JP2021190943A - 音響部材、音響部材用積層体、音響部材の製造方法、熱成形用積層体、及び成形品の製造方法 - Google Patents

音響部材、音響部材用積層体、音響部材の製造方法、熱成形用積層体、及び成形品の製造方法 Download PDF

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【課題】弾性率が適切な範囲にあり、高い耐熱性、靭性、及び引張降伏伸度を有する音響部材を提供する。【解決手段】本発明の音響部材は、オルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる音響部材であって、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、音響部材、音響部材用積層体などの積層体、音響部材などの成形品の製造方法に関し、中でも電気音響変換器用振動板、特にスピーカー振動板として好適に使用することができる音響部材、音響部材用積層体、及び音響部材の製造方法に関する。
例えば、スマートフォン、PDA、ノートブックコンピューター、DVD、液晶テレビ、デジタルカメラ、携帯音楽機器等の小型電子機器の普及により、これら電子機器に使用される小型のスピーカー(通常、マイクロスピーカーと呼ばれる)や小型のレシーバ、さらにはマイクロホン、イヤホン等の小型の電気音響変換器の需要が高まっている。
一般に、電気音響変換器に用いられる振動板、特にスピーカー振動板には、再生周波数帯を広げるため弾性率が特定の範囲にあること、長時間振動を繰り返すことで変形し、音質が変化しないよう、引張降伏伸度が大きいこと、長時間振動を繰り返しても破断しないよう靭性が高いこと等が要求される。また、スピーカーの駆動源であるボイスコイル近傍や車載用スピーカー等に使用する場合には、振動板が高温に長時間曝されるため、このような使用条件下で十分に耐えうる耐熱性が必要となる。
例えば特許文献1には、シリコーンゴム組成物の両面にポリエーテルエーテルケトン樹脂を積層した振動板の製造方法について開示されており、当該振動板は耐熱性、耐久性、音響特性に優れる旨の記載がある。
また、特許文献2には、離型シートと、未硬化液状シリコーン組成物から成る第1層と、主として熱可塑性ポリウレタンを含む第2層とを順に積層して成る振動板用シート、及び振動板用シートを用いた振動板の製造方法が開示されている。振動板の製造方法では、振動板用シートが金型内にセットされて成形された後、成形物から離型シートを剥離することで振動板が製造されている。また、特許文献2では、上記振動板用シートを使用することで、音質及び耐熱性に優れた振動板の生産効率を向上できることが示されている。
特開2018−064150号公報 特開2018−152817号公報
しかしながら、特許文献1に記載の振動板は、シリコーンゴム組成物の両面にポリエーテルエーテルケトン樹脂が積層されているため、振動板を構成するフィルム全体としての弾性率が高く、再生周波数帯が狭い恐れがある。また、降伏しやすく音質の変化が懸念されるだけでなく、靭性が十分でなく破断も懸念される。さらに、ポリエーテルエーテルケトン樹脂は熱可塑性樹脂の中では耐熱性に優れるものの、150℃付近にガラス転移温度を有しており、この温度を超えると弾性率が大幅に低下するため、使用環境によっては耐熱性が十分でない。
一方、シリコーン樹脂を単独で使用した場合、硬化後の架橋度や不溶解分の割合が低いと弾性率が低くなり、ハンドリング性や音響特性が悪くなる懸念がある。特許文献1には、シリコーン樹脂とポリエーテルエーテルケトン樹脂の積層体についての記載しかなく、シリコーン樹脂単体で使用した場合の特性について何ら記載が無いだけでなく、音響部材として使用する場合のシリコーン樹脂の最適な架橋度や不溶解分の割合についての記載も示唆も無い。
また、特許文献2に記載の振動板用シートを使用して振動板を製造すると、振動板が、主として熱可塑性ポリウレタンを含む第2層を含むので、耐熱性が不十分となるおそれがある。さらに、第1層が液状シリコーン組成物から成るため、振動板用シートを製造する際の生産性が低下することがあり、さらに、輸送時や、振動板シートから振動板を成形する際に、液状シリコーン組成物が流れ出すおそれがあり、ハンドリング性も十分ではない。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、弾性率が適切な範囲にあり、高い耐熱性、靭性、及び引張降伏伸度を有する音響部材を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、耐熱性を有する音響部材を、良好な生産性、及びハンドリング性で製造することができる音響部材用積層体を提供することも目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得る音響部材、及び音響部材用積層体などを見出すことに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[41]を提供する。
[1]オルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる音響部材であって、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上であることを特徴とする、音響部材。
[2]オルガノポリシロキサン(A)を含み、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上のフィルム(X1)からなる、上記[1]に記載の音響部材。
[3]前記フィルム(X1)単層からなる上記[2]に記載の音響部材。
[4]オルガノポリシロキサン(A)の架橋度が35%以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の音響部材。
[5]引張降伏伸度が20%以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の音響部材。
[6]降伏点を有しない、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の音響部材。
[7]20℃における引張貯蔵弾性率(E20)と100℃における引張貯蔵弾性率(E100)との比(E100/E20)が0.5以上1.2以下である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の音響部材。
[8]20℃における引張貯蔵弾性率(E20)が800MPa以下である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の音響部材。
[9]引張破断伸度が200%以上である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の音響部材。
[10]前記樹脂成分が、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の音響部材。
[11]記樹脂成分のタイプAデュロメータ硬さが30以上90以下である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の音響部材。
[12]ドーム形状及びコーン形状の少なくともいずれかを有する、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の音響部材。
[13]表面にタンジェンシャルエッジを有する、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の音響部材。
[14]電気音響変換器用振動板である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の音響部材。
[15]スピーカー振動板である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の音響部材。
[16]オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる硬化性樹脂層(X)と、前記樹脂硬化性層(X)の少なくとも一方の面に積層される樹脂層(Y)とを備え、前記樹脂層(Y)が硬化後の前記硬化性樹脂層(X)より剥離可能であることを特徴とする音響部材用積層体。
[17]前記樹脂層(Y)が、前記硬化性樹脂層(X)の少なくとも一方の面に直接積層される、上記[16]に記載の音響部材用積層体。
[18]前記樹脂層(Y)が、前記硬化性樹脂層(X)の両面に積層される、上記[16]又は[17]に記載の音響部材用積層体。
[19]前記樹脂層(Y)を構成する樹脂(B)のガラス転移温度が250℃以下である、上記[16]〜[18]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[20]前記樹脂(B)が、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、及びポリプロプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[16]〜[19]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[21]前記硬化性樹脂層(X)の厚みが1μm以上300μm以下である上記[16]〜[20]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[22]前記樹脂層(Y)の厚みが1μm以上200μm以下である、上記[16]〜[21]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[23]少なくとも一部がドーム形状及びコーン形状の少なくともいずれかに成形されてなるものである、上記[16]〜[22]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[24]表面にタンジェンシャルエッジが付与されるように成形されてなる、上記[16]〜[23]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[25]電気音響変換器用振動板に使用する上記[16]〜[24]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[26]前記振動板がスピーカー振動板である、上記[25]に記載の音響部材用積層体。
