JP2017529091A - ゲラニルリナロールの生体触媒環化方法及びこれにより得られる環化物 - Google Patents

ゲラニルリナロールの生体触媒環化方法及びこれにより得られる環化物 Download PDF

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Abstract

本発明は、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)に由来するスクアレン-ホペンシクラーゼ(Zm-SHC)又はZm-SHCと少なくとも80%の配列同一性のシクラーゼを使用する式(I):【化1】のゲラニルリナロールの環化のための新規な方法、及びこの方法によって得られる式(II):【化2】の環化物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)由来のスクアレン-ホペンシクラーゼ(Zm-SHC)又はZm-SHCと少なくとも80%の配列同一性を有するシクラーゼを使用するゲラニルリナロールの環化のための新規な方法、及び本方法において得られる環化物に関する。
相応する産生生物における多数のモノテルペンの生合成が既に解明されている。線状の前駆体分子が特異性の高い生体触媒によって環化されることが多い。前駆体は原則として、線状のテルペンアルコールと二リン酸とのエステルである。このような前駆体の1つの典型例は、ピロリン酸ゲラニルである。ピロリン酸基は、この分子から酵素的に脱離され、引き続いて加水分解されて2つのリン酸イオンとなる。他方、これによってカルボカチオンが生じ、このカチオンは次いで、さらなる分子内反応を経ることができ、例えばプロトンの脱離によって再結合して、環式モノテルペンとなる(Curr. Opin. Chem. Biol. 2009、13: 180〜188)。
周知のように、スクアレン又はオキシドスクアレンなどの非活性化トリテルペンをスクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)でインビボにて反応させると、相応する環式化合物が得られる(Siedenburg, G.及びJendrossek, D.、Applied and Environmental Microbiology、2011、77、(12)、3905)。
ある特定のスクアレン-ホペンシクラーゼ(SHC)の活性は、トリテルペンに限定されない。その開示が全体として参照により本明細書に明示的に組み込まれている、国際出願PCT/EP2011/070304(WO 2012066059 A2)には、シトロネラ異性体からイソプレゴール異性体への環化を触媒するスクアレン-ホペンシクラーゼ変異体が記載されている。
その開示が全体として参照により本明細書に明示的に組み込まれている、国際出願PCT/EP2010/057696(WO 2010139719 A2)には、ホモファルネソール(homofarnesol)からアンブロキサン(ambroxan)への環化のための生体触媒としてスクアレン-ホペンシクラーゼが提案されている。
細菌ザイモモナス・モビリス由来のスクアレン-ホペンシクラーゼ(Zm-SHC)の遺伝子配列及びタンパク質配列は公知である(Genpept受託番号AAV90172 2004及びNat Biotechnol 2005、23:63〜68、配列番号1及び2を参照)。
本発明の目的は、ゲラニルリナロールを環化するための方法を提供することである。
上記問題は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するシクラーゼの存在下又は配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するシクラーゼの存在下で、式(I)
の化合物を生体触媒環化するための方法によって解決された。
式(I)の化合物を本発明に記載の方法で反応させて、式(II)
の少なくとも1つの化合物を得ることが好ましい。
本発明は式(II)の化合物にも関する。
A. 一般定義
本発明の目的において、「シクラーゼ」とは概して、特にゲラニルリナロールシクラーゼの活性を提示する、酵素又は酵素変異体である。ゲラニルリナロールシクラーゼの活性とは、少なくとも1つの5員環又は6員環、特にクロメン様、とりわけベンゾクロメン様環化構造の形成を伴う、ゲラニルリナロール(I)の異性化に関する酵素活性を意味する。ゲラニルリナロールシクラーゼの活性を有する適切な酵素は、イソメラーゼサブクラスからの分子内トランスフェラーゼであり、即ち、EC番号EC 5.4.(Eur. J. Biochem. 1999、264、610〜650に記載の酵素コード)を有するタンパク質である。具体的には、EC 5.4.99.17がその代表形態である。ゲラニルリナロールシクラーゼの活性を有する適切な酵素は、特に、ホモファルネソールからアンブロキサンへの環化、シトロネラ異性体からイソプレゴール異性体への環化、又はスクアレンからホペンへの環化もまた引き起こし(したがって、「SHC」、スクアレンホペンシクラーゼと称することもある)、本明細書中で明示的に参照される国際出願PCT/EP2010/057696及びPCT/EP2011/070304に詳細に記載されているシクラーゼである。
酵素反応の可逆性のため、本発明は、両方の反応方向における本明細書に記載の酵素反応に関する。
「シクラーゼ」の「機能的変異体」には、以下に定義するこうした酵素の「機能的等価物」が含まれる。
用語「生体触媒方法」とは、任意の「式(I)の化合物を生体触媒環化するための方法」、即ち、未精製の、精製された、溶解された、分散された若しくは固定された酵素の存在下での方法、又はゲラニルリナロールシクラーゼ活性を提示し又は発現する、微生物のシクラーゼ提示細胞の存在下での方法に関する。したがって、生体触媒方法には、酵素的及び微生物的方法の双方が並びにまた発酵的方法が含まれる。
用語「立体特異的」とは、本発明により生成される、少なくとも1つの不斉中心を有する化合物の、可能性のあるいくつかの立体異性体の内の1つが、例えば、少なくとも90%ee、特に少なくとも95%ee又は少なくとも98%ee又は少なくとも99%eeといった、高い「鏡像体過剰率」又は高い「鏡像体純度」で、本発明による酵素の作用によって生成されることを意味する。ee%値は、以下の式から算出される:
ee%=[XA-XB]/[XA+XB]*100
(式中、XA及びXBは、それぞれ鏡像体A及びBのモル分率を表す)。
「第一の領域(sphere)残基」及び「第二の領域残基」とは、タンパク質の構造分析に基づき、シクラーゼの反応中心に特別な近位性が割り当てられたアミノ酸残基である。第一の領域に関する基準は、公開されたx線構造中で特定されるリガンド2-アザスクアレンからの距離である(pdb:1ump)。これらの残基は、コンピュータプログラム(http://ligin.weizmann.ac.il/cgi-bin/lpccsu/LpcCsu.cgi; Sobolev V、Sorokine A、Prilusky J、Abola EE、Edelman M. Automated analysis of interatomic contacts in proteins. Bioinformatics 1999; 15(4):327〜332)を使用して自動的に決定された。このプログラムでは、2つの分子が、これらの原子間の距離がファンデルワールス半径の合計±1Åに相当する場合に、互いに接触していると仮定する。第二の領域には、第一の領域の各残基に対し5Åの半径内に位置する全てのアミノ酸が含まれる。したがって、そのような残基は、標的化された様式で酵素活性をさらに改変するように、定方向変異(directed mutation)を実施するのにとりわけ適していると思われる。
参照基質として式(I)のゲラニルリナロール、特にE,E-ゲラニルリナロール用いる標準条件下で決定された「シクラーゼ活性」は、環式反応生成物の形成を云う酵素活性である。
「標準条件」とは、例えば、10mM〜0.2M、特に、例えば、約20〜25mMなどの15〜100mMの基質濃度、pH4〜8で、及び例えば15〜45℃又は20〜25℃の温度である。これは、組換えシクラーゼ発現細胞、破砕されたシクラーゼ発現細胞、これらの画分、又は濃縮された若しくは精製されたシクラーゼ酵素を用いて決定することができる。具体的には、参照基質は、20〜25℃及び例えば6.5などのpH6〜7で、15〜100mMの又は約20〜25mMの濃度の、式(I)のゲラニルリナロール、特にE,E-ゲラニルリナロールであり、これはまた、実施例においてより詳細に説明されている。
一般に、本発明にしたがって、本明細書に記載の化合物の全ての異性体形態、例えば構造異性体、特に立体異性体及びそれらの混合物、例えば、光学異性体又は幾何異性体、例えばE異性体及びZ異性体、並びにそれらの組合せが含まれる。分子中にいくつかの不斉中心が存在する場合、本発明は、これらの不斉中心の様々な配置の全組合わせを、例えば、鏡像体の対など、又は立体異性体形態の任意の混合物を含む。
B. 本発明の具体的な展開
本発明は、以下の具体的な実施形態に特に関する。
1. 立体異性体的に純粋形態にある式(II)
の化合物及び本化合物の可能な立体異性体の少なくとも1つを含む混合物としての式(II)の化合物。
2. 式(II)の化合物の複数の立体異性体を含む混合物形態にある、実施形態1に記載の化合物。
3. 立体異性体の形態で存在する、実施形態1又は2に記載の化合物。
4. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するシクラーゼの存在下又は配列番号2と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するシクラーゼの存在下で、式(I)
の化合物を生体触媒環化するための方法であって、式(I)の少なくとも1つの化合物を、液体中の、特に単相水性又は二相水性-有機反応媒体中のシクラーゼと、特に所望の反応に悪影響を及ぼさない条件下で、とりわけ所望の反応に好ましい条件下で接触させる、方法。適切な反応条件(例えば、基質の至適濃度、酵素、pH、任意選択で使用される緩衝剤の特質、反応の温度及び継続時間、有機溶媒)については、通常の当業者であれば少ない予備試験に基づいて容易に決定することができる。
5. 式(I)の化合物が両方の鏡像異性体の混合物の形態で用いられる、実施形態4に記載の方法。
