JP2021169389A - 地盤注入用水硬性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブリーディングが抑制された地盤注入用水硬性組成物の提供。【解決手段】水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物2種以上と、を含有する。前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なり、Xは、R1a又はR1b−[CONH−CH2CH2CH2]n−で表される基であり、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つはR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である。R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(C2H4O)pHで表される基であり、pは、平均付加モル数であり、R2及びR3の合計で0以上5以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、地盤注入用水硬性組成物、地盤改良方法及び水硬性組成物用ブリーディング抑制剤に関する。
地盤改良を目的とした工法として、所定の位置で地盤とセメント系固化材を攪拌混合し、軟弱地盤を固めて良質地盤に改良する工法が知られている。セメント系固化材を用いる工法としては、例えば表層改良工法と柱状地盤補強工法が知られている。
柱状地盤補強工法は、セメント系固化材を含む柱状硬化体を地盤に注入して強固にするものであり、例えば、特殊な形状の混練オーガ機によって攪拌した地盤に、攪拌機の中空軸を通してセメントミルクを注入しながら更に攪拌混合を続けて地中にソイルセメント柱体を造設する、いわゆるソイルセメント工法が知られている。また、地盤土壌を固化材で置換する、いわゆる置換コラム法が知られている。
特許文献1には、内部に水硬性固化材液の供給通路を有する掘削オーガの先端部に、少なくとも掘削爪と該水硬性固化材液の吐出口を備え、該掘削オーガを、オーガモータを備えた施工装置で回転(正回転又は逆回転)させながら所定深度まで掘進し、その後水硬性固化材液を該吐出口より吐出しつつ、該掘削オーガを回転(正回転又は逆回転)させながら、又は回転させないで引上げ、掘削部の所定区間を該水硬性固化材液で充填することを特徴とする水硬性固化材液置換コラムの築造方法が開示されている。
特許文献2には、水と水硬性固化材を主材料とし、地盤土の一部を置換するように地盤中に填充されて構造物の基礎としての置換コラムを築造する置換コラム用填充材であって、水硬性固化材とブリーディング防止材としての炭酸マグネシウムの重量比が0.4〜5%、水・セメント比が60〜120%の配合割合であることを特徴とする置換コラム用填充材が開示されている。
特許文献3には、地盤に固定された杭を抜くための杭抜き工法であって、杭の周囲の地盤に高圧水噴射装置で高圧の水を吹きつけることにより前記杭の周囲の地盤を軟化させて前記杭を抜く杭抜き工法、及び地盤に形成された穴の中にセメントとベントナイトと水とを注入して穴の周囲の土砂とともに攪拌し、周囲の地盤と圧縮強度を同等に調整する地盤改良工法が開示されている。
一方、セメント系固化材を含む水硬性組成物(水硬性スラリー)には、その物性を改善する目的で様々な種類の添加剤が用いられる。特許文献4には、アルキル基が炭素数8〜22のアルキルアミンオキシドと高性能減水剤とを含有するコンクリート組成物においてコンクリートのスランプフロー値(JIS A 1101の測定による拡がり)が50cm以上である自己充填性コンクリート組成物が開示されている。特許文献5には、4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む特定の4級塩型化合物と、アニオン性芳香族化合物とを、特定のカチオン基/(アニオン基+アニオン性芳香族化合物)モル比で含有するレオロジー改質剤が開示されている。
特開2011−106253号公報 特開2012−219502号公報 特開2003−147771号公報 特開平8−133805号公報 特開2010−065189号公報
地盤改良に用いられる水硬性組成物にはブリーディングの抑制が求められる。ブリーディングとは、水硬性組成物の混錬の際に使用した水が、分離して浮き上がる現象をいう。短時間でブリーディングが起こると、水硬性組成物を小分けにして混錬する必要があり、工数が増加し、工期が長期化する。また、水硬性組成物を打設した後にブリーディングが起こると、充填した水硬性組成物の上層に水が分離した状態となる。この場合、水が分離した部分の強度が他の部分と異なるおそれがある。また、水の部分を廃棄してその部分だけ充填をやり直す場合もあり、その場合さらなる工期の遅れとなる。
本発明は、ブリーディングが抑制された地盤注入用水硬性組成物を提供する。
本発明は、水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物の2種以上と、を含有する地盤注入用水硬性組成物であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
地盤注入用水硬性組成物に関する。
Figure 2021169389
〔式中、
Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
nは1以上3以下の整数である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
である。〕
また、本発明は、水と、水硬性粉体と、前記一般式(1)で表される化合物の2種以上と、を混合する、地盤注入用水硬性組成物の製造方法であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
地盤注入用水硬性組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有する水硬性組成物用ブリーディング抑制剤であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
水硬性組成物用ブリーディング抑制剤に関する。
本発明によれば、ブリーディングが抑制された地盤注入用水硬性組成物及びその製造方法が提供される。
また、本発明により、固化材である水硬性組成物のブリーディングが抑制された地盤改良方法が提供される。
また、本発明により、水硬性組成物に対するブリーディング抑制効果に優れた水硬性組成物用ブリーディング抑制剤が提供される。
<地盤注入用水硬性組成物>
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物〔以下、化合物(1)ともいう〕の2種以上とを含有する。そして、前記2種以上の化合物は、互いに一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である。
化合物(1)について、一般式(1)中のXが異なるとは、化合物(1)が2種である場合を例に考えると、例えば、以下のような態様が挙げられる。なお、以下の態様において、2種の化合物(1)のうち、少なくとも一方の化合物(1)のR1a又はR1bはアルケニル基である。
(i)一方のR1a又はR1bがアルキル基であり、他方のR1a又はR1bがアルケニル基である。
(ii)一方のR1a又はR1bの炭素数と、他方のR1a又はR1bの炭素数が異なっている。
(iii)一方のXがR1aであり、他方のXがR1b−[CONH−CHCHCH−である。
(iv)Xが共にR1b−[CONH−CHCHCH−であり、一方のnと他方のnが異なっている。
(v)前記(i)〜(iv)の組み合わせ。
