JP5848671B2 - 建築部材用複合シートおよび建築部材 - Google Patents

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Description

本発明は、合成樹脂発泡体からなる芯材を表面材と裏面材でサンドイッチした金属サイディングや建築用パネル等の建築部材に用いられる裏面材として好適な建築部材用複合シートおよび建築部材に関するものである。
合成樹脂発泡体からなる芯材を、表面材と裏面材でサンドイッチした金属サイディングや建築用パネル等の建築部材が数多く市販されている。しかしながら、合成樹脂発泡体の経時変化や、室内外の温度差や湿度差により、建築部材の表面に凹凸が生じたり、反ったりする不具合が生じることがあった。また、建築部材の製造工程において、合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させる際に、合成樹脂発泡体は膨張だけでなく収縮も起こすため、裏面材にシワが入り、建築部材の反りを助長することがあった。
これらの問題を解決するために、裏面材にその長手方向に沿って凹状をした溝を形成させ、裏面材に収縮が生じた際には、凹状をした溝により収縮が吸収され、裏面に反りが生じるのを緩和する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では表面の反りは緩和できず、且つ裏面が平面にならないと言う問題がある。
また、表面材を凹凸模様とし、且つ凹部の大きさを凸部の大きさよりも大きくすることにより、建築部材自体の機械的強度を向上させることによって、反ったりする不具合を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では表面を任意の形状に成形できないと言う問題がある。
また、温度や湿度の変化で膨張や収縮を起こさない、ガラス繊維を含有した不織布に、合成樹脂フィルムやアルミ箔を貼り合わせた複合シートを、合成樹脂発泡体の表裏に貼り合わせた建築部材が提案および考案されている(例えば、特許文献3〜4参照)。ガラス繊維を含有した不織布は、温度や湿度の変化の影響を受け難いため寸法安定性に優れるが、複合シートの強度が弱いと、合成樹脂発泡体からなる芯材は温度や湿度の変化で膨張や収縮を起こすため、建築部材に反りが発生することがある。また、建築部材の製造工程において、合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させる際には、合成樹脂発泡体は膨張だけでなく収縮も起こすため、複合シートの圧縮強度が弱いと、複合シートにシワが入り、建築部材の反りを助長することがある。これらの問題を解決する方法として、複合シートを十分な強度となるまで厚くすることが考えられるが、複合シートが厚いと建築部材の製造工程において取扱いが難いと言う問題がある。また、コスト面でも複合シートが厚い方が不利である。
また、ガラス繊維等の無機繊維を主体とする層と、木材パルプやポリエステル系の繊維等の有機繊維を主体とする層を積層したシートにより、反りや剥離等の不具合の防止や、皮膚刺激性を少なくする方法が提案されている(例えば、特許文献5〜8参照)。しかしながら、これらのシートでは、合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させようとする際に、その原液が裏面側に染み出てしまう問題がある。また、シートの最外面が外気に接しているため、反り等の原因となる湿度の影響を受け易い。
また、線膨張係数が−2×10−5〜1×10−5/℃と非常に小さく、弾性率も5〜15GPaと非常に高い合成樹脂フィルムをクラフト紙、織布、不織布と貼り合わせることにより、反りなどによる不具合を防止した複合シートが提案されている(例えば、特許文献9参照)。しかしながら、合成樹脂フィルムの線膨張係数や弾性率を上述の範囲に調整するには、延伸倍率を十倍〜数十倍にして製造を行う必要があり、且つ合成樹脂フィルムを製造した後、溶融樹脂や接着剤を用いて貼り合わせる必要があるため、裏面材を薄くすることができない。また、使用する溶融樹脂や接着剤が温度や湿度の変化で膨張や収縮を起こすため、反りなどによる不具合を十分に防止できないことがある。
このように、合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材において、表面や裏面の模様や形状を自由に選択でき、建築部材が反ったりする不具合を抑制し、製造工程での裏面材にシワが入るのが抑制され、且つ厚みも薄くすることができる裏面材は未だ得られていなかった。また、このような裏面材が合成樹脂発泡体の少なくとも片面に設けられている建築部材も未だ得られていなかった。
特開2004−116019号公報 特開2003−147898号公報 実開昭53−46372号公報 特開2002−4548号公報 特開昭51−84161号公報 特開平4−226747号公報 特開昭58−179641号公報 特開2000−303389号公報 特開2006−212895号公報
本発明の課題は、合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材において、表面や裏面の模様や形状を自由に選択でき、建築部材が反ったりする不具合を抑制し、製造工程での裏面材にシワが入るのが抑制され、且つ厚みも薄くすることができる裏面材として好適な建築部材用複合シートを提供することにある。また、このような建築部材用複合シートを合成樹脂発泡体の少なくとも片面に設けた建築部材を提供することである。
この課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
