以下、本発明を図1ないし図17に示す実施形態に従って詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各図における同一の構成部材については同一の符号を付するとともに、その説明については省略する。尚、図1ないし図17において、コンクリート既成杭1,1A,1Bの本体2のコンクリート部2e内に埋設されているPC鋼材や異形棒鋼等の図形は、特に説明がない限り省略している。まず、本発明に係る第1実施形態について説明すると、図1ないし図9において、1は本発明に係る中空のコンクリート既製杭で、このコンクリート既製杭1は、本体2と端板3と側板4と係止部材5と補強バンド6とアンカー部10を有する。
本体2は、図1及び図2(a)〜(c)に示すように、中心部に中空部2aを有するとともに、軸方向に長く延びる略円筒状の部材である。本体2の下端側には上下方向の長さの長い基部2bが、上端側の上端部付近には基部2bの外径よりも小さい外径を有するとともに上下方向の長さの短い小径部2cがそれぞれ形成されている。また、基部2bの上端部から小径部2cの下端部にかけて縮径する本体テーパ部2dが形成されている。
本体2の小径部2cの上端部には、図2(a)〜(c)及び図3に示すように、鋼製で高さが低く厚みを有する略円筒状の側板4が埋設され、小径部2cの外周面に側板4が現れた状態となっている。この側板4には、係止部材5を固定するためのネジ穴4aが形成されている。このネジ穴4aは、側板4の外周面の上下方向の略中央の位置において円周方向に少し間隔を空けて2つ形成されている。また、側板4の外周面の円周方向には、その2つのネジ穴4a,4aを1組として、3組(本実施形態においては計6箇所)のネジ穴4aが等間隔に形成されている。
また、側板4の外周面の上下方向の略中央より上方寄りの位置であって、側板4の上記3組のネジ穴4a,4aのそれぞれの間における円周方向の略中央の位置(本実施形態においては3箇所)に、凹部である略直方体状に窪むキー穴4bが形成されている。
本体2の基部2bの外周面の上端部付近から本体テーパ部2dの外周面を通り小径部2cにおける側板4の外周面の下端部にかけて、本体2のコンクリート部2eの外周面を覆う鋼製の厚さの薄い補強バンド6が設けられている。そして、小径部2cにおいて、補強バンド6の上端部は、側板4の下端部の上に重なるように固定され、補強バンド6の上端部の外周面と側板4の外周面が面一となるように形成されている。また、基部2bにおいて、補強バンド6の下端部の外周面と、コンクリートで形成されているコンクリート部2eの外周面が面一になるように形成されている。
この補強バンド6により、コンクリート既製杭1の杭頭部における曲げ・せん断耐力の向上を図ることができるとともに、側板4に後述する係止部材5及び分割プレート11を固定する際に、本体2のコンクリート部2eが損傷するのを防止することができる。
本体2の小径部2cの上端部に位置する側板4には、図2(a)〜(c)及び図3に示すように、鋼製の厚みを有する略円環状の端板3が連結されて一体となっている。この端板3は、本体2の中空部2aと内径が略同一の中空部3aを有し、下方には本体2の小径部2cと外径が略同一である胴部3bが、上方には本体2の基部2bと外径が略同一であるフランジ部3cがそれぞれ形成されている。また、フランジ部3cの下端部から胴部3bの上端部にかけて縮径する端板テーパ部3dが形成されている。そして、端板3の胴部3bの下端部と本体2の小径部2cの上端部が一体に連結された状態となっている。
このように本体2と端板3が連結されることで、コンクリート既製杭1の上端部付近には、端板3の端板テーパ部3d及び胴部3b並びに本体2の小径部2c及び本体テーパ部2dにより、断面略台形状の窪みである絞り部8が形成されている。
また、絞り部8を形成する端板3、本体2の小径部2cの側板4及び小径部2cから本体テーパ部2dを通り基部2bの上端部付近を覆う補強バンド6は鋼製部材であるため、絞り部8の外周面は全て鋼製となり強度が高い状態となっている。
この絞り部8の位置には、図2及び図3に示すように、断面略六角形状であって内周面5a側に湾曲しつつ本体2の円周方向(左右方向)に延びる略柱状部材である鋼製の係止部材5が、円周方向に等間隔で3つ固定されている。この係止部材5は、絞り部8の断面と略等しい形状及び大きさの断面を内周面5a側に有し、係止部材5の上部斜面5b、内周面5a、下部斜面5cの曲率と、端板3の端板テーパ部3dの外周面、端板3の胴部3bの外周面及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率が、それぞれ等しく形成されている。そのため、係止部材5はその上部斜面5b、内周面5a、下部斜面5cが絞り部8に密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定されている。このとき、係止部材5は、本体2の基部2bの外周面に対して略垂直で外側に向けて大きく突出した状態(絞り部8から大きく突出した状態)となっている。
係止部材5には、その内周面5aから外周面5dにかけて貫通する2つのボルト孔5e,5eが、係止部材5の上下方向の略中央の位置において左右方向に少し間隔を空けて形成され、係止部材5が絞り部8に嵌め込まれた際に、その内周面5aにおいてボルト孔5eが形成されている位置と、側板4の外周面においてネジ穴4aが形成されている位置が、対応する位置関係にある。そのため、係止部材5の外周面5d側からボルト孔5eに挿通されたボルト9を、側板4のネジ穴4aに螺合し締結することにより、側板4に係止部材5が固定されている。