一般式(1)中、Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
1aがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
1aがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
1bがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
1bがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
nは1以上3以下の整数である。好ましくは、nは、0又は1である。
及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1以上2以下のアルキル基又は(CO)Hで表される基である。
pは、好ましくは0以上3以下の数である。
本発明の地盤注入用水硬性組成は、一般式(1)中のXが異なる化合物(1)を2種以上、好ましくは5種以下、より好ましくは2種含有する。そして、本発明の地盤注入用水硬性組成が含有する2種以上の化合物(1)は、少なくとも1つが一般式(1)中のXのR1a又はR1bが炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物、つまり、一般式(1)中のXにおけるR1aとして炭素数14以上22以下のアルケニル基又はR1bとして炭素数13以上21以下のアルケニル基を含む化合物である。
本発明では、化合物(1)が2種であり、上記(i)〜(v)を含め、2種の化合物(1)のうち、一方が、一般式(1)中のXがR1aで且つ炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物であることが好ましい。すなわち、本発明の地盤注入用水硬性組成として、前記一般式(1)で表される化合物を2種含有する地盤注入用水硬性組成であって、前記2種の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種の化合物のうち、一方は、一般式(1)中のXがR1aであり且つR1aがアルケニル基の化合物である、地盤注入用水硬性組成が挙げられる。
本発明の地盤注入用水硬性組成としては、一般式(1)中のXがR1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基(ただし、R1aは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、R1bは炭素数13以上21以下のアルケニル基である)である化合物(1a)と、化合物(1a)とは一般式(1)中のXが異なる化合物(1b)とを含有する地盤注入用水硬性組成が挙げられる。
具体的には、下記一般式(1a)で表される化合物(1a)と、下記一般式(1b)で表される化合物(1b)とを含有する地盤注入用水硬性組成が挙げられる。
Figure 2021169389
〔式中、
n1、n2は、それぞれ、独立に0以上3以下の整数である。
11aは、n1が0のときは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n1が1〜3のときは炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
11bは、n2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n2が1〜3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
ただし、n1とn2が同じ数である場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
である。〕
一般式(1a)中、R11aの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1a)中、n1は、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
一般式(1b)中、n2が0でR11bがアルキル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1b)中、n2が0でR11bがアルケニル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(1b)中、n2が1〜3でR11bがアルキル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(1b)中、n2が1〜3でR11bがアルケニル基の場合、R11bの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(1b)中、R11bは、アルキル基が好ましい。
一般式(1b)中、n2は、好ましくは0又は1である。
一般式(1a)又は(1b)中、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1もしくは2のアルキル基又は−(CO)Hで表される基であり、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。
一般式(1a)又は(1b)中、pは、好ましくは0以上3以下の数である。
n1とn2が同じ数である場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物が含有する化合物(1)として、下記一般式(11a)で表される化合物(11a)及び下記一般式(1b)で表される化合物(1b)の組み合わせが挙げられる。
Figure 2021169389
〔式中、
n2は、0以上3以下の整数である。
11aは、炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
11bは、n2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、n2が1〜3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
ただし、n2が0である場合、R11bのアルケニル基はR11aとは異なるアルケニル基である。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
である。〕
一般式(11a)で表される化合物(11a)は、前記一般式(1a)中、n1が0の化合物に相当する。一般式(11a)中のR11a、R及びRの好ましい態様は、一般式(1a)と同じである。この組み合わせにおいても、化合物(1b)の好ましい態様は前記と同じである。
本発明では、化合物(1b)/化合物(1a)の質量比は、ブリーディングの抑制効果の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは30/70以上、より更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは70/30、より更に好ましくは65/35、より更に好ましくは60/40以下である。
水硬性粉体は、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、早強ポルトランドセメント、及び普通ポルトランドセメントから選ばれるセメントがより好ましい。
