<概要>
以下、本開示における実施形態の一例について、図面を参照して説明する。図1〜図14は、本実施形態に係る眼科撮影装置を説明する図である。本実施形態においては、被検眼の水平方向をX方向、鉛直方向をY方向、軸方向をZ方向として説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用され得る。
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、下記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
例えば、本実施例における眼科撮影装置(例えば、眼科撮影装置1)はOCT光学系(例えば、OCT光学系2)を有し、OCT信号を処理することで被検物のOCTデータを取得する。例えば、被検物は眼であってもよい。また、例えば、被検物は眼以外の生体(例えば、皮膚や血管等)であってもよい。また、例えば、被検物は生体以外の試料(例えば、樹脂体等)であってもよい。
<OCT光学系>
例えば、OCT光学系は、フーリエドメイン光コヒーレンストモグラフィー(FD−OCT)を基本的構成としてもよい。例えば、FD−OCTとしては、スペクトルドメインOCT(SD−OCT)を用いてもよいし、波長掃引式OCT(SS−OCT)を用いてもよい。また、例えば、OCT光学系は、タイムドメインOCT(TD−OCT)を基本構成としてもよい。なお、本開示の技術は、被検物の反射強度を検出するためのスダンダートOCT、被検物のモーションコントラストデータを検出するためのOCTアンジオグラフィー(例えば、ドップラーOCT)、偏光感受OCT(PS−OCT:Polarization Sensitive OCT)等において適用されてもよい。また、スダンダートOCTとPS−OCTとが複合されたマルチファンクションOCTにおいて適用されてもよい。
例えば、OCT光学系は、被検物に照射された測定光と参照光によるOCT信号を検出する。例えば、OCT光学系は、OCT原理を用いて被検物の断層像を得るための干渉計に係る構成を備えていてもよい。例えば、この場合、OCT光学系は、光源(例えば、光源11)からの光を測定光路と参照光路に分割するための光分割器(例えば、カップラー15)を有し、測定光路を介して被検物に導かれた測定光と、参照光路からの参照光と、のOCT信号を検出してもよい。
例えば、OCT光学系は、複数のOCTデータを取得する構成であってもよい。例えば、複数のOCTデータを取得する構成としては、OCT光学系が、被検物の撮像領域を切り換えることによって、複数のOCTデータを別々のタイミングで取得する構成が挙げられる。例えば、この場合には、測定光を所定の位置に集光させて、複数のOCTデータを別々のタイミングで取得するようにしてもよい。また、例えば、この場合には、測定光を集光させる位置を撮像領域毎に変化させて、複数のOCTデータを別々のタイミングで取得するようにしてもよい。なお、例えば、測定光の集光位置は、測定光学系が備えるレンズのいずれかの屈折力を調整することによって変化させてもよい。また、例えば、測定光の集光位置は、測定光学系が備える光学部材(例えば、レンズ、ミラー等)のいずれかの位置を移動させることによって変化させてもよい。また、例えば、測定光の集光位置は、測定光学系の光路中に光学部材(例えば、レンズ、ミラー、プリズム等)を挿脱することによって変化させてもよい。なお、測定光の集光位置を撮像領域毎に変化させる場合には、参照光路の光路長を調整するようにしてもよい。
また、例えば、複数のOCTデータを取得する構成としては、OCT光学系が、複数のOCTデータを同時に取得する構成が挙げられる。この場合、OCT光学系は複数の参照光路を備えていてもよい。例えば、複数の参照光路は、第1参照光路と、第1参照光路とは異なる第2参照光路であってもよい。また、この場合、OCT光学系は複数の検出器を備えていてもよい。例えば、複数の検出器は、第1参照光路からの参照光と測定光との第1OCT信号を検出するための第1検出器と、第1検出器とは異なる第2検出器であって、第2参照光路からの参照光と測定光との第2OCT信号を検出するための第2検出器と、を備えていてもよい。このようなOCT光学系であれば、複数のOCTデータを同時に取得することができる。
<OCTデータ>
例えば、OCTデータは、OCT信号を示す信号データであっても、OCT信号から生成された断層像を示す断層画像データであってもよい。なお、例えば、OCTデータとしては、被検眼の反射強度特性を示す断層画像データ、被検眼の偏光特性を示す偏光特性データ、被検眼のドップラー特性を示すドップラーOCTデータ、被検眼のOCTアンジオデータ(例えば、OCTモーションコントラストデータ)、等の少なくともいずれかであってもよい。
例えば、断層画像データは、Aスキャン断層画像データであってもよい。また、例えば、断層画像データは、Bスキャン断層画像データであってもよい。なお、例えば、Bスキャン断層画像データは、走査ライン(横断位置)に沿って測定光をXY方向のいずれかの方向に走査させることによって取得される断層画像データであってもよい。また、例えば、断層画像データは、三次元断層画像データであってもよい。なお、例えば、三次元断層画像データは、測定光を二次元的に走査することによって取得される断層画像データであってもよい。
<OCTデータの取得>
例えば、本実施例における眼科撮影装置は、OCTデータ取得手段(例えば、制御部70)を備えていてもよい。例えば、OCTデータ取得手段は、OCT光学系によって、被検物の第1撮像領域における第1OCTデータ(例えば、第1OCTデータ100)を取得してもよい。また、例えば、OCTデータ取得手段は、OCT光学系によって、被検物の第2撮像領域における第2OCTデータ(例えば、第2OCTデータ200)を取得してもよい。
例えば、第1撮像領域と第2撮像領域とは、深さ方向に異なる撮像領域であってもよい。例えば、深さ方向に異なる撮像領域としては、被検眼の前眼部領域と眼底領域であってもよい。また、例えば、深さ方向に異なる撮像領域としては、被検眼の前眼部領域における前側と後側であってもよい。例えば、この場合、第1撮像領域と第2撮像領域は、一方が角膜を含む撮像領域であって、他方が水晶体を含む撮像領域であってもよい。これによって、第1撮像領域を撮像した際には角膜を含む第1OCTデータを取得し、第2撮像領域を撮影した際には水晶体を含む第2OCTデータを取得することができる。なお、角膜を含む第1OCTデータには、少なくとも角膜及び水晶体前面が含まれ、水晶体を含む第2OCTデータには、少なくとも水晶体後面が含まれていてもよい。
例えば、第1撮像領域と第2撮像領域とは、互いに分離した領域、互いに隣接した領域、一部が重複した領域、の少なくともいずれかであってもよい。なお、本実施例における第1撮像領域と第2撮像領域とは、一部が重複した領域であることが好ましい。
<合成OCTデータの取得>
例えば、本実施例における眼科撮影装置は、合成OCTデータ取得手段(例えば、制御部70)を備えていてもよい。例えば、合成データ取得手段は、第1撮像領域と第2撮像領域とで重複する重複領域における第1OCTデータと第2OCTデータのそれぞれの輝度値を重み付け処理してもよい。また、例えば、合成OCTデータ取得手段は、重み付け処理された重複領域を用いて第1OCTデータと第2OCTデータを合成処理することによって、合成OCTデータを取得するようにしてもよい。これによって、第1OCTデータと第2OCTデータの境界が現れることを抑制して、境界が目立たない合成OCTデータを得ることができる。
