JP2021508002A - マグネシウム合金板材およびその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金板材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明はマグネシウム合金板材およびその製造方法に関するものである。具体的には、本発明の一実施形態であるマグネシウム合金板材全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含み、前記マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は、3〜15μmであり、前記マグネシウム合金板材はストリンガ(stringer)を含み、ストリンガ(stringer)の圧延方向(RD)への長さは最大50μm以下であるマグネシウム合金板材を提供することができる。

Description

本発明の実施形態はマグネシウム合金板材およびその製造方法に関する。
最近、構造材料として軽量化が可能な材料に対する関心が高まっており、これに対する研究も活発な状況である。マグネシウム合金板材は、構造材料のうち最も低い比重、優れた比強度、電磁気遮蔽能などの長所を有しており、IT mobile製品あるいは自動車用素材としても脚光を浴びている。
しかし、マグネシウム板材を自動車産業に使用するためには多くの障壁が存在する。代表的にはマグネシウム板材の成形性がある。マグネシウム板材は、HCP構造であって、常温での変形機構が制限的であるため、常温成形が不可能である。それを克服するために多様な研究がなされてきた。
特に、工程による成形性を改善する方法がある。例えば、上下部圧延ロールの速度を異にする異速圧延、ECAP工程、マグネシウム板材の工程(eutectic)温度付近での圧延のような高温圧延法などがある。しかし、前述したすべての工程は商用化が難しいという短所がある。
一方、合金により成形性を改善する方法もある。
一例として、Zn:1〜10重量%、Ca:0.1〜5重量%を含有したマグネシウム板材を出願した先行特許がある。ただし、前述した先行特許にはストリップキャスティング法で鋳造する工程には適用できない短所がある。そのため、量産性が欠如し、長時間鋳造時の鋳物材とロールとの間の融着現象により長時間の鋳造が難しいこともある。
また、従来のAl:3重量%、Zn:重量1%、Ca:重量1%合金の工程を改善し、限界ドーム高さ7mm以上の高成形マグネシウム合金板材を開示した先行特許もある。上記のような高成形板材の場合、限界ドーム高さが優れるが、ベンディング試験で板材幅方向(Transverse Direction,TD)への変形時クラックが容易に発生する短所がある。
マグネシウム合金板材の製造段階で累積圧下率を制御することによって、常温成形性に優れ、異方性が少ないマグネシウム合金板材を提供する。
本発明の一実施形態であるマグネシウム合金板材は、全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含み得る。
前記マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は、3〜15μmでありうる。
前記マグネシウム合金板材はストリンガ(stringer)を含み、ストリンガ(stringer)の圧延方向(RD)への長さは最大50μm以下でありうる。
前記マグネシウム合金板材においてストリンガ(stringer)の板材幅方向(TD)への厚さは最大1μm以下でありうる。
前記マグネシウム合金板材は、150℃以上で圧延方向(RD)への限界ベンディング半径(LBR)値が0.5R/t以下でありうる。
一方、150℃以上で板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値が1.5R/t以下でありうる。
150℃以上で圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値差の絶対値は0.4〜1.4でありうる。
前記マグネシウム合金板材の厚さは、0.8〜1.7mmでありうる。
本発明の他の一実施形態であるマグネシウム合金板材の製造方法は、全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含む合金溶湯を鋳造して鋳造材を準備する段階、前記鋳造材を均質化熱処理する段階、前記均質化熱処理された鋳造材を圧延して圧延材を準備する段階、および前記圧延材を最終焼鈍する段階を含み得る。
前記圧延材を準備する段階で、累積圧下率が86%以上でありうる。
前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、300〜500℃温度範囲で実施し得る。具体的には、4〜30時間実施し得る。
前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、1次均質化熱処理段階、および2次均質化熱処理段階を含み得る。
前記1次均質化熱処理段階は、300〜400℃温度範囲で実施し得る。具体的には、1〜15時間実施し得る。
