JP5653683B2 - 補強シート及びこれを用いたシート状構造材 - Google Patents

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Description

本発明は、補強シート及びこれを用いたシート状構造材に関するものである。
自動車用の内装材には、一般的に、強度、生産性、加工安定性等の性能が要求されている。近年、環境保護に対する関心が高まりにより、燃費の向上のための軽量化、産業廃棄物削減による環境負荷の低減等の環境特性も求められている。
自動車用の天井内装材としては、シート材としての発泡ポリウレタンシートと、この補強材としてガラス素材とを用いたものが知られている(例えば特許第4026455号公報等参照)。上記自動車用天井内装材は、強度、生産性等に優れている。しかし、上記自動車成形天井材はガラス素材を用いているため、強度等を維持したまま軽量化するのが困難である、廃棄時に産業廃棄物が発生する等の不都合がある。
また、発泡ウレタンシートの補強材として紙素材からなる補強シートを使用することもできる。上記補強シートは廃棄時に焼却できるため、環境負荷を低減できる。しかし上記補強シートは伸び率が低いため、ルーフパネルに沿う形状に成型する時に破れが生じる場合がある。そのため、引張強度を保ちつつ十分な伸び率を有し、成型時の破れを防止できる補強材が求められている。
特許第4026455号公報
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、シート材に高い伸び率及び良好な引張強度を付与し、かつ加工性及び環境特性にも優れた補強シート及びこれを用いたシート状構造材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
接着剤が含浸可能な補強シートであって、
天然繊維を含む組成物を抄紙して得られ、
抄紙方向に対して略垂直に設けられた複数の直線状切り込み部を有することを特徴とする補強シートである。
この補強シートは、天然繊維を含有するため、シート材に引張強度及び軽量性をバランス良く付与しつつ、産業廃棄物の減量等を実現することができる。また、当該補強シートは抄紙方向に対して略垂直に設けられた複数の直線状切り込み部を有するため、上記直線状切り込み部の変形に応じて抄紙方向に容易に伸縮することができる。すなわち、当該補強シートは、高い伸び率を発揮しつつ良好な引張強度を有するため、成型時の破れを防止することができる。
当該補強シートは、上記直線状切り込み部の一端又は両端をそれぞれ囲うように設けられた非直線状切り込み部を有するとよい。当該補強シートによれば、抄紙方向へ伸びる際に上記非直線状切り込み部がひずみ、上記直線状切り込み部にかかる力が分散されるため当該補強シートの破断発生を抑制することができる。
上記非直線状切り込み部は、中心が上記直線状切り込み部上にあり、中心角が120度以上240度以下の略円弧形であるとよい。当該補強シートによれば、抄紙方向へ伸びる際に上記略円弧状の非直線状切り込み部が略等方向にひずみ、上記直線状切り込み部にかかる力がシート全体に分散されるため、当該補強シートの破断をより効率的に抑えることができる。
当該補強シートは、上記組成物が熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維をさらに含むとよい。この補強シートの組成物中に熱可塑性合成繊維を含有させることで、熱可塑性合成繊維が補強シートのシート材への熱プレスの際に融解して天然繊維間に浸透し、補強シートのシート材に対する接着性を向上させ、シート材に高い引張強度、伸び率、加工性を付与することができる。また、かかる補強シートの組成物中に非熱可塑性化学繊維を含有させることで、非熱可塑性化学繊維が補強シートのシート材への加熱接着によっても軟化せず存在し、補強シートの繊維間隔を維持する。従って、この繊維の間隙に接着剤が多く存在することができるため、当該補強シートの加工性がさらに向上する。
上記直線状切り込み部の配設密度が10個/100cm以上30個/100cm以下であるとよい。この直線状切り込み部の配設密度を上記範囲とすることで、補強シートの引張強度と伸び率とを好適な範囲に制御することができ、シート材としての望ましい効果を発揮することができる。
当該補強シートの密度は、0.4g/cm以上0.9g/cm以下であるとよい。この補強シートの密度を上記範囲とすることで、補強シートに接着剤がより一層含浸しやすくなり、シート材への接着が一層容易になると共に、シート材への接着作業に十分耐え得る引張強度及び伸び率を発揮することができる。
当該補強シートの坪量が60g/m以上250g/m以下であるとよい。当該補強シートの坪量を上記範囲とすることにより、当該補強シートをシート材等に接着剤で貼り付けて加工した際に十分な強度を持つ成型素材となり、かつ軽量化も実現できる。
上記課題を解決するための別の発明は、シート材と、このシート材の片面又は両面に接着剤を介して接着される補強シートとを備えるシート状構造材である。このシート状構造材は、本発明の補強シートを補強材として使用するため、高い伸び率及び良好な引張強度を発揮することができる。
上記シート状構造材は、自動車用内装材として好適に使用される。かかるシート状構造材を用いることで、軽量性、加工性及び環境特性に優れ、成型時の破れのない良好な自動車用内装材を提供することができる。
