JP7467440B2 - 多価不飽和脂肪酸(pufa)からの不飽和c10アルデヒドのリポキシゲナーゼ触媒での製造 - Google Patents

多価不飽和脂肪酸(pufa)からの不飽和c10アルデヒドのリポキシゲナーゼ触媒での製造 Download PDF

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Description

本発明は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)源から脂肪族不飽和C10アルデヒド化合物をリポキシゲナーゼ(LOX)触媒で製造するための新規の方法を提供する。本発明はまた、様々な藻類源からの新規のLOX、好ましくは二機能性LOXを単離および特性評価すること、ならびに様々な細菌源からの構造的および/または機能的に関連するLOXを同定することにも関する。本発明はまた、新たに同定された該酵素から誘導された酵素変異体を提供することにも関する。本発明のさらなる態様は、そのようなLOXの製造および脂肪族不飽和C10アルデヒド化合物の新規の製造方法の実施に適した、該酵素、組み換えベクター、および組み換え宿主細胞の対応するコード配列に関する。本発明の別の態様は、フレーバー成分または食品もしくは飼料組成物の成分としての、本発明によって得られるような特定のアルデヒドまたはアルデヒド混合物の使用に関する。
背景技術
不飽和C10アルデヒドであるデカジエナールおよびデカトリエナールは、鶏肉および柑橘類のフレーバーにとって非常に重要な成分である。製造コストが高く、かつ製造量が少ないにもかかわらず、フレーバリストは、それらの独特な嗅覚特性を理由に、これらを他の成分で置き換えることができない。200を超える市販の配合物に、C10アルデヒドが含有されている。
およびCアルデヒドは、通常、多価不飽和脂肪酸(PUFA)から出発する2段階の酵素反応を通じて植物防御システムによって生合成される(以下のスキーム1を参照)。まず、LOXによって、脂肪酸が脂肪酸ヒドロペルオキシド(HPO)に変換される。続いて、ヒドロペルオキシドリアーゼ(HPL)によって、HPOが、アルデヒドおよびアルコールを含む代謝物に分解される。植物抽出物からの酵素または過剰発現した微生物系からの酵素によるCおよびC成分の製造は周知である。CおよびCアルデヒドフレーバー成分を製造するための工業的ルートは比較的成熟しており、製品品質は安定している。結果として、これらの価格は、C10類似体よりも低いままである。
およびC類似体と比較して、C10アルデヒド成分を製造するための工業プロセスは、より困難である(以下のスキーム1の右半分を参照)。これは、9-LOXで触媒されたリノール酸とα-リノレン酸との過酸化から出発する。9-LOXは、植物源(ジャガイモ)から得られる。9-HPO中間体をC10断片に開裂させ得るHPLが利用できないことを考慮すると、現在、一般的なプロセスは、9-HPOの熱分解に依存する。全体として、このアプローチには2つの欠点がある。1つは、様々な供給業者からのジャガイモ抽出物の品質がばらついていることを原因とする製品のばらつきの問題、すなわち、ジャガイモからの酵素含有量が異なるために製造バッチごとに得られる収率が異なることである。もう1つは、熱分解ステップの収率が低く、それによって、製造コストが高くなることである。
Figure 0007467440000001
Alsufyani, T.等は、Chemistry and Physics of Lipids 183 (2014) 100-109で、従来のLOX/HPL経路を介してデカジエナールおよびデカトリエナールを産生することが可能なアオサ(Ulva)を含むいくつかの海藻について記載している。この従来技術の文書では、該生物変換に関与する遺伝子配列、コード配列、もしくはタンパク質配列、または高いLOX活性を決定するキーアミノ酸残基は特定されていない。
Lee, J.等は、Environmental Pollution 227 (2017) 252e262で、過去50年間にわたって公開された藻類臭および細菌臭の問題に関する報告を提供している。2つのミクロシスティス(microcystis)種(シアノバクテリア)がデカトリエナールを産生することが報告された。該従来技術は、水中の臭気汚染に焦点を置いているが、該デカトリエナール形成に関与する遺伝子、コード配列、またはタンパク質配列については、特に教示されていない。
Zhu, Z-J.等は、Journal of Agriculture and Food Chemistry. (2018) 66(5):1233-1241で、LOX活性およびHPL活性に基づいて脂肪酸を主にC~Cアルデヒドにする1段階の生物変換における、パイロピア・ハイタネンシス(Pyropia haitanensis)という海藻からの多機能LOXであるPhLOX(Algal Research, 12, (2015) 316-327でChen, Hai-min等によっても記載されている)についてさらに調査を行っている。該多機能LOXは、LOX、HPL、およびアレンオキシドシンターゼ(AOS)活性を示すと言われている。2E,4Z-デカジエナール副産物の産生は、加水分解された魚油をフィーディングするだけで観察されたが、ALA、ARA、EPA、およびDHAのような試験された他の多くの基質では観察されなかった。デカトリエナールは観察されなかった。γ-リノレン酸は、該従来技術では基質として使用されなかった。該デカジエナール副産物の生産性は非常に低く、工業的価値はない。
Zhu等は、PLoS One. (2015) 10(2):e0117351)で、パイロピア・ハイタネンシスという海藻からの別の多機能LOXであるPhLOX2を記載している。EPA、ARA、GLA、およびDHAが基質として調査されたが、ここでは、不飽和C10アルデヒドの産生については報告されなかった。
中国の特許出願である中国特許出願公開第104293805号明細書には、大腸菌においても発現したパイロピア・ハイタネンシスという海藻からの多機能LOXタンパク質配列(PhLOX)が記載されている。該LOX種は、脂肪酸基質をフィーディングした場合、デカジエナールおよびデカトリエナールを産生しなかった。これは、短鎖アルデヒドを産生するだけである。
中国の特許出願である中国特許出願公開第104293837号明細書には、大腸菌において発現したパイロピア・ハイタネンシスという海藻からの別の多機能LOX(PhLOX)が記載されている。ここでは、C10アルデヒド、特にデカジエナールおよびデカトリエナールの産生については明示されていない。
国際公開第2008056291号および欧州特許出願公開第1921134号明細書には、シアノバクテリアLOX、すなわちWP_012407347.1が記載されており、脂肪酸ヒドロペルオキシドの産生におけるその使用が提案されているが、デカジエナールのような不飽和C10アルデヒドの産生については明示されていない。
不飽和C10アルデヒドの生体触媒合成に関する様々な報告にもかかわらず、従来技術に記載されている酵素系は、依然として生産性が低いという問題があり、結果として、C10アルデヒドの工業規模の製造に適したベースとならない。
したがって、本発明によって解決すべき課題は、不飽和C10アルデヒド化合物、特にデカジエナールおよび/またはデカトリエナールを産生するための改善された生体触媒法を提供することである。本発明によって解決すべき別の課題は、不飽和C10アルデヒド、特にデカジエナールおよび/またはデカトリエナールを完全に生合成によって産生することに適用可能な新規の生体触媒を提供することである。
発明の概要
驚くべきことに、上記の課題は、新たな供給源から独自の優れたLOXを提供することによって解決することができる。特に、本発明者等は、様々なPUFA基質から多量のデカジエナールおよび/またはデカトリエナールを産生するクラドホラ・オリゴクラダ(Cladophora oligoclara)という海藻源から新規の二機能性LOXを単離することに成功した。本発明者等はまた、同様に様々なPUFA基質から多量のデカジエナールおよび/またはデカトリエナールを産生するアオサ(Ulva fasciata)という海藻から新規の二機能性LOXを単離することにも成功した。
驚くべきことに、新たな該LOXに由来する配列情報に基づいて、本発明者等はまた、細菌源、主にシアノバクテリアから所望の触媒LOX活性を有するLOXを同定することにも成功した。
新たに同定された該酵素間での配列比較に基づいて、本発明者等は、不飽和C10アルデヒド化合物、特にデカジエナールおよび/またはデカトリエナール、より具体的にはデカジエナールについてより優れた生産性および/または特異性を示す適切な二機能性LOXの構造および機能性に関する体系的な調査を実施することができた。いくつかの細菌LOXについて、生産性の改善が観察された。そのような調査に基づいて、本発明者等は、そのようなC10アルデヒドの工業的製造におけるLOXの生産性をさらに改善することができた。
新たに同定されたタンパク質配列は、大腸菌のような細菌宿主で機能的に発現される場合がある。驚くべきことに、高い細胞密度を有する培養物を、該C10アルデヒドの工業規模の製造のための改善された酵素能力を伴って得ることができた。基質としての特定の脂肪酸をフィーディングすると、そのような組み換え大腸菌宿主は、異なるデカジエナールおよび/またはデカトリエナールにおける生産性が高くなる。
この新たなアプローチによって、デカジエナールおよび/またはデカトリエナールを完全に生体触媒によって産生するためのより費用効果の高い方法を提供することが可能になる。
必要に応じて、該アルデヒドを、化学的または特に生化学的な変換によって、例えば、従来のアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)酵素を適用することによって、適切な誘導体、特に対応するアルコールに変換してもよい。
不飽和C10アルデヒド立体異性体である2E,4Z,7Z-デカトリエナール、2E,4E,7Z-デカトリエナール、2E,4Z-デカジエナール、および2E,4E-デカジエナールの構造式である。 アオサの新鮮なサンプルのSPME/GC/MSクロマトグラムである。 クラドホラ・オリゴクラダの新鮮なサンプルのSPME/GC/MSクロマトグラムである。 2E,4Z-デカジエナールのMSスペクトルである。 2E,4E-デカジエナールのMSスペクトルである。 2E,4Z,7Z-デカトリエナールのMSスペクトルである。 2E,4E,7Z-デカトリエナールのMSスペクトルである。 陰性対照(BL21=非形質転換大腸菌細胞;pETDuet=空のベクターで形質転換されたBL21)と比較した、γ-リノレン酸での本発明のCoLOXのフィーディング結果である。 陰性対照(BL21=非形質転換大腸菌細胞;空のベクター=pETDuet-1形質転換大腸菌細胞)と比較した、α-リノレン酸およびリノール酸混合物での本発明のCoLOXのフィーディング結果である。 陰性対照(BL21=非形質転換大腸菌細胞;空のベクター=pETDuet-1形質転換大腸菌細胞)と比較した、魚油での本発明のCoLOXのフィーディング結果である。 キーアミノ酸残基をマイニングするためのUfLOX2および細菌LOXの配列アライメントである。 UfLOX2の変異誘発研究の結果である。 UfLOX2の活性に対する様々な補因子の影響である。 配列番号51のコンセンサス配列を生成するための様々なCoLOXアミノ酸配列のアライメントである。 配列番号52のコンセンサス配列を生成するための様々な細菌LOXアミノ酸配列のアライメントである。 配列番号53のコンセンサス配列を生成するためのUfLOX2配列および様々な細菌LOXアミノ酸配列のアライメントである。 配列番号54のコンセンサス配列を生成するための様々なCoLOX、UfLOX2、および様々な細菌LOXアミノ酸配列のアライメントである。 それらの天然配列(灰色)とそれぞれ比較した細菌LOX変異体(黒色)の平均生産性である。
使用される略語
AOS アレンオキシドシンターゼ
bp 塩基対
kb キロベース
DNA デオキシリボ核酸
cDNA 相補的DNA
GC ガスクロマトグラフ
HPO ヒドロペルオキシド
HPL ヒドロペルオキシドリアーゼ
LOX リポキシゲナーゼ
MS 質量分析計/質量分析
PUFA 多価不飽和脂肪酸
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーリボ核酸
miRNA マイクロRNA
siRNA 低分子干渉RNA
rRNA リボソームRNA
tRNA 転移RNA
Xaa(またはX) 本明細書の配列表で使用される場合またはこの説明に付けられる場合、特に明記しない限り、公知の天然アミノ酸残基または化学結合を指す。
本明細書で具体的に言及される特定のPUFA(PUFA基質)は、以下の多価不飽和ω-3脂肪酸およびω-6脂肪酸、ならびにこれらのうちの少なくとも2つからの天然混合物または合成混合物から選択される:
Figure 0007467440000002
本明細書で具体的に言及される特定のPUFA混合物の非限定的な例は、魚油、アマニ油、アラキドン酸油、アマニ油、月見草油、エキウム油、微細藻類油、およびルリジサ油から選択される。
定義
「リポキシゲナーゼ」(LOX)(リノール酸とも称される:酸素オキシドレダクターゼ、EC1.13.11.12)は、植物および動物内に遍在する非ヘム鉄含有脂肪酸ジオキシゲナーゼの大きな遺伝子ファミリーを構成している。LOXは、少なくとも1つの(1Z,4Z)-ペンタジエン系を含むPUFAの位置特異的および立体特異的な二酸素化を触媒する。したがって、LOXの基質は、例えば、リノール酸(LA)、α-リノレン酸(ALA)、またはアラキドン酸(ARA)である。
本明細書で使用される「LOX」という用語は、具体的には、該PUFA分子の適切な鎖位置で二酸素化ステップを開始し、最終的に、そのような酸化分解反応の結果として、少なくとも1つの不飽和C10アルデヒド断片、特に少なくとも1つのデカジエナールおよび/またはデカトリエナール化合物を形成する能力をもたらすPUFA分解酵素を指す。該C10化合物は、副産物として、異なる鎖長の、例えばより短い鎖長の他の酸化産物、例えばCもしくはC不飽和アルデヒドなどと一緒に産生され得るが、特に、該C10化合物は、主産物として、すなわち、異なる鎖長の、例えばより短い鎖長の他の酸化産物、例えばCもしくはC不飽和アルデヒドなどよりもモル過剰で産生され得るか、またはより具体的には、該C10化合物は、単一の産物種として産生され得る。
「LOX/HPL経路」または「LOX/HPL経路」とは、多価不飽和脂肪酸分子の酸化分解のための古典的な2段階の酵素反応を指す。まず、LOXによって、該脂肪酸が脂肪酸ヒドロペルオキシド(HPO)に変換される。続いて、HPLによって、HPOが、アルデヒドおよびアルコールを含む代謝物に分解される。
本明細書において、「二機能性」LOXとは、(特定の酵素メカニズムとは無関係に)多価不飽和脂肪酸分子の酸化分解に必要なLOX活性およびHPL活性の双方を示す単一の酵素分子を指す。特定の実施形態では、そのような二機能性LOXは、実質的にAOS活性を示さない場合があり、より具体的には、そのようなAOS活性がない場合がある。実験の項に示されているように、そのような二機能性LOXは、脂肪酸ヒドロペルオキシド中間体を形成するのみならず、合成人工基質として適用された場合、そのような脂肪酸ヒドロペルオキシド化合物を分解する能力も示す。特に本明細書において、「二機能性」LOXとは、(特定の酵素メカニズムとは無関係に)多価不飽和脂肪酸分子の酸化分解に必要なLOX活性およびHPL活性の双方を示す単一の酵素分子を指す。したがって、該二機能性LOXは、そのような酸化分解反応の結果として、少なくとも1つの不飽和C10アルデヒド断片、特に少なくとも1つのデカジエナールおよび/またはデカトリエナール化合物の形成を触媒する。該C10化合物は、副産物として、異なる鎖長の、例えばより短い鎖長の他の酸化産物、例えばCもしくはC不飽和アルデヒドなどと一緒に産生され得るが、特に、該C10化合物は、主産物として、すなわち、異なる鎖長の、例えばより短い鎖長の他の酸化産物、例えばCもしくはC不飽和アルデヒドなどよりもモル過剰で産生され得るか、またはより具体的には、該C10化合物は、単一の産物種として産生され得る。
機構的考察に縛られるものではないが、本発明の「二機能性LOX」のHLP活性とは、そのHOO基に対してカルボキシル末端側のC-C結合においてPUFA基質のヒドロペルオキシド中間体を排他的または優先的に開裂させる能力としてさらに説明され得る。これによって、本酵素は、例えば先のスキーム1に図示されているように、植物由来のLOX/HLP酵素系からも区別される。LAまたはALA(すなわち、C18-PUFA)から出発して、本発明の二機能性LOXは、9-LOX活性および9-HPL活性の双方を包含すると考えられ得る。しかしながら、イネの従来技術の9-HLPとは対照的に、本発明の二機能性LOXの9-HPL活性は、中間体のHOO基の反対(カルボキシル末端)側のヒドロペルオキシド中間体を開裂させる。C10アルデヒドをもたらす開裂については、HOO基に対してβ位にあるさらなる二重結合が有利または必要であると思われるので、C原子を有するHOO基とこれに対してα位にある炭素との間に炭素鎖の開裂が生じるだろう。これの結果として、植物酵素の場合のようにCアルデヒドではなくC10アルデヒドが産生される。これは、GLAを例として用いて、以下のスキーム2に図示されている。
Figure 0007467440000003
先のスキーム2から明らかであるように、本発明の「二機能性LOX」は、不飽和C10アルデヒドを産生するために、特定のPUFA基質を用いる。本質的に、好ましいPUFA基質は、ω-9および10の炭素原子間(すなわち、C18脂肪酸における位置(C-9)と(C-10)との間およびC20脂肪酸における位置(C-11)と(C-12)との間)およびω-12および13の炭素原子間(すなわち、C18脂肪酸における位置(C-6)と(C-7)との間およびC20脂肪酸における位置(C-8)と(C-9)との間)にシス二重結合を含むべきである。例えば、C18脂肪酸の場合、all-cis-6,9配置に2つのシス二重結合を含むもの(GLAおよびSDAを参照)が好ましい基質であり、C20脂肪酸の場合、all-cis-8,11配置に2つのシス二重結合を含むもの(EPAまたはARAを参照)が好ましい基質である。これらの好ましいPUFA基質は、「参照基質」であると考えることもできる。「本発明の二機能性LOX」として適格であるためには、LOXが、そのような「参照基質」のうちの少なくとも1つを、不飽和C10アルデヒド、特に(2E,4Z)-2,4-デカジエナール、(2E,4E)-2,4-デカジエナール、(2E,4Z,7Z)-2,4,7-デカトリエナール、および(2E,4E,7Z)-2,4,7-デカトリエナールに変換できれば十分である。
「不飽和C10アルデヒド」は、そのヒドロカルビル鎖に10個の炭素原子を有する、任意の一、二または三不飽和直鎖状脂肪族アルデヒドを包含する。これは、任意の立体異性的に純粋な形態または少なくとも2つの異なる立体異性体の混合物の形態のそのような化合物を包含する。特に、そのようなアルデヒドの非限定的な例は、デカジエナールおよびデカトリエナールである。
「デカジエナール」は、任意の立体異性的に純粋な形態または少なくとも2つの異なる立体異性体の混合物の形態のそのような化合物を包含する。一般的な例は、2E,4Z-デカジエナールおよび2E,4E-デカジエナールならびにそれらの混合物である。
「デカトリエナール」は、任意の立体異性的に純粋な形態または少なくとも2つの異なる立体異性体の混合物の形態のそのような化合物を包含する。一般的な例は、2E,4Z,7Z-デカトリエナール、2E,4E,7Z-デカトリエナール、およびそれらの混合物である。
本明細書で使用される場合、「PUFA」という用語は、幅広く理解されるべきである。特に、これは、単一の「純粋な」もしくは「実質的に純粋な」タイプのPUFA分子(HTA、ALA、SDA、EPA、LA、GLA、またはARAなど)または少なくとも2つの異なるタイプのPUFAを含有する任意の混合物を包含する。PUFA基質はまた、他の天然成分または合成成分との混合物中に少なくとも1つのPUFAタイプを含有する天然物、例えば、
a) ルリジサ油(高比率のGLAを含有する)
b) 月見草油(高比率のGLAを含有する)
c) アラキドン酸油(高比率のARAを含有する)
d) エキウム種子油(高比率のSDAを含有する)
e) 魚油(高比率のEPAおよびDHAを含有する)
f) アマニ油(高比率のALAを含有する)
g) 微細藻類油(高比率のDHAを含有する)
も包含する。
「二機能性LOX活性」は、実験の項で説明される「標準的な条件」下で判定される。一般に、LOX産物であるGLA-HPO、およびHPL産物であるヘキサナール、およびデカジエナールは、GC-MSおよびLC-UVによってピーク面積で定量化されていた。デカジエナールを作製するための二機能性LOX活性を推定するために、表9に示されているように、LC-UVデータからGLA-HPOに対するデカジエナールのピーク面積比率を計算することができる。
LOXの「生物学的機能」、「機能」、「生物学的活性」、または「活性」という用語は、少なくとも1つのタイプのPUFA分子からの少なくとも1つの不飽和C10アルデヒドの形成を触媒する、本明細書に記載のLOXの能力を指す。
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」または「形質転換細胞」という用語は、少なくとも1つの核酸分子を保有するように、例えば、転写時に、本発明の少なくとも1つの機能的ポリペプチド、特に、本明細書で先に定義されたLOXまたは二機能性LOXをもたらす所望のタンパク質または核酸配列をコードする組み換え遺伝子を保有するように改変された細胞(または生物)を指す。宿主細胞は、特に、細菌細胞、真菌細胞、または植物細胞もしくは植物である。宿主細胞は、例えば、宿主細胞の核またはオルガネラゲノムに組み込まれているオペロンとして組織化されているような、組み換え遺伝子またはいくつかの遺伝子を含み得る。あるいは、宿主は、染色体外に組み換え遺伝子を含み得る。
「生物」という用語は、植物または微生物などの、ヒトではない多細胞生物または単細胞生物を指す。特に、微生物は、細菌、酵母、藻類、または真菌である。
「植物」という用語は、植物プロトプラスト、植物組織、再生植物を生じさせる植物細胞組織培養物、もしくは植物の一部分を含む植物細胞、または根、茎、葉、花、花粉、卵子、胚、果実などの植物器官を含むように、互換的に使用される。本明細書の一実施形態の方法を実施するために、任意の植物を使用することができる。
特定の生物または細胞は、そのようなアルデヒドを天然に産生する場合、またはそのようなアルデヒドを天然には産生しないが、本明細書に記載の核酸によってそのようなアルデヒドを産生するように形質転換されている場合、不飽和C10アルデヒドを「産生することができる」ことを意味する。天然に存在する生物または細胞よりも多量のそのようなアルデヒドを産生するように形質転換された生物または細胞も、「不飽和C10アルデヒドを産生することができる生物または細胞」に包含される。
本明細書の説明および添付の特許請求の範囲について、「または」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。同様に、「含む(comprise、comprises、comprising、include、includes、およびincluding)」は、互換的であり、限定することを意図するものではない。
さらに、様々な実施形態の説明で「含む」という用語が使用されている場合、当業者であれば、いくつかの特定の例において、実施形態が「から実質的になる」または「からなる」という表現を使用して代替的に説明可能であると理解していると理解されたい。
本明細書で使用される「精製された」、「実質的に精製された」、および「単離された」という用語は、本発明の化合物がその天然状態で通常結合している他の異なる化合物がない状態を指し、そのため、「精製された」、「実質的に精製された」、および「単離された」対象は、所与のサンプルの少なくとも0.5重量%、1重量%、5重量%、10重量%もしくは20重量%、または少なくとも50重量%もしくは75重量%の質量を含む。一実施形態では、これらの用語は、所与のサンプルの少なくとも95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%、または100重量%の質量を含む本発明の化合物を指す。本明細書で使用される場合、「精製された」、「実質的に精製された」、および「単離された」という用語は、核酸またはタンパク質に関連する場合、天然に存在する、例えば、原核生物または真核生物の環境において存在する、例えば、細菌細胞もしくは真菌細胞または哺乳類生物、特に人体において存在するものとは異なる精製状態または濃縮状態を指す。(1)結合している他の構造体または化合物からの精製、または(2)それが該原核生物もしくは真核生物の環境では通常結合していない構造体または化合物との結合を含む、天然に存在するものよりも高い程度の精製または濃縮は、「単離された」の意味の範囲内にある。本明細書に記載されている核酸もしくはタンパク質または核酸もしくはタンパク質のクラスは、当業者に公知の様々な方法およびプロセスによって、単離されていても、あるいはそれらが天然では通常結合していない構造体または化合物と結合されていてもよい。