例えば、合成OCTデータ取得手段は、重複領域において重み付け処理を行う際に、深さ方向に浅いOCTデータに対しては深さ方向に深い重複領域ほど重み付けを小さくし、深さ方向に深いOCTデータに対しては深さ方向に深い重複領域ほど重み付けを大きくするようにしてもよい。例えば、この場合、合成OCTデータ取得手段は、重複領域において重み付け処理を行う際に、ゼロディレイ位置(例えば、第1のゼロディレイ位置D1、第2のゼロディレイ位置D2)から深さ方向に離れた重複領域ほど重み付けを小さくするようにしてもよい。
例えば、重み付け処理としては、重複領域の深さに基づく関数に従って、OCTデータの輝度値に重み付けを行うようにしてもよい。これによって、第1OCTデータと第2OCTデータとにおける重複領域の境界の前後で発生する輝度差を抑制し、各OCTデータの合成時にその境界を目立たなくすることができる。なお、重み付け処理に用いる関数は、重複領域に生じる境界を目立たなくすることができればよく、どのような関数を用いてもよい。
<実施例>
以下、本開示の実施例について図面を用いて説明する。図1は本実施例に係る眼科撮影装置1の外観構成図である。例えば、眼科撮影装置1は、基台101と、移動台102と、測定部103と、操作部材104と、顔支持ユニット105と、駆動部106と、モニタ75と、を備える。例えば、移動台102は、基台101に対して左右方向(X方向)及び前後方向(Z方向)に移動可能である。例えば、測定部103は後述する光学系を収納する。例えば、顔支持ユニット105は、被検者の顔を支持するために基台101に固設されている。例えば、駆動部106は、移動台102に対して上下方向(Y方向)に移動可能である。例えば、モニタ75は、後述するOCTデータ(例えば、合成OCTデータ300)等を表示する。
例えば、操作部材(ジョイスティック)104には、被検眼Eに対して測定部103を相対的に移動させる移動機構が設けられている。より詳細には、例えば、ジョイスティック104は、基台101上で移動台102をXZ方向に摺動させる図示なき摺動機構を備える。例えば、ジョイスティック104を操作すると、移動台102が基台101上をXZ方向に摺動する。また、例えば、ジョイスティック104には回転ノブが設けられている。例えば、ジョイスティック104を回転操作すると、駆動部106がY方向へ駆動し、測定部103がY方向に移動する。これによって、被検眼Eに対して測定部103を移動させることができる。
なお、本実施例においては、駆動部106によって測定部103をY方向へ移動させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、測定部103には、測定部103をXYZ方向に移動可能とする移動機構を設けてもよい。例えば、この場合には、測定部103のXYZ方向の移動機構が、被検眼Eに対して測定部103を微動させる際に用いられ、移動台102の摺動機構が、被検眼Eに対して測定部103を粗動させる際に用いられるようにしてもよい。
図2及び図3は、本実施例に係る眼科撮影装置1の光学系及び制御系を示す概略構成図である。例えば、本実施例における眼科撮影装置1は、被検眼Eの深さ情報を取得する光干渉断層計(以下、OCTデバイス1と称す)である。例えば、OCTデバイス1は、フーリエドメイン光コヒーレンストモグラフィー(FD−OCT:Fourier Domain OCT)であってもよい。FD−OCTとしては、スペクトルドメインOCT(SD−OCT:Spectral Domain OCT)や、波長掃引式OCT(SS−OCT:Swept Source OCT)が代表的である。また、例えば、OCTデバイス1は、タイムドメインOCT(TD−OCT:Time Domain OCT)であってもよい。なお、本実施例では、OCTデバイス1にSD−OCTを適用した場合を例に挙げて説明する。
例えば、OCTデバイス1は、主に、干渉光学系(OCT光学系)2と、測定光学系(導光光学系)20と、制御部70と、を備える。例えば、OCTデバイス1は、さらに、固視標投影ユニット90(第2光学系)と、記憶部(メモリ)72と、操作部74と、を備える。例えば、前述した測定部103には、OCT光学系2と、測定光学系20と、固視標投影ユニット90と、が収納される。また、例えば、前述した移動台102には、制御部70と、記憶部72と、が収納される。
<OCT光学系>
OCT光学系2は、光源11から発せられた光束を測定光と参照光に分割する。OCT光学系2は、測定光を被検眼Eに導くと共に、参照光を参照光学系30に導く。そして、OCT光学系2は、被検眼Eに照射された測定光と参照光との干渉を検出器(光検出器)40によって検出する。より具体的には、本実施例では、被検眼Eで反射(または後方散乱)された測定光、及び参照光の合成による干渉光が検出器40によって検出され、干渉信号が取得される。
例えば、OCT光学系2は、光源11と、光ファイバ15a、15b、15c、15dと、分割器15と、参照光学系30と、検出器40と、を備える。光源11は、OCT光学系2の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントの光を発する。例えば、光源11としては、SLD光源等が用いられてもよい。より詳細には、例えば、光源11はλ=800nm〜1100nmの間に中心波長を持つ光を出射してもよい。光源11からの光は、光ファイバ15aを介して、分割器15へ導かれる。
光ファイバ15a、15b、15c、15dは、内部に光を通過させることで、分割器15、光源11、測定光学系20、参照光学系30、及び検出器40等のそれぞれを繋ぐ。
分割器15は、(光ファイバ15aを介して)光源11から導かれた光を測定光と参照光とに分割する。測定光は、光ファイバ15bを通って測定光学系20へ導かれる。一方、参照光は、光ファイバ15c及びポラライザ31を介して参照光学系30へ導かれる。
なお、本実施例においては、分割器15が、被検眼Eへ導光された測定光の戻り光と、参照光と、の導光路を結合する結合部(コンバイナ)を兼用する(詳細は後述する)。このような分割器15は、例えば、ファイバーカップラーであってもよい。以下、分割器15をカップラー15と示す。
<測定光学系>
測定光学系20は、測定光を被検眼Eに導く。例えば、測定光学系20は、コリメータレンズ21、光束径調節部22、集光位置可変光学系(集光位置可変レンズ系)23、走査部(光スキャナー)24、ミラー25、ダイクロイックミラー26、及び対物光学系27を有する。コリメータレンズ21は、光ファイバ15bの端部16bから出射される測定光をコリメートする。
光束径調節部22は、OCT光学系2と走査部24(つまり、光スキャナ)との間の光路中に配置されており、その光路における測定光の光束径を変更するために利用される。例えば、本実施例においては、光束径調節部22が、カップラー15と走査部24との間の光路中に設けられる。例えば、光束径調節部22は、挿脱機構によって光路から挿脱可能なアパーチャ、可変ビームエクスパンダ、及び開口の径を調整可能な可変アパーチャ、等の少なくともいずれかであってもよい。なお、本実施例における光束径調節部22は、可変ビームエクスパンダである。例えば、可変ビームエクスパンダには、2つのレンズ22a、22bと、駆動部22cと、が含まれてもよい。駆動部22cは、互いのレンズ22a、22bにおける光軸方向の位置関係を、制御部70からの制御信号に基づいて変更する。これにより、測定光の光束径(及び、開口数NA)が変更される。
