眼科撮影装置の例示的な実施形態を以下に説明する。引用文献の内容や公知技術を実施形態に援用することができる。
実施形態に係る眼科撮影装置は、後眼部を光ビームでスキャンして所定データの分布(例:画像、層厚分布、病変分布)を取得する。そのような眼科撮影装置の例としてSLOや光干渉断層計がある。以下、SLOと光干渉断層計とを組み合わせた眼科撮影装置について詳述する。
以下、特に明記しない限り、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、前後方向(奥行き方向)をZ方向として説明する。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元直交座標系を規定する。
<光学系100>
眼科撮影装置の光学系の例を図1〜図4Bに示す。眼科撮影装置は、複数の撮影モードで動作可能である。例えば、撮影範囲のサイズ(画角、倍率)に関する動作モードとして、広角撮影モードと高倍撮影モードがある。画角の切り替えは、例えば、屈折力が異なる2以上の対物レンズを選択的に使用することで実現される。或いは、光偏向器(光スキャナ)による光ビームの偏向角度を変化させることで画角を変更するよう構成してもよい。画角を変更するための手法や構成はこれらに限定されない。
図1は、広角撮影モード時の光学系の例を表す。図2は、画角を切り替えるための対物レンズ系の例を表す。図3は、高倍撮影モード時の眼科撮影装置の光学系の例を表す。図1及び図3における符号Pは、眼底Efと光学的に共役な位置(眼底共役位置)を示し、符号Qは、被検眼Eの瞳と光学的に共役な位置(瞳共役位置)を示す。図4A及び図4Bは、撮影に用いられる光ビームの断面の大きさ(ビームサイズ)を切り替えるためのビームサイズ変更系の例を示す。なお、典型的な実施形態では、ビームサイズを表すパラメータとしてビーム径が用いられる。
光学系100は、光ビームを用いて眼底Efをスキャンしてデータを収集する。そのために、光学系100は、対物レンズ系110を介して被検眼Eに光ビームを投射する投射系と、投射された光ビームの戻り光を対物レンズ系110を介して受光する受光系とを含む。受光系からの出力(つまりデータ収集部により収集されたデータ)に基づいて眼底Efの画像が形成される。光学系100は、SLO光学系130とOCT光学系140とを含む。SLO光学系130は、SLO投射系とSLO受光系とを含む。OCT光学系140は、OCT投射系とOCT受光系とを含む。
眼科撮影装置には、前眼部を観察・撮影するための前眼部撮影系120が設けられている。光学系100、対物レンズ系110及び前眼部撮影系120は、X方向、Y方向及びZ方向に移動される。前眼部撮影系120により得られる前眼部像は、アライメントやトラッキングに用いられる。
<対物レンズ系110>
例示的な実施形態では、撮影モード毎に対物レンズ(ユニット)が準備され、選択された撮影モードに応じた対物レンズユニットが選択的に使用される。この実施形態では、図2に示すように、広角撮影モード(例えば画角100度)のための対物レンズユニット110Aと、高倍撮影モード(例えば画角50度)のための対物レンズユニット110Bとが、光学系100の光路に選択的に配置される。
対物レンズ系110は、対物レンズユニット110A及び110Bに加えて画角変更機構115を含む。画角変更機構115は、例えば公知の回転機構又はスライド機構を含み、対物レンズユニット110A及び110Bを選択的に(互いに排他的に)光路に配置する。画角変更機構115は、対物レンズユニット110A(110B)の光軸が光学系100の光軸Oに略一致するように対物レンズユニット110A(110B)を光路に配置する。
画角変更機構115は、対物レンズユニット110A及び110Bを手動で移動するための構成を備えていてよい。この場合、光路に配置された対物レンズユニットの種別を検出する種別検出部を設け、その検出結果から撮影モードを特定し、この特定結果に応じた制御を実行するよう構成することができる。画角変更機構115は、対物レンズユニット110A及び110Bを電動で(更には自動で)移動するための構成を備えていてよい。この場合、後述の制御部200は、選択された撮影モードに対応する対物レンズユニットを光路に配置するための制御信号を画角変更機構115に送る。
広角撮影モード用の対物レンズユニット110Aは、レンズ111A及び112Aと、ダイクロイックミラーDM1Aと、凹レンズ113Aとを含む。ダイクロイックミラーDM1Aは、光学系100の光路と前眼部撮影系120の光路とを結合する。ダイクロイックミラーDM1Aは、光学系100により導かれる光を透過させ、前眼部撮影のための光を反射する。ダイクロイックミラーDM1Aと凹レンズ113Aとの間には眼底共役位置Pが配置されている。
高倍撮影モード用の対物レンズユニット110Bは、レンズ111Bと、ダイクロイックミラーDM1Bとを含む。ダイクロイックミラーDM1Bは、ダイクロイックミラーDM1Aと同様の作用を有する。
ダイクロイックミラーDM1AとダイクロイックミラーDM1Bとは、光学系100の光路における(ほぼ)同じ位置に配置される。それにより、撮影モードを切り替えたときに、前眼部撮影系120の位置や向きを調整する必要がなくなる。
例示的な実施形態において、単一のダイクロイックミラーを複数の対物レンズユニットが共用するように構成することができる。例えば、図2に示す例において、ダイクロイックミラーDM1A及びDM1Bが同じ部材であってよい。つまり、レンズ111A及び112A並びに凹レンズ113Aのみを含む対物レンズユニット110Aと、レンズ111Bのみを含む対物レンズユニット110Bとを選択的に使用する構成を適用できる。
対物レンズ系110を光軸Oに沿って移動することができる。つまり、光学系100に対して対物レンズ系110をZ方向に移動することができる。それにより、SLO光学系130の焦点位置及びOCT光学系140の焦点位置が変更される。
例示的な実施形態において、3つ以上の対物レンズユニットを選択的に使用することができる。例えば、高倍撮影モード用、中倍撮影モード用、及び低倍撮影モード用の対物レンズユニットと、これらを選択的に光路に配置する画角変更機構とを設けてよい。
以下、対物レンズユニット110Aが光路に配置された状態について主に説明する。対物レンズユニット110Bが配置された状態における同様又は類似の事項については、特に明記しない限り、その説明を省略する。
<前眼部撮影系120>
前眼部撮影系120は、前眼部照明光源121と、レンズ122と、前眼部撮影カメラ123と、結像レンズ124と、ビームスプリッタBS1とを含む。ビームスプリッタBS1は、前眼部照明光の光路とその戻り光の光路とを結合する。
前眼部照明光源121は、赤外LED等の赤外光源を含む。前眼部照明光源121により発せられた前眼部照明光は、レンズ122により屈折し、ビームスプリッタBS1によりダイクロイックミラーDM1Aに向けて反射され、ダイクロイックミラーDM1Aにより被検眼Eに向けて反射される。被検眼Eからの前眼部照明光の戻り光は、ダイクロイックミラーDM1Aにより反射され、ビームスプリッタBS1を透過し、結像レンズ124により前眼部撮影カメラ123(撮像素子の検出面)に集光される。撮像素子の検出面は、瞳共役位置Q(又はその近傍)に相当する。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。
<SLO光学系130及びOCT光学系140>
SLO光学系130の光路とOCT光学系140の光路とはダイクロイックミラーDM2により結合されている。例示的な実施形態において、SLO光学系130の少なくとも一部はテレセントリック光学系であり、OCT光学系140の少なくとも一部はテレセントリック光学系であり、これらテレセントリック光学系の光路がダイクロイックミラーDM2により結合される。本例によれば、対物レンズ系110を移動して光学系100の焦点位置を変更しても、瞳(例えば対物レンズ系110による射出瞳)の収差が大きくならないため、フォーカス調整を容易化することができる。
<SLO光学系130>
