配列表の簡単な説明
[0081] 配列番号1は、ムロモナブの重鎖のアミノ酸配列である。
[0082] 配列番号2は、ムロモナブの軽鎖のアミノ酸配列である。
[0083] 配列番号3は、組換えヒトIL−2タンパク質のアミノ酸配列である。
[0084] 配列番号4は、アルデスロイキンのアミノ酸配列である。
[0085] 配列番号5は、組換えヒトIL−4タンパク質のアミノ酸配列である。
[0086] 配列番号6は、組換えヒトIL−7タンパク質のアミノ酸配列である。
[0087] 配列番号7は、組換えヒトIL−15タンパク質のアミノ酸配列である。
[0088] 配列番号8は、組換えヒトIL−21タンパク質のアミノ酸配列である。
発明の詳細な説明
[0089] 他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及された全ての特許及び刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
定義
[0090] 本明細書で使用される「共投与」、「共投与すること」、「〜と組み合わせて投与される」、「〜と組み合わせて投与すること」、「同時(simultaneous)」及び「同時(concurrent)」という用語は、活性医薬成分及び/又はそれらの代謝産物の両方が同時に対象内に存在するための、対象への2つ以上の活性医薬成分の投与を包含する。共投与には、別々の組成物中での同時投与、別々の組成物中での異なる時点における投与又は2つ以上の活性医薬成分が存在する組成物での投与が含まれる。別々の組成物での同時投与及び両方の薬剤が存在する組成物での投与が好ましい。
[0091] 「インビボ」という用語は、哺乳動物対象の体内で起こる事象を指す。
[0092] 「エクスビボ」という用語は、人工環境において哺乳動物対象の体の外側で起こる事象を指す。
[0093] 「インビトロ」という用語は、試験系で起こる事象を指す。インビトロアッセイは、生存細胞又は死細胞が使用され得る細胞ベースのアッセイを包含し、無傷細胞が使用されない無細胞アッセイも包含し得る。
[0094] 「急速拡大培養」という用語は、1週間の期間にわたって少なくとも約3倍(又は4倍、5倍、6倍、7倍、8倍又は9倍)、より好ましくは1週間の期間にわたって少なくとも約10倍(又は20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍又は90倍)又は最も好ましくは1週間の期間にわたって少なくとも約100倍の抗原特異的TILの数の増加を意味する。いくつかの急速拡大培養プロトコルが本明細書に記載されている。
[0095] 腫瘍を破砕するプロセスを説明するために本明細書で使用される「断片化」、「断片」及び「断片化された」という用語には、腫瘍組織の破砕、スライス、分割及び細切並びに腫瘍組織の物理的構造を破砕する任意の他の方法などの機械的断片化方法が含まれる。
[0096] 「末梢血単核細胞」及び「PBMC」という用語は、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単球を含む、円形核を有する末梢血細胞を指す。任意選択により、末梢血単核細胞は、照射同種異系末梢血単核細胞である。PBMCは、抗原提示細胞を含む。「PBL」という用語は、末梢血リンパ球を指し、末梢血から拡大培養したT細胞である。PBL及びTILという用語は、本明細書において互換的に使用される。
[0097] 「抗CD3抗体」という用語は、抗体又はその変異体、例えばモノクローナル抗体を指し、成熟T細胞のT細胞抗原受容体中のCD3受容体に対して指向されたヒト、ヒト化、キメラ又はマウス抗体を含む。抗CD3抗体には、ムロモナブとしても知られるOKT−3及びUCHT−1が含まれる。他の抗CD3抗体には、例えば、オテリキシズマブ、テプリズマブ及びビジリズマブが含まれる。
[0098] 「OKT−3」(本明細書では「OKT3」とも称される)という用語は、成熟T細胞のT細胞抗原受容体中のCD3受容体に対して指向されたヒト、ヒト化、キメラ又はマウス抗体を含むモノクローナル抗体若しくはバイオシミラー又はその変異体を指し、OKT−3(30ng/mL、MACS GMP CD3 pure、Miltenyi Biotech, Inc., San Diego, CA, USA)及びムロモナブ又はその変異体、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム若しくはバイオシミラーなどの市販の形態を含む。ムロモナブの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を表1に示す(配列番号1及び配列番号2)。OKT−3を産生することができるハイブリドーマは、American Type Culture Collectionに寄託されており、ATCC受託番号CRL 8001が割り当てられている。OKT−3を産生することができるハイブリドーマもEuropean Collection of Authenticated Cell Cultures(ECACC)に寄託されており、カタログ番号86022706が割り当てられている。
[0099] 「IL−2」(本明細書では「IL2」とも称される)という用語は、インターロイキン−2として知られるT細胞増殖因子を指し、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー及びその変異体を含む全ての形態のIL−2を含む。IL−2は、例えば、Nelson, J. Immunol.2004, 172, 3983-88及びMalek, Annu.Rev. Immunol.2008, 26, 453-79に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明における使用に適した組換えヒトIL−2のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号3)。例えば、IL−2という用語は、アルデスロイキン(PROLEUKIN、1つの単回使用バイアルあたり2200万IUで複数の供給元から市販されている)並びにCellGenix, Inc., Portsmouth, NH, USA(CELLGRO GMP)又はProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-209-b)から市販で供給される組換えIL−2の形態及び他の販売業者からの他の市販の均等物などのIL−2のヒト組換え型を包含する。アルデスロイキン(デス−アラニル−1、セリン−125ヒトIL−2)は、分子量およそ15kDaの非グリコシル化ヒト組換え型IL−2である。本発明における使用に適したアルデスロイキンのアミノ酸配列を表2に示す(配列番号4)。IL−2という用語は、本明細書に記載されているように、Nektar Therapeutics, South San Francisco, CA, USAから入手可能なペグ化IL2プロドラッグNKTR−214を含むペグ化形態のIL−2も包含する。本発明での使用に好適なNKTR−214及びペグ化IL−2が米国特許出願公開第2014/0328791A1号及び国際公開第2012/065086A1号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。本発明での使用に適したコンジュゲートIL−2の代替形態は、米国特許第4,766,106号、同第5,206,344号、同第5,089,261号及び同第4,902,502号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明における使用に適したIL−2の製剤は、米国特許第6,706,289号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00100] 「IL−4」(本明細書では「IL4」とも称される)という用語は、インターロイキン4として知られるサイトカインを指し、これは、Th2 T細胞により、且つ好酸球、好塩基球及び肥満細胞により産生される。IL−4は、ナイーブヘルパーT細胞(Th0細胞)のTh2 T細胞への分化を調節する。Steinke and Borish, Respir.Res.2001, 2, 66-70。IL−4によって活性化されると、Th2 T細胞は、続いて、ポジティブフィードバックループにおいて、更なるIL−4を産生する。IL−4は、B細胞増殖及びクラスII MHC発現も刺激し、B細胞からのIgE及びIgG1発現へのクラス切り替えを誘導する。本発明における使用に適した組換えヒトIL−4は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-211)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL−15組換えタンパク質、カタログ番号Gibco CTP0043)を含む複数の供給元から市販されている。本発明における使用に適した組換えヒトIL−4のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号5)。
[00101] 用語「IL−7」(本明細書では「IL7」とも称される)は、インターロイキン7として知られるグリコシル化組織由来サイトカインを指し、これは、間質及び上皮細胞並びに樹状細胞から入手し得る。Fry and Mackall, Blood 2002, 99, 3892-904。IL−7は、T細胞の発現を刺激することができる。IL−7は、胸腺内のT細胞発生及び末梢内での生存に重要な一連のシグナルにおいて、IL−7受容体アルファ及び一般的なガンマ鎖受容体からなるヘテロ二量体であるIL−7受容体に結合する。本発明における使用に適した組換えヒトIL−7は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-254)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL−7組換えタンパク質、カタログ番号Gibco PHC0071)を含む複数の供給元から市販されている。本発明における使用に適した組換えヒトIL−7のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号6)。
[00102] 「IL−15」(本明細書では「IL15」とも称される)という用語は、インターロイキン−15として知られるT細胞増殖因子を指し、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー及びその変異体を含む全ての形態のIL−15を含む。IL−15は、例えば、Fehniger and Caligiuri, Blood 2001, 97, 14-32に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。IL−15は、β及びγシグナル伝達受容体サブユニットをIL−2と共有する。組換えヒトIL−15は、分子量12.8kDaの114個のアミノ酸(及びN末端メチオニン)を含有する単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL−15は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-230-b)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL−15組換えタンパク質、カタログ番号34-8159-82)を含む複数の供給元から市販されている。本発明における使用に適した組換えヒトIL−15のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号7)。
[00103] 「IL−21」(本明細書では「IL21」とも称される)という用語は、インターロイキン−21として知られる多面発現性サイトカインタンパク質を指し、ヒト及び哺乳動物の形態、保存的アミノ酸置換、グリコフォーム、バイオシミラー及びその変異体を含む全ての形態のIL−21を含む。IL−21は、例えば、Spolski and Leonard, Nat.Rev. Drug.Disc.2014, 13, 379-95に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。IL−21は、主にナチュラルキラーT細胞及び活性化ヒトCD4+T細胞によって産生される。組換えヒトIL−21は、分子量15.4kDaの132個のアミノ酸を含有する単一の非グリコシル化ポリペプチド鎖である。組換えヒトIL−21は、ProSpec-Tany TechnoGene Ltd., East Brunswick, NJ, USA(カタログ番号CYT-408-b)及びThermoFisher Scientific, Inc., Waltham, MA, USA(ヒトIL−21組換えタンパク質、カタログ番号14-8219-80)を含む複数の供給元から市販されている。本発明における使用に適した組換えヒトIL−21のアミノ酸配列を表2に示す(配列番号8)。
[00104] 「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤並びに不活性成分を含むことを意図している。活性医薬成分のためのそのような薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤が活性医薬成分と適合しない場合を除いて、本発明の治療用組成物におけるその使用が企図される。他の薬物などの追加の活性医薬成分も記載の組成物及び方法に組み込むことができる。
[00105] 1つの「抗体」及び複数の「抗体」という用語は、免疫グロブリン全体及び任意の抗原結合断片(「抗原結合部分」)又はそれらの単鎖を指す。「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質又はその抗原結合部分を更に指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLで構成される。抗体のVH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)又は超可変領域(HVR)と称され、より保存された領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)に分散することができる、超可変性を有する領域に更に細分化され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置された3つのCDR及び4つのFRで構成される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、1つ又は複数の抗原エピトープと相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
[00106] 「抗原」という用語は、免疫応答を誘導する物質を指す。一部の実施形態において、抗原は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子によって提示される場合、抗体又はTCRによって結合され得る分子である。本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は、T細胞エピトープも包含する。抗原は、免疫系によって更に認識され得る。一部の実施形態において、抗原は、Bリンパ球及び/又はTリンパ球の活性化をもたらす体液性免疫応答又は細胞性免疫応答を誘導することができる。一部の場合、これは、抗原がTh細胞エピトープを含有するか又はそれに結合していることを要し得る。抗原は、1つ以上のエピトープ(例えば、Bエピトープ及びTエピトープ)も有し得る。一部の実施形態において、抗原は、好ましくは、典型的には高度に特異的且つ選択的な態様でその対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって誘導され得る多数の他の抗体又はTCRと反応しない。
[00107] 「モノクローナル抗体」、「mAb」、「モノクローナル抗体組成物」という用語又はそれらの複数形は、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示す。特定の受容体に特異的なモノクローナル抗体は、試験対象に適切な抗原を注射し、次いで所望の配列又は機能的特徴を有する抗体を発現するハイブリドーマを分離するという当技術分野における知識及び技術を用いて作製することができる。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に分離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの好ましい供給源としての役割を果たす。DNAは、分離されると発現ベクター中に入れられ得、次いで、これを、大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は他の方法では免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体の合成を入手する。抗体の組換え産生は、以下により詳細に記載される。
[00108] 本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」又は「抗原結合断片」(又は単に「抗体部分」若しくは「断片」)という用語は、特異的に抗原に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片によって行われ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VH又はVLドメインからなり得るドメイン抗体(dAb)断片(Ward, et al., Nature, 1989, 341, 544-546);並びに(vi)分離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは別々の遺伝子によってコードされているが、それらは、組換え法を用いて、VL及びVH領域ペアが単鎖Fv(scFv)として知られる一価分子を形成する単一のタンパク質鎖として、それらが作製されることを可能にする合成リンカーによって連結され得る;例えば、Bird, et al., Science 1988, 242, 423-426;及びHuston, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988, 85, 5879-5883を参照されたい)。そのようなscFv抗体は、抗体の「抗原結合部分」又は「抗原結合断片」という用語内に包含されることも意図している。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を使用して入手され、断片は、無傷の抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。
[00109] 本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図している。更に、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム又は部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図しない。
[00110] 「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、フレームワーク領域及びCDR領域の両方がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を指す。一実施形態において、ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから入手され、不死化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子及び軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
[00111] 本明細書で使用される「組換えヒト抗体」という用語は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック若しくはトランス染色体である動物(マウスなど)又はそれから調製されたハイブリドーマ(以下で更に説明する)から分離された抗体、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから分離された抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから分離された抗体、及び(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により調製、発現、生成又は分離された抗体など、組換え手段によって調製、発現、生成又は分離された全てのヒト抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域及びCDR領域がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ変異誘発(又はヒトIg配列についてトランスジェニックな動物を使用する場合、インビボ体細胞変異誘発)に供することができ、従って、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系のVH及びVL配列に由来し、それらに関係している一方、インビボでのヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
[00112] 本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgM又はIgG1)を指す。
[00113] 「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」という句は、本明細書において「抗原に特異的に結合する抗体」という用語と互換的に使用される。
[00114] 「ヒト抗体誘導体」という用語は、抗体と別の活性医薬成分又は抗体とのコンジュゲートを含む、ヒト抗体の任意の変異形態を指す。「コンジュゲート」、「抗体−薬物コンジュゲート」、「ADC」又は「イムノコンジュゲート」という用語は、別の治療部分にコンジュゲートされた抗体又はその断片を指し、これは、当技術分野で利用可能な方法を使用して本明細書に記載の抗体にコンジュゲートすることができる。
[00115] 1つの「ヒト化抗体」又は複数の「ヒト化抗体」及び「ヒト化」という用語は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を指すことを意図する。ヒトフレームワーク配列内で更なるフレームワーク領域の改変がなされ得る。ヒト化形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の15個の超可変領域(ドナー抗体)由来の残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。これらの改変は、抗体性能を更に改良するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、任意選択により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。更なる詳細については、Jones, et al., Nature 1986, 321, 522-525;Riechmann, et al., Nature 1988, 332, 323-329;及びPresta, Curr.Op.Struct.Biol. 1992, 2, 593-596を参照されたい。本明細書に記載の抗体は、エフェクター機能及び/又はFcR結合に改善(例えば、減少)を付与することも知られている任意のFc変異体を使用するように改変され得る。Fc変異体は、例えば、国際公開第1988/07089A1号、同第1996/14339A1号、同第1998/05787A1号、同第1998/23289A1号、同第1999/51642A1号、同第99/58572A1号、同第2000/09560A2号、同第2000/32767A1号、同第2000/42072A2号、同第2002/44215A2号、同第2002/060919A2号、同第2003/074569A2号、同第2004/016750A2号、同第2004/029207A2号、同第2004/035752A2号、同第2004/063351A2号、同第2004/074455A2号、同第2004/099249A2号、同第2005/040217A2号、同第2005/070963A1号、同第2005/077981A2号、同第2005/092925A2号、同第2005/123780A2号、同第2006/019447A1号、同第2006/047350A2号及び同第2006/085967A2号;及び米国特許第5,648,260号;同第5,739,277号;同第5,834,250号;同第5,869,046号;同第6,096,871号;同第6,121,022号;同第6,194,551号;同第6,242,195号;同第6,277,375号;同第6,528,624号;同第6,538,124号;同第6,737,056号;同第6,821,505号;同第6,998,253号;及び同第7,083,784号に開示されるアミノ酸置換のいずれか1つを含み得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00116] 「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体など、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する抗体を指すことを意図する。
[00117] 「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片である。断片は、同じポリペプチド鎖(VH−VL又はVL−VH)内の軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間で対形成させるには短すぎるリンカーを使用することにより、そのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成し、2つの抗原結合部位を生成することを強いられる。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号;及びBolliger, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1993, 90, 6444-6448に更に十分に記載されている。
[00118] 「グリコシル化」という用語は、抗体の改変誘導体を指す。アグリコシル化抗体は、グリコシル化を欠く。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるために改変することができる。そのような炭水化物改変は、例えば、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を変えることによって達成することができる。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の除去をもたらし、それによってその部位でのグリコシル化を除去する1つ以上のアミノ酸置換を行うことができる。米国特許第5,714,350号及び同第6,350,861号に記載されているように、アグリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。追加的又は代替的に、減少したフコシル残基の量を有する低フコシル化抗体又は増加したバイセクティング(bisecting)GlcNac構造を有する抗体など、グリコシル化の種類が変更された抗体を作製することができる。そのような改変されたグリコシル化パターンは、抗体の能力を増大させることが実証されている。そのような炭水化物改変は、例えば、グリコシル化機構を変えて宿主細胞中で抗体を発現させることによって達成することができる。グリコシル化機構が改変された細胞は当技術分野において記載されており、本発明の組換え抗体を発現させ、それによって改変されたグリコシル化を有する抗体を産生するための宿主細胞として使用することができる。例えば、細胞株Ms704、Ms705及びMs709は、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8(アルファ(1,6)フコシルトランスフェラーゼ)を欠いているため、Ms704、Ms705及びMs709細胞株で発現される抗体は、それらの炭水化物上でフコースを欠いている。Ms704、Ms705及びMs709 FUT8−/−細胞株は、2つの置換ベクターを使用して、CHO/DG44細胞中のFUT8遺伝子を標的とした破壊によって生成された(例えば、米国特許出願公開第2004/0110704号又はYamane-Ohnuki, et al., Biotechnol.Bioeng., 2004, 87, 614-622を参照されたい)。別の例として、欧州特許第1,176,195号には、そのような細胞株で発現される抗体が、アルファ1,6結合関連酵素を減少させる又は排除することにより低フコシル化を示すように、フコシルトランスフェラーゼをコードする機能的に破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株が記載されており、また抗体のFc領域に結合するN−アセチルグルコサミンにフコースを加える酵素活性が低いか又は酵素活性を有しない細胞株、例えばラット骨髄腫細胞株YB2/0(ATCC CRL 1662)も記載されている。国際公開第03/035835号には、Asn(297)が連結した炭水化物にフコースを結合する能力が低下し、またその宿主細胞で発現した抗体の低フコシル化をもたらす変異体CHO細胞株、Lec13細胞が記載されている(Shields, et al., J. Biol Chem.2002, 277, 26733-26740も参照されたい。国際公開第99/54342号には、操作された細胞株で発現された抗体が、抗体のADCC活性の増加をもたらす増加したバイセクティングGlcNac構造を示すように、糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼを発現するよう操作された細胞株(例えば、ベータ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))が記載されている(Umana, et al., Nat.Biotech.1999, 17, 176-180も参照されたい)。代わりに、抗体のフコース残基は、フコシダーゼ酵素を使用して切断し得る。例えば、フコシダーゼであるアルファ−L−フコシダーゼは、Tarentino, et al., Biochem.1975, 14, 5516-5523に記載されるように、抗体由来のフコシル残基を除去する。
[00119] 「ペグ化」とは、1つ以上のPEG基が抗体又は抗体断片に結合するようになる条件下において、典型的には、ポリエチレングリコール(PEG)の反応性エステル又はアルデヒド誘導体などのPEGと反応する修飾抗体又はその断片を指す。ペグ化は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させ得る。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して行われる。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1−C10)アルコキシ−若しくはアリールオキシ−ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール−マレイミドなどの他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの形態のいずれも包含することを意図する。ペグ化される抗体は、アグリコシル化抗体であり得る。ペグ化の方法は、当技術分野において公知であり、例えば欧州特許第0154316号及び同第0401384号並びに米国特許第5,824,778号に記載されているように、本発明の抗体に適用することができ、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00120] 「融合タンパク質」又は「融合ポリペプチド」という用語は、2つ以上の個々のタンパク質の特性を組み合わせたタンパク質を指す。そのようなタンパク質は、直接又はアミノ酸リンカーを介して共有結合した少なくとも2つの異種ポリペプチドを有する。融合タンパク質を形成するポリペプチドは、典型的にはC末端からN末端に連結しているが、C末端からC末端、N末端からN末端又はN末端からC末端に連結することもできる。融合タンパク質のポリペプチドは、任意の順序であり得、構成ポリペプチドのいずれか2つ以上又は両方を含み得る。この用語は、融合タンパク質を構成する抗原の、保存的に改変された変異体、多型変異体、対立遺伝子、突然変異体、部分配列、種間同族体及び免疫原性断片を包含する。本開示の融合タンパク質は、成分抗原又はその免疫原性断片の更なるコピーも含み得る。融合タンパク質は、互いに結合し、IgG FcドメインなどのFcドメインに更に結合した1つ以上の結合ドメインを含み得る。融合タンパク質は、モノクローナル抗体を模倣し、6つ以上の結合ドメインを提供するために、共に更に連結され得る。融合タンパク質は、当技術分野において公知であるように、組換え法によって産生され得る。融合タンパク質の調製は、当技術分野で公知であり、例えば国際公開第1995/027735A1号、同第2005/103077A1号、同第2008/025516A1号、同第2009/007120A1号、同第2010/003766A1号、同第2010/010051A1号、同第2010/078966A1号、米国特許出願公開第2015/0125419A1号及び同第2016/0272695A1号並びに米国特許第8,921,519号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00121] 核酸又はタンパク質の部分に関して使用される場合の「異種」という用語は、その核酸又はタンパク質が、天然には互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的には組換え的に産生され、新しい機能性核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子由来の2つ以上の配列、例えば1つの供給源からのプロモーター及び別の供給源からのコーディング領域又は異なる供給源からのコーディング領域を有する。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が、天然には互いに同じ関係で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
[00122] 「保存的アミノ酸置換」という用語は、抗体又は融合タンパク質の抗原への結合を無効にしないアミノ酸配列改変を意味する。保存的アミノ酸置換には、あるクラスのアミノ酸の同じクラスのアミノ酸での置換が含まれ、ここで、クラスは、例えば、標準Dayhoff頻度交換行列又はBLOSUM行列によって決定されるように、一般的な物理化学的アミノ酸側鎖特性及び天然に見られる相同タンパク質における高い置換頻度によって定義される。6つの一般的なクラスのアミノ酸側鎖が分類されており、クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gln、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(Ile、Leu、Val、Met);及びクラスVI(Phe、Tyr、Trp)を含む。例えば、Asn、Gln又はGluなど、別のクラスIII残基へのAspの置換は、保存的置換である。従って、抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同じクラスからの別のアミノ酸残基で置換される。抗原結合を排除しないアミノ酸保存的置換を同定する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Brummell, et al., Biochemistry 1993, 32, 1180-1187;Kobayashi, et al., Protein Eng.1999, 12, 879-884 (1999);及びBurks, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997, 94, 412-417を参照されたい。
[00123] 2つ以上の核酸又はポリペプチドに関連して、「配列同一性」、「パーセント同一性」及び「配列パーセント同一性」(又はそれらの同義語、例えば「99%同一」)という用語は、配列同一性の一部として保存的アミノ酸置換を考慮せずに、最大限の対応について比較し、整合させた場合(必要に応じてギャップを導入する)、同じであるか、同じヌクレオチド又はアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。同一性パーセントは、配列比較ソフトウェア若しくはアルゴリズムを使用するか、又は目視検査によって測定することができる。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用することができる様々なアルゴリズム及びソフトウェアが当技術分野において公知である。パーセント配列同一性を決定するための適切なプログラムには、例えば、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のBLASTウェブサイトから入手可能なBLASTプログラム一式が含まれる。2つの配列間の比較は、BLASTN又はBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して実施することができる。BLASTNは、核酸配列を比較するために使用される一方、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するために使用される。ALIGN、ALIGN-2(Genentech, South San Francisco, California)又はDNASTARから入手可能なMegAlignは、配列を整合するために使用することができる、公に入手可能な更なるソフトウェアプログラムである。当業者は、特定のアラインメントソフトウェアによって最大アラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。特定の実施形態において、アラインメントソフトウェアのデフォルトパラメータが使用される。
[00124] 本明細書で使用される「変異体」という用語は、参照抗体のアミノ酸配列内又はそれに隣接する特定の位置での1つ以上の置換、欠失及び/又は付加により、参照抗体のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む抗体又は融合タンパク質を包含するが、これに限定されるものではない。変異体は、参照抗体のアミノ酸配列と比較して、そのアミノ酸配列中に1つ以上の保存的置換を含み得る。保存的置換は、例えば、同様に荷電又は非荷電であるアミノ酸の置換を含み得る。変異体は、参照抗体の抗原に特異的に結合する能力を保持している。変異体という用語は、ペグ化抗体又はタンパク質も含む。
[00125] 核酸配列は、明示的に示される配列と同様に、その保存的に改変された変異体(例えば、縮重コドン置換)及び相補的配列も非明示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(又は全ての)コドンの第3の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る。Batzer, et al., Nucleic Acid Res.1991, 19, 5081;Ohtsuka, et al., J. Biol.Chem.1985, 260, 2605-2608;Rossolini, et al., Mol.Cell.Probes 1994, 8, 91-98。核酸という用語は、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドと互換的に使用される。
[00126] 「バイオシミラー」という用語は、モノクローナル抗体又はタンパク質を含む生物学的産物を意味し、これは、臨床的に不活性な成分におけるわずかな違いにかかわらず、米国の認可された参照生物学的製品と高度に類似しており、製品の安全性、純度及び効力の点で生物学的製品と参照製品との間に臨床的に有意義な違いはない。更に、類似の生物学的又は「バイオシミラー」医薬は、欧州医薬品庁により使用がすでに認可されている、別の生物学的医薬と類似の生物学的医薬である。「バイオシミラー」という用語は、他の国及び地域の規制機関によっても同義的に使用される。生物学的製剤又は生物学的医薬品は、細菌又は酵母などの生物学的供給源によって作製されるか又はそれに由来する医薬品である。それらは、ヒトインスリン又はエリスロポエチンなどの比較的小さい分子又はモノクローナル抗体などの複雑な分子からなり得る。例えば、参照IL−2タンパク質がアルデスロイキン(PROLEUKIN)である場合、アルデスロイキンに関して医薬品規制当局によって承認されたタンパク質は、アルデスロイキン「に対するバイオシミラー」又はアルデスロイキンの「そのバイオシミラー」である。欧州では、類似の生物学的又は「バイオシミラー」医薬は、欧州医薬品庁(EMA)により使用がすでに認可されている、別の生物学的医薬と類似の生物学的医薬である。ヨーロッパにおける同様の生物学的用途の関連法的根拠は、改正された規則(EC)No726/2004の第6条及び指令2001/83/ECの第10条(4)であり、従って、ヨーロッパでは、バイオシミラーは、規則(EC)No726/2004の第6条及び指令2001/83/ECの第10(4)条の下で認可され得るか、認可が承認され得るか又は認可申請の対象であり得る。ヨーロッパでは、すでに認可されている元の生物学的医薬品は、「参照医薬品」と呼ばれることがある。バイオシミラーと見なされる製品の要件のいくつかは、類似生物学的医薬品におけるCHMPガイドラインに概説されている。更に、モノクローナル抗体バイオシミラーに関するガイドラインを含む製品固有のガイドラインは、EMAによって製品ごとに提供され、そのウェブサイトに公開されている。本明細書に記載のバイオシミラーは、品質特性、生物学的活性、作用機序、安全性プロファイル及び/又は有効性として、参照医薬品と類似し得る。更に、バイオシミラーは、参照医薬品と同じ状態を処置するために使用されるか又は使用を意図され得る。従って、本明細書に記載のバイオシミラーは、参照医薬品と類似した又は非常に類似した品質特性を有すると見なし得る。代わりに又は更に、本明細書に記載のバイオシミラーは、参照医薬品と類似した又は非常に類似した生物学的活性を有すると見なし得る。代わりに又は更に、本明細書に記載のバイオシミラーは、参照医薬品と類似した又は非常に類似した安全性プロファイルを有すると見なし得る。代わりに又は更に、本明細書に記載のバイオシミラーは、参照医薬品と類似した又は非常に類似した有効性を有すると見なし得る。本明細書に記載されるように、ヨーロッパにおけるバイオシミラーは、EMAによって認可されている参照医薬品と比較される。しかしながら、一部の場合、バイオシミラーは、特定の研究において欧州経済地域外で認可されている生物学的医薬品(EEA非認可の「コンパレータ」)と比較され得る。そのような試験には、例えば、特定の臨床試験及びインビボ非臨床試験が含まれる。本明細書で使用される場合、「バイオシミラー」という用語は、非EEA認可コンパレータと比較された又は比較され得る生物学的医薬品にも関する。特定のバイオシミラーは、抗体、抗体断片(例えば、抗原結合部分)及び融合タンパク質などのタンパク質である。タンパク質バイオシミラーは、ポリペプチドの機能に有意に影響を及ぼさない、アミノ酸構造にわずかな改変(例えば、アミノ酸の欠失、付加及び/又は置換を含む)を有するアミノ酸配列を有し得る。バイオシミラーは、その参照医薬品のアミノ酸配列に対して97%以上、例えば97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。バイオシミラーは、相違が医薬品の安全性及び/又は有効性において変化をもたらさないことを条件として、参照医薬品の翻訳後改変と異なる1つ以上の翻訳後改変、例えば、限定されるものではないが、グリコシル化、酸化、脱アミド化及び/又は切断を含み得る。バイオシミラーは、参照医薬品と同一又は異なるグリコシル化パターンを有し得る。排他的ではないが、特に相違が参照医薬品に関する安全性の懸念に対処するか又は対処することを意図している場合、バイオシミラーは、異なるグリコシル化パターンを有し得る。更に、バイオシミラーは、医薬品の安全性及び有効性が損なわれない場合、例えばその強度、医薬形態、製剤、賦形剤及び/又は提示において参照医薬品から逸脱し得る。バイオシミラーは、例えば、参照医薬品と比較した場合の薬物動態(PK)及び/又は薬力学(PD)プロファイルにおける相違を含み得るが、依然として承認されるか又は承認に適していると見なされるために、参照医薬品と十分に類似していると認められる。特定の状況において、バイオシミラーは、参照医薬品と比較して異なる結合特性を示し、ここで、異なる結合特性は、EMAなどの規制当局により、類似の生物学的製品としての認可に対する障壁ではないと見なされる。「バイオシミラー」という用語は、他の国及び地域の規制機関によっても同義的に使用される。
[00127] 「血液悪性腫瘍」という用語は、血液、骨髄、リンパ節及びリンパ系の組織を含むが、これらに限定されない、哺乳動物の癌及び造血系及びリンパ系組織の腫瘍を指す。血液悪性腫瘍は、「液性腫瘍」の形成をもたらし得る。血液悪性腫瘍には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、小リンパ性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫が含まれるが、これらに限定されるものではない。「B細胞血液悪性腫瘍」という用語は、B細胞に影響を及ぼす血液悪性腫瘍を指す。
[00128] 「液性腫瘍」という用語は、本来流動性である異常な細胞塊を指す。液性腫瘍癌としては、白血病、骨髄腫及びリンパ腫並びに他の血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されるものではない。骨髄内に存在する液性腫瘍を含む、液性腫瘍から入手したTILは、本明細書では骨髄浸潤リンパ球(MIL)とも称され得る。末梢血中を循環する液性腫瘍を含む液性腫瘍から入手したTILは、本明細書ではPBLとも称され得る。MIL、TIL及びPBLという用語は、本明細書において互換的に使用され、細胞が由来する組織タイプによってのみ異なる。
[00129] 「生検」という用語は、骨髄生検を含む、癌細胞を入手するために使用されるあらゆる医療処置を指す。
[00130] 「急性骨髄性(myeloid)白血病」又は「AML」という用語は、当技術分野で急性骨髄性(myelogenous)白血病及び急性非リンパ性白血病としても知られている骨髄性血液細胞株の癌を指す。AMLは、液性腫瘍であるが、緑色腫などの髄外所見を含むAMLの一部の所見は、固形腫瘍の特性を示すが、本明細書では液性腫瘍として分類される。
[00131] 本明細書で使用される「微小環境」という用語は、全体としての固形又は血液腫瘍微小環境又は微小環境内の細胞の個々のサブセットを指し得る。本明細書で使用される腫瘍微小環境は、Swartz, et al., Cancer Res., 2012, 72, 2473に記載されているように、「新生物性形質転換を促進し、腫瘍の成長及び浸潤をサポートし、腫瘍を宿主の免疫から保護し、治療抵抗性を培い、優勢な転移を成功させるニッチを提供する、細胞、可溶性因子、シグナル伝達分子、細胞外マトリックス及び機械的手がかり」の複合的な混合物を指す。腫瘍は、T細胞によって認識されるべき抗原を発現するが、免疫系による腫瘍の排除は、微小環境による免疫抑制のため、希少である。
[00132] 「有効量」又は「治療有効量」という用語は、疾患処置を含むが、これに限定されない、意図された用途を達成するのに十分である、本明細書に記載の化合物又は化合物の組み合わせの量を指す。治療有効量は、意図される用途(インビトロ又はインビボ)又は処置されている対象及び疾患状態(例えば、対象の体重、年齢及び性別)、疾患状態の重症度又は投与方法によって変動し得る。この用語は、標的細胞において特定の応答(例えば、血小板接着及び/又は細胞遊走の減少)を誘導する用量にも適用される。特定の用量は、選択された特定の化合物、従うべき投与レジメン、化合物が他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、それが投与される組織及び化合物が運ばれる物理的送達システムによって変動する。
[00133] 「治療効果」は、その用語が本明細書で使用される場合、治療上の利益及び/又は予防上の利益を包含する。予防効果は、疾患若しくは状態の出現を遅らせるか若しくは排除すること、疾患若しくは状態の症状の発症を遅らせるか若しくは排除すること、疾患若しくは状態の進行を遅らせるか、停止させるか若しくは逆行させること又はそれらの任意の組み合わせを含む。
[00134] 用語「処置」、「処置している」、「処置する」などは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を達成することを指す。効果は、疾患若しくはその症状を完全に若しくは部分的に防ぐという意味で予防的であり得、及び/又は疾患及び/又は疾患に起因する有害作用を部分的に若しくは完全に治癒するという意味で治療的であり得る。「処置」は、本明細書で使用されるとき、哺乳類、特にヒトにおける疾患の任意の処置を包含し、(a)疾患の素因があり得るが、依然としてそれを有すると診断されてない対象において疾患の発生を防ぐこと;(b)疾患を阻害すること、即ちその発症又は進行を止めること;及び(c)疾患を軽減すること、即ち疾患の退縮を生じさせること及び/又は1つ以上の疾患症状を軽減することが含まれる。「処置」は、疾患又は病態がない場合でも薬理学的効果を提供するための薬剤の送達を包含することも意図される。例えば、「処置」は、例えば、ワクチンの場合、疾患状態がないなかで免疫応答を誘発するか又は免疫を付与することのできる組成物の送達を包含する。
[00135] 「QD」、「qd」又は「q.d.」という用語は、1日に1回、1日1回又は毎日1回を意味する。「BID」、「bid」又は「b.i.d.」という用語は、1日に2回、1日2回又は毎日2回を意味する。「TID」、「tid」又は「t.i.d.」という用語は、1日に3回、1日3回又は毎日3回を意味する。「QID」、「qid」又は「q.i.d.」という用語は、1日に4回、1日4回又は毎日4回を意味する。