6. 混合物がラセミ混合物である、実施形態5に記載の方法。
7. 混合物中の2つの鏡像異性体のうちの1つが過剰に存在している、実施形態5に記載の方法。
8. 式(I)の化合物を反応させて式(II)の化合物を得る、実施形態4〜7のいずれかに記載の方法。
9. シクラーゼが、未精製の、精製された、溶解された、分散された若しくは固定化された形態で存在するか、又は微生物のシクラーゼ提示細胞の存在下で存在する、実施形態4〜8のいずれかに記載の方法。
10. シクラーゼが、
a) 遊離の、任意選択で精製されているか又は部分的に精製されているシクラーゼ、
b) 固定化されているシクラーゼ、
c) a)又はb)に記載の、細胞から単離されているシクラーゼ、
d) 無傷の、場合により組み換えられている細胞、場合により休止期のシクラーゼ包含細胞又は破砕されたシクラーゼ包含細胞、
e) d)に記載された細胞の細胞溶解物又は細胞ホモジェネート、
の内から選択される形態で存在する、実施形態4〜9のいずれかに記載の方法。
11. シクラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む組換え微生物の存在下での、実施形態4〜10のいずれかに記載の方法。
12. ヌクレオチド配列が発現カセットの一部であるとともに、その発現カセットにおいて、少なくとも1つの調節配列の制御下にある、実施形態11に記載の方法。
13. 発現カセットが発現ベクターの一部である、実施形態12に記載の方法。
14. 発現ベクターがプラスミドの内から選択される、請求項13に記載の方法。
15. 微生物が細菌、菌類及び酵母の内から選択される、実施形態4〜14のいずれかに記載の方法。
16. 微生物が、大腸菌種(Escherichia coli)、シュードモナス・プチダ種(Pseudomonas putida)、バークホルデリア・グルマ種(Burkholderia glumae)、コリネバクテリウム・グルタミクム種(Corynebacterium glutamicum)、サッカロマイセス・セレビシエ種(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス種(Pichia pastoris)、ストレプトマイセス・リビダンス種(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)種、バチルス・スブチリス種(Bacillus subtilis)及びザイモモナス・モビリス種の内から選択される、実施形態4〜15のいずれかに記載の方法。
17. 微生物が大腸菌である、実施形態4〜16のいずれかに記載の方法。
18. 生体触媒環化が、単相水性系中で若しくは二相系中で、又はイオン液体中若しくはディープ共晶溶剤(deep eutectic solvent)中などの無水系中で行われる、実施形態4〜17のいずれかに記載の方法。
19. 生体触媒環化が、20〜45℃の範囲の温度にて及び/又は4〜8の範囲のpHにて行われる、実施形態4〜18のいずれかに記載の方法。
C. 本発明のさらなる展開
1. 本発明に記載の方法において用いられるシクラーゼ
本発明は、本明細書に開示されているシクラーゼが具体的に用いられている方法に限定されるものではなく、むしろ、具体的に記載されたシクラーゼの機能的等価物を使用して実施される方法にも及ぶ。
本発明の範囲内において、具体的に開示されている酵素及び酵素変異体(配列番号2に由来する)の「機能的等価物」又はアナログは、それらとは異なり、また所望のシクラーゼ活性を保持しているポリペプチドである。
したがって、例えば、「機能的等価物」は、本発明の目的における「シクラーゼ活性」に関する使用試験(即ち、標準条件下で参照基質を用いる)において、少なくとも1%だけ、特に少なくとも約5〜10%だけ、例えば、少なくとも10%若しくは少なくとも20%だけなどと、例えば、少なくとも50%若しくは75%若しくは90%だけなどと、より高いか又はより低い酵素活性を提示する酵素及び変異体を含み、配列番号2に由来する本明細書で具体的に規定されているアミノ酸配列を含む。
本明細書で、機能的等価物に関する活性データは、特に示されていない限り、本明細書で規定されているとおりの「標準条件」下などの、参照基質によって実施された活性決定値に関連している。
本発明の目的において、「シクラーゼ活性」は、例えば、ゲラニルリナロールなどの参照基質を使用する試験を用いて、上に記載の通りの及び実験部で説明するような標準条件下で、決定することができる。
機能的等価物は、例えば、pH4〜11の間でさらに安定であり、そして好都合にpH5〜10の範囲に、例えば、特に6.5〜9.5若しくは7〜8の範囲に又は約7.5に最適pHを有し、及び15℃〜80℃若しくは20℃〜70℃の範囲に、例えば、約30〜60℃若しくは約35〜45℃などの範囲に、例えば40℃などに最適温度を有する。
上記の意味での「機能的等価物」はまた、記載されたポリペプチドの「前駆体」並びにこのポリペプチドの「機能的誘導体」及び「塩」でもある。
「機能的等価物」は、1以上の、例えば、1〜50、2〜30、2〜15、4〜12又は5〜10個の「変異」などにより、例えばアミノ酸の付加、置換、欠失及び/又は逆位により取得可能な変異体を含むが、上記の改変は、本発明による特性プロフィールを有する変異体をもたらす限り、任意の配列位置において起こり得る。機能的等価性は、特に、変異体と未改変のポリペプチドとの間の反応性プロフィールが質的に一致する場合、即ち、例えば同一基質が異なる速度で反応させられる場合にも存在する。
適切なアミノ酸置換の非限定的な例を以下の表に示す:
本文脈においては、「前駆体」は所望の生物学的活性を有するか、又は有さないポリペプチドの天然又は合成の前駆体である。
用語「塩」とは、シクラーゼのカルボキシル基の塩とともにアミノ基の酸付加塩を意味する、と理解される。カルボキシル基の塩は、自体公知の方法で作製することができ、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、鉄塩及び亜鉛塩などの無機塩、及び例えば、トリエタノールアミン、アルギニン、リジン、ピペリジン等などのアミンなどの有機塩基との塩を含む。酸付加塩も、例えば、塩酸又は硫酸などの鉱酸との塩、並びに酢酸及びシュウ酸などの有機酸との塩も、同様に本発明の対象である。
シクラーゼの「機能的誘導体」も、公知の技法を用いて、アミノ酸側鎖官能基上で又はそのN末端若しくはC末端で、同様に作製することができる。この種の誘導体は、例えば、カルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアとの又は第一級若しくは第二級アミンとの反応によって取得可能な、カルボン酸基のアミド;アシル基との反応によって調製される、遊離アミノ基のN-アシル誘導体;又はアシル基との反応によって調製される、遊離ヒドロキシル基のO-アシル誘導体を含む。
「機能的等価物」はまた、他の生物から入手可能なポリペプチド及び天然起源のバリアントも当然含む。例えば、相同な配列領域の区域は、配列比較によって画定することができ、等価な酵素は、本発明の具体的な情報に基づいて決定することができる。
「機能的等価物」は、例えば所望の生物学的機能を有する、シクラーゼの断片を、好ましくは個々のドメイン又は配列モチーフを同様に含む。
「機能的等価物」はさらに、上記ポリペプチド配列又はそれの機能的等価物のうち1つと、それとは機能的に異なる少なくとも1つの他の異種配列とを、機能的N末端又はC末端連結で有する融合タンパク質(すなわち、融合タンパク質部分に関して互いの実質的な機能障害を伴わない)である。この種の異種配列の非限定的な例は、例えば、シグナルペプチド、ヒスチジンアンカー又は酵素である。
タンパク質グリコシル化が可能な場合、シクラーゼは、脱グリコシル化形態又はグリコシル化形態、及びグリコシル化パターンを変化させることによって入手可能な改変形態の「機能的等価物」を含む。
シクラーゼホモログは変異誘発によって、例えばタンパク質の点変異、伸長又は短縮によって作製することができる。
本発明に記載のタンパク質のホモログは、例えば短縮変異体などの変異体のコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって同定することができる。例えば、タンパク質バリアントの多様化ライブラリは、例えば合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的に連結することによるなどの、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発よって、作製することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的ホモログに関するライブラリを作製するのに使用することができる多数の方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学的合成は自動DNA合成装置中で実施することができ、合成遺伝子は次いで、適切な発現ベクター中に連結させることができる。遺伝子の縮重セットを使用することにより、潜在的タンパク質配列の所望のセットをコードする全ての配列を1つの混合物中に提供することが可能となる。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は、当業者に公知である(例えば、Narang、S.A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakuraら(1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakuraら、(1984) Science 198:1056; Ikeら(1983) Nucleic Acids Res. 11:477)。