SLO光学系130は、SLO光源131と、コリメートレンズ132と、ビームスプリッタBS2と、集光レンズ133と、共焦点絞り134と、検出器135と、光スキャナ136と、レンズ137とを含む。ビームスプリッタBS2は、被検眼Eに投射されるSLO光の光路とその戻り光の光路とを結合する。
コリメートレンズ132とビームスプリッタBS2との間には可変絞り139が設けられている。可変絞り139は、開口のサイズ(開口径)が可変に構成された絞りであり、SLO光のビームサイズを変更するために用いられる。可変絞り139は、開口のサイズを機械的に変更可能な絞り部材でもよいし、サイズが異なる複数の開口が形成されたターレットやスライド板等の部材であってもよい。可変絞り139は、開口のサイズを連続的に変更するよう構成されてもよいし、段階的に変更するよう構成されてもよい。
SLO光源131は、レーザーダイオード、スーパールミネッセントダイオード、レーザードリブンライトソース等を含む。SLO光源131は、SLOに使用可能な波長の光を出力し、異なる波長帯の光を選択的に出力可能に構成されてもよい。SLO光源131は、眼底共役位置P(又はその近傍)に相当する。
光スキャナ136は、X方向に光を偏向する光スキャナ136Xと、Y方向に光を偏向する光スキャナ136Yとを含む。光スキャナ136X及び136Yの一方は低速スキャナ(ガルバノミラー等)であり、他方は高速スキャナ(レゾナントミラー、ポリゴンミラー、MEMSミラー等)である。光スキャナ136Yの反射面は、瞳共役位置Q(又はその近傍)に相当する。
共焦点絞り134に形成された開口は、眼底共役位置P(又はその近傍)に相当する。検出器135は、例えば、アバランシェフォトダイオード又は光電子増倍管を含む。
SLO光源131から出力された光ビーム(SLO光)は、コリメートレンズ132により平行光束とされ、可変絞り139によりビームサイズ(ビーム径)が制限され、ビームスプリッタBS2を透過し、光スキャナ136により偏向され、レンズ137により屈折され、ダイクロイックミラーDM2を透過し、対物レンズ系110を介して眼底Efに投射される。眼底Efに投射されたSLO光の戻り光は、同じ光路を逆向きに進行してビームスプリッタBS2に導かれ、ビームスプリッタBS2により反射され、集光レンズ133により集光され、共焦点絞り134の開口を通過し、検出器135によって検出される。
<OCT光学系140>
OCT光学系140は、合焦レンズ141と、光スキャナ142と、コリメートレンズ143A(又はコリメートレンズ143B)と、干渉光学系150とを含む。広角撮影モード時にはコリメートレンズ143Aが設けられ(図1参照)、高倍撮影モード時にはコリメートレンズ143Bが設けられる(図3参照)。
合焦レンズ141は、OCT光学系140の光軸に沿って移動される。それにより、SLO光学系130とは独立に、OCT光学系140の焦点位置が変更される。対物レンズ系110の移動によりSLO光学系130及びOCT光学系140の合焦状態が調整された後、合焦レンズ141の移動によりOCT光学系140の合焦状態を微調整できる。
光スキャナ142は、X方向に光を偏向させる光スキャナ142Xと、Y方向に光を偏向させる光スキャナ142Yとを含む。光スキャナ142X及び光スキャナ142Yのそれぞれは、例えばガルバノミラーである。2つの光スキャナ142X及び142Yの中間位置は瞳共役位置Q(又はその近傍)に相当する。
コリメートレンズ143A(又は143B)は、光ファイバf4のファイバ端c3から出射したOCT光(測定光)を平行光束として光スキャナ142に導き、且つ、眼底Efからの測定光の戻り光をファイバ端c3に向けて集光する。広角撮影モード用のコリメートレンズ143Aは第1ビーム径の平行光束(測定光)を生成し、高倍撮影モード用のコリメートレンズ143Bは第2ビーム径の平行光束(測定光)を生成する。第1ビーム径は第2ビーム径よりも小さい。つまり、広角撮影モードでは比較的細い光ビームが用いられ、高倍撮影モードでは比較的太い光ビームが用いられる。このようなビーム径の相違は、例えば、コリメートレンズ143Aの屈折力とコリメートレンズ143Bの屈折力との相違によって実現される。
コリメートレンズ143A及び143Bを選択的に光路に配置するためのビームサイズ変更系143の例を図4A及び図4Bに示す。ビームサイズ変更系143は、コリメートレンズ143A及び143Bを含むレンズユニット143Uと、レンズユニット143Uを移動するビーム径変更機構143Cとを含む。
レンズユニット143Uは、例えば、コリメートレンズ143A及び143Bが装着されたターレット又はスライド板である。ビーム径変更機構143Cは、例えば公知の回転機構又はスライド機構を含み、コリメートレンズ143A及び143Bを選択的に(互いに排他的に)光路に配置する。ビーム径変更機構143Cは、コリメートレンズ143A(143B)の光軸がOCT光学系140の光軸O1に略一致するようにレンズユニット143Uを移動する。ビーム径変更機構143Cの動作は、後述の制御部200により制御される。
3つ以上のコリメートレンズを選択的に使用することも可能である。コリメートレンズの個数は、例えば、対物レンズユニットの個数に応じて決定される。つまり、画角に関する撮影モードの個数に応じて、ビーム径の選択肢の個数を決定することができる。例えば、高倍撮影モード用の対物レンズユニットと高倍撮影モード用のコリメートレンズとの組み合わせ、中倍撮影モード用の対物レンズユニットと中倍撮影モード用のコリメートレンズとの組み合わせ、並びに、低倍撮影モード用の対物レンズユニットと低倍撮影モード用のコリメートレンズとの組み合わせを、選択的に使用することが可能である。
この実施形態では、ビームサイズを変更するための手段として、可変絞りと、選択的に使用される複数のコリメートレンズとが用いられているが、これらに限定されない。例えば、ビーム径を変更するための液体レンズや可動レンズ(又は可動レンズ系)を適用できる。
干渉光学系150は、OCT光源151と、ファイバーカプラ152及び153と、参照プリズム154と、検出器155とを含む。干渉光学系150は、例えば、スウェプトソースOCT又はスペクトラルドメインOCTを実行するための構成を備える。スウェプトソースOCTでは、波長可変光源がOCT光源151として用いられ、バランスドフォトダイオードが検出器155として用いられる。スペクトラルドメインOCTでは、低コヒーレンス光源(広帯域光源)がOCT光源151として用いられ、分光器が検出器155として用いられる。
OCT光源151は、例えば、中心波長が1050nmの光を発する光ビームL0を発する。光L0は、光ファイバf1を通じてファイバーカプラ152に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバf2を通じてファイバ出射端c1から出射し、コリメートレンズ156により平行光束とされ、参照プリズム154により折り返され、コリメートレンズ157により集束光束とされてファイバ入射端c2に入射し、光ファイバf3を通じてファイバーカプラ153に導かれる。参照プリズム154は、従来と同様に、参照光LRの光路長を変更するために移動される。更に、偏波コントローラやアッテネータや光路長補正部材や分散補償部材が、参照光の光路に設けられていてもよい。
一方、ファイバーカプラ152により生成された測定光LSは、光ファイバf4を通じてファイバ端c3から出射し、コリメートレンズ143A又は143Bにより平行光束とされ、光スキャナ142及び合焦レンズ141を経由し、ダイクロイックミラーDM2により反射され、対物レンズ系110により屈折されて眼底Efに投射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置にて反射・散乱される。後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、同じ経路を逆向きに進行してファイバーカプラ152に導かれ、光ファイバf5を通じてファイバーカプラ153に到達する。