[27]前記樹脂層(Y)の硬化後の前記硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が10N/10mm以下である、上記[16]〜[26]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[28]前記樹脂層(Y)の硬化前の前記硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が0.01N/10mm以上である、上記[16]〜[27]のいずれかに記載の音響部材用積層体。
[29]上記[16]〜[28]のいずれかに記載の音響部材用積層体を加熱して型により賦形し、かつ前記硬化性樹脂層(X)を硬化させる工程と、
賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(X)から、樹脂層(Y)を剥離する工程と
を備える音響部材の製造方法。
[30]賦形時の加熱温度が180℃以上260℃以下である、上記[29]に記載の音響部材の製造方法。
[31]賦形時間が1秒以上5分以下である、上記[29]又は[30]に記載の音響部材の製造方法。
[32]プレス成形、真空成形、及び圧空成形のいずれかにより前記音響部材用積層体を賦形する上記[29]〜[31]のいずれかに記載の音響部材の製造方法。
[33]上記[16]〜[28]のいずれかに記載の音響部材用積層体を音響部材に使用する方法。
[34]上記[16]〜[28]のいずれかに記載の音響部材用積層体を音響部材に使用する、音響部材用積層体の使用。
[35]硬化性樹脂層(Xa)と、前記硬化性樹脂層(Xa)の両面に積層される樹脂層(Ya)とを備え、前記樹脂層(Ya)が、硬化後の前記硬化性樹脂層(Xa)より剥離可能であることを特徴とする熱成形用積層体。
[36]前記樹脂層(Ya)が、前記硬化性樹脂層(Xa)の両面に直接積層される、上記[35]に記載の熱成形用積層体。
[37]前記樹脂層(Y)の硬化後の前記硬化性樹脂層(Xa)に対する剥離強度が10N/10mm以下である、上記[35]又は[36]に記載の熱成形用積層体。
[38]前記樹脂層(Ya)の硬化前の前記硬化性樹脂層(Xa)に対する剥離強度が0.01N/10mm以上である、上記[35]〜[37]のいずれかに記載の熱成形用積層体。
[39]前記硬化性樹脂層(Xa)がオルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる上記[35]〜[38]のいずれかに記載の熱成形用積層体。
[40]前記硬化性樹脂層(Xa)が、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる、上記[39]に記載の熱成形用積層体。
[41]上記[35]〜[40]のいずれかに記載の熱成形用積層体を加熱して前記型により賦形し、かつ前記硬化性樹脂層(Xa)を硬化させる工程と、
賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(Xa)から、前記両面に設けられた樹脂層(Y)をいずれも剥離する工程とを備える、成形品の製造方法。
本発明によれば、弾性率が適切な範囲にあり、高い耐熱性、靭性、及び引張降伏伸度を有する音響部材を提供することが可能となる。また、本発明の音響部材は、例えば、スピーカー振動板等の電気音響変換器用振動板として使用することで、低温域から高温域までの音の再生性に優れ、高温等の使用環境が音質に影響を与えるといった問題も発生しにくく、また、長時間の振動による変形や破断が無いことが期待できる。
また、本発明によれば、耐熱性を有する音響部材を良好な生産性、及びハンドリング性で製造することができる音響部材用積層体を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1の構造を示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板11の構造を示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板21の構造を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、フィルムとシートとの境界は定かではないため、本発明において、フィルムはシートを包含するものとする。
[音響部材]
本発明の音響部材は、オルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる音響部材であって、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上であることを特徴とする。本発明では、上記不溶解分の割合を50%以上とすることで、音響部材中の架橋成分及び必要に応じて配合される充填材の合計量の割合が高くなる。そのため、弾性率が適切な範囲になり、高い耐熱性、靭性、及び引張降伏伸度を有する音響部材を提供することができる。そして、スピーカー振動板等の電気音響変換器用振動板に使用した場合には、低温域から高温域までの音の再生性に優れ、高温等の使用環境が音質に影響を与えるといった問題も発生しにくく、また、長時間の振動による変形や破断が無いことが期待できる。
一方で、音響部材は、不溶解分の割合が50%未満となると、弾性率が低くなりすぎたり、引張強度等の機械的強度が低下したりして、音質やハンドリング性に問題が生じることがある。また、使用時に高温環境下に置かれた場合に架橋が進行して、音質が大きく変化することがある。
本発明の音響部材は、オルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分の硬化物である。なお、本明細書において、樹脂成分とは、オルガノポリシロキサン(A)単独からなるものでもよいが、オルガノポリシロキサン(A)以外の樹脂や、樹脂以外の添加剤、硬化剤などの成分を含有した樹脂組成物でもよい。
また、音響部材は、単層のフィルム(X1)からなるとよい。フィルム(X1)は、上記した樹脂成分の硬化物であり、すなわち、本発明の音響部材は、オルガノポリシロキサン(A)を含み、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上であるフィルム(X1)からなるとよい。音響部材は、フィルム(X1)単層からなることで振動板などに好適に用いることができる。
上記音響部材(好ましくは、フィルム(X1))の上記不溶解分の割合は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、75%以上が更に好ましく、85%以上がより更に好ましく、特に好ましくは90%以上であり、最も好ましくは93%以上である。不溶解分の割合は100%に近いほど好ましく、特に上限は無く、100%以下であればよい。オルガノポリシロキサン(A)の不溶解分の割合がかかる範囲にあれば、本発明の音響部材は弾性率が最適な範囲にあり、音質やハンドリング性に優れる。また、使用時に高温環境下に置かれた場合にも架橋の進行が少ないため、音質の変化を小さく抑えることができる。
なお、上記した不溶解分の割合は、以下の要領で測定できる。
1)音響部材からサンプルを約100mg採取して、そのサンプル質量(a)を測定する。
2)採取したサンプルをクロロホルムに23℃の条件で24時間浸漬する。
3)クロロホルム中の固形分を取り出し、50℃で7時間真空乾燥する。
4)乾燥後の固形分の質量(b)を測定する。
5)質量(a)、(b)を用いて、以下の式(i)に基づいて不溶解分の割合を算出する。
Figure 2021190943

上記測定方法から明らかなように、不溶解分は、音響部材に含まれるオルガノポリシロキサン(A)の架橋成分、及び、充填材などの架橋成分以外の不溶解分の合計量である。
本発明の音響部材は、引張降伏伸度が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが特に好ましく、降伏点を有しないことがとりわけ好ましい。引張降伏伸度は大きいほど好ましく、特に上限は無い。引張降伏伸度が上記下限値以上であり、または、降伏点が無ければ、長時間の振動による変形が少なく、音響特性の変化に与える影響が小さくなる傾向となる。
なお、引張降伏伸度は、引張試験において得られる応力−ひずみ曲線の降伏点における伸度(%)を意味する。また、破断まで降伏点がないものを「降伏点を有しない」とする。
本発明の音響部材は、20℃における引張貯蔵弾性率E20と100℃における引張貯蔵弾性率E100の比E100/E20が0.5以上、1.2以下であることが好ましい。比E100/E20を上記範囲内とすることで、温度変化に伴う弾性率変化が小さくなり、耐熱性が良好となる傾向にある。また、高温域での弾性率変化が小さいため、高温環境下における音質が低下しにくくなり、低温域から高温域まで音の再生性をより優れたものにすることができる。
本発明の音響部材の比E100/E20は、0.55以上、1.1以下であることが好ましく、0.6以上、1以下であることが好ましく、0.65以上、0.97以下であることが更に好ましく、0.7以上、0.95以下であることが特に好ましい。E100/E20がかかる範囲であれば、成形性を維持しつつ、弾性率変化が小さいため耐熱性に優れる傾向となる。そのため、高温環境下における音質の低下などを防止して、低温域から高温域まで音の再生性を優れたものにしやすくなる。