[00136] 本明細書における「腫瘍浸潤リンパ球」又は「TIL」とは、対象の血流を離れて腫瘍に遊走した、白血球として元来入手される細胞の集団を意味する。TILとしては、限定はされないが、CD8+細胞傷害性T細胞(リンパ球)、Th1及びTh17 CD4+ T細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞及びM1マクロファージが挙げられる。TILは、初代及び二次TILの両方を含む。「初代TIL」は、本明細書に概説される通り患者組織サンプルから入手されるものであり(「新鮮に回収された」と称されることもある)、及び「二次TIL」は、限定はされないが、バルクTIL、拡大培養TIL(「REP TIL」)並びに本明細書で考察する通りの「reREP TIL」を含め、本明細書で考察する通り拡大培養又は増殖された任意のTIL細胞集団である。
[00137] TILは、一般的に、細胞表面マーカーを使用して生化学的に、又は腫瘍に浸潤し処置に影響を及ぼすそれらの能力によって機能的に定義することができる。TILは、一般的に、次のバイオマーカー:CD4、CD8、TCR αβ、CD27、CD28、CD56、CCR7、CD45Ra、CD95、PD−1及びCD25の1つ以上を発現することによって分類することができる。追加的及び代替的に、TILは、患者への再導入時に固形腫瘍に浸潤するそれらの能力によって機能的に定義することができる。TILは、更に効力によって特徴付けられ得る − 例えば、TILは、例えば、インターフェロン(IFN)遊離が約50pg/mLより高い、約100pg/mLより高い、約150pg/mLより高い又は約200pg/mLより高い場合に効力があると見なすことができる。
[00138] 本明細書において「凍結保存TIL」(又は凍結保存されたMIL若しくはPBL)とは、初代、バルク又は拡大培養(REP TIL)のいずれかのTILが約−150℃〜−60℃の範囲で処置及び保存されることを意味する。凍結保存のための一般的な方法も、実施例を含む本明細書の他の箇所に記載されている。明確性のために、「凍結保存TIL」は、初代TILの供給源として使用され得る凍結組織サンプルと区別可能である。
[00139] 本明細書において「解凍した凍結保存TIL」(又は解凍したMIL若しくはPBL)とは、以前に凍結保存され、次いで細胞培養温度又はTILが患者に投与され得る温度を含むが、これらに限定されない、室温以上に戻るように処置されたTILの集団を意味する。
[00140] 本明細書における「細胞の集団」(TILを含む)とは、共通の形質を共有するいくつかの細胞を意味する。一般的に、集団は、一般に1×106〜1×1010の数の範囲であり、異なるTIL集団は異なる数を含む。例えば、IL−2の存在下での初代TILの初期増殖は、およそ1×108個の細胞のバルクTILの集団をもたらす。REP拡大培養は、一般的に、注入のために1.5×109〜1.5×1010個の細胞の集団を提供するために行われる。
[00141] 一般に、TILは、初めに患者腫瘍サンプルから入手され(「初代TIL」)、次に本明細書に記載される通りの更なる操作のためより大きい集団に拡大培養され、任意選択により凍結保存され、本明細書に概説される通り再刺激され、且つ任意選択によりTILの健康の指標として表現型及び代謝パラメータが判定される。
[00142] 一般に、回収された細胞懸濁液は、「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
[00143] 一般に、本明細書で考察する通り、TILは、初めに、本明細書で考察する通り患者から切除された腫瘍から初代TIL集団を入手することにより調製される(「初代細胞集団」又は「第1の細胞集団」)。これに続き、細胞をIL−2と培養することを利用した初期バルク拡大培養が行われ、第2の細胞集団が形成される(本明細書において「バルクTIL集団」又は「第2の集団」と称されることもある)。
[00144] 用語「細胞傷害性リンパ球」には、細胞傷害性T(CTL)細胞(CD8+細胞傷害性Tリンパ球及びCD4+ T−ヘルパーリンパ球を含む)、ナチュラルキラーT(NKT)細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。細胞傷害性リンパ球には、例えば、腫瘍関連抗原によって活性化され、及び/又は腫瘍特異的キメラ抗原受容体又はT細胞受容体で形質導入された末梢血由来のαβ TCR陽性T細胞若しくはγδ TCR陽性T細胞並びに腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が含まれ得る。
[00145] 用語「セントラルメモリーT細胞」は、ヒトではCD45RO+であり、且つCCR7(CCR7h i)及びCD62L(CD62 hi)を構成的に発現するT細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型は、TCR、CD3、CD127(IL−7R)及びIL−15Rも含む。セントラルメモリーT細胞の転写因子は、BCL−6、BCL−6B、MBD2及びBMI1を含む。セントラルメモリーT細胞は、TCRトリガー後にエフェクター分子として主にIL−2及びCD40Lを分泌する。セントラルメモリーT細胞は、血中のCD4区画において優勢であり、ヒトではリンパ節及び扁桃腺において比例的に濃縮されている。
[00146] 用語「エフェクターメモリーT細胞」は、セントラルメモリーT細胞と同様にCD45R0+であるが、CCR7の構成的発現が欠損しており(CCR7lo)、且つCD62L発現が不均一であるか又は低い(CD62Llo)、ヒト又は哺乳類T細胞のサブセットを指す。セントラルメモリーT細胞の表面表現型は、TCR、CD3、CD127(IL−7R)及びIL−15Rも含む。セントラルメモリーT細胞の転写因子は、BLIMP1を含む。エフェクターメモリーT細胞は、抗原刺激後、インターフェロン−γ、IL−4及びIL−5を含む高レベルの炎症性サイトカインを急速に分泌する。エフェクターメモリーT細胞は、血中のCD8区画において優勢であり、ヒトでは肺、肝臓及び腸において比例的に濃縮されている。CD8+エフェクターメモリーT細胞は、大量のパーフォリンを保有する。「閉鎖系」という用語は、外部環境に対して閉鎖された系を指す。細胞培養方法に適した任意の閉鎖系を本発明の方法と共に使用することができる。閉鎖系としては、例えば、密閉G容器(G-container)が挙げられるが、これに限定されるものではない。腫瘍セグメントが閉鎖系に添加されると、TILが患者に投与される準備ができるまで、系は、外部環境に対して開放されない。
[00147] 一部の実施形態において、本開示の方法は、腫瘍組織又は腫瘍組織からの細胞を標準的な実験用培地(限定なしに、RPMIを含む)で成長させて、照射フィーダー細胞及び抗CD3抗体などの試薬で処置することにより、TIL数の増加及び/又は所望の細胞表面マーカー又は他の構造的、生化学的若しくは機能的特徴を含む細胞に関する集団のエンリッチメントなど、所望の効果を実現する「プレREP」段階を更に含む。プレREP段階は、TIL産生を改善するための代替戦略を取り入れ易くなるように、実験グレードの試薬を(実験グレードの試薬が後のREP段階中に希釈されるという仮定の下に)利用し得る。従って、一部の実施形態において、プレREP段階中、培養培地中には、開示されるTLRアゴニスト及び/又はペプチド又はペプチドミメティクスが含まれ得る。プレREP培養は、一部の実施形態において、IL−2を含み得る。本発明は、好ましい態様において、新鮮に回収したTIL又は再刺激TIL(本明細書において「reTIL」と称されることもある)のための解凍した凍結保存TILと比較したとき、意外にもメモリーエフェクターT細胞サブセットを含めたメモリーT細胞サブセットの拡大につながり、及び/又は解糖系呼吸の著しい亢進につながる、本明細書において「再刺激急速拡大培養プロトコル」又は「reREP」とも称される、1つ以上の追加的な再刺激プロトコルでREPを増強する新規方法に関する。即ち、凍結保存TILに対してreREP手順を用いることにより、患者は、高度に代謝的に活性で健康なTILを受け取ることができ、より良好な転帰につながり得る。
[00148] 「抗腫瘍有効量」、「腫瘍抑制有効量」又は「治療量」が示されている場合、投与される本発明の組成物の正確な量は、年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度及び患者(対象)の状態の個人差を考慮して医師によって決定され得る。一般的に、本明細書に記載される遺伝子改変された細胞傷害性リンパ球を含む医薬組成物は104〜1011個の細胞/kg体重(例えば、105〜106、105〜1010、105〜1011、106〜1010、106〜1011,107〜1011、107〜1010、108〜1011、108〜1010、109〜1011又は109〜1010個の細胞/kg体重)(これらの範囲内にある全ての整数値を含む)の投薬量で投与され得ると言うことができる。遺伝子改変された細胞傷害性リンパ球組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与され得る。遺伝子改変された細胞傷害性リンパ球は、免疫療法で一般に公知の注入技法を用いることにより投与し得る(例えば、Rosenberg et al., New Eng.J. of Med. 319:1676, 1988を参照されたい)。特定の患者に対する最適な投与量及び処置レジメンは、疾患の徴候について患者をモニターし、それに応じて処置を調整することにより、医学の当業者によって容易に決定され得る。
[00149] 疑義を回避するために、本明細書では、本発明の特定の態様、実施形態又は例と併せて記載された特定の特徴(例えば、整数、特性、値、使用、疾患、式、化合物又は基)は、不適合でない限り、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態又は例にも適用可能であると理解されるべきであることを意図する。従って、そのような特徴は、必要に応じて、本明細書で定義された定義、特許請求の範囲又は実施形態のいずれかと共に使用することができる。本明細書に開示されている全ての特徴(任意の添付の請求項、要約及び図面を含む)及び/又はそのように開示されている任意の方法若しくはプロセスの全てのステップは、少なくとも一部の特徴及び/又はステップが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わされ得る。本発明は、いかなる開示された実施形態のいかなる詳細にも限定されるものではない。本発明は、本明細書に開示されている特徴(任意の添付の請求項、要約及び図面を含む)の任意の新規なもの若しくは新規な組み合わせ又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
[00150] 「約」及び「およそ」という用語は、統計的に有意義な値の範囲内を意味する。そのような範囲は、所与の値又は範囲の一桁以内、好ましくは50%以内、より好ましくは20%以内、更に好ましくは10%以内、更により好ましくは5%以内であり得る。「約」又は「およそ」という用語によって包含される許容される変動は、研究下の特定のシステムに依存し、当業者によって容易に理解され得る。更に、本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状並びに他の量及び特性が正確でなく且つ正確である必要はないが、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似及び/又はより大きい若しくはより小さくてもよいことを意味する。一般的に、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の量若しくは特性は、そうであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「およそ」である。非常に異なるサイズ、形状及び寸法の実施形態が、記載された機構を採用し得ることに留意されたい。
[00151] 元の形式及び修正された形式において、添付の特許請求の範囲で使用される場合、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」という移行的な用語は、記載されていない特許請求の範囲の更なる要素又はステップが存在する場合、特許請求の範囲の対象から除外されるものに関し、特許請求の範囲の対象を定義する。「含む」という用語は、包含的であるか又はオープンエンドであることが意図されており、いかなる追加の列挙されていない要素、方法、ステップ又は材料も排除するものではない。「からなる」という用語は、特許請求の範囲に明記されたもの及び材料の場合には明記された材料に関連する通常の不純物以外のいかなる要素、ステップ又は材料も排除する。「から本質的になる」という用語は、特許請求の範囲を、特定の要素、ステップ又は材料並びに特許請求の範囲に記載された発明の基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。本発明を具体化する本明細書に記載された全ての組成物、方法及びキットは、代替性の実施形態において、「含む」、「から本質的になる」及び「からなる」という移行的な用語のいずれかにより、より具体的に定義することができる。
末梢血(PBL)及び/又は骨髄(MIL)を含む治療用T細胞を拡大培養する方法の実施形態
末梢血から末梢血リンパ球(PBL)を拡大培養する方法
[00152] PBL方法1.本発明の一実施形態において、本明細書で説明するプロセスを使用して、PBLを拡大培養する。本発明の一実施形態において、方法は、全血からPBMCサンプルを入手することを含む。一実施形態において、方法は、非CD19+画分のネガティブ選択を使用してPBMCから純粋なT細胞を分離することによりT細胞を濃縮することを含む。0日目に、純粋T細胞を1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。14日目にPBLを回収し、ビーズを取り出し、PBLを計数し、フェノタイピングする。一実施形態において、方法は、非CD19+画分の磁気ビーズに基づくネガティブ選択を使用してPBMCから純粋なT細胞を分離することによりT細胞を濃縮することを含む。
[00153] 本発明の一実施形態において、PBL方法1は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存されたPBMCサンプルが解凍され、PBMCが計数される。T細胞は、Human Pan T-cell Isolation Kit及びLSカラム(Miltenyi Biotec)を使用して分離される。分離したT細胞を計数し、GRex 24ウェルプレートの1ウェルあたり5×105個の細胞を播種し、1ウェルあたり合計8mlのCM2培地中、3000IU/mlのIL−2と1:1の比率で、DynaBeads(登録商標)(抗CD3/抗CD28)と共培養する。4日目に、各ウェル中の培地を、CM2から、3000IU/mlの新鮮なIL−2を含むAIM−Vに交換する。7日目に、拡大培養した細胞を回収し、計数し、次いで、3000IU/mlのIL−2及び1:1の比率(ビーズ:細胞)のDynaBeads(登録商標)と共に、合計100mlのAIM−V培地中、GRex 10Mフラスコで、1フラスコあたり15×106個の細胞で培養する。11日目に、培地を新鮮なIL−2を3000IU/mlで補充したCM−4培地に交換する。14日目に、DynaMag Magnet(DynaMag(商標)-15)を使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、細胞が計数される。
[00154] 本発明の一実施形態において、PBL方法1は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存されたPBMCサンプルが解凍され、PBMCが計数される。T細胞は、Human Pan T-cell Isolation Kit及びLSカラム(Miltenyi Biotec)を使用して分離される。分離したT細胞を計数し、GRex 24ウェルプレートの1ウェルあたり5×105個の細胞を播種し、1ウェルあたり合計8mlのCM2培地中、3000IU/mlのIL−2と1:1の比率で、DynaBeads(登録商標)(抗CD3/抗CD28)と共培養する。4日目に、各ウェル中の培地を、CM2から、3000IU/mlの新鮮なIL−2を含むAIM−Vに交換する。7日目に、PBLを回収し、計数し、次いで、3000IU/mlのIL−2及び1:1の比率(ビーズ:細胞)のDynaBeads(登録商標)と共に、合計8mlのAIM−V培地中、新しいGRex−24ウェルプレートの1ウェルあたり1×106個の細胞で再播種する。11日目に、培地を新鮮なIL−2を3000IU/mlで補充したCM−4培地に交換する。14日目に、DynaMag Magnet(DynaMag(商標)-15)を使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、細胞が計数される。
[00155] PBL方法2.本発明の一実施形態において、PBLは、全血からPBMCサンプルを入手することを含むPBL方法2を使用して拡大培養される。PBMCからのT細胞は、PBMCを37℃で少なくとも3時間インキュベートし、次いで非接着細胞を分離することにより、濃縮される。非接着細胞は、PBL方法1と同様に拡大培養する、即ち0日目に、非接着細胞を1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。14日目にPBLを回収し、ビーズを取り出し、PBLを計数し、フェノタイピングする。
[00156] 本発明の一実施形態において、PBL方法2は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存したPMBCサンプルを解凍し、PBMC細胞をCM−2培地中の6ウェルプレートに1ウェルあたり600万細胞で播種し、37℃で3時間インキュベートする。3時間後、PBLである非接着細胞を取り出し、計数する。PBLは、1ウェルあたり1×106個の細胞で、1:1のビーズ:細胞の比率の抗CD3/抗CD28 DynaBeads(登録商標)及び3000IU/mlのIL−2と共に、GRex 24ウェルプレートの各ウェル中、合計7mlのCM−2培地で培養する。4日目に、各ウェル中の培地を、AIM−V培地及び3000IU/mlの新鮮なIL−2と交換する。7日目に、拡大培養した細胞を回収し、計数し、次いで、3000IU/mlのIL−2及び1:1の比率(T細胞:ビーズ)のDynaBeads(登録商標)と共に、合計100mlのAIM−V培地中、GRex 10Mフラスコで、1フラスコあたり15×106個の細胞で培養する。11日目に、培地をCM−4培地に交換し、新鮮なIL−2(3000IU/ml)を補充する。14日目に、DynaMag(商標)Magnet(DynaMag(商標)-15)を使用してDynaBeadsが取り出され、細胞が計数される。
[00157] 本発明の一実施形態において、PBL方法2は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存したPMBCサンプルを解凍し、PBMC細胞をCM−2培地中の6ウェルプレートに1ウェルあたり600万細胞で播種し、37℃で3時間インキュベートする。3時間後、PBLである非接着細胞を取り出し、計数する。PBLは、1ウェルあたり1×106個の細胞、1:1のビーズ:細胞の比率の抗CD3/抗CD28 DynaBeads(登録商標)及び3000IU/mlのIL−2と共に、GRex 24ウェルプレートの各ウェル中、合計7mlのCM−2培地で培養する。4日目に、各ウェル中の培地を、AIM−V培地及び3000IU/mlの新鮮なIL−2と交換する。7日目に、拡大培養した細胞を回収し、計数し、次いで、3000IU/mlのIL−2及び1:1の比率(T細胞:ビーズ)のDynaBeads(登録商標)と共に、合計8mlのAIM−V培地中、新しいGRex 24ウェルプレートの1ウェルあたり1×106個の細胞で培養する。11日目に、培地をCM−4培地に交換し、新鮮なIL−2(3000IU/ml)を補充する。14日目に、DynaMag(商標)Magnet(DynaMag(商標)-15)を使用してDynaBeadsが取り出され、細胞が計数される。
[00158] PBL方法3.本発明の一実施形態において、PBLは、末梢血からPBMCサンプルを入手することを含むPBL方法3を使用して拡大培養される。B細胞はCD19+選択を使用して分離され、T細胞はPBMCサンプルの非CD19+画分のネガティブ選択を使用して選択される。0日目に、T細胞及びB細胞を、1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。14日目にPBLを回収し、ビーズを取り出し、PBLを計数し、フェノタイピングする。
[00159] 本発明の一実施形態において、PBL方法3は、以下のように実施される:0日目に、末梢血に由来する凍結保存されたPBMCを解凍し、計数する。CD19+ B細胞は、CD19 Multisort Kit, Human(Miltenyi Biotec)を使用して選別される。非CD19+細胞画分のうち、T細胞は、Human Pan T-cell Isolation Kit及びLSカラム(Miltenyi Biotec)を使用して精製される。T細胞(PBL)及びB細胞は、約3000IU/mlのIL−2の存在下で約8mlのCM2培地中、Grex 24ウェルプレートで異なる比率で共培養される。B細胞:T細胞の比率は0.1:1、1:1及び10:1である。T細胞/B細胞共培養は、抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))により1:1の比率(ビーズ:細胞)で刺激される。4日目に、培地をCM2からAIM−V培地に交換し、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、細胞を回収し、計数し、AIM−V培地の新しいGrex 24ウェルプレートに、1ウェルあたり約1.5×105〜約4×105個の細胞の細胞範囲で再播種し、3000IU/mlの追加のIL−2と共に、1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))により刺激する。14日目に、DynaMag(商標)Magnet(DynaMag(商標)-15)を使用してDynaBeadsが取り出され、細胞が計数される。
[00160] 一実施形態において、PBMCは、全血サンプルから分離される。一実施形態において、PBMCサンプルは、PBLを拡大培養するための出発材料として使用される。一実施形態において、サンプルは、拡大培養プロセス前に凍結保存される。別の実施形態において、新鮮なサンプルは、PBLを拡大培養するための出発材料として使用される。本発明の一実施形態において、T細胞は、当技術分野で公知の方法を使用してPBMCから分離される。一実施形態において、T細胞は、Human Pan T-cell Isolation Kit及びLSカラムを使用して分離される。本発明の一実施形態において、T細胞は、当技術分野で公知の抗体選択方法、例えばCD19ネガティブ選択を使用してPBMCから分離される。
[00161] 本発明の一実施形態において、プロセスは、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間又は約14日間にわたって実施される。別の実施形態において、プロセスは、約7日間にわたって実施される。別の実施形態において、プロセスは、約14日間にわたって実施される。
[00162] 本発明の一実施形態において、PBMCは抗CD3/抗CD28抗体と共に培養される。一実施形態において、任意の利用可能な抗CD3/抗CD28製品が本発明において有用である。本発明の一実施形態において、使用される市販の製品はDynaBeads(登録商標)である。一実施形態において、DynaBeads(登録商標)は、1:1の比率(ビーズ:細胞)のPBMCと共に培養される。別の実施形態において、抗体は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1の比率(ビーズ:細胞)でPBMCと共に培養されたDynaBeads(登録商標)である。本発明の一実施形態において、抗体培養ステップ及び/又は抗体で細胞を再刺激するステップは、約2〜約6日間、約3〜約5日間又は約4日間の期間にわたって実施される。本発明の一実施形態において、抗体培養ステップは、約2日、3日、4日、5日又は6日の期間にわたって実施される。
[00163] 一実施形態において、PBMCサンプルはIL−2と共に培養される。本発明の一実施形態において、PBMCからのPBLの拡大培養に使用される細胞培養培地は、約100IU/mL、約200IU/mL、約300IU/mL、約400IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約500IU/mL、約600IU/mL、約700IU/mL、約800IU/mL、約900IU/mL、約1,000IU/mL、約1,100IU/mL、約1,200IU/mL、約1,300IU/mL、約1,400IU/mL、約1,500IU/mL、約1,600IU/mL、約1,700IU/mL、約1,800IU/mL、約1,900IU/mL、約2,000IU/mL、約2,100IU/mL、約2,200IU/mL、約2,300IU/mL、約2,400IU/mL、約2,500IU/mL、約2,600IU/mL、約2,700IU/mL、約2,800IU/mL、約2,900IU/mL、約3,000IU/mL、約3,100IU/mL、約3,200IU/mL、約3,300IU/mL、約3,400IU/mL、約3,500IU/mL、約3,600IU/mL、約3,700IU/mL、約3,800IU/mL、約3,900IU/mL、約4,000IU/mL、約4,100IU/mL、約4,200IU/mL、約4,300IU/mL、約4,400IU/mL、約4,500IU/mL、約4,600IU/mL、約4,700IU/mL、約4,800IU/mL、約4,900IU/mL、約5,000IU/mL、約5,100IU/mL、約5,200IU/mL、約5,300IU/mL、約5,400IU/mL、約5,500IU/mL、約5,600IU/mL、約5,700IU/mL、約5,800IU/mL、約5,900IU/mL、約6,000IU/mL、約6,500IU/mL、約7,000IU/mL、約7,500IU/mL、約8,000IU/mL、約8,500IU/mL、約9,000IU/mL、約9,500IU/mL及び約10,000IU/mLからなる群から選択される濃度のIL−2を含む。
[00164] 本発明の実施形態において、拡大培養プロセスのためのPBMCの開始細胞数は、約25,000〜約1,000,000、約30,000〜約900,000、約35,000〜約850,000、約40、000〜約800,000、約45,000〜約800,000、約50,000〜約750,000、約55,000〜約700,000、約60,000〜約650,000、約65,000〜約600,000、約70,000〜約550,000、好ましくは、約75,000〜約500,000、約80,000〜約450,000、約85,000〜約400,000、約90,000〜約350,000、約95,000〜約300,000、約100,000〜約250,000、約105,000〜約200,000又は約110,000〜約150,000である。本発明の一実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約138,000、140,000、145,000又はそれを超える数である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約28,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約62,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約338,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約336,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、100万、200万、300万、400万、500万、600万、700万、800万、900万、1000万又はそれを超える数である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、100万〜1000万、200万〜900万、300万〜800万、400万〜700万又は500万〜600万である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約400万である。更に別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、少なくとも約400万、少なくとも約500万若しくは少なくとも約600万又はそれを超える数である。
[00165] 本発明の一実施形態において、細胞は、GRex 24ウェルプレートで増殖される。本発明の一実施形態において、同等のウェルプレートが使用される。一実施形態において、拡大培養のための出発材料は、1ウェルあたり約5×105個のT細胞である。本発明の一実施形態において、1ウェルあたり1×106個の細胞が存在する。本発明の実施形態において、1ウェルあたりの細胞数は、ウェルに播種し、T細胞を拡大培養するのに十分な数である。
[00166] 本発明の一実施形態において、PBLの拡大倍数は、約20%〜約100%、25%〜約95%、30%〜約90%、35%〜約85%、40%〜約80%、45%〜約75%、50%〜約100%又は25%〜約75%である。本発明の一実施形態において、拡大倍数は約25%である。本発明の別の実施形態において、拡大倍数は約50%である。別の実施形態において、拡大倍数は約75%である。
[00167] 本発明の一実施形態において、追加のIL−2は、プロセス全体を通して1日以上培養物に添加され得る。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は4日目に追加される。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は7日目に追加される。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は11日目に追加される。他の実施形態において、追加のIL−2は4日目、7日目及び/又は11日目に追加される。本発明の一実施形態において、細胞培養培地は、細胞培養プロセスを通して1日以上で交換され得る。一実施形態において、細胞培養培地は、プロセスの4日目、7日目及び/又は11日目に交換される。本発明の一実施形態において、PBLは、追加のIL−2と共に、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間又は14日間の期間にわたって培養される。本発明の一実施形態において、PBLは、IL−2の各添加後3日間の期間にわたって培養される。
[00168] 一実施形態において、細胞培養培地は、方法中に少なくとも一度交換される。一実施形態において、細胞培養培地は、追加のIL−2が加えられるのと同時に交換される。別の実施形態において、細胞培養培地は、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目又は14日目の少なくとも1つで交換される。本発明の一実施形態において、方法全体で使用される細胞培養培地は、同じであるか又は異なり得る。本発明の一実施形態において、細胞培養培地は、CM−2、CM−4又はAIM−Vである。
[00169] 本発明の一実施形態において、T細胞は、14日間の拡大培養プロセスを通して1日以上、抗CD3/抗CD28抗体で再刺激され得る。一実施形態において、T細胞は7日目に再刺激される。一実施形態において、GRex 10Mフラスコが再刺激ステップに使用される。本発明の一実施形態において、同等のフラスコが使用される。
[00170] 本発明の一実施形態において、DynaMag(商標)Magnetを使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、細胞が計数され、細胞は、以下の実施例で更に説明する表現型及び機能分析を使用して分析される。本発明の一実施形態において、抗体は、当技術分野で公知の方法を使用してPBL又はMILから分離される。前述の実施形態のいずれにおいても、TIL、PBL又はMILの磁気ビーズベースの選択が使用される。
[00171] 本発明の一実施形態において、PBMCサンプルは、非接着細胞を識別するのに有効な所望の温度で一定期間インキュベートされる。本発明の一実施形態において、インキュベーション時間は約3時間である。本発明の一実施形態において、温度は約37℃である。次いで、非接着細胞は、上記のプロセスを使用して拡大培養される。
[00172] 本発明の一実施形態において、PBMCは、イブルチニブ又は本明細書の他の箇所に記載のITK及びキナーゼ阻害剤などの別のITK又はキナーゼ阻害剤で処置された患者から入手される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、共有結合的及び不可逆的にITKに結合する共有結合ITK阻害剤である。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、ITKに結合するアロステリックITK阻害剤である。本発明の一実施形態において、PBMCは、PBL方法1、PBL方法2又はPBL方法3を含む前述の方法のいずれかで使用するPBMCサンプルを入手する前に、イブルチニブ又は本明細書の他の箇所に記載のITK阻害剤を含む他のITK阻害剤で処置された患者から入手される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤処置は、少なくとも1回、少なくとも2回又は少なくとも3回又はそれを超えて投与されている。本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置された患者から拡大培養されたPBLは、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置されなかった患者から拡大培養されたものより少ないLAG3+、PD−1+細胞を含む。本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置された患者から拡大培養されたPBLは、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置されなかった患者から拡大培養されたものより増加したレベルのIFNγ産生を含む。本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置された患者から拡大培養されたPBLは、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置されなかった患者から拡大培養されたものより低いエフェクター:標的細胞比で増加した溶解活性を含む。本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置された患者は、未処置の患者と比較して、より高い拡大倍数を有する。
[00173] 本発明の一実施形態において、方法は、細胞培養にITK阻害剤を添加するステップを含む。一実施形態において、ITK阻害剤は、プロセスの0日目、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目又は14日目の1つ以上で添加される。一実施形態において、細胞培養培地が交換される方法中の日に、ITK阻害剤が添加される。一実施形態において、ITK阻害剤は、0日目及び細胞培養培地が交換されるときに添加される。一実施形態において、ITK阻害剤は、IL−2が添加される方法中に添加される。一実施形態において、ITK阻害剤は、方法の0日目、4日目、7日目及び任意選択により11日目に添加される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、方法の0日目及び7日目に添加される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は当技術分野で公知のものである。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は本明細書の他の部分に記載されているものである。
[00174] 本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、約0.1nM〜約5uMの濃度で本方法に使用される。一実施形態において、ITK阻害剤は、約0.1nM、0.5nM、1nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、90nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1uM、2uM、3uM、4uM又は5uMの濃度で本方法に使用される。
[00175] 本発明の一実施形態において、方法は、PBMCが、イブルチニブなどのITK阻害剤処置への以前の曝露を有しない患者に由来する場合、ITK阻害剤を添加するステップを含む。
[00176] 一部の実施形態において、PBMCサンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで任意選択により前処置された対象又は患者からのものである。一部の実施形態において、腫瘍サンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで前処置された対象又は患者からのものである。一部の実施形態において、PBMCサンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで前処置され、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月又は1年又はそれを超えて、処置を受けた、対象又は患者からのものである。別の実施形態において、PBMCは、イブルチニブなどのITK阻害剤レジメンを現在受けている患者に由来する。
[00177] 一部の実施形態において、PBMCサンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで前処置されており、キナーゼ阻害剤又はイブルチニブなどのITK阻害剤での処置に不応性である対象又は患者からのものである。
[00178] 一部の実施形態において、PBMCサンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで前処置されているが、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤での処置をもはや受けていない対象又は患者からのものである。一部の実施形態において、PBMCサンプルは、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで前処置されているが、キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤での処置をもはや受けておらず、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月若しくは少なくとも1年又はそれを超えて、処置を受けていない、対象又は患者からのものである。別の実施形態において、PBMCは、ITK阻害剤への以前の曝露を有するが、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月又は少なくとも1年処置されていない患者に由来する。
[00179] 本発明の一実施形態において、0日目に、CD19+について細胞が選択され、適宜選別される。本発明の一実施形態において、選択は抗体結合ビーズを使用して行われる。本発明の一実施形態において、純粋T細胞は、PBMCから0日目に分離される。本発明の一実施形態において、0日目に、CD19 +B細胞及び純粋T細胞を、最低4日間、抗CD3/抗CD28抗体と共培養する。本発明の一実施形態において、4日目に、培養物にIL−2が添加される。本発明の一実施形態において、7日目に、培養物は抗CD3/抗CD28抗体及び追加のIL−2で再刺激される。本発明の一実施形態において、14日目に、PBLが回収される。
[00180] 本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置されていない患者について、10〜15mlのバフィーコートは約5×109個のPBMCを生成し、これは、約5.5×107個の開始細胞材料及び拡大培養プロセスの終了時に約11×109個のPBLを生成する。本発明の一実施形態において、約54×106個のPBMCは、約6×105個の出発材料及び約1.2×108個のMIL(約205倍の拡大倍数)を生成する。
[00181] 本発明の一実施形態において、イブルチニブ又は他のITK阻害剤で前処置された患者について、拡大培養プロセスは、約20×109個のPBLを生成する。本発明の一実施形態において、40.3×106個のPBMCは、約4.7×105個の開始細胞材料及び約1.6×108個のPBL(約338倍の拡大倍数)を生成する。
[00182] 本発明の一実施形態において、慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者に対する本発明において有用なPBLの臨床用量は、約0.1×109〜約15×109個のPBL、約0.1×109〜約15×109個のPBL、約0.12×109〜約12×109個のPBL、約0.15×109〜約11×109個のPBL、約0.2×109〜約10×109個のPBL、約0.3×109〜約9×109個のPBL、約0.4×109〜約8×109個のPBL、約0.5×109〜約7×109個のPBL、約0.6×109〜約6×109個のPBL、約0.7×109〜約5×109個のPBL、約0.8×109〜約4×109個のPBL、約0.9×109〜約3×109個のPBL又は約1×109〜約2×109個のPBLである。
[00183] 前述の実施形態のいずれにおいても、PBMCは、全血サンプルから、アフェレーシスにより、バフィーコートから、又はPBMCを入手するための当技術分野で公知の任意の他の方法から得られ得る。
骨髄由来のPBMCから骨髄浸潤リンパ球(MIL)を拡大培養する方法
[00184] MIL方法1.本発明の一実施形態において、骨髄由来のPBMCからMILを拡大培養する方法が記載される。本発明の一実施形態において、方法は、14日間にわたって実施される。一実施形態において、方法は、骨髄PBMCを入手し、且つPBMCを凍結保存することを含む。0日目に、PBMCを1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。14日目にMILを回収し、ビーズを取り出し、任意選択によりMILを計数し、フェノタイピングする。
[00185] 本発明の一実施形態において、MIL方法1は、以下のように実施される:0日目に、骨髄由来の凍結保存されたPBMCサンプルが解凍され、PBMCが計数される。PBMCは、GRex 24ウェルプレートで、3000IU/mlのIL−2の存在下、1ウェルあたり約8mlのCM−2細胞培養培地(RPMI−1640、ヒトAB血清、1−グルタミン、2−メルカプトエタノール、硫酸ゲンタマイシン、AIM−V培地から構成される)中、1ウェルあたり5×105個の細胞で、1:1の比率の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))と共培養される。4日目に、細胞培養培地を、3000IU/mlの追加のIL−2を添加したAIM−Vと交換する。7日目に、拡大培養したMILを計数する。1ウェルあたり1×106個の細胞を新しいGRex 24ウェルプレートに移し、3000IU/mlのIL−2の存在下、1ウェルあたり約8mlのAIM−V培地中、1:1の比率の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))と共に培養する。11日目に、細胞培養培地を、AIM−VからCM−4(AIM−V培地、2mMのGlutamax及び3000IU/mlのIL2から構成される)に交換する。14日目に、DynaMag Magnet(DynaMag(商標)15)を使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、MILが計数される。
[00186] MIL方法2.本発明の一実施形態において、方法は、7日間にわたって実施される。一実施形態において、この方法は、骨髄に由来するPMBCを入手し、且つPBMCを凍結保存することを含む。0日目に、PBMCを3:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。7日目にMILを回収し、ビーズを取り出し、任意選択によりMILを計数し、フェノタイピングする。
[00187] 本発明の一実施形態において、MIL方法2は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存されたPBMCサンプルが解凍され、PBMCが計数される。PBMCは、GRex 24ウェルプレートで、3000IU/mlのIL−2の存在下、1ウェルあたり約8mlのCM−2細胞培養培地(RPMI−1640、ヒトAB血清、1−グルタミン、2−メルカプトエタノール、硫酸ゲンタマイシン、AIM−V培地から構成される)中、1ウェルあたり5×105個の細胞で、1:1の比率の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))と共培養される。7日目に、DynaMag Magnet(DynaMag(商標)15)を使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、MILが計数される。
[00188] MIL方法3.本発明の一実施形態において、方法は、骨髄からPBMCを入手することを含む。0日目に、CD3+/CD33+/CD20+/CD14+についてPBMCが選択され、選別され、非CD3+/CD33+/CD20+/CD14+細胞画分が超音波処理され、超音波処理された細胞画分の一部が選択された細胞画分に戻される。IL−2を3000IU/mlで細胞培養物に添加する。3日目に、PBMCを1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。11日目に、IL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。14日目にMILを回収し、ビーズを取り出し、任意選択によりMILを計数し、フェノタイピングする。
[00189] 本発明の一実施形態において、MIL方法3は、以下のように実施される:0日目に、選別方法によってCD45hiCD3+細胞(免疫細胞画分)についてPBMCが選択され、CD45lowCD3−画分(AML芽細胞画分)が超音波処理され、超音波処理された細胞画分の一部が選択された細胞画分に戻される。IL−2を3000IU/mlで細胞培養物に添加する。3日目に、PBMCを1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))及び3000IU/mlのIL−2と共に培養する。4日目に、追加のIL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。7日目に、培養物を再び1:1の比率(ビーズ:細胞)の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))で刺激し、3000IU/mlの追加のIL−2を培養物に添加する。11日目に、IL−2を3000IU/mlで培養物に添加する。14日目にMILを回収し、ビーズを取り出し、任意選択によりMILを計数し、フェノタイピングする。
[00190] 本発明の一実施形態において、MIL方法3は、以下のように実施される:0日目に、凍結保存されたPBMCのサンプルが解凍され、PBMCが計数される。細胞をCD3、CD33、CD20及びCD14抗体で染色し、S3e細胞選別(Bio-Rad)を使用して選別する。細胞は、免疫細胞画分(又はMIL画分)(CD3+CD33+CD20+CD14+)とAML芽細胞画分(非CD3+CD33+CD20+CD14+)の2つの画分に選別される。Grex 24ウェルプレートに播種される免疫細胞画分(又はMIL画分)からの細胞数とほぼ等しいAML芽細胞画分からの細胞数を、100ulの培地に懸濁し、超音波処理する。この例では、AML芽細胞画分から約2.8×104〜約3.38×105個の細胞を取り、100ulのCM2培地に懸濁し、30秒間超音波処理する。超音波処理したAML芽細胞画分の100ulをGrex 24ウェルプレートの免疫細胞画分に添加する。免疫細胞は、6000IU/mlのIL−2の存在下、1ウェルあたり約8mlのCM−2細胞培養培地中に、1ウェルあたり約2.8×104〜約3.38×105個の細胞の量で存在し、AML芽細胞画分の一部と共に約3日間培養される。3日目に、1:1の比率の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))を各ウェルに加え、約1日間培養する。4日目に、細胞培養培地を、3000IU/mlの追加のIL−2を添加したAIM−Vと交換する。7日目に、拡大培養したMILを計数する。1ウェルあたり約1.5×105〜4×105個の細胞を新しいGRex 24ウェルプレートに移し、3000IU/mlのIL−2の存在下、1ウェルあたり約8mlのAIM−V培地中、1:1の比率の抗CD3/抗CD28抗体(DynaBeads(登録商標))と共に培養する。11日目に、細胞培養培地を、AIM−VからCM−4(3000IU/mlのIL−2を補充)に交換する。14日目に、DynaMag Magnet(DynaMag(商標)15)を使用してDynaBeads(登録商標)が取り出され、任意選択によりMILが計数される。
[00191] 本発明の一実施形態において、PBMCは骨髄から入手される。一実施形態において、PBMCは、アフェレーシス、吸引、針生検又は当技術分野で公知の他の同様の手段を通じて骨髄から入手される。一実施形態において、PBMCは新鮮である。別の実施形態において、PBMCは凍結保存されている。
[00192] 本発明の一実施形態において、方法は、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間、約12日間、約13日間又は約14日間にわたって実施される。別の実施形態において、方法は、約7日間にわたって実施される。別の実施形態において、方法は、約14日間にわたって実施される。
[00193] 本発明の一実施形態において、PBMCは抗CD3/抗CD28抗体と共に培養される。一実施形態において、任意の利用可能な抗CD3/抗CD28製品が本発明において有用である。本発明の一実施形態において、使用される市販の製品はDynaBeads(登録商標)である。一実施形態において、DynaBeads(登録商標)は、1:1の比率(ビーズ:細胞)のPBMCと共に培養される。別の実施形態において、抗体は、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1の比率(ビーズ:細胞)でPBMCと共に培養されたDynaBeads(登録商標)である。前述の実施形態のいずれにおいても、免疫細胞画分(又はMIL画分)(CD3+CD33+CD20+CD14+)又はAML芽細胞画分(非CD3+CD33+CD20+CD14+)の磁気ビーズベースの選択が使用される。本発明の一実施形態において、抗体培養ステップ及び/又は抗体で細胞を再刺激するステップは、約2〜約6日間、約3〜約5日間又は約4日間の期間にわたって実施される。本発明の一実施形態において、抗体培養ステップは、約2日、3日、4日、5日又は6日の期間にわたって実施される。
