JP6582040B2 - 7−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ変異体およびウルソデオキシコール酸の製造方法 - Google Patents

7−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ変異体およびウルソデオキシコール酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規の7−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ変異体、これらの酵素変異体をコードする配列、酵素変異体の調製方法、およびコール酸化合物の酵素的変換、特にウルソデオキシコール酸(UDCA)の製造におけるこれらの使用に関する。本発明の対象は、酵素変異体を用いたUDCAの新規な合成方法および組換え多重改変微生物を用いたUDCAの製造である。
胆汁酸は、脂肪、脂肪酸および疎水性ビタミンの消化および吸収に必要な生体分子である。ヒトでは少量しかみられない胆汁酸は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)である。それは、最近、コレステロール含有胆石の溶解において、重大な治療的重要性を獲得している。この化合物は化学的または酵素的工程によってトン単位で工業的に生産される。UDCAを合成するための重要な前駆体は、12−ケトウルソデオキシコール酸であり、これはウォルフ・キッシュナー還元によってUDCAに変換することができる。文献に記載されている12−ケトウルソデオキシコール酸の合成経路は、コール酸(3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラン酸)から始まり、7α−および12β−HSDHによって触媒される2つの酸化段階によって調製され、1つの還元段階で、7β−HSDHにより触媒される(非特許文献1;非特許文献2)。さらなる経路は、7−ケトイソ酪酸から開始し、これは7−ケト基を立体選択的に還元することによってUDCAに変換することができる。この工程もまた、7β−HSDHによって触媒される酵素触媒作用により有利に行われる(非特許文献3;非特許文献4)。さらに有利な合成経路は、デヒドロコール酸(DHCA)で始まり、これは2回の還元工程によって12−ケトウルソデオキシコール酸に変換することができる。これらの2つの工程は、2つの立体選択的HSDH(3α−および7β−HSDH)によって触媒できる(非特許文献5;非特許文献6)。
C.aerofaciens由来の酵素は、非常に好適な7β−HSDHであることが証明されている。現在、C.aerofaciens由来のこの酵素の遺伝子配列は知られているので、最初に、酵素をクローニングした後で組換えにより利用できる。次に、タンパク質工学的方法によってこの酵素の変異体を作製することが可能であり、したがって任意に、より有利な酵素変異体を見出すことが可能である。
とりわけ、胆石疾患の治療のための薬剤として、活性物質のウルソデオキシコール酸(UDCA)およびそのジアステレオマーのケノデオキシコール酸(CDCA)が長年にわたり使用されている。2つの化合物は、C原子7(UDCA:β立体配置、CDCA:α立体配置)上のヒドロキシル基の立体配置のみが異なる。UDCAを調製するための様々な工程が先行技術に記載されており、純粋に化学的手段によって、または化学的工程と酵素的工程の手段の組み合わせとして、これらの工程は行われる。出発点はいずれの場合もコール酸(CA)、またはコール酸から出発して調製されたCDCAである。
従って、UDCAの調製の従来の化学的方法は、以下のように図式的に示される:
Figure 0006582040
とりわけ重大な欠点は、以下の通りである:化学的酸化は選択的なものではないため、カルボキシル基ならびに3α−および7α−ヒドロキシ基は、エステル化によって保護されなければならない。
酵素12α−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(12α−HSDH)の使用に基づく代替的な化学的/酵素的工程は、以下のように示すことができ、例えば出願人のPCT出願(特許文献1)に記載されている。
Figure 0006582040
ここで、12α−HSDHはCAを選択的に酸化して12−ケト−CDCAとする。従来の化学的方法で必要とされている2つの保護工程は、ここでは省くことができる。
さらに、非特許文献7は、代替的な酵素的/化学的工程を開示し、それは以下のように図式的に示すことができる。
Figure 0006582040
CAは、最初にBacteroides fragilis ATCC 25285由来の7α−HSDH酵素(非特許文献8)および12α−HSDHによって酸化され、7,12−ジケト−LCAとなる。これらの2つの酵素は、いずれの場合もNADH依存性である。Clostridium absonum ATCC 27555(DSM 599)由来の7β−HSDH(NADPH依存性)(非特許文献9)による還元後、12−ケト−UDCAが生成する。ウォルフ・キッシュナー還元により最終製品が得られる。この方法の欠点は、触媒反応の平衡状態のために完全な転化が不可能であり、反応の第1段階で、2つの異なる酵素を使用しなければならず、それにより工程がより高価になることである。補因子の再生のために、乳酸脱水素酵素(LDH;NADの再生用)およびグルコース脱水素酵素(GlcDHまたはGDH;NADPHの再生用)を用いる。その反応に使用される補因子再生の欠点は、生成する副生成物のみを反応混合物から除去することが非常に困難であるため、反応平衡に正の影響を与えることができず、出発物質の不完全な変換をもたらすことである。
Collinsella aerofaciens ATCC 25986(DSM 3979;以前のEubacterium aerofaciens)株由来の7β−HSDHは、HiranoおよびMasudaによって1982年に記載されている(非特許文献10)。その酵素の配列情報は開示されていない。ゲルろ過によって測定された分子量は45000Daであった(非特許文献10の第1059頁左欄参照)。さらに、7β−ヒドロキシ基への7−オキソ基の還元は前記酵素については観察されなかった(非特許文献10の第1061頁第1段落の考察参照)。従って、当業者は、非特許文献10に記載されている酵素は、3,12−ジケト−7β−CAを得るための、デヒドロコール酸(DHCA)の7位での還元を触媒することには適していないことを理解する。
出願人の以前の国際特許出願である特許文献2は、Collinsella aerofaciens ATCC 25986由来の新規7β−HSDHを記載しており、とりわけ、それは約28〜32kDaの分子量(SDSゲル電気泳動により測定)、約53〜60kDaの分子量(特にSDSを含まない非変性条件下のゲル濾過により測定)および7−ケト−LPAの7−カルボニル基を立体選択的に還元して7β−7β−ヒドロキシ基とする能力を有している。
さらに、特許文献2はUDCAの製造方法を提供し、これは図式的に以下のように示すことができる:
Figure 0006582040
従って、CAは、従来の化学経路を介して簡単な方法で酸化される。DHCAは、酵素ペアである7β−HSDHおよび3α−HSDHによって個々に1つずつまたは1つのポットで還元され、12−ケト−UDCAとなる。ウォルフ・キッシュナー還元と組み合わせることにより、CAから始めてわずか3工程でUDCAを合成することができる。7β−HSDH酵素は補因子NADPHに依存するが、3α−HSDH酵素は補因子NADHを必要とする。補因子の再生を単純化することができるので、同じ補因子に依存する酵素ペアまたは延長依存(例えば、補因子NADHおよびNADPHへの)を有する酵素ペアの利用が有利であろう。
特許文献3は、C.aerofaciensの配列のアミノ酸残基36〜42の配列領域におけるC.aerofaciens由来の新規7β−HSDH変異体およびUDCAの調製のための生体触媒工程、特に新規の全細胞工程を記載している。
特許文献4は、望ましくない7α−HSDH酵素活性を標的化した方法でスイッチオフすることが可能であるため、UDCAの調製に特に適した新規のノックアウト株を記載している。
国際出願PCT/EP2009/002190号 国際出願PCT/EP2010/068576号 国際公開第2012/080504号 国際公開第2011/147957号
Bovara R et al.(1996)A new enzymatic route to the synthesis of 12−ketoursodeoxycholic acid.Biotechnol.Lett.18:305−308 Monti D et al.(2009)One−pot multienzymatic synthesis of 12−ketoursodeoxycholic acid:Subtle cofactor specificities rule the reaction equilibria of five biocatalysts working in a row.Adv.Synth.Catal.351:1303−1311 Higashi S et al.(1979)Conversion of 7−ketolithocholic acid to ursodeoxycholic acid by human intestinal anaerobic microorganisms:Interchangeability of chenodeoxycholic acid and ursodeoxycholic acid.Gastroenterologia Japonica 14:417−424 Liu L et al.(2011)Identification,cloning,heterologous expression,and characterization of a NADPH−dependent 7 beta−hydroxysteroid dehydrogenase from Collinsella aerofaciens.Appl.Microbiol.Biotechnol.90:127−135 Carrea G et al.(1992)Enzymatic synthesis of 12−ketoursodeoxycholic acid from dehydrocholic acid in a membrane reactor.Biotechnol.Lett.14:1131−1135 Liu L et al.(2013)One−step synthesis of 12−ketoursodeoxycholic acid from dehydrocholic acid using a multienzymatic system.Appl.Microbiol.Biotechnol.97:633−639 Monti,D.,et al.,One−Pot Multienzymatic Synthesis of 12−Ketoursodeoxycholic Acid:Subtle Cofactor Specificities Rule the Reaction Equilibria of Five Biocatalysts Working in a Row.Advanced Synthesis & Catalysis,2009 Zhu,D.,et al.,Enzymatic enantioselective reduction of −ketoesters by a thermostable 7−hydroxysteroid dehydrogenase from Bacteroides fragilis.Tetrahedron,2006.62(18):p.4535−4539 MacDonald,I.A. and P.D.Roach,Bile induction of 7 alpha− and 7 beta−hydroxysteroid dehydrogenases in Clostridium absonum.Biochim Biophys Acta,1981.665(2):p.262−9 Hirano,S.and N.Masuda,Characterization of NADP−dependent 7 beta−hydroxysteroid dehydrogenases from Peptostreptococcus productus and Eubacterium aerofaciens.Appl Environ Microbiol,1982.43(5):p.1057−63
本発明の課題は、さらに改良された7β−HSDHの提供である。特に、3,12−ジケト−7β−CAを得るために、DHCAの7位の立体特異的還元によるUDCAの酵素または微生物の調製にさらに有利に使用することができる酵素変異体を提供すること、特に、それは、基質および/または補因子の活性が改善され、および/または基質阻害の低減および/または補因子の利用の変化(修飾特異性または依存性の拡大の増加)を有することが意図された。
驚くべきことに、Collinsella属の好気性細菌、特にColinsella aerofaciens株由来の7β−HSDHの改良された変異体を生成および特徴づけること、ならびに、それらをコール酸化合物の変換、特にUDCAの生成に使用することにより、上記の問題を解決することができた。
一方、C.aerofaciens由来のこの酵素の遺伝子配列は既知であるため、第一に、この酵素をクローン化した後に組換え利用できるようにし、第二に、タンパク質工学的方法でこの酵素の変異体の作製し、そこで、より有利な酵素変異体を任意に見出す可能性がある。
構造的および相同性態様に基づき、本発明では補酵素結合または基質認識に関与する配列領域を定義することが試みられている。これは、変異誘発によってこれらの領域のアミノ酸を標的化した方法で改変し、そのような構造改変によって酵素特性を改変する可能性をもたらす。すなわち、C.aerofaciensの7β−HSDHの場合には、「ロスマンフォールド」として知られているものは、約10〜64前後のアミノ酸の領域において補酵素結合に関与する。本発明では、今回、特に、酵素がNADPHの代わりにより実用的なNADHを受容するように、この補酵素結合領域中のアミノ酸を改変することを試みた。
驚くべきことに、64位のアミノ酸アルギニンをアスパラギン酸に置換する試みの間に、この7β−HSDH変異体が顕著により高い活性を有することが分かった。このことは、その後も64位に変異を有する複数の別の変異体が野生型酵素よりも高い活性を示す限りにおいて確認された。さらに、均一に精製した酵素変異体を、対応して精製した実証された野生型酵素と比較すると、驚くべきことに、顕著により高い特異的酵素活性を示した。
特に、その改善された活性は、変異体7β−HSDH−R64E、7β−HSDH−R64Dおよび7β−HSDH−R64Dの特異的活性(換言するとタンパク量に基づく活性値)の増加によって明確に確認できる。発現した7β−HSDH−R64Eは、検討対象である7β−HSDHのタンパク質配列の64位のアルギニン(R)がグルタミン酸(E)によって置換されたことを意味する。技術用語7β−HSDH−R64Dは、同様に「64位のアルギニンがアスパラギン酸(D)と置換された」と読まれる。C.aerofaciensから得ることができる7β−HSDHは、野生型酵素と呼ばれる。
さらに、上記課題は、本明細書中に記載する7β−HSDH変異体および3α−HSDHによって触媒される2つの還元的部分工程(いずれの配列においても同時または交互に起こる)を経て、DHCAの12−ケト−UDCAへの酵素的変換を含む生体触媒(微生物および/または酵素)工程と、両者の還元的部分工程で消費された補因子を再生するデヒドロゲナーゼを用いることによる補因子再生の提供により解決される。
図1aは、Collinsella aerofaciens 7β−HSDH(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。 図1bは図1aのアミノ酸配列をコードする核酸配列を示す 図1cはComunomonas testosteroni 3α−HSDHのアミノ酸配列を示す。 図1dは図1cのアミノ酸配列をコードする核酸配列を示す。 図2aは、Collinsella aerofaciens 7β−HSDHのアミノ酸配列を示す;C末端が、His−タグ配列LEHHHHHHにより延長されている。 図2bは、それに由来する変異体7β−HSDH[R64E]を示す。 図2cは、それに由来する変異体7β−HSDH[G39S]を示す。 図2dは、それに由来する変異体7β−HSDH[G39S/R64E]を示す。 図3は、グルタミン酸変異体[R64E]の基質DHCA(左図)および補酵素NADPH(右図)に対する特異的酵素活性のプロットを示す。 図4は、セリン変異体の基質DHCA(左図)および補酵素NADPH(右図)に対する特異的酵素活性のプロットを示す。 図5は、7β−HSDH[G39S/R64E]変異体(LB培地中、振とうフラスコ発酵において発現後)のSDSゲルを示す。無細胞粗抽出物および精製後の酵素を用いた。7β−HSDH変異体の大きさは約29.9kDaである。約10μgのタンパク質を用いた。 図6は、二重変異体[G39S/R64E]の基質DHCA(左図)および補酵素NADPH(右図)に対する特異的酵素活性のプロットを示す。 図7は、本発明におけるいくつかの変異体(逆三角形(▼):7β−HSDH[R64E];四角形(■):7β−HSDH[G39S];三角形(▲):7β−HSDH)[G39S/R64E]と野生型(円形(●))の動力学の比較を示す
特に、本発明は以下の特定の実施形態に関する:
1. 7−ケトステロイドから対応する7−ヒドロキシステロイドへの立体特異的酵素還元を少なくとも触媒する酵素である7β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(7β−HSDH)であって、
