JP2006016656A - マグネシウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金板及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006016656A
JP2006016656A JP2004194843A JP2004194843A JP2006016656A JP 2006016656 A JP2006016656 A JP 2006016656A JP 2004194843 A JP2004194843 A JP 2004194843A JP 2004194843 A JP2004194843 A JP 2004194843A JP 2006016656 A JP2006016656 A JP 2006016656A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
less
bending
magnesium alloy
alloy sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004194843A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4306547B2 (ja
Inventor
Kenichi Shimizu
健一 清水
Nozomi Kawabe
望 河部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2004194843A priority Critical patent/JP4306547B2/ja
Publication of JP2006016656A publication Critical patent/JP2006016656A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4306547B2 publication Critical patent/JP4306547B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】 高強度で冷間曲げ加工性に優れるマグネシウム合金板、及びこのマグネシウム合金板の製造方法を提供する。
【解決手段】 下記の1〜2のいずれかの合金組成からなる母材板に圧延加工を施した後、熱処理を施すことで得られ、曲げ試験において表面割れを起こすことなく曲げることができる最小曲げ係数B(B=r/t、r=曲げ半径(mm)、t=板厚み(mm))が1.5以下である。
1.質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ca:0.01%以上1.5%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる。
2.質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ti:0.01%以上0.09%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高強度で、成形加工性に優れたマグネシウム合金板、及びその製造方法に関するものである。特に、プレス成形、深絞り加工、曲げ加工などを室温といったより低温で行う際に必要とされる曲げ加工性に優れたマグネシウム合金板、及びその製造方法に関する。
マグネシウムは、比重(密度g/cm3、20℃)が1.74であり、構造用に利用される金属材料の中で最も軽い金属であり、種々の元素を添加して合金化することで強度を高めることができる。そこで、近年、軽量化が要求されている携帯機器類や自動車部品の材料などにマグネシウム合金を利用する例が増加してきている。しかし、マグネシウムやその合金は、塑性加工性に乏しいhcp構造を有するため、現在、実用化されているマグネシウム合金製品は、ダイカストやチクソモールド法といった射出成型を行う鋳造法により製造されたものが主流である。
マグネシウム合金は、アルミニウムや銅などと比較して鋳造性がよく、種々の複雑な形状の鋳造材が得られるものの、鋳造材では、引張強さや延性、靭性に乏しく、軽量効果を十分に得ているといいにくい。一方、圧延、押し出し、引き抜きなどの塑性加工を施した展伸材は、鋳造材よりも機械的特性に優れる。従って、マグネシウム合金についても、その塑性加工方法について多く研究されている。例えば、圧延を施すことで得られるマグネシウム合金板に関して、特許文献1〜4に記載される技術がある。また、展伸用のマグネシウム合金として、特許文献5に記載されるものがある。
特開2002-266057号公報 特開2001-200349号公報 特開2001-294966号公報 特開2004-60048号公報 特開2002-173730号公報
しかし、マグネシウム及びマグネシウム合金は、一般に塑性加工に必要なすべり系が少ないため、特許文献1〜3に記載されるような従来のマグネシウム合金板では、200℃未満の温間加工性又は冷間加工性、特にプレス成形性などに最も大きな影響を与える曲げ加工性に劣る傾向にある。従って、より低い温度における成形加工性の向上、特に、室温における成形加工性の向上が望まれている。