ファイバーカプラ153は、光ファイバf5を通じて入射した測定光LSと、光ファイバf3を通じて入射した参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。図1等はスウェプトソースOCTの場合を表す。ファイバーカプラ153は、所定の分岐比(例えば1:1)で干渉光を分岐して一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは検出器155(バランスドフォトダイオード)により検出される。なお、スペクトラルドメインOCTの場合、検出器155(分光器)は、ファイバーカプラ153により生成された干渉光を複数の波長成分に分解して検出する。
検出器155は、一対の干渉光LCを検出した結果(検出信号)を図示しないDAQ(Data Acquisition System)に送る。DAQには、OCT光源151からクロックが供給される。このクロックは、波長可変光源により所定の波長範囲内にて掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。DAQは、このクロックに基づいて検出信号をサンプリングする。サンプリング結果は、OCT画像を形成するためのプロセッサに送られる。
<処理系>
実施形態に係る眼科撮影装置の処理系の構成例を図5に示す。処理系は、各種のデータ処理(信号処理、画像処理、演算、制御等)を実行するためのプロセッサを含む。
なお、「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
<制御部200>
制御部200は、眼科撮影装置の各部を制御するための構成を備える。制御部200は、主制御部201と、記憶部202と、条件決定部203とを含む。主制御部201及び条件決定部203の機能はプロセッサにより実現される。記憶部202には各種データや各種情報や各種コンピュータプログラムが記憶される。記憶部202は、半導体メモリや磁気記憶装置を含む。
眼科撮影装置が実行する処理は、ハードウェア資源(プロセッサ等)とソフトウェア(コンピュータプログラム等)との協働によって実現される。また、眼科撮影装置に設けられた各種の機構の少なくとも一部にはアクチュエータがそれぞれ設けられており、主制御部201はアクチュエータに向けて制御信号を送る。
<主制御部201>
対物レンズ系110に関する制御の例として、主制御部201は、対物レンズユニット110A及び110Bの一方を光路に配置するための画角変更機構115の制御や、対物レンズ系110を光軸Oに沿って移動させるための図示しない移動機構の制御を実行することができる。
SLO光学系130に関する制御の例として、主制御部201は、SLO光源131の制御、光スキャナ136の制御、検出器135の制御、可変絞り139の制御を実行することができる。SLO光源131の制御には、点灯、消灯、光量調整、絞り調整などが含まれる。光スキャナ136の制御には、走査位置の制御、走査範囲の制御、走査パターンの制御、走査速度の制御などが含まれる。検出器135の制御には、検出素子の露光調整、ゲイン調整、検出レート調整などが含まれる。可変絞り139の制御には、開口のサイズ(開口径)の変更、開口の形状の変更、開口の位置の変更などが含まれる。
OCT光学系140に関する制御の例として、主制御部201は、OCT光源151の制御、光スキャナ142の制御、合焦レンズ141の移動制御、参照プリズム154の移動制御、検出器155の制御を実行することができる。OCT光源151の制御には、点灯、消灯、光量調整、絞り調整などが含まれる。光スキャナ142の制御には、走査位置の制御、走査範囲の制御、走査パターンの制御、走査速度の制御などが含まれる。検出器155の制御には、検出素子の露光調整、ゲイン調整、検出レート調整などが含まれる。
前眼部撮影系120に関する制御の例として、主制御部201は、前眼部照明光源121の制御、前眼部撮影カメラ123の制御などを実行することができる。前眼部照明光源121の制御には、点灯、消灯、光量調整、絞り調整などが含まれる。前眼部撮影カメラ123の制御には、撮像素子の露光調整、ゲイン調整、撮影レート調整などが含まれる。
光学系100に関する制御の例として、光学系100をX方向、Y方向及びZ方向に移動するための光学系移動機構100Aの制御などがある。
<記憶部202>
記憶部202には、画角とビームサイズとの対応関係を表す対応情報が記憶される。対応情報は、指定された画角からビームサイズを決定するために条件決定部203により参照される。なお、指定されたビームサイズから画角を決定するために対応情報を利用することもできる。対応情報は、画角(又はそれに関連する情報)とビームサイズ(又はそれに関連する情報)との対応関係を表す任意の情報であり、例えばテーブル又はグラフである。
対応情報は、画角の値を含んでいてよい。典型的な例として、対物レンズユニット110Aが使用されるときの画角の値α1(例えば100度)と、対物レンズユニット110Bが使用されるときの画角の値α2(例えば50度)とが含まれる。ここで、画角α1は広角撮影モードの画角に相当し、画角α2は高倍撮影モードの画角に相当する。
画角に関連する情報には、例えば、対物レンズユニット110Aと対物レンズユニット110Bとを識別可能とする情報が含まれる。その典型的な例として、対物レンズユニット110A及び110Bのそれぞれに付与された識別情報や、画角変更機構115に対する制御内容がある。
対応情報は、ビームサイズの値を含んでいてよい。典型的な例として、対物レンズユニット110Aの使用時に適用されるビーム径D1と、対物レンズユニット110Bの使用時に適用されるビーム径D2とが含まれる。ここで、ビーム径D1は広角撮影モードのビーム径に相当し、ビーム径D2は高倍撮影モードのビーム径に相当する。一般に、広角撮影用のビーム径D1は、高倍撮影用のビーム径D2より小さい(つまり、α1>α2、且つ、D1<D2)。
ビームサイズに関連する情報には、可変絞り139に関する情報とビームサイズ変更系143に関する情報とが含まれる。可変絞り139に関する情報には、例えば、可変絞り139の開口サイズを表す情報、又は、可変絞り139に対する制御内容が含まれる。ビームサイズ変更系143に関する情報には、例えば、コリメートレンズ143Aとコリメートレンズ143Bとを識別可能とする情報が含まれる。その典型的な例として、コリメートレンズ143A及び143Bのそれぞれに付与された識別可能や、ビーム径変更機構143Cに対する制御内容がある。
記憶部202は複数の対応情報を記憶していてもよい。複数の対応情報は、選択的に又は組み合わせて使用される。例えば、撮影モダリティ毎に対応情報を設けることができる。或いは、撮影に用いられる光ビームの波長毎に(波長帯毎に)対応情報を設けることができる。例示的な実施形態では、中心波長840nmの光ビームがSLOに使用され、中心波長1050nmの光ビームがOCTに使用される。更に、中心波長840nmの波長帯に関する対応情報と、中心波長1050nmの波長帯に関する対応情報とが記憶される。条件決定部203は、SLO光のビームサイズを制御するために前者を参照し、OCT光のビームサイズを制御するために後者を参照する。
対応情報の幾つかの例を以下に説明する。第1対応情報は、画角、分解能等に基づいて作成される。第2対応情報は、光学系100の収差、人眼(眼光学系)の収差等に基づいて作成される。第3対応情報は、光学系100の焦点深度等に基づいて作成される。なお、対応情報はこれらに限定されず、所望のパラメータ、所望の理論、所望のシミュレーション等に基づき作成された対応情報を利用することができる。
画角、分解能等に基づく第1対応情報について説明する。一般的な走査型眼底撮影装置の横方向(X方向、Y方向)における画素数をPとする。画素数Pは例えば2000程度である。画素数Pは、例えば、横方向におけるスキャン位置(光ビームの照射点)の個数として、又は、スキャンにより収集されたデータに基づく画像の画素の個数として定義される。一方、画角は、ユーザ又は装置によって撮影時に選択される。
