JP2021172676A - ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、臭気を低減したポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡体のアンモニア含有量が200ppm未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。詳細には、臭気を低減したポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた柔軟性や緩衝性、断熱性、耐熱性を有していることから、従来、建築や電気・電子機器、車輌等の広範な分野において、断熱材やクッション材等に使用されている。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン樹脂に熱分解型発泡剤を含有させた樹脂組成物を加熱して発泡すること等により製造されている。熱分解型発泡剤としてはアゾジカルボンアミドを使用することが広く知られているが、該発泡剤は熱分解すると同時にアンモニアも発生し、それが残存することで発泡体自身の臭気が問題になることがある。例えば、ポリオレフィン系樹脂発泡体の成形体を自動車内装材として組み込む場合、その臭気によりユーザーが不快に感じることがある。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の臭気を抑制する技術として、例えば、活性炭素等の多孔性物質の脱臭剤を用いる方法(特許文献1)、カーボンブラック等の臭気抑制剤を用いる方法(特許文献2)などが知られている。
特開平11−60774号公報 特開平11−263863号公報
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂発泡体の成形体からなる自動車内装材を組み込んだ車室内においては、かかる従来技術を用いても臭気の抑制は必ずしも十分ではなく、更なる低減が要望されている。
そこで、本発明は、臭気を低減したポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、アンモニア含有量が200ppm未満であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体であれば、課題を解決できることを見出した。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂発泡体中のアンモニア含有量が200ppm未満である、臭気を低減した発泡体を提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
[A.ポリオレフィン系樹脂発泡体の構成]
本発明に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、アンモニア含有量が200ppm未満であること、を特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体である。
(A−1)消臭脱臭剤:
本発明の実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡体は、臭気改善のために、所定量の消臭脱臭剤を含む。本発明で用いられる消臭脱臭剤としては、臭気物質と物理的に吸着するものと、臭気物質と化学的に吸着するものが挙げられる。
物理的な吸着とは、臭気物質とファンデルワールス力や極性引力、水素結合、静電引力等の分子間力により吸着することを意味する。物理的に吸着する消臭脱臭剤は、吸着効率を上げるため表面積が大きく、形状としては微粉末又は多孔質体が好ましい。具体的には、非晶質炭素や多孔質セラミックス、多孔質ガラス、シリカ、ケイ酸塩白土、ミョウバン、金属酸化物等が挙げられる。特に、カーボンブラックや活性炭、ゼオライト、アルミナ、ジルコニア、シリカゲル、二酸化ケイ素、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物、鉄ミョウバン、アンモニウム鉄ミョウバン、焼きミョウバン、アルミニウムパウダー、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、セリウム酸化物、スズ酸化物を用いることが好ましい。
化学的な吸着とは、臭気物質と化学結合であるイオン結合や共有結合等の相互作用により吸着することを意味する。臭気物質と酸・アルカリの中和反応や縮合反応、付加反応、酸化・還元反応を起こし他の物質に変化してもよい。化学的に吸着する消臭脱臭剤として、ヒドロキシ基、アルデヒド基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シラノール基、アルコキシ基、アミノ基、メトキシ基、ケトン基、アセチル基、アゾ基、スルホ基、ニトロ基を有する化合物が挙げられる。特に、臭気物質であるアンモニアに対しては、ヒドロキシ基を持つ化合物やカルボキシ基を持つベタイン様物質、シラノール基を持つ無定形含水ケイ酸金属であることが好ましい。また、臭気脱臭剤にはマスキング効果を有する植物精油が含まれていてもよい。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂発泡体が含む消臭脱臭剤としては、上記した物理的に吸着する消臭脱臭剤のうちの1種類もしくは、2種類以上を用いてもよい。または、上記した化学的に吸着する消臭脱臭剤のうちの1種類もしくは、2種類以上を用いてもよい。さらには、物理的に吸着する消臭脱臭剤と化学的に吸着する消臭脱臭剤を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、臭気物質をより強く吸着することができるため、化学的に吸着する消臭脱臭剤が好ましく、アンモニアと化学結合する前記消臭脱臭剤の中でも、ヒドロキシ基やカルボキシ基、シラノール基を有していることがさらに好ましい。