[00194] 本発明の一実施形態において、AML芽細胞画分からの細胞数と免疫細胞画分(又はMIL画分)からの細胞数の比率は、約0.1:1〜約10:1である。別の実施形態において、比率は約0.1:1〜約5:1、約0.1:1〜約2:1又は約1:1である。本発明の一実施形態において、AML芽細胞画分は、細胞凝集を破壊するために、任意選択により破砕される。一実施形態において、AML芽細胞画分は、超音波処理、均質化、細胞溶解、ボルテックス又は振動を使用して破砕される。別の実施形態において、AML芽細胞画分は、超音波処理を使用して破砕される。本発明の一実施形態において、非CD3+、非CD33+、非CD20+、非CD14+細胞画分(AML芽球画分)は、高温溶解、化学溶解(有機アルコールなど)、酵素溶解及び当技術分野で公知の他の細胞溶解方法を含む適切な溶解方法を使用して溶解される。
[00195] 本発明の一実施形態において、AML芽細胞画分からの細胞は、100uLあたり約0.2×105〜約2×105個の細胞の濃度で懸濁され、免疫細胞画分と共に細胞培養物に添加される。別の実施形態において、濃度は、100uLあたり約0.5×105〜約2×105個の細胞、100uLあたり約0.7×105〜約2×105個の細胞、100uLあたり約1×105〜約2×105個の細胞又は100uLあたり約1.5×105〜約2×105個の細胞である。
[00196] 一実施形態において、PBMCサンプルはIL−2と共に培養される。本発明の一実施形態において、MILの拡大培養に使用される細胞培養培地は、約100IU/mL、約200IU/mL、約300IU/mL、約400IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約500IU/mL、約600IU/mL、約700IU/mL、約800IU/mL、約900IU/mL、約1,000IU/mL、約1,100IU/mL、約1,200IU/mL、約1,300IU/mL、約1,400IU/mL、約1,500IU/mL、約1,600IU/mL、約1,700IU/mL、約1,800IU/mL、約1,900IU/mL、約2,000IU/mL、約2,100IU/mL、約2,200IU/mL、約2,300IU/mL、約2,400IU/mL、約2,500IU/mL、約2,600IU/mL、約2,700IU/mL、約2,800IU/mL、約2,900IU/mL、約3,000IU/mL、約3,100IU/mL、約3,200IU/mL、約3,300IU/mL、約3,400IU/mL、約3,500IU/mL、約3,600IU/mL、約3,700IU/mL、約3,800IU/mL、約3,900IU/mL、約4,000IU/mL、約4,100IU/mL、約4,200IU/mL、約4,300IU/mL、約4,400IU/mL、約4,500IU/mL、約4,600IU/mL、約4,700IU/mL、約4,800IU/mL、約4,900IU/mL、約5,000IU/mL、約5,100IU/mL、約5,200IU/mL、約5,300IU/mL、約5,400IU/mL、約5,500IU/mL、約5,600IU/mL、約5,700IU/mL、約5,800IU/mL、約5,900IU/mL、約6,000IU/mL、約6,500IU/mL、約7,000IU/mL、約7,500IU/mL、約8,000IU/mL、約8,500IU/mL、約9,000IU/mL、約9,500IU/mL及び約10,000IU/mLからなる群から選択される濃度のIL−2を含む。
[00197] 本発明の一実施形態において、追加のIL−2は、方法全体を通して1日以上培養物に添加され得る。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は4日目に追加される。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は7日目に追加される。本発明の一実施形態において、追加のIL−2は11日目に追加される。別の実施形態において、追加のIL−2は4日目、7日目及び/又は11日目に追加される。本発明の一実施形態において、MILは、追加のIL−2と共に、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間又は14日間、培養される。本発明の一実施形態において、MILは、IL−2の各添加後3日間の期間にわたって培養される。
[00198] 一実施形態において、細胞培養培地は、方法中に少なくとも一度交換される。一実施形態において、細胞培養培地は、追加のIL−2が加えられるのと同時に交換される。別の実施形態において、細胞培養培地は、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目又は14日目の少なくとも1つで交換される。本発明の一実施形態において、方法全体で使用される細胞培養培地は、同じであるか又は異なり得る。本発明の一実施形態において、細胞培養培地は、CM−2、CM−4又はAIM−Vである。本発明の一実施形態において、11日目の細胞培養培地交換ステップは任意選択による。本発明の一実施形態において、拡大培養プロセスのためのPBMCの開始細胞数は、約25,000〜約1,000,000、約30,000〜約900,000、約35,000〜約850,000、約40、000〜約800,000、約45,000〜約800,000、約50,000〜約750,000、約55,000〜約700,000、約60,000〜約650,000、約65,000〜約600,000、約70,000〜約550,000、好ましくは、約75,000〜約500,000、約80,000〜約450,000、約85,000〜約400,000、約90,000〜約350,000、約95,000〜約300,000、約100,000〜約250,000、約105,000〜約200,000又は約110,000〜約150,000である。本発明の一実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約138,000、140,000、145,000又はそれを超える数である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約28,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約62,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約338,000である。別の実施形態において、PBMCの開始細胞数は、約336,000である。
[00199] 本発明の一実施形態において、MILの拡大倍数は、約20%〜約100%、25%〜約95%、30%〜約90%、35%〜約85%、40%〜約80%、45%〜約75%、50%〜約100%又は25%〜約75%である。本発明の一実施形態において、拡大倍数は約25%である。本発明の別の実施形態において、拡大倍数は約50%である。別の実施形態において、拡大倍数は約75%である。
[00200] 本発明の一実施形態において、MILは、10〜50mlの骨髄吸引液から拡大培養される。本発明の一実施形態において、10mlの骨髄吸引液が患者から入手される。別の実施形態において、20mlの骨髄吸引液が患者から入手される。別の実施形態において、30mlの骨髄吸引液が患者から入手される。別の実施形態において、40mlの骨髄吸引液が患者から入手される。別の実施形態において、50mlの骨髄吸引液が患者から入手される。
[00201] 本発明の一実施形態において、約10〜50mlの骨髄吸引液から得られるPBMCの数は、約5×107〜約10×107個のPBMCである。別の実施形態において、得られるPMBCの数は、約7×107個のPBMCである。
[00202] 本発明の一実施形態において、約5×107〜約10×107個のPBMCから、約0.5×106〜約1.5×106個の拡大培養開始細胞材料が得られる。本発明の一実施形態において、約1×106個の拡大培養開始細胞材料が得られる。
[00203] 本発明の一実施形態において、拡大培養期間の終わりに回収されるMILの総数は、約0.01×109〜約1×109個、約0.05×109〜約0.9×109個、約0.1×109〜約0.85×109個、約0.15×109〜約0.7×109個、約0.2×109〜約0.65×109個、約0.25×109〜約0.6×109個、約0.3×109〜約0.55×109個、約0.35×109〜約0.5×109個又は約0.4×109〜約0.45×109個である。
[00204] 本発明の一実施形態において、骨髄吸引液に由来する12×106個のPBMCは、およそ1.4×105個の開始細胞材料を生成し、これは拡大培養プロセスの終わりに約1.1×107個のMILを生成する。
[00205] 本発明の一実施形態において、上記のMIL方法3を使用して骨髄PBMCから拡大培養されたMILは、MIL方法1又はMIL方法2を使用して拡大培養されたMILと比較して、高い割合のCD8+細胞及びより少ない数のLAG3+及びPD1+細胞を含む。本発明の一実施形態において、上記のMIL方法3を使用して血液PBMCから拡大培養されたPBLは、MIL方法1又はMIL方法2を使用して拡大培養されたPBLと比較して、高い割合のCD8+細胞及び増加したレベルのIFNγ産生を含む。
[00206] 本発明の一実施形態において、急性骨髄性白血病(AML)を有する患者に有用なMILの臨床用量は、約4×108〜約2.5×109個のMILの範囲内である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、9.5×108個のMILである。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、4.1×108個である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、2.2×109個である。
[00207] 前述の実施形態のいずれにおいても、PBMCは、全血サンプルから、骨髄から、アフェレーシスにより、バフィーコートから、又はPBMCを入手するための当技術分野で公知の任意の他の方法から得られ得る。
「2Aプロセス」を使用したTILの拡大培養方法
[00208] 本発明の一実施形態において、本発明は、骨髄及び/又は末梢血に由来するT細胞を拡大培養するための装置及び方法を提供する。本発明の一実施形態において、T細胞は、ポリクローナルであるが高度に腫瘍特異的な様式で、骨髄微小環境からの高められた腫瘍特異性を有する。一実施形態において、骨髄微小環境は、T細胞を維持及び拡大培養するために使用される。本発明の一実施形態において、7日間又は14日間の拡大培養プロセスで、TILのおよそ25〜100倍の拡大倍数がある。一実施形態において、TILの拡大倍数は約30〜90倍である。一実施形態において、拡大倍数は約35〜85倍である。一実施形態において、拡大倍数は約40〜80倍である。一実施形態において、拡大倍数は約45〜75倍である。別の実施形態において、拡大倍数は約40〜70倍である。別の実施形態において、拡大倍数は約45〜65倍である。別の実施形態において、拡大倍数は、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍及び50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍又は約100倍の拡大倍数である。
[00209] 本発明の一実施形態において、T細胞製造プロセスは、腫瘍特異性を選択するためのいかなる介入も必要としない。本発明の一実施形態において、T細胞製造プロセスは、T細胞拡大培養時に骨髄及び/又は末梢血中に腫瘍が存在することを要しない。一実施形態において、T細胞は、ほぼ完全な骨髄の存在下で拡大培養される。
[00210] 一実施形態において、本発明は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2010/062742号に記載の実施例、特に実施例21に記載の骨髄及び/又は末梢血からT細胞を抽出する方法を提供する。一実施形態において、本発明は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Noonan, et al., 2005, Cancer Res. 65:2026-2034に記載されるように、骨髄及び/又は末梢血からT細胞を抽出する方法を提供する。
[00211] 一実施形態において、当業者に知られている骨髄及び/又は末梢血を入手するための方法は、本発明において有用である。本発明の一実施形態において、骨髄及び/又は末梢血は、針吸引を使用して入手される。本発明の一実施形態において、患者からの骨髄がヘパリン含有シリンジに吸引され、室温で一晩保存される。本発明の一実施形態において、保存後、シリンジの内容物を一緒に滅菌容器にプールし、品質を試験する。骨髄は、リンパ球分離培地(LSM)及びCOBE Spectraによる遠心分離を使用して、単核細胞(MNC)が濃縮されている。勾配内の細胞は赤血球まで収集され、HBSSを使用して洗浄される。MNCは、2% HSA及び5% DMSOが添加されたヘタスターチ系凍結保護剤を使用して凍結保存され、品質管理のためにMNCの一部が確保されている。QCバイアルを解凍して、MNC製品のCD3+及びCD38+/138+の細胞含有量を測定する。骨髄の収集が本発明を限定するものではないことに留意することが重要である。
[00212] 本発明の一実施形態において、骨髄を吸引及びリンパ球分離培地密度勾配で分画し、細胞をほぼ赤血球ペレットのレベルまで収集する。一実施形態において、この分画法は、赤血球及び好中球を実質的に除去し、ほぼ完全な骨髄を提供する。一実施形態において、結果として生じる分画された材料は、T細胞及び腫瘍細胞である。本発明の一実施形態において、方法は、T細胞特異的分離ステップなし及び腫瘍細胞分離ステップなしで、例えば抗体又は他の細胞タイプ特異的検出可能標識でT細胞を標識することなく、且つ蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用した選別なしで、実施され得る。
[00213] 本発明の一実施形態において、入手した骨髄がフィコールされるか、又は末梢血が200μL/ウェルのAIM−V培地中に、1×106個の細胞/mLで、無血清条件で懸濁される。
[00214] 本発明の一実施形態において、骨髄は完全寛解にない対象から収集される。本発明の一実施形態において、骨髄は完全寛解にある対象から収集される。
[00215] 本発明の一実施形態において、骨髄を入手し、凍結し得る。一実施形態において、骨髄を入手し、直ちに使用してT細胞を抽出し得る。
[00216] 更なる実施形態において且つ上記のいずれかに従って、本発明は、TILを拡大培養する方法であって、方法が、液性腫瘍から入手した少なくとも1つのTILを含むTILの集団を接触させることを含む、方法を提供する。本明細書におけるTILの拡大培養に関する全ての議論は、骨髄、末梢血及び/又は液性腫瘍を含む血液悪性腫瘍から入手したTILの拡大培養に適用可能である。
[00217] 一実施形態において、本発明は、癌から入手した腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を調製するためのプロセスであって、
(a)TILの第1の集団を含む断片化した腫瘍を第1の細胞培養培地と接触させるステップ;
(b)第1の細胞培養培地中でTILの第1の集団の初期拡大培養(プレREP)を行ってTILの第2の集団を入手するステップであって、TILの第2の集団の数は、TILの第1の集団よりも少なくとも5倍多く、第1の細胞培養培地は、IL−2を含む、ステップ;
(c)第2の細胞培養培地中でTILの第2の集団の第2の拡大培養を行ってTILの第3の集団を入手するステップであって、第2の拡大培養の開始から7日後にTILの第3の集団の数は、TILの第2の集団よりも少なくとも50倍多く、第2の細胞培養培地は、IL−2、OKT−3(抗CD3抗体)及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)を含み、第2の拡大培養は、14日以下の期間にわたって行われる、ステップ;
(d)TILの第3の集団を回収するステップ
を含み、腫瘍は、液性腫瘍であり、癌は、血液悪性腫瘍である、プロセスを提供する。
[00218] 一実施形態において、本発明は、第1のプレ急速拡大培養(プレREP)プロセス、次いで第2の拡大培養プロセス(急速拡大培養プロセス−REPであり得る)を含む、TILの集団を拡大培養させるためのプロセスであって、拡大培養に使用される細胞培養培地は、100IU/mL〜10,000IU/mL、200IU/mL〜5,000IU/mL、300IU/mL〜4,800IU/mL、400IU/mL〜4,600IU/mL、500IU/mL〜4,400IU/mL、600IU/mL〜4,200IU/mL、700IU/mL〜4,000IU/mL、800IU/mL〜3,800IU/mL、900IU/mL〜3,600IU/mL、1,000IU/mL〜3,400IU/mL、1,100IU/mL〜3,200IU/mL、1,200IU/mL〜3,000IU/mL、1,300IU/mL〜2,800IU/mL、1,400IU/mL〜2,600IU/mL、1,500IU/mL〜2,400IU/mL、1,600IU/mL〜2,200IU/mL、1,700IU/mL〜2,000IU/mL、5,500IU/mL〜9,500IU/mL、6,000IU/mL〜9,000IU/mL、6500IU/mL〜8,500IU/mL、7,000IU/mL〜8,000IU/mL及び7,500IU/mL〜8,000IU/mLからなる群から選択される濃度のIL−2を含む、プロセスを提供する。
[00219] 一実施形態において、本発明は、プレ急速拡大培養(プレREP)プロセス及び急速拡大培養プロセス(REP)を含む、TILの集団を拡大培養させるためのプロセスであって、拡大培養に使用される細胞培養培地は、約100IU/mL、約200IU/mL、約300IU/mL、約400IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約100IU/mL、約500IU/mL、約600IU/mL、約700IU/mL、約800IU/mL、約900IU/mL、約1,000IU/mL、約1,100IU/mL、約1,200IU/mL、約1,300IU/mL、約1,400IU/mL、約1,500IU/mL、約1,600IU/mL、約1,700IU/mL、約1,800IU/mL、約1,900IU/mL、約2,000IU/mL、約2,100IU/mL、約2,200IU/mL、約2,300IU/mL、約2,400IU/mL、約2,500IU/mL、約2,600IU/mL、約2,700IU/mL、約2,800IU/mL、約2,900IU/mL、約3,000IU/mL、約3,100IU/mL、約3,200IU/mL、約3,300IU/mL、約3,400IU/mL、約3,500IU/mL、約3,600IU/mL、約3,700IU/mL、約3,800IU/mL、約3,900IU/mL、約4,000IU/mL、約4,100IU/mL、約4,200IU/mL、約4,300IU/mL、約4,400IU/mL、約4,500IU/mL、約4,600IU/mL、約4,700IU/mL、約4,800IU/mL、約4,900IU/mL、約5,000IU/mL、約5,100IU/mL、約5,200IU/mL、約5,300IU/mL、約5,400IU/mL、約5,500IU/mL、約5,600IU/mL、約5,700IU/mL、約5,800IU/mL、約5,900IU/mL、約6,000IU/mL、約6,500IU/mL、約7,000IU/mL、約7,500IU/mL、約8,000IU/mL、約8,500IU/mL、約9,000IU/mL、約9,500IU/mL及び約10,000IU/mLからなる群から選択される濃度のIL−2を含む、プロセスを提供する。
[00220] 一実施形態において、本発明は、プレ急速拡大培養(プレREP)プロセスを含む、TILの集団を拡大培養させるためのプロセスを提供する。一実施形態において、本発明は、TILの集団を拡大培養させるプレREPプロセスであって、液性腫瘍から入手したTILの集団を細胞培養培地と接触させるステップを含み、細胞培養培地は、初期濃度1000IU/mL〜6000IU/mLのIL−2を更に含む、プレREPプロセスを提供する。
[00221] 一実施形態において、本発明は、TILの集団を拡大培養するためのプレREPプロセスであって、液性腫瘍から入手したTILの集団を細胞培養培地と接触させるステップを含み、細胞培養培地は、初期濃度約6000IU/mLのIL−2を更に含む、プレREPプロセスを提供する。
[00222] 一実施形態において、REPは、任意の適切な方法によって本開示による液性腫瘍から入手したTILを使用して、ガス透過性容器内で実施することができる。例えば、TILは、インターロイキン−2(IL−2)又はインターロイキン−15(IL−15)の存在下での非特異的T細胞受容体刺激を用いて急速に拡大培養することができる。非特異的T細胞受容体刺激は、例えば、約30ng/mLのOKT−3、モノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Auburn, CAから市販)を含み得る。TILは、任意選択により300IU/mLのIL−2又はIL−15などのT細胞成長因子の存在下において、任意選択によりヒト白血球抗原A2(HLA−A2)結合ペプチド、例えば0.3μM MART−1:26−35(27L)又はgpl 00:209−217(210M)などのベクターから発現させることができる、癌のエピトープなどのその抗原部分を含む1つ以上の抗原を用いてインビトロでTILを更に刺激することによって急速拡大培養させることができる。他の適切な抗原としては、例えば、NY−ESO−1、TRP−1、TRP−2、チロシナーゼ癌抗原、MAGE−A3、SSX−2及びVEGFR2又はそれらの抗原部分が挙げられ得る。TILは、HLA−A2発現抗原提示細胞にパルスした癌の同じ抗原による再刺激によっても急速に拡大培養し得る。代わりに、TILは、例えば、例として照射自己リンパ球によるか、又は照射HLA−A2+同種異系リンパ球及びIL−2によって更に再刺激することができる。
[00223] 一実施形態において、TILを拡大培養させるための方法は、約5000mL〜約25000mLの細胞培養培地、約5000mL〜約10000mLの細胞培養培地又は約5800mL〜約8700mLの細胞培養培地を使用することを含み得る。一実施形態において、TILを拡大培養させるための方法は、約1000mL〜約2000mLの細胞培地、約2000mL〜約3000mLの細胞培養培地、約3000mL〜約4000mLの細胞培養培地、約4000mL〜約5000mLの細胞培養培地、約5000mL〜約6000mLの細胞培養培地、約6000mL〜約7000mLの細胞培養培地、約7000mL〜約8000mLの細胞培養培地、約8000mL〜約9000mLの細胞培養培地、約9000mL〜約10000mLの細胞培養培地、約10000mL〜約15000mLの細胞培養培地、約15000mL〜約20000mLの細胞培養培地又は約20000mL〜約25000mLの細胞培養培地を使用することを含み得る。一実施形態において、TILの数を拡大するには、1種類以下の細胞培養培地を使用する。任意の適切な細胞培養培地、例えばAIM−V細胞培地(L−グルタミン、50μM硫酸ストレプトマイシン及び10μM硫酸ゲンタマイシン)の細胞培養培地(Invitrogen, Carlsbad CA)が使用され得る。これに関して、本発明の方法は、TILの数を拡大するために必要とされる培地の量及び培地の種類の数を有利に減少させる。一実施形態において、TILの数を拡大することは、3日又は4日に1回以下の頻度で細胞にフィードすることを含み得る。ガス透過性容器内の細胞数を増やすことは、細胞を拡大培養するのに必要なフィード頻度を減らすことによって細胞数を増やすのに必要な手順を単純化する。
[00224] 一実施形態において、第2の拡大培養は、ガス透過性容器を使用して行われる。そのような実施形態は、細胞集団が約5×105個の細胞/cm2から10×106〜30×106個の細胞/cm2に拡大培養することを可能にする。一実施形態において、この拡大培養はフィードなしで発生する。一実施形態において、この拡大培養は、培地がガス透過性フラスコ内で約10cmの高さにある限り、フィードなしで発生する。一実施形態において、これは、フィードなしであるが、1つ以上のサイトカインの添加を伴う。一実施形態において、サイトカインを培地と混合する必要なく、サイトカインをボーラスとして添加することができる。そのような容器、装置及び方法は、当技術分野において公知であり、TILの拡大培養に使用されており、米国特許出願公開第2014/0377739A1号、国際公開第2014/210036A1号、米国特許出願公開第2013/0115617A1号、国際公開第2013/188427A1号、米国特許出願公開第2011/0136228A1号、米国特許第8,809,050号、国際公開第2011/072088A2号、米国特許出願公開第2016/0208216A1号、米国特許出願公開第2012/0244133A1号、国際公開第2012/129201A1号、米国特許出願公開第2013/0102075A1号、米国特許第8,956,860号、国際公開第2013/173835A1号及び米国特許出願公開第2015/0175966A1号に記載されているものを含み、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そのようなプロセスは、Jin, et al., J. Immunotherapy 2012, 35, 283-292にも記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00225] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 10フラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、10cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、40mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、2回の培地交換後に、1億〜3億個のTILを提供する。
[00226] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 100フラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、100cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、450mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、2回の培地交換後に、10億〜30億個のTILを提供する。
[00227] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 100Mフラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、100cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、1000mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、培地交換なしで10億〜30億個のTILを提供する。
[00228] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 100Lフラスコ(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、100cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、2000mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、培地交換なしで10億〜30億個のTILを提供する。
[00229] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 24ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、ウェルを有するプレートを含み、各ウェルは、2cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、ウェルを有するプレートを含み、各ウェルは、8mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、2回の培地交換後に、1ウェルあたり2000万〜6000万個の細胞を提供する。
[00230] 一実施形態において、ガス透過性容器は、G-Rex 6ウェルプレート(Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USA)である。一実施形態において、ガス透過性容器は、ウェルを有するプレートを含み、各ウェルは、10cm2のガス透過性培養表面を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、ウェルを有するプレートを含み、各ウェルは、40mLの細胞培養培地容量を含む。一実施形態において、ガス透過性容器は、2回の培地交換後に、1ウェルあたり1億〜3億個の細胞を提供する。
[00231] 一実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地は濾過されていない。濾過されていない細胞培地の使用は、細胞数を拡大培養させるために必要な手順を単純化し得る。一実施形態において、第1及び/又は第2のガス透過性容器内の細胞培地は、ベータ−メルカプトエタノール(BME)を欠いている。
[00232] 一実施形態において、哺乳類から腫瘍組織サンプルを入手すること;細胞培地が中に入った第1のガス透過性容器内で腫瘍組織サンプルを培養すること;腫瘍組織サンプルからTILを入手すること;細胞培地が中に入った第2のガス透過性容器内でTIL数を、約14〜約42日間、例えば約28日間拡大することを含む、本方法の所要期間である。
[00233] 一実施形態において、細胞培養培地は、IL−2を含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は、約3000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL又は約8000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、1000〜2000IU/mL、2000〜3000IU/mL、3000〜4000IU/mL、4000〜5000IU/mL、5000〜6000IU/mL、6000〜7000IU/mL、7000〜8000IU/mL又は8000IU/mLのIL−2を含む。
[00234] 一実施形態において、細胞培養培地は、OKT−3抗体を含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は、約30ng/mLのOKT−3抗体を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL及び約1μg/mLのOKT−3抗体を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、0.1ng/mL〜1ng/mL、1ng/mL〜5ng/mL、5ng/mL〜10ng/mL、10ng/mL〜20ng/mL、20ng/mL〜30ng/mL、30ng/mL〜40ng/mL、40ng/mL〜50ng/mL及び50ng/mL〜100ng/mLのOKT−3抗体を含む。
[00235] 一実施形態において、TILはガス透過性容器内で拡大培養する。米国特許出願公開第2005/0106717A1号に記載されているものを含む、当技術分野で公知の方法、組成物及び装置を使用して、PBMCを使用してTILを拡大培養するために、ガス透過性容器が使用されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TILはガス透過性バッグ内で拡大培養する。一実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W25(GE Healthcare)など、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。一実施形態において、TILは、Xuri Cell Expansion System W5(GE Healthcare)としても知られるWAVE Bioreactor Systemなど、ガス透過性バッグ内でTILを拡大培養する細胞拡大培養システムを使用して拡大培養される。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、約500mL、約600mL、約700mL、約800mL、約900mL、約1L、約2L、約3L、約4L、約5L、約6L、約7L、約8L、約9L、約10L、約11L、約12L、約13L、約14L、約15L、約16L、約17L、約18L、約19L、約20L、約25L及び約30Lからなる群から選択される容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、50〜150mL、150〜250mL、250〜350mL、350〜450mL、450〜550mL、550〜650mL、650〜750mL、750〜850mL、850〜950mL及び950〜1050mLからなる群から選択される範囲の容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、1L〜2L、2L〜3L、3L〜4L、4L〜5L、5L〜6L、6L〜7L、7L〜8L、8L〜9L、9L〜10L、10L〜11L、11L〜12L、12L〜13L、13L〜14L、14L〜15L、15L〜16L、16L〜17L、17L〜18L、18L〜19L及び19L〜20Lからなる群から選択される範囲の容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、0.5L〜5L、5L〜10L、10L〜15L、15L〜20L、20L〜25L及び25L〜30Lからなる群から選択される範囲の容積を有するガス透過性細胞バッグを含む。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約24時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日及び約28日の揺動時間を用いる。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、30分〜1時間、1時間〜12時間、12時間〜1日、1日〜7日、7日〜14日、14日〜21日及び21日〜28日の揺動時間を用いる。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、約2揺動/分、約5揺動/分、約10揺動/分、約20揺動/分、約30揺動/分及び約40揺動/分の揺動速度を用いる。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、2揺動/分〜5揺動/分、5揺動/分〜10揺動/分、10揺動/分〜20揺動/分、20揺動/分〜30揺動/分及び30揺動/分〜40揺動/分の揺動速度を用いる。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、約2°、約3°、約4°、約5°、約6°、約7°、約8°、約9°、約10°、約11°及び約12°の揺動角を用いる。一実施形態において、細胞拡大培養システムは、2°〜3°、3°〜4°、4°〜5°、5°〜6°、6°〜7°、7°〜8°、8°〜9°、9°〜10°、10°〜11°及び11°〜12°の揺動角を用いる。
[00236] 一実施形態において、液性腫瘍から入手したTILを拡大培養する方法は、TILが優れた腫瘍反応性について選択されるステップを更に含む。当技術分野で公知の任意の選択方法が使用され得る。例えば、米国特許出願公開第2016/0010058A1号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法が、優れた腫瘍応答性に関するTILの選択に用いられ得る。
[00237] 一実施形態において、本発明は、液性腫瘍からTILの集団を拡大培養する方法を提供し、この方法は、Jin, et al., J. Immunotherapy 2012, 35, 283-292に記載されているようなステップを含み、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、腫瘍又はその一部を酵素培地に入れ、およそ1分間機械的に分離させ得る。次いで、混合物を5% CO2中37℃で30分間インキュベートし、次いでおよそ1分間再び機械的に破砕し得る。5% CO2中、37℃で30分間インキュベートした後、腫瘍又はその一部を、3回目におよそ1分間機械的に破砕し得る。3回目の機械的破砕後、大きい組織片が存在する場合、5% CO2中、37℃で更に30分のインキュベーションを伴って又は伴わず、1回又は2回の更なる機械的分離をサンプルに適用し得る。最終インキュベーションの終わりに、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有する場合、これらの細胞を除去するためにフィコールを用いた密度勾配分離を行うことができる。TIL培養は、24ウェルプレート(Costar 24ウェル細胞培養クラスター、平底;Corning Incorporated, Corning, NY)で開始され、各ウェルに、IL−2(6000IU/mL;Chiron Corp., Emeryville, CA)を含む2mLの完全培地(CM)中、1×106個の腫瘍消化細胞又はおよそ1〜8mm3のサイズの1つの腫瘍断片が播種され得る。CMは、10%ヒトAB血清、25mM Hepes及び10mg/mLゲンタマイシンを添加した、GlutaMAXを含むRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640緩衝液を含む。培養は、40mL容量及び10cm2のガス透過性シリコン底を有するガス透過性フラスコ(G-Rex 10;Wilson Wolf Manufacturing, New Brighton内で開始され得、各フラスコに、IL−2を含む10〜40mLのCM中、10〜40×106個の生存可能な腫瘍消化細胞又は5〜30個の腫瘍断片が充填され得る。G-Rex 10及び24ウェルプレートは、5% CO2中37℃で、加湿インキュベーター内でインキュベートされ得、培養開始の5日後、培地の半分は、取り出され、新鮮なCM及びIL−2と交換され得、5日目の後、培地の半分は、2〜3日ごとに交換され得る。本開示の液性腫瘍から入手したTILを使用して、本明細書の他の箇所に記載されるように、T-175フラスコ及びガス透過性バッグ又はガス透過性G-Rexフラスコを使用して、TILの第2の拡大培養プロトコル(REP)が行われ得る。T-175フラスコ中のREPでは、1×106個のTILが各フラスコ中の150mLの培地に懸濁され得る。TILは、3000IU/mLのIL−2及び30ng/mLの抗CD3抗体(OKT−3)を添加したCM及びAIM−V培地(50/50培地)の1対1の混合物で培養し得る。T-175フラスコは、5% CO2中37℃でインキュベートされ得る。培地の半分は、5日目に、3000IU/mLのIL−2を含む50/50培地を用いて交換され得る。7日目に、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグ中で混合し、5%ヒトAB血清を含む300mLのAIM−V及び3000IU/mLのIL−2を300mLのTIL懸濁液に添加し得る。各バッグ中の細胞数を毎日又は隔日で計数し得、新鮮な培地を添加して細胞数を0.5〜2.0×106個の細胞/mLに保ち得る。100cm2のガス透過性シリコン底を有する500mL容量のフラスコ(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように、G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing)中のREPでは、5×106又は10×106個のTILは、3000IU/mLのIL−2及び30ng/mLの抗CD3抗体(OKT−3)を添加した、400mLの50/50培地中で培養され得る。G-Rex 100フラスコは5% CO2下37℃でインキュベートし得る。5日目に、250mLの上清を取り出して遠心分離ボトルに入れ、1500rpm(491g)で10分間遠心分離し得る。入手したTILペレットを3000IU/mLのIL−2を含む150mLの新鮮な50/50培地に再懸濁し、G-Rex 100フラスコに戻し添加し得る。TILをG-Rex 100フラスコ中で連続的に拡大培養する場合、7日目に各G-Rex 100中のTILは各フラスコに存在する300mLの培地に懸濁され、細胞懸濁液は、3つのG-Rex 100フラスコに接種するために使用され得る、3つの100mLアリコートに分割され得る。次いで、5%ヒトAB血清を含む約150mLのAIM−V及び1mLあたり3000UI/mLのIL−2を各フラスコに添加し得る。次いで、G-Rex 100フラスコを5% CO2中37℃でインキュベートし、4日後に、3000IU/mLのIL−2を有する150mLのAIM−Vを各G-Rex 100フラスコに加え得る。この後、培養14日目に細胞を回収することにより、REPが完了され得る。
[00238] 一実施形態において、癌を拡大培養又は処置する方法は、TILが患者の腫瘍サンプルから入手されるステップを含む。患者の腫瘍サンプルは、当技術分野において公知の方法を使用して入手され得る。例えば、TILは、酵素的腫瘍消化物及び鋭的切開による腫瘍断片(サイズ約1〜約8mm3)から培養され得る。そのような腫瘍消化物は、酵素培地(例えば、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640緩衝液、2mMグルタメート、10mcg/mLゲンタマイシン、30単位/mLのDNase及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ)中でのインキュベーション、続いて機械的分離(例えば、組織分離剤を使用)によって産生され得る。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素培地中に置き、腫瘍をおよそ1分間機械的に分離した後、続いて5% CO2下37℃で30分間インキュベートし、続いてごく小さい組織のみが存在するまで前述の条件下で機械的分離及びインキュベーションのサイクルを繰り返すことにより作製され得る。このプロセスの終わりに、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有する場合、これらの細胞を除去するためにFICOLL分岐親水性多糖を用いた密度勾配分離を行うことができる。米国特許出願公開第2012/0244133A1号に記載されているものなど、当技術分野で公知の代替的方法を使用し得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の任意の方法は、TILを拡大培養する方法又は癌を処置する方法のために、本明細書に記載の任意の実施形態において使用され得る。
[00239] 一実施形態において、前述のように、T-175フラスコ及びガス透過性バッグを使用して(Tran, et al., J. Immunother.2008, 31, 742-51;Dudley, et al., J. Immunother.2003, 26, 332-42)又はガス透過性培養器具(G-Rexフラスコ、Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販)を使用して、TILの第2の/REP拡大培養プロセスが実施され得る。T-175フラスコ中のTIL拡大培養では、150mLの培地中に懸濁した1×106個のTILが各T-175フラスコに添加され得る。TILは、1mLあたり3000IU(国際単位)のIL−2及び抗CD3抗体(例えば、OKT−3)の1mLあたり30ngを添加したCM及びAIM−V培地の1対1の混合物で培養し得る。T-175フラスコは、5% CO2中37℃でインキュベートされ得る。培地の半分は、5日目に、1mLあたり3000IUのIL−2を含む50/50培地を用いて交換され得る。7日目に、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグ中で混合し、5%ヒトAB血清を含む300mLのAIM V及び1mLあたり3000IUのIL−2を300mlのTIL懸濁液に添加した。各バッグ中の細胞数を毎日又は隔日で計数し、新鮮な培地を添加して細胞数を0.5〜2.0×106個の細胞/mLに保った。
[00240] 一実施形態において、100cm2のガス透過性シリコン底を有する500mL容量のガス透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販)中の第2の/REP TIL拡大培養では、5×106又は10×106個のTILは、5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL−2及び1mLあたり30ngの抗CD3(OKT−3)を添加した、400mLの50/50培地中で培養され得る。G-Rex 100フラスコは5% CO2下37℃でインキュベートし得る。5日目に、250mLの上清を取り出して遠心分離ボトルに入れ、1500rpm(毎分回転数;491×g)で10分間遠心分離し得る。TILペレットを、5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL−2を含む150mLの新鮮培地で再懸濁し、元のG-Rex 100フラスコに戻し添加し得る。TILをG-Rex 100フラスコ中で連続的に拡大培養する場合、7日目に各G-Rex 100フラスコ中のTILは各フラスコに存在する300mLの培地に懸濁され得、細胞懸濁液は、3つのG-Rex 100フラスコに接種するために使用され得る、3つの100mLアリコートに分割され得る。次に、5%ヒトAB血清及び1mLあたり3000IUのIL−2を含む150mLのAIM−Vを各フラスコに加え得る。G-Rex 100フラスコを5% CO2中37℃でインキュベートし、4日後に、1mLあたり3000IUのIL−2を有する150mLのAIM−Vを各G-Rex 100フラスコに加え得る。細胞は、培養14日目に回収され得る。
[00241] 一実施形態において、TILは以下のように調製され得る。2mm3の腫瘍断片を、2mMグルタミン(Mediatech, Inc. Manassas, VA)、100U/mLペニシリン(Invitrogen Life Technologies)、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen Life Technologies)、5%熱不活性化ヒトAB血清(Valley Biomedical, Inc. Winchester, VA)及び600IU/mL rhIL−2(Chiron, Emeryville, CA)を添加したAIM−V培地(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)を含む完全培地(CM)中で培養する。液性腫瘍の酵素的消化のために、腫瘍標本をさいの目に切りRPMI-1640へ入れ、洗浄し、15〜22℃で5分間、800rpmで遠心分離し、酵素的消化緩衝液(RPMI−1640中0.2mg/mLコラゲナーゼ及び30単位/mlのDNase)に再懸濁し、続いて室温で一晩回転させる。断片から作製されたTILをCM中で3〜4週間増殖させ、新鮮に拡大培養させるか、又は10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む熱不活性化HAB血清中で凍結保存し、研究時まで−180℃で保存し得る。腹水採取から入手した腫瘍関連リンパ球(TAL)をCM中24ウェルプレートの3×106個の細胞/ウェルで播種した。低倍率倒立顕微鏡を使用して、TILの増殖を隔日で検査した。
TIL製造プロセス(「2Aプロセス」)の例示的な実施形態
[00242] プロセス2Aとして知られる例示的なTIL製造/拡大培養プロセスは、図22に概略的に示されている。特定の態様において、本方法は、対象/患者への投与時に複製サイクルを増加させることができるTILを産生し、従って成熟TIL(即ち被験者/患者への投与前に更に多くの回数の複製を受けたTIL)を超える追加の治療上の利点を提供し得る。幼若TILの特徴が文献に記載されている。例えば、Donia, at al., Scandinavian Journal of Immunology, 75:157-167 (2012);Dudley et al., Clin Cancer Res, 16:6122-6131 (2010);Huang et al., J Immunother, 28(3):258-267 (2005);Besser et al., Clin Cancer Res, 19(17):OF1-OF9 (2013);Besser et al., J Immunother 32:415-423 (2009);Robbins, et al., J Immunol 2004;173:7125-7130;Shen et al., J Immunother, 30:123-129 (2007);Zhou, et al., J Immunother, 28:53-62 (2005);及びTran, et al., J Immunother, 31:742-751 (2008)であり、これらの全ては、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
[00243] 本明細書において考察される通り、本発明は、患者への移植前に凍結保存TILを再刺激することによりその代謝活性、従って相対的健康を増加させること及び前記代謝的健康の試験方法に関するステップを含み得る。一般的に本明細書に概説される通り、TILは、一般的に患者サンプルから採取し、操作することにより、患者への移植前にその数が拡大される。一部の実施形態において、TILは任意選択により、以下に考察する通り、遺伝的に操作され得る。
[00244] 一部の実施形態において、TILは凍結保存され得る。解凍後、TILは、患者への注入前に、その代謝を高めるために再刺激され得る。
[00245] 一部の実施形態において、以下並びに実施例及び図で詳細に考察する通り、第1の拡大培養(プレREPと称されるプロセスを含む)は、従来の拡大培養法と比較して、7〜14日に短縮され、第2の拡大培養(REPと称されるプロセスを含む)は、7〜14日間に短縮される。