該酵素は、配列番号2の酵素または当該配列を含む酵素[例えば、配列番号3(すなわち、1つのヒスチジンタグまたはヒスチジンアンカー配列によりN末端が伸長した配列番号2)を含む酵素]由来であり、
該酵素は、配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)の位置17および/または64に、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列位置に変異を有し、かつ、配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)と少なくとも80%(例えば、少なくとも85,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99または99.5%)の配列同一性を有する。
2. 7−ケトステロイドから対応する7−ヒドロキシステロイドへの立体特異的酵素還元をを少なくとも触媒する酵素である7β−HSDHであって、
配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)のアミノ酸配列の変異によって修飾されたアミノ酸配列を有し、
該アミノ酸配列の変異が、(a)R64Xおよび/または(b)T17Xを含む単一または複数の変異の中から選択され、
は、アルギニン(R)以外のアミノ酸残基、特にタンパク質原性アミノ酸残基、特に任意の特異的活性を増加させるおよび/または基質阻害を減少させるおよび/または補因子利用もしくは補因子依存性を改変するアミノ酸、特に天然アミノ酸であり;そして、
はトレオニン(T)以外のタンパク質原性アミノ酸残基、特に任意の特異的活性を増加させるおよび/または基質阻害を減少させるおよび/または補因子利用もしくは補因子依存性を改変するアミノ酸、特に天然アミノ酸であり;
変異した(すなわち、修飾された)アミノ酸配列が、配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)と80%以上100%未満(例えば、85,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99または99.5%)、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも90%の配列同一性を有する。
3. 配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)の位置36〜42、特に位置39の配列モチーフVMVGRREに、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列モチーフに、少なくとも1つの変異をさらに有し、かつ、配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)と少なくとも80%(例えば、85,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99または99.5%)の配列同一性を有する、実施形態1または2の7β−HSDH。
4. さらに、アミノ酸配列の変異(c)G39Xを有する、実施形態3の7β−HSDH:
は、グリシン(G)以外のアミノ酸残基、特にタンパク質原性アミノ酸残基、特に任意の特異的活性を増加させるおよび/または基質阻害を減少させるおよび/または補因子利用もしくは補因子依存性を改変するアミノ酸、特に天然アミノ酸である。
5. (a)単一の変異体R64XおよびT17Xと(b)二重の変異体R64X/G39Xから選択される、上記実施形態の1つである7β−HSDH:
は、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはVであり;
は、F、A、IまたはSであり;
は、S、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、特にSまたはAである。
適切な単一の変異体の非限定的な例は、下記を含む:
R64A、R64S、R64D、R64V、R64T、R64P、R64N、R64E、R64Q、R64H、R64RL、R64K、R64C、R64G、R64I、R64Y、R64FおよびR64W、ならびに、T17F、T17A、T17I、T17S。
適切な二重の変異体の非限定的な例は、下記を含む:
(G39S/R64E);(G39S/R64D);(G39S/R64T);(G39S/R64L);(G39S/R64S);(G39S/R64P);(G39S/R64V);(G39A/R64E);(G39A/R64D);(G39A/R64T);(G39A/R64S);(G39A/R64L);(G39A/R64P);(G39A/R64V)。
単一および二重の変異について上述したことは、特に配列番号2および3に適用される。
6. 配列番号2(もしくは、例えば配列番号3)を有する非変異の7β−HSDHと比較して、以下の特性または以下の特性プロファイルの少なくとも1つを示す、上記実施形態の1つである7β−HSDH:
a)補因子としてNAD(P)H、特にNADPHを用いたデヒドロコール酸(DHCA)の酵素的還元における、DHCAに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);例えば、補因子NAD(P)H、特にNADPHの存在下で、非変異の酵素と比較して特異的活性(U/mg)が、少なくとも1,5,10,50または100%増加するか、特に少なくとも1倍、特に2〜100倍または3〜20倍または5〜10倍増加している。
b)補因子としてNAD(P)H、特にNADPHを用いたDHCAの酵素的還元における、NAD(P)H、特にNADPHに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);例えば、補因子NAD(P)H、特にNADPHの存在下で、非変異の酵素と比較して特異的活性(U/mg)が、少なくとも1,5または10%増加するか、特に少なくとも1倍、特に2〜10倍増加している。
c)低下したDHCAによる基質阻害、例えば、1mM以上、例えば1〜200mM、2〜150mM、2.5〜100mMの範囲のKi値;
d)NADHおよびNADPHに対する改変された補因子特異性、例えば広範な特異性、すなわち以前は使用されていない追加の補因子、特にNADPHの使用;
e)これらの特性a)〜d)は、個々にまたは任意の組み合わせで存在することができる。
さらに特定の実施形態は、配列番号2もしくは配列番号3または当該配列に由来する配列を有する7β−HSDH変異体であって、野生型配列と少なくとも80%または少なくとも85%、特に少なくとも90%の配列同一性を有し、上記特性a)、b)、c)、d)またはe)の少なくとも1つを有する7β−HSDH変異体に関する。
挙げることができる、さらなる例は下記である:
(1)少なくとも上記特性a)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(2)少なくとも上記特性b)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(3)少なくとも上記特性c)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(4)少なくとも上記特性d)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(5)少なくとも上記特性a)とb)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(6)少なくとも上記特性a)とc)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(7)少なくとも上記特性a)とd)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(8)少なくとも上記特性b)とc)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(9)少なくとも上記特性b)とd)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(10)少なくとも上記特性a)〜d)を有する、単一の変異体R64X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、特に好ましくはEである)が、例として挙げられる。
(11)少なくとも上記特性a)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(12)少なくとも上記特性b)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(13)少なくとも上記特性c)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(14)少なくとも上記特性d)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(15)少なくとも上記特性a)とb)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(16)少なくとも上記特性a)とc)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(17)少なくとも上記特性a)とd)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(18)少なくとも上記特性b)とc)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(19)少なくとも上記特性b)とd)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(20)少なくとも上記特性a)〜d)を有する、単一の変異体T17X(Xは、T以外のアミノ酸残基、特にF、A、IまたはSである)が、例として挙げられる。
(21)少なくとも上記特性a)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(22)少なくとも上記特性b)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(23)少なくとも上記特性c)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(24)少なくとも上記特性d)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(25)少なくとも上記特性a)とb)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(26)少なくとも上記特性a)とc)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(27)少なくとも上記特性a)とd)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(28)少なくとも上記特性b)とc)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(29)少なくとも上記特性b)とd)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
(30)少なくとも上記特性a)〜d)を有する、二重の変異体R64X/G39X(Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはN、特にE、D、T、L、S、PまたはV、好ましくはEであり、XはS、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはR、好ましくはSまたはAである)が、例として挙げられる。
上に列挙した例示的な実施形態(1)〜(30)は、特に配列番号2または配列番号3の7β−HSDHの変異体に関し、さらにそれらは、少なくとも80%または少なくとも85%、特に少なくとも90%の同一性を有する。
7. 上記実施形態の1つである7β−HSDHをコードするヌクレオチド配列。
挙げることができる例は、下記核酸配列から選択される核酸配列である:
a)GDH、実施形態1〜6の1つである7β−HSDHおよび任意に3α−HSDHを同時にコードする核酸配列;
b)GDH、実施形態1〜6の1つである7β−HSDHおよび任意に3α−HSDHを含む融合タンパク質をコードする核酸配列:
当該コードする配列は、互いに独立して、コンストラクト中に単一または複数(例えば、2,3,4,5または6〜10コピーのように)存在しうる。したがって、個々の発現産物の活性に存在する差異は、適切なコピー数を選択することによって補うことができる。
8. 少なくとも1つの調節配列の制御下で、少なくとも1つの実施形態7のヌクレオチド配列、および、任意に少なくとも1つ(例えば、1,2または3)のさらなる酵素(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、特に3α−HSDH、および、例えばFDH、GDH、ADH、G−6−PDH、PDHなどの補因子の再生に適切なデヒドロゲナーゼから選択される酵素)をコードする配列を含む発現カセット。
特に、発現カセットに存在する酵素は、相違するか、好ましくは同一の補因子の対、例えば、補因子の対であるNAD/NADHもしくはNADP/NADPHを用いることができる。
9. 少なくとも1つの実施形態8の発現カセットを含む発現ベクター。
10. 少なくとも1つの実施形態7のヌクレオチド配列または少なくとも1つの発現カセット8または少なくとも1つの実施形態9の発現ベクターを有する組換え微生物。
11. 補因子の再生に適切なヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSDH)およびデヒドロゲナーゼの中から選択される少なくとも1つのさらなる酵素をコードする配列を任意に追加的に有する実施形態10の組換え微生物。
12. さらなるHSHDが3α−HSDHから選択され;そして、デヒドロゲナーゼが、NADPH再生酵素、例えば、NADPHデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)およびNADPH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)およびグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−PDH)またはホスファイトデヒドロゲナーゼ(PtDH)またはNADH再生酵素、例えば、NADHデヒドロゲナーゼ、NADH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)、NADH再生アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、NADH再生グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)、NADH再生ホスファイトデヒドロゲナーゼ(PtDH)およびNADH再生グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)の中から選択される、実施形態11の組換え微生物。
挙げることのできる例は、本発明の7β−HSDH変異体、本明細書に記載のGDHおよび任意に本明細書に記載の3α−HSDHを同時に発現することができる組換え微生物である。
7β−HSDH変異体、GDHまたはその変異体および3α−HSDHおよび1つまたは複数の(異なる)発現コンストラクトをコードする配列を有する、実施形態29〜33の1つである組換え微生物。したがって、本発明の対象は、単一プラスミド系で改変(例えば、形質転換)された組換え微生物であり、それは7β−HSDH変異体、GDHまたはその変異体および3α−HSDHまたはその変異体をコードする配列を、1つまたは例えば2,3,4,5もしくは6〜10コピーなどの複数のコピーで有する。したがって、また本発明の対象は、単一プラスミド系で改変(例えば、形質転換)された組換え微生物でもあり、それは7β−HSDHまたはその変異体、GDHまたはその変異体および3α−HSDHまたはその変異体をコードする配列を、1つまたは例えば2,3,4,5もしくは6〜10コピーなどの複数のコピーで有する。しかし、酵素(7β−HSDH、GDHおよび3α−HSDHまたはそれらの変異体)は、互いに両立し得る2または3の別個のプラスミド上に1つ以上のコピーで存在することもできる。単一プラスミド系およびマルチコピープラスミドの調製に適切な塩基性ベクターは、当業者に公知である。単一プラスミド系の例としては、例えばpET21aを挙げることができ、マルチコピープラスミドの例としては、例えば、pACYCDuet−1、pETDuet−1、pCDFDuet−1、pRSFDuet−1およびpCOLADuet−1などのNovagenから入手可能なDuetベクターを挙げることができる。これらのベクター、他のベクターおよび微生物宿主株とのこれらの適合性は、例えばNovagenの「User Protocol」TB340 Rev.E0305に記載されている。
プラスミド系を作製するための酵素の最適な組み合わせは、本発明の教示を考慮して、当業者は過度の負担なく実施することができる。したがって、例えば当業者は、例えば、それぞれの場合に使用される7β−HSDH酵素の補因子特異性に応じて、上記デヒドロゲナーゼ、特にGDHおよびそれらの各変異体の中から選択される補因子の再生に最も適切な酵素を選ぶことができる。