「約」という用語は、記載されている値から、±25%、特に±15%、±10%、より具体的には±5%、±2%、または±1%変動し得ることを示す。
「実質的に」という用語は、約80~100%、例えば、85~99.9%、特に90~99.9%、より具体的には95~99.9%、または98~99.9%、特に99~99.9%の値の範囲を表す。
「過半量」とは、50%超の範囲、例えば、95~99%など、51~100%の範囲、特に75~99.9%の範囲、より具体的には85~98.5%の範囲の比率を指す。
本発明の文脈における「主産物」とは、単一の化合物または少なくとも2つの化合物のグループ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ以上、特に2つもしくは3つの化合物のグループであって、本明細書に記載の反応によって「過半量」で調製されており、かつ該反応によって形成される産物の成分の総量に対して過半の比率で該反応に含まれている、単一の化合物または化合物のグループを指す。該比率は、モル比率、重量比率、または好ましくはクロマトグラフィー分析に基づいて反応生成物の対応するクロマトグラムから計算された面積比率であり得る。
本発明の文脈における「副産物」とは、単一の化合物または少なくとも2つの化合物のグループ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ以上、特に2つもしくは3つの化合物のグループであって、本明細書に記載の反応によって「過半量」で調製されていない、単一の化合物または化合物のグループを指す。
酵素反応の可逆性を理由に、本発明は、特に明記しない限り、反応の双方向における本明細書に記載の酵素反応または生体触媒反応に関する。
本明細書に記載されているポリペプチドの「機能的変異体」とは、以下に定義されるようなポリペプチドの「機能的等価物」を含む。
「立体異性体」という用語は、特に立体配座異性体を含む。
一般に、本発明によると、構造異性体および特に立体異性体ならびにそれらの混合物、例えば、光学異性体またはEおよびZ異性体などの幾何異性体ならびにそれらの組み合わせなど、本明細書に記載の化合物の全ての「立体異性体形態」が含まれる。いくつかの非対称中心が1つの分子内に存在する場合、本発明は、例えばエナンチオマー対など、これらの非対称中心の様々な配座の全ての組み合わせを包含する。
「立体選択性」とは、化合物の特定の立体異性体を立体異性体的に純粋な形態で産生する能力、または複数の立体異性体から本明細書に記載されているような酵素触媒法で特定の立体異性体を特異的に変換する能力を表す。より具体的には、これは、本発明の産物が特定の立体異性体に関して濃縮されていること、または抽出物が特定の立体異性体に関して減少している場合があることを意味する。これは、以下の式に従って計算される純度%eeパラメータを介して定量化することができる。
%ee=[X-X]/[X+X100
式中、XおよびXは、立体異性体AおよびBのモル比(モル分率)を表す。
一般に、「選択的に変換する」または「選択性を増加させる」という用語は、不飽和炭化水素の特定の立体異性体、例えばE型が、該反応の全過程の間(すなわち、反応の開始と終了との間)、該反応の特定の時点、または該反応の「間隔」の間のいずれかに、(モルベースで比較して)対応する他の立体異性体、例えばZ型よりも大きい比率または量で変換されることを意味する。特に、該選択性は、「間隔」の間に、初期量の基質の1~99%、2~95%、3~90%、5~85%、10~80%、15~75%、20~70%、25~65%、30~60%、または40~50%の変換率に対応して観察され得る。該比率または量がより大きいことは、例えば、以下の観点で表され得る:
- 反応の全過程または反応の該間隔の間に観察された異性体の最大収率がより大きいこと
- 基質の変換値の定義された%度における異性体の相対量がより大きいこと、および/または
- 変換値のより高い%度における異性体の相対量が同一であること。
これらはそれぞれ、好ましくは参照方法と比較して観察され、該参照方法は、既知の化学的または生化学的な手段を用いて、他の点では同一の条件のもと実施される。
一般に、本明細書によると、本明細書に記載されている化合物の全ての「異性体形態」、例えば、構造異性体および特に立体異性体ならびにそれらの混合物、例えば、光学異性体またはE-およびZ異性体などの幾何異性体ならびにそれらの組み合わせも含まれる。いくつかの非対称中心が分子内に存在する場合、本発明は、例えば、エナンチオマー対、または立体異性体形態の任意の混合物など、これらの非対称中心の様々な配座の全ての組み合わせを含む。
本発明による反応の「収率」および/または「変換速度」は、例えば、反応が起こる、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、36時間、または48時間の定義された期間にわたって特定される。特に、反応は、正確に定義された条件のもと、例えば、本明細書に定義されている「標準的な条件」で実施される。
様々な収率パラメータ(「収率」またはYP/S;「比生産性収率」;または時空間収率(STY))が当技術分野において周知であり、文献に記載されているように特定される。
「収率」および「YP/S」(それぞれ、産生された産物の質量/消費された材料の質量で表される)は、本明細書では同義語として使用される。
比生産性収率は、バイオマス1gあたりに、1時間および発酵ブロス1Lあたりに産生される産物の量を表す。WCWとして示される湿潤細胞重量は、生化学反応における生物学的に活性な微生物の量を表す。この値は、1時間あたりのWCW1gあたりの産物のgとして示される(すなわち、g/gWCW-1-1)。あるいは、バイオマスの量は、DCWとして示される乾燥細胞重量として表すこともできる。さらに、バイオマス濃度は、600nm(OD600)での光学密度を測定し、対応する湿潤細胞重量または乾燥細胞重量をそれぞれ推定するための実験的に特定された相関係数を使用することによって、より容易に特定することができる。
「発酵産生」または「発酵」という用語は、インキュベーションに添加された少なくとも1つの炭素源を用いて細胞培養において化学化合物を産生する微生物の能力(該微生物に含まれるまたはこれによって得られる酵素活性によって補助されている)を指す。
「発酵ブロス」という用語は、発酵プロセスに基づいており、かつ例えば本明細書に記載されているように処理されていないまたは処理された、液状の溶液、特に水溶液または水性/有機溶液を意味すると理解される。
「酵素的に触媒された」または「生体触媒的な」方法とは、該方法が、本明細書で定義されるように、酵素変異体を含む酵素の触媒作用下で実施されることを意味する。したがって、本方法は、単離(精製、濃縮)形態もしくは粗形態の該酵素の存在下で、または細胞系、特に、該酵素を活性形態で含み、かつ本明細書に開示されるような変換反応を触媒する能力を有する天然または組み換え微生物細胞の存在下で実施され得る。
本開示が、様々な程度の好ましさの特徴、パラメータ、およびそれらの範囲(一般に、非明示的に、好ましい特徴、パラメータ、およびその範囲を含む)に言及する場合、特に明記しない限り、そのような特徴、パラメータ、およびそれらの範囲のうちの2つ以上の任意の組み合わせが、それらのそれぞれの好ましさの程度に関係なく、本明細書の開示に包含される。
詳細な説明
a. 本発明の特定の実施形態
本発明は、以下の特定の実施形態に関する。
1. 配列番号54から選択されるコンセンサス配列パターンを含む、または
a) AKxxxxxADxxxxxxxxHxxxxHxxxxPxA(配列番号240)、
b) VxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxxxxxHxxxNxxQxxYxxxxxN(配列番号241)、
ならびに
c) LxxxxxxIxxxNxxxxxxYxxxxPxxxxxSI(配列番号242)、もしくは
d) a)、b)、およびc)からの任意の組み合わせ、特に、a)と、b)と、c)との組み合わせ
から選択される配列番号54の少なくとも1つの部分的コンセンサス配列パターンを含むアミノ酸配列を有するリポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの酵素活性を含み、
各アミノ酸残基xが、互いに独立して、任意の天然アミノ酸残基から選択され得る、
ポリペプチド。
2. 配列番号53から選択されるコンセンサス配列パターンを含む、または
a) LxxxxxYxxxxxXxxxxxxXGxxxxxxxKxLPxPxxxFxWxxxXxxxPxxI(配列番号243)
b) WxxAKxCxQxADxxHxExxxHxxxxHxxMxPxA(配列番号244)
c) GxVxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxCxPxHxxxNxxQxxYxxxxxNMPxAxY(配列番号245)
d) QxxxxxxLxxxxxDxxGxYxxxXF(配列番号246)
e) QxxLxxxxxxIxxxNxxRxxxYxxxxxxxxxNSI(配列番号247)、もしくは
f) a)~e)からの任意の組み合わせ、特に、b)と、c)と、e)との組み合わせもしくはa)~e)の組み合わせ
から選択される配列番号53の少なくとも1つの部分的コンセンサス配列パターンを含むアミノ酸配列を有するリポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの酵素活性を含み、
各アミノ酸残基xが、互いに独立して、任意の天然アミノ酸残基から選択され得て、
が、0~7個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表し、
が、0または1個の天然アミノ酸残基を表し、
が、0~7個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表し、かつ
が、0~8個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表す、
実施形態1記載のポリペプチド。
3. 配列番号52から選択されるコンセンサス配列パターンを含む、または
a) LxxxxxYxxxxxXxxxxxxXGGxxxxxxKxLPxPxAxFxWxxxXxxxPxxI(配列番号248)
b) WxxAKxCxQxADxNHxExxxHxxxTHxVMxPxAxxT(配列番号249)
c) GxVxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxCxPxHxxxNxxQxxYxxxxxNMPxAxY(配列番号250)
d) QxxxxxxLxxxxYDxLGxYxxxXF(配列番号251)
e) FQxxLxxxxxxIxxxNxxRxxxYxxxxPxxxxNSI(配列番号252)、もしくは
f) a)~e)からの任意の組み合わせ、特に、b)と、c)と、e)との組み合わせもしくはa)~e)の組み合わせ
から選択される配列番号52の少なくとも1つの部分的コンセンサス配列パターンを含むアミノ酸配列を有するリポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの酵素活性を含み、
各アミノ酸残基xが、互いに独立して、任意の天然アミノ酸残基から選択され得て、
が、0~7個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表し、
が、0または1個の天然アミノ酸残基を表し、
が、0~6個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表し、かつ
が、0~8個の同一のまたは異なる天然アミノ酸残基を表す、
実施形態1記載のポリペプチド。
本発明はまた、リポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの酵素活性を含み、かつ実施形態1、2、および3の上記配列パターンのうちの少なくとも1つを同様には示し得ない、または上記のパターンのうちの少なくとも1つに類似しているがそれと完全には一致していない配列パターンを示し得る、いくつかのグループのポリペプチドにも関する。
4. したがって、本発明の別の実施形態は、任意選択的に実施形態1から3までのいずれか1つを満たし、かつ
a) 配列番号3、6、9、12、または15、
b) 配列番号18、
c) 配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50、
ならびに
d) a)、b)、またはc)の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%の配列同一性を有し、かつリポキシゲナーゼの該酵素活性を保持するアミノ酸配列
から選択されるアミノ酸配列を含むリポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの酵素活性を含む、ポリペプチドに関連する。
したがって、本実施形態のポリペプチドは、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限を満たしていても、または満たしていなくてもよい。
第1の特定のグループのポリペプチドは、配列番号3、6、9、12、または15(CoLOX)、ならびにこれらの配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たし得ないか、
あるいは、配列番号3、6、9、12、または15(CoLOX)、ならびにこれらの配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たす。
第2の特定のグループのポリペプチドは、配列番号18(UfLOX2)、ならびにこれに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たし得ないか、
あるいは、配列番号18(UfLOX2)、ならびにこれに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たす。
第3の特定のグループのポリペプチドは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50(細菌LOX)、ならびにこれらの配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たし得ないか、
あるいは、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50(細菌LOX)、ならびにこれらの配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み、実施形態1、2、および3のうちのいずれの制限も満たす。
該第3のグループの特定のサブグループのポリペプチドは、配列番号20および26、ならびにこれらの配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列に関する。
5. 配列番号76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、または239、ならびに該配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%の配列同一性を有し、かつリポキシゲナーゼの該酵素活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するリポキシゲナーゼの酵素活性を含む、ポリペプチド。
配列番号76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、および239、ならびに該配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、かつ該二機能性LOX活性を保持するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、第4の特定のグループのポリペプチド。
6. 好ましくは二機能性LOX活性を有する、実施形態1~5までのいずれか1つに定義されているポリペプチドおよびその変異体。
UfLOX2(配列番号18)の適切な変異体の特定の例は、以下の通りである:
- 配列番号18の変異体であって、1箇所以上、例えば、1~50箇所、1~40箇所、1~30箇所、1~20箇所、1~10箇所、例えば、1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、または9箇所のアミノ酸変異が、配列番号18のC7、D134、R136、C161、A219、S256、C278、S305、C409、およびG526などの潜在的なキー位置とは異なる配列位置で実施されて(変異プロファイルを生成する)、この変異によって、未変異の親酵素と比較した場合に実質的に同一である特徴プロファイル、例えば、不飽和C10アルデヒド生産性、不飽和C10アルデヒド産物プロファイル、基質プロファイル、副産物プロファイル、またはそれらの組み合わせを有する二機能性LOX変異体が形成される、配列番号18の変異体、ならびに配列番号18に対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一度を有し、該変異プロファイルを保持し、かつ好ましくは未変異の酵素と実質的に同一の特徴プロファイルをなおも示す、そのような変異体から誘導されたさらなる変異体。特に、そのような単一変異体または多重変異体は、いわゆる保存的変異、例えば、本明細書で以下に説明され定義されるような保存的アミノ酸置換を実施することによって得ることができる。
- 配列番号18の変異体であって、1箇所以上、例えば、1~10箇所、例えば、1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、または9箇所のアミノ酸変異が、配列番号18のC7、D134、R136、C161、A219、S256、C278、S305、C409、およびG526から選択される潜在的なキー配列位置で実施されて(別の変異プロファイルを生成する)、この変異によって、未変異の親酵素と比較した場合に異なる特徴プロファイル、例えば、改善された不飽和C10アルデヒド生産性、異なる不飽和C10アルデヒド産物プロファイル、異なるPUFA基質プロファイル、より少ない副産物の産生、またはそれらの組み合わせを有する二機能性LOX変異体が形成される、配列番号18の変異体、ならびに配列番号18に対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であり、かつ該キー位置において該変異プロファイルを保持し、かつ好ましくは改変された該機能プロファイルをなおも示す、配列番号18の変異体から誘導されたさらなる変異体。特に、キー位置にあるそのような単一変異体または多重変異体は、いわゆる非保存的変異を実施することによって得ることができる。
他の該酵素においてそれぞれの変異を評価するために、かつ少なくとも1つのPUFA基質から少なくとも1つの不飽和C10アルデヒドを調製するのに適したさらなる適切な二機能性LOX酵素を得るために、本明細書で提供される配列アライメント(図11、14、15、16、および17を参照)に基づいて、1つの特定のLOX(UfLOX2など)を用いて実施された変異実験の結果を、本明細書に記載されているような別のLOX酵素の対応するアミノ酸残基位置と同様に移すことができる。
細菌LOXの適切な変異体の特定の例は、以下の通りである:
配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、または50のうちのいずれかのポリペプチドの単一変異体および多重変異体であって、リポキシゲナーゼ、特に二機能性LOXの該酵素活性を保持する変異体、特に、配列番号254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、および290から選択されるか、またはリポキシゲナーゼの該酵素活性を保持するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされる、特に、配列番号253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、および289から選択されるアミノ酸を含む変異体から選択される、変異体。
そのような二機能性LOX変異体は、未変異の親酵素と比較した場合、異なる特徴プロファイル、例えば、改善された不飽和C10アルデヒド生産性、異なる不飽和C10アルデヒド産物プロファイル、異なるPUFA基質プロファイル、より少ない副産物の産生、またはそれらの組み合わせなどを示し得る。
また、配列番号254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、および290から誘導され、かつそれぞれの天然細菌LOXアミノ酸配列に対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一度を有し、その一方で、該キー位置における該変異プロファイルを保持し、かつ好ましくは該改変された機能プロファイルをなおも示す、変異体も提供される。特に、キー位置にあるそのような単一変異体または多重変異体は、いわゆる保存的変異を実施することによって得ることができる。
当業者であれば、開示されている特定の変異体に基づいて、そのようなさらなる機能的変異体を生成することができるであろう。例えば、後続の表に一覧にされている1つ以上の変異位置における保存的アミノ酸置換をこの点について実施することができる。
Figure 0007467440000004
考えられ得る保存的アミノ酸残基置換の非限定的な例は、明細書の後の項に記載されている。
7. 二機能性LOXの酵素活性、特にLOX活性とHPL活性との組み合わせの酵素活性を有する、実施形態1から6までのいずれか1つ記載のポリペプチド。
8. 特にω-3およびω-6PUFAから選択される少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)を少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドに変換する能力を含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のポリペプチド。
9. 少なくとも1つのPUFAを少なくとも1つの多価不飽和脂肪族C10アルデヒドに変換する能力を含む、実施形態8記載のポリペプチド。
10. 少なくとも1つのPUFAを、それぞれ実質的に純粋な立体異性体形態または少なくとも2つの立体異性体の混合物形態のいずれかにあるデカジエナールおよびデカトリエナールから選択される、好ましくは、2E,4Z-デカジエナール、2E,4E-デカジエナール、2E,4Z,7Z-デカトリエナール、2E,4E,7Z-デカトリエナール、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの多価不飽和脂肪族C10アルデヒドに変換する能力を含む、実施形態9記載のポリペプチド。
11. 該PUFAが、C16~C22-PUFAから、特にC16~C20-PUFAから、より具体的にはω-3C16~C20-PUFAおよびω-6C16~C20-PUFAから選択される、実施形態7から10までのいずれか1つ記載のポリペプチド。
12. 該PUFAが、
a) C16-PUFAであるヘキサデカトリエン酸(HTA)、
b) C18-PUFAであるリノール酸(LA)、α-リノレン酸(ALA)およびγ-リノレン酸(GLA)、ステアリドン酸(SDA)、
c) C20-PUFAであるアラキドン酸(ARA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)、
d) C22-PUFAであるドコサヘキサエン酸(DHA)
から選択される、実施形態11記載のポリペプチド。
13. 実施形態1から12までのいずれか1つ記載のポリペプチドまたはその相補体をコードする、核酸。
14.