前記2次均質化熱処理段階は、400〜500℃温度範囲で実施し得る。具体的には、1〜15時間実施し得る。
前記圧延材を準備する段階は、200〜400℃温度範囲で実施し得る。また、圧延1回あたり0超過および50%以下の圧下率で圧延し得る。
前記圧延材を準備する段階は、前記圧延材を中間焼鈍する段階をさらに含み得る。
前記圧延材を中間焼鈍する段階は、300〜500℃温度範囲で実施し得る。
具体的には、30分〜10時間実施し得る。
前記圧延材を最終焼鈍する段階は、300〜500℃温度範囲で実施し得る。具体的には、10分〜10時間実施し得る。
本発明の一実施形態によれば、マグネシウム合金板材の製造段階で累積圧下率を制御することによって、2次相の偏析を分散させて2次相ストリンガ(stringer)を低減しようとする。そのために、圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)への変形時、物性の差を減少させることができる。それだけでなく、常温での成形性に優れる。
したがって、本発明の一実施形態によるマグネシウム合金板材は、高強度および軽量を目的とする自動車分野に用いることができる。具体的には、自動車用部品の成形時、ストレッチングおよびベンディングモードでクラックが発生することなく成形が可能である。
板材幅方向(TD)に引張試験時、2次相ストリンガ(stringer)によるクラック形成機構(mechanism)を順に示す図である。 実施例1の微細組織をSEMで観察して示す図である。 比較例1の微細組織をSEMで観察して示す図である。 実施例1の2次相ストリンガ(stringder)が含まれた地点を拡大した後SEMで観察した写真と、2次相のEDS分析結果を示す図である。 比較例1の2次相ストリンガ(stringder)が含まれた地点を拡大した後SEMで観察した写真と、2次相のEDS分析結果を示す図である。 比較例1、比較例2および2の累積圧下率によるベンディング性をグラフで示す図である。
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができ、本実施例は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は特許請求の範囲によってのみ規定される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指す。
したがって、いくつかの実施形態で、良く知られている技術は本発明が曖昧に解釈されることを避けるために具体的に説明しない。他に定義のない限り、本明細書で使われるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解される意味で使われる。明細書全体においてある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対の意味を示す記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、単数形は文面で特記しない限り、複数形も含む。
本発明の一実施形態であるマグネシウム合金板材は、全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含み得る。
以下、マグネシウム合金板材の成分および組成を限定した理由を説明する。
Alは0.5〜3.5重量%だけ含み得る。具体的には、0.5〜1.0重量%だけ含み得る。より具体的には、アルミニウムは常温での成形性を向上させる役割をすることによって、前記含有量だけ含む場合、ストリップキャスティング法による鋳造が可能である。
具体的には、後述するマグネシウム合金板材の製造方法の圧延段階で圧延時の集合組織は強い基底面組織に変化する。この時、前記基底面組織への変化を抑制させるための機構として、溶質牽引(solute dragging)効果がある。前記溶質牽引機構は、Mgより原子半径が大きいCaのような元素が結晶粒界内に偏析することによって、熱や変形が加えられた時粒界移動性(boundary mobility)を低下させ得る。これにより、圧延中の動的再結晶または圧延変形による基底面集合組織の形成を抑制することができる。
したがって、アルミニウム3.5重量%を超えて添加する場合、AlCa2次相の量も急激に増加するので、粒界に偏析するCaの量が減少し得る。そのため、溶質牽引効果も減少し得る。それだけでなく、2次相が占める分率が増加することにより、ストリンガ(stringer)分率も増加し得る。前記ストリンガは下記で詳しく説明する。
反面、アルミニウム0.5重量%未満で添加する場合、ストリップキャスティング法による鋳造が不可能である。アルミニウムの溶湯の流動度を向上させる役割により、鋳造時のロールスティッキング(roll sticking)現象を防止することができる。したがって、アルミニウムを添加しないMg−Zn系マグネシウム合金は実際のロールスティッキング現象によりストリップキャスティング法で鋳造が不可能である。
Znは0.5〜1.5重量%だけ含み得る。
より具体的には、亜鉛はカルシウムとともに添加時、非底面の軟化現象により基底面スリップを活性化させることによって、板材の成形性を向上させる役割をする。ただし、1.5重量%を超えて添加時にはマグネシウムと結合して金属間化合物を作るので、成形性に悪影響を与える恐れがある。
