JP2021517587A - 腫瘍浸潤リンパ球(tils)を活性化する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、特に、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象に、共生微生物叢の培地での発酵を介して産生される発酵組成物を投与することによって、該対象におけるTILを活性化させる方法を提供する。

Description

関連出願
本願は、35U.S.C.§119の下で、出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする、米国仮特許出願番号62/615,300(2018年1月9日付出願)の利益を主張する。
技術分野
本発明は、必要とする対象にて、特に、該対象に、共生微生物叢を培地にて発酵させることで生成される発酵組成物を投与することによって、該対象において腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を活性化させる、方法に関する。
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、腫瘍部位に積極的に補充され、腫瘍の増殖および転移に拮抗して免疫応答を開始させる、免疫細胞の集団である。TILは、腫瘍組織を直接攻撃し、チェックポイント阻害に対する応答および有利な臨床成果と相関関係にあることが明らかにされた。しかしながら、TILの活性化はすべての患者でいつでも可能で十分なわけではない。さらには、がん細胞が、微小環境の変化、および抗腫瘍免疫性の抑制を引き起こし、がんの薬物/療法に対して非感受性に、または耐性を有するに至る可能性があると報告されている。特にがんに拮抗するために対象の、TILの活性化、または免疫療法に対する感受性の強化が必要である。
本発明は、本明細書にて記載されるような、共生微生物叢による発酵産物が、腫瘍動物実験において腫瘍浸潤細胞(TIL)を活性化するのに、特にTILの腫瘍への移動を促進し、TILが腫瘍内にある量を増大させるのに効果的であり、このように免疫原性のない腫瘍(cold tumor)が免疫原性を持つ腫瘍(hot tumor)に変形され、免疫抑制腫瘍の微小環境が免疫応答腫瘍の微小環境に変わり、特に免疫チェックポイント調節剤と組み合わさって抗がん療法の効果の強化をもたらす、との予期せぬ知見に基づくものである。また、本明細書にて記載されるような、共生微生物叢による発酵産物の腫瘍内投与が、治療的効果の改善(投与量の減少、投与期間の短縮、および応答しないと考えられる遠位にある部位の腫瘍でも治療するのに成功しうる)を提供することも見いだされた。
したがって、本発明の1の態様は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象に、共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵組成物を投与することを含む、該対象におけるTILを活性化させる方法であって、該共生微生物叢が(i)少なくとも2種以上の乳酸菌株、または(ii)少なくとも2種以上の酵母株、あるいは(iii)少なくとも1種または複数種の乳酸菌株および少なくとも1種または複数種の酵母株を、該対象でのTILの産生または活性を増加させるのに効果的な量で含む、TILを活性化させる方法を提供することである。
いくつかの実施態様において、発酵用培地は、炭素源、窒素源、および微量元素を含む。
いくつかの実施態様において、培地発酵の組成物は、発酵を通して生成される複数の代謝産物を含む。
いくつかの実施態様において、発酵組成物は、
(i)共生微生物叢を、発酵で複数の代謝産物を生成させる条件下で、培地にて増殖させ;および
(ii)工程(i)より得られる発酵組成物を集める
ことを含む、方法によって製造される。
いくつかの実施態様において、該製造方法は、工程(ii)より得られた発酵組成物を、さらに滅菌化し、濾過し、および/または濃縮することを含む。
いくつかの実施態様において、該発酵組成物は、対象において、(i)抗腫瘍免疫性の抑制を回避するように腫瘍微小環境を変え、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善し、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形し、および/または(iv)応答速度を増大させ、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させ、および/または(vi)生存率を改善するのに効果的である。
いくつかの実施態様において、対象は腫瘍性疾患に苦しめられる。
いくつかの実施態様において、対象はがんに苦しめられる。
いくつかの実施態様において、対象は細菌感染性腫瘍に苦しめられる。
いくつかの実施態様において、がんは、結腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、皮膚がん、脳腫瘍、卵巣がん、腎臓がん、胃がん、頭頚部がん、食道がん、膀胱がん、直腸がん、骨がん、子宮がん、前立腺がん、および血液悪性腫瘍からなる群より選択される。
いくつかの実施態様において、対象は、例えば、免疫チェックポイント調節剤を用い、腫瘍性疾患に対する免疫療法を受けたか、受けているか、または受ける予定であるかである。
いくつかの実施態様において、該方法は、発酵組成物を投与する前に、TILの活性化を必要とする対象を選択することを含む。
いくつかの実施態様において、対象は、参考レベルと比べて、TILのレベルが相対的に低く決定される。
いくつかの実施態様において、TILは、CD4+、CD8+および/またはCD86+樹状細胞を包含する。
いくつかの実施態様において、発酵組成物は、経口投与または注射投与を介して投与される。他の実施態様において、該発酵組成物は腫瘍内投与を介して投与される。
その必要とする対象においてTILを活性化するのに用いるための、本明細書にて記載されるように、共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵組成物も本発明の範囲内にある。本発明はまた、その必要とする対象においてTILの活性化用の医薬を製造するのに本明細書にて記載されるような、共生微生物叢の培地中での発酵を介して生成される発酵組成物の使用を特徴付ける。本発明はさらには、本明細書に記載されるような、共生微生物叢の培地中での発酵を介して生成される発酵組成物を、所望により免疫チェックポイント調節剤と組み合わせて含む、その必要とする対象にてTILを活性化するのに用いるための、キットまたはコンビネーションを提供する。いくつかの実施態様において、該キットまたはコンビネーションは、対象において、(i)抗腫瘍免疫性の抑制を回避するように腫瘍微小環境を変え、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善し、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形し、および/または(iv)応答速度を増大させ、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させ、および/または(vi)生存率を改善するのに有用である。該キットまたはコンビネーションは相乗作用を提供するのが好ましい。
