JP2021504450A - ピリミジニルアミノ−ピラゾール化合物の多形体及び固体形態、ならびに製造方法 - Google Patents

ピリミジニルアミノ−ピラゾール化合物の多形体及び固体形態、ならびに製造方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルの結晶性多形体及び非晶形、またはその溶媒和物、互変異性体、及びそれらの医薬的に許容される塩または共結晶、ならびにそれらの調製のプロセスに関する。一態様では、提供されるのは、約7.7、9.9、12.7、13.6、14.1、15.4、15.9、19.2、20.5、21.6、22.4、23.2、及び24.7での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態A多形体である。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2017年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/589,276号に対する優先権を主張する。
本開示は、パーキンソン病を含む末梢変性疾患及び神経変性疾患の治療に使用するための2−メチル−2−(3−メチル−4−((4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)アミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルの多形形態に関する。本開示は、多形形態を得るためのプロセスにも関する。
遺伝的証拠及び生化学的証拠の組み合わせは、特定のキナーゼ機能を神経変性疾患の病因に関連付けている(Christensen,K.V.(2017)Progress in medicinal chemistry 56:37−80、Fuji,R.N.et al(2015)Science Translational Medicine 7(273):273ra15、Taymans,J.M.et al(2016)Current Neuropharmacology 14(3):214−225)。キナーゼ阻害剤はアルツハイマー病、パーキンソン病、ALS及びその他の疾患の治療のために研究中である(Estrada,A.A.et al(2015)J.Med.Chem.58(17)6733−6746、Estrada,A.A.et al(2013)J.Med.Chem.57:921−936、Chen,H.et al(2012)J.Med.Chem.55:5536−5545、Estrada,A.A.et al(2015)J.Med.Chem.58:6733−6746、Chan,BK et al(2013)ACS Med.Chem.Lett.4:85−90、US8354420、US8569281、US8791130、US8796296、US8802674、US8809331、US8815882、US9145402、US9212173、US9212186、及びWO2012/062783)。
原薬の異なる固体特性を持つ複数の結晶形は、生物学的利用能、貯蔵寿命と、融点、結晶形態、固有の溶解速度、溶解度及び安定性、及び処理中の挙動を含む物理化学的特性とにおいて差異を見せることができる。X線粉末回折(XRPD)は、独自の回折パターンによって異なる結晶相を同定する強力なツールである。固体核磁気共鳴NMR分光法、RAMAN分光法、DSC(示差走査熱量測定)のような他の手法も同様に有用である。
製薬業界は、同じ結晶性化学物質の複数の多形体の現象に直面することが多い。多形性は、結晶に異なる物理化学的な特性を付与する結晶格子における分子の異なる配置及び/または配座を有する2以上の結晶相として存在するための原薬、すなわち、有効医薬成分(API)の能力として特徴付けられる。選択された多形形態を確実に製造できる能力は、製剤の成功を決定する重要な因子である。
世界中の規制当局は、原薬の多形体を特定し、多形体の相互変換をチェックするための合理的な努力を求めている。多形体の頻繁な予測できない挙動と物理化学的特性におけるそれぞれの差異のせいで、同じ製品のバッチ間の製造の一貫性を実証しなければならない。医薬品の多形体の状況と多形体の性質を正しく理解することは製造の一貫性に寄与するであろう。
原子レベルでの結晶構造決定及び分子間相互作用は、絶対配置(エナンチオマー)、相同定、品質管理、及びプロセス開発の制御と最適化を確立するための重要な情報を提供する。X線回折は、医薬品固形物の結晶構造解析及び結晶形同定のための信頼できるツールとして広く認識されている。
原薬の単結晶を利用できることは、構造決定の速度と正確さのせいで好まれる。しかしながら、データ収集に好適なサイズの結晶を常に入手できるわけではない。シンクロトロンX線粉末回折は有用な技法である。このような状況では、結晶構造は、周囲条件及び/または種々の温度もしくは湿度での測定によって得られるX線粉末回折データから解析することができる。
原薬の新しい多形形態及びそれらを調製する方法を開発するニーズがある。
Christensen,K.V.(2017)Progress in medicinal chemistry 56:37−80
本開示は、本明細書にて式Iの化合物と呼ばれ、以下の構造を有する、ピリミジニルアミノ−ピラゾールキナーゼ阻害剤の結晶多形体または非晶形、またはその溶媒和物、互変異性体、または医薬的に許容される塩、もしくは共結晶に関する。
本開示の態様は、式Iの化合物の多形形態の医薬組成物である。
本開示の別の態様は、
約7.0、7.3、16.1、16.3、24.1、25.1、及び26.6での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態B多形体と、
約6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C多形体と、
約9.2、14.0、14.8、19.7、及び20.0での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D多形体とから選択される結晶性化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルである。
一態様では、提供されるのは、約7.7、9.9、12.7、13.6、14.1、15.4、15.9、19.2、20.5、21.6、22.4、23.2、及び24.7での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態A多形体である。
一態様では、提供されるのは、約7.0、7.3、16.1、16.3、24.1、25.1、及び26.6での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態B多形体である。一部の態様では、形態B多形体は、12.9及び14.8±0.05度2−シータでピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する。一部の態様では、形態B多形体はシクロヘキサノール溶媒和物である。一部の態様では、形態B多形体の示差走査熱量測定DSCは、約87.9℃及び103.2℃での開始で2つの融解吸熱を示す。
一態様では、提供されるのは、約6.4、8.1、8.6、8.8、9.9、10.2、12.9、13.8、15.1、15.4、16.5、19.8、21.2、22.1、23.7、25.7、及び27.8での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C多形体である。
一態様では、提供されるのは約6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C多形体である。態様では、形態C多形体はさらに22.1でのピークを含む。態様では、形態C多形体は、16.5及び22.1±0.05度2−シータにてピークをさらに含む。一部の態様では、形態C多形体は、13.6及び14.8±0.05度2−シータでピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する。一部の態様では、形態C多形体は無水物である。一部の態様では、形態C多形体は、約127.8℃の開始で示差走査熱量測定(DSC)の融解吸熱を有する。
一態様では、提供されるのは、約8.0、8.7、9.2、9.8、10.4、12.9、13.4、14.0、14.8、16.4、18.5、19.7、20.0、20.8、23.1、23.3、23.9、25.5、及び25.7での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D多形体である。
一態様では、提供されるのは、約9.2、14.0、14.8、19.7、及び20.0での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D多形体である。一部の態様では、形態D多形体は、13.6±0.05度2−シータでピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する。一部の態様では、形態D多形体は無水物である。一部の態様では、形態D多形体は、約129.1℃の開始で示差走査熱量測定(DSC)の融解吸熱を有する。