また、係止部材5の内周面5aにおいて、係止部材5の左右方向において少し間隔を空けて形成された2つのボルト孔5e,5eの間の略中央の位置であって、上記のように絞り部8に係止部材5が嵌め込まれてボルト9により固定される際に、側板4の外周面のキー穴4bの形成された位置と対応する位置に、キー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部5fが設けられており、キー穴4bと凸部5fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1を製造する過程において係止部材5を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と係止部材5の凸部5fの位置を合わせて嵌合させつつ、係止部材5の内周面5a側を絞り部8に嵌め込むことで、係止部材5の側板4における固定位置が決められるため、係止部材5の位置合わせの作業が容易となっている。
また、上記のように絞り部8の外周面は強度が高い構造であるため、鋼製の係止部材5及び後述する分割プレート11を絞り部8に嵌め込む際の絞り部8の損傷を防止することができる。
また、係止部材5の固定後は、係止部材5が、本体2の基部2bの外周面に対して略垂直で外側に向けて大きく突出した状態となり、コンクリート既製杭1の定着作業において一般的に用いられている後述する杭回転キャップ20を利用することができるため、定着作業を容易に行うことができる。
また、後述するように、コンクリート既製杭1を杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、コンクリート既製杭1の全重量を、係止部材5及びボルト9を介して、本体2の側板4のネジ穴4a、キー穴4b及び端板テーパ部3dに分散して支持することができる。そのため、コンクリート既製杭1を吊り上げる際、端板3にかかる負荷を軽減することができ、端板3の変形や損傷を防止することができるとともに、端板3に連結されているPC鋼材等への負荷も軽減することができる。これにより、コンクリート既成杭1を安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
また、係止部材5の側板4への着脱が容易であり、コンクリート既製杭1の地盤100への定着後においても係止部材5を側板4から容易に取り外すことが可能な構造となっている。そのため、係止部材5の取り外し後は、地盤100に定着したコンクリート既製杭1の杭頭部と、その上方に設けられたフーチング等の構造物との結合作業を簡素化することができるとともに、その作業時間を短縮することができる。
また、取り外した係止部材5は、新たにコンクリート既製杭1を製造する場合に使用することができるため、コンクリート既製杭1の製造コストを削減することもできる。
本体2及び端板3においては、図3に示すように、端板3や側板4や補強バンド6における本体2のコンクリート部2eと接するそれぞれの面に、本体2の円周方向に延びる円環状の鉄筋であるアンカー部10が溶接により固定されており、それらのアンカー部10は全て本体2のコンクリート部2eに埋設されている状態となっている。
尚、端板3等におけるこれらのアンカー部10の固定される位置は、コンクリート部2eと接する面であってアンカー部10をコンクリート部2e内に埋設可能な位置であれば、いずれの位置であっても良い。
そのため、本体2のコンクリート部2eと端板3、側板4、補強バンド6の結合が、アンカー部10を設けたことにより強固なものとなり、本体2のコンクリート部2eと端板3、側板4及び補強バンド6の一体性がより強固なものになるため一体性が確保され、コンクリート既製杭1を杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、端板3、側板4及び補強バンド6に大きな負荷がかかった場合であっても、これらの部材が分離することがないため、より安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
尚、本実施形態においては、側板4の円周方向に係止部材5を等間隔で3箇所に設置する構造であるが、複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良い。
本実施形態においては、係止部材5はその内周面5a側に、絞り部8の断面と略等しい大きさ及び形状の断面を有する略柱状部材であるが、必ずしも絞り部8の断面と略等しい大きさ及び断面を有している必要はなく、側板4に固定する際に、端板3の端板テーパ部3dの外周面及び本体2の小径部2c(側板4または補強バンド6)の外周面と接する面を有する断面形状の略柱状部材であればよい。
そのため、係止部材5の断面の内周面5a側の上下方向の大きさが、絞り部8の断面のその大きさよりも小さく、側板4に固定する際に、本体テーパ部2dの外周面に接しない断面形状を有する係止部材5であってもよい。
また、係止部材5における本体2の基部2bの外周面から突出した部分(絞り部8から突出した状態)の断面形状は、図3に示すように本実施形態においては略長方形状であるが、コンクリート既製杭1を吊り上げる際に、負荷がかかっても変形しない大きさ(断面積)を有し、吊り上げる際に使用する杭回転キャップ20の係止溝部24と係止可能な程度に、本体2の基部2bの外周面から突出していれば、必ずしも略長方形状でなくてもよい。そのため、上記突出した部分の断面形状が、台形状や三角形状等の多角形状であってもよい。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、係止部材5の内周面にそのキー穴4bと嵌合可能な凸部5fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、係止部材5に凹部であるキー穴がそれぞれ形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部5fの形状は略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
また、本実施形態においては、端板3や側板4や補強バンド6の全てにアンカー部10が溶接により固定されているが、端板3や側板4や補強バンド6のうちの少なくともいずれか1つにアンカー部10が固定されている構造であっても良い。
