JP2021178965A - 成形体および成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 有機資源由来の強化繊維はパルプ繊維である[1]に記載の成形体。
[3] 熱可塑性樹脂の融点は200℃以下である[1]又は[2]に記載の成形体。
[4] 樹脂領域を構成する樹脂の融点は200℃以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の成形体。
[5] 樹脂領域を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[4]のいずれかに記載の成形体。
[6] 繊維強化プラスチック領域に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、エチレンビニルアルコール共重合体、低融点PET及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]〜[5]のいずれかに記載の成形体。
[7] 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートを積層し、成形する工程を含む成形体の製造方法。
[8] 成形する工程が、プレス成形する工程、真空成形する工程及び圧空成形する工程から選択される少なくとも1工程である[7]に記載の成形体の製造方法。
[9] 樹脂シートは、フィルム又は不織布であって、且つ、樹脂シートを構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である[7]又は[8]に記載の成形体の製造方法。
[10] 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートとを積層した積重体。
[11] 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートとを接着層を介して積層した積層体。
本発明は、繊維強化プラスチック領域と、繊維強化プラスチック領域の少なくとも一方の面側に接する樹脂領域とを含む成形体に関する。繊維強化プラスチック領域は、有機資源由来の強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む。有機資源由来の強化繊維の含有量は、繊維強化プラスチック領域の全質量に対して5質量%以上である。
さらに、本発明の成形体は、強化繊維として有機資源由来の強化繊維を用いているため、埋め立て後の生分解性が高く、焼却処理時の負荷を低減することができる。このように、本発明の成形体は、環境への負荷が低減された成形体である。
繊維強化プラスチック領域は、有機資源由来の強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含む。
なお、繊維強化プラスチック領域の境界面が明確ではない場合は、有機資源由来の強化繊維の含有量が2質量%以上の領域を繊維強化プラスチック領域と定義し、その領域の質量を繊維強化プラスチック領域の全質量とすることができる。
なお、本明細書において、繊維強化プラスチック領域の密度は、繊維強化プラスチック領域を形成する繊維強化プラスチック成形体用シートを単独で加熱加圧成形して得られる繊維強化プラスチック成形体の密度と同等である。すなわち、繊維強化プラスチック成形体の密度を測定することで、繊維強化プラスチック領域の密度とすることができる。
繊維強化プラスチック領域は、有機資源由来の強化繊維を含む。有機資源由来の強化繊維としては、例えば、パルプ繊維、コットン、ケナフ、竹、麻、絹、羊毛等を挙げることができる。なお、繊維強化プラスチック領域には、有機資源由来の強化繊維以外の成分を含んでいてもよく、例えば、木粉等の有機資源由来粉末、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂の融点は200℃以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂の融点は、195℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点は、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂の融点を上記範囲内とすることにより、併用する有機資源由来の強化繊維が劣化することを抑制することができ、成形体の耐水性、意匠性及び強度を高めることができる。
繊維強化プラスチック領域は、その他成分として、バインダー成分を含有してもよい。バインダー成分は、繊維強化プラスチック領域の全質量に対して0.1質量%以上45質量%以下となるように含有されてもよく、0.3質量%以上40質量%以下となるように含有されてもよく、0.4質量%以上35質量%以下となるように含有されてもよく、0.5質量%以上30質量%以下となるように含有されてもよい。バインダー成分の含有量を上記範囲内とすることにより、成形体を製造する際の、ハンドリング性等を向上させることができる。
製紙薬品としては、紙力増強剤、歩留向上剤、濾水性向上剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が挙げられる。紙力増強剤としては、ポリアクリルアミド等が挙げられる。さらに湿潤紙力増強剤も併用可能であり、例えばポリアミド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等が挙げられる。
本発明の成形体は、繊維強化プラスチック領域の少なくとも一方の面側に樹脂領域を有する。本発明の成形体は、繊維強化プラスチック領域の少なくとも一方の面側に樹脂領域を有することにより、透気性が低くなり、ガスバリア性が高くなる。樹脂領域は熱可塑性樹脂を含む。樹脂領域に含まれる熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂領域の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。また、樹脂領域は、熱可塑性樹脂のみから構成されてもよい。