さらに、2つ以上のプラスミドに変換するために選択した酵素を分配し、この調製したプラスミドを用いて2つ以上の異なる組換え微生物を調製し、これを本発明の生体触媒変換に一緒に用いることができる。本明細書では、プラスミドの調製に使用される各酵素の組み合わせは、特に、相当する補因子の使用の必要性に従う。すなわち、例えば、第1の微生物は、7β−HSDH変異体およびGDHをコードする配列を有するプラスミドで修飾することができる。一方、第2の微生物は、3α−HSDHをコードする配列およびGDHをコードする配列を有するプラスミドで修飾することができる。酵素のペアは双方ともに、それらが補因子の同一ペアを再生できるように選択できる。また、両微生物は、本発明の生物触媒変換のために同時に使用することができる。
2つの異なる生体触媒(組換え微生物)の使用は、合成用の全ての酵素が発現する単一の生体触媒の使用に比べて、2つの重要な利点を有することができる:
a)両生体触媒は、遺伝的に改変され、互いに別々に最適化することができる。特に、NADHまたはNADPHの再生のために最適化された様々な補因子の再生酵素を使用することが可能である。
b)生体触媒について、異なる割合で生体触媒を使用することが可能である。これにより、すべての生体触媒の調製後であっても、生体触媒が作用している間、複数の酵素作用の個々の反応速度に関与することができる。
13. 7α−HSDHノックアウト株である実施形態10〜12の1つである組換え微生物であって、前記株が、例えばWO2011/147957に記載されている組換え微生物。
14. 7β−ヒドロキシステロイドの酵素的または微生物的合成方法であって、実施形態1〜6の1つに定義された7β−HSDHの存在下で、または、実施形態10〜13の1つの7β−HSDHを発現する組換え微生物の存在下で、対応する7−ケトステロイドが還元され、任意に、少なくとも1つの形成された還元生成物が反応混合物から単離される方法。
15. 実施形態14の方法であって、7−ケトステロイドが、デヒドロコール酸(DHCA)、7−ケト−リトコール酸(7−ケト−LCA)、7,12−ジケト−リトコール酸(7,12−ジケト−LCA)、および、これらの誘導体、例えば特に、当該酸の塩、アミドまたはアルキルエステルの中から選択される方法。
16. 還元が、NADPHおよび/またはNADHの存在下で特にその消費によって行われる、実施形態14または15の方法。
17. 実施形態16の方法であって、消費されたNADPHが、NADPH再生酵素(特に、NADPHデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)およびNADPH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)およびNADPH再生グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)の中から選択される)とのカップリングによって再生され、NADPH再生酵素が任意に組換え微生物によって発現する;および/または消費されたNADHが、NADH再生酵素(特に、NADHデヒドロゲナーゼ、NADH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)、NADH再生アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、NADH再生グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)、NADH再生ホスファイトデヒドロゲナーゼ(PtDH)およびNADH再生グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)の中から選択される)とのカップリングによって再生され、NADH再生酵素が任意に組換え微生物において発現する、方法。
18. NADPH再生酵素が以下から選択される実施形態17の方法:
a)FDH(少なくともギ酸のCOへの酵素的酸化を触媒するNAD依存性FDHの変異体を含み、該変異体は非変異の酵素と比較して補因子としてNADPを追加的に受け入れる);および、
b)GDH。
19. 式(1)のウルソデオキシコール酸(UDCA)の製造方法:
Figure 0006582040
[式中、Rはアルキル、H、アルカリ金属イオンまたはN(R を表し、基Rは同一または異なってHまたはアルキルを表すか、または、基−CORが酸アミド基−CONRで置換されている。RとRは互いに独立してアルキル基を表す。];
a)任意に、式(2)のコール酸(CA)を化学的に酸化して式(3)のデヒドロコール酸(DHCA)とする;
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
b)実施形態1〜6の1つに定義された少なくとも1つの7β−HSDH変異体(単離酵素として存在するか、または対応する組換え微生物によって発現する)の存在下および少なくとも1つの3α−HSDH(単離酵素として存在するか、または対応する組換え微生物によって発現する)の存在下でDHCAを還元し、対応する式(5)の12−ケト−ウルソデオキシコール酸(12−ケトUDCA)とする;
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
特に、NADHおよび/またはNADPHの存在下および消費下で、続いて、
c)式(5)の12−ケト−UDCAを化学的にUDCAに還元する;そして、
d)任意に、反応生成物をさらに精製する。
20. 少なくとも工程b)が、実施形態10〜13の1つである組換え微生物の存在下で行われる、実施形態19の方法。
21. 工程b)が同一または異なる補因子の再生システムと一体である、実施形態19または20の方法。
式(1)のUDCAの製造方法:
Figure 0006582040
[式中、Rはアルキル、NR、H、アルカリ金属イオンまたはN(R を表し、基Rは同一または異なってHまたはアルキルを表すか、または、基−CORが、上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
a)任意に、式(2)のコール酸(CA)を化学的に酸化して式(3)のDHCAとする;
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
b)少なくとも1つの7β−HSDHの存在下および少なくとも1つの3α−HSDHの存在下でDHCAを還元し、対応する式(5)の12−ケトUDCAとする;
Figure 0006582040
[式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
特に、NADHおよび/またはNADPHの存在下および消費下で、続いて、
c)式(5)の12−ケト−UDCAを化学的にUDCAに還元する;そして、
d)任意に、反応生成物をさらに精製する。
工程b)の変換を、実施形態10〜13の1つの組換え微生物の存在下で、例えば、実施形態10〜13の1つである異なる組換え微生物の一種以上の全細胞の存在下で実施する。該微生物は、本明細書中により詳細に記載されているように、変換および補因子の再生に必要な酵素を含む。
本明細書では、プロセス工程b)は、様々な方法で構成することができる。2つの酵素(7β−HSDH変異体および3αHSDH)が同時に存在することができる(例えば、単離された2つの酵素または両酵素を発現する1つ以上の対応する組換え微生物とのワントップ反応が存在する)。あるいは、部分的反応は、任意の所望の順序(最初に7β−HSDH変異体-触媒還元、次に3α−HSDH-触媒還元;または最初に3α−HSDH-触媒還元、次に7β−HSDH変異体-触媒還元)で進めることができる。
さらに工程b)は、NADPHがNADPH再生GDHとグルコースの消費によって再生される補因子再生システムと一体化することができる。あるいは、消費されたNADHが、NADH再生GDH、ADHもしくはFDHによって再生される補因子再生系システムと一体化することができる。
23. 実施形態14〜22の1つである方法を実施するためのバイオリアクターであって、特に、酵素7β−HSDH、FDHおよび/または3α−HSDHまたはそれらの変異体;または7β−HSDH、GDHおよび/または3α−HSDHまたはそれらの変異体の少なくとも1つを含むバイオリアクター。
本発明は、本明細書に記載された具体的な実施形態には限定されない。それどころか、本発明の教示は、過度の負担なしに当業者に本発明のさらなる進展を提供させるものである。すなわち、例えば、当業者は、標的化した方法により、さらなる酵素変異体を生成し、所望の特性プロファイル(改良された補因子依存性および/または安定性、減少した基質阻害性)に対してそれらを選別および最適化することができる。あるいは、さらに好適な野生型酵素(7β−および3α−HSDH、FDH、GDH、ADHなど)を単離し、本発明に従ってそれらを利用することができる。さらに当業者は、例えば、特に7β−HSDHおよび3α−HSDHまたはその変異体などの使用するHSDHの特性プロファイル(特に補因子依存性)によって、補因子再生に使用できる適切なデヒドロゲナーゼ(GDH、FHD、ADHなど)およびその変異体を選択することができる。また、選択された酵素を1つ以上の発現コンストラクトまたはベクターに分配し、必要に応じて、1つ以上の組換え微生物を作製することができる。これにより全細胞をベースにした最適化された調製方法が可能となる。
本発明のさらなる展開
1.一般的な定義、および使用される略語
別段の定めがない限り、用語「7β−HSDH」は、DHCAまたは7,12−ジケト−3α−CA(7,12−ジケト−LCA)の少なくとも立体特異的および/または位置特異的な還元を触媒して、特にNADPHの化学量論的消費ならびに任意に対応する逆反応を伴って、3,12−ジケト−7β−CAまたは12−ケト−UDCAを得る脱水素酵素のことである。本明細書では、酵素は、天然の酵素であっても、組換え生産された酵素であってもよい。原則として酵素は、例えばタンパク質の混入物質などの細胞性混入物質との混合物として存在することもあるが、好ましくは純粋な形態で存在する。適切な検出方法は、例えば、下記実験部分に記載されているか、または文献から公知である(例えば、Characterization of NADP−dependent 7 beta−hydroxysteroid dehydrogenases from Peptostreptococcus productus and Eubacterium aerofaciensおよびS Hirano and N Masuda.Appl Environ Microbiol.1982)。この活性の酵素は、EC番号1.1.1.201に分類される。
別段の定めがない限り、用語「3α−HSDH」は、3,12−ジケト−7β−CAまたはDHCAの少なくとも立体特異的および/または位置特異的な還元を触媒して、特にNADHおよび/またはNADPHの化学量論的消費ならびに任意に対応する逆反応を伴って、12−ケト−UDCAまたは7,12−ジケト−3α−CA(7,12−ジケト−LCA)とする脱水素酵素のことである。適切な検出方法は、例えば、下記実験部分に記載されているか、または文献から公知である。適切な酵素は、例えばComanomonas testosteroni(例えば、ATCC11996)から得ることができる。NADPH依存性3α−HSDHは、例えば、げっ歯類由来のものが公知であり、同様に使用することができる(Cloning and sequencing of the cDNA for rat liver 3 alpha−hydroxysteroid/dihydrodiol dehydrogenase,J E Pawlowski,M Huizinga and T M Penning,May 15,1991 The Journal of Biological Chemistry,266,8820−8825)。この活性の酵素は、EC番号1.1.1.50に分類される。
別段の定めがない限り、用語「GDH」は、β−D−グルコースの少なくとも酸化を触媒して、NADおよび/またはNADPの化学量論的消費ならびに任意に対応する逆反応を伴って、D−グルコノ−1,5−ラクトンとする脱水素酵素のことである。適切な酵素は、例えば、Bacillus subtiliまたはBacillus megateriumから得ることができる。この活性の酵素は、EC番号1.1.1.47に分類される。
別段の定めがない限り、用語「FDH」は、ギ酸(または対応するギ酸塩)の少なくとも酸化を触媒して、NADおよび/またはNADPの化学量論的消費ならびに任意に対応する逆反応を伴って、二酸化炭素とする脱水素酵素のことである。適切な検出方法は、例えば、下記実験部分に記載されているか、または文献から公知である。適切な酵素は、例えば、Candida boidinii、Pseudomonas spまたはMycobacterium vaccaeから得ることができる。この活性を有する酵素は、EC番号1.2.1.2に分類される。
本発明においては、「純粋な形態」または「純粋な」または「本質的に純粋な」酵素とは、80より高い純度、好ましくは90より高い純度を有する酵素、特に、一般的なタンパク質検出法、例えばBiuret法またはLowryらによって記載されているタンパク質検出法を用いて測定された全タンパク含量に基づいて、95重量%を超える、特に99重量%を超える高い純度を有する酵素であると理解される(R.K.Scopes,Protein Purification,Springer Verlag,New York,Heidelberg,Berlin(1982)の記載参照)。
「酸化還元等価物」とは、電子供与体および/または電子受容体として用いることができる低分子有機化合物、例えばNADおよびNADHなどのニコチンアミド誘導体、ならびに、それらの各々の還元体NADHおよびNADPHを意味すると理解される。本発明の明細書では、「酸化還元等価物」および「補因子」は同義語として使用される。したがって、本発明の目的では「補因子」はまた「酸化還元可能な補因子」(すなわち還元形態および酸化形態で存在できる補因子)と置き換えることができる。
「消費された」補因子は、基質の規定された還元または酸化反応の過程で、対応する酸化型または還元型にそれぞれ変換された補因子の還元形態または酸化形態を意味すると理解される。再生とは、反応の間に形成された酸化または還元された補因子を基質の変換に再び利用できるように、その還元または酸化された初期形態にそれぞれ戻すことである。
本発明においては、「補因子の利用の変化」は、参照と比較して定性的または定量的な変化を意味すると理解される。特に「補因子の利用の変化」は、アミノ酸配列の変異を行うことによって観察できる。この変化は、変異していない開始酵素と比較して判別することができる。ここで、特定の補因子に対する活性は、変異を行うことによって増加もしくは減少することもあり、または、完全に抑制されることもある。しかしながら「補因子の利用の変化」には、ひとつの補因子の特異性ではなく、第1の補因子とは異なる少なくとも1つのさらなる第2の補因子が利用できるようになる(すなわち、補因子の利用が拡大する)ような変化も含まれる。しかしながら反対に、最初に存在する2つの異なる補因子を利用する能力は、これらの補因子のうちの1つに対してのみ特異性が増加するように、またはこれらの補因子の1つに対してのみ減少もしくは完全に抑制するように変化することもある。したがって、例えば、補因子NAD(NADH)に依存する酵素は、補因子の利用の変化により、NAD(NADH)と補因子NADP(NADPH)の両方に依存するか、またはNAD(NADH)の最初の依存性をNADP(NADPH)の依存性に完全に変換することができる。逆もまた同様である。
別段の定めがない限り、用語「NAD/NADH依存性」または「NADP/NADPH依存性」は、本発明においては広く解釈すべきである。これらの用語は「特異的な」依存性、すなわちNAD/NADHおよび/またはNADP/NADPHへの排他的な依存性だけでなく、本発明おいて使用される酵素の、両方の補因子、すなわちNAD/NADHおよびNADP/NADPH、に対する依存性も含む。
同様のことが、用語「NAD/NADH受容」および/または「NADP/NADPH受容」にも適用される。
別段の定めがない限り、用語「NAD/NADH再生」または「NADP/NADPH再生」は、本発明においては広く解釈すべきである。これらの用語は「特異的」、すなわち消費された補因子NAD/NADHおよび/またはNADP/NADPHの排他的な再生能力だけではなく、両方の補因子、すなわちNAD/NADHおよびNADP/NADPHを再生する能力も含む。
「タンパク質原性」アミノ酸には、特に:(1文字コード)G、A、V、L、I、F、P、M、W、S、T、C、Y、N、Q、D、E、K、RおよびHが含まれる。
本発明においては、「固定化」は、本発明において使用される生体触媒、例えば7β−HSDHの固体支持体材料(すなわち、周囲の液体媒体に本質的に不溶性の支持体材料)への共有結合または非共有結合を意味すると理解される。本発明においては、本発明で使用される組換え微生物などの全細胞も、その支持体を用いて固定化することができる。
「変異していない酵素と比較して減少した基質阻害」とは、変異していない酵素ではみられた特定の基質に対する基質阻害が、もはや観察されない(すなわち本質的に測定することができなくなり、より高い基質濃度でのみ開始する、すなわちK値が増加する)ことを意味する。
本発明においては、「コール酸化合物」は、コール酸の炭素骨格、特にステロイド構造を有し、環の7位ならびに任意に3位および/または12位に、ケトおよび/またはヒドロキシルおよび/またはアシルオキシ基が存在する化合物を意味すると理解される。
例えば「コール酸化合物」または「ウルソデオキシコール酸化合物」などの特定のタイプの化合物は、特に、元の出発化合物の誘導体(例えば、コール酸またはウルソデオキシコール酸)を意味するとも理解される。