本発明の1または複数の実施態様の詳細は、以下の記載において示される。本発明の他の特徴または利点は次の数個の実施態様の詳細な記載から、および添付した特許請求の範囲からも明らかであろう。
上記した発明の概要、ならびに下記の発明を実施するための形態は、添付した図面と合わせて読んだ時に、より良く理解されるであろう。発明を説明するために、現在、好ましい実施態様を図面にて示す。しかしながら、発明が、図示されるまさにその配置および手段に限定されないことを理解すべきである。
図面において
本発明の発酵組成物の骨髄樹状細胞(BMDC)の成熟に対する刺激効果を示す。該細胞を培養し、抗CD83抗体で検出した。***P<0.001;**P<0.01;P値は介入群と対照群とを各々比較することで得られた。
結腸がんのマウス実験において本発明の発酵組成物の経口投与を介する効果を研究するための実験計画の略図を示す。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、発酵組成物で、任意にて抗PD1抗体と組み合わせて処理した。
CD4T細胞、CD8T細胞またはCD86樹状細胞の免疫蛍光染色を含む、結腸がんのマウス実験からの腫瘍の免疫組織染色分析の結果を示す画像である。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、組成物X、または組成物Xと抗PD1抗体の組み合わせで処理した。
CD4T細胞、CD8T細胞またはCD86樹状細胞の免疫蛍光染色を含む、結腸がんのマウス実験からの腫瘍の免疫組織染色分析の結果を示す画像である。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、抗PD1抗体、組成物LT12、または組成物LT12と抗PD1抗体の組み合わせで処理した。腫瘍サンプルはマウスより得、免疫組織染色分析に供した。
結腸がんのマウス実験における腫瘍CD8T細胞分析の結果を示すチャートである。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、抗PD1抗体、組成物LT12、または組成物LT12と抗PD1抗体の組み合わせで処理した。マウスより得られた腫瘍サンプルを消化させ、解離腫瘍細胞を含む、細胞懸濁液を得、それを定量して全腫瘍生存細胞中のCD8T細胞の量を決定した。
結腸がんのマウス実験の生存率および腫瘍の大きさを示すチャートを包含する。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、抗PD1抗体、組成物X、または組成物Xと抗PD1抗体の組み合わせで処理した。
結腸がんのマウス実験の生存率および腫瘍の大きさを示すチャートを包含する。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、抗PD1抗体、組成物LT12、または組成物LT12と抗PD1抗体の組み合わせで処理した。
結腸がんのマウス実験での腫瘍内投与を介する本発明の発酵組成物の効果を研究するための実験計画の略図、および該結腸がんのマウス実験の腫瘍の大きさを示すチャートを含む。マウスに結腸がんCT26細胞を移植し、ビヒクル対照、組成物X、または組成物Xと抗PD1抗体の組み合わせで処理した。
特記されない限り、本明細書にて使用されるあらゆる専門および科学用語は、本発明の属する分野の当業者によって広く理解されるのと同じ意義を有する。
本明細書で使用される場合、「a」および「an」なる冠詞は、1または複数(すなわち、少なくとも1つ)の文法的目的語の冠詞をいう。例えば、「an element」は1の要素または複数の要素を意味する。
「含む」または「含んでいる」なる語は、一般に、1または複数の特性、成分または構成要素の存在を可能とすることを意味する、含む/または含んでいるの意味で使用される。「含む」または「含んでいる」なる語は「からなる」または「から構成される」なる語を包含する。
本明細書で使用される場合、「腫瘍性疾患」なる語は、腫瘍形成、すなわち細胞の異常増殖の結果としての、組織の異常な塊をいう。これらの細胞の増殖は、その周りの正常な組織の増殖を凌駕する。それは、いつもではないが、通常、瘤または腫瘍を作り出す。腫瘍性疾患は、良性、前悪性または悪性であってもよい。本明細書で使用されるように、がんは、感染した組織または細胞集合のいずれのステージ(ステージIがん、ステージIIがん、ステージIIIがん、ステージIVがん)、いずれのグレード(グレードIがん、グレードIIがん、グレードIIIがん)、侵襲性、悪性度または悪性をも含む、いずれの型の悪性腫瘍によっても引き起こされる疾患についての一般的用語をいう。特に限定されない限り、「腫瘍性疾患」、「腫瘍」および「がん」なる語はいずれの組織または細胞型にも限定されず、原発、二次または転移性病変を包含する。
本明細書で使用される場合、「腫瘍微小環境(TME)」なる語は、腫瘍(腫瘍細胞その物、その周辺の間質細胞、ならびにサイトカイン、コラーゲン、エラスチンおよび増殖因子などの非細胞性成分を含む)がその中に存在する環境をいう。間質細胞は、線維芽細胞、上皮細胞、血管細胞、常在および/または補充の炎症性および免疫細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、顆粒球、リンパ球等)を包含し、腫瘍細胞の増殖および生存を調節する。腫瘍の初期または中期段階において、腫瘍細胞のいくらかは、それらを免疫破壊に抵抗させる変異を獲得するが、その増殖および拡大は免疫応答によってなお制限される。主たる抗腫瘍成分として、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞溶解性Tリンパ球(CTL)、CD4ヘルパーT細胞、M1マクロファージおよび2種の主要サイトカイン:インターロイキン−12(IL−12)およびインターロイキン−γ(IFN−γ)が挙げられる。しかしながら、腫瘍細胞の進化は、その腫瘍微小環境を、免疫応答から免疫抑制にシフトし、腫瘍細胞を宿主免疫監視から逃れさせ、腫瘍成長、進行および拡大を支持するように変えることが多い。具体的には、免疫抑制性腫瘍微小環境において、細胞傷害性CTLまたはヘルパーT細胞などのいくつかの免疫細胞がなお存在するかもしれないが、それらの機能は大きく阻害され;IL−12産生もまた大きく抑制され;制御性T細胞(Treg)、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)およびM2マクロファージなどの免疫抑制に関連する細胞サブセットが腫瘍部位に補充され、免疫活性を阻害するに至り;他方で、腫瘍細胞は、慢性炎症作用を促進する、腫瘍壊死因子−α(TNFα)およびシクロオキシゲナーゼ−2(Cox−2)などのサイトカイン、および血管新生を促進する血管内皮増殖因子(VEGF)を産生し、それらは共に有意な腫瘍増殖をもたらす。
