JP2021191087A - 回転子製造装置 - Google Patents

Abstract

【課題】磁石が樹脂によって固定される回転子を製造する際のコストを低減することができる回転子製造装置を提供する。【解決手段】回転子製造装置１は、収容孔２１２内に供給される樹脂が収容されている樹脂収容空間部３１と、収容孔２１２内に溶融した樹脂を流す流路３２とを有する第一型３と、回転子本体２１を第一型３との間で挟み込む第二型４と、を備える。第一型３は、樹脂収容空間部３１を有する第一型本体３４と、第一型本体３４に対して着脱可能であり、流路３２の流路本体３２１を有する平板状のランナープレート３５と、第一型本体３４に対して着脱可能であり、貫通孔３６１を有する平板状の複数のゲートプレート３６とを有する。流路３２の樹脂出口部３２２は、複数のゲートプレート３６が厚み方向に重ね合わされた状態でつながる複数のゲートプレート３６の貫通孔３６１を含む。【選択図】図２

Description

本発明は、回転子製造装置に関する。

積層体の磁石挿入孔内で永久磁石が樹脂によって固定された回転子を製造する装置が知られている。例えば、特許文献１には、積層鉄心の製造装置として、一対の挟持部材と、充填機とを備える樹脂充填装置が開示されている。

前記特許文献１の樹脂充填装置では、一対の挟持部材は、矩形状の平板であり、上下方向に並んで位置している。一対の挟持部材のうち上側に位置する挟持部材は、厚さ方向に貫通する複数の樹脂流路を有する。充填機は、複数のプランジャと、駆動装置とを備える。前記複数のプランジャは、各樹脂流路内に一つずつ位置し、前記各樹脂流路内を移動可能である。前記駆動機構は、コントローラからの指示に基づいて、各プランジャをそれぞれ挟持部材の厚さ方向に移動させるエアシリンダなどである。

前記特許文献１の樹脂充填装置を用いて積層体の磁石挿入孔内に樹脂を充填する際には、まず、一対の挟持部材間に積層体が挟み込まれることによって積層体が加圧される。その加圧状態において、各磁石挿入孔内に樹脂が充填される。具体的には、各樹脂流路内に樹脂ペレットが配置された後、前記各樹脂流路内にプランジャが挿入される。そして、コントローラがヒータおよび駆動機構を駆動させることにより、樹脂ペレットを溶融させて、その溶融した樹脂をプランジャによって樹脂流路から磁石挿入孔内に供給する。各磁石挿入孔内に充填された樹脂が固化することによって、各磁石挿入孔内で永久磁石が樹脂によって固定される。

特開２０１８−８２５３９号公報

前記特許文献１に記載の樹脂充填装置では、各樹脂流路は、一対の挟持部材のうち上側に位置する挟持部材を厚さ方向に貫通する。このような構成では、前記樹脂流路の内周面の一部が損傷したり、前記樹脂流路内に樹脂が詰まったりした場合には、樹脂流路を有する前記挟持部材を交換する必要があった。すなわち、損傷した部分を有する挟持部材の一部だけを交換したり、樹脂が詰まった部分を有する挟持部材の一部だけを交換したりすることができなかった。そのため、前記特許文献１に記載の樹脂充填装置では、積層体の製造コストが高くなる。