また、アンカー部10として円環状の鉄筋が端板3等に1つ固定されているが、本体2のコンクリート部2eとアンカー部10の付着力(アンカー部10に作用する支圧力)を確保できるのであれば、アンカー部10は円環状でなく棒状の鉄筋であってもよく、その数は1つでなく2つ以上であっても良い。
側板4の外周面には、図1等で示すように、後述する分割プレート11を固定するためのネジ穴4cが形成されている。このネジ穴4cは、側板4の上下方向の略中央の位置において円周方向に間隔を空けて複数(本実施形態においては計6箇所)形成されている。
そのため、側板4に固定されている係止部材5を取り外した後は、絞り部8の位置には、図4(a)〜(c)及び図5に示すように、断面略台形状であって内周面11a側に湾曲しつつ本体2の円周方向に延びる横長の略帯状部材である鋼製の分割プレート11を嵌め込むことができる。
分割プレート11は、図5に示すように、絞り部8の断面と略等しい形状及び大きさの断面を有するとともに、分割プレート11の上部斜面11b、内周面11a、下部斜面11cの曲率と、端板3の端板テーパ部3dの外周面、端板3の胴部3bの外周面及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率は、それぞれ等しく形成されている。そのため、分割プレート11はその上部斜面11b、内周面11a、下部斜面11cが絞り部8に密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定することができる。
分割プレート11には、内周面11aから外周面11dにかけて貫通するボルト孔11eが、分割プレート11の上下方向の略中央の位置において左右方向の両端部付近にそれぞれ形成されており、分割プレート11を絞り部8に嵌め込んだ際に、内周面11aにおいてボルト孔11eが形成された位置と、側板4においてネジ穴4cが形成されている位置が、対応する位置関係にある。そのため、分割プレート11の外周面11d側からボルト孔11eにボルト12を挿入しつつ側板4のネジ穴4cに螺合してトルクレンチなどにより締結することにより、側板4に分割プレート11を固定することができる。
また、分割プレート11の内周面11aにおいて、分割プレート11の左右方向の略中央の位置であって、上記のように絞り部8に分割プレート11を嵌め込んでボルト12により固定する際に、側板4のキー穴4bの形成された位置と対応する位置に、キー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部11fが設けられており、キー穴4bと凸部11fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1を所定の深度まで沈設させ地盤100に定着させた後、分割プレート11を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と分割プレート11の凸部11fの位置を合わせて嵌合させつつ、分割プレート11の内周面11a側を絞り部8に嵌め込むことで、分割プレート11の側板4における固定位置が決められるため、分割プレート11の位置合わせの作業が容易となっている。
絞り部8に嵌め込んだ状態で分割プレート11を側板4に固定することで、分割プレート11の外周面11dが本体2の基部2bの外周面と面一な状態となる。また、絞り部8の円周方向には、図4(a)〜(c)に示すように、大きさが略等しい分割プレート11を3つ固定することができるため、それにより絞り部8の外周面全体(円周方向全体)が分割プレート11により覆われた状態となる。そのため、コンクリート既製杭1の絞り部8における断面欠損による曲げ・せん断耐力等の低下を防止することができる。
尚、本実施形態においては、側板4の円周方向に大きさが略等しい分割プレート11を3箇所に設置する構造であるが、分割プレート11を複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良く、大きさが異なる分割プレートを複数設置する構造であっても良い。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、分割プレート11の内周面11aにはキー穴4bと嵌合可能な凸部11fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、分割プレート11に凹部であるキー穴が形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部11fは略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明すると、図10ないし図13において、コンクリート既製杭1Aは、本体2と端板30と側板4と係止部材50と補強バンド6とアンカー部10を有する。本体2と側板4と補強バンド6とアンカー部10の構造及び配置等は、上記第1実施形態に係るコンクリート既製杭1の本体2と側板4と補強バンド6とアンカー部10と同様である。
端板30は、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1の端板3と同様に、本体2の小径部2cの上端部に位置する側板4に連結されている鋼製の厚みを有する略円環状の部材であるが、形状が相違する。具体的には、図10及び図11に示すように、本体2の中空部2aと内径が略同一の中空部30aを有し、下方には本体2の小径部2cと外径が略同一である胴部30bが、上方には本体2の基部2bと外径が略同一であるフランジ部30cがそれぞれ形成されている。フランジ部30cは、胴部30bの上端部から胴部30bに対して略垂直で拡径する方向に延びるよう形成されている。尚、胴部30bとフランジ部30cが形成する入隅部は円弧状に形成されている。また、端板30の胴部30bの下端部と本体2の小径部2cの上端部が一体に連結された状態となっている。