本発明の音響部材は、20℃における引張貯蔵弾性率(E20)が1MPa以上、800MPa以下であることが好ましく、2MPa以上、400MPa以下であることがより好ましく、3MPa以上、100MPa以下であることが更に好ましく、4MPa以上、60MPa以下であることが特に好ましく、5MPa以上、30MPa以下であることがとりわけ好ましい。20℃における引張貯蔵弾性率(E20)がかかる範囲であれば、弾性率が適切な範囲にあるため、音質及び再生性などの音響特性に優れる傾向となる。
本発明の音響部材は、引張破断伸度が200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、300%以上であることが更に好ましく、350%以上であることが特に好ましく、400%以上であることがとりわけ好ましい。引張破断伸度は大きければ大きいほどよく、特に上限は無い。引張破断伸度がかかる範囲にあれば、音響部材の靭性が高くなることで、長時間の振動による破断が起こりにくく、耐久性に優れる傾向となる。
本発明の音響部材は、樹脂成分のタイプAデュロメータ硬さが30以上、90以下であることが好ましい。タイプAデュロメータ硬さが上記範囲となると、弾性率が適切な範囲になりやすく、音質やハンドリング性が良好となる傾向となる。これら観点から、タイプAデュロメータ硬さは40以上、85以下であることがより好ましく、50以上、80以下であることが更に好ましい。
なお、引張降伏伸度、引張破断伸度、及び引張貯蔵弾性率の各測定値は、音響部材(例えば、フィルム(X1))をそのまま測定して求めてもよいが、音響部材と同様の成形方法、及び硬化条件(加熱温度、圧力及び加熱時間)で後述する樹脂成分を硬化させて得たフィルムに対して測定して求めてもよい。また、タイプAデュロメータ硬さの測定は、音響部材と同様の硬化温度×加熱時間20分の条件で後述する樹脂成分を硬化させて得た厚み6mmの試験片に対して、JIS K 6253−3:2012に基づいて測定し求めることができる。なお、引張降伏伸度、引張破断伸度、及び引張貯蔵弾性率の測定方法の詳細は、実施例に記載のとおりであり、フィルムに方向性がある場合にはTD方向(樹脂の流れ方向に直交する方向)について測定するとよい。
[オルガノポリシロキサン(A)]
本発明のオルガノポリシロキサン(A)は、以下の式(ii)で表される構造を有する。
SiO(4−n)/2 ・・・(ii)
ここで、Rは同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基、nは1.95〜2.05の正の数である。
Rは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、並びにこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子又はシアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、及びシアノエチル基等が挙げられる。
オルガノポリシロキサン(A)は、分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されていることも好ましい。また、オルガノポリシロキサン(A)は、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが好ましい。具体的には、Rのうち0.001モル%以上、5モル%以下、好ましくは0.005モル%以上、3モル%以下、より好ましくは0.01モル%以上、1モル%以下、特に0.02モル%以上、0.5モル%以下のアルケニル基を有することが好ましく、特にビニル基を有することが最適である。オルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種、又はそれ以上の混合物でもよい。
音響部材においてオルガノポリシロキサン(A)は、架橋されており、好ましくは有機過酸化物(C)によって架橋される。有機過酸化物(C)としては、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のアルキル過酸化物、2,4−ジクミルパーオキサイド等のアラルキル過酸化物等の有機過酸化物が挙げられるが、架橋速度や安全性の観点から、アルキル過酸化物、特に、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
有機過酸化物(C)は、上記樹脂成分に添加剤として含有される。樹脂成分における有機過酸化物(C)の含有量は、樹脂成分基準で0.01質量%以上、10質量%以下が好ましく、0.03質量%以上、5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上、4質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上、3質量%以下が特に好ましく、0.3質量%以上、2質量%以下がとりわけ好ましい。有機過酸化物(C)の含有量がかかる範囲であれば、十分な硬化速度を有する組成物が安全に得られる傾向となる。
樹脂成分は、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型であることが好ましい。ミラブル型の樹脂成分は、未硬化状態において、室温(25℃)で自己流動性がない非液状(例えば、固体状又はペースト状)ではあるが、後述する混練機によって均一に混合できる。本発明の音響部材は、ミラブル型の樹脂成分を使用することで、後述するように、樹脂成分を硬化性樹脂層(X)に加工する際の生産性や、硬化性樹脂層(X)を有する音響部材用積層体のハンドリング性が良好となり、また、音響部材に賦形する際のハンドリング性にも優れる傾向となる。
本発明の樹脂成分は、シリカ系充填材などの充填材を含有してもよい。充填材は、上記不溶解分の一部を構成することとなり、そのため、本発明の樹脂成分は、充填材を含有することで不溶解分の割合が高くなり、それにより、音響部材の弾性率や引張強度等の機械物性を適切な範囲としやすくなる。また、充填材を添加することで、樹脂成分の粘度や硬度を調整しやすい、すなわち、加工時の樹脂成分の流動性や二次加工性のバランスを最適化しやすくなる。加えて、音響部材の設計や音響特性に合わせて硬度を適宜調整しやすくなるといった利点がある。シリカ系充填材としては、例えば煙霧質シリカ、又は沈降性シリカ等が挙げられ、シランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材でもよい。
シリカ系充填材の含有量は、樹脂成分全量基準に対し、例えば10質量%以上、50質量%以下、好ましくは15質量%以上、40質量%以下、より好ましくは20質量%以上、35質量%以下である。また、シリカ系充填材の平均粒子径は、例えば0.01μm以上、20μm以下、好ましくは0.1μm以上、10μm以下、より好ましくは0.5μm以上、5μm以下である。このシリカ系充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用い、メジアン径(D50)として測定することができる。
本発明の樹脂成分は、効果を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明において、オルガノポリシロキサン(A)は市販品も使用可能である。また、オルガノポリシロキサン(A)に加え、シリカ系充填材などの添加剤を含有するシリコーン樹脂組成物の市販品を使用してもよい。具体的には、信越化学工業株式会社製の商品名「KE−597−U」、「KE−594−U」なども使用できる。
音響部材において、オルガノポリシロキサン(A)の架橋度は、35%以上であることが好ましい。オルガノポリシロキサン(A)の架橋度が35%以上であることで、オルガノポリシロキサン(A)が一定量以上架橋されることになる。そのため、より一層弾性率が適切な値になり、高い耐熱性、靭性、及び引張降伏伸度を有する音響部材を提供しやすくなる。また、使用時に高温環境下に置かれても、架橋が進行しにくく、音質が変化することを防止できる傾向となる。
以上の観点から、オルガノポリシロキサン(A)の架橋度は、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、70%以上がよりさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。また、オルガノポリシロキサン(A)の架橋度は高ければ高いほうがよく、100%以下であればよい。
架橋度は、音響部材に含まれるオルガノポリシロキサン(A)のうち、架橋された成分の割合を示す指標である。架橋度は、上記不溶解分の割合の測定において、サンプル質量(a)に含まれるオルガノポリシロキサン(A)以外の不溶解分の質量(c)を特定し、その質量(c)を、質量(a)、(b)より差し引いた値に基づき算出できる。具体的には、以下の式(iii)により算出できる。
なお、質量(c)は、NMRなどの手法を用いて、音響部材に含まれるオルガノポリシロキサン(A)以外の不溶解分の成分割合を測定することで特定可能である。具体的には、例えば、溶液NMR、固体NMRなどの手法を用いて、音響部材に含まれるオルガノポリシロキサン(A)の化学構造を同定することと、検出されるピークの面積比からオルガノポリシロキサン(A)以外の不溶解分の成分割合を算出することによって、質量(c)を特定することができる。
Figure 2021190943
フィルム(X1)(すなわち、音響部材)の厚みは、1μm以上、300μm以下であることが好ましく、5μm以上、200μm以下であることがより好ましく、10μm以上、170μm以下であることが更に好ましく、20μm以上、150μm以下であることが特に好ましく、30μm以上、130μm以下であることがとりわけ好ましい。厚みがかかる範囲であれば、ハンドリング性と音質のバランスに優れ、さらに振動板などの音響部材の小型化、省スペース化にも寄与しやすい傾向となる。
(音響部材の用途)