(1)合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材の裏面材として用いられる建築部材用複合シートであって、建築部材用複合シートはガラス繊維を含有する不織布に破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせてなり、且つ建築部材用複合シートの横方向の圧縮強度が0.30〜1.00kN/mであり、建築部材用複合シートの目付けが50〜120g/mであり、該不織布は、ガラス繊維と木材パルプとを含有し、且つ2層以上の多層不織布であり、不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の層は木材パルプを含有しないか、または質量比で木材パルプよりもガラス繊維を多く含有しており、不織布の合成樹脂発泡体からなる芯材と接する側の層は、ガラス繊維を含有しないか、または質量比でガラス繊維よりも木材パルプを多く含有することを特徴とする建築部材用複合シート。
(2)該不織布が、繊維径が5〜10μmであり、且つ繊維長が6〜20mmのガラス繊維を不織布の全繊維量に対して、20〜80質量%含有している(1)記載の建築部材用複合シート。
)合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に、(1)または(2)記載の建築部材用複合シートが設けられてなる建築部材。
本発明により、合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材において、表面や裏面の模様や形状を自由に選択でき、建築部材が反ったりする不具合を抑制し、製造工程での裏面材にシワが入るのが抑制され、且つ厚みも薄くすることができる裏面材として好適な建築部材用複合シートを提供することができる。また、このような建築部材用複合シートを合成樹脂発泡体の少なくとも片面に設けた建築部材を提供することができる。
本発明の建築部材用複合シート(以下、「複合シート」と略す場合がある)は、合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材の裏面材として用いられる建築部材用複合シートであって、該建築部材用複合シートはガラス繊維を含有する不織布に、破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせてなる複合シートであり、且つ該建築部材用複合シートの横方向の圧縮強度が0.30〜1.00kN/mであり、該建築部材用複合シートの目付けが50〜120g/mであることを特徴とする建築部材用複合シートである。
ガラス繊維は、温度や湿度の変化による膨張や収縮が小さいことから、ガラス繊維を含有した不織布は、温度や湿度の変化によって寸法変化を起こし難く、寸法安定性が良い。また、建築部材の製造工程における合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させる過程(樹脂が発泡する過程)において、その原液が裏面から染み出てくるのを防止するために、本発明の複合シートでは、ガラス繊維を含有する不織布に、少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせている。
しかしながら、建築部材の製造工程で樹脂を発泡させる際に、通常は60〜100℃に加熱して発泡体の膨張反応を完結させるが、反応後に室温近傍まで冷却する過程において、発泡体は収縮も起こすため、裏面材の圧縮強度が弱い場合には、裏面材にシワが入り、それが原因となり建築部材に反ったりする不具合が発生することがある。
本発明者等が鋭意検討した結果、複合シートの横方向(CD方向)の圧縮強度を0.30〜1.00kN/m、好ましくは0.30〜0.80kN/mとすることにより、建築部材の製造工程における裏面材のシワを抑制できることを見出した。複合シートの横方向の圧縮強度が1.00kN/mを超えてもシワは抑制されるが、圧縮強度が強すぎると裏面材が変形し難くなるために、逆に成形が難しくなる。複合シートの横方向の圧縮強度が0.30kN/m未満の場合には、建築部材の製造工程において裏面材にシワが発生し、建築部材が反る。なお、本発明で言う「圧縮強度」とはJIS P8126に規定されるリングクラッシュ法で測定される試験片が圧潰する際の最大荷重から算出される圧縮強度である。
なお、目付けを増やすことでも複合シートの圧縮強度を強くすることができる。しかしながら、複合シートの目付けを増やすと、例えば、通常は表面材を裏側で折り返して固定するが、裏面材が厚くなるために表面材を折り返して固定することができないことや、施工に必要な成形を裏面材に施すことができなくなることがある。また、裏面材の巻き取りの重量が重くなる、または巻き長さが短くなり、生産効率が悪くなることがある。
本発明者等が鋭意検討した結果、複合シートの目付けを50〜120g/m、好ましくは60〜100g/mとすることにより、表面材を裏側で折り返して固定する際に、支障なく表面材を折り返して固定することができた。複合シートの目付けが50g/m未満の場合は、裏面材の引張強度も低下するため、建築部材の製造工程で樹脂を発泡させる際に裏面材が破け易くなる。また、複合シートの目付けが120g/mを超える場合は、前述の表面材を折り返して固定することができないことや、施工に必要な成形を裏面材に施すことができなくなる問題が発生する。
本発明に係わる合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンおよびそれらの変性樹脂等の合成樹脂が使用される。また、無機や有機の顔料を練りこんで着色した合成樹脂フィルムを用いても良い。
合成樹脂フィルムの総厚としては、3〜70μmが好ましく、10〜60μmがより好ましく、20〜50μmが特に好ましい。3μmより薄いと、不織布との接着が弱くて剥がれてしまうことや、ピンホールができ易く、合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させようとする際に、その原液が染み出てしまうことがある。また、合成樹脂フィルムが70μmより厚いと、裏面材の目付けを軽くできなくなることや、温度による合成樹脂フィルムの膨張や収縮のために反りが発生することがある。