このように本体2と端板30が連結されることで、コンクリート既製杭1Aの上端部付近には、端板30のフランジ部30c及び胴部30b並びに本体2の小径部2c及び本体テーパ部2dにより、断面略台形状の窪みである絞り部8Aが形成されている。
また、絞り部8Aを形成する端板30、本体2の小径部2cの側板4及び小径部2cから本体テーパ部2dを通り基部2bの上端部付近を覆う補強バンド6は鋼製部材であるため、絞り部8Aの外周面は全て鋼製となり強度が高い状態となっている。
この絞り部8Aの位置には、図10及び図11に示すように、断面略五角形状であって内周面50a側に湾曲しつつ本体2の円周方向(左右方向)に延びる略柱状部材である鋼製の係止部材50が、円周方向に等間隔で3つ固定されている。この係止部材50は、第1実施形態のコンクリート既製杭1の係止部材5とは断面形状(内周面50a側の上部の形状)が相違する。
具体的には、絞り部8Aの断面と略等しい形状及び大きさの断面を内周面50a側に有し、係止部材50の内周面50a、下部斜面50cの曲率と、端板30の胴部30b及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率が、それぞれ等しく形成されている。そのため、係止部材50はその上面50b、内周面50a、下部斜面50cが絞り部8Aに密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定されている。このとき、係止部材50は、本体2の基部2bの外周面に対して略垂直で外側に向けて大きく突出した状態(絞り部8Aから大きく突出した状態)となっている。
係止部材50には、その内周面50aから外周面50dにかけて貫通する2つのボルト孔50e,50eが形成され、それらの位置は係止部材5のボルト孔5eと同様の位置に形成されている。そのため、係止部材50の外周面50d側からボルト孔50eに挿通されたボルト9を、側板4のネジ穴4aに螺合し締結することにより、側板4に係止部材50が固定されている。
また、係止部材50の内周面50aにおいて、側板4の外周面のキー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部50fが設けられ、その位置は係止部材5の凸部5fと同様の位置に設けられており、キー穴4bと凸部50fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1Aを製造する過程において係止部材50を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と係止部材50の凸部50fの位置を合わせて嵌合させつつ、係止部材50の内周面50a側を絞り部8Aに嵌め込むことで、係止部材50の側板4における固定位置が決められるため、係止部材50の位置合わせの作業が容易となっている。
また、上記のように絞り部8Aの外周面は強度が高い構造であるため、鋼製の係止部材50及び後述する分割プレート40を絞り部8Aに嵌め込む際の絞り部8Aの損傷を防止することができる。
また、係止部材50の固定後は、係止部材50が、本体2の基部2bの外周面に対して垂直で外側に向けて突出した状態となり、コンクリート既製杭1Aの定着作業において杭回転キャップ20を利用することができるため、定着作業を容易に行うことができる。
また、後述するように、コンクリート既製杭1Aを杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、コンクリート既製杭1Aの全重量を、係止部材50及びボルト9を介して、本体2の側板4のネジ穴4a、キー穴4b及びフランジ部30cに分散して支持することができる。そのため、コンクリート既製杭1Aを吊り上げる際、端板30にかかる負荷を軽減することができ、端板30の変形や損傷を防止することができるとともに、端板30に連結されているPC鋼材等への負荷も軽減することができる。これにより、コンクリート既成杭1Aを安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
また、係止部材50の側板4への着脱が容易であり、コンクリート既製杭1Aの地盤100への定着後においても係止部材50を側板4から容易に取り外すことが可能な構造となっている。そのため、係止部材50の取り外し後は、地盤100に定着したコンクリート既製杭1Aの杭頭部と、その上方に設けられたフーチング等の構造物との結合作業を簡素化することができるとともに、その作業時間を短縮することができる。
また、取り外した係止部材50は、新たにコンクリート既製杭1Aを製造する場合に使用することができるため、コンクリート既製杭1Aの製造コストを削減することもできる。
尚、図11に示すアンカー部10については、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1と同様のものが、同様の位置に固定され、埋設されている。そのため、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1と同様に、本体2のコンクリート部2eと端板30、側板4、補強バンド6の結合が、アンカー部10を設けたことにより強固なものとなり、本体2のコンクリート部2eと端板30、側板4及び補強バンド6の一体性がより強固なものになるため一体性が確保され、コンクリート既製杭1Aを杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、端板30、側板4及び補強バンド6に大きな負荷がかかった場合であっても、これらの部材が分離することがないため、より安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
また、本実施形態においては、上記第1実施形態の場合と同様に、側板4の円周方向に係止部材50を等間隔で3箇所に設置する構造であるが、複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良い。