本発明の音響部材は、耐熱性に優れ、弾性率が特定の範囲にあり、低温から高温の弾性率変化が小さいため、音響部材の中でも振動板として好適に使用することができる。音響部材は、上記のとおり、フィルム(X1)単層からなるとよい。
本発明の音響部材は、具体的には、スピーカー、レシーバ、マイクロホン、イヤホン等の各種の電気音響変換器に使用でき、これらの中では、スピーカー振動板であることがより好ましく、特に携帯電話等のマイクロスピーカー振動板として好適に使用できる。
音響部材は、適宜成形されることで振動板などの各種の音響部材となるものであり、好ましくは電気音響変換器用振動板、特に好ましくはスピーカー振動板として使用される。
音響部材は、例えば、少なくとも一部がドーム形状やコーン形状などを有するとよい。また、音響部材は、表面にタンジェンシャルエッジを有してもよい。ドーム形状またはコーン形状を有し、あるいは、タンジェンシャルエッジを有する場合には、音響部材は、好ましくは電気音響変換器用振動板、より好ましくはスピーカー振動板に使用される。
(振動板)
振動板についてより詳細に説明すると、振動板の形状は特に制限されず、任意であり、円形状、楕円形状、オーバル形状等が選択できる。また、振動板は、一般的に、電気信号などに応じて振動するボディと、ボディの周囲を囲むエッジとを有する。振動板のボディは、通常、エッジにより支持される。振動板の形状は、上記のとおりドーム状、コーン状でもよいし、これらを組み合わせた形状でもよいし、振動板に使用されるその他の形状でもよい。
本発明の音響部材は、振動板の少なくとも一部を形成すればよく、例えば、振動板のボディ又はエッジが本発明の音響部材により形成され、振動板のエッジ又はボディが別の部材により形成してもよい。もちろん、ボディ及びエッジの両方が、本発明の音響部材により一体的に形成されてもよく、振動板全体が、本発明の音響部材により形成されてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動板1の構造を示す図であり、平面視で円形の振動板1を、円の中心線を通る面で切断した断面図である。図1に示すように、振動板1は、ドーム部(ボディ)1aを中心に、ボイスコイル2に取り付ける凹嵌部1b、周縁部(エッジ)1c、および、その外周にフレーム等に貼り付ける外部貼付け部1dを有する。
図2は、本発明の他の実施形態に振動板11の構造を示す図であり、平面視で円形の振動板11を、円の中心線を通る面で切断した断面図である。図2に示すように、マイクロスピーカー振動板11は、ドーム形状に加工されたドーム部(ボディ)11aを中心に、ボイスコイル2に取り付ける凹嵌部11b、コーン形状に加工されたコーン部11j、および、周縁部(エッジ)11cを有する。振動板11に例示するように、振動板は、一部がドーム形状に加工され、且つ、該一部を除く他の一部がコーン形状に加工されていてもよい。なお、マイクロスピーカー振動板11は、それぞれ周縁部11cを直接フレーム等に取り付けてもよく、他の部材を介してフレーム等に取り付けてもよい。
振動板の表面には、上記のとおり、タンジェンシャルエッジを付与してもよい。タンジェンシャルエッジは、例えば、横断面形状がV字状の溝などにより構成されるとよい。図3には、本発明の他の実施形態に係る振動板21の平面図を示す。振動板21は、円形のドーム部(ボディ)21aの外周縁部に、複数のタンジェンシャルエッジ21eが付与されたタンジェンシャルエッジ部21gと、タンジェンシャルエッジ部21gの外周に配置された複数のタンジェンシャルエッジ21fが付与されたタンジェンシャルエッジ部21hを有する。なお、図3では、径方向に沿って2つのタンジェンシャルエッジ部が設けられる例を示すが、タンジェンシャルエッジ部は径方向に沿って1つのみであってもよいし、3つ以上設けられてもよい。
なお、振動板は、上記の通りスピーカー振動板、中でもマイクロスピーカー振動板であることが好ましい。マイクロスピーカー振動板として好適に使用する観点から、振動板の大きさは、最大径が25mm以下、好ましくは20mm以下であり、また最大径が5mm以上のものが好適に用いられる。なお、最大径とは振動板の形状が円形状の場合には直径、楕円形状やオーバル形状の場合には長径を採用するものとする。
振動板は、本発明の音響部材のみ(好ましくは、フィルム(X1)単層)により成形されてもよいし、本発明の音響部材と他の部材との複合材により成形されてもよい。例えば、上記のとおりエッジまたはボディのいずれかを他の部材により形成してもよい。
さらに、振動板の二次加工適性や防塵性あるいは、音響特性の調整や意匠性向上等のために、振動板の表面にさらに帯電防止剤をコーティングしたり、金属を蒸着したり、スパッタリングしたり、着色(黒色や白色など)したりするなどの処理を適宜行ってもよい。さらに、アルミニウムなどの金属との積層、あるいは、不織布との複合化などを適宜行ってもよい。
(音響部材の製造方法)
本発明の音響部材は、樹脂成分を例えばフィルム状にし、かつ加熱などすることでオルガノポリシロキサン(A)を架橋するなどして、硬化して得られるものである。樹脂成分をフィルム状にし、かつ加熱する方法は、特に限定されないが、加熱時に賦形などして所望の形状に成形することが好ましい。また、音響部材は、音響部材用積層体を使用して製造することが好ましく、その詳細は後述する。
樹脂成分の製造方法は、特に限定されないが、樹脂成分が複数の樹脂、充填材、添加剤等との混合物である場合は、例えば樹脂成分を構成する材料を混練することで得ることができる。混練に使用する混練機としては、単軸又は二軸押出機などの押出機、2本ローラーや3本ローラー等のカレンダーロール、ロールミル、プラストミル、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー等の公知の混練機を用いることができる。また、2以上の樹脂を混合して用いる場合は、混練機の種類や混練条件の選択によって樹脂成分の分散状態を適宜調整することができる。
混練温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整されるが、架橋を抑制しつつ樹脂の粘度を適度に下げて混練しやすくするため、20℃以上、150℃以下であることが好ましく、30℃以上、140℃以下であることがより好ましく、40℃以上、130℃以下であることが更に好ましく、50℃以上、120℃以下であることが特に好ましく、60℃以上、110℃以下であることがとりわけ好ましい。
混錬時間は、樹脂成分を構成する材料が均一に混合される程度であればよく、例えば、数分〜数時間、好ましくは5分〜1時間である。
[音響部材用積層体]
上記した本発明の音響部材は、以下に説明する本発明の音響部材用積層体により製造されることが好ましい。
本発明の音響部材用積層体は、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる硬化性樹脂層(X)と、硬化性樹脂層(X)の少なくとも一方の面に積層される樹脂層(Y)とを備え、樹脂層(Y)は、硬化後の硬化性樹脂層(X)から剥離可能である。樹脂層(Y)は、前記硬化性樹脂層(X)に直接積層されることが好ましく、また、前記硬化性樹脂層(X)の両面に積層されることが好ましく、前記硬化性樹脂層(X)の両面に直接積層されることがより好ましい。
本発明では、上記音響部材用積層体を使用することで、耐熱性を有する音響部材を良好な生産性、及びハンドリング性で製造することができる。
硬化性樹脂層(X)は、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる。本発明では、樹脂成分としてミラブル型を使用することで、樹脂成分を硬化性樹脂層(X)に加工する際の生産性が良好となる。また、成形時や輸送時に未硬化の樹脂成分が流れ出したりする不具合が生じにくくなり、ハンドリング性が良好となる。さらに、未硬化のミラブル型の樹脂成分(すなわち、硬化性樹脂層(X))は、一般的にタック性を有し、樹脂層(Y)に比較的高い接着力により接着できるので、音響部材用積層体を型に配置する際や、輸送時に硬化性樹脂層(X)が樹脂層(Y)から剥離したりする不具合なども生じにくくなり、その点においてもハンドリング性が良好となる。
なお、樹脂成分の詳細は、上記の通りであり、したがって、樹脂成分(すなわち、硬化性樹脂層(X))は、オルガノポリシロキサン(A)に加え、有機過酸化物(C)やシリカ系充填材等の充填材を含有することが好ましく、硬化されることで上記したフィルム(X1)となるとよい。
また、硬化性樹脂層(X)(すなわち、フィルム(X1))が硬化され弾性率が高くなったりすることで、樹脂層(Y)の硬化性樹脂層(X)に対する接着力が低くなり、樹脂層(Y)が硬化性樹脂層(X)に対して剥離可能となる。そのため、音響部材用積層体において、硬化後の硬化性樹脂層(X)は、樹脂層(Y)から分離されて例えば単層で、適切に音響部材として使用できる。なお、剥離可能とは、硬化性樹脂層(X)の硬化後に、樹脂層(X)を破壊させることなく、樹脂層(Y)を樹脂層(X)から人手、機械などにより剥離できることを意味する。
樹脂層(Y)は、硬化性樹脂層(X)の一方の面上のみに設けられてもよいが、硬化性樹脂層(X)の両面上に設けられることが好ましい。樹脂層(Y)が両面に設けられることで、硬化性樹脂層(X)がタック性を有してもハンドリング性に優れ、輸送などがしやすくなり、硬化性樹脂層(X)が露出していないので、こすれ、傷等の外観不良が発生しにくくなる。また、後述するように型を用いて賦形成形する際に、硬化性樹脂層(X)が型に付着するなどの不具合が生じにくくなる。また、フィルム(X1)の厚み精度や成形精度を向上させやすくなる。
また、硬化性樹脂層(X)の一方の面又は両面に設けられる樹脂層(Y)は、硬化性樹脂層(X)に直接積層されてもよいし、樹脂層(Y)が剥離可能であれば他の層を介して積層されていてもよいが、直接積層されることが好ましい。樹脂層(Y)は、硬化性樹脂層(X)に直接積層されることで、音響部材用積層体の構成を簡素化でき、さらには、単層のフィルム(X1)からなる振動板などの音響部材を製造しやすくなる。