点変異若しくは短縮により作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするため、及び選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリをスクリーニングするための複数の技法が当業界で公知である。これらの技法は、本発明に記載のホモログのコンビナトリアル変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適合することができる。ハイスループット分析のための基礎として、大規模遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も頻繁に使用される技法には、遺伝子ライブラリを複製可能な発現ベクター中にクローニングするステップ、得られたベクターライブラリで適切な細胞を形質転換するステップ、及び所望の活性の検出より、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が容易となる条件下でコンビナトリアル遺伝子を発現させるステップが含まれる。ライブラリ中の機能的変異体の度数を増加させる技法である反復アンサンブル突然変異誘発(Recursive ensemble mutagenesis、REM)を、スクリーニング試験との組合せで使用して、ホモログを同定することができる(Arkin及びYourvan (1992) PNAS 89:7811〜7815; Delgraveら(1993) Protein Engineering 6(3):327〜331)。
本発明にそってまた構成される「機能的等価物」は、具体的に開示されているタンパク質のホモログである。これらは、具体的に開示されているアミノ酸配列の1つと、Pearson及びLipman、Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85(8)、1988、2444〜2448のアルゴリズムにより算出された、少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、特に少なくとも85%、例ば90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%などの相同性(又は同一性)を有する。本発明に記載の相同なポリペプチドの、パーセンテージとして表された、相同性又は同一性は、本明細書に具体的に記載されたアミノ酸配列のうち1つの全長に対する、相同なポリペプチドのアミノ酸残基の、パーセンテージとして表された、同一性を特に意味する。
パーセンテージとして表された、同一性データはまた、BLASTアラインメント、blastpアルゴリズム(タンパク質-タンパク質BLAST)を用いて、又は以下に具体化するClustal設定を適用して、決定することができる。
2. 核酸及び構築物
2.1 核酸
本発明に記載の方法は、ヌクレオチド配列、すなわちシクラーゼをコードする核酸分子を含む微生物の存在下で実施することができる。
本明細書に記載の全ての核酸分子(一本鎖及び二本鎖のDNA配列及びRNA配列、例えば、cDNA及びmRNAなど)は、化学合成による自体公知の様式で、ヌクレオチド構成単位から、例えば、二重らせんの個々の重複する相補的核酸構成単位の断片縮合によるなど、調製することができる。オリゴヌクレオチドの化学的合成は、例えば、ホスホロアミダイト(phosphoroamidite)法によって、公知の様式で実施することができる(Voet, Voet、第2版、Wiley Press New York、896〜897ページ)。合成オリゴヌクレオチドの付加及びDNAポリメラーゼのクレノウ(Klenow)断片を用いるギャップの埋め合わせ並びに連結反応及び一般的なクローニング法については、Sambrookら(1989)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。
シクラーゼをコードする単離された核酸分子又はその生物学的に活性なセグメントと、例えばシクラーゼのコード核酸を特定し又は増幅するためのハイブリダイゼーションプローブ又はプライマーとしての用途に使用することができるヌクレオチド断片とは、区別される。
核酸分子は、コード遺伝子領域の3'末端及び/又は5'末端の非翻訳配列をさらに含んでもよい。
具体的に記載されたヌクレオチド配列に相補的な核酸分子又はそれらのセグメントが存在する。
そのヌクレオチド配列により、他型の細胞及び生物における相同配列の同定及び/又はクローニングに使用することができるプローブ及びプライマーを作製することが可能となる。このようなプローブ又はプライマーは、その核酸配列のセンス鎖の又は相応するアンチセンス鎖の少なくとも約12、好ましくは少なくとも約25、例えば約40、50又は75個などの連続するヌクレオチドに対して、「ストリンジェントな」条件(以下を参照)下でハイブリダイズする、ヌクレオチド配列領域を通常には含む。
「単離された」核酸分子は、この核酸の天然源中に存在する他の核酸分子から分離されており、そしてまた、組換え技法によって調製された場合、他の細胞物質又は培養培地を本質的に含まないか、又は化学的に合成された場合、化学的前駆体若しくは他の化学物質を含まないとすることができる。
核酸分子は、分子生物学の標準的な技法及び提供される配列情報によって、単離することができる。例えば、cDNAは、具体的に開示されている完全配列のうち1つ又はそのセグメントをハイブリダイゼーションプローブとして使用することによって、かつ標準的なハイブリダイゼーション技法を使用することによって、適切なcDNAライブラリから単離することができる(例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E.F及びManiatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載のように)。さらに、開示されている配列のうち1つ又はそのセグメントを含む核酸分子は、使用したこの配列に基づいて作製されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって単離することができる。こうして増幅された核酸を、適切なベクター中にクローニングし、DNA配列分析によって特徴付することができる。オリゴヌクレオチドは標準的な合成方法によって、例えば自動DNA合成装置を使用してさらに作製することができる。
核酸配列又はそれらの誘導体、これらの配列のホモログ又は一部は、例えばゲノムライブラリ又はcDNAライブラリを介して、例えば通常のハイブリダイゼーション法又はPCR技法を使用して、他の細菌から単離することができる。これらのDNA配列は、標準条件下で本発明による配列にハイブリダイズする。
「ハイブリダイズする」とは、標準条件下でポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドがほぼ相補的な配列に結合する能力を意味するが、これらの条件下では、非相補的パートナー間での非特異的結合は生じない。このためには、それらの配列は90〜100%相補的であり得る。互いに特異的に結合することが可能な相補的配列の特性は、例えば、ノザンブロット技法若しくはサザンブロット技法、又はPCR若しくはRT-PCRにおけるプライマー結合において利用される。
ハイブリダイゼーションには、保存された領域の短いオリゴヌクレオチドを使用することが有利である。しかし、本発明に記載の核酸のより長い断片又は完全配列もまた、ハイブリダイゼーションに使用することができる。使用される核酸(オリゴヌクレオチド、より長い断片又は完全配列)に依存して、又はどの種の核酸、DNA若しくはRNAがハイブリダイゼーションに使用されるかということに依存して、これらの標準条件は変化する。したがって、例えば、DNA:DNAハイブリッドの融解温度は、同じ長さのDNA:RNAハイブリッドの融解温度よりも、約10℃だけ低い。
核酸に応じて、標準的な条件とは、例えば、0.1〜5×SSC(1×SSC=0.15M NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、pH7.2)の間の濃度を有する水性緩衝液中、又はさらには50%ホルムアミドの存在下で、42〜58℃の間の温度を、例えば、5×SSC、50%ホルムアミドでの42℃などを意味する。DNA:DNAハイブリッドのためのハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSC及び約20℃〜45℃の間、好ましくは、約30℃〜45℃の間の温度であることが有利である。DNA:RNAハイブリッドについては、ハイブリダイゼーション条件は、0.1×SSC及び約30℃〜55℃の間の、好ましくは、約45℃〜55℃の間の温度であることが有利である。ハイブリダイゼーションに関して記述されたこれらの温度は、ホルムアミドの非存在下での、約100ヌクレオチドの長さ及び50%のG+C含量を有する核酸について算出された融解温度値の例である。DNAハイブリダイゼーション向けの実験条件は、遺伝学の関連する教科書、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning」、Cold Spring Harbor Laboratory、1989などに記載されており、例えば核酸の長さ、ハイブリッドの種類又はG+C含量の関数として、当業者に公知の式を使用して算出することができる。当業者であれば、ハイブリダイゼーションに関するさらなる情報を以下の教科書から取得できる: Ausubelら(編)、1985、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York; Hames及びHiggins(編)、1985、Nucleic Acids Hybridization: A Practical Approach、IRL Press at Oxford University Press、Oxford; Brown(編)、1991、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、IRL Press at Oxford University Press、Oxford。
「ハイブリダイゼーション」は、特にストリンジェントな条件下で行うことができる。このようなハイブリダイゼーション条件は、例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E.F.、Maniatis, T.によって、Molecular Cloning (A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989、9.31〜9.57ページ又はCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons、N.Y. (1989)、6.3.1〜6.3.6に記載されている。