不織布に合成樹脂フィルムを貼り合わせる方法としては、(1)走行する不織布とシート状の合成樹脂フィルムとの間に、合成樹脂組成物を加熱溶融した状態でフィルム状に流延し、圧着して貼り合わせるいわゆる熱溶融押し出しラミネート法、(2)熱可塑性の合成樹脂フィルムを不織布と積層して熱圧処理で一体化する方法、(3)合成樹脂フィルムと不織布の間に、熱可塑性のフィルムを挟んで積層し、熱圧延処理で一体化する方法、(4)合成樹脂フィルムを接着剤により不織布と積層する方法等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、合成樹脂フィルムが、不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の面の上に、合成樹脂を加熱溶融した状態で流延される上記(1)が、不織布の繊維間に合成樹脂が浸透するために、強度が強くなるだけでなく、薄化し易いこと、接着剤を使用する方法や熱圧処理して一体化する方法よりもカールし難いこと等から特に好ましい。
なお、本発明の建築部材用複合シートは、ガラス繊維を含有する不織布に、破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせた複合シートである。
建築部材の製造工程で樹脂を発泡させる際に裏面材の引張強度が弱いと、樹脂が発泡する際に裏面材が破けることがある。一方、不織布に合成樹脂を貼り合わせる方法としては、前述したように合成樹脂組成物を加熱溶融した状態でフィルム状に流延して貼り合わせる方法が好ましい。しかしながら、この方法で貼り合わせし易い合成樹脂フィルムはポリオレフィン系など破断強度が弱い樹脂が比較的多い。
破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせることによって、複合シートの横方向の圧縮強度だけでなく、破断強度も調整し易くなり、建築部材の製造が容易となる。特に、不織布に直接貼り合わされている合成樹脂フィルムの破断強度が弱い場合には、破断強度の強いフィルムを貼り合わせることによって、建築部材の製造工程で樹脂を発泡させる際に、裏面材が破けるのを防ぐことができる。
なお、本発明で言う「破断強度」とは、JIS K7127で規定される引張特性の試験方法において、フィルムが引張られたときに耐えられる最大の力(引張り強さ)である。また、破断強度は厚みによっても変わるが、本発明で言う「破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルム」とは、同じ厚みのフィルムの破断強度を比較した際に、破断強度が異なるフィルムを示す。その理由は、厚みの異なる同じフィルムを積層した場合、1枚のフィルムを厚くした場合と効果に大きな差がないためである。破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムのうち、少なくとも一方のフィルムの破断強度は100MPaであることが、建築部材の製造工程で樹脂を発泡させる際に、裏面材が破けるトラブルを軽減できることから好ましい。
本発明に係わるガラス繊維は、折れ難く、繊維シート形成能力があれば、ガラスウール、ガラス繊維チョップドストランド(ガラス繊維カット品)のいずれのガラス繊維でも使用することができるが、本発明に係わるガラス繊維の繊維径は、2〜20μmが好ましく、4〜15μmがより好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。ガラス繊維の繊維径が2μm未満であると、寸法安定性に劣る場合がある。一方、ガラス繊維の繊維径が20μmを超えた場合、シート形成する際に地合が悪化し、その結果、圧縮強度が弱くなり、圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがある。また、ガラス繊維の繊維長は、2〜30mmが好ましく、4〜25mmがより好ましく、6〜20mmがさらに好ましい。ガラス繊維の繊維長が2mm未満であると、寸法安定性に劣る場合がある。一方、ガラス繊維の繊維長が30mmを超えた場合、抄紙時のよれや固まりが発生し易くなり、形成された不織布が不均一になり、その結果、圧縮強度が弱くなり、圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがある。
また、ガラス繊維の含有量は、本発明の該不織布の全繊維量に対して、10〜90質量%含有していることが好ましく、20〜80質量%含有していると、寸法安定性が良く、且つ複合シートの圧縮強度を0.30kN/m以上に調整し易いため、建築部材の製造工程において裏面材にシワが発生するのを抑え易くなることからより好ましい。また、40〜80質量%含有していると、寸法安定性が特に良い。ガラス繊維の含有量が、不織布の全繊維量に対して、10質量%未満であると、寸法安定性が悪くなる場合がある。一方、ガラス繊維の含有量が90質量%を超えると、寸法安定性は良好であるが、不織布が脆くなるため圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがある。
また、本発明に係わる不織布が、ガラス繊維と木材パルプとを含有する不織布であり、且つ該不織布は2層以上の多層シートであり、該不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の層は木材パルプを含有しないか、または質量比で木材パルプよりもガラス繊維を多く含有しており、不織布の合成樹脂発泡体からなる芯材と接する側の層は、ガラス繊維を含有しないか、または質量比でガラス繊維よりも木材パルプを多く含有する不織布であることが最も好ましい。