ここで、「非熱可塑性化学繊維」とは、熱可塑性樹脂に似た特性を有するが、融点が熱分解温度以下の温度で存在しない合成繊維をいう。また、抄紙方向とは抄紙の際のワイヤーの走行方向のことをいい、得られる補強シート中の天然繊維の配向方向に一致する。また、抄紙方向に対し略垂直とは、抄紙方向に対する傾きが75度以上105度以下であることをいう。
以上説明したように、本発明の補強シートは、高い伸び率及び良好な引張強度を有し、かつ加工性及び環境特性にも優れる。また、かかる補強シートを備えるシート状構造材は成型時の破れも抑えられているため、自動車用内装材等の用途へ利用することができる。
本発明の一実施形態に係る補強シートを示す概略平面図である。 図1の補強シートとは異なる実施形態に係る補強シートを示す概略平面図である。 図1の補強シートを用いたシート状構造体を示す概念断面図である。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。
(補強シート)
図1の補強シート1は、天然繊維を含む組成物を抄紙して得られるものであり、複数の直線状切り込み部2を有している。
補強シート1は、シート材(後述する)に接着剤を介して接着する部材であり、シート材に引張強度や曲げ強度等を付与するものである。かかる補強シート1は、シート材の種類や用途等に応じて、シート材の片面又は両面に接着することが可能である。
補強シート1は、天然繊維を含む組成物を抄紙して得られる。かかる天然繊維素材としては、天然パルプが好適に用いられる。この補強シート1を構成する組成物に天然パルプを含有させることで、補強シート1に強度及び軽量性をバランス良く付与すると共に、産業廃棄物の減量を達成することができる。
上記天然パルプの種類としては、特に限定されず、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプや、サイザル麻、マニラ麻、サトウキビ、コットン、シルク、竹、ケナフから得られるパルプ等が挙げられる。中でも、高い引張強度、曲げ強度を発揮する竹、繊維強度が高いケナフやマニラ麻を使用することが好ましく、入手及び加工が容易で比較的紙力が大きい後述の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)及び広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を使用することも好ましい。
古紙パルプとしては、例えば段ボール古紙、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙、ケント古紙、構造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。
化学パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等が挙げられる。
機械パルプとしては、例えばストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等が挙げられる。
上記組成物の繊維素材における天然パルプの含有量は、特に限定されず、100質量%とすることもできるが、かかる天然パルプの含有量の上限としては95質量%が好ましく、93質量%がより好ましく、90質量%が特に好ましい。また、天然パルプの含有量の下限としては40質量%が好ましく、45質量%がより好ましく、50質量%が特に好ましい。このように天然パルプの含有量の上限及び下限を設定することで、補強シート1の軽量性を向上させつつ、良好な引張強度及び伸び率を確実に発揮させることができる。かかる天然パルプの含有量が95質量%を超えると、天然パルプ繊維は、合成・化学繊維に比べ繊維長が短く、十分な強度が得られず、破断する可能性があるため好ましくない。また、この天然パルプの含有量が65質量%未満であると、コスト高となり経済的でないため好ましくない。
上記組成物中における天然パルプは、2種類を混合させて用いることが好ましく、中でも広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の2種類を混合させて用いることが特に好ましい。上記針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の含有量としては、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上75質量%以下がより好ましく、60質量%以上70質量%以下が特に好ましい。上記広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)の含有量としては、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下が特に好ましい。このように広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)及び針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の含有量の上限及び下限を設定することにより、補強シート1の軽量性を向上させつつ、良好な引張強度及び伸び率をより確実に発揮させることができる。