一態様では、本明細書で提供される結晶性化合物は、約0%から約95%までの相対湿度での相対湿度の上昇に約180分間さらされたとき約1%未満の質量増加を示す。
一態様では、本明細書で提供される結晶性化合物は、約40℃及び約75%の相対湿度に少なくとも6ヶ月間曝露された際、安定である。
本開示の別の態様は、6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8にて±0.3度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す結晶性化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルである。
別の態様は、本開示は6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8にて±0.05度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す結晶性化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルである。
本開示の態様は、治療上有効な量の式Iの化合物の結晶多形体または非晶形またはその溶媒和物、互変異性体、または医薬的に許容される塩もしくは共結晶と、医薬的に許容される担体、流動促進剤、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物である。
本開示の態様は、式Iの化合物の結晶多形体または非晶形またはその溶媒和物、互変異性体、または医薬的に許容される塩もしくは共結晶を調製するプロセスである。
一態様では、提供されるのは、メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、またはそれらの組み合わせ、及びヘプタンのような非極性溶媒にて2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルを50℃以上で加熱することと、次いで混合物を冷却することと、それによって約6.4、15.1、21.2、25.7での度2−シータ、及び27.8度2−シータで表される特徴的なピークを持つX線粉末回折パターンを示す形態C結晶多形体が形成されることとを含む結晶多形体を調製するプロセスである。一部の態様では、混合物は播種される。
一態様では、提供されるのは、メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、またはそれらの組み合わせ、及びヘプタンのような非極性溶媒にて2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルの無水溶液を50℃以上で加熱することと、次いで混合物を冷却することと、それによって約9.2、14.0、14.8、19.7での度2−シータ、及び20.0度2−シータで表される特徴的なピークを持つX線粉末回折パターンを示す形態D結晶多形体が形成されることとを含む結晶多形体を調製するプロセスである。一部の態様では、混合物は播種される。
一態様では、本明細書で提供される結晶多形体は粉砕される。別の態様では、本明細書で提供される結晶性無水物多形体は粉砕される。
一態様では、提供されるのは、非晶質化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルである。
一態様では、提供されるのは、溶解するまで化合物の結晶形態を加熱し、続いて冷却して非晶質化合物を形成することを含む、非晶質化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルを調製するプロセスである。一態様では、冷却は、ドライアイスまたは液体窒素浴のような急速冷却による。
式Iの化合物の多形形態、形態A、B、C、及びDの間の相互変換関係を示す模式図である。 式Iの化合物の多形形態、形態A、B、C、及びDのXRPDパターンのオーバーレイを示す図である。 形態A多形体の単結晶X線構造を示す図である。 形態C多形体の単結晶X線構造を示す図である。 形態D多形体の単結晶X線構造を示す図である。 形態A(無水物)多形体のXRPDパターンを示す図である。 形態A(無水物)多形体のTGA及びDSCのデータを示す図である。 形態B(シクロヘキサノール溶媒和物)多形体のXRPDパターンを示す図である。 形態B(シクロヘキサノール溶媒和物)多形体のTGA及びDSCのデータを示す図である。 形態C(無水物)多形体のXRPDパターンを示す図である。 形態C(無水物)多形体のTGA及びDSCのデータを示す図である。 形態D(無水物)多形体のXRPDパターンを示す図である。 形態D(無水物)多形体のTGA及びDSCのデータを示す図である。 形態C単結晶のPLM画像を示す図である。 形態D単結晶のPLM画像を示す図である。 非晶形Eの偏光顕微鏡画像を示す図である。 非晶形EのXRPDディフラクトグラムを示す図である。
定義
特に定義されていない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する、技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有し、以下と一致する。
「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含む(include)」、「含むこと(including)」、及び「含む(includes)」という単語は、本明細書及びクレームで使用される場合、述べられる特徴、整数、成分、または工程の存在を特定することを意図するものであるが、それらは、1以上の他の特徴、整数、成分、工程、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではない。
本明細書で使用されるとき、粉末X線回折パターンのピーク位置に関して使用される場合の「約」または「およそ」という用語は、例えば、使用される計装に応じた、使用される機器の較正、多形体を作り出すのに使用されるプロセス、結晶化された物質等の経年に応じたピークの固有の変動性を指す。この場合、機器の測定変動性は約プラス/マイナス±0.3度2−シータ(θ)であった。本開示の利益を有する当業者は、他に特定されない限り(例えば、±0.05度2−シータ)、この文脈における「約」または「およそ」の使用を理解するであろう。他の定義されたパラメーター、例えば、含水量、Cmax、tmax、AUC、固有溶解速度、温度、及び時間に関して「約」または「およそ」という用語は、例えばパラメーターを測定することまたはパラメーターを達成することにおいて固有の変動性を示す。本開示の利益を有する当業者は、単語、約またはおよその使用によって含まれるようなパラメーターの変動性を理解するであろう。
「多形体」は、本明細書で使用されるとき、パッキングまたは立体構造/立体配置が異なるが、化学組成は同じである化合物のさまざまな結晶形態の存在を指す。結晶形態は結晶格子内で分子の異なる配置及び/または配座を有する。溶媒和物は、化学量論的量または非化学量論的量の溶媒を含有する結晶形である。組み込まれた溶媒が水である場合、溶媒和物は一般に水和物として知られる。水和物/溶媒和物は、同じ溶媒含有量であるが、異なる格子充填または立体構造を持つ化合物の多形体として存在してもよい。したがって、単一の化合物は、各々の形態が、溶解特性、融点温度、吸湿性、粒子形状、形態、密度、流動性、成形性、及び/またはX線回折ピークのような別個の且つ異なる物理的特性を有するさまざまな多形形態を生じてもよい。各多形体の溶解度は異なってもよいので、医薬多形体の存在を同定することは、予測可能な溶解度特性を持つ医薬品を提供することに不可欠である。すべての多形形態を含む薬剤の固体形態すべてを特徴付け、調べ、且つ各多形形態の安定性、溶解及び流動の特性を決定することが望ましい。化合物の多形形態は、X線回折法によって、及び赤外線分光法またはRaman分光法または固体NMR分光法のような他の方法によって、実験室にて区別することができる。多形体の一般的な概説及び多形体の製薬への応用については、すべてが参照によって本明細書に組み込まれる、G.M.Wall,Pharm Manuf.3:33(1986)、J.K.Haleblian and W.McCrone,J.Pharm.Sci.,58:911(1969)、“Polymorphism in Pharmaceutical Solids,Second Edition(Drugs and the Pharmaceutical Sciences)”,Harry G.Brittain,Ed.(2011)CRC Press(2009)、ならびにJ.K.Haleblian,J.Pharm.Sci.,64,1269(1975)を参照のこと。
頭字語「XRPD」は、X線回折パターンを表示する固体成分の存在下でX線の回折を測定する分析手法であるX線粉末回折を意味する。X線回折パターンは、CuKα1放射線を使用して作成してもよい。結晶性であり、且つ原子配列の規則的な繰り返しを有する物質は、独特の粉末パターンを生成する。単位格子が類似している物質は、°2θ(シータ)で測定されるような位置で類似するX線回折パターンを示すであろう。この特性を示す溶媒和物は、同構造または同形の溶媒和物と呼ばれる。反射の強度は、回折を引き起こす電子密度、ならびに試料、試料の調製、及び機器パラメーターによって変化する。XRPDデータの分析は、データを収集するのに使用されるX線回折システムの既知の応答に関する測定された粉末パターン(複数可)の一般的な出現に基づく。粉末パターンに存在してもよい回折ピークについては、それらの位置、形状、幅、及び相対強度分布を使用して、粉末試料における固体秩序のタイプを特徴付けることができる。機器の背景の上にある広範な拡散散乱(ハロー)の位置、形状、及び強度を使用して、固体無秩序のレベル及びタイプを特徴付けることができる。粉末試料に存在する固体の秩序と無秩序の解釈の組み合わせは、試料のマクロ構造の定性的な測定が提供する。