合成樹脂フィルムは、熱溶融押し出しラミネート法や、熱圧処理や接着剤などを用いることによって貼り合わせるが、接着剤や熱溶融した合成樹脂は粘度が高い。ガラス繊維は木材パルプよりも目が粗いため、不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側にガラス繊維が多いと、粘度の高い熱溶融した合成樹脂や接着剤などが不織布の繊維間に浸透し、接着強度が強くなる。一方、合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の層における木材パルプの含有量が多いと、接着強度が弱くなることがあるだけでなく、木材パルプは湿気を吸収し易いため、エッジの部分から侵入する湿気の影響を受け易くなることがある。
さらに、合成樹脂発泡体からなる芯材と接する層が、ガラス繊維を含有しないか、または質量比でガラス繊維よりも木材パルプを多く含有することにより、ガラス繊維による皮膚刺激性を抑制することができるため、建築部材を製造する際の作業者へ悪影響を抑えることができる。また、合成樹脂発泡体を形成させる際に、その原液は一般に粘度が低いが、木材パルプの毛細管現象により粘度の低い原液が不織布の繊維間に浸透することにより合成樹脂発泡体と不織布が一体化して接着が強固になる。さらに、合成樹脂発泡体の原液が木材パルプに浸透することにより、エッジ部から侵入する湿気の影響も受け難くなる。一方、ガラス繊維の方が木材パルプよりも多い場合には、ガラス繊維の方が木材パルプよりも繊維が粗いために、合成樹脂発泡体の原液を繊維間に保持することができず、接着が不十分になったり、ガラス繊維の方が木材パルプよりも硬いために、脆くなったりすることがある。
本発明に係わる木材パルプとは、NBKP、LBKP、NBSP、LBSP、GP、TMP、その他いずれの種類のパルプでも良く特に限定はされないが、強度の点からNBKPが好ましい。また、叩解度(CSF)は300〜600mlの範囲が好ましい。CSFが300ml未満であると不織布の寸法安定性が低下する場合があり、CSFが600mlを超えると不織布の強度が低下する場合がある。
本発明に係わる不織布が木材パルプを含有する場合、木材パルプの含有量は、不織布の全繊維量に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。木材パルプの含有量が5質量%未満であると、湿式抄紙法で製造する際、乾燥前シートの保水性が乏しくなり、フェルトから剥がれ難くなる場合がある。木材パルプの含有量が70質量%を超えると、不織布の寸法安定性が得られない恐れがある。
また、本発明に係わる不織布には、不織布の強度を高めるために少なくとも1種のバインダー繊維を含有することが好ましい。
本発明に用いられるバインダー繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ビスコース繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維等が挙げられる。また、バインダー繊維は、単繊維であっても、芯鞘繊維、分割繊維等の複合繊維であっても良い。また、ポリビニルアルコール繊維は、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保っているが、抄紙後の水分を含んだ状態で加熱されると容易に溶解し始め、溶解したところで、タッチロール等の設備で加圧すると、ガラス繊維や木材パルプとの間にまたがって作用するバインダー能力を発現し、その後の脱水乾燥によって再凝固し、高温水中でなければ容易に溶解しない強力なバインダー繊維となることから、特に好ましい。
本発明に係わるバインダー繊維の繊維径は、4〜40μmが好ましく、6〜25μmがより好ましく、10〜18μmがさらに好ましい。バインダー繊維の繊維径が4μm未満であると、抄紙時に抄紙ワイヤーから脱落し、バインダー能力が低下する場合があり、一方、バインダー繊維の繊維径が40μmを超えた場合には、繊維の比表面積が相対的に低下し、バインダー能力が低下することがあり、さらに、シート表面の平滑性に劣ることがある。バインダー繊維の繊維長は、1〜20mmが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。バインダー繊維の繊維長が1mm未満であると、バインダー能力が低下する場合があり、一方、バインダー繊維の繊維長が20mmを超えた場合、抄紙時のよれや固まりが発生し易くなることがあり、形成された不織布が不均一になる恐れがある。
バインダー繊維の含有量は、不織布の全繊維量に対して、5〜40質量%が好ましく、7〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましい。バインダー繊維の含有量が5質量%未満であると、引張強度が弱く、湿式抄紙の際に断紙する場合がある。バインダー繊維の含有量が40質量%を超えると、通気性が低下して、合成樹脂発泡体からなる芯材を形成させる際に、合成樹脂が不織布に浸透し難くなり、合成樹脂発泡体と不織布との接着が弱くなることがある。
本発明に係わる不織布には、空隙や強度の調整等、必要に応じて、ガラス繊維、木材パルプ、バインダー繊維以外の繊維を含有させることができる。このような繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、リヨセル繊維等の再生繊維、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ビニロン系、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系等の合成繊維等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に係わる不織布が2層以上の多層シートの場合、該不織布は湿式抄紙法で製造される。本発明に用いることができる抄紙機は、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機等の抄紙機が同種または異種の2機以上がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等である。これらの抄紙機で抄造された湿紙ウェブは加熱乾燥される。加熱乾燥手段としては、シリンダードライヤー、エアードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤーなどの方式を用いることができる。