Caは0.1〜1.0重量%だけ含み得る。
カルシウムは亜鉛とともに添加時、非底面の軟化現象をもたらし、非底面スリップを活性化させることによって板材の成形性を向上させる役割をする。
より具体的には、後述するマグネシウム合金板材の製造方法で圧延時、集合組織は強い基底面集合組織に変化する特性がある。前記特性を抑制させるための機構として、溶質牽引(solute dragging)効果がある。より具体的には、Mgより原子半径が大きい元素が結晶粒界内に偏析されることによって、熱や変形が加えられた時粒界移動性(boundary mobility)を低下させ得る。この時、Mgより原子半径が大きい元素としてCaを使用することができる。この場合、圧延中の動的再結晶または圧延変形による基底面集合組織の形成を抑制することができる。
ただし、1.0重量%を超えて添加時にはストリップキャスティング鋳造時、鋳造ロールとの粘着性が増加してスティッキング(sticking)現象が激しくなる。これによって、溶湯の流動性を減少させて鋳造性が低くなるので、生産性が減少し得る。
Mnは0.01〜1.0重量%だけ含み得る。
マンガンはFe−Mn系化合物を形成し、板材内のFe成分の含有量を低減する役割をする。したがって、マンガンを含む場合、鋳造前合金溶湯状態でドロスまたはスラッジ形態でFe−Mn化合物を形成することができる。そのために、鋳造時のFe成分の含有量が少ない板材を製造することができる。さらに、マンガンはアルミニウムとAlMn2次相を形成することができる。これにより、カルシウムが消耗する量を抑制し、カルシウムが結晶粒界に偏析できる量を増加させる役割をする。したがって、マンガン添加時、溶質牽引効果をより向上させることができる。
前記マグネシウム合金板材は、結晶粒界にカルシウム元素が偏析していてもよい。この時、前記カルシウム元素は金属間化合物の形態でない溶質(solute)形態で結晶粒界に偏析し得る。
より具体的には、カルシウムがアルミニウムのような元素と2次相を形成せず、固溶して溶質形態で粒界に偏析することによって、粒界の移動性を低下させて基底面集合組織の形成を抑制することができる。これにより、常温で成形性に優れたマグネシウム合金板材を提供することができる。
前記マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は、3〜15μmでありうる。
後述するが、本発明の他の一実施形態であるマグネシウム合金板材の製造方法の圧延段階で、累積圧下率が86%以上である場合、マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は前記範囲でありうる。
これは類似の成分および組成の従来の他のマグネシウム合金に比べて小さい水準でありうる。
したがって、マグネシウム合金板材の平均結晶粒径が前記と同様である場合、温間変形時軟性と成形性が増大し得る。
本明細書における結晶粒径は、マグネシウム合金板材内の結晶粒の直径を意味する。
前記マグネシウム合金板材はストリンガ(stringer)を含み得る。
本明細書におけるストリンガ(stringer)とは、2次相が固まり、圧延方向(RD)に帯をなしていることを意味する。
具体的には、前記マグネシウム合金板材内のストリンガ(stringer)の圧延方向(RD)への長さは最大50μm以下でありうる。また、前記マグネシウム合金板材内のストリンガ(stringer)の板材幅方向(TD)への厚さは最大1μm以下でありうる。
前記長さおよび厚さのストリンガを含むことは、本発明の一実施形態によるマグネシウム合金板材にはストリンガが殆ど存在しないことを意味する。
一方、圧延方向(RD)への長さが最大50μmを超えたり、板材幅方向(TD)への厚さが最大1μmを超えるストリンガがマグネシウム合金板材に存在する場合は物性異方性が大きい。
この時、本明細書における前記板材幅方向(TD)は圧延方向(RD)に垂直方向でありうる。
具体的には、板材幅方向(TD)へのベンディングや引張時圧延方向(RD)に形成されたストリンガに沿って2次相が壊れ、クラックが容易に伝播され得る。そのため、板材幅方向(TD)でのベンディング性が圧延方向(RD)でのベンディング性より劣り得る。
特に、前記のような2次相ストリンガ(stringer)がマグネシウム合金板材の表面付近に存在する場合、圧延に垂直方向である板材幅方向(TD)にベンディング試験時クラックがさらに容易に発生し得る。
図1により、2次相ストリンガ(stringer)によるクラック形成機構(mechanism)を確認することができる。
図1は板材幅方向(TD)に引張試験時、2次相ストリンガ(stringer)によるクラック形成機構(mechanism)を順に示す図である。
図1に示すように、板材幅方向(TD)に引張時圧延方向(RD)に形成された2次相ストリンガ(stringer)(白色点)に沿ってクラック(crack)が進行することを確認することができる。すなわち、2次相ストリンガ(stringer)とクラック進行方向が平行であり、2次相ストリンガに沿ってクラックが続く傾向が大きいことを導き出すことができる。