集光位置可変光学系23は、測定光の集光位置を、光軸L1方向に変更するために利用される。集光位置可変光学系23は、少なくとも1つのレンズ23aを有し、レンズ23aを用いて、測定光の集光位置を光軸L1方向に関して調整する。例えば、集光位置可変光学系23は、カップラー15と走査部24との間の光路中に設けられる。なお、本実施例では、集光位置可変光学系23が、光束径調節部22と走査部24との中間に配置される。しかし、光束径調節部22と集光位置可変光学系23の配置は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、両者は互いに置き換えられてもよい。また、両者の間にリレー光学系等が介在してもよい。レンズ23aは、光軸L1方向に関して、測定光の集光位置を定めるフォーカス光学系を構成する。集光位置可変光学系23は、レンズ23a単独で構成されてもよいし、レンズ23aと、それ以外の光学素子と共に構成されてもよい。例えば、集光位置可変光学系23は、レンズ23aの屈折力、対物光学系27とレンズ23aとの光軸L1方向に関する位置関係、のいずれかを調整する構成で実現される。なお、例えば、対物光学系27とレンズ23aとの位置関係の調整は、光軸L1方向に関するレンズ23aの位置、レンズ23aと対物光学系27aとの間の光路長、及び測定光路に対するレンズの挿脱、のいずれかによって実現されてもよい。この場合、レンズ23aを所期する方向に移動させる駆動部(アクチュエータ)が、制御部70によって制御される。
例えば、レンズ23aは可変焦点レンズである。レンズ23aは、光軸L1に対して静止した状態で、焦点位置を変更可能である。レンズ23aは、制御部70によって設定される印加電圧の大きさに応じて、屈折力を変化させる。典型的な可変焦点レンズとしては、液晶レンズ等が知られている。なお、例えば、屈折力可変のレンズは、液体レンズ、非線形光学部材、分子部材、回転非対称な光学部材等であってもよく、液晶レンズに限られるものではない。
走査部24は、測定光を走査するために、OCT光学系からの測定光を偏向する光スキャナを有する。例えば、走査部24は、X走査用ガルバノミラー241と、Y走査用ガルバノミラー242と、を有してもよい。図4は走査部24を拡大して示す図である。例えば、各ガルバノミラー241、242は、それぞれ、ミラー部241a、242aと、それぞれの241a、242aを回転させる駆動部241b、242b(例えば、モーター)を含んでいてもよい。制御部70は、各々のガルバノミラー241、242の向きを独立に制御することで、測定光の進行方向を変更する。その結果、被検眼Eに対して、上下左右方向に測定光を走査することができる。なお、走査部24は、ガルバノミラー241b、242b以外の光スキャナを用いることができる。例えば、この場合には、反射型のスキャナ(例えば、MEMSスキャナ、レゾナントスキャナ、ポリゴンミラー等)が用いられてもよいし、音響光学素子等が用いられてもよい。
例えば、走査部24によって進行方向が変えられた測定光は、各ミラー面が直角を挟んで配置されるミラー25、及びダイクロイックミラー26のそれぞれで反射される。これにより、測定光は、走査部24からの出射時とは反対向きに折り返される。その結果として、測定光が対物光学系27へ導かれる。
例えば、対物光学系27は固定的に配置されている。より詳細には、対物光学系27は、走査部24と被検眼Eとの間に配置されている。対物光学系27は、光スキャナ(本実施例では、ガルバノミラー241、242)によって偏向された測定光を被検眼Eに導く。例えば、対物光学系27は、正のパワーを持つレンズ系(対物レンズ系)として形成されている。このため、走査部24からの測定光は、対物光学系27を通過することで、光軸L1側に折れ曲がる。なお、本実施例においては、便宜上、対物光学系27を2枚のレンズ27a、27bからなる光学系として示しているが、対物光学系27を構成するレンズの数はこれに限定されない。対物光学系27は、1枚のレンズに置き換えてもよいし、3枚以上のレンズに置き換えてもよい。また、例えば、対物光学系27は、レンズ系に限られるものではなく、ミラー系であってもよいし、レンズとミラーとの組み合わせによる光学系であってもよいし、レンズ及びミラー以外の光学部材を含む光学系であってもよい。
このような測定光学系20では、光ファイバ15bの端部16bから測定光が出射すると、コリメータレンズ21によって測定光がコリメートされる。その後、測定光は、光束径調節部22及び集光位置可変光学系23を通過して、走査部24に達する。測定光は、走査部24に設けられた2つのガルバノミラーで反射された後、更に、ミラー25及びダイクロイックミラー26で反射される。その結果、測定光は、対物光学系27に入射する。そして、測定光は、対物光学系27を通過して、被検眼Eへ導光される。その後、測定光は、被検眼Eで反射または散乱され、その結果として、測定光学系20を逆に辿って光ファイバ15bの端部16bに入射する。端部16bに入射した測定光は、光ファイバ15bを介して、カップラー15に入射する。
例えば、OCTデバイス1は、駆動部(アクチュエータ)を備える。駆動部は、対物光学系27に対する走査部24(つまり、光スキャナであるガルバノミラー241、242)の相対位置であって、測定光学系20の光軸L1方向に関する相対位置を変位させる。より詳細には、駆動部の駆動によって、対物光学系27の後側焦点位置(または、その共役位置)に対する走査部24の相対位置が変更される。この相対位置の変位によって、測定光の旋回点が光軸L1方向に関して変更される。駆動部は、走査部24、及び対物光学系27と走査部24との間に配置される光学部材、の少なくとも一方を移動させることで、対物光学系27に対する走査部24の相対距離を変位させてもよい。
例えば、本実施例においては、OCTデバイス1が駆動部50を有する。対物光学系27と走査部24との間隔(光路長)が、駆動部50の駆動によって変更されることにより、対物光学系27に対する走査部24の相対位置が変位される。この相対位置は、断層像が撮影される被検眼Eの撮像領域と対応して変更される。
例えば、駆動部50は、それぞれのミラー面が直角を挟んで配置される2枚のミラー(ミラー25及びダイクロイックミラー26)を、所定の方向に一体的に移動させる。本実施例では、対物光学系27の光軸方向に移動される。その結果、走査部24から対物光学系27までの光路長が変更される。例えば、断層像が得られる撮像領域を、被検眼Eの前眼部領域と眼底領域とで切り換える場合には、走査部24から対物光学系27までの光路長を比較的大きく変更する必要がある。例えば、走査部24から出射した測定光は2枚のミラーによって折り返されているので、2枚のミラーを移動させた場合には、走査部24から対物光学系27までの光路長の変化(換言すれば、対物光学系27に対する走査部24の光軸L1方向に関する変位量)を、2枚のミラー25、26の移動量の2倍とることができる。故に、対物光学系27に対する走査部24の位置を、測定光学系20の光軸L1方向に関して変位させるために必要なスペースを抑制できる。
また、本実施例におけるOCTデバイス1は、対物光学系27に対する走査部24の位置を検出するためのセンサ51を備えていてもよい。センサ51としては、様々なデバイスを利用可能である。例えば、センサ51としては、ポテンショメータ等のリニア変位センサを適用してもよい。
<参照光学系>
参照光学系30は、参照光を生成する。参照光は、被検眼Eによって反射された測定光の反射光と合成される光である。参照光学系30は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであってもよい。例えば、参照光学系30は、反射光学系(例えば、参照ミラー34)によって形成される。例えば、カップラー15からの光は、反射光学系により反射されて再度カップラー15に戻され、結果として、検出器40に導かれる。なお、参照光学系30は必ずしもこれに限られるものではなく、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成されてもよい。この場合、参照光学系30は、カップラー15で分割された参照光を、カップラー15へ戻さずに透過させることで、検出器40へ導く。