また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、無水石膏等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてもよい。水硬性粉体として、セメントと高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等とが混合された高炉セメントやフライアッシュセメント、シリカヒュームセメントを用いてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲でベントナイト等の粘土を含んでいてもよい。粘土を含む場合は、本発明の地盤注入用水硬性組成物は、前記所定のポリエーテル化合物を含有することが好ましい。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、水/水硬性粉体比(W/P)が、地盤注入用水硬性組成物の流動性を確保し、且つ地盤を増強する観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55%質量以上、そして、地盤注入用水硬性組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは200質量%以下、より好ましくは180質量%以下、更に好ましくは160質量%以下、更に好ましくは140質量%以下である。ここで、水/水硬性粉体比(W/P)は、地盤注入用水硬性組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水/水硬性粉体×100で算出される。水/水硬性粉体比は、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量に基づいて算出される。水硬性粉体がセメントである場合、W/PがW/Cと表記される場合がある。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、水/水硬性粉体比(W/P)が、地盤注入用水硬性組成物の流動性を確保し、且つ地盤と同等程度の強度を得る観点から、好ましくは200質量%以上、より好ましくは220質量%以上、更に好ましくは240質量%以上、更に好ましくは250%質量以上、そして、地盤注入用水硬性組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは800質量%以下、更に好ましくは600質量%以下、更に好ましくは500質量%以下である。
なお、水硬性粉体が、セメント等の水和反応により硬化する物性を有する粉体の他、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する他の質量部等においても同様である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、化合物(1)の合計含有量が、水100質量部に対して、ブリーディング抑制の観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.1質量部以上、そして、経済性及び流動性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。ここでの水は、地盤注入用水硬性組成物の水相部分の水である。
また、本発明の地盤注入用水硬性組成物が、前記化合物(1a)と前記化合物(1b)とを含有する場合、前記化合物(1a)の含有量は、水100質量部に対して、低温下でブリーディング抑制の観点から、好ましくは0.00095質量部以上、より好ましくは0.0075質量部以上、更に好ましくは0.035質量部以上、より更に好ましくは0.06質量部以上、そして、経済性及び増粘性の観点から、好ましくは3.75質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.8質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。ここでの水は、地盤注入用水硬性組成物の水相部分の水である。
また、本発明の地盤注入用水硬性組成物が、前記化合物(1a)と前記化合物(1b)とを含有する場合、前記化合物(1b)の含有量は、水100質量部に対して、高温下でブリーディング抑制の観点から、好ましくは0.00005質量部以上、より好ましくは0.0025質量部以上、更に好ましくは0.015質量部以上、より更に好ましくは0.04質量部以上、そして、経済性及び増粘性の観点から、好ましくは19質量部以下、より好ましくは11.25質量部以下、更に好ましくは7質量部以下、より更に好ましくは5.2質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。ここでの水は、地盤注入用水硬性組成物の水相部分の水である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、化合物(1a)と化合物(1b)の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ化合物(1a)と化合物(1b)の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。
本発明の地盤注入用水硬性組成物が、前記化合物(1a)と前記化合物(1b)とを含有する場合、化合物(1b)/化合物(1a)の質量比は、ブリーディング抑制効果が得られる観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは60/40以下である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、化合物(1)と同様の構造を有する化合物であって、炭素数の小さいアルキル基又はアルケニル基を有する化合物の含有量が少ない方が好ましい。具体的には、炭素数14未満のアルキル基、炭素数14未満のアルケニル基又は炭素数14未満のアシル基を有するアミンオキシド(以下、短鎖アミンオキシドともいう)の含有量が少ない方が好ましい。本発明の地盤注入用水硬性組成物は、短鎖アミンオキシドの合計含有量/化合物(1)の合計含有量の質量比が、好ましくは50/50以下、より好ましくは25/75以下、更に好ましくは10/90以下、より更に好ましくは0/100、つまり短鎖アミンオキシドを含有しないことである。短鎖アミンオキシドは、便宜的に一般式(1)で考えると、一般式(1)中のXのR1aが炭素数14未満のアルキル基又は炭素数14未満のアルケニル基である化合物及びR1bが炭素数13未満のアルキル基又は炭素数13未満のアルケニル基である化合物に相当する。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、重量平均分子量500以上、好ましくは200000以下のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上、好ましくは5000以下のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上、好ましくは30000以下のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基、好ましくは炭素数が好ましくは10以上22以下である炭化水素基と平均付加モル数が好ましくは9以上5000以下であるポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、ポリエーテル化合物ともいう)を含有することができる。ポリエーテル化合物は、地盤注入用水硬性組成物が、例えば、ベントナイトや粘土鉱物を含有する骨材を含む場合でも、良好なブリーディング抑制効果を発現させる観点で好ましい成分である。
ポリエーテル化合物の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値であり、ポリエーテル化合物がポリエチレングリコールの場合、溶媒として水/エタノールを用いることができる。