本発明の目的は、磁石が樹脂によって固定される回転子を製造する際のコストを低減することができる回転子製造装置を提供することにある。

本発明の一実施形態に係る回転子製造装置は、シャフトを収容する軸孔と磁石を収容する収容孔とを有する円筒状の回転子本体と、前記収容孔内に収容される前記磁石とを有し、前記収容孔内で前記磁石が樹脂によって固定される回転子を製造するための回転子製造装置である。この回転子製造装置は、前記収容孔内に供給される樹脂が収容されている樹脂収容空間部と、前記収容孔内に溶融した樹脂を流す流路とを有する第一型と、前記回転子本体が載置され、前記回転子本体を前記第一型との間で挟み込む第二型と、を備える。前記流路は、上流側が前記樹脂収容空間部とつながる流路本体と、前記流路本体の下流側に位置する樹脂出口部とを含む。前記第一型は、前記樹脂収容空間部を有する第一型本体と、前記第一型本体に対して着脱可能であり、前記流路本体を有する平板状のランナープレートと、前記第一型本体に対して着脱可能であり、貫通孔を有する平板状の複数のゲートプレートとを有する。前記複数のゲートプレートは、厚み方向に重ね合わされた状態で、前記ランナープレートを挟んで前記第一型本体とは前記ランナープレートの厚み方向での反対側に位置する。前記樹脂出口部は、前記複数のゲートプレートが厚み方向に重ね合わされた状態でつながる前記複数のゲートプレートの貫通孔を含む。

本発明の一実施形態に係る回転子製造装置によれば、磁石が樹脂によって固定される回転子を製造する際のコストを低減することができる。

図１は、実施形態に係る回転子製造装置の概略構成を、模式的に断面で示す図である。 図２は、図１の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 図３は、第一型の一部および回転子本体を示す底面図である。 図４は、第一型の一部および回転子本体の斜視図である。 図５は、プレートおよび回転子本体を示す平面図である。 図６は、プレートおよび回転子本体の斜視図である。

以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。

なお、以下では、回転子製造装置１の説明において、回転子本体２１の軸線と平行な方向を「軸方向」、軸線に直交する方向を「径方向」、軸線を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、回転子製造装置１を設置した状態の鉛直方向を「上下方向」とする。ただし、この方向の定義により、回転子製造装置１の使用時の向きを限定する意図はない。

また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等（以下、固定等）の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。

図１は、本発明の実施形態に係る回転子製造装置１の概略構成を示す断面図である。図２は、図１の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。回転子製造装置１は、回転子本体２１と磁石２２とを有する回転子を製造する装置である。回転子製造装置１は、第一型３と、第二型４と、プレート５とを備える。本実施形態では、第一型３は、第二型４よりも上方に位置し、第二型４は、第一型３よりも下方に位置する。

第一型３は、図示しない第一型駆動機構によって、第二型４に対して上下方向に移動可能である。第一型３と第二型４との間に、回転子本体２１が挟み込まれる。この際、回転子本体２１は、第二型４上に位置するプレート５上に載置される。

図３から図６に示すように、回転子本体２１は、シャフトを収容する軸孔２１１と、磁石２２を収容する収容孔２１２とを有する。なお、図４および図６では、磁石２２の図示を省略している。

本実施形態では、回転子本体２１の軸孔２１１は、回転子本体２１の軸線を含む貫通孔である。すなわち、回転子本体２１は、軸方向に沿って延びる円筒状である。回転子本体２１は、軸孔２１１の内周面上に径方向内方へ突出する突起部２１３を有する。突起部２１３は、軸孔２１１の内周面上に、軸孔２１１の軸方向に沿って延びている。

なお、本実施形態では、回転子本体２１は、２つの突起部２１３を有する。２つの突起部２１３は、軸孔２１１の内周面上に、軸孔２１１の径方向に互いに対向する位置に位置する。回転子本体２１は、３つ以上の突起部を有していてもよい。

また、本実施形態では、回転子本体２１は、一対の収容孔２１２を複数有している。複数の収容孔２１２は、軸孔２１１を囲んで回転子本体２１の周方向に並んでいる。各収容孔２１２は、回転子本体２１を軸方向に貫通している。

各収容孔２１２内には、磁石２２が収容されている。磁石２２は、後述するように、回転子製造装置１によって収容孔２１２内に供給される樹脂によって、収容孔２１２内で固定される。