したがって、板材幅方向(TD)に引張時、圧延方向(RD)に引張する場合よりストリンガによるクラックによってベンディング性がさらに劣る。これにより、圧延方向(RD)に引張(ベンディング)する場合と板材幅方向(TD)に引張(ベンディング)する場合の物性差が大きい。
すなわち、本明細書における異方性に劣位の影響を及ぼす2次相ストリンガの基準は、圧延方向(RD)への長さが最大50μmを超えたり、板材幅方向(TD)への厚さが最大1μmを超えるストリンガと定義する。
また、本明細書における異方性とは、圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)での物性が相異することを意味する。後述するが、本明細書では、V−bending試験により圧延方向(RD)と引張方向(TD)に曲げ試験を実施して異方性を測定した。したがって、異方性の指標としてベンディング試験による限界ベンディング半径(LBR)値を表した。
そのために、異方性に優れることは圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)での物性差が少ないことを意味する。
前記ストリンガ(stringer)をなしている2次相はAlCa、AlMn、またはこれらの組み合わせでありうる。
また、マグネシウム合金板材の全体面積100%に対し、前記2次相の面積は5〜15%でありうる。ただし、これに制限するものではなく、本発明の一実施形態によるマグネシウム合金板材は2次相がストリンガをなさず分散した状態でありうる。
したがって、前述したように、前記マグネシウム合金板材は、150℃以上で圧延方向(RD)への限界ベンディング半径(LBR)値が0.5R/t以下でありうる。
また、150℃以上で板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値が1.5R/t以下でありうる。
本明細書における限界ベンディング半径(LBR)値とは、V−bendingテスト後の板材の厚さ(t)に対する板材の内部曲率半径(R)の比を意味する。具体的には、板材の内部曲率半径(R)/板材の厚さ(t)でありうる。これは成形性の指標と物性の異方性に対する指標として示することができる。
前記マグネシウム合金板材は、150℃以上で圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値差の絶対値は0.4〜1.4でありうる。
前記範囲は圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)の物性の差が大きくないことを意味する。すなわち、本発明の一実施形態によるマグネシウム合金板材の物性異方性に優れることを意味する。
そのため、製造されたマグネシウム合金板材の厚さは0.8〜1.7mmでありうる。マグネシウム合金板材の厚さ範囲が前記と同様であると、高強度軽量を目的とする自動車分野などにも用いることができる。
本発明の他の一実施形態であるマグネシウム合金板材の製造方法は、全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含む合金溶湯を鋳造して鋳造材を準備する段階、前記鋳造材を均質化熱処理する段階、前記均質化熱処理された鋳造材を圧延して圧延材を準備する段階、および前記圧延材を最終焼鈍する段階を含み得る。
先に、前記合金溶湯を鋳造して鋳造材を準備する段階は、ダイカスト、ダイレクトチルキャスティング(Direct chill casting)、ビレット鋳造、遠心鋳造、傾動鋳造、金型重力鋳造、砂型鋳造(sand casting)、ストリップキャスティングまたはこれらの組み合わせにより鋳造することができる。ただし、これに制限するものではない。
前記鋳造材の厚さは7.0mm以上でありうる。
また、合金溶湯の成分および組成を限定した理由は、先立って説明したマグネシウム合金板材の成分および組成を限定した理由と同様であるため省略する。
その後、前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、300〜500℃温度範囲で実施することができる。
具体的には、4時間〜30時間実施することができる。
さらに具体的には、前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、1次均質化熱処理段階、および2次均質化熱処理段階に分けられる。
前記1次均質化熱処理段階は、300〜400℃温度範囲で実施することができる。具体的には、1〜15時間実施することができる。
前記2次均質化熱処理段階は、400〜500℃温度範囲で実施することができる。具体的には、1〜15時間実施することができる。
より具体的には、前記温度および時間均質化熱処理を実施する場合、鋳造段階で発生した応力を解消することができる。また、1次および2次均質化熱処理段階に分けて実施する場合、1次均質化熱処理段階で350℃以上でメルティング現象が起きる2次相を容易に除去することができる。そのため、応力解消時間を低減することができる。