下記に本発明に係わる不織布がガラス繊維と木材パルプとを含有する2層以上の多層シートの場合における製造方法の一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、水に分散剤を添加した後、ガラス繊維を投入して撹拌する。分散剤としては、特に限定はないが、ノニオン系分散剤を用いることが好ましい。その後、高分子ポリアクリルアミド水溶液あるいは高分子ポリエチレンオキシド水溶液と言った粘剤類を添加し、往復撹拌機で撹拌した状態でガラス繊維スラリーとして貯蔵する。また、水に叩解後の木材パルプ、バインダー繊維、サイズ剤を混合分散した後、木材パルプスラリーとして、別の貯蔵タンクに送る。ガラス繊維スラリーと木材パルプスラリーとを一定量ずつ貯蔵タンクあるいは抄紙機に送り、混合して目標の混合比率と坪量になるように湿紙ウェブを抄造する。得られた湿紙ウェブをシリンダードライヤーに接触させて、加熱乾燥することによって、バインダー繊維を効率よく融着させることができる。
2層以上の多層シートに積層する方法は、各々の抄紙機で抄きあげた湿紙ウェブを湿潤状態にあるうちに積層する抄き合わせや、一方の湿紙ウェブを形成した後に、この湿紙ウェブの上に繊維を分散した原料スラリーを流して積層不織布を形成する方法でも良い。また、乾燥したウェブの上に、繊維を分散した原料スラリーを流して、積層不織布を形成する方法でも良い。
不織布の坪量は、合成樹脂フィルムを貼り合わせた後の複合シートの目付けが50〜120g/mに入れば限定する必要はないが、15〜100g/mが好ましく、20〜80g/mがより好ましく、30〜70g/mがさらに好ましい。不織布の坪量が15g/m未満の場合、寸法安定性が確保できないことや、圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがある。また、不織布の坪量が100g/mを超えると、合成樹脂フィルムを薄くせざるを得ないため、合成樹脂フィルムにピンホールなどができ易くなる。不織布の厚みは、50〜250μmが好ましく、70〜200μmがより好ましく、100〜180μmがさらに好ましい。不織布の厚みが50μm未満の場合、圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがあり、250μmを超えると、通常は表面材を裏側で折り返して固定するが、裏面材が厚いと表面材を折り返して固定することができないことがある。
また、不織布の密度は、0.10〜0.90g/cmが好ましく、0.15〜0.80g/cmがより好ましく、0.20〜0.60g/cmがさらに好ましい。不織布の密度が0.10g/cm未満の場合、繊維間の接着が不良となり、寸法安定性が確保できないことや、圧縮強度を0.30kN/m以上にすることが難しくなることがある。また、不織布の密度が0.90g/cmを超えると、ガラス繊維の折れが発生して十分な寸法安定性が得られない場合がある。
また、本発明に係わる不織布には、耐湿性や撥水性を持たせる等、必要に応じてサイズ剤を配合することができる。サイズ剤としては、本発明の所望の効果を損なわないものであれば、強化ロジンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、合成サイズ剤、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)など公知のサイズ剤のいずれをも用いることができる。
また、この他に、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の歩留り向上剤、濾水剤、分散剤、紙力向上剤や粘剤が必要に応じて適宜選択して使用される。また、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加することができる。
また、不透明度を高める等、必要に応じて、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の填料や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の自己消火性を有する填料等を含有させることができる。
また、本発明は、合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に、本発明の建築部材用複合シートが設けられてなる建築部材でもある。
本発明に係わる合成樹脂発泡体からなる芯材は、例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等の合成樹脂発泡体からなるものであり、特に耐火性を必要とする場合には、レゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、一般に表面材および/または裏面材に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。
また、芯材には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることもできる。
本発明に用いることができる表面材としては、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(塗装したカラー板を含む)の1種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したものなどを挙げることができる。
また、本発明建築部材用複合シートの合成樹脂フィルム側に、アルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙などを必要に応じて貼り合わせても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。また、本実施例中で、特に明示しない限り部および百分率は質量基準である。