図１および図２に示すように、第一型３は、樹脂収容空間部３１と、流路３２と、接触部３３とを有する。

樹脂収容空間部３１は、収容孔２１２内に供給される樹脂が収容される空間である。樹脂収容空間部３１は、第一型３の中央部に位置する。樹脂収容空間部３１内には、プランジャ６が上下方向に移動可能に位置する。プランジャ６は、図示しないプランジャ駆動機構によって、上下方向に移動可能である。

流路３２は、収容孔２１２内に溶融した樹脂を流すための流路である。流路３２は、流路本体３２１と、樹脂出口部３２２とを含む。流路本体３２１の上流側は、樹脂収容空間部３１とつながっている。樹脂出口部３２２は、流路本体３２１の下流側に位置する。

本実施形態では、第一型３は、複数の収容孔２１２内にそれぞれ樹脂を供給するために、流路３２を複数有する。各流路３２の流路本体３２１の上流側は、樹脂収容空間部３１につながっている。各流路３２の樹脂出口部３２２の上流側は、それぞれ、流路本体３２１の下流側とつながっている。各流路３２の樹脂出口部３２２は、第一型３の下面に開口している。

接触部３３は、回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入されて、軸孔２１１の内周面に接触する。本実施形態では、第一型３は、４つの接触部３３を有する。各接触部３３は、ピン形状であり、第一型３の下面から下方へ突出している。第一型３は、３つ以下または５つ以上の接触部を有していてもよい。

なお、各接触部３３は、第一型３に対して着脱可能であるのが好ましい。この場合、たとえば、各接触部３３は、ネジによって第一型３の下面に取り付けられる。

第一型３は、第一型本体３４と、ランナープレート３５と、ゲートプレート３６とを有する。第一型本体３４は、樹脂収容空間部３１を有する。ランナープレート３５およびゲートプレート３６は、平面視で略矩形の平板状である。

ランナープレート３５は、流路本体３２１を有する。本実施形態では、流路本体３２１は、ランナープレート３５が有する貫通孔によって構成されている。具体的には、前記貫通孔は、平面視で円形状の円形部３２１ａと、円形部３２１ａから放射状に延出する複数の延出部３２１ｂとを有する。円形部３２１ａは、流路本体３２１の上流側部分である。円形部３２１ａは、樹脂収容空間部３１とつながっている。各延出部３２１ｂは、流路本体３２１の下流側部分である。各延出部３２１ｂは、円形部３２１ａとつながっている。各延出部３２１ｂは、樹脂出口部３２２とつながっている。

ゲートプレート３６は、貫通孔３６１を有する。本実施形態では、第一型３は、２枚のゲートプレート３６を有する。具体的には、第一型本体３４側に位置する第一のゲートプレート３６ａと、収容孔２１２側に位置する第二のゲートプレート３６ｂとを有する。

第一のゲートプレート３６ａおよび第二のゲートプレート３６ｂは、厚み方向に重ね合わされた状態で、ランナープレート３５を挟んで第一型本体３４とはランナープレート３５の厚み方向での反対側に位置する。この際、第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａと第二のゲートプレート３６ｂの貫通孔３６１ｂとは、互いにつながっている。このようにつながった貫通孔３６１ａ，３６１ｂが樹脂出口部３２２を構成する。

本実施形態では、第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａの形状と第二のゲートプレート３６ｂの貫通孔３６１ｂの形状とは、異なる。また、第二のゲートプレート３６ｂにおける貫通孔３６１ｂの収容孔２１２側の直径は、第一のゲートプレート３６ａにおける貫通孔３６１ａの第一型本体３４側の直径よりも小さい。具体的には、第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａと第二のゲートプレート３６ｂの貫通３６１ｂとは、直径の異なるテーパ孔である。直径の異なるテーパ孔を構成する２つの貫通孔３６１ａ，３６１ｂは、第一型本体３４側の外径よりも収容孔２１２側の外径が細い先細りのテーパ孔である。