このように、天然パルプを含む組成物を抄紙して得られる当該補強シート1は、接着剤が含浸可能な間隙を有する。この補強シート1を構成する天然パルプの間隙に接着剤が十分含浸することで、補強シート1とシート材とを強固に接着・固定することができ、その結果、補強シート1を接着したシート状構造材(後述する)に対して高い強度を付与することができる。
上記組成物は、熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維をさらに含むとよい。この熱可塑性合成繊維は、補強シート1をシート材に接着する前の状態では融解することはないが、補強シート1をシート材に熱プレスで接着させる際に、かかる熱により融解して天然繊維間に浸透し、補強シート1のシート材に対する接着性を向上させる。また、かかる接着剤は、その後冷却して固化することから、補強シート1を接着した構造材に対して、高い引張強度及び曲げ強度を付与することができる。なお、補強シート1をシート材に加熱接着させることにより、接着剤使用量の低減を実現することができる。なお熱可塑性合成繊維の融点は100℃から140℃程度の範囲であればよい。
上記熱可塑性合成繊維の種類としては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維;ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−46、ナイロン−66、共重合ナイロンなどのポリアミド系繊維;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートなどの生分解性繊維等が挙げられる。中でも、強度が強く、当該補強シートに対して良好な引張強度を付与することから、ポリエステル系繊維を用いることが好ましい。
上記組成物の繊維素材における熱可塑性合成繊維の含有量の上限としては、30質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。また、熱可塑性合成繊維の含有量の下限としては5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。このように熱可塑性合成繊維の含有量の上限及び下限を設定することで、抄紙工程の加熱下で溶融した熱可塑性合成繊維が天然パルプの繊維間へ効率よく浸透し、補強シート1の引張強度伸び率を効果的に実現できる。この熱可塑性合成繊維の含有量が30質量%を超えると、天然パルプ繊維配合量が減少し、補強シート1における接着剤の吸収性が低下し、シート構造材として使用する際に引張強度が不足する恐れがあるため好ましくない。また、熱可塑性合成繊維の含有量が5質量%未満であると、補強シート1の天然パルプ繊維同士の接着効果が低下し、補強シート1が破断しやすくなるため好ましくない。
非熱可塑性化学繊維は、熱プレス時に溶融することのない繊維体である。この非熱可塑性化学繊維は、補強シート1をシート材に熱プレスで接着させる際に、かかる熱によっても溶融・軟化することなく、補強シート1のパルプ繊維間の水素結合を部分的に阻害することでパルプの繊維間隔が維持され、かかる繊維の間隙に接着剤が多く浸潤することとなり、その結果、シート材に対して良好な強度を付与することができる。
上記非熱可塑性化学繊維の種類としては、特に限定されないが、例えばビニロン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維などの再生セルロース繊維等が挙げられる。中でも、繊維方向と垂直な断面の形状が略円形であるビニロン繊維が、補強シート1に対して高い強度を付与することができるため好ましい。
上記組成物の繊維素材における非熱可塑性化学繊維の含有量の上限としては10質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、3質量%が特に好ましい。また、非熱可塑性化学繊維の含有量の下限としては0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1.5質量%が特に好ましい。このように非熱可塑性化学繊維の含有量の上限及び下限を設定することで、補強シート1は、接着剤の吸収性を低下させることなく良好な引張強度及び曲げ強度を発揮することができる。この非熱可塑性化学繊維の含有量が10質量%を超えると、補強シート1全体に対する天然パルプ繊維配合量が減少し、補強シート1に対する接着剤の吸収性が低下するため好ましくない。また、非熱可塑性化学繊維の含有量が0.1質量%未満であると、天然パルプ繊維の繊維長が非熱可塑性化学繊維に比べて短いため、繊維同士の絡みが少なくなり、補強シート1の引張強度が低下する傾向があるため好ましくない。さらに、非熱可塑性化学繊維の含有量が少なくなると、補強シート1のパルプ繊維間の水素結合を十分に阻害できなくなり、繊維の間隙に接着剤が浸潤できなくなり、引張強度の低下を招く恐れがある。
当該補強シート1の密度の上限としては0.9g/cmが好ましく、0.7g/cmがより好ましい。当該補強シート1の密度の下限としては0.4g/cmが好ましく0.5g/cmがより好ましい。このように補強シート1の密度の上限及び下限を設定することで、当該補強シート1は、補強シートに接着剤がより一層含浸しやすくなりシート材への接着が一層容易になると共に、シート材への接着作業に十分耐え得る引張強度及び伸び率を発揮することができる。この補強シート1の密度が0.4g/cm未満であると、補強シート1の引張強度及び伸び率が著しく低下するため好ましくない。また、この補強シート1の密度が0.9g/cmを超えると、補強シート1に接着剤が含浸し難くなるため加工性が低下する。また、含浸しきれない余分な接着剤が直線状切り込み部2を通じてシート材の反対表面に滲出し、マシン汚れが発生するため好ましくない。