本発明で使用される消臭脱臭剤は、基材樹脂100質量部に対して、1質量部から20質量部が好ましい。より好ましくは2質量部から20質量部であり、さらに好ましくは2質量部から10質量部である。
消臭脱臭剤の含有量が1質量部よりも少ない場合には、ポリオレフィン系樹脂発泡体内のアンモニア含有量が高く効果が不十分となる。一方で、消臭脱臭剤の含有量が20質量部よりも多い場合には、消臭脱臭剤の過剰添加となり、発泡体のコスト面から問題である。
(A−2)ポリオレフィン系樹脂:
本発明の実施形態に係るポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートが含むポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性、及び成形性を向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との双方を含むことがより好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体等に代表されるポリエチレン系樹脂を挙げることができる。なお、上記した密度の定義は、「超低密度」とは0.910g/cm未満であり、「低密度」とは0.910g/cm以上0.940g/cm以下であり、「高密度」とは0.940g/cmより大きく0.965g/cm以下であることをいう。
また、これらのポリエチレン系樹脂の重合方法には特に制限がなく、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法のいずれでも良く、重合触媒についても、チーグラー触媒やメタロセン触媒等、特に限定されるものではない。
前記ポリエチレン系樹脂は、密度が0.890〜950g/cm、MFR(190℃)が1g/10min以上15g/10min未満の範囲内にあるものが好ましく用いられ、中でも密度が0.920〜0.940g/cm、MFR(190℃)が2g/10min以上10g/10min未満、融点が100℃以上130℃未満のエチレン−α−オレフィン共重合体が、特に好ましく用いられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレンープロピレンランダムブロック共重合体等などに代表されるα−オレフィン−プロピレン共重合体(ここでいうα−オレフィンとは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンおよび1−ノネンなどのことを言う。)、その他に変性ポリプロピレン樹脂、およびエチレン、イソプレン、ブタジエンおよびスチレンなどのブロック部をもつプロピレンブロック共重合体などが挙げられ、必要に応じてプロピレンモノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることもできる。また、ポリプロピレン系樹脂は、1種類もしくは、2種類以上をブレンドして用いても良く、従来から公知の如何なるものでも良い。
これらのポリプロピレン系樹脂の重合方法には特に制限がなく、高圧法、スラリー法、溶液法、気相法のいずれでも良く、重合触媒についても、チーグラー触媒やメタロセン触媒等、特に限定されるものではない。
前記ポリプロピレン系樹脂は、融点が135℃以上160℃未満、MFR(230℃)が0.5g/10min以上5.0g/10min未満のエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/又はエチレン−プロピレンランダム・ブロック共重合体でポリプロピレン系樹脂100質量%中のエチレン含有率が1質量%以上15質量%未満のもの、または、融点が150℃以上170℃未満、MFR(230℃)が1.0g/10min以上7.0g/10min未満であるエチレン−プロピレンブロック共重合体及び/又はホモポリプロピレンでエチレン含有率が1質量%以上15質量%未満のものが、特に好ましく用いられる。ここでいうエチレン−プロピレンランダム・ブロック共重合体及びエチレン−プロピレンブロック共重合体の「ブロック」とはエチレン−プロピレンランダム共重合体やホモ−ポリプロピレンにエチレン−プロピレンラバーが交じり合っている事をいい、高分子化学一般でいうブロック構造とは異なる。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂発泡体の特性に対する影響が許容範囲であれば、さらに、他の成分を含有していてもよい。