画角をα[rad]とすると、必要な分解能はα/Pとなる。光学的な分解能が1.22λ/D[rad](λ:波長、D:ビーム径)で表され、波長λが光学系の構成により決定されることを考慮すると、最適なビーム径Dは、次式を満足する値となる:α/P=1.22λ/D。例えば、ピクセル数P=2000、及び波長λ=600nmの場合、広角撮影モードの画角α1=100度に対応する最適ビーム径としてD1=0.84mmが得られ、高倍撮影モードの画角α2=50度に対応する最適ビーム径としてD2=1.68mmが得られる。
このようにして得られた値に基づき作成される第1対応情報の例を図6A及び図6Bに示す。図6Aに示す第1対応情報は、画角とビーム径との対応関係を表すテーブルの例である。図6Bに示す第1対応情報は、画角とビーム径との対応関係を表すグラフの例である。
収差に基づく第2対応情報について説明する。一般に、走査型眼底撮影装置による撮影においては、装置の光学系が有する収差(装置収差)と、被検眼Eの光学系(眼光学系)が有する収差(眼収差)とが影響する。第2対応情報は、装置収差及び眼収差の少なくとも一方に基づいて作成される。装置収差は、撮影に適用される画角αに応じて変化する。装置収差(波面収差)をWd(α)と表す。一方、眼収差は、眼の軸上であれば実質的に一定と考えることができる。眼収差をWe(定数)と表す。
装置収差のみを考慮する場合、例えば、Wd(α)に基づいて点像分布関数(PSF)を算出し、この点像分布関数の幅を求め、これを最適ビーム径とする。眼収差のみを考慮する場合、例えば、Weに基づいて点像分布関数を算出し、この点像分布関数の幅を求め、これを最適ビーム径とする。装置収差と眼収差の双方を考慮する場合、装置収差と眼収差との和W=Wd(α)+Weに基づいて点像分布関数を算出し、この点像分布関数の幅を求め、これを最適ビーム径とする。なお、波面収差から点像分布関数を算出する方法は、例えば、従来と同様に、波面収差から瞳関数を求める演算と、この瞳関数をフーリエ変換する演算と、このフーリエ変換により得られた関数の絶対値の2乗を求める演算とを含む。
広角撮影モードの画角α1に基づき上記演算を行うことにより、広角撮影モードにおいて適用されるビーム径D1が得られる。同様に、高倍撮影モードの画角α2に基づき上記演算を行うことにより、高倍撮影モードにおいて適用されるビーム径D2が得られる。そして、図6Aと同様のテーブルを作成し、これを第2対応情報とすることができる。また、例えば、画角の様々な値に基づき上記演算を行うことにより、図6Bと同様のグラフを作成し、これを第2対応情報とすることができる。
焦点深度等に基づく第3対応情報について説明する。一般に、走査型眼底撮影装置の光学系の焦点深度DEPTHは次式により求められる:DEPTH=λ/(2NA^2)=λ/(D/2f)。ここで、λは波長、NAは開口数、Dはビーム径、fは焦点距離をそれぞれ表す。人眼の場合、焦点距離fは約17mm(空気換算)である。よって、ビーム径Dが小さくなるほど焦点深度DEPTHが増大する。
ここで図7を参照する。被検眼Eの光軸を符号EAで示し、スキャンされる光ビームが集光する面(集光点の集合)を符号Fで示す。また、スキャン中心を符号C0で示し、光軸EAと眼底Efとの交点を符号C1で示す。本例では、集光面Fの中心点が交点C1に一致されている。つまり、スキャン角度θは、光軸EAを基準(0度)として定義される。更に、スキャン中心C0と交点C1との間の距離がスキャン半径Rとなる。集光面Fは、スキャン中心C0と中心とし、スキャン半径Rを半径とする球面の一部である。スキャン半径Rは、装置の光学的な特性と被検眼の光学的な特性とによって決まる定数である。
スキャン角度がθであるときの光ビームの経路と集光面Fとの交点を符号C2で示す。スキャン中心C0と交点C2との間の距離はスキャン半径Rである。また、スキャン角度がθであるときの光ビームの経路と眼底Ef(網膜表面)との交点を符号C3で示す。個人差はあるが、網膜の形状は一般に楕円面形状である。そのため、交点C2と交点C3とは一致しない。スキャン中心C0と交点C3との間の距離はスキャン角度θに依存し、これをRe(θ)で示す。交点C2と交点C3との間の距離もスキャン角度θに依存し、これをΔR(θ)で示す。よって、任意のスキャン角度θについて、Re(θ)=R+ΔR(θ)が成り立つ。
以上のような関係と図7から分かるように、任意のスキャン角度θについて、次式が成立する。:{(ΔR(θ)+R)sinθ}^2+{(Re(θ)−R)sinθ}^2=Re(θ)^2。スキャン角度θ、スキャン半径R及び距離Re(θ)のそれぞれの値をこの式に代入することで、ΔR(θ)が得られる。画角αはスキャン角度θの2倍の値であるから、例えば次式によりビーム径Dが得られる:ΔR(θ)=λ/(D/2×17)。ここで、波長λは既知であり、ΔR(θ)は上記演算により得られる。
広角撮影モードの画角α1の1/2の値であるθ1に基づき上記演算を行うことにより、広角撮影モードにおいて適用されるビーム径D1が得られる。同様に、高倍撮影モードの画角α2の1/2の値であるθ2に基づき上記演算を行うことにより、高倍撮影モードにおいて適用されるビーム径D2が得られる。そして、図6Aと同様のテーブルを作成し、これを第3対応情報とすることができる。また、例えば、画角の様々な値に基づき上記演算を行うことにより、図6Bと同様のグラフを作成し、これを第3対応情報とすることができる。
対応情報は、画角とビーム径との対応関係に加えて、光量に関する情報を含んでいてもよい。例えば、撮影モードの切り替えの前後において、実質的に等しい光量(強度)の光ビームで被検眼Eをスキャンすることが望ましいと考えられる。このような光量調整を実現するためのパラメータの値を撮影モード毎(画角毎)に設定し、それらを対応情報に含めることができる。
このような光量調整は、光ビームの一部を遮断することでビームサイズを変更する場合に特に有効である。この実施形態では、可変絞り139を利用したSLO光学系130に対して光量調整を適用することができる。光量の変更は、例えば、SLO光源131の出力光量を変更することにより実現される。撮影モード毎の出力光量の値は、可変絞り139により遮断される光量(或いは、これと同等であるが、可変絞り139の開口を通過する光量)に基づき算出できる。広角撮影モードにおける出力光量の値L1と、高倍撮影モードにおける出力光量の値L2とを算出することにより、図8に示すような対応情報が得られる。一般に、画角α1の広角撮影用のビーム径D1は、画角α2の高倍撮影用のビーム径D2より小さいので、出力光量L1は出力光量L2より大きく設定される(つまり、α1>α2、D1<D2、及び、L1>L2)。
<条件決定部203>
条件決定部203は、ユーザ(検者)又は眼科撮影装置1により指定された画角に応じて撮影条件を設定する。撮影条件には、少なくともビーム径(ビームサイズ)が含まれる。画角の指定は、例えば、画角に関する複数の選択肢(例:画角α1、画角α2等)からの選択、又は、撮影モードに関する複数の選択肢(例:広角撮影モード、高倍撮影モード等)からの選択によって行われる。画角の指定結果は、条件決定部203に入力される。
条件決定部203は、指定された画角に対応するビーム径を対応情報から選択する。例えば、図6Aに示す第1対応情報(テーブル)が参照される場合において、画角α1(又はα2)が指定されたとき、条件決定部203は、画角α1(又はα2)に対応するビーム径D1(又はD2)を選択する。図6Bに示す第1対応情報(グラフ)が参照される場合において、画角αが指定されたとき、条件決定部203は、画角αに対応する横軸の座標を特定し、この座標に対応する縦軸の座標を特定する。この縦軸の値が示すビーム径Dが、画角αに対応するビーム径として使用される。
図8に示す対応情報が参照される場合、条件決定部203は、指定された画角に対応するビーム径及び光量を決定する。例えば、画角α1(又はα2)が指定されたとき、条件決定部203は、画角α1(又はα2)に対応するビーム径D1(又はD2)及び光量L1(又はL2)を選択する。
また、ユーザ又は眼科撮影装置1により設定された光量でスキャンを行うように光源(SLO光源131等)を制御することが可能である。光量が設定された後に、異なる画角での撮影を順次に行う場合、設定された第1光量で最初の撮影(第1画角)を実行し、この第1光量と対応情報とに基づき設定された第2光量で次の撮影(第2画角)を実行することができる。