当該補強シート1の坪量の上限としては250g/mが好ましく、190g/mがより好ましい。当該補強シート1の坪量の下限としては60g/mが好ましく、80g/mがより好ましい。このように補強シート1の坪量の上限及び下限を設定することで当該補強シート1は、シート材等に接着剤で貼り付けて加工した際に十分な強度を持つ成型素材となる。また、当該補強シート1が少量の接着剤でも十分に含浸することができるため、接着剤の使用量の削減による軽量化も実現できる。また、補強シート1の坪量は、用途に応じて調整することができる。
補強シート1は、抄紙方向に対して略垂直に設けられた複数の直線状切り込み部2を有する。これにより、当該補強シート1は上記直線状切り込み部2の変形に応じて抄紙(縦)方向に効率的に伸縮することができる。当該補強シート1は、高い伸び率を発揮しつつ良好な引張強度を有するため、成型時の破れを防止することができる。なお、直線状切り込み部とは、補強シートに設けられた直線状の切り込みである。
上記直線状切り込み部2の長さの上限としては20mmが好ましく、15mmがより好ましい。また、上記直線状切り込み部2の長さの下限としては3mmが好ましく、5mmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の長さが20mmを超えると、当該補強シート1の抄紙方向の引張強度が下がり成型時に破断しやすくなる。また、上記直線状切り込み部2の長さが3mm未満であると、補強シート1の抄紙方向の伸び率が低下するため好ましくない。
上記直線状切り込み部2の長さ方向の間隔の上限としては20mmが好ましく、15mmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の長さ方向の間隔の下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の長さ方向の間隔が15mmを超えると、当該補強シートの抄紙方向に対して略垂直方向に十分に伸縮しないいため好ましくない。また、上記直線状切り込み部2の長さ方向の間隔が3mm未満であると、当該補強シート1の抄紙方向の引張強度が弱くなり破断するため好ましくない。
上記直線状切り込み部2の長さ方向に垂直な方向の間隔の上限としては15mmが好ましく、10mmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の長さ方向に垂直な方向の間隔の下限としては2mmが好ましく、3mmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の長さ方向に垂直な方向の間隔が15mmを超えると、当該補強シート1が抄紙方向に対し十分に伸縮しないため好ましくない。また、上記直線状切り込み部2の長さ方向に垂直な方向の間隔が2mm未満となると、上記直線状切り込み部2の間隔が近接するため、当該補強シート1の抄紙方向の引張強度が弱くなり破断する恐れがあるため好ましくない。
上記直線状切り込み部2の当該補強シート1における配設パターンとしては特に限定されないが、例えば上記直線状切り込み部2の中心が格子状に並ぶパターン、正三角形格子状に並ぶパターン、ランダムに並ぶパターン等が挙げられる。中でも、加工が容易である等の観点から、上記直線状切り込み部2の中心が正三角形格子状に並ぶパターンが好ましい。
上記直線状切り込み部2の配設密度の上限としては30個/100cmが好ましく、25個/100cmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の配設密度の下限としては10個/100cmが好ましく、15個/100cmがより好ましい。上記直線状切り込み部2の配設密度が30個/100cmを超えると、当該補強シート1の抄紙方向の引張強度が不足し破断するおそれがあるため好ましくない。また、上記直線状切り込み部2の配設密度が10個/100cm未満であると、当該補強シート1が抄紙方向に対し十分に伸縮しない場合があるため好ましくない。
上記直線状切り込み部2の深さは、当該補強シート1の深さと同じである。これにより上記直線状切り込み部2を形成した面だけでなくその裏面にも上記直線状切り込み部2が形成されるため、当該補強シート1は表面と裏面が等しく引張強度及び伸び率の向上をすることができる。
当該補強シート1は、抄紙方向に対して略並行である直線状の切り込み部を有しないことが好ましい。上記直線状切り込み部2に対してかかる力が、抄紙方向に対して略並行である直線状の切り込み部に対して分散されるため、補強シート1の伸び率が低下する。また、切り込み部の間隔が近接するため、成型時に破れやすくなるため好ましくない。
図2の補強シート11は、上記図1の補強シート1と同様に、天然パルプを含む組成物を抄紙して得られるものであり、抄紙方向に対して略垂直に設けられた複数の直線状切り込み部12及び非直線状切り込み部13が形成されている。
当該補強シート11の組成、密度及び坪量は、上記補強シート1と同様である。
また、上記直線状切り込み部12の長さ、間隔、配設パターン及び配設密度は上記直線状切り込み部2と同様である。