本明細書で使用される場合、「腫瘍浸潤リンパ球(TIL)」なる語は、腫瘍組織と関連付けられる免疫細胞の集団である。より詳細には、TILは、血流から離れ、腫瘍と結合している、がんに罹患した対象のリンパ球である。従って、TILは腫瘍特異性を有し、TILの活性化は腫瘍細胞の除去についてより直接的なコントロールを可能とするかもしれない。TILの主たる型として、T細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、特にCD8細胞は、腫瘍細胞に直接攻撃し、殺すことができる。Tヘルパーリンパ球(Th)、特にCD4細胞は、CTLを活性化しうる種々のサイトカインの分泌能を有する。TILはまた、樹状細胞、特にCD86樹状細胞などの骨髄細胞を包含する。腫瘍中に、TIL、特にCD8細胞が存在することで、腫瘍微小環境が免疫抑制から免疫刺激に変わり、免疫原性のない腫瘍が免疫原性を持つ腫瘍に変形され、より良い臨床成果がもたらされる点で有利である、特に免疫チェックポイント調節剤を用いる免疫療法と良好な応答で積極的に関連付けられることが知られている。腫瘍内TILは、間質を介在することなく、細胞間の接触があり、腫瘍細胞と直接的に相互に作用する、腫瘍巣の内側にあるリンパ球として定義されてもよく、一方で間質TILは腫瘍細胞間の間質中に分散して位置付けられ、腫瘍細胞と直接接触しない、リンパ球として定義されてもよい。TILは、免疫組織化学分析および抗体標識化を用いるフローサイトメトリー分析により、評価され、同定され、説明され、および/または表現型に分類され得る。インターナショナルTILワーキンググループ(The International TILs Working Group)は、乳がんでのヘマトキシリンおよびエオシン(H−E)染色薄片上で単核細胞が間質領域を越えて占有する領域を測定することにより、大腸がんにも適用可能な、TILの存在および量をアッセイする方法を提案した。Isekiら、PLoS One. 2018 Apr 26; 13(4): e0192744を参照のこと。加えて、TILの定量は、ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)技法を用いて実施できる。Robinsら、Sci Transl Med. 2013 Dec 4;5(214):214ra169を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「TILを活性にする」または「TILの活性化」なる語は、参照または対照レベルと比べて、がん対象から由来の腫瘍組織サンプル中のTILの活性/数/密度を、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%増大させることを包含しうる。参照または対照レベルは、本明細書にて記載されるような処理をする前に、または処理することなく、個体において測定されるレベル(あるいは個体集団の平均レベル)に言及し得る。
本明細書で使用される場合、「免疫原性を持つ腫瘍(hot tumor)」または「炎症性腫瘍」は、抗腫瘍免疫細胞、特にTILがかなりの数で存在し、かくして典型的には免疫刺激性であるところの腫瘍をいう。
本明細書で使用される場合、「免疫原性のない腫瘍(cold tumor)」または「非炎症性腫瘍」は、抗腫瘍免疫細胞、特にTILが全く存在しないか、最小限の数で存在するか、あるいは代わりに制御性T細胞(Treg)、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)およびM2マクロファージを含む、免疫抑制と関連付けられる細胞サブセットを含有するところの腫瘍をいう。具体的には、免疫原性のない腫瘍は、抗腫瘍免疫細胞の数が少ないか、またはさらにはその浸潤がないことで特徴付けられてもよく、そのような細胞は存在するが、周りの間質で動きが取れないままの可能性があり、そのために腫瘍微小環境にてコロニーを形成してその抗腫瘍機能を提供できない。
本明細書で使用される場合、TILは、様々な型のがんにて腫瘍細胞を直接攻撃する重要な役割を果たすことが知られており、多くの研究はTILの存在が治療効果およびがん患者の生存の増加と大きく関連付けられることを証明している。意外にも、本明細書にて記載されるように共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵組成物が、動物のがん実験にて首尾よくTILを活性化することが見いだされた。いくつかの例では、本明細書にて記載される発酵組成物が、免疫調節剤と一緒になってがんを治療するのに相乗的効果を示すことが明示される。この研究の結果は、本明細書に記載の発酵組成物が、抗腫瘍免疫性の抑制から強化への変化を促進し、免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変換し、例えば免疫チェックポイント調節剤を用いて抗がん療法の応答速度を増大させ、腫瘍の大きさを減少させ、生存率を改善することを示す。さらには、いくつかの例にて、本明細書に記載の共生微生物叢による発酵産物の腫瘍内投与が、投与量を減少させ、投与期間を短くし、応答しないと思われる遠位にある部位の腫瘍さえも首尾よく治療することができる点で、改善された治療効果を提供することが証明される。
従って、本発明の一の態様は、TILを活性化する必要のある対象にてそれを活性化する方法であって、該対象に、本明細書にて記載されるような、共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵組成物を投与することを含む、方法に関する。
発酵は、微生物が、嫌気性条件下で炭水化物を酸(例、乳酸などの有機酸)、アルコール(例、エタノール)および/または他の代謝産物に変換する代謝プロセスである。本明細書にて記載されるようなTILの活性化に使用される発酵組成物は、共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵産物である。適切な微生物として、酵母および乳酸菌が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、発酵組成物を生成するのに本明細書にて使用される共生微生物叢は、(i)少なくとも2種以上の乳酸菌株、または(ii)少なくとも2種以上の酵母株、あるいは(iii)少なくとも1種または複数種の乳酸菌株および少なくとも1種または複数種の酵母株を含む。加えて、発酵組成物は、発酵より生成される複数の代謝産物を含む。いくつかの実施態様において、発酵組成物は、(例えば、2種以上の)乳酸、酢酸、および3−アミノイソ酪酸の組み合わせを含んでもよい。一例にて、発酵組成物は、乳酸を5−20重量%(例、5−10重量%、10−20重量%、5−15重量%、または15−20重量%)で、酢酸を5重量%以下(例、1−5重量%、0.5−5重量%、1−3重量%、0.5−3重量%、または3−5重量%)で、および3−アミノイソ酪酸を5重量%以下(例、1−5重量%、0.5−5重量%、1−3重量%、0.5−3重量%、または3−5重量%)で含む。
乳酸菌の例として、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・デルブルエッキイー・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii bulgaricus)、ラクトバチルス・ラクティス・ラクティス(Lactobacillus lactis lactis)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(Lactobacillus kefiranofaciens)などのラクトバチルス属に属する菌;ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・プランタルム(Lactococcus plantarum)およびラクトコッカス・ラフィノラクティス(Lactococcus raffinolactis)などのラクトコッカス属に属する菌;およびビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)などのビフィドバクテリウム属に属する菌を挙げることができる。酵母の例として、サッカロミセス(Saccharomyces)およびカンジダ(Candida)属に属する酵母を挙げることができる。