「共結晶」という用語は、溶媒和物でも単塩でもない、一般に化学量論比での2以上の異なる分子化合物から構成される結晶性分子複合体を指す。共結晶は、「医薬的に許容される」コフォーマーと水素結合した複合体から成る(Aitipamula,S.etal(2012)Cryst.Growth,Des.12,(5):2147−2152)。コフォーマーには、アセチルサリチル酸、トランス−アコニット酸、アジピン酸、L−アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、フルクトース、フマル酸、没食子酸、グルコース、グルタル酸、馬尿酸、4−ヒドロキシ安息香酸、マレイン酸、マロン酸、マンニトール、ニコチンアミド、ニコチン酸、フェニルアラニン、リボフラビン、サリチル酸、コハク酸、及びバニリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用されるとき「医薬的に許容される塩」という表現は、本発明の化合物の医薬的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩酸物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が挙げられるが、これらに限定されない。他の塩には、上述のコフォーマーのような酸塩が挙げられる。医薬的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンのような別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機部分または無機部分であってもよい。さらに、医薬的に許容される塩は、1を超える荷電原子をその構造内に有してもよい。複数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である事例は、複数の対イオンを有することができる。よって、医薬的に許容される塩は、1以上の荷電原子及び/または1以上の対イオンを有することができる。
所望の医薬的に許容される塩は、当技術分野で利用可能な任意の好適な方法によって調製されてもよい。例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸による、または、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、例えばグルクロン酸もしくはガラクツロン酸等のようなピラノシジル酸、例えば、クエン酸もしくは酒石酸等のようなアルファヒドロキシ酸、例えばアスパラギン酸もしくはグルタミン酸等のようなアミノ酸、例えば安息香酸もしくは桂皮酸等の芳香族酸、例えば、p−トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸等のようなスルホン酸等のような有機酸による遊離塩基の処理。基本的な医薬化合物からの医薬的に有用なまたは許容される塩の形成に好適であると一般に見なされる酸は、例えば、Stahl PH,Wermuth CG,editors.Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection and Use,2nd Revision(International Union of Pure and Applied Chemistry).2012,New York:Wiley−VCH、S. Berge et al,Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1 19、P.Gould,International,J.of Pharmaceutics(1986)33 201 217、Anderson et al,The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,(1995)Mack Publishing Co.,Easton PA、及びThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.のウェブサイト上)にて考察されている。これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
「医薬的に許容される」という表現は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/またはそれで治療される哺乳動物と化学的及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
「溶媒和物」は、1以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合または複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、シクロヘキサノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。溶媒和物を形成してもよい他の溶媒には、“Q3C−Tables and List Guidance for Industry:”(June 2017)US Dept.HHS,Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research (CDER) and Center for Biologics Evaluation and Research (CBER)からのクラス2及び3の群が挙げられる。溶媒和物を形成してもよい溶媒のクラス2の群は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、クメン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラリン、トルエン、トリクロロエテン、及びキシレンである。溶媒和物を形成してもよい溶媒のクラス3の群は、酢酸、ヘプタン、アセトン、酢酸イソブチル、アニソール、酢酸イソプロピル、1−ブタノール、酢酸メチル、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、2−メチル−1−プロパノール、ジメチルスルホキシド、ペンタン、エタノール、1−ペンタノール、酢酸エチル、1−プロパノール、エチルエーテル、2−プロパノール、ギ酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸、及びトリエチルアミンである。
「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合せできない特性を有する分子を指す一方で、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーと重ね合せできる分子を指す。
「立体異性体」という用語は、同一の化学構成を有するが、空間内の原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
「ジアステレオマー」は、2以上のキラル性の中心を有し、それらの分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば、融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法及びクロマトグラフィーのような高解像度分析手順のもとで分離してもよい。
「エナンチオマー」は、互いに重ね合せできない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書で使用される立体化学的な定義及び慣例は、一般的に、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York及びEliel,E.and Wilen,S.,“Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心を含有してもよく、したがって、異なる立体異性体形態で存在してもよい。ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体を含むが、これらに限定されない本発明の化合物のすべての立体異性体形態、ならびにラセミ混合物のようなそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は、光学活性がある形態で存在し、すなわち、平面偏光面を回転させる能力を有する。光学活性化合物について説明する際、接頭辞D及びL、またはR及びSは、そのキラル中心(複数可)を中心とした分子の絶対配置を表すために使用される。接頭辞d及びlまたは(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の標識を指定するために用いられ、このうち(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞を有する化合物は右旋性である。所与の化学構造に関して、これらの立体異性体は互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体はまた、エナンチオマーと称されることもあり、かかる異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と称され、それは、化学的反応またはプロセス中に立体選択または立体選択特異性が全く存在しなかった場所に生じることができる。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性がない2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