なお、樹脂領域の境界面が明確ではない場合は、有機資源由来の強化繊維の含有量が2質量%未満の領域を樹脂領域と定義し、その領域の質量を樹脂領域の全質量とすることができる。
本発明は有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートを積層し、成形する工程を含む成形体の製造方法に関するものでもある。繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂シートを積層したものは、目的とする成形品の形状や成形法に合わせて任意の形状に加工することができる。
なお、本発明は、樹脂シートを積層する工程で得られる積重体、及び積層体に関するものでもある。
接着面積をコントロールする方法としては、繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂シートを接着させる接着剤を塗布する際、ストライプ状に塗布するなど塗布のパターンを変更する方法や、樹脂シートを直接加熱エンボス加工する際、格子状やドット状のパターンで加熱する方法が挙げられる。
なお、繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂シートを、接着層を介して積層し積層体とし、その積層体に成形工程が施される場合も、接着層を介した繊維強化プラスチック成形体用シートと樹脂シートの接着はより強固なものとなる。
本発明の成形体の製造工程で用いられる繊維強化プラスチック成形体用シートは、有機資源由来の強化繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを含む。繊維強化プラスチック成形体用シートには必要に応じてバインダー成分等のその他の成分が含まれていてもよい。
繊維強化プラスチック成形体用シートは、湿式又は乾式のシート形成方法を用いて製造される。例えば、湿式抄紙法を用いて繊維強化プラスチック成形体用シートを製造する際には、熱可塑性樹脂繊維と有機資源由来の強化繊維、必要に応じてバインダー成分、填料、製紙薬品等を水などの溶媒中に分散させる。そして、溶媒を除去してウェブを形成する。
また、繊維の結合にケミカルボンド法が用いられる場合、繊維同士を固着させるためにバインダー成分が添加されることが好ましい。バインダー成分としては、必要に応じて適宜選択可能であり、たとえば、デンプン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸ソーダ等の溶液タイプのバインダーや、ポリアクリル酸エステル、アクリル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体、尿素−メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂等のエマルジョンタイプのバインダー等が使用可能である。また、上述したバインダー成分を使用することも好ましい。なお、上記のバインダーとしては、繊維、粉体、顆粒状、溶液あるいはエマルジョンなど、種々の形態のものを用いることができ、二種以上を併用することもできる。
本発明の成形体の製造工程で用いられる樹脂シートは、熱可塑性樹脂を含む。樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂シートの全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。また、樹脂シートは、熱可塑性樹脂のみから構成されてもよい。
樹脂シートは、フィルム又は不織布であって、樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂フィルム又はポリオレフィン系樹脂からなる不織布であることがより好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンが好ましく用いられ、ポリプロピレンが特に好ましく用いられる。
本発明の成形体は、電機・電子機器、OA機器、架電機器、土木・建築、自動車、航空機の部品、構造部品および筐体、容器(例えば、食品容器、薬品包装容器)、家具、日用雑貨、医療用具などに好ましく用いられる。
(繊維強化プラスチック成形体用シート(A)の作製)
走行する無端のメッシュ状コンベア上に坪量14g/m2のティシュを繰り出し、その上に、原料繊維を、エアレイド方式のウェブフォーミング機により空気流とともに落下堆積させてウェブを形成した。なお、原料繊維には、パルプ(NBKP)と、ポリ乳酸繊維(商品名:PL01、融点170℃、繊維太さ15μm、繊維長:5mm、ユニチカ社製)と、PET/PET芯/鞘型複合繊維(商品名:テトロン、繊維太さ15μm、繊維長:5mm、帝人ファイバー社製)を70:25:5の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製したものを用いた。
次いで、形成されたウェブ上にティシュを繰り出した。表裏面にティシュを有するウェブを、温度140℃のスルーエアードライヤーに通過させ、坪量500g/m2の乾式不織布シートを作製した。その後、表裏面のティシュを剥ぎ取り、繊維強化プラスチック成形体用シート(A1)とした。繊維強化プラスチック成形体用シート(A1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であった。得られた繊維強化プラスチック成形体用シート(A1)1枚と坪量40g/m2のCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、融点135℃)を積層して、160℃のホットプレスに挿入して0.5MPaで30秒加圧した後、常温のコールドプレスに挿入して0.5MPaで30秒加圧し、厚み1.0mm、密度0.54g/cm3の繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(A2)を得た。