例えば、参照光学系30は、カップラー15から参照ミラー34までの光路に、光ファイバ15c、光ファイバ15cの端部16c、コリメータレンズ33、参照ミラー34、を有している。光ファイバ15cは、参照光の偏光方向を変化させるため、駆動部32により回転移動される。すなわち、光ファイバ15c及び駆動部32は、偏光方向を調整するためのポラライザ31として用いられる。
なお、ポラライザは上記構成に限定されず、測定光の光路または参照光の光路に配置されるポラライザを駆動させることにより、測定光と参照光の偏光状態を略一致させるものであればよい。例えば、1/2波長板や1/4波長板を用いることや、光ファイバに圧力を加えて変形させることで、偏光状態を変えるもの等が適用できる。また、ポラライザ31(偏光コントローラ)は、測定光と参照光の偏光方向を一致させるために、測定光と参照光の少なくともいずれかの偏光方向を調整する構成であればよい。例えば、ポラライザ31は、測定光の光路に配置された構成であってもよい。
例えば、参照ミラー34は、参照ミラー駆動部34aにより、光軸方向L2に関して変位する。参照ミラー34が変位することで、参照光の光路長が調整される。
光ファイバ15cの端部16cから出射した参照光は、コリメータレンズ33で平行光束とされ、参照ミラー34で反射される。その後、参照光はコリメータレンズ33によって集光されて光ファイバ15cの端部16cに入射する。端部16cに入射した参照光は、光ファイバ15c、光ファイバ31(ポラライザ31)を介して、カップラー15に達する。
例えば、本実施例においては、参照ミラー34で反射された参照光と、被検眼Eに導光された測定光の戻り光(つまり、被検眼Eで反射または散乱された測定光)と、がカップラー15により合成され、干渉光とされる。この干渉光は、光ファイバ15dを介して、端部16dから出射される。その結果、干渉光が検出器40に導かれる。
検出器40(ここでは、スペクトロメータ部)は、周波数(波長)毎の干渉信号を得るために、参照光と測定光による干渉光を周波数(波長)毎に分光し、分光された干渉光を受光する。例えば、検出器40は、コリメータレンズ、グレーティングミラー(回折格子)、集光レンズ、等の光学系(いずれも図示せず)を含んでいてもよい。例えば、検出器40の本体(受光素子部分)は、一次元受光素子(ラインセンサ)が適用されてもよい。検出器40は、光源11から出射される光の波長に対して、感度を有する。上述したように、光源11から赤外域の光が出射される場合、赤外域の感度がある検出器40を利用し得る。
端部16bから出射された干渉光は、コリメータレンズ21によって平行光とされ、その後、図示なきグレーティングミラーによって、周波数成分に分光される。そして、周波数成分に分光された干渉光は、図示なき集光レンズを介して、検出器40の受光面に集光する。これによって、検出器40上での干渉縞のスペクトル情報(スペクトル信号)が得られる。スペクトル情報は制御部70へ入力され、制御部70においてフーリエ変換を用いて解析される。そして、解析結果として、被検眼Eの断層像が形成される。また、解析結果として、被検眼Eの深さ方向における情報が計測可能となる。
ここで、制御部70は、走査部24により測定光を被検眼Eの横断方向に走査することで、断層像を取得できる。例えば、X方向もしくはY方向に走査することにより、被検眼EのXZ面もしくはYZ面における断層像を取得できる(なお、本実施例においては、このように測定光を被検眼Eに対して一次元走査し、断層像を得る方式をBスキャンとする)。なお、取得された断層像は、制御部70に接続された記憶部72に記憶される。さらに、走査部24の駆動を制御して、測定光をXY方向に二次元的に走査することにより、被検眼EのXY方向に関する二次元動画像、及び被検眼Eの三次元画像を検出器40からの出力信号に基づいて形成可能である。
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット90は、被検眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。固視標投影ユニット90は、被検眼Eに呈示する固視標(固視光源91)を有する。固視標投影ユニット90は、複数の方向に被検眼Eを誘導する構成でもよい。ここで、ダイクロイックミラー26は、OCT光学系2の測定光として用いられる波長成分の光を反射し、固視標投影ユニット90に用いられる波長成分の光を透過する特性を有する。故に、固視標投影ユニット90から出射される固視標光束は、対物光学系27を介して被検眼Eに照射される。これにより、被検者は固視が可能になる。
<制御系>
制御部70は、OCTデバイス1の各部を制御する。例えば、制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を含んで構成されてもよい。例えば、CPUは、OCTデバイス1における各部材の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行するプログラム等が記憶されている。なお、制御部60は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
例えば、本実施例における制御部70は、検出器40からの出力信号(つまり、干渉信号)を処理することによって、被検眼Eの深さ情報を取得する。深さ情報としては、断層像等の画像情報、被検眼Eの各部の寸法を示す寸法情報、測定光の照射部位における動き量を示す情報、偏光特性の情報を含む(複素数の)解析信号、等の少なくともいずれかであってもよい。本実施例では、制御部70が、干渉信号に基づいて被検眼Eの断層像を形成する画像処理器を兼用している。また、本実施例の制御部70は、断層像の形成以外にも、各種の画像処理を行う。画像処理は、制御部70に設けられた専用の電子回路(例えば、図示なき画像処理IC)によって行われてもよいし、プロセッサ(例えば、CPU)によって行われてもよい。
例えば、制御部70には、光源11、検出器40、各種駆動部(すなわち、駆動部22c、23a、241a、242b、32、34a、50等)、記憶部72、操作部(ユーザインターフェイス)74、及びモニタ75が接続されている(図2及び図3参照)。例えば、記憶部72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体が用いられてもよい。例えば、記憶部72としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、OCTデバイス1に着脱可能に装着されるUSBメモリ等を使用することができる。例えば、記憶部72には、OCTデータから生成される断層像の他、撮影に関する各種情報が記憶されてもよい。例えば、モニタ75は、後述するOCTデータ(例えば、合成OCTデータ)等を表示してもよい。
<撮像領域の切り換え>
例えば、上記の構成を備えるOCTデバイス1は、被検眼Eにおける撮像領域を切り換えてもよい。例えば、この場合、撮像領域は、被検眼Eの第1撮像領域と、第1撮像領域とは深さ方向に異なる第2撮像領域と、に切り換えられる。例えば、以下においては、このような第1撮像領域と第2撮像領域との切り換えを、被検眼Eの前眼部前側(例えば、角膜Ecの前面から水晶体Elの前面を含む領域)と前眼部後側(例えば、水晶体Elの後面のみを含む領域)とで行う場合を一例に挙げて説明する。