a) 配列番号1、2、4、5、7、8、10、11、13、および14(CoLOX配列)、
b) 配列番号16および17(UfLOX2配列)、
c) 配列番号19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49に従ったコドン最適化コード配列、ならびに配列番号59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、および74に従った天然コード配列、
d) 特に配列番号253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、および289から選択される、リポキシゲナーゼの該酵素活性を保持するポリペプチドをコードするいずれかの配列c)の単一変異体および多重変異体をコードするヌクレオチド配列、
e) 配列番号75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、および237、
f) a)、b)、c)、またはd)の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列、または
g) a)、b)、c)、d)、e)、およびf)のうちのいずれかの配列の相補体
から選択されるコードヌクレオチドを含む、実施形態13記載の核酸。
15. 実施形態13または14記載のコード核酸を含む、発現ベクター。
16. ウイルスベクター、バクテリオファージ、またはプラスミドの形態にある、実施形態15記載の発現ベクター。
17. コード核酸が少なくとも1つの調節配列に連結されており、また任意選択的に少なくとも1つの選択マーカーを含む、実施形態15または16記載の発現ベクター。
18. 実施形態13もしくは14記載の少なくとも1つの核酸を保有する、または実施形態15から17までのいずれか1つ記載の少なくとも1つの発現ベクターを保有する、組み換え非ヒト宿主生物または細胞。
19. 該非ヒト宿主生物が、真核生物または原核生物、特に、植物、細菌、または真菌、より具体的には、細菌または酵母である、実施形態18記載の非ヒト宿主生物。
20. 該細菌が、エシェリキア(Escherichia)属またはバチルス(Bacillus)属、特に大腸菌であり、該酵母が、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、またはピキア(Pichia)属、特に、サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae)、ヤロウイア・リポリティカ(Y. lipolytica)、またはピキア・パストリス(P. pastoris)である、実施形態19記載の非ヒト宿主生物。
21. 植物細胞、藻類、または海藻である、実施形態20記載の非ヒト宿主細胞。
22. 実施形態1から12までのいずれか1つ記載の少なくとも1つのポリペプチドを産生するための方法であって、
a) 実施形態13または14記載の少なくとも1つの核酸を保有する非ヒト宿主生物または細胞を培養し、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の少なくとも1つのポリペプチドを発現または過剰発現させるステップ、
b) 任意選択的に、ステップa)で培養された非ヒト宿主生物または細胞から該ポリペプチドを単離するステップ
を含む、方法。
23. ステップa)の前に、非ヒト宿主生物または細胞に実施形態13または14記載の少なくとも1つの核酸を提供し、それによって、実施形態1から12までのいずれか1つ記載のポリペプチドを発現または過剰発現させることをさらに含む、実施形態22記載の方法。
24. 少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にω-3またはω-6PUFAを少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドに変換することができる変異体ポリペプチドを調製するための方法であって、
a) 実施形態13または14記載の核酸を選択するステップ、
b) 選択された核酸を改変して、少なくとも1つの変異体核酸を得るステップ、
c) 宿主細胞または単細胞生物に変異体核酸配列を提供して、変異体核酸配列によってコードされたポリペプチドを発現させるステップ、
d) 少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)、特にω-3またはω-6PUFAを少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドに変換する活性を有する少なくとも1つの変異体ポリペプチドのためにスクリーニングするステップ、
e) 任意選択的に、変異したポリペプチドが所望の活性を有しない場合、所望の活性を有するポリペプチドが得られるまでプロセスステップa)~d)を繰り返すステップ、および
f) 任意選択的に、所望の活性を有する変異体ポリペプチドがステップd)またはe)で同定された場合、対応する変異体核酸を単離するステップ
を含む、方法。
25. 少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを調製するための方法であって、
a) 少なくとも1つのPUFA基質を、実施形態1から12までのいずれか1つに定義されているポリペプチドと接触させるか、または実施形態13もしくは14に定義されている核酸によってコードし、それによって、該少なくとも1つのPUFA化合物を、少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを含む反応生成物に変換するステップ、および
b) 任意選択的に、ステップa)で得られるような少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを単離するステップ
を含む、方法。
26. ステップa)を、酸素の存在下で細胞培養物においてインビボで、または酸素の存在下で液体反応培地においてインビトロで実施する、実施形態25記載の方法。
インビボで実施する場合、該方法は、ステップa)の前に、それぞれの生体触媒変換ステップを実施するために必要な酵素活性を有する1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸分子を、非ヒト宿主生物または細胞に導入し、任意選択的に、それぞれのゲノムに安定して組み込むことを含む。
27. ステップa)を、少なくとも1つのPUFAの過酸化およびその後の開裂を促す条件のもとPUFA基質の存在下で好ましくは二機能性LOXの酵素活性を有する少なくとも1つの該ポリペプチドを発現させる非ヒト宿主生物または細胞を培養することによって実施する、実施形態25または26記載の方法。
28. 該少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドが、デカジエナールおよびデカトリエナールから選択される、実施形態25記載の方法。
29. 該デカジエナールが、2E,4E-デカジエナールおよび2E,4Z-デカジエナールならびにそれらの混合物から選択され、該デカトリエナールが、2E,4E,7Z-デカトリエナールおよび2E,4Z,7Z-デカトリエナールならびにそれらの混合物から選択される、実施形態28記載の方法。
30. 該PUFA基質が、単離された、実質的に純粋なPUFA化合物であるか、または該好ましくは二機能性LOXによって変換可能な少なくとも1つのPUFAを含む天然または合成組成物である、実施形態25から29までのいずれか1つ記載の方法。
31. 該天然PUFA組成物が、
a) ルリジサ油(高比率のGLAを含有する)、
b) アラキドン酸油(高比率のARAを含有する)、
c) 魚油(高比率のEPAを含有する)、
d) アマニ油、
e) エキウム油、
f) a)~e)の対応する油加水分解物、
g) LAとALAとの混合物、および
h) a)~g)のうちの少なくとも2つを含有する混合物
から選択される、実施形態30記載の方法。
32. 配列番号3、6、9、12または15のアミノ酸配列(CoLOX)、またはこれらに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む好ましくは二機能性LOXを適用し、基質を、
a) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのルリジサ油(高比率のGLAを含有する)、
b) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するための月見草油(高比率のGLAを含有する)、
c) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのアラキドン酸油(高比率のARAを含有する)、
d) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのエキウム種子油(高比率のSDAを含有する)、
e) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するための魚油(高比率のEPAを含有する)、
f) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのアマニ油(高比率のALAを含有する)、
g) 2E,4Z-デカジエナール、2E,4E-デカジエナール、2E,4Z,7Z-デカトリエナール、および/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するための微細藻類油(高比率のDHAを含有する)、
h) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのLA、
i) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのGLA、
j) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのARA、
k) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのEPA
から選択する、実施形態30または31記載の方法。
33. 配列番号18(UfLOX2)のアミノ酸配列、またはこれらに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む好ましくは二機能性LOXを適用し、基質を、
a) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのルリジサ油(高比率のGLAを含有する)、
b) 2E,4Z-デカジエナールおよび2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するための月見草油(高比率のGLAを含有する)、
c) 2E,4Z-デカジエナールおよび2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのアラキドン酸油(高比率のARAを含有する)、
d) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのエキウム種子油(高比率のSDAを含有する)、
e) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するための魚油(高比率のEPAを含有する)、
f) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのアマニ油(高比率のALAを含有する)、
g) 2E,4Z-デカジエナール、2E,4E-デカジエナール、2E,4Z,7Z-デカトリエナール、および2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するための微細藻類油(ステップa)~e)において高比率のDHA油を含有する)、
h) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのLA、
i) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのGLA、
j) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのARA、
k) 2E,4Z,7Z-デカトリエナールおよび/または2E,4E,7Z-デカトリエナールを主産物として産生するためのEPA
から選択する、実施形態30または31記載の方法。
34. 該好ましくは二機能性LOX活性を含むアオサの粗ホモジネートまたは部分的に精製されたホモジネートを適用する、実施形態25から31までのいずれか1つまたは実施形態33記載の方法。
35. 配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、もしくは50(細菌LOX)のアミノ酸配列、またはこれらに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する配列を含む好ましくは二機能性LOXを適用し、基質を、
a) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのGLA、ならびに
b) 2E,4Z-デカジエナールおよび/または2E,4E-デカジエナールを主産物として産生するためのARA
から選択する、実施形態30または31記載の方法。
36. 得られた一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒドを化学的もしくは酵素的に異性化するステップ、または得られた一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒドを対応するアルコールもしくはヒドロカルビルエステルに化学的もしくは酵素的に変換するステップをさらに含む、実施形態25から35までのいずれか1つ記載の方法。
37. 該PUFA基質の変換を、特に二価または多価金属塩のような該液体反応培地に可溶な金属塩から選択される少なくとも1つの補因子が補われた液体反応培地中で実施する、実施形態25から36までのいずれか1つ記載の方法。特定の塩は、塩化物塩、臭化物塩、またはフッ化物塩のようなハロゲン化物塩である。金属イオンの例としては、二価または多価金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオン、より具体的には、Mg、Mn、およびFeに由来する二価または多価カチオン、例えば、Mg2+、Mn2+、およびFe2+またはFe3+が言及され得る。
任意選択的に、実施形態22から37までのいずれか1つ記載の該方法は、化学的合成もしくは生体触媒合成または双方の組み合わせを使用して、得られたアルデヒドを対応する誘導体に処理することをさらに含む。例えば、そのような誘導体は、炭化水素、アルコール、ジオール、トリオール、アセタール、ケタール、酸、エーテル、アミド、ケトン、ラクトン、エポキシド、アセテート、グリコシド、および/またはエステルから選択され得る。
38. 2E,4Z-デカジエナール、2E,4E-デカジエナール、2E,4Z,7Z-デカトリエナール、および2E,4E,7Z-デカトリエナールから選択される少なくとも2つの不飽和C10アルデヒド異性体の組み合わせであって、2E,4E-デカジエナールと2E,4Z-デカジエナールとの間の特定の比率が3:1~1:9であり、2E,4Z,7Z-デカトリエナールと2E,4E,7Z-デカトリエナールとの間の特定の比率が3:1~1:9である、組み合わせ。
39. 食品または飼料組成物を製造するためのフレーバー成分としての、実施形態25から37までのいずれか1つ記載の方法によって得られるような、一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒド、または少なくとも2つのそのようなアルデヒドの混合物、ならびに/または対応する変換生成物およびそれらの混合物、または実施形態38記載の異性体組み合わせの使用。
40. 実施形態39に定義される少なくとも1つのフレーバー成分が補われた、食品または飼料組成物。
41. 特に請求項25から37までのいずれか1項に定義されている方法によって少なくとも1つの一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒドを調製するための、請求項1から12までのいずれか1項に定義される、または請求項13もしくは14に定義されるヌクレオチド配列によってコードされた、リポキシゲナーゼの酵素活性を含むポリペプチドの使用。
b. 本発明によって適用可能なポリペプチド
この文脈では、以下の定義が適用される:
互換的に使用可能な「ポリペプチド」または「ペプチド」という一般用語は、約10~最大1,000個超の残基を含む、ペプチド結合した連続のアミノ酸残基の天然または合成の直鎖または配列を指す。最大30個の残基を有する短鎖ポリペプチドは、「オリゴペプチド」とも称される。
「タンパク質」という用語は、1つ以上のポリペプチドからなる高分子構造体を指す。そのポリペプチドのアミノ酸配列は、タンパク質の「一次構造」を表す。アミノ酸配列はまた、ポリペプチド鎖内に形成されたαヘリックスおよびβシート構造などの特別な構造要素を形成することによって、タンパク質の「二次構造」を事前に決定する。複数のそのような二次構造要素の配置によって、タンパク質の「三次構造」または空間配置が定義される。タンパク質が複数のポリペプチド鎖を含む場合、該鎖が空間的に配置されて、タンパク質の「四次構造」を形成する。タンパク質の正しい空間配置または「フォールディング」は、タンパク質の機能の前提条件である。変性またはアンフォールディングによって、タンパク質機能が破壊される。そのような破壊が可逆的である場合、タンパク質機能は、リフォールディングによって回復される場合がある。
本明細書で言及される一般的なタンパク質機能は、「酵素機能」であり、すなわち、タンパク質は、基質、例えば化学化合物上で生体触媒として作用し、該基質を産物にする変換を触媒する。酵素は、高いまたは低い程度の基質および/または産物特異性を示し得る。
したがって、特定の「活性」を有すると本明細書で言及される「ポリペプチド」とは、例えば特定の酵素活性などの、示された活性を示す正しくフォールディングされたタンパク質を暗に指す。
したがって、特に明記しない限り、「ポリペプチド」という用語は、「タンパク質」および「酵素」という用語も包含する。
同様に、「ポリペプチド断片」という用語は、「タンパク質断片」および「酵素断片」という用語を包含する。
「単離されたポリペプチド」という用語は、組み換え方法、生化学的方法、および合成方法を含む、当技術分野で公知の任意の方法または方法の組み合わせによってその天然環境から除去されたアミノ酸配列を指す。
「標的ペプチド」とは、タンパク質またはポリペプチドを、細胞内小器官、すなわちミトコンドリア、または色素体、または細胞外空間(分泌シグナルペプチド)に標的化するアミノ酸配列を指す。標的ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質またはポリペプチドのアミノ末端、例えばN末端をコードする核酸配列に融合され得るか、または天然の標的化ポリペプチドを置換するために使用され得る。
本発明はまた、本明細書に具体的に記載されているポリペプチドの「機能的等価物」(「類似体」または「機能的変異」とも称される)にも関する。
例えば、「機能的等価物」とは、酵素的LOX活性を決定するために使用される試験において、本明細書に具体的に記載されているポリペプチドの活性より少なくとも1~10%、または少なくとも20%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%高いまたは低い活性を示すポリペプチドを指す。
本発明による「機能的等価物」とは、本明細書に記載されているアミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置において、具体的に記載されているものとは異なるアミノ酸を有するが、それにもかかわらず、前述の生物学的活性のうちの1つ、例えば酵素活性を有する、特定の変異体も包含する。したがって、「機能的等価物」は、1箇所以上、例えば、1~20箇所、特に、1~15箇所または5~10箇所のアミノ酸の付加、置換、特に保存的置換、欠失、および/または逆位によって得られる変異体を含み、この場合、記載されている変化は、それらによって本発明による特性プロファイルを有する変異体が形成されるという条件のもと、任意の配列位置で起こり得る。活性パターンが変異体と未変化のポリペプチドとの間で定性的に一致する場合、すなわち、例えば、同じアゴニストまたはアンタゴニストまたは基質との相互作用が、ただし異なる速度で観察される場合(すなわち、EC50値もしくはIC50値または現在の技術分野において適した他のパラメータによって表される)にも特に、機能的等価物が提供される。適切な(保存的)アミノ酸置換の例は、以下の表に示される。
Figure 0007467440000005
上記の意味での「機能的等価物」とは、本明細書に記載のポリペプチドの「前駆体」、ならびにポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」でもある。
「前駆体」とは、この場合、所望の生物学的活性を有するまたは有しないポリペプチドの天然または合成の前駆体である。
「塩」という表現は、本発明によるタンパク質分子のカルボキシル基の塩ならびにアミノ基の酸付加の塩を意味する。カルボキシル基の塩は、公知の手法で製造することが可能であり、無機塩(例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、および亜鉛の塩)および有機塩基(例えば、トリエタノールアミン、アルギニン、リジン、ピペリジンなどのアミン類)との塩を含む。酸付加の塩、例えば、無機酸(例えば、塩酸または硫酸)との塩および有機酸(例えば、酢酸およびシュウ酸)との塩も、本発明に包含される。
本発明によるポリペプチドの「機能的誘導体」はまた、既知の技術を使用して、機能的アミノ酸側基上またはそれらのN末端もしくはC末端に生成することも可能である。そのような誘導体は、例えば、カルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第一級もしくは第二級アミンとの反応によって得られるカルボン酸基のアミド、アシル基との反応によって生成される遊離アミノ基のN-アシル誘導体、あるいはアシル基との反応によって生成される遊離ヒドロキシ基のO-アシル誘導体を含む。
「機能的等価物」は、当然のことながら、他の生物から得ることが可能なポリペプチド、ならびに天然に存在するバリアント(variants)も含む。例えば、相同配列領域の範囲は、配列比較によって確立することが可能であり、等価のポリペプチドは、本発明の具体的なパラメータに基づいて判定することができる。
「機能的等価物」は、所望の生物学的機能を示す場合も示さない場合もある、本発明によるポリペプチドの「断片」、例えば、個々のドメインもしくは配列モチーフまたはN末端および/もしくはC末端切断形態も含む。好ましくは、そのような「断片」は、少なくとも定性的に所望の生物学的機能を保持する。
「機能的等価物」は、さらに、本明細書で言及されるポリペプチド配列またはこれに由来する機能的等価物、および少なくとも1つのさらなる機能的に異なる異種配列のうちの1つを、機能的N-末端またはC-末端結合で(すなわち、融合タンパク質部分の実質的な相互の機能的損傷なく)有する融合タンパク質である。これらの異種配列の非限定的な例は、例えば、シグナルペプチド、ヒスチジンアンカー、または酵素である。
本発明によると含まれる「機能的等価物」は、具体的に開示されているポリペプチドのホモログである。これらは、PearsonおよびLipman, Proc. Natl. Acad, Sci. (米国) 85(8), 1988, 2444-2448のアルゴリズムによって計算して、具体的に開示されているアミノ酸配列のうちの1つに対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも80%または85%、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性(または同一性)を有する。本発明による相同ポリペプチドの割合として表される相同性または同一性は、特に、本明細書に具体的に記載されているアミノ酸配列のうちの1つの全長に基づくアミノ酸残基の割合として表される同一性を意味する。
割合として表される同一性のデータはまた、BLASTアライメント、アルゴリズムblastp(タンパク質-タンパク質BLAST)を用いて、または本明細書において以下に指定されるClustal設定を適用することによって特定することもできる。
考えられ得るタンパク質グリコシル化の場合、本発明による「機能的等価物」は、脱グリコシル化またはグリコシル化された形態ならびにグリコシル化パターンを変更することで得ることが可能な修飾形態にある、本明細書に記載されているポリペプチドを含む。
本発明によるポリペプチドの機能的等価物またはホモログは、変異誘発によって、例えば、点突然変異によって、タンパク質の伸長もしくは短縮によって、または以下により詳細に記載されるように、産生することができる。
本発明によるポリペプチドの機能的等価物またはホモログは、変異体、例えば短縮変異体のコンビナトリアルデータベースをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、タンパク質バリアントの多彩なデータベースは、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によって、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素的ライゲーションによって生成することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列からの潜在的ホモログのデータベースを生成するために使用可能な方法は、非常に多く存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置内で実施することが可能であり、その後、この合成遺伝子は、適切な発現ベクターに連結され得る。縮重ゲノムの使用によって、所望のセットの潜在的タンパク質配列をコードする全ての配列を混合状態で供給することが可能になる。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は、当業者に公知である。
従来技術では、点突然変異または短縮によって生成されたコンビナトリアルデータベースの遺伝子産物のスクリーニングについて、および選択した特性を有する遺伝子産物に対するcDNAライブラリのスクリーニングについて、いくつかの技術が知られている。これらの技術は、本発明によるホモログのコンビナトリアル変異誘発によって生成された遺伝子バンクの迅速なスクリーニングに適当であり得る。ハイスループット解析に基づく、大容量の遺伝子バンクのスクリーニングの際に最も頻繁に利用される技術は、複製可能な発現ベクターへの遺伝子バンクのクローニング、その結果得られたベクターデータベースを用いた適切な細胞の形質転換、およびその産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が所望の活性の検出によって容易になる条件でのコンビナトリアル遺伝子の発現を含む。データベース内の機能的変異体の頻度を増加させる技術であるリカーシブ・アンサンブル変異誘発(REM)は、ホモログを同定するためにスクリーニング試験と組み合わせて使用することができる。
本明細書で提供される実施形態では、本明細書に開示されているポリペプチドのオルソログおよびパラログ、ならびにそのようなオルソログおよびパラログを同定および単離するための方法が提供される。「オルソログ」および「パラログ」という用語の定義は、以下に示され、アミノ酸および核酸配列に適用される。
c. 本発明によって適用可能なコード核酸配列
この文脈では、以下の定義が適用される:
「核酸配列」、「核酸」、「核酸分子」、および「ポリヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、ヌクレオチドの配列を意味する。核酸配列は、一本鎖または二本鎖のデオキシリボヌクレオチドまたは任意の長さのリボヌクレオチドであり、遺伝子、エクソン、イントロン、センスおよびアンチセンス相補配列、ゲノムDNA、cDNA、miRNA、siRNA、mRNA、rRNA、tRNA、組み換え核酸配列、単離および精製された天然に存在するDNAおよび/またはRNA配列、合成DNAおよびRNA配列、断片、プライマー、ならびに核酸プローブのコード配列および非コード配列を含み得る。当業者は、RNAの核酸配列が、チミン(T)がウラシル(U)と置き換えられているという違いを有するDNA配列と同一であることを認識している。「ヌクレオチド配列」という用語はまた、別個の断片の形態でポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子を含むものとしてまたはより大きな核酸の成分として理解されるべきでもある。
「単離された核酸」または「単離された核酸配列」は、核酸または核酸配列が天然に存在するものとは異なる環境にある核酸または核酸配列を指し、内因性汚染物質を実質的に含まないものを含み得る。
本明細書で使用される場合、核酸に対して適用される「天然に存在する」という用語は、核酸が、自然界の生物の細胞に見られ、かつ実験室で人間によって意図的に改変されていないことを指す。
ポリヌクレオチドまたは核酸配列の「断片」とは、本明細書の実施形態のポリヌクレオチドの長さが、特に少なくとも15bp、少なくとも30bp、少なくとも40bp、少なくとも50bp、および/または少なくとも60bpである隣接ヌクレオチドを指す。特に、ポリヌクレオチドの断片は、本明細書の実施形態のポリヌクレオチドの隣接ヌクレオチドを、少なくとも25個、より具体的には少なくとも50個、より具体的には少なくとも75個、より具体的には少なくとも100個、より具体的には少なくとも150個、より具体的には少なくとも200個、より具体的には少なくとも300個、より具体的には少なくとも400個、より具体的には少なくとも500個、より具体的には少なくとも600個、より具体的には少なくとも700個、より具体的には少なくとも800個、より具体的には少なくとも900個、より具体的には少なくとも1000個含む。限定されるものではないが、本明細書のポリヌクレオチドの断片は、PCRプライマーとして、および/またはプローブとして、またはアンチセンス遺伝子サイレンシングもしくはRNAiのために使用され得る。