例えば、ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂であって、ハロゲンを含まない樹脂としては、例えば、ポリスチレン;ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体などのアクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリビニルピロリドン;石油樹脂;セルロース;酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;低分子量ポリエチレン;高分子量ポリエチレン;飽和アルキルポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリテート等の芳香族ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステルスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ビニル重合性モノマーおよび含窒素ビニルモノマーを有する共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂であって、ハロゲンを含まない樹脂は、さらに、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ジメチルシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴムなどのエラストマーを含むこととしてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂であって、ハロゲンを含む樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂などが挙げられる。本実施形態のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂として、上記した樹脂のうちの一種類の樹脂を含有することとしてもよく、複数種類の樹脂を含有することとしてもよい。ポリオレフィン系樹脂発泡体における所望の物性に合わせて、含有する樹脂の種類、および、含有する樹脂の含有量を適宜設定すればよい。
(A−3)発泡剤
熱分解型発泡剤としては、本実施形態のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの原料であるポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物の溶融温度よりも高い分解温度を有するものであれば、特に限定されない。好ましい熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミドが挙げられる。また、アゾジカルボンアミドと同等もしくはそれより高い分解温度を有するヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム塩、ジニトロソペンタエチレンテトラミン、ニトロソグアニジン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジンシンメトリックトリアジン、ビスベンゼンスルホニルヒドラジド、バリウムアゾジカルバキシレート、アゾビスイソブチロニトリル、およびトルエンスルホニルヒドラジド等を用いることとしてもよい。これらの熱分解型発泡剤は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。熱分解型発泡剤の配合量は、樹脂成分の合計量100質量部に対して、2〜40質量部程度であり、所望の発泡倍率に応じて設定される。ここで、「樹脂成分の合計量100質量部」とは、ポリオレフィン系樹脂、および、他の熱可塑性樹脂等の全ての樹脂の合計量100質量部を意味する。この場合、ポリオレフィン系樹脂組成物に加える添加剤等を、予め樹脂と混合したペレットとして用意する場合には、「樹脂成分の合計量100質量部」は、添加剤を含有するペレット中の樹脂量を含む。
(A−4)架橋助剤
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、架橋されたポリオレフィン系樹脂発泡体(架橋発泡体という)、架橋されていないポリオレフィン系樹脂発泡体(非架橋発泡体という)のいずれも用いることができ、用途に応じて適切な樹脂発泡体を選択すれば良い。しかし、樹脂発泡体の表面に平滑性があり、積層体の外観に優れることとなる点や、成形時に破れにくいためにデザイン性を追求できる点から、ポリオレフィン系樹脂発泡体としては架橋発泡体が好ましい。本発明で使用するポリオレフィン系樹脂発泡体において、電子線架橋では架橋構造を構築することが困難な場合には、ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造するための原料中に架橋助剤を含有させることで電子線による架橋発泡体シートを得ることができる。架橋助剤としては特に制限はないが、多官能モノマーを使用するのが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼンなどを使用することができる。これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(A−5)その他の添加剤
本実施形態のポリオレフィン系樹脂発泡体には、必要に応じて、気泡核調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、発泡助剤、滑剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、無機充填剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
