JP2007270348A - 自動車用ボディの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗装焼付け硬化性に優れた成形加工用6000系アルミニウム合金板の生産性に優れた製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.5〜1.5%と、必要に応じCu:0.1〜1.0%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施し、該溶体化後に5℃/秒以上で60〜120℃に急冷し、該急冷後保持を5秒以上5分以内で保持する低温予備時効処理を施した後、10〜50℃において連続製造ラインまたは単独ラインにおいて72時間以内にプレス成形を行う。また、上記低温予備時効処理を施した後、150〜200℃の温度域を5秒以上5分以内で保持する高温予備時効処理を施し、その後10〜50℃において連続製造ラインまたは単独ラインにおいて72時間以内にプレス成形を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形性及び塗装焼付け性に優れた6000系アルミニウム合金板を用いた自動車用ボディの製造方法に関するものである。
近年、自動車の燃費向上を目的とした車体軽量化の要望が高まっており、軽量化手段の一つとして、エンジンフード、トランクリッド等、自動車ボディへのアルミニウム合金板が使用されている。特に、熱処理型のAl−Mg−Si系合金(6000系アルミニウム合金といい、単に、6000系合金ともいう。)は、塗装焼付け工程の熱処理により降伏強度が上昇する性質(塗装焼付け硬化性という。)を有するため、板厚の薄肉化ひいては車体の軽量化に有利であり、自動車ボディ用材料として使われることが多くなってきている。
従来、6000系合金の塗装焼付け硬化性については、溶体化・焼入れ後に熱処理を加えることによって降伏強度を上昇させる方法が種々開示されている。
例えば、特許文献1では、溶体化焼入れ処理後、72時間以内に40〜120℃の温度で8〜36時間の最終熱処理を行う発明が開示されている。
また、特許文献2では、溶体化処理後室温以上の50〜130℃に温度に焼き入れて、その温度に1〜48時間の長時間熱処理を行った後、さらに140〜180℃の温度範囲で3〜10分間の低温加熱処理を行う発明が開示されている。
また、特許文献3でも、溶体化焼き入れ後60分以内に40〜120℃の温度で50時間以上の熱処理を行う発明が開示されている。
また、本発明者の一部は、特許文献4に溶体化処理後に25℃以下まで5℃/秒以上で急冷し、急冷後5分以内保持し、その後60〜120℃で5秒〜120分保持する低温予備時効処理を施し、150〜240℃で30秒〜30分間保持する高温予備時効処理を施す発明を開示した。
また、特許文献5には、成形性及び塗装焼付時の強度上昇のため、溶体化処理後に80℃/min以上で50〜150℃まで冷却し、そのまま50〜150℃に0.5〜50時間保持し、その後80℃/min以上において180〜280℃で0〜170秒保持する発明が開示されている。
また、特許文献6に、板製造後の経時変化を抑制し、良好な成形加工性、十分な焼付き硬化性を得るために、保持処理、再加熱処理の後に、140℃以下まで冷却後、72時間以内に50〜140℃で0.5〜50時間保持する安定化処理を行うことが開示されている。
特開平05−007460号公報 特開平04−210456号公報 特開2003―105471号公報 特開2006―9140号公報 特開平6―240424号公報 特開平6―272000号公報
上記従来の特許文献1〜6に記載された発明は、アルミ製造メーカにおいて製造されたアルミニウム合金板を自動車製造メーカにおいてプレス成形することを前提としている。そのため、室温にて放置され、クラスターの発生によって強度が上昇したアルミニウム合金板を内にクラスターが発生して、プレス前の強度の上昇による成形性及び塗装焼付け硬化性の劣化が避けられない。
さらに、上記特許文献1〜3に記載の発明は、自動車ボディ用材料として塗装焼付け時に大きな強度上昇を図り、かつ板製造後から成形加工までの室温放置中の自然時効による強度上昇を抑えるためには、いずれの場合も溶体化処理以降に長時間の熱処理を行う必要があり、生産性を犠牲にして製造しなければならないという問題がある。
また、特許文献4及び特許文献5に開示された発明は、溶体化処理後に低温予備時効処理、高温予備時効処理を施すという点では類似しているが、本発明はプレス成形を行うまでの時間を制限し、生産性を向上させるという点で相違する。
また、特許文献6に開示された発明は、溶体化処理後、熱処理までの時間を72時間以内とするものであり、熱処理後、プレス工程の処理までの室温での保持時間を規定するものではない。また、本発明は高密度低成長のβ”を生成することを目的として溶体化後60〜120℃で5秒〜120保持する低温予備時効処理を施すものであり、この点でも相違する。