ポリエーテル化合物は、重量平均分子量500以上200000以下のポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のポリマーが、粘土鉱物等の異物混入による性能低下を抑制できるため、より好ましい。
本発明の地盤注入用水硬性組成物が、前記したポリエーテル化合物を含有する場合、その含有量は、水100質量部に対して、粘土鉱物等の異物混入による性能低下を抑制できる観点から、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.35質量部以上、より更に好ましくは0.45質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、地盤注入用水硬性組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。ここでの水は、地盤注入用水硬性組成物の水相部分の水である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、分散剤を含有することができる。分散剤は、良好なブリーディング抑制効果と流動性を発現させる観点で好ましい成分である。
分散剤としては、ナフタレン系重合体、ポリカルボン酸系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体が挙げられる。
より詳細には、分散剤は、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、(E3)下記重縮合生成物からなる分散剤(以下、PAE系分散剤ともいう)、(E4)リグニン系分散剤、及び(E5)メラミン系分散剤から選ばれる1種以上の分散剤が挙げられる。
<重縮合生成物>
下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物
〔成分E31〕
5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物
〔成分E32〕
(E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸、イソフタル酸、オキシナフトエ酸、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物
〔成分E33〕
ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドは更に、COOM、SO、及びPOの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)
分散剤は、地盤注入用水硬性組成物の流動性の観点から、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、及び(E4)リグニン系分散剤から選ばれる1種以上が好ましく、(E1)ナフタレン系分散剤、及び(E2)ポリカルボン酸系分散剤から選ばれる1種以上がより好ましく、(E2)ポリカルボン酸系分散剤が更に好ましい。以下、分散剤について説明する。
(E1)ナフタレン系分散剤
ナフタレン系分散剤としては、好ましくはナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩が挙げられる。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物又はその塩である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、性能を損なわない限り、単量体として、例えばメチルナフタレン、エチルナフタレン、ブチルナフタレン、ヒドロキシナフタレン、ナフタレンカルボン酸、アントラセン、フェノール、クレゾール、クレオソート油、タール、メラミン、尿素、スルファニル酸及び/又はこれらの誘導体等のような、ナフタレンスルホン酸と共縮合可能な芳香族化合物と共縮合させても良い。
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、例えば、マイテイ150、デモール N、デモール RN、デモール MS、デモールSN−B、デモール SS−L(いずれも花王株式会社製)、セルフロー 120、ラベリン FD−40、ラベリン FM−45(いずれも第一工業株式会社製)等のような市販品を用いることができる。
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、地盤注入用水硬性組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは80,000以下、より更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは30,000以下である。そして、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、地盤注入用水硬性組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは5,000以上である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は酸の状態あるいは中和物であってもよい。
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の分子量は下記条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
[GPC条件]
カラム:G4000SWXL+G2000SWXL(東ソー)
溶離液:30mM CHCOONa/CHCN=6/4
流量:0.7ml/min
検出:UV280nm
サンプルサイズ:0.2mg/ml
標準物質:西尾工業(株)製 ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算(単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:分子量、206、1,800、4,000、8,000、18,000、35,000、88,000、780,000)
検出器:東ソー株式会社 UV−8020
(E2)ポリカルボン酸系分散剤
ポリカルボン酸系分散剤としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
ポリカルボン酸系分散剤としては、下記一般式(e21)で示される単量体(e21)を構成単量体として含む共重合体が初期流動性の観点から、好ましい。
ポリカルボン酸系分散剤としては、下記一般式(e21)で示される単量体(e21)と下記一般式(e22)で示される単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体がより好ましい。
Figure 2021169389
〔式中、
1e、R2e:同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基
3e:水素原子又は−COO(AO)n11e
1e:水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基
AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる基
n1:AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数
q:0以上2以下の数
p:0又は1の数
を示す。〕
Figure 2021169389
〔式中、
4e、R5e、R6e:同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は(CHCOOM2eであり、(CHCOOM2eは、COOM1e又は他の(CHCOOM2eと無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1e、M2eは存在しない。