(A−6)ポリオレフィン系樹脂発泡体の特性:
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の厚さは、特に限定されないが、1.0〜10mmが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡体の厚さは後述の実施例に記載の方法で測定される。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体のみかけ密度は、特に限定されないが、20〜400kg/mが好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡体のみかけ密度は後述の実施例に記載の方法で測定される。
本発明でいうゲル分率とは、架橋され高分子化された樹脂のことで、通常成形される温度では可塑化しない部分のものをいう。本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体を架橋させる場合、すなわち、本発明の発泡体を架橋発泡体とする場合、架橋状態を示すゲル分率は、20%以上65%以下の範囲であることが好ましく、更には30%以上50%以下の範囲であることが好ましい。このゲル分率が20%未満では、発泡時表面から発泡剤のガスが逸散し、所望の発泡倍率の製品が得られにくくなり、一方、ゲル分率が65%を超えると過度の架橋となり表面平滑な高発泡倍率の製品が得られにくくなる。ポリオレフィン系樹脂発泡体のゲル分率は後述の実施例に記載の方法で測定される。
[ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法]
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する方法は、特に制限されないが、具体的には下記の製造方法が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂を含有する発泡性組成物をシート状に成形するシート化工程と、前記発泡性シートを架橋する架橋工程と、架橋した発泡性シートを加熱発泡して発泡体を得る発泡工程で製造することができる。本実施形態では、好ましくは、シート化工程、架橋工程、発泡工程の順で行なっている。ただし、発泡体形成工程において、各工程の順序の入れ替え、あるいは、複数の工程を同時に行なうことも可能である。
シート化工程は、例えば、ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤等を含むポリオレフィン系樹脂組成物を、溶融混練した後に押出成形することにより行なうことができる。具体的には、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂組成物の所定量を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ミキシングロール等の混練装置を用いて、熱分解型発泡剤の分解温度未満で均一に溶融混練し、これをシート状に成形する。基材樹脂と熱分解型発泡剤を混合する際に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、架橋助剤、消臭脱臭剤等を添加してもよい。
架橋工程は、例えば、上記シート化工程により得られたシート状のポリオレフィン系樹脂発泡性組成物に対して、電離性放射線を所定線量照射して、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を架橋させる。電離性放射線としては、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられ、生産性を考慮すると電子線を用いることが好ましい。樹脂シートが吸収する吸収線量は、例えば1kGy以上300kGy以下とすればよく、所望のゲル分率に応じて適宜設定される。また、架橋工程は、電離性放射線照射による架橋に代えて、例えば、シラン基、過酸化物、水酸基、アミド基、エステル基等の化学構造を有する架橋剤を原料中に含有することにより化学的に架橋する方法で行なってもよい。
発泡工程は、上記の架橋されたシート状のポリオレフィン系樹脂組成物を、例えば、熱風、赤外線、メタルバス、オイルバスおよびソルトバス等により、熱分解型発泡剤の分解温度以上であって、ポリオレフィン系樹脂組成物の融点以上の温度、例えば、190℃以上290℃以下の温度範囲で加熱することで、発泡剤の分解ガスによって樹脂を発泡させ、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体を得る。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。後述する実施例および比較例のポリオレフィン系樹脂発泡体を作製し、臭気の評価を行なった。
(アンモニア含有量の測定)
本明細書に記載する、アンモニア含有量とは以下の測定で得られた値を示す。