「ストリンジェントな」ハイブリダイゼーション条件とは、特に以下を意味する:50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト(Denhardt)溶液、10%デキストラン硫酸及び20g/mlの変性、断片化処理したサケの精子DNAからなる溶液中で42℃にて一晩のインキュベーション、その後の65℃にて0.1×SSCでのフィルターの洗浄ステップ。
本ヌクレオチド配列はプロモーターに融合することができる。特定のヌクレオチド配列の上流に配置されているプロモーターは、少なくとも1つのヌクレオチド置換、少なくとも1つの挿入、逆位及び/又は欠失によって、しかしプロモーターの機能性/活性を損なうことなく、変更されていてよい。さらに、プロモーターの有効性は、それらの配列を改変することによって高めることができるか、又はプロモーターは異種の生物由来のさらに有効なプロモーターと完全に置き換えることができる。
2つの核酸間の「同一性」とは、各場合における核酸の全長にわたるヌクレオチドの同一性、特に、Clustal法(Higgins DG、Sharp PM. Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer. Comput Appl. Biosci. 1989 4月; 5(2):151-1)を使用し、以下のパラメータを設定しているInformax社(USA)製のVector NTI Suite 7.1ソフトウェアを用いる比較によって算出される同一性を意味する:
多重アラインメントパラメータ:
ギャップオープンペナルティ(Gap opening penalty) 10
ギャップ伸長ペナルティ(Gap extension penalty) 10
ギャップ分離ペナルティ範囲(Gap separation penalty range) 8
ギャップ分離ペナルティ オフ
アラインメント遅延(alignment delay)に関する%同一性 40
残基特異的ギャップ(Residue specific gap) オフ
親水性残基ギャップ(Hydrophilic residue gap) オフ
トランジション加重(Transition weighting) 0
ペアワイズアラインメントパラメータ:
FASTアルゴリズム オン
K-タプル(K-tuple)サイズ 1
ギャップオープンペナルティ 3
ウインドウサイズ 5
最良のディアゴナルの数(Number of best diagonal) 5
代替法として、同一性はまた、ウェブサイト:http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#に従い、及び以下のパラメータを使用して、Chenna, Ramu、Sugawara, Hideaki、Koike, Tadashi、Lopez, Rodrigo、Gibson, Toby J、Higgins, Desmond G、Thompson, Julie D. Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs. (2003) Nucleic Acids Res 31 (13):3497〜500にしたがって決定することができる:
DNAギャップオープンペナルティ 15.0
DNAギャップ伸長ペナルティ 6.66
DNAマトリクス 同一性
タンパク質ギャップオープンペナルティ 10.0
タンパク質伸長ペナルティ 0.2
タンパク質マトリクス Gonnet
タンパク質/DNA ENDGAP -1
タンパク質/DNA GAPDIST 4
2.2 機能的変異体の作製
さらに、機能的変異体を、即ち、配列番号2と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するシクラーゼをコードするヌクレオチド配列を作製するための方法は当業者にとってなじみである。
使用する技法に応じて、当業者であれば、全体的にランダムなそうでなければより定方向変異を遺伝子中にそうでなければ非コード核酸領域(これは例えば発現の調節に重要である)中に導入でき、次いで遺伝子ライブラリを作製することができる。このために必要な分子生物学の方法は当業者に公知であり、例えば、Sambrook及びRussell、Molecular Cloning、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press 2001に記載されている。
遺伝子を改変するための方法、したがってこの遺伝子がコードするタンパク質を改変するための方法は、古くから当業者にとって公知であり、例えば、
- 部位特異的変異誘発、この場合、遺伝子の単一又は数個のヌクレオチドが定方向様式で置き換わる(Trower MK(編)1996; In vitro mutagenesis protocols. Humana Press、New Jersey)、
- 飽和変異誘発、この場合、任意のアミノ酸のためのコドンが、遺伝子の任意の点で交換することができるか又は付加することができる(Kegler-Ebo DM、Docktor CM、DiMaio D (1994) Nucleic Acids Res 22:1593; Barettino D、Feigenbutz M、Valcarel R、Stunnenberg HG (1994) Nucleic Acids Res 22:541; Barik S (1995) Mol Biotechnol 3:1)、
- エラープローンポリメラーゼ連鎖反応、この場合、ヌクレオチド配列がエラープローンDNAポリメラーゼによって変異される(Eckert KA、Kunkel TA (1990) Nucleic Acids Res 18:3739)、
- SeSaM法(配列飽和法(sequence saturation method))、この場合、好ましい交換がポリメラーゼによって妨げられる。Schenkら、Biospektrum、第3巻、2006、277〜279
- ミューテーター株における遺伝子の継代、この場合、例えば、欠陥のあるDNA修復機構により、ヌクレオチド配列の変異率が増加している(Greener A、Callahan M、Jerpseth B (1996) An efficient random mutagenesis technique using an E.coli mutator strain. In: Trower MK(編)In vitro mutagenesis protocols. Humana Press、New Jersey)、又は
- DNAシャッフリング、この場合、密接に関連した遺伝子のプールが形成され、消化され、そしてその断片がポリメラーゼ連鎖反応のテンプレートとして使用されるが、ここで、繰り返される鎖分離及び再会合によって、最終的に全長のモザイク遺伝子が生じる(Stemmer WPC (1994) Nature 370:389; Stemmer WPC (1994) Proc Natl Acad Sci USA 91:10747)。
いわゆる定方向進化(directed evolution)(例えば、Reetz MT及びJaeger K-E (1999)、Topics Curr Chem 200:31; Zhao H、Moore JC、Volkov AA、Arnold FH (1999)、Methods for optimizing industrial enzymes by directed evolution、in: Demain AL、Davies JE(編)Manual of industrial microbiology and biotechnology. American Society for Microbiologyに記載)を使用して、当業者であれば、定方向様式で及び大規模に機能的変異体を産生することができる。このためには、第一のステップにおいて、それぞれのタンパク質の遺伝子ライブラリが、例えば上記の方法を使用して、最初に産生される。遺伝子ライブラリは、例えば細菌ディスプレイ系によって又はファージディスプレイ系によって、適切な方法で発現される。
所望の特性に概ね相応する特性を有する機能的変異体を発現する宿主生物の関連の遺伝子を、別の変異サイクルに供することができる。変異のステップ及び選択又はスクリーニングのステップは、本発明の機能的変異体が所望の特性を充分な程度に有するまで、反復して繰り返すことができる。この反復手順を使用して、限定数の変異を、例えば、1、2、3、4又は5回の変異を段階的に実施し、そして問題の酵素特性に及ぼすこの変異の影響に対して評価し及び選択することができる。選択された変異体は、次いで、同じ方法でさらなる変異ステップに供することができる。この方法で、調査すべき個々の変異体の数を、顕著に減少させることができる。
本発明に記載の結果はまた、所望の改変された特性を有するさらなる酵素を標的化された様式で作製するのに必要な、関連の酵素の構造及び配列に関する重要な情報を提供する。具体的には、いわゆる「ホットスポット」を、即ち、標的化した変異を導入することによって酵素特性を改変するのに潜在的に適した配列セグメントを、規定することが可能である。
酵素活性に対しておそらくほとんど影響を及ぼさず、潜在的「サイレント変異」と称することができる変異が施されうる領域における、アミノ酸配列位置に関する情報もまた類推することができる。
2.3 構築物
本発明に記載の方法では、ヌクレオチド配列は発現カセットの一部とすることができる。用語発現カセットと発現構築物とは同義的に使用されている。好ましく組み換えられた発現構築物は、本発明に記載のポリペプチドをコードするとともに、調節核酸配列の遺伝子制御下にある核酸配列を含有する。
本発明に記載の方法では、発現カセットは発現ベクターの、特に組換え発現ベクターの一部とすることができる。
「発現ユニット」とは、本発明においては、本明細書に規定されるプロモーターを含み、発現予定の核酸又は遺伝子との機能的連結後に、前記核酸又は前記遺伝子の発現を調節する、即ち、これらの転写及び翻訳を調節する、発現活性を備える核酸を意味する。したがって発現ユニットはこれに関連して「調節核酸配列」とも呼ばれる。プロモーターに加えて、他の調節エレメント、例えば、エンハンサーもまた存在することができる。