本発明では、樹脂層(Y)は、その表面に剥離剤によって形成された剥離層などの他の層が形成されず、硬化性樹脂層(X)に剥離層などを介さずに直接積層されることが好ましい。硬化性樹脂層(X)は硬化されることによりタック性が下がり、樹脂層(Y)の硬化性樹脂層(X)に対する接着力が低くなる。それにより、樹脂層(Y)は、剥離層などを介さなくても、容易に硬化後の硬化性樹脂層(X)より剥離できるようになる。
なお、樹脂層(Y)が他の層を介して硬化性樹脂層(X)と積層される場合、他の層としては、例えば、剥離層等を挙げることができる。
剥離層に用いられる剥離剤としては、例えば、アルキド系、オレフィン系、アクリル系、長鎖アルキル基含有化合物系、ゴム系、メラミン系、尿素系、尿素−メラミン系、セルロ−ス系、ベンゾグアナミン系等の樹脂及び界面活性剤等が挙げられ、これらを単独又は混合して用いてもよい。また、剥離剤は、さらに硬化剤、触媒等のその他の成分を含有していてもよい。
剥離層の厚みは、特に限定するものではなく、例えば0.02μm以上、2μm以下であることが好ましく、0.04μm以上、1μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上、0.5μm以下であることがさらに好ましい。剥離層の厚みを前記範囲とすることで、剥離面としての機能を十分に発揮しやすい傾向となる。
剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、予め成形して得られた剥離フィルム等を硬化性樹脂層(X)、樹脂層(Y)とラミネート法等により積層してもよいし、前記剥離剤を有機溶剤又は水に溶解させ塗料としたのち、これをグラビア印刷法、スクリ−ン印刷法、オフセット印刷法等の通常の印刷法で硬化性樹脂層(X)又は樹脂層(Y)上に塗布、乾燥、硬化させて形成してもよい。
樹脂層(Y)を構成する樹脂(B)は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、該樹脂(B)のガラス転移温度は、250℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が250℃以下であると、賦形時に樹脂層(Y)が適度に軟化するため賦形性が良好になる傾向となる。そのような観点から、樹脂(B)のガラス転移温度は、240℃以下がより好ましく、230℃以下がさらに好ましい。また、樹脂(B)のガラス転移温度は、−20℃以上が好ましく、−15℃以上がより好ましく、−10℃以上がさらに好ましく、−5℃以上が特に好ましい。離型フィルムのガラス転移温度がかかる下限値以上であれば、オルガノポリシロキサンを硬化させるために賦形時の温度を十分に高くしたとしても、変形によりしわが入ったり、賦形型に貼り付く等の不良が発生しにくい。
なお、ガラス転移温度は、例えばJIS K7244−4:1999に準拠して、動的弾性率測定の引張損失係数(tanδ)のピークトップ温度として測定することができる。動的弾性率測定は、上記した引張貯蔵弾性率の測定と同様に行うとよい。
樹脂層(Y)を構成する熱可塑性樹脂は特に制限されず、例えば、環状オレフィン系樹脂、非晶性ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミドスルホン、ポリアリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリカーボネート、及びポリプロプレンなどが使用できる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合には、例えば混合物として使用すればよい。
さらに樹脂層(Y)は、多層としてもよく、これら樹脂のうち1種又は2種以上から構成される樹脂層を2層以上有するものであってもよい。また、樹脂層(Y)が、硬化性樹脂層(X)の両面に設けられる場合、各樹脂層(Y)は、互いに異なる構成を有してもよいが、互いに同一の構成を有することが、積層体のカール等を抑制しやすい点から好ましい。
上記した中では、耐熱性、賦形性、硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離性等の観点から、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、及びポリプロプレンから選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中では、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン及びポリエチレンテレフタレートから選択される少なくとも1種がより好ましく、耐熱性、賦形性、剥離性に優れる観点から、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンのいずれかを単独、または組み合わせて使用することがさらに好ましい。
樹脂層(Y)は、本発明を阻害しない範囲で、樹脂(B)に加えて、必要に応じて、従来公知の無機粒子、有機粒子、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤等を添加することができる。
硬化性樹脂層(X)の厚みは、1μm以上、300μm以下であることが好ましく、5μm以上、200μm以下であることがより好ましく、10μm以上、170μm以下であることが更に好ましく、20μm以上、150μm以下であることが特に好ましく、30μm以上、130μm以下であることがとりわけ好ましい。厚みがかかる範囲であれば、上記した厚みを有するフィルム(X1)からなる音響部材を製造しやすくなる。
樹脂層(Y)の厚みは、1μm以上、200μm以下であることが好ましく、3μm以上、150μm以下であることがより好ましく、5μm以上、100μm以下であることが更に好ましく、10μm以上、80μm以下であることが特に好ましく、15μm以上、60μm以下であることがとりわけ好ましい。厚みを1μm以上とすることで、賦形時などにおいて樹脂層(Y)に破損が生じたりすることを防止したり、自立性を付与できるので生産時に取り扱いやすくなったり、離型時のハンドリング性にも優れたりする傾向となる。また、厚みを200μm以下とすることで、音響部材用積層体のまま賦形成形しても樹脂層(X)を所望の形状に適切に賦形できやすくなる。
なお、音響部材用積層体は、好ましくはフィルム状となるものであり、その全体の厚みが特に限定されないが、2μm以上、700μm以下であることが好ましく、8μm以上、500μm以下であることがより好ましく、20μm以上、370μm以下であることが更に好ましく、40μm以上、310μm以下であることが特に好ましく、60μm以上、250μm以下であることがとりわけ好ましい。
音響部材用積層体において、硬化前の硬化性樹脂層(X)は、弾性率が比較的低く、典型的にはタック性を有していることから、樹脂層(Y)との剥離強度が低くても、樹脂層(Y)に対して、適度に接着することができ、ハンドリング性が良好となる。したがって、樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は、後述する硬化後の剥離強度より同程度でもよいし、大きくてもよいし、小さくてもよい。
樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は、特に限定されないが、0.01N/10mm以上、15N/10mm以下であることが好ましく、0.02N/10mm以上、10N/10mm以下であることがより好ましく、0.04N/10mm以上、5N/10mm以下であることが更に好ましく、0.05N/10mm以上、3N/10mm以下であることが特に好ましく、0.06N/10mm以上、1N/10mm以下であることがとりわけ好ましく、0.07N/10mm以上、0.7N/10mm以下であることが最も好ましい。樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が0.01N/10mm以上となることで、輸送時や賦形成形時に樹脂層(Y)が硬化性樹脂層(X)に対して不意に剥離したりすることを防止して、ハンドリング性が良好となりやすい。また、15N/10mm以下となることで、硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する樹脂層(Y)の剥離強度を低くしやすくなる。
硬化性樹脂層(X)が硬化後に上記のとおり弾性率が一定値以上となり、さらに、樹脂層(Y)の硬化した硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が低くなることで、樹脂層(Y)は、硬化後の硬化性樹脂層(X)に対して容易に剥離できるようになる。一方、樹脂層(Y)の樹脂種にもよるが、硬化性樹脂層(X)は硬化されることで弾性率が硬化前よりも高くなるため、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は、硬化前の剥離強度よりも高くなる場合もある。そのような観点から、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は、10N/10mm以下であることが好ましく、5N/10mm以下であることがより好ましく、3N/10mm以下であることがさらに好ましく、2N/10mm以下であることが特に好ましく、1N/10mm以下であることがとりわけ好ましく、0.8N/10mm以下であることが最も好ましい。樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が10N/10mm以下となることで、樹脂層(Y)が硬化後の硬化性樹脂層(X)、すなわち、フィルム(X1)より容易に剥離できるようになる。そのため、音響部材用積層体をそのまま賦形成形しても、フィルム(X1)単体からなる音響部材を容易に製造できるようになる。