本明細書で使用される場合、特定の条件下での「ハイブリダイゼーション」またはハイブリダイズするという用語は、互いに有意に同一または相同なヌクレオチド配列が互いに結合したままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明することを意図している。これらの条件は、少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、および例えば少なくとも約85%、90%、または95%同一である配列が、互いに結合したままであるようなものであり得る。本明細書では、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、および高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の定義を以下に記載する。Ausubel等に例示されているように、当業者であれば、最小限の実験で適切なハイブリダイゼーション条件を選択することもできる(1995, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, sections 2, 4, and 6)。さらに、ストリンジェンシー条件は、Sambrook等(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, chapters 7, 9, and 11)に記載されている。
「組み換え核酸配列」とは、実験室的方法(例えば、分子クローニング)を使用して、1つより多くの供給源から遺伝物質を集め、天然には存在せず、通常であれば生物中には見られないであろう核酸配列を創出または改変することによって得られる核酸配列である。
「組み換えDNA技術」とは、例えば、WeigelおよびGlazebrook編のLaboratory Manuals, 2002, Cold Spring Harbor Lab Press、ならびにSambrook等, 1989, Cold Spring Harbor, NY, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されているように、組み換え核酸配列を調製するための分子生物学手順を指す。
「遺伝子」という用語は、適切な調節領域、例えばプロモーターに作動可能に連結されているRNA分子、例えば、細胞内のmRNAに転写される領域を含むDNA配列を意味する。したがって、遺伝子は、いくつかの作動可能に連結されている配列、例えば、プロモーター、例えば翻訳開始に関与する配列を含む5’リーダー配列、cDNAもしくはゲノムDNAのコード領域、イントロン、エクソン、および/または例えば転写終結部位を含む3’非翻訳配列を含み得る。
「ポリシストロン性」とは、同じ核酸分子内で別々に1つより多くのポリペプチドをコードすることができる核酸分子、特にmRNAを指す。
「キメラ遺伝子」とは、通常、種において本質的には見られない遺伝子、特に、本質的に互いに関連していない核酸配列の1つ以上の部分が存在する遺伝子を指す。例えば、プロモーターは、転写された領域の一部もしくは全てまたは別の調節領域と本質的に関連していない。「キメラ遺伝子」という用語は、プロモーターまたは転写調節配列が1つ以上のコード配列またはアンチセンス、すなわち、センス鎖の逆相補体または逆方向反復配列(センスおよびアンチセンスであり、それによってRNA転写物が転写時に二本鎖RNAを形成する)に作動可能に連結されている発現構築物を含むと理解される。「キメラ遺伝子」という用語は、1つ以上のコード配列の部分を組み合わせて新しい遺伝子を産生することにより得られる遺伝子も含む。
「3’UTR」または「3’非翻訳配列」(「3’非翻訳領域」または「3’末端」とも称される)は、遺伝子のコード配列の下流に見られる核酸配列を指し、これは、例えば、転写終結部位および(すべてではないがほとんどの真核mRNAにおいて)ポリアデニル化シグナル、例えばAAUAAAまたはそのバリアントを含む。転写の終結後に、mRNA転写物は、ポリアデニル化シグナルの下流で切断され、翻訳部位、例えば細胞質へのmRNAの輸送に関与するポリ(A)尾部が付加され得る。
「プライマー」という用語は、テンプレート核酸配列にハイブリダイズされ、かつテンプレートに相補的な核酸配列の重合に使用される、短い核酸配列を指す。
「選択可能マーカー」という用語は、発現時に選択可能マーカーを含む細胞を選択するために使用され得る遺伝子を指す。選択可能マーカーの例を以下に記載する。当業者であれば、異なる抗生物質、殺菌剤、栄養要求性または除草剤の選択可能マーカーが異なる標的種に適用可能であることを知っているであろう。
本発明はまた、本明細書で定義されているポリペプチドをコードする核酸配列にも関する。
特に、本発明はまた、例えば人工ヌクレオチド類似体を使用して得ることが可能な、上記ポリペプチドおよびそれらの機能的等価物のうちの1つをコードする核酸配列(一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA配列、例えば、cDNA、ゲノムDNA、およびmRNA)にも関する。
本発明は、本発明によるポリペプチドまたは生物学的に活性なその断片をコードする単離された核酸分子と、例えば本発明によるコード核酸を同定または増幅するためのハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用可能な核酸断片との双方に関する。
本発明はまた、本明細書に具体的に開示されている配列に対して一定の程度の「同一性」を有する核酸にも関する。2つの核酸間の「同一性」とは、いずれの場合も、核酸の全長にわたるヌクレオチドの同一性を意味する。
2つのヌクレオチド配列間の「同一性」とは、2つの配列のアライメントが生成されたときにこれらの2つの配列において同一のヌクレオチド残基(またはアミノ酸残基)の数の関数である。同一の残基は、アライメントの所定の位置にある2つの配列において同じ残基として定義される。本明細書で使用される場合、配列同一性の割合は、2つの配列間で同一の残基の数を最短配列の残基の総数で割って100を掛けることによって、最適なアライメントから計算される。最適なアライメントは、同一性の割合が最も高くなり得るアライメントである。ギャップは、最適なアライメントを得るために、アライメントの1つ以上の位置で一方または両方の配列に導入され得る。次いで、これらのギャップは、配列同一性の割合を計算するための非同一残基として考慮される。アミノ酸または核酸配列の同一性の割合を求める目的のアライメントは、コンピュータプログラムを使用して、かつ例えば、ワールドワイドウェブで利用可能な公的に利用可能なコンピュータプログラムを使用して様々な方法で得ることが可能である。
特に、National Center for Biotechnology Information (NCBI)のウェブサイトのncbi.nlm.nih.gov/BLAST/bl2seq/wblast2.cgiから入手可能なデフォルトパラメータに設定されたBLASTプログラム(Tatiana等、FEMS Microbiol Lett., 1999, 174:247-250, 1999)を、タンパク質または核酸配列の最適なアライメントを得て、配列同一性の割合を計算するために使用することができる。
別の例では、同一性は、以下の設定で、Clustal Method(Higgins DG, Sharp PM.(1989))を採用して、Informax社(米国)のVector NTI Suite 7.1プログラムによって計算され得る:
マルチプルアライメントパラメータ:
ギャップオープニングペナルティ 10
ギャップ伸長ペナルティ 10
ギャップ分離ペナルティ範囲 8
ギャップ分離ペナルティ オフ
アライメント遅延に対する%同一性 40
残基特異的ギャップ オフ
親水性残基ギャップ オフ
トランジション秤量 0
ペアワイズアライメントパラメータ:
FASTアルゴリズム オン
K-タプルサイズ 1
ギャップペナルティ 3
ウィンドウサイズ 5
ベストダイアゴナル数 5
あるいは、同一性は、Chenna等(2003)、http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#、および以下の設定に従って決定され得る:
DNAギャップオープンペナルティ 15.0
DNAギャップ伸長ペナルティ 6.66
DNAマトリックス 同一性
タンパク質ギャップオープンペナルティ 10.0
タンパク質ギャップ伸長ペナルティ 0.2
タンパク質マトリックス Gonnet
タンパク質/DNAGAP -1
タンパク質/DNAGAPDIST 4
本明細書で言及される全ての核酸配列(一本鎖および二本鎖のDNAおよびRNA配列、例えば、cDNAおよびmRNA)は、ヌクレオチドビルディングブロックからの化学合成による周知の手法によって、例えば、二重らせんの個々の重複する相補的な核酸ビルディングブロックの断片縮合によって生成することができる。オリゴヌクレオチドの化学合成は、例えばホスホアミダイト法(Voet, Voet, 2nd edition, Wiley Press, New York, pages 896-897)による周知の手法で実施することができる。DNAポリメラーゼおよびライゲーション反応のクレノウ断片ならびに一般的なクローニング技術による合成オリゴヌクレオチドの蓄積およびギャップ充填は、Sambrook等(1989)(以下参照)に説明されている。
本発明による核酸分子は、コード遺伝子領域の3’および/または5’末端からの非翻訳配列をさらに含み得る。
本発明はさらに、具体的に記述されたヌクレオチド配列またはそれらの断片に相補的な核酸分子に関する。
本発明によるヌクレオチド配列は、他の細胞型および生物において相同配列の同定および/またはクローニングに使用することが可能なプローブおよびプライマーの生成を可能にする。そのようなプローブまたはプライマーは、一般に、「ストリンジェントな」条件(本明細書の別の箇所に定義されている)下で、本発明による核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、例えば、約40個、50個、または75個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
「相同」配列は、オルソログまたはパラログ配列を含む。系統発生法、配列類似性、およびハイブリダイゼーション法を含む、オルソログまたはパラログを同定する方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。
「パラログ」は、類似した配列および類似した機能を有する2つ以上の遺伝子を生じさせる遺伝子の複製から生じる。パラログは、通常、まとまってクラスター化しており、関連する植物種内の遺伝子の複製によって形成される。パラログは、ペアワイズブラスト分析を使用すると、またはCLUSTALなどのプログラムを使用して遺伝子ファミリーの系統発生分析中に、類似した遺伝子のグループにおいて見られる。パラログでは、関連する遺伝子内の配列に特徴的であり、かつ遺伝子の類似機能を有するコンセンサス配列が同定され得る。
「オルソログ」またはオルソログ配列は、共通の祖先から派生した種に見られるので、互いに類似した配列である。例えば、共通の祖先を有する植物種は、類似の配列および機能を有する多くの酵素を含有することが知られている。当業者であれば、例えば、CLUSTALまたはBLASTプログラムを使用して、1つの種の遺伝子ファミリーについて多遺伝子ツリーを構築することにより、オルソログ配列を同定し、オルソログの機能を予測することができる。相同配列間で類似の機能を同定または確認するための方法は、(ノックアウト/ノックダウンにおいて)関連するポリペプチドを過剰発現するまたは欠く、宿主細胞または生物、例えば植物または微生物において転写プロファイルを比較することによるものである。当業者であれば、共通の50%超の調節転写物、または共通の70%超の調節転写物、または共通の90%超の調節転写物を有する、類似の転写物プロファイルを有する遺伝子が類似の機能を有すると理解するであろう。本明細書の配列のホモログ、パラログ、オルソログ、および他の任意のバリアントは、宿主細胞、植物などの生物、またはLOXタンパク質を産生する微生物を作製することによって同様に機能すると期待されている。
「選択可能マーカー」という用語は、発現時に選択可能マーカーを含む細胞を選択するために使用され得る遺伝子を指す。選択可能マーカーの例を以下に記載する。当業者であれば、異なる抗生物質、殺菌剤、栄養要求性または除草剤の選択可能マーカーが異なる標的種に適用可能であることを知っている。
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離されており、またこれが組み換え技術によって作製されている場合はさらに、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含み得ず、またはこれが化学的に合成されている場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を含み得ない。
本発明による核酸分子は、分子生物学の標準的な技術および本発明によって提供される配列情報によって単離することができる。例えば、cDNAは、具体的に開示された完全な配列またはそれらの断片のうちの1つをハイブリダイゼーションプローブとして使用して、かつ標準的なハイブリダイゼーション技術を使用して、適切なcDNAライブラリから単離することができる(例えば、Sambrook, (1989)に記載されている)。
さらに、開示されている配列またはそれらの断片のうちの1つを含む核酸分子は、この配列に基づいて構築されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる。このようにして増幅された核酸は、適切なベクターにクローン化させて、DNAシークエンシングによって特徴付けすることが可能である。本発明によるオリゴヌクレオチドは、標準的な合成法、例えば自動DNA合成装置を使用して生成することもできる。
本発明による核酸配列もしくはそれらの誘導体、ホモログ、またはこれらの配列の部分は、例えば、通常のハイブリダイゼーション技術またはPCR技術によって、他の細菌から、例えばゲノムまたはcDNAライブラリを介して単離することができる。これらのDNA配列は、標準的な条件で本発明による配列とハイブリダイズする。
「ハイブリダイズ」とは、標準的な条件でポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドがほぼ相補的な配列に結合する能力を意味し、これらの条件では、非相補的パートナー間で非特異的な結合は生じない。このため、配列は、90~100%相補的であり得る。互いに特異的に結合することができる相補的な配列の特性は、例えば、ノーザンブロッティングもしくはサザンブロッティングにおいて、またはPCRもしくはRT-PCRにおけるプライマー結合において利用される。
保存された領域の短いオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションに有利に使用される。しかしながら、本発明による核酸のより長い断片または完全な配列をハイブリダイゼーションに使用することも可能である。これらの「標準的な条件」は、使用される核酸(オリゴヌクレオチド、より長い断片、または完全な配列)に応じて、またはどの種類の核酸(DNAまたはRNA)がハイブリダイゼーションに使用されるかに応じて変化する。例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度よりも約10℃低い。
例えば、特定の核酸に応じて、標準的な条件は、濃度0.1~5×SSC(1×SSC=0.15MのNaCl、15mMのクエン酸ナトリウム、pH7.2)の水性緩衝溶液中で42~58℃の温度を意味するか、またはさらに50%のホルムアミドの存在下で、例えば5×SSC、50%のホルムアミド中で42℃を意味する。有利には、DNA:DNAハイブリッドのハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSCおよび温度約20℃~45℃、好ましくは約30℃~45℃である。DNA:RNAハイブリッドの場合、ハイブリダイゼーション条件は、有利には、0.1×SSCおよび温度約30℃~55℃、好ましくは約45℃~55℃である。ハイブリダイゼーションについてのこれらの記載された温度は、ホルムアミドの不在下で、ヌクレオチド約100個の長さおよび50%のG+C含有量を有する核酸について計算された融解温度の値の例である。DNAハイブリダイゼーションの実験条件は、関連する遺伝学の教科書、例えばSambrook等, 1989に記載されており、例えば、核酸の長さ、ハイブリッドの種類、またはG+C含有量に応じて、当業者に公知の配合を使用して計算することができる。当業者であれば、ハイブリダイゼーションについてのさらなる情報を以下の教科書から得ることができる:Ausubel等(編)(1985)、Brown(編)(1991)。
「ハイブリダイゼーション」は特に、ストリンジェントな条件のもと実施され得る。そのようなハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook (1989)またはCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6に記載されている。
本明細書で使用される場合、特定の条件下でのハイブリダイゼーションまたはハイブリダイズするという用語は、互いに有意に同一または相同なヌクレオチド配列が互いに結合したままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明することを意図している。これらの条件は、少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、および例えば少なくとも約85%、90%、または95%同一である配列が、互いに結合したままであるようなものであり得る。本明細書では、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、および高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件の定義を記載する。
Ausubel等に例示されているように、当業者であれば、最小限の実験で適切なハイブリダイゼーション条件を選択することができる(1995, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, sections 2, 4, and 6)。さらに、ストリンジェンシー条件は、Sambrook等(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Press, chapters 7, 9, and 11)に記載されている。
本明細書で使用される場合、低ストリンジェンシーの定義された条件は、以下の通りである。DNAを含むフィルタが、35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のFicoll、1%のBSA、および500μg/mLの変性サケ精子DNAを含む溶液中で、40℃で6時間にわたって前処理される。ハイブリダイゼーションは、以下の変更を加えた同じ溶液中で実施される:0.02%のPVP、0.02%のFicoll、0.2%のBSA、100μg/mLのサケ精子DNA、10%(重量/体積)の硫酸デキストラン、および5-20×106 32P標識プローブが使用される。フィルタは、ハイブリダイゼーション混合物中で40℃で18~20時間にわたってインキュベートされ、次いで、55℃で1.5時間にわたって洗浄される。溶液には、2×SSC、25mMのトリス-HCl(pH7.4)、5mMのEDTA、および0.1%のSDSが含有されている。洗浄液は、新しい溶液と交換され、60℃でさらに1.5時間にわたってインキュベートされる。フィルタは、ブロット乾燥され、オートラジオグラフィーのために露出される。
本明細書で使用される場合、中ストリンジェンシーの定義された条件は、以下の通りである。DNAを含むフィルタが、35%のホルムアミド、5×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、5mMのEDTA、0.1%のPVP、0.1%のFicoll、1%のBSA、および500μg/mLの変性サケ精子DNAを含む溶液中で、50℃で7時間にわたって前処理される。ハイブリダイゼーションは、以下の変更を加えた同じ溶液中で実施される:0.02%のPVP、0.02%のFicoll、0.2%のBSA、100μg/mLのサケ精子DNA、10%(重量/体積)の硫酸デキストラン、および5-20×106 32P標識プローブが使用される。フィルタは、ハイブリダイゼーション混合物中で50℃で30時間にわたってインキュベートされ、次いで、55℃で1.5時間にわたって洗浄される。溶液には、2×SSC、25mMのトリス-HCl(pH7.4)、5mMのEDTA、および0.1%のSDSが含有されている。洗浄液は、新しい溶液と交換され、60℃でさらに1.5時間にわたってインキュベートされる。フィルタは、ブロット乾燥され、オートラジオグラフィーのために露出される。
本明細書で使用される場合、高いストリンジェンシーの定義された条件は、以下の通りである。DNAを含むフィルタのプレハイブリダイゼーションは、6×SSC、50mMのトリス-HCl(pH7.5)、1mMのEDTA、0.02%のPVP、0.02%のFicoll、0.02%のBSA、および500μg/mLの変性サケ精子DNAから構成される緩衝液中で、65℃で8時間にわたって一晩かけて実施される。フィルタは、100μg/mLの変性サケ精子DNAおよび5~20×106cpmの32P標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合物中で、65℃で48時間にわたってハイブリダイズされる。フィルタの洗浄は、2×SSC、0.01%のPVP、0.01%のFicoll、および0.01%のBSAを含有する溶液中で、37℃で1時間にわたって行われる。これに続いて、0.1×SSCで、50℃で45分間にわたって洗浄が行われる。
上記の条件が不適切である場合(例えば、種間ハイブリダイゼーションに用いられる場合)、(例えば、種間ハイブリダイゼーションに用いられる)当技術分野で周知の低、中、および高ストリンジェンシーの他の条件が使用され得る。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列のための検出キットは、ポリペプチドをコードする核酸配列に特異的なプライマーおよび/またはプローブ、ならびにサンプル中のポリペプチドをコードする核酸配列を検出するためにプライマーおよび/またはプローブを使用する関連プロトコルを含み得る。そのような検出キットを使用して、植物、生物、微生物、または細胞が改変されているかどうか、すなわち、ポリペプチドをコードする配列で形質転換されているかどうかを判定することができる。
本明細書の実施形態に従って変異体DNA配列の機能を試験するために、目的の配列は、選択可能またはスクリーニング可能なマーカー遺伝子に作動可能に連結され、該レポーター遺伝子の発現は、一過性発現アッセイにおいて、例えば、微生物またはプロトプラストで、または安定的に形質転換された植物において試験される。
本発明はまた、具体的に開示されているまたは導出され得る核酸配列の誘導体にも関する。
したがって、本発明によるさらなる核酸配列は、本明細書に具体的に開示されている配列から誘導され得て、これとは、1箇所以上、例えば、1~20箇所、特に、1~15箇所または5~10箇所の単一のまたはいくつかの(例えば、1~10個の)ヌクレオチドの付加、置換、挿入、または欠失によって異なり得て、さらに、所望の特性プロファイルを有するポリペプチドをコードすることができる。
本発明はまた、いわゆるサイレント変異を含むか、または具体的に記載されている配列と比べて、特定の元の生物もしくは宿主生物のコドン使用頻度に従って変更されている、核酸配列を包含する。
本発明の特定の実施形態によると、変異体核酸は、そのヌクレオチド配列を特定の発現系に適合させるために調製され得る。例えば、アミノ酸が特定のコドンによってコードされている場合、細菌発現系は、ポリペプチドをより効率的に発現させると知られている。遺伝暗号の縮重によって、1つより多くのコドンが同じアミノ酸配列をコードする場合があり、複数の核酸配列が、同じタンパク質またはポリペプチドをコードすることができ、これらのDNA配列は全て、本明細書の実施形態に包含される。適切な場合、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸配列は、宿主細胞における発現の増加のために最適化され得る。例えば、本明細書の実施形態の核酸は、発現を改善するために宿主に特有のコドンを使用して合成され得る。
本発明は、天然に存在するバリアント、例えば、本明細書に記載されている配列のスプライシングバリアントまたは対立遺伝子バリアントも包含する。
対立遺伝子バリアントは、全配列範囲にわたって、誘導されたアミノ酸レベルで少なくとも60%の相同性、好ましくは少なくとも80%の相同性、極めて特に好ましくは少なくとも90%の相同性を有し得る(アミノ酸レベルでの相同性に関しては、ポリペプチドについての上記の詳細について参照されたい)。有利には、相同性は配列の部分的な領域について、より高くなり得る。
本発明はまた、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、その結果として、当該のアミノ酸が、同じ電荷、サイズ、極性、および/または溶解度のアミノ酸によって置換される)によって得ることが可能な配列にも関する。
本発明はまた、配列多型によって具体的に開示されている核酸から誘導された分子にも関する。そのような遺伝的多型は、天然対立遺伝子変異を理由に、異なる集団からのまたは一集団内の細胞に存在し得る。対立遺伝子バリアントはまた、機能的等価物も含み得る。これらの天然変異は、通常、遺伝子のヌクレオチド配列中に1~5%の変動をもたらす。該多型は、本明細書に開示されているポリペプチドのアミノ酸配列の変化をもたらす場合がある。対立遺伝子バリアントはまた、機能的等価物も含み得る。
さらに、誘導体は、本発明による核酸配列の核酸配列のホモログ、例えば、動物、植物、真菌または細菌のホモログ、短縮配列、コードおよび非コードDNA配列の一本鎖DNAまたはRNAであるとも理解されるべきである。例えば、ホモログは、本明細書で具体的に開示されている配列において与えられる全DNA領域にわたって、DNAレベルで少なくとも40%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、極めて特に好ましくは少なくとも80%の相同性を有する。
さらに、誘導体とは、例えば、プロモーターとの融合体であると理解されるべきである。記載されているヌクレオチド配列に付加されるプロモーターは、プロモーターの機能性または効率を損なうことなく、少なくとも1箇所のヌクレオチド交換、少なくとも1箇所の挿入、逆位、および/または欠失によって改変させることが可能である。さらに、プロモーターの効率は、その配列を変更することによって増加させることが可能であり、または異なる属の生物のより効率のよいプロモーターとさえ完全に交換することが可能である。
d. 機能的ポリペプチド変異体の生成
さらに、当業者は、機能的変異体を生成するための、すなわち、本明細書に開示されているアミノ酸に関連する配列番号のいずれかに対して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する、および/または本明細書に開示されているヌクレオチドに関連する配列番号のいずれかに対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を生成するための方法に精通している。
使用される技術に応じて、当業者であれば、完全にランダムであるかまたはそうでなければより定向的な変異を遺伝子または非コード核酸領域に導入(例えば、発現を調節するために重要である)し、続いて、遺伝子ライブラリを生成することができる。この目的に必要な分子生物学の方法は、当業者に公知であり、例えば、SambrookおよびRussell, Molecular Cloning. 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001に記載されている。
遺伝子を改変するための、したがってそれらによってコードされるポリペプチドを改変するための方法は、当業者に長く知られており、例えば、以下のものがある:
- 様々な方法によるコード配列全体の直接合成(Sriram KosuriおよびGeorge M Church, 2014, Nature Methods, 11: 499-507)、
- 遺伝子の個々のまたはいくつかのヌクレオチドが直接的に置換される、部位特異的変異誘発(Trower MK(編) 1996; In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)、
- 遺伝子の任意の点で任意のアミノ酸のためのコドンが交換または付加可能な飽和変異誘発(Kegler-Ebo DM, Docktor CM, DiMaio D (1994) Nucleic Acids Res 22:1593; Barettino D, Feigenbutz M, Valcarel R, Stunnenberg HG (1994) Nucleic Acids Res 22:541; Barik S (1995) Mol Biotechnol 3:1)、
- ヌクレオチド配列が変異性DNAポリメラーゼによって変異される、変異性ポリメラーゼ連鎖反応(Eckert KA, Kunkel TA (1990) Nucleic Acids Res 18:3739)、
- ポリメラーゼによって優先的な交換が防止される、SeSaM法(配列飽和法)Schenk等, Biospektrum, Vol. 3, 2006, 277-279、
- 例えば、DNA修復メカニズムの欠陥によってヌクレオチド配列の変異率が増加する、変異誘発株における遺伝子の継代(Greener A, Callahan M, Jerpseth B (1996) An efficient random mutagenesis technique using an E.coli mutator strain. In: Trower MK (編) In vitro mutagenesis protocols. Humana Press, New Jersey)、または