従来、圧延によって得られるマグネシウム合金展伸材の中で最も汎用されている材料として、Al、Znを含有するASTMにおけるAZ31合金、AZ61合金が知られている。これらのマグネシウム合金は、Alなどの元素を添加することで、鋳造性の向上と同時に強度の向上を図っている反面、延性や靭性の低下を招いている。一般に、強度が上昇すると、延性、靭性の指標となる、絞り、伸び、曲げ性能、深絞り成形性などといった特性が低下する傾向にあり、上記AZ系のマグネシウム合金も同様である。
特許文献1〜3の技術では、AZ系相当のマグネシウム合金を用いてプレス加工や絞り加工を200℃以上で行っており、より低温での成形加工性、特に冷間加工性について全く検討されていない。また、これら特許文献1〜3の技術では、結晶粒を微細に制御することで、靭性の向上を図るものであるが、結晶粒の微細化による靭性の向上には限界があり、より低温での成形加工性を向上させるためには、結晶粒の制御以外の要件を検討する必要がある。なお、特許文献5の技術は、熱間押出材を評価しているに過ぎず、冷間加工性について具体的に検討されていない。
そこで、本発明の主目的は、十分な強度を有すると共に優れた曲げ加工性を有するマグネシウム合金板を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記曲げ加工性に優れたマグネシウム合金板の製造方法を提供することにある。
本発明は、合金組成を特定することで上記目的を達成する。
即ち、本発明マグネシウム合金板は、下記の1〜2のいずれかの合金組成からなる母材板に圧延加工を施した後、熱処理を施すことで得られ、曲げ試験において表面割れを起こすことなく曲げることができる最小曲げ係数B(B=r/t、r=曲げ半径(mm)、t=板厚み(mm))が1.5以下であることを特徴とする。
1.質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ca:0.01%以上1.5%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる
2.質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ti:0.01%以上0.09%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる
上記曲げ加工性に優れる本発明マグネシウム合金板は、以下のようにして得ることができる。即ち、本発明マグネシウム合金板の製造方法は、上記1〜2のいずれかの合金組成からなる母材板に圧延ロールにて圧延加工を施す工程と、前記圧延加工が施された圧延板に熱処理を施す工程とを具える。この圧延加工は、1パス以上行うものとする。そして、少なくとも最後の1パスにおいて、圧延ロールに挿入する直前の母材板の表面温度を100℃以下とし、圧延ロールの表面温度を100〜300℃とする圧延を行う。
特許文献4では、より低温における曲げ加工性の向上を目的として、特定の圧延を行うことを提案している。しかし、特許文献4の技術では、AZ系相当のマグネシウム合金を用いており、マグネシウム合金に添加する元素としてAl、Zn以外の元素について十分に検討されていない。そこで、本発明者らが更に検討した結果、特に、室温といったより低温環境において曲げ加工性を向上させるためにはAlは少ない方が好ましく、Znは添加した方が好ましいが多過ぎると曲げ特性を低下させることがわかった。かつ、一定量のCa又はTiを添加することで、曲げ加工性の向上に寄与することがわかった。これらの知見に基づき、本発明では、合金組成を規定する。以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明では、質量%でAl:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ca:0.01%以上1.5%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金(以下、Ca添加材と呼ぶ)、又は質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ti:0.01%以上0.09%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなるマグネシウム合金(以下、Ti添加材と呼ぶ)を用いる。即ち、本発明では、一定量のCa又は一定量のTi、一定量のAl、Zn以外の元素を不純物として扱う。不純物は、有意的に添加しない元素のみとしてもよいし、有意的に添加する元素(添加元素)を含んでいてもよい。添加元素としては、例えば、Mnが挙げられる。具体的な含有量は、質量%でMn:0.1〜0.4%が挙げられる。この含有量を外れる場合、有意的に添加していないものとする。マグネシウム単体では十分な強度を得ることが難しいが、Al、Znや上記添加元素などを含むことで好ましい強度が得られる。
