)1800μLを添加した。磁気撹拌下で、細胞再懸濁液(OD600=20)200μLを添加して、最終OD600を2にした。反応液を、磁気撹拌機で23℃、450rpmで16時間撹拌した。
内部標準としてトリデカン1g L-1を含むMTBE 10mLで抽出する前に、85%リン酸8滴(80μL)で反応物を酸性化させた。バニリン濃度を前記したようにガスクロマトグラフで測定した。異なるプラスミド構築物で得られたバニリン濃度を、反応で使用した細胞懸濁液の細胞乾燥質量に関して標準化した。結果を図12に示す。
相互参照される文書の内容は、参照をもって組み込まれたものとする。
本明細書において言及される配列は以下である:
Figure 2021519579
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Claims (15)

  1. イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドの組換え発現のための発現系であって、以下、
    a. 酵素イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(A)、並びに
    b. 前記ヌクレオチド配列(A)によってコードされる、ポリペプチドの機能的発現を単独で又は協力して助ける少なくとも1つのヘルパーポリペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列(B)
    を保有する単一の核酸構築物を含み、前記ヌクレオチド配列(A)及び(B)の同時発現を提供する、前記発現系。
  2. 単一ポリシストロン性核酸構築物である、請求項1に記載の発現系。
  3. 前記ヌクレオチド配列(A)が、
    a. イソオイゲノール酸化活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド、又は
    b. 配列番号4に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列、並びにT52、Q74、D440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異、及びN120、T121、F281、M298、及びL470から選択されるアミノ酸配列位置で任意に少なくとも1つのさらなる変異を含むアミノ酸配列を含むイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチド
    をコードする、請求項1又は2に記載の発現系。
  4. イソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドが、配列番号4のT52、Q74及びD440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異を含む変異体ポリペプチドである、請求項3に記載の発現系。
  5. 前記少なくとも1つのヌクレオチド配列(B)が、ヌクレオチド配列(B1)及び(B2)を含み、
    a. (B1)は、配列番号8に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシャペロニン活性を有するポリペプチドをコードし、かつ
    b. (B2)は、配列番号10に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むシャペロニン活性を有するポリペプチドをコードする、
    請求項1から4までのいずれか1項に記載の発現系。
  6. 配列番号4に対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列、並びにT52、Q74、D440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異、及びN120、T121、F281、M298及びL470から選択されるアミノ酸配列位置で任意に少なくとも1つのさらなる変異を含むアミノ酸配列を含むイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチド。
  7. 配列番号4のT52、Q74及びD440から選択されるアミノ酸配列位置で少なくとも1つの変異を含む変異体ポリペプチドである、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. 前記変異体が、
    a. 単一変異体(T52X1)、(Q74X2)及び(D440X3
    b. 二重変異体(T52X1、Q74X2)、(T52X1、D440X3)及び(Q74X2、D440X3)、並びに
    c. 三重変異体(T52X1、Q74X2、D440X3
    から選択され、
    ここで、
    1は、P、M又はKであり、
    2は、H又はAであり、かつ
    3は、N、A、C、E、F、G、H、I、K、L、M、Q、R、S、T、V、W又はYである、
    請求項7に記載のポリペプチド。
  9. 請求項6から8までのいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、又は配列番号3もしくは5又はそれらの逆相補配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、組換え核酸。
  10. 請求項9に記載の組換え核酸又はそれらの逆相補体を含む、組換え核酸構築物。
  11. 以下、
    a. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の組換え発現系によって含まれる単一核酸構築物又はそれらの逆相補体、又は
    b. 請求項9に記載の組換え核酸又はそれらの逆相補体、又は
    c. 請求項10に記載の組換え核酸構築物又はそれらの逆相補体
    を含む、発現ベクター。
  12. 非ヒト宿主生物又は宿主細胞であって、任意にそのゲノム中で
    a. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の組換え発現系によって含まれる単一核酸構築物、又は
    b. 請求項9に記載の組換え核酸、又は
    c. 請求項10に記載の組換え核酸構築物、又は
    d. 請求項11に記載の発現ベクター
    を安定して組み込んだものを含む、非ヒト宿主生物又は宿主細胞。
  13. イソオイゲノール酸化活性を有する単離した触媒活性ポリペプチドを製造するための方法であって、イソオイゲノール酸化活性を有する前記ポリペプチドと、宿主細胞系において請求項1から5までのいずれか1項において定義した発現系によってそれぞれコードされる少なくとも1つのヘルパーポリペプチドとの同時発現、並びに任意にイソオイゲノール酸化活性を有する前記ポリペプチドの単離を含む、前記方法。
  14. 以下、
    a. イソオイゲノールと、請求項6から8までのいずれか1項において定義したイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチド又は請求項13に記載の方法によって製造したイソオイゲノール酸化活性を有するポリペプチドとを、酸素の存在下で接触させて、バニリンを製造するステップ、及び
    b. 任意に、ステップaにおいて製造したバニリンを単離するステップ
    を含む、バニリンの製造方法。
  15. オイゲノールをイソオイゲノールに化学的又は生化学的に異性化するステップ、及び任意に反応媒体からイソオイゲノールを単離するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
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