上記繊維強化プラスチック成形体用シート(A1)を2枚積層して、さらに坪量40g/m2のCPPフィルムを表面に積層し、底面からの高さが8cm、直径14cmのどんぶり形状の凹凸型に入れて常温のホットプレスに挿入し、30tプレス機を用いて、1MPaの加圧下で160℃まで昇温した後10MPaまで加圧した。この状態で10分間保持した後、10分かけて30℃まで冷却して厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のおわん型プレス成形体(A1−1)を得た。
加熱ゾーンと成形ゾーンからなる真空成形機を用いて、上記で得られた繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(A2)1枚を成形装置の枠に固定した。加熱ゾーンの遠赤外過熱装置の温度設定を400℃(シートの表面温度が160℃になるように)設定にして15秒加熱した後、成形ゾーンで底面からの高さが3cm、直径14cmのおわん形状の凹凸型を用いて真空・圧空成形を行い、厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(A2−1)を得た。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート芯鞘繊維(商品名:NBF(KK)PL、融点100℃、繊維太さ18μm、繊維長:5mm、ダイワボウポリテック社製)を70:30の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(B1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(B2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(B1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用シート(B2)の厚みは1.0mm、密度は0.54g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体(B1−1)と厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(B2−1)を得た。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とエチレンビニルアルコール共重合体繊維(商品名:S030、融点170℃、繊維太さ約9μm、繊維長:5mm、クラレ社製)、ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート芯鞘繊維(NBF(KK)PL、融点100℃、繊維太さ約18μm、繊維長:5mm、ダイワボウポリテック社製)を51:44:5の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いた以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(C1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(C2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(C1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用シート(C2)の厚みは1.0mm、密度は0.54g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体(C1−1)と厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(C2−1)を得た。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とPP/PE芯/鞘型複合繊維(商品名:ETC、融点130℃、繊維太さ13μm、繊維長5mm、チッソ株式会社製)を70:30の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(D1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(D2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(D1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用シート(D2)の厚みは1.0mm、密度は0.54g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体(D1−1)と厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(D2−1)を得た。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とPP/PE芯/鞘型複合繊維(商品名:ETC、融点130℃、繊維太さ13μm、繊維長5mm、チッソ株式会社製)を51:49の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(E1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(E2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(E1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(E2)の厚みは1.0mm、密度は0.54g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体(E1−1)と厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(E2−1)を得た。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とPP/PE芯/鞘型複合繊維(商品名:ETC、融点130℃、繊維太さ13μm、繊維長5mm、チッソ株式会社製)を51:49の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いて加熱プレスしながら、α:坪量500g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シート(F1)と、β:1000g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シート(F1’)を作製した。繊維強化プラスチック成形体用シート(F1)の厚みは2.8mm、密度は0.37g/cm3であった。