[00246] 図23は、例示的な2Aプロセスを示す。図23で示すように且つ以下で更に詳細に説明されるように、一部の実施形態において、第1の拡大培養(ステップB)は11日間に短縮され、第2の拡大培養(ステップD)は11日間に短縮される。一部の実施形態において、本明細書で詳細に考察されるように、第1及び第2の拡大培養(ステップB及びステップD)の組み合わせは22日間に短縮される。理解されるように、図23に示され且つ以下に説明されるプロセスは、例示的なものであり、本明細書で説明する方法は、説明したステップへの変更及び追加並びに任意の組み合わせを包含する。このプロセスの例示的な実施形態は、米国特許出願公開第2018/0282694A1号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
ステップA:患者腫瘍サンプルの入手
[00247] 一般に、TILは、初めに患者腫瘍サンプルから入手され(「初代TIL」)、次に本明細書に記載される通りの更なる操作のためより大きい集団に拡大培養され、任意選択により凍結保存され、本明細書に概説される通りに再刺激され、且つ任意選択によりTILの健康の指標として表現型及び代謝パラメータが判定される。
[00248] 患者腫瘍サンプルは当技術分野において公知の方法を用いて、一般的に、外科的切除、針生検、アフェレーシス又は腫瘍とTIL細胞との混合物を含む他のサンプルを入手するための手段によって入手され得る。一般に、腫瘍サンプルは、原発腫瘍、浸潤性腫瘍又は転移性腫瘍を含めた任意の固形腫瘍からのものであり得る。腫瘍サンプルは、血液悪性腫瘍から入手された腫瘍など、液性腫瘍でもあり得る。固形腫瘍は、限定はされないが、乳癌、膵癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肺癌、脳癌、腎癌、胃癌及び皮膚癌(限定はされないが、扁平上皮癌、基底細胞癌及び黒色腫を含む)を含めた任意の癌型のものであり得る。一部の実施形態において、有用なTILは、特に高レベルのTILを有すると報告されていることに伴い悪性黒色腫腫瘍から入手される。一部の実施形態において、腫瘍は約1.5cmより大きく、約4cmより小さい。一部の実施形態において、腫瘍は4cm未満である。
[00249] 入手後、腫瘍サンプルは、一般的に鋭的剥離を用いて1〜約8mm3の小片に断片化され、約2〜3mm3が特に有用である。TILは酵素的腫瘍消化物を使用してこれらの断片から培養される。そのような腫瘍消化物は、酵素培地(例えば、Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640緩衝液、2mMグルタメート、10mcg/mLゲンタマイシン、30単位/mLのDNase及び1.0mg/mLのコラゲナーゼ)中でのインキュベーション、続いて機械的分離(例えば、組織分離剤を使用)によって産生され得る。腫瘍消化物は、腫瘍を酵素培地中に置き、腫瘍をおよそ1分間機械的に分離した後、続いて5% CO2下37℃で30分間インキュベートし、続いてごく小さい組織片のみが存在するまで前述の条件下で機械的分離及びインキュベーションのサイクルを繰り返すことにより作製され得る。このプロセスの終わりに、細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有する場合、これらの細胞を除去するためにFICOLL分岐親水性多糖を用いた密度勾配分離を行うことができる。米国特許出願公開第2012/0244133A1号に記載されているものなど、当技術分野で公知の代替的方法を使用し得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の任意の方法は、TILを拡大培養する方法又は癌を処置する方法のために、本明細書に記載の任意の実施形態において使用され得る。
[00250] 一般に、回収された細胞懸濁液は「初代細胞集団」又は「新鮮に採取した」細胞集団と呼ばれる。
[00251] 一実施形態において、TILは、初めに、患者から入手された酵素的腫瘍消化物及び腫瘍断片から培養することができる。
[00252] 一部の実施形態において、TILは腫瘍断片から入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は鋭的剥離で入手される。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm3〜10mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm3〜8mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約2mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約3mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約4mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約5mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約6mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約7mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約9mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約10mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8〜27mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約10〜25mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約15〜25mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8〜20mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約15〜20mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8〜15mm3である。一部の実施形態において、腫瘍断片は約8〜10mm3である。
[00253] 一部の実施形態において、腫瘍断片の数は、約40〜約50個の腫瘍断片である。一部の実施形態において、腫瘍断片の数は、約40個の腫瘍断片である。一部の実施形態において、腫瘍断片の数は、約50個の腫瘍断片である。一部の実施形態において、腫瘍断片サイズは約8〜27mm3であり、約50未満の腫瘍断片が存在する。
[00254] 一部の実施形態において、TILは腫瘍消化物から入手される。一部の実施形態において、腫瘍消化物は、酵素培地中、例えば、限定はされないが、RPMI 1640、2mM GlutaMAX、10mg/mLゲンタマイシン、30U/mL DNase及び1.0mg/mLコラゲナーゼ中におけるインキュベーションと、それに続く機械的分離(GentleMACS、Miltenyi Biotec, Auburn, CA)によって作製した。腫瘍を酵素培地に置いた後、腫瘍をおよそ1分間機械的に分離し得る。次に溶液を5% CO2下37℃で30分間インキュベートし、次にそれを再びおよそ1分間機械的に破壊し得る。再び5% CO2下37℃で30分間インキュベートした後、腫瘍を3回目におよそ1分間機械的に破壊し得る。一部の実施形態において、3回目の機械的破壊後に大型の組織片が存在した場合、5% CO2下37℃での更に30分間のインキュベーションを伴う又は伴わない1回又は2回の更なる機械的分離をサンプルに適用した。一部の実施形態において、最終回のインキュベーションの終了時に細胞懸濁液が多数の赤血球又は死細胞を含有した場合、フィコールを使用した密度勾配分離を実施して、そうした細胞を除去し得る。
ステップB:第1の拡大培養
[00255] ステップAにおける腫瘍断片の剥離又消化後、得られた細胞は、腫瘍及び他の細胞よりもTILの成長に有利な条件下で血清含有IL−2において培養される。一部の実施形態において、腫瘍消化物は、2mLウェルにおいて、不活性化ヒトAB血清を6000IU/mLのIL−2と共に含む培地中でインキュベートされる。この初代細胞集団は、数日、一般的に3〜14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、一般的に約1×108個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、7〜14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、一般的に約1×108個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、10〜14日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、一般的に約1×108個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、約11日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、一般的に約1×108個のバルクTIL細胞が得られる。一部の実施形態において、この初代細胞集団は、約11日の期間にわたって培養され、それによりバルクTIL集団、一般的に約200×106個以下のバルクTIL細胞が得られる。
[00256] 好ましい一実施形態において、以下及び本明細書で説明するように、初期バルクTIL拡大培養ステップ(プレREPと称されるプロセスを含み得る図23に示されるステップB)、その後の、以下ステップDの下及び本明細書に記載されているように、第2の拡大培養(ステップD、急速拡大培養プロトコル(REP)ステップと称されるプロセスを含む)、その後の、任意選択の凍結保存及び以下及び本明細書で説明するように、その後の第2のステップD(再刺激REPステップと称されるプロセスを含む)を使用してTILの拡大培養を実施することができる。このプロセスによって入手したTILは、任意選択により、本明細書に記載される通り表現型特徴及び代謝パラメータが特徴付けられ得る。
[00257] 実施形態において、TIL培養が24ウェルプレートで、例えばCostar 24ウェル細胞培養クラスター、平底(Corning Incorporated, Corning, NYを使用して開始される場合、各ウェルには、IL−2(6000IU/mL;Chiron Corp., Emeryville, CA)を含む2mLの完全培地(CM)中、1×106個の腫瘍消化物細胞又は1個の腫瘍断片を播種することができる。一部の実施形態において、腫瘍断片は約1mm3〜10mm3である。
[00258] 一部の実施形態において、ステップBのCMは、10%ヒトAB血清、25mM HEPES及び10mg/mLゲンタマイシンを添加したGlutaMAX含有RPMI 1640からなる。培養が、40mL容量及び10cm2ガス透過性シリコン底のガス透過性フラスコ(例えば、G-Rex 10;Wilson Wolf Manufacturing, New Brighton, MN)内で開始される実施形態において(図1)、各フラスコに、10〜40mLのIL−2含有CM中の10〜40×106個の腫瘍消化物生細胞又は5〜30個の腫瘍断片を充填した。G-Rex 10及び24ウェルプレートのいずれも、加湿インキュベーターにおいて5% CO2下37℃でインキュベートし、培養開始から5日後に培地の半分を取り出して、新鮮なCM及びIL−2と置き換え、5日目以降は2〜3日毎に培地の半分を交換した。
[00259] 一実施形態において、細胞培養培地はIL−2を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は、約3000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL又は約8000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、1000〜2000IU/mL、2000〜3000IU/mL、3000〜4000IU/mL、4000〜5000IU/mL、5000〜6000IU/mL、6000〜7000IU/mL、7000〜8000IU/mL又は8000IU/mLの間のIL−2を含む。
[00260] 一部の実施形態において、実施例及び図で考察されているように、第1の拡大培養(プレREPと称されるプロセスを含む;ステップB)プロセスは3〜14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察し、図4及び5に示すように、ステップBの第1の拡大培養は7〜14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察するように、ステップBの第1の拡大培養は10〜14日間に短縮される。一部の実施形態において、実施例で考察するように、ステップBの第1の拡大培養は11日間に短縮される。
[00261] 一部の実施形態において、IL−2、IL−7、IL−15及びIL−21並びにそれらの組み合わせは、本明細書に記載のように、ステップBプロセス中に含められ得る。
[00262] 一部の実施形態において、ステップBは閉鎖系バイオリアクターで実施される。一部の実施形態において、本明細書に記載される通り、TIL拡大培養のために閉鎖系が用いられる。一部の実施形態において、単一のバイオリアクターが用いられる。一部の実施形態において、用いられる単一のバイオリアクターは、例えば、G-REX-10又はG-REX-100である。
ステップC:第1の拡大培養から第2の拡大培養への移行
[00263] 一部の実施形態において、ステップBからのバルクTIL集団は、当技術分野で公知であり且つ及び本明細書に記載される方法を使用して、直ちに凍結保存することができる。代わりに、バルクTIL集団は、以下で考察する通り、第2の拡大培養(REP)に供し、次に凍結保存し得る。
[00264] 一部の実施形態において、ステップBのTILは保存されず、ステップBのTILはステップDに直接進む。一部の実施形態において、本明細書に更に記載される通り、移行は閉鎖系で行われる。
ステップD:第2の拡大培養
[00265] 一部の実施形態において、TIL細胞集団は回収及び初期バルク処理後(即ちステップA及びステップB後)に数が拡大される。これは、本明細書において第2の拡大培養と称され、当技術分野では一般的に急速拡大培養プロセス(REP)と称される拡大培養プロセスを含み得る。第2の拡大培養は、一般的に、フィーダー細胞、サイトカイン源及び抗CD3抗体を含め、幾つもの成分を含むガス透過性容器内の培養培地を使用して達成することができる。一部の実施形態において、第2の拡大培養は、第2の拡大培養で入手されるTILの数を増加させるためにスケールアップすることを含み得る。
[00266] 一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、本開示の方法を使用して、ガス透過性容器内で行うことができる。例えば、TILは、インターロイキン−2(IL−2)又はインターロイキン−15(IL−15)の存在下で非特異的T細胞受容体刺激を用いて急速に拡大培養することができる。非特異的T細胞受容体刺激としては、例えば、約30ng/mlのOKT3、マウスモノクローナル抗CD3抗体(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Auburn, CAから市販されている)を挙げることができる。TILは、任意選択により300IU/mL IL−2又はIL−15など、T細胞成長因子の存在下において、ヒト白血球抗原A2(HLA−A2)結合ペプチド、例えば0.3μM MART−1:26−35(27L)又はgpl 00:209−217(210M)など、任意選択によりベクターから発現させることのできる、エピトープなど、その抗原性部分を含めた癌の1つ以上の抗原によるインビトロでのTILの更なる刺激により、急速に拡大培養することができる。他の適切な抗原としては、例えば、NY−ESO−1、TRP−1、TRP−2、チロシナーゼ癌抗原、MAGE−A3、SSX−2及びVEGFR2又はそれらの抗原部分が挙げられ得る。TILは、HLA−A2発現抗原提示細胞にパルスした癌の同じ抗原による再刺激によっても急速に拡大培養し得る。代わりに、TILは、例えば、照射自己リンパ球によるか、又は照射HLA−A2+同種異系リンパ球及びIL−2によって更に再刺激することができる。
[00267] ある実施形態において、細胞培養培地はIL−2を更に含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は、約3000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、約1000IU/mL、約1500IU/mL、約2000IU/mL、約2500IU/mL、約3000IU/mL、約3500IU/mL、約4000IU/mL、約4500IU/mL、約5000IU/mL、約5500IU/mL、約6000IU/mL、約6500IU/mL、約7000IU/mL、約7500IU/mL又は約8000IU/mLのIL−2を含む。一実施形態において、細胞培養培地は、1000〜2000IU/mL、2000〜3000IU/mL、3000〜4000IU/mL、4000〜5000IU/mL、5000〜6000IU/mL、6000〜7000IU/mL、7000〜8000IU/mL又は8000IU/mLのIL−2を含む。
[00268] 一実施形態において、細胞培養培地はOKT3抗体を含む。好ましい一実施形態において、細胞培養培地は、約30ng/mLのOKT−3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2.5ng/mL、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約60ng/mL、約70ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約100ng/mL、約200ng/mL、約500ng/mL及び約1μg/mLのOKT3抗体を含む。ある実施形態において、細胞培養培地は、0.1ng/mL〜1ng/mL、1ng/mL〜5ng/mL、5ng/mL〜10ng/mL、10ng/mL〜20ng/mL、20ng/mL〜30ng/mL、30ng/mL〜40ng/mL、40ng/mL〜50ng/mL及び50ng/mL〜100ng/mLのOKT3抗体を含む。
[00269] 一部の実施形態において、IL−2、IL−7、IL−15及びIL−21並びにそれらの組み合わせは、本明細書に記載のように、ステップDプロセスにおける第2の拡大培養中に含められ得る。
[00270] 一部の実施形態において、第2の拡大培養は、IL−2、OKT−3及び抗原提示フィーダー細胞を含む添加細胞培養培地で実施され得る。
[00271] 一部の実施形態において、抗原提示フィーダー細胞(APC)はPBMCである。ある実施形態において、急速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMC及び/又は抗原提示細胞との比は、約1:25、約1:50、約1:100、約1:125、約1:150、約1:175、約1:200、約1:225、約1:250、約1:275、約1:300、約1:325、約1:350、約1:375、約1:400又は約1:500である。ある実施形態において、急速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMCとの比は、1:50〜1:300である。ある実施形態において、急速拡大培養及び/又は第2の拡大培養におけるTILとPBMCとの比は、1:100〜1:200である。
[00272] 一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、バルクTILを150ml培地中の100倍又は200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mL OKT3抗CD3抗体及び3000IU/mL IL−2と混合してフラスコ内で実施される。細胞を別の成長チャンバに移すまで培地補充が行われる(一般的に新鮮培地による呼吸を介した3分の2の培地補充)。別の成長チャンバには、以下に更に十分に考察する通りのGRexフラスコ及びガス透過性容器が含まれる。
[00273] 一部の実施形態において、第2の拡大培養(REPプロセスとも称される)は、実施例及び図で考察されるように、7〜14日間に短縮される。一部の実施形態において、第2の拡大培養は11日間に短縮される。
[00274] ある実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、前述のように(Tran, et al., J. Immunother.2008, 31, 742-51;Dudley, et al., J. Immunother.2003, 26, 332-42)T-175フラスコ及びガス透過性バッグ又はガス透過性培養器具(G-Rexフラスコ)を使用して実施し得る。T-175フラスコ中のTIL急速拡大培養及び/又は第2の拡大培養では、150mLの培地中に懸濁した1×106個のTILが各T-175フラスコに添加され得る。TILは、IL−2の1mLあたり3000IU及び抗CD3の1mLあたり30ngを添加したCM及びAIM−V培地の1対1の混合物で培養し得る。T-175フラスコは、5%CO2中37℃でインキュベートされ得る。培地の半分は、5日目に、1mLあたり3000IUのIL−2を含む50/50培地を用いて交換され得る。7日目に、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグ中で混合し、5%ヒトAB血清を含む300mLのAIM V及び1mLあたり3000IUのIL−2を300mLのTIL懸濁液に添加した。各バッグ中の細胞数を毎日又は隔日で計数し、新鮮な培地を添加して細胞数を0.5〜2.0×106細胞/mLに保った。
[00275] 一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、100cmのガス透過性シリコン底を有する500mL容量のガス透過性フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf Manufacturing Corporation, New Brighton, MN, USAから市販)中で実施され得、5×106又は10×106個のTILは、5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL−2及び30ng/mLの抗CD3(OKT−3)を添加した、400mLの50/50培地中で、PBMCと共に培養され得る。G-Rex 100フラスコは5%CO2下37℃でインキュベートし得る。5日目、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491×g)で10分間遠心し得る。TILペレットを、5%ヒトAB血清、1mLあたり3000IUのIL−2を含む150mLの新鮮培地で再懸濁し、元のG-Rex 100フラスコに戻し添加し得る。G-Rex 100フラスコ内でTILを連続的に拡大培養するときは、7日目に各G-Rex 100のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁し得、且つ細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割し得、それらを3つのG-Rex 100フラスコの播種に使用し得る。次に、5%ヒトAB血清及び1mLあたり3000IUのIL−2を含む150mLのAIM−Vを各フラスコに加え得る。G-Rex 100フラスコを5%CO2中37℃でインキュベートし、4日後に、1mLあたり3000IUのIL−2を有する150mLのAIM−Vを各G-Rex 100フラスコに加え得る。細胞は、培養14日目に回収され得る。
[00276] 一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養は、バルクTILを150ml培地中の100倍又は200倍過剰の不活性化フィーダー細胞、30mg/mL OKT3抗CD3抗体及び3000IU/mL IL−2と混合してフラスコ内で実施される。細胞を別の成長チャンバに移すまで培地補充が行われる(一般的に新鮮培地による呼吸を介した3分の2の培地補充)。別の成長チャンバには、以下に更に十分に考察する通りのGRexフラスコ及びガス透過性容器が含まれる。
[00277] 一実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養が実施され、これは優れた腫瘍応答性に関してTILを選択するステップを更に含む。当技術分野で公知の任意の選択方法が使用され得る。例えば、米国特許出願公開第2016/0010058A1号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される方法が、優れた腫瘍応答性に関するTILの選択に用いられ得る。
[00278] TILのREP及び/又は第2の拡大培養は、先述の通りT-175フラスコ及びガス透過性バッグ(Tran KQ, Zhou J, Durflinger KH, et al., 2008, J Immunother., 31:742-751及びDudley ME, Wunderlich JR, Shelton TE, et al. 2003, J Immunother., 26:332-342)又はガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施することができる。一部の実施形態において、REP及び/又は第2の拡大培養はフラスコを使用して実施される。一部の実施形態において、REPはガス透過性G-Rexフラスコを使用して実施される。T-175フラスコにおけるTIL REP及び/又は第2の拡大培養について、約1×106個のTILを約150mLの培地中に懸濁し、これを各T-175フラスコに加える。TILは、「フィーダー」細胞としての照射(50Gy)された同種異系PBMCと1対100の比で培養し、及び細胞は、3000IU/mLのIL−2及び30ng/mLの抗CD3を添加したCMとAIM−V培地との1対1混合物(50/50培地)で培養した。T-175フラスコは5%CO2下37℃でインキュベートする。一部の実施形態において、培地の半分は、5日目に3000IU/mLのIL−2を含む50/50培地を使用して交換される。一部の実施形態において、7日目、2つのT-175フラスコからの細胞を3Lバッグに合わせ、その300mLのTIL懸濁液に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL−2を含む300mLのAIM−Vを加える。各バッグの細胞数は、毎日又は2日毎に計数し得、新鮮培地を加えて細胞数を約0.5〜約2.0×106細胞/mLに保ち得る。
[00279] 100cm2ガス透過性シリコン底の500mL容量フラスコ(G-Rex 100、Wilson Wolf)中でのTIL REP及び/又は第2の拡大培養について、3000IU/mLのIL−2及び30ng/mLの抗CD3を添加した400mLの50/50培地中で、約5×106又は10×106個のTILを照射同種異系PBMCと1対100の比で培養する。G-Rex 100フラスコは5%CO2下37℃でインキュベートされる。一部の実施形態において、5日目に、250mLの上清を取り出して遠心ボトルに入れ、1500rpm(491g)で10分間遠心する。次に3000IU/mLのIL−2を含む150mLの新鮮50/50培地にTILペレットを再懸濁し、元のG-Rex 100フラスコに加え戻し得る。TILがG-Rex 100フラスコ内で連続的に拡大培養される実施形態において、7日目に各G-Rex 100内のTILを各フラスコ内に存在する300mLの培地に懸濁し、且つ細胞懸濁液を3つの100mLアリコートに分割しており、それらを3つのG-Rex 100フラスコの播種に使用する。次に、5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL−2を含む150mLのAIM−Vを各フラスコに加える。G-Rex 100フラスコは5%CO2下37℃でインキュベートされ、4日後、各G-Rex 100フラスコに3000IU/mLのIL−2を含む150mLのAIM−Vを加える。細胞は培養14日目に回収される。
フィーダー細胞及び抗原提示細胞
[00280] ある実施形態において、本明細書に記載される第2の拡大培養手順(ステップD、REPを含む)には、REP TIL拡大培養中及び/又は第2の拡大培養中に、過剰量のフィーダー細胞が必要である。多くの実施形態において、フィーダー細胞は、健常供血者からの標準的な全血ユニットから入手される末梢血単核球(PBMC)である。PBMCは、Ficoll-Paque勾配分離などの標準方法を用いて入手される。
[00281] 一般に、同種異系PBMCは、照射又は熱処理のいずれかにより不活性化され、実施例、特に照射同種異系PBMCの複製能力を評価するための例示的なプロトコルを提供する実施例14に記載されるように、REP手順で使用される。
[00282] 一部の実施形態において、14日目の生細胞の総数がREPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目に培養(即ち第2の拡大培養の開始日)に移行した初期生細胞数より少ない場合、PBMCは複製不能と見なされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。
[00283] 一部の実施形態において、OKT3及びIL−2の存在下で培養された生細胞の総数が、7日目及び14日目に、REPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目(即ち第2の拡大培養の開始日)に培養に移行した初期生細胞数から増加していない場合、PBMCは複製不能と見なされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。一部の実施形態において、PBMCは、30ng/mlのOKT3抗体及び3000IU/mlのIL−2の存在下で培養される。
[00284] 一部の実施形態において、OKT3及びIL−2の存在下で培養された生細胞の総数が、7日目及び14日目に、REPの0日目及び/又は第2の拡大培養の0日目(即ち第2の拡大培養の開始日)に培養に移行した初期生細胞数から増加していない場合、PBMCは複製不能と見なされ、本明細書に記載のTIL拡大培養手順での使用が認められる。一部の実施形態において、PBMCは、5〜60ng/mlのOKT3抗体及び1000〜6000IU/mlのIL−2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、10〜50ng/mlのOKT3抗体及び2000〜5000IU/mlのIL−2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、20〜40ng/mlのOKT3抗体及び2000〜4000IU/mlのIL−2の存在下で培養される。一部の実施形態において、PBMCは、25〜35ng/mlのOKT3抗体及び2500〜3500IU/mlのIL−2の存在下で培養される。
[00285] ある実施形態において、人工抗原提示細胞は、PBMCの代替として又はそれと組み合わせて、REP段階で使用される。
サイトカイン
[00286] 本明細書に記載の拡大培養方法は、一般に、当技術分野において公知の通り、高用量のサイトカイン、特にIL−2を含む培養培地を使用する。
[00287] 代わりに、TILの急速拡大培養及び又は第2の拡大培養にサイトカインの組み合わせを使用することが更に可能であり、IL−2、IL−15及びIL−21の2つ以上の組み合わせについて、一般的に米国特許出願公開第2017/0107490A1号、国際公開第2015/189356号、米国特許出願公開第2017/0107490A1号及び国際公開第2015/189357号(それぞれ本明細書に全体として参照により明示的に組み込まれる)に概説される通りである。従って、可能な組み合わせとしては、IL−2とIL−15、IL−2とIL−21、IL−15とIL−21とIL−2、IL−15とIL−21が挙げられ、後者には多くの実施形態において特定の使用が見出される。これらの明細書に記載される通り、サイトカインの組み合わせを使用することは、特にリンパ球、詳細にはT細胞の生成に有利である。
抗CD3抗体
[00288] 一部の実施形態において、本明細書に記載の拡大培養方法で使用される培養培地(REPを含む)は、抗CD3抗体も含む。抗CD3抗体をIL−2と併用すると、TIL集団においてT細胞活性化及び細胞分裂が誘導される。この効果は完全長抗体並びにFab及びF(ab’)2断片で見ることができ、前者が一般的に好ましい;例えば、Tsoukas et al., J.Immunol.1985, 135, 1719(本明細書によって全体として参照により組み込まれる)を参照されたい。
[00289] 当業者は理解するであろう通り、本発明において使用が見出される好適な抗ヒトCD3抗体は、限定はされないが、ネズミ科動物、ヒト、霊長類、ラット及びイヌ科動物抗体を含めた、様々な哺乳類からの抗ヒトCD3ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含め、幾つも存在する。詳細な実施形態において、OKT3抗CD3抗体が使用される(Ortho-McNeil, Raritan, NJ又はMiltenyi Biotech, Auburn, CAから市販されている)。
ステップE:TILの回収
[00290] 第2の拡大培養ステップ後、細胞は回収することができる。一部の実施形態において、TILは、1、2、3、4回又はそれ以上の第2の拡大培養ステップ後に回収される。
[00291] TILは、例えば、遠心によることを含め、任意の適切な且つ滅菌された方法で回収することができる。TIL回収方法は当技術分野において周知であり、本プロセスと共に任意のかかる公知の方法を用いることができる。一部の実施形態において、TILは自動化系を使用して回収する。一部の実施形態において、TILは半自動化系を使用して回収する。一部の実施形態において、TILは半自動化系を使用して回収される。一部の実施形態において、第2の拡大培養からのTILは半自動化装置を使用して回収される。一部の実施形態において、LOVOシステムが使用される(例えば、Benchmark Electronicsから市販)。一部の実施形態において、回収ステップは、TILを洗浄すること、TILを配合すること及び/又はTILを分取することを含む。一部の実施形態において、細胞は、任意選択により、回収後又は回収の一部として凍結される。
ステップF:最終的な製剤化/輸注バッグへの移動
[00292] ステップA〜Eが完了した後、細胞は患者への投与における使用のため容器に移される。
[00293] ある実施形態において、本開示のAPCを使用して拡大培養したTILは、医薬組成物として患者に投与される。一実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示のPBMCを使用して拡大培養したTILは、当技術分野において公知の通りの任意の好適な経路によって投与され得る。一部の実施形態において、T細胞は単回動脈内又は静脈内注入として投与され、これは、好ましくは、約30〜60分間継続される。他の好適な投与経路としては、腹腔内、髄腔内及びリンパ内が挙げられる。
追加の拡大培養ステップ
[00294] 理解されるように、上記のステップA〜Fのいずれも、何度でも繰り返すことができ、更に上記と異なる順序で実施され得る。
[00295] 一部の実施形態において、1つ以上の拡大培養ステップを最終製剤ステップF前に繰り返し得る。そのような追加の拡大培養ステップは、上記の第1及び/又は第2の拡大培養ステップの要素を含み得る(例えば、細胞培養培地に記載の成分を含む)。追加の拡大培養ステップは、追加の拡大培養ステップ前及び/又は中に細胞培養培地に補充される細胞培養培地中の追加の成分を含む追加の要素を更に含み得る。
[00296] 更なる実施形態において、図23及び上記の段落に記載されたいずれかの拡大培養ステップに、拡大培養ステップ中に生成された細胞が、製造/拡大培養プロセスの残りのステップに必要になるまで、保存のために当技術分野で公知の方法を使用して保存される、凍結保存ステップが先行又は後続し得る。
TIL、MIL及びPBLの医薬組成物、投与量及び投与レジメン
[00297] 一実施形態において、本発明は、本明細書に記載のTILを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように一過性若しくは安定な態様で1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、TILの治療的集団を提供する。
[00298] 別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のMILを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、MILの治療的集団を提供する。
[00299] 別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のPBLを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、PBLの治療的集団を提供する。
[00300] 別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のTILを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、TILの治療的集団と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
[00301] 別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のMILを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、MILの治療的集団と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
[00302] 別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のPBLを拡大培養する任意の方法により調製され、任意選択により、改変されて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現し、及び/又は改変されたT細胞受容体を発現し、及び/又は本明細書に記載のように1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を抑制若しくは低減する、PBLの治療的集団と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
[00303] 一実施形態において、本開示の方法を使用して拡大培養させたTILは医薬組成物として患者に投与される。一実施形態において、医薬組成物は滅菌緩衝液中のTILの懸濁液である。本開示の方法を使用して拡大培養されたTILは、当技術分野において公知の任意の適切な経路によって投与され得る。好ましくは、TILは単一の動脈内又は静脈内注入として投与され、これは、好ましくは、およそ30〜60分続く。他の適切な投与経路には、腹腔内投与、髄腔内投与及びリンパ管内投与が含まれる。
[00304] 任意の適切な用量のTILを投与することができる。特に癌が血液悪性腫瘍である場合、好ましくは、平均が約7.8×1010TILである約2.3×1010〜約13.7×1010TILが投与される。一実施形態において、約1.2×1010〜約4.3×1010のTILが投与される。
[00305] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013及び9×1013個である。一実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、1×106〜5×106、5×106〜1×107、1×107〜5×107、5×107〜1×108、1×108〜5×108、5×108〜1×109、1×109〜5×109、5×109〜1×1010、1×1010〜5×1010、5×1010〜1×1011、5×1011〜1×1012、1×1012〜5×1012及び5×1012〜1×1013個の範囲である。本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、約4×108〜約2.5×109の範囲内である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、9.5×108である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、4.1×108である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの数は、2.2×109である。
[00306] 本発明の一実施形態において、本発明の医薬組成物で提供されるTILの数は、約0.1×109〜約15×109個のTIL、約0.1×109〜約15×109個のTIL、約0.12×109〜約12×109個のTIL、約0.15×109〜約11×109個のTIL、約0.2×109〜約10×109個のTIL、約0.3×109〜約9×109個のTIL、約0.4×109〜約8×109個のTIL、約0.5×109〜約7×109個のTIL、約0.6×109〜約6×109個のTIL、約0.7×109〜約5×109個のTIL、約0.8×109〜約4×109個のTIL、約0.9×109〜約3×109個のTIL又は約1×109〜約2×109個のTILの範囲である。
[00307] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、例えば、医薬組成物の100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/vより低い。
[00308] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/vより高い。
[00309] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.0001%〜約50%、約0.001%〜約40%、約0.01%〜約30%、約0.02%〜約29%、約0.03%〜約28%、約0.04%〜約27%、約0.05%〜約26%、約0.06%〜約25%、約0.07%〜約24%、約0.08%〜約23%、約0.09%〜約22%、約0.1%〜約21%、約0.2%〜約20%、約0.3%〜約19%、約0.4%〜約18%、約0.5%〜約17%、約0.6%〜約16%、約0.7%〜約15%、約0.8%〜約14%、約0.9%〜約12%又は約1%〜約10%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
[00310] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの濃度は、医薬組成物の約0.001%〜約10%、約0.01%〜約5%、約0.02%〜約4.5%、約0.03%〜約4%、約0.04%〜約3.5%、約0.05%〜約3%、約0.06%〜約2.5%、約0.07%〜約2%、約0.08%〜約1.5%、約0.09%〜約1%、約0.1%〜約0.9%w/w、w/v又はv/vの範囲内である。
[00311] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g又は0.0001g以下である。
[00312] 一部の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるTILの量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g又は10g超である。
[00313] 本発明の医薬組成物において提供されるTILは、広い投与量範囲にわたって有効である。正確な投与量は、投与経路、化合物が投与される形態、処置されるべき対象の性別及び年齢、処置されるべき対象の体重並びに担当医の選好及び経験に依存するであろう。臨床的に確立されたTILの投与量も適切な場合に使用され得る。TILの投与量など、本明細書の方法を使用して投与される医薬組成物の量は、処置されるヒト又は哺乳動物、疾患又は状態の重症度、投与速度、活性医薬成分の性質及び処方医の裁量に依存するであろう。
[00314] 一部の実施形態において、TILは単回投与で投与され得る。そのような投与は、注射、例えば静脈内注射によるものであり得る。一部の実施形態において、TILは複数回投与で投与され得る。投与は、1年に1回、2回、3回、4回、5回、6回又は6回を超え得る。投与は、月に1回、2週間に1回、週に1回又は隔日に1回であり得る。TILの投与は必要な限り継続し得る。
[00315] 一部の実施形態において、TILの有効投与量は、約1×106、2×106、3×106、4×106、5×106、6×106、7×106、8×106、9×106、1×107、2×107、3×107、4×107、5×107、6×107、7×107、8×107、9×107、1×108、2×108、3×108、4×108、5×108、6×108、7×108、8×108、9×108、1×109、2×109、3×109、4×109、5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、9×1011、1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、9×1012、1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013及び9×1013個である。一部の実施形態において、TILの有効投与量は、1×106〜5×106、5×106〜1×107、1×107〜5×107、5×107〜1×108、1×108〜5×108、5×108〜1×109、1×109〜5×109、5×109〜1×1010、1×1010〜5×1010、5×1010〜1×1011、5×1011〜1×1012、1×1012〜5×1012及び5×1012〜1×1013個の範囲である。
[00316] 本発明の一実施形態において、急性骨髄性白血病(AML)を有する患者に有用なMILの臨床用量は、約4×108〜約2.5×109個のMILの範囲内である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、9.5×108MILである。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、4.1×108である。別の実施形態において、本発明の医薬組成物中に提供されるMILの数は、2.2×109である。
[00317] 一部の実施形態において、TILの有効投与量は、約0.01mg/kg〜約4.3mg/kg、約0.15mg/kg〜約3.6mg/kg、約0.3mg/kg〜約3.2mg/kg、約0.35mg/kg〜約2.85mg/kg、約0.15mg/kg〜約2.85mg/kg、約0.3mg〜約2.15mg/kg、約0.45mg/kg〜約1.7mg/kg、約0.15mg/kg〜約1.3mg/kg、約0.3mg/kg〜約1.15mg/kg、約0.45mg/kg〜約1mg/kg、約0.55mg/kg〜約0.85mg/kg、約0.65mg/kg〜約0.8mg/kg、約0.7mg/kg〜約0.75mg/kg、約0.7mg/kg〜約2.15mg/kg、約0.85mg/kg〜約2mg/kg、約1mg/kg〜約1.85mg/kg、約1.15mg/kg〜約1.7mg/kg、約1.3mg/kgmg〜約1.6mg/kg、約1.35mg/kg〜約1.5mg/kg、約2.15mg/kg〜約3.6mg/kg、約2.3mg/kg〜約3.4mg/kg、約2.4mg/kg〜約3.3mg/kg、約2.6mg/kg〜約3.15mg/kg、約2.7mg/kg〜約3mg/kg、約2.8mg/kg〜約3mg/kg又は約2.85mg/kg〜約2.95mg/kgの範囲内である。
[00318] 一部の実施形態において、TILの有効投与量は、約1mg〜約500mg、約10mg〜約300mg、約20mg〜約250mg、約25mg〜約200mg、約1mg〜約50mg、約5mg〜約45mg、約10mg〜約40mg、約15mg〜約35mg、約20mg〜約30mg、約23mg〜約28mg、約50mg〜約150mg、約60mg〜約140mg、約70mg〜約130mg、約80mg〜約120mg、約90mg〜約110mg又は約95mg〜約105mg、約98mg〜約102mg、約150mg〜約250mg、約160mg〜約240mg、約170mg〜約230mg、約180mg〜約220mg、約190mg〜約210mg、約195mg〜約205mg又は約198〜約207mgの範囲内である。
[00319] 有効量のTILは、鼻腔内及び経皮経路、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、局所、移植若しくは腫瘍への直接注射又は吸入を含む、同様の有用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかにより、単回投与又は複数回投与のいずれかで投与され得る。
任意選択によるTIL、PBL及び/又はMILの遺伝子操作
[00320] 一部の実施形態において、本発明の拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、拡大培養ステップ前、その間又はその後に更に操作され、これは、一過性の態様でタンパク質発現を変化させるために、それぞれが本明細書で提供される、閉鎖滅菌製造プロセス中を含む。一部の実施形態において、一過性に変化したタンパク質発現は、一過性の遺伝子編集によるものである。一部の実施形態において、本発明の拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、転写因子(TF)、及び/又はTIL、PBL及び/又はMILにおけるタンパク質発現を一過性に変化させることができる他の分子で処置される。一部の実施形態において、タンパク質発現を一過性に変化させることができるTF及び/又は他の分子は、腫瘍抗原の発現の変化及び/又はTIL、PBL及び/又はMILの集団における腫瘍抗原特異的T細胞の数の変化を提供する。
[00321] 特定の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子編集することを含む。特定の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの第1の集団、TIL、PBL及び/又はMILの第2の集団、及び/又はTIL、PBL及び/又はMILの第3の集団を遺伝子編集することを含む。