また、ランナープレート３５および第一のゲートプレート３６ａは、厚み方向に重ね合わされている。そのため、ランナープレート３５の流路本体３２１である貫通孔の収容孔２１２側の開口は、第一のゲートプレート３６ａにより覆われる。これにより、流路本体３２１は、第一型本体３４に向かって開口する溝状である。ランナープレート３５と第一のゲートプレート３６ａとが重ね合わされた状態では、ランナープレート３５の延出部３２１ｂの位置と第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａの位置とは、軸方向から見て重なっている。従って、ランナープレート３５の延出部３２１ｂと第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａとは、つながっている。このように、第一型３は、複数の流路３２を有する。

なお、第一型３は、複数のランナープレート３５を有していてもよい。この場合、複数のランナープレート３５は、厚み方向に重ね合わされる。

図１および図２に示すように、第一型本体３４は、ランナープレート３５および複数のゲートプレート３６を保持するガイドレール７を有する。ガイドレール７は、回転子本体２１の径方向に対向する位置において、第一型本体３４の下端部に位置する。径方向に対向するガイドレール７は、重ね合わされたランナープレート３５および複数のゲートプレート３６の両端部を載置して保持する。そのため、ガイドレール７は、ランナープレート３５および複数のゲートプレート３６を、厚み方向に重ね合わせた状態で前記厚み方向と直交する方向に移動可能に保持できる。従って、ランナープレート３５およびゲートプレート３６を第一型本体３４から取り外すことができる。なお、ガイドレール７は、第一型本体３４に対して着脱可能であるのが好ましい。この場合、たとえば、ガイドレール７は、ネジによって第一型本体３４の下端部に取り付けられている。

第二型４は、第一型３との間で回転子本体２１を挟み込む。そのため、第二型４の上面には、前述したようにプレート５を介して回転子本体２１が載置されている。

プレート５は、平面視略矩形の板状である。プレート５は、上面に厚み方向に突出する第一突出部５１を有する。本実施形態では、プレート５は、２つの第一突出部５１を有する。各第一突出部５１は、プレート５の上面から上方へ突出している。回転子本体２１は、プレート５の第一突出部５１が挿入される第一被挿入部２１４を有する。本実施形態では、プレート５は、複数の第一突出部５１を有し、回転子本体２１は、第一突出部５１に対応する数の第一被挿入部２１４を有する。各第一被挿入部２１４は、回転子本体２１の下面に開口する孔である。各第一被挿入部２１４は、底面視で略三角形状である。プレート５は、３つ以上の第一突出部を有していてもよい。この場合には、回転子本体２１も、３つ以上の第一被挿入部を有する。

第一型３は、第二突出部３７を有する。本実施形態では、第一型３は、２つの第二突出部３７を有する。各第二突出部３７は、第一型３の下面から下方へ突出している。

また、第一型３は、回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入される柱部３８を有する。柱部３８は、柱状であり、第一型３の下面から下方へ突出している。回転子本体２１は、第一型３の第二突出部３７が挿入される第二被挿入部２１５を有する。本実施形態では、第一型３は、複数の第二突出部３７を有し、回転子本体２１は、第二突出部３７に対応する数の第二被挿入部２１５を有する。各第二被挿入部２１５は、回転子本体２１の上面に開口する孔である。各第二被挿入部２１５は、平面視で略三角形状である。

なお、本実施形態では、回転子本体２１の下側に位置する第一被挿入部２１４と回転子本体２１の上側に位置する第二被挿入部２１５とは、つながっている。すなわち、回転子本体２１は、第一被挿入部２１４及び第二被挿入部２１５を構成する貫通孔を、複数有する。このような構成を有する前記貫通孔の軸方向の一方の開口部内に、プレート５の第一突出部５１が挿入されるとともに、前記貫通孔の軸方向の他方の開口部内に、第一型３の第二突出部３７が挿入される。