また、本実施形態においては、係止部材50はその内周面50a側に、絞り部8Aの断面と略等しい大きさ及び形状の断面を有する略柱状部材であるが、必ずしも絞り部8Aの断面と略等しい形状及び大きさの断面を有している必要はなく、側板4に固定する際に、端板30のフランジ部30及び本体2の小径部2c(側板4または補強バンド6)の外周面と接する断面形状の略柱状部材であればよい。
そのため、係止部材50の断面の内周面50a側の上下方向の大きさが、絞り部8Aの断面のその大きさよりも小さく、側板4に固定する際に、本体テーパ部2dの外周面に接しない断面形状を有する係止部材50であってもよい。
また、係止部材50における本体2の基部2bの外周面から突出した部分(絞り部8Aから突出した状態)の断面形状は、図11に示すように本実施形態においては略長方形状であるが、コンクリート既製杭1Aを吊り上げる際に、負荷がかかっても変形しない大きさ(断面積)を有し、吊り上げる際に使用する杭回転キャップ20の係止溝部24と係止可能な程度に、本体2の基部2bの外周面から突出していれば、必ずしも略長方形状でなくてもよい。そのため、上記突出した部分の断面形状が、台形状や三角形状等の多角形状であってもよい。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、係止部材50の内周面50aにそのキー穴4bと嵌合可能な凸部50fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、係止部材50に凹部であるキー穴が形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部50fは略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
また、本実施形態においては、端板30や側板4や補強バンド6の全てにアンカー部10が溶接により固定されているが、端板30や側板4や補強バンド6のうちの少なくともいずれか1つにアンカー部10が固定されている構造であっても良い。
側板4には、図10等で示すように、後述する分割プレート40を固定するためのネジ穴4cが形成されている。このネジ穴4cは、側板4の上下方向の略中央の位置において円周方向に間隔を空けて複数(本実施形態においては計6箇所)形成されている。
そのため、側板4に固定されている係止部材50を取り外した後は、この絞り部8Aの位置には、図12及び図13に示すように、断面略台形状であって内周面40a側に湾曲しつつ本体2の円周方向に延びる横長の略帯状部材である鋼製の分割プレート40を嵌め込むことができる。
分割プレート40は、第1実施形態の分割プレート11とは断面形状が相違する。具体的には、絞り部8Aの断面と略等しい形状及び大きさの断面を有するとともに、分割プレート40の内周面40a、下部斜面40cの曲率と、端板30の胴部30b及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率は、それぞれ等しく形成されている。そのため、分割プレート40はその上面40b、内周面40a、下部斜面40cが絞り部8Aに密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定することができる。
分割プレート40には、内周面40aから外周面40dにかけて貫通するボルト孔40eが2つ形成され、それらの位置は分割プレート11のボルト孔11eと同様の位置に形成されている。そのため、分割プレート40の外周面40d側からボルト孔40eにボルト12を挿入しつつ側板4のネジ穴4cに螺合してトルクレンチなどにより締結することにより、側板4に分割プレート40を固定することができる。
また、分割プレート40の内周面40aにおいて、側板4のキー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部40fが設けられ、その位置は分割プレート11の凸部11fと同様の位置に設けられており、キー穴4bと凸部40fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1Aを所定の深度まで沈設させ地盤100に定着させた後、分割プレート40を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と分割プレート40の凸部40fの位置を合わせて嵌合させつつ、分割プレート40の内周面40a側を絞り部8Aに嵌め込むことで、分割プレート40の側板4における固定位置が決められるため、分割プレート40の位置合わせの作業が容易となっている。
絞り部8Aに嵌め込んだ状態で分割プレート40を側板4に固定することで、分割プレート40の外周面40dが本体2の基部2bの外周面と面一な状態となる。また、絞り部8Aの円周方向には、大きさが略等しい分割プレート40を3つ固定することができるため、それにより絞り部8Aの外周面全体(周方向全体)が分割プレート40により覆われた状態となる。そのため、コンクリート既製杭1Aの絞り部8Aにおける断面欠損による曲げ・せん断耐力等の低下を防止することができる。
尚、本実施形態においては、上記第1実施形態の場合と同様に、側板4の円周方向に大きさが略等しい分割プレート40を3箇所に設置する構造であるが、分割プレート40を複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良く、大きさが異なる分割プレートを複数設置する構造であっても良い。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、分割プレート40の内周面40aにはキー穴4bと嵌合可能な凸部40fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、分割プレート40に凹部であるキー穴が形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部40fは略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