[00322] 一部の実施形態において、本発明は、1つ以上のタンパク質の発現の促進又は1つ以上のタンパク質の発現の阻害及びタンパク質の1つのセットの促進とタンパク質の別のセットの阻害との両方の同時の組み合わせのための、メッセンジャーRNA(mRNA)又は低分子(又は短鎖)干渉RNA(siRNA)の挿入を含む、リボ核酸(RNA)挿入など、TIL、PBL及び/又はMILの集団へのヌクレオチド挿入を介した遺伝子編集を含む。
[00323] 一部の実施形態において、本発明の拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、タンパク質発現の一過性の変化を受ける。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、拡大培養プロセス前、その間又はその後の任意の時に発生する。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、拡大培養プロセス中の任意のステップで発生する。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第1の拡大培養前にバルクTIL、PBL及び/又はMIL集団で発生する。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第1の拡大培養中に発生する。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第1の拡大培養後に発生し、これは、例えば、第1の拡大培養と第2の拡大培養中の移行中のTIL、PBL及び/又はMIL集団(例えば、本明細書に記載のTIL、PBL及び/又はMILの第2の集団におけるものを含む。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第2の拡大培養前にバルクTIL、PBL及び/又はMIL集団で発生する。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第2の拡大培養中に発生し、これは、例えば、拡大培養されるTIL、PBL及び/又はMIL集団(例えば、TIL、PBL及び/又はMILの第3の集団)におけるものを含む。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、第2の拡大培養後に発生する。
[00324] 一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団におけるタンパク質発現を一過性に変化させる方法は、エレクトロポレーションのステップを含む。エレクトロポレーション法は当技術分野で公知であり、例えばTsong, Biophys.J.1991, 60, 297-306及び米国特許出願公開第2014/0227237A1号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団におけるタンパク質発現を一過性に変化させる方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションのステップを含む。リン酸カルシウムトランスフェクション法(リン酸カルシウムDNA沈殿、細胞表面コーティング及びエンドサイトーシス)は当技術分野で公知であり、Graham and van der Eb, Virology 1973, 52, 456-467;Wigler, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.1979, 76, 1373-1376;及びChen及びOkayarea, Mol.Cell.Biol.1987, 7, 2745-2752;並びに米国特許第5,593,875号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団におけるタンパク質発現を一過性に変化させる方法は、リポソームトランスフェクションのステップを含む。濾過水中のカチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−n,n,n−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)及びジオレオイルホスフォチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1(w/w)リポソーム製剤を使用する方法などのリポソームトランスフェクション法は当技術分野で公知であり、Rose, et al., Biotechniques 1991, 10, 520-525及びFelgner, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1987, 84, 7413-7417並びに米国特許第5,279,833号;米国特許第5,908,635号;米国特許第6,056,938号;米国特許第6,110,490号;米国特許第6,534,484号;及び米国特許第7,687,070号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団におけるタンパク質発現を一過性に変化させる方法は、米国特許第5,766,902号;米国特許第6,025,337号;米国特許第6,410,517号;米国特許第6,475,994号;及び米国特許第7,189,705号に記載の方法を使用したトランスフェクションのステップを含み、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00325] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、幹細胞様メモリーT細胞(TSCM)の増加をもたらす。TSCMは、抗原を経験したセントラルメモリーT細胞の初期前駆細胞である。TSCMは、一般的に、幹細胞を定義する長期生存、自己再生及び多分化能を示し、効果的なTIL産物の生成について一般的に望ましい。TSCMは、養子細胞移植のマウスモデルにおいて、他のT細胞サブセットと比較して抗腫瘍活性の増強を示している(Gattinoni et al.Nat Med 2009, 2011;Gattinoni, Nature Rev. Cancer, 2012;Cieri et al.Blood 2013)。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、高い割合のTSCMを含む組成物を伴うTIL集団をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のTSCMの割合の増加をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIL集団において、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍又は10倍のTSCMの増加をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、少なくとも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のTSCMを伴うTIL集団をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、少なくとも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のTSCMを伴う治療的TIL集団をもたらす。
[00326] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、抗原を経験したT細胞の幼若化をもたらす。一部の実施形態において、幼若化には、例えば、増殖の増加、T細胞活性化の増加及び/又は抗原認識の増加が含まれる。
[00327] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、腫瘍由来のTCRレパートリーを保存するために、T細胞の大部分における発現を変化させる。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、腫瘍由来のTCRレパートリーを変化させない。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、腫瘍由来のTCRレパートリーを維持する。
[00328] 一部の実施形態において、タンパク質の一過性の変化は、特定の遺伝子の変化した発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1(PDCD1又はCC279とも称される)、TGFBR2、CCR4/5、CBLB(CBL−B)、CISH、CCR(キメラ共刺激受容体)、IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、NOTCH 1/2 ICD、TIM3、LAG3、TIGIT、TGFβ、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR1、CXCR2、CSCR3、CCL2(MCP−1)、CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP1−β)、CCL5(RANTES)、CXCL1/CXCL8、CCL22、CCL17、CXCL1/CXCL8、VHL、CD44、PIK3CD、SOCS1及び/又はcAMPプロテインキナーゼA(PKA)を含むが、これらに限定されない遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、TGFBR2、CCR4/5、CBLB(CBL−B)、CISH、CCR(キメラ共刺激受容体)、IL−2、IL−12、IL−15、IL−21、NOTCH 1/2 ICD、TIM3、LAG3、TIGIT、TGFβ、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR1、CXCR2、CSCR3、CCL2(MCP−1)、CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP1−β)、CCL5(RANTES)、CXCL1/CXCL8、CCL22、CCL17、CXCL1/CXCL8、VHL、CD44、PIK3CD、SOCS1及び/又はcAMPプロテインキナーゼA(PKA)からなる群から選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TGFBR2を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR4/5を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CBLBを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CISHを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR(キメラ共刺激受容体)を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、IL−2を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、IL−12を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、IL−15を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、IL−21を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、NOTCH 1/2 ICDを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIM3を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、LAG3を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIGITを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TGFβを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR1を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR2を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR4を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR5を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CXCR1を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CXCR2を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CSCR3を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL2(MCP−1)を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL3(MIP−1α)を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL4(MIP1−β)を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL5(RANTES)を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CXCL1を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CXCL8を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL22を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCL17を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、VHLを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CD44を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PIK3CDを標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、SOCS1を標的とする。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、cAMPプロテインキナーゼA(PKA)を標的とする。
[00329] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、ケモカイン受容体の増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、一過性のタンパク質発現によって過剰発現されるケモカイン受容体は、CCL2(MCP−1)、CCL3(MIP−1α)、CCL4(MIP1−β)、CCL5(RANTES)、CXCL1、CXCL8、CCL22及び/又はCCL17を含むが、これに限定されないリガンドを有する受容体を含む。
[00330] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、CTLA−4、TIM−3、LAG−3、TIGIT、TGFβR2及び/又はTGFβの減少及び/又は発現低下をもたらす(例えば、TGFβ経路の遮断をもたらすことを含む)。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CBLB(CBL−B)の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CISHの減少及び/又は発現低下をもたらす。
[00331] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、例えば、腫瘍部位へのTILの輸送又は移動を改善するために、ケモカイン受容体の増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR(キメラ共刺激受容体)の増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CCR1、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR1、CXCR2及び/又はCSCR3からなる群から選択されるケモカイン受容体の増加及び/又は過剰発現をもたらす。
[00332] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、インターロイキンの増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、IL−2、IL−12、IL−15及び/又はIL−21からなる群から選択されるインターロイキンの増加及び/又は過剰発現をもたらす。
[00333] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、NOTCH 1/2 ICDの増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、VHLの増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CD44の増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PIK3CDの増加及び/又は過剰発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、SOCS1の増加及び/又は過剰発現をもたらす。
[00334] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、cAMPタンパク質キナーゼA(PKA)の減少及び/又は発現低下をもたらす。
[00335] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びその組み合わせからなる群から選択される1つの分子の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びその組み合わせからなる群から選択される2つの分子の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1と、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びその組み合わせからなる群から選択される1つの分子との減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、LAG−3、CISH、CBLB、TIM3及びその組み合わせの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1と、LAG−3、CISH、CBLB、TIM3及びその組み合わせの1つとの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1及びLAG3の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1及びCISHの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1及びCBLBの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、LAG3及びCISHの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、LAG3及びCBLBの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、CISH及びCBLBの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIM3及びPD−1の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIM3及びLAG3の減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIM3及びCISHの減少及び/又は発現低下をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、TIM3及びCBLBの減少及び/又は発現低下をもたらす。
[00336] 一部の実施形態において、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1及びそれらの組み合わせからなる群から選択される接着分子は、ガンマレトロウイルス又はレンチウイルス法により、TIL、PBL及び/又はMILの第1の集団、TIL、PBL及び/又はMILの第2の集団又は回収されたTIL、PBL及び/又はMILの集団に挿入される(例えば、接着分子の発現が増加する)。
[00337] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びその組み合わせからなる群から選択される1つの分子の減少及び/又は発現低下並びにCCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1及びその組み合わせの増加及び/又は増強された発現をもたらす。一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、PD−1、LAG3、TIM3、CISH、CBLB及びその組み合わせからなる群から選択される1つの分子の減少及び/又は発現低下並びにCCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1及びその組み合わせの増加及び/又は増強された発現をもたらす。
[00338] 一部の実施形態において、約5%、約10%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約90%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約99%の発現の低下が存在する。
[00339] 一部の実施形態において、約5%、約10%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%、約90%又は約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約90%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約95%の発現の増加が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約99%の発現の増加が存在する。
[00340] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、転写因子(TF)、及び/又はTIL、PBL及び/又はMILにおけるタンパク質発現を一過性に変化させることができる他の分子による、TIL、PBL及び/又はMILの処置によって誘導される。一部の実施形態において、SQZベクターフリーのマイクロ流体プラットフォームは、転写因子(TF)及び/又はタンパク質発現を一過性に変化させることができる他の分子の細胞内送達のために利用される。転写因子を含むタンパク質を、T細胞を含む様々な初代ヒト細胞に送達する能力を実証するそのような方法(Sharei et al.PNAS 2013並びにSharei et al.PLOS ONE 2015及びGreisbeck et al.J. Immunology vol. 195, 2015)が説明されている。例えば、国際公開第2013/059343A1号、国際公開第2017/008063A1号及び国際公開第2017/123663A1号(これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。国際公開第2013/059343A1号、国際公開第2017/008063A1号及び国際公開第2017/123663A1号に記載されるそのような方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団を転写因子(TF)、及び/又は一過性のタンパク質発現を誘導することができる他の分子に曝露するために、本発明と共に利用することができ、ここで、前記TF及び/又は一過性のタンパク質発現を誘導することができる他の分子は、腫瘍抗原の発現の増加及び/又はTIL、PBL及び/又はMILの集団における腫瘍抗原特異的T細胞の数の増加を提供し、従ってTIL集団の初期化及び初期化されたTIL集団の初期化されていないTIL集団と比較した治療効果の増加をもたらす。一部の実施形態において、初期化は、本明細書に記載されるような、開始集団又はTIL、PBL及び/又はMILの前集団(即ち初期化前)集団と比較した、エフェクターT細胞及び/又はセントラルメモリーT細胞のサブ集団の増加をもたらす。
[00341] 一部の実施形態において、転写因子(TF)は、TCF−1、NOTCH 1/2 ICD及び/又はMYBを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、転写因子(TF)はTCF−1である。一部の実施形態において、転写因子(TF)はNOTCH 1/2 ICDである。一部の実施形態において、転写因子(TF)はMYBである。一部の実施形態において、転写因子(TF)は、追加のTIL初期化を誘導するために、市販のKNOCKOUT Serum Replacement(Gibco/ThermoFisher)などの人工多能性幹細胞培養物(iPSC)と共に投与される。一部の実施形態において、転写因子(TF)は、追加のTIL初期化を誘導するためにiPSCカクテルと共に投与される。一部の実施形態において、転写因子(TF)は、iPSCカクテルなしで投与される。一部の実施形態において、初期化は、TSCMの割合の増加をもたらす。一部の実施形態において、初期化により、TSCMの割合において、約5%、約10%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%のTSCM増加が生じる。
[00342] 一部の実施形態において、上記のように、タンパク質発現を一過性に変化させる方法は、1つ以上のタンパク質を産生するための遺伝子の安定した組み込みのステップを含む、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法と組み合わされ得る。特定の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変するステップを含む。特定の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの第1の集団、TIL、PBL及び/又はMILの第2の集団、及び/又はTIL、PBL及び/又はMILの第3の集団を遺伝子改変することを含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、レトロウイルス形質導入のステップを含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、レンチウイルス形質導入のステップを含む。レンチウイルス形質導入システムは当技術分野で公知であり、例えばLevine, et al., Proc.Nat’l Acad.Sci.2006, 103, 17372-77;Zufferey, et al., Nat.Biotechnol.1997, 15, 871-75;Dull, et al., J. Virology 1998, 72, 8463-71及び米国特許第6,627,442号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、ガンマレトロウイルス形質導入のステップを含む。ガンマレトロウイルス形質導入システムは当技術分野で公知であり、例えばCepko and Pear, Cur.Prot.Mol.Biol.1996, 9.9.1-9.9.16に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、トランスポゾン媒介遺伝子移入のステップを含む。トランスポゾン媒介遺伝子移入システムは、当技術分野で公知であり、トランスポサーゼの長期発現がトランスジェニック細胞で発生しないように、トランスポサーゼがDNA発現ベクターとして、又は発現可能なRNA又はタンパク質、例えばmRNA(例えば、キャップ及びポリAテールを含むmRNA)として提供されるトランスポサーゼとして提供されるシステムを含む。SB10、SB11及びSB100x並びに酵素活性が増加した人工酵素など、サケ科型のTel様トランスポサーゼ(SB又はSleeping Beautyトランスポザーゼ)を含む適切なトランスポゾン媒介遺伝子移入システムは、例えば、Hackett, et al., Mol.Therapy 2010, 18, 674-83及び米国特許第6,489,458号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00343] 一部の実施形態において、タンパク質発現の一過性の変化は、20ヌクレオチドのアンチセンス(ガイド)鎖と、テトラエチレングリコール(TEG)リンカーを使用してその3’末端でコレステロールに結合した13〜15塩基のセンス(パッセンジャー)鎖を含む、高い2’−OH置換率を有する(典型的にはフッ素又は−OCH3)化学的に合成された非対称siRNA二重鎖である、自己送達RNA干渉(sdRNA)によって誘導される発現の低下である。一部の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団におけるタンパク質発現の一過性の変化を含み、これは20ヌクレオチドのアンチセンス(ガイド)鎖と、テトラエチレングリコール(TEG)リンカーを使用してその3’末端でコレステロールに結合した13〜15塩基のセンス(パッセンジャー)鎖を含む、高い2’−OH置換率を有する(典型的にはフッ素又は−OCH3)化学的に合成された非対称siRNA二重鎖である、自己送達RNA干渉(sdRNA)の使用を含む。sdRNAの使用方法は、Khvorova and Watts, Nat.Biotechnol.2017, 35, 238-248;Byrne, et al., J. Ocul.Pharmacol.Ther.2013, 29, 855-864;及びLigtenberg, et al., Mol.Therapy, 2018, 26, 1482-1493に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL集団へのsdRNAの送達は、エレクトロポレーション、SQZ又は他の方法を使用せず、代わりに、TIL集団が培地中1μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露される1〜3日間の期間を使用して達成される。特定の実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMIL集団にsdRNAを送達することを含み、これは、培地中で1〜3日間の期間にわたり、TIL、PBL及び/又はMIL集団を1μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露することを含む。一実施形態において、TIL集団へのsdRNAの送達は、TIL集団が培地中10μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露される1〜3日間の期間を使用して達成される。一実施形態において、TIL集団へのsdRNAの送達は、TIL集団が培地中50μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露される1〜3日間の期間を使用して達成される。一実施形態において、TIL集団へのsdRNAの送達は、TIL集団が培地中0.1μM/10,000TIL、PBL及び/又はMIL〜50μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露される1〜3日間の期間を使用して達成される。一実施形態において、TIL集団へのsdRNAの送達は、TIL集団が培地中0.1μM/10,000TIL、PBL及び/又はMIL〜50μM/10,000TIL、PBL及び/又はMILの濃度でsdRNAに曝露される1〜3日間の期間を使用して達成され、ここで、sdRNAへの曝露は、培地に新鮮なsdRNAを添加することにより、2、3、4又は5回行われる。他の適切なプロセスは、例えば、米国特許出願公開第2011/0039914A1号、米国特許出願公開第2013/0131141A1号及び米国特許出願公開第2013/0131142A1号並びに米国特許第9,080,171号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00344] 一部の実施形態において、sdRNAは、製造中にTIL、PBL及び/又はMILの集団に挿入される。一部の実施形態において、sdRNAは、NOTCH 1/2 ICD、PD−1、CTLA−4 TIM−3、LAG−3、TIGIT、TGFβ、TGFBR2、cAMPプロテインキナーゼA(PKA)、BAFF BR3、CISH及び/又はCBLBに干渉するRNAをコードする。一部の実施形態において、発現の減少は、例えば、フローサイトメトリー及び/又はqPCRによって評価されるような遺伝子サイレンシングのパーセンテージに基づいて決定される。一部の実施形態において、約5%、約10%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%、約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%、約90%又は約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約80%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約85%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約90%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約95%の発現の低下が存在する。一部の実施形態において、少なくとも約99%の発現の低下が存在する。
[00345] 本明細書に記載されるように、siRNAの化学修飾に基づく自己送達可能なRNAi技術を本発明の方法と共に利用して、sdRNAをTIL、PBL及び/又はMILに問題なく送達することができる。バックボーン修飾と非対称siRNA構造及び疎水性リガンドとの組み合わせ(例えば、Ligtenberg, et al., Mot.Therapy, 2018及び米国特許出願公開第20160304873号)は、sdRNAのヌクレアーゼ安定性を利用して、培養培地に単純に添加することにより、sdRNAが追加の製剤及び方法なしで培養した哺乳動物細胞に浸透することを可能にする。この安定性は、単純に培地中のsdRNAの活性濃度を維持することにより、RNAiが媒介する標的遺伝子活性の一定レベルの低下のサポートを許容する。理論に拘束されるものではないが、sdRNAのバックボーン安定化は、非分裂細胞において数ヶ月間にわたり続き得る遺伝子発現効果の大幅な低下を提供する。
[00346] 一部の実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの95%を超えるトランスフェクション効率並びに様々な特定のsdRNAによる標的の発現の低下が発生する。一部の実施形態において、いくつかの未修飾リボース残基を含有するsdRNAを完全に修飾された配列で置換して、RNAi効果の効力及び/又は寿命を増加させた。一部の実施形態において、発現効果の低下は、12時間、24時間、36時間、48時間、5日間、6日間、7日間若しくは8日間又はそれを超えて維持される。一部の実施形態において、発現効果の低下は、TIL、PBL及び/又はMILのsdRNA処置後10日以上で減少する。一部の実施形態において、標的発現の発現の70%を超える低下が維持される。一部の実施形態において、標的発現の発現の70%を超える低下が、TIL、PBL及び/又はMILにおいて維持される。一部の実施形態において、PD−1/PD−L1経路での発現の低下により、TIL、PBL及び/又はMILは、より強力なインビボ効果を示すことができ、これは、一部の実施形態では、PD−1/PD−L1経路の抑制効果の回避によるものである。一部の実施形態において、sdRNAによるPD−1の発現の減少は、TIL増殖の増加をもたらす。
[00347] 低分子干渉RNA(siRNA)は、短鎖干渉RNA又はサイレンシングRNAとしても知られる場合があり、一般的には長さが19〜25塩基対の、二本鎖RNA分子である。siRNAは、RNA干渉(RNAi)で使用され、相補的なヌクレオチド配列を持つ特定の遺伝子の発現に干渉する。
[00348] 二本鎖DNA(dsRNA)は、一般的にセンス(パッセンジャー)及びアンチセンス(ガイド)鎖である、RNAの相補鎖の対を含む任意の分子を定義するために一般的に使用することができ、これは一本鎖オーバーハング領域を含み得る。siRNAと対比されるdsRNAという用語は、一般的に、ダイサーを含む切断酵素システムの作用により、より大きいdsRNA分子から放出されるsiRNA分子の配列を含む前駆体分子を指す。
[00349] sdRNA(自己送達可能なRNA)は、細胞に侵入するのに送達ビヒクルを必要とせず、従来のsiRNAと比較して向上した薬理を有する、共有結合的に修飾されたRNAi化合物の新しいクラスである。「自己送達可能なRNA」又は「sdRNA」は、疎水的に修飾されたRNA干渉アンチセンスハイブリッドであり、初代細胞においてインビトロで、局所投与の場合インビボで、非常に効果的であることが実証されている。毒性のない強力な取り込み及び/又はサイレンシングが実証されている。sdRNAは、一般的に、最小限の二本鎖領域を有する、化学的に修飾された非対称の核酸分子である。sdRNA分子は、典型的には、一本鎖領域及び二本鎖領域を含有し、分子の一本鎖領域及び二本鎖領域の両方に様々な化学修飾を含有し得る。更に、sdRNA分子は、本明細書に記載されるように、従来の及び先端的なステロール型分子などの疎水性結合に付着させることができる。sdRNA及びそのようなsdRNAを作製するための関連する方法は、例えば、米国特許出願公開第20160304873号、国際公開第2010033246号、国際公開第2017070151号、国際公開第2009102427号、国際公開第2011119887号、国際公開第2010033247A2号、国際公開第2009045457号、国際公開第2011119852号にも広範に記載されており、これらの全ては、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。sdRNAの構造、化学、標的位置、配列の優先度などを最適化するために、独自のアルゴリズムが開発され、sdRNAの効力予測に利用されている(例えば、米国特許出願公開第20160304873号を参照されたい)。これらの分析に基づいて、機能的なsdRNA配列は、一般的に、40%を超える確率で、1μMの濃度での発現において70%を超える低下を有するものとして定義されている。
[00350] 一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の70%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の75%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の80%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の85%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の90%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の95%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、標的遺伝子の発現の99%の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約0.25μM〜約4μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約0.25μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約0.5μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約0.75μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約1.0μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約1.25μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約1.5μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約1.75μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約2.0μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約2.25μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約2.5μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約2.75μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約3.0μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約3.25μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約3.5μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約3.75μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。一部の実施形態において、本発明で使用されるsdRNA配列は、約4.0μMの濃度で送達された場合、標的遺伝子の発現の低下を示す。
[00351] 一部の実施形態において、オリゴヌクレオチド剤は、治療剤の安定性及び/又は有効性を増加させ、処置される細胞又は組織へのオリゴヌクレオチドの効率的な送達を果たすための1つ以上の修飾を含む。そのような修飾には、2’−O−メチル修飾、2’−O−フルオロ修飾、ジホスホロチオエート修飾、2’F修飾ヌクレオチド、2’−O−メチル修飾及び/又は2’デオキシヌクレオチドが含まれ得る。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、例えば、ステロール、コレステロール、ビタミンD、ナフチル、イソブチル、ベンジル、インドール、トリプトファン及び/又はフェニルを含む1つ以上の疎水性修飾を含むように修飾される。更なる特定の実施形態において、化学的に修飾されたヌクレオチドは、ホスホロチオエート、2’−O−メチル、2’デオキシ、疎水性修飾及びホスホロチオエートの組み合わせである。一部の実施形態において、糖は修飾することができ、修飾された糖は、D−リボース、2’−O−アルキル(2’−O−メチル及び2’−O−エチルを含む)、即ち2’−アルコキシ、2’−アミノ、2’−S−アルキル、2’−ハロ(2’−フルオロを含む)、T−メトキシエトキシ、2’−アリルオキシ(−OCH2CH=CH2)、2’−プロパルギル、2’−プロピル、エチニル、エテニル、プロペニル及びシアノなどを含み得るが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、糖部分は、ヘキソースであり得、記載されるように、オリゴヌクレオチドに組み込まれ得る(Augustyns, K., et al., Nucl.Acids.Res.18:4711 (1992))。
[00352] 一部の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって二本鎖であり、即ち分子のいずれかの末端に突出する一本鎖配列がない、即ち平滑末端である。一部の実施形態において、個々の核酸分子は、異なる長さであり得る。換言すれば、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって二本鎖ではない。例えば、2つの別個の核酸分子が使用される場合、分子の1つ、例えばアンチセンス配列を含む第1の分子は、それにハイブリダイズする第2の分子より長いものであり得る(分子の一部が一本鎖のままである)。一部の実施形態において、単一の核酸分子が使用される場合、いずれかの端の分子の一部は一本鎖のままであり得る。
[00353] 一部の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、ミスマッチ及び/又はループ又はバルジを含有するが、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約70%にわたって二本鎖である。一部の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約80%にわたって二本鎖である。別の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約90%〜95%にわたって二本鎖である。一部の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの長さの少なくとも約96%〜98%にわたって二本鎖である。一部の実施形態において、本発明の二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも又は最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のミスマッチを含有する。
[00354] 一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、例えば、3’又は5’結合を修飾することにより、ヌクレアーゼから実質的に保護することができる(例えば、米国特許第5,849,902号及び国際公開第98/13526号)。例えば、オリゴヌクレオチドは、「ブロッキング基」を含めることによって耐性とすることができる。本明細書で使用される「ブロッキング基」という用語は、合成のための保護基又はカップリング基のいずれかとして、オリゴヌクレオチド又はヌクレオモノマーに結合できる置換基(例えば、OH基以外)を指す(例えば、FITC、プロピル(CH2−CH2−CH3)、グリコール(−O−CH2−CH2−O−)リン酸(PO3 2’’)、ホスホン酸水素又はホスホルアミダイト)。「ブロッキング基」は、修飾ヌクレオチド及び非ヌクレオチドエキソヌクレアーゼ耐性構造を含む、オリゴヌクレオチドの5’及び3’末端を保護する「末端ブロッキング基」又は「エキソヌクレアーゼブロッキング基」も含み得る。
[00355] 一部の実施形態において、sdRNA内の隣接するポリヌクレオチドの少なくとも一部は、置換結合、例えばホスホロチオエート結合によって結合される。
[00356] 一部の実施形態において、化学修飾は、少なくとも、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500の細胞取り込みの増強を導く。一部の実施形態において、C又はU残基の少なくとも1つは、疎水性修飾を含む。一部の実施形態において、複数のC及びUが疎水性修飾を含有する。一部の実施形態において、少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は少なくとも95%のC及びUは、疎水性修飾を含有し得る。一部の実施形態において、C及びUの全てが疎水性修飾を含有する。
[00357] 一部の実施形態において、sdRNA又はsd−rxRNAは、プロトン化可能なアミンの組み込みにより、sd−rxRNA分子のエンドソーム放出の増強を示す。一部の実施形態において、プロトン化可能なアミンは、センス鎖に組み込まれる(RISCローディング後に切り捨てられる分子の部分において)。一部の実施形態において、本発明のsdRNA化合物は、二重鎖領域(10〜15塩基長の効率的なRISCエントリーに必要)及び4〜12ヌクレオチド長の一本鎖領域を、13ヌクレオチドの二本鎖と共に含む、非対称化合物を含む。一部の実施形態において、6ヌクレオチドの一本鎖領域が利用される。一部の実施形態において、sdRNAの一本鎖領域は、2〜12個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合(ホスホロチオエート修飾と称される)を含む。一部の実施形態において、6〜8個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合が利用される。一部の実施形態において、本発明のsdRNA化合物は、安定性を提供し、RISCエントリーと適合性である、特有の化学修飾パターンも含む。
[00358] 例えば、ガイド鎖は、RISCエントリーに干渉することなく安定性を確認する任意の化学修飾によっても修飾され得る。一部の実施形態において、ガイド鎖の化学修飾パターンは、C及びUヌクレオチドの大部分が2’F修飾されており、5’末端がリン酸化されていることを含む。
[00359] 一部の実施形態において、sdRNA又はsd−rxRNAのヌクレオチドの少なくとも30%が修飾されている。一部の実施形態において、sdRNA又はsd−rxRNAのヌクレオチドの少なくとも30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%が修飾されている。一部の実施形態において、sdRNA又はsd−rxRNAのヌクレオチドの100%が修飾されている。
[00360] 一部の実施形態において、sdRNA分子は最小の二本鎖領域を有する。一部の実施形態において、二本鎖である分子の領域は、8〜15ヌクレオチド長の範囲である。一部の実施形態において、二本鎖である分子の領域は、8、9、10、11、12、13、14又は15ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、二本鎖領域は13ヌクレオチド長である。ガイド鎖とパッセンジャー鎖は100%相補性であり得るか、又はガイド鎖とパッセンジャー鎖との間で1つ以上のミスマッチがあり得る。一部の実施形態において、二本鎖分子の端部で、分子は平滑末端であるか、又は1ヌクレオチドのオーバーハングを有する。分子の一本鎖領域は、一部の実施形態において、4〜12ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、一本鎖領域は、4、5、6、7、8、9、10、11又は12ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態において、一本鎖領域は、4ヌクレオチド長未満又は12ヌクレオチド長超でもあり得る。特定の実施形態において、一本鎖領域は、6又は7ヌクレオチド長である。