第一型３および第二型４は、それぞれ、熱源であるヒータ３９，４１を有する。第一型３のヒータ３９は、第一型３内の樹脂収容空間部３１の近くに位置する。一方、第二型４のヒータ４１は、第二型４内の上端部に位置する。ヒータ３９は、樹脂収容空間部３１内に位置する樹脂を加熱する。ヒータ４１は、回転子本体２１を加熱する。

次に、本実施形態の回転子製造装置１の動作について説明する。まず、回転子製造装置１を動作させる前に、回転子本体２１が載置されたプレート５が第二型４の上面に配置される。この際、プレート５の第一突出部５１は、回転子本体２１の第一被挿入部２１４内に挿入される。これにより、回転子本体２１は、プレート５、すなわち第二型４に対して位置決めされる。

なお、図５に示すように、２つの第一突出部５１は、プレート５上に、回転子本体２１の径方向に対向して位置している。従って、プレート５上に載置された回転子本体２１が軸線まわりに回転することを規制できる。

このようにして第二型４上に回転子本体２１が載置された後、図示しない第一型駆動機構を駆動させることによって、第一型３を下方へ移動させて、第一型３と第二型４とで回転子本体２１を挟み込む。この際、第一型３の接触部３３は、回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入されて、軸孔２１１の内周面に接触する。

これにより、第一型３と第二型４とで回転子本体２１を挟み込んだ際に、回転子本体２１を第一型３および第二型４に対して位置決めできる。しかも、複数の接触部３３が軸孔２１１の内周面に接触して位置決めされるので、回転子本体２１を第一型３に対して精度よく位置決めできる。図３に示すように、第一型３の４つの接触部３３を回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入した状態で、４つの接触部３３は、軸孔２１１に対して、周方向に等間隔に位置する。第一型３の４つの接触部３３を回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入した状態で、回転子本体２１を第一型３に対して軸線まわりに回転させた場合、４つの接触部３３のうち、径方向に対向する２つの接触部３３が、それぞれ、突起部２１３に接触する。これにより、回転子本体２１の軸線まわりの回転を規制することができる。

また、第一型３と第二型４とによって回転子本体２１を挟み込んだ際に、第一型３の第二突出部３７は、回転子本体２１の第二被挿入部２１５内に挿入される。第一型３と第二型４とによって回転子本体２１を挟み込んだ状態で、回転子本体２１の第一被挿入部２１４内に挿入される第一突出部５１と回転子本体２１の第二被挿入部２１５内に挿入される第二突出部３７とは、軸方向に対向して位置する。従って、第一突出部５１と第二突出部３７とは、第一型３と第二型４とで回転子本体２１が挟み込まれた状態で、回転子本体２１の軸方向から見て重なる。これにより、回転子本体２１を第一型３および第二型４に対して精度よく位置決めできる。

さらに、第一型３の柱部３８は、回転子本体２１の軸孔２１１内に挿入される。柱部３８の先端は、第一型３と第二型４とによって回転子本体２１が挟み込まれた状態で、軸孔２１１を貫通してプレート５の上面に接触する。柱部３８によって、第一型３において回転子本体２１の軸孔２１１を覆う部分を、第二型４に対して支持することができる。ここで、軸孔２１１を覆うプレート５の上面が、軸孔２１１の底面を構成する。

第一型３と第二型４とで回転子本体２１を挟み込んだ状態で、回転子本体２１を軸方向に見て、第一型３の複数の流路３２の樹脂出口部３２２は、それぞれ、各収容孔２１２と重なる位置に位置する。従って、第一型３は、収容孔２１２に対応する数の樹脂出口部３２２を有する。この際、収容孔２１２が周方向に並んでいるので、樹脂出口部３２２を構成する各貫通孔３６１は、各ゲートプレート３６に周方向に並んでいる。