「互変異性体」または「互変異性体形態」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換性である異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト・エノール及びイミン・エナミン異性化のようなプロトンの転位を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再編成による相互転換を含む。
式Iの化合物
本開示は、以下の構造を有し、且つ2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルと名付けられた(それぞれが参照により組み込まれるWO2012/062783、US8815882、WO2012/0157427)式Iの化合物の多形体及び非晶形(CAS登録番号1374828−69−9)を含む:
本明細書で使用されるとき、式Iの化合物は、その互変異性体、及びその医薬的に許容される塩または共結晶を含む。式Iの化合物は、神経変性疾患やその他の疾患の治療に使用するための製剤中のAPI(有効医薬成分)であり、プロトン化された場合の算出されたpKaは6.7及び2.1である。
式Iの化合物の晶析及びスクリーニング
最初の多形体スクリーニング実験は、貧溶媒の添加、逆貧溶媒の添加、遅い蒸発、遅い冷却、室温(RT)でのスラリー、50℃でのスラリー、固体蒸気拡散、液体蒸気拡散、及びポリマー誘発晶析を含む、種々の晶析法または固体転移法を使用して実施した。これらすべての方法により、形態Aの結晶タイプを同定した。種々の多形体スクリーニング法から得られた形態Aの偏光顕微鏡(PLM)画像を収集した(実施例5)。貧溶媒の添加により得られた粒子は直径約20〜50ミクロン(μm)の小さなサイズを示した一方で、遅い蒸発、遅い冷却(THF/イソオクタンを除く)、液体蒸気拡散及びポリマー誘起晶析はさらに大きなサイズの粒子を生じた。式Iの化合物のジクロロメタン(DCM)溶液にイソオクタンを添加すると、最も均一なサイズの粒子が生成された。次いで、THF/n−ヘプタンから晶析した粗精製の式Iの化合物を微粉化した。晶析手順を開発して粒子サイズを制御した。
3つの無水物(形態A、C、及びD)と1つの溶媒和物(形態B)を含む、式I化合物の合計4つの結晶形(形態A、B、C、及びD)と非晶形E1つを調製した。スラリー競合実験は、RTで水分活性a≦0.2であれば形態Dは熱力学的により安定である一方で、形態CはRTでa≧0.5であればより安定であることを示した。24時間の溶解度評価は、RTでのHO中の形態A、C及びDの溶解度がそれぞれ0.18、0.14及び0.11mg/mLであることを示した。DVS(動的蒸気吸着)の結果は、形態A及びDがDVSでの0.1%未満の可逆的な吸水で定義されるような非吸湿性である一方で、形態Cはわずかに吸湿性であることを示した。結晶形の特定の特性評価データ及び観察結果を表1に示す。
形態A及び形態Cの示差走査熱量測定(DSC)分析は、形態Cの方が高い融点と高い融解熱を示した(表1)ということは、2つの形態が単変性であり、形態Cの方が安定した形態であることを示唆している。種々の溶媒における1:1の形態A及び形態Cによる競合スラリー実験が常に形態Cを生成したということは、形態Cが形態Aよりも安定であることを裏付けている。これに従って、晶析バッチに形態Aの種晶を播種した場合でも形態Cが生成された。
式Iの化合物の多形体
物理的特性評価及び相互変換関係を評価して、さらなる開発のために式Iの化合物の好適な結晶形を同定した。これまでに、合計4つの結晶形A、B、C、及びDが調製されている。非晶形Eも調製されている。すべての結晶形は、実施例6の手順による粉末X線回折(XRPD)、及び実施例7の手順による熱重量分析(TGA)と示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられた。形態の同定試験は、形態A、C及びDは無水物であり、形態Bはシクロヘキサノール溶媒和物であることを確認した。すべての結晶形の特性評価の要約を表1に提示した。3つの無水物(形態A、C、及びD)間での熱力学的安定性の関係をスラリー競合実験1によって調べた。詳細な相互変換関係は概略図(図1に示す)に描かれた。形態CとDとの間の相互変換関係はHOの溶媒効果と関連していた。形態Dが室温(RT、25±2℃)でa≦0.2であれば熱力学的により安定である一方で、形態CはRTでa≧0.5であればより安定であった。形態A、C及びDは、HOにおける24時間の溶解性及び吸湿性によってさらに評価された。形態A、C及びDのRTでのHOにおける24時間の溶解度はそれぞれ0.18、0.14及び0.11mg/mLであると測定された。24時間の溶解度評価の後、形態変化は観察されなかった。動的蒸気吸着(DVS)データは、形態A及び形態Dが非吸湿性である一方で、形態Cはわずかに吸湿性であることを示した。特性評価と評価結果に基づいて、形態Cと形態Dの双方が、高い結晶化度、低いTGA重量(Wt)損失、単一の鋭いDSC吸熱を含む優れた物理化学的特性を示した。しかしながら、形態Cと形態Dとの間の相互変換関係に関連付けられたHOの溶媒効果を考慮すると、製造中及び貯蔵中のプロセス溶媒における水分量と環境の相対湿度を制御することが有益であり得る(形態Cについてはa≧0.5、形態Dについてはa≦0.2)。
式Iの化合物の合計4つの結晶形A、B、C、及びDならびに非晶形Eを調製した。式Iの化合物の結晶形のXRPDパターンのオーバーレイを図2に示す。
結晶形の相互変換
3つの無水物(形態A、C、及びD)間の相互変換関係を調べるためにスラリー競合実験を実施した。式Iの化合物はHO及び非極性溶媒(例えば、n−ヘプタン、シクロヘキサン)では低い溶解度(<2mg/mL)を示し、他の溶媒ではと良好な溶解度(>40mg/mL)を示したので、ほとんどのスラリー競合実験では混合溶媒系を使用した。スラリー競合は、RTと50℃にて形態Aと形態Cの間で先ず実施した。形態Cは、RTで40時間または50℃で2時間スラリー化した後に得られた。さらに3週間のさらなるスラリー化は、HOに曝された場合を除いて、新しい無水物として形態Dを生じた。したがって、種々の溶媒系にて形態Cと形態Dの間でスラリー競合をさらに実施した。HOの溶媒効果は、形態Cと形態Dの間の相互変換関係に関連しており、形態Dは無水条件下で形成されることが発見された。
形態Aと形態Cの間での熱力学的安定性の関係を理解するために、アセトン/n−ヘプタン、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)/ヘプタン、及び水を含むさまざまな溶媒系にてRT及び50℃でスラリー競合実験を実施した。形態Aを使用して対応する溶媒を飽和させた後、濾過してほぼ飽和した溶液を得た。等量の形態AとCの試料の重さを量り、次いで調製したほぼ飽和した溶液と混合して新しい懸濁液を形成し、これをRT及び50℃にて磁気で攪拌した(約1000rpm)。スラリー化後の残存固形分のXRPDパターンを測定した。形態CがRTで40時間のスラリー化または50℃で2時間スラリー化の後に得られたということは、形態CがRTから50℃まで形態Aよりも熱力学的に安定であることを示している。3週間にわたりさらにスラリー化すると、50℃でのHOを除いて形態Dの形成を生じた。形態Dは、種晶としての形態D試料の添加と共にMTBE/n−ヘプタン(1:4、v/v)にて形態AをRTで1日間、スラリー化することを介して得た。
形態C及び形態Dの間での熱力学的安定性の関係をさらに理解するために、メチルtert−ブチルエーテル/ヘプタン、水、シクロヘキサン、及びエタノール/イソオクタンを含む種々の溶媒系にてRT及び70℃でスラリー競合実験を実施した。等量の形態CとDの試料の重さを量り、次いで対応する溶媒にて形態Aのほぼ飽和した溶液と混合して懸濁液を形成し、それをさまざまな温度にて磁気で攪拌した(約1000rpm)。スラリー化後の残存固形分のXRPDパターンを測定した。形態Cは、RT/70℃でのHOにて及びRTでのEtOH/イソオクタン(1:19)にてスラリー化した後、得られた一方で、形態Dは他の溶媒系で得られた。これらの結果に基づいて、形態CとDの間の相互変換関係は、HOまたはEtOHの溶媒効果に関連していると仮定される。プロセス溶媒中のHOが形態CとDの間の相互変換関係に及ぼす影響を調べるために、形態Cと形態Dのスラリー競合をHO飽和の有無にかかわらずEtOAc/n−ヘプタン(1:4、v/v)にて実施した。形態CはHOで飽和したEtOAc/n−ヘプタン(1:4、v/v)にて得られた一方で、形態Dは前処理なしでの溶媒系で得られた。プロセス溶媒の水分含量は、形態CまたはDの試料の製造中にモニターし、且つ制御した。形態Cと形態Dのスラリー競合はRTでのさまざまな水分活性(aw約0.2、0.5、0.8)でアセトン/HO系にて実施した。形態Dは、RTでawが約0.2のとき得られた一方で、形態CはRTでawが約0.5、0.8のとき得られた。形態CまたはDの試料の製造中及び保管中に水分活性(または相対湿度)をモニターし、且つ制御した。