[ガラス繊維分散液−Aの調製]
パルパー分散タンク中の水に市販のチョップドストランドガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)、バインダー繊維(商品名:VPB107−1、クラレ社製、1.1dt×3mm、PVA繊維)をそれぞれ85:15の比率で投入して10分間混合分散してガラス繊維分散液−Aを調製した。
[ガラス繊維分散液−B〜Gの調製]
ガラス繊維分散液−Aにおける、市販のチョップドストランドガラス繊維の代わりに、各々ガラス繊維分散液−B(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径6μm、繊維長9mm)、ガラス繊維分散液−C(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径9μm、繊維長18mm)、ガラス繊維分散液−D(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径3μm、繊維長8mm)、ガラス繊維分散液−E(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径6μm、繊維長4mm)、ガラス繊維分散液−F(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径15μm、繊維長9mm)、ガラス繊維分散液−G(市販のチョップドストランドガラス繊維、繊維径9μm、繊維長22mm)を各々用いた以外は、ガラス繊維分散液−Aと同様にしてガラス繊維分散液−B〜Gを調製した。
[木材パルプ分散液の調製]
パルパー分散タンク中の水に500mlCSFに叩解したNBKP(木材パルプ繊維)、バインダー繊維(商品名:VPB107−1、クラレ社製、1.1dt×3mm、PVA繊維)を85:15の比率で投入して10分間混合分散して木材パルプ分散液を調製した。
[合成繊維分散液の調製]
パルパー分散タンク中の水に市販のポリエステル短繊維(繊度0.6dtex、繊維長5mm)と熱融着型芯鞘バインダー繊維(芯部ポリエステル、鞘部流動開始温度110℃の低融点共重合ポリエステル、繊度1.1dtex、繊維長5mm)を投入し、10分間混合分散して合成繊維分散液を調製した。
[不織布1〜21の製造]
不織布1〜21は円網抄紙機を用いて製造した。ガラス繊維分散液、パルプ分散液および合成繊維分散液を、表1に示す混合比になるように、貯蔵タンクに送り混合した。表1の坪量になるように、混合した分散液を抄紙ヘッドに送り、湿紙ウエッブを抄いた後にプレスを行い、ヤンキードライヤー面に当てて乾燥し、表1に示す不織布1〜21を得た。
[建築部材用複合シートの製造]
<実施例1〜21>
ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、表2の厚みになるように押し出して合成樹脂フィルム(A)を得た。なお、この合成樹脂フィルム(A)の25μmにおける破断強度は21MPaであった。破断強度の異なる合成樹脂フィルム(B)として透明ポリエステルを用いた。合成樹脂フィルム(B)の25μmにおける破断強度は230MPaであった。
貼り合わせる方法は、合成樹脂フィルム(A)を押出成形によってフィルム状に吐出し、溶融状態の合成樹脂フィルム(A)を、合成樹脂フィルム(B)と不織布1〜5および7〜20のヤンキードライヤーに当てた側の面との間に介在させつつ熱融着することで実施し、表2に示す実施例1〜21の建築部材用複合シートを得た。
<実施例22>
実施例3における合成樹脂フィルム(B)として、透明PETの代わりに厚み12μmのアルミ蒸着PETを用い、アルミ蒸着面側を不織布側にして貼り合わせた以外は、実施例3と同様にして実施例22の建築部材用複合シートを得た。なお、このアルミ蒸着PETの25μmにおける破断強度は228MPaであった。
<実施例23>
実施例3における合成樹脂フィルム(B)として、透明PETの代わりに厚み30μmの延伸ポリプロピレンフィルムを用いた以外は、実施例3と同様にして実施例23の建築部材用複合シートを得た。なお、この延伸ポリプロピレンフィルムの25μmにおける破断強度は181MPaであった。
<実施例24>
合成樹脂フィルム(A)として12μmの透明ポリエステル用いた。貼り合わせる方法は、合成樹脂フィルム(A)の片面に、無溶剤型アクリル樹脂接着剤を10g/m塗布し、接着剤を塗布した側の面に不織布3を貼り合わせることで実施した。さらに、ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、上記の合成樹脂フィルム(A)を貼り合わせた不織布3の合成樹脂フィルム(A)側の面とクーリングロールとの間に、フィルム状に厚みが20μmになるように押し出して合成樹脂フィルム(B)を得て、圧着、冷却し、実施例24の建築部材用複合シートを得た。
<比較例1〜5>
ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、表2の厚みになるように押し出して合成樹脂フィルム(A)を得た。なお、この合成樹脂フィルム(A)の25μmにおける破断強度は21MPaであった。破断強度の異なる合成樹脂フィルム(B)として透明ポリエステルを用いた。合成樹脂フィルム(B)の25μmにおける破断強度は230MPaであった。
貼り合わせる方法は、合成樹脂フィルム(A)を押出成形によってフィルム状に吐出し、溶融状態の合成樹脂フィルム(A)を、表2に示す不織布のヤンキードライヤーに当てた側の面と、合成樹脂フィルム(B)との間に介在させつつ熱融着することで実施し、表2に示す比較例1〜5の建築部材用複合シートを得た。
<比較例6>
ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、不織布3のヤンキードライヤーに当てた側の面とクーリングロールとの間にフィルム状に厚みが20μmになるように押し出して合成樹脂フィルム(A)を得て、圧着、冷却し、合成樹脂フィルム(A)を貼り合わせた不織布を得た。
さらに、同じポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、上記の合成樹脂フィルムを貼り合わせた不織布の合成樹脂フィルム側の面とクーリングロールとの間に、フィルム状に厚みが30μmになるように押し出して合成樹脂フィルム(B)を得て、圧着、冷却し、比較例6の建築部材用複合シートを得た。
<比較例7>
ポリオレフィン樹脂(高密度ポリエチレン60部と低密度ポリエチレン40部の混合樹脂)を押出機で加熱溶融し、不織布3のヤンキードライヤーに当てた側の面とクーリングロールとの間にフィルム状に厚みが50μmになるように押し出して合成樹脂フィルム(A)を得て、圧着、冷却し、合成樹脂フィルム(A)を貼り合わせた不織布を得た。これに破断強度の異なる合成樹脂フィルム(B)を貼り合わせることなく、比較例7の建築部材用複合シートとして用いた。
[建築部材の製造]
<実施例25〜48>
鉄板(0.27mm)を表面材とし、実施例1〜24で得た建築部材用複合シートを裏面材とし、硬質ポリウレタンフォームを芯材(10mm)とし、表面材と裏面材との間に2液性の硬質ポリウレタンフォームの原液を流し込み、24時間静置して、発泡と硬化を十分に完了させ、実施例25〜48の建築部材を得た。なお、建築部材用複合シートは不織布側の面が芯材に接するようにした。
<比較例8〜14>
実施例25〜48における実施例1〜24で得た建築部材用複合シートの代わりに、比較例1〜7で得た建築部材用複合シートを用いた以外は、実施例25〜48と同様にして比較例8〜14の建築部材を製造した。
[評価]
[複合シートの圧縮強度]
複合シートを幅12.7mm、長さ152.4mmの大きさに切り、リングクラッシュテスター(型番:TMC−R−5000、日本T.M.C社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
実施例8および実施例12との比較より、ガラス繊維の繊維径が10μm以下の方が、圧縮強度が強い。また、実施例14と、実施例3および実施例15〜17との比較より、全繊維中のガラス繊維の含有量が80質量%以下の方が、圧縮強度が強い。
[裏面材のシワ]
実施例25〜48および比較例8〜14で製造した建築部材について、製造時に発生する裏面材(複合シート)のシワを確認した。シワの評価は長さ1m、幅37cmの大きさの建築部材を用い、長さが30mm以上のシワに印を付けて長さを測り、全ての30mm以上のシワの長さの合計を算出した。シワの長さの合計が100mm未満であることが良好であり、80mm未満がさらに良い。結果を表3に示す。なお、シワが多いほど、製造時および経時での反りも発生し易くなる。
[裏面材の破断]
実施例25〜48および比較例8〜14で製造した建築部材の製造時に、意図的に硬質ポリウレタンフォームの原液の流し込み量を1.05倍に増やし、直ちに80℃のチャンバーに30分間入れて発泡と硬化を加速させ、硬質ポリウレタンフォームの膨張に伴う裏面材(複合シート)の破断の有無を確認した。なお、破断の評価は長さ1m、幅37cmの大きさの建築部材を用い、長さが5mm以上破断した部分の長さを測定した。結果を表3に示す。なお、破断しないことが良好である。
[裏面材の成形性]
実施例25〜48および比較例8〜14で製造した建築部材について、裏面材(複合シート)の成形性を確認した。成形性の評価は建築部材の製造時に、幅方向の一方の端から2〜3cmの間に深さ3mm、幅1cmの型を設けるために20kgf/cmの圧力でロールを通して行った。型がうまく成形されていないと、建築部材を施工するときに問題になることがある。形成させた幅1cmの型の両側の深さ(即ち、幅方向の一方の端から3cm(内側)および2cm(外側)のところの深さ)を測定した。成形性の評価は、長さ1m、幅37cmの大きさの建築部材を用い、長さ方向で一方の端から30、40、50、60、70cmの5箇所について測定し、その平均値で示した。結果を表3に示す。幅1cmの型の内側と外側の深さの差が0.5mm未満であり、且つ両側の深さのいずれもが2.0〜3.0mmであることが良く、2.5〜3.0mmであることがさらに良い。
[建築部材の反り]
実施例25〜48および比較例8〜14の建築部材について、−20℃にて12時間、70℃60%RHで12時間、合計24時間を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施し、48サイクル後の試験前と試験後の反り量の差を測定した。なお、反りの評価は長さ1m、幅37cmの大きさの建築部材を用い、幅方向の中央部(即ち一方の端から18.5cm)における長さ方向で一方の端から20cm、50cm、80cmの3箇所について反りを測定し、反りの最大値、最小値を幅で記載した。結果を表3に示す。反りの最大値が1.5mm未満であることが良好であり、1.0mm未満であることがさらに良い。
実施例25と比較例9との比較より、同じ不織布を用い、目付けがほぼ同じであっても、裏面材の圧縮強度が0.3kN/m未満であると、裏面材のシワの発生が多い。また、実施例27と比較例13および14との比較より、同じ不織布を用いても、破断強度の異なる合成樹脂フィルムを貼り合わせていない場合には、裏面材のシワの発生が多い。
実施例28および29と比較例10との比較より、裏面材の圧縮強度が1.00kN/mを超えると、裏面材が硬すぎるために裏面材の成形性が悪くなる。また、実施例26〜28および30と比較例11との比較より、貼り合わせる合成樹脂フィルムが同じであっても、裏面材の目付けが120g/mを超えると、裏面材が厚くなりすぎるために裏面材の成形性が悪くなる。また、比較例8と実施例25との比較より、裏面材の目付けが50g/m未満であると、裏面材の引張強度も低下するため、裏面材が破断し易い。