最近の自動車ボディはデザイン面及び電装機器の発達によりその収納も考えるため複雑形状が多く、プレス成形性が非常に重要になってきている。そして自動車ボディ向けの6000系アルミニウム合金の需要は近年増加しつつあり、今後のさらなる需要増加に対応していくためには生産性に優れた自動車ボディの製造方法が必要とされるようになってきた。
そこで、本発明は、上記従来技術の生産性の問題を有利に解決できる、成形性及び塗装焼付け硬化性に優れた6000系アルミニウム合金板を用いた自動車ボディの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.5〜1.5%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施し、該溶体化後に5℃/秒以上で60〜120℃に急冷し、該急冷後60〜120℃の温度域に5秒以上5分以内保持する低温予備時効処理を施し、該低温予備時効処理後10〜50℃での保持時間を72時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
(2)低温予備時効処理を施した後、さらに150〜200℃の温度域に5秒以上5分以内保持する高温予備時効処理を施し、該高温予備時効処理後10〜50℃での保持時間を72時間以内としてプレス成形を行うことを特徴とする上記(1)記載の自動車用ボディの製造方法。
(3)質量%で、さらに、Cu:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の自動車用ボディの製造方法。
(4)質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.5〜1.5%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施した後に5℃/秒以上で10〜120℃の温度域に急冷し、該急冷後、熱処理を行うことなく、10〜50℃での保持時間を24時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
(5)質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.5〜1.5%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施した後に5℃/秒以上で−10〜10℃未満の温度域に急冷し、該急冷後、熱処理を行うことなく、10〜50℃での保持時間を24時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
(6)質量%で、さらに、Cu:0.1〜1.0%を含有することを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の自動車用ボディの製造方法。
(7)プレス成形後、塗装焼付けを行うまでの10〜50℃での保持時間を168時間以内とすることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の自動車用ボディの製造方法。
本発明により、成形性及び塗装焼付け硬化性に優れた6000系アルミニウム合金板を材料とするエンジンフード、トランクリッド等の自動車用ボディを、高い生産性で製造することが可能になり、産業上の貢献が極めて顕著である。
本発明者らは、6000系アルミニウム合金板の塗装焼付け硬化性を支配するβ”相形成挙動について鋭意検討を行い、その結果見出した知見に基づき、合金成分並びに溶体化処理、低温時効処理及び高温予備時効処理(以下、低温予備時効処理及び高温予備時効処理を総称して熱処理という。)条件を適切に規定し、熱処理後プレス成形までの10〜50℃での保持時間を72時間以内とするか、又は、熱処理を行わずに、プレス成形までの10〜50℃での保持時間を24時間以内とすれば、成形性を損なうことがなく、プレス成形できるとの結論に達し、本発明を成すに至った。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の自動車ボディの製造方法を適用する6000系アルミニウムの成分は、質量%で、Mg:0.4〜1.0%、Si:0.5〜1.5%である。これは、Mgが0.4%未満、Siが0.5%未満では強度が不十分になり、Mgが1.0%超、Siが1.5%超では、溶体化処理の際に、Mg2SiやSi相の固溶が不十分になり、成形性を損なうためである。
更に、成形性を高めるためにCuを添加しても良い。Cuは、延性を向上させる元素であり、効果を得るには、0.1%を添加することが好ましい。また、Cuを1.0%超添加すると、糸錆を生じて外観を損なうことがあるので、上限を1.0%以下とすることが好ましい。