例えば、図8に示す対応情報が適用される場合において、広角撮影モードでの撮影(画角α1)を実行し、次に高倍撮影モードでの撮影(画角α2)を実行する場合、光量L1と光量L2との比(又は差など)に基づき第1光量を変更することによって第2光量を求めることができる。或いは、光量がビーム径に基づき設定されることを利用し、ビーム径D1とビーム径D2との比(又は差など)に基づき第1光量を変更することによって第2光量を求めることができる。
<画像形成部210>
画像形成部210は、光学系100により収集されたデータに基づいて眼底Efの画像を形成する。眼科撮影装置1はSLOとOCTの双方を実行可能であるので、画像形成部210は、SLO画像形成部211とOCT画像形成部212とを含む。
SLO画像形成部211は、SLO光学系130により収集されたデータに基づいてSLO画像を形成する。より具体的には、SLO画像形成部211は、従来のSLOと同様に、検出器135から入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、SLO画像を形成する。
OCT画像形成部212は、OCT光学系140により収集されたデータに基づいてOCT画像を形成する。より具体的には、OCT画像形成部212は、検出器155から入力される検出信号と、制御部200から入力される画素位置信号とに基づいて、OCT画像を形成する。OCT画像形成部212は、従来と同様に、一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器155からの出力からスペクトル分布を生成し、これにフーリエ変換等を施す。それにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルが得られる。更に、OCT画像形成部212は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより断面像(Bスキャン像)を形成する。
OCT画像形成部212は、複数のBスキャン像に基づいて3次元画像(スタックデータ、ボリュームデータ等の3次元データセット)を形成することができる。更に、OCT画像形成部212は、3次元データセットをレンダリングすることにより表示用画像を形成することができる。
画像形成部210は、前眼部撮影カメラ123からの出力に基づいて前眼部像を形成することができる。画像形成部210により形成された各種の画像(画像データ)は、例えば記憶部202に保存される。
<データ処理部220>
データ処理部220は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部210又は他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像に対する解析処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
<ユーザインターフェイス部230>
ユーザインターフェイス(UI)部230は、ユーザと眼科撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。UI部230は、表示デバイスと操作デバイス(入力デバイス)とを含む。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を含む。操作デバイスは、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。制御部200は、操作デバイスに対する操作内容を受け、この操作内容に対応した制御信号を各部に出力する。操作デバイスの少なくとも一部と表示デバイスの少なくとも一部とを一体的に構成することが可能である。タッチパネルディスプレイはその一例である。
<動作>
実施形態に係る眼科撮影装置の動作の例を説明する。
(S1:光量を設定する)
まず、撮影の準備が行われる。本例では、眼底Efをスキャンための光ビームの光量が設定される。光量の設定は、UI部230に設けられたハードウェアキーを用いて、又は主制御部201によりUI部230(表示デバイス)に表示されるソフトウェアキーを用いて実行される。なお、光量を自動で設定することも可能である。例えば、過去の撮影で適用された光量が再度適用される。
複数のモダリティが使用される場合、モダリティ毎に光量を設定することができる。本例では、SLOのための光量(SLO光源131の出力光量)と、OCTのための光量(OCT光源151の出力光量)とをそれぞれ設定することができる。
光量の設定は、例えば、光量の値を設定(選択、指定等)することにより行われる。或いは、光量の程度を表す複数の選択肢(例:高、中、低)から所望のものを選択するようにしてもよい。
(S2:アライメントの実行)
前眼部撮影系120により得られる前眼部像などを参照してアライメントを行うことができる。アライメントは、例えば、光学系100の光軸Oを被検眼Eの瞳孔中心に一致させるXYアライメントと、被検眼Eから所定距離(ワーキングディスタンス)だけ離れた位置に光学系100を配置させるためのZアライメントとを含む。アライメントは、公知の手法で行われるオートアライメント又はマニュアルアライメントである。アライメントの完了後、フォーカシング、OCT光路長調整、偏光状態の調整などを実行してもよい。
(S3:画角を選択する)
次に、ユーザ又は主制御部201が画角を選択する。例えば、撮影モードを選択することによって画角を選択することができる。主制御部201は、選択された撮影モードに対応する対物レンズユニットを光路に配置するように画角変更機構115を制御する。他の例において、ユーザは、所望の撮影モードに対応する対物レンズユニットを選択し、これを手動で光路に配置することができる。この場合、光路に配置された対物レンズユニットの種別を前述の種別検出部で検出する。それにより、ユーザにより選択された撮影モードを特定することができる。本例では、この段階で広角撮影モードが選択され、これに対応する対物レンズユニット110Aが光路に配置される。
(S4:ビーム径を決定する)
条件決定部203は、対応情報を参照することにより、ステップS3で選択された画角(撮影モード)に応じたビーム径を決定する。
(S5:可変絞りを制御する)
主制御部201は、ステップS4で決定されたビーム径に基づいてSLO光学系130の可変絞り139を制御する。それにより、SLO光のビーム径が、広角撮影モードに応じたサイズに調整される。
(S6:コリメートレンズを制御する)
また、主制御部201は、ステップS4で決定されたビーム径に基づいてOCT光学系140のビーム径変更機構143Cを制御することで、広角撮影モードに対応するコリメートレンズ143Aを光路に配置する。それにより、OCT光のビーム径が、広角撮影モードに応じたサイズに調整される。なお、可変絞り139の制御の前にビーム径変更機構143Cの制御を実行してもよいし、或いは、これら制御を並行して行ってもよい。
(S7:光量を制御する)
主制御部201は、ステップS1で設定された光量に基づいてSLO光源131及びOCT光源151の少なくとも一方の出力光量を設定する。
(S8:SLO/OCTを実行する)
主制御部201は、以上の条件に基づいて眼底EfのSLO及びOCTの少なくとも一方を実行する。例えば、SLO及びOCTの一方を実行した後、他方を実行する。或いは、SLO及びOCTを並行して実行する。
本例では、広角撮影モードでSLO及びOCTの双方が実行される。広角SLOはSLO光学系130により実行される。SLO画像形成部211は、SLO光学系130により収集されたデータに基づき眼底Efの広角SLO画像を形成する。一方、広角OCTはOCT光学系140により実行される。OCT画像形成部212は、OCT光学系140により収集されたデータに基づき眼底Efの広角OCT画像(3次元画像)を形成する。
(S9:画像を表示する)
主制御部201は、ステップS8で取得された広角SLO画像及び広角OCT画像を記憶部202に格納し、且つ、これら広角画像をUI部230の表示デバイスに表示させる。このときの表示態様は任意である。
(S10:画角を変更するか?)