次に、本発明に係る第3実施形態について説明すると、図14ないし図17において、コンクリート既成杭1Bは、本体2と端板31と側板4と係止部材51と補強バンド6とアンカー部10を有する。本体2と側板4と補強バンド6とアンカー部10の構造及び配置等は、上記第1実施形態に係るコンクリート既製杭1の本体2と側板4と補強バンド6とアンカー部10と同様である。
端板31は、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1の端板3と同様に、本体2の小径部2cの上端部に位置する側板4に連結されている鋼製の厚みを有する略円環状の部材であるが、形状が相違する。具体的には、図14及び図15に示すように、本体2の中空部2aと内径が略同一の中空部31aを有し、下方には本体2の小径部2cと外径が略同一である胴部31bが、上方には本体2の基部2bと外径が略同一であるフランジ部31cがそれぞれ形成されている。また、フランジ部31cの下端部から胴部31bの上端部にかけて、上方に湾曲しつつ縮径する端板曲面部31dが形成されている。そして、端板31の胴部31bの下端部と本体2の小径部2cの上端部が一体に連結された状態となっている。
このように本体2と端板31が連結されることで、コンクリート既製杭1Bの上端部付近には、端板31の端板曲面部31d及び胴部31b並びに本体2の小径部2c及び本体テーパ部2dにより、断面略台形状の窪みである絞り部8Bが形成されている。
また、絞り部8Bを形成する端板31、本体2の小径部2cの側板4及び小径部2cから本体テーパ部2dを通り基部2bの上端部付近を覆う補強バンド6は鋼製部材であるため、絞り部8Bの外周面は全て鋼製となり強度が高い状態となっている。
この絞り部8Bの位置には、図14及び図15に示すように、断面略五角形状であって内周面51a側に湾曲しつつ本体2の円周方向(左右方向)に延びる略柱状部材である鋼製の係止部材51が、円周方向に等間隔で3つ固定されている。この係止部材51は、第1実施形態のコンクリート既製杭1の係止部材5とは断面形状(内周面51a側の上部の形状)が相違する。
具体的には、絞り部8Bの断面と略等しい形状及び大きさの断面を内周面51a側に有し、係止部材51の上部曲面51b、内周面51a、下部斜面51cの曲率と、端板31の端板曲面部31dの外周面、端板31の胴部31b及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率が、それぞれ等しく形成されている。そのため、係止部材51はその上部曲面51b、内周面51a、下部斜面51cが絞り部8Bに密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定されている。このとき、係止部材51は、本体2の基部2bの外周面に対して略垂直で外側に向けて大きく突出した状態(絞り部8Bから大きく突出した状態)となっている。
係止部材51には、その内周面51aから外周面51dにかけて貫通する2つのボルト孔51e,51eが形成され、それらの位置は係止部材5のボルト孔5eと同様の位置に形成されている。そのため、係止部材51の外周面51d側からボルト孔51eに挿通されたボルト9を、側板4のネジ穴4aに螺合し締結することにより、側板4に係止部材51が固定されている。
また、係止部材51の内周面51aにおいて、側板4の外周面のキー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部51fが設けられ、その位置は係止部材5の凸部5fと同様の位置に設けられており、キー穴4bと凸部51fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1Bを製造する過程において係止部材51を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と係止部材51の凸部51fの位置を合わせて嵌合させつつ、係止部材51の内周面51a側を絞り部8Bに嵌め込むことで、係止部材51の側板4における固定位置が決められるため、係止部材51の位置合わせの作業が容易となっている。
また、上記のように絞り部8Bの外周面は強度が高い構造であるため、鋼製の係止部材51及び後述する分割プレート41を絞り部8Bに嵌め込む際の絞り部8Bの損傷を防止することができる。
また、係止部材51の固定後は、係止部材51が、本体2の基部2bの外周面に対して垂直で外側に突出した状態となり、コンクリート既製杭1Bの定着作業において杭回転キャップ20を利用することができるため、定着作業を容易に行うことができる。
また、後述するように、コンクリート既製杭1Bを杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、コンクリート既製杭1Bの全重量を、係止部材51及びボルト9を介して、本体2の側板4のネジ穴4a、キー穴4b及び端板曲面部31dに分散して支持することができる。そのため、コンクリート既製杭1Bを吊り上げる際、端板31にかかる負荷を軽減することができ、端板31の変形や損傷を防止することができるとともに、端板31に連結されているPC鋼材等への負荷も軽減することができる。これにより、コンクリート既成杭1Bを安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
また、係止部材51の側板4への着脱が容易であり、コンクリート既製杭1Bの地盤100への定着後においても係止部材51を側板4から容易に取り外すことが可能な構造となっている。そのため、係止部材51の取り外し後は、地盤100に定着したコンクリート既製杭1Bの杭頭部と、その上方に設けられたフーチング等の構造物との結合作業を簡素化することができるとともに、その作業時間を短縮することができる。