- DNAシャッフリングであって、密接に関連する遺伝子のプールが形成および消化され、断片がポリメラーゼ連鎖反応のテンプレートとして使用され、この反応で、鎖の分離および再結合が繰り返されることによって完全長のモザイク遺伝子が最終的に生成される、DNAシャッフリング(Stemmer WPC (1994) Nature 370:389; Stemmer WPC (1994) Proc Natl Acad Sci米国 91:10747)。
いわゆる定向進化(特に、Reetz MTおよびJaeger K-E(1999), Topics Curr Chem 200:31; Zhao H, Moore JC, Volkov AA, Arnold FH (1999), Methods for optimizing industrial polypeptides by directed evolution, In: Demain AL, Davies JE(編)Manual of industrial microbiology and biotechnology. American Society for Microbiologyに記載されている)を使用すると、当業者であれば、指示された手法で大規模に機能的変異体を産生することができる。この目的のために、第1のステップで、例えば上記の方法を使用して、各ポリペプチドの遺伝子ライブラリが最初に生成される。遺伝子ライブラリは、適切な手法で、例えば、細菌またはファージディスプレイシステムによって表される。
所望の特性に大部分対応する特性を有する機能的変異体を発現する宿主生物の関連遺伝子は、別の変異サイクルに供することが可能である。変異および選択またはスクリーニングのステップは、現在の機能的変異体が十分な程度で所望の特性を有するまで反復的に繰り返すことが可能である。この反復手順を使用すると、限られた数の変異、例えば、1回、2回、3回、4回、または5回の変異が段階的に実施され、当該の活性に対するそれらの影響について評価および選択することができる。次いで、選択された変異体を、同じ手法でさらなる変異ステップに送ることができる。このようにして、調査すべき個々の変異体の数を大幅に減らすことができる。
本発明による結果はまた、関連するポリペプチドの構造および配列に関する重要な情報も提供し、この情報は、所望の改変された特性を有するさらなるポリペプチドに狙いを定めて生成するために必要である。特に、いわゆる「ホットスポット」、すなわち、標的化変異を導入することによって特性を改変するのに適切であり得る配列セグメントを定義することが可能である。
アミノ酸配列の位置に関する情報も推定することができ、その領域では、変異は、おそらく活性にほとんど影響を与えないはずであり、潜在的な「サイレント変異」と称することができる。
e. 本発明のポリペプチドを発現させるための構築物
この文脈では、以下の定義が適用される:
「遺伝子の発現」は、「異種発現」および「過剰発現」を包含し、遺伝子の転写およびタンパク質へのmRNAの翻訳を含む。過剰発現とは、トランスジェニック細胞または生物におけるmRNA、ポリペプチド、および/または酵素活性のレベルによって測定される遺伝子産物の産生を指し、これは同様の遺伝的背景の非形質転換細胞または生物における産生レベルを上回る。
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」とは、外来または外因性DNAを宿主細胞に送達するための分子生物学的方法および組み換えDNA技術を使用して操作された核酸分子を意味する。発現ベクターは、通常、ヌクレオチド配列の適切な転写に必要な配列を含む。コード領域は、通常、目的のタンパク質をコードするが、RNA、例えば、アンチセンスRNA、siRNAなどもコードし得る。
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は、ウイルスベクター、バクテリオファージ、およびプラスミドを含むがこれらに限定されない任意の線形または環状組み換えベクターを含む。当業者は、発現系に従って適切なベクターを選択することができる。一実施形態では、発現ベクターは、転写プロモーター、オペレーター、またはエンハンサーなどの、転写、翻訳、開始、および終結を制御する、少なくとも1つの「調節配列」に作動可能に連結されている本明細書の実施形態の核酸、またはmRNAリボソーム結合部位を含み、任意選択的に、少なくとも1つの選択マーカーを含む。調節配列が、本明細書の実施形態の核酸に機能的に関連する場合、ヌクレオチド配列は、「作動可能に連結されている」。
本明細書で使用される場合、「発現系」は、1つの発現に、または所与の発現宿主のインビボまたはインビトロのいずれかでの2つ以上のポリペプチドの共発現に必要な核酸分子の任意の組み合わせを包含する。各コード配列は、単一の核酸分子またはベクター上、例えば、複数のクローニング部位を含むベクター上、またはポリシストロン性核酸上のいずれかに位置し得るか、または2つ以上の物理的に異なるベクターにわたって分布し得る。特定の例としては、それぞれ本明細書に記載の酵素をコードする、プロモーター配列、1つ以上のオペレーター配列、および1つ以上の構造遺伝子を含むオペロンが言及され得る。
本明細書で使用される場合、「増幅する」および「増幅」という用語は、以下で詳細に説明されるように、天然に発現される核酸の組み換え体を生成または検出するための任意の適切な増幅方法を使用することを指す。例えば、本発明は、インビボ、エクスビボもしくはインビトロでの本発明の天然に発現された(例えば、ゲノムDNAまたはmRNA)または組み換え(例えば、cDNA)核酸を(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応、すなわちPCRによって)増幅するための方法および試薬(例えば、特定の縮重オリゴヌクレオチドプライマー対、すなわちオリゴdTプライマー)を提供する。
「調節配列」とは、本明細書の実施形態の核酸配列の発現レベルを決定し、かつ調節配列に作動可能に連結されている核酸配列の転写速度を調節することができる核酸配列を指す。調節配列は、プロモーター、エンハンサー、転写因子、プロモーター要素などを含む。
本発明によると、「プロモーター」、「プロモーター活性を有する核酸」、または「プロモーター配列」とは、転写すべき核酸に機能的に連結された場合に該核酸の転写を調節する核酸を意味すると理解される。特に、「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼの結合部位と、転写因子結合部位、リプレッサー、およびアクチベータータンパク質結合部位を含むがこれらに限定されない適切な転写に必要な他の因子とを提供することによって、コード配列の発現を制御する核酸配列を指す。プロモーターという用語の意味は、「プロモーター調節配列」という用語も含む。プロモーター調節配列は、関連するコード核酸配列の転写、RNAプロセシング、または安定性に影響を与え得る上流および下流の要素を含み得る。プロモーターは、天然由来配列および合成配列を含む。コード核酸配列は、通常、転写開始部位で始まる転写の方向に関してプロモーターの下流に位置する。
この文脈において、「機能的」または「作動的」な連結とは、例えば、調節配列を有する核酸のうちの1つの連続的な配置を意味するものとして理解される。例えば、プロモーター活性を有する配列、および転写すべき核酸配列、および任意選択的にさらなる調節要素、例えば核酸の転写を確実にする核酸配列、ならびに例えばターミネーターは、各調節要素が核酸配列の転写時にその機能を実施することができるように連結されている。これは、必ずしも化学的な意味での直接的な連結を必要としない。遺伝子制御配列、例えばエンハンサー配列は、より離れた位置から、または他のDNA分子からさえ、標的配列にそれらの機能を発揮することができる。2つの配列が一緒に共有結合されるように、転写すべき核酸配列がプロモーター配列の後ろに(すなわち、3’末端に)位置している配置が好ましい。プロモーター配列と、組み換え発現させるべき核酸配列との間の距離は、200個の塩基対未満、または100個の塩基対未満、または50個の塩基対未満であり得る。
プロモーターおよびターミネーターに加えて、以下のものが、他の調節要素の例として言及され得る:標的化配列、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、選択可能マーカー、増幅シグナル、複製起点など。適切な調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。
「構成的プロモーター」という用語は、これが作動可能に連結されている核酸配列の継続的な転写を可能にする調節されていないプロモーターを指す。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結されている」という用語は、機能的関係にあるポリヌクレオチド要素の連結を指す。核酸は、別の核酸配列と機能的な関係にある場合、「作動可能に連結されている」。例えば、プロモーターまたはむしろ転写調節配列は、コード配列の転写に影響を与える場合、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されているとは、連結されているDNA配列が、通常、連続的であることを意味する。プロモーター配列に関連するヌクレオチド配列は、形質転換すべき植物に関して同種または異種起源のものであり得る。配列はまた、完全にまたは部分的に合成であってもよい。起源に関係なく、プロモーター配列に関連する核酸配列は、本明細書の実施形態のポリペプチドに結合した後に連結されるプロモーター特性に従って発現またはサイレンシングされる。関連する核酸は、タンパク質をコードすることができ、これは、生物全体にわたって常にもしくは代替的には特定の時間に、または特定の組織、細胞、もしくは細胞区画において発現または抑制されることが望ましい。そのようなヌクレオチド配列は、特に、それによって改変または形質転換された宿主細胞または生物に望ましい表現型形質を付与するタンパク質をコードする。より具体的には、関連するヌクレオチド配列は、細胞または生物において、本明細書で定義される1つ以上の目的の産物の産生をもたらす。特に、ヌクレオチド配列は、本明細書で定義される酵素活性を有するポリペプチドをコードする。
本明細書の上記のヌクレオチド配列は、「発現カセット」の一部であり得る。「発現カセット」および「発現構築物」という用語は、同義語として使用される。(好ましくは組み換え)発現構築物は、本発明によるポリペプチドをコードし、かつ調節核酸配列の遺伝子制御下にある、ヌクレオチド配列を含む。
本発明によって適用されるプロセスでは、発現カセットは、「発現ベクター」、特に組み換え発現ベクターの一部であり得る。
本発明によると、「発現単位」とは、本明細書で定義されるプロモーターを含み、かつ発現させるべき核酸または遺伝子との機能的連結後に該核酸または該遺伝子の発現、すなわち転写および翻訳を調節する、発現活性を有する核酸を意味すると理解される。したがって、これに関連して、これは「調節核酸配列」とも称される。プロモーターに加えて、他の調節要素、例えばエンハンサーも存在し得る。
本発明によると、「発現カセット」または「発現構築物」とは、発現させるべき核酸または発現させるべき遺伝子に機能的に連結されている発現単位を意味すると理解される。したがって、発現単位とは対照的に、発現カセットは、転写および翻訳を調節する核酸配列のみならず、転写および翻訳の結果としてタンパク質として発現させるべき核酸配列も含む。
本発明の文脈において、「発現」または「過剰発現」という用語は、微生物中で、対応するDNAによってコードされる1つ以上のポリペプチドの細胞内活性を生成することまたは増加させることを表す。この目的のために、例えば、生物に遺伝子を導入すること、既存の遺伝子を別の遺伝子で置換すること、その遺伝子のコピー数を増加させること、強力なプロモーターを使用すること、または高い活性を有する対応するポリペプチドをコードする遺伝子を使用することが可能であり、任意選択的に、これらの手段を組み合わせることができる。
好ましくは、本発明のそのような構築物は、各コード配列の5’-上流のプロモーター、および3’-下流のターミネーター配列、および任意選択的に他の通常の調節要素を、いずれの場合も、コード配列と作動的に連結して含む。
本発明による核酸構築物は、特に、例えば、本明細書に記載されているアミノ酸関連配列番号、またはその逆相補体、またはその誘導体およびホモログに由来するポリペプチドをコードする配列を含み、これらは、有利には遺伝子発現を制御するための、例えば増加させるための1つ以上の調節シグナルと作動的または機能的に連結されている。
これらの調節配列に加えて、天然調節されたこれらの配列が、実際の構造遺伝子の前に依然として存在し得て、また任意選択的に、天然調節をスイッチオフして遺伝子の発現が増強されるように遺伝子改変されていてもよい。しかしながら、核酸構築物はまた、より単純な構築物であってもよい。すなわち、追加的な調節シグナルがコード配列の前に挿入されておらず、天然プロモーターがその調節を伴って除去されていない。その代わりに、調節がもはや起こらず、かつ遺伝子発現が増加するように、天然調節配列が変異している。
好ましい核酸構築物はまた、有利には、プロモーターと機能的に連結されている既に言及された1つ以上の「エンハンサー」配列を含み、これらの配列によって、核酸配列の発現の増強が可能になる。さらなる調節要素またはターミネーターなどの追加的な有利な配列もまた、DNA配列の3’末端に挿入することができる。本発明による核酸の1つ以上のコピーが構築物中に存在し得る。構築物中には、栄養要求性または抗生物質耐性を補完する遺伝子などの他のマーカーもまた、構築物を選択するために任意選択的に存在し得る。
適切な調節配列の例は、cos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacI、T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、ラムダ-P、またはラムダ-Pプロモーターなどのプロモーターにおいて存在し、これらは、グラム陰性菌において有利に用いられる。さらなる有利な調節配列は、例えば、グラム陽性プロモーターamyおよびSPO2、酵母または真菌プロモーターADC1、MFalpha、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHにおいて存在する。人工プロモーターも調節に使用することができる。
宿主生物における発現のために、核酸構築物は、宿主における遺伝子の最適な発現を可能にするベクター、例えば、プラスミドまたはファージに有利に挿入される。ベクターはまた、プラスミドおよびファージに加えて、当業者に公知の他の全てのベクター、すなわち、例えば、SV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、IS要素、ファスミド、コスミド、ならびに線状もしくは環状DNAまたは人工染色体を意味するとも理解される。これらのベクターは、宿主生物内で自律的に複製することができるか、または染色体上で複製することができる。これらのベクターは、本発明のさらなる発展形態である。バイナリーベクターまたはcpo組み込みベクターも適用可能である。
適切なプラスミドは、例えば、大腸菌では、pLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223-3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11もしくはpBdCI、ストレプトマイセス(Streptomyces)では、pIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361、バチルスでは、pUB110、pC194もしくはpBD214、コリネバクテリウムでは、pSA77もしくはpAJ667、真菌では、pALS1、pIL2もしくはpBB116、酵母では、2alphaM、pAG-1、YEp6、YEp13もしくはpEMBLYe23、または植物では、pLGV23、pGHlac、pBIN19、pAK2004もしくはpDH51である。上記のプラスミドは、考えられ得るプラスミドの少数の選択肢である。さらなるプラスミドは、当業者に周知であり、例えば、Cloning Vectors (Pouwels P. H.等編. Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985, ISBN 0 444 904018)に見られる。
ベクターのさらなる発展形態では、本発明による核酸構築物または本発明による核酸を含むベクターはまた、有利には、線状DNAの形態で微生物に導入し、異種または相同組み換えを介して宿主生物のゲノムに組み込むことが可能である。この線状DNAは、プラスミド、または単なる核酸構築物、または本発明による核酸などの線状化されたベクターからなり得る。
生物における異種遺伝子の最適な発現のために、生物で使用される特定の「コドン使用頻度」に一致するように核酸配列を改変することが有利である。「コドン使用頻度」は、当該の生物の他の公知の遺伝子をコンピューター評価することによって容易に特定することができる。
本発明による発現カセットは、適切なプロモーターを適切なコードヌクレオチド配列およびターミネーターシグナルまたはポリアデニル化シグナルに融合することによって生成される。この目的のために、例えば、T. Maniatis, E.F. FritschおよびJ. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1989)、ならびにT.J. Silhavy, M.L. BermanおよびL.W. Enquist, Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY (1984)、ならびにAusubel, F.M.等, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)に記載されているような一般的な組み換え技術およびクローニング技術が使用される。
適切な宿主生物における発現のために、組み換え核酸構築物または遺伝子構築物は、宿主における遺伝子の最適な発現を可能にする宿主特異的ベクターに有利に挿入される。ベクターは、当業者に周知であり、例えば“cloning vectors”(Pouwels P. H.等, 編集, Elsevier, Amsterdam-New York-Oxford, 1985)に見られる。
本明細書の実施形態の代替的な実施形態では、宿主細胞における「遺伝子発現を変更する」ための方法が提供される。例えば、本明細書の実施形態のポリヌクレオチドは、宿主細胞または宿主生物において、特定の状況(例えば、特定の温度または培養条件への曝露時)に増強または過剰発現または誘導され得る。
また、本明細書で提供されるポリヌクレオチドの発現の変化によって、変化したおよび対照または野生型の生物における異なる発現パターンである異所性発現も生じ得る。発現の変化は、本明細書の実施形態のポリペプチドと外因性または内因性のモジュレーターとの相互作用から生じるか、またはポリペプチドの化学修飾の結果として生じる。この用語はまた、検出レベル未満で変化する本明細書の実施形態のポリヌクレオチドの発現パターンの変化または完全に抑制された活性も指す。
一実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドまたは変異体ポリペプチドをコードする、単離、組み換えまたは合成ポリヌクレオチドも本明細書において提供される。
一実施形態では、核酸配列をコードするいくつかのポリペプチドは、特に異なるプロモーターの制御下で、単一の宿主において共発現される。別の実施形態では、核酸配列をコードするいくつかのポリペプチドは、単一の形質転換ベクター上に存在していても、または別々のベクターを使用して、かつ双方のキメラ遺伝子を含む形質転換体を選択して同時に共形質転換(co-transformed)されてもよい。同様に、遺伝子をコードする1つ以上のポリペプチドは、他のキメラ遺伝子と一緒に、単一の植物、細胞、微生物、または生物中で発現される場合がある。
f. 本発明に適用すべき宿主
文脈に応じて、「宿主」という用語は、野生型宿主または遺伝子改変された組み換え宿主、あるいはその双方を意味し得る。
基本的に、全ての原核生物または真核生物が、本発明による核酸または核酸構築物の宿主または組み換え宿主生物であると考えることができる。
本発明によるベクターを使用して組み換え宿主を産生することができ、これを、例えば、本発明による少なくとも1つのベクターで形質転換させて、本発明によるポリペプチドを産生するために使用することができる。有利には、上記の本発明による組み換え構築物は、適切な宿主系に導入されて発現される。好ましくは、当業者に公知の一般的なクローニング法およびトランスフェクション法、例えば、共沈降、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションなどが、各発現系において記載されている核酸を発現させるために使用される。適切な系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, F. Ausubel等, 編集, Wiley Interscience, New York 1997またはSambrook等Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載されている。
有利には、細菌、真菌、または酵母などの微生物が宿主生物として使用される。有利には、グラム陽性菌またはグラム陰性菌、好ましくは、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、ストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)、ストレプトコッカス科(Streptococcaceae)、またはノカルディア科(Nocardiaceae)の細菌、特に好ましくは、エシェリキア属(Escherichia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ノカルディア属(Nocardia)、バークホルデリア属(Burkholderia)、サルモネラ属(Salmonella)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、またはロドコッカス属(Rhodococcus)の細菌が使用される。大腸菌の属および種が特に好ましい。さらに、他の有利な細菌は、α-プロテオバクテリア、β-プロテオバクテリア、またはγ-プロテオバクテリアのグループに見ることができる。有利には、サッカロマイセスまたはピキアのような科の酵母も適切な宿主である。
あるいは、植物または植物細胞全体が、天然または組み換え宿主として機能し得る。非限定的な例としては、以下の植物またはそれに由来する細胞、ニコチアナ属(Nicotiana)、特に、ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)およびニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)(タバコ)、ならびにアラビドプシス(Arabidopsis)、特にアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)が言及され得る。
宿主生物に応じて、本発明による方法で使用される生物は、当業者に公知の方法で増殖または培養される。培養は、バッチ式、セミバッチ式、または連続式であり得る。栄養素は、発酵の開始時に存在していても、または後に半連続式もしくは連続式で供給されてもよい。これについても、以下で詳細に説明する。
g. 本発明によるポリペプチドの組み換え産生
本発明はさらに、本発明によるポリペプチドまたはその機能的で生物学的に活性な断片を組み換え産生するための方法であって、ポリペプチド産生微生物を培養し、任意選択的に、ポリペプチドの発現を、遺伝子発現を誘導する少なくとも1つの誘導物質を適用することによって誘導し、発現したポリペプチドを培養物から単離する、方法に関する。ポリペプチドはまた、必要に応じて、このようにして工業規模で産生することができる。
本発明によって生産された微生物は、バッチ法またはフェッドバッチ法または反復フェッドバッチ法で、連続的または非連続的に培養することができる。公知の培養方法の概要は、Chmielの教科書(Bioprozesstechnik 1. Einfuehrung in die Bioverfahrenstechnik [Bioprocess technology 1. Introduction to bioprocess technology] (Gustav Fischer Verlag, Stuttgart, 1991))またはStorhasの教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [Bioreactors and peripheral equipment] (Vieweg Verlag, Braunschweig/Wiesbaden, 1994))に見られる。
使用すべき培養培地は、各菌株の要件を適切に満たす必要がある。様々な微生物の培養培地の説明は、手引書“Manual of Methods for General Bacteriology” of the American Society for Bacteriology (Washington D. C.,米国, 1981)に記載されている。
本発明によって使用可能なこれらの培地は、通常、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン、および/または微量元素を含む。
好ましい炭素源は、単糖類、二糖類、または多糖類などの糖類である。非常に良好な炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、またはセルロースである。糖類はまた、糖蜜または精糖の他の副産物などの複合化合物を介して培地に添加することも可能である。様々な炭素源の混合物を添加することも有利であり得る。他の考えられ得る炭素源は、油および脂肪、例えば、大豆油、ひまわり油、ピーナッツ油およびココナッツ油、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはリノール酸、アルコール、例えば、グリセロール、メタノールまたはエタノール、ならびに有機酸、例えば、酢酸または乳酸である。
窒素源は、通常、有機もしくは無機の窒素化合物またはこれらの化合物を含有する材料である。窒素源の例は、アンモニアガス、または硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、またはコーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などの複合窒素源を含む。窒素源は、単独で使用されても、または混合物として使用されてもよい。
培地中に存在し得る無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅、および鉄の塩化物塩、リン酸塩、または硫酸塩を含む。
無機硫黄含有化合物、例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物、ならびにメルカプタンおよびチオールなどの有機硫黄化合物が、硫黄源として使用され得る。
リン酸、リン酸二水素カリウムもしくはリン酸水素二カリウム、または対応するナトリウム含有塩が、リン源として使用され得る。
金属イオンを溶液中に保持するために、キレート剤が培地に添加され得る。特に適したキレート剤は、カテコールもしくはプロトカテク酸などのジヒドロキシフェノール、またはクエン酸などの有機酸を含む。
本発明によって使用される発酵培地は、通常、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、およびピリドキシンを含む、ビタミンまたは増殖促進剤などの他の増殖因子も含有する。増殖因子および塩は、多くの場合、酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合培地の成分に由来する。さらに、適切な前駆体が培養培地に添加され得る。培地中の化合物の正確な組成は、各実験に強く依存しており、特定の場合ごとに個々に決定される。培地の最適化に関する情報は、教科書“Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach” (編者P.M. Rhodes, P.F. Stanbury, IRL Press (1997) p. 53-73, ISBN 0 19 963577 3)に見られる。増殖培地はまた、Standard 1(Merck)またはBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)などとして商用供給業者から得ることもできる。
培地の全成分は、熱(1.5barおよび121℃で20分)または滅菌ろ過のいずれかによって滅菌される。これらの成分は、一緒に滅菌されるか、または必要に応じて別々に滅菌されるかのどちらかであり得る。培地の全成分は、培養の開始時に存在していても、または連続式もしくはバッチ式のいずれかで添加されてもよい。
培養温度は、通常、15℃~45℃、好ましくは25℃~40℃であり、実験中、変化し得るか、または一定に保たれ得る。培地のpHは、5~8.5の範囲、好ましくは約7.0であるべきである。増殖のためのpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、もしくはアンモニア水などの塩基性化合物、またはリン酸もしくは硫酸などの酸性化合物を添加することによって、増殖中に制御され得る。泡立ちを制御するために、消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルが使用され得る。プラスミドの安定性を維持するために、適切な選択性の物質、例えば抗生物質が培地に添加され得る。好気状態を維持するために、酸素または酸素含有気体混合物、例えば外気が培養物に供給される。培養温度は、通常、20℃~45℃の範囲にある。培養は、最大量の所望の産物が形成されるまで続けられる。この目標は、通常、10時間~160時間以内に達成される。
その後、発酵ブロスは、さらに処理される。要件に応じて、バイオマスは、分離技術、例えば、遠心分離、ろ過、デカンテーション、またはこれらの方法の組み合わせによって発酵ブロスから完全にもしくは部分的に除去されても、または完全にその中に残されてもよい。