1e、M2e:同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はアルケニル基
r:0以上2以下の数
を示す。〕
ポリカルボン酸系分散剤は、AOの平均付加モル数や単量体(e21)単量体(e22)の割合等が異なる分散剤を2種以上用いることもできる。
好ましいPAE系分散剤として、下記成分E31、成分E32、及び成分E33からなり、前記成分E33:(成分E31+成分E32)のモル比が1:0.01から1:10であり、前記成分E31:成分E32のモル比が10:1から1:10である重縮合生成物からなる分散剤が挙げられる。
〔成分E31〕
フェノール、クレゾール、レソルシノール、ノニルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、及びビスフェノールAからなる群より選択される芳香族化合物に対して、O原子又はN原子を介して、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が結合した化合物
〔成分E32〕
フェノキシ酢酸、フェノキシエタノール、フェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコール、及びフェノキシ(ポリ)エチレングリコールホスフェート、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸、イソフタル酸、オキシナフトエ酸からなる群より選択される、少なくとも1つの芳香族化合物
〔成分E33〕
ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドは更に、COOMa、SOMa、又はPOMaの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい)
本発明の地盤注入用水硬性組成物が、前記した分散剤を含有する場合、分散剤の含有量は、実用上十分な流動性を得る観点から、水硬性粉体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、そして、地盤注入用水硬性組成物の水和反応を阻害しない観点から、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、化合物(1)の含有量の合計と分散剤の含有量との質量比である、化合物(1)/分散剤が、ブリーディング抑制効果の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、ブリーディング抑制効果の観点や幅広い温度領域でより良好なレオロジー改質効果が発現する観点から、アニオン性芳香族化合物を含有することができる。アニオン性芳香族化合物としては、芳香環を有するスルホン酸、芳香環を有するカルボン酸、芳香環を有するホスホン酸、又はこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。アニオン性芳香族化合物は、酸型化合物として、総炭素数が6以上12以下であるものが好ましい。アニオン性芳香族化合物としては、具体的には、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m−スルホ安息香酸、p−スルホ安息香酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、p−フェノールスルホン酸、m−キシレン−4−スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、クロロ安息香酸等が挙げられる。これらは塩を形成していていも良い。アニオン性芳香族化合物は、2種以上を使用してもよい。アニオン性芳香族化合物は、芳香環を有するスルホン酸、芳香環を有するカルボン酸、又はこれらの塩から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、化合物(1)の含有量の合計とアニオン性芳香族化合物の含有量との質量比である、化合物(1)/アニオン性芳香族化合物が、ブリーディング抑制効果の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは80/20以上、そして、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは95/5以下である。また、アニオン性芳香族化合物の含有量は、地盤注入用水硬性組成物の水100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、より好ましくは2.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.25質量部以下である。ここでの水は、地盤注入用水硬性組成物の水相部分の水である。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、骨材を含有してもよい。骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
地盤注入用水硬性組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、化合物(1)、前記ポリエーテル化合物、前記分散剤、前記アニオン性芳香族化合物以外の成分、例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤などを含有することができる。
本発明の地盤注入用水硬性組成物は、住宅などの基礎地盤の改良を目的とする地盤改良、例えば、柱状地盤補強工法(ソイルセメントコラム工法などとも称される)などの地盤改良に適用することができる。また、地盤の崩落防止や掘削後の地山や岩盤を安定にする工法にも使用できる。本発明の地盤注入用水硬性組成物を柱状地盤補強工法に適用することで、ブリーディングが抑制される。その結果、地盤改良工法において、工数の低減又は工期の短縮といった施工効率の向上が期待できる。本発明の地盤注入用水硬性組成物は、柱状地盤補強工法用水硬性組成物であってよい。
<地盤注入用水硬性組成物の製造方法>
本発明は、水と、水硬性粉体と、化合物(1)の2種以上と、を混合する、地盤注入用水硬性組成物の製造方法であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、地盤注入用水硬性組成物の製造方法に関する。
本発明の地盤注入用水硬性組成物の製造方法には、本発明の地盤注入用水硬性組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の地盤注入用水硬性組成物の製造方法では、例えば、予め水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、前記条件を満たす化合物(1)の2種以上を該スラリーに添加し、混合して地盤注入用水硬性組成物を製造することができる。
また、2種以上の化合物(1)、例えば化合物(1a)と化合物(1b)は、別々に添加してもよい。この場合、予め水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、化合物(1a)を該スラリーに添加し混合した後に、化合物(1b)を添加し、混合して地盤注入用水硬性組成物を製造することが好ましい。
各成分の混合は、水硬性組成物を製造する公知の方法に準じて行うことができる。
本発明の製造方法により本発明の地盤注入用水硬性組成物を製造することができる。本発明の製造方法により得られた地盤注入用水硬性組成物は、混錬後長期間のブリーディングが抑制される。