上記のようにAlを含有すると、強度の向上に寄与する。しかし、曲げ特性に注目した場合、Alは含まれていなくてもよく、逆に多過ぎると曲げ特性を低下させる。従って、Alの上限を1質量%とする。Znも含有することで強度の向上に貢献する反面、多過ぎると曲げ特性を低下させる。従って、Znの含有量は、1質量%以上2質量%未満とする。Ca又はTiは、圧延といった塑性加工による再結晶時や、圧延後に施す熱処理による再結晶時に結晶粒が成長されることを抑える効果があり、この効果は、0.01質量%といった微量でも得られる。そこで、Ca、Tiの下限を0.01質量%とする。また、CaやTiの含有量が多いほど上記粒成長の抑制効果が大きくなるが、添加量の増加に従い、粗大なMg-Ca金属間化合物、Mg-Ti金属間化合物の生成を助長し、この粗大な金属間化合物の存在により、曲げ加工性の低下を引き起こす。そこで、Caの上限を1.5質量%、Tiの上限を0.09質量%とする。より好ましい範囲は、Ca:0.3〜1.2質量%、Ti:0.03〜0.06質量%である。
上記合金組成からなる母材板を用意し、この母材板に圧延加工を施した後、圧延材に熱処理を施すことで、高強度でより低温での曲げ加工性、或いは冷間における曲げ加工性に優れるマグネシウム合金板を得る。母材板は、例えば、鋳造材や鋳造材に粗圧延を施した粗圧延材などを利用することができる。圧延加工は、圧延ローラを用いて行う。公知の圧延装置を利用してもよい。
特に、上記圧延加工は、1パス以上行い、そのうち、少なくとも最後の1パスにおいて、圧延ロールに挿入させる際の母材板の表面温度と圧延ロールとの表面温度とを制御して行う。このような圧延により、十分な強度を具えると共に、冷間での成形加工性に優れたマグネシウム合金板を得ることができる。より具体的な条件は、圧延ロールに挿入する直前の母材板の表面温度を100℃以下とすると共に、圧延ロールの表面温度を100〜300℃とする。このように加熱された圧延ロールと接触することで母材板は、間接的に加熱される。以下、圧延前の母材板の表面温度を100℃以内に抑え、実際に圧延するときの圧延ロールの表面温度を100℃以上300℃以下で加熱する圧延方法を「ノンプレヒート圧延」と呼ぶ。なお、ノンプレヒート圧延は、複数パス行ってもよいし、温間圧延を複数パス行った後、最後の1パスのみに適用してもよい。即ち、温間圧延を粗圧延とし、ノンプレヒート圧延を仕上げ圧延として利用してもよい。温間圧延は、従来行われている圧延条件にて行ってもよい。
ノンプレヒート圧延において、圧延ロールに挿入する直前における母材板の表面温度の下限は、特に規定しないが、常温であれば加熱も冷却も不要で、エネルギー効率上好ましい。
ノンプレヒート圧延において、圧延ロール温度が100℃より低いと、母材板の加熱が不十分となり、圧延中に割れが生じて正常な圧延が行えないことがある。また、圧延ロール温度が300℃を超えると、圧延ロールの加熱設備を大掛りにする必要があることに加えて、圧延中の母材板の温度が上昇しすぎて、曲げ加工性を向上させる効果が十分に得られないことがある。そこで、圧延ロールの温度の上限を300℃とする。
本発明において圧延工程は、少なくとも一対の圧延ローラがライン沿いに配置されて圧延を行うものとする。ライン沿いに複数組の圧延ローラを配置して連続的に圧延を行ってもよい。このような圧延を1パス以上行う。即ち、1パスのみでもよいし、2パス以上の圧延を行ってもよい。複数パスに亘る圧延を行う場合、ノンプレヒート圧延は、少なくとも最後の1パスに施すことが好適である。最後の1パスについてノンプレヒート圧延を行うことで、それよりも前のパスにおける圧延条件に関わらず曲げ加工性に優れるマグネシウム合金板を得ることができる。
ノンプレヒート圧延の総圧下率は5.0%以上30.0%以下であることが望ましい。この総圧下率が5.0%未満では、十分な曲げ加工性を得ることができないからである。逆に30.0%を超えると、圧延中の母材板に生じる歪みが大きくなり過ぎて、割れを生じる可能性が高くなるからである。
1パスごとの圧下率は次式で求める。
{(各パスの圧延前板厚−各パスの圧延後板厚)/各パスの圧延前板厚}×100
また、総圧下率は次式で求める。
{(圧延前の板厚−最終圧延後の板厚)/圧延前の板厚}×100
ノンプレヒート圧延の圧延速度は、1.0m/min以上であることが望ましい。圧延速度が、この下限値を下回ると、圧延中に母材板内の温度が必要以上に上昇したり、歪み速度の低下に伴う変形機構の変化から、本来のノンプレヒート圧延の効果が得られ難い。
上記圧延は、潤滑剤を用いて行うことが好適である。潤滑剤を用いることで、得られたマグネシウム合金板の曲げ性能も若干向上させることができる。潤滑剤には一般の圧延用油が利用できる。潤滑剤の適用方法は、圧延する前に母材板に潤滑剤を塗布することが好適である。