具体的には、1次熱処理段階ではMg−Al−Zn三元系金属間化合物が溶体化され得る。1次熱処理段階を行わず2次熱処理段階をすぐに実施する場合、前記金属間化合物は初期溶融(incipient melting)が発生して材料内気孔が発生し得る。
また、2次熱処理段階ではMg17Al12のようなベータ相が溶体化されることができ、鋳造時生成されたデンドライト形態が再結晶粒形態に変わる。
前記均質化熱処理された鋳造材を圧延して圧延材を準備する段階での累積圧下率が86%以上でありうる。
本明細書における圧下率とは、圧延時圧延ロールを通過する前の材料の厚さと圧延ロールを通過した後の材料の厚さの差を圧延ロールを通過する前の材料の厚さで除した後100を乗じたことを意味する。
さらに具体的には、累積圧下率とは、鋳造材の厚さと最終圧延材の厚さの差を鋳造材の厚さで除した後100を乗じたことを意味する。したがって、累積圧下率とは、鋳造材から最終圧延材を製造するまで実施した総圧下率を意味したりもする。
したがって、累積圧下率が86%以上である場合、これによって製造された本発明の一実施形態によるマグネシウム合金板材の結晶粒径が微細でありうる。具体的には、マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は、3〜15μmでありうる。
それだけでなく、累積圧下率が前記範囲の場合、偏析帯に集中した2次相を分散させてストリンガ(stringer)の発生確率を低減することができる。これによって、圧延方向(RD)と垂直方向である板材幅方向(TD)への変形を加える時、クラックを引き起こす原因を低減することができる。
また、前記圧延材を準備する段階は、200〜400℃温度範囲で実施することができる。
具体的には、圧延温度範囲が前記と同様である場合、クラック発生なしに圧延することができる。それだけでなく、前記温度で圧延する場合、結晶粒界にCa偏析が容易であり得る。
具体的には、圧延1回あたり0超過および50%以下の圧下率で圧延することができる。また、多数の圧延を実施することができる。そのため、前述したように累積圧下率が86%以上でありうる。
前記圧延材を準備する段階は、前記圧延材を中間焼鈍する段階をさらに含み得る。
前記圧延材を中間焼鈍する段階は、300〜500℃温度範囲で実施することができる。また、30分〜10時間実施することができる。
より具体的には、前記条件で中間焼鈍を実施する場合、圧延時の発生した応力を充分に解消することができる。より具体的には、圧延材の溶融温度を超えない範囲で、再結晶により応力を解消することができる。
最後に、前記圧延材を最終焼鈍する段階は、300〜500℃温度範囲で実施することができる。具体的には、10分〜10時間実施することができる。
前記条件で最終焼鈍することによって再結晶を容易に形成することができる。
以下、実施例により詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
製造例
全体100重量%に対し、Al:3.0重量%、Zn:0.8重量%、Ca:0.6重量%、Mn:0.3重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含む合金溶湯を準備した。
その後、前記溶湯をストリップキャスティング法で鋳造して鋳造材を準備した。
その後、前記鋳造材を350℃で1時間1次均質化熱処理した。
その後、400〜500℃で24時間2次均質化熱処理した。
その後、前記均質化熱処理された鋳造材を200〜400℃で圧延1回あたり15〜25%の圧下率で圧延した。ただし、実施例と比較例はそれぞれ累積圧下率(総圧下率)が相異するように圧延した。これは圧延回数で制御した。
前記圧延中間に中間焼鈍も実施した。具体的には、300〜500℃で1時間実施した。
最後に、前記圧延材を300〜500℃で1時間最終焼鈍した。
このように製造されたマグネシウム合金板材の厚さは1mmであった。
このように製造された実施例と比較例の引張強度(YS)、伸び率(El)、限界ドーム高さ(LDH)、および限界ベンディング半径(LBR)を評価して下記表1に開示した。
この時、各物性の評価方法は下記のとおりである。
[引張強度の測定方法]
試験片が破断するまでの最大引張荷重を試験前試験片の断面積で除した値を意味する。具体的には、常温で一軸引張試験機を用いて測定し、変形速度(strain rate)は10−3/sで行った。
[伸び率の測定方法]
引張試験時の材料が伸びる比率であって、試験前試験片の長さに対する変化した試験片の長さを百分率で表す値を意味する。具体的には、引張強度の測定条件と同一であり、ゲージ(gauge)部分の初期長さに対する増加した長さを測定した。
[エリクセン数値の測定方法]
横、縦それぞれ50〜60mm大きさのマグネシウム合金板材を用い、板材の表面には板材と球状パンチとの間の摩擦を減少させるために潤滑剤を使用した。
この時、ダイおよび球状パンチの温度は常温にしてテストを実施した。
より具体的には、マグネシウム合金板材を上部ダイと下部ダイとの間に挿入した後、前記板材の外周部を10kNの力で固定し、その後20mmの直径を有する球状パンチを用いて5mm/minの速度で前記板材に変形を加えた。その後、前記板材が破断するまでパンチを挿入した後、破断時の板材の変形高さを測定する方式で行った。