また、他の元素については特に規定しないが、Fe、Cr、Mn、Ti、B、Znなどを不純物として含有することがある。Feは、不可避的不純物であり、0.5%以下を含有することがある。Cr、Mn、Ti、Bは鋳片の粒径を小さくする元素であり、製造性の観点から、0.5%以下のMn及びCr、0.1%以下のTi、0.005%以下のBを添加することがある。
本発明の自動車用ボディの製造方法は、従来の一般的な方法にしたがって溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延によって製造されたアルミニウム合金板に、本発明で規定した溶体化処理および低温時効処理を施し、さらに必要に応じて高温予備時効処理を施し、室温、すなわち10〜50℃での保持時間を限定し、プレス成形を行うものである。また、10〜50℃での保持時間を短く制限することにより、熱処理の省略が可能である。ただし、鋳片に均質化焼鈍を施しても良く、また冷間圧延の途中に中間焼鈍を行ってもかまわない。
先ず、溶体化処理について説明を行う。
溶体化処理温度は480℃未満ではMg2SiやSi相の固溶が不十分であり、塗装焼付け硬化性が低下するだけでなく、成形性も劣化する。一方、溶体化処理温度が580℃超では、共晶融解が起きる場合があり成形性の低下を招く恐れがあり、また、結晶粒の粗大化による肌荒れが生じやすくなり好ましくない。溶体化処理温度に到達後、保持時間は特に限定はしない。よって保持せずに直ちに冷却しても良いが、30分以内の所定時間保持することによりMg2SiやSi相の固溶が促進され、塗装焼付け硬化性、成形性が向上するため、30分以内の所定時間の保持が好ましい。しかし、溶体化処理温度での保持時間が30分を超えても効果があまり大きくなく、工業的にも時間を要し好ましくない。
溶体化処理後の冷却速度は、5℃/秒未満では冷却過程で結晶粒界にMg2Si相やSi相等が析出し、成形性、塗装焼付け硬化性が劣化するため、下限を5℃/秒とした。粒界析出を抑制し、溶質原子の過飽和度を十分に確保する点で好ましい下限は10℃/秒以上である。冷却速度の上限は特に規定はしない。
溶体化処理後の急冷温度及び低温予備時効処理条件の限定理由は以下の通りである。急冷温度及び低温予備時効処理温度が60℃未満では、クラスター(6000系アルミニウム合金において常温近傍で形成される溶質原子の集合体で、この相が形成されると塗装焼付け硬化性が阻害される。)が形成されてしまい、引き続き行う高温予備時効処理でのβ”相の析出促進ならびに析出組織の微細化効果が不十分となってしまう。一方、急冷温度及び低温予備時効処理温度を120℃超とするとβ”相の成長のため析出促進が大きくなりすぎて相自体が大きくなり微細化効果が十分に得られない。また、急冷温度を60〜120℃にすると、大きな規模な装置を必要とせず、アルミニウム合金板の変形を防止することができ、比較的簡単に冷却できる。
低温予備時効処理の保持時間については、5秒未満では上述の効果が確保できず、一方、5分超の保持を行っても高温予備時効処理によって初期強度が高くなり過ぎて、成形性が劣化してしまう。上記の理由により、溶体化処理後の急冷温度及び低温予備時効処理の温度範囲は60〜120℃とし、低温予備時効処理の保持時間は5秒〜5分間とした。
次に高温予備時効処理の説明を行う。高温予備時効処理温度は150℃未満では十分な塗装焼付け硬化性が確保できるようなβ”相を短時間に形成させることができない。また、200℃超では初期強度が高くなり過ぎて、成形性が劣化してしまう。また、保持時間については30秒未満では十分な塗装焼付け硬化性が確保できない。一方、5分超の保持を行うと強度が高くなり過ぎ、成形性が劣化してしまうばかりでなく、本発明が目的とする生産性を損なう。上記の理由により、高温予備時効処理条件は、150〜200℃の温度範囲において30秒〜5分間保持することを条件とした。
上記の時効を行うと熱処理直後、焼付け前の強度は非常に弱く、焼付け後の強度は非常に高くなる。しかし上記熱処理でもSiやMgはまだ過飽和状態で残っているため、室温時効を行うとクラスターが多く発生するため塗装焼付け硬化性が劣化する。そこで、熱処理からプレス成形までの10〜50℃での保持時間を72時間以内とすることで、その欠点を補うことにした。
これは、熱処理後、10〜50℃での保持時間が72時間以内であれば、アルミニウム合金板に生成するクラスターによる初期強度の上昇が小さいという知見に基づくものである。すなわち、前記(1)に係る発明では低温予備時効熱処理の後、前記(2)に係る発明では高温予備時効熱処理の後、10〜50℃での保持時間が72時間以内であれば強度が低いため複雑な成形も可能となる。一方、10〜50℃での保持時間が72時間超ではクラスターが多く生成するため初期強度が高くなり成形性に悪影響を及ぼすばかりか塗装焼付け硬化性の効果が減少する。