圧延工程前には、母材板に350〜450℃で1時間以上の溶体化処理を施すことが好ましい。この溶体化処理により、圧延より前までの加工により導入された残留応力又は歪みを取り除き、かつそれまでの加工中に形成された集合組織を軽減することができる。そして、その後に続く圧延工程において母材板の不用意な割れ、歪み、変形を防ぐことができる。溶体化処理温度が350℃未満又は1時間未満では、十分に残留応力を除去したり集合組織を軽減する効果が少ない。逆に450℃を超えると、残留応力除去などの効果が飽和し、溶体化処理に必要なエネルギーを浪費することになるからである。溶体化処理時間の上限は3時間程度である。
また、本発明では、圧延後、圧延材に熱処理を施し、加工によって導入された残留応力又は歪みを除去して、機械的特性の向上を図る。熱処理の具体的な条件としては、温度:100〜350℃、時間:5分〜3時間程度が望ましい。100℃未満又は5分未満では、再結晶が不十分で歪みが残存したままになるからであり、350℃超又は3時間超では、結晶粒が粗大化し過ぎて曲げ性能を悪化させるからである。
上記圧延工程及び熱処理工程を経て得られた本発明マグネシウム合金板は、曲げ試験において表面割れを起こすことなく曲げることができる最小曲げ係数B(B=r/t、r=曲げ半径(mm)、t=板厚み(mm))が1.5以下という、優れた曲げ特性を有する。最小曲げ係数Bは、小さいほど曲げ加工性に優れていることを意味する。なお、上記最小曲げ係数Bは、室温にて測定したものとする。
更に、結晶粒の平均粒径を10μm以下とすると、曲げ加工性の向上により効果がある。より好ましくは、7μm以下である。結晶粒の平均粒径を求めるには、例えば、JIS G 0551に記載される算出式を用いることが挙げられる。また、結晶粒の平均粒径は、例えば、圧延後に施す熱処理のバランスを調整することで、10μm以下、特に7μm以下に制御することができる。
以上説明したように本発明マグネシウム合金板の製造方法によれば、Al、Znの調整に加えて、Ca又はTiを一定量含有させることで、高強度でありながら、冷間における成形加工性に優れるマグネシウム合金板を提供することができる。また、得られた本発明マグネシウム合金板は、曲げ特性に優れるため、プレス加工、深絞り加工、曲げ加工といった成形加工を200℃未満の温度、特に、室温にて行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(試験例1)
表1に示す組成からなるマグネシウム合金を準備して、下記の要領でインゴットに圧延加工を施した後、熱処理を施してマグネシウム合金板を得た。そして、得られたマグネシウム合金板の曲げ特性を評価した。
Figure 2006016656
表1において合金成分は、化学分析にて測定した。合金種aは、市販されているAZ31合金に相当し、合金種bも一般的に用いられている成分のものである。合金種c〜jは、本試験に当たり成分調整を行ったものである。表1において*が付されているものは、有意的に添加していない元素を示す。また、表1に記載していないが不可避的不純物を含む。
<母材板の作製>
表1に示す合金種a〜jを真空溶解炉にて溶解し、引き続いて鋳型にて鋳造してインゴットを得た(肉厚40mm)。得られた各インゴットの横断面において表面部、及び中心部(表面部から深さ20mmの地点)を観察したところ、大きな鋳造欠陥は存在せず、いずれの合金種も十分な鋳造性を有することが確認された。これら各インゴットに400℃×6時間の溶体化処理を施し、母材板とした。溶体化処理を行うことで、その後に続く圧延工程において、母材板の不用意な割れ、歪み、変形を防止する。
<圧延工程>
得られた各合金種の母材板に圧延ロールにて圧延を施した。圧延は、粗圧延として温間圧延を行い、仕上げ圧延としてノンプレヒート圧延を行った。圧延ロールには、ロールの表面温度を200℃まで加熱できるようにヒータを設置した。本試験において温間圧延は、圧延加工直前の母材板の表面温度を350℃、圧延時の圧延ロールの表面温度を180℃、1パスの加工度を5〜15%、圧延速度を3〜6m/minとし、複数パスに亘って行った。母材板の加熱は、雰囲気加熱により行った。また、温間圧延1パスごとに400℃×60分間の条件で中間焼鈍を施した。本試験においてノンプレヒート圧延は、圧延加工直前の母材板の表面温度を室温、圧延時の圧延ロールの表面温度を100℃以上200℃以下、1パスの加工度を5〜10%、圧延速度を3〜6m/minとして1パス行い、最終的に肉厚0.6〜0.8mmの圧延材を得た。なお、圧延ロールと母材板間の摩擦を軽減するべく、圧延前に母材板には、潤滑剤として一般的な圧延用油を塗布した。
<熱処理工程>
得られた各合金種の圧延材に熱処理を施し、マグネシウム合金板を得た。熱処理を行うことで、圧延加工などによって導入された残留応力、或いは歪みを除去し、機械的特性を向上させることができる。本試験において熱処理は、250℃×15分間の条件で加熱炉にて行った。
<評価>
得られた各合金種のマグネシウム合金板に曲げ試験を施し、曲げ特性を評価した。曲げ試験の結果から最小曲げ半径r、及び表面割れの有無を求めた。その結果を表2に示す。