そのような誘導体には、例えば、化合物のリチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩;ならびにアンモニウム塩などの「塩」が含まれる。アンモニウム塩には、NH 塩、または、少なくとも1つの水素原子がC−Cアルキル基で置換しているアンモニウム塩が含まれる。代表的なアルキル基は、特に、C−C−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−、sec−またはtert−ブチル、およびn−ペンチルおよびn−ヘキシル、ならびに1つ以上の分岐鎖を有するそれらの類似体である。
本発明における化合物「アルキルエステル」は、特に、例えばC−C−アルキルエステルなどの低級アルキルエステルである。非限定的な例として挙げられるものは、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、sec−もしくはtert−ブチルエステル、または例えばn−ペンチルおよびn−ヘキシルエステルなどの長鎖エステル、ならびに1つ以上の分岐鎖を有するそれらの類似体である。
「アミド」は、特に、本発明における酸とアンモニアまたは第1級もしくは第2級モノアミドとの反応生成物である。このようなアミドは、例えば、モノ−またはジ−C−C−アルキルモノアミンであり、アルキル基は、互いに独立して、任意に、例えばカルボキシル、ヒドロキシル、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、ニトロ基およびスルホネート基によりさらに置換されていてもよい。
本発明における「アシル基」は、特に、例えばアセチル、プロピオニルおよびブチリルなどの2〜4個の炭素原子を有する非芳香族基、および、任意に置換された単環芳香族環を有する芳香族基であり、適切な置換基は、例えば、ヒドロキシル、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)、ニトロ、およびC−C−アルキル基、例えば、ベンゾイルまたはトルオイルの中から選択される。
例えば、コール酸、ウルソデオキシコール酸、12−ケト−ケノデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸および7−ケト−リトコール酸など本発明おいて適用および/または製造されるヒドロキシステロイド化合物は、本発明において使用でき、立体異性的に純粋な形態でまたは他の立体異性体との混合物で得られる。しかしながら、好ましくは、適用および/または製造された化合物は、本質的に立体異性的に純粋な形態で使用および/または単離される。
最も重要な化合物の構造式、その化学名および略称を以下の表に示す:
Figure 0006582040
Figure 0006582040
Figure 0006582040
2.タンパク質
本発明は、具体的に開示された7β−HSDH、FDH、GDHまたは3α−HSDH活性を有するタンパク質もしくは酵素および/またはそれらの変異体には限定されず、それだけではなくそれらの機能的同等物にも及ぶ。
本発明の目的では、具体的に開示された酵素の「機能的同等物」または類似体は前者とは異なるものであり、そうであっても例えば7βHSDH活性などの所望の生物学的活性を保持するポリペプチドである。
したがって、例えば、「機能的同等物」という用語は、使用される7β−HSDH、FDH、GDHまたは3α−HSDH活性試験において、本明細書で定義されるアミノ酸配列を含む出発酵素に比べて、少なくとも1%の活性、例えば、少なくとも10%または20%、例えば、少なくとも50%または75%または90%高いまたは低い活性を有する酵素を意味すると理解される。
機能的同等物は、好ましくはpH4〜11の間でさらに安定であり、有利にはpH6〜10、特に8.5〜9.5の範囲の最適pHを有し、15℃〜80℃または20℃〜70℃、例えば約45〜60℃または約50〜55℃の最適温度を有する。
7β−HSDH活性は、様々な公知の試験を用いて検出できる。これに限定されるものではないが、試験としては、例えば、実験部分で定義される標準化された条件下で使用するCAまたはDHCAなどが参照基質である試験を挙げることができる。
FDH、GDHまたは3α−HSDH活性を測定するための試験は、それ自体が同様に公知である。
本発明では、用語「機能的同等物」は、特に、上記生物学的活性の1つを保持すると具体的に挙げられているアミノ酸とは異なる上記アミノ酸配列の少なくとも1つの配列の位置にアミノ酸を有する「変異体」を意味するとも理解される。したがって、「機能的同等物」は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15のアミノ酸の付加、置換、欠失および/または逆位などの1つ以上によって得られる変異体を含み、本発明による特性プロファイルを有する変異体をもたらす限り、上記改変は、任意の配列位置で起こりうる。特に、変異体および未修飾のポリペプチドの反応性パターンが定性的に一致する場合、すなわち、例えば、同じ基質が異なる速度で変換される場合にも、機能的同等物は存在する。好適なアミノ酸置換の例を下記表にまとめる:
Figure 0006582040
上記の意味における「機能的同等物」とは、上記ポリペプチドの「前駆体」および該ポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」でもある。
本明細書では、「前駆体」とは、所望の生物学的活性を有するまたは有さないポリペプチドの天然物または合成前駆体である。
用語「塩」は、カルボキシル基の塩だけでなく、本発明におけるタンパク質分子のアミノ基の酸付加塩も意味すると理解される。カルボキシル基の塩は、それ自体公知の方法で調製することができ、例えばナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、鉄塩および亜鉛塩などの無機塩および例えばアミド、例えばトリエタノールアミン、アルギニン、リシン、ピペリジンなどの有機塩基が含まれる。酸付加塩、例えば、塩酸または硫酸などの鉱酸との塩ならびに酢酸およびシュウ酸などの有機酸との塩も同様に本発明の対象である。
本発明におけるポリペプチドの「機能的誘導体」は、公知技術を用いて、機能性アミノ酸の側鎖またはそれらのN末端またはC末端で生成することもできる。そのような誘導体は、例えば、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニアまたは第1級もしくは第2級アミンとの反応によって得ることができるカルボキシル基のアミド;アシル基との反応により調製される遊離アミノ基のN−アシル誘導体;またはアシル基との反応によって調製される遊離のヒドロキシル基を有するO−アシル誘導体である。
当然に、「機能的同等物」は、他の生物由来の利用可能なポリペプチドおよび天然に存在する変異型をも含む。例えば、配列比較を相同配列領域の領域を決定するために使用し、本発明の特定の要件に基づいて同等な酵素を作ることができる。
「機能的同等物」は、同様に、例えば所望の生物学的機能を有する本発明のポリペプチドの断片、好ましくは個々のドメインまたは配列モチーフを含む。
「機能的同等物」は、さらに、上記のポリペプチド配列の1つまたはそれから誘導される機能的同等物、およびN末端またはC末端結合において機能的にそれらと異なる少なくとも1つ以上の他の異種配列(すなわち、融合タンパク質の一部の機能に重要な変異障害が無い)を有する融合タンパク質である。そのような異種配列の非限定的な例は、例えば、シグナルペプチド、例えば「LEHHHHHH」などのヘキサヒスチジンアンカーを含むペプチドなどのヒスチジンアンカーまたは酵素である。
本発明によれば、「機能的同等物」は、具体的に開示されたタンパク質のホモログを含む。これらは、PearsonおよびLipmanのアルゴリズムによって計算された具体的に開示されたアミノ酸配列(Proc.Natl.Acad,Sci.(USA)85(8),1988,2444−2448)の1つに対して、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも85%、例えば、90,91,92,93,94,95,96,97,98または99%の相同性(または同一性)を有する。本発明における相同ポリペプチドの相同性または同一性のパーセンテージは、特に、本明細書で具体的に記載されるアミノ酸配列の1つの全長に基づくアミノ酸残基の同一性のパーセンテージを意味する。
BLASTアライメント、BLASTアルゴリズム(タンパク質−タンパク質BLAST)の使用、または以下に明記されるClustal設定を用いることによって、同一性のパーセントデータを決定できる。
可能なタンパク質グリコシル化の場合、本発明における「機能的同等物」は、脱グリコシル化またはグリコシル化の形態の上記タイプのタンパク質、およびグリコシル化パターンを変化させることによって得られる修飾形態を包含する。
本発明におけるタンパク質またはポリペプチドの相同体は、変異誘発、例えば点変異、またはタンパク質の伸長もしくは切断によって生成することができる。
本発明におけるタンパク質の相同体は、例えば、トランケーション変異体などの変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって同定できる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素的ライゲーションなどの、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発によってタンパク質変異型の多彩なライブラリーを作製することが可能である。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的ホモログのライブラリーを生成するために使用できる多くのプロセスが存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成機で実施でき、その後、その合成遺伝子を適切な発現ベクターに結合してもよい。遺伝子の縮重セットの使用は、潜在的なタンパク質配列の所望のセットをコードする全ての配列を1つの混合物中で提供することを可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当業者に公知である(例えば、Narang,S.A.(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.,(1984)Science 198:1056;Ike et al.(1983)Nucleic Acids Res.11:477)。
先行技術では、点変異または切断によって生成されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするための、および選択された特性を有する遺伝子産物のためのcDNAライブラリーをスクリーニングするための様々な技術が知られている。これらの技術は、本発明に従った相同体のコンビナトリアル変異誘発によって作成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合させることができる。ハイスループット解析を行った大型遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための最も頻繁に使用される技術には、複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られたベクターライブラリーによる適切な細胞の形質転換、および、所望の活性の検出によって、検出された遺伝子産物をコードするベクターの単離が容易になる条件下でのコンビナトリアル遺伝子の発現が含まれる。ライブラリー中の機能的変異体の頻度を増加させる技術である再帰的アンサンブル変異誘発(REM)を、相同体を同定するためのスクリーニング試験と組み合わせて用いることができる(Arkin and Yourvan(1992)PNAS 89:7811−7815;Delgrave et al.(1993)Protein Engineering 6(3):327−331)。
さらに本発明には、本明細書中で明示的に言及される本出願人のWO2011/064404に記載されるように、Collinsella aerofaciens ATCC 25986由来の7β−HSDH野生型の使用が含まれる。
Collinsella aerofaciens DSM3979から得られるこの7β−HSDHは、特に、例えば、2,3,4,5,6または7個またはその特性のすべてのような以下の特性の少なくとも1つによって特徴付けられる:
a)分子量(SDSゲル電気泳動):約28〜32kDa、特に約29〜31kDaまたは約30kDa;
b)分子量(特にSDSを用いない非変性条件下でのゲル濾過):約53〜60kDa、特に約55〜57kDa、例えば56.1kDa。これは、Collinsella aerofaciens DSM39797β−HSDHの二量体性であることを確認する;
c)7−ケト−LCAの7−カルボニル基の7β−ヒドロキシ基への立体選択的還元;
d)pH8.5〜10.5の範囲におけるUDCAの酸化のために最適なpH、特にpH9〜10;
e)pH3.5〜6.5の範囲におけるDHCAおよび7−ケト−LCAの還元のために最適なpH、特にpH4〜6;
f)そこに記載された基質/補因子の少なくとも1つについて、以下の表からの少なくとも1つの動力学的パラメータ;±20%の範囲、特に、以下の表に具体的に記載された値を中心に、±10%、±5%、±3%、±2%または±1%:
Figure 0006582040
g)原核生物であるCollinsella aerofaciens DSM3979の7β−HSDHと、モルモット(Cavia porcellus)、ヒト(Homo sapiens)およびハツカネズミ(Mus musulus)を含む動物の11β−HSDHサブグループの系統発生的配列相関性。
例えば、この7β−HSDHは、以下の特性または特性の組み合わせを示す:a);b);a)およびb);a)および/またはb)およびc);a)および/またはb)およびc)およびd);a)および/またはb)およびc)およびd)およびe);a)および/またはb)およびc)およびd)およびe)およびf)。
このような7β−HSDHまたはそれ由来の機能的同等物は、さらに以下によって特徴付けられる:
a)対応する7β−ヒドロキシステロイドへの7−ケトステロイドの立体特異的還元;および/または
b)対応する7β−ヒドロキシステロイドを生じるための7位のケト基およびステロイド骨格上の少なくとも1個のさらなるケト基を含むケトステロイドの位置特異的ヒドロキシル化、特に、例えば、NADPH依存性である、対応する3,12−ジケト−7β−コラン酸を生成するための7位のデヒドロコール酸(DHCA)の位置特異的ヒドロキシル化。
特に、このような7β−HSDHは、SEQ ID NO:2(アクセッション番号:ZP_01773061)のアミノ酸配列、または65,70,75,80,85もしくは90%などの、少なくとも60%の同一性度を有するそれ由来の配列、例えば、この配列に対して、少なくとも91,92,93,94,95,96,97,98,99もしくは99.5%の同一性を有する配列;以下の特性または特性の組み合わせの1つによって任意にさらに特徴付けられる:a);b);a)およびb);上記定義のa)および/またはb)およびc);a)および/またはb)およびc)およびd);a)および/またはb)およびc)およびd)およびe);a)および/またはb)およびc)およびd)およびe)およびf)。
3.核酸およびコンストラクト
3.1核酸
本発明の対象は、7β−HSDH、FDH、GDHおよび/または3α−HSDH活性を有する酵素およびその変異体をコードする核酸配列でもある。
本発明はまた、本明細書に記載の特定の配列とある程度の相同性を有する核酸に関する。
2つの核酸の間の「同一性」は、いずれの場合も核酸の全長にわたるヌクレオチドの同一性、特に以下のパラメータ設定を行ったクラスタルの方法(Higgins DG, Sharp PM.Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer.Comput Appl.Biosci.1989 Apr;5(2):151−1)を適用することによるInformax(USA)のVector NTI Suite 7.1ソフトウェアを用いた比較によって計算される同一性を意味すると理解される。
マルチプル・アラインメント・パラメータ:
ギャップ開始ペナルティ 10
ギャップ延長ペナルティ 10
ギャップ分離ペナルティ範囲 8
ギャップ分離ペナルティ オフ
アライメント遅延の%同一性 40
残基特異的ギャップ オフ
親水性残基ギャップ オフ
トランジッションウエイト 0
ペアワイズアライメントパラメータ:
FASTアルゴリズム オン
K−タプルサイズ 1
ギャップペナルティ 3
ウィンドウサイズ 5
最適な対角線数 5
また同一性は、Chenna,Ramu,Sugawara,Hideaki,Koike,Tadashi,Lopez,Rodrigo,Gibson,Toby J,Higgins,Desmond G,Thompson,Julie Dの方法によって、下記パラメータを用いて決定できる。(Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs.(2003)Nucleic Acids Res 31(13):3497−500,インターネットアドレス:http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#)
DNAギャップ開始ペナルティ 15.0
DNAギャップ伸長ペナルティ 6.66
DNAマトリックス 同一
プロテインギャップ開始ペナルティ 10.0
タンパク質ギャップ伸長ペナルティ 0.2
タンパク質マトリックス Gonnet
タンパク質/ DNA ENDGAP -1
タンパク質 / DNA GAPDIST 4