また、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は、特に限定されないが、例えば、0.01N/10mm以上であるとよく、0.03N/10mm以上であることがより好ましく、0.05N/10mm以上であることがさらに好ましい。
なお、硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する樹脂層(Y)の剥離強度は、実際に成形品(音響部材)を製造する際の硬化条件で硬化性樹脂層(X)を硬化させた後の剥離強度をいい、例えば、硬化性樹脂層(X)中の硬化性樹脂成分の架橋度が80%以上である状態での剥離強度をいう。架橋度を80%以上とするための硬化条件は、硬化性樹脂層(X)の厚みにもよるが、例えば、厚み100μmの場合であれば、音響部材用積層体を温度180℃以上の条件で2〜5分間程度加熱した後に測定して求めることができる。また、硬化の際には加圧しつつ加熱するとよく、例えば0.2MPaでプレス加熱するとよい。
また、剥離強度は、硬化前又は硬化した硬化性樹脂層(X)を固定して、その固定した硬化性樹脂層(X)より、樹脂層(Y)を剥離角度180°、剥離速度300mm/分の条件で剥離した際の剥離強度を意味する。硬化性樹脂層(X)に方向性がある場合にはTD方向(樹脂の流れ方向に直交する方向)について測定するとよい。なお、剥離強度は、JIS K6854−2:1999に準拠した方法で測定するとよい。
音響部材用積層体は、振動板などの音響部材用に使用され、特に音響部材の製造に使用されるものであり、音響部材、及び振動板の詳細は、上記の通りである。
音響部材用積層体は、後述する通り、型により賦形されることで、積層体のまま振動板などの音響部材の形状に応じた形状に成形されるものである。したがって、音響部材用積層体は、少なくとも一部がドーム形状やコーン形状などに成形されるとよい。また、音響部材用積層体の表面にタンジェンシャルエッジが付与されるように成形されてもよい。
(音響部材用積層体の製造方法)
音響部材用積層体は、一般の成形法、例えば、ラミネート成形、共押し等の押出成形、コーティング等により成形することができる。これらの中では、硬化性樹脂層(X)と樹脂層(Y)との多層化の容易性も考慮し、ラミネート成形を選択することが好ましい。
ラミネート成形では、上記した混練機にオルガノポリシロキサン(A)と、必要に応じて配合される有機過酸化物(C)などの添加剤を加えて混練した後、樹脂成分として、未硬化の状態で、二方向から繰り出した、樹脂層(Y)となる樹脂フィルムの間に投入する。ここで、樹脂成分は、例えば、押出機などを使用してTダイなどから押し出すことで、樹脂フィルム間に投入するとよい。その後、必要に応じてロールの間隙にて厚みを調整し、樹脂層(Y)の間に未硬化状態の硬化性樹脂層(X)が形成された音響部材用積層体が得られる。ラミネート成形はロールトゥロールで行ってもよい。また、樹脂フィルムの一方を省略して、硬化性樹脂層(X)及び樹脂層(Y)からなる音響部材用積層体を得てもよい。
押出成形では、例えば、共押出により、硬化性樹脂層(X)を構成するための樹脂成分と、樹脂層(Y)を構成するための樹脂(B)を押し出して、音響部材用積層体を製造することができる。
ラミネート成形では、樹脂層(Y)となる樹脂フィルムの代わりに、未硬化の樹脂成分に対して高い剥離性を有する工程フィルムを用意して、2枚の工程フィルムの間に硬化性樹脂層(X)を形成した積層体を得てもよい。この場合、得られた積層体より2枚の工程フィルムを剥がして、工程フィルムの代わりに、樹脂層(Y)となる樹脂フィルムを硬化性樹脂層(X)に貼り合わせて、樹脂層(Y)の間に未硬化状態の硬化性樹脂層(X)が形成された音響部材積層体を得てもよい。
また、1枚の工程フィルムと樹脂層(Y)となる樹脂フィルムの間に硬化性樹脂層(X)を形成した後、工程フィルムを剥がして、工程フィルムの代わりに、樹脂層(Y)となる樹脂フィルムを硬化性樹脂層(X)に貼り合わせて、樹脂層(Y)の間に未硬化状態の硬化性樹脂層(X)が形成された音響部材積層体を得てもよい。
工程フィルムは、樹脂フィルムでもよいし、樹脂フィルムの表面が剥離剤により剥離処理した剥離フィルムであってもよい。工程フィルムとして使用される樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルムなどが挙げられる。
ラミネート成形以外の押出成形などの他の成形方法でも、同様に工程フィルムと硬化性樹脂層(X)からなる積層体を得て、その積層体から工程フィルムを剥がして、剥離フィルムの代わりに、樹脂層(Y)となる樹脂フィルムを硬化性樹脂層(X)に貼り合わせて音響部材積層体を得てもよい。
また、工程フィルムを使用する場合でも、硬化性樹脂層(X)の一方の面のみに樹脂層(Y)が積層された音響部材用積層体を製造してもよい。例えば、1枚の工程フィルムと樹脂層(Y)となる樹脂フィルムの間に硬化性樹脂層(X)を形成した後、工程フィルムを剥がして、硬化性樹脂層(X)の一方の面のみに樹脂層(Y)が積層された音響部材積層体を得てもよい。
[音響部材用積層体を使用した音響部材の製造方法]
本発明の音響部材用積層体は、上記の通り音響部材用に使用されるものであり、より具体的には音響部材の製造に使用される。音響部材用積層体を使用した音響部材の製造方法は、以下の工程1及び工程2を備える。
工程1:音響部材用積層体を加熱して型により賦形し、かつ硬化性樹脂層(X)を硬化させる工程
工程2:賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(X)(すなわち、フィルム(X1))から、樹脂層(Y)を剥離する工程
以下、各工程についてより詳細に説明する。
(工程1)
工程1では、音響部材用積層体を加熱して型により賦形し、かつ硬化性樹脂層(X)を硬化し、これにより、所望の形状に音響部材用積層体を成形する。工程1における賦形成形は、特に限定されず、真空成形、圧空成形、プレス成形等のいずれかの成形方法により行うとよいが、これらの中では、成形がより簡便な点からプレス成形が好ましい。
型としては、成形方法に応じた型を用意すればよいが、型には、製造される音響部材の形状に応じた凹凸等を設けるとよい。型としては、典型的には金属製の金型を使用するが、樹脂製の型でもよい。例えば音響部材がドーム形状又はコーン形状の少なくともいずれかを有するならば、型にはドーム形状又はコーン形状に対応した凹凸を設けるとよい。また、音響部材が表面にタンジェンシャルエッジを有する場合には、型にはタンジェンシャルエッジに応じた凹凸を設けるとよい。
工程1では、加熱した音響部材用積層体を型によって賦形すればよく、例えば、型上に配置した音響部材用積層体を加熱しつつ型により賦形してもよいし、予め加熱した音響部材用積層体を型上に配置し、その後型により賦形してもよいし、これらを組み合わせてもよい。また、音響部材用積層体は、いかなる方法で加熱してもよく、例えば、型上に配置した音響部材用積層体を加熱する場合には、型を加熱しその伝熱で加熱してもよいし、他の方法で加熱してもよい。
賦形時の加熱温度は180℃以上、260℃以下であることが好ましく、190℃以上、250℃以下であることがより好ましく、200℃以上、240℃以下であることが更に好ましい。賦形時の温度がかかる範囲であれば、樹脂層(Y)が熱で溶融変形しない範囲で十分な速度で硬化が可能となる傾向がある。
賦形時間は、1秒以上、5分以下であることが好ましく、5秒以上、4分以下であることがより好ましく、10秒以上、3分以下であることが更に好ましく、20秒以上、2分以下であることが特に好ましい。賦形時の熱処理時間がかかる範囲であれば、生産性を維持したまま十分に硬化させやすい傾向となる。
なお、硬化性樹脂層(X)は、好ましくは賦形しながら硬化されるが、特に限定されず賦形後に硬化されてもよい。なお、賦形時間とは、音響部材用積層体が型内で賦形・硬化されている時間をいい、賦形開始前および賦形終了後の型移動時間や、積層体を離型する際の時間は含まないものとする。
(工程2)
工程2では、工程1で賦形かつ硬化された硬化性樹脂層(X)(フィルム(X1))から樹脂層(Y)を剥離する。工程(2)において、樹脂層(Y)を剥離することで、フィルム(X1)単体からなり、所望の形状を有する音響部材が得られる。なお、工程(2)では、硬化性樹脂層(X)を硬化することで、上記の通り樹脂層(Y)を、硬化された硬化性樹脂層(X)から容易に剥離することができる。また、工程2では、硬化性樹脂層(X)の両面に樹脂層(Y)が設けられる場合には、両方の樹脂層(Y)を、硬化した硬化性樹脂層(X)(フィルム(X1))から剥離する。
以上の本製造方法によると、賦形成形された音響部材を、厚さが薄くても、高い成形精度及び厚み精度で製造することができる。また、短時間で硬化させられ成形サイクルが短く生産性が良好なうえ、型が簡便で様々な形状のものに対応できる。
また、樹脂成分を硬化させた後に賦形した場合、樹脂が弾性回復してしまい、形状戻りする懸念があるが、以上の製造方法により、オルガノポリシロキサン(A)を硬化しながら賦形する又は賦形した後に硬化することで、複雑な形状の振動板などの音響部材を安定して製造できる。
[熱成形用積層体]
本発明は、別の態様として、熱成形用積層体を提供する。熱成形用積層体は、硬化性樹脂層(Xa)と、硬化性樹脂層(Xa)の両面に直接積層される樹脂層(Ya)とを備え、かつ樹脂層(Ya)が、硬化後の硬化性樹脂層(Xa)より剥離可能である。
硬化性樹脂層(Xa)を構成する樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することでき、これらの中では、シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
シリコーン樹脂を使用する場合、シリコーン樹脂としては上記で説明したとおりのオルガノポリシロキサン(A)を使用するとよく、硬化性樹脂層(Xa)は、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなるとよい。すなわち、熱成形用積層体の好ましい態様において、硬化性樹脂層(Xa)は上記した硬化性樹脂層(X)と同様である。また、熱成形用積層体における樹脂層(Ya)の構成も、上記した音響部材用積層体の樹脂層(Y)と同様であるとよい。