「発現カセット」又は「発現構築物」とは、本発明においては、発現予定の核酸又は発現予定の遺伝子に機能的に連結されている発現ユニットを意味する。したがって、発現ユニットとは対照的に、発現カセットは、転写及び翻訳を調節する核酸配列とともに、転写及び翻訳の結果としてタンパク質として発現されることになっている核酸配列もまた含む。
用語「発現」又は「過剰発現」は、本発明の文脈においては、相応するDNAによってコードされている、微生物中の1つ以上の酵素の産生又は細胞内活性の増加を云う。このためには、例えば、生物中に遺伝子を導入すること、既存の遺伝子を別の遺伝子で置き換えること、遺伝子(複数可)のコピー数を増加させること、強力なプロモーターを使用すること、又は高い活性を有する相応する酵素をコードする遺伝子を使用することが可能であり、任意選択でこれらの手段を組み合わせてもよい。
本発明に記載のこのような構築物は、各場合においてコード配列と作動可能に連結されて、それぞれのコード配列の5'上流にプロモーター及び3'下流にターミネーター配列、並びに任意選択で他の通常の調節エレメントを含むのが、好ましい。
本発明による、「プロモーター」、「プロモーター活性を有する核酸」又は「プロモーター配列」とは、転写される核酸に機能的に連結されている場合、前記核酸の転写を調節する核酸を意味する。
この文脈においては、「機能的」又は「作動可能な」連結とは、調節エレメントのそれぞれが核酸配列の転写の際にその機能を行い得る様態で、プロモーター活性を有する核酸のうち1つ及び転写される核酸配列、並びに任意選択のさらなる調節エレメント(例えば、核酸の転写を確実にする核酸配列、及び例えばターミネーター)が順次に配置されていることを、例えば意味する。これは、化学的な意味での直接的な連結を必ずしも必要としない。遺伝子制御配列、例えばエンハンサー配列は、より離れた位置から、又はさらには他のDNA分子からさえ、標的配列に対してその機能を発揮することさえできる。転写される核酸配列がプロモーター配列の後ろに(即ち、プロモーター配列の3'末端に)位置づけられて、この2つの配列が共有結合で互いに連結されるような配置が好ましい。プロモーター配列と組み換え発現される核酸配列との間の距離は、200塩基対未満、又は100塩基対未満若しくは50塩基対未満の場合もある。
プロモーター及びターミネーターに加えて、他の調節エレメントの例として以下を言及することができる:標的指向性配列、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、選択マーカー、増幅シグナル、複製起点など。適切な調節配列は、例えばGoeddel、Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、CA (1990)に記載されている。
本発明に記載の核酸構築物は、特に、例えば配列番号1由来の、シクラーゼをコードする配列、若しくは配列番号2に記載のシクラーゼをコードする配列、又はその誘導体及びホモログ、並びにこれらに由来することができそして遺伝子の発現を制御するのに(例えば遺伝子の発現を増加させるのに)有利に1つ以上の調節シグナルと作動可能に又は機能的に連結されている核酸配列を含む。
これらの調節配列に加えて、これらの配列の天然調節は、依然として実際の構造遺伝子の前に存在することができ、かつ任意選択で、天然調節のスイッチは切られてそして遺伝子の発現が高められているように遺伝子的に改変されていてもよい。しかし、この核酸構築物は、より単純な構造のものであってもよく、即ち、コード配列の前に追加的調節シグナルは挿入されておらず、そしてその調節を有する天然プロモーターは除去されていない。その代わり、調節がもはや起こらずそして遺伝子の発現が増加するように、天然調節配列は変異される。
好ましい核酸構築物はまた、核酸配列の発現の増加を可能にする、プロモーターに機能しうる形で連結された、既に言及した「エンハンサー」配列の1つ以上も有利には含む。追加の有利な配列はまた、DNA配列の、例えば更なる調節要素又はターミネーターの3'末端で挿入されていてもよい。本発明に記載の核酸の1つ以上のコピーが、構築物中に存在してもよい。構築物には、他のマーカー、例えば栄養要求性又は抗生物質抵抗性を補完する遺伝子もまた、構築物を選択するために任意選択で存在してもよい。
適切な調節配列の例は、プロモーターに、例えば、cos、tac、trp、tet、trp-tet、lpp、lac、lpp-lac、lacIq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、rhaP(rhaPBAD)SP6、ラムダ-PRに又はラムダ-PLプロモーターに存在し、これらはグラム陰性細菌中で有利に用いられる。さらなる有利な調節配列は例えばグラム陽性プロモーターamy及びSPO2に、酵母の又は菌類のプロモーターADC1、MFアルファ、AC、P-60、CYC1、GAPDH、TEF、rp28、ADHに存在する。人工プロモーターもまた、調節のために使用することができる。
宿主生物での発現のために、この核酸構築物は、ベクターに、例えば、宿主中での遺伝子の最適な発現を可能にするプラスミド又はファージなどに有利に挿入される。プラスミド及びファージに加えて、ベクターはまた、当業者に公知の他の全てのベクター、すなわち例えばSV40、CMV、バキュロウイルス及びアデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、ファージミド、コスミド、及び線状の若しくは環状のDNAを意味する。これらのベクターは、宿主生物中で自律的複製を行うことができるか、そうでなければ染色体複製を行うことが可能である。これらのベクターは、本発明のさらなる一展開である。
適切なプラスミドは、例えば大腸菌ではpLG338、pACYC184、pBR322、pUC18、pUC19、pKC30、pRep4、pHS1、pKK223-3、pDHE19.2、pHS2、pPLc236、pMBL24、pLG200、pUR290、pIN-III113-B1、λgt11若しくはpBdCI、ストレプトマイセスではpIJ101、pIJ364、pIJ702若しくはpIJ361、バチルスではpUB110、pC194若しくはpBD214、コリネバクテリウムではpSA77若しくはpAJ667、菌類ではpALS1、pIL2若しくはpBB116、酵母では2アルファM、pAG-1、YEp6、YEp13若しくはpEMBLYe23、又は植物ではpLGV23、pGHlac+、pBIN19、pAK2004若しくはpDH51である。上記のプラスミドは、可能性のあるプラスミドの内の僅かな選択である。さらなるプラスミドは当業者に周知であり、例えば書籍Cloning Vectors(編者Pouwels P. H.らElsevier、Amsterdam-New York-Oxford、1985、ISBN 0 444 904018)中に見出すことができる。
ベクターのさらなる一展開では、本発明に記載の核酸構築物又は本発明による核酸を含むベクターはまた、線状のDNAの形態で微生物中に有利に導入することができるとともに、非相同組換え又は相同組換えを介して宿主生物のゲノム中に組み込むことができる。この線状のDNAは、プラスミドなどの線状化ベクターからなることが可能であり、又は本発明に記載の核酸構築物又は核酸のみからなることが可能である。
生物内の異種遺伝子の最適な発現のためには、その生物において使用される特定の「コドン使用頻度」と整合するように核酸配列を改変することが有利である。「コドン使用頻度」については、問題の生物の他の公知の遺伝子に関するコンピュータ評価によって容易に確認することができる。
本発明に記載の発現カセットは、適切なプロモーターを、適切なコード化ヌクレオチド配列及びターミネーターシグナル又はポリアデニル化シグナルに融合させることにより作製される。例えば以下に記載されるような、通例の組換え及びクローニングの技法がこの目的のために使用される: T. Maniatis、E.F. Fritsch及びJ. Sambrook、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY (1989)並びにT.J. Silhavy、M.L. Berman及びL.W. Enquist、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY (1984)並びにAusubel, F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience (1987)。
適切な宿主生物での発現のために、組換え核酸構築物又は遺伝子構築物は、その宿主における遺伝子の最適な発現を可能にする宿主特異的なベクター中に挿入されるのが有利である。ベクターは、当業者に周知であり、例えば、「Cloning vectors」(Pouwels P. H.ら編、Elsevier、Amsterdam-New York-Oxford、1985)に見出すことができる。
3. 微生物
文脈に応じて、用語「微生物」は、野生型微生物若しくは遺伝的に改変された組換え微生物又はそれら両方を云うことができる。
本発明に記載のベクターを使用して、例えば本発明に記載の少なくとも1つのベクターで形質転換されているとともに、本発明に記載のポリペプチドを産生するために使用することができる、組換え微生物を作製することが可能である。有利には、本発明に記載の上記組換え構築物は、適切な宿主系へと導入され、そしてそこで発現される。このことに関連して、問題の発現系において上記核酸の発現が可能となるように、当業者に公知の、例えば、共沈、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、レトロウイルストランスフェクション等などの、通例のクローニング法及びトランスフェクション法が使用されるのが好ましい。適切な系は、例えば、Current Protocols in Molecular Biology、F. Ausubelら編、Wiley Interscience、New York 1997、又はSambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載されている。