[00361] 一部の実施形態において、sdRNA分子は増加した安定性を有する。一部の例において、化学修飾されたsdRNA又はsd−rxRNA分子は、任意の中間値を含み、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間より長いか、又は24時間を超える培地中での半減期を有する。一部の実施形態において、sd−rxRNAは、12時間より長い培地中での半減期を有する。
[00362] 一部の実施形態において、sdRNAは、効力の増大及び/又は毒性の低下について最適化される。一部の実施形態において、ガイド鎖及び/又はパッセンジャー鎖のヌクレオチド長及び/又はガイド鎖及び/又はパッセンジャー鎖におけるホスホロチオエート修飾の数は、一部の態様においてRNA分子の効力に影響し得、2’−フルオロ(2’F)修飾の2’−O−メチル(2’OMe)修飾での置換は、一部の態様において分子の毒性に影響し得る。一部の実施形態において、分子の2’F含有量の低下は、分子の毒性を低下させると予測される。一部の実施形態において、RNA分子におけるホスホロチオエート修飾の数は、細胞への分子の取り込み、例えば細胞への分子の受動的取り込みの効率に影響し得る。一部の実施形態において、sdRNAは2’F修飾を有しないが、細胞取り込み及び組織浸透における同等の効力を特徴とする。
[00363] 一部の実施形態において、ガイド鎖は、長さがおよそ18〜19ヌクレオチドであり、およそ2〜14のリン酸修飾を有する。例えば、ガイド鎖は、リン酸修飾された2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は14を超えるヌクレオチドを含有し得る。ガイド鎖は、RISCエントリーに干渉することなく安定性の増加を付与する1つ以上の修飾を含有し得る。ホスホロチオエート修飾ヌクレオチドなどのリン酸修飾ヌクレオチドは、3’末端、5’末端にあるか、又はガイド鎖全体に広がり得る。一部の実施形態において、ガイド鎖の3’末端の10ヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含有する。ガイド鎖は、分子全体にも位置し得る、2’F及び/又は2’OMe修飾を含有し得る。一部の実施形態において、ガイド鎖の1位のヌクレオチド(ガイド鎖の最も5’位のヌクレオチド)は、2’OMe修飾及び/又はリン酸化されている。ガイド鎖内のC及びUヌクレオチドは2’F修飾され得る。例えば、19ntのガイド鎖の2〜10位(又は異なる長さのガイド鎖の対応する位置)のC及びUヌクレオチドは、2’F修飾され得る。ガイド鎖内のC及びUヌクレオチドはまた、2’OMe修飾され得る。例えば、19ntのガイド鎖の11〜18位(又は異なる長さのガイド鎖の対応する位置)のC及びUヌクレオチドは、2’OMe修飾され得る。一部の実施形態において、ガイド鎖の最も3’末端のヌクレオチドは修飾されていない。特定の実施形態において、ガイド鎖内のC及びUの大部分は2’F修飾されており、ガイド鎖の5’末端はリン酸化されている。他の実施形態において、1位及び11〜18位のC又はUは2’OMe修飾されており、ガイド鎖の5’末端はリン酸化されている。他の実施形態において、1位及び11〜18位のC又はUは2’OMe修飾されており、ガイド鎖の5’末端はリン酸化されており、2〜10位のC又はUは2’F修飾されている。
[00364] 自己送達可能なRNAi技術は、追加の製剤又は技術を必要とすることなく、RNAi剤で細胞を直接トランスフェクトする方法を提供する。トランスフェクトが困難な細胞株をトランスフェクトする能力、高いインビボ活性及び使用の簡単さは、従来のsiRNAベースの技術に対して有意な機能的利点を提供する組成物及び方法の特徴であり、そのため、sdRNA方法は、本発明のTIL、PBL及び/又はMILにおける標的遺伝子の発現を低下させる方法に関するいくつかの実施形態で利用される。sdRNAi方法は、化学合成された化合物を、エクスビボとインビボの両方で、広範な初代細胞及び組織に直接送達することを可能にする。本明細書の本発明の一部の実施形態に記載されているsdRNAは、Advirna LLC, Worcester, MA, USAから市販されている。
[00365] sdRNAは、疎水的に修飾されたsiRNA−アンチセンスオリゴヌクレオチドハイブリッド構造として形成され、例えば全体として参照により本明細書に援用されるByrne et al.,December 2013, J. Ocular Pharmacology and Therapeutics, 29(10):855-864に開示される。
[00366] 一部の実施形態において、sdRNAオリゴヌクレオチドは、滅菌エレクトロポレーションを使用して、本明細書に記載のTIL、PBL及び/又はMILに送達され得る。特定の実施形態において、方法は、sdRNAオリゴヌクレオチドを送達するためのTIL、PBL及び/又はMILの集団の滅菌エレクトロポレーションを含む。
[00367] 一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、膜貫通送達システムと組み合わせて細胞に送達することができる。一部の実施形態において、この膜貫通送達システムは、脂質、ウイルスベクターなどを含む。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチド剤は、いかなる送達剤も必要としない自己送達RNAi剤である。特定の実施形態において、方法は、sdRNAオリゴヌクレオチドをTIL、PBL及び/又はMILの集団に送達するための膜貫通送達システムの使用を含む。
[00368] オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド組成物は、本明細書に記載のTIL、PBL及び/又はMILと接触し(例えば、接触させられ、本明細書では投与又は送達とも称される)、取り込まれ、これはTIL、PBL及び/又はMILによる受動的取り込みを通したものを含む。sdRNAは、第1の拡大培養中、例えばステップB、第1の拡大培養後、例えばステップC中、第2の拡大培養前又は中、例えばステップD前又は中、ステップD後且つステップEでの回収前、ステップFでの回収中又は後、ステップFでの最終製剤及び/又は輸注バッグへの移動前又は中並びにステップFでの任意選択による任意の凍結保存ステップ前に、本明細書に記載されるようにTIL、PBL及び/又はMILに添加され得る。更に、sdRNAは、ステップFでの任意の凍結保存ステップから解凍した後に追加され得る。一実施形態において、PD−1、LAG−3、TIM−3、CISH及びCBLBを含む、本明細書に記載の1つ以上のsdRNA標的化遺伝子は、TIL、PBL及び/又はMIL並びに他の薬剤を100nM〜20mM、200nM〜10mM、500nm〜1mM、1μM〜100μM及び1μM〜100μMからなる群から選択される濃度で含む細胞培養培地に添加され得る。一実施形態において、PD−1、LAG−3、TIM−3、CISH及びCBLBを含む、本明細書に記載の1つ以上のsdRNA標的化遺伝子は、TIL、PBL及び/又はMIL並びに他の薬剤を、0.1μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、0.5μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、0.75μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、1μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、1.25μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、1.5μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、2μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地、5μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地又は10μM sdRNA/10,000TIL、PBL及び/又はMIL/100μL培地からなる群から選択される量で含む細胞培養培地に添加され得る。一実施形態において、PD−1、LAG−3、TIM−3、CISH及びCBLBを含む、本明細書に記載の1つ以上のsdRNA標的化遺伝子は、プレREP又はREP段階中、1日2回、1日1回、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は7日ごとにTIL培養物に添加され得る。
[00369] sdRNAを含む本発明のオリゴヌクレオチド組成物は、例えば、細胞培養培地中に高濃度でsdRNAを溶解し、受動的取り込みが発生するのに十分な時間を与えることにより、拡大培養プロセス中に本明細書に記載のTIL、PBL及び/又はMILと接触させることができる。特定の実施形態において、本発明の方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団を、本明細書に記載のオリゴヌクレオチド組成物と接触させることを含む。特定の実施形態において、方法は、オリゴヌクレオチド、例えば細胞培養培地中のsdRNAを溶解し、細胞培養培地をTIL、PBL及び/又はMILの集団と接触させることを含む。TIL、PBL及び/又はMILは、本明細書に記載されるように、第1の集団、第2の集団及び/又は第3の集団であり得る。
[00370] 一部の実施形態において、細胞へのオリゴヌクレオチドの送達は、リン酸カルシウム、DMSO、グリセロール又はデキストラン、エレクトロポレーションを含む、技術分野で認められた適切な方法により、又はトランスフェクション、例えば当技術分野で公知の方法を使用するカチオン性、アニオン性若しくは中性脂質組成物又はリポソームを使用するトランスフェクションにより増強され得る(例えば、国際公開第90/14074号;国際公開第91/16024号;国際公開第91/17424号;米国特許第4,897,355号;Bergan et a 1993.Nucleic Acids Research.21 :3567を参照されたい)。
[00371] 一部の実施形態において、標的遺伝子の発現を低下させるために2つ以上のsdRNAが使用される。一部の実施形態において、PD−1、TIM−3、CBLB、LAG3及び/又はCISH標的化sdRNAの1つ以上が一緒に使用される。一部の実施形態において、PD−1 sdRNAは、2つ以上の遺伝子標的の発現を低下させるために、TIM−3、CBLB、LAG3及び/又はCISHの1つ以上と共に使用される。一部の実施形態において、LAG3 sdRNAは、両方の標的の遺伝子発現を減少させるために、CISH標的化sdRNAと組み合わせて使用される。一部の実施形態において、本明細書のPD−1、TIM−3、CBLB、LAG3及び/又はCISHの1つ以上を標的とするsdRNAは、Advirna LLC, Worcester, MA, USAから市販されている。
[00372] 一部の実施形態において、sdRNAは、PD−1、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、sdRNAは、PD−1、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAは、PD−1を標的とし、別のsdRNAは、LAG3、TIM3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PKA、CBLB、BAFF(BR3)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、sdRNAは、PD−1、LAG−3、CISH、CBLB、TIM3及びそれらの組み合わせから選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、sdRNAは、PD−1と、LAG3、CISH、CBLB、TIM3及びそれらの組み合わせの1つとから選択される遺伝子を標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはPD−1を標的とし、1つのsdRNAはLAG3を標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはPD−1を標的とし、1つのsdRNAはCISHを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはPD−1を標的とし、1つのsdRNAはCBLBを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはLAG3を標的とし、1つのsdRNAはCISHを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはLAG3を標的とし、1つのsdRNAはCBLBを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはCISHを標的とし、1つのsdRNAはCBLBを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはTIM3を標的とし、1つのsdRNAはPD−1を標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはTIM3を標的とし、1つのsdRNAはLAG3を標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはTIM3を標的とし、1つのsdRNAはCISHを標的とする。一部の実施形態において、1つのsdRNAはTIM3を標的とし、1つのsdRNAはCBLBを標的とする。
[00373] 上述のように、本発明の実施形態は、それらの治療効果を増強するために、遺伝子編集を介して遺伝子改変されたTIL、PBL及び/又はMILを提供する。本発明の実施形態は、1つ以上のタンパク質の発現の促進及び1つ以上のタンパク質の発現の阻害の両方並びにそれらの組み合わせのために、TIL、PBL及び/又はMILの集団へのヌクレオチド挿入(RNA又はDNA)による遺伝子編集を包含する。本発明の実施形態は、TIL、PBL及び/又はMILを治療集団に拡大培養するための方法も提供し、方法は、TIL、PBL及び/又はMILを遺伝子編集することを含む。本発明に従う使用に適した、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変するために使用され得るいくつかの遺伝子編集技術が存在する。
[00374] 一部の実施形態において、方法は、1つ以上のタンパク質を産生するための遺伝子の安定した組み込みのステップを含む、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法を含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、レトロウイルス形質導入のステップを含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、レンチウイルス形質導入のステップを含む。レンチウイルス形質導入システムは当技術分野で公知であり、例えばLevine, et al., Proc.Nat’l Acad.Sci.2006, 103, 17372-77;Zufferey, et al., Nat.Biotechnol.1997, 15, 871-75;Dull, et al., J. Virology 1998, 72, 8463-71及び米国特許第6,627,442号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、ガンマレトロウイルス形質導入のステップを含む。ガンマレトロウイルス形質導入システムは当技術分野で公知であり、例えばCepko and Pear, Cur.Prot.Mol.Biol.1996, 9.9.1-9.9.16に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、トランスポゾン媒介遺伝子移入のステップを含む。トランスポゾン媒介遺伝子移入システムは、当技術分野で公知であり、トランスポサーゼの長期発現がトランスジェニック細胞で発生しないように、トランスポサーゼがDNA発現ベクターとして、又は発現可能なRNA又はタンパク質、例えばmRNA(例えば、キャップ及びポリAテールを含むmRNA)として提供されるトランスポサーゼとして提供されるシステムを含む。SB10、SB11及びSB100x並びに酵素活性が増加した人工酵素など、サケ科型のTel様トランスポサーゼ(SB又はSleeping Beautyトランスポザーゼ)を含む適切なトランスポゾン媒介遺伝子移入システムは、例えば、Hackett, et al., Mol.Therapy 2010, 18, 674-83及び米国特許第6,489,458号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00375] 一実施形態において、方法は、TIL、PBL及び/又はMILの集団、例えば本明細書に記載の第1の集団、第2の集団及び/又は第3の集団を遺伝子改変する方法を含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、1つ以上のタンパク質を産生又は阻害(例えば、サイレンシング)するための遺伝子の安定した組み込みのステップを含む。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、エレクトロポレーションのステップを含む。エレクトロポレーション法は当技術分野で公知であり、例えばTsong, Biophys.J.1991, 60, 297-306及び米国特許出願公開第2014/0227237A1号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第5,019,034号;同第5,128,257号;同第5,137,817号;同第5,173,158号;同第5,232,856号;同第5,273,525号;同第5,304,120号;同第5,318,514号;同第6,010,613号及び同第6,078,490号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなど、当技術分野で公知の他のエレクトロポレーション法を使用し得る。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、滅菌エレクトロポレーション法である。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、パルスエレクトロポレーション法である。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、TIL、PBL及び/又はMILをパルス電界で処理して、TIL、PBL及び/又はMILの定義及び制御された恒久性又は一過性の変化を変更、操作又は引き起こすステップを含む、パルスエレクトロポレーション法であり、これは、100V/cm以上の電界強度を有する、オペレーターが制御する、独立してプログラムされた、少なくとも3つの単一のDC電気パルスの一連をTIL、PBL及び/又はMILに適用するステップを含み、ここで、少なくとも3つのDC電気パルスの一連は、以下の特徴の1つ、2つ又は3つを有する:(1)少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス振幅が互いに異なる;(2)少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス幅が互いに異なる;及び(3)少なくとも3つのパルスの2つの第1のセットの第1のパルス間隔は、少なくとも3つのパルスの2つの第2のセットの第2のパルス間隔と異なる。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、TIL、PBL及び/又はMILをパルス電界で処理して、TIL、PBL及び/又はMILの定義及び制御された恒久性又は一過性の変化を変更、操作又は引き起こすステップを含む、パルスエレクトロポレーション法であり、これは、100V/cm以上の電界強度を有する、オペレーターが制御する、独立してプログラムされた、少なくとも3つの単一のDC電気パルスの一連をTIL、PBL及び/又はMILに適用するステップを含み、ここで、少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス振幅が互いに異なっている。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、TIL、PBL及び/又はMILをパルス電界で処理して、TIL、PBL及び/又はMILの定義及び制御された恒久性又は一過性の変化を変更、操作又は引き起こすステップを含む、パルスエレクトロポレーション法であり、これは、100V/cm以上の電界強度を有する、オペレーターが制御する、独立してプログラムされた、少なくとも3つの単一のDC電気パルスの一連をTIL、PBL及び/又はMILに適用するステップを含み、ここで、少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス幅が互いに異なっている。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、TIL、PBL及び/又はMILをパルス電界で処理して、TIL、PBL及び/又はMILの定義及び制御された恒久性又は一過性の変化を変更、操作又は引き起こすステップを含む、パルスエレクトロポレーション法であり、これは、100V/cm以上の電界強度を有する、オペレーターが制御する、独立してプログラムされた、少なくとも3つの単一のDC電気パルスの一連をTIL、PBL及び/又はMILに適用するステップを含み、ここで、少なくとも3つのパルスの2つの第1のセットの第1のパルス間隔は、少なくとも3つのパルスの2つの第2のセットの第2のパルス間隔と異なる。一実施形態において、エレクトロポレーション法は、TIL、PBL及び/又はMILをパルス電界で処理して、TIL、PBL及び/又はMILにおける細孔形成を誘導するステップを含む、パルスエレクトロポレーション法であり、これは、100V/cm以上の電界強度を有する、少なくとも3つのDC電気パルスの一連をTIL、PBL及び/又はMILに適用するステップを含み、ここで、少なくとも3つのDC電気パルスの一連は、誘導された細孔が比較的長期間持続するように、且つTIL、PBL及び/又はMILの生存率が維持されるように、以下の特徴の1つ、2つ又は3つを有する:(1)少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス振幅が互いに異なる;(2)少なくとも3つのパルスの少なくとも2つは、パルス幅が互いに異なる;及び(3)少なくとも3つのパルスの2つの第1のセットの第1のパルス間隔は、少なくとも3つのパルスの2つの第2のセットの第2のパルス間隔と異なる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションのステップを含む。リン酸カルシウムトランスフェクション法(リン酸カルシウムDNA沈殿、細胞表面コーティング及びエンドサイトーシス)は当技術分野で公知であり、Graham and van der Eb, Virology 1973, 52, 456-467;Wigler, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.1979, 76, 1373-1376;及びChen and Okayarea, Mol.Cell.Biol.1987, 7, 2745-2752;並びに米国特許第5,593,875号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、リポソームトランスフェクションのステップを含む。濾過水中のカチオン性脂質N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−n,n,n−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)及びジオレオイルホスフォチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1(w/w)リポソーム製剤を使用する方法などのリポソームトランスフェクション法は当技術分野で公知であり、Rose, et al., Biotechniques 1991, 10, 520-525及びFelgner, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 1987, 84, 7413-7417並びに米国特許第5,279,833号;米国特許第5,908,635号;米国特許第6,056,938号;米国特許第6,110,490号;米国特許第6,534,484号;及び米国特許第7,687,070号に記載されており、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子改変する方法は、米国特許第5,766,902号;米国特許第6,025,337号;米国特許第6,410,517号;米国特許第6,475,994号;及び米国特許第7,189,705号に記載の方法を使用したトランスフェクションのステップを含み、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。TIL、PBL及び/又はMILは、本明細書に記載されるように、TIL、PBL及び/又はMILの第1の集団、第2の集団及び/又は第3の集団であり得る。
[00376] 一実施形態によると、遺伝子編集プロセスは、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子における二本鎖又は一本鎖切断の生成を媒介するプログラム可能なヌクレアーゼの使用を含み得る。このようなプログラム可能なヌクレアーゼは、特定のゲノム遺伝子座に切断を導入することにより、正確なゲノム編集を可能にする。即ち、それらは、ゲノム内の特定のDNA配列の認識に依存して、ヌクレアーゼドメインをこの位置に標的化し、標的配列での二本鎖切断の生成を媒介する。DNAにおける二本鎖切断は、その後、内因性修復機構を切断部位に動員して、非相同末端結合(NHEJ)又は相同性指向修復(HDR)によるゲノム編集を媒介する。従って、切断の修復は、標的遺伝子産物を破壊(例えば、サイレンシング、抑制又は増強)する、挿入/欠失変異の導入をもたらし得る。
[00377] 部位特異的なゲノム編集を可能にするために開発されたヌクレアーゼの主要なクラスには、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN)及びCRISPR関連ヌクレアーゼ(例えば、CRISPR/Cas9)が含まれる。これらのヌクレアーゼシステムは、DNA認識のモードに基づいて、大きく2つのカテゴリに分類できる。ZFN及びTALENはタンパク質−DNA相互作用を介して特定のDNA結合を達成し、その一方で、Cas9などのCRISPRシステムは、標的DNAと直接塩基対を形成する短鎖RNAガイド分子により、且つタンパク質−DNA相互作用により、特定のDNA配列に標的化される。例えば、Cox et al., Nature Medicine, 2015, Vol. 21, No. 2を参照されたい。
[00378] 本発明のTIL拡大培養方法に従って使用され得る遺伝子編集方法の非限定的な例には、CRISPR法、TALE法及びZFN法が含まれ、これらは以下により詳細に記載される。一実施形態によると、TIL、PBL及び/又はMILを治療集団に拡大培養する方法は、本明細書に記載される方法の任意の実施形態(例えば、GEN3プロセス)に従って又はPCT/米国特許出願公開第2017/058610号、PCT/米国特許出願公開第2018/012605号若しくはPCT/米国特許出願公開第2018/012633号に記載されるように実行され得、ここで、方法は、増強された治療効果を提供できるTIL、PBL及び/又はMILを生成するために、CRISPR法、TALE法又はZFN法の1つ以上によるTIL、PBL及び/又はMILの少なくとも一部の遺伝子編集を更に含む。一実施形態によると、遺伝子編集されたTIL、PBL及び/又はMILは、それらをインビトロで非修飾TIL、PBL及び/又はMILと比較することにより、例えばインビトロでのエフェクター機能、サイトカインプロファイルなどを、未修飾のTIL、PBL及び/又はMILと比較して評価することにより、治療効果の改善について評価され得る。特定の実施形態において、方法は、CRISPR、TALE及び/又はZFN法を使用して、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子編集することを含む。
[00379] 本発明の一部の実施形態において、エレクトロポレーションは、CRISPR、TALEN及びZFNシステムなどの遺伝子編集システムの送達に使用される。本発明の一部の実施形態において、エレクトロポレーションシステムは、フローエレクトロポレーションシステムである。本発明の一部の実施形態での使用に適した適切なフローエレクトロポレーションシステムの例は、市販のMaxCyte STXシステムである。BTX-Harvard Apparatusから市販のAgilePulseシステム若しくはECM 830、Cellaxess Elektra (Cellectricon)、Nucleofector(Lonza/Amaxa)、GenePulser MXcell(BIORAD)、iPorator-96(Primax)又はsiPORTer96(Ambion)など、本発明での使用に適している可能性のあるいくつかの代替の市販のエレクトロポレーション機器が存在する。本発明の一部の実施形態において、エレクトロポレーションシステムは、TIL拡大培養方法の残部を備えた閉鎖滅菌システムを形成する。本発明の一部の実施形態において、エレクトロポレーションシステムは、本明細書に記載のパルスエレクトロポレーションシステムであり、TIL拡大培養方法の残部を備えた閉鎖滅菌システムを形成する。
[00380] TIL、PBL及び/又はMILを治療集団に拡大培養する方法は、本明細書に記載される方法の任意の実施形態(例えば、プロセスGEN3)に従って又はPCT/米国特許出願公開第2017/058610号、PCT/米国特許出願公開第2018/012605号若しくはPCT/米国特許出願公開第2018/012633号に記載されるように実行され得、方法は、CRISPR法(例えば、CRISPR/Cas9又はCRISPR/Cpf1)によるTIL、PBL及び/又はMILの少なくとも一部の遺伝子編集を更に含む。特定の実施形態によると、TIL拡大培養プロセス中のCRISPR法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、サイレンシングさせるか、又は低下させる。代わりに、TIL拡大培養プロセス中のCRISPR法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、増強させる。
[00381] CRISPRは、「クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート」を表す。遺伝子編集にCRISPRシステムを使用する方法は、本明細書ではCRISPR法とも称される。RNA及びCasタンパク質を組み込んでおり、本発明に従って使用され得る3つのタイプのCRISPRシステム:タイプI、II及びIIIが存在する。タイプII CRISPR(Cas9により例示される)は、最もよく特徴付けられたシステムの1つである。
[00382] CRISPR技術は、細菌及び古細菌(単細胞微生物のドメイン)の天然の防御メカニズムから適応された。これらの生物は、CRISPR由来のRNA及びCas9を含む様々なCasタンパク質を使用して、外来の侵入者のDNAを切り刻んで破壊することにより、ウイルス及び他の異物による攻撃を阻止する。CRISPRは、ヌクレオチド反復及びスペーサーの存在という2つの異なる特徴を持つDNAの特殊な領域である。ヌクレオチドの反復配列はCRISPR領域全体に分布し、外来DNA(スペーサー)の短いセグメントが反復配列間に散在している。タイプII CRISPR/Casシステムでは、スペーサーがCRISPRゲノム遺伝子座内に統合され、転写されて短いCRISPR RNA(crRNA)に処理される。これらのcrRNAは、トランス活性化crRNA(tracrRNA)にアニーリングし、Casタンパク質による病原性DNAの配列特異的な切断及びサイレンシングを指示する。Cas9タンパク質による標的認識には、crRNA内の「シード」配列及びcrRNA結合領域の上流にある保存されたジヌクレオチド含有プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が必要である。これにより、CRISPR/Casシステムを再標的化して、crRNAを再設計することにより、事実上あらゆるDNA配列を切断することができる。天然のシステムにおけるcrRNAとtracrRNAは、遺伝子工学における使用のために、およそ100ヌクレオチドの単一ガイドRNA(sgRNA)に単純化することができる。CRISPR/Casシステムは、Cas9エンドヌクレアーゼ及び必要なcrRNA成分を発現するプラスミドの同時送達により、ヒト細胞に直接移植することができる。Casタンパク質の異なるバリアントは、標的化の制限を減らすために使用され得る(例えば、Cpf1などのCas9のオルソログ)。
[00383] CRISPR法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することによりサイレンシング又は阻害され得る遺伝子の非限定的な例には、PD−1、CTLA−4、LAG−3、HAVCR2(TIM−3)、Cish、TGFβ、PKA、CBL−B、PPP2CA、PPP2CB、PTPN6、PTPN22、PDCD1、BTLA、CD160、TIGIT、CD96、CRTAM、LAIR1、SIGLEC7、SIGLEC9、CD244、TNFRSF10B、TNFRSF10A、CASP8、CASP10、CASP3、CASP6、CASP7、FADD、FAS、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD10、SKI、SKIL、TGIF1、IL10RA、IL10RB、HMOX2、IL6R、IL6ST、EIF2AK4、CSK、PAG1、SIT1、FOXP3、PRDM1、BATF、GUCY1A2、GUCY1A3、GUCY1B2及びGUCY1B3が含まれる。
[00384] CRISPR法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することにより増強され得る遺伝子の非限定的な例には、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1、IL−2、IL12、IL−15及びIL−21が含まれる。
[00385] 本発明の実施形態に従って使用され得る、CRISPR法による標的遺伝子配列の発現を変化させるためのシステム、方法及び組成物の例は、米国特許第8,697,359号;米国特許第8,993,233号;米国特許第8,795,965号;米国特許第8,771,945号;米国特許第8,889,356号;米国特許第8,865,406号;米国特許第8,999,641号;米国特許第8,945,839号;米国特許第8,932,814号;米国特許第8,871,445号;米国特許第8,906,616号;及び米国特許第8,895,308号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。CRISPR/Cas9及びCRISPR/Cpf1を発現するためのプラスミドなど、CRISPR法を実行するための資源は、GenScriptなどの企業から市販されている。
[00386] 一実施形態において、本明細書に記載されるTIL、PBL及び/又はMILの集団の遺伝子改変は、米国特許第9790490号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるCRISPR/Cpf1システムを使用して実行され得る。
[00387] TIL、PBL及び/又はMILを治療集団に拡大培養する方法は、本明細書に記載される方法の任意の実施形態(例えば、プロセス2A)に従って又はPCT/米国特許出願公開第2017/058610号、PCT/米国特許出願公開第2018/012605号若しくはPCT/米国特許出願公開第2018/012633号に記載されるように実行され得、方法は、TALE法によるTIL、PBL及び/又はMILの少なくとも一部の遺伝子編集を更に含む。特定の実施形態によると、TIL拡大培養プロセス中のTALE法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、サイレンシングさせるか、又は低下させる。代わりに、TIL拡大培養プロセス中のTALE法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、増強させる。
[00388] TALEは、「転写アクティベーター様エフェクター」タンパク質を表し、これは、TALEN(「転写アクティベーター様エフェクターヌクレアーゼ」)を含む。遺伝子編集にTALEシステムを使用する方法は、本明細書ではTALE法とも称され得る。TALEは、植物病原性細菌のキサントモナス(Xanthomonas)属からの天然に存在するタンパク質であり、それぞれが単一の塩基対を認識する一連の33〜35−アミノ酸反復ドメインで構成されるDNA結合ドメインを含有する。TALEの特異性は、反復可変二残基(RVD)として知られる2つの超可変アミノ酸によって決定される。モジュラーTALE反復は、隣接するDNA配列を認識するために連結されている。DNA結合ドメインにおける特定のRVDは、標的遺伝子座の塩基を認識し、予測可能なDNA結合ドメインを組み立てるための構造的特徴を提供する。TALEのDNA結合ドメインは、IIS型FokIエンドヌクレアーゼの触媒ドメインに融合されて、標的化可能なTALEヌクレアーゼが作製される。部位特異的変異を誘導するために、14〜20塩基対のスペーサー領域で分離された2つの個別のTALENアームがFokIモノマーを近接させて、二量体化して標的化された二本鎖切断を生成する。
[00389] 様々な組み立て方法を利用したいくつかの大規模で体系的な研究により、TALE反復を組み合わせて、事実上あらゆるユーザー定義の配列を認識することができることが示されている。カスタム設計のTALEアレイは、Cellectis Bioresearch(Paris, France)、Transposagen Biopharmaceuticals(Lexington, KY, USA)及びLife Technologies(Grand Island, NY, USA)からも市販されている。本発明における使用に適したTALE及びTALEN法は、米国特許出願公開第2011/0201118A1号;同第2013/0117869A1号;同第2013/0315884A1号;同第2015/0203871A1号及び同第2016/0120906A1号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
[00390] TALE法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することによりサイレンシング又は抑制され得る遺伝子の非限定的な例には、PD−1、CTLA−4、LAG−3、HAVCR2(TIM−3)、Cish、TGFβ、PKA、CBL−B、PPP2CA、PPP2CB、PTPN6、PTPN22、PDCD1、BTLA、CD160、TIGIT、CD96、CRTAM、LAIR1、SIGLEC7、SIGLEC9、CD244、TNFRSF10B、TNFRSF10A、CASP8、CASP10、CASP3、CASP6、CASP7、FADD、FAS、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD10、SKI、SKIL、TGIF1、IL10RA、IL10RB、HMOX2、IL6R、IL6ST、EIF2AK4、CSK、PAG1、SIT1、FOXP3、PRDM1、BATF、GUCY1A2、GUCY1A3、GUCY1B2及びGUCY1B3が含まれる。
[00391] TALE法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することにより増強され得る遺伝子の非限定的な例には、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1、IL−2、IL12、IL−15及びIL−21が含まれる。
[00392] 本発明の実施形態に従って使用され得る、TALE法による標的遺伝子配列の発現を変化させるためのシステム、方法及び組成物の例は、米国特許第8,586,526号に記載されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
[00393] TIL、PBL及び/又はMILを治療集団に拡大培養する方法は、本明細書に記載される方法の任意の実施形態(例えば、プロセスGEN3)に従って又はPCT/米国特許出願公開第2017/058610号、PCT/米国特許出願公開第2018/012605号若しくはPCT/米国特許出願公開第2018/012633号に記載されるように実行され得、方法は、ジンクフィンガー又はジンクフィンガーヌクレアーゼ法によるTIL、PBL及び/又はMILの少なくとも一部の遺伝子編集を更に含む。特定の実施形態によると、TIL拡大培養プロセス中のジンクフィンガー法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、サイレンシングさせるか、又は低下させる。代わりに、TIL拡大培養プロセス中のジンクフィンガー法の使用は、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子の発現を、TIL、PBL及び/又はMILの治療集団の少なくとも一部において、増強させる。
[00394] 個々のジンクフィンガーには、保存されたββα構成でおよそ30アミノ酸が含有される。α−ヘリックスの表面にあるいくつかのアミノ酸は、典型的には、DNAの主要な溝の3bpと、異なる選択性のレベルで接触する。ジンクフィンガーは、2つのタンパク質ドメインを有する。第1のドメインは、真核生物の転写因子を含み、ジンクフィンガーを含有するDNA結合ドメインである。第2のドメインは、ヌクレアーゼドメインであり、FokI制限酵素を含み、DNAの触媒的切断の原因である。
[00395] 個別のZFNのDNA結合ドメインは、典型的には3〜6個の個別のジンクフィンガー反復を含有し、それぞれ9〜18塩基対を認識できる。ジンクフィンガードメインが目的の標的部位に特異的である場合、合計18塩基対を認識する1組の3フィンガーZFNでも、理論的には哺乳動物ゲノムの単一の遺伝子座を標的とすることができる。新しいジンクフィンガーアレイを生成する方法の1つは、既知の特異性を有する小さいジンクフィンガー「モジュール」を組み合わせることである。最も一般的なモジュラー組み立てプロセスは、3塩基対のDNA配列をそれぞれ認識できる3つの別個のジンクフィンガーを組み合わせて、9塩基対の標的部位を認識できる3フィンガーアレイを生成することを含む。代わりに、オリゴマー化プールエンジニアリング(OPEN)などの選択ベースのアプローチを使用して、近接するフィンガー間の状況依存的相互作用を考慮した無作為化ライブラリーから新しいジンクフィンガーアレイを選択することができる。設計されたジンクフィンガーは市販されており、Sangamo Biosciences(Richmond, CA, USA)は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO, USA)と提携して、ジンクフィンガー構築物のための適切なプラットフォーム(CompoZr(登録商標))を開発した。
[00396] ジンクフィンガー法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することによりサイレンシング又は阻害され得る遺伝子の非限定的な例には、PD−1、CTLA−4、LAG−3、HAVCR2(TIM−3)、Cish、TGFβ、PKA、CBL−B、PPP2CA、PPP2CB、PTPN6、PTPN22、PDCD1、BTLA、CD160、TIGIT、CD96、CRTAM、LAIR1、SIGLEC7、SIGLEC9、CD244、TNFRSF10B、TNFRSF10A、CASP8、CASP10、CASP3、CASP6、CASP7、FADD、FAS、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD10、SKI、SKIL、TGIF1、IL10RA、IL10RB、HMOX2、IL6R、IL6ST、EIF2AK4、CSK、PAG1、SIT1、FOXP3、PRDM1、BATF、GUCY1A2、GUCY1A3、GUCY1B2及びGUCY1B3が含まれる。
[00397] ジンクフィンガー法を介してTIL、PBL及び/又はMILを恒久的に遺伝子編集することにより増強され得る遺伝子の非限定的な例には、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1、IL−2、IL12、IL−15及びIL−21が含まれる。
[00398] 本発明の実施形態に従って使用され得る、ジンクフィンガー法による標的遺伝子配列の発現を変化させるためのシステム、方法及び組成物の例は、米国特許第6,534,261号、米国特許第6,607,882号、米国特許第6,746,838号、米国特許第6,794,136号、米国特許第6,824,978号、米国特許第6,866,997号、米国特許第6,933,113号、米国特許第6,979,539号、米国特許第7,013,219号、米国特許第7,030,215号、米国特許第7,220,719号、米国特許第7,241,573号、米国特許第7,241,574号、米国特許第7,585,849号、米国特許第7,595,376号、米国特許第6,903,185号及び米国特許第6,479,626号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
[00399] 本発明の実施形態に従って使用され得る、ジンクフィンガー法による標的遺伝子配列の発現を変化させるためのシステム、方法及び組成物の他の例は、Beane, et al., Mol.Therapy, 2015, 23 1380-1390に記載されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
キメラ抗原受容体及び遺伝子改変T細胞受容体
[00400] 一部の実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILは、任意選択により、限定されるものではないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えばMAGE−1、HER2若しくはNY−ESO−1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR又は腫瘍関連細胞表面分子(例えば、メソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えば、CD19)に結合するキメラ抗原受容体(CAR)を含め、追加的な機能性を含むように遺伝子改変される。特定の実施形態において、方法は、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えばMAGE−1、HER2若しくはNY−ESO−1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCR又は腫瘍関連細胞表面分子(例えば、メソテリン)若しくは系統限定的細胞表面分子(例えば、CD19)に結合するCARを含むように、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子操作することを含む。特定の実施形態において、方法は、CD19、CD20、CD19及びCD20(二重特異性)、CD30、CD33、CD123、PSMA、メソテリン、CE7、HER2/neu BCMA、EGFRvIII、HER2/CMV、IL13Rα2、ヒトC4葉酸受容体−アルファ(αFR)又はGD2に特異的なCARを含むように、TIL、PBL及び/又はMILの集団を遺伝子編集することを含む。
[00401] 一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、CARの発現を通じて抗原を標的とするように遺伝子改変される。一部の実施形態において、本発明のTIL、PBL及び/又はMILは、T細胞シグナル伝達分子の少なくとも1つのエンドドメインに融合された単鎖可変断片抗体を含むCARをコードする核酸を含む発現ベクターで形質導入される。一部の実施形態において、形質導入ステップは、拡大培養プロセス中のいつでも行われる。一部の実施形態において、形質導入ステップは、拡大培養した細胞が回収された後に行われる。一部の実施形態において、本発明のTIL、PBL及び/又はMILは、CARの発現が可能なポリヌクレオチドを含む。
[00402] 一実施形態において、CAR又はCARをコードするヌクレオチドは、米国特許第9,328,156号;同第8,399,645号;同第7,446,179号;同第6,410,319号;同第7,446,190号及び米国特許出願公開第2015/0038684号;同第2015/0031624号;同第2014/0301993A1号;同第2014/0271582A1号;同第2015/0051266A1号;同第2014/0322275A1号;及び同第2014/0004132A1号の開示に従って調製及び形質導入され、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第9,328,156号では、B細胞リンパ腫、特にCLLを有する患者を処置するためにCAR−T細胞が調製され、そこで考察されている実施形態は本発明において有用である。例えば、CD19抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、4−1BB共刺激シグナル伝達領域及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインを発現するCAR−T細胞は、本発明において有用である。本発明の一実施形態において、CARは、標的特異的結合要素又は抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを含む。造血器腫瘍抗原(抗体結合ドメイン用)は当技術分野で周知であり、例えばCD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33/IL3Ra、c−Met、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD−2、NY−ESO−1 TCR、MAGE A3 TCRなどを含む。一実施形態において、膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ又はゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154を含み、合成であり得る。一実施形態において、細胞質又はシグナル伝達ドメインは、TCRゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ゼータ、CD5、CD22、CD79a、CD79b又はCD66dドメインの一部又は全てを含む。本発明の一実施形態において、細胞質又はシグナル伝達ドメインは、共刺激分子、例えばCD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、MC又はCD83と特異的に結合するリガンドなども含み得る。