本明細書で言及される全ての核酸配列(一本鎖および二本鎖DNAならびにRNA配列、例えば、cDNAおよびmRNAなど)は、核酸単位から開始する化学合成によって(例えば、二重らせんの個々の重複した相補的核酸単位の断片凝縮などによって)、それ自体公知の方法で、生成することができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、ホスホアミダイト法(Voet,Voet,第2版,Wiley Press New York,896〜897頁)に従って、公知の方法で化学的に合成することができる。合成オリゴヌクレオチドのアセンブリおよびDNAポリメラーゼのクレノウ断片の補助ならびにライゲーション反応および一般的なクローニング法の補助によるギャップの充填は、Sambrookら(1989)によって記載されている(Sambrook et al.(1989),Molecular Cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
また本発明の対象は、上記ポリペプチドのいずれかを、例えば、人工ヌクレオチド類似体を用いて作製できるその機能的同等物でコードする核酸配列(一本鎖および二本鎖DNAならびにRNA配列、例えばcDNAおよびmRNA)でもある。
本発明は、本発明におけるポリペプチドまたはタンパク質またはその生物学的に活性のある部分をコードする単離された核酸分子、および、例えば本発明に従ってコードする核酸の同定用または増幅用のハイブリダイゼーションプローブまたはプライマーとして使用できる核酸断片の両方に関する。
本発明における核酸分子は、コードする遺伝子領域の3’および/または5’末端に由来する非翻訳配列をさらに含むことができる。
さらに本発明は、具体的に記載されたヌクレオチド配列またはその一部に相補的な核酸分子を含む。
本発明におけるヌクレオチド配列は、他の細胞タイプおよび他の組織において相同な配列を同定および/またはクローニングするために使用できるプローブおよびプライマーの生産を可能にする。そのプローブまたはプライマーは、通常、「厳しい」条件下(以下参照)で、少なくとも約12個、好ましくは少なくとも約25個、例えば、約40,50または75個の本発明における核酸配列のセンス鎖または対応するアンチセンス鎖の連続したヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列領域を含む。
「単離された」核酸分子は、核酸の天然源に存在する他の核酸分子から分離される。さらに組換え技術によって生産される場合には他の細胞材料または培養液を基本的に含まない場合があり、または化学的に合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を基本的に含まない場合がある。
本発明における核酸分子は、分子生物学の標準的な技術や本発明により提供される配列情報を用いて単離することができる。例えば、cDNAは、具体的に開示された完全配列の1つまたはその一部をハイブリダイゼーションプローブとして使用し、そして標準的なハイブリダイゼーション技術を使用して適切なcDNAライブラリーから単離できる(例えば、Sambrook、J.,Fritsch、EF and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されている)。さらに、開示された配列またはその一部のいずれかを含む核酸分子は、この配列に基づいて構築されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応によって単離できる。このようにして増幅された核酸は、適切なベクターにクローニングされ、DNA配列分析によって特徴付けられる。さらに、本発明におけるオリゴヌクレオチドは、標準的な合成方法、例えば自動DNA合成装置を用いて生産できる。
本発明における核酸配列またはその誘導体、これらの配列の相同体または一部は、例えば、通常のハイブリダイゼーション法またはPCR技術を用いて、例えばゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーの方法によって、他の細菌から単離することができる。これらのDNA配列は、標準的な条件下で本発明における配列とハイブリダイズする。
「ハイブリダイズする」とは、標準的な条件下において、ほぼ相補的な配列に結合するポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの能力を意味すると理解される。これらの条件下では、非相補的な相手との間の非特異的結合は起こらない。本明細書では、配列は90〜100%相補的である。互いに特異的に結合することができる相補的配列の特性は、例えば、ノーザンブロットもしくはサザンブロット技術またはPCRもしくはRT−PCRにおけるプライマー結合において利用される。
ハイブリダイゼーションでは、保存領域の短いオリゴヌクレオチドの使用が有利である。しかしながら、ハイブリダイゼーションのために、本発明における核酸の比較的長い断片、または完全な配列を使用することも可能である。使用する核酸(オリゴヌクレオチド、比較的長い断片もしくは完全な配列)に依存して、またはハイブリダイゼーションにどの核酸型(DNAもしくはRNA)を使用するかに依存して、これらの標準的な条件は変化する。すなわち、例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度よりも約10℃低い。
核酸に依存した標準的な条件とは、例えば0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)の濃度を有する水性緩衝液中で42〜58℃の温度、また50%ホルムアミドの存在下で、例えば5×SSC、50%ホルムアミド中で42℃の温度を意味すると理解される。有利には、DNA:DNAハイブリッドのハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSCおよび約20℃〜45℃、好ましくは約30℃〜45℃の温度である。DNA:RNAハイブリッドの場合、ハイブリダイゼーション条件は、有利には0.1×SSCおよび約30℃〜55℃の温度、好ましくは約45℃〜55℃の温度である。ハイブリダイゼーションについて記載されたこれらの温度は、約100ヌクレオチドの長さであり、G+C含量が50%である核酸を例として計算されたホルムアミドの非存在下における融解温度の値である。DNAハイブリダイゼーションの実験条件は、例えば、Sambrookらの「『Molecular Cloning』,Cold Spring Harbor Laboratory,1989」などの遺伝学の専門の教科書に記載されており、例えば、核酸の長さ、ハイブリッドのタイプまたはG+C含量の関数として、当該技術分野の当業者に周知の式を用いて計算できる。当業者は、下記教科書からハイブリダイゼーションに関するさらなる情報を得ることができる:Ausubel et al.(eds.),1985,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York;Hames and Higgins(eds.),1985,Nucleic Acids Hybridization:A Practical Approach,IRL Press at Oxford University Press,Oxford;Brown(ed.),1991,Essential Molecular Biology:A Practical Approach,IRL Press at Oxford University Press,Oxford。
「ハイブリダイゼーション」は、特に厳しい条件下で行われうる。このようなハイブリダイゼーションの条件は、例えば、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.,Maniatis,T.,in:Molecular Cloning(A Laboratory Manual),第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989,9.31−9.57の頁またはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に記載されている。
「厳しい」ハイブリダイゼーション条件とは、特に以下の条件であると理解される:50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト液、10%硫酸デキストランおよび20μg/mlの変性断片処理済サケ精子DNAを含む溶液中で、42℃で、一晩インキュベート後、65℃で0.1×SSCを用いてフィルターを洗浄する工程を行う。
また本発明の対象は、具体的に開示された誘導体または誘導されうる核酸配列でもある。
したがって、本発明におけるさらなる核酸配列は、例えば、SEQ ID NO.1,7もしくは9(またはアミノ酸配列2〜6,8,10もしくは11をコードする核酸配列)に由来し、一つのもしくは数個のヌクレオチドの付加、置換、挿入または欠失によって異なるが、依然として所望の特性プロファイルを有するポリペプチドをコードする。
また本発明には「サイレント」変異を含む核酸配列または具体的に言及した配列と比較して、特定の供給源生物または宿主生物のコドン使用頻度に応じて変化する核酸が含まれる。例えば、スプライス変異型またはアレル変異型などのその天然に存在する変異型である。
別の対象は、保存的ヌクレオチド置換(すなわち、目的のアミノ酸を同じ電荷、同じサイズ、同じ極性および/または同じ溶解性のアミノ酸で置換する)の方法によって得られる配列である。
本発明の対象はまた配列多型として具体的に開示された核酸に由来する分子でもある。これらの遺伝子多型は、自然変異の結果として集団の個体間に存在しうる。これらの自然変異は、通常、遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%に起こる。
本発明における核酸配列の誘導体で、SEQ ID NO:1,7もしくは9の配列(またはアミノ酸配列2〜6,8,10もしくは11をコードする核酸配列)を有するものは、例えば、推定されるアミノ酸レベルで、すべての配列領域にわたって、少なくとも60%の相同性、好ましくは少なくとも80%の相同性、非常に特に好ましくは少なくとも90%の相同性を有するアレル変異型を意味する(アミノ酸レベルでの相同性に関しては、ポリペプチドについての上記解説を参照できる)。有利には、その相同性は、配列の部分領域にわたっては、より高くなりうる。
さらに、また誘導体は本発明における核酸配列、特にSEQ ID NO:1,7もしくは9(またはアミノ酸配列2〜6、8,10もしくは11をコードする核酸配列)の相同体、例えば、真菌もしくは細菌の相同体、短縮配列、DNA配列をコードもしくはコードしない一本鎖DNAもしくはRNAを意味すると理解される。すなわち、例えば、SEQ ID NO:1,7もしくは9(またはアミノ酸配列2〜6,8,10もしくは11をコードする核酸配列)の相同体は、SEQ ID NO:1,7もしくは9(またはアミノ酸配列2〜6,8,10もしくは11をコードする核酸配列)の全DNA領域にわたって、DNAレベルで、少なくとも40%の相同性、好ましくは、少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは、少なくとも80%の相同性を有する。
さらに、誘導体は、例えばプロモーターとの融合物を意味すると理解される。示されたヌクレオチド配列の上流に位置するプロモーターは、少なくとも1つのヌクレオチド置換、少なくとも1つの挿入、逆位および/または欠失によって変更されてもよいが、プロモーターの機能および有効性は不利な影響を受けない。さらに、そのプロモーターの効果は、それらの配列が変更されることによって増大されてもよいし、または、そのプロモーターは、他種生物由来のプロモーターを含む、より活性の高いプロモーターで全体的に置換されてもよい。
また当業者は、機能的変異体を生成する方法を熟知している。
使用する技術に応じて、当業者は、遺伝子または非コード核酸領域(例えば、発現調節に重要な領域)に完全にランダムな、または、より特異的な変異を導入すること、遺伝子ライブラリーを続いて作成することができる。この目的に必要な分子生物学的方法は、当業者に公知であり、例えばSambrookとRussellにより記載されている(Sambrook and Russell,Molecular Cloning,第3版,Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001)。
遺伝子を改変し、それらによりコードされるタンパク質を改変する方法は、例えば下記のように、長きにわたって当業者には熟知されてきた:
− 遺伝子の単一または複数のヌクレオチドを特異的に置換する部位特異的変異(Trower MK(Ed.)1996;In vitro mutagenesis protocols.Humana Press,New Jersey);
− 任意の所望のアミノ酸のコドンを、遺伝子の任意の所望の位置で、置換または付加できる飽和変異(Kegler−Ebo DM,Docktor CM,DiMaio D(1994)Nucleic Acids Res.22:1593;Barettino D,Feigenbutz M,Valcarel R,Stunnenberg HG(1994)Nucleic Acids Res 22:541;Barik S(1995)Mol.Biotechnol.3:1);
− ヌクレオチド配列が不完全に作用するDNAポリメラーゼによって変異するError−prone(エラープローン)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Eckert KA、Kunkel TA(1990)Nucleic Acids Res.18:3739);
− ヌクレオチド配列の変異割合が、例えば不完全なDNA修復機構のために増加している変異株の遺伝子の継代(Greener A,Callahan M,Jerpseth B(1996)An efficient random mutagenesis technique using an E.coli mutator strain.In:Trower MK(Ed.)In vitro mutagenesis protocols.Humana Press,New Jersey);または、
− DNAシャフリング(密接に関係する遺伝子プールが形成されて切断される)およびその断片は、鎖の分離および再アニーリングの繰り返しによって最終的に生成される全長モザイク遺伝子において、ポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として使用される(Stemmer WPC(1994)Nature 370:389;Stemmer WPC(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747)。
「定向進化(directed evolution)」(とりわけ、Reetz MT and Jaeger K−E(1999),Topics Curr Chem 200:31;Zhao H,Moore JC,Volkov AA,Arnold FH(1999),Methods for optimizing industrial enzymes by directed evolution,In:Demain AL,Davies JE(Ed.)Manual of industrial microbiology and biotechnology.American Society for Microbiologyに記載されている)として公知のものを採用することで、当業者は、標的化された方法で機能的変異体を大規模にも生産することができる。ここでは、各タンパク質の遺伝子ライブラリーが第1工程で作成され、これらの遺伝子ライブラリーは、例えば、上記で特定された方法を用いて構築できる。遺伝子ライブラリーは適切な方法、例えば、細菌またはファージディスプレイシステムによって発現する。
所望の特性に広く対応する特性を有する機能的変異体を発現する宿主生物の関連遺伝子は、さらなる変異サイクルを受けることができる。変異および選択またはスクリーニングの工程は、存在する機能的変異体が所望の特性を十分に示すまで反復して繰り返すことができる。この反復方法によって、例えば1〜5個の変異などの限定した数の変異を段階的に生産できる。また関連する酵素特性に対するそれらの影響を評価して選択できる。そして、選択された変異体は、さらなる変異工程を同じ方法で受けることができる。これにより調査する個々の変異体の数を大きく減少できる。
また本発明の結果は、所望の改良した性質を有するその外の酵素を標的化した方法で生成するために必要である、目的の酵素の構造および配列に関する重要な情報を提供する。特に、「ホットスポット」として知られるもの(すなわち、標的とする変異の導入を経て酵素特性を改良するときに適切となりうる配列部分)を定義できる。
3.2コンストラクト
さらに本発明の対象は、調節核酸配列の遺伝子調節下において、本発明における少なくとも1つのポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現コンストラクトである;そして、これらの発現コンストラクトの少なくとも1つを含むベクターである。
本発明において「発現ユニット」は、本明細書で定義されるプロモーターを含む発現活性を有する核酸を意味すると理解される。それは、発現する核酸または遺伝子に機能的に結合した後に発現(すなわち、前記核酸または前記遺伝子の転写および翻訳)を調節する。このことが、本明細書において発現ユニットが「調節核酸配列」とも呼ばれる理由である。例えばエンハンサーのような、その外の調節因子が、プロモーターに加えて存在できる。
本発明において「発現カセット」または「発現コンストラクト」は、発現する核酸または発現する遺伝子に機能的に連結した発現ユニットを意味すると理解される。したがって、発現ユニットとは対照的に、発現カセットは、転写および翻訳を調節する核酸配列だけでなく、転写および翻訳の結果としてタンパク質として発現する核酸配列も含む。