本発明に記載の核酸又は核酸構築物に適した組換え宿主生物は、原則として、全ての原核生物又は真核生物である。微生物、例えば細菌、菌類又は酵母が宿主生物として有利には使用される。グラム陽性細菌又はグラム陰性細菌、好ましくは腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、ストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)又はノカルジア科(Nocardiaceae)の細菌、とりわけ好ましくはエシェリキア属、シュードモナス属、ストレプトマイセス属、ノカルジア属(Nocardia)、バークホルデリア属、サルモネラ属(Salmonella)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、クロストリジウム属又はロドコッカス属(Rhodococcus)の細菌が有利に使用される。非常にとりわけ好ましいのは、大腸菌の属及び種である。さらなる有利な細菌が、アルファ-プロテオバクテリア(Proteobacteria)、ベータ-プロテオバクテリア又はガンマ-プロテオバクテリアの群においてまた見出すことができる。
この文脈では、本発明に記載の宿主生物(複数可)は、本発明に記載され、かつ上記定義によるフェニルエタノールデヒドロゲナーゼ活性を有する酵素をコードする、核酸配列、核酸構築物又はベクターの少なくとも1つを含有するのが好ましい。
宿主生物に依存して、本発明に記載の方法で使用される生物は、当業者になじみの様式で増殖又は培養される。概して、微生物は、通常は糖の形態の炭素源、通常は有機窒素源の形態の窒素源、例えば酵母抽出物又は硫酸アンモニウムなどの塩、微量元素、例えば鉄塩、マンガン塩、マグネシウム塩、及び任意選択でビタミンを含む液体培地中で、0℃〜100℃の間の温度、好ましくは10℃〜60℃との間の温度にて、酸素ガスを通しながら増殖される。液体培地のpHについては、固定値に保つことができ、即ち培養中に調節してもよく、しなくてもよい。培養は、バッチ方式でも、半バッチ方式でも、連続的で行ってもよい。栄養素は、発酵の開始時に供給してもよく、また半連続的に、連続的に添加してもよい。
4. 本発明に記載の酵素の組換え産生
本発明はさらに、本発明に記載の酵素及びそれらの機能的な生物学的に活性な断片の組換え産生のための方法に関し、ここで、酵素産生微生物を培養し、ポリペプチドの発現を任意選択で誘導し、そしてこのポリペプチドを培養物から単離する。所望の場合、ポリペプチドはまた工業規模でこのようにして産生することもできる。
このように産生した微生物は、バッチ法で、又は流加法若しくは反復流加法で、連続的に又は非連続的に培養することができる。公知の培養法の概要は、Chmielによる教科書(Bioprozesstechnik 1. Einfuhrung in die Bioverfahrenstechnik [Bioprocess technology 1. Introduction to bioprocess technology] (Gustav Fischer Verlag、Stuttgart、1991))又はStorhasによる教科書(Bioreaktoren und periphere Einrichtungen [Bioreactors and peripheral equipment] (Vieweg Verlag、Braunschweig/Wiesbaden、1994))に見出すことができる。
使用される培養培地は、それぞれの株の要件を適切に満たす必要がある。種々の微生物のための培養培地に関する説明は、American Society for Bacteriology (Washington D. C.、USA、1981)のマニュアル「Manual of Methods for General Bacteriology」に与えられている。
本発明にしたがって使用できるこれらの培地は、1つ以上の炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン及び/又は微量元素を通常含む。
好ましい炭素源は糖、例えば、モノサッカライド、ジサッカライド又はポリサッカライドである。非常に良好な炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、リボース、ソルボース、リブロース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラフィノース、デンプン又はセルロースである。糖はまた、複合化合物、例えば糖蜜又は精糖の他の副産物を介して、培地に添加することができる。異なる炭素源の混合物を添加することも有利であり得る。他の可能性のある炭素源は油及び脂肪、例えば、ダイズ油、ヒマワリ油、ピーナツ油及びココヤシ脂肪、例えばパルミチン酸、ステアリン酸又はリノール酸などの脂肪酸、アルコール、例えばグリセロール、メタノール又はエタノール、及び有機酸、例えば酢酸又は乳酸である。
窒素源は通常、有機若しくは無機の窒素化合物、又はこれらの化合物を含む材料である。窒素源の例には、アンモニアガス又は硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム若しくは硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸塩、尿素、アミノ酸、又は複合窒素源、例えばコーンスティープリカー、ダイズ粕、ダイズタンパク質、酵母抽出物、肉抽出物等が含まれる。このような窒素源は、単独で又は混合物として使用することができる。
培地中に存在することができる無機塩化合物には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、カリウム、マンガン、亜鉛、銅及び鉄の、塩化物塩、リン酸塩又は硫酸塩が含まれる。
無機の硫黄含有化合物、例えば硫酸塩、亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、テトラチオン酸塩、チオ硫酸塩、硫化物、並びに有機硫黄化合物、例えばメルカプタン及びチオールが、硫黄源として使用することができる。
リン酸、リン酸二水素カリウム若しくはリン酸水素二カリウム、又は相応するナトリウム含有塩がリン源として使用することができる。
溶解した金属イオンを保つために、キレート剤を培地に添加することができる。とりわけ適切なキレート剤には、ジヒドロキシフェノール、例えば、カテコール若しくはプロトカテク酸、又は有機酸、例えばクエン酸が含まれる。
本発明にしたがって使用される発酵培地はまた、ビタミン類又は増殖促進剤などの他の増殖因子も通常含み、ビタミン類としては、例えばビオチン、リボフラビン、チアミン、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸塩及びピリドキシンが含まれる。増殖因子及び塩は、複合培地の成分、例えば酵母抽出物、糖蜜、コーンスティープリカー等に起源することが多い。さらに、適切な前駆体を培養培地に添加することができる。培地中の化合物の正確な組成は、それぞれの実験に強く依存し、特定の各場合に対して個々に決定される。培地の最適化に関する情報は、教科書「Applied Microbiol. Physiology, A Practical Approach」(編者P.M. Rhodes、P.F. Stanbury、IRL Press (1997) 53〜73ページ、ISBN 0 19 963577 3)に見出すことができる。増殖培地は、例えばStandard 1(Merck)又はBHI(ブレインハートインフュージョン、DIFCO)等、供給業者から得ることもできる。
培地の全ての成分は、熱によって(1.5bar及び121℃にて20分間)又はろ過滅菌のいずれかによって、無菌化される。成分は、必要に応じて、一緒に又は個別にこのいずれかで無菌化することができる。培地の全ての成分は、培養開始時に存在してもよく、連続的に又はバッチ方式のいずれかで添加してもよい。
培養温度は通常、15℃〜45℃の間、好ましくは25℃〜40℃であり、実験中に変動しても一定に維持してもよい。培地のpHは、5〜8.5の範囲内、好ましくは約7.0とすべきである。増殖のためのpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア若しくはアンモニア水などの塩基性化合物、又はリン酸若しくは硫酸などの酸性化合物を添加することによって、増殖の間に制御することができる。消泡剤、例えば脂肪酸ポリグリコールエステルを、発泡を制御するために使用することができる。プラスミドの安定性を維持するために、例えば抗生物質などの、適切な選択的作用物質を培地に添加することができる。好気性条件を維持するために、酸素又は例えば周囲空気などの酸素含有ガス混合物を、培養物中に通過させる。培養物の温度は通常、20℃〜45℃の範囲内である。培養は、最大量の所望の産物が形成されるまで継続される。この目標は通常、10時間〜160時間以内に達成される。
発酵溶液は引き続いてさらに処理される。要件に応じて、バイオマスは、分離技法、例えば遠心分離、ろ過、デカント又はこれらの方法の組合せによって、完全に又は部分的に発酵溶液から取り出してもよいし、また完全に発酵溶液中に残してもよい。
ポリペプチドが培養培地中に分泌されない場合、細胞を溶解させてもよく、そしてタンパク質の分離のための公知の方法によって産物を溶解物から取得することができる。細胞は、高周波超音波で、例えばフレンチプレス中での高圧で、浸透圧溶解により、界面活性剤、溶解酵素若しくは有機溶媒の作用により、ホモジナイザーにより、又は上記方法のいくつかの組合せにより、任意選択で破砕することができる。
ポリペプチドは、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)などの、Q-セファロースクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー及び疎水性クロマトグラフィーなどの、公知のクロマトグラフィー技法、並びに限外ろ過、結晶化、塩析、透析及び非変性ゲル電気泳動などの、他の通常の技法によって精製することができる。適切な方法は、例えば、Cooper, T. G.、Biochemische Arbeitsmethoden [Biochemical processes]、Verlag Walter de Gruyter、Berlin、New Yorkに又はScopes, R.、Protein Purification、Springer Verlag、New York、Heidelberg、Berlinに記載されている。