また、例えば、実施例27、38〜44と比較例12との比較より、ガラス繊維が含有されていないと、建築部材の反りの最大値が大きい(即ち、寸法安定性が悪い)。また、実施例27、38〜41と実施例44との比較より、全繊維中のガラス繊維の含有量が20質量%以上であると、寸法安定性がさらに良好である。また、実施例27、38〜40と実施例41との比較より、全繊維中のガラス繊維の含有量が40質量%以上であると、寸法安定性がさらに良好である。また、実施例27、39〜41、44と実施例38との比較より、全繊維中のガラス繊維の含有量が80質量%以下であると裏面材のシワが少なくなる。
また、実施例32と35との比較より、ガラス繊維の繊維長が6mm以上であると寸法安定性が良好であり、建築部材の反りが小さい。実施例9と13との比較および実施例33と37との比較より、ガラス繊維の繊維長が20mmを超えると、裏面材の圧縮強度が低くなり、建築部材の製造時の裏面材のシワが多くなる傾向が見られた。
また、実施例12と実施例3および8との比較、並びに実施例36と実施例27および32との比較より、ガラス繊維の繊維径が10μm以下であると、裏面材の圧縮強度が高くなり、建築部材の製造時の裏面材のシワも少ない。また、実施例34と、実施例27および32との比較より、ガラス繊維の繊維径が5μm以上であると、寸法安定性が良好であり、建築部材の反りが小さい。
[不織布22〜26の製造]
不織布22〜26は、傾斜ワイヤー式抄紙機と円網抄紙機がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を用いて製造した。ガラス繊維分散液および木材パルプ分散液を、表4に示すガラス繊維/木材パルプ(G/P)質量比になるように、第1層用(傾斜ワイヤー式抄紙機用)および第2層用(円網抄紙機用)の貯蔵タンクに送り、混合した。表4の坪量になるように、混合した分散液をそれぞれ第一抄紙ヘッド(傾斜ワイヤー式抄紙機)および第二抄紙ヘッド(円網抄紙機)に送り、湿紙ウエッブの状態で抄き合わせた後にプレスを行い、第2層表面がヤンキードライヤー面に当たるようにして乾燥し、表4に示す2層からなる不織布22〜26を得た。
なお、表4中に示した、略号の詳細は下記の通りである。
G:ガラス繊維
P:木材パルプ
[建築部材用複合シートの製造]
<実施例49〜53>
実施例3における不織布3の代わりに、不織布22〜26を用い、不織布22〜26の第1層側に破断強度の異なる2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせた以外は、実施例3と同様にして実施例49〜53の建築部材用複合シートを得た。
[評価]
[複合シートの圧縮強度]
実施例1〜24の建築部材用複合シートと同様にして測定した。結果を表5に示す。
[皮膚刺激性]
実施例27および実施例49〜53の建築部材用複合シートの不織布側の面を触り、下記の基準により皮膚刺激性を確認した。結果を表5に示す。
A:全く皮膚刺激性を感じない。
B:ほとんど皮膚刺激性を感じない。
C:わずかに皮膚に刺激がある。
なお、AまたはBが特に良好である。
実施例49〜51と、実施例27、52、53との比較より、不織布の合成樹脂発泡体からなる芯材と接する側の層が、ガラス繊維を含有しないか、または質量比でガラス繊維よりも木材パルプを多く含有していると、全くあるいはほとんど皮膚刺激性を感じなかった。従って、建築部材を製造する際の作業者へ悪影響を抑えることができるので特に良い。
[建築部材の製造]
<実施例54〜58>
実施例25〜48における実施例1〜24で得た建築部材用複合シートの代わりに、実施例49〜53で得た建築部材用複合シートを用いた以外は、実施例25〜48と同様にして実施例54〜58の建築部材を製造した。
[評価]
実施例54〜58で得られた建築部材を、実施例25〜48および比較例8〜14の建築部材と同様の方法にて、裏面材のシワ、裏面材の破断、裏面材の成形性、建築部材の反りを評価した。結果を表6に示す。
実施例54〜56と実施例57〜58との比較、特にガラス繊維の含有量がほぼ同じである、実施例55〜56と実施例58との比較より、不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の層は木材パルプを含有しないか、または質量比で木材パルプよりもガラス繊維を多く含有していると、寸法安定性が良好であり、建築部材の反りが小さい。
本発明の建築材料用複合シートは、金属サイディングや建築用パネル等の建築部材に用いられる裏面材等に好適に使用できる。

Claims (3)

  1. 合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に表面材を、他方の面に裏面材を設けた建築部材の裏面材として用いられる建築部材用複合シートであって、建築部材用複合シートはガラス繊維を含有する不織布に破断強度の異なる少なくとも2種類の合成樹脂フィルムを貼り合わせてなり、且つ建築部材用複合シートの横方向の圧縮強度が0.30〜1.00kN/mであり、建築部材用複合シートの目付けが50〜120g/mであり、該不織布は、ガラス繊維と木材パルプとを含有し、且つ2層以上の多層不織布であり、不織布の合成樹脂フィルムと貼り合わせる側の層は木材パルプを含有しないか、または質量比で木材パルプよりもガラス繊維を多く含有しており、不織布の合成樹脂発泡体からなる芯材と接する側の層は、ガラス繊維を含有しないか、または質量比でガラス繊維よりも木材パルプを多く含有することを特徴とする建築部材用複合シート。
  2. 該不織布が、繊維径が5〜10μmであり、且つ繊維長が6〜20mmのガラス繊維を不織布の全繊維量に対して、20〜80質量%含有している請求項1記載の建築部材用複合シート。
  3. 合成樹脂発泡体からなる芯材の一方の面に、請求項1または2記載の建築部材用複合シートが設けられてなる建築部材
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