曲げ試験は、JIS Z 2248に準じてVブロック式の試験を室温で行った。用いたVブロックの形状を図1に示す。内角20°のV溝11を設けたVブロック10上に試料20を載せ、この試料20を押し金具30で押圧して試料20をV溝11に沿って曲げる。その際の押し金具30の先端半径(曲げ半径)rを変化させることにより(r=1.0〜3.0mm)、試料の曲げ部表面に割れが出るかどうかを評価した。表2中における「○」は試料表面に割れが生じなかったことを示し、「×」は試料表面に割れが生じたことを意味する。
曲げ加工性を表す指針として、以下の数式に示される最小曲げ係数Bの値を代表特性値と見なした。
B=r/t (r=曲げ半径、t=板厚み、単位:mm)
この最小曲げ係数Bは、曲げ試験で表面割れが生じない場合のみに評価できるものとし、表面割れが生じた場合(表2の表記で×の場合)、最小曲げ係数Bの値は評価できないものとした。最小曲げ係数Bは、その性質上、小さいほど曲げ加工性に優れることを意味する。また、本試験では、各合金種のマグネシウム合金板のサンプルを複数用意しておき、各サンプルにそれぞれ先端半径が異なる押し金具を用いて曲げ試験を行い、表面割れが生じなかった場合、最小曲げ係数Bを評価する。そして、得られた最小曲げ係数Bのうち、最も小さい値をその合金種における最小曲げ係数Bとして採用した。
Figure 2006016656
表2からわかるように、Alの含有量が多い従来材の試料No.1では、最小曲げ係数が2であり、高い曲げ加工性を示しているが、成分調整を行った試料No.6〜10の方がより優れた曲げ加工性を有することがわかる。特に、試料No.6〜10は、室温という条件であっても、高い曲げ加工性を有することがわかる。試料No.1と比較してAl及びZnの含有量が共に少ない従来材の試料No.2では、逆に曲げ加工性が劣化している。また、試料No.1と比較してAlの含有量を少なくした試料No.3も、曲げ加工性の著しい向上が見られない。しかし、この試料No.3に対し、一定量のCa又はTiを含有させた試料No.6〜10は、室温における曲げ加工性に優れていることがわかる。また、試料No.4、5から一定量のCa又はTiを含有させても、Znの含有量が多いと、曲げ加工性が劣化する傾向にあることがわかる。
これらの結果から、より低温における成形加工性や冷間加工性を向上させるためには、Ca又はTiを一定量含有させることに加えて、Al及びZnの含有量を調整することが好ましいことがわかる。具体的には、Alは1質量%以下、Znは1.0〜2.0質量%未満が好ましいことがわかる。
<結晶粒、引張強度の測定>
曲げ特性の評価終了後、試料No.6〜10に対して組織観察を行い、得られた組織写真から結晶粒の測定を実施した。その結果、試料No.6〜10の結晶粒は5〜15μmの範囲にあり、すべて微細粒の範疇に入るものであった。また、試料No.6〜10に対して引張強度を測定したところ、いずれも250MPa以上であり、高強度であることも確認された。
本発明マグネシウム合金板は、高強度で200℃未満といった低温での温間成形加工性、又は冷間成形加工性に優れるため、200℃未満、特に、室温にて、プレス成形、深絞り加工、曲げ加工などの成形加工を施すことができる。このような本発明マグネシウム合金板は、携帯電話などの携帯用機器やパソコンなどの電子機器の部品やケース、航空機部品、自動車用部品などの軽量であることが望まれる種々のものの素材として最適である。
曲げ試験の説明図である。
符号の説明
10 Vブロック 11 V溝 20 試料 30 押し金具

Claims (4)

  1. 質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ca:0.01%以上1.5%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなり、
    前記合金組成からなる母材板に圧延加工を施した後、熱処理を施すことで得られ、
    曲げ試験において表面割れを起こすことなく曲げることができる最小曲げ係数Bが1.5以下であることを特徴とするマグネシウム合金板。
    B=r/t (r=曲げ半径、t=板厚み、単位:mm)
  2. 質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ca:0.01%以上1.5%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる母材板に圧延ロールにて圧延加工を施す工程と、
    前記圧延加工が施された圧延板に熱処理を施す工程とを具え、
    前記圧延加工は、1パス以上行い、
    少なくとも最後の1パスにおいて、
    圧延ロールに挿入する直前の母材板の表面温度を100℃以下とし、
    圧延ロールの表面温度を100〜300℃とすることを特徴とするマグネシウム合金板の製造方法。
  3. 質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ti:0.01%以上0.09%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなり、