ポリペプチドが培養培地に分泌されない場合、細胞を溶解させてもよく、タンパク質を単離するための既知の方法によって溶解物から産物を得ることができる。これらの細胞は、任意選択的に、高周波超音波によって、高圧によって、例えばフレンチプレスで、浸透圧分解によって、界面活性剤、溶菌酵素もしくは有機溶媒の作用によって、ホモジナイザーによって、または前述のいくつかの方法の組み合わせによって破壊することができる。
ポリペプチドは、Q-セファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および疎水性クロマトグラフィーなどのモレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)などの公知のクロマトグラフィー技術によって、かつ限外ろ過、結晶化、塩析、透析、およびネイティブゲル電気泳動などの他の通常の技術を用いて精製され得る。適切な方法は、例えば、Cooper, T. G., Biochemische Arbeitsmethoden [Biochemical processes], Verlag Walter de Gruyter, Berlin, New YorkまたはScopes, R., Protein Purification, Springer Verlag, New York, Heidelberg, Berlinに記載されている。
組み換えタンパク質を単離するために、定義されたヌクレオチド配列によってcDNAを長くし、したがって、例えばより容易な精製に役立つ変性されたポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする、ベクター系またはオリゴヌクレオチドを使用することが有利であり得る。このタイプの適切な改変は、例えば、アンカーとして機能するいわゆる「タグ」、例えば、抗体の抗原として認識され得るヘキサヒスチジンアンカーまたはエピトープとして知られている改変である(例えば、Harlow, E.およびLane, D., 1988, Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載されている)。これらのアンカーは、タンパク質を固体担体、例えばポリマーマトリックスに付着させる役割を果たし、これらは、例えば、クロマトグラフィーカラムでのパッキングとして使用され得るか、またはマイクロタイタープレート上もしくは他の何らかの担体上で使用され得る。
同時に、これらのアンカーは、タンパク質の認識にも使用され得る。さらに、タンパク質の認識のために、蛍光色素、基質との反応後に検出可能な反応生成物を形成する酵素マーカー、または放射性マーカーなどの通常のマーカーを、単独で、またはタンパク質の誘導体化のためのアンカーと組み合わせて使用することも可能である。
h. ポリペプチドの固定化
本発明による酵素またはポリペプチドは、遊離した状態で、または本明細書に記載の方法で固定化して使用され得る。固定化酵素は、不活性担体に固定された酵素である。適切な担体材料およびそれに固定化された酵素は、欧州特許出願公開第1149849号明細書、欧州特許出願公開第1069183号明細書、および独国特許出願公開第100193773号明細書、ならびにそこに引用されている参考文献から公知である。この点に関して、これらの文書の開示をそれらの全体について参照する。適切な担体材料としては、例えば、粘土、カオリナイトなどの粘土鉱物、珪藻土、パーライト、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、アニオン交換材料、ポリスチレンなどの合成ポリマー、アクリル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ならびにポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。担持された酵素を作製するために、担体材料は、通常、細かく分けられた微粒子形態で使用され、多孔質の形態が好ましい。担体材料の粒径は、通常、5mm以下、特に2mm以下である(粒径分布曲線)。同様に、全細胞触媒としてデヒドロゲナーゼを使用する場合、遊離したまたは固定化された形態が選択され得る。担体材料は、例えば、アルギン酸カルシウムおよびカラギーナンである。酵素および細胞は、グルタルアルデヒドで直接架橋することも可能である(CLEAへの架橋)。対応するおよび他の固定化技術は、例えば、J. LalondeおよびA. Margolin “Immobilization of Enzymes”、K. DrauzおよびH. Waldmann, Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002, Vol. III, 991-1032, Wiley-VCH, Weinheimに記載されている。本発明による方法を実施するための生体内変換およびバイオリアクターに関するさらなる情報もまた、例えば、Rehm等(編) Biotechnology, 2nd Edn, Vol 3, Chapter 17, VCH, Weinheimに記載されている。
i. 本発明の生体触媒製造法の反応条件
本発明の反応は、インビボまたはインビトロの条件のもと実施され得る。
上記に定義されている本発明の方法の間にまたは多段階法の個々のステップの間に存在する少なくとも1つのポリペプチド/酵素は、天然にもしくは組み換えによって酵素を産生する生細胞において、採取された細胞において、すなわち、インビボ条件で存在し得るか、または死細胞において、透過性細胞において、粗細胞抽出物において、精製された抽出物において、または実質的に純粋もしくは完全に純粋な形態において、すなわちインビトロ条件で存在し得る。少なくとも1つの酵素は、溶液中に存在し得るか、または担体に固定化された酵素として存在し得る。1つまたはいくつかの酵素が、可溶性および/または固定化された形態で同時に存在し得る。
本発明による方法は、当業者に公知の一般的な反応器内で、かつ様々な範囲の規模で、例えば、実験室規模(数ミリリットル~数十リットルの反応量)から工業規模(数リットル~数千立方メートルの反応量)で実施され得る。ポリペプチドが、任意選択的に透過性の非生細胞によってカプセル化された形態で、多少精製された細胞抽出物の形態で、または精製された形態で使用される場合、化学反応器が使用され得る。化学反応器は、通常、少なくとも1つの酵素の量、少なくとも1つの基質の量、反応培地のpH、温度および循環を制御することを可能にする。少なくとも1つのポリペプチド/酵素が生細胞中に存在する場合、プロセスは発酵になる。この場合、生体触媒の製造は、生細胞の適切な生息条件に必要なパラメータ(例えば、栄養素を有する培養培地、温度、通気、酸素または他の気体の有無、抗生物質など)が制御可能なバイオリアクター(発酵槽)内で行われる。当業者は、化学反応器またはバイオリアクター、例えば、化学的もしくは生物工学的方法を実験室規模から工業規模に拡大するための手順またはプロセスパラメータを最適化するための手順に精通しており、これらは、文献にも広く記載されている(生物工学的方法については、例えば、CruegerおよびCrueger, Biotechnologie - Lehrbuch der angewandten Mikrobiologie, 2. Ed., R. Oldenbourg Verlag, Muenchen, Wien, 1984を参照)。
少なくとも1つの酵素を含む細胞は、超音波パルスもしくは高周波パルス、フレンチレスなどの物理的または機械的手段、あるいは低張培地、培地中に存在する溶菌酵素および界面活性剤などの化学的手段、あるいはそのような方法の組み合わせによって透過性にすることが可能である。界面活性剤の例は、ジギトニン、n-ドデシルマルトシド、オクチルグリコシド、Triton(登録商標)X-100、Tween(登録商標)20、デオキシコール酸塩、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、Nonidet(登録商標)P40(エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル))などである。
生細胞の代わりに、必要な生体触媒を含有する非生細胞のバイオマスを本発明の生体内変換反応に適用することもできる。
少なくとも1つの酵素が固定化されている場合、これは、上記のような不活性担体に付着している。
変換反応は、バッチ式、セミバッチ式、または連続式で実施され得る。反応物(および任意選択的に栄養素)は、反応の開始時に供給されても、または後に半連続式もしくは連続式で供給されてもよい。
本発明の反応は、特定の反応タイプに応じて、水性反応培地、水性有機反応培地、または非水性反応培地中で実施され得る。
水性培地または水性有機培地は、pHを5~11、例えば6~10の範囲の値に調整するために、適切な緩衝液を含み得る。
水性有機培地では、水と混和性、部分的に混和性、または非混和性である有機溶媒が適用され得る。適切な有機溶媒の非限定的な例を以下に一覧にする。さらなる例は、一価または多価の芳香族または脂肪族アルコール、特にグリセロールのような多価脂肪族アルコールである。
非水性培地は、実質的に水を含有していなくてもよく、すなわち、約1重量%または0.5重量%未満の水を含むであろう。
生体触媒法はまた、有機非水性培地中で実施され得る。適切な有機溶媒としては、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、もしくはシクロオクタンのような、例えば5~8個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、もしくはジクロロベンゼンなどの芳香族炭水化物、脂肪族非環式物質、およびジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチル-tert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル、またはそれらの混合物が言及され得る。
反応物/基質の濃度は、最適な反応条件に適合し得て、この最適な反応条件は、適用される特定の酵素に依存し得る。例えば、初期基質濃度は、0.1~0.5M、例えば、10~100mMであり得る。
反応温度は、最適な反応条件に適合し得て、この最適な反応条件は、適用される特定の酵素に依存し得る。例えば、反応は、0~70℃、例えば、20~50℃または25~40℃の範囲の温度で実施され得る。反応温度の例は、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、および約60℃である。
プロセスは、基質とその後の産物との間の平衡が達成されるまで進行し得るが、より早く停止してもよい。通常のプロセス時間は、1分~25時間、特に10分~6時間の範囲にあり、例えば、1時間~4時間、特に1.5時間~3.5時間の範囲にある。これらのパラメータは、適切なプロセス条件の非限定的な例である。
宿主がトランスジェニック植物である場合、最適な成長条件、例えば、最適な光、水、および栄養素条件などが提供され得る。
k. 産物の分離および誘導体化
本発明の方法は、任意選択的に立体異性的または鏡像異性的に実質的に純粋な形態にある最終産物または中間産物を回収するステップをさらに含み得る。「回収する」という用語は、培養培地または反応培地から化合物を抽出、収穫、単離、または精製することを含む。化合物の回収は、従来の樹脂(例えば、アニオンまたはカチオン交換樹脂、非イオン性吸着樹脂など)を用いた処理、従来の吸着剤(例えば、活性炭、ケイ酸、シリカゲル、セルロース、アルミナなど)を用いた処理、pHの変化、(例えば、アルコール、酢酸エチル、ヘキサンなどの従来の溶媒を用いた)溶媒抽出、蒸留、透析、ろ過、濃縮、結晶化、再結晶化、pH調整、凍結乾燥などを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の従来の単離または精製方法によって実施され得る。
単離された産生物の同一性および純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、分光法(IR、UV、NMRなど)、着色法、TLC、NIRS、酵素アッセイ、または微生物アッセイなどの公知の技術によって特定され得る(例えば、Patek等(1994) Appl. Environ. Microbiol. 60:133-140; Malakhova等(1996) Biotekhnologiya 11 27-32;およびSchmidt等(1998) Bioprocess Engineer. 19:67-70. Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry (1996) Bd. A27, VCH: Weinheim, S. 89-90, S. 521-540, S. 540-547, S. 559-566, 575-581およびS. 581-587; Michal, G (1999) Biochemical Pathways: An Atlas of Biochemistry and Molecular Biology, John Wiley and Sons; Fallon, A.等(1987) Applications of HPLC in Biochemistry in: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Bd. 17を参照)。
本明細書に記載のいずれかの方法で産生された不飽和C10アルデヒド化合物は、これらに限定されないが、炭化水素、エステル、アミド、グリコシド、エーテル、エポキシド、ケトン、アルコール、ジオール、アセタール、またはケタールなどの誘導体に変換させることができる。不飽和C10アルデヒド誘導体は、これらに限定されないが、酸化、還元、アルキル化、アシル化、および/または転位などの化学的方法によって得ることができる。あるいは、不飽和C10アルデヒド誘導体は、これらに限定されないが、酸化還元酵素、モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、トランスフェラーゼなどの酵素に不飽和C10アルデヒドを接触させることによる生化学的方法を使用して得ることができる。生化学的変換は、単離された酵素、溶菌細胞からの酵素を使用してインビトロで、または細胞全体を使用してインビボで実施され得る。
l. 不飽和C10アルデヒドの発酵産生
本発明はまた、不飽和C10アルデヒドを発酵生産するための方法にも関する。
本発明によって使用される発酵は、例えば、撹拌発酵槽、気泡塔、およびループ反応器内で実施され得る。撹拌機のタイプおよび幾何学的設計を含む考えられ得る方法のタイプについての包括的な概要は、“Chmiel: Bioprozesstechnik: Einfuehrung in die Bioverfahrenstechnik, Band 1”に見られる。本発明のプロセスにおいて、利用可能な一般的な変形形態は、当業者に公知であるか、例えば“Chmiel, Hammes and Bailey: Biochemical Engineering”で説明されており、例えば、バイオマスの再循環を伴うまたは伴わない、バッチ式、フェッドバッチ式、反復フェッドバッチ式、または連続式の発酵である。産生株に応じて、良好な収率(YP/S)を達成するために、空気、酸素、二酸化炭素、水素、窒素、または適切な気体混合物を用いた散布が行われ得る。
使用すべき培養培地は、特定の菌株の要件を適切に満たす必要がある。様々な微生物の培養培地の説明は、ハンドブック“Manual of Methods for General Bacteriology” of the American Society for Bacteriology (Washington D. C.,米国, 1981)に記載されている。
本発明によって使用可能なこれらの培地は、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン、および/または微量元素を含み得る。
好ましい炭素源は、単糖類、二糖類、または多糖類などの糖類である。非常に良好な炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン、またはセルロースである。糖類はまた、糖蜜または精糖による他の副産物などの複合化合物を介して培地に添加することも可能である。様々な炭素源の混合物を添加することも有利であり得る。他の考えられ得る炭素源は、油および脂肪、例えば、大豆油、ひまわり油、ピーナッツ油およびココナッツ油、脂肪酸、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸またはリノール酸、アルコール、例えば、グリセロール、メタノールまたはエタノール、ならびに有機酸、例えば、酢酸または乳酸である。
窒素源は、通常、有機もしくは無機の窒素化合物またはこれらの化合物を含有する材料である。窒素源の例は、アンモニアガス、または硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、またはコーンスティープリカー、大豆粉、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などの複合窒素源を含む。窒素源は、個別に使用されても、または混合物として使用されてもよい。
培地中に存在し得る無機塩化合物は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅、および鉄の塩化物塩、リン酸塩、または硫酸塩を含む。
無機硫黄含有化合物、例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物、またメルカプタンおよびチオールなどの有機硫黄化合物も、硫黄源として使用され得る。
リン酸、リン酸二水素カリウムもしくはリン酸水素二カリウム、または対応するナトリウム含有塩が、リン源として使用され得る。
金属イオンを溶液中に保持するために、キレート剤が培地に添加され得る。特に適したキレート剤は、カテコールもしくはプロトカテク酸などのジヒドロキシフェノール、またはクエン酸などの有機酸を含む。
本発明によって使用される発酵培地は、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸、およびピリドキシンを含む、ビタミンまたは増殖促進剤などの他の増殖因子も含有し得る。増殖因子および塩は、多くの場合、酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの培地の複合成分に由来する。さらに、適切な前駆体が培養培地に添加され得る。培地中の化合物の正確な組成は、特定の実験に強く依存しており、特定の場合ごとに個々に決定される必要がある。培地の最適化に関する情報は、教科書“Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach” (1997)に見られる。増殖培地はまた、Standard 1(Merck)またはBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)などとして商用供給業者から得ることもできる。
培地の全成分は、熱(1.5barおよび121℃で20分)または滅菌ろ過のいずれかによって滅菌される。これらの成分は、一緒に滅菌されるか、または必要に応じて別々に滅菌されるかのどちらかであり得る。培地の全成分は、増殖の開始時に存在していても、または任意選択的に連続式もしくはバッチ投入で添加されてもよい。
培養温度は、通常、15℃~45℃、好ましくは25℃~40℃であり、実験中、一定に保たれ得るか、または変化し得る。培地のpH値は、5~8.5の範囲、好ましくは約7.0であるべきである。増殖のためのpH値は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、もしくはアンモニア水などの塩基性化合物、またはリン酸もしくは硫酸などの酸性化合物を添加することによって、増殖中に制御され得る。泡立ちを制御するために、消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルが使用され得る。プラスミドの安定性を維持するために、選択性作用を有する適切な物質、例えば抗生物質が培地に添加され得る。好気状態を維持するために、酸素または酸素含有気体混合物、例えば外気が培養物に供給される。培養温度は、通常、20℃~45℃である。培養は、最大量の所望の産物が形成されるまで続けられる。これは、通常、1時間~160時間以内に達成される。
本発明の方法は、該1つ以上の不飽和C10アルデヒドを回収するステップをさらに含み得る。
「回収する」という用語は、培養培地から化合物を抽出、収穫、単離、または精製することを含む。化合物の回収は、従来の樹脂(例えば、アニオンまたはカチオン交換樹脂、非イオン性吸着樹脂など)を用いた処理、従来の吸着剤(例えば、活性炭、ケイ酸、シリカゲル、セルロース、アルミナなど)を用いた処理、pHの変化、(例えば、アルコール、酢酸エチル、ヘキサンなどの従来の溶媒を用いた)溶媒抽出、蒸留、透析、ろ過、濃縮、結晶化、再結晶化、pH調整、凍結乾燥などを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の従来の単離または精製方法によって実施され得る。
意図される分離の前に、ブロスのバイオマスは除去され得る。バイオマスを除去するためのプロセス、例えば、ろ過、沈降、および浮選は、当業者に公知である。結果として、バイオマスは、例えば、遠心分離機、分離器、デカンタ、フィルタによって、または浮選装置内で除去され得る。多くの場合、価値のある産物を最大限に回収するために、例えばダイアフィルトレーションの形態のバイオマス洗浄が推奨される。この方法の選択は、発酵槽ブロス内のバイオマス含有量およびバイオマスの特性に、またバイオマスと価値のある産物との相互作用に依存する。
一実施形態では、発酵ブロスは、滅菌または低温殺菌され得る。さらなる実施形態では、発酵ブロスは濃縮される。要件に応じて、この濃縮は、バッチ式または連続式で行われ得る。まず、圧力および温度の範囲は、産物の損傷が生じないように選択されるべきであり、次に、最小限の装置およびエネルギーの使用が必要とされる。特に、多段階蒸発のための圧力および温度のレベルを上手く選択することによって、エネルギーの節約が可能になる。
以下の実施例は、単なる例示であって、要約書、明細書、または特許請求の範囲に記載されている発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書で提供される開示を考慮した後に当業者に直ちに明らかになるであろう多くの考えられ得る変形形態もまた、本発明の範囲内にある。
実験の部
材料:
特に明記しない限り、本明細書で用いられる全ての化学的および生化学的材料ならびに微生物または細胞は、市販の製品である。
特に明記しない限り、組み換えタンパク質は、標準的な方法によって、例えば、Sambrook, J., Fritsch, E.F.およびManiatis, T., Molecular cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989によって説明されているようにクローニングおよび発現される。
方法:
リポキシゲナーゼの機能発現
リポキシゲナーゼ(LOX)のコード配列を、大腸菌の遺伝コドン頻度に従って最適化させて合成し、次いで、大腸菌におけるその後の発現のために、pETDuet-1(Novagen、Merck KGaA、ドイツ)プラスミドへとサブクローニングした。BL21大腸菌細胞(Tiangen、中国)をプラスミドpETDuet-LOXで形質転換した。形質転換された細胞を、アンピシリン(最終的に50μg/mL)を含有するLB寒天プレート上で選択した。単一コロニーを使用して、アンピシリン(最終的に50μg/mL)を含有する25mLの液体LB培地に播種した。培養物を37℃および200rpmで振とうしながらインキュベートした。4時間のインキュベーション後に、培養物を1.5時間にわたって20℃に冷却し、IPTG(最終的に0.016mM)を添加してタンパク質発現を誘導した。タンパク質を発現させるために、培養物を20℃および200rpmで振とうしながら、さらに16時間にわたってインキュベートした。培養物をスピンダウンし、3mLの反応緩衝液(25mMのトリス-HCl、pH7.5)に再懸濁し、続いて、超音波処理プロセスを行って、それぞれタンパク質溶液を作製した。タンパク質溶液を20mLのSPMEバイアルに移し、30μLの脂肪酸基質および10μLの内部標準(エタノール中に入った80ppmのα-イオノン)をバイアルに添加した。10分間のインキュベーション後に、デカジエナールおよびデカトリエナールを分析するために、以下に記載されているSPME-GC-MS法を使用した。
固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフィー質量分析(SPME-GC-MS)
反応混合物を固相マイクロ抽出(SPME)ファイバーアセンブリポリジメチルシロキサン/カルボキセン/ジビニルベンゼン(57329-U、SUPELCO)において濃縮した。抽出は、ヘッドスペースモードにおいて40℃で20分間にわたって実施した。抽出後に、SPMEファイバーをGC-MS導入部に導入し、250℃で5分間にわたって維持し、30m×0.25mm×0.25μmの膜厚のDB1-msカラム(P/N 122-0132、J&W scientific Inc.、カリフォルニア州フォルサム)を備え、かつ5975シリーズの質量分析計(Agilent、米国)と組み合わされたAgilent 6890シリーズGCシステムで産物を分析した。キャリアガスは、0.7mL/分の一定流量のヘリウムであった。インジェクタはスプリットレスモードであり、インジェクタ温度は250℃に設定した。オーブン温度は、15℃/分で50℃(5分間にわたって保持)から250℃(5分間にわたって保持)でプログラムした。産物の同定は、質量スペクトルおよび保持指数ならびにそれぞれの産物標準に基づいていた。
UV検出および質量分析と組み合わされた液体クロマトグラフィー(LC-UV/MS)
200μLの反応混合物を800μLのアセトニトリルで希釈し、次いで、氷の上に30分間置いた。0.2μLの再生セルロースメンブレン(5190-5108、Agilent)でろ過し、混合物からタンパク質の沈殿物を除去した。デカジエナールおよび副産物の定量のために、1μLのサンプルをLCに注入した。
A部:
UfLOXの単離および特性評価
実施例1:海藻の調達および芳香族アルデヒドの分析
アオサの植物材料(サンプルID:PA-2017-0012)を中国広東省の南尾から収集した。さらなるSPME-GC-MS分析のために、粉砕したサンプル1グラムを20mLのバイアルに入れた。
アオサがデカジエナールまたはデカトリエナールを含有しているかどうかを判定するために、方法の項で記載したように新鮮なサンプルをSPME-GC-MSで分析した。
粉砕したアオサのサンプル1グラムを、3mLのトリス-HCl緩衝液(pH=7.5)を有する20mLのバイアルに入れた。30μLの脂肪酸基質(それぞれ、1mLのエタノール中に入った、30μLのLA、ALA、GLA、EPA、ARA、ルリジサ油加水分解物、アラキドン酸油加水分解物、アマニ油加水分解物、または魚油加水分解物)および10μLの内部標準(エタノール中に入った80ppmのα-イオノン)をインキュベーションのためにバイアルに添加した。室温での10分間のインキュベーション後に、デカジエナールおよびデカトリエナールを分析するために、方法の項に記載されているSPME-GC-MS法を使用した。
GC-MS分析によって、アオサにおいては、2E,4Z-デカジエナール(保持時間13.0分)および2E,4E-デカジエナール(保持時間13.25分)の量が限られている(図2、4、および5)が、γ-リノレン酸をフィーディングすると、その含有量が大幅に増加したことが明らかになった(表1)。
Figure 0007467440000006
実施例2:UfLOXタンパク質のトランスクリプトーム解析および同定
アオサの全RNAを、RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、ドイツ)を使用して抽出した。全RNAサンプルを、Illumina用NEBNext(登録商標)UltraTM RNAライブラリ調製キット(NEB、米国)およびTruSeq PE Cluster Kit(Illumina、米国)を使用して処理し、次いで、IlluminaのHiSeq 2500システムで配列した。2×150bpのペアエンドリードが3800万個生成された。Trinity(http://trinityrnaseq.sf.net/)ソフトウェアを使用して読み取りを処理し、2262のN50を有する91564個の転写物を得た。得られた転写物をタンパク質配列に翻訳し、次いで、tblastxアルゴリズムを使用してNCBI非冗長タンパク質配列データベースを検索することによって機能的にアノテートした。LOXの1つの候補タンパク質配列をPfam検索および相対的な発現レベルによってマイニングした。
最初に、アオサの全RNAサンプルを、SMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech、Takara、日本)を使用してcDNAに逆転写した。次に、これらの産物を遺伝子クローニングのテンプレートとして使用した。UfLOX2(配列番号18)のコード配列を、フォワードプライマー(5’-TCGTCCAACAGGTTCTCTT-3’)(配列番号57)およびリバースプライマー(5’-TTCTTTCCACTCACCGCCA-3’)(配列番号58)を使用してcDNAから増幅した。
実施例3:UfLOX2の機能的特性評価
UfLOX2のコード配列を、大腸菌の遺伝コドン頻度に従って最適化させて合成し、次いで、大腸菌におけるその後の発現のために、pETDuet-1プラスミドへとサブクローニングした。以下のコドン最適化配列を適用した:UfLOX2(配列番号17)およびプラスミドpETDuet-UfLOX2が得られた。
遺伝子の機能発現を、上記で方法の項において説明したように実施して、タンパク質溶液を生成した。UfLOX2の酵素活性は、以下のように評価した:
a) UfLOX2(配列番号18)を、γ-リノレン酸(GLA)、α-リノレン酸(ALA)、リノール酸(LA)、およびアラキドン酸(ARA)を含む脂肪酸基質を以下のようにフィーディングすることによって試験した。