特定の実施態様において、発酵は、乳酸菌、例えばラクトバチルスの異種培養物、例えば、2種またはそれ以上、例、2、5、10、15、20、25または30種以上のラクトバチルス菌株の培養物を用いて実施される。発酵に使用され得るラクトバチルスの菌株として、ラクトバチルス・アシドフィルスCCRC(Bioresource Collection and Research Center)、台湾、Food Industry Research and Development)10695、14026、14064、14065および/または14079、ラクトバチルス・デルブルエッキイー・ブルガリクスCCRC10696、14007、14009、14010、14069、14071、14098および/または16054、ラクトバチルス・ラクティス・ラクティスCCRC10791、12267、12306、12312、12315、12323、14016、14015および/または14117、ラクトバチルス・ケフィアCCRC14011、および/またはラクトバチルス・ケフィラノファシエンスCCRC16059が挙げられるが、これらの限定されない。他の乳酸菌、例えば、ラクトバチルスを発酵に用いることができ、その例として、ラクトコッカス・チュンガンゲンシス(Lactococcus chungangensis)(DSM22330)、ラクトコッカス・ホルモセンシス(Lactococcus formosensis)(BCRC80576)、ラクトコッカス・フジエンシス(Lactococcus fujiensis)(DSM27937)、ラクトコッカス・ガルビエアエ(Lactococcus garvieae)(BCRC17074T;ATCC43921、49157)、ラクトコッカス・ラクティス・ベイジェリンク(Lactococcus lactis Beijerinck)(ATCC 49032)、ラクトコッカス・ラクティス亜種クレモリス(Lactococcus lactis subsp. Cremoris)(BCRC12263、12264、12265、12277、12278、12303、12304、12586T;ATCC14365)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ホルドニアエ(Lactococcus lactis subsp. Hordniae)(BCRC80474T、ATCC29071)、ラクトコッカス・ラクティス亜種ラクティス(Lactococcus lactis subsp. Lactis)(BCRC11068、12266、12312T、12322、14016、14105、14117、10791、12315)、ラクトコッカス・ラクティス亜種トルクタエ(Lactococcus lactis subsp. Tructae)(BCRC80475T)、ラクトコッカス・ピスチウム(Lactococcus piscium)(ATCC700018T;DSM6634)、ラクトコッカス・プランタルム(Lactococcus plantarum)(ATCC43199)、ラクトコッカス・ラフィノラクティス(Lactococcus raffinolactis)(BCRC14039T;ACTT43920)、ラクトコッカス・タイワネンシス(Lactococcus taiwanensis)(BCRC80460T)およびラクトコッカス・ヒルチラクティス(Lactococcus hircilactis)(DSM28960)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、発酵は、酵母、例えばサッカロミセスの異種培養物、例えば、2種またはそれ以上、例、2、5、10、15、20、25または30種以上のサッカロミセス菌株の培養物を用いて実施される。発酵に使用され得る酵母菌株として、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)CCRC20577、20578、20581、21494、21550、21797、21805、22138、22234、22337、22731および/または22728、および/またはカンジダ・ケフィア(Candida kefyr)CCRC21269、21742および/または22057が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、本明細書にて使用される異種培養物は、少なくとも1または複数の乳酸菌株および少なくとも1またはそれ以上の酵母菌株を含む。特定の実施態様において、本明細書にて使用される異種培養物は少なくとも1または複数のラクトバチルス菌株、少なくともまたは複数のラクトコッカス菌株、および少なくとも1または複数の酵母菌株を含む。
微生物の発酵に適する培地は、当該分野にて公知であり、利用可能である。典型的な培地は、デキストロース、シュークロース、フルクトース、マルトース、スターチ、ラクトース等などの炭素源、微量元素を含む窒素材料(例えば、酵母エキス)、ミネラル塩、および/または場合によっては他の滋養成分、例えば、コーンスターチ、糖類および大豆タンパク質などの再生可能原料より由来の成分を含む。
いくつかの実施態様において、本明細書にて使用される発酵用培地は、植物材料、例えばマメ科植物(例、大豆)、その一部(例、種子)またはそれらのエキスを含んでもよい。代表的なマメ科植物として、ビーンズ、エンドウ、アルファルファ、ツメクサ、ソラマメ、スズメエンドウ、およびササゲが挙げられるが、これらに限定されない。特に、マメ科植物は、グリシン、例、グリシン・マックスなどの種子に相対的に高いレベルでタンパク質を含む植物、グリシン・ソヤ、グリシン・トメンテラ、グリシン・タバシナ・ベンス、グリシン・ドリコカルパまたはグリシン・クランデスチンを含む、いくつかの他の種とすることができる。
本明細書で使用される場合、発酵のための培地において用いるためのマメ科植物の材料は、植物そのものと、またはその一部(例えば、葉、果実、種子等)と、あるいはそれらのエキスとすることができる。エキスは、慣用的方法にて、通常は、材料を溶媒に抽出させるのに、(所望によりクラッシングまたはグラインジング・ブロークンを用いて)浸すか、混合させ、結果としてそれから濾液または濃縮液を得ることで実施され得る、材料の抽出で得られる生成物を言うことができる。好ましくは、本明細書にて使用されるエキスは、該材料を溶媒としての水で抽出することにより製造される水性エキスをいう。特定の実施態様において、抽出される材料の溶媒に対する割合は、例えば、約1:1〜約1:100、約1:1〜約1:50、約1:1〜約1:25、約1:1〜約1:15、約1:1〜約1:10、または約1:1〜約1:5(w/w、g/g)であってもよい。抽出は、適切な温度、例えば、70〜100℃に加熱することにより実施され得る。特例において、本明細書にて使用される「エキス」は大豆植物の種子の水性エキスである。