形態A、C、及びDの24時間での溶解度をRTで水にて測定した。形態A、形態C、及び形態Dの試料を10mg/mLの用量濃度でHOに懸濁した。懸濁液をRTで24時間(1000rpm)スラリー化した後、HPLC溶解度測定のために上清を分離し、残留固体をXRPDによって特徴付けた。形態A、C及びDのHOにおける溶解度はそれぞれ0.18、0.14及び0.11mg/mLであると測定された。RTでの24時間の溶解度評価の後、形態A、CまたはDについて形態変化は観察されなかった。
単結晶の構造決定
形態A、C、及びDの結晶構造は実施例4の手順による単結晶X線回折(SCXRD)によって決定された。SCXRDに適切な品質の形態Aの単結晶は、液体蒸気拡散を介してRTにて酢酸n−ブチル/シクロヘキサン溶媒系(酢酸n−ブチルが溶媒であり、シクロヘキサンが貧溶媒だった)から得られた。構造精密化に関する結晶学データ及び情報は、実施例4に記載されている。SCXRDの特性評価は、結晶がa=5.325(2)Å、b=13.005(5)Å、c=24.778(9)Å、α=90°、β=94.408(11)°、γ=90°であるP2/n空間群を採用したことを明らかにした。
形態A多形体の単結晶の非対称単位を図3に示す。非対称単位は形態Aが無水物であることを示すたった1つの式Iの分子で構成される。
形態Aの単結晶構造における水素結合は、分子間H結合(N3−H3・・・N7、N−4・・・N1)ならびに追加のファンデルワールス相互作用によって維持される式Iの分子の三次元(3−D)パッキングを示す。算出されたXRPDパターンは、形態Aの実験的なXRPDパターンと一致する(図6)。
形態C(図4)及び形態D(図5)の単結晶X線構造は、これらの形態の単位結晶相互作用、及び密度を示す(表2)。
動的蒸気吸着DVS
湿度の関数として固体形態の安定性を調べるために、形態A、形態C、及び形態Dの動的蒸気収着(DVS)の等温線プロットを、25℃にて0〜95%の相対湿度(RH)で実施例8の手順によって収集した。DVSの結果に基づいて、形態A(25℃での80%RHで0.04%の吸水)及び形態D(25℃での80%RHで0.05%の吸水)は非吸湿性だった一方で、形態C(25℃での80%RHで0.6%の吸水)はわずかに吸湿性だった。DVSの評価の後、形態変化は観察されなかった。
X線粉末回折の分析
X線粉末回折(XRPD)パターンの分析は、市販の分析ソフトウェアを使用して実施例6の手順によって行った。XRPDは、さまざまな結晶相、多形体、水和物、溶媒和物を独自の回折パターンによってフィンガープリントするのに有用である。横座標(横軸)に沿って、2シータ(θ)値(入射ビームと回折ビームの間の一連の角度)がプロットされる。縦座標(縦軸)は、検出器によって記録された散乱X線の強度を記録する。一連のピークは、結晶性物質内の結晶学的な単位格子の固有の指紋として作用する。結晶学的な単位格子は、結晶全体を通して三次元で周期的に繰り返される最小の原子スケールの3D断片である。結晶性物質はすべて、それらの結晶学的な単位格子(したがって、ピークの位置)によって区別される。測定されたピーク位置をデータベースに保持されているものと比較することによって、結晶性物質が一意的に同定されてもよい。純粋な物質については、すべてのピークの位置は、一般に、結晶学的単位格子を構成する基本平行六面体を定義する3つのパラメーター:a、b、c及び3つの角度:アルファ、ベータ、ガンマ(α、β、γ)の関数である。
式Iの化合物の固体形態
形態AはXRPD、TGA及びDSCによって特徴付けられた。XRPDパターンを図6に示し、それは形態Aが結晶性であることを示している。式I、形態AのXRPDピーク検索記録を表3にまとめる。TGA及びDSCデータを図7に示す。TGA曲線では120℃までで0.6%の重量損失が観察された。DSCの結果は、122.8℃(開始温度)での鋭い吸熱を示した。低いTGAの重量損失と唯一の鋭いDSC吸熱に基づいて、形態Aは無水物であると仮定される。
形態Bは、XRPD、TGA、及びDSCによって特徴付けられ、形態AをRTで1週間、酢酸イソブチル/シクロヘキサノール(1:9、v/v)にてスラリー化することによって得られた。XRPDパターンを図8に示す。式I、形態BのXRPDピーク検索記録を表4にまとめる。TGA及びDSCデータを図9に示す。TGA曲線では120℃までで13.9%の重量損失及びDSC曲線では87.9℃と103.2℃(開始温度)にて2つの吸熱が観察された。NMRスペクトル(1H)はシクロヘキサノール/APIのモル比が0.5:1(12.9wt%)であることを示した。加熱及び1H NMRの結果と合わせて、形態Bはシクロヘキサノール溶媒和物であると仮定される。
形態CはXRPD、TGA及びDSCによって特徴付けられた。XRPDパターンを図10に示す。式I、形態CのXRPDピーク検索記録を表5にまとめる。TGA及びDSCのデータを図11に示す。TGA曲線では120℃までで0.8%の重量損失及びDSC曲線では127.8℃(開始温度)にて鋭い吸熱が観察された。低いTGAの重量損失と唯一の鋭いDSC吸熱に基づいて、形態Cは無水物であると仮定される。
形態Dの種晶は、スラリー競合から得た形態D試料の添加と共にMTBE/n−ヘプタン(1:4、v/v)にて形態AをRTで1日間、スラリー化することを介して得た。XRPDパターンを図12に示す。式I、形態DのXRPDピーク検索記録を表6にまとめる。TGA及びDSCのデータを図13に示す。TGA曲線では120℃までで0.2%の重量損失及びDSC曲線では129.1℃(開始温度)にて鋭い吸熱が観察された。低いTGAの重量損失と唯一の鋭いDSC吸熱に基づいて、形態Dは無水物であると仮定される。
医薬組成物及び製剤
式Iの多形形態は、ヒトを含む哺乳動物における治療的処置(予防的処置を含む)で使用するために、標準的な薬務に従って、及び実施例9の手順に従って製剤化されてもよい。本開示は、1以上の医薬的に許容される担体、流動促進剤、希釈剤または賦形剤と関連して式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。
好適な担体、希釈剤、流動促進剤、及び賦形剤は当業者に周知であり、それらには炭水化物、ワックス、水溶性及び/または水膨潤性のポリマー、親水性または疎水性の物質、ゼラチン、油、溶媒、水、等のような物質が挙げられる。
製剤は、従来の溶解手順及び混合手順を使用して調製されてもよい。本開示の化合物は通常、容易に制御できる投与量を提供し、処方された投薬計画に対する患者のコンプライアンスを可能にするように医薬剤形に製剤化される。
適用のための医薬組成物(または製剤)は、薬物を投与するために使用される方法に応じて多様な方法で包装されてもよい。一般に、分配用物品は、その中に医薬製剤を適切な形態で配置している容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダー等の材料が挙げられる。容器はまた、パッケージの内容物への不用意なアクセスを防止するための不正開封防止アセンブリを含んでもよい。それに加えて、容器は、容器の内容物を説明するラベルをその上に配置している。ラベルはまた、適切な注意書きを含んでいてもよい。
式Iの化合物の多形形態の医薬製剤は、凍結乾燥製剤、粉砕粉末、または水溶液の形態で、医薬的に許容される希釈剤、担体、賦形剤、流動促進剤または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1995)18th edition,Mack Publ.Co.,Easton,PA)を用いて、投与の種々の経路及び種類のために調製されてもよい。製剤化は、周囲温度で、適切なpHで、及び所望の度合いの純度で、生理学的に許容できる担体、すなわち、用いられる投与量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性である担体と混合することによって行われてもよい。製剤のpHは、具体的な用途及び化合物の濃度に主に依存するが、約3〜約8の範囲であってもよい。
医薬製剤は好ましくは無菌である。特に、生体内投与用に使用される製剤は無菌性でなければならない。そのような滅菌は、滅菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。
医薬製剤は通常、固体組成物、錠剤、丸薬、カプセル剤、凍結乾燥製剤として、または水溶液として保管することができる。
本発明の医薬製剤は、十分な医学的実用性に合わせた様式で、すなわち、投与の量、濃度、スケジュール、コース、ビヒクル、及び経路で投薬され、投与されるであろう。この文脈における考慮の因子には、治療されている特定の障害、個々の患者の臨床的病態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジュール管理、及び医療従事者に既知の他の因子が挙げられる。