    前記合金組成からなる母材板に圧延加工を施した後、熱処理を施すことで得られ、
    曲げ試験において表面割れを起こすことなく曲げることができる最小曲げ係数Bが1.5以下であることを特徴とするマグネシウム合金板。
    B=r/t (r=曲げ半径、t=板厚み、単位:mm)
  4. 質量%で、Al:1%以下、Zn:1%以上2%未満、Ti:0.01%以上0.09%未満を含有し、残部がMg及び不純物からなる母材板に圧延ロールにて圧延加工を施す工程と、
    前記圧延加工が施された圧延板に熱処理を施す工程とを具え、
    前記圧延加工は、1パス以上行い、
    少なくとも最後の1パスにおいて、
    圧延ロールに挿入する直前の母材板の表面温度を100℃以下とし、
    圧延ロールの表面温度を100〜300℃とすることを特徴とするマグネシウム合金板の製造方法。
JP2004194843A 2004-06-30 2004-06-30 マグネシウム合金板及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4306547B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004194843A JP4306547B2 (ja) 2004-06-30 2004-06-30 マグネシウム合金板及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004194843A JP4306547B2 (ja) 2004-06-30 2004-06-30 マグネシウム合金板及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006016656A true JP2006016656A (ja) 2006-01-19
JP4306547B2 JP4306547B2 (ja) 2009-08-05

Family

ID=35791197

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004194843A Expired - Fee Related JP4306547B2 (ja) 2004-06-30 2004-06-30 マグネシウム合金板及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4306547B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006104028A1 (ja) * 2005-03-28 2006-10-05 Sumitomo Electric Industries, Ltd. マグネシウム合金板の製造方法及びマグネシウム合金板
KR100783918B1 (ko) * 2006-05-04 2007-12-10 현대자동차주식회사 집합조직 제어를 통한 마그네슘 합금 판재의 상온 성형성증대 방법
JP2011509833A (ja) * 2008-01-23 2011-03-31 哈爾濱工業大学 可塑性の高いマグネシウム合金板材の逆方向温度場を作るための圧延プロセス方法
KR101078308B1 (ko) 2008-05-19 2011-10-31 포항공과대학교 산학협력단 고강도 마그네슘 합금 판재 및 그 제조방법
KR20180044213A (ko) * 2016-10-21 2018-05-02 주식회사 포스코 고성형 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
JP2018513913A (ja) * 2015-04-08 2018-05-31 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド 希薄マグネシウム合金シートにおけるひずみ誘起時効強化
WO2018117695A1 (ko) * 2016-12-22 2018-06-28 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR20180089379A (ko) * 2018-08-03 2018-08-08 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재
KR101937928B1 (ko) * 2018-08-03 2019-01-11 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
WO2019132452A1 (ko) * 2017-12-26 2019-07-04 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
WO2019132453A1 (ko) * 2017-12-26 2019-07-04 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