本発明の明細書では、用語「発現」または「過剰発現」は、微生物中の、対応するDNAにコードされる1つまたは複数の酵素の細胞内活性の生成または増加を説明する。そのために、例えば、遺伝子を生物に導入することができ、存在する遺伝子を異なる遺伝子に置換することができ、遺伝子のコピー数を増加させることができ、強力なプロモーターを使用することができ、または、対応する高い活性を有する酵素をコードする遺伝子を使用することができる。また、任意にこれらの方法を組み合わせることができる。
好ましくは、本発明におけるこのコンストラクトは、上流のプロモーター(すなわち特定のコード配列の5’末端)および下流の終結配列(すなわち3’末端)を含み、任意には、さらに通常の調節因子にコード配列が、いずれの場合にも作動可能に連結している。
「プロモーター」、「プロモーター活性を有する核酸」または「プロモーター配列」は、本発明においては、転写される核酸と機能的に結合して前記核酸の転写を調節する核酸を意味すると理解される。
本明細書では、「機能的」または「作動可能な」結合とは、例えばプロモーター活性を有する核酸の1つの連鎖配列および転写される核酸配列を意味する。また任意には、例えば核酸の転写を確実にする核酸配列などのさらなる調節因子、および、例えば調節因子のそれぞれが核酸配列の転写において意図されるその機能を果たすことができるようなターミネーターである。化学的な意味における直接結合は、本明細書では必須ではない。例えばエンハンサー配列などの遺伝子調節配列は、さらに除去された位置から、または異なるDNA分子からでさえ、標的配列上にその機能を発揮できる。好ましい配列は、2つの配列が互いに共有結合するように、転写される核酸配列がプロモーター配列の後(すなわち、その3’末端)に位置するものである。本明細書では、プロモーター配列と組換え発現される核酸配列との間の距離は、200塩基対未満または100塩基対未満または50塩基対未満でありうる。
プロモーターおよびターミネーターに加えて言及されるさらなる調節因子の例は、標的配列、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点などである。好適な調節配列は、例えば、Goeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)に記載されている。
本発明における核酸コンストラクトは、特に、SEQ ID:1,7もしくは9の配列(またはアミノ酸配列2〜6,8,10もしくは11をコードする核酸配列)またはその誘導体および相同体を含む。さらに、それらから誘導されうる、1つ以上の調節シグナルに作動可能にまたは機能的に結合する、有利には、例えば遺伝子発現を増加させるなどのコントロールのための核酸配列を含む。
これらの調節配列に加えて、これらの配列の天然の調節がさらに実際の構造遺伝子の上流に存在することがあり、任意には、天然の調節がスイッチオフされ、遺伝子発現が増加するような方法で遺伝子的に変化する。しかしながら、核酸コンストラクトは、比較的単純なデザインでも良く(すなわち、コード配列の上流に追加の調節シグナルが挿入されていない)、その調節と共に天然プロモーターは除去されていない。その代わりに、天然調節配列は、もはや調節が起こらずに遺伝子発現が増加するように変異する。
好ましい核酸コンストラクトは、有利には、プロモーターに機能的に結合し、増加する核酸配列の発現を可能にする上記「エンハンサー」配列の1つ以上も含む。さらなる調節因子またはターミネーターなどのさらなる有利な配列もまた、DNA配列の3’末端に挿入できる。本発明における核酸は、1つ以上のコピーのコンストラクト中に存在しうる。このコンストラクトは、コンストラクトを選択する目的で、任意に、抗生物質耐性または栄養要求性補完遺伝子などのさらなるマーカーをさらに含むことができる。
好適な調節配列の例は、cos、tac、trp、tet、trp−tet、lpp、lac、lpp−lac、lacI、T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、λ−Pなどのプロモーターまたはグラム陰性細菌において有利に使用されるλ−Pプロモーターに存在する。他の有利な調節配列は、例えば、グラム陽性プロモーターであるamyおよびSPO2、酵母または真菌プロモーターであるADC1、MFα、AC、P−60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHに存在する。人工プロモーターもまた、調節目的のために使用できる。
宿主生物における発現という目的のために、有利には、核酸コンストラクトは、遺伝子が宿主中で最適に発現されることを可能にする、例えば、プラスミドまたはファージなどのベクターに挿入される。ベクターは、プラスミドおよびファージに加えて、当業者に公知の他の全てのベクター、すなわち、例えば、SV40、CMV、バキュロウイルスおよびアデノウイルスなどのウイルス、ならびに、トランスポゾン、IS因子、ファースミド、コスミドおよび線状もしくは環状DNAを意味すると理解される。これらのベクターは、宿主生物で自律的に複製されるか、または染色体上で複製される。これらのベクターは、本発明のさらなる進展を構成する。
好適なプラスミドの例は、例えば、大腸菌のpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223−3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN−III113−B1、λgt11もしくはpBdCI、または、ストレプトミセスのpIJ101、pIJ364、pIJ702もしくはpIJ361、または、バチルスのpUB110、pC194もしくはpBD214、または、コリネバクテリウムのpSA77もしくはpAJ667、または、真菌のpALS1、pIL2もしくはpBB116、または、酵母の2alphaM、pAG−1、YEp6、YEp13もしくはpEMBLYe23、または、植物のLGV23,pGHlac,pBIN19,pAK2004もしくはpDH51に存在する。列挙したプラスミドは、可能性のあるプラスミドのうちの狭い選択肢である。他のプラスミドは、当業者に周知であり、例えば、クローニングベクター(Eds.Pouwels P.H.et al.Elsevier,Amsterdam−New York−Oxford,1985,ISBN 0 444 904018)という書籍にみることができる。
ベクターのさらなる実施態様では、本発明の核酸コンストラクトまたは本発明の核酸を含むベクターは、有利には、線状DNAの形態で微生物に導入され、異種または相同組換えを介して宿主生物のゲノムに組み込ませることができる。この線状DNAは、プラスミドなどの線状化ベクターを含むか、または本発明の核酸コンストラクトもしくは核酸のみを含むことができる。
生物において異種遺伝子を最適に発現させるためには、該生物で用いられる特有の「コドン使用」に従って核酸配列を変化させることが有益である。「コドン使用」は、目的の生物の他の公知遺伝子についてのコンピュータ解析を用いて容易に決定することができる。
本発明における発現カセットは、適切なプロモーターを適切なコードヌクレオチド配列およびターミネーターシグナルまたはポリアデニル化シグナルと融合することによって作製される。これには一般的な組換えおよびクローニング技術が使用され、該技術は、例えば、T.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)およびT.J.Silhavy,M.L.Berman and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1984)およびAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience(1987)に記載されている。
適切な宿主生物での発現のために、有利には、組換え核酸コンストラクトまたは遺伝子コンストラクトは宿主特異的ベクターに挿入され、宿主内で遺伝子が最適に発現することが可能になる。ベクターは当業者に周知であり、例えば、「Cloning Vectors」(Pouwels P.H.et al.,Eds.,Elsevier,Amsterdam−New York−Oxford,1985)に見出すことができる。
4.微生物
本明細書では、用語「微生物」は、出発(野生型)微生物もしくは遺伝子組換え微生物または両者を意味すると理解される。
本発明におけるベクターを用いて、例えば、本発明における少なくとも1つのベクターを用いて形質転換され、本発明のポリペプチドを生産するために使用できる組換え微生物を調製することが可能である。有利には、本発明における上記の組換えコンストラクトを適切な宿主系に導入し、そこで発現させる。これに関連して、例えば、共沈降、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクションなどの当業者に熟知された一般的なクローニングおよびトランスフェクション法が、特定の発現系で発現する前記核酸を引き起こすために好適に使用される。好適な系は、例えばCurrent Protocols in Molecular Biology,F.Ausubel et al.,Eds.,Wiley Interscience,New York 1997またはSambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されている。またタンパク質の異種発現のための細菌発現系の概説が、例えば、Terpe,K.Appl.Microbiol.Biotechnol.(2006)72:211−222に提供されている。
本発明の核酸または核酸コンストラクトのための組換え宿主生物は、原則として、全ての原核生物または真核生物である。宿主生物としては、細菌、真菌または酵母のような微生物を用いることが有利である。グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌を用いることが有利であり、好ましくは腸内細菌科、シュードモナス科、リゾビウム科、ストレプトマイセス科もしくはノカルディア科の細菌、特に好ましくはエシェリヒア属、シュードモナス属、ストレプトミセス属、ノカルディア属、バークホルデリア属、サルモネラ属、アグロバクテリウム属、クロストリジウム属もしくはロドコッカス属の細菌である。非常に特に好ましいのは、Escherichia coli属および種である。さらに有利な細菌は、α−プロテオバクテリア、β−プロテオバクテリアまたはγ−プロテオバクテリアの群にさらに見出すことができる。
本明細書では、本発明における宿主生物は、好ましくは、本発明で説明された核酸配列、核酸コンストラクトまたはベクターの少なくとも1つを含み、これらは、上で定義した7β−HSDH活性を有する酵素をコードする。
宿主生物によっては、本発明の方法で使用される生物は、当業者に公知の方法で増殖または培養される。微生物は原則として、通常は糖の形態の炭素源、通常は酵母抽出物などの有機窒素源の形態の窒素源、または、硫酸アンモニウムなどの塩、鉄、マンガンおよびマグネシウムの塩などの微量元素、および、任意にビタミンを含む液体培地で、0℃〜100℃の温度、好ましくは、10℃〜60℃の温度で、酸素中を通過させて増殖させる。液体培地のpHは、一定に保つことができ、すなわち、培養中に調節してもしなくても良い。培養はバッチ式、半バッチ式または連続式で実施できる。栄養素は、発酵の開始時に提供されてもよく、半連続的または連続的に供給されてもよい。
5.UDCAの生産
工程1:CAのDHCAへの化学変換
CAのヒドロキシル基は、酸性溶液(例えば、HSO)中のクロム酸またはクロム酸塩を使用して、従来の化学的経路を介してそれ自体が公知の方法でカルボニル基に酸化される。これによりDHCAが生じる。
工程2:DHCAの12−ケト−UDCAへの酵素的または微生物的変換
DHCAは、NADPHまたはNADHの存在下で、3α−HSDHおよび7β−HSDHまたはその変異体によって水溶液中で特異的に還元され、12−ケト−UDCAとなる。補因子NADPHまたはNADHは、それぞれイソプロパノールまたはギ酸ナトリウムまたはグルコースからのADHまたはFDHまたはGDHまたはその変異体によって再生できる。その反応は緩やかな条件下で進行する。例えば、その反応は、pH=6〜9、特に約pH=8で、約10〜30℃、15〜25℃または約23℃で行うことができる。
微生物変換工程の場合、所望の酵素活性を発現する組換え微生物は、変換される基質(DHCA)の存在下で、適切な液体培地中で、嫌気的または好気的に培養できる。適切な培養条件は、当業者にそれ自体が公知である。それらには、例えば5〜10もしくは6〜9のpH範囲での、10〜60℃もしくは15〜45℃もしくは25〜40℃の温度範囲、または37℃での変換が含まれる。適切な培地は、例えば、以下に記載するLBおよびTB培地を含む。本明細書では、変換時間は、例えば、バッチ式または連続式で、または任意の他の慣習的なプロセス変法(上記に記載されているように)で行うことができる。本明細書では、変換時間は、例えば、数分から数時間または数日の範囲であってもよく、例えば、1時間から48時間であってもよい。任意には、酵素活性が連続的に発現しない場合、後者は、例えば標的細胞密度がおよそOD600=0.5〜1.0に達した後に、適切な誘導物質を添加することによって開始できる。
発酵操作に関しては、培地への添加、酵素固定化および有用物質の単離が、さらに可能な微生物生産プロセスの適切な改変もまた、下記「酵素または変異体の生産」に関するセクションに記載されている。
工程3:12−ケト−UDCAのUDCAへの化学変換
12−ケト−UDCAの12−カルボニル基は、Wolff−Kischner還元によってそれ自体が公知の方法で除去され、それによって、UDCAが12−ケト−UDCAから生成される。この反応では、まず最初に、カルボニルをヒドラジンと反応させて、ヒドラゾンを得る。その後、塩基(例えば、KOH)の存在下で、ヒドラゾンを200℃に加熱する。この工程の間、窒素が取り除かれてUDCAが生じる。
6.酵素および変異体の組換え生産
さらに本発明の対象は、本発明におけるポリペプチドまたはその機能的な生物学的に活性のある断片を組換え生産する方法であり、該方法では、ポリペプチド産生微生物を培養し、ポリペプチドの発現を任意に誘導し、ポリペプチドを培養物から単離する。必要に応じて、当該ポリペプチドはこの方法で工業的規模で生産することもできる。
本発明に従って生産された微生物は、バッチ法、フェドバッチ法または反復フェドバッチ法により連続的または不連続的に増殖させることができる。公知の培養方法の概要はChmielの教科書(Bioprozesstechnik 1.Einfuhrung in die Bioverfahrenstechnik[Bioprocess Engineering 1.Introduction to Bioprocess Technology](Gustav Fischer Verlag,Stuttgart,1991))またはStorhasの教科書(Bioreaktoren and periphere Einrichtungen[Bioreactors and Peripheral Units](Vieweg Verlag,Brunswick/Wiesbaden,1994))に記載されている。
使用される培養液は、目的の株の必要性を適切に満たす必要がある。様々な微生物の培養液の説明はマニュアル(“Manual of Methods for General Bacteriology”of the American Society for Bacteriology(Washington D.C.,USA,1981)に記載されている。本発明において使用できるこれらの培地は、通常、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンおよび/または微量元素を含む。
好ましい炭素源は、単糖類、二糖類または多糖類などの糖類である。非常に好ましい炭素源の例は、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプンまたはセルロースである。また糖類は、糖蜜などの複合化合物または糖精製の他の副産物を介して培地に添加することができる。様々な炭素源の混合物を添加することも有利である。別の可能な炭素源は、例えば大豆油、ヒマワリ油、ピーナッツ油およびヤシ油脂などの油および油脂、パルミチン酸、ステアリン酸またはリノール酸などの脂肪酸、例えばグリセロール、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、ならびに、例えば酢酸または乳酸などの有機酸である。
窒素源は、通常、有機もしくは無機の窒素化合物またはこれらの化合物を含む物質である。窒素源の例には、アンモニアガス、または、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムもしくは硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸または複合窒素源、例えばコーンスティープリカー、大豆ミール、大豆タンパク質、酵母抽出物、肉抽出物などが含まれる。窒素源は、単独でまたは混合物として使用できる。
培地中に存在する無機塩化合物には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅および鉄の塩化物、リンもしくは硫酸塩が含まれる。
硫黄源としては、例えば、硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、四チオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物などの無機硫黄含有化合物だけでなく、メルカプタンおよびチオールなどの有機硫黄化合物も使用できる。リン源としては、リン酸、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二カリウムまたは対応するナトリウム含有塩を使用できる。