許容される希釈剤、担体、賦形剤及び安定化剤は、レシピエントに対し、用いられる投与量及び濃度で非毒性であり、それには、リン酸、クエン酸及び他の有機酸のような緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、エタノールまたはベンジルアルコール、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAのようなキレート剤、ラクトース、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールのような糖、ナトリウムのような塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)、及び/またはTween(登録商標) 80を含むTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはPEG400を含むポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤が挙げられる。活性医薬成分はまた、例えば、コアセルベーション技法によって、または界面重合によって調製されるマイクロカプセル中に、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)中またはマクロエマルション中に取り込まれてもよい。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 18th edition,(1995)Mack Publ.Co.,Easton,PAに開示されている。薬物製剤の他の例は、Liberman,H.A. and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,Vol.3,2nd Ed.,New York,NYに見いだすことができる。
錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムから選択される1以上の医薬的に許容される担体、流動促進剤、希釈剤、または賦形剤を含んでもよい。
医薬的に許容される流動促進剤は、二酸化ケイ素、粉末セルロース、微結晶性セルロース、金属ステアリン酸塩、アルミノケイ酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、炭酸マグネシウム、アスベストフリータルク、ステアロエットC、デンプン、スターチ1500、ラウリル硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
医薬製剤は、本明細書に詳述される投与経路に好適なものを含む。製剤は、好都合に単位剤形で提示されてもよく、薬学の技術分野において周知である方法のいずれかによって調製されてもよい。技法及び製剤化は、一般にRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1995),Mack Publishing Co.,Easton,PAにて見いだされる。そのような方法は、活性成分を1以上の副成分を構成する担体と会合させる工程を含む。製剤は、活性成分を液体担体または微粉化固体担体またはその双方と均一に且つ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、産物を成形することによって調製されてもよい。
医薬組成物は、無菌注射用製剤の形態、例えば、水性または油性の無菌注射用懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述されているこれらの好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化されてもよい。減菌注射用製剤は、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中における溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよく、または凍結乾燥粉末から調製されてもよい。利用されてもよい許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の固定油は、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む溶媒または懸濁媒として慣習的に採用されてもよい。加えて、オレイン酸のような脂肪酸が、注射剤の調製において同様に使用されてもよい。
別の態様では、本開示は、少なくとも部分的にロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)が介在する疾患または状態を治療する方法に関する。特に、本開示は、治療上有効な量の本明細書で提供される化合物を哺乳動物に投与する工程を含む、当該哺乳動物にてLRRK2に関連する障害を予防または治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にLRRK2が介在する疾患または状態は、神経変性疾患、例えば、中枢神経系(CNS)の障害、例えばパーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、認知症(レビー小体型認知症と血管性認知症を含む)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、加齢性記憶機能障害、軽度認知機能障害(例えば、軽度認知機能障害からアルツハイマー病への移行を含む)、嗜銀顆粒性疾患、リソソーム障害(例えば、ニーマン・ピック型C疾患、ゴーシェ病)、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、遺伝性前頭側頭型認知症、及び第17染色体に連鎖するパーキンソニズム(FTDP−17)、薬物中毒に関連する離脱症状/再発、L−ドーパ誘発性運動障害、ハンチントン病(HD)、HIV関連認知症(HAD)である。他の実施形態では、障害は、脳、心臓、腎臓、及び肝臓を含むがこれらに限定されない臓器の虚血性疾患である。
他のいくつかの実施形態では、少なくとも部分的にLRRK2が介在する疾患または状態は、がんである。ある特定の実施形態では、がんは甲状腺癌、腎臓癌(乳頭腎癌を含む)、乳癌、肺癌、血液癌及び前立腺癌(例えば、固形腫瘍)、白血病(急性骨髄性白血病(AML)を含む)、またはリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、血液癌、乳頭癌、肺癌、急性骨髄性白血病、または多発性骨髄腫である。
他の実施形態では、現在開示されている化合物は、炎症性障害の治療方法に使用される。いくつかの実施形態では、障害は、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎(双方とも一般にまとめて炎症性腸疾患として知られている)のような腸の炎症性疾患である。他の実施形態では、炎症性疾患は、ハンセン病、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である。いくつかの実施形態では、炎症性疾患は、ハンセン病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、または強直性脊椎炎である。
他の実施形態では、現在開示されている化合物は、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、純粋赤血球無形成症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、エバンス症候群、血管炎、水疱性皮膚障害、1型糖尿病、シェーグレン症候群、デビック病、及び炎症性ミオパシーの治療方法に使用される。
実施例1:式Iの化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル、CAS登録番号1374828−69−9の単離及び物理化学的特性評価
それぞれ参照により具体的に組み込まれる、US8815882の実施例394に従って調製された式Iの化合物、及びEstrada,A.A.et al,(2013),J.Med.Chem.57:921−936の化合物12をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE、10容量、200ml)に溶解して褐色溶液を得た。この溶液を、3M Zeta Plus活性炭ディスク(R55SP、直径5cm)を介して3ml/分で濾過した。フィルターをMTBE(5容量、100ml)で洗浄した。無色透明の溶液(300ml)を8容量(160ml)に濃縮し、500mlの反応器に投入した。n−ヘプタン(8容量、160ml)を20℃で加えた。溶液は最初は透明なままであったが、次いで、2分後に結晶化が始まった。温度が徐々に上昇した(速度:2℃/分)。完全な溶解は69℃でのみ達成された。さらに、ヘプタン(4容量、80ml)を70℃で加え、透明な溶液を70℃で目視にて観察した。温度を65℃(1.0℃/分)に設定した、透明な溶液と共に65℃にて式Iの化合物の種晶(200mg、同一バッチ)を加えたが、それらは溶解しなかった。次に、温度を8時間かけて20℃に下げた。それを20℃で一晩攪拌した。固体を濾過し、母液で2回洗浄した。40℃にて真空下でそれを2時間乾燥して15.91gの結晶性の式Iの化合物を得た(収率79.6%)。母液を蒸発乾固して、さらに3.47g(17.4%の回収率)を得た。