例えば、図2の光学配置は被検眼Eの前眼部前側を撮影する場合を示しており、図3の光学配置は被検眼Eの前眼部後側を撮影する場合を示している。例えば、被検眼Eの前眼部(例えば、前眼部前側及び前眼部後側)撮影時においては、制御部70が駆動部50を制御し、走査部24を対物光学系27に近づける。このとき、測定光の主光線は、対物光学系27の物体側(被検眼側)においてテレセントリック(または略テレセントリック)となる。つまり、本実施例では、走査部24と対物光学系27からなる光学系が、物体側テレセントリック光学系として形成される。この場合、対物光学系27の前面(つまり、最も被検眼側に配置されるレンズ面)から、被検眼Eに照射される測定光の主光線は、走査部24で反射される測定光の向きに関わらず、光軸L1と平行(略平行)となる。
例えば、このような状態において、制御部70は集光位置可変光学系23を制御し、測定光の集光位置を設定する。例えば、前眼部前側の撮影時(図2参照)においては、測定光の集光位置が角膜付近に設定されてもよい。また、例えば、前眼部後側の撮影時(図3参照)においては、測定光の集光位置が水晶体後面付近に設定されてもよい。
例えば、制御部70は、レンズ23aから走査部24へ入射する測定光が拡散するように、集光位置可変光学系23を制御する。より詳細には、例えば、制御部70は、レンズ23aの屈折力を負の値に設定してもよい。例えば、制御部70は、レンズ23aの屈折力を調節することによって、測定光の集光位置を、被検眼Eの角膜付近または水晶体後面付近に設定することができる。これによって、被検眼Eの撮像領域は、被検眼Eの前眼部前側と前眼部後側とにおいて切り換えられる。
なお、本実施例におけるOCTデバイス1は、レンズ23aの屈折力を変化させることにより測定光の集光位置を変化させているがこれに限定されない。例えば、対物光学系27とレンズ23aとの光軸L1方向に関する位置関係を変更することによっても、測定光の集光位置を変化させることができる。例えば、この場合、制御部70は、レンズ23aを走査部24に近づける方向に、あるいは遠ざける方向に移動させてもよい。
また、本実施例におけるOCTデバイス1は、第1撮像領域と第2撮像領域との切り換えを、被検眼Eの前眼部(例えば、前眼部前側や前眼部後側)と、被検眼Eの眼底と、で行うようにしてもよい。この場合、例えば、制御部70は、前眼部撮影時の光学配置に対して、走査部24を対物光学系27から遠ざける。このとき、対物光学系27の前面(最も被検眼側のレンズ面)から出た測定光の旋回点は、被検眼Eの瞳孔位置に形成されてもよい。また、例えば、測定光の集光位置は、被検眼Eの眼底に形成されてもよい。なお、被検眼Eの前眼部と眼底における光学配置の切り換えに係る構成の詳細については、特開2016−209577号公報を参照されたい。
<制御動作>
以下、図5に示すフローチャートを用いて、上記の構成を備えるOCTデバイス1の制御動作を順に説明する。例えば、OCTデバイス1は、被検眼Eの第1撮像領域と、第2撮像領域と、のそれぞれについて、OCTデータを取得する。例えば、第1撮像領域と第2撮像領域とは、一方が角膜Ecを含む撮像領域であって、他方が水晶体Elを含む撮像領域であってもよい。例えば、本実施例においては、被検眼Eの前眼部前側(例えば、角膜Ecの前面から水晶体Elの前面を含む領域)を第1撮像領域として、被検眼Eの前眼部後側(例えば、水晶体Elの後面のみを含む領域)を第2撮像領域として、各OCTデータを取得する場合を例に挙げる。なお、例えば、各OCTデータは、OCTデータが取得される領域の少なくとも一部が深さ方向に異なっていてもよい。言い換えると、各OCTデータには、OCTデータが取得される領域の一部が重複する重複領域があってもよい。
例えば、OCTデバイス1は、自動または手動によるモード切換信号に応じて、OCT光学系2の光学配置を切り換えてもよい。例えば、本実施例では、第1撮像領域を撮影する第1撮影モードにより、角膜Ecの前面から水晶体Elの前面を含む領域のOCTデータ(すなわち、後述する第1OCTデータ100)が取得され、第2撮像領域を撮影する第2撮影モードにより、水晶体Elの後面のみを含む領域のOCTデータ(すなわち、後述する第2OCTデータ200)が取得される。例えば、以下においては、撮影モードが自動的に切り換わり、各OCTデータが連続的に取得される場合を例に挙げる。もちろん、撮影モードは随時設定するようにしてもよい。
<被検眼のアライメント(S1)>
例えば、検者は、固視標投影ユニット90の固視標を注視するよう被検者に指示する。被検眼Eには、図示なき指標投影光学系の光源が点灯することにより、アライメント指標像が投影される。また、被検眼Eの前眼部は図示なき前眼部撮像光学系によって検出され、その前眼部観察像がモニタ75に表示される。
例えば、制御部70は、アライメント指標像を用いて、被検眼Eと測定光学系20とのアライメント状態を検出する。また、制御部70は、移動台102及び駆動部106を制御し、測定部103を移動させることで、被検眼Eの角膜頂点位置(または、略角膜頂点位置)と、測定光の光軸L1と、を一致させる自動アライメントを行う。なお、アライメントの詳細については、特開2016−067795号公報を参照されたい。例えば、被検眼EとOCTデバイス1とのXYZ方向におけるアライメントが調整されることによって、被検眼Eは初期位置Q(図6参照)に配置される。これによって、ワーキングディスタンス(例えば、被検眼Eの角膜Ecから、対物光学系27において最も被検眼側に配置されるレンズ面までの距離)が一定の距離となる。
例えば、アライメント調整時において、制御部70は、参照光の光路長と測定光の光路長とが一致する深さ位置(すなわち、ゼロディレイ位置)が被検眼Eの角膜Ecに移動するように、参照光路における参照ミラー34を移動させてもよい。これによって、参照ミラー34が初期位置K(図6参照)に配置されるとともに、被検眼Eの角膜Ecにゼロディレイ位置Dが移動する。
なお、本実施例においては、ゼロディレイ位置が被検眼Eの角膜Ecとなる位置を参照ミラー34の初期位置Kとしているがこれに限定されない。アライメント調整時のゼロディレイ位置は、後述する目標位置M1及びM2との位置関係がわかるのであれば、いずれの位置にあってもよい。すなわち、参照ミラー34の初期位置は、後述する移動位置K1及びK2との位置関係がわかるのであれば、いずれの位置にあってもよい。例えば、この場合、参照ミラー34は、予め後述する第1撮影モード設定時の目標位置M1に位置しておいてもよい。
<第1撮影モードの設定(S2)>
例えば、アライメントが完了すると、制御部70は第1撮影モードを設定し、被検眼Eにおける角膜Ecの前面から水晶体Elの前面を含む領域の第1OCTデータ100を取得するための光学配置に切り換える。例えば、この場合には、測定光の集光位置が被検眼Eの角膜付近に形成されるように、測定光学系20の光学配置を切り換えてもよい。これによって、第1撮像領域が角膜前面から水晶体前面を含む領域に設定される。
ここで、例えば、制御部70は、参照光の光路長を調整することにより、前述のゼロディレイ位置を移動させる。例えば、本実施例においては、ゼロディレイ位置を移動させる際の目標となる目標位置が、撮影モードに応じて予め設定されている。例えば、第1撮影モードでは、被検眼Eの角膜Ecよりも前側(OCTデバイス1側)に目標位置M1が設定される。また、例えば、第2撮影モードでは、被検眼Eの角膜Ecよりも後側に目標位置M2が設定される。なお、目標位置M2の詳細については後述する。
図6は第1撮影モード設定時の目標位置M1を説明する図である。例えば、目標位置M1は、アライメント完了状態における角膜Ecの位置から所定の距離fだけ前側に離れた位置に設定される。なお、所定の距離fは、予め実験やシミュレーション等を行うことにより、適当な距離を設定しておいてもよい。例えば、制御部70は、このような目標位置M1にゼロディレイ位置が移動するように、参照ミラー34を初期位置Kから端部16cに近づく方向に移動させ、参照ミラー34を移動位置K1に配置させる。なお、参照ミラー34の移動量は、被検眼Eの角膜Ecから目標位置M1までの距離(すなわち、所定の距離f)に基づいて決定されてもよい。これによって、参照光の光路長はアライメント完了状態におけるワーキングディスタンスから所定の距離fだけ短くなり、第1撮影モード設定時におけるゼロディレイ位置(すなわち、第1のゼロディレイ位置D1)が目標位置D1に設定される。例えば、第1のゼロディレイ位置D1が角膜Ecよりも前側にあることで、後述する合成OCTデータの取得時に、鏡像による影響を回避することができる。