組み換えタンパク質の単離には、規定したヌクレオチド配列だけcDNAを伸長し、それゆえ例えば精製をより簡単にするために機能する修飾ポリペプチド又は融合タンパク質をコードするベクター系又はオリゴヌクレオチドを用いることが有利な場合がある。この種類の好適な改変は、例えば、アンカーとして機能するいわゆる「タグ」、例えばヘキサ-ヒスチジンアンカーとして公知の改変、又は抗体の抗原として認識しうるエピトープである(例えば、Harlow, E.及びLane, D.、1988、Antibodies: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor (N.Y.) Pressに記載)。これらのアンカーは、例えばクロマトグラフィカラムに充填しうるポリマーマトリックスのような固体担体にタンパク質を結合させるために機能することができるか、又はマイクロタイタープレート上で若しくはいくつかの他の担体上で使用することができる。
同時にこのようなアンカーはタンパク質の認識向けにも使用できる。タンパク質を認識するために、蛍光色素、基質との反応の後に検出可能な反応生成物を形成する酵素マーカー、若しくは放射性マーカーなどの通常のマーカーを、単独で又はタンパク質の誘導体化向けのアンカーと組み合わせて使用することもさらに可能である。
同様に、そのようなシクラーゼ発現微生物をまた、式(II)の化合物の発酵的産生に使うこともでき、この場合、式(I)の化合物を基質として機能するように培地にさらに加え、そして微生物を培養し、価値のある産物を発酵液から任意選択で分離する。加えて、式(I)の化合物はまた、微生物によって自律的に産生することもできるが、これはこの微生物が単純な前駆体から式(I)を合成するための相応する生化学的装置を有しているからである。
6. 酵素の固定化
本発明にしたがって使用される酵素は、本明細書に記載の方法において、遊離形態で又は固定化形態で使用することができる。固定化された酵素は、不活性担体に固定化されている酵素である。適切な担体材料及び担体材料に固定化される酵素は、EP-A-1149849、EP-A-1069183及びDE-OS 100193773から並びにこれらに引用されている参考文献から公知である。これに関して、これらの文献の開示全体が参照により本明細書に組み込まれることとする。適切な担体材料には、例えば、粘土、カオリナイトなどの粘土鉱物、珪藻土、パーライト、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、アニオン交換材料、合成ポリマー、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン並びにポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィンが含まれる。担持された酵素を製造するために、担体材料は、通常、微細に分割された粒状形態で、多孔性形態が好ましいが、通常用いられる。担体材料の粒径は通常5mm以下であり、特に2mm以下である(粒径分布曲線)。同様に、デヒドロゲナーゼを全細胞触媒として使用する場合、遊離形態又は固定化形態を選択することが可能である。担体物質は、例えば、アルギン酸Ca及びカラゲナンである。酵素と細胞はまた、グルタルアルデヒドを用いて直接的に架橋されていてもよい(CLEAに対する架橋)。相応する及び他の固定化技法は、例えば、J. Lalonde及びA. Margolin「Immobilization of Enzymes」、K. Drauz and H. Waldmann, Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002、第III巻、991〜1032、Wiley-VCH, Weinheimに記載されている。本発明に記載の方法を実施するための生体内変換及びバイオリアクタに関するさらなる情報は、例えば、Rehmら、(編)Biotechnology、第2版、第3巻、第17章、VCH, Weinheim中にも与えられている。
6. ゲラニルリナロールの酵素的環化
本発明に記載の環化方法は特に酵素の存在下で実施されるが、この酵素は配列番号1による核酸配列又はその機能的等価物によってコードされ、ここで、この核酸配列は遺伝子構築物又はベクターの構成要素である。このような遺伝子構築物又はベクターは、本明細書中で明示的に参照される、国際出願PCT/EP2010/057696の第16〜20ページに詳細に記載されている。
所望の活性を有する酵素をコードする核酸配列が存在している遺伝子構築物又はベクターを含有する宿主細胞は、トランスジェニック生物とも呼ばれる。このようなトランスジェニック生物の作出は、原理的には公知であり、本明細書で明示的に参照される、例えば国際出願PCT/EP2010/057696の第20ページで考察されている。
細菌、ラン藻、菌類及び酵母を含む群からの細胞が、トランスジェニック生物として選択されることが好ましい。細胞は、好ましくは、ピキア(Pichia)属の菌類、又は大腸菌属、コリネバクテリウム属、ラルストニア属、クロストリジウム属、シュードモナス属、バチルス属、ザイモモナス属、ロドバクター属、ストレプトマイセス属、バークホルデリア属、ラクトバチルス属若しくはラクトコッカス属の細菌から選択される。細胞は、大腸菌種、シュードモナス・プチダ種、バークホルデリア・グルマエ種、ストレプトマイセス・リビダンス種、ストレプトマイセス・セリカラー種又はザイモモナス・モビリス種の細菌から選択されるのがとりわけ好ましい。
シクラーゼの活性を有する酵素が、ザイモモナス・モビリスの内から選択される微生物から単離された遺伝子によってコードされることを特徴とする、本発明に記載の方法が好ましい。
シクラーゼ活性を有する酵素が、酵素を過剰産生するとともに、大腸菌属、コリネバクテリウム属、ラルストニア属、クロストリジウム属、シュードモナス属、バチルス属、ザイモモナス属、ロドバクター属、ストレプトマイセス属、バークホルデリア属、ラクトバチルス属及びラクトコッカス属からなる微生物の群から選択された、微生物によって製造されたことを特徴とする、本発明に記載の方法がさらに好ましい。
シクラーゼ活性を有する酵素を過剰産生する大腸菌種、シュードモナス・プチダ種、バークホルデリア・グルマエ種、コリネバクテリウム・グルタミクム種、サッカロマイセス・セレビシエ種、ピキア・パストリス種、ストレプトマイセス・リビダンス種、ストレプトマイセス・セリカラー種、バチルス・スブチリス種又はザイモモナス・モビリス種のトランスジェニック微生物によって、シクラーゼ活性を有する酵素が産生されたことを特徴とする、本発明に記載の方法が特に言及される。
本発明に記載の方法は、酵素が以下の形態のうち少なくとも1つで存在することを特徴とする:
a) 遊離の、任意選択で精製されているか又は部分的に精製されているポリペプチド、
b) 固定化されているポリペプチド、
c) a)又はb)に記載の、細胞から単離されているポリペプチド、
d) 少なくとも1つのそのようなポリペプチドを含む、無傷の細胞、任意選択で休止状態又は増殖中の細胞、
e) d)に記載された細胞の溶解物又はホモジェネート。
本発明に記載の方法のさらなる一実施形態は、細胞が微生物、好ましくはシクラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする異種核酸分子の少なくとも1つを発現するトランスジェニック微生物であることを特徴とする。
本発明に記載の方法の好ましい一実施形態は、少なくとも以下のステップa)、b)及びd)を含む:
a) 天然源由来の、シクラーゼ活性を有する酵素を産生する微生物を単離するか又は組換え作出するステップ、又は
b) この微生物を増殖させるステップ、
c) 任意選択で、シクラーゼ活性を有する酵素をこの微生物から単離するステップ又はこの酵素を含むタンパク質画分を調製するステップ、及び
d) ステップb)の微生物又はステップc)の酵素を、一般式(I)の基質を含む培地に移すステップ。
本発明に記載の方法では、基質を酵素の存在下で反応させるように、基質を培地中でシクラーゼ酵素と接触させ及び/又はインキュベートする。媒地は水性反応媒地であるのが好ましい。
本発明に記載の方法が好ましく実施される水性反応培地のpHは、pH4〜12の間、好ましくはpH4.5〜9の間、とりわけ好ましくはpH5〜8の間に維持されるのが有利である。
水性反応媒地は、好ましくは、好ましくは5〜8のpHを原則として有する、緩衝化液であるのが好ましい。使用可能な緩衝剤は、クエン酸塩、リン酸塩、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)又はMES緩衝剤(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)とすることができる。反応媒地はまた、さらなる添加物、例えば、界面活性剤(例えば、タウロデオキシコール酸塩)等をさらに含んでもよい。
基質は、酵素環境に2〜200mM、とりわけ好ましくは5〜25mMの濃度で導入されるのが好ましく、連続的に又はバッチ方式で再供給することができる。
原則として、酵素環化は、使用される酵素の非活性化温度未満及び-10℃を上回った反応温度で行われる。本発明に記載の方法は、0℃〜95℃の間の温度にて、とりわけ好ましくは15℃〜60℃の間の温度にて、特に20〜45℃の間の温度、例えば約25〜30℃にて実施されるのが好ましい。
とりわけ好ましいのは、反応が20〜40℃の範囲の温度にて及び/又は4〜8の範囲のpHにて行われる、本発明に記載の方法である。
これらの単相水性系に加えて、本発明の別の変形では、二相系も使用される。この場合、水相はもちろん、有機性の非水混和性反応媒地が第二の相として使用される。結果として、反応産物は有機相中に蓄積する。反応後に、有機相中の産物を、生体触媒を含む水相から容易に分離することができる。
反応産物は、有機溶媒を使用して抽出し、任意選択で、精製のために蒸留することができる。