[00403] 本発明の一実施形態において、CAR改変TIL、PBL及び/又はMILは、抗原結合ドメイン、共刺激シグナル伝達領域及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。本発明の一実施形態において、CAR改変TIL、PBL及び/又はMILは、CD19に向けられた抗原結合ドメイン、4−1BB又はCD28共刺激シグナル伝達領域及びCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。本発明の一実施形態において、CAR改変TILは、自殺スイッチ(カスパーゼ−9/リミデュシッド(rimiducid)など)又は活性化スイッチ(誘導性MyD88/CD40活性化スイッチなど)を含む。本発明の一実施形態において、CAR改変TILは、CARを発現するレンチウイルスベクターを使用して改変される。
[00404] 本発明の一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、遺伝子改変されたTCRを含むT細胞受容体(TCR)を使用して細胞におけるシグナル伝達を改変する方法において使用される。一部の実施形態において、本発明のTIL、PBL及び/又はMILは、限定されるものではないが、高親和性T細胞受容体(TCR)、例えばMAGE−1、MAGE−3、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A10、MART−1、CEA、gp100、アルファフェトプロテイン(AFP)、HER2、PRAME、CT83、SSX2又はNY−ESO−1などの腫瘍関連抗原を標的とするTCRを含め、追加的な機能性を含むように改変される。TCRを改変する方法及び人工TCRを作製する方法は、当技術分野で公知であり、例えば米国特許第6,811,785号;同第7,569,664号;同第7,666,604号;同第8,143,376号;同第8,283,446号;同第9,181,527号;同第7,329,731号;同第7,070,995号;同第7,265,209号;同第8,361,794号;及び同第8,697,854号;並びに米国特許出願公開第2017/0051036A1号;同第2010/0034834A1号;同第2011/0014169A1号;同第2016/0200824A1号;及び同第2002/0058253A1号に開示され、そのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、腫瘍関連抗原に対する改変TCRを使用して細胞におけるシグナル伝達を改変する方法において使用される。本発明の一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、改変TCRを使用して細胞におけるシグナル伝達を改変する方法において使用され、これは、内因性TCRの存在を減少させるためにTIL、PBL及び/又はMILが改変された遺伝子改変TCRを含む。
[00405] 本発明の一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、MAGE−A抗原などの癌精巣抗原に特異的であるように改変されたTCRなどの一過性又は安定的に改変されたTCRを含む。一部の実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILは、改変された相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つのTCRを含み得る。一部の実施形態において、TIL、PBL及び/又はMILは、TCR親和性を増加させるためにベータ鎖に野生型配列を保持した、改変CDR2を含む少なくとも1つのTCRを含み得る。一部の実施形態では、TIL、PBL及び/又はMILは、天然のTCRα鎖可変ドメイン及び/又はβ鎖可変ドメインと比較して、少なくとも1つのCDR(CDR2など)、可変ドメインフレームワーク領域又はTCRの可変ドメイン内の他の超可変領域(超可変4(HV4)領域など)において、変異体が高親和性TCRを生成するように変異している(図1b及び配列番号2を参照されたい)TCRを含み得る。TIL、PBL及び/又はMILは、膜貫通配列によって膜に固定された少なくとも1つのTCRを含み得、米国特許第8,361,794号(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、前記TCRは、天然のTCRには存在しない細胞外定常ドメイン残基間の鎖間ジスルフィド結合を含む。一部の実施形態では、TIL、PBL及び/又はMILは、特定のヒト白血球抗原(HLA)−A1複合体に結合する特性を有し、親和性を増加させるためにTCRアルファ可変ドメイン及び/又はTCRベータ可変ドメインに特定の変異を有する特定の野生型TCRを含む、少なくとも1つのTCRを含み得る。本発明の一部の実施形態において、本発明の方法に従って拡大培養されたTIL、PBL及び/又はMILは、NY−ESO−1、MART−1、CEA、gp100、アルファフェトプロテイン(AFP)、HER2、PRAME(メラノーマで優先的に発現される抗原)、CT83、SSX2、MAGE−1、MAGE−3、MAGE−A3、MAGE−A4又はMAGE−A10への親和性が増加した安定的に改変されたTCRを含む。
免疫チェックポイント
[00406] 本発明の一実施形態において、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子が改変され得る。免疫チェックポイントは、阻害又は刺激経路を介して免疫応答を調節するリンパ球によって発現される分子である。癌の場合において、免疫チェックポイント経路は、活性化されて抗腫瘍応答を阻害することが多い。即ち、悪性細胞による特定の免疫チェックポイントの発現は抗腫瘍免疫を阻害し、癌細胞の増殖にとって好ましい。例えば、Marin-Acevedo et al., Journal of Hematology & Oncology (2018) 11:39を参照されたい。従って、特定の阻害性チェックポイント分子は、本発明の免疫療法の標的として機能する。特定の実施形態によると、細胞はCAR又はTCRを介して改変されて、特定の免疫チェックポイント経路を遮断又は刺激し、それにより腫瘍に対する身体の免疫学的活性を増強する。
[00407] 最も広く研究されているチェックポイントには、プログラム細胞死受容体−1(PD−1)及び細胞傷害性Tリンパ球関連分子−4(CTLA−4)が含まれ、これらは、阻害性リガンドと相互作用する場合、主要なエフェクター機能(例えば、活性化、増殖、サイトカイン放出、細胞傷害性など)を阻害する免疫細胞上の阻害性受容体である。以下でより詳細に説明するように、PD−1及びCTLA−4に加えて、多数のチェックポイント分子が免疫療法の潜在的な標的として浮上している。
[00408] サイレンシング又は抑制され得る免疫チェックポイント遺伝子の非限定的な例には、PD−1、CTLA−4、LAG−3、HAVCR2(TIM−3)、Cish、TGFβ、PKA、CBL−B、PPP2CA、PPP2CB、PTPN6、PTPN22、PDCD1、BTLA、CD160、TIGIT、BAFF(BR3)、CD96、CRTAM、LAIR1、SIGLEC7、SIGLEC9、CD244、TNFRSF10B、TNFRSF10A、CASP8、CASP10、CASP3、CASP6、CASP7、FADD、FAS、SMAD2、SMAD3、SMAD4、SMAD10、SKI、SKIL、TGIF1、IL10RA、IL10RB、HMOX2、IL6R、IL6ST、EIF2AK4、CSK、PAG1、SIT1、FOXP3、PRDM1、BATF、GUCY1A2、GUCY1A3、GUCY1B2及びGUCY1B3が含まれる。例えば、サイレンシング又は阻害され得る免疫チェックポイント遺伝子は、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、Cish、TGFβ及びPKAを含む群から選択され得る。BAFF(BR3)は、出版されたBloom, et al., J. Immunother., 2018に記載されている。別の例によると、本発明のTILにおいてサイレンシング又は阻害され得る免疫チェックポイント遺伝子は、PD−1、LAG−3、TIM−3、CTLA−4、TIGIT、CISH、TGFβR2、PRA、CBLB、BAFF(BR3)及びそれらの組み合わせを含む群から選択され得る。
PD−1
[00409] チェックポイント遮断の誘導について最も研究されている標的の1つは、T細胞レギュレーターのCD28スーパーファミリーのメンバーであるプログラム死受容体(PD1又はPD−1、PDCD1としても知られる)である。そのリガンドであるPD−L1及びPD−L2は、黒色腫を含むさまざまな腫瘍細胞に発現している。PD−1とPD−L1の相互作用は、T細胞のエフェクター機能を阻害し、慢性刺激の設定でT細胞の枯渇を引き起こし、腫瘍微小環境でT細胞のアポトーシスを誘導する。PD1は、免疫監視からの腫瘍特異的エスケープにおいても役割を果たし得る。
[00410] 特定の実施形態によると、TILにおけるPD1の発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
CTLA−4
[00411] CTLA−4の発現は、活性化T細胞においてT細胞活性化時に誘導され、抗原提示細胞活性化抗原CD80及びCD86との結合について競合する。CTLA−4とCD80又はCD86との相互作用は、T細胞の阻害を引き起こし、免疫応答のバランスを維持する役割を果たす。しかしながら、CD80又はCD86とのCTLA−4相互作用の阻害は、T細胞活性化を延長し、従って癌抗原に対する免疫応答のレベルを増加させ得る。
[00412] 特定の実施形態によると、TILにおけるCTLA−4の発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
LAG−3
[00413] リンパ球活性化遺伝子−3(LAG−3、CD223)は、主要組織適合性複合体(MHC)クラスII結紮後、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞によって発現される。そのメカニズムは不明なままであるが、その調節はT細胞機能に対する負の制御効果を引き起こし、組織の損傷及び自己免疫を防ぐ。LAG−3及びPD−1は、TILで頻繁に共発現及び上方制御され、免疫の枯渇及び腫瘍の成長につながる。従って、LAG−3遮断は抗腫瘍応答を改善する。例えば、Marin-Acevedo et al., Journal of Hematology & Oncology (2018) 11:39を参照されたい。
[00414] 特定の実施形態によると、TILにおけるLAG−3の発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
TIM−3
[00415] T細胞免疫グロブリン3(TIM−3)は、T細胞の直接的な負のレギュレーターであり、NK細胞及びマクロファージに発現している。TIM−3は、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)の拡大培養を誘導することにより、間接的に免疫抑制を促進する。そのレベルは、機能不全で枯渇したT細胞で特に上昇していることが分かり、これは悪性腫瘍における重要な役割を示唆している。
[00416] 特定の実施形態によると、TILにおけるTIM−3の発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
Cish
[00417] サイトカインシグナル伝達(SOCS)ファミリーのサプレッサーのメンバーであるCishは、CD8+T細胞のTCR刺激によって誘導され、腫瘍に対する機能的結合活性を阻害する。CD8+T細胞におけるCishの遺伝的欠失は、それらの拡大培養、機能的結合活性及びサイトカインの多機能性を増強し、確立された腫瘍の顕著な持続的退行をもたらし得る。例えば、Palmer et al., Journal of Experimental Medicine, 212 (12):2095 (2015)を参照されたい。
[00418] 特定の実施形態によると、TILにおけるCishの発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
TGFβ
[00419] TGFβシグナル伝達経路は、細胞の成長、分化、アポトーシス、運動性及び浸潤、細胞外マトリックスの生成、血管新生並びに免疫応答を調節することにおいて複数の機能を有する。TGFβシグナル伝達の調節解除は腫瘍で頻繁に発生し、腫瘍の発生、発達及び転移に重要な役割を有する。微小環境レベルでは、TGFβ経路は、発癌全体にわたり、腫瘍成長及び転移に好ましい微小環境を生成することに貢献する。例えば、Neuzillet et al., Pharmacology & Therapeutics, Vol. 147, pp. 22-31 (2015)を参照されたい。
[00420] 特定の実施形態によると、TIL、PBL及び/又はMILにおけるTGFβの発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
PKA
[00421] プロテインキナーゼA(PKA)は、セリン−スレオニンプロテインキナーゼスーパーファミリーの周知のメンバーである。PKAは、cAMP依存性プロテインキナーゼとしても知られ、cAMP結合時の活性化を通じてGタンパク質共役型受容体のシグナル伝達を媒介するマルチユニットプロテインキナーゼである。これは、代謝から、イオンチャネル活性化、細胞の成長及び分化、遺伝子発現並びにアポトーシスまで、広く様々な細胞プロセスの制御に関与している。重要なことに、PKAは多くの腫瘍の発生及び進行に関与している。例えば、Sapio et al., EXCLI Journal; 2014; 13:843-855を参照されたい。
[00422] 特定の実施形態によると、TILにおけるPKAの発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
CBLB
[00423] CBLB(又はCBL−B)は、E3ユビキチンタンパク質リガーゼであり、T細胞活性化の負のレギュレーターである。Bachmaier, et al., Nature, 2000, 403, 211-216;Wallner, et al., Clin.Dev.Immunol.2012, 692639。
[00424] 特定の実施形態によると、TILにおけるCBLBの発現は、本発明の組成物及び方法に従ってサイレンシング又は低減される。
[00425] 共刺激受容体又は接着分子の過剰発現
[00426] 追加の実施形態によると、1つ以上の免疫チェックポイント遺伝子が増強される。増強された発現を示し得る免疫チェックポイント遺伝子の非限定的な例には、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3、CX3CR1、IL−2、IL−4、IL−7、IL−15及びIL−21など、特定のケモカイン受容体及びインターロイキンが含まれる。
CCR
[00427] 養子T細胞免疫療法を有効にするには、T細胞をケモカインによって腫瘍に適切に輸送する必要がある。腫瘍細胞によって分泌されるケモカイン、末梢に存在するケモカイン及びT細胞によって発現されるケモカイン受容体間の一致は、T細胞の腫瘍床への輸送の成功に重要である。
[00428] 特定の実施形態によると、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3及びCX3CR1の1つ以上など、TILにおける特定のケモカイン受容体の発現の増加が企図される。CCRの過剰発現は、養子移入後のエフェクター機能及びTILの増殖を促進するのに役立つ。
[00429] 特定の実施形態によると、CCR2、CCR4、CCR5、CXCR2、CXCR3及びCX3CR1の1つ以上の発現が増強される。
[00430] 一実施形態において、CCR4及び/又はCCR5接着分子は、本明細書に記載されるようなガンマレトロウイルス又はレンチウイルス法を使用してTIL集団に挿入される。一実施形態において、CXCR2接着分子は、Forget, et al., Frontiers Immunology 2017, 8, 908又はPeng, et al., Clin.Cancer Res.2010, 16, 5458(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなガンマレトロウイルス又はレンチウイルス法を使用してTIL集団に挿入される。
インターロイキン
[00431] 更なる実施形態によると、本発明の遺伝子編集方法は、IL−2、IL−4、IL−7、IL−15及びIL−21の1つ以上など、特定のインターロイキンの発現を増加させるために使用され得る。特定のインターロイキンは、T細胞のエフェクター機能を増強し、腫瘍制御を媒介することが実証されている。
[00432] 特定の実施形態によると、IL−2、IL−4、IL−7、IL−15及びIL−21の1つ以上の発現は、本発明の組成物及び方法に従って増強される。
[00433] 適切には、TIL、PBL及び/又はMILの集団は、本明細書に記載されるように、第1の集団、第2の集団及び/又は第3の集団であり得る。
癌を処置する方法
[00434] 上記のTIL、PBL及び/又はMIL(及びそれらの集団)の組成物及び組み合わせは、過剰増殖性障害を処置するための方法において使用することができる。好ましい一実施形態において、それらは癌の処置に使用するためのものである。好ましい実施形態において、本発明は、癌が、液性腫瘍などの血液悪性腫瘍である、癌の処置方法を提供する。好ましい一実施形態において、本発明は、癌を処置する方法を提供し、癌は、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞(ABC)DLBCL、胚中心B細胞(GCB)DLBCL、慢性リンパ性白血病(CLL)、リヒタートランスフォーメーションを伴うCLL(又はリヒター症候群)、小リンパ球性白血病(SLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、再発性及び/又は難治性ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、成熟B−ALL、バーキットリンパ腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症(WM)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、濾胞中枢リンパ腫、無痛性NHL、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連B細胞リンパ腫並びにエプスタイン−バーウイルス(EBV)関連B細胞リンパ腫からなる群から選択される血液悪性腫瘍であり、イブルチニブを含むBTK阻害剤による処置に対して不応性、不耐性又はそれから再発した、前述の疾患を有する患者のサブ集団を含む。
[00435] 本発明の一実施形態において、イブルチニブで前処置されたCLL患者は、本発明のPBLでの処置に成功し得る患者のサブ集団を表す。特に、イブルチニブで前処置され、イブルチニブ処置にもはや応答しないCLL患者は、本発明のPBLでの処置に成功し得る患者のサブ集団を表す。別の実施形態において、イブルチニブで前処置され、リヒタートランスフォーメーション(又はリヒター症候群)を発症したCLL患者は、本発明のPBLでの処置に成功し得る患者のサブ集団を表す。別の実施形態において、イブルチニブで前処置され、リヒタートランスフォーメーション(又はリヒター症候群)を発症し、イブルチニブ治療にもはや応答しないCLL患者は、本発明のPBLでの処置に成功し得る患者のサブ集団を表す。
[00436] 一実施形態において、本発明は、癌の処置方法であって、癌は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、アベルマブ又はアテゾリズマブを含むPD−1及び/又はPD−L1阻害剤による治療に応答する血液悪性腫瘍である、方法を提供する。
[00437] 一実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を用いて患者における癌を処置する方法であって、
(a)切除、生検、針吸引又はアフェレーシスによって患者から腫瘍を入手するステップであって、腫瘍は、TILの第1の集団を含む、ステップ;
(b)任意選択により、腫瘍を断片化又は分離して腫瘍断片を入手し、腫瘍又は腫瘍断片を第1の細胞培養培地と接触させるステップ;
(c)第1の細胞培養培地中でTILの第1の集団の初期拡大培養を行ってTILの第2の集団を入手するステップであって、TILの第2の集団の数は、TILの第1の集団よりも少なくとも5倍多く、第1の細胞培養培地は、IL−2を含む、ステップ;
(d)第2の細胞培養培地中でTILの第2の集団の第2の拡大培養を行ってTILの第3の集団を入手するステップであって、第2の拡大培養の開始から7日後にTILの第3の集団の数は、TILの第2の集団よりも少なくとも50倍多く、第2の細胞培養培地は、IL−2、OKT−3(抗CD3抗体)及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)を含み、第2の拡大培養は、14日以下の期間にわたって行われる、ステップ;
(e)TILの第3の集団を回収するステップ、及び
(f)TILの前記第3の集団の治療有効部分を患者に投与するステップ
を含み、前記腫瘍は、液性腫瘍であり、前記癌は、血液悪性腫瘍である、方法を提供する。
[00438] 一実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を用いて患者における癌を処置する方法であって、
(a)切除、生検、針吸引又はアフェレーシスによって患者から腫瘍を入手するステップであって、腫瘍は、TILの第1の集団を含む、ステップ;
(b)任意選択により、腫瘍を断片化又は分離して腫瘍断片を入手し、腫瘍又は腫瘍断片を第1の細胞培養培地と接触させるステップ;
(c)第1の細胞培養培地中でTILの第1の集団の初期拡大培養を行ってTILの第2の集団を入手するステップであって、TILの第2の集団の数は、TILの第1の集団よりも少なくとも5倍多く、第1の細胞培養培地は、IL−2を含む、ステップ;
(d)第2の細胞培養培地中でTILの第2の集団の第2の拡大培養を行ってTILの第3の集団を入手するステップであって、第2の拡大培養の開始から7日後にTILの第3の集団の数は、TILの第2の集団よりも少なくとも50倍多く、第2の細胞培養培地は、IL−2、OKT−3(抗CD3抗体)及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)を含み、第2の拡大培養は、14日以下の期間にわたって行われる、ステップ;
(e)TILの第3の集団を回収するステップ、及び
(f)TILの前記第3の集団の治療有効部分を患者に投与するステップ
を含み、腫瘍は、液性腫瘍であり、癌は、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞(ABC)DLBCL、胚中心B細胞(GCB)DLBCL、慢性リンパ性白血病(CLL)、リヒタートランスフォーメーションを伴うCLL(又はリヒター症候群)小リンパ球性白血病(SLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、再発性及び/又は難治性ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、成熟B−ALL、バーキットリンパ腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症(WM)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、濾胞中枢リンパ腫、無痛性NHL、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連B細胞リンパ腫並びにエプスタイン−バーウイルス(EBV)関連B細胞リンパ腫からなる群から選択される血液悪性腫瘍である、方法を提供する。
[00439] 一実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を用いて患者における癌を処置する方法であって、
(a)キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで患者を前処置するステップ;
(b)切除、生検、針吸引又はアフェレーシスによって患者から腫瘍を入手するステップであって、腫瘍は、TILの第1の集団を含む、ステップ;
(c)任意選択により、腫瘍を断片化又は分離して腫瘍断片を入手し、腫瘍又は腫瘍断片を第1の細胞培養培地と接触させるステップ;
(d)第1の細胞培養培地中でTILの第1の集団の初期拡大培養を行ってTILの第2の集団を入手するステップであって、TILの第2の集団の数は、TILの第1の集団よりも少なくとも5倍多く、第1の細胞培養培地は、IL−2を含む、ステップ;
(e)第2の細胞培養培地中でTILの第2の集団の第2の拡大培養を行ってTILの第3の集団を入手するステップであって、第2の拡大培養の開始から7日後にTILの第3の集団の数は、TILの第2の集団よりも少なくとも50倍多く、第2の細胞培養培地は、IL−2、OKT−3(抗CD3抗体)及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)を含み、第2の拡大培養は、14日以下の期間にわたって行われる、ステップ;
(f)TILの第3の集団を回収するステップ;及び
(g)TILの前記第3の集団の治療有効部分を患者に投与するステップ
を含み、前記腫瘍は、液性腫瘍であり、前記癌は、血液悪性腫瘍である、方法を提供する。
[00440] 一実施形態において、本発明は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の集団を用いて患者における癌を処置する方法であって、
(a)キナーゼ阻害剤又はITK阻害剤を含むレジメンで患者を前処置するステップ;
(b)切除、生検、針吸引又はアフェレーシスによって患者から腫瘍を入手するステップであって、腫瘍は、TILの第1の集団を含む、ステップ;
(c)任意選択により、腫瘍を断片化又は分離して腫瘍断片を入手し、腫瘍又は腫瘍断片を第1の細胞培養培地と接触させるステップ;
(d)第1の細胞培養培地中でTILの第1の集団の初期拡大培養を行ってTILの第2の集団を入手するステップであって、TILの第2の集団の数は、TILの第1の集団よりも少なくとも5倍多く、第1の細胞培養培地は、IL−2を含む、ステップ;
(e)第2の細胞培養培地中でTILの第2の集団の第2の急速拡大培養を行ってTILの第3の集団を入手するステップであって、第2の拡大培養の開始から7日後にTILの第3の集団の数は、TILの第2の集団よりも少なくとも50倍多く、第2の細胞培養培地は、IL−2、OKT−3(抗CD3抗体)及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)を含み、第2の拡大培養は、14日以下の期間にわたって行われる、ステップ;
(f)TILの第3の集団を回収するステップ;及び
(g)TILの前記第3の集団の治療有効部分を患者に投与するステップ
を含み、腫瘍は、液性腫瘍であり、癌は、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞(ABC)DLBCL、胚中心B細胞(GCB)DLBCL、慢性リンパ性白血病(CLL)、リヒタートランスフォーメーションを伴うCLL(又はリヒター症候群)小リンパ球性白血病(SLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、再発性及び/又は難治性ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、成熟B−ALL、バーキットリンパ腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症(WM)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、濾胞中枢リンパ腫、無痛性NHL、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連B細胞リンパ腫並びにエプスタイン−バーウイルス(EBV)関連B細胞リンパ腫からなる群から選択される血液悪性腫瘍である、方法を提供する。
[00441] 本発明の一実施形態において、TILは、MIL方法1を使用して拡大培養され、本発明に従って患者に投与される。
[00442] 本発明の一実施形態において、TILは、MIL方法2を使用して拡大培養され、癌を処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00443] 本発明の一実施形態において、TILは、MIL方法3を使用して拡大培養され、癌を処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00444] 本発明の一実施形態において、MIL方法1、MIL方法2又はMIL方法3を使用して拡大培養されたTILは、AMLを処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00445] 本発明の一実施形態において、TILは、PBL方法2を使用して拡大培養され、癌を処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00446] 本発明の一実施形態において、TILは、PBL方法2を使用して拡大培養され、癌を処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00447] 本発明の一実施形態において、TILは、PBL方法2を使用して拡大培養され、癌を処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00448] 本発明の一実施形態において、PBL方法1、PBL方法2又はPBL方法3を使用して拡大培養されたTILは、CLLを処置するために本発明に従って患者に投与される。
[00449] 本発明の前述の実施形態のいずれかにおいて、キナーゼ阻害剤による前処置が記載されている。一実施形態において、キナーゼ阻害剤は、イマチニブ、ダサチニブ、イブルチニブ、ボスチニブ、ニロチニブ、エルロチニブ又は当技術分野で公知の他のキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤若しくはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤からなる群から選択される。一実施形態において、キナーゼ阻害剤による前処置レジメンは、当技術分野で知られている通り、及び/又は医師によって指示されている通りである。
[00450] 本発明の前述の実施形態のいずれかにおいて、IL−2誘導性T細胞キナーゼ阻害剤(ITK)による前処置が記載されている。インターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)は、T細胞で発現する非受容体チロシンキナーゼであり、さまざまな経路を調節する。当技術分野で公知の任意のITK阻害剤が、本発明の実施形態で使用され得る(例えば、Lo, et al., Expert Opinion on Therapeutic Patents, 20:459-469 (2010);Vargas, et al., Scandinavian Journal of Immunology, 78(2):130-139 (2013);国際公開第2015112847号;国際公開第2016118951号;国際公開第2007136790号、米国特許出願公開第20120058984A1号及び米国特許第9,531,689号及び9,695,200号;これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、共有結合的及び不可逆的にITKに結合する共有結合ITK阻害剤である。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、ITKに結合するアロステリックITK阻害剤である。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、アミノチアゾール系ITK阻害剤、5−アミノメチルベンズイミダゾール系ITK阻害剤、3−アミノピリド−2−オン系ITK阻害剤、(4又は5−アリール)ピラゾリル−インドール系ITK阻害剤、ベンズイミダゾール系ITK阻害剤、アミノベンズイミダゾール系ITK阻害剤、アミノピリミジン系ITK阻害剤、アミノピリジン系ITK阻害剤、ジアゾロジアジン系ITK阻害剤、トリアゾール系ITK阻害剤、3−アミノピリド−2−オン系ITK阻害剤、インドリルインダゾール系ITK阻害剤、インドール系ITK阻害剤、アザインドール系ITK阻害剤、ピラゾリルインドール系阻害剤、チエノピラゾール系ITK阻害剤、複素環ITK阻害剤及びATPポケット内のシステイン−442を標的とするITK阻害剤(イブルチニブなど)、アザベンゾイミダゾール系ITK阻害剤、ベンゾチアゾール系ITK阻害剤、インドール系ITK阻害剤、ピリドン系ITK阻害剤、スルホキシミン置換ピリミジンITK阻害剤、アリールピリジノン系ITK阻害剤及び当技術分野で公知の任意の他のITK阻害剤からなる群から選択される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤による前処置レジメンは、当技術分野で知られている通り、及び/又は医師によって指示されている通りである。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、
及びその組み合わせからなる群から選択される。本発明の一実施形態において、ITK阻害剤は、イマチニブ、ダサチニブ(BMS−354825)、スプリセル[N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−(6−(4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1−イル)−2−メチルピリミジン−4−イルアミノ)チアゾール−5−カルボキサミド)、イブルチニブ((1−{(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]ピペリジン−1−イル}プロプ−2−エン−1−オン)、ボスチニブ、ニロチニブ、エルロチニブ、1H−ピラゾロ[4,3−c]シンノリン−3−オール、CTA056(7−ベンジル−1−(3−(ピペリジン−1−イル)プロピル)−2−(4−(ピリジン−4−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−g]キノキサリン−6(5H)−オン)、化合物10(Boehringer Ingelheim from Moriarty, et al., Bioorg Med Chem Lett, 18:5537-40 (2008))、化合物19(Boehringer Ingelheim from Moriarty, et al., Bioorg Med Chem Lett, 18:5537-40 (2008))、化合物27(Boehringer Ingelheim from Moriarty, et al., Bioorg Med Chem Lett, 18:5537-40 (2008))、化合物26(Boehringer Ingelheim from Winters, et al., Bioorg Med Chem Lett., 18:5541-4 (2008))、化合物37(Boehringer Ingelheim from Cook, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19:773-7 (2009))、化合物41(Boehringer Ingelheim from Cook, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19:773-7 (2009))、化合物48(Boehringer Ingelheim from Cook, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19:773-7 (2009))、化合物51(Boehringer Ingelheim from Cook, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19:773-7 (2009))、化合物10n(Boehringer Ingelheim from Riethe, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19: 1588-91 (2009))、化合物10o(Boehringer Ingelheim from Riethe, et al., Bioorg Med Chem Lett., 19: 1588-91 (2009))、化合物7v(Vertex from Charrier, et al., J Med Chem., 54:2341-50 (2011))、化合物7w(Vertex from Charrier, et al., J Med Chem., 54:2341-50 (2011))、化合物7x(Vertex from Charrier, et al., J Med Chem., 54:2341-50 (2011))、化合物7y(Vertex from Charrier, et al., J Med Chem., 54:2341-50 (2011))、化合物44(Bayer Schering Pharma from vonBonin, et al., Exp Dermatol., 20:41-7 (2011))、化合物13(Nycomed from Velankar, et al., Bioorg Med Chem., 18:4547-59 (2010))、化合物24(Nycomed from Velankar, et al., Bioorg Med Chem., 18:4547-59 (2010))、化合物34(Nycomed from Velankar, et al., Bioorg Med Chem., 18:4547-59 (2010))、化合物10o(Nycomed from Herdemann, et al., Bioorg Med Chem Lett., 21:1852-6 (2011))、化合物3(Sanofi US from McLean, et al., Bioorg Med Chem Lett., 22:3296-300 (2012))、化合物7(Sanofi US from McLean, et al., Bioorg Med Chem Lett., 22:3296-300 (2012))及び/又は当技術分野で公知の他のキナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤若しくはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
[00451] 前述の実施形態のいずれかにおいて、イブルチニブ(IMBRUVICAとして市販され、化学名1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジニル]−2−プロペン−1−オン)を有する)を含む前処置レジメンは、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月又は6ヶ月の期間にわたり、140mgカプセル1つを1日4回(q.d.)経口投与すること、140mgカプセル2つを1日4回経口投与すること、140mgカプセル3つを1日4回経口投与すること又は140mgカプセル4つを1日4回経口投与することを含む。前述の実施形態において、イブルチニブを含む前処置レジメンは、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg及び500mgから選択されるイブルチニブ用量を経口投与することも含み得、ここで、投与は、1日1回、1日2回、1日3回又は1日4回行われ、投与期間は、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月及び6ヶ月からなる群から選択される。
[00452] 任意の前述の実施形態において、処置される癌は、急性骨髄性白血病(AML)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞(ABC)DLBCL、胚中心B細胞(GCB)DLBCL、慢性リンパ性白血病(CLL)、リヒタートランスフォーメーションを伴うCLL(又はリヒター症候群)、小リンパ球性白血病(SLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、再発性及び/又は難治性ホジキンリンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B−ALL)、成熟B−ALL、バーキットリンパ腫、ワルデンストローム型マクログロブリン血症(WM)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病、濾胞中枢リンパ腫、無痛性NHL、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連B細胞リンパ腫並びにエプスタイン−バーウイルス(EBV)関連B細胞リンパ腫からなる群から選択される血液悪性腫瘍である。
[00453] 示された疾患又は障害の処置、予防及び/又は管理における、本明細書に記載の方法及び組成物の有効性は、当技術分野において公知の様々な動物モデルを使用して試験することができる。
化学療法による骨髄非破壊的リンパ球枯渇
[00454] 一実施形態において、本発明は、TIL集団で癌を処置する方法を提供し、ここで、患者は、本開示に係るTILの注入前に骨髄非破壊的化学療法で前処置される。一実施形態において、骨髄非破壊的化学療法は、1つ以上の化学療法剤である。一実施形態において、骨髄非破壊的化学療法は、2日間(TIL注入の27日前及び26日前)のシクロホスファミド60mg/kg/日及び5日間(TIL注入の27〜23日前)のフルダラビン25mg/m2/日である。一実施形態において、本開示による骨髄非破壊的化学療法及びTIL注入(0日目)後、患者は生理学的許容量まで8時間ごとに720,000IU/kgでIL−2の静脈内注入を受ける。
[00455] 実験的知見は、腫瘍特異的Tリンパ球の養子移入前のリンパ球枯渇が、調節性T細胞及び免疫系の競合要素(「サイトカインシンク」)を排除することによって処置効果を高めるのに重要な役割を果たすことを示す。従って、本発明の一部の実施形態は、本発明のTILを導入する前に、患者においてリンパ球枯渇ステップ(「免疫抑制調整」とも称される)を利用する。
[00456] 一般的に、リンパ球枯渇はフルダラビン又はシクロホスファミド(活性型はマホスファミドと称される)及びその組み合わせの投与を使用して達成される。そのような方法は、Gassner, et al., Cancer Immunol.Immunother.2011, 60, 75-85、Muranski, et al., Nat.Clin.Pract.Oncol, 2006, 3, 668-681、Dudley, et al., J. Clin.Oncol.2008, 26, 5233-5239及びDudley, et al., J. Clin.Oncol.2005, 23, 2346-2357に記載されており、これらの全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[00457] 一部の実施形態において、フルダラビンは、0.5μg/mL〜10μg/mLフルダラビンの濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビンは、1μg/mLフルダラビンの濃度で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日以上にわたって実施される。一部の実施形態において、フルダラビンは、10mg/kg/日、15mg/kg/日、20mg/kg/日、25mg/kg/日、30mg/kg/日、35mg/kg/日、40mg/kg/日又は45mg/kg/日の投与量で投与される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、35mg/kg/日で2〜7日間実施される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、35mg/kg/日で4〜5日間実施される。一部の実施形態において、フルダラビン処置は、25mg/kg/日で4〜5日間実施される。
[00458] 一部の実施形態において、シクロホスファミドの活性型であるマホスファミドは、シクロホスファミドの投与により0.5μg/mL〜10μg/mLの濃度で入手される。一部の実施形態において、シクロホスファミドの活性型であるマホスファミドは、シクロホスファミドの投与により1μg/mLの濃度で入手される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日以上にわたって実施される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは、100mg/m2/日、150mg/m2/日、175mg/m2/日、200mg/m2/日、225mg/m2/日、250mg/m2/日、275mg/m2/日又は300mg/m2/日の投与量で投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミドは静脈内(即ちi.v.)投与される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、35mg/kg/日で2〜7日間実施される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、250mg/m2/日、i.v.で、4〜5日間実施される。一部の実施形態において、シクロホスファミド処置は、250mg/m2/日、i.v.で、4日間実施される。
[00459] 一部の実施形態において、リンパ球枯渇は、フルダラビン及びシクロホスファミドを共に患者に投与することによって行われる。一部の実施形態において、4日間にわたって、フルダラビンは25mg/m2/日、i.v.で投与され、シクロホスファミドは、250mg/m2/日、i.v.で投与される。
[00460] 一実施形態において、リンパ球枯渇は、60mg/m2/日の用量で2日間シクロホスファミドを投与し、続いて25mg/m2/日の用量で5日間フルダラビンを投与することにより行われる。骨髄又は末梢血から入手したTILを拡大培養するいくつかの方法が本明細書に記載される。本発明の一実施形態において、リンパ球枯渇は、60mg/m2/日の用量で2日間シクロホスファミドを投与し、続いて25mg/m2/日の用量で5日間フルダラビンを投与することにより行われる。骨髄又は末梢血から入手したTILを拡大培養するいくつかの方法が本明細書に記載される。
実施例
[00461] 本明細書に包含される実施形態は、以下の実施例を参照して説明される。これらの実施例は、説明のみを目的として提供され、本明細書に包含される開示は、決してこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ本明細書に提供される教示の結果として明らかになるあらゆる変形形態を包含すると解釈されるべきである。
実施例1 − 非ホジキンリンパ腫からのTILの拡大培養
[00462] TILは、図1に示される病態を有する5つの非ホジキンリンパ腫腫瘍(1つのマントル細胞リンパ腫腫瘍、3つの濾胞性リンパ腫腫瘍及び1つのABC型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫腫瘍)からプレREP段階でIL−2を11〜14日間使用して拡大培養し、続いてIL−2、マイトジェン抗CD3抗体及び照射同種異系末梢血単核細胞(PBMC)フィーダーを使用して14日間REPを行った。TILは、5つのリンパ腫腫瘍全てから成功して生成され、最大拡大培養指数は680倍であり、これは他の方法を使用して以前に観察されたものよりも有意に高かった。Schwartzentruber, et al., Blood 1993, 82, 1204-1211。更に、平均CD3+T細胞集団は95%であった(Schwartzentruber, et al., Blood 1993, 82, 1204-1211の方法を使用した75%に対して)。
[00463] 細胞選別及びフローサイトメトリーは、Becton, Dickinson & Co. (BD) FACS CANTO IIシステムを使用して実施した。フローサイトメトリー分析により、黒色腫TILのものと同等のエフェクターメモリー細胞の著しい相対的増加が観察された(図2)。黒色腫TIL培養物と比較して、リンパ腫において、エフェクターメモリーCD45RA+(TEMRA)細胞(p=0.0013;CD4、CD8)及びCD28+CD4+(p=0.008)サブセットの有意な増加が観察された(図3)。
[00464] CD4+及びCD8+サブセットにおけるT細胞分化の表現型マーカーの比較が図4及び図5にそれぞれ示されている。CD4+及びCD8+サブセットにおけるT細胞枯渇の表現型マーカーの比較が図6及び図7にそれぞれ示されている。
[00465] 図8は、非ホジキンリンパ腫TILと黒色腫TILとの間の細胞型の比較を示す。黒色腫TILと比較したリンパ腫TILのCD4+T細胞数の増加傾向が示されている。
[00466] 図9は、生物発光リダイレクト溶解アッセイ(BRLA)の結果を示す。黒色腫TIL(11〜75LU50、4時間)と比較して、リンパ腫TILにおいて、LU50/106としてBRLAで測定したTILの最小細胞溶解活性は、4時間で1未満〜6LU50及び24時間で1〜39LU50の範囲であった。