したがって、熱成形用積層体の好ましい態様は、上記した音響部材用積層体と同様である。すなわち、硬化性樹脂層(Xa)の厚み、樹脂層(Ya)の厚み、熱成形用積層体の厚み、硬化前及び硬化後の硬化性樹脂層(Xa)に対する樹脂層(Ya)の剥離強度などは、音響部材用積層体で説明した硬化性樹脂層(X)の厚み、樹脂層(Y)の厚み、硬化前及び硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する樹脂層(Y)の剥離強度などと同じであり、その説明は省略する。
熱成形用積層体は、音響部材以外の成形品の製造にも使用することができ、例えば、パッキン、絶縁シート、工程用フィルム、ベルト基材などの熱成形により製造できる各種の成形品の製造にも使用することができる。熱成形は、例えば型を用いて、熱成形用積層体を加熱して硬化しながら賦形又は賦形した後に硬化するとよく、その成形方法は、後述する通り、真空成形、圧空成形、プレス成形等であるとよい。
本発明の熱成形用積層体は、上記の通り各種成形品に使用されるものであり、より具体的には各種成形品の製造に使用される。熱成形用積層体を使用した成形品の製造方法は、以下の工程1a及び工程2aを備える。
工程1a:熱成形用積層体を加熱して型により賦形し、かつ硬化性樹脂層(Xa)を硬化させる工程
工程2a:賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(Xa)(すなわち、フィルム(Xa1))から、樹脂層(Ya)を剥離する工程
(工程1a)
工程1aでは、熱成形積層体を加熱して型により賦形し、かつ硬化性樹脂層(Xa)を硬化し、これにより、所望の形状に熱成形用積層体を成形する。工程1aにおける賦形成形は、特に限定されず、真空成形、圧空成形、プレス成形等のいずれかの成形方法により行うとよいが、これらの中では、成形がより簡便な点からプレス成形が好ましい。
型としては、成形方法に応じた型を用意すればよいが、型には、製造される成形品の形状に応じた凹凸を設けるとよい。型は、金属製の金型を使用してもよいし、樹脂製の型でもよい。
工程1aの好ましい態様の詳細は、上記した工程1と同様であり、その記載は省略する。
(工程2a)
工程2aでは、工程1aで賦形かつ硬化された硬化性樹脂層(Xa)(フィルム(Xa1))から樹脂層(Ya)を剥離する。工程2では、硬化性樹脂層(Xa)の両面の樹脂層(Ya)をいずれも、硬化後の硬化性樹脂層(Xa)から剥離する。工程2aにおいて、樹脂層(Ya)を剥離することで、フィルム(Xa1)単体からなり、所望の形状を有する成形品が得られる。なお、工程2aでは、工程1aにおいて硬化性樹脂層(Xa)を硬化することで、樹脂層(Ya)をフィルム(Xa1)から容易に剥離することができる。
フィルム(Xa1)は、上記した硬化性樹脂層(Xa)の硬化物であり、好ましくは上記したフィルム(X1)である。
以上の本製造方法によると、賦形成形された各種の成形品を、厚さが薄くても、高い成形精度及び厚み精度で製造することができる。また、硬化時間が短時間で生産性が良好なうえ、型が簡便で様々な形状のものに対応できる。
また、硬化性樹脂層(Xa)を硬化させた後に賦形した場合、樹脂が弾性回復してしまい、形状戻りする懸念があるが、以上の製造方法により、熱硬化性樹脂を架橋などにより熱硬化しながら賦形する又は賦形した後に熱硬化することで、複雑な形状の成形品を安定して製造できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
オルガノポリシロキサンとシリカを含むミラブル型シリコーン樹脂組成物(A)−1(商品名「KE−597−U」、信越化学工業株式会社製、シリカ27質量%、タイプAデュロメータ硬さ70)100質量部と、有機過酸化物(C)−1(商品名「C−8B」、信越化学工業株式会社製、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、約40質量%含有)1質量部を、プラネタリーミキサーを用いて、温度90℃で10分間混練して、樹脂成分を得た。樹脂成分は、ミラブル型であった。このようにして作製した樹脂成分を、径100mmの2本のカレンダーロールに沿って供給された樹脂層(Y)となる2枚のポリエーテルイミドフィルム(商品名「スペリオUT(Eタイプ)」、三菱ケミカル株式会社製、厚み50μm、ポリエーテルイミドのガラス転移温度220℃)の間に投入して、室温25℃、ロール温度90℃でロールにバンクを形成させ、硬化性樹脂層(X)の厚みが100μmとなるように、樹脂層(Y)/硬化性樹脂層(X)/樹脂層(Y)からなる積層体を得た。
この積層体を、賦形成形を想定して、220℃で2分間加熱しながら圧力0.2MPaで2枚の平板よりプレス成形する簡易的な方法で、硬化性樹脂層(X)を硬化させた後、いずれの樹脂層(Y)も剥離することでフィルム(X1)を得た。フィルム(X1)の厚みは95μmであった。得られた積層体について剥離強度を測定したところ、樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.1N/10mmであり、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.3N/10mmであった。なお、各実施例において剥離強度はフィルムの押出方向と直交する方向(TD方向)について、明細書記載の方法で行った。
実施例2〜4
硬化性樹脂層(X)を硬化する際の加熱温度、及び加熱時間を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルム(X1)を得た。
得られた積層体についてTD方向の剥離強度を測定したところ、いずれの実施例でも、樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.1N/10mmであり、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.2N/10mmであった。
実施例5
樹脂成分を作製する際の有機過酸化物(C)−1の配合量を0.05質量部に変更し、かつ硬化性樹脂層(X)を硬化する際の加熱温度、及び加熱時間を表1に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、フィルム(X1)を得た。
得られた積層体についてTD方向の剥離強度を測定したところ、樹脂層(Y)の硬化前の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.1N/10mmであり、樹脂層(Y)の硬化後の硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度は0.2N/10mmであった。
比較例1
ポリエーテルイミド((N)−1)をφ40mmのスクリューを備えた単軸押出機に投入して、温度380℃、回転数30rpmで混練しながら溶融させ、Tダイを用いて押出温度380℃で押し出した。押し出された樹脂は、230℃のキャストロールに引き取り、厚み100μmの無延伸のフィルムを作製し、フィルム(X1)として評価した。
比較例2
ポリエーテルエーテルケトン((N)−2)をφ40mmのスクリューを備えた単軸押出機に投入して、温度380℃、回転数30rpmで混練しながら溶融させ、Tダイを用いて押出温度380℃で押し出した。押し出された樹脂は、230℃のキャストロールに引き取り、厚み100μmの無延伸のフィルムを作製し、フィルム(X1)として評価した。
[評価及び測定方法]
上記実施例及び比較例におけるフィルム(X1)は、以下のようにして各種項目についての評価測定を行った。
(1)不溶解分の割合及び架橋度
明細書記載の方法に従ってフィルム(X1)の不溶解分の割合、及びオルガノポリシロキサン(A)の架橋度を測定した。
(2)引張降伏伸度
JIS K7161:2014に準じた方法により、引張速度100mm/分、23℃の環境下で、フィルムの押出方向と直交する方向(TD方向)について測定した。
(3)引張貯蔵弾性率
各実施例、比較例で得られたフィルム(X1)から5mm×8cmの試験片(厚み95μm)を切り出し、測定試料として得た。その測定試料を用いて、JIS K7244−4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーター「DVA−200(アイティー計測制御株式会社製)」を用い、周波数10Hz、歪み0.1%、温度範囲20〜400℃、加熱速度3℃/minで昇温させ、20℃及び100℃における引張貯蔵弾性率(E20、E100)を測定した。なお、測定はTD方向について行った。
(4)20℃における引張貯蔵弾性率(E20)と100℃における引張貯蔵弾性率(E100)の比(E100/E20
(3)の測定によって得られたそれぞれの値からE100/E20を算出した。
(5)引張破断伸度
引張降伏伸度と同様の引張試験を行い、フィルム(X1)が破断したときの伸度を測定した。
下記表1に、実施例1〜5及び比較例1〜2における評価測定結果をまとめ示す。
Figure 2021190943
以上の実施例1〜5のフィルム(X1)は、オルガノポリシロキサン(A)を使用し、かつ不溶解分の割合を50%以上とすることで、引張降伏伸度が高く、かつ引張破断伸度も高く靭性に優れていた。また、20℃における引張貯蔵弾性率が適切な範囲にあり、音質及び再生性などの音響特性が優れたものになると推定される。さらに、引張貯蔵弾性率の比(E100/E20)が適切な範囲にあり弾性率変化が小さく耐熱性も優れている。したがって、各実施例のフィルム(X1)からなる音響部材は、スピーカー振動板等の電気音響変換器用振動板等に使用した場合において、低温域から高温域までの音の再生性に優れ、高温等の使用環境が音質に影響を与えるといった問題も発生しにくく、また、長時間の振動による変形や破断が無いことが期待できる。