回転子本体２１の収容孔２１２内に樹脂を供給する際には、樹脂収容空間部３１内に配置された固形の樹脂材料を、第一型３のヒータ３９で加熱して溶融させる。前記樹脂材料が溶融した状態で、プランジャ６を下方へ移動させることにより、樹脂収容空間部３１内から溶融した樹脂を流路３２に流す。これにより、溶融した樹脂は、流路本体３２１および樹脂出口部３２２を順に通って収容孔２１２内に供給される。なお、収容孔２１２内には、予め磁石２２が収容されている。

なお、収容孔２１２内に樹脂を供給する際には、予め、第二型４のヒータ４１によって、回転子本体２１が予熱される。これにより、溶融した樹脂が収容孔２１２内の上端部で固まることなく、溶融した樹脂を収容孔２１２内の下端部まで流すことができる。

前記溶融した樹脂は、収容孔２１２と磁石２２との間の隙間内に供給される。収容孔２１２内に供給された樹脂が固化することによって、収容孔２１２内で磁石２２が樹脂によって固定される。これにより、回転子製造装置１によって回転子が製造される。

回転子が製造された後、図示しない第一型駆動機構を駆動させることによって、第一型３を上方へ移動させて、次の回転子の製造の準備をする。ここで、先の回転子の製造によって、流路３２の樹脂出口部３２２を構成する貫通孔の一方が損傷したり、前記一方の貫通孔内に樹脂が詰まったりする場合がある。この場合、上述のような問題が生じた貫通孔を有するゲートプレートのみを交換すればよい。

本実施形態の回転子製造装置１は、シャフトを収容する軸孔２１１と磁石２２を収容する収容孔２１２とを有する円筒状の回転子本体２１と、収容孔２１２内に収容される磁石２２とを有し、収容孔２１２内で磁石２２が樹脂によって固定される回転子を製造するための回転子製造装置である。この回転子製造装置１は、収容孔２１２内に供給される樹脂が収容されている樹脂収容空間部３１と、収容孔２１２内に溶融した樹脂を流す流路３２とを有する第一型３と、回転子本体２１が載置され、回転子本体２１を第一型３との間で挟み込む第二型４と、を備える。流路３２は、上流側が樹脂収容空間部３１とつながる流路本体３２１と、流路本体３２１の下流側に位置する樹脂出口部３２２とを含む。第一型３は、樹脂収容空間部３１を有する第一型本体３４と、第一型本体３４に対して着脱可能であり、流路本体３２１を有する平板状のランナープレート３５と、第一型本体３４に対して着脱可能であり、貫通孔３６１を有する平板状の複数のゲートプレート３６とを有する。複数のゲートプレート３６は、厚み方向に重ね合わされた状態で、ランナープレート３５を挟んで第一型本体３４とはランナープレート３５の厚み方向での反対側に位置する。樹脂出口部３２２は、複数のゲートプレート３６が厚み方向に重ね合わされた状態でつながる複数のゲートプレート３６の貫通孔３６１を含む。

一枚の板材が樹脂の流路を有する場合、流路の内周面の一部が損傷したり、流路内の一部に樹脂が詰まったりした際には、板材を交換しなければならない。これに対し、本実施形態の回転子製造装置１によれば、２枚のゲートプレート３６を有するので、上述のような問題が生じた貫通孔を有するゲートプレートを交換することができる。すなわち、上述のような問題が生じていない貫通孔を有するゲートプレートは、交換する必要がない。従って、回転子を製造する際のコストを低減することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、流路本体３２１は、ランナープレート３５が有する貫通孔からなる。これにより、流路本体３２１を構成する貫通孔をランナープレート３５に容易に形成することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、第一型３は、貫通孔３６１の形状が異なる複数の前記ゲートプレート３６を含む。ここで、貫通孔３６１の形状が異なるとは、貫通孔の径が異なる場合、平面視で貫通孔の形状が異なる場合、軸方向と直交する方向から見た貫通孔の断面形状が異なる場合などを含む。