また、溶体化処理後、急冷し、プレス成形までの10〜50℃における保持時間を24時間以内とすることによって、低温予備時効処理及び高温予備時効処理の省略が可能である。したがって、溶体化処理後の急冷温度は、10〜120℃で良い。また、急冷温度が60℃未満になるとクラスターの形成が促進されるが、急冷温度を10℃未満まで低下させると、クラスターの形成の進行が遅くなる。これは、温度の低下に伴う原子の拡散速度の低下による効果であると考えられる。
したがって、溶体化処理後、10℃未満に急冷しても良い。これには、溶体化処理後、冷媒等を用いた冷却槽へ焼入れることが必要である。急冷温度は低いほど好ましいが、−10℃未満の低温とすることは困難である。
更に、10℃未満ではクラスターの形成が抑制されることから、プレス成形までの温度を、空調設備等によって、10℃未満にすることが好ましい。
さらにプレス成形後、塗装焼付け処理を行うと、過飽和元素がβ”に変遷するため強度は上昇する。なお、塗装焼付け硬化性は、プレス成形後、室温に保持されることによって劣化することがある。そのため、プレス成形後、塗装焼付けを行うまで、10〜50℃に保持される時間を168時間以内とすることが好ましい。塗装焼付け硬化性の低下を抑制するには、プレス成形から塗装焼付けを行うまでの間の、10〜50℃に保持される時間が、72時間以内、24時間以内と短いほど好ましい。
表1の成分組成を有する6000系アルミニウム合金を溶解し、DC鋳造法により鋳造した。得られた鋳塊に530℃で10時間の均質化焼鈍を施した後、510℃で熱間圧延を開始し、250℃で板厚を5mmとして熱間圧延を終了した。その後1mmまで冷間圧延を行い、表2に示すように、溶体化処理条件を変化させて、溶体化処理並びに低温予備時効処理及び高温予備時効処理を施した。なお、溶体化処理後は、低温予備時効処理温度まで急冷し、そのまま保持した。これらの熱処理後のアルミニウム合金板を、10〜50℃にて、表2に示した、熱処理からプレスまでに相当する時間を経過させた後、引張特性、塗装焼付け硬化性、ヘム性及び成形性を評価した。
なお、予備時効処理から各特性の評価までに要する時間が表2に示した時間を超過する場合、超過時間については液体窒素中にアルミニウム合金板又は試料を保管し、予備時効処理から各特性の評価までの10〜50℃における経過時間を調整した。このような、熱処理から各特性の評価までの10〜50℃における経過時間の調整は、以下の実施例2〜4においても同様にして行った。また、熱処理後、各特性の評価までの10〜50℃における保持時間は、表2の「熱処理からプレスまでの保持時間」の欄に記載したものである。
引張特性は、板圧延方向(L方向)、圧延方向から45°の方向(D方向)、圧延方向に直角な方向(C方向)を長手とする、JIS Z 2201に準拠した5号試験片を採取して、JIS Z 2241に準拠して引張試験を行い、3方向の面内異方性を考慮した平均値で評価した。尚、耐力は複雑形状も成形可能とする観点より100MPa以下のものを良好として評価した。塗装焼付け硬化性は、C方向を長手として、引張試験機で2%の塑性歪を与えた後、170℃で20分の熱処理を行い、再び引張試験を行い、2%耐力を測定し、熱処理後の耐力が通常よりかなり高い250MPa以上のものを良好として評価した。
ヘム曲げ性は、L方向、D方向、C方向を長手とするJIS Z 2201に準拠した5号試験片に、引張試験機により各試験片に5%の予歪を与え、その後JIS Z 2248に準拠して、曲げ半径Rを板厚の0.5倍として180°まで曲げた後、更に1mm厚の板を挟んで密着させるように曲げて、曲げ部の頂点近傍における割れ発生の有無で評価した。曲げ表面にカラーチェックを施して、ルーペを用いて割れを目視観察した。なお、カラーチェックは、JIS Z 2343に準拠した浸透探傷試験である。3方向で割れ発生の認められない場合をヘム曲げ性良好として○印を付し、1方向でも割れが認められた場合は不良とし、×印を付した。
成形性は、塩化ビニルフィルムとワックスを組み合わせた潤滑条件において、φ100mmの球頭張出試験を行い、破断限界高さにより評価した。この破断限界高さが34mm以上を良好とした。結果を表3に示す。
Figure 2007270348
Figure 2007270348
Figure 2007270348
実施例1と同様にして、表1の成分組成を有する6000系アルミニウム合金板を製造し、表4に示す低温予備時効処理条件を変化させて溶体化処理および熱処理を施し、表4の「熱処理からプレスまでの保持時間」の欄に記載した時間、10〜50℃にて保持した。なお、表4において、高温予備時効欄に「なし」と記載されたものの、「熱処理からプレスまでの保持時間」に記載された時間は、低温予備時効から各特性の評価までに10〜50℃で経過した時間を意味する。これらのアルミニウム合金板の引張特性、塗装焼付け硬化性、ヘム性及び成形性を実施例1と同様にして評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007270348