上記非直線状の切り込み部13は、上記複数の直線状切り込み部12の一端部又は両端部をそれぞれ囲うように形成されている。当該補強シート11によれば、抄紙方向へ伸びる際に上記非直線状の切り込み部13がひずみ、上記直線状切り込み部12にかかる力が分散されるため、当該補強シート11の破断の発生を抑えることができる。
上記非直線状の切り込み部13の形状としては、直線状切り込み部12の一端又は両端部を囲う形状であれば特に限定されず、例えば波線形、山形、三角形型、コの字型、くの字型、円弧状、略円弧状等が挙げられる。中でも、直線状切り込み部にかかる力を当方向的に分散させることができ破断を効率的に防止することができるため、略円弧状であることが好ましい。
上記非直線状切り込み部13は、中心が上記直線状切り込み部12上にあり、中心角が120度以上240度以下の略円弧形であるとよい。当該補強シート11が抄紙方向へ伸びる際に上記略円弧状の切れ込み部13が略等方向にひずみ、上記直線状切り込み部12にかかる力がシート全体に分散されるため、当該補強シート11の破断をより効率的に防止することができる。また、切れ込み部13は上記円弧状をしているため、当該補強シート11の抄紙方向に対して略垂直方向の力を分散させ、伸び率を適度に調整することができる。すなわち、当該補強シート11は、引張強度と伸び率とをバランス良く発揮することができる。
上記非直線状切り込み部13は、直径が上記直線状切り込み部12の長さ方向に垂直な方向の間隔の20%以上80%以下であるとよい。上記非直線状切り込み部13の直径が上記範囲内にあることにより、これにより、当該補強シート11は適度な引張強度を保ちつつ、抄紙方向及び抄紙方向に対し垂直方向へバランスよく伸縮することができる。
当該補強シート1及び補強シート11について、後述の接着剤に含浸させる前の原紙の状態における抄紙方向の引張強度は、14.5N以上25.5N以下であることが好ましく、18.0N以上24.0N以下がより好ましい。この補強シート1、補強シート11の原紙における引張強度が上記範囲であることにより、良好な強度を発揮しつつ、作業容易性を十分に実現することができる。この引張強度が14.5N未満であると、加工時に補強シート1及び補強シート11が破断するおそれがあるため好ましくない。また、この引張強度が25.5Nを超えると、当該補強シート1及び補強シート11の柔軟性が低下し、十分な伸び率を得られないおそれがあるため好ましくない。なお、この引張強度(N)はサンプルの幅を30mmにした際の測定値である。
当該補強シート1及び補強シート11の抄紙方向(縦方向)の伸び率の上限としては、30%が好ましく、25%がより好ましい。また、この抄紙方向の伸び率の下限としては、10%が好ましく、15%がより好ましい。このように抄紙方向の伸び率を設定することにより、抄紙方向に十分な伸び率を付与することができ、当該補強シート1及び補強シート11の成型時の破断を防止することができる。
当該補強シート1及び補強シート11の抄紙方向に対して垂直な方向(横方向)の伸び率の上限としては、10%が好ましく、8%がより好ましい。この抄紙方向に対して垂直な方向への伸び率の下限としては、0.1%が好ましく、0.5%がより好ましい。このように抄紙方向に対して垂直な方向の伸び率を設定することにより、当該補強シート1及び補強シート11の抄紙方向の伸び率とのバランスを保つことができるため、加工性をより向上することができる。
(補強シートの製造方法)
当該補強シート1及び補強シート11の製造方法としては、一般的に製紙用途で使用される方法を用いることができる。具体的には、天然パルプを主原料とする原料スラリーをワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートを経て抄紙し、これを巻き取ることで製造することができる。かかるドライヤーパートにおいて110℃程度で加熱処理がなされ、上述の熱可塑性合成繊維が融解する。また、補強シート1及び補強シート11のカレンダー処理方法については、特に限定されず、オンマシンで設定されているマシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、マットカレンダー、ブラッシカレンダー、ソフトカレンダー等を用いることができる。なお、この製造方法により補強シート1及び補強シート11を多層抄きとすることもできる。補強シート1及び補強シート11を多層抄きとすることとで、機械的強度が高くなる効果がある。
原料スラリーには、上記天然パルプ、熱可塑性合成繊維、非熱可塑性化学繊維の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、任意成分を適宜使用することができる。この任意成分としては、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などの填料;アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などのサイズ剤;ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂などの紙力増強剤;アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン化澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合物などの歩留り向上剤;紙粉脱落防止剤;硫酸バンド;湿潤紙力剤;紙厚向上剤;嵩高剤、カチオン化剤;着色剤、染料;小豆粕、カカオ粕、おからまたは月葉葉等からなる食品廃棄物由来の混抄物;植物の葉茎;使用済み磁気切符または使用済み紙加工製品由来の混抄物等を、その種類及び配合量を適宜調整して添加することができる。