UfLOX2を含有する大腸菌のタンパク質溶液(3mL)を20mLのSPMEバイアルに入れ、30μLの脂肪酸基質(それぞれ、1mLのエタノール中に入った、30μLのLA、ALA、GLA、EPA、ARA、ルリジサ油、アラキドン酸油、アマニ油、または魚油)および10μLの内部標準(エタノール中に入った80ppmのα-イオノン)をインキュベーションのためにバイアルに添加した。室温で10分後に、デカジエナールおよびデカトリエナールを分析するために、方法の項に記載されているSPME-GC-MS法を使用した。
UfLOX2は、特定の基質をフィーディングしたときにデカジエナール(保持時間12.60分および12.80分)を生成する能力を示した(表2)。
Figure 0007467440000007
b) UfLOX2のリアーゼ活性を証明するために、脂肪酸ヒドロペルオキシドを用いたフィーディング実験を実施した。
HPL活性を試験するために、UfLOX2を大腸菌において産生し、UfLOX2を含有する細胞溶解物を、そのHPL活性を試験するために調製した。UfLOX2の1つのアリコートに、デカジエナール作製の陽性対照としてGLAをフィーディングした。それぞれ、UfLOX2の第2および第3のアリコートを変性(100℃で20分間にわたって煮沸)し、陰性対照としてGLAまたはGLAヒドロペルオキシド(GLA-HPO)をフィーディングし、UfLOX2の機能を除外して、デカジエナールを作製し、UfLOX2ではない手法でのGLA-HPOをデカジエナールにする変換を示した。UfLOX2の第4のアリコートにGLAヒドロペルオキシド(GLA-HPO)をフィーディングし、第3のアリコート(すなわち、GLA-HPOをデカジエナールにする非UfLOX2変換)と比較してそのHPL活性を証明した。さらに、UfLOX2アリコートを作製するための緩衝液も、GLA-HPOをデカジエナールにする非UfLOX2変換を示すために、陰性対照として設定した。
GLAヒドロペルオキシド(GLA-HPO)中間体を調製するために、50mLのUfLOX2タンパク質溶液を0.5mLのGLA(60mg/mL)でインキュベートし、室温で10分間にわたって保存した。次いで、反応混合物をHLBカラムに充填した(Waters. US Part No. 186000118)。カラムを10mLのメタノールで溶出して、GLA-HPOを得た。1時間のインキュベーション後に、反応混合物をLC-MSでチェックした。
これらの結果は、以下の表3に要約されている。
Figure 0007467440000008
B部:
CoLOXの単離および特性評価
実施例4:海藻の調達および芳香族アルデヒドの分析
クラドホラ・オリゴクラダの植物材料(サンプルID:AVLH2012-011)を中国山東省の青島から収集した。さらなるSPME-GC-MS分析のために、粉砕したサンプル1グラムを20mLのバイアルに入れた。
ピークの同定は、それらの質量スペクトルおよび保持指数を内部ライブラリのものと比較することに基づいていた。GC-MS分析によって、表4および図3~7に示されるようなクラドホラ・オリゴクラダの4つの主要成分が明らかになった。
Figure 0007467440000009
実施例5:CoLOXタンパク質のトランスクリプトーム解析および同定
クラドホラ・オリゴクラダからの新鮮なサンプルをMiniBest植物RNA抽出キットによって抽出し、このキットに同封されているプロトコルI(カタログ番号9769 v201309Da、Takara、日本)に従って全RNAを生成した。全RNAサンプルを、TruSeq PE Cluster Kit(Illumina、米国)を使用して処理し、次いで、IlluminaのMiSeq Systemで配列した。2×251bpのペアエンドリードが1400万個生成された。Trinity(http://trinityrnaseq.sf.net/)ソフトウェアを使用して読み取りを処理し、676のN50を有する225917個の転写物を得た。得られた転写物をタンパク質配列に翻訳し、次いで、tblastxアルゴリズムを使用してNCBI非冗長タンパク質配列データベースを検索することによって機能的にアノテートした。LOXの1つの候補タンパク質配列をPfam検索および相対的な発現レベルによってマイニングした。
最初に、クラドホラ・オリゴクラダ(サンプルID:PA-2017-0028)の全RNAサンプルを、SMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech Takara、日本)を使用してcDNAに逆転写した。次に、これらの産物を遺伝子クローニングのテンプレートとして使用した。フォワードプライマー(5’-CTCTCTCTCTTTCTCTCTGTTCT-3’)(配列番号55)およびリバースプライマー(5’-CTCGTTCCCTTACCGTCT-3’)(配列番号56)を使用することによって、CoLOX-3(配列番号3)(およびそのバリアント)、CoLOX-0317(配列番号6)、CoLOX-19(配列番号9)、CoLOX-22(配列番号12)、およびCoLOX-d4(配列番号15)で表されるLOXのいくつかのコード配列をcDNAから増幅した。
実施例6:CoLOXタンパク質の機能的特性評価
CoLOX-3、ならびにそのバリアントCoLOX-0317、CoLOX-19、CoLOX-22、およびCoLOX-d4の核酸配列を、大腸菌の遺伝コドン頻度に従ってコドン最適化し、次いで、それぞれ、大腸菌におけるその後の発現のために、NdeI部位とKpnI部位との間で、pETDuet-1(Novagen、Merck KGaA、ドイツ)へとサブクローニングした。以下のコドン最適化配列:CoLOX-3(配列番号2)、CoLOX-0317(配列番号5)、CoLOX-19(配列番号8)、CoLOX-22(配列番号11)、およびCoLOX-d4(配列番号14)を適用し、以下のプラスミド:pETDuet-CoLOX-3、pETDuet-CoLOX-0317、pETDuet-CoLOX-19、pETDuet-CoLOX-22、およびpETDuet-CoLOX-d4を調製した。遺伝子の機能発現を、上記で方法の項において説明したように実施した。培養物をスピンダウンし、3mLの緩衝液(25mMのトリス-HCl、pH7.5、0.2mMのCaCl)に再懸濁し、続いて、超音波処理ステップを行って、それぞれのタンパク質溶液を作製した。
CoLOX-3、CoLOX-0317、CoLOX-19、CoLOX-22、およびCoLOX-d4の粗タンパク質溶液(3mL)を、20mLのSPMEバイアルに入れ、それぞれ、30μLの脂肪酸基質(それぞれ、1mLのエタノール中に入った、30μLのLA、ALA、GLA、EPA、ARA、ルリジサ油、アラキドン酸油、アマニ油、または魚油)および10μLの内部標準(エタノール中に入った80ppmのα-イオノン)をインキュベーションのために各バイアルに添加した。室温で10分後に、デカジエナールおよびデカトリエナールを分析するために、方法の項に記載されているSPME-GC-MS法を使用した。緩衝液と脂肪酸と内部標準との混合物を対照として使用した。
5つのタンパク質は全て、特定の基質をフィーディングしたときにデカジエナールおよび/またはデカトリエナールを産生する能力を示した(以下の表5および6、ならびに図8、9および10を参照)。
Figure 0007467440000010
Figure 0007467440000011
C部:
公開データベースからのC 10 アルデヒド生成LOXのマイニングおよび特性評価
実施例7:配列分析によるLOXのマイニングおよび選択
デカジエナールおよびデカトリエナールを生成するその活性に基づいてUfLOX2を使用して、BLASTP 2.8.0+(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を使用することによってGenBankからより多くのLOXを検索した。このアプローチによって、合計188個のLOXが見つかり、そのうち、181個のLOXはシアノバクテリア由来、5個のLOXはプロテオバクテリア由来、2個のLOXはプランクトマイセス由来であり、UfLOX2に対する配列同一性は42%未満であった。表7に一覧にされているように、UfLOX2に対する配列同一性が比較的高い例として16個のLOXを選択し、これらは、それら自体のホモログの代表的なものである。紅藻類からの2つの公知のLOXを一覧に載せ、比較に使用した。UfLOX2に対して比較的高い同一性を有する残りの83個のLOXは、添付の配列リストに配列番号75~239(アミノ酸および核酸配列)として一覧にした。開始コドンは、必要に応じて、ATGとして設定した。
Figure 0007467440000012
アミノ酸の配列同一性および様々な残基の数は、表8に要約されている。右上のブロックは、一致していないアミノ酸の数を示し、左下のブロックは、配列同一性を示す。細菌LOXとUfLOX2との間の配列同一性は、32~42%の範囲にある。細菌LOXとCoLOX-3との間の配列同一性は、13~16%の範囲にある。細菌LOXと紅藻類LOXとの間の配列同一性は、15%未満である。
Figure 0007467440000013
実施例8:マイニングされた細菌LOXの発現および機能特性評価
二機能性LOXのコード配列を、大腸菌の遺伝コドン頻度に従って最適化させて合成し、次いで、大腸菌におけるその後の発現のために、pETDuet-1プラスミドへとサブクローニングした。
マイニングされたLOXの機能発現を、上記で方法の項において説明したように実施した。大腸菌によって発現された様々なLOXタンパク質を25mMのトリス-HCl緩衝液(pH7.5)中での超音波処理によってそれぞれ放出させ、LOXタンパク質溶液をもたらした。各LOXタンパク質溶液を20mLのSPMEバイアルに移し、30μLのGLAおよび10μLの内部標準をバイアルに添加した。10分間のインキュベーション後に、SPME-GC-MSを、デカジエナール、デカトリエナール、およびヘキサナールの分析に使用し、LC-UVを、デカジエナール、デカトリエナール、およびGLA-HPO(γ-リノレン酸とデカジエナールとの間の中間体)の分析に使用した。SPME-GC-MSは、上記で方法の項において説明したように実施した。GC-MS分析によって、反応における2E,4Z-デカジエナール(保持時間13.0分)、2E,4E-デカジエナール(保持時間13.25)、およびヘキサナールが、各LOXについて、ただし異なるレベルで明らかとなった。LC-UVによって、2E,4Z-デカジエナール(280nmで保持時間6.61分)、2E,4E-デカジエナール(280nmで保持時間6.62分)、およびGLA-HPO(235nmで保持時間6.90分)が明らかとなった。
GLA基質からのデカジエナール最終産物に対するLOXの選択性、二機能性、および生産性を計算し、以下の表9に示した(比較のために、UfLOX2およびCoLOX-3を含めた)。選択性は、ヘキサナール(C)に対するデカジエナール(C10)のピーク面積比率を計算することによって推定することが可能である。生産性は、デカジエナールのピーク面積から推定することが可能である。二機能性は、GLA-HPO(中間体)に対するデカジエナール(C10)のピーク面積比率を計算することによって推定することが可能である。この比較では、UfLOX2が、最も良好な二機能性LOXのままであり、シアノバクテリア二機能性LOX WP_002738122.1(ミクロシスティス・エルギノーザ(Microcystis aeruginosa)由来)およびWP_015204462.1(クリナリウム・エピプサムマム(Crinalium epipsammum)由来)がそれに続く。CoLOX-3、例えば、WP_039200563.1、WP_073641301.1.と比較して、同様の活性を有するシアノバクテリアLOXがまだいくつかある。
Figure 0007467440000014
Figure 0007467440000015
D部:
本発明のLOXのさらなる特性評価
実施例9:高性能LOXのキーアミノ酸の特性評価
実験1:
高性能LOX、UfLOX2、ならびにWP_002738122.1およびWP_015204462.1を、アライメントビューで、他のそれほど活性ではないLOXと比較した(図11を参照)。高活性LOXの潜在的なキーアミノ酸残基をマイニングするために、多くの潜在的な位置を選択し、星(潜在的なキー位置を示す)およびドット(他の潜在的な位置を示す)でマークした。
変異誘発の研究によって同定された保存残基のいくつかの重要性を調査した。これらの結果は、表10に要約されている。
Figure 0007467440000016
第1の一連の変異誘発の研究では、いくつかのUfLOX2変異体が活性の低下を示した(図12を参照)。
これらのデータに基づいて、以下のことを結論付けることができる:
1) D142/M143、N150、C174、K209、C268、およびA331は、活性に重要ではない。
2) C7、D134/R136、C161、A219、S256、C278、S305、C409、およびG526は、対応する変異体が様々なレベルで活性の低下を示したので、活性に重要である。
実験2:
実験1で同定された残基を、生産性を改善させるために細菌LOXに保存されている他のいくつかの残基を有するいくつかの細菌LOXに導入した。設計された配列は、表11に示される通りである。
Figure 0007467440000017
細菌LOXの変異体のコード配列を、大腸菌の遺伝コドン頻度に従って最適化させて合成し、次いで、大腸菌におけるその後の発現のために、pETDuet-1プラスミドへとサブクローニングした。
細菌LOXの変異体の機能発現を、上記で方法の項において説明したように実施した。大腸菌によって発現された様々なLOXタンパク質を25mMのトリス-HCl緩衝液(pH7.5)中での超音波処理によってそれぞれ放出させ、LOXタンパク質溶液をもたらした。各LOXタンパク質溶液を20mLのSPMEバイアルに移し、30μLのGLAおよび10μLの内部標準をバイアルに添加した。10分間のインキュベーション後に、デカジエナールを分析するために、LC-UVを使用した。デカジエナール最終産物に対するLOX変異体の生産性を計算し、図18に示した(それらの天然の対応物を比較のために含めた)。WP_002738122.1mut、WP_002738122.1mut2、WP_015204462.1mut、WP_015204462.1mut2、WP_015204462.1mut3、WP_015178512.1mut、WP_006635899.1mut、およびWP_099099431.1mutは、それらの天然の対応物と比較して生産性の増加を示した。
実施例10:LOXの補因子の特性評価
これまでの研究は、活性部位の5つの保存された必須アミノ酸残基が、Toralf Senger等, J. Biol. Chem. 2005, 280:7588-7596(ここでは、残基は、His-585、His-590、His-774、Asn-778、およびIle-899として引用されている)に記載されている補因子の結合に関与していることを示していた。Alexandra Andreou等, J. Biol. Chem. 2010によって説明されているように、鉄およびマンガンの双方が補因子であると報告された。藻類LOXおよび細菌LOXにも、図11の該アライメントに示されているように、これらの5つの保存的残基があり、このことは、鉄およびマンガンの添加がLOXの活性を改善し得ることを示している。したがって、UfLOX2の活性に対する鉄およびマンガンの重要性を試験した。観察された結果は、酵素活性を増加させるために反応にマンガン(より少ない程度でマグネシウム)を添加することの重要性を明確に示している。したがって、マンガンは、LOX活性を有効化/改善するのに重要である。これらの結果は、図13に要約されている。アッセイで鉄も試験したが、その効果は、マンガンを使用した場合ほど有意ではない(データは示されない)。
実施例11:下流の産物のプロファイリング
UfLOX2およびγ-リノレン酸を使用することによってデカジエナールを作製する場合、(2E,4Z-デカジエナールおよび2E,4E-デカジエナールを含む)総デカジエナールのモル収率は、上記で方法の項において説明したように、外部較正ありのLC-UV/MSによる定量に基づいて、約30~40%である。しかしながら、デカジエナールの総割合は、揮発性物質に基づいて、90%超である。
他の下流の副産物の情報を得るために、UfLOX2を大腸菌において産生した。UfLOX2を含有する細胞溶解物(20ml)に、GLAを室温でフィーディングした。上記で方法の項において説明したように、200μLのサンプルアリコートを取り出し、さらなるLC-UV/MS分析のために、800μLのアセトニトリルと混合した。観察された質量スペクトルと、文献との比較とに基づいて、9つの副産物(表12を参照)が提案された。
Figure 0007467440000018
本願で言及される刊行物は全て、これらの刊行物の引用に関連した方法および/または材料を開示および説明するために参照によって組み込まれる。
配列の一覧
Figure 0007467440000019
Figure 0007467440000020
Figure 0007467440000021
Figure 0007467440000022
Figure 0007467440000023
Figure 0007467440000024
Figure 0007467440000025
Figure 0007467440000026
Figure 0007467440000027
Figure 0007467440000028
Figure 0007467440000029
上記の一覧に関する注釈:
・ 配列番号59~74は、配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50の対応する天然コード配列を指す。
・ 配列番号75~238は、対応する推定コード配列(開始コドンは、「ATG」を有しない配列の場合、「ATG」に変更され、配列がコドン最適化されていなければ、開始コドンを除いて「天然」と考えられる)およびNCBIからマイニングされたマイニングLOXのアミノ酸配列のペアワイズ表現である。
・ 配列番号239-NCBIからマイニングされた5MEE_Aのアミノ酸配列。
・ 配列番号253~290は、細菌LOXの変異体を指す。
本明細書の一般的な開示に包含されるのは、5’-末端開始コドントリプレットを有しない、または人工もしくは天然の開始コドントリプレットを有する、本明細書に記載の任意のコード核酸である。
1. CoLOX
CoLOX-3のコード配列-配列番号:1
Figure 0007467440000030
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるCoLOX-3のコドン最適化コード配列-配列番号:2
Figure 0007467440000031
Figure 0007467440000032
CoLOX-3のアミノ酸配列-配列番号:3
Figure 0007467440000033
Figure 0007467440000034
CoLOX-0317のコード配列-配列番号:4
Figure 0007467440000035
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるCoLOX-0317のコドン最適化コード配列-配列番号:5
Figure 0007467440000036
CoLOX-0317のアミノ酸配列-配列番号:6
Figure 0007467440000037
CoLOX-19のコード配列-配列番号:7
Figure 0007467440000038
Figure 0007467440000039
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるCoLOX-19のコドン最適化コード配列-配列番号:8
Figure 0007467440000040
Figure 0007467440000041
CoLOX-19のアミノ酸配列-配列番号:9
Figure 0007467440000042
CoLOX-22のコード配列-配列番号:10
Figure 0007467440000043
Figure 0007467440000044
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるCoLOX-22のコドン最適化コード配列-配列番号:11
Figure 0007467440000045
Figure 0007467440000046
CoLOX-22のアミノ酸配列-配列番号:12
Figure 0007467440000047
CoLOX-d4のコード配列-配列番号:13
Figure 0007467440000048
Figure 0007467440000049
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるCoLOX-d4のコドン最適化コード配列-配列番号:14
Figure 0007467440000050
Figure 0007467440000051
CoLOX-d4のアミノ酸配列-配列番号:15
Figure 0007467440000052
2. UfLOX
UfLOX2のコード配列-配列番号:16
Figure 0007467440000053
Figure 0007467440000054
Genscriptの大腸菌の遺伝子コドン頻度によるUfLOX2のコドン最適化コード配列-配列番号:17
Figure 0007467440000055
Figure 0007467440000056
UfLOX2のアミノ酸配列-配列番号:18
Figure 0007467440000057
3. 細菌LOX
WP_002738122.1のコドン最適化コード配列-配列番号:19
Figure 0007467440000058
WP_002738122.1のアミノ酸配列-配列番号:20
Figure 0007467440000059
WP_006635899.1のコドン最適化コード配列-配列番号:21
Figure 0007467440000060
WP_006635899.1のアミノ酸配列-配列番号:22
Figure 0007467440000061
Figure 0007467440000062
WP_015178512.1のコドン最適化コード配列-配列番号:23
Figure 0007467440000063
WP_015178512.1のアミノ酸配列-配列番号:24
Figure 0007467440000064
WP_015204462.1のコドン最適化コード配列-配列番号:25
Figure 0007467440000065
Figure 0007467440000066
WP_015204462.1のアミノ酸配列-配列番号:26
Figure 0007467440000067
WP_028091425.1のコドン最適化コード配列-配列番号:27
Figure 0007467440000068
Figure 0007467440000069
WP_028091425.1のアミノ酸配列-配列番号:28
Figure 0007467440000070
OBQ01436.1のコドン最適化コード配列-配列番号:29
Figure 0007467440000071
Figure 0007467440000072
OBQ01436.1のアミノ酸配列-配列番号:30
Figure 0007467440000073
OBQ25779.1のコドン最適化コード配列-配列番号:31
Figure 0007467440000074
OBQ25779.1のアミノ酸配列-配列番号:32
Figure 0007467440000075
WP_039200563.1のコドン最適化コード配列-配列番号:33
Figure 0007467440000076
WP_039200563.1のアミノ酸配列-配列番号:34
Figure 0007467440000077
WP_012407347.1のコドン最適化コード配列-配列番号:35
Figure 0007467440000078
WP_012407347.1のアミノ酸配列-配列番号:36
Figure 0007467440000079
WP_027843955.1のコドン最適化コード配列-配列番号:37
Figure 0007467440000080
Figure 0007467440000081
WP_027843955.1のアミノ酸配列-配列番号:38
Figure 0007467440000082
WP_073641301.1のコドン最適化コード配列-配列番号:39
Figure 0007467440000083
Figure 0007467440000084
WP_073641301.1のアミノ酸配列-配列番号:40
Figure 0007467440000085
WP_096647440.1のコドン最適化コード配列-配列番号:41
Figure 0007467440000086
WP_096647440.1のアミノ酸配列-配列番号:42
Figure 0007467440000087
Figure 0007467440000088
WP_099099431.1のコドン最適化コード配列-配列番号:43
Figure 0007467440000089
WP_099099431.1のアミノ酸配列-配列番号:44
Figure 0007467440000090
WP_052672367.1のコドン最適化コード配列-配列番号:45
Figure 0007467440000091
WP_052672367.1のアミノ酸配列-配列番号:46
Figure 0007467440000092
WP_073631249.1のコドン最適化コード配列-配列番号:47
Figure 0007467440000093
Figure 0007467440000094
WP_073631249.1のアミノ酸配列-配列番号:48
Figure 0007467440000095
WP_013220336.1のコドン最適化コード配列-配列番号:49
Figure 0007467440000096
Figure 0007467440000097
WP_013220336.1のアミノ酸配列-配列番号:50
Figure 0007467440000098
4. コンセンサス配列
CoLoxのコンセンサス配列-配列番号:51
Figure 0007467440000099
細菌LOXのタンパク質配列のコンセンサス配列-配列番号:52
Figure 0007467440000100
Figure 0007467440000101
補因子の結合に関与すると想定される活性部位の5つの保存された必須アミノ酸残基は、大きく太字で示されている。
細菌LOXおよびUfLOX2タンパク質配列のコンセンサス配列-配列番号:53
Figure 0007467440000102
補因子の結合に関与すると想定される活性部位の5つの保存された必須アミノ酸残基は、大きく太字で示されている。
細菌LOX、CoLOX、およびUfLOX2タンパク質配列のコンセンサス配列-配列番号:54
Figure 0007467440000103
Figure 0007467440000104
補因子の結合に関与すると想定される活性部位の5つの保存された必須アミノ酸残基は、大きく太字で示されている。
5. その他
CoLOXフォワードプライマー(5’-CTCTCTCTCTTTCTCTCTGTTCT-3’)(配列番号:55)
CoLOXリバースプライマー(5’-CTCGTTCCCTTACCGTCT-3’)(配列番号:56)
UfLOX2フォワードプライマー(5’-TCGTCCAACAGGTTCTCTT-3’)(配列番号:57)
UfLOX2リバースプライマー(5’-TTCTTTCCACTCACCGCCA-3’)(配列番号:58)
6. 配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50の対応する天然コード配列:
WP_002738122.1のコード配列-配列番号:59
Figure 0007467440000105
Figure 0007467440000106
WP_006635899.1のコード配列-配列番号:60
Figure 0007467440000107
WP_015178512.1のコード配列-配列番号:61
Figure 0007467440000108
Figure 0007467440000109
WP_015204462.1のコード配列-配列番号:62
Figure 0007467440000110
Figure 0007467440000111
WP_028091425.1のコード配列-配列番号:63
Figure 0007467440000112
OBQ01436.1のコード配列-配列番号:64
Figure 0007467440000113
Figure 0007467440000114
OBQ25779.1のコード配列-配列番号:65
Figure 0007467440000115
WP_039200563.1のコード配列-配列番号:66
Figure 0007467440000116
Figure 0007467440000117
WP_012407347.1のコード配列-配列番号:67
Figure 0007467440000118
WP_027843955.1のコード配列-配列番号:68
Figure 0007467440000119
WP_073641301.1のコード配列-配列番号:69
Figure 0007467440000120
Figure 0007467440000121
WP_096647440.1のコード配列-配列番号:70
Figure 0007467440000122
WP_099099431.1のコード配列-配列番号:71
Figure 0007467440000123
Figure 0007467440000124
WP_052672367.1のコード配列-配列番号:72
Figure 0007467440000125
WP_073631249.1のコード配列-配列番号:73
Figure 0007467440000126
Figure 0007467440000127
WP_013220336.1のコード配列-配列番号:74
Figure 0007467440000128
7. コード配列(開始コドンはATGで変更)およびNCBIからマイニングされたアミノ酸配列
WP_108935963.1のコード配列-配列番号:75
Figure 0007467440000129
WP_108935963.1のアミノ酸配列-配列番号:76
Figure 0007467440000130
WP_110985169.1のコード配列-配列番号:77
Figure 0007467440000131