溶液中に金属イオンを保持するために、金属イオン封鎖剤を培地に添加してもよい。特に好適な金属イオン封鎖剤には、カテコールもしくはプロトカテキン酸などのジヒドロキシフェノール、または、クエン酸などの有機酸が含まれる。
通常、本発明において使用する発酵培地には、例えば、ビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸およびピリドキシンを含むビタミンまたは増殖促進剤などの他の増殖因子も含まれる。増殖因子および塩は、酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカーなどの複合培地成分から頻繁に得られる。さらに、適切な前駆体を培養培地に添加してもよい。培地中の化合物の正確な組成は目的とする実験に大きく依存し、個別の場合について個別に決定される。培地の最適化に関する情報は、教科書“Applied Microbiol.Physiology,A Practical Approach”(Eds P.M.Rhodes,P.F.Stanbury,IRL Press(1997)53−73頁,ISBN 0 19 963577 3)に記載されている。増殖培地は、Standard 1(Merck)またはBHI(brain heart infusion,DIFCO)など、商業的供給源から得ることもできる。
全ての培地成分は、加熱手段(1.5バールおよび121℃で20分間)またはフィルター滅菌のいずれかによって滅菌する。これらの成分は、一緒にまたは必要に応じて別々に滅菌できる。全ての培地成分は、培養の開始時に存在してもよいし、または必要に応じて連続的にまたはバッチ式で添加してもよい。
培養温度は、通常15℃〜45℃、好ましくは25℃〜40℃であり、また実験中は一定に保つこともできるし、変化させることもできる。培地のpHは、5〜8.5、好ましくは約7.0の範囲とするべきである。培養用のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアもしくはアンモニア水などの塩基性化合物またはリン酸もしくは硫酸などの酸性化合物の添加によって、培養中に調整できる。例えば、脂肪酸ポリグリコールエステルなどの消泡剤を泡立ちの発生の制御に使用できる。プラスミドの安定性を維持するために、適切な選択的に作用する物質、例えば抗生物質を培地に添加できる。好気的条件を維持するために、酸素または酸素含有ガス混合物、例えば外気を培養物に通す。培養温度は通常20℃〜45℃である。所望の生成物が最大限に形成されるまで培養を続ける。この目的は、通常、10〜160時間以内に達成される。
その後、発酵液をさらに処理する。必要に応じて、例えば、遠心分離、濾過、デカンテーションまたはこれらの方法の組み合わせなどの分離方法によって、バイオマスの全部または一部を発酵液から除去することもできるし、前記発酵液中に完全に残すこともできる。
ポリペプチドが培地中に分泌されない場合、その細胞を破砕することができ、その生成物を公知のタンパク質単離方法によって溶解物から得ることができる。細胞は、高周波超音波によって、例えば圧力式細胞破砕などの高圧によって、浸透圧によって、界面活性剤、溶解酵素もしくは有機溶媒の作用によって、ホモジナイザーによって、または、上記の方法のいくつかの組み合わせによって、任意に破砕できる。
ポリペプチドは、Q−セファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性クロマトグラフィーなどのモレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲル濾過)などの公知のクロマトグラフィー技術、ならびに、限外ろ過、結晶化、塩析、透析およびネイティブゲル電気泳動などの他の一般的な方法を用いて精製できる。適切な方法は、例えば、Cooper,F.G.,Biochemische Arbeitsmethoden[Biochemical working methods],Verlag Walter de Gruyter,Berlin,New York or in Scopes,R.,Protein Purification,Springer Verlag,New York,Heidelberg,Berlinに記載されている。
組換タンパク質を単離するために、有利には、特異的ヌクレオチド配列によってcDNAを伸長し、そして例えば比較的簡単な精製を目的として働く修飾ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードするベクター系またはオリゴヌクレオチドを使用することができる。その適切な修飾は、例えばアンカーとして作用する「タグ」として知られるものであり、ヘキサヒスチジンアンカーまたは抗原であることが抗体によって認識できるエピトープとして公知の修飾などである(例えば、Harlow,E.and Lane,D.,1988,Antibodies:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor(N.Y.)Pressに記載されている)。これらのアンカーは、例えばクロマトグラフィーカラムに充填できるポリマーマトリックスなどの固体支持体にタンパク質を付着させるために、または、タンパク質をマイクロタイタープレートもしくは任意の他の支持体に付着させるために働くことができる。
同時に、これらのアンカーはタンパク質の同定にも使用できる。タンパク質を同定するために、さらに、蛍光色素などの通常のマーカー、基質との反応後に検出可能な反応生成物を形成する酵素マーカーまたは放射性マーカーを、単独でまたはタンパク質の誘導体化のためにアンカーと組み合わせて使用できる。
7.酵素固定化
本明細書に記載の方法において、本発明における酵素は、遊離または固定された形態で使用できる。固定化酵素は、不活性支持体に固定された酵素を意味すると理解される。適切な支持材料およびその上に固定化された酵素は、EP−A−1149849、EP−A−1 069 183およびDE−OS 100193773、ならびに、それらに引用された文献から公知である。この点において、前記文献の開示は、その全体が参照される。適切な支持材料としては、例えば、粘土、カオリナイトなどの粘土鉱物、珪藻土、パーライト、シリカ、アルミナ、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、陰イオン交換物質、ポリスチレンなどの合成ポリマー、アクリル樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ならびに、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。該支持材料は、通常、支持される酵素の調製のために、細かく分割された粒状で使用され、多孔質の形状であることが好ましい。その支持材料の粒径は、通常は5mm以下であり、特に2mm以下である(傾斜曲線)。同様に、全細胞の触媒としてのデヒドロゲナーゼの使用において、遊離または固定された形態が選択できる。支持材料は、例えば、アルギン酸カルシウムおよびカラギーナンである。酵素に加えて細胞も、グルタルアルデヒドを用いて直接架橋できる(CLEAへの架橋)。対応するおよびさらなる固定化方法は、例えば、J.Lalonde and A.Margolin“Immobilization of Enzymes”in K.Drauz and H.Waldmann,Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002,Vol.III,991−1032,Wiley−VCH,Weinheimに記載されている。
実験部分:
特に明記しない限り、クローニング工程は、例えば、制限酵素切断、アガロースゲル電気泳動、DNA断片の精製、核酸のニトロセルロースおよびナイロン膜への転写、DNA断片の結合、微生物の形質転換、微生物の培養、ファージの増殖などの本発明の範囲内で実施される。また組換えDNAの配列分析は、Sambrook et al.(1989)loc.citに記載されている。
A.一般情報
材料:
Collinsella aerofaciens DSM 3979(ATCC 25986、以前はEubacterium aerofaciensと呼ばれていた)のゲノムDNAは、Deutsche Sammlung fur Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ)から入手した。DHCA、UDCAおよび7−ケト−LCAは、それ自体は公知な出発化合物であり、文献に記載されている。他のすべての化学物質は、Sigma−AldrichおよびFluka(ドイツ)から入手した。すべての制限酵素エンドヌクレアーゼ、T4 DNAリガーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Plusion DNAポリメラーゼおよびイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)は、Thermo Scientific(Germany)から入手した。
培地:
LB培地:培地1リットル当たり、トリプトン10g、酵母抽出物5g、NaCl 10gを含む
AI培地(自動誘導培地):培地1リットル当たり、100mM KPi pH7.0中に、酵母抽出物24g、カゼイン加水分解物12g、グリセロール5g、グルコース50g、ラクトース20gを含む
配列:
図2は、野生型7β−HSDH酵素および変異体のアミノ酸配列を示す。しかしながら、いずれの場合も全てがC末端ヘキサヒスチジンタグに提供される。このようにして、全ての酵素が単離され、特徴付けられた。
実施例1:組換え7β−HSDHの産生
A)プラスミド形質転換:
制限酵素NcoIおよびXhoIの切断部位を介して、それぞれの7β−HSDH遺伝子をクローニングした市販の発現ベクターpET28a(+)を、組換え7β−HSDH酵素(野生型および変異体酵素)の発現のために使用した。発現ベクターpET28a(+)は、HSDH遺伝子をクローニングするときに、一連の6個のヒスチジン分子をコードする遺伝子配列をHSDH遺伝子に直接付加することを可能にする。発現後、この配列(ヘキサヒスチジンタグまたはHisタグと呼ばれる)は、HSDHタンパク質のC末端に現れる。オリジナルの、または、野生型HSDH遺伝子は、細菌Collinsella aerofaciens ATCC 25986に由来し、それぞれの7β−HSDH遺伝子を含むプラスミドは、pET28a(+)_7β−HSDHと呼ばれる。pET28a(+)_7β−HSDHプラスミドを形質転換するために、5μlのライゲーション用混合物を100μlのコンピテントBL21(DE3)Δ7α−HSDH大腸菌細胞に処理し、形質転換をHanahanによって記載されたように実施した(J.Mol.Biol.(1983),vol.166,pp.557)。野生型遺伝子を含むプラスミドおよび変異したHSDH遺伝子を含むプラスミドを用いて同じ工程を行なった。本明細書中で通常使用されている大腸菌株BL21(DE3)Δ7α−HSDHは、この株の7α−HSDH遺伝子が欠失している点で区別される。この研究に用いた大腸菌株の詳細な特徴を表1にまとめる。
Figure 0006582040
B)発現および細胞の増殖:
発現のために、発現コンストラクト(pET28a(+)_7β−HSDHプラスミド)を含む大腸菌株を50μg/mlのカナマイシンを含むLB培地(1リットル当たり、トリプトン10g、酵母抽出物5g、NaCl 10g)中で20時間、25℃で増殖させた。遠心分離(5000×g、30分、4℃)により細胞を収集した。
C)粗抽出物の回収:
細胞1g(湿潤質量)当たり4mlの緩衝液を添加して、ペレットを破砕用緩衝液(10mMイミダゾール、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8)に再懸濁した。Sonopuls HD2070ソニケーター(Bandelin、ベルリン、ドイツ)を使用して、一定冷却下で、細胞を1分間超音波処理(30W出力、50%作動間隔および1分間の中断)により破砕した。この破砕を3回繰り返した。細胞懸濁液を遠心分離(18000×g、30分、4℃)し、上清を無細胞粗抽出物とした。
D)酵素の精製:
His−タグは、HSDHタンパク質の非常に簡単な精製を可能にする。なぜなら、この配列は、例えば「His Pur Ni−Ni」(Nimagen B.V.,Nijmegen,The Netherlands)などの二価のニッケルイオンを充填した特異的なクロマトグラフィー材料である(NTA(Ni−ニトリロトリアセテート)修飾した支持体に高い特異性で結合するからである。この目的のために、無細胞粗抽出物をこの材料を含む滴下カラムにかける。この滴下カラムは、予め破砕緩衝液(3〜5カラム容量)で平衡化させた。3〜5カラム容量の洗浄緩衝液(20mMイミダゾール、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8)で洗浄することによって、弱く結合するタンパク質を除去した。His−タグ−7β−HSDHタンパク質をイミダゾール含有溶出緩衝液(250mMイミダゾール、50mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH8)で溶離した。この工程は室温で行った。存在するイミダゾールは、緩衝液の交換によって除去された。
タンパク質濃度は、Bradfordによって記載された方法で測定した(ブラッドフォード試薬900μlと100μlの試料を混合し、暗所で少なくとも15分間インキュベートし、次いで、ウシ血清アルブミンで確立した較正カラムに対して595nmで測定する)。SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)分析を行うために、ゲルをクーマシーブリリアントブルーで染色した。
E)活性測定:
吸光度の低下を340nmで30秒間にわたって測定する分光アッセイを用いて、7β−HSDHおよび変異体の活性を測定した。反応溶液は、全量1ml中に、874μlの50mMリン酸カリウム(KPi)緩衝液(pH8.0);100μlの100mM DHCA溶液(50mMのKPiに溶解したDHCA(pH8));10μlの酵素溶液(任意に希釈);16.5μlの12.5mM NADPH溶液(蒸留HOに溶解)を含む。以下においては、活性は単位(U)で特定され、1Uは1μM NADPH/分の減少に相当する。
実施例2:アミノ酸配列64番目における7β−HSDH変異体の生成およびそれらの特性評価
A)プライマー:
下記の変異導入プライマーを使用して、7β−HSDHの位置特異的変異導入を実施した(表2参照)。7β−HSDHの遺伝子配列に基づいて、プライマーは、所望するアミノ酸を変換するように選択された。変異体を生成するために以下のプライマーペアを使用した:
Figure 0006582040
B)QuikChange(商標)−PCR:
64位のアミノ酸のアルギニンをアスパラギン酸に置換した最初の変異体が、野生型酵素よりも著しく高い活性を示した後、その位置にさらなるタンパク質を構成するアミノ酸を組み込み、これらの活性に関するこれらの様々な変異体を試験した。目的とするアミノ酸の変換は「QuikChange−PCR」法によって達成できる。このために、以下のPCR反応を行った(反応混合物は表3を参照):最初に、95℃で2分間の初期変性工程を行い、その後、20サイクルの変性(95℃で30秒間)、プライマーのハイブリダイゼーション(60〜68℃で1分間)および伸長(68℃で13分間)を行った。実施された最後の工程は、68℃で10分間の最終伸長であり、その後、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は4℃に冷却することによって終了した。用いた鋳型は、7β−HSDH(野生型)の遺伝子を有するpET28aベクターであった。
Figure 0006582040
標的化した方法でタンパク質配列中のアミノ酸を変換できるように、目的の遺伝子のDNA配列に位置特異的変異を行った。この目的のために、互いに相補的であり、それらの配列中に所望の変異を含むプライマーを利用する。使用される鋳型は、変異する遺伝子を含むN6−アデニン−メチル化二本鎖プラスミドDNAである。N6−アデニンメチル化プラスミドDNAを、例えば大腸菌DH5αなどのdam+大腸菌株から単離する。
ポリメラーゼ連鎖反応は上記のように行われる。ここでは、鋳型を相補化するためにプライマーを伸長させて、所望の変異を有し、鎖の切断部位を有するプラスミドを生じる。他のPCR反応とは異なり、新たに形成されたDNA分子はPCR反応の鋳型として作用できないので、ここではDNAの収量の増加は単に直線的である。
PCR反応が完了した後、PCR産物をPCR精製キット(Analytik Jena AG、イエナ、ドイツ)を用いて精製し、親のN6−アデニン−メチル化DNAを、制限酵素dpnIを用いて切断した。この酵素の特異性は、N6−アデニン−メチル化DNAを非特異的に切断するが、新たに形成された非メチル化DNAを特異的に切断しないことである。制限酵素切断は、PCR反応混合物に1μlのdpnIを添加し、その混合物を37℃で2時間または一晩インキュベートすることによって行った。7.5μlのこの混合物を100μlの化学的なコンピテントDH5α細胞の形質転換に用いた。
C)酵素変異体の活性データ:
64位において変異導入された変異体の活性測定(実施例1参照)を、以下の表4に示すデータで明らかにした。表の第1列の[R64E]は、タンパク質配列の64位のアルギニン(R)が、目的の変異体のグルタミン酸(E)に置換されたことを意味する。各々のアミノ酸は、国際的な1文字コードを用いて略記される。同様に[R64D]は、アスパラギン酸がこの位置に導入されたことを意味する。
Figure 0006582040
D)ミカエリス−メンテン動力学
それぞれの位置の最良の変異体を実施例1Dのように精製し、基質DHCAおよび補酵素NADPHの動態定数vmaxおよびKを決定した。図3は動力学の経過を図示し、表5は動力学的定数を示す。