補強シート1及び補強シート11の直線状切り込み部2、直線状切り込み部12及び非直線状切り込み部13の形成手段については特に限定されず、例えばピンチカッター、ロータリーダイカッター、ヒートシールカッター、超音波カッター、ウォータージェットカッター等を用いて形成することができる。
(シート状構造材)
図3のシート状構造材21は、シート材22と、このシート材22の両面に接着剤23を介して積層される一対の補強シート1とを備えている。
シート材22の種類としては、特に限定されず、例えばポリウレタンシート、ABSシート、ポリアミドシート、ポリカーボネートシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリメチルメタクリレートシート、ポリスチレンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート、ポリビニルブチラールシート、ポリ塩化ビニルシート、アセタールシート等が挙げられる。このように、補強シート1は様々な種類のシート材22に対して使用でき、いずれのシート材に対しても良好な引張強度及び伸び率を付与することができる。
接着剤23の種類としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンなどのポリオレフィン系;エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル共重合体系;エチレン−エチルアクリレート、エチレン−イソブチルアクリレートなどのアクリル酸共重合体系;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、N−メトキシメチル化ナイロンなどのポリアミド系;テレフタル酸系などのポリエステル系;ポリビニルブチラール系;ポリ酢酸ビニル系;アセテート、メチルセルロース、アセテートブチレートなどのセルロース誘導体系;ポリメチルメタクリレートなどのポリメタクリル酸エステル系;ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル系;ポリウレタン系;ポリカーボネート系;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンなどのスチレン系ブロック共重合体系;スチレンブタジエン、イソプレン、ブチルゴムなどの合成ゴム系等が挙げられる。これらの接着剤の中でも、環境への負担が少なく、熱可塑性であるポリ酢酸ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系の接着剤が好ましい。なお、上記接着剤23は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
シート状構造材21は、シート材22に接着された補強シート1により、優れた伸び率を発揮することができる。また、このシート状構造材21は、後述の通り、接着剤23を用いて補強シート1をシート材22に接着させるものであり、補強シート1中に含有される熱可塑性合成繊維が加熱の際に融解し、シート材22と良好な接着性を示すため、接着剤の使用量を効果的に削減することができる。特にシート材22が防音材である場合は、防音材が補強シート1に覆われずに直線状切り込み部2部分において外部に連通しているため、この直線状切り込み部2部分において高い吸音性を示すことができる。すなわち、シート状構造材21は、優れた防音性を発揮することができる。
(シート状構造材の製造方法)
補強シート1をシート材22に接着させて、シート状構造材21を製造する方法としては、例えば接着剤23が含浸した補強シート1をシート材22に対して熱ロールなどを用いて接着する方法、接着剤23を塗布したシート材22に補強シート1を熱ロールなどを用いて接着するバインダーラミネーション法、フィルム状に成型された接着剤23を補強シート1とシート材22との間に挟入し、熱ロールなどを用いて接着する熱ラミネーション法、シート材22に接着剤23を介して補強シート1を仮止めし、加熱成型時に成型と接着とを同時に行う方法等が挙げられる。中でも、補強シート1を接着したシート状構造材21に強度等を効果的に付与するためには、接着剤23が含浸した補強シート1をシート材22に対して熱ロールなどを用いて接着する方法が特に好ましい。
接着剤23を補強シート1に含浸させる方法としては、例えば浸漬、スプレー、キスロール、アプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーター、刷毛による塗布等が挙げられる。また、接着剤23を含浸した補強シート1に対しては、例えばマングル、コーティングナイフ等を用いて余剰量の接着剤23を絞液することで、シート材22に塗布する接着剤23の量(付着量)を調整することができる。
上記加熱温度については、シート材22の種類や用途に応じて任意に調整できる。例えば、シート材22が発泡性ポリウレタンである場合には、加熱温度を130℃以上に調整することが好ましい。この加熱温度を130℃以上に調整すると、加熱時において発泡性ポリウレタンが柔らかく伸長すると共に、補強シート1も発泡性ポリウレタンに追随して伸長し、冷却後にセットされるため、寸法安定性の観点から特に好ましい。