Figure 0007467440000132
WP_110985169.1のアミノ酸配列-配列番号:78
Figure 0007467440000133
WP_053540410.1のコード配列-配列番号:79
Figure 0007467440000134
Figure 0007467440000135
WP_053540410.1のアミノ酸配列-配列番号:80
Figure 0007467440000136
WP_035367771.1のコード配列-配列番号:81
Figure 0007467440000137
Figure 0007467440000138
WP_035367771.1のアミノ酸配列-配列番号:82
Figure 0007467440000139
OBQ35765.1のコード配列-配列番号:83
Figure 0007467440000140
OBQ35765.1のアミノ酸配列-配列番号:84
Figure 0007467440000141
Figure 0007467440000142
OBQ09764.1のコード配列-配列番号:85
Figure 0007467440000143
OBQ09764.1のアミノ酸配列-配列番号:86
Figure 0007467440000144
OBQ23315.1のコード配列-配列番号:87
Figure 0007467440000145
Figure 0007467440000146
OBQ23315.1のアミノ酸配列-配列番号:88
Figure 0007467440000147
OBQ30848.1のコード配列-配列番号:89
Figure 0007467440000148
Figure 0007467440000149
OBQ30848.1のアミノ酸配列-配列番号:90
Figure 0007467440000150
OBQ23778.1のコード配列-配列番号:91
Figure 0007467440000151
Figure 0007467440000152
OBQ23778.1のアミノ酸配列-配列番号:92
Figure 0007467440000153
WP_015083575.1のコード配列-配列番号:93
Figure 0007467440000154
WP_015083575.1のアミノ酸配列-配列番号:94
Figure 0007467440000155
Figure 0007467440000156
WP_027404620.1のコード配列-配列番号:95
Figure 0007467440000157
WP_027404620.1のアミノ酸配列-配列番号:96
Figure 0007467440000158
WP_114084873.1のコード配列-配列番号:97
Figure 0007467440000159
Figure 0007467440000160
WP_114084873.1のアミノ酸配列-配列番号:98
Figure 0007467440000161
WP_096538768.1のコード配列-配列番号:99
Figure 0007467440000162
Figure 0007467440000163
WP_096538768.1のアミノ酸配列-配列番号:100
Figure 0007467440000164
RCJ25669.1のコード配列-配列番号:101
Figure 0007467440000165
Figure 0007467440000166
RCJ25669.1のアミノ酸配列-配列番号:102
Figure 0007467440000167
WP_017318478.1のコード配列-配列番号:103
Figure 0007467440000168
WP_017318478.1のアミノ酸配列-配列番号:104
Figure 0007467440000169
Figure 0007467440000170
KJH71567.1のコード配列-配列番号:105
Figure 0007467440000171
KJH71567.1のアミノ酸配列-配列番号:106
Figure 0007467440000172
WP_017327314.1のコード配列-配列番号:107
Figure 0007467440000173
Figure 0007467440000174
WP_017327314.1のアミノ酸配列-配列番号:108
Figure 0007467440000175
WP_100898502.1のコード配列-配列番号:109
Figure 0007467440000176
Figure 0007467440000177
WP_100898502.1のアミノ酸配列-配列番号:110
Figure 0007467440000178
RCJ35150.1のコード配列-配列番号:111
Figure 0007467440000179
Figure 0007467440000180
RCJ35150.1のアミノ酸配列-配列番号:112
Figure 0007467440000181
WP_094352972.1のコード配列-配列番号:113
Figure 0007467440000182
WP_094352972.1のアミノ酸配列-配列番号:114
Figure 0007467440000183
Figure 0007467440000184
WP_104909167.1のコード配列-配列番号:115
Figure 0007467440000185
WP_104909167.1のアミノ酸配列-配列番号:116
Figure 0007467440000186
WP_106217928.1のコード配列-配列番号:117
Figure 0007467440000187
Figure 0007467440000188
WP_106217928.1のアミノ酸配列-配列番号:118
Figure 0007467440000189
WP_019498926.1のコード配列-配列番号:119
Figure 0007467440000190
Figure 0007467440000191
WP_019498926.1のアミノ酸配列-配列番号:120
Figure 0007467440000192
WP_103124384.1のコード配列-配列番号:121
Figure 0007467440000193
Figure 0007467440000194
WP_103124384.1のアミノ酸配列-配列番号:122
Figure 0007467440000195
BBD59026.1のコード配列-配列番号:123
Figure 0007467440000196
BBD59026.1のアミノ酸配列-配列番号:124
Figure 0007467440000197
Figure 0007467440000198
WP_096579406.1のコード配列-配列番号:125
Figure 0007467440000199
WP_096579406.1のアミノ酸配列-配列番号:126
Figure 0007467440000200
WP_019504688.1のコード配列-配列番号:127
Figure 0007467440000201
Figure 0007467440000202
WP_019504688.1のアミノ酸配列-配列番号:128
Figure 0007467440000203
OCQ98836.1のコード配列-配列番号:129
Figure 0007467440000204
Figure 0007467440000205
OCQ98836.1のアミノ酸配列-配列番号:130
Figure 0007467440000206
WP_062293357.1のコード配列-配列番号:131
Figure 0007467440000207
Figure 0007467440000208
WP_062293357.1のアミノ酸配列-配列番号:132
Figure 0007467440000209
WP_104398120.1のコード配列-配列番号:133
Figure 0007467440000210
WP_104398120.1のアミノ酸配列-配列番号:134
Figure 0007467440000211
Figure 0007467440000212
WP_002758835.1のコード配列-配列番号:135
Figure 0007467440000213
WP_002758835.1のアミノ酸配列-配列番号:136
Figure 0007467440000214
WP_072927101.1のコード配列-配列番号:137
Figure 0007467440000215
Figure 0007467440000216
WP_072927101.1のアミノ酸配列-配列番号:138
Figure 0007467440000217
WP_110578596.1のコード配列-配列番号:139
Figure 0007467440000218
Figure 0007467440000219
WP_110578596.1のアミノ酸配列-配列番号:140
Figure 0007467440000220
WP_045360762.1のコード配列-配列番号:141
Figure 0007467440000221
Figure 0007467440000222
WP_045360762.1のアミノ酸配列-配列番号:142
Figure 0007467440000223
REJ48186.1のコード配列-配列番号:143
Figure 0007467440000224
REJ48186.1のアミノ酸配列-配列番号:144
Figure 0007467440000225
Figure 0007467440000226
REJ50596.1のコード配列-配列番号:145
Figure 0007467440000227
REJ50596.1のアミノ酸配列-配列番号:146
Figure 0007467440000228
WP_041804209.1のコード配列-配列番号:147
Figure 0007467440000229
Figure 0007467440000230
WP_041804209.1のアミノ酸配列-配列番号:148
Figure 0007467440000231
WP_004162848.1のコード配列-配列番号:149
Figure 0007467440000232
Figure 0007467440000233
WP_004162848.1のアミノ酸配列-配列番号:150
Figure 0007467440000234
BAG04096.1のコード配列-配列番号:151
Figure 0007467440000235
BAG04096.1のアミノ酸配列-配列番号:152
Figure 0007467440000236
WP_002786802.1のコード配列-配列番号:153
Figure 0007467440000237
WP_002786802.1のアミノ酸配列-配列番号:154
Figure 0007467440000238
WP_002800102.1のコード配列-配列番号:155
Figure 0007467440000239
WP_002800102.1のアミノ酸配列-配列番号:156
Figure 0007467440000240
WP_002793167.1のコード配列-配列番号:157
Figure 0007467440000241
Figure 0007467440000242
WP_002793167.1のアミノ酸配列-配列番号:158
Figure 0007467440000243
WP_061431977.1のコード配列-配列番号:159
Figure 0007467440000244
Figure 0007467440000245
WP_061431977.1のアミノ酸配列-配列番号:160
Figure 0007467440000246
OUS02327.1のコード配列-配列番号:161
Figure 0007467440000247
OUS02327.1のアミノ酸配列-配列番号:162
Figure 0007467440000248
WP_106300061.1のコード配列-配列番号:163
Figure 0007467440000249
WP_106300061.1のアミノ酸配列-配列番号:164
Figure 0007467440000250
WP_099065794.1のコード配列-配列番号:165
Figure 0007467440000251
WP_099065794.1のアミノ酸配列-配列番号:166
Figure 0007467440000252
WP_012596348.1のコード配列-配列番号:167
Figure 0007467440000253
Figure 0007467440000254
WP_012596348.1のアミノ酸配列-配列番号:168
Figure 0007467440000255
WP_036533591.1のコード配列-配列番号:169
Figure 0007467440000256
Figure 0007467440000257
WP_036533591.1のアミノ酸配列-配列番号:170
Figure 0007467440000258
WP_015784471.1のコード配列-配列番号:171
Figure 0007467440000259
WP_015784471.1のアミノ酸配列-配列番号:172
Figure 0007467440000260
WP_094531790.1のコード配列-配列番号:173
Figure 0007467440000261
WP_094531790.1のアミノ酸配列-配列番号:174
Figure 0007467440000262
Figure 0007467440000263
PZO42668.1のコード配列-配列番号:175
Figure 0007467440000264
PZO42668.1のアミノ酸配列-配列番号:176
Figure 0007467440000265
WP_106893977.1のコード配列-配列番号:177
Figure 0007467440000266
Figure 0007467440000267
WP_106893977.1のアミノ酸配列-配列番号:178
Figure 0007467440000268
BBC22503.1のコード配列-配列番号:179
Figure 0007467440000269
Figure 0007467440000270
BBC22503.1のアミノ酸配列-配列番号:180
Figure 0007467440000271
WP_055077131.1のコード配列-配列番号:181
Figure 0007467440000272
Figure 0007467440000273
WP_055077131.1のアミノ酸配列-配列番号:182
Figure 0007467440000274
WP_009629598.1のコード配列-配列番号:183
Figure 0007467440000275
Figure 0007467440000276
WP_009629598.1のアミノ酸配列-配列番号:184
Figure 0007467440000277
WP_015133151.1のコード配列-配列番号:185
Figure 0007467440000278
Figure 0007467440000279
WP_015133151.1のアミノ酸配列-配列番号:186
Figure 0007467440000280
WP_063872765.1のコード配列-配列番号:187
Figure 0007467440000281
WP_063872765.1のアミノ酸配列-配列番号:188
Figure 0007467440000282
WP_096687527.1のコード配列-配列番号:189
Figure 0007467440000283
WP_096687527.1のアミノ酸配列-配列番号:190
Figure 0007467440000284
Figure 0007467440000285
WP_015138267.1のコード配列-配列番号:191
Figure 0007467440000286
WP_015138267.1のアミノ酸配列-配列番号:192
Figure 0007467440000287
Figure 0007467440000288
WP_094347473.1のコード配列-配列番号:193
Figure 0007467440000289
WP_094347473.1のアミノ酸配列-配列番号:194
Figure 0007467440000290
WP_012164252.1のコード配列-配列番号:195
Figure 0007467440000291
WP_012164252.1のアミノ酸配列-配列番号:196
Figure 0007467440000292
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Figure 0007467440000293
Figure 0007467440000294
WP_015121985.1のアミノ酸配列-配列番号:198
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Figure 0007467440000297
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Figure 0007467440000299
Figure 0007467440000300
WP_006516541.1のアミノ酸配列-配列番号:202
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WP_096660823.1のアミノ酸配列-配列番号:234
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WP_110989156.1のアミノ酸配列-配列番号:236
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Figure 0007467440000348
WP_010473598.1のアミノ酸配列-配列番号:238
Figure 0007467440000349
5MEE_Aのアミノ酸配列-配列番号:239
Figure 0007467440000350
8. コンセンサス配列モチーフ
AKxxxxxADxxxxxxxxHxxxxHxxxxPxA(配列番号:240)
VxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxxxxxHxxxNxxQxxYxxxxxN(配列番号:241)
LxxxxxxIxxxNxxxxxxYxxxxPxxxxxSI(配列番号:242)
LxxxxxYxxxxxXxxxxxxXGxxxxxxxKxLPxPxxxFxWxxxXxxxPxxI(配列番号:243)
WxxAKxCxQxADxxHxExxxHxxxxHxxMxPxA(配列番号:244)
GxVxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxCxPxHxxxNxxQxxYxxxxxNMPxAxY(配列番号:245)
QxxxxxxLxxxxxDxxGxYxxxXF(配列番号:246)
QxxLxxxxxxIxxxNxxRxxxYxxxxxxxxxNSI(配列番号:247)
LxxxxxYxxxxxXxxxxxxXGGxxxxxxKxLPxPxAxFxWxxxXxxxPxxI(配列番号:248)
WxxAKxCxQxADxNHxExxxHxxxTHxVMxPxAxxT(配列番号:249)
GxVxGxxxxxxxxxxLxxxxxxxxxxCxPxHxxxNxxQxxYxxxxxNMPxAxY(配列番号:250)
QxxxxxxLxxxxYDxLGxYxxxXF(配列番号:251)
FQxxLxxxxxxIxxxNxxRxxxYxxxxPxxxxNSI(配列番号:252)
9. LOX変異体
WP_002738122.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:253
Figure 0007467440000351
Figure 0007467440000352
WP_002738122.1mutのアミノ酸配列-配列番号:254
Figure 0007467440000353
WP_002738122.1mut2のコドン最適化コード配列-配列番号:255
Figure 0007467440000354
Figure 0007467440000355
WP_002738122.1mut2のアミノ酸配列-配列番号:256
Figure 0007467440000356
WP_015204462.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:257
Figure 0007467440000357
WP_015204462.1mutのアミノ酸配列-配列番号:258
Figure 0007467440000358
WP_015204462.1mut2のコドン最適化コード配列-配列番号:259
Figure 0007467440000359
WP_015204462.1mut2のアミノ酸配列-配列番号:260
Figure 0007467440000360
Figure 0007467440000361
WP_015204462.1mut3のコドン最適化コード配列-配列番号:261
Figure 0007467440000362
WP_015204462.1mut3のアミノ酸配列-配列番号:262
Figure 0007467440000363
Figure 0007467440000364
WP_006635899.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:263
Figure 0007467440000365
WP_006635899.1mutのアミノ酸配列-配列番号:264
Figure 0007467440000366
WP_015178512.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:265
Figure 0007467440000367
Figure 0007467440000368
WP_015178512.1mutのアミノ酸配列-配列番号:266
Figure 0007467440000369
WP_028091425.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:267
Figure 0007467440000370
Figure 0007467440000371
WP_028091425.1mutのアミノ酸配列-配列番号:268
Figure 0007467440000372
OBQ01436.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:269
Figure 0007467440000373
Figure 0007467440000374
OBQ01436.1mutのアミノ酸配列-配列番号:270
Figure 0007467440000375
OBQ25779.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:271
Figure 0007467440000376
OBQ25779.1mutのアミノ酸配列-配列番号:272
Figure 0007467440000377
Figure 0007467440000378
WP_039200563.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:273
Figure 0007467440000379
WP_039200563.1mutのアミノ酸配列-配列番号:274
Figure 0007467440000380
WP_012407347.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:275
Figure 0007467440000381
Figure 0007467440000382
WP_012407347.1mutのアミノ酸配列-配列番号:276
Figure 0007467440000383
WP_027843955.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:277
Figure 0007467440000384
Figure 0007467440000385
WP_027843955.1mutのアミノ酸配列-配列番号:278
Figure 0007467440000386
WP_073641301.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:279
Figure 0007467440000387
Figure 0007467440000388
WP_073641301.1mutのアミノ酸配列-配列番号:280
Figure 0007467440000389
WP_096647440.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:281
Figure 0007467440000390
WP_096647440.1mutのアミノ酸配列-配列番号:282
Figure 0007467440000391
Figure 0007467440000392
WP_099099431.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:283
Figure 0007467440000393
WP_099099431.1mutのアミノ酸配列-配列番号:284
Figure 0007467440000394
WP_052672367.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:285
Figure 0007467440000395
Figure 0007467440000396
WP_052672367.1mutのアミノ酸配列-配列番号:286
Figure 0007467440000397
WP_073631249.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:287
Figure 0007467440000398
Figure 0007467440000399
WP_073631249.1mutのアミノ酸配列-配列番号:288
Figure 0007467440000400
WP_013220336.1mutのコドン最適化コード配列-配列番号:289
Figure 0007467440000401
Figure 0007467440000402
WP_013220336.1mutのアミノ酸配列-配列番号:290
Figure 0007467440000403

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを調製するための方法であって、
    少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)基質とリポキシゲナーゼの酵素活性を有するポリペプチドとを接触させるステップであって、ここで、前記ポリペプチドが、
    a) 配列番号3、6、9、12または15
    b) 配列番号18
    c) 配列番号20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48または50
    d) a)、b)またはc)の配列のうちの少なくとも1つに対して少なくとも90%の配列同一性を有し、かつリポキシゲナーゼの前記酵素活性を保持するアミノ酸配列、および
    e) 配列番号254、256、258、260、262、264、266および284から選択されるアミノ酸配列を含む変異体から選択される、リポキシゲナーゼの前記酵素活性を保持するポリペプチドc)のいずれかの単一変異体および多重変異体
    から選択されるアミノ酸配列を含み、
    それによって、前記少なくとも1つのPUFA基質を、少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを含む反応生成物に変換するステップを含む、方法。
  2. 前記少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)基質とリポキシゲナーゼの酵素活性を有するポリペプチドとを接触させるステップで得られる少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドを単離するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドが、リポキシゲナーゼ活性とヒドロペルオキシドリアーゼ活性との組み合わせの酵素活性を含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記ポリペプチドが、ω-3およびω-6PUFAから選択される少なくとも1つのPUFAを、デカジエナールおよびデカトリエナールから選択される少なくとも1つの一価または多価不飽和脂肪族アルデヒドに変換する能力を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
  5. 前記デカジエナールが、2E,4E-デカジエナールおよび2E,4Z-デカジエナールならびにそれらの混合物から選択され、前記デカトリエナールが、2E,4E,7Z-デカトリエナールおよび2E,4Z,7Z-デカトリエナールならびにそれらの混合物から選択される、請求項記載の方法。
  6. 前記PUFAが、ω-3C16~C22-PUFAおよびω-6C16~C22-PUFAから選択される、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの多価不飽和脂肪酸(PUFA)基質とリポキシゲナーゼの酵素活性を有するポリペプチドとを接触させるステップを、酸素の存在下で細胞培養物においてインビボで、または酸素の存在下で液体反応培地においてインビトロで実施する、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
  8. 得られた一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒドを化学的もしくは酵素的に異性化するステップ、または得られた一価もしくは多価不飽和脂肪族アルデヒドを対応するアルコールもしくはヒドロカルビルエステルに化学的もしくは酵素的に変換するステップをさらに含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
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