この場合、複数のゲートプレート３６は、貫通孔３６１の形状が異なる複数種類のゲートプレート３６の中から選択される。これにより、ゲートプレート３６を交換することで、樹脂出口部３２２の形状を容易に変更することができる。従って、収容孔２１２内へ供給される樹脂の流速を容易に調整することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、第一型３は、第一型本体３４側に位置する第一のゲートプレート３６ａと、収容孔２１２側に位置する第二のゲートプレート３６ｂと、を有し、第二のゲートプレート３６ｂの貫通孔３６１ｂの収容孔２１２側の直径は、第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａの第一型本体３４側の直径よりも小さい。

この場合、樹脂出口部３２２の樹脂が出る部分の直径は、樹脂出口部３２２の樹脂が入る部分の直径よりも小さい。従って、磁石２２と収容孔２１２の内面との間の小さな隙間に、樹脂を容易に注入することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、第一型本体３４は、ランナープレート３５および複数のゲートプレート３６を、厚み方向に重ね合わせた状態で前記厚み方向と直交する方向に移動可能に保持するガイドレール７を有する。

これにより、ランナープレート３５および複数のゲートプレート３６がガイドレール７に移動可能に保持されているので、ランナープレート３５および複数のゲートプレート３６の交換を容易に行うことができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、ガイドレール７は、第一型本体３４に対して着脱可能である。

これにより、第一型本体３４に対してガイドレール７を交換することができる。従って、保持可能なプレートの枚数が異なるガイドレール７を第一型本体３４に対して交換することにより、第一型本体３４に保持されるプレートの枚数を容易に変更することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、第一型３は、ランナープレート３５を複数有する。これにより、複数のランナープレート３５のうち、一部のランナープレートを交換することによって、流路本体３２１の配置を容易に調整することができる。

本実施形態の回転子製造装置１において、回転子本体２１は、収容孔２１２を複数有し、第一型３は、複数の収容孔２１２内にそれぞれ樹脂を供給する流路３２を複数有し、複数の流路３２は、それぞれ、共通の樹脂収容空間部３１につながっている。

これにより、第一型３の樹脂収容空間部３１を共通化することができる。従って、複数の樹脂収容空間部がそれぞれ流路とつながっている場合と比較して、回転子製造装置１を簡易な構成にすることができる。

（その他の実施形態）
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

前記実施形態では、第一型３が２枚のゲートプレート３６を有する場合について説明したが、第一型は、３枚以上のゲートプレートを有していてもよい。この場合、第一型は、最も第一型本体側に位置する第一のゲートプレートと、最も収容孔側に位置する第二のゲートプレートを有し、前記第一のゲートプレートと前記第二のゲートプレートとの間に、１枚または複数枚のゲートプレートを有する。前記第二のゲートプレートの貫通孔の収容孔側の直径は、前記第一のゲートプレートの貫通孔の第一型本体側の直径よりも小さい。

たとえば、第一のゲートプレートと第二のゲートプレートとの間のゲートプレートが１枚の場合、前記第一のゲートプレートと前記第二のゲートプレートとの間のゲートプレートの貫通孔は、前記第一のゲートプレートと同一形状の貫通孔であってもよいし、前記第二のゲートプレートの貫通孔と同一形状であってもよい。また、この場合、前記第一のゲートプレートと前記第二のゲートプレートとの間のゲートプレートの貫通孔の直径は、前記第一のゲートプレートの貫通孔の直径よりも大きく、前記第二のゲートプレートの貫通孔の直径よりも小さくてもよい。

前記実施形態では、第一のゲートプレート３６ａの貫通孔３６１ａの形状と第二のゲートプレート３６ｂの貫通孔３６１ｂの形状とは、異なる。しかしながら、２つの貫通孔の形状は、同一形状であってもよい。また、第一型が３枚以上のゲートプレートを有する場合に、各ゲートプレートの貫通孔は、同一形状であってもよい。