本発明のシート状構造材は、自動車用内装材として好適に使用され得る。このような自動車用内装材は、断熱性、吸音性、引張強度及び伸び率を確実かつ効果的に発揮することができると共に、近年における軽量性、製造過程での作業性、産業廃棄物削減等の人的・資源的環境に対する配慮や要求を十分に満たすことができる。
なお、本発明の補強シート及びこれを用いたシート状構造材は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば建材用にも好適に用いられる。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
<抄紙工程>
[実施例1〜22]
(補強シートの製造)
補強シートを構成する天然繊維素材として、実施例1〜22においては、天然パルプであるNBKP及びLBKP、熱可塑性合成繊維であるポリエステル繊維(ユニチカ社の「メルティ」)、非熱可塑性化学繊維であるビニロン(クラレ社の「VPB303」)を下記表1に示す含有量により調整して、原料スラリーを得た。なおこの原料スラリーには、任意成分として、硫酸バンド、湿潤紙力剤、ポリエチレンオキサイドを別途含有した。
次いで、上記原料スラリーをワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、カレンダーパートを経てシート体を得た。このドライヤーパートにおける乾燥温度は、110℃に調整した。なお、ワイヤーパートではギャップフォーマを、プレスパートではオープンドローのないストレートスルー型を、ドライヤーパートではシングルデッキドライヤーを用いて抄紙した。カレンダーパートでは、マルチニップカレンダーを用いて平坦化処理を行った。かかる抄紙処理及び平坦化処理を調整することで、坪量及び密度を表1のように変化させた。
(切り込み部の形成)
上記平坦化処理を行ったシート体に対し、ダイカッターを用いて直線状切り込み部を形成した。直線状切り込み部は、抄紙方向に対し表1の方向となるよう形成した。
補強シートに形成する直線状切り込み部は、長さが7mm、長さ方向の間隔が4.5mm、長さ方向に対して垂直方向の間隔が4.5mmである。また、上記直線状切り込み部の深さは、補強シートの厚みと同じである。
(切り込み部の形状)
直線状切り込み部に加え、以下の形状の非直線状切り込み部を形成した。非直線状切り込み部の形成方法及び深さは、上記直線状切り込み部と同じである。
A:直線状切り込み部のみを形成した。
B:直線状切り込み部に加え、直線状切り込み部の一端部をそれぞれ覆うように、略くの字状の複数の非直線状切り込み部を形成した。この非直線状切り込み部は、一辺が4mmの正三角形の一辺を取り除いた形状であり、その重心が直線状切り込み部の長さ方向の一端部と略一致する。
C:直線状切り込み部に加え、直線状切り込み部の長手方向の一端部をそれぞれ覆うように、略円弧状の複数の非直線状切り込み部を形成した。この非直線状切り込み部は、中心が上記直線状切り込み部上にあり、半径2mm、中心角120度の略円弧状である。
D:直線状切り込み部に加え、直線状切り込み部の長手方向の両端部をそれぞれ覆うように、略円弧状の複数の非直線状切り込み部を形成した。この非直線状切り込み部は、中心が上記直線状切り込み部上にあり、半径2mm、中心角240度の略円弧状である。
(切り込み部の向き)
上記直線状切り込み部は、抄紙方向に対し表1のような向きとなるよう形成した。
(切り込み部の配設密度)
上記直線状切り込み部は、補強シート100cmあたりの配設密度が表1のような数値となるよう配設した。
(シート状構造材の製造)
上述した製造工程により得られた補強シートをポリ酢酸ビニル系接着剤に含浸させた。次に、接着剤が含浸した補強シートを、発泡性ポリウレタンシートの両面に熱ロールを用いて接着させ、シート状構造材を製造した。
[実施例23]
天然繊維を竹とLBKPとし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜22と同様である。
[実施例24]
天然繊維をケナフとLBKPとし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜22と同様である。
[実施例25]
熱可塑性剛性繊維をポリオレフィン繊維(三井化学社の「SWP−E400」)とし、表1の配合量に表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜22と同様である。
[実施例26]
非熱可塑性合成繊維をアクリル(東洋紡社の「ビィパル」)とし、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1〜22と同様である。
[比較例1]
ガラスチョップドストランドマット(フィラメント直径:11μm、ストランド番手:20テックス、収束本数:80本、ストランド長:50mm、マット目付:120g/m)を、接着剤を介して発泡性ポリウレタンシートの両面に熱ロールを用いて接着させ、比較例のシート状構造材を製造した。
[比較例2]
直線状切り込み部を抄紙方向に対して並行に形成し、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1と同様である。
[比較例3]