例えば、制御部70は、参照ミラー34を移動させて参照光の光路長を調整するとともに、フォーカス調整と偏光状態の調整(ポラライザ調整)を行うようにしてもよい。例えば、制御部70は、被検眼Eの角膜付近に合焦するように、レンズ23aの屈折力を変化させて、フォーカスを調整する。また、例えば、制御部70は、干渉光を強く受光できる位置(すなわち、測定光と参照光の偏光状態が合う位置)にポラライザ31を移動させて、測定光の偏光状態を調整する。なお、フォーカス調整やポラライザ調整の詳細については、特開2016−049368号公報を参照されたい。
<第1OCTデータの取得(S3)>
例えば、制御部70は、参照ミラー34を所定の距離fだけ移動させると、第1撮像領域における第1OCTデータ100を取得する。図8は第1OCTデータ100の一例を示す図である。例えば、第1OCTデータ100は、第1のゼロディレイ位置D1から深さ位置Rまでの領域を撮影したOCTデータである。例えば、第1OCTデータ100は、検出器40からの信号そのものであってもよいし、被検眼Eの断層像であってもよい。なお、本実施例においては、第1OCTデータ100として、角膜Ecの前面から水晶体Elの前面を含む領域の断層像が取得される。
<第2撮影モードの設定(S4)>
例えば、制御部70は、第1OCTデータ100を取得すると、撮影モードを第2撮像モードに設定する。例えば、これによって、被検眼Eにおける水晶体Elの後面のみを含む領域の第2OCTデータ200を取得するための光学配置に切り換わる。例えば、この場合には、測定光の集光位置が被検眼Eの水晶体後面付近に形成されてもよい。これによって、第2撮像領域が水晶体後面を含む領域に設定される。
例えば、第2撮影モードでは、ゼロディレイ位置を移動させる際の目標位置が、目標位置M1から目標位置M2へと変更される。図7は第2撮影モード設定時の目標位置M2を説明する図である。例えば、目標位置M2は、アライメント完了状態(すなわち、被検眼Eが初期位置Qに位置する状態)における角膜Ecの位置から所定の距離f´だけ後側に離れた位置に設定される。なお、所定の距離f´は、予め実験やシミュレーション等を行うことにより、適当な距離を設定しておいてもよい。例えば、制御部70は、このような目標位置M2にゼロディレイ位置が移動するように、参照ミラー34を端部16cから遠ざかる方向に移動させ、参照ミラー34を移動位置K1から移動位置K2に配置させる。なお、参照ミラー34の移動量は、目標位置M2から目標位置M1までの距離(すなわち、所定の距離f+所定の距離f´)に基づいて決定されてもよい。これによって、参照光の光路長はアライメント完了状態におけるワーキングディスタンスから所定の距離f´だけ長くなり、第2モード設定時におけるゼロディレイ位置(すなわち、第2のゼロディレイ位置D2)が目標位置M2に設定される。例えば、第2のゼロディレイ位置D2が被検眼Eの水晶体よりも後側にあることで、後述する合成OCTデータの取得時に、鏡像による影響を回避することができる。
<第2OCTデータの取得(S5)>
例えば、制御部70は、第2撮像領域における第2OCTデータ200を取得する。例えば、第2OCTデータ200は、第1OCTデータ100とは深さ位置が異なっている。図9は第2OCTデータ200の一例を示す図である。例えば、第2OCTデータ200は、第2のゼロディレイ位置D2から深さ位置Sまでの領域を撮影したOCTデータである。例えば、第2OCTデータ200は、検出器40からの信号そのものであってもよいし、被検眼Eの断層像であってもよい。なお、本実施例においては、第2OCTデータ200として、水晶体Elの後面のみを含む領域の断層像が取得される。
<重複領域における輝度値の取得(S6)>
例えば、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200とは、前述したようにOCTデータが取得される領域の一部が重複した重複領域(すなわち、図8及び図9において斜線で示す重複領域150)があってもよい。例えば、制御部70は、第1撮像領域と第2撮像領域とで重複する重複領域150の輝度値を取得する。例えば、本実施例においては、各OCTデータにおける深さ方向全体の輝度値を求めることにより、重複領域の輝度値を取得する。
図10は第1OCTデータ100上を走査する走査線と輝度値の変化を説明する図である。図10(a)は第1OCTデータ100上を走査する走査線を示し、図10(b)は第1OCTデータ100のある走査線上における輝度値の変化を示している。例えば、制御部70は、第1OCTデータ100において、深さ方向(すなわち、Aスキャン方向)に走査する複数の走査線inを設定する。ここで、例えば、nは走査線の番号を表しており、10本の走査線を設定した場合、nは1〜10のそれぞれの数字となる。例えば、制御部70は、各走査線inのそれぞれにおいて輝度値を求める。
例えば、制御部70は、各走査線inの輝度値を求めることによって、第1のゼロディレイ位置D1から深さ方向に離れた方向(例えば、第1OCTデータ100では深さが深くなる方向)における全体の輝度値を求めることができる。例えば、これによって、制御部70は、第1OCTデータ100において、重複領域150(本実施例においては、深さSから深さRまでの領域)の輝度値を取得することができる。
なお、本実施例においては図示を省略するが、制御部70は、第2OCTデータ200においても、深さ方向に走査する複数の走査線inを設定し、各走査線上の輝度値を求める。また、例えば、制御部70は、各走査線inの輝度値を求めることによって、第2のゼロディレイ位置D2から深さ方向に離れた方向(例えば、第2OCTデータ200では深さが浅くなる方向)における全体の輝度値を求めることができる。例えば、これによって、制御部70は、第2OCTデータ200における重複領域150の輝度値を取得することができる。
<合成OCTデータの取得(S8)>
例えば、制御部70は、第1撮像領域と第2撮像領域とで重複する重複領域150を用いて、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200とを合成処理し、合成OCTデータ300(図13参照)を取得してもよい。例えば、本実施例においては、第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200のそれぞれについて、重複領域150の輝度値に重み付け処理がなされ、重み付け処理後の重複領域を用いて、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200とが合成される。これによって、合成OCTデータ300に現れる第1OCTデータ100と第2OCTデータ200の境界を目立たなくすることができる。
以下、重み付け処理について詳細に説明する。図11はある走査線in上の輝度値を示す図である。図11(a)は第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200における走査線in上の輝度値をそれぞれ示している。図11(b)は第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200における走査線in上の輝度値を平均処理により合成した場合の輝度値を示している。図11(c)は第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200における走査線in上の輝度値を重み付け処理し、その後に合成処理を行った場合の輝度値を示している。なお、図11において、横軸は深さ位置であり、矢印d方向に向かうほど撮像位置が深いことを表している。また、図11において、縦軸は輝度であり、矢印b方向に向かうほど輝度が高い(明るい)ことを表している。