前記実施形態では、ランナープレート３５は、１枚の板材によって構成されている。しかしながら、ランナープレートは、複数に分割された板材によって構成されていてもよい。

本発明は、磁石が樹脂によって固定される回転子を製造する回転子製造装置に適用可能である。

１ 回転子製造装置
３ 第一型
４ 第二型
７ ガイドレール
２１ 回転子本体
２２ 磁石
３１ 樹脂収容空間部
３２ 流路
３４ 第一型本体
３５ ランナープレート
３６ ゲートプレート
２１１ 軸孔
２１２ 収容孔
３２１ 流路本体
３２２ 樹脂出口部
３６１ 貫通孔

Claims (8)

1. シャフトを収容する軸孔と磁石を収容する収容孔とを有する円筒状の回転子本体と、前記収容孔内に収容される前記磁石とを有し、前記収容孔内で前記磁石が樹脂によって固定される回転子を製造するための回転子製造装置であって、
   前記収容孔内に供給される樹脂が収容されている樹脂収容空間部と、前記収容孔内に溶融した樹脂を流す流路とを有する第一型と、
   前記回転子本体が載置され、前記回転子本体を前記第一型との間で挟み込む第二型と、を備え、
   前記流路は、上流側が前記樹脂収容空間部とつながる流路本体と、前記流路本体の下流側に位置する樹脂出口部とを含み、
   前記第一型は、
   前記樹脂収容空間部を有する第一型本体と、
   前記第一型本体に対して着脱可能であり、前記流路本体を有する平板状のランナープレートと、
   前記第一型本体に対して着脱可能であり、貫通孔を有する平板状の複数のゲートプレートとを有し、
   前記複数のゲートプレートは、厚み方向に重ね合わされた状態で、前記ランナープレートを挟んで前記第一型本体とは前記ランナープレートの厚み方向での反対側に位置し、
   前記樹脂出口部は、前記複数のゲートプレートが厚み方向に重ね合わされた状態でつながる前記複数のゲートプレートの貫通孔を含む、
   回転子製造装置。
2. 請求項１に記載の回転子製造装置において、
   前記流路本体は、前記ランナープレートが有する貫通孔からなる、
   回転子製造装置。
3. 請求項１または２に記載の回転子製造装置において、
   前記第一型は、前記貫通孔の形状が異なる複数の前記ゲートプレートを含む、
   回転子製造装置。
4. 請求項１〜３のいずれか１項に記載の回転子製造装置において、
   前記第一型は、前記第一型本体側に位置する第一のゲートプレートと、前記収容孔側に位置する第二のゲートプレートと、を有し、
   前記第二のゲートプレートの貫通孔の前記収容孔側の直径は、前記第一のゲートプレートの貫通孔の前記第一型本体側の直径よりも小さい、
   回転子製造装置。
5. 請求項１〜４のいずれか１項に記載の回転子製造装置において、
   前記第一型本体は、前記ランナープレートおよび前記複数のゲートプレートを、厚み方向に重ね合わせた状態で前記厚み方向と直交する方向に移動可能に保持するガイドレールを有する、
   回転子製造装置。
6. 請求項５に記載の回転子製造装置において、
   前記ガイドレールは、前記第一型本体に対して着脱可能である、
   回転子製造装置。
7. 請求項１〜６のいずれか１項に記載の回転子製造装置において、
   前記第一型は、前記ランナープレートを複数有する、
   回転子製造装置。
8. 請求項１〜７のいずれか１項に記載の回転子製造装置において、
   前記回転子本体は、前記収容孔を複数有し、
   前記第一型は、前記複数の収容孔内にそれぞれ樹脂を供給する前記流路を複数有し、
   前記複数の流路は、それぞれ、共通の前記樹脂収容空間部につながっている、
   回転子製造装置。

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