Figure 0006582040
表5は、最大速度を野生型酵素の約5倍に増加させることが可能であることを明らかにする。K値は同じままである。基質阻害はそれほど顕著ではない。
実施例3:アミノ酸位置39における7β−HSDH変異体の生成およびそれらの特性評価
A)プライマー:
表6に列挙した変異導入プライマーを、7β−HSDHの位置特異的変異導入のために使用した。7β−HSDHの遺伝子配列に基づいて、プライマーは、所望するアミノ酸変換をするように選択された。変異体を生成するために、以下のプライマーペアを使用した:
Figure 0006582040
B)QuikChange(商標)PCR:
39位のセリンのグリシンへの標的変換は、実施例2Bに記載のQuikChange PCRを用いて行った。
C)酵素変異体の活性値:
39位のグリシンの代わりにセリンを含む変異体(7β−HSDH[G39S])の活性測定(実施例1参照)は、735U/mlの容量活性および52.9U/mgのタンパク質特異的酵素活性を示し、一方、野生型酵素を比較すると、96.8U/mlの容量活性および8.7U/mgの特異的活性を有していた。
D)ミカエリス−メンテン動力学
動力学的パラメーター定数vmaxおよびKを精製された酵素を用いて決定した。図4は動力学の経過を図示し、表7は動力学定数を示す。
Figure 0006582040
表7は、野生型に比べて最大反応速度を約6倍増加させることが可能であることを示す。対照的に、K値は4倍低下した。64位の変異体の場合と同様に、基質阻害はそれほど顕著にはならなかったが、無くなることはなかった。
実施例4:アミノ酸17位における7β−HSDH変異体の生成およびそれらの特性評価
A)プライマー:
表8に記載した変異導入プライマーを、7β−HSDHの位置特異的変異導入のために使用した。変異体を生成するために以下のプライマーペアを使用した:
Figure 0006582040
B)QuikChange(商標)PCR:
表8に記載されたアミノ酸の17位のスレオニンの標的変換は、実施例2Bに記載のQuikChange PCRにより行った。
C)酵素変異体の活性値:
17位のスレオニン以外のアミノ酸を含む変異体の活性測定値(実施例1参照)を表9にまとめる。
Figure 0006582040
実施例5:いくつかの位置におけるアミノ酸変換を含む7β−HSDH変異体の生成およびそれらの特性評価
実施例2〜4に記載された個々の変異体の他に、変異を有利に組み合わせることも可能である。例として、位置39および64が同時に改変された二重変異体を生成した。ここでは、位置39における最良のアミノ酸変換([G39S])を、位置64における最良の変換([R64E])と組み合わせた。
A)二重変異体の生成および活性値
二重変異体を得る方法および活性試験は、2Bおよび2Cに記載された方法に従った。
野生型酵素の値と比較した二重変異体の活性値を、表10にまとめる。
Figure 0006582040
B)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
異種発現の発現性能の評価を可能とするために、SDS−PAGEを行った。二重変異体を例として用いた。図5は、粗細胞抽出物を用いることにより、この変異体が非常に良好な過剰発現を示しているSDSゲルを示す(おおよそで流した広範なバンド)。30kDaは、細胞内の可溶性タンパク質が二重変異体のみと高度に一致することを裏付ける。またさらに、当該ゲルは、精製された二重変異体の純度を確認する。変異体の分子量は約29.9kDaである。
C)ミカエリス−メンテン動力学
変異体[G39S/R64E]を精製し(項目3参照)、精製された酵素について動力学的パラメーターを測定した。図6に経過を図示し、表11に動力学定数を示す。
Figure 0006582040
図6の(基質DHCAに関する)経過の図によれば、39位と64位の組み合わせの結果は、もはや7β−HSDHが基質阻害を示さないこと分かる。さらに、活性を約7倍まで上昇させることが可能であった。
本発明の実施例の方法によって達成された改良/改変のまとめ:
n.d.=測定なし
Figure 0006582040
Figure 0006582040
Figure 0006582040
本明細書中に記載された刊行物の開示は明示的に参照される。

Claims (23)

  1. 7−ケトステロイドの、対応する7−ヒドロキシステロイドへの立体特異的酵素還元を少なくとも触媒する酵素である7β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(7β−HSDH)であって、
    該酵素が、配列番号2の位置17に、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列位置に変異を有し、かつ、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、
    位置17の変異が、T17X(式中、XはF,A,IまたはSである)であり、そして、
    該酵素が、配列番号2を有する7β−HSDHと比較して以下のa)、b)、c)およびd)から選択される1以上の特性プロファイルを示す、7β−HSDH:
    a)補因子としてNAD(P)Hを用いたデヒドロコール酸(DHCA)の酵素的還元における、DHCAに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);
    b)補因子としてNAD(P)Hを用いたDHCAの酵素的還元における、NAD(P)Hに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);
    c)低下したDHCAによる基質阻害;
    d)NADHおよびNADPHに対する改変された補因子特異性。
  2. 7−ケトステロイドの、対応する7−ヒドロキシステロイドへの立体特異的酵素還元を少なくとも触媒する酵素である7β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(7β−HSDH)であって、
    該酵素が、配列番号2の位置64に、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列位置に変異を有し、かつ、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、
    位置64の変異が、変異R64X(式中、Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、IまたはYである)であり、そして、
    該酵素が、配列番号2を有する7β−HSDHと比較して以下の特性プロファイルb)ならびに任意に以下のa)、c)およびd)から選択される1以上の特性プロファイルを示す、7β−HSDH:
    b)補因子としてNAD(P)Hを用いたDHCAの酵素的還元における、NAD(P)Hに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg])
    a)補因子としてNAD(P)Hを用いたデヒドロコール酸(DHCA)の酵素的還元における、DHCAに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);
    c)低下したDHCAによる基質阻害;
    d)NADHおよびNADPHに対する改変された補因子特異性。
  3. 7−ケトステロイドの、対応する7−ヒドロキシステロイドへの立体特異的酵素還元を少なくとも触媒する酵素である7β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(7β−HSDH)であって、
    該酵素が、配列番号2の位置64に、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列位置に変異を有し、かつ、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、
    さらに少なくとも1つの変異を配列番号2の位置36〜42の配列モチーフVMVGRREに、または、当該配列に由来するアミノ酸配列の対応する配列モチーフに有し、かつ、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有し、
    位置64の変異が、変異R64X(式中、Xは、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、IまたはYである)であり、そして、
    該酵素が、配列番号2を有する7β−HSDHと比較して以下の特性プロファイルb)ならびに任意に以下のa)、c)およびd)から選択される1以上の特性プロファイルを示す、7β−HSDH:
    b)補因子としてNAD(P)Hを用いたDHCAの酵素的還元における、NAD(P)Hに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg])
    a)補因子としてNAD(P)Hを用いたデヒドロコール酸(DHCA)の酵素的還元における、DHCAに対する増加した特異的活性(Vmax[U/mg]);
    c)低下したDHCAによる基質阻害;
    d)NADHおよびNADPHに対する改変された補因子特異性。
  4. さらに、アミノ酸配列の変異G39X(式中、Xはグリシン(G)以外のアミノ酸残基である)を有する、請求項3に記載の7β−HSDH。
  5. 二重の変異体R64X/G39Xの中から選択される、請求項3または4に記載の7β−HSDH:
    は、E、D、T、L、S、P、V、K、C、A、G、Q、F、W、I、Y、HまたはNであり;そして、
    は、S、A、V、I、L、C、K、Y、FまたはRである。
  6. 二重の変異体が以下の中から選択される、請求項5に記載の7β−HSDH:
    (G39S/R64E);(G39S/R64D);(G39S/R64T);(G39S/R64L);(G39S/R64S);(G39S/R64P);(G39S/R64V);(G39A/R64E);(G39A/R64D);(G39A/R64T);(G39A/R64S);(G39A/R64L);(G39A/R64P);(G39A/R64V)。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の7β−HSDHをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子
  8. 少なくとも1つの調節配列の制御下で、少なくとも1つの請求項7に記載のヌクレオチド配列を含む発現カセット。
  9. 少なくとも1つの請求項8に記載の発現カセットを含む発現ベクター。
  10. 少なくとも1つの請求項7に記載のヌクレオチド配列または少なくとも1つの請求項8に記載の発現カセットまたは少なくとも1つの請求項9に記載の発現ベクターを有する、組換え微生物。
  11. 補因子の再生に適切なヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSDH)およびデヒドロゲナーゼの中から選択される少なくとも1つのさらなる酵素をコードする配列を任意に追加的に有する、請求項10に記載の組換え微生物。
  12. さらなるHSHDが3α−HSDHから選択され;そして、
    デヒドロゲナーゼが、NADPH再生酵素およびNADH再生酵素の中から選択される、請求項11に記載の組換え微生物。
  13. NADPH再生酵素が、NADPHデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、NADPH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)、NADPH再生グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、NADPH再生グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G−6−PDH)およびNADPH再生ホスファイトデヒドロゲナーゼ(PtDH)の中から選択され、
    NADH再生酵素が、NADHデヒドロゲナーゼ、NADH再生アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)、NADH再生ホルメートデヒドロゲナーゼ(FDH)、NADH再生グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)、NADH再生グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)およびNADH再生ホスファイトデヒドロゲナーゼ(PtDH)の中から選択される、請求項12に記載の組換え微生物。
  14. 7α−HSDHノックアウト株である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組換え微生物。
  15. 7β−ヒドロキシステロイドの酵素的または微生物的合成方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の7β−HSDHの存在下で、または、請求項10〜14のいずれか一項に記載の7β−HSDHを発現する組換え微生物の存在下で、対応する7−ケトステロイドが還元され、任意に少なくとも1つの形成された還元生成物が反応混合物から単離される方法。
  16. 7−ケトステロイドが、デヒドロコール酸(DHCA)、7−ケト−リトコール酸(7−ケト−LCA)、7,12−ジケト−リトコール酸(7,12−ジケト−LCA)、および、これらの誘導体の中から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 還元が、NADPHおよび/またはNADHの存在下で、特にNADPHおよび/またはNADHの消費によって行われる、請求項15または16に記載の方法。
  18. (a)消費されたNADPHが、NADPH再生酵素とのカップリングによって再生され、または、
    (b)消費されたNADHが、NADH再生酵素とのカップリングによって再生され、または、
    (c)(a)および(b)の両方が実施される、
    請求項17に記載の方法。
  19. NADPH再生酵素が以下から選択される請求項18に記載の方法:
    a)FDH(少なくともギ酸のCOへの酵素的酸化を触媒するNAD依存性FDHの変異体を含み、該変異体は非変異の酵素と比較して補因子としてNADPを追加的に受け入れる);および、
    b)GDH。
  20. 式(1)のウルソデオキシコール酸(UDCA)の製造方法であって:
    Figure 0006582040

    [式中、Rはアルキル、H、アルカリ金属イオンまたはN(R を表し、基Rは同一または異なってHまたはアルキルを表すか、または、基−CORが酸アミド基−CONRで置換されている。RとRは互いに独立してアルキル基を表す。];
    a)任意に、式(2)のコール酸(CA)を化学的に酸化して式(3)のデヒドロコール酸(DHCA)とし;
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
    b)少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか一項に記載の7β−HSDH変異体の存在下および少なくとも1つの3α−HSDHの存在下で、DHCAを還元して対応する式(5)の12−ケト−ウルソデオキシコール酸(12−ケトUDCA)とし;
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
    特に、NADHおよび/またはNADPHの存在下および消費下で、続いて、
    c)式(5)の12−ケト−UDCAを化学的に還元してUDCAとし;そして、
    d)任意に、さらに反応生成物を精製する、
    製造方法。
  21. 少なくとも工程b)が、請求項10〜14のいずれか一項に記載の組換え微生物の存在下で行われる、請求項20に記載の方法。
  22. 工程b)が同一または異なる補因子の再生システムと一体である、請求項20または21に記載の方法。
  23. 式(1)のUDCAの製造方法であって:
    Figure 0006582040

    [式中、Rはアルキル、H、アルカリ金属イオンまたはN(R を表し、基Rは同一または異なってHまたはアルキルを表すか、または、基−CORが、上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
    a)任意に、式(2)のコール酸(CA)を化学的に酸化して式(3)のDHCAとし;
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。]
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
    b)少なくとも1つの7β−HSDHの存在下および少なくとも1つの3α−HSDHの存在下で、DHCAを還元して対応する式(5)の12−ケトUDCAとし;
    Figure 0006582040

    [式中、Rは上記の意味を有するか、または、基−CORが上で定義した酸アミド基−CONRで置換されている。];
    特に、NADHおよび/またはNADPHの存在下および消費下で、続いて、
    c)式(5)の12−ケト−UDCAを化学的に還元してUDCAとし;そして、
    d)任意に、さらに反応生成物を精製し;
    工程b)の変換が、請求項10〜14のいずれか一項に記載の組換え微生物の存在下で行われる、製造方法。
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