上記繊維強化プラスチック成形体用シート(F1)の表面のティシュを剥ぎ取った。次いで、坪量40g/m2のCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、融点135℃)にホットメルトコーターでPP樹脂(ポリプロピレン樹脂、融点135℃)を坪量5g/m2となるように塗工し、塗工面に繊維強化プラスチック成形体用シート(F1)をプレスしながら貼合した。次いで裏面のティシュを剥ぎ取った。このようにして得た積層シートを実施例1と同様の方法でプレス成形し、厚み0.80mm、密度1.36g/cm3のどんぶり型プレス成形体(F1−1)を得た。
上記繊維強化プラスチック成形体用シート(F1’)の表面のティシュを剥ぎ取った。次いで、坪量40g/m2のCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、融点135℃)にホットメルトコーターでPP樹脂(ポリプロピレン樹脂、融点135℃)を坪量5g/m2となるように塗工し、塗工面に繊維強化プラスチック成形体用シート(F1’)をプレスしながら貼合した。次いで裏面のティシュを剥ぎ取った。このようにして得た積層シートを実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2)とした。繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2)の厚みは1.5mm、密度は0.34g/cm3であった。繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2)を用いて実施例1と同様にして、厚み0.9mm、密度0.61g/cm3のおわん型真空成形体(F2−1)を得た。
実施例6aにおける繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2)の形成工程において、プレス圧を弱めることで繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2)の代わりに繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2’)を得た。具体的には、表面温度140℃のロールプレスを用いてクリアランスを5mmに設定して、厚みが5.5mm、密度が0.09g/cm3の繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2’)を得た。繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(F2’)を用いて実施例1と同様にして、厚み4.5mm、密度0.12g/cm3のおわん型真空成形体(F2’−1)を得た。おわん型真空成形体(F2’−1)においては、表面に若干のコゲの発生が見られた。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、表裏面のティシュを剥ぎ取らなかった以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(G1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(G2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(G1)の厚みは2.8mm、密度は0.38g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(G2)の厚みは1.5mm、密度は0.38g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.80mm、密度1.36g/cm3のどんぶり型プレス成形体(G1−1)と厚み0.9mm、密度0.61g/cm3のおわん型真空成形体(G2−1)を得た。
5kgの水中にポリアクリルアミド系のアニオン凝集剤(商品名:スミフロックFA−40、住友化学社製)の0.03%液を100g添加した後、エチレンビニルアルコール共重合体繊維(商品名:S030、融点170℃、繊維太さ約9μm、繊維長:5mm、クラレ社製)を25g添加し、撹拌して分散させて、0.5%のエチレンビニルアルコール共重合体繊維分散液を得た。さらにNBKP(ろ水度:480ml)の0.5%分散液5.2kgを投入して混合撹拌して、エチレンビニルアルコール共重合体:パルプ(51:49(質量比))の繊維強化プラスチック成形体用シートスラリーを得た。
長網式抄紙機を用いて、上記繊維強化プラスチック成形体用シートスラリーを抄紙して、110℃のシリンダードライヤーで乾燥させて、 坪量150g/m2の繊維強化プラスチック成形体用シート(I1)を得た。得られた繊維強化プラスチック成形体用シート(I1)1枚と坪量40g/m2のCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、融点135℃)を積層して、160℃のホットプレスに挿入して0.5MPaで30秒加圧した後、常温のコールドプレスに挿入して0.5MPaで30秒加圧し、繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(I2)を得た。