また、取り外した係止部材51は、新たにコンクリート既製杭1Bを製造する場合に使用することができるため、コンクリート既製杭1Bの製造コストを削減することもできる。
尚、図15に示すアンカー部10については、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1と同様のものが、同様の位置に固定され、埋設されている。そのため、上記第1実施形態のコンクリート既製杭1と同様に、本体2のコンクリート部2eと端板31、側板4、補強バンド6の結合が、アンカー部10を設けたことにより強固なものとなり、本体2のコンクリート部2eと端板31、側板4及び補強バンド6の一体性がより強固なものになるため一体性が確保され、コンクリート既製杭1Bを杭回転キャップ20を利用して吊り上げる際、端板31、側板4及び補強バンド6に大きな負荷がかかった場合であっても、これらの部材が分離することがないため、より安全な状態で吊り上げることが可能となっている。
また、本実施形態においては、上記第1実施形態の場合と同様に、側板4の円周方向に係止部材51を等間隔で3箇所に設置する構造であるが、複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良い。
また、本実施形態においては、係止部材51が、その内周面51a側に、絞り部8Bの断面と略等しい大きさ及び形状の断面を有しているが、必ずしも絞り部8Bの断面と略等しい形状及び大きさの断面を有している必要はなく、側板4に固定する際に、端板31の端板曲面部31dの外周面及び本体2の小径部2c(側板4または補強バンド6)の外周面と接する断面形状の略柱状部材であればよい。
そのため、係止部材51の断面の内周面51a側の上下方向の大きさが、絞り部8Bの断面のその大きさよりも小さく、側板4に固定する際に本体テーパ部2dの外周面に接しない断面形状を有する係止部材51であってもよい。
また、係止部材51における本体2の基部2bの外周面から突出した部分(絞り部8Bから突出した状態)の断面形状は、図15に示すように本実施形態においては略長方形状であるが、コンクリート既製杭1Bを吊り上げる際に、負荷がかかっても変形しない大きさ(断面積)を有し、吊り上げる際に使用する杭回転キャップ20の係止溝部24と係止可能な程度に、本体2の基部2bの外周面から突出していれば、必ずしも略長方形状でなくてもよい。そのため、上記突出した部分の断面形状が、台形状や三角形状等の多角形状であってもよい。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、係止部材51の内周面51aにそのキー穴4bと嵌合可能な凸部51fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、係止部材51に凹部であるキー穴が形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部51fは略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
また、本実施形態においては、端板31や側板4や補強バンド6の全てにアンカー部10が溶接により固定されているが、端板31や側板4や補強バンド6のうちの少なくともいずれか1つにアンカー部10が固定されている構造であっても良い。
側板4には、図14で示すように、後述する分割プレート41を固定するためのネジ穴4cが形成されている。このネジ穴4cは、側板4の上下方向の略中央の位置において円周方向に間隔を空けて複数(本実施形態においては計6箇所)形成されている。
そのため、側板4に固定されている係止部材51を取り外した後は、この絞り部8Bの位置には、図16及び図17に示すように、断面略台形状であって内周面41a側に湾曲しつつ本体2の円周方向に延びる横長の略帯状部材である鋼製の分割プレート41を嵌め込むことができる。
分割プレート41は、第1実施形態の分割プレート11とは断面形状が相違する。具体的には、絞り部8Bの断面と略等しい形状及び大きさの断面を有するとともに、分割プレート41の上部において上方に湾曲する上部曲面41b、内周面41a、下部斜面41cの曲率と、端板31の端板曲面部31dの外周面、端板31の胴部31b及び本体2の小径部2cの外周面、本体2の本体テーパ部2dの外周面の曲率は、それぞれ等しく形成されている。そのため、分割プレート41はその上部曲面41b、内周面41a、下部斜面41cが絞り部8Bに密着し、ちょうど嵌った状態で側板4に固定することができる。
分割プレート41には、内周面41aから外周面41dにかけて貫通するボルト孔41eが2つ形成され、それらの位置は分割プレート11のボルト孔11eと同様の位置に形成されている。そのため、分割プレート41の外周面41d側からボルト孔41eにボルト12を挿入しつつ側板4のネジ穴4cに螺合してトルクレンチなどにより締結することにより、側板4に分割プレート41を固定することができる。
また、分割プレート41の内周面41aにおいて、側板4のキー穴4bと略同じ大きさの略直方体状の凸部41fが設けられ、その位置は分割プレート11の凸部11fと同様の位置に設けられており、キー穴4bと凸部41fが嵌合可能となっている。
上記構造により、コンクリート既製杭1Bを所定の深度まで沈設させ地盤100に定着させた後、分割プレート41を側板4に固定する際、側板4のキー穴4bの位置と分割プレート41の凸部41fの位置を合わせて嵌合させつつ、分割プレート41の内周面41a側を絞り部8Bに嵌め込むことで、分割プレート41の側板4における固定位置が決められるため、分割プレート41の位置合わせの作業が容易となっている。