<地盤改良方法>
本発明は、本発明の地盤注入用水硬性組成物を地盤に注入し硬化させる、地盤改良方法に関する。
本発明の地盤改良方法には、本発明の地盤注入用水硬性組成物及び地盤注入用水硬性組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明では、本発明の地盤注入用水硬性組成物を、地盤に形成された杭状の穴に注入することができる。すなわち、本発明では、本発明の地盤注入用水硬性組成物を、柱状地盤補強工法で地盤に注入することができる。
本発明では、杭状の穴は、既設杭の引き抜きにより形成された穴であってよい。本発明により、例えば、既存杭引抜き工法により本発明の地盤注入用水硬性組成物を地盤に注入し硬化させる、地盤改良方法が提供される。
例えば、既存杭引抜き工法は、柱状地盤補強工法の1つと位置づけてよいが、この工法では、予め地中に埋設された既設杭を引き抜き、既設杭が存在していた穴に本発明の地盤注入用水硬性組成物が注入される。その際、既設杭が存在していた周囲の土壌と本発明の地盤注入用水硬性組成物とを混合して地盤に本発明の地盤注入用水硬性組成物を注入することもできる。
より具体的には、既存杭引抜き工法で本発明を実施する場合、例えばオーガ及び/又はケーシングによって杭周辺又は杭自体を掘削し、ワイヤー等で既存杭を引き抜く輪投げ工法やケーシングに付するチャッキング爪で既存杭を引き抜くパワーチャッキング工法にて引き抜かれた既存杭によって形成された穴に、既存杭の引抜きと同時又は後に地盤注入用水硬性組成物を充填して周囲の地盤と同等の強度有する柱状物を築造することができる。既存杭を引き抜く方法の具体例としては、一般社団法人日本杭抜き協会により定義される輪投げ工法、パワーチャッキング工法、特公平3−57247記載の方法、特許3052135号記載の方法、特許第4249254号記載の方法、既存杭引抜研究会より定義されるオーガーケーシング工法、ロータリー多滑車工法、リーダーレス工法、低空頭リーダー工法、キャッチホーク工法、三点式工法、バイブロジェットケーシング工法、バイブロ松杭チャック工法、油圧ジャッキ工法、オールケーシング工法、クラッシュバケット工法などが挙げられる。
また、本発明では、杭状の穴は、地盤の掘削により形成された穴であってよい。柱状地盤補強工法は、このような態様に好適である。例えば、地盤の掘削を、地盤注入用水硬性組成物の供給経路と、掘削爪と、地盤注入用水硬性組成物の吐出口を備えた掘削オーガにより行うことができる。このタイプの掘削オーガでは、駆動手段、例えばオーガモータを備えた施工装置で、掘削オーガを回転させながら所定深度まで掘進し、その後、地盤注入用水硬性組成物前記吐出口より吐出しつつ、該掘削オーガを回転させながら、又は回転させないで引上げ、掘削部の所定区間を地盤注入用水硬性組成物で充填して置換コラムを築造することができる。具体的には、いわゆるピュアパイル工法やウルトラピラー工法などとして知られている工法が挙げられる。
<水硬性組成物用ブリーディング抑制剤>
本発明は、化合物(1)を2種以上含有する水硬性組成物用ブリーディング抑制剤であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、水硬性組成物用ブリーディング抑制剤に関する。
本発明の水硬性組成物用ブリーディング抑制剤には、本発明の地盤注入用水硬性組成物、地盤注入用水硬性組成物の製造方法及び地盤改良方法で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明のブリーディング抑制剤は、水を含むことができる。本発明のブリーディング抑制剤が、化合物(1)以外の成分を含有するブリーディング抑制剤組成物であってもよい。
本発明のブリーディング抑制剤は、化合物(1)を合計で、例えば、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下含有する。ブリーディング抑制剤は、化合物(1)を100質量%含有するもの、すなわち化合物(1)からなるものであってもよい。
本発明のブリーディング抑制剤は前記したポリエーテル化合物を含有することができる。また、本発明のブリーディング抑制剤は、水と前記したポリエーテル化合物とを含有することができる。本発明のブリーディング抑制剤が、水とポリエーテル化合物を含有する場合、ポリエーテル化合物の含有量は、水100質量部に対して、粘土鉱物等の異物混入による性能低下を抑制できる観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
本発明のブリーディング抑制剤は前記した分散剤を含有することができる。本発明のブリーディング抑制剤が水と分散剤を含有する場合、分散剤の含有量は、実用上十分な地盤注入用水硬性組成物の流動性及び良好なブリーディング抑制剤の長期保存安定性を得る観点から、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。
本発明のブリーディング抑制剤は、化合物(1)の含有量の合計と、分散剤の含有量との質量比である化合物(1)/分散剤が、ブリーディング抑制効果の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である。
本発明のブリーディング抑制剤は前記したアニオン性芳香族化合物を含有することができる。本発明のブリーディング抑制剤がアニオン性芳香族化合物を含有する場合、化合物(1)の含有量の合計と、アニオン性芳香族化合物の含有量との質量比である化合物(1)/アニオン性芳香族化合物は、ブリーディング抑制効果の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは70/30以上、更に好ましくは80/20以上、そして、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは95/5以下である。
本発明のブリーディング抑制剤は、地盤注入用水硬性組成物はもとより、地盤注入以外の水硬性組成物においても、ブリーディングを抑制することができる。本発明のブリーディング抑制剤は、水/水硬性粉体比(W/P)が、好ましくは12質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは100質量%以上、より更に好ましくは150質量%以上、そして、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは500質量%以下、更に好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下の水硬性組成物用とすることができる。
<その他の態様>
本発明は、水と、水硬性粉体と、化合物(1)の2種以上とを含有する混合物の、地盤注入用水硬性組成物としての使用であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
使用もまた開示する。
本発明は、化合物(1)を2種以上含有する混合物の、水硬性組成物用ブリーディング抑制剤としての使用であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
使用もまた開示する。
本発明は、化合物(1)の2種以上を用いる、柱状地盤補強工法であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
柱状地盤補強工法もまた開示する。
本発明は、化合物(1)の2種以上を用いて水硬性組成物のブリーディングを抑制する、ブリーディング抑制方法であって、
前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
ブリーディング抑制方法もまた開示する。