実施例2:形態C多形体の単結晶成長
式I、形態C多形体のブロック状の単結晶は、RTにて液体蒸気拡散を介して酢酸n−ブチル/シクロヘキサン溶媒混合系(酢酸n−ブチルが溶媒であった一方でシクロヘキサンは貧溶媒だった)から得られた。実験の詳細は以下のとおりである。
約30mgの式I、形態Aの試料を3mLのガラスバイアルに量り入れ、65μLの酢酸n―ブチル溶媒を加えてすべての固体試料を溶解した。少量の形態C結晶試料も、種晶として3mLバイアルに加えた。次いで、周囲温度での液体蒸気拡散のために、4mLの貧溶媒シクロヘキサンが入った20mLのガラスバイアルにバイアルを加えた。11日後、図14に示すようにブロック状の結晶が得られた。
実施例3:形態C多形体の単結晶成長
式I、形態D多形体のブロック状単結晶は、アセトン/n−ヘプタン(1:10、v/v)溶媒混合系からRTでのゆっくりした蒸発を介して得られた。実験の詳細は以下のとおりである。
約30mgの式I、形態Aの試料を4mLのガラスバイアル(44.6mm×14.65mm)に量り入れ、0.2mLの酢酸n―ブチル及び2.0mLのn−ヘプタンを加えて固体試料を溶解した。少量の形態D結晶試料も、種晶として4mLバイアルに追加した。次いで、バイアルをドラフト内に置き、周囲温度でゆっくりと蒸発させた。15日後、図15に示すようにブロック状の結晶が得られた。
実施例4:単結晶の構造決定
無色のブロック状の単結晶を形態C単結晶試料または形態D単結晶試料から選択し、パラトンーN(油ベースの凍結保護剤)で包んだ。結晶を無作為方向でマイラーループに載せ、150Kにて窒素の流れに浸漬した。予備実験及びデータ収集は、Agilent SuperNova(登録商標)(Cu/Kαλ=1.54478Å)回折計で実施し、CrysAlisPro(登録商標)(Agilent,Version:1.171.38.41)ソフトウェアパッケージで分析した。
形態C単結晶のデータ収集の詳細は次のとおりである。データ収集用の格子パラメーターと方向マトリックスは、4.0790°<θ<70.0660°の範囲で6568反射の設定角を使用して、CrysAlisPro(登録商標)ソフトウェアによって取得し、精密化した。データは、150.2(2)Kで70.266°の最大回折角(θ)まで収集した。データセットは19.4の平均I/σ及び0.82ÅのD下限(Cu)を有して99.9%完全だった。
以下のような形態C単結晶のデータ削減の詳細:フレームはCrysAlisPro(登録商標)Version:1.171.38.41ソフトウェアによって統合した。合計12836反射を収集し、それらのうち6205が固有であった。Lorentz及び偏光補正をデータに適用した。経験的吸収補正は、SCALE3 ABSPACK スケーリングアルゴリズムで実装された球面調和関数を使用して実施した。この物質の吸収係数μは、この波長で0.964mm−1(λ=1.54178Å)であり、最小及び最大の透過率は0.80956及び1.00000である。等価の反射の強度を平均した。平均化の一致因子は、強度に基づいて2.08%であった。
形態Cの構造は空間群C2/cにてShelXS(商標)構造解プログラム(Sheldrick、GM(2008).Acta Cryst.A64:112−122)を使用した直接法によって解析し、OLEX2(Dolomanov,O.V.,et al,(2009)J.Appl.Cryst.42:339−341)に含有されるFにおけるフルマトリックス最小二乗法を使用したShelXS(商標)バージョン2014/7改良パッケージで改良した。すべての非水素原子を異方性に絞り込んだ。炭素原子上に存在する水素原子の位置を幾何学的に計算し、ライディングモデルを使用して絞り込んだが、窒素原子上に存在する水素原子はフーリエマップに従って自由に絞り込んだ。
形態D単結晶のデータ収集の詳細は次のとおりである。データ収集用の格子パラメーターと方向マトリックスは、4.0180°<θ<70.5190°の範囲で30349反射の設定角を使用して、CrysAlisPro(登録商標)ソフトウェアによって取得し、精密化した。データは、150Kでの70.562°の最大回折角(θ)まで収集した。データセットは29.3の平均I/σ及び0.82ÅのD下限(Cu)を有して89.9%完全だった。
形態D単結晶のデータ削減の詳細は次のとおりである:フレームはCrysAlisPro(登録商標)Version:1.171.38.41ソフトウェアによって統合した。合計47670反射を収集し、それらのうち11179が固有であった。Lorentz及び偏光補正をデータに適用した。経験的吸収補正は、SCALE3 ABSPACK スケーリングアルゴリズムで実装された球面調和関数を使用して実施した。この物質の吸収係数μは、この波長で0.980mm−1(λ=1.54178Å)であり、最小及び最大の透過率は0.83622及び1.00000である。等価の反射の強度を平均した。平均化の一致因子は、強度に基づいて2.69%であった。
形態Dの構造は空間群PCA2にてShelXS(商標)構造解プログラムを使用した直接法によって解析し、OLEX2に含有されるFにおけるフルマトリックス最小二乗法を使用したShelXS(商標)バージョン2014/7改良パッケージで改良した。すべての非水素原子を異方性に絞り込んだ。水素原子の位置を幾何学的に計算し、ライディングモデルを使用して絞り込んだ。
式Iの化合物の多形形態は、ShelXT(Sheldrick,G.M.(2015)Acta Cryst.A71,3−8)構造解プログラム(本質的な段階的方法)を用いて解析し、OLEX2(Dolomanov,O.V.et al,“OLEX2:a complete structure solution,refinement and analysis program”.J.Appl.Cryst.2009,42,339−341)に含有されるSHELXS−2015改良パッケージ(Sheldrick,G.M.(2015)Acta Cryst.Acta Cryst.A71,3−8))(Fにおけるフルマトリックス最小二乗法)を用いて改良された。計算されたXRPDパターンは水銀(Macrae,CF,et al,Appl.Cryst.(2006)39:453−457)から得られ、結晶構造の表現はダイヤモンドによって生成された。単結晶X線回折データは、Bruker D8 VENTURE回折計を使用して296Kで収集した(Mo/Kα放射線、λ=0.71073Å)。表8は、形態A、C、及びDの結晶学データ及び構造精密化を示す。
形態C及び形態Dの単結晶を調製し、単結晶X線回折(SCXRD)によって分析した。形態C及び形態Dの単結晶構造が上手く決定された。
SCXRD特性評価により、形態Cが単斜晶系及び単位格子パラメーター{a=13.7032(3)Å、b=17.5697(4)Å、c=27.4196(6)Å、α=90°、β=91.982(2)°、γ=90°}を持つC2/c空間群で結晶化することが確認された。格子容積Vは6597.6(3)Åであると算出された。非対称単位が2つの分子で構成されるということは、形態Cが無水物であることを示す。形態Cの計算密度は1.367g/cmである。単結晶の単位格子は16個の分子で構成される。
SCXRD特性評価により、形態Dが斜方晶系及び単位格子パラメーター{a=17.63410(10)Å、b=14.03430(10)Å、c=26.2102(2)Å、α=90°、β=90°、γ=90°}を持つPca2空間群で結晶化することが確認された。格子容積Vは6486.56(8)Å3であると算出された。非対称単位が4つの分子で構成されるということは、形態Dが無水物であることを示す。形態Dの計算密度は1.390g/cmである。単結晶の単位格子は16個の分子で構成される。
実施例5:偏光顕微鏡法(PLM)
PLM画像はRTにてProgRes(登録商標)CT3カメラを伴ったAxio Lab.A1正立顕微鏡を使用して捕捉した。
実施例6:周囲条件でのX線粉末回折(XRPD)
XRPDパターンは、表9のXRPDパラメーターと共に使用したPANalytical Empyrean X線粉末回折計によって収集した。
実施例7:TGA及びDSCの試験
TGAデータはTA InstrumentsのTA Q500/Q5000を使用して収集した。DSCはTA InstrumentsのTA Q200/Q2000を使用して実施した。使用した詳細なパラメーターを表10でリストにする。
実施例8:DVS試験
DVSは、SMS(Surface Measurement Systems)社製のDVS Intrinsicによって測定した。25℃での相対湿度は、LiCl、Mg(NO及びKClの潮解点に対して較正した。DVS試験のパラメーターを表11でリストにする。
実施例9:結晶性の式Iの化合物の製剤
結晶化の後、式Iの化合物の多形形態は、ローラーコンパクターを使用する乾式造粒、続いて錠剤化操作によって製剤化されてもよい。錠剤の追加成分には、微結晶性セルロース(Avicel(登録商標)PH、FMC BioPolymer)、ラクトース(FastFlo(登録商標)、Foremost Farms USA)、デンプングリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標)、JRS Pharma)、またはステアリン酸マグネシウム(Hyqual(登録商標)、Macron Fine Chemicals)が挙げられてもよい。