本発明によれば、発酵は、培地を発酵させる条件下で、例えば、20−45℃(例、20−25℃、20−30℃、25−30℃、25−35℃、30−45℃または30−40℃)で、適切な期間(例、2−10日間、2−5日間、4−8日間または5−10日間)にわたって実施され得る。特に、1または複数の工程は、例えば、滅菌、濾過、濃縮、凍結乾燥またはそれらのいずれかの組み合わせは、発酵の後に行われてもよい。さらに詳細には、滅菌は、例えば、発酵後の加熱を介して実施され、必要に応じて、濾過し、濃縮(例えば、透析)し、濃縮された発酵組成物溶液を生成してもよい。さらには、該発酵組成物溶液を、例えば、凍結乾燥によりさらに乾燥させ、粉末形の発酵組成物を得てもよい。
いくつかの例において、発酵組成物は、(i)共生微生物叢、例えば酵母、乳酸菌(例、ラクトバチルスおよび/またはラクトコッカス)またはそれらの組み合わせを複数の代謝産物を生成させる発酵を可能とする条件下で培地にて増殖させ;および(ii)工程(i)より得られる発酵組成物を集める、ことを含む方法により製造され得る。所望により、該製造方法は、該発酵組成物を濾過し、該発酵組成物を滅菌処理に付し、および/または該発酵組成物を濃縮することをさらに含んでもよい。
いくつかの例において、発酵組成物は、(a)炭素源、窒素源、および微量元素を含み、所望により水性大豆エキスを少なくとも1つの乳酸菌と、および少なくとも1つの酵母と一緒に含んでもよい、培地を発酵させて発酵液体を形成し;(b)該発酵液体を滅菌処理に付し;(c)該滅菌処理に付した発酵液体を濾過し;および(d)該濾過した発酵液体から水を除去し、濃縮された発酵生成物を形成する、ことを含む方法によって製造されてもよい。
発酵組成物を製造する方法は、例えば、米国特許第6,685,973号、第6,855,350号、第6,733,801号、US201120058104、およびUS20170281760にも記載されており、その各々における関連する開示は、本明細書に記載の目的のために、またはその内容について出典明示により本明細書の一部とされる。
いくつかの実施態様において、本発明の方法に従って、TILの活性化を必要とする対象は、TILの生成を強化することから利益を得る患者を包含する。
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、TILの活性化を必要とする対象を選択すること、該対象においてTILを活性化するのに効果的な条件下で本明細書に記載される発酵組成物を投与することを含む。
いくつかの実施態様において、TILの活性化を必要とする対象として、腫瘍またはがんを治療するための養子T細胞療法の候補者が挙げられる。特定の例において、かかる候補者は、TILの割合/密度が、対照または標準レベルと比べて、相対的に低く決定される。本明細書にて使用される、対照または標準レベルは、患者集団のTILの割合/密度の平均レベルまたはカットオフレベルと言うことができる。例えば、Isekiら(前掲)は、ステージIIまたはIIIの大腸がん(CRC)の患者の集団に言及しており、受信者操作特性(ROC)分析に従って、42%をTILで占められる面積のカットオフ割合として設定し、患者を高TIL群(>42%)と低TIL群(<42%)に分ける。TILの割合/密度は、当該分野における慣用的方法、例えば、免疫化学組織的染色法またはHE染色法、および自動画像ソフトウェアプログラムにより評価され得る。カットオフ値は型が異なるがんの患者集団および人種で変化してもよい。
いくつかの実施態様において、該方法は、患者からの腫瘍サンプル中のTILを測定し、該サンプル中のTILのレベルを対照または標準値と比べ、患者のTILのレベルを決定することを含んでもよい。いくつかの実施態様において、比較に基づいて、対照または標準値と比べて、TILのレベルが低いと決定された患者を選択する。いくつかの実施態様において、比較に基づいて、対照または標準値と比べて、TILの低いレベルは、さらには、該患者が免疫原性のない腫瘍に罹患しており、抑制腫瘍微小環境、および/または抗がんまたは抗腫瘍免疫療法に対する応答が乏しいと推察されよう。
いくつかの実施態様において、対象は腫瘍性疾患に苦しめられている。
いくつかの実施態様において、対象はがんに苦しめられている患者である。
いくつかの実施態様において、対象は細菌感染性がんに苦しめられている患者である。
いくつかの実施態様において、治療されるがんとして、結腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、皮膚がん、脳腫瘍、卵巣がん、腎臓がん、胃がん、頭頚部がん、食道がん、膀胱がん、直腸がん、骨がん、子宮がん、前立腺がん、および血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、対象は充実性腫瘍の腫瘍性疾患に苦しめられている。充実性腫瘍は、肉腫、がん腫、リンパ腫および他の充実性がんの腫瘍(胚細胞腫瘍、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、結腸がん、中枢神経系がん、グリオーマ、肺がん、肝臓がん、悪性黒色腫、中皮腫、卵巣がん、膵臓がん、胃がん、および甲状腺がんの腫瘍)を包含するが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、発酵組成物を投与する前および/または後にTILを評価することを含む。例えば、腫瘍、該腫瘍の1または複数の周辺、および/または該腫瘍に隣接する組織中の、TILを(例えば、存在、数、活性について)評価する。
いくつかの実施態様において、選択される対象は、免疫チェックポイント調節剤に関与する療法などの抗がん療法を受けた、受けている、または受ける予定の対象である。
いくつかの実施態様において、本発明の方法は、本明細書にて記載される発酵組成物を投与し、ここで対象におけるTILが活性化された後に、効果的な量の免疫チェックポイント調節剤を、必要とする対象に投与することを含む。
本明細書にて使用される「免疫チェックポイント調節剤」は、対照ビヒクルと比べて、細胞中の免疫チェックポイントタンパク質(例えば、本明細書に記載のいずれかのタンパク質)の活性を改変する薬剤をいう。「調節剤」なる語は、本明細書にて最も広い意味で使用され、本明細書に記載の分子によって媒介されるシグナル伝達経路を含む、1または複数の免疫チェックポイント調節剤によって制御されるシグナル伝達経路を部分的にまたは完全に改変するいずれの分子も包含する。
本明細書にて使用される免疫チェックポイント調節剤は、免疫チェックポイント分子の調節剤(例えば、阻害剤)とすることができ、PD1、CD28、CTLA−4、CD137、CD40、CD134、ICOS、KIR、LAG3、CD27、TIM−3、BTLA、GITR、TIGIT、CD96、CD226、KIR2DL、VISTA、HLLA2、TLIA、DNAM−1、CEACAM1、CD155、IDO(例、IDO1)、TGF−ベータ、IL−10、IL−2、IL−15、CSF−1、IL−6およびアデノシンA2A受容体(A2AR)、あるいはそのリガンドであってもよい。いくつかの実施態様において、免疫チェックポイント調節剤は、免疫チェックポイントに特異的な抗体、またはそのリガンド、例えばPD1に特異的な抗体、またはそのリガンド(PDL1またはPDL2)である。いくつかの実施態様において、抗体はヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得る。