このブリーディング抑制方法は、地盤注入用水硬性組成物、更に柱状地盤補強工法用水硬性組成物のブリーディング抑制方法であってよい。
上記の態様には、本発明の地盤注入用水硬性組成物、地盤注入用水硬性組成物の製造方法、地盤改良方法及び水硬性組成物用ブリーディング抑制剤述べた事項を、必要あればそれぞれの態様に適した修正を伴って、適宜適用することができる。
<ブリーディング抑制剤>
下記の化合物を用いて、表1に示した配合率のブリーディング抑制剤(配合1〜13、比較配合1−3)を調製した。表1の配合率は、ブリーディング抑制剤の質量に対する各化合物の質量の割合(%)を示す。表1に示した化合物は以下のものを用いた。
<化合物(1a)>
・化合物(1a−1):オレイルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、n1:0、R:メチル基、R:メチル基)
・化合物(1a−2):オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(一般式(1a)中、R11a:炭素数17のアルケニル基、n1:1、R:メチル基、R:メチル基)
<化合物(1b)>
・化合物(1b−1):ステアリルジメチルアミンオキシド(一般式(1b)中、R11b:炭素数18のアルキル基(ステアリル基)、n2:0、R:メチル基、R:メチル基)
・化合物(1b−2):パルミチルジメチルアミンオキシド(一般式(1b)中、R11b:炭素数16のアルキル基(パルミチル基)、n2:0、R:メチル基、R:メチル基)
・比較化合物(X):ラウリルジメチルアミンオキシド(一般式(1b)中、R11b:炭素数12のアルキル基(ラウリル基)、n2:0、R:メチル基、R:メチル基)
化合物(1a)、化合物(1b)、比較化合物(X)は、それぞれ、例えば、特開2001−213859に記載の方法で製造することができる。本例では、化合物(1a)、化合物(1b)は、それぞれに対応する、アルキルジメチルアミン、アルケニルジメチルアミン又はアルケニルアミドプロピルアミンを酸化することにより製造した。
Figure 2021169389
<実施例1及び比較例1>
水、セメント、及び表1のブリーディング抑制剤を用いて、表2に示す地盤注入用水硬性組成物を下記の方法で調製し、下記の評価を行った。結果を表2に示す。
〔地盤注入用水硬性組成物の調製方法〕
(1)比較例1−1
セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物、以下同じ。)800gと水560gとを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬し、比較例1−1の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(2)実施例1−1〜1−13、比較例1−2〜1−4
セメント800gと水560gとを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。その後、ブリーディング抑制剤を6.7g又は7.1g添加して、更に90秒間混錬し、実施例1−1〜1−13、比較例1−2〜1−4の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
〔地盤注入用水硬性組成物の評価〕
(1)3時間後のブリーディング率
「2010年制定コンクリート標準示方書[規準編]土木学会規準及び関連規準」に記載の「PCグラウトのブリーディング率及び膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)(JSCE-F 532-1999)」に従って、3時間後のブリーディング率を測定した。結果を表に示す。ブリーディング率の値は小さいほどブリーディング抑制効果に優れており、この評価では、1%以下であるものがより良好である。
(2)2時間以上の流動性維持
「2010年制定コンクリート標準示方書[規準編]土木学会規準及び関連規準」に記載の「充てんモルタルの流動性試験方法(案)(JSCE-F 541-2010)」に従って、地盤注入用水硬性組成物の調製直後と2時間後の流動性の変化を測定した。2時間後に、ロートが閉塞しておおよそすべて流れ落ちなかった場合(例えば、ロートを上部からのぞき込んだ際に地盤注入用水硬性組成物が残留して貫通していないような状態)は、表には「閉塞」と示し、2時間以上の流動維持は「不可」と判断した。それ以外の場合は、表には2時間後にロート内からおおよそすべて流れ落ちた時間を記し、結果は「可」と判断した。結果を表に示す。一部の表には「可」「不可」の表記も示した。2時間以上の流動性が維持されていれば、長時間の作業性を備えているといえる。
(3)水和遅延性
地盤注入用水硬性組成物を5g計り取り、カロリーメーター(TAM Air, TAInstrumental製)にて水和発熱ピークの時間を測定した。ピークの時間は分単位の1桁の値を四捨五入した。その際に、水とセメントが触れてから1時間以降に生じる大きなピークを第2水和発熱ピークと呼び、その第2水和発熱ピークに達する時間が、ブリーディング抑制剤を添加していない比較例の試料に対して1時間以上の差異がある場合は「あり」とした。それ以外の場合を「なし」とした。表には、第2水和発熱ピークに達する時間を示し、基準の比較例と対比した時間の差により水和遅延性が判定される。結果を表に示す。
Figure 2021169389
<実施例2及び比較例2>
実施例1と同様に、ただし、以下の調製方法で地盤注入用水硬性組成物を得た。得られた地盤注入用水硬性組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
〔地盤注入用水硬性組成物の調製方法〕
(1)比較例2−1
比較例1−1と同様に行った。
(2)実施例2−1、2−2
セメント800gと水560gとを混合し、クッキング用ハンドミキサーを用いて30秒間混錬した。その後、ブリーディング抑制剤を2.4g又は3.5g添加して、更に90秒間混錬し、実施例2−1、2−2の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(3)比較例2−2〜2−6
セメント800gと水540gをクッキング用ハンドミキサーで30秒間混錬した。その後、予め水20gに分散させたヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社、アスカクリーンD)を0.62g、1.2g、2.0g、4.0g又は6.0g添加して、更に90秒間混錬し、比較例2−2〜2−6の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(3)比較例2−7〜2−9
セメント800gと水560gをクッキング用ハンドミキサーで30秒間混錬した。その後、塩基性炭酸マグネシウム(軽質)(富士フイルム和光純薬株式会社、塩基性炭酸マグネシウム、軽質)を4.0g、8.0g又は16g添加して、更に90秒間混錬し、比較例2−7〜2−9の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
Figure 2021169389
<実施例3及び比較例3>
実施例1と同様に、ただし、以下の調製方法で地盤注入用水硬性組成物を得た。得られた地盤注入用水硬性組成物を用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
〔地盤注入用水硬性組成物の調製方法〕
(1)比較例3−1
セメント800gと水1600gをクッキング用ハンドミキサーで30秒間混錬し、比較例3−1の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(2)比較例3−2〜3−4