切り込み部を配設せず、表1の配合量に基づき原料スラリーを調整した以外は、実施例1と同様である。
[比較例4]
切り込み部を配設せず、坪量50g/m、密度1.0g/mとした以外は実施例1と同様である。
[比較例5]
切り込み部を配設せず、坪量300g/m、密度0.3g/mとした以外は実施例1と同様である。
<物性評価>
上記実施例及び比較例で得られた補強シートの各物性を以下の方法にて測定した。これらの結果を表1に示す。
(a)坪量
補強シートの坪量は、JIS−P8124(1998)「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
(b)密度
補強シートの密度は、JIS−P8124(1998)「紙及び板紙−坪量測定方法」及びJIS−P8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(c)引張強度
接着剤に含浸させる前の原紙の状態における補強シートの引張強度を測定した。また、比較例1では、接着剤に含浸させる前のガラスチョップドストランドマットの状態における引張強度を測定した。この引張強度(N)は、試験サンプルの幅を30mm±0.1mmとして測定した値である。上記測定値をサンプル幅(30mm)で割ることで、JIS−P8113(2006)「紙及び板紙―引張特性の試験方法」記載の単位(kN/m)に換算可能である。なお、実施例における引張強度は、抄紙方向に対して測定した。
(d)伸び率
補強シートの伸び率は、JIS−P8113(2006)「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準拠して、抄紙方向(縦)、幅方向(横)のサンプル幅30±0.1mm、試験片長さ200mmの試験片を用い、初期試験長さ(180mm±1mm)に対する百分率として引張り破断伸びを10個の試験片を測定し、その平均値を算出した。
(e)成型時破れ
シート状構造材をA3サイズに断裁し、自動車用天井内装材として仮定した、直径200mmの半円球状の木製凹凸型枠を用い、当該凹凸型枠の凹凸間に挟み込み、縦15N、横5Nの力を加えた状態で成型加工した。当該シート状構造材の成型加工後の破れの有無を肉眼で確認し、評価した。
Figure 0005653683
(評価)
表1に示す通り、実施例1〜26は、比較例1と同程度の引張強度及び伸び率を示す傾向が見られ、成型時破れにおいても差が見られなかった。
また、抄紙方向に対して直線状切り込み部を垂直に形成することで、補強シートの伸び率が向上した。また、直線状切り込み部の長手方向の一端部又は両端部をそれぞれ覆うように、略円弧状の複数の非直線状切り込み部を形成することで、引張強度及び伸び率を適当な範囲内に制御できることが分かった。
以上のように、本発明の補強シートはシート材の補強材として要求される軽量性、加工容易性等を充足しつつ、天然繊維の使用等を通じた産業廃棄物の低減等の環境特性にも優れる。また、当該補強シートは引張強度、伸び率に優れるため、かかる補強シートで補強したシート状構造材は、成型時の破れもない。よって、かかる補強シートで補強したシート状構造材は、自動車用内装材等の用途への好適に用いられる。
1 補強シート
2 直線状切り込み部
11 補強シート
12 直線状切り込み部
13 非直線状切り込み部
21 シート状構造材
22 シート材
23 接着剤

Claims (8)

  1. 自動車内装材として用いられるシート状構造材を形成するための補強シートであって、
    接着剤が含浸可能であり、
    天然繊維を含む組成物を抄紙して得られ、
    抄紙方向に対して略垂直に設けられた複数の直線状切り込み部を有することを特徴とする自動車内装材用補強シート。
  2. 上記直線状切り込み部の一端又は両端をそれぞれ囲うように設けられた非直線状切り込み部を有する請求項1に記載の自動車内装材用補強シート。
  3. 上記非直線状切り込み部は、中心が上記直線状切り込み部上にあり、中心角が120度以上240度以下の略円弧形である請求項1又は請求項2に記載の自動車内装材用補強シート。
  4. 上記組成物が熱可塑性合成繊維及び/又は非熱可塑性化学繊維をさらに含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の自動車内装材用補強シート。
  5. 上記直線状切り込み部の配設密度が10個/100cm以上30個/100cm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自動車内装材用補強シート。
  6. 密度が0.4g/cm以上0.9g/cm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の自動車内装材用補強シート。
  7. 坪量が60g/m以上250g/m以下である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の自動車内装材用補強シート。
  8. シート材と、
    上記シート材の片面又は両面に接着剤を介して接着される請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の自動車内装材用補強シートと
    を備えるシート状構造材。
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