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実施例1及び2と同様にして、表1の成分組成を有する6000系アルミニウム合金板を製造し、表6に示すように、高温予備時効処理条件を変化させて溶体化処理および熱処理を施し、表6の「熱処理からプレスまでの保持時間」の欄に記載した時間、10〜50℃にて保持した。これらのアルミニウム合金板の引張特性、塗装焼付け硬化性、ヘム性及び成形性を実施例1及び2と同様にして評価した。結果を表7に示す。
Figure 2007270348
Figure 2007270348
実施例1〜3と同様にして、表1の成分組成を有する6000系アルミニウム合金板を製造し、表8に示すように、溶体化処理および熱処理を施し、熱処理から各特性の評価までの10〜50℃での保持時間を、表8の「熱処理からプレスまでの保持時間」の欄に記載した時間のように変化させた。これらのアルミニウム合金板の引張特性、塗装焼付け硬化性、ヘム性及び成形性を実施例1、2及び3と同様にして評価した。結果を表9に示す。
Figure 2007270348
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実施例1〜4と同様にして、表1の成分組成を有する6000系アルミニウム合金板を製造した。この合金板に対して、表10に示すように、急冷温度を変化させて溶体化処理を施した。次に、表10の「急冷後、プレスまでの保持条件」の欄に示した条件で保持し、実施例1と同様にして、引張特性、ヘム性及び成形性を評価した。更に、表10の「プレスから塗装焼付け処理までの保持条件」の欄に示した条件で保持し、C方向を長手として、引張試験機で2%の塑性歪を与えた後、170℃で20分の熱処理を行い、再び引張試験を行い、2%耐力を測定した。結果を表11に示す。
Figure 2007270348
Figure 2007270348

Claims (7)

  1. 質量%で、
    Mg:0.4〜1.0%、
    Si:0.5〜1.5%
    を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施した後に5℃/秒以上で60〜120℃に急冷し、該急冷後60〜120℃の温度域に5秒以上5分以内保持する低温予備時効処理を施し、該低温予備時効処理後10〜50℃での保持時間を72時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
  2. 低温予備時効処理を施した後、さらに150〜200℃の温度域に5秒以上5分以内保持する高温予備時効処理を施し、該高温予備時効処理後10〜50℃での保持時間を72時間以内としてプレス成形を行うことを特徴とする請求項1記載の自動車用ボディの製造方法。
  3. 質量%で、さらに、
    Cu:0.1〜1.0%
    を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用ボディの製造方法。
  4. 質量%で、
    Mg:0.4〜1.0%、
    Si:0.5〜1.5%
    を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施した後に5℃/秒以上で10〜120℃の温度域に急冷し、該急冷後、熱処理を行うことなく、10〜50℃での保持時間を24時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
  5. 質量%で、
    Mg:0.4〜1.0%、
    Si:0.5〜1.5%
    を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるアルミニウム合金板を、480〜580℃で溶体化処理を施した後に5℃/秒以上で−10〜10℃未満の温度域に急冷し、該急冷後、熱処理を行うことなく、10〜50℃での保持時間を24時間以内として連続製造ラインまたは単独ラインによりプレス成形を行うことを特徴とする自動車用ボディの製造方法。
  6. 質量%で、さらに、
    Cu:0.1〜1.0%
    を含有することを特徴とする請求項4又は5に記載の自動車用ボディの製造方法。
  7. プレス成形後、塗装焼付けを行うまでの10〜50℃での保持時間を168時間以内とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動車用ボディの製造方法。
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