このように測定した板材の変形高さをエリクセン値または限界ドーム高さ(LDH)という。
[限界曲げ半径(V−bending)の測定方法]
V−bendingテストによる結果を限界曲げ半径(LBR)という。具体的には、テスト後板材の内部曲率半径(R)/板材の厚さ(t)値を意味する。
具体的には、ダイとパンチで構成される装置にヒーティングが可能なように熱線をそれぞれ設置してターゲット温度まで温度を制御する。ダイとパンチはいずれも90°角度を有し得る。パンチの種類は曲率半径が0Rから9Rまで多様である。
前記装置を用いる板材をベンディングした後、クラックなしにベンディングされるパンチのRを導き出す。この時、パンチのベンディング速度は秒当たり30〜60mmで測定した。
装置は機械式60ton servo pressを用い、パンチとダイが含まれたV−bending金型をpressに設置して用いた。
実施例と比較例の累積圧下率によるマグネシウム合金板材の物性を表1に開示した。
表1に開示したように、累積圧下率が増加するほど圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)に対する物性の差が減少することを確認することができる。それだけでなく、累積圧下率が増加するほど限界ドーム高さ(LDH)値も増加することが分かる。具体的には、累積圧下率が89.2%で最も高い実施例1の限界ドーム高さ(LDH)値が7.2mmで最も優れた。
それだけでなく、実施例1は150℃以上で圧延方向(RD)の限界曲げ半径(LBR)値が0であり、板材幅方向(TD)の限界曲げ半径(LBR)値が1.25以下であることが分かる。
限界曲げ半径(LBR)値が低いことは、厳しい(severe)ベンディング条件でよく耐えることを意味する。
そのため、本発明の実施例によるマグネシウム合金板材は、成形性および異方性がいずれも優れることが分かる。
このような結果は図面によっても確認することができる。
図2は実施例1の微細組織をSEMで観察して示す図である。
表1で実施例1は累積圧下率が89.2%であった。その結果、図2に示すように、圧延方向(RD)への長さが最大50μmを超えたり、板材幅方向(TD)への厚さが最大1μmを超える2次相ストリンガ(Stringer)が観察されないことを肉眼で確認することができる。
さらに具体的には、一部の2次相(白色点)が固まっていることを確認できるが、圧延方向(RD)への長さが50μm以下であるか板材幅方向(TD)への厚さが1μm以下であることが分かる。
図3は比較例1の微細組織をSEMで観察して示す図である。
図3に示すように、比較例1は白色点のような2次相ストリンガ(stringder)が圧延方向(RD)に長く固まっている形状を確認することができる。
これにより比較例1の圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)の物性の差が最も大きい理由を導き出すことができる。
図4は実施例1の2次相ストリンガ(stringder)が含まれた地点を拡大した後SEMで観察した写真と、2次相のEDS分析結果を示す図である。
図5は比較例1の2次相ストリンガ(stringder)が含まれた地点を拡大した後SEMで観察した写真と、2次相のEDS分析結果を示す図である。
図5に示すように、比較例1の2次相ストリンガ(stringder)の成分をEDSで分析した結果、AlCaまたはAlMnが最も多いことを確認することができる。
具体的には、板材幅方向(TD)に変形時前記のような2次相が集まって圧延方向(RD)に形成されたストリンガ(stringer)に沿ってクラックが発生し得る。したがって、比較例1の圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)の物性の差が最も大きい理由を導き出すことができる。
図6は比較例1、比較例2および2の累積圧下率によるベンディング性をグラフで示す図である。
図6に示すように、常温と200℃で圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)の物性の差が最も少ないことは実施例1であることを確認することができる。
さらに具体的には、累積圧下率が大きいほど圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)の物性の差が少なくなることが分かる。
以上、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。
したがって、上記実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲並びにその均等概念から導き出されるすべての変更または変更された形態が本発明の範囲に含まれると解釈しなければならない。

Claims (22)

  1. マグネシウム合金板材全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含み、
    前記マグネシウム合金板材の平均結晶粒径は、3〜15μmである、マグネシウム合金板材。
  2. 前記マグネシウム合金板材はストリンガ(stringer)を含み、