本発明はまた、本明細書に記載の発酵組成物を、所望により、免疫チェックポイント調節剤と組み合わせて含む、キットまたは組み合わせを提供する。かかるキットまたは組み合わせはTILの活性化に有用であり、(i)腫瘍微小環境を変更して抗腫瘍免疫性の抑制を回避するのに、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善するのに、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形するのに、および/または(iv)応答速度を増大させるのに、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させるのに効果的でもある。好ましくは、かかるキットまたは組み合わせは、相乗的に、本明細書に記載の1または複数の効果を提供する。
1の実施態様において、組み合わせて使用される医薬または治療法は、同時に(並行にて)または連続的に使用されてもよい。医薬が組み合わせて使用される場合、該医薬は同じ処方中で混合されてもよく、別々のカプセル、ピル、錠剤および注射液などの異なる処方に別々に入れられてもよい。
組成物は、活性成分を生理学的または医薬的に許容される担体と一緒に、該組成物が、例えば、デリバリーの目的のために適切な形態であるように、処方することにより製造され得る。本発明の組成物は、特に、約0.1重量%〜約100重量%の活性成分を含み、ここで該重量割合は、組成物全体の重量に基づいて算定される。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は治療用の医薬組成物または薬剤として処方され得る。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は食品産物または栄養補助食品として処方され得る。
本明細書にて使用される「生理学的に(または医薬的に)許容される」は、担体が活性成分と組成物中で相性が良く、好ましくは、該活性成分を安定化することができ、治療を受ける個体に対して安全である、ことを意味する。該担体は、活性成分に対する希釈剤、ビヒクル、賦形剤またはマトリックスであってもよい。該組成物は、付加的に、滑沢剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁化剤;保存剤;甘味剤;および矯味矯臭剤を含んでもよい。本発明の組成物は、患者に投与された後に、活性成分の即時、持続または遅延放出の効果を提供し得る。
本発明によれば、該組成物の形態は、錠剤、ピル、散剤、ロゼンジ、パケット、トローチ、エリキシル、懸濁液、ローション、液剤、シロップ、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、坐剤、流体、およびパッケージ粉末であってもよい。
本発明の組成物は、いずれかの生理学的に許容される経路、特に経口を介してデリバリーされてもよい。滅菌条件下での適切な非経口組成物の製造は、当該分野における当業者に周知の標準的な薬理学的手法を用いて達成されてもよい。
本明細書にて使用される「効果的な量」なる語は、治療される対象または細胞において、所望の生物学的効果を付与する活性成分の量をいう。その効果的な量は、投与経路および頻度、該薬剤を受ける個体の体重および種類、および投与の目的などの種々の理由に応じて変化してもよい。当業者は、本明細書の開示、確立された手段、および彼ら自身の経験に基づいて、各ケースにてその投与量を決定してもよい。
本明細書にて使用される「治療する」なる語は、障害、症候または症状に、あるいは該障害、症候または症状の進行または素因に苦しんでいる対象に、該障害、症候または症状を、該障害、症候または症状、あるいは該障害、症候または症状の進行または素因によって誘発される無力を、治療、治癒、緩和、救済、改変、修正、改良、改善、または作用することを目的として、1または複数の活性剤を含む組成物を適用または投与することをいう。
本明細書に記載の方法によって治療され得る対象は、哺乳類、特にヒトであり得る。哺乳類の例として、齧歯動物(例、マウス、ラット、シマリス、プレリードッグ、リス、ビーバー、ジリス、ハムスター、野ネズミ、アレチネズミ、ヤマアラシ、モルモット等)、家畜動物(例、ブタ、ウシ、ヤギ、シカ、ヒツジ、ヤク等)、コンパニオンアニマル(例、ネコ、イヌ等)または霊長類(例、キツネザル、サル、類人猿、ヒト等)を挙げることができる。特に、本明細書に記載の治療方法を必要とする対象は、標的とする疾患/障害/症状があると疑われるか、その危険性のあるヒト個体、例えば、TILのレベルが相対的に低いか、またはがんに苦しんでおり、がん免疫療法に対する応答に乏しいと予測されるヒトとすることができる。
本発明の方法によれば、該組成物は、適切な経路によってその必要とされる対象に投与され得る。代表的な実施態様において、該組成物は経口経路を介して(例えば、ピル、錠剤またはカプセルなどの固体によって、または液体によって)投与される。該組成物は対象内の1または複数の領域にデリバリーされ得る。該領域は、口腔、胃、小腸、大腸または結腸などの胃腸管系内の領域を包含し得るが、これらに限定されない。投与経路の例として、直腸投与(例、坐剤、浣腸剤、上部内視鏡、上部プッシュ小腸内視鏡、または結腸内視鏡による投与)、あるいは鼻腔または口腔を介する挿管(例、経鼻胃管、経鼻腸管、または経鼻空腸管による挿管)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施態様において、本明細書に記載の組成物は腫瘍内経路を介して投与される。腫瘍内投与は本明細書に記載の組成物を腫瘍塊に、腫瘍のごく近傍に、および/または腫瘍が正常な組織に浸潤的に増殖している領域に注入することによって行われ得る。組成物中の活性成分が送達され、抗腫瘍免疫応答が活性化される場合、通常は、腫瘍塊への単回の腫瘍内注射が効果的である。しかしながら、必要に応じて、腫瘍の別個の領域に、または異なるタイムコースにて複数回の注射も考慮され得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の組成物の腫瘍内投与が、意外にも、全身性投与、例えば、経口経路と比較した場合に、投与量を減らし、投薬コースを短くするところの、治療効果の改善を提供することが見いだされた。また、本明細書に記載の組成物の腫瘍内投与は遠位部位における腫瘍も効果的に治療し得ることが見いだされた。
以下の実施例(発明を限定するよりもむしろ証明することを目的として提供される)を用いて本発明をさらに説明する。当業者は、本発明の開示を踏まえて、多くの変更が、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、開示されている特定の実施態様にてなされ、かつ同様のまたは類似する結果も得ることができると認識すべきである。
実施例
実施例1:共生微生物叢による発酵産物