セメント800gと水1580gをクッキング用ハンドミキサーで30秒間混錬した。その後、予め水20gに分散させたヒドロキシプロピルメチルセルロースを4.0g、9.6g又は12g添加して、更に90秒間混錬し、比較例3−2〜3−4の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(3)比較例3−5〜3−8
水1600gと20g、40g、80g又は160gのベントナイト(富士フイルム和光純薬株式会社、ベントナイト)とをクッキング用ハンドミキサーで5分間混錬し、1時間放置した。その後、セメント800gを添加し、90秒間混錬し、比較例3−5〜3−8の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
(4)実施例3−1〜3−3
セメント800gと水1600gをクッキング用ハンドミキサーで30秒間混錬した。その後、ブリーディング抑制剤を5.0g、8.0g又は16g添加して、更に90秒間混錬し、実施例3−1〜3−3の地盤注入用水硬性組成物を調製した。
Figure 2021169389
表の結果から明らかなように、本発明の地盤注入用水硬性組成物は、混錬後長時間(例えば、4〜5時間)経ってもブリーディングを起こさないので、一度にまとめて水硬性組成物を練ることができ、ブリーディングによる廃棄物の発生も抑えることができる。
更に、本発明の地盤注入用水硬性組成物は、長期間のブリーディング抑制効果、長時間の作業性、水硬性組成物の低水和遅延性を両立している。ゆえに、本発明の地盤注入用水硬性組成物を用いることで、地盤改良の施工効率の向上が期待できる。
また、本発明の地盤注入用水硬性組成物は、従来のブリーディング抑制剤よりも少量でも高いブリーディング抑制効果を有するので、コストメリットが大きい。
一方、比較例で用いたヒドロキシプロピルメチルセルロースは、添加量によってはブリーディングを抑制できるが、水硬性粉体(セメント)に吸着して硬化遅延を起こす。硬化遅延は工期の遅れにつながる。
また、比較例で用いた塩基性炭酸マグネシウムは、添加量を増やしても十分なブリーディング抑制効果と流動性を両立することができない。
また、比較例で用いたベントナイトは、添加量を大幅に増やしても十分なブリーディング抑制効果と流動性を両立することができない。

Claims (16)

  1. 水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物の2種以上と、を含有する地盤注入用水硬性組成物であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    地盤注入用水硬性組成物。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  2. 前記一般式(1)で表される化合物を2種含有する、請求項1に記載の地盤注入用水硬性組成物。
  3. アニオン性芳香族化合物を含有する、請求項1又は2に記載の地盤注入用水硬性組成物。
  4. 水と水硬性粉体の質量比である水/水硬性粉体比が50質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤注入用水硬性組成物。
  5. 一般式(1)で表される化合物を、水100質量部に対して、0.001質量部以上20質量部以下含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の地盤注入用水硬性組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の地盤注入用水硬性組成物を地盤に注入し硬化させる、地盤改良方法。
  7. 前記地盤注入用水硬性組成物を、地盤に形成された杭状の穴に注入する、請求項6に記載の地盤改良方法。
  8. 前記杭状の穴は、既設杭の引き抜きにより形成された穴である、請求項7に記載の地盤改良方法。
  9. 前記杭状の穴は、地盤の掘削により形成された穴である、請求項7に記載の地盤改良方法。
  10. 前記地盤注入用水硬性組成物を、柱状地盤補強工法で地盤に注入し硬化させる、請求項6〜9の何れか1項に記載の地盤改良方法。
  11. 水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物の2種以上と、を混合する、地盤注入用水硬性組成物の製造方法であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    地盤注入用水硬性組成物の製造方法。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  12. 下記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有する水硬性組成物用ブリーディング抑制剤であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    水硬性組成物用ブリーディング抑制剤。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  13. 水と、水硬性粉体と、下記一般式(1)で表される化合物の2種以上とを含有する混合物の、地盤注入用水硬性組成物としての使用であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    使用。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  14. 下記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有する混合物の、水硬性組成物用ブリーディング抑制剤としての使用であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    使用。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  15. 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上を用いる、柱状地盤補強工法であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    柱状地盤補強工法。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
  16. 下記一般式(1)で表される化合物の2種以上を用いて水硬性組成物のブリーディングを抑制する、ブリーディング抑制方法であって、
    前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、
    前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物である、
    ブリーディング抑制方法。
    Figure 2021169389

    〔式中、
    Xは、R1a又はR1b−[CONH−CHCHCH−で表される基である。
    1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
    1bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
    nは1以上3以下の整数である。
    及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は−(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R及びRの合計で0以上5以下の数
    である。〕
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