上記繊維強化プラスチック成形体用シート(I1)を2枚積層して、さらに坪量40g/m2のCPPフィルムを表面に積層し、底面からの高さが8cm、直径14cmのどんぶり形状の凹凸型に入れて常温のホットプレスに挿入し、30tプレス機を用いて、1MPaの加圧下で160℃まで昇温した後10MPaまで加圧した。この状態で10分間保持した後、10分かけて30℃まで冷却しておわん型プレス成形体(I1−1) を得た。なお、当該プレス成形体に関して、後述する耐水性は「浸透なし」であり、意匠性(光沢感)は○であり、成形性は5であった。
繊維強化プラスチック成形体用シートの作製において、パルプ(NBKP)とPP/PE芯/鞘型複合繊維(商品名:ETC、融点130℃、繊維太さ13μm、繊維長5mm、チッソ株式会社製)を60:40の質量比で配合し、空気中で均一に混合して調製した原料繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(J1)と繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(J2)を得た。繊維強化プラスチック成形体用シート(J1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(J2)の厚みは1.0mm、密度は0.54g/cm3であった。実施例1と同様にして厚み0.78mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体(J1−1)と厚み0.9mm、密度0.60g/cm3のおわん型真空成形体(J2−1)を得た。
実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用シート(H1)を得た。プレス成形の際、フィルムを積層しなかった以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(H2)を得た。繊維強化プラスチックプレス成形用シート(H1)の厚みは12mm、密度は0.04g/cm3であり、繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(H2)の厚みは0.95mm、密度は0.53g/cm3であった。
繊維強化プラスチック成形体用シート(H1)を用い、フィルムを積層しなかった以外は、実施例1と同様にして厚み0.75mm、密度1.33g/cm3のどんぶり型プレス成形体を得た。繊維強化プラスチック成形体用プリプレスシート(H2)を用い、実施例1と同様にして厚み0.85mm、密度0.59g/cm3のおわん型真空成形体(H2−1)を得た。
<表面性状(成形性)>
得られた真空成形体の形状を確認して表面性状(成形性)を評価した。
5:表面性状(成形性)が良好であり、成形体の表面に透け及び破れがない
4:成形体の表面積の1%以上10%未満の領域に透けがある
3:成形体の表面積の10%以上20%未満の領域に透けがある
2:成形体の表面積の20%以上50%未満の領域に透けがある
1:成形体の表面積の50%以上の領域に透けがある、もしくは、成形体の表面に破れがある
得られた真空成形体に90℃のお湯を入れ、1秒後、10秒後、30秒後、60秒後、120秒後の基材への浸透有無を目視で確認し、浸透が確認された時間を記録した。
得られた真空成形体の表面性状を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○:光沢感がある。
△:ややくもりがある。
×:光沢感が無い。
一方、比較例で得られた繊維強化プラスチック成形体用シートを用いた場合、成形体において耐水性に劣り、意匠性も良好ではなかった。
12 繊維強化プラスチック領域
14 樹脂領域
Claims (11)
- 繊維強化プラスチック領域と、前記繊維強化プラスチック領域の少なくとも一方の面側に接する樹脂領域とを含む成形体であって、
前記繊維強化プラスチック領域は、有機資源由来の強化繊維と、熱可塑性樹脂とを含み、
前記有機資源由来の強化繊維の含有量は、前記繊維強化プラスチック領域の全質量に対して5質量%以上であることを特徴とする成形体。 - 前記有機資源由来の強化繊維はパルプ繊維である請求項1に記載の成形体。
- 前記熱可塑性樹脂の融点は200℃以下である請求項1又は2に記載の成形体。
- 前記樹脂領域を構成する樹脂の融点は200℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記樹脂領域を構成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体。
- 前記繊維強化プラスチック領域に含まれる前記熱可塑性樹脂が、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、エチレンビニルアルコール共重合体、低融点PET及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体。
- 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、前記有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートを積層し、成形する工程を含む成形体の製造方法。
- 前記成形する工程が、プレス成形する工程、真空成形する工程及び圧空成形する工程から選択される少なくとも1工程である請求項7に記載の成形体の製造方法。
- 前記樹脂シートは、フィルム又は不織布であって、且つ、
前記樹脂シートを構成する樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7又は8に記載の成形体の製造方法。 - 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、前記有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートとを積層した積重体。
- 有機資源由来の強化繊維及び熱可塑性樹脂を含み、前記有機資源由来の強化繊維の含有量が5質量%以上である繊維強化プラスチック成形体用シートと、樹脂シートとを接着層を介して積層した積層体。
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