組成物Xは共生微生物叢を培地中で発酵することを介して生成される発酵組成物である。簡単に言えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)および酵母を含む共生微生物叢を、炭素源、窒素源、および微量元素を水性大豆エキスと一緒に含有する発酵用培地中、微生物による発酵を可能とする条件下で培養し、適切な代謝物を生成した。発酵は約24時間〜72時間行われた。発酵した液体を集め、濾過して固体の材料を除去し、滅菌処理に付した。こうして製造された液体の溶液を濃縮し、組成物X(液体の形態にて)を生成した。組成物Xの各ミリグラムは発酵した約2.7gの大豆のブロスを含有する。別の発酵において、ラクトバチルス、酵母およびラクトコッカス(Lactococcus)を含む共生微生物叢を用い、さらなる発酵産物、組成物LT12、LT17、LT21、LT23およびLT27を生成した。
実施例2:樹状細胞由来のネズミ骨髄の活性化
0日目に、骨髄(BM)を100mm皿当たり2x10細胞で9mlのRPMI−1640培地(1%抗生物質−抗真菌剤、10%FBS、20ng/ml rmGM−CSFを含有する)に播種した。3日目に、もう一つ別の9mlのRPMI−1640培地(20ng/ml rmGM−CSFを含有する)を該プレートに加えた。8日目に、BMDCを0.1μg/mLのLPSまたは種々の発酵産物(組成物X、LT12、LT17、LT21、LT23、LT27)と一緒に1000μLの培地に2x10細胞/mLの密度で再懸濁させ、24時間にわたって24ウェルプレートにて5%CO2/95%空気中でプレート培養に付した。処理後、細胞を緩やかなピペット操作で集め、250gで5分間、室温で遠心分離に付した。該細胞をPBS+0.5%FBS中1.5x10細胞/ウェルの濃度に調整した。細胞懸濁液を抗体と一緒に4℃で30分間インキュベートした。FITCコンジュゲートのCD11c抗体、PEコンジュゲートのCD83抗体をBD Biosciencesから入手した。フローサイトメトリー分析をFACSAria Fusionで行った。該フローサイトメトリーデータをFlowJo v10ソフトウェアを用いて分析した。
図1に示されるように、CD83発現レベルは、本発明の種々の発酵産物を用いた処理の結果として、対照と比較して有意に増加した。それは本発明の発酵組成物がSMDCの成熟を刺激するのに効果的であることを示す。
実施例3:結腸がんのマウス実験および動物試験
0日目にBALB/cマウスにCT−26を2x10細胞で皮下(s.c.)移植した。4日目で腫瘍の体積が約50mmに達した時に、マウスを処理または未処理群(一群に付きn=3)にランダム化した。
3.1 組成物Xでの処理
群2/3について、4日目から11日目まで毎日、マウスを強制経口投与により15%組成物X(10mL/kg)で処理した。群1については、4日目から11日目まで毎日、マウスを強制経口投与によりddHO(10mL/kg)で処理した。群3について、4、6、8および10日目に、i.p.注射により10mg/kgの用量でマウスを抗PD1抗体で処理した。腫瘍の体積を週に2回測定した。生存率も測定した。群1/2/3について11日目にマウスを殺し、腫瘍を集めた。
3.2 組成物LT12での処理
17日目まで毎日、マウスを強制経口投与により15%組成物LT12(10mL/kg)で処理した。17日目まで毎日、マウスを強制経口投与によりddHO(滅菌、10mL/kg)で処理した。6、8、10、12、14および16日目に、i.p.注射により10mg/kgの用量でマウスを抗PD1抗体で処理した。4、6、8、11、13、15および18日目に、各側部の腫瘍の体積を測定した。18日目にマウスを殺し、腫瘍を集めた。図2は処理のスケジュールを示す。
3.3 腫瘍の免疫組織化学
腫瘍を液体窒素に固定し、OCT化合物に埋め込み、−80℃に保持した。そのブロックを5μmの範囲の薄片にし、スライドに置いた。該薄片を氷冷遮断溶液(5%ヤギ血清を含有するPBS)と一緒に30分間にわたって、そして一次抗体(抗CD4抗体、抗CD8抗体、および抗CD86抗体)と一緒に4℃で一夜にわたってインキュベートとし、つづいてPBSで3回洗浄し、最後に2次抗体のヤギ抗ウサギIgG H&Lおよびヤギ抗ラットIgG H&Lと一緒に1時間にわたってインキュベートした。核をエバーブライト(EverBrite)DAPIを含む封入剤(Biotium)で染色処理に付した。
図3に示されるように、群1(ビヒクル群)において、腫瘍浸潤性CD4/CD8T細胞/CD86+樹状細胞は存在するが、不活化されており(腫瘍の外側に集まり、腫瘍の内部に移動できない)、一方で群2(組成物X群)および群3(組成物Xと抗PD1抗体の組み合わせ)において、腫瘍内部に移動している腫瘍浸潤性CD4/CD8T細胞/CD86+樹状細胞が有意に観察された。
同様に、図4に示されるように、ビヒクル群において、腫瘍浸潤性CD4/CD8T細胞は存在するが、不活化されており(腫瘍の外側に集まり、腫瘍の内部に移動していない);一方で組成物LT12単独、または抗PD1抗体単独の群において、腫瘍内部に移動している腫瘍浸潤性CD4/CD8T細胞が増え、特に組成物LT12と抗PD1抗体とを組み合わせた群において、腫瘍内部に移動している腫瘍浸潤性CD4/CD8T細胞が有意に観察された。
3.3 腫瘍CD8T細胞分析
腫瘍を抜き取り、細かく切断した。腫瘍組織をさらに、製造者の指示に従って、gentleMACS Dissociator(Miltenyi cat. 130-096-427)でブレンドし、マウス用MACS Miltenyi Tumour Dissociation Kit(Miltenyi Biotec cat. 130-096-730)で消化させた。解離した腫瘍細胞をRPMI培地1640(Gibco cat. 11875-093)で洗浄し、RBC溶菌溶液(Sigma cat. R7757)で溶菌させた。該細胞を0.5%FBSでPBS中にて4x10細胞/ウェルの濃度に調整した。細胞懸濁液を抗体と共に4℃で30分間インキュベートした。PEコンジュゲートのCD8α抗体(#553033)をBD Biosciencesから入手した。フローサイトメトリー分析はFACSAria Fusion(BD Biosciences)を用いて行われた。フローサイトメトリーデータはFlowJo v10ソフトウェア(Tree Star, San Carlos, CA)を用いて分析された。
図5に示されるように、ビヒクル群において、腫瘍と結合したCD8T細胞の数は低く、一方で組成物LT12単独および抗PD1抗体単独の群において、腫瘍と結合したCD8T細胞の数はより高く、特に組成物LT12および抗PD1抗体を組み合わせた群において、腫瘍と結合したCD8T細胞の数ははっきりと高かった。
該結果は、本発明の発酵組成物が、TILを活性化し、TILの腫瘍内への移動を促進し、腫瘍内CD8T細胞の量を促進するのに効果的であることを示す。
3.4 腫瘍の大きさおよび生存率
図6に示されるように、組成物X単独または抗PD1抗体単独は、ビヒクル(8%)と比べて、動物の生存率(25%または33.3%)を改善し;組成物Xと抗PD1抗体の組み合わせは、ビヒクル、組成物X単独または抗PD1抗体単独と比べて、動物の生存率(75%)を有意に改善し、腫瘍の大きさを小さくする。同様に、図7は、腫瘍の大きさが組成物X単独または抗PD1抗体単独の治療の結果として減少し、特に腫瘍の大きさが組成物Xと抗PD1抗体との併用治療の結果として有意に減少する、本発明の発酵組成物を用いるがん療法の効果を示す。
実施例4:組成物Xの腫瘍内投与