例えば、同一の走査線上かつ同一の深さ位置において、各OCTデータの輝度値をその平均値を求めることにより補正した場合(すなわち、図11(b)の場合)、深さ位置Sの前後と、深さ位置Rの前後と、では輝度差が発生する。例えば、深さ位置Sの前後では、輝度値がfi(S)からhi(S)となり、輝度差が生じていることがわかる。また、深さ位置Rの前後では、輝度値がhi(R)からgi(R)となり、輝度差が生じていることがわかる。例えば、このように輝度差が発生していると、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200の境界が目立つ合成OCTデータとなってしまう。
そこで、本実施例においては、重複領域における第1OCTデータ100と第2OCTデータ200のそれぞれの輝度値を重み付け処理することによって、輝度差の発生を抑制し、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200の境界が目立たない合成OCTデータ300を取得する。例えば、制御部70は、ゼロディレイ位置(すなわち、第1のゼロディレイ位置D1と第2のゼロディレイ位置D2)から深さ方向に離れた重複領域ほど重み付けが小さくなるように、重み付け処理を行う。
例えば、重み付け処理は、以下に示す重複領域の深さに基づく重み付け関数k(z)に従って行われる。
ここで、zは重複領域150における深さ位置を示している。前述のように、重複領域150は深さ位置Sから深さ位置Rまでの領域であるので、深さ位置zの範囲はS≦z≦Rとなる。
図12は重み付け関数k(z)をグラフに表した図である。実線は重み付け関数k(z)を示し、点線は重み付け関数1−k(z)を示している。横軸は重複領域150の深さである。例えば、重み付け関数k(z)は、深さ領域が浅いOCTデータの輝度値に対する重み付け処理に用いられる。すなわち、本実施例においては、重み付け関数k(z)が第1OCTデータ100の輝度値に対する重み付け処理に用いられる。例えば、第1OCTデータ100は、被検眼Eの角膜Ecよりも前側に第1のゼロディレイ位置D1が配置された状態で取得したデータであるので、深さ位置Sから深さ位置Rに向かうほど、第1のゼロディレイ位置D1から離れる。例えば、重み付け関数k(z)は、深さ位置Sから深さ位置Rに向かうほどその値が小さくなるので、輝度値に対する重み付けも小さくなる。
例えば、重み付け関数1−k(z)は、深さ領域が深いOCTデータの輝度値に対する重み付け処理に用いられる。すなわち、本実施例においては、重み付け関数1−k(z)が第2OCTデータ200の輝度値に対する重み付け処理に用いられる。例えば、第2OCTデータ200は、被検眼Eの水晶体よりも後側に第2のゼロディレイ位置D2が配置された状態で取得したデータであるので、深さ位置Rから深さ位置Sに向かうほど、第2のゼロディレイ位置D2から離れる。例えば、重み付け関数1−k(z)は、深さ位置Rから深さ位置Sに向かうほどその値が小さくなるので、輝度値に対する重み付けも小さくなる。
なお、例えば、上記の重み付け関数k(z)及び重み付け関数1−k(z)によって、深さ方向に変化する重み付けの比率を表すことができる。例えば、深さ位置Sにおいては、第1OCTデータ100の輝度値に対する重み付けが1であり、第2OCTデータ200の輝度値に対する重み付けは0である。すなわち、例えば、深さ位置Sにおいては、第1OCTデータ100の輝度値と、第2OCTデータ200の輝度値と、に対する重み付けの比率が1:0となる。また、例えば、深さ位置Rにおいては、第1OCTデータ100の輝度値に対する重み付けが0であり、第2OCTデータ200の輝度値に対する重み付けが1である。すなわち、例えば、深さ位置Rにおいては、第1OCTデータ100の輝度値と、第2OCTデータ200の輝度値と、に対する重み付けの比率が0:1となる。
例えば、制御部70は、第1OCTデータ100の深さ位置zにおける輝度値fi(z)に、上述の重み付け関数k(z)を乗算する。例えば、本実施例では、深さ位置zの輝度値fi(z)に、重み付けの値として0.6が乗算される(図11(a)及び図12参照)。例えば、これによって、制御部70は、第1OCTデータ100の深さ位置zにおける重み付け後の輝度値fi´(z)を求めることができる。また、例えば、制御部70は、第2OCTデータ200の深さ位置zにおける輝度値gi(z)に、重み付け関数1−k(z)を乗算する。例えば、本実施例では、深さ位置zにおける輝度値gi(z)に、重み付けの値として0.4が乗算される。例えば、これによって、制御部70は、第2OCTデータ200の深さ位置zにおける重み付け後の輝度値gi´(z)を求めることができる。
次いで、例えば、制御部70は、深さ位置zにおける第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200の重み付け後の輝度値どうしを加算する。例えば、制御部70は、これによって算出された値(つまり、輝度値fi´(z)+輝度値gi´(z))を、合成OCTデータ300の深さ位置zにおいて用いる輝度値として取得する。
なお、例えば、制御部70は、第1OCTデータ100に対して重み付け関数k(z)を乗算する重み付け処理と、第2OCTデータ200に対して重み付け関数1−k(z)を乗算する重み付け処理と、をを、深さ位置Sから深さ位置Rまでの範囲において実行する。また、例えば、制御部70は、深さ位置Sから深さ位置Rまでの範囲において、それぞれの深さ位置における第1OCTデータ100及び第2OCTデータ200の重み付け後の輝度値どうしを加算する。例えば、これによって、制御部70は、合成OCTデータ300における重複領域の各深さ位置で用いる輝度値を取得することができる。
例えば、制御部70は、重複領域150の深さ位置毎に輝度値を取得すると、重複領域の輝度値を置き換える。これによって、走査線i1上における重複領域の輝度値が図11(a)に示す状態から図11(c)に示す状態となり、深さ位置S及び深さ位置Rの前後において輝度差の発生を抑制し、深さ位置Sから深さ位置Rまでの輝度値を滑らかに繋ぐことができる。
図13は合成OCTデータ300の断層像を示す図である。例えば、上記では走査線i1上における重複領域の輝度値について説明したが、制御部70は、走査線i2〜inについても重み付け関数k(z)及び重み付け関数1−k(z)を用いて同様に輝度値を重み付けし、重複領域の輝度値を置き換えていく。例えば、これによって、第1OCTデータ100と第2OCTデータ200とを合成処理した合成OCTデータ300が取得される。例えば、制御部70は、取得した合成OCTデータ300を断層像化して、モニタ75に出力するようにしてもよい。