JPWO2020203980A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7879165B2 (en) 2005-03-28 2011-02-01 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Method for producing magnesium alloy plate and magnesium alloy plate
WO2006104028A1 (ja) * 2005-03-28 2006-10-05 Sumitomo Electric Industries, Ltd. マグネシウム合金板の製造方法及びマグネシウム合金板
KR100783918B1 (ko) * 2006-05-04 2007-12-10 현대자동차주식회사 집합조직 제어를 통한 마그네슘 합금 판재의 상온 성형성증대 방법
JP2011509833A (ja) * 2008-01-23 2011-03-31 哈爾濱工業大学 可塑性の高いマグネシウム合金板材の逆方向温度場を作るための圧延プロセス方法
KR101078308B1 (ko) 2008-05-19 2011-10-31 포항공과대학교 산학협력단 고강도 마그네슘 합금 판재 및 그 제조방법
JP2018513913A (ja) * 2015-04-08 2018-05-31 バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド 希薄マグネシウム合金シートにおけるひずみ誘起時効強化
CN109844152A (zh) * 2016-10-21 2019-06-04 株式会社Posco 高成型性镁合金板材及其制备方法
WO2018074896A3 (ko) * 2016-10-21 2018-06-14 주식회사 포스코 고성형 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR102043774B1 (ko) * 2016-10-21 2019-11-12 주식회사 포스코 고성형 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR20180044213A (ko) * 2016-10-21 2018-05-02 주식회사 포스코 고성형 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
JP2019535893A (ja) * 2016-10-21 2019-12-12 ポスコPosco 高成形マグネシウム合金板材およびその製造方法
WO2018117695A1 (ko) * 2016-12-22 2018-06-28 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
JP7125416B2 (ja) 2016-12-22 2022-08-24 ポスコ マグネシウム合金板材およびその製造方法
CN110114486B (zh) * 2016-12-22 2022-05-13 株式会社Posco 镁合金板材及其制造方法
US11268178B2 (en) 2016-12-22 2022-03-08 Posco Magnesium alloy sheet and method for manufacturing same
JP2020503461A (ja) * 2016-12-22 2020-01-30 ポスコPosco マグネシウム合金板材およびその製造方法
CN110114486A (zh) * 2016-12-22 2019-08-09 株式会社Posco 镁合金板材及其制造方法
WO2019132453A1 (ko) * 2017-12-26 2019-07-04 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR102043287B1 (ko) 2017-12-26 2019-11-11 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR20190078258A (ko) * 2017-12-26 2019-07-04 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
WO2019132452A1 (ko) * 2017-12-26 2019-07-04 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
US11773472B2 (en) 2017-12-26 2023-10-03 Posco Co., Ltd Magnesium alloy sheet and method for producing same
JP7157158B2 (ja) 2017-12-26 2022-10-19 ポスコ マグネシウム合金板材およびその製造方法
CN111801434A (zh) * 2017-12-26 2020-10-20 株式会社Posco 镁合金板材及其制造方法