実施例10:非晶形E
固体の2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルの試料0.5gを液体が観察されるまで温め、次いで−45℃に冷却したバイアルに加えて、「ガラス」の固体を生じた。偏光顕微鏡(PLM)では、複屈折は観察されなかった(図16)。XRPDによる分析は、屈折ピークがないことを示し、非晶質固体を指し示す特徴的な「ハロー」を示している(図17)。DSCによる熱分析は、77.8℃で開始する発熱晶析事象を示し、その後に続く122.8℃で開始する結晶溶融を指し示す幅広い吸熱溶融を示している。
上述の発明は、明確な理解を目的として説明及び実施例を経てある程度詳細に記載されてきたが、記載及び実施例は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、すべての好適な修正、及び等価物が、この後の特許請求の範囲により定義されるような本発明の範囲内にあると見なされ得る。本明細書で引用されるすべての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。

Claims (29)

  1. 結晶性化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルであって、
    約7.0、7.3、16.1、16.3、24.1、25.1、及び26.6での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態B多形体と、
    約6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C多形体と、
    約9.2、14.0、14.8、19.7、及び20.0での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D多形体と、から選択される、前記結晶性化合物。
  2. 約6.4、8.1、8.6、8.8、9.9、10.2、12.9、13.8、15.1、15.4、16.5、19.8、21.2、22.1、23.7、25.7、及び27.8での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C多形体と、
    約8.0、8.7、9.2、9.8、10.4、12.9、13.4、14.0、14.8、16.4、18.5、19.7、20.0、20.8、23.1、23.3、23.9、25.5、及び25.7での度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D多形体と、から選択される、請求項1に記載の結晶性化合物。
  3. 前記化合物が実質的に純粋な形態である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  4. 前記X線粉末回折パターンがCuKα1放射線を用いて作成される、請求項1に記載の結晶性化合物。
  5. 前記化合物が、約12.9及び14.8±0.05度2−シータにてピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する前記形態B多形体である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  6. 前記形態B多形体がシクロヘキサノール溶媒和物である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  7. 示差走査熱量測定DSCが、約87.9℃及び103.2℃での開始で2つの融解吸熱を示す、請求項1に記載の形態B多形体。
  8. 前記化合物が、13.6及び14.8±0.05度2−シータにてピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する前記形態C多形体である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  9. 前記化合物が16.5及び22.1±0.05度2−シータにてピークをさらに含む前記形態C多形体である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  10. 前記形態C多形体が無水物である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  11. 図10に示すX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1に記載の形態C多形体。
  12. 示差走査熱量測定DSCが、約127.8℃での開始で融解吸熱を示す、請求項1に記載の形態C多形体。
  13. 前記化合物が、13.6±0.05度2−シータにてピークを実質的に含まないX線粉末回折パターンを有する前記形態D多形体である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  14. 前記形態D多形体が無水物である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  15. 図12に示すX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1に記載の形態D多形体。
  16. 示差走査熱量測定DSCが、約129.1℃での開始で融解吸熱を示す、請求項1に記載の形態D多形体。
  17. 約0%から約95%までの相対湿度での相対湿度の上昇に約180分間さらされたとき約1%未満の質量増加を示す、請求項1に記載の結晶性化合物。
  18. 約40℃及び約75%の相対湿度に少なくとも6ヶ月間曝露された際、安定である、請求項1に記載の結晶性化合物。
  19. 結晶性化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルであって、約6.4、15.1、21.2、25.7、及び27.8にて±0.3度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、前記結晶性化合物。
  20. 治療上有効な量の請求項1〜19のいずれか1項に記載の結晶性多形体と、医薬的に許容される担体、流動促進剤、希釈剤、または賦形剤とを含む、医薬組成物。
  21. 錠剤の形態である、請求項20に記載の医薬組成物。
  22. 前記治療上有効な量が1〜200mgである、請求項20に記載の医薬組成物。
  23. 前記結晶性多形体が粉砕される、請求項20に記載の医薬組成物。
  24. メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、またはそれらの組み合わせ、及びヘプタンのような非極性溶媒にて2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルを50℃以上で加熱することと、次いで前記混合物を冷却することと、それによって約6.4、15.1、21.2、25.7での度2−シータ、及び27.8度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態C結晶多形体が形成されることとを含む、結晶多形体を調製するプロセス。
  25. 前記混合物が播種される、請求項24に記載のプロセス。
  26. メチルtert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、またはそれらの組み合わせ、及びヘプタンのような非極性溶媒にて2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルの無水溶液を50℃以上で加熱することと、次いで前記混合物を冷却することと、それによって約9.2、14.0、14.8、19.7での度2−シータ、及び20.0度2−シータで表される特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す形態D結晶多形体が形成されることとを含む、結晶多形体を調製するプロセス。
  27. 前記混合物が播種される、請求項26に記載のプロセス。
  28. 非晶質化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリル。
  29. 請求項28に記載の非晶質化合物、2−メチル−2−(3−メチル−4−(4−(メチルアミノ)−5−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イルアミノ)−1H−ピラゾール−1−イル)プロパンニトリルを調製するプロセスであって、溶解するまで前記化合物の結晶形を加熱し、続いて冷却して前記非晶質化合物を形成することを含む、前記プロセス。
JP2020545076A 2017-11-21 2018-11-20 ピリミジニルアミノ-ピラゾール化合物の多形体及び固体形態、ならびに製造方法 Active JP7303821B2 (ja)

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