ユーザは、ステップS9で表示された画像を観察することで、画角を変えて更なる撮影を行うか否かを判断することができる。例えば、広角撮影モードで取得されたSLO画像やOCT画像を観察して広範囲のスクリーニングを行い、より詳細に観察したい部位が見付かった場合、その部位の高倍撮影に移行することができる。
更なる撮影を行わない場合(S10:No)、処理はステップS11に移行する。一方、画角を変えて更なる撮影を行う場合(S10:Yes)、処理はステップS3に戻る。
本例では、広角撮影に引き続き高倍撮影を実行する。ステップS3において、高倍撮影モードに対応する対物レンズユニット110Bが光路に配置される。ステップS4において、条件決定部203は、対応情報を参照することにより、高倍撮影モードに応じたビーム径を求める。ステップS5において、主制御部201は、高倍撮影モードのビーム径に基づいて、SLO光学系130の可変絞り139及びOCT光学系140のビーム径変更機構143Cを制御する。それにより、SLO光及びOCT光の双方のビーム径が、高倍撮影モードに応じたサイズに調整される。ステップS7において、主制御部201は、ステップS1で設定された光量と対応情報(光量の比など)とに基づいて、SLO光源131及びOCT光源151の少なくとも一方の出力光量を設定する。ステップS8において、主制御部201は、変更された条件に基づいて眼底EfのSLO及びOCTの少なくとも一方を実行する。本例では、高倍撮影モードでSLO及びOCTの双方が実行され、高倍SLO画像及び高倍OCT画像が形成される。ステップS9において、主制御部201は、高倍SLO画像及び高倍OCT画像を記憶部202に格納し、且つ、これら高倍画像をUI部230の表示デバイスに表示させる。
画角を変えて更なる撮影を行う場合(S10:Yes)、処理はステップS3に戻り、上記した一連の処理を繰り返し実行する。一方、更なる撮影を行わない場合(S10:No)、処理はステップS11に移行する。
(S11:画像を保存する)
撮影が完了した場合(S10:No)、主制御部201は、図示しない通信インターフェイスを制御することで、上記撮影で取得された画像(広角SLO画像、広角OCT画像、高倍SLO画像、高倍OCT画像など)を画像アーカンビング装置に送る。以上で、本例に係る処理は終了となる(エンド)。
<変形例>
上記実施形態の変形例について説明する。なお、特に断らない限り、上記実施形態の図面や説明を参照する。また、上記実施形態と、以下の変形例のいずれか1つ以上とを組み合わせることや、以下の変形例のいずれか2つ以上を組み合わせることが可能である。また、このような組み合わせに任意の公知技術を組み合わせることも可能である。
(第1変形例)
上記実施形態では、予め作成された対応情報を参照してビームサイズを決定している。一方、本変形例では、被検眼Eを実際に測定して得られたデータを、ビームサイズの決定に反映させる。そのために、記憶部202には、被検眼Eを測定して得られた測定情報が記憶される。被検眼Eの測定は、眼科撮影装置1により、又は他の眼科装置により行われる。他の眼科装置により被検眼Eの測定が行われた場合、その測定情報が眼科撮影装置1に入力される。条件決定部203は、ユーザ等により選択された画角(又は撮影モード)と測定情報とに基づいてビームサイズを算出する。
第1の例を説明する。記憶部202は、適用可能な画角それぞれについて、SLO光学系130の収差情報及びOCT光学系140の収差情報を予め記憶している。例えば、SLO光学系130の収差情報として、対物レンズユニット110Aが光路に配置された状態における収差情報と、対物レンズユニット110Bが光路に配置された状態における収差情報とが設けられる。同様に、OCT光学系140の収差情報として、対物レンズユニット110Aが光路に配置された状態における収差情報と、対物レンズユニット110Bが光路に配置された状態における収差情報とが設けられる。
第1の例の測定情報は、被検眼Eの収差情報を含む。つまり、第1の例では、被検眼Eの収差情報が測定され、その結果が記憶部202に記憶される。収差情報は、例えば、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差、色収差などの各種収差のうちのいずれかを含む。被検眼Eの収差の測定は、例えば、シャックハルトマン波面センサを利用した眼収差測定装置(特開2007−252402号公報などを参照)や、角膜トポグラフィを取得するための角膜形状解析装置(特表2003−530173号公報などを参照)を用いて行われる。
条件決定部203は、ユーザ等により選択された画角(撮影モード)に対応する収差情報を記憶部202から取得する。例えば広角撮影モードが選択された場合、条件決定部203は、対物レンズユニット110Aが光路に配置された状態におけるSLO光学系130の収差情報と、対物レンズユニット110Aが光路に配置された状態におけるOCT光学系140の収差情報とを、記憶部202から読み出す。
次に、条件決定部203は、記憶部202から取得された収差情報と被検眼Eの収差情報とに基づいて点像分布関数を算出し、この点像分布関数に基づいてビームサイズ(ビーム径)を算出する。この演算処理は、例えば、上記実施形態の第2対応情報を作成するための演算と同じ要領で実行される。
主制御部201は、SLO光学系130の収差情報を用いて算出されたビーム径に基づいて可変絞り139を制御し、且つ、OCT光学系140の収差情報を用いて算出されたビーム径に基づいてビーム径変更機構143Cを制御する。
第2の例を説明する。記憶部202は、光学系100によるスキャン半径と、人眼の焦点距離(眼焦点距離)とを予め記憶する。眼焦点距離は、標準的な値でもよいし、被検眼Eを測定して得られた値でもよい。スキャン半径は、光学系100の設計値である。記憶部202は、SLO光学系100によるスキャン半径とOCT光学系140によるスキャン半径とをそれぞれ記憶していてよい。
第2の例の測定情報は、被検眼Eの眼軸長情報を含む。つまり、第2の例では、被検眼Eの眼軸長が測定され、その結果が記憶部202に記憶される。被検眼Eの眼軸長の測定法としては、OCTを用いる方法や超音波を用いる方法が周知である。
条件決定部203は、ユーザ等により選択された画角(撮影モード)と眼軸長情報とスキャン半径とに基づいて焦点深度を算出し、焦点深度と光ビームの波長と眼焦点距離とに基づいてビームサイズ(ビーム径)を算出する。ここで、眼軸長情報は、眼底曲率半径を算出(近似)するために用いられる。この演算処理は、例えば、上記実施形態の第3対応情報を作成するための演算と同じ要領で実行される。
主制御部201は、SLO光学系130のスキャン半径を用いて算出されたビーム径に基づいて可変絞り139を制御し、且つ、OCT光学系140のスキャン半径を用いて算出されたビーム径に基づいてビーム径変更機構143Cを制御する。
(第2変形例)
上記実施形態では、予め作成された対応情報を参照してビームサイズを決定している。一方、第1変形例では、被検眼Eを実際に測定して得られたデータをビームサイズの決定に反映させている。これに対し、本変形例では、被検眼Eの画像を実際に取得しつつその画質を評価し、好適な画質が得られるようなビームサイズを探索する構成について説明する。つまり、本変形例では、画像の画質の評価をフィードバックしてビームサイズの調整を行う。
本変形例に係る眼科撮影装置の構成の例を図10に示す。本変形例に係る眼科撮影装置は、画質評価部221を備える点において上記実施形態の構成(図5を参照)と異なる。画質評価部221はデータ処理部220に設けられている。画質評価部221は、画像形成部210により形成された画像を解析して画質の評価値を算出する。
画質の評価値は、例えば、画像のコントラストを定量化した値を含む。コントラストの評価は、公知の手法で実行され、例えば、ノイズのレベル又はノイズの質の算出を含む。ノイズのレベルは、例えば、平均値からのばらつき(標準偏差)を算出することにより得られ、その値が大きいほどノイズが多いと判定される。ノイズの質は、例えば、ノイズパワースペクトルを算出することにより得られ、その値が大きいほどノイズの質が悪いと判定される。これにより、周波数特性などの質的評価が可能となる。なお、画質の評価方法はこれらには限定されず、例えば、信号ノイズ比やコントラストノイズ比を利用することが可能である。他の例において、画質の評価値は、画像のエッジを検出する処理を用いて算出することができる。エッジ検出は、公知の手法で実行される。なお、コントラストやエッジと異なる画質パラメータを用いることも可能である。