以上説明したように、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、被検物の第1撮像領域における第1OCTデータと、第1撮像領域とは深さ方向に異なる第2撮像領域の第2OCTデータと、を取得する。また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、第1撮像領域と第2撮像領域とで重複する重複領域における第1OCTデータと第2OCTデータのそれぞれの輝度値を重み付け処理し、重み付け処理された重複領域を用いて第1OCTデータと第2OCTデータを合成処理することで、合成OCTデータを取得する。これによって、第1OCTデータと第2OCTデータの境界が現れることを抑制して、境界が目立たない合成OCTデータを得ることができる。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、重複領域において重み付け処理を行う際に、ゼロディレイ位置から深さ方向に離れた重複領域ほど重み付けを小さくしてもよい。これにより、第1OCTデータと第2OCTデータとにおける重複領域の境界の前後で発生する輝度差を抑制し、各OCTデータの合成時にその境界を目立たなくすることができる。
<変容例>
なお、本実施例においては、図12に示す重複領域の深さ位置に基づいた重み付け関数k(z)を用いて重み付けを行う構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、重複領域の深さ位置に基づいた重み付け関数は、合成OCTデータ300の重複領域に生じる境界を目立たなくすることができる関数であればよく、直線で表される関数であっても、曲線で表される関数であってもよい。また、例えば、重複領域の深さ位置に基づいた重み付け関数は、本実施例のように深さ位置Sから深さ位置Rまでの範囲において連続した関数であってもよいし、所定の深さ範囲毎に設けられた不連続な関数であってもよい。例えば、このような重み付け関数としては、以下に示す関数を用いることができる。
ここで、αは重み付け関数w(z)の切片であり、その範囲は0≦α≦1である。例えば、このような式で表される重み付け関数w(z)及び重み付け関数1−w(z)では、深さ方向に変化する重み付けの比率が次のようになる。例えば、深さ位置Sにおいては、第1OCTデータ100の輝度値と、第2OCTデータ200の輝度値と、に対する重み付けの比率がα:1−αとなる。また、例えば、深さ位置Rにおいては、第1OCTデータ100の輝度値と、第2OCTデータ200の輝度値と、に対する重み付けの比率が1−α:αとなる。例えば、この切片αを適当な値に設定しておくことで、重複領域の各深さ位置における重み付けを行ってもよい。なお、切片αが1であれば、重み付け関数w(z)は重み付け関数k(z)と同一となり、重み付け関数1−w(z)は重み付け関数1−k(z)と同一となる。すなわち、重み付け関数w(z)及び1−w(z)は、図12と同一のグラフとして表される。
また、例えば、重複領域の深さ位置に基づいた重み付け関数は、以下に示す関数であってもよい。
図14は重み付け関数の変容例をグラフに表した図である。上記の重み付け関数である場合、重み付け関数v(z)は図14に示すようなシグモイド曲線となる。aはシグモイド曲線の変曲点Pにおける傾きを決定する定数であり、その範囲は0<a<1である。なお、expは自然対数の底を表す。
例えば、重み付け関数v(z)及び重み付け関数1−v(z)により算出される重み付けの値は、定数aが小さくなるほど変曲点Pにて緩やかに傾き、定数aが大きくなるほど変曲点Pにて急激に傾く。例えば、この定数аを適当な値に設定しておくことで、重複領域の各深さ位置における重み付けを行ってもよい。
なお、本実施例においては、第1OCTデータ100の輝度値と、第2OCTデータ200の輝度値と、に対する重み付けの比率を、必ずしもk(z):1−k(z)としなくてもよい。例えば、重み付けの比率は、k(z):1−v(z)やw(z):1−(k)等、各OCTデータにおいて異なる重み付け関数を用いてもよい。
なお、本実施例における合成データ取得手段は、重複領域において重み付けを行う際に、深さ方向に浅いOCTデータに対しては深さ方向に深い重複領域ほど重み付けを小さくし、深さ方向に深いOCTデータに対しては深さ方向に深い重複領域ほど重み付けを大きくするようにしてもよい。このような重み付けを行うことによっても、重複領域の境界の前後で発生する輝度差を抑制し、各OCTデータの合成時にその境界を目立たなくすることができる。
なお、本実施例においては、第1撮像領域と第2撮像領域とを撮影する際に、測定光の集光位置を変更する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例におけるOCTデバイス1は、測定光の集光位置を特定の1箇所に設定する構成であってもよい。例えば、被検眼Eの前眼部前側と、被検眼Eの前眼部後側と、においてOCTデータを取得する場合には、被検眼Eの角膜前面と水晶体後面との中間(より好ましくは、水晶体前面と水晶体後面の中間)に集光位置が設定されてもよい。
なお、本実施例においては、第1撮像領域として被検眼Eの前眼部前側を、第2撮像領域として被検眼Eの前眼部後側を撮影し、それぞれのOCTデータを用いて合成OCTデータを取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、本実施例におけるOCTデバイス1は、被検眼Eの前眼部(例えば、角膜前面から水晶体後面までの領域等)と、被検眼Eの眼底(例えば、水晶体後面から眼底までの領域等)と、のOCTデータをそれぞれ取得し、これらを用いて前眼部から眼底までの領域における合成OCTデータを取得する構成であってもよい。もちろん、例えば、OCTデバイス1は、被検眼Eの前眼部から眼底までの領域を、角膜前面から水晶体前面までの領域、水晶体前面から水晶体後面までの領域、及び水晶体後面から眼底までの領域、等に分けて撮影することで取得したOCTデータを用いて、合成OCTデータを取得する構成であってもよい。
なお、本実施例においては、設定された撮影モードに応じて、制御部70が参照ミラー34を所定の距離だけ移動させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、制御部70は、参照ミラー34の位置を初期位置に設定してレンズ23aの屈折力を0Dにする初期化を行い、参照ミラー34を初期位置から一方向に所定ステップで移動させることで、参照光の光路長を調整するようにしてもよい。例えば、これによって、制御部70は、第1撮像領域及び第2撮像領域における各OCTデータを取得できる位置を探索してもよい。
なお、本実施例においては、参照光の光路長を調整することによって、ゼロディレイ位置を移動させる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、制御部70は、測定光の光路長を調整することによって、ゼロディレイ位置を移動させるようにしてもよい。例えば、この場合には、光ファイバ15bの端部16bと、コリメータレンズ21と、を一体的に移動させることで、測定光の光路長を調整してもよい。
なお、本実施例においては、OCT光学系2が1つの参照光路と1つの検出器を備え、参照光路を切り換えることによって、2つのOCT信号を取得する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、OCT光学系2は、第1参照光路と、第1参照光路とは異なる第2参照光路と、第1参照光路からの参照光と測定光との第1OCT信号を検出するための第1検出器と、第1検出器とは異なる第2検出器であって、第2参照光路からの参照光と測定光との第2OCT信号を検出するための第2の検出器と、を備える構成であってもよい。例えば、このようなOCT光学系であれば、参照光路を切り換えなくとも、2つのOCT信号を同時に取得することができる。
なお、本実施例においては、被検物が眼であり、眼科撮影装置において合成OCTデータを取得する場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、被検物は眼以外の生体(例えば、皮膚や血管等)や生体以外の試料(例えば、樹脂体等)等であってもよく、これらのOCTデータを取得する装置においても、本実施例を適用することができる。