絞り部8Bに嵌め込んだ状態で分割プレート41を側板4に固定することで、分割プレート41の外周面41dが本体2の基部2bの外周面と面一な状態となる。また、絞り部8Bの円周方向には、大きさが略等しい分割プレート41を3つ固定することができるため、それにより絞り部8Bの外周面全体(周方向全体)が分割プレート41により覆われた状態となる。そのため、コンクリート既製杭1Bの絞り部8Bにおける断面欠損による曲げ・せん断耐力等の低下を防止することができる。
尚、本実施形態においては、上記第1実施形態の場合と同様に、側板4の円周方向に大きさが略等しい分割プレート41を3箇所に設置する構造であるが、分割プレート41を複数設置する構造であればよく、2箇所であっても4箇所以上であっても良く、大きさが異なる分割プレートを複数設置する構造であっても良い。
また、本実施形態においては、側板4の外周面に凹部であるキー穴4bが、分割プレート41の内周面41aにはキー穴4bと嵌合可能な凸部41fがそれぞれ形成されているが、側板4に凸部が、分割プレート41に凹部であるキー穴が形成されていても良い。
また、キー穴4b及び凸部41fは略直方体状であるが、円柱状や、三角柱状や五角柱状などの多角柱状であっても良い。
また、本実施形態においては、端板31の端板曲面部31d及び分割プレート41の上部曲面が、ともに上方に湾曲する曲面を形成しているが、これらがともに下方に湾曲する曲面であってもよい。
上記コンクリート既製杭1,1A,1Bは、図6に示すような一般的に使用されている杭回転キャップ20によって地盤100への定着作業を行う。この杭回転キャップ20は、コンクリート既製杭1,1A,1Bの杭頭部を挿入可能な大きさの内径を有する筒部21と、その上端を塞ぐ天板部22と、その天板部22の上面中央に設けられ、杭打機等の回転機構の回転軸(図示せず)と連結可能な軸継ぎ手部23から構成されている。
筒部21には、コンクリート既製杭1,1A,1Bの係止部材5,50,51を挿入可能であって、筒部21の下端部から上下方向に延びる縦溝部24aと、縦溝部24aの上端部から筒部21の円周方向に延びる横溝部24bとを有する略逆L字状の係止溝部24が形成されている。この係止溝部24は、コンクリート既製杭1,1A,1Bの杭頭部を筒部21に挿入する際に、係止部材5,50,51と対応する位置(本実施形態においては筒部21の円周方向に等間隔で3か所)に形成されている。
上記のような杭回転キャップ20を用いて、コンクリート既製杭1を、地盤100に形成した掘削孔101内に垂直に建て込んで設置する施工方法について説明すると、まずコンクリート既製杭1の杭径よりもやや大きい(100mm〜150mm程度大きい)径の掘削孔101を、アースオーガ等により地盤100の所定の位置に所定の深さに形成し、根固め液・杭周固定液を注入する。
次に、杭回転キャップ20の軸継ぎ手部23を、杭打機等の回転機構の回転軸の下端に連結する。そして、別の杭打機等によりコンクリート既製杭1の杭頭部をワイヤーロープ等により吊り上げて起こしつつ、その杭頭部を杭回転キャップ20の筒部21内に挿入する。
その際、コンクリート既製杭1の係止部材5と、杭回転キャップ20の筒部21に形成されている係止溝部24の縦溝部24aの位置を合わせ、係止部材5を縦溝部24aに沿って挿入しつつ、杭頭部を杭回転キャップ20内の奥まで挿入する。
その後、杭回転キャップ20を右回転させて、係止部材5を縦溝部24aから横溝部24bへと移動させ(図6参照)、係止部材5を横溝部24bの一番奥まで移動させることで、杭回転キャップ20の係止溝部24とコンクリート既製杭1の係止部材5を係止させた状態とする。その状態で、杭回転キャップ20を介してコンクリート既製杭1を吊り上げる。吊り上げている間は、杭回転キャップ20を右回転させることで、コンクリート既製杭1も一緒に右回転させることができる。
次に、コンクリート既製杭1を掘削孔101の真上まで移動させ、右回転させた状態での圧入による下降または吊り上げによる上昇を繰り返すことで、コンクリート既製杭1を掘削孔101内に建て込み、所定の深度まで沈設させることで掘削孔101内にコンクリート既製杭1を定着させる。
コンクリート既製杭1を定着させた後、杭回転キャップ20を左回転させることで、係止部材5を横溝部24bから縦溝部24aへと移動させ、杭回転キャップ20との係止状態を解除させる。その後、杭回転キャップ20を真っ直ぐ上方へ引き上げ、コンクリート既製杭1の係止部材5が縦溝部24aから抜け出た状態とし、杭回転キャップ20の筒部21と杭頭部を分離させる(図7参照)。
次に、図8に示すように、ネジ穴4aと螺合するボルト9をトルクレンチなどにより緩めて、全ての係止部材5を側板4から取り外す。その後、図4(a)〜(c)、図5及び図9に示すように、分割プレート11の外周面11d側からボルト孔11eにボルト12を挿入しつつ側板4のネジ穴4cに螺合してトルクレンチなどにより締結し、側板4に分割プレート11を3つ固定することにより掘削孔101(地盤100)への設置作業が完了する。
尚、地盤100に形成した掘削孔101内に、杭回転キャップ20によってコンクリート既製杭1A,1Bを垂直に建て込んで設置する施工方法についても、コンクリート既製杭1の場合と同様に、コンクリート既製杭1A,1Bの杭頭部を杭打機等によりワイヤーロープ等で吊り上げて起こしつつ、その杭頭部を、杭打機等の回転機構の回転軸の下端に連結した杭回転キャップ20の筒部21内に挿入し、杭回転キャップ20の係止溝部24とコンクリート既製杭1A,1Bの係止部材50,51を係止させた状態で吊り上げる。
次に、コンクリート既製杭1A,1Bを、地盤100に形成した掘削孔101の真上まで移動させ、右回転させた状態での圧入による下降または吊り上げによる上昇を繰り返して所定の深度まで沈設させることで、掘削孔101内にコンクリート既製杭1A,1Bを定着させる。
その後、杭回転キャップ20を左回転させた後上方へ引き上げることで、その筒部21とコンクリート既製杭1A,1Bの杭頭部を分離させ、全ての係止部材50,51を側板4から取り外し、図12、図13、図16及び図17に示すように、側板4に分割プレート40,41を3つ固定することにより掘削孔101内(地盤100)への設置作業が完了する。