これらに対して、比較例1、2では、引張降伏伸度が低く、かつ引張破断伸度も低く靭性が劣っており、加えてフィルム(X1)の弾性率も高かった。そのため、例えば電気音響変換器用振動板として使用した際に音質、再生性に劣り、長時間の振動による変形や破断が生じやすいと推定される。
また、各実施例では、ミラブル型の樹脂成分からなる硬化性樹脂層(X)と、硬化性樹脂層(X)に直接積層される樹脂層(Y)とを有し、樹脂層(Y)が硬化後の硬化性樹脂層(X)から剥離できる積層体を使用することで、耐熱性を有するフィルム(X1)を、良好な生産性、及びハンドリング性で製造することができる。
上記結果をふまえると、さらに次のような実施形態の場合も、上記実施例と同様の効果を得ることができると考えられる。
(例1〜5)
実施例1〜5において、樹脂層(Y)としてポリメチルペンテンフィルム(商品名:「オピュラン X44B」、三井化学株式会社製、厚み50μm、ポリメチルペンテンのガラス転移温度42℃)を用いる以外は実施例1〜5と同様の方法で作製される積層体。
(例6〜10)
実施例1〜5において、樹脂層(Y)としてポリエーテルエーテルケトンフィルム(商品名:「スペリオUT(KNタイプ)」、三菱ケミカル株式会社製、厚み20μm、ポリエーテルエーテルケトンのガラス転移温度154℃)を用いる以外は実施例1〜5と同様の方法で作製される積層体。

Claims (41)

  1. オルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる音響部材であって、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上であることを特徴とする、音響部材。
  2. オルガノポリシロキサン(A)を含み、クロロホルム24時間浸漬後の不溶解分の割合が50%以上のフィルム(X1)からなる、請求項1に記載の音響部材。
  3. 前記フィルム(X1)単層からなる請求項2に記載の音響部材。
  4. オルガノポリシロキサン(A)の架橋度が35%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響部材。
  5. 引張降伏伸度が20%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響部材。
  6. 降伏点を有しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響部材。
  7. 20℃における引張貯蔵弾性率(E20)と100℃における引張貯蔵弾性率(E100)との比(E100/E20)が0.5以上1.2以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の音響部材。
  8. 20℃における引張貯蔵弾性率(E20)が800MPa以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の音響部材。
  9. 引張破断伸度が200%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の音響部材。
  10. 前記樹脂成分が、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の音響部材。
  11. 前記樹脂成分のタイプAデュロメータ硬さが30以上90以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の音響部材。
  12. ドーム形状及びコーン形状の少なくともいずれかを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の音響部材。
  13. 表面にタンジェンシャルエッジを有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の音響部材。
  14. 電気音響変換器用振動板である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の音響部材。
  15. スピーカー振動板である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の音響部材。
  16. オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる硬化性樹脂層(X)と、前記硬化性樹脂層(X)の少なくとも一方の面に積層される樹脂層(Y)とを備え、前記樹脂層(Y)が硬化後の前記硬化性樹脂層(X)より剥離可能であることを特徴とする、音響部材用積層体。
  17. 前記樹脂層(Y)が、前記硬化性樹脂層(X)の少なくとも一方の面に直接積層される、請求項16に記載の音響部材用積層体。
  18. 前記樹脂層(Y)が、前記硬化性樹脂層(X)の両面に積層される、請求項16又は17に記載の音響部材用積層体。
  19. 前記樹脂層(Y)を構成する樹脂(B)のガラス転移温度が250℃以下である、請求項16〜18のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  20. 前記樹脂(B)が、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート、及びポリプロプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項16〜19のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  21. 前記硬化性樹脂層(X)の厚みが1μm以上300μm以下である請求項16〜20のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  22. 前記樹脂層(Y)の厚みが1μm以上200μm以下である、請求項16〜21のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  23. 少なくとも一部がドーム形状及びコーン形状の少なくともいずれかに成形されてなるものである、請求項16〜22のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  24. 表面にタンジェンシャルエッジが付与されるように成形されてなる、請求項16〜23のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  25. 電気音響変換器用振動板に使用する請求項16〜24のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  26. 前記振動板がスピーカー振動板である、請求項25に記載の音響部材用積層体。
  27. 前記樹脂層(Y)の硬化後の前記硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が10N/10mm以下である、請求項16〜26のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  28. 前記樹脂層(Y)の硬化前の前記硬化性樹脂層(X)に対する剥離強度が0.01N/10mm以上である、請求項16〜27のいずれか1項に記載の音響部材用積層体。
  29. 請求項16〜28のいずれか1項に記載の音響部材用積層体を加熱して型により賦形し、かつ前記硬化性樹脂層(X)を硬化させる工程と、
    賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(X)から、樹脂層(Y)を剥離する工程と
    を備える音響部材の製造方法。
  30. 賦形時の加熱温度が180℃以上260℃以下である、請求項29に記載の音響部材の製造方法。
  31. 賦形時間が1秒以上5分以下である、請求項29又は30に記載の音響部材の製造方法。
  32. プレス成形、真空成形、及び圧空成形のいずれかにより前記音響部材用積層体を賦形する請求項29〜31のいずれか1項に記載の音響部材の製造方法。
  33. 請求項16〜28のいずれか1項に記載の音響部材用積層体を音響部材に使用する方法。
  34. 請求項16〜28のいずれか1項に記載の音響部材用積層体を音響部材に使用する、音響部材用積層体の使用。
  35. 硬化性樹脂層(Xa)と、前記硬化性樹脂層(Xa)の両面に積層される樹脂層(Ya)とを備え、前記樹脂層(Ya)が、硬化後の前記硬化性樹脂層(Xa)より剥離可能であることを特徴とする、熱成形用積層体。
  36. 前記樹脂層(Ya)が、前記硬化性樹脂層(Xa)の両面に直接積層される、請求項35に記載の熱成形用積層体。
  37. 前記樹脂層(Ya)の硬化後の前記硬化性樹脂層(Xa)に対する剥離強度が10N/10mm以下である、請求項35又は36に記載の熱成形用積層体。
  38. 前記樹脂層(Ya)の硬化前の前記硬化性樹脂層(Xa)に対する剥離強度が0.01N/10mm以上である、請求項35〜37のいずれか1項に記載の熱成形用積層体。
  39. 前記硬化性樹脂層(Xa)がオルガノポリシロキサン(A)を含む樹脂成分からなる、請求項35〜38のいずれか1項に記載の熱成形用積層体。
  40. 前記硬化性樹脂層(Xa)が、オルガノポリシロキサン(A)を含むミラブル型の樹脂成分からなる、請求項39に記載の熱成形用積層体。
  41. 請求項35〜40のいずれか1項に記載の熱成形用積層体を加熱して前記型により賦形し、かつ前記硬化性樹脂層(Xa)を硬化させる工程と、
    賦形かつ硬化された前記硬化性樹脂層(Xa)から、前記両面に設けられた樹脂層(Ya)をいずれも剥離する工程と
    を備える、成形品の製造方法。
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