発泡後に少なくとも4日以上、温度23℃、湿度50%の条件で養生したポリオレフィン系樹脂発泡体400mgを、裁断機及びハサミを用いて、1cm角にカットし、100mLのガラス製広口瓶に入れ、アルミホイルで蓋をし、瓶内の気体が外部へ漏れないようにした。その発泡体が入った瓶を100℃に設定されたオーブンの中に60分間静置させ、その後温度23℃、湿度50%の室内で、30分間冷却した。アンモニア検知器にアンモニア検知管を取り付け、瓶内のアンモニアを採取した。検知管に記載された値から検知管内の変色層の先端を目視にて、1ppm単位で読み取り、1の位を四捨五入した値をアンモニア含有量と定義した。なお、アンモニア検知器としては、光明理化学工業株式会社製「真空法ガス採取器(北川式):AP−1」を使用し、アンモニア検知管としては、光明理化学工業株式会社製「北川式ガス検知管:105SBアンモニア(測定範囲:50〜900ppm、試料採取量:100mL、測定時間:1分間)」、及び光明理化学工業株式会社製「北川式ガス検知管:105SEアンモニア(測定範囲:1〜200ppm、試料採取量:100mL、測定時間:1分間)」を、アンモニアの含有量と測定範囲に応じて使用する。
(発泡体の厚さ)
発泡体の厚さは、ISO1923:1981「発泡プラスチック及びゴム一線寸法の測定方法」に準拠して測定を行った値である。具体的には、10cmの面積を持つ円形測定子をつけたダイヤルゲージを用いて、ポリオレフィン系樹脂発泡体を平坦な台に静置させた上から発泡体表面に10gの一定圧力で接触させて測定した。
(発泡体のみかけ密度)
発泡体のみかけ密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準じて測定・計算した値である。具体的には、10cm角に切ったポリオレフィン系樹脂発泡体の厚さ、及び質量を秤量する。次の式によって得られた値をみかけ密度とし、単位はkg/mとした。
みかけ密度(kg/m)=試験片の質量(kg)/[試験片面積0.0001(m)×試験片の厚さ(m)]。
(発泡体のゲル分率)
ポリオレフィン系樹脂発泡体を約0.5mm四方に切断し、切断したポリオレフィン系樹脂発泡体を0.1mgの単位で約100mg秤量する。130℃の温度のテトラリン200mlに秤量したポリオレフィン系樹脂発泡体を3時間浸漬した後、100メッシュのステンレス製金網で自然濾過し、金網上の不溶解分を120℃、1時間の条件で熱風オーブンにて乾燥する。次いで、乾燥されたシリカゲルを入れたデシケータ内で10分間冷却し、この不溶解分の質量を0.1mg単位で秤量し、次の式に従って発泡体のゲル分率を百分率で算出した。
ゲル分率(%)=[不溶解分の質量(mg)/秤量した発泡体の質量(mg)]×100。
(使用樹脂)
実施例と比較例で用いた樹脂は、次の通りである。
<ポリプロピレン系樹脂>
・サンアロマー株式会社製「PB270A」
密度:900kg/m、MFR=0.75g/10min
・日本ポリプロ社製「ノバテック PP EG6D」
密度:900kg/m、MFR=1.9g/10min。
<ポリエチレン系樹脂>
・日本ポリエチレン株式会社製「ノバテック UJ960」
密度:935kg/m、MFR=5.0g/10min。
<発泡剤>
・永和化成工業株式会社製、アゾジカルボンアミド「ビニホールAC#R」。
<架橋助剤>
・和光純薬株式会社製、ジビニルベンゼン。
<酸化防止剤>
・BASFジャパン株式会社製「IRGANOX1010」。
<消臭脱臭剤>
・ラサ工業株式会社製「シュークレンズ KD−211」。
(実施例1〜5)
ポリプロピレン系樹脂80質量部とポリエチレン系樹脂20質量部から構成される基材樹脂100質量部に対して、発泡剤6.3質量部と、熱安定剤0.2質量部と、架橋助剤4.0質量部と、消臭脱臭剤を表1に記載の質量部と、を配合した。これらの材料を、ヘンシェルミキサーにて混合し、押出機に投入し、シリンダー内温度が180〜200℃となるように温度調節した状態で溶融・混練した後、押出成形により厚さ1.6mmのシート状に成形し、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を得た。得られたシート状のポリオレフィン系樹脂発泡性組成物に、加速電圧800kVの照射条件65kGyの電子線を照射して架橋した。架橋したシート状のポリオレフィン系樹脂組成物を発泡装置内で、発泡剤の分解温度以上の230〜240℃に加熱し、発泡させた。
(比較例1)
消臭脱臭剤を添加しない以外は実施例と同様にして、発泡体を得た。
結果を表1に示す。
Figure 2021172676
表1の実施例の結果より、アンモニア含有量が200ppm未満であるポリオレフィン系樹脂発泡体において、臭気が低減された良好な結果が得られることを確認した。一方で、比較例に示されるように、アンモニア含有量が200ppm以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体において、臭気において課題のある発泡体が得られることを確認した。ポリオレフィン系樹脂発泡体における、アンモニア含有量の好ましい範囲としては、160ppm未満が好ましく、120ppm未満がさらに好ましく、80ppm以下がさらに好ましい。

Claims (2)

  1. アンモニア含有量が200ppm未満であることを特徴とするポリオフィン系樹脂発泡体。
  2. 消臭脱臭剤が含有されていることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
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