    ストリンガ(stringer)の圧延方向(RD)への長さは最大50μm以下である、請求項1に記載のマグネシウム合金板材。
  3. 前記マグネシウム合金板材においてストリンガ(stringer)の板材幅方向(TD)への厚さは最大1μm以下である、請求項2に記載のマグネシウム合金板材。
  4. 前記マグネシウム合金板材は、
    150℃以上で圧延方向(RD)への限界ベンディング半径(LBR)値が0.5R/t以下である、請求項3に記載のマグネシウム合金板材。
  5. 前記マグネシウム合金板材は、
    150℃以上で板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値が1.5R/t以下である、請求項4に記載のマグネシウム合金板材。
  6. 前記マグネシウム合金板材は、
    150℃以上で圧延方向(RD)と板材幅方向(TD)への限界ベンディング半径(LBR)値差の絶対値は0.4〜1.4である、請求項5に記載のマグネシウム合金板材。
  7. 前記マグネシウム合金板材の厚さは、0.8〜1.7mmである、請求項6に記載のマグネシウム合金板材。
  8. 全体100重量%に対し、Al:0.5〜3.5重量%、Zn:0.5〜1.5重量%、Ca:0.1〜1.0重量%、Mn:0.01〜1.0重量%、残部Mgおよびその他不可避不純物を含む合金溶湯を鋳造して鋳造材を準備する段階;
    前記鋳造材を均質化熱処理する段階;
    前記均質化熱処理された鋳造材を圧延して圧延材を準備する段階;および
    前記圧延材を最終焼鈍する段階を含み、
    前記圧延材を準備する段階で、
    累積圧下率が86%以上である、マグネシウム合金板材の製造方法。
  9. 前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、
    300〜500℃温度範囲で実施する、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  10. 前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、
    4〜30時間実施する、請求項9に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  11. 前記鋳造材を均質化熱処理する段階は、
    1次均質化熱処理段階;および
    2次均質化熱処理段階を含む、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  12. 前記1次均質化熱処理段階は、
    300〜400℃温度範囲で実施する、請求項11に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  13. 前記1次均質化熱処理段階は、
    1〜15時間実施する、請求項12に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  14. 前記2次均質化熱処理段階は、
    400〜500℃温度範囲で実施する、請求項11に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  15. 前記2次均質化熱処理段階は、
    1〜15時間実施する、請求項14に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  16. 前記圧延材を準備する段階は、
    200〜400℃温度範囲で実施する、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  17. 前記圧延材を準備する段階は、
    圧延1回あたり0超過および50%以下の圧下率で圧延する、請求項16に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  18. 前記圧延材を準備する段階は、
    前記圧延材を中間焼鈍する段階をさらに含む、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  19. 前記圧延材を中間焼鈍する段階は、
    300〜500℃温度範囲で実施する、請求項18に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  20. 前記圧延材を中間焼鈍する段階は、
    30分〜10時間実施する、請求項19に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  21. 前記圧延材を最終焼鈍する段階は、
    300〜500℃温度範囲で実施する、請求項8に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
  22. 前記圧延材を最終焼鈍する段階は、
    10分〜10時間実施する、請求項21に記載のマグネシウム合金板材の製造方法。
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