0日目に、BALB/cマウスの右側腹部および左側腹部の各々に、CT−26を2x10細胞で皮下(s.c.)移植した。5日目で腫瘍の体積が約50mmに達した時に、マウスを処理または未処理群(一群に付きn=3)にランダム化した。5日、7日および9日目(3回の投与)にマウスを腫瘍内注射を介して10%組成物X(10ml/kg)で処理した。マウスをブランク対照として腫瘍内注射を通してddHO(滅菌、10mL/kg)で処理した。マウスを、6日、8日および10日目に、腫瘍内注射を通して、4μg抗OX40抗体で処理した。5、8、11、13、15、18および20日目に各側部の腫瘍の体積を測定した。25日目にマウスを殺した。
図8に示されるように、処理した側において、腫瘍の体積は、10%組成物Xを単独で(実施例3に示されるように毎日の経口投与を介して高い用量で15%組成物Xと比べて、3回だけの注射を通した低い用量で)、または抗OX40抗体と組み合わせて腫瘍内投与した結果として、ビヒクル群と比較した場合に、有意に減少し;意外にも、治療効果が処理していない側面でも観察された。該結果は、本発明の発酵組成物を、所望により免疫チェックポイント調節剤と組み合わせた腫瘍内投与が、各注射での用量の低下、投与の回数の減少、遠位(非処理)部位での腫瘍応答の成功を含む、有利な治療的効果を提供することを示す。
この研究において、本明細書に記載の共生微生物叢による発酵産物が、腫瘍動物実験において腫瘍浸潤性細胞を活性化するのに効果的であって、かくして特に免疫チェックポイント調節剤と組み合わせて、腫瘍の大きさを小さくし、生存率を改善するにおいてより優れた治療的効果を提供することが分かる。また、本明細書に記載の共生微生物叢による発酵産物の腫瘍内投与がより優れた治療的効果(投与量の減少、投与期間の短縮、および応答しないと考えられる遠位部位の腫瘍さえも治療するのにこの度は成功しうる)を提供することも判明する。

Claims (22)

  1. 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象に、共生微生物叢の培地での発酵を介して生成される発酵組成物を投与することを含む、該対象におけるTILを活性化させる方法であって、該共生微生物叢が(i)少なくとも2種以上の乳酸菌株、または(ii)少なくとも2種以上の酵母株、あるいは(iii)少なくとも1種または複数種の乳酸菌株および少なくとも1種または複数種の酵母株を、該対象でのTILの産生または活性を増加させるのに効果的な量で含む、TILを活性化させる方法。
  2. 培地が、炭素源、窒素源および微量元素を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 発酵組成物が、発酵で生成される複数の代謝産物を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 発酵組成物が、
    (i)共生微生物叢を、発酵で複数の代謝産物を生成させる条件下で、培地にて増殖させ;および
    (ii)工程(i)より得られる発酵組成物を集める
    ことを含むプロセスによって製造される、請求項1に記載の方法。
  5. 製造プロセスが、工程(ii)より得られる発酵組成物を滅菌し、濾過し、および/または濃縮することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  6. 発酵組成物の量が、対象において(i)腫瘍微小環境を変え、抗腫瘍免疫性の抑制を回避し、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善し、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形し、および/または(iv)応答速度を増加させ、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させ、および/または(vi)生存率を改善するのに効果的である、請求項1に記載の方法。
  7. 対象が腫瘍性疾患に苦しめられる、請求項1に記載の方法。
  8. 対象ががんに苦しめられる、請求項1に記載の方法。
  9. 対象が細菌感染性腫瘍に苦しめられる、請求項1に記載の方法。
  10. がんが、結腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、皮膚がん、脳腫瘍、卵巣がん、腎臓がん、胃がん、頭頚部がん、食道がん、膀胱がん、直腸がん、骨がん、子宮がん、前立腺がん、および血液悪性腫瘍からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
  11. 対象が、腫瘍性疾患に対する免疫療法を受けたか、受けているか、または受ける予定である、請求項1に記載の方法。
  12. 方法が、発酵組成物を投与する前に、TILの活性化を必要とする対象を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
  13. 対象が、標準レベルと比べて、より低いレベルのTILを有するように測定される、請求項12に記載の方法。
  14. TILが、CD4、CD8および/またはCD86樹状細胞を包含する、請求項1に記載の方法。
  15. TILが、腫瘍内TIL、間質TIL、または両方を包含する、請求項1に記載の方法。
  16. 組成物が、経口投与または注射投与を介して投与される、請求項1に記載の方法。
  17. 組成物が、腫瘍内投与を介して投与される、請求項1に記載の方法。
  18. 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象にて、TILの活性化のための医薬を製造するための、請求項1−6のいずれかに記載の発酵組成物の使用。
  19. 医薬が、対象において(i)腫瘍微小環境を変え、抗腫瘍免疫性の抑制を回避し、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善し、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形し、および/または(iv)応答速度を増加させ、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させ、および/または(vi)生存率を改善するのに効果的である、請求項18に記載の使用。
  20. 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象においてTILを活性化するのに用いるための、請求項1−6のいずれかに記載の発酵組成物。
  21. 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の活性化を必要とする対象においてTILを活性化するのに用いるためのキットまたはコンビネーションであって、請求項1−6のいずれかに記載の発酵組成物を、任意の免疫チェックポイント調節剤と組み合わせて含む、キットまたはコンビネーション。
  22. 対象において(i)腫瘍微小環境を変え、抗腫瘍免疫性の抑制を回避し、および/または(ii)化学療法および/またはがん療法の効果を改善し、および/または(iii)免疫原性のない腫瘍を免疫原性を持つ腫瘍に変形し、および/または(iv)応答速度を増加させ、および/または(v)腫瘍の大きさを減少させ、および/または(vi)生存率を改善するのに有用である、請求項20に記載の発酵組成物、あるいは請求項21に記載のキットまたはコンビネーション。
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