本変形例の主制御部201は、画質評価部221により算出された評価値に基づいて可変絞り139及び/又はビーム径変更機構143Cの制御を行う。
本変形例に係る動作について説明する。撮影モード(画角)が変更されたとき、主制御部201は、光学系100(例えばSLO光学系130)を制御して、新たな画角でのスキャンを繰り返し実行する。SLO画像形成部211は、各スキャンで収集されたデータに基づき当該画角のSLO画像を形成する。この処理は、スキャンの反復に同期して繰り返し実行される。SLO画像形成部211により逐次に形成されるSLO画像は、主制御部201を介して画質評価部221に順次に送られる。画質評価部221は、各SLO画像の画質の評価値を算出する。
所定の段階において、主制御部201は、可変絞り139を制御してSLO光のビーム径を変更する。このとき、ビーム径を拡大してもよいし縮小してもよい。また、ビーム径の拡大と縮小とを任意の順序で行ってもよい。また、ビーム径の変更量は、予め決められた量であってよい。或いは、現在得られているSLO画像の画質の評価値の大きさに基づいてビーム径の変更量を決定してもよい。
画質評価部221は、例えば、ビーム径が拡大されたSLO光を用いたスキャンで得られたデータに基づくSLO画像の画質の評価値を算出する。主制御部201は、ビーム径の拡大の前に取得されたSLO画像の評価値と、拡大の後に取得されたSLO画像の評価値とを比較する。ビーム径の拡大により画質が向上した場合、主制御部201は、例えば、(所定量だけ)ビーム径を更に拡大するように可変絞り139を制御する。そして、ビーム径の更なる変更の後に得られたSLO画像の画質の評価値を、その前に得られたSLO画像の画質の評価値と比較する。
一方、ビーム径の拡大により画質が低下した場合、主制御部201は、例えば、(所定量だけ)ビーム径を縮小するように可変絞り139を制御する。そして、ビーム径の縮小の後に得られたSLO画像の画質の評価値を、その前に得られたSLO画像の画質の評価値と比較する。
以上のような一連の処理(スキャン、画像形成、画質評価、ビーム径の変更など)の繰り返しにより、評価値が最大となるようなビーム径を探索することができる。つまり、このような一連の処理の繰り返しにより、画角変更後におけるビーム径の最適値を求めることができる。或いは、予め設定された閾値に評価値が達するまで上記一連の処理を繰り返すようにしてもよい。
なお、OCTについても同様の一連の処理(OCT光学系140によるスキャン、OCT画像の形成(OCT画像形成部212)、画質の評価(画質評価部221)、ビーム径変更機構143Cの制御など)を実行することによって、OCT光のビーム径を最適化することができる。
(第3変形例)
上記実施形態では、対物レンズユニット110A及び110Bを選択的に適用することで画角を変更しているが、これには限定されない。例えば、光偏向器による光ビームの偏向角度(動作の範囲、つまり反射面の向きを傾ける範囲)を変化させることで画角を変更することが可能である。SLOスキャン(SLO画像)の画角の変更は、SLO光学系130の光スキャナ136の偏向角度を変更することによって実現される。また、OCTスキャン(OCT画像)の画角の変更は、OCT光学系140の光スキャナ142の偏向角度を変更することによって実現される。なお、前述のように、光スキャナ136及び142の制御は主制御部201により実行される。
(第4変形例)
上記実施形態では、眼科撮影装置が画角を変更するための動作(対物レンズユニット110A又は110Bの光路への挿入)を行う場合について特に詳しく説明した。一方、本変形例では、画角を変更するための動作をユーザ(検者)が行う場合について説明する。
本変形例に係る眼科撮影装置の構成の例を図11に示す。本変形例に係る眼科撮影装置は、画角検出部116を備える点において上記実施形態の構成(図5を参照)と異なる。本変形例では、画角変更機構115が設けられていてもいなくてもよい。また、図11に示す例では、対物レンズ系110に画角検出部116が設けられているが、その設置箇所はこれに限定されない。
本変形例では、ユーザが所望の画角に対応する対物レンズユニット110A又は110Bを光路に配置させる。画角検出部116は、光路に配置された対物レンズユニットが対物レンズユニット110A及び110Bのいずれであるか検出する。そのための構成の例を説明する。対物レンズユニット110A及び110Bのそれぞれには、異なる位置に凸部が形成されている。また、画角検出部116は、光路に配置された対物レンズユニット110Aの凸部に当接する第1マイクロスイッチと、光路に配置された対物レンズユニット110Bの凸部に当接する第1マイクロスイッチとを含む。各マイクロスイッチは、凸部と当接したときに電気信号を主制御部201に送る。これにより、眼科撮影装置(主制御部201)は、対物レンズユニット110A及び110Bのいずれが光路に配置されたか認識することができる。なお、対物レンズユニット110A及び110Bのいずれが光路に配置されたかを検出するための構成は、これに限定されない。
第3変形例のように、光スキャナ136及び142の偏向角度を変えることによって画角を変更する構成が適用される場合、ユーザは、例えば、UI部230を用いて所望の画角を指定する。この場合、主制御部201は、UI部230から入力される操作信号に基づいて、指定された画角を認識することができる。
主制御部201は、画角検出部116による検出結果に基づいて、可変絞り139及び/又はビーム径変更機構143Cを制御する。この制御を行うために、条件決定部203は、例えば、画角検出部116による検出結果(画角)と、記憶部202に記憶された対応情報とに基づいて、この画角に対応するビーム径を特定することができる。なお、ビーム径を特定する処理はこれに限定されず、例えば第1変形例に係る処理を適用することが可能である。
<作用・効果>
実施形態に係る眼科撮影装置により提供することが可能な作用及び効果の幾つかの例を以下に説明する。
実施形態に係る眼科撮影装置は、データ収集部と、画像形成部と、画角変更部と、ビームサイズ変更部と、制御部とを備える。データ収集部は、光ビームを用いて被検眼の眼底をスキャンしてデータを収集する。上記の例では、SLO光学系130及びOCT光学系140がこれに相当する。画像形成部は、データ収集部により収集されたデータに基づいて眼底の画像を形成する。上記の例では、SLO画像形成部211及びOCT画像形成部212がこれに相当する。画角変更部は、画角を変更するための構成を備える。上記の例では、対物レンズ系110がこれに相当する。また、光スキャナ136及び142(並びに、これらの偏向角度を制御する主制御部201)も、その一例である。ビームサイズ変更部は、光ビームのサイズ(ビーム径)を変更する。上記の例では、可変絞り139及びビームサイズ変更系143がこれに相当する。制御部は、画角変更部とビームサイズ変更部とを連係的に制御する。上記の例では、主制御部201がこれに相当する。
このような構成によれば、画角とビームサイズとを連係的に制御することができるので、様々な画角の画像をそれぞれ好適な画質で取得することが可能である。例えば、画角が変更されたときに、光ビームのビームサイズを新たな画角に応じたビームサイズに自動で変更することができる。逆に、ビームサイズが変更されたときに、新たなビームサイズに応じた画角に自動で変更することができる。
実施形態に係る眼科撮影装置は、画角を変更するための指示を制御部に入力する画角変更指示部を備えていてよい。画角の変更は電動(自動)又は手動で行われる。上記の例では、対物レンズ系110、UI部230等がこれに相当する。制御部は、画角変更指示部から入力された指示に応じてビームサイズを決定するビームサイズ決定部を含んでいてよい。上記の例では、条件決定部203がこれに相当する。更に、制御部は、画角変更指示部から入力された指示に基づいて画角変更部を制御し且つ、ビームサイズ決定部により決定されたビームサイズに基づいてビームサイズ変更部を制御するよう構成されていてよい。