[00467] 図10は、リンパ腫TIL対黒色腫TILのインターフェロン−γ(IFN−γ)酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)の結果を示す。比較可能な結果を示す。リンパ腫TILのELIspotアッセイの結果を図11に示し、図12の黒色腫TILの同じアッセイの結果と比較する。ELIspotアッセイでは、ホルボール12−ミリステート13−アセテート/イオノマイシン、抗CD3抗体又はCD3/CD28/4−1BBビーズで刺激すると、リンパ腫TILによる広範なIFN−γ産生が観察され、これらの条件下で一部のリンパ腫TILによって産生されるIFN−γは、黒色腫TILによって産生されるIFN−γと同等であり、一部の場合、リンパ腫TILにおけるIFN−γ産生がはるかに高かった。
[00468] 図13は、NANOSTRING NCOUNTER分析(Nanostring Technologies, Inc., Seattle, WA)の結果を示し、これはリンパ腫TILが、黒色腫TILと比較して、より高いレベルのRORC IL17A(TH17表現型)及びGATA3(Th2表現型)を発現することを示している。この発見は、リンパ腫反応性T細胞が主にTH2及びTH17であるという観察と一致している。
[00469] 全体として、結果は、TIL細胞療法がリンパ腫患者の処置に使用され得るという証拠を提供する。
実施例2 − AML患者の骨髄から増殖した骨髄浸潤リンパ球(MIL)及びAML患者の末梢血から増殖した末梢血リンパ球(PBL)の表現型及び機能的特徴付け
[00470] 骨髄のサンプル及び入手可能な関連血液サンプルが、イブルチニブ(1−[(3R)−3−[4−アミノ−3−(4−フェノキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル]−1−ピペリジニル]−2−プロペン−1−オン)を含むレジメンの少なくとも3つのラウンドで前処置された患者を含む、急性骨髄性白血病(AML)の患者から、患者の年齢、性別、ステージ、腫瘍タイプ、癌の部位、処置歴、匿名化した病理報告及び実施された分子検査(例えば、MSI発現及びRaf/Ras発現)に関する情報を伴い、入手される。MIL及びPBLは、MIL方法1、MIL方法2若しくはMIL方法3又はPBL方法1、PBL方法2若しくはPBL方法3の1つを使用して拡大培養され、MIL及びPBLの表現型及び機能が特徴付けられた。
[00471] 図36A及び36Bは、MIL及びPBLの拡大倍数を示す。図36Aは、3人の患者(MIL1、MIL2、MIL3)の拡大倍数を示し、図36Bは、患者2及び3(PBL2、PBL3)の一致したPBLの拡大倍数を示す。MIL 1.1はMIL方法1を使用して拡大培養され、MIL1.2はMIL方法2を使用して拡大培養され、MIL1.3はMIL方法3を使用して拡大培養され、PBLは、PBL方法3を使用して拡大培養された。MIL1の拡大倍数は、MIL1内の各サンプルで25(MIL1.1)、50(MIL1.2)及び75(MIL1.3)倍の増加を示す。これは、MIL方法3が好ましい拡大培養方法であり得ることを予備的に示している。MIL2及びMIL3の拡大倍数データは不十分なようである。これは開始細胞数が少ないためである可能性がある。比較のために、患者MIL1(MIL1.3)のサンプル3の開始細胞数は138,000細胞であったのに対し、MIL2とMIL3の開始細胞数はそれぞれ62,000と28,000であった。MIL2とMIL3について図36Bに示されるPBLの拡大倍数は、それぞれ約10倍と40倍で、同様の開始細胞数(PBL2について338,000、PBL3について336,000)であった。
[00472] 図37A及び37Bは、MIL(図37A)及び適合PBL(図37B)のIFN−γ産生細胞の数を示す。MIL1.3、MIL2及びMIL3は、IFN−γ分泌の有意な増加を示し、MIL方法3が好ましい拡大培養方法であることを示す。PBLのデータは不確定である。
[00473] 図38A〜38Fは、MIL及びPBLのTCRαβ+、CD4+及びCD8+サブセットを示す。図38A及び38Dは、3つ全ての方法(MIL1.1、MIL1.2、MIL1.3)を使用して拡大培養されたMIL(図38A)及びPBL方法3を使用して拡大培養されたPBL(図38D)のTCRab+サブセットを示す。データは、TCRαβ+サブセットが全てのMIL及びPBLでほぼ100%であることを示し、これは、ほぼ全てのT細胞の拡大培養において拡大培養プロセスが成功したことを示す。図38B及び38Eは、MIL方法3によって拡大培養されたMILについてCD4サブセットが減少することを示す(これは、図38CにおけるCD8サブセットの増加に相関する)。図38E及び38FのPBLデータは、MIL1.3データと一致しているようである。
[00474] 図39A〜D及び40A〜Dは、MIL(図39)及びPBL(図40)のCD4サブセットのデータを示す。図39A及び40Aは、ナイーブ(CCR7+/CD45RA+)のデータを示し;図39B及び40Bは、セントラルメモリーt細胞(CM)(CCR7+/CD45RA−)のデータを示し;図39C及び40Cは、エフェクターメモリーT細胞(EM)(CCR7−/CD45RA−)のデータを示し;図39D及び40Dは、最終分化エフェクターメモリー細胞(TEMRA)(CCR7−/CD45RA+)のデータを示す。MIL方法3(MIL1.3)及びPBL方法3(PBL2及びPBL3)を使用して拡大培養された全てのサンプルは、コンパレータである黒色腫TILのCD4サブセットと一致している。
[00475] 図41A〜D及び42A〜Dは、MIL(図41)及びPBL(図42)のCD8サブセットのデータを示す。図41A及び42Aは、ナイーブ(CCR7+/CD45RA+)のデータを示し;図41B及び42Bは、セントラルメモリーt細胞(CM)(CCR7+/CD45RA−)のデータを示し;図41C及び42Cは、エフェクターメモリーT細胞(EM)(CCR7−/CD45RA−)のデータを示し;図41D及び42Dは、最終分化エフェクターメモリー細胞(TEMRA)(CCR7−/CD45RA+)のデータを示す。MIL方法3(MIL1.3)を使用して拡大培養されたサンプルは、コンパレータである黒色腫TILのCD4サブセットと一致している。PBL2及びPBL3のデータを対照として使用した。
[00476] 図43A及び43Bは、MIL(図43A)及びPBL(図43B)のCD4CD27及びCD8CD27サブセットのデータを示す。図44A及び44Bは、MIL(図44A)及びPBL(図44B)のCD4CD28及びCD8CD28サブセットのデータを示す。PBLのデータは、黒色腫TILと比較して、各サンプルの拡大培養プロセスの0日目と14日目に示されている。MILのデータは、黒色腫TILと比較して、MIL1.3のみについて0日目及び14日目に示されている。MIL及びPBLのCD28サブセットは、黒色腫TILに類似している。
[00477] 図45A及び45Bは、MIL(図45A)及びPBL(図45B)のCD4及びCD8サブセットのそれぞれの内のPD1+細胞の比較を表す。図46A及び46Bは、MIL(図46A)及びPBL(図46B)のCD4及びCD8サブセットのそれぞれの内のLAG3+細胞の比較を表す。PD1+及びLAG3+の両方のデータは、0日目の測定値に対するMIL1.3サンプルの大幅な減少を示す一方、MIL1.1及びMIL1.2は、0日目に対するPD1及びLAG3の両方は増加傾向にあるようであった。PBLデータを対照として使用した。
[00478] この実施例の実験は、MIL方法3で拡大培養されたMILが、より高い拡大倍数を有し、機能性が高く、より高いCD8サブセットの割合を有し、より少ないLAG3+及びPD1+T細胞サブセットを有していたことを示す。データは、メモリーサブセットが黒色腫TILに類似していることも示した。データは、凍結保存されたサンプルが、新鮮なサンプルと比較して、より高い拡大倍数を有するようであることも示した。PBLサンプルのデータの多くは、小さいサンプルサイズに基づいているようであり、不確定なもののようである。
実施例3 − TILを拡大培養し、拡大培養したTILを用いて癌を処置する方法
[00479] 骨髄は、針吸引を使用して入手される。骨髄サンプルをヘパリン含有シリンジに吸引し、室温で一晩保存する。貯蔵後、シリンジの内容物を一緒に滅菌容器にプールし、品質を試験する。骨髄は、リンパ球分離培地(LSM)及びCOBE Spectraによる遠心分離を使用して、単核細胞(MNC)が濃縮されている。勾配内の細胞は赤血球まで収集され、HBSSを使用して洗浄される。MNCは、2%HSA及び5%DMSOが添加されたヘタスターチ系凍結保護剤を使用して凍結保存され、品質管理のためにMNCの一部が確保されている。QCバイアルを解凍して、MNC製品のCD3+及びCD38+/138+の細胞含有量を測定する。
[00480] 骨髄を吸引及びリンパ球分離培地密度勾配で分画し、細胞をほぼ赤血球ペレットのレベルまで収集する。この分画法は、赤血球及び好中球を実質的に除去し、ほぼ完全な骨髄を提供する。結果として生じる分画された材料は、T細胞及び腫瘍細胞である。骨髄はフィコール処理され(Ficolled)、TILは、当技術分野において公知の方法及び本明細書に記載の任意の方法を用いて拡大培養される。例えば、TILを拡大培養させるための例示的な方法が図14に示される。TILを拡大培養するための、且つ拡大培養したTILで癌患者を処置するための例示的な方法を図15に示す。
実施例4 − 非ホジキンリンパ腫腫瘍から増殖した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の表現型及び機能的特徴付け
[00481] この実施例で説明する実験の目標には、治療的有効性を有するTILをNHL腫瘍から分離及び培養できるかどうかを決定し、NHL由来TILの特性を黒色腫由来TILと比較することが含まれる。
[00482] 患者からのTILの抽出及び拡大培養のための材料及び方法は、本明細書に記載されている通りである。患者のTILは、病変、この場合にはリンパ組織の、外科的切除を介して、抑制性腫瘍微小環境から抽出された。本明細書に開示される拡大培養プロセスを使用してTILを拡大培養し、109〜1011個のTILを得た。
[00483] NHL由来のTIL(1つのマントル細胞リンパ腫(MCL)、3つの濾胞性リンパ腫(FL)、3つのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL))を、フローサイトメトリーを使用して黒色腫由来のTILに対する分化のマーカーについて分析した。抗CD56、抗TCRab、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD27及び抗CD28抗体についてTILを分析した。これらの抗体は、分化パネル1(DF1)として使用された。抗CD3、抗CD4、抗CD9、抗CD38、抗HLA−DR、抗CCR7及び抗CD45RA抗体を分化パネル2(DF2)として使用した。DF2を使用して、次のT細胞サブセットを特定した。ナイーブ(CCR7+/CD45RA+);セントラルメモリーt細胞(CM)(CCR7+/CD45RA−);エフェクターメモリーT細胞(EM)(CCR7−/CD45RA−);及び最終分化エフェクターメモリー細胞(TEMRA)(CCR7−/CD45RA+)。
[00484] 図16は、異なる癌タイプでの異なる細胞サブ集団におけるCD4及びCD8 T細胞を示す。黒色腫(四角)、マントル細胞(影付き丸)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(白丸)及び濾胞性リンパ腫(黒丸)の癌タイプを試験した。図16A〜16Dは、黒色腫TILと比較して、リンパ腫TILがより増殖性が高く、従ってより高い抗腫瘍活性を有する傾向を一般的に示す。同様に、図17Bは、CD4/CD28発現リンパ腫T細胞がCD4/CD28発現黒色腫T細胞よりも高い増殖能力を有することを示す。
[00485] TILによるインターフェロンガンマ(IFNγ)産生は、mABコーティングされたDynabeads(商標)(CD3、CD28及びCD137)でTILを刺激し、ELIspot(商標)(Immunospot CTL)を使用することによって測定し、Immunospot(商標)S6エントリーアナライザーを使用して、また、DuoSet(商標)ELISAキット(製造者の指示に従うR&Dシステム)を使用したELISAによって列挙した。
[00486] 図18A及び18Bは、NHL TIL及び黒色腫TILによるIFNγ産生が類似していることを示しており、2つのTILタイプ間で同様の細胞傷害性機能を示す。
[00487] TILの溶解能力は、生物発光リダイレクト溶解アッセイ(BRLA)を使用して決定した。eGFP及びホタルルシフェラーゼをコードするレンチウイルスベクターで形質導入されたP815細胞を標的細胞として使用した。TIL及び標的細胞をOKT3の存在下で4時間/24時間共培養した。次いで、ルシフェリンを添加し、細胞を5分間インキュベートした。生物発光はルミノメーターを使用して測定された。パーセント生存率及びパーセント細胞傷害性は次のように計算された。
%生存率=(実験的生存率−最小)/(最大シグナル−最小シグナル)×100
%細胞傷害性=100−(%生存率)
[00488] TILの溶解能力は、エフェクター細胞によって誘導される標的細胞の50パーセント細胞傷害性を表す溶解単位LU50として表された。
[00489] 自己腫瘍及び同種異系腫瘍の両方に対する腫瘍殺傷能力を測定するために、TILをアッセイした。TILは、異なるエフェクター細胞対標的細胞比(E:T比)(10:1、20:1、50:1又は100:1のいずれか)で、自己リンパ腫細胞又は同種異系黒色腫細胞株(526黒色腫細胞株)と混合された。共培養前にCellTrace Violet色素(ThermoFisher)で腫瘍細胞を標識した。24時間後、細胞を7−AADで染色して細胞死を判定した。TILによって殺傷された腫瘍細胞の割合は、リンパ腫細胞ではCD19に対してCellTrace Violet色素、黒色腫細胞ではMCSPに対してCellTrace Violetでゲートされた7−AAD陽性腫瘍細胞として表された。
[00490] 図19は、NHL TIL及び黒色腫TILが4時間(図19A)及び24時間(図19B)で同種異系腫瘍及び自己腫瘍の両方に対して同様の細胞傷害性機能を有することを示す。
[00491] 遺伝子発現解析は、nCounter GX Human Immunology V2パネル(NanoString, Seattle)を使用してTILでも実行された。製造者の指示に従って、100ngの総RNAをアッセイした。データは、各サンプルの組み込みコントロール遺伝子プローブの幾何平均でスケーリングすることにより正規化された。データは、黒色腫遺伝子発現に対してマッピングされ、比較された。
[00492] 図21は、遺伝子発現解析の結果を示す。ヒートマップは、黒色腫TILにわたる遺伝子発現の倍数変化を示す。リンパ腫由来のTILからのIL17A及びRORCの発現は、黒色腫由来のTILと比較して、より高い発現を示した。
[00493] 全体として、この実験の結果は、リンパ腫由来のTILの機能的特徴が黒色腫由来のTILと類似していることを実証し、リンパ腫由来のTILの使用がリンパ腫癌の処置に成功するであろうことを示す。
実施例5 − 慢性リンパ性白血病(CLL)を有する患者の末梢血から増殖した末梢血リンパ球(PBL)の表現型及び機能的特徴付け。
[00494] PBMCは、3つのラウンドのイブルチニブによる処置前及び処置後のCLLを有する患者から収集された。
[00495] 図24及び本明細書の他の箇所で説明するように、3つの異なる方法、PBL方法1、PBL方法2及びPBL方法3を使用してT細胞を拡大培養した。特定のサンプルは新鮮なPBMCから得られ、特定のサンプルは凍結保存されたPBMCから得られた。細胞が拡大培養及び回収されると、上記の実施例4及び本明細書の他の箇所に記載された方法を使用して、フェノタイピングし、機能的に特徴付けた。この実施例の目標は、PBLの最適な拡大培養プロセスを決定し、イブルチニブ処置サンプルから拡大培養したPBLが未処置サンプルから拡大培養したPBLよりも強力かどうかを決定することであった。
[00496] PBLの拡大倍数を図26に示す。PBL方法1、PBL方法2及びPBL方法3を使用して拡大培養されたPBLの結果が示される。未処置のPBL(プレRx PBL)は、平均179倍の拡大倍数を示し、イブルチニブ処理PBL(ポストRx PBL)は平均306倍の拡大倍数を示した。新鮮なPBMCに由来するPBL(PBL)は、平均82倍の拡大倍数のみを示した。PBLとポストRx PBLとの間では、p=0.006。PBLとプレRx PBLとの間では、p=0.3及びプレRx PBLとポストRx PBLとの間では、p=0.1。全体として、PBL及びプレRx PBLの両方の全てのグループに比べて、全てのポストRx PBLグループで平均拡大倍数の増加が見られる。
[00497] 図27は、PBL、プレRx PBL及びポストRx PBLのインターフェロンガンマ(IFN−γ)産生細胞を示す。PBLについて、IFN−γ産生細胞の平均数は約1864であった。プレRx PBLについて、IFN−γ産生細胞の平均数は約7530であり、ポストRx PBLについて、IFN−γ産生細胞の平均数は約11984であった。PBLとポストRx PBLとの間では、p=0.006。PBLとプレRx PBLとの間では、p=0.006及びプレRx PBLとポストRx PBLとの間では、p=0.01。全体として、PBL及びプレRx PBLの両方の全てのグループと比較して、全てのポストRx PBLグループでIFN−γ産生細胞の平均数の有意な増加が見られる。
[00498] 各サンプルで表現型の特徴付けを実施した。図28は、プレRx PBL及びポストRx PBLにおけるCD4+及びCD8+T細胞サブセットの割合を表し、コンパレータとして黒色腫TILを使用する。ここで、データは、CD4サブセット(左に示す)が、どの方法が細胞の拡大培養に使用されたかに関係なく、プレRx PBL及びポストRx PBLの両方間で同等であることを示す。プレRx PBL及びポストRx PBLのCD4サブセットは、黒色腫TILよりも高いことが示された(それぞれp=0.0006)。CD8サブセット(右に示す)は、細胞の拡大培養に使用されるプロセスに関係なく、プレRX PBL及びポストRX PBLの両方で低かった。プレRx PBL及びポストRx PBLのCD8サブセットは、黒色腫TILよりも低いことが示された(それぞれp=0.0006)。より低いCD8サブセットは単に癌のタイプの派生物であると仮定される(即ち、CLLでは、CD4サブセットは典型的には拡大培養される)。
[00499] 図29A〜29Dは、コンパレータとして黒色腫TILを使用した、プレRx PBLとポストRx PBLのCD4メモリーサブセット間の比較を示す。図29Aは、ナイーブ(CCR7+/CD45RA+)のデータを示し;図29Bは、セントラルメモリーt細胞(CM)(CCR7+/CD45RA−)のデータを示し;図29Cは、エフェクターメモリーT細胞(EM)(CCR7−/CD45RA−)のデータを示し;図29Dは、最終分化エフェクターメモリー細胞(TEMRA)(CCR7−/CD45RA+)のデータを示す。図29は、プレRx PBL及びポストRx PBLのCD4メモリーサブセットが、黒色腫TILで見られるものと同等であることを示す。
[00500] 図30A〜30Dは、コンパレータとして黒色腫TILを使用した、プレRx PBLとポストRx PBLのCD8メモリーサブセット間の比較を示す。図30Aは、ナイーブ(CCR7+/CD45RA+)のデータを示し;図30Bは、セントラルメモリーt細胞(CM)(CCR7+/CD45RA−)のデータを示し;図30Cは、エフェクターメモリーT細胞(EM)(CCR7−/CD45RA−)のデータを示し;図30Dは、最終分化エフェクターメモリー細胞(TEMRA)(CCR7−/CD45RA+)のデータを示す。図30は、プレRx PBL及びポストRx PBLのCD8メモリーサブセットが、黒色腫TILで見られるものと同等であることを示す。
[00501] 図31A及び31Bは、コンパレータとして黒色腫TILを使用した、CD4細胞(図31A)及びCD8細胞(図31B)のCD27サブセットの比較を表す。CD4CD27細胞サブセットは、黒色腫TILと比較して、プレRx PBL(p=0.03)とポストRx PBL(p=0.02)の両方で有意に高かった。CD8CD27細胞サブセットは、黒色腫TILと比較して、プレRx PBL(p=0.002)とポストRx PBL(p=0.001)の両方で有意に高かった。
[00502] 図32A及び32Bは、コンパレータとして黒色腫TILを使用した、CD4細胞(図30A)及びCD8細胞(図30B)のCD28サブセットの比較を表す。CD4CD28細胞サブセット及びCD8CD28細胞サブセットは、黒色腫TILと比較して、プレRx PBL及びポストRx PBLの両方で同等であることが示された。
[00503] 図33A及び33Bは、プレRx PBL及びポストRx PBLのCD4+(図33A)及びCD8+(図33B)集団内のLAG3+サブセットの比較を示す。データは、ポストRx PBLのCD4+(p=0.06)及びCD8+(p=0.01)集団の両方でLAG3+サブセットの有意な平均減少を示す。
[00504] 図34A及び34Bは、プレRx PBL及びポストRx PBLのCD4+(図34A)及びCD8+(図34B)集団内のPD1+サブセットの比較を示す。データは、ポストRx PBLのCD4+及びCD8+集団の両方でPD1+サブセットの平均減少を示すが、減少は有意でなかった。
[00505] 図35A及び35Bは、生物発光再溶解アッセイ(BRLA)を使用して測定されたプレRx PBL(図35A)及びポストRx PBL(図35B)の細胞溶解活性の結果を示す。CelllTrace(商標)Violet Cell Proliferation Kit(Invitrogen)を使用して、以下のようにアッセイを実施した。PBLであるエフェクター細胞は、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識された。標的細胞(自己CD19+腫瘍細胞)をミトシイン(mitocyin)Cとインキュベートし、CellTrace(商標)Vioet Cell Proliferation Kitの指示に従ってCellTrace(商標)Violet(CTV)で標識した。エフェクター細胞と標的細胞を2:1、5:1、20:1の比率で24時間インキュベートした(E:T細胞)。カウントブライト(countbright)ビーズを加え、細胞をアネキシンV−PIで染色し、CTV+/アネキシン−V PI+細胞(死細胞の数を提供する)を分析した。ポストRx PBLは、標的腫瘍細胞の50%を殺傷するのに必要な細胞がより少ないため(即ち、LU50は、ポストRx PBLの方がプレRx PBLよりも低い)、より強力であると思われる。
[00506] この実施例で実施された実験は、次の結果を示した:新鮮なCLL PBMCから拡大培養されたPBLは、凍結保存されたPBMC(プレRx PBL及びポストRx PBL)から拡大培養されたPBLと比較して、より低い拡大倍数及び有意により低いIFN−□産生を示し;ポストRx PBLは、プレRx PBLと比較して、一貫してより高い拡大倍数及びIFN−□産生の有意な増加を示し;プレRx PBLとポストRx PBLの両方は、自己(CD19+)腫瘍細胞に対して溶解活性を示したが、ポストRx PBLはプレRx PBLよりも低いLU50を有していた。
[00507] 実施例6 − CLL患者のPBMCからPBLを選択及び拡大培養する例示的な実施形態
[00508] PBMCは患者から収集され、(任意選択により、イブルチニブなどのITK阻害剤で前処置された)使用前に凍結されるか又は新鮮に使用される。本発明の方法において、出発物質として少なくとも約400,000,000(400x106)のPBMCを産生するために十分量の末梢血を収集する。方法の0日目に、6x106IU/mLのIL−2を新鮮に調製するか、解凍し、使用できるまで4℃又は氷上で保存した。200mLのCM2培地は、100mLのCM1培地(GlutaMAX(登録商標)を含む)を組み合わせ、それを100mL(1:1)でAIM−Vで希釈してCM2を作製することによって調製される。CM2は光から保護されており、使用しないときは堅く密閉されている。
[00509] 以下の工程は、全て滅菌細胞培養条件下で行われる。CM2の50mlのアリコートを凍結したPBMCサンプルの解凍及び/又は洗浄に使用するために37℃の水浴中の50mLのコニカルチューブで温める。凍結したPBMCサンプルを使用する場合、サンプルを冷凍庫から取り出し、解凍の準備ができるまでドライアイスで保存する。PBMCクライオバイアルを解凍する準備ができたら、5mLのCM2培地を滅菌50mLコニカルチューブに入れる。PBMCサンプルのクライオバイアルを、氷の結晶がごくわずかにのみ残るまで37℃の水浴中に入れる。加温したCM2培地を、サンプルバイアルに、サンプル:培地(約1mL)の体積比1:1で滴下する。内容物全体をクライオバイアルから取り出し、50mLコニカルチューブ内の残りのCM2培地に移す。更に1〜2mLのCM2培地を使用してクライオバイアルを洗浄し、クライオバイアルの内容物全体を取り出して50mLのコニカルチューブに移す。次に、コニカルチューブの容量を追加のCM2培地で15mLに調製し、穏やかに渦巻かせて細胞を洗浄する。次に、コニカルチューブを室温で、400gで5分間遠心分離し、細胞ペレットを収集する。
[00510] 上清をペレットから除去し、コニカルチューブに蓋をし、次に例えば粗い表面に沿ってチューブをこすることにより細胞ペレットを破壊する。約1mLのCM2培地を細胞ペレットに添加し、ペレットと培地をピペットで5〜10回上下に吸引して細胞ペレットを分解する。更に3〜5mLのCM2培地をチューブに添加し、ピペットで混合して細胞を懸濁する。この時点で、細胞懸濁液の量を記録する。Nexcelom Cellometer K2などの自動セルカウンターで細胞を計数するために、チューブから細胞懸濁液100mLを取り出す。サンプル中の生細胞の数を測定し、記録する。
[00511] フェノタイピング及び他の特性評価実験のために、最低5x106細胞を保存する。細胞ペレットを収集するために、保存された細胞を400gで、5分間室温で回転させる。細胞ペレットを凍結培地(20%DMSOを含む滅菌熱不活化FBS)に再懸濁する。保存された細胞の1つ又は2つのアリコートを凍結培地で凍結し、各アリコートは、クライオバイアル中に1mLの凍結培地中の2〜5x106個の細胞で構成され、−80℃の冷凍庫の細胞凍結容器(Mr.Frosty)で緩慢凍結する。−80℃で最低24時間後、液体窒素保管庫に移す。
[00512] 次の工程では、事前に冷却した溶液を使用し、迅速に作業して、セルを低温に保つ。次の工程は、PBMCサンプルのT細胞分画を精製することである。これは、Pan T-cell Isolation Kit(Miltenyi、カタログ番号130−096−535)を使用して完了する。PBS、0.5%BSA及びpH7.2の2mM EDTAを含む滅菌フィルター洗浄緩衝液で細胞を洗浄することにより、細胞を精製のために調製する。PBMCサンプルを400gで5分間遠心分離して、細胞ペレットを収集する。上清を吸引除去し、細胞ペレットを細胞107個ごとに40uLの洗浄緩衝液に再懸濁する。107細胞ごとに10μLのPanT細胞ビオチン抗体カクテルを添加する。よく混合し、冷蔵庫内又は氷上で5分間インキュベートする。107細胞ごとに30μLの洗浄緩衝液を添加する。107細胞ごとに20μLのPanT細胞マイクロビーズカクテルを添加する。よく混合し、冷蔵庫内又は氷上で10分間インキュベートする。LSカラムを調製し、マイクロビーズから細胞を磁気的に分離する。LSカラムをQuadroMACS磁場中に配置する。LSカラムを3mLの冷たい洗浄緩衝液で洗浄し、洗浄液を収集して廃棄する。細胞懸濁液をカラムに入れ、フロースルー(未標識細胞)を収集する。このフロースルーは濃縮T細胞分画(PBL)である。3mLの洗浄緩衝液でカラムを洗浄し、最初のフロースルーと同じチューブにフロースルーを収集する。チューブに蓋をして、氷の上に置く。これは、T細胞分画、つまりPBLである。磁場からLSカラムを取り外し、5mLの洗浄緩衝液でカラムを洗浄し、非T細胞分画(磁気標識細胞)を別のチューブに収集する。両分画を400gで5分間遠心分離して、細胞ペレットを収集する。上清を両方のサンプルから吸引し、ペレットを破壊し、各ペレットに3000IU/mLのIL−2を補充した1mLのCM2培地に細胞を再懸濁し、ピペットで5〜10回上下にピペッティングしてペレットを分解する。各サンプルに1〜2mLのCM2を添加し、各サンプルをよく混合し、次の工程のために組織培養インキュベーターに保存する。各サンプルから約50uLのアリコートを取り出し、細胞を計数し、数と生存率を記録する。
[00513] 次に、T細胞(PBL)をDunabeads(商標) Human T-Expander CD3/CD28で培養する。Dynabeadsのストックバイアルを中速で30秒間ボルテックスする。必要とするビーズのアリコートをストックバイアルから取り出し、滅菌1.5mLのマイクロチューブに入れる。ビーズを含む1.5mLマイクロチューブに1mLのビーズ洗浄液を添加することにより、ビーズをビーズ洗浄液で洗浄する。穏やかに混合する。チューブをDynaMag(商標)-2磁石の上に置き、ビーズが磁石に向かって引き寄せられる間、30分間放置する。ビーズから洗浄液を吸引除去し、磁石からチューブを取り外す。3000IU/mL IL−2を補充した1mLのCM2培地をビーズに添加する。マイクロチューブの内容物全体を15又は50mLのコニカルチューブに移す。IL−2を含むCM2培地を使用して、ビーズの最終濃度を約500,000/mLにする。
[00514] T細胞(PBL)及びビーズは、次のように一緒に培養される。0日目:G-Rex24ウェルプレートで、1ウェルあたり合計7mLで、500,000個のT細胞、500,000個のCD3/CD28Dynabeads及びIL−2が補充されたCM2を添加する。G-Rexプレートをそのプロセスの次に工程(4日目)まで加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに入れた。残りの細胞は、Mr.Frosty細胞凍結容器を使用して、CS10凍結保存培地で凍結される。Mr.Frosty細胞凍結容器を使用して、細胞の非T細胞分画をCS10凍結保存培地で凍結する。4日目に培地を交換する。培地の半分(約3.5mL)をG-rexプレートの各ウェルから取り除く。37℃に加温した3000IU/mL IL−2を補充した十分な量(約3.5mL)のCM4培地を添加して、各サンプルウェルから除去した培地を交換する。G-rexプレートをインキュベーターに戻す。
[00515] 7日目に、細胞はREPによる拡大培養のために調製される。G-rexプレートをインキュベーターから取り出し、培地の半分を各ウェルから取り出して廃棄する。細胞を残りの培地に再懸濁し、15mLのコニカルチューブに移す。ウェルを、37℃に温めた3000IU/mL IL−2を補充した各CM4を1mLで洗浄し、洗浄培地を同じ15mLチューブに細胞と共に移す。細胞の代表的なサンプルを除去し、自動セルカウンターを使用して計数する。1x106未満の生細胞がある場合、0日目のDynabead拡大培養プロセスが繰り返される。細胞の残りは、バックアップ拡大培養のため又はフェノタイピング及び他の特性研究のために凍結される。1x106以上の生細胞がある場合、REP拡大培養は、0日目からのプロトコルに従って複製で設定される。代わりに、十分な細胞を用いて、拡大培養は、G-Rex10M培養フラスコで、1フラスコあたり10〜15x106のPBLを使用し、3000IU/mL IL−2を補充した最終容量100mL/ウェルのCM4培地で1:1の比率のDynabeads:PBLを使用して、設定される。プレート及びフラスコをインキュベーターに戻す。過剰なPBLは、−80℃の冷凍庫内のMr.Frosty細胞凍結容器で小分けにしてゆっくりと凍結し、−80℃で最低24時間後に液体窒素貯蔵に移し得る。これらのPBLは、拡大培養若しくはフェノタイピング又は他の特性研究のためのバックアップサンプルとして使用し得る。
[00516] 11日目に、培地を交換する。培地の半分をG-rexプレートの各ウェル又はフラスコから取り出し、37℃で3000IU/mL IL−2を補充した同量の新しいCM4培地と交換する。
[00517] 14日目に、PBLを回収する。G-rexプレートを使用する場合、培地の約半分がプレートの各ウェルから取り除かれ、廃棄される。PBLとビーズを残りの培地に懸濁し、滅菌された15mLのコニカルチューブ(チューブ1)に移す。37℃に温めた1〜2mLの新しいAIM−V培地でウェルを洗浄し、洗浄液をチューブ1に移す。チューブ1に蓋をして、DynaMag(商標)-15磁石に1分間入れ、ビーズを磁石に引き寄せる。細胞懸濁液を新しい15mLチューブ(チューブ2)に移し、ビーズを2mLの新しいAIM−Vで、37℃で洗浄する。チューブ1を更に1分間磁石に戻し、その後、洗浄培地をチューブ2に移す。必要に応じて、最終の洗浄の工程後にウェルを混合し得る。細胞の代表的なサンプルを取り出し、計数し、数と生存率を記録する。計数している間、チューブをインキュベーターに入れ得る。細胞が非常に密に見える場合、追加のAIM−V培地をチューブ2に添加し得る。フラスコが使用する場合、フラスコの容量を約10mLに減らすべきである。フラスコの内容物を混合し、15mLのコニカルチューブ(チューブA)に移す。上記のようにフラスコを2mLのAIM−V培地で洗浄し、洗浄培地もチューブAに移す。チューブAに蓋をして、DynaMag(商標)-15磁石に1分間入れ、ビーズを磁石に引き寄せる。細胞懸濁液を新しい15mLチューブ(チューブB)に移し、ビーズを2mLの新しいAIM−Vで、37℃で洗浄する。チューブAを更に1分間磁石に戻し、その後、洗浄培地をチューブBに移す。最後の洗浄工程後、必要に応じてウェルを混合し得る。細胞の代表的なサンプルを取り出し、計数し、数と生存率を記録する。計数している間、チューブをインキュベーターに入れ得る。細胞が非常に密に見える場合、追加のAIM−V培地をチューブBに添加し得る。細胞は、新鮮な状態で使用するか、又は目的の濃度で、CS10保存培地で凍結して使用し得る。
実施例7 − PBMCからPBLを選択及び拡大培養する例示的な実施形態
[00518] CLL患者又は本明細書に記載されている他の疾患の患者から得られたPBMCからのPBLの拡大培養には、以前にイブルチニブ若しくはITK阻害剤を投与された、又はイブルチニブ再発若しくは難治性CLLのCLL患者を含む、以下の手順を使用し得る。全ての工程で、生物学的安全キャビネット(BSC)又は同様の筐体で滅菌技術を使用する必要がある。
[00519] 0日目、6x106IU/mL IL−2を調製する。アリコートが利用できる場合、新しいアリコートを解凍し、使用できるまで4℃の冷蔵庫又は氷上で放置する。CM2培地の小容量(例えば、200mL)を調製する。最初に、100mLのCM1培地を準備し、手順でグルタミンをGlutaMAXに置き換えて、AIM Vで1:1に希釈し、CM2を作製する。この実験を実行している間、CM2を37℃の水浴中に入れ、キャップを堅く閉じ、光から保護する。フード内で使用する場合、キャップを外しておいたり緩めておいたりしてはならない。37℃の水浴中で、CLLサンプルの解凍と洗浄に使用する50mLのコニカルチューブで、CM2(IL−2なし)のアリコートを温める。LN2冷凍庫からCLL PBMCサンプルを含むクライオバイアルを取り出し、解凍の準備ができるまでサンプルをドライアイス上に保持するか、新しいCLL PBMCを使用する。解凍を開始する直前に、加温した培地のアリコートをBSCに入れる。新しく、滅菌されたラベル付きの50mLコニカルチューブに5mLの培地を添加する。ごくわずかな氷晶がクライオバイアルに残るまで、37℃の水浴中にクライオバイアルを入れサンプルを解凍する。解凍されたサンプルを含むクライオバイアルをBSCに移す。滅菌トランスファーピペットを用いて、等量の温めた培地をCLLサンプルのクライオバイアル(約1mL)に滴下する。同じトランスファーピペットを使用して、クライオバイアルからサンプルを取り出し、準備した50mLコニカルチューブに滴下する。追加の1〜2mLのCM2でチューブを洗浄し、50mLのコニカルチューブに移す。容量を15mLにし、サンプルを穏やかに渦巻かせて細胞を十分にすすぎ、次にサンプルを高速遠心分離機で、室温で5分間、400xg遠心して細胞ペレットを収集する。BSCにサンプルを戻し、細胞ペレットを乱さないように注意しながら、ペレットから上清を吸引除去する。チューブに蓋をして、粗い表面(チューブラックなど)に沿ってそれをこすり、細胞ペレットを分解する。1mLのピペッターとチップを使用して、新しい1mLのCM2を細胞ペレットに添加し、細胞を5〜10回上下に穏やかに吸引して細胞ペレットを分解する。細胞懸濁液にCM2を更に3〜5mL添加する。サンプルをよく混合するために数回上下にピペッティングする。細胞懸濁液の容量を記録する。計数をするために、チューブから代表的な量の細胞懸濁液をチューブから取り出す(例えば、100μL)。Nexcelom Cellometer K2などの自動セルカウンターを使用して、適切な手順で細胞を計数する。サンプル中の生細胞の総数を測定する。フェノタイピング及び他の実験のために少なくとも5x106細胞を保存する。保存されたサンプルを400xg、5分間室温で遠心した。保存されたサンプルの1つ又は2つのアリコートを冷凍培地(20%DMSOを含む滅菌熱不活化ウシ胎仔血清)で凍結する。−80℃の冷凍庫に入れられたMr.Frosty細胞凍結容器の細胞サンプルを緩慢凍結する。−80℃で最低24時間後、LN2保管庫に移す。
[00520] 分離の工程を進めるには、事前に冷却した溶液を使用し、細胞を低温に保ちながら迅速に作業をする。Pan T-cell Isolation Kit(Miltenyi、カタログ番号130−096−535)を使用してCLLサンプルのT細胞分画を精製する。手順開始前に洗浄緩衝液を調製する。洗浄緩衝液:リン酸緩衝生理食塩水、pH7.2、0.5%ウシ血清アルブミン及び2mM EDTAを含む。pHを読み取り、必要に応じて調製する。滅菌フィルター;4℃で保存する。細胞ペレットを収集するために、サンプルを400xg、5分間遠心する。培地上清を吸引除去し、細胞総数107ごとに細胞ペレットを40μLの洗浄緩衝液に再懸濁する。細胞総数107ごとに10μLのPanT細胞ビオチン抗体カクテルを添加する。サンプルをよく混合し、冷蔵庫又は氷上で5分間インキュベートする。細胞総数107ごとに、サンプルに30μLの洗浄緩衝液を添加する。細胞総数107ごとに20μLのPanT細胞マイクロビーズカクテルを添加する。よく混合し、冷蔵庫又は氷上で10分間インキュベートする。磁気細胞分離に進む。この手順では、LSカラムとQuadroMACS磁石を使用する。各LSカラムの最大容量は、細胞総数2x109である。使用するLSカラムを準備する。次の工程に進む前に、常にカラムリザーバーが空になるまで待つ。QuadroMACS磁石の磁場中にLSカラムを置く。LSカラムを3mLの調製された冷たい洗浄緩衝液で洗浄する。15mLコニカルチューブに洗浄液を収集する。洗浄液を廃棄する。LSカラムの下に「T細胞分画」というラベル付きの新しいチューブを置く。細胞懸濁液をカラムに充填する。未標識細胞を含むフロースルーを収集する−これは濃縮T細胞分画である。3mLの洗浄緩衝液でカラムを洗浄する。カラムを洗浄する未標識の細胞を同じ15mLコニカル「T細胞分画」チューブに収集する。チューブに蓋をし、氷上に置く。QuadroMACS磁石からLSカラムを取り外し、「非T細胞分画」というラベル付きの新しい15mLコニカルチューブに配置する。5mLの洗浄緩衝液をカラムにピペットで移し、プランジャー(LSカラムに付属)をカラムにしっかりと押し込んで、磁気標識された非T細胞をすぐに洗い流す。「T細胞分画」及び「非T細胞分画」の両方のチューブを遠心分離機に入れ、400xgで5分間遠心し細胞ペレットを収集する。両方のサンプルから上清を吸引除去し、チューブにキャップを付け、粗い表面に沿ってチューブをこすり付けることにより各ペレットを再懸濁する。1mLのピペッター及びチップを使用して、3000IU/ml IL−2を補充した1mLのCM2培地を各ペレットに添加する。ペレットを更に細かく分解するために、5〜10回上下に穏やかにピペッティングして、各ペレットを再懸濁する。各サンプルに1〜2mLの新鮮な培地を加え、各サンプルをよく混合する。各サンプルから少量の代表的なアリコート(例えば、50μL)を取り出す。細胞サンプルを組織培養インキュベーターに入れ、キャップを緩める。細胞を計数し、カウント及び生存率を記録する。Dynabeads(商標)Human T-Expander CD3/CD28を少量使用するために調製する。ボルテックスミキサーで、中速で30秒間、CD3/CD28 Dynabeadsのストックバイアルをボルテックスする。必要なアリコートのビーズをストックバイアルから滅菌1.5mLマイクロチューブに取り出す。ビーズを含む1.5mLマイクロチューブに1mLの洗浄液を追加して、ビーズ洗浄液でビーズを洗浄する。チューブを軽くたたいて、サンプルを混合する。ビーズを含むチューブをDynaMag(商標)-2磁石の上に置き、ビーズが磁石に引き寄せられている間、チューブを30秒間静置する。DynaMag磁石の反対側のマイクロチューブ側面から洗浄液を吸引除去する。磁石からマイクロチューブを取り外し、チューブラックに置く。1mLのピペッター及びチップを使用して、ビーズにIL−2が補充された1mlのCM2を追加する。「ビーズ、500,000/mL」というラベル付きの新しい15mL(又は50mL)コニカルチューブにビーズ溶液を移す。ビーズを、500,000ビーズ/mlの濃度になる最終容量にする(例えば、10x106ビーズを最終容量20mLにする)。次のように、1サンプルあたり最低1ウェルとして細胞培養を設定する。十分な細胞がある場合、より多くのウェルを設定できる。G-Rex24ウェルプレートで、1ウェルあたり合計7mLで、500,000個のT細胞、500,000個のCD3/CD28Dynabeads(1mLの500,000ビーズ/mL懸濁液)及び3000IU/ml IL−2が補充されたCM2を添加する。G-Rex 24ウェルプレートを加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに入れる。十分な細胞がある場合、REPの繰り返しのため又は他の実験のために、Mr.Frosty細胞凍結容器を使用してCS10凍結保存培地でサンプルを凍結するT細胞分画の少量を保存する。細胞の非T細胞分画を計数し、Mr.Frosty細胞凍結容器を使用して、CS10凍結保存培地で凍結する。
[00521] 4日目、次のように培地交換を行う。十分な量のCM4(3000IU/mL IL−2を補充)を調製して、サンプルウェルの培地の半分を交換し、水浴で37℃に温める。G-Rex24ウェルプレートをインキュベーターからBSCに移す。各ウェルから培地の半分の量(3.5mL)を取り除く。各ウェルに等量(3.5mL)の新しい培地を添加する。G-Rex 24ウェルプレートを加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに戻す。
[00522] 7日目、次のようにREPを使用した拡大培養が行われる。CM4(3000IU/mL IL−2を補充)の小容量を調製し、培養ウェルの洗浄を行う。37℃の水浴中で温める。G-Rex24ウェルプレートをインキュベーターからBSCに移す。各ウェルから培地の半分の量を取り除き、廃棄する。残りの細胞を再懸濁し、ラベル付きの滅菌した15mLコニカルチューブに移す。1mLの調製したCM4でよく洗浄し、洗浄液を同じ15mLコニカルチューブに移す。G-Rex 24ウェルプレートを組織培養フードに保管する。同じプレートの未使用のウェルをPBLサンプルの拡大培養に使用することがきでる。代表的な細胞量を取り除き、自動セルカウンターを使用して計数する。PBLを拡大培養するために必要なウェル又は培養容器の数を測定する。総生細胞が1x106以下である場合:G-Rex24ウェルプレートの1つのウェルで、500,000PBLを使用し、工程9.16のように7mLのCM4(3000IU/mL IL−2を補充)で調製された1:1の比率のDynabeads(商標)Human T-ExpanderCD3/CD28を使用して拡大培養を設定する。バックアップ拡大培養又はフェノタイピング及び他の補助的な手順のために細胞の残りを凍結する。総生細胞が1x106以上の場合:G-Rex 24ウェルプレートの複製ウェルで、1ウェルあたり500,000PBLを使用し、工程9.16のように最終容量7ml/ウェルCM4(3000IU/mL IL−2を補充)で調製された1:1の比率のDynabeads(商標)Human T-ExpanderCD3/CD28を使用して拡大培養を設定する。又は、余分なサンプルを使用して、G-Rex10M培養フラスコで1フラスコあたり10〜15x106PBLを使用し、工程9.16のように最終容量100ml/ウェルCM4(3000IU/mL IL−2を補充)で調製された1:1の比率のDynabeads(商標)Human T-ExpanderCD3/CD28を使用して拡大培養を設定する。−80℃のMr.Frosty細胞凍結容器に入れられたラベル付きのクライオバイアル内の7日目の余分なPBLサンプルを緩慢凍結する。−80℃で最低24時間後、LN2保管庫に移す。これらのサンプルは、拡大培養又はフェノタイピング及び他の補助的な手順のバックアップサンプルとして使用することができる。(7日目に保管することが推奨されるセルの最小数:2x106〜5x106。) 培養プレート又はフラスコを加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに入れる。
[00523] 11日目、次のように培地交換を行う。十分な量のCM4(3000IU/mL IL−2を補充)を調製して、各培養ウェル又は容器の半分の量を交換し、37℃の水浴で保温する。培養容器をインキュベーターからBSCへ移す。各ウェル又はフラスコから培地の半分の量を取り除き、廃棄する。各培養ウェル又はフラスコに等量を添加する。培養容器を加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに戻す。
[00524] 14日目、次のようにREP回収が行われる。37℃の水浴中で少容量のAIM V培地を温め、次の工程の洗浄に使用する。サンプルを回収する準備が整ったら、BSCに移す。培養容器をインキュベーターからBSCへ移す。培養液がG-Rex24ウェルプレートにある場合、各ウェルから約半分の量を取り除き、廃棄する。より大規模培養の場合、次の段落の「REPが完了した」工程に進む。血清ピペットを使用しサンプルを混合し、細胞をラベル付きの滅菌した15mLコニカルチューブに移す。1〜2mLの新鮮な温めた培地でウェルを洗浄する。15mLのコニカルチューブに蓋をし、DynaMag(商標)-15磁石に入れる。磁気ビーズが磁石に引き寄せられるように、サンプルを磁石に1分間置く。5mLの血清ピペットを使用し、細胞懸濁液を新しいラベル付きの15mLコニカルチューブに移す。磁石から最初の15mLチューブを取り外し、最低2mLの新しいAIM Vでビーズを洗浄する。チューブを磁石に戻し、1分間放置する。5mLの血清ピペットを使用し、2番目のラベル付き15mLコニカルチューブに洗浄培地を移す。1サンプルあたり複数のウェルで調整した場合、ビーズ洗浄後、同じ条件の全てのウェルを混合することができる。培養液がG-Rex10Mフラスコ内にある場合、吸引により容量を合計約10mLに減らす。10mLの血清ピペットを使用しサンプルを混合し、細胞をラベル付きの滅菌した15mLコニカルチューブに移す。2mLの新鮮な温めた培地でフラスコを洗浄する。15mLのコニカルチューブに蓋をし、DynaMag(商標)-15磁石に入れる。磁気ビーズが磁石に引き寄せられるように、サンプルを磁石に1分間置く。5mLの血清ピペットを使用し、細胞懸濁液を新しいラベル付きの15mLコニカルチューブに移す。磁石から最初の15mLチューブを取り外し、最低2mLの新しいAIM Vでビーズを洗浄する。チューブを磁石に戻し、1分間放置する。5mLの血清ピペットを使用し、2番目のラベル付き15mLコニカルチューブに洗浄培地を移す。1サンプルあたり複数のフラスコで調製した場合、ビーズ洗浄後、全てを混合することができる。細胞が非常に密になっているように見える場合、余分に予備加温したAIM V培地を培養液に添加できる。代表的な細胞量を取り除き、自動セルカウンターを使用して計数する。細胞数及び生存率を記録する。細胞を計数する間、キャップを緩めた細胞を含むチューブを加湿した37℃、5%CO2インキュベーターに入れる。
[00525] この時点で、REPは完了する。PBLのポストREPの試験は、新鮮なサンプル又は凍結したサンプルで行うことができる。CS10凍結保存培地のPBLサンプルを凍結するか、必要に応じて患者への送達のために代替製剤で調製する。フローサイトメトリー及び共培養アッセイによるフェノタイピングには、より低い濃度の細胞(例えば、5x106細胞/バイアル)を使用できるため、6〜10個のバイアルを低濃度で、残りを高濃度で保存することを勧める(30〜50x106細胞/バイアル)。前述の手順は、当業者に明らかであるように、規制遵守のために必要に応じて(米国食品医薬品局及び他の規制当局が採用した、製造管理及び品質管理の基準及び調和国際会議ガイダンスを満たすことを含む)、スケーリング、調整又は最適化及び適合させ得る。
[00526] 上記に示す例は、本発明の組成物、システム及び方法の実施形態をどのように作製及び使用し得るかについて当業者に完全な開示及び説明を付与するために提供され、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することを意図されない。当業者に明らかな本発明を実施するための上述の態様の変形形態は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する技術分野の当業者の技能水準の指標である。
[00527] 全ての見出し及びセクション表示は、明確にするために、且つあくまでも参考として使用され、決して限定するものと考えられてはならない。例えば、当業者は、異なる見出し及びセクションからの様々な態様を、本明細書に記載される本発明の趣旨及び範囲に従って適宜組み合わせることの有用性を理解するであろう。
[00528] 本明細書に引用する全ての参考文献は、各個別の刊行物、又は特許、又は特許出願があらゆる目的のために全体として参照により組み込まれると具体的且つ個別的に指示されたものと見なすのと同程度に、本明細書によって全体として及びあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
[00529] 当業者に明らかであろう通り、本願の多くの改良形態及び変形形態は、その趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載される具体的な実施形態及び例は、単に例として提供され、本願は、特許請求の範囲に認められる均等物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。