適切な有機溶媒の例としては、好ましくは5〜8個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン若しくはシクロオクタン、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン若しくはテトラクロロエタン、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン若しくはジクロロベンゼン、好ましくは4〜8個の炭素原子を有する脂肪族非環式及び環式エーテル又はアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、エチル-tert-ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン又はエステル、例えば酢酸エチル若しくは酢酸n-ブチル又はケトン、例えばメチルイソブチルケトン若しくはジオキサン、或いはそれらの混合物である。上記ヘプタン、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチルを使用するのがとりわけ好ましい。
本発明にしたがって使用されるシクラーゼは、既に上記したように、遊離の酵素又は固定化された酵素として、本発明に記載の方法において使用することができる。
本発明に記載の方法向けに、シクラーゼをコードする核酸、核酸構築物又はベクターを含む、休止状態又は増殖中の、遊離の細胞又は固定化された細胞を使用することが可能である。破砕細胞も、例えば細胞溶解物又は細胞ホモジネートも使用することができる。破砕細胞は、例えば、例えば溶媒での処理によって透過処理された細胞、又は酵素処理によって、機械的処理(例えば、フレンチプレス又は超音波)によって若しくは他のある種の方法によって破砕された細胞である。かくして得られた粗抽出物は、好都合には、本発明に記載の方法に適している。精製された又は部分的に精製された酵素もまた、本方法に使用することができる。
遊離の生物又は酵素が本発明に記載の方法に使用される場合、これらは例えばろ過又は遠心分離によって抽出前に便宜的に単離される。
本発明に記載の方法は、バッチ方式で、半バッチ方式で、又は連続的に操作することができる。
本方法のとりわけ好ましい一実施形態では、シクラーゼ活性を有する酵素は、配列番号2によるアミノ酸配列又はそれに由来する配列を含む酵素の内から選択されるが、この配列において、最大25%、好ましくは最大20%、とりわけ好ましくは最大15%、特に最大10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%のアミノ酸残基が、欠失、置換、挿入、又は欠失、置換及び挿入の組合せによって改変されている。ここで、配列番号2に対して改変されているこのようなポリペプチド配列は、少なくとも50%、好ましくは65%、とりわけ好ましくは80%、特には90%より高い、配列番号2の酵素活性をなお保持することができる。この文脈において、配列番号2の酵素活性とは、一般式(I)の化合物を生体触媒環化して、式(II)の相応する化合物を与える能力をいう。
実験の部
以下の実施例において、特別な情報が与えられていない場合には、以下の一般的な情報が適用される。
A. 一般的情報
用いられる全ての材料及び微生物は、市販の製品である。
特に示されていない限り、組換えタンパク質のクローニング及び発現は、例えば、Sambrook, J.、Fritsch, E.F.及びManiatis, T.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989に記載される等の、標準的な方法によって実施される。
a) 細菌株、プラスミド及び増殖条件
大腸菌LU15568を、適切な前培養2mlから播種し、100mlのエルレンマイヤーフラスコ(バッフル付)で、IPTG0.1mM、ラムノース0.5g/lの存在下で、20mlのLytic Broth-Amp/Spec/Cm(アンピシリン100μg/l、スペクチノマイシン100μg/l、クロラムフェニコール20μg/l)中で37℃にて16時間増殖し、5000*gにて10分間遠心分離した。
b) ゲラニルリナロールを使用する環化アッセイ(標準条件)
組換え大腸菌細胞を、20mM Tris-HCl pH8.0(湿細胞1g当たり3ml)中に懸濁させた。この環化混合物には、細胞懸濁物250μl、1Mクエン酸塩緩衝液(pH4.5)50μl、基質20mM(最終濃度)及び500μlとする水が含れていた。スクアレンの環化では、1%(v/v)Triton-X100を添加した。環化反応にあたって、大腸菌細胞(湿細胞6g)を、可溶化緩衝液(50mMリン酸塩、10mM MgCl2(pH6.5、総容量:25ml))中に懸濁させた。細胞を、Manton-Gaulinホモジナイザーを使用して1500barにて破砕させた。不溶性細胞細片を、遠心分離して除いた(4℃及び7150*gにて15分間)。
ゲラニルリナロールの反応に当たって、KPi緩衝液(50mMリン酸カリウム、pH6.5、10mM MgCl2)1.2mlを、粗酵素抽出物1ml(50mM KPi緩衝液中タンパク質含量39.3mg/ml)及びゲラニルリナロール(Sigma-Aldrich-Fluka製、Order No. 48809)22μlと混合させ、マグネチックスターラーを備えた10mlのスクリュートップジャー中で、37℃及び300rpmにて3時間又は20時間インキュベートした。
インキュベーション時間の終了時に、試料をn-ヘプタン/1-プロパノール(3:2)5mlで抽出し、GCにて分析した。対照は、空ベクターを保有する大腸菌細胞を用いて、及び熱不活化SHC発現細胞を用いて実施した
c) ガスクロマトグラフィー
装置: Agilent 6890 series
カラム: OPTIMA-1 TG ID:0.32mm、長さ:10m(Macherey-Nagel、Duren、ドイツ)
流速: 5.1psi(及び80℃)にて1.0/min
スプリット: 1:50、スプリットフロー: 50ml/min、
キャリアーガス: 窒素
インジェクター: スプリット/スプリットレスライナー(Restec GmbH、Bad Homburg、ドイツ;Siltec-非作動、4*6.3*78.5mm、ガラスウール)インジェクター温度 280℃
注入容積: 1μl
ディテクター: 300ml/minの空気、30ml/minの水素及び30ml/minの窒素でのFID
ディテクター温度: 320℃
温度プログラム:
開始時: 100℃
滞留時間1: 0min
T ramp 1: 5℃/min
T end 1: 200℃
滞留時間2: 5min
T ramp 2: 30℃/min
T end 2: 320℃
滞留時間3: 20min
合計時間: 49.0min
データ分析: Empower-3 software Service Release 1 (Waters GmbH、Eschborn、ドイツ)
ゲラニルリナロールの保持時間: 14.4min
B. 実施例
[実施例1]
Zmo-SHC(配列番号2)によるゲラニルリナロールの環化
a) 手順:
組換えZmo-SHCを、LU 15568を増殖させ破砕することにより記載の通り作製した(PCT/EP2010/057696 (WO2010139719 A2)を参照)。この酵素の調製をチェックするために、参照基質としてホモファルネソールを使用してその活性を再決定した。得られた活性(総タンパク質39mgで3時間において63%の転換率)は、これらの条件下でこれまでに得られた結果の範囲内である。
ゲラニルリナロールの反応を標準条件下で上記の通り実施した。
インキュベーション時間の終了時に、試料をn-ヘプタン/1-プロパノール(3:2)5mlで抽出し、GCにて分析した。
反応式:
b) 結果
20時間後、酵素依存性の2つのピークが見られた(それぞれ、13.3及び13.7分間の保持時間)。用いたゲラニルリナロールに対して転換率は約11%である。GC-MS分析及びマススペクトルの解釈により、ベンゾクロメン誘導体2の2つの構造異性体をその2つのピークに割り当てた。
MSによって、それぞれ13.3と13.7minの2つのピークの間の差を解明することはできなかった。例えば、これらは化合物2の立体異性体である可能性がある。
これらのピークは、酵素を添加せずにインキュベートした陰性対照では検出されなかった。
この結果は、Zmo-SHCもゲラニルリナロール(1)を環化できることを実証している。しかし、2つ以上の異性体が反応において生じていると思われる。
c) まとめ:
ザイモモナス・モビリス由来の組換えスクアレン-ホペンシクラーゼによるゲラニルリナロールから三環のビニルベンゾクロメン誘導体への環化を初めて実証することができた。
配列
配列番号1: Zmo-SHCの核酸配列
配列番号2: Zmo-SHCのアミノ酸配列
本明細書で引用した刊行物の開示が、明示的に参照されている。

Claims (11)

  1. 配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するシクラーゼの存在下又は配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するシクラーゼの存在下で、式(I)
    の化合物を生体触媒環化するための方法。
  2. シクラーゼが配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項1記載の方法。
  3. シクラーゼが配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1記載の方法。
  4. 式(I)の化合物を反応させて式(II)
    の化合物を得る、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. シクラーゼが、未精製の、精製された、溶解された、分散された若しくは固定化された形態で存在するか、又は微生物のシクラーゼ提示細胞の存在下で存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. シクラーゼをコードするヌクレオチド配列を含む組換え微生物の存在下での請求項1〜35のいずれか1項記載の方法。
  7. ヌクレオチド配列が発現カセットの一部であるとともに、その発現カセットにおいて、少なくとも1つの調節配列の制御下にある、請求項6記載の方法。
  8. 発現カセットが発現ベクターの一部である、請求項7記載の方法。
  9. 発現ベクターがプラスミドの内から選択される、請求項8記載の方法。
  10. 微生物が細菌、菌類及び酵母の内から選択される、請求項5〜9のいずれか1項記載の方法。
  11. 微生物が大腸菌である、請求項10記載の方法。
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