このような構成によれば、ユーザが指示した画角、且つ、この画角に応じたビームサイズで撮影(スキャン)を行うことができる。更に、ユーザが所望の画角を指定するだけで、この画角及び好適なビームサイズでスキャンを行うことが可能である。
実施形態において、ビームサイズ決定部は、画角とビームサイズとの対応関係を表す対応情報(テーブル、グラフ等)を予め記憶する第1記憶部を含んでいてよい。上記の例では、記憶部202がこれに相当する。更に、ビームサイズ決定部は、画角変更指示部から入力された指示(画角)に応じたビームサイズを対応情報に基づき決定するように構成されていてよい。
このような構成によれば、予め設定された画角とビームサイズとの好適な対応関係を参照して画角とビームサイズとの連係的な制御を行うことができる。
実施形態において、データ収集部は、異なる複数の波長の光ビームでスキャンを実行可能であってよい。上記の例では、SLOとOCTとを異なる波長で行うことができる。また、2以上の異なる波長でSLOを実行できるように構成したり、2以上の異なる波長でOCTを実行できるように構成したりすることが可能である。第1記憶部は、複数の波長のそれぞれに関する対応情報を記憶していてよい。ビームサイズ決定部は、データ収集部により使用される光ビームの波長に応じた対応情報に基づいてビームサイズの決定を行うように構成されていてよい。
このような構成によれば、スキャンに用いられる光ビームの波長に応じて画角及びビームサイズの連係的な制御を行うことができる。
実施形態において、対応情報の構成は任意である。例えば、対応情報は、画角と画素数と波長とビームサイズとの関係に基づき作成された第1対応情報を含んでいてよい。また、対応情報は、データ収集部に含まれる光学系の収差及び眼光学系の収差の少なくとも一方から算出された点像分布関数に基づき作成された第2対応情報を含んでいてよい。また、対応情報は、焦点深度と波長と眼光学系の焦点距離とビームサイズとの関係に基づき作成された第3対応情報を含んでいてよい。2以上の種類の対応情報が設けられる場合、これらを選択的に使用することができる。対応情報の選択は、手動又は自動で行われる。対応情報を自動で選択する場合、例えば、過去の撮影において使用された対応情報が選択される。或いは、被検者の属性(性別、年齢、既往歴等)や疾患種別に基づいて対応情報を選択することができる。
実施形態において、ビームサイズ決定部は、被検眼を測定して得られた測定情報を記憶する第2記憶部を含んでいてよい。上記の例では、記憶部202がこれに相当する。測定情報は、当該眼科撮影装置又は他の眼科装置によって作成される。更に、ビームサイズ決定部は、画角変更指示部から入力された指示(画角)と測定情報とに基づいてビームサイズを算出するように構成されていてよい。
例えば、第2記憶部は、データ収集部に含まれる光学系の収差情報を複数の画角のそれぞれについて予め記憶していてよい。また、測定情報は、被検眼の収差情報を含んでいてよい。ビームサイズ決定部は、画角変更指示部から入力された指示に対応する収差情報を第2記憶部から取得し、取得された収差情報と被検眼の収差情報とに基づいて点像分布関数を算出し、点像分布関数に基づいてビームサイズを算出するように構成されていてよい。
他の例では、第2記憶部は、データ収集部によるスキャンの半径と眼焦点距離とを予め記憶していてよい。また、測定情報は、被検眼の眼軸長情報を含んでいてよい。ビームサイズ決定部は、画角変更指示部から入力された指示が示す画角と眼軸長情報とスキャンの半径とに基づいて焦点深度を算出し、算出された焦点深度と光ビームの波長と眼焦点距離とに基づいてビームサイズを算出するように構成されていてよい。
なお、ビームサイズを算出するために、複数の演算方法を選択的に適用することが可能である。演算方法の選択は、例えば、被検眼の測定情報に含まれる情報の種別に基づき実行される。具体例として、測定情報が収差情報を含む場合には前者の例を選択し、測定情報が眼軸長情報を含む場合には後者の例を選択することができる。
このような構成によれば、被検眼を実際に測定して得られたデータを用いて、画角とビームサイズとの連係的な制御を行うことができる。
実施形態に係る眼科撮影装置は、画像形成部により形成された画像を解析して画質の評価値を算出する画質評価部を備えていてよい。上記の例では、画質評価部221がこれに相当する。制御部は、画質評価部により算出された評価値に基づいてビームサイズ変更部を制御するように構成されていてよい。
このような構成によれば、実際に取得される画像を参照しながら最適なビームサイズを探索することができる。
実施形態において、画角変更部は、光ビームの光路に選択的に配置可能な2以上の対物レンズを含んでいてよい。これに代えて、又は、これに加えて、画角変更部は、光ビームを偏向するための、偏向角度が可変な光偏向器を含んでいてよい。上記の例では、対物レンズユニット110A及び110Bが2以上の対物レンズに相当する。また、光スキャナ136及び142が光偏向器に相当する。
実施形態において、データ収集部は、光ビームを偏向するための光偏向器を含んでいてよい。上記の例では、光スキャナ136及び142がこれに相当する。更に、ビームサイズ変更部は、光ビームの光路において光偏向器よりも光ビームを発する光源の側の位置に選択的に配置可能な2以上のレンズを含んでいてよい。上記の例では、コリメートレンズ143A及び143Bがこれに相当する。
また、実施形態において、データ収集部は、光ビームを偏向するための光偏向器を含んでいてよい。上記の例では、光スキャナ136及び142がこれに相当する。更に、ビームサイズ変更部は、光ビームの光路において光偏向器よりも光ビームを発する光源の側の位置に配置された可変絞りを含んでいてよい。上記の例では、可変絞り139がこれに相当する。
実施形態において、制御部は、ビームサイズ変更部により可変絞りの開口のサイズが変更されたとき、光源から出力される光ビームの光量を変更するように構成されていてよい。
更に、実施形態において、制御部は、可変絞りの開口が拡大されたときには、光源から出力される光ビームの光量を低下させ、且つ、開口が縮小されたときには、光源から出力される光ビームの光量を増加させるように構成されていてよい。
このような構成によれば、可変絞りによって変化された光ビームの光量を光源の制御によって補償することができる。それにより、ビームサイズが変更されても好適な光量の光ビームでスキャンを行うことができる。例えば、ビームサイズの変更の前後において(ほぼ)同じ光量の光ビームでスキャンを行うことができる。
実施形態において、制御部は、画角変更部の制御とビームサイズ変更部の制御と光ビームの光量の制御とを連係的に実行するように構成されていてよい。
このような構成によれば、画角変更部の制御とビームサイズ変更部の制御との連係的な制御とともに、光ビームの光量の制御を自動で行うことができる。
実施形態に係る眼科撮影装置は、データ収集部と、画像形成部と、画角変更部と、ビームサイズ変更部と、画角検出部と、制御部とを備える。データ収集部は、光ビームを用いて被検眼の眼底をスキャンしてデータを収集する。上記の例では、SLO光学系130及びOCT光学系140がこれに相当する。画像形成部は、データ収集部により収集されたデータに基づいて眼底の画像を形成する。上記の例では、SLO画像形成部211及びOCT画像形成部212がこれに相当する。画角変更部は、画角を変更するための構成を備える。上記の例では、対物レンズ系110がこれに相当する。また、光スキャナ136及び142(並びに、これらの偏向角度を制御する主制御部201)も、その一例である。ビームサイズ変更部は、光ビームのサイズ(ビーム径)を変更する。上記の例では、可変絞り139及びビームサイズ変更系143がこれに相当する。画角検出部は、ユーザが画角変更部を操作して画角を変更したとき、変更後の画角を検出する。上記の例では、画角検出部116がこれに相当する。制御部は、画角検出部による検出結果に基づいてビームサイズ変更部を制御する。上記の例では、主制御部201がこれに相当する。
このような構成によれば、ユーザが手動で画角を変更したときに、変更後の画角を検出し、この画角の検出結果に応じて光ビームのビームサイズを自動で変更することが可能である。
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。