JP2021508002A (ja) * 2017-12-26 2021-02-25 ポスコPosco マグネシウム合金板材およびその製造方法
KR20180089379A (ko) * 2018-08-03 2018-08-08 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재
KR101937928B1 (ko) * 2018-08-03 2019-01-11 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재 및 이의 제조방법
KR101977830B1 (ko) * 2018-08-03 2019-05-13 주식회사 포스코 마그네슘 합금 판재
WO2020203980A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 国立研究開発法人産業技術総合研究所 強度-延性バランスと常温加工性に優れたマグネシウム合金板
JP7248252B2 (ja) 2019-03-29 2023-03-29 国立研究開発法人産業技術総合研究所 強度-延性バランスと常温加工性に優れたマグネシウム合金板
JPWO2020203980A1 (ja) * 2019-03-29 2020-10-08

Also Published As

Publication number Publication date
JP4306547B2 (ja) 2009-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3558628B2 (ja) マグネシウム合金板およびその製造方法
JP5342201B2 (ja) 成形性に優れたアルミニウム合金板
JP4189687B2 (ja) マグネシウム合金材
JP4495623B2 (ja) 伸びフランジ性および曲げ加工性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
EP2453031B1 (en) Magnesium alloy plate
JP2007262484A (ja) ヘム曲げ性およびベークハード性に優れる自動車パネル用6000系アルミニウム合金板の製造方法
JP4306547B2 (ja) マグネシウム合金板及びその製造方法
JP4666271B2 (ja) チタン板
JP4799294B2 (ja) 高成形性Al−Mg系合金板の製造方法
JP2006016655A (ja) マグネシウム合金展伸材
JP4012845B2 (ja) 結晶粒を微細化した70/30黄銅とその製造方法
JP5376507B2 (ja) 優れた冷間成形性を有するマグネシウム合金板材及びその製造方法
JP4944474B2 (ja) 伸びフランジ性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP2010248607A (ja) 成形性に優れたアルミニウム合金板
JP4515363B2 (ja) 成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP4799295B2 (ja) 高成形性Al−Mg−Si系合金板の製造方法
JP5125995B2 (ja) マグネシウム合金展伸材
JP2008062255A (ja) キャビティ発生の少ないAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の超塑性成形方法およびAl−Mg−Si系アルミニウム合金成形板
JP2006299295A (ja) アルミニウム合金の高温成形方法
JP4263073B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP4257185B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
CN109794507B (zh) 一种高性能铝合金板材横向振动轧制工艺
JP2004315878A (ja) ヘム曲げ性及び表面性状に優れた成形加工用アルミニウム合金板の製造方法
JP2011144410A (ja) 高成形性Al−Mg−Si系合金板の製造方法
JP2007270348A (ja) 自動車用ボディの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090414

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4306547

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130515

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140515

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees