JP2021165441A - マスク及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗濯して繰り返し使用することができ、経済的かつ衛生的なマスク及びその製造方法を提供する。【解決手段】マスク1は、着用者の鼻口部を覆うマスク本体2と、着用者の耳に掛ける左右一対の耳掛け部3,3とを備えている。マスク本体2は、その裏側から見て、左側半分を構成する左片部5と、右側半分を構成する右片部6とからなる。そして、帯状の布帛テープを両観音折りして形成された一本の布帛紐10が、マスク本体2の周囲に環状に配置され、その一部がマスク本体2の上縁部(左右両片部5,6の上縁部5c,6c)及び下縁部(左右両片部5,6の下縁部5d,6d)に縫い付けられることにより、左右一対の耳掛け部3,3が形成されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、人の鼻口部を覆うマスク及びその製造方法に関するものである。
従来、塵や埃、花粉など空気中に浮遊する微粒子を吸引しないことや、ウイルスや細菌等の飛沫を空気中に飛散させない感染予防などを目的として使用される衛生マスクとして、ガーゼマスクがよく知られている。
図4に示すように、一般的なガーゼマスク50は、ガーゼ生地を複数重ね合わせて縫製したマスク本体51と、該マスク本体51の左右両側縁部に沿って形成された通し孔52に挿通された左右一対の環状の耳掛け紐53とを備えている。
ガーゼマスクは、洗濯して繰り返し使用することができ、経済的かつ衛生的である反面、洗濯して再利用する際に、乾くまでに時間がかかる、皺が寄って肌触りが悪くなる等の不具合が発生するおそれがある。
加えて、一般的なガーゼマスクは、マスク本体が矩形状の平型タイプで、着用者の鼻口部周辺にフィットせず、その周縁部に大きな隙間が生じやすい。結果として、マスク機能が低下するおそれがある。
これに対し、近年では、従来のガーゼマスクに代わり、使い捨てタイプの不織布製マスクが主流になっている(例えば、特許文献1参照)。
図5に示すように、一般的な不織布製マスク60は、着用者の鼻口部を覆う不織布製のマスク本体61と、左右一対の耳掛け紐62とを有し、各耳掛け紐62の両端部62aがそれぞれマスク本体61の左右側縁部の上下端部に熱接着されている。
また、マスク本体61には、熱接着等によりプリーツ加工が施されており、マスク着用時にはプリーツを上下に広げることで、着用者の鼻から顎まで、鼻口部の広範囲を覆うことができる。
さらに、マスク本体61の上縁部には、ノーズワイヤー等の形状保持材63が入れられており、マスク着用時には、マスク本体61の上縁部を着用者の鼻の形にフィットさせ、閉塞性を高めることができる。
但し、上述したようなプリーツタイプの不織布製マスクも、プリーツを上下に広げた際に、マスク本体の左右側縁部と着用者の頬との間に隙間が生じやすく、マスク機能が低下するおそれがある。
これに対し、近年では、着用者の顔によりフィットしやすい立体型の不織布製マスクも見受けられる。
一般的な立体型の不織布製マスクは、左右対称形状の一対の不織布シート片をマスク中央部にて熱接着する等して形成されており、着用時には着用者の鼻口部を覆うマスク中央部が前方へ膨らんだ立体的形状となる。
しかしながら、不織布製マスクは、使い捨てを前提に作られており、洗濯等による繰り返しの使用には不向きで、経済面や環境面において好ましいものではない。仮に不織布製マスクを洗濯した場合には、マスク本体が破損するなど、マスク機能が著しく損なわれるおそれがある。
また、不織布製マスクは、備蓄品として長期間(例えば数年程度)保管した場合、未使用のものであっても、耳掛け紐やプリーツなど、熱接着された部分が剥がれ、使い物にならないおそれがある。
さらに、花粉症流行期やインフルエンザ流行期など、マスク利用者が急増する時期においては、不織布製マスクを入手することが困難となる状況も発生しやすい。
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、その目的は、洗濯して繰り返し使用することができ、経済的かつ衛生的なマスク及びその製造方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.ポリエステル製の布帛からなるマスク本体と、該マスク本体の左右両側部に設けられた一対の耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記一対の耳掛け部が、連続した一本の布帛紐を前記マスク本体の上縁部及び下縁部に縫い付けることにより形成されていることを特徴とするマスク。
前記一対の耳掛け部が、連続した一本の布帛紐を前記マスク本体の上縁部及び下縁部に縫い付けることにより形成されていることを特徴とするマスク。
上記手段1に係るマスクは、マスク本体がポリエステル製の布帛により形成されており、皺になりにくく、速乾性を有しているため、洗濯して何度も繰り返し使用することができ、経済的かつ衛生的である。
尚、上記「ポリエステル製の布帛」は、主にポリエステル繊維を用いて作られた布帛を意味し、上記「ポリエステル製の布帛」には、ポリエステル100%の布帛のみならず、ポリエステルと他の素材(例えば綿)を混紡した布帛などが含まれることとしてもよい。但し、上記作用効果を得る上で、ポリエステル繊維の比率が他の素材の比率よりも高くなっていることが好ましい。
また、本手段1では、一本の布帛紐をマスク本体の上縁部及び下縁部に縫い付けることで左右一対の耳掛け部が形成されている。このため、仮に備蓄品として長期間保管した場合であっても、接着部が剥がれる等の不具合は発生せず、使用することができる。
尚、近年では、マスク本体と耳掛け部とが一体形成された立体型マスクも見受けられる。かかるマスクにおいては、素材(例えば布製、不織布製、ポリウレタン製など)に関係なく、耳掛け部の強度を確保するため、耳掛け部の太さ、特に付根部(マスク本体との境界部)の太さを比較的幅広に設定する必要がある。
このため、マスク着用時には、耳掛け部の付根部付近に連なるマスク本体の側縁部が撓む等して、マスク本体と着用者の頬との間に隙間が生じやすくなり、マスク機能が低下するおそれがある。
これに鑑み、仮にマスク本体に一体形成された耳掛け部の太さを細くした場合には、マスク着脱時等において耳掛け部に負荷がかかった際に、耳掛け部がちぎれやすくなるおそれがある。
これに対し、本手段1では、一本の布帛紐をマスク本体の上縁部及び下縁部に縫い付けることで左右一対の耳掛け部が形成されているため、従来のように耳掛け部をマスク本体に熱接着や一体形成した場合等と比べて、耳掛け部(布帛紐)の太さを比較的細く設定した場合でも、耳掛け部がちぎれる等の不具合は発生しにくくなる。
特に左右一対の耳掛け部が一本の布帛紐により一体形成されていることで、マスク着脱時等において左右方向(布帛紐の長手方向)に強い負荷がかかったとしても、マスク本体には負荷がかかりにくい。
換言すれば、本手段1では、耳掛け部の太さを比較的細く設定できるため、マスク着用時には、マスク本体が着用者の頬に隙間なくフィットしやすくなり、マスク機能の向上を図ることができる。
加えて、不織布製マスクや、マスクの製造に必要な資材(例えばガーゼや耳掛けゴム紐など)を入手することが困難な状況下においても、上記手段1に係るマスクは、比較的入手しやすい布帛を用いて安価に製造することができる。
手段2.前記マスク本体は、マスク中央部を中心に左右対称形状をなす、少なくとも1枚の布帛片からなる左片部と、少なくとも1枚の布帛片からなる右片部とを有し、
前記左片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部と、前記右片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部とが縫い合わされてなることを特徴とする手段1に記載のマスク。
前記左片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部と、前記右片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部とが縫い合わされてなることを特徴とする手段1に記載のマスク。
上記手段2によれば、マスク着用時において、マスク本体が、左右両片部が縫い合わされてなる中央縫合部が稜線となる山型状に前方へ膨らんだ立体的形状となる。
これにより、マスク着用時にマスク本体が着用者の顔にフィットしやすくなり、マスク機能を向上させることができる。さらに、マスク本体の裏側(内側)に凹状の空間が形成されるため、着用者の口や鼻にマスク本体が接触しにくくなり、着用者が呼吸を楽に行うことができる。
手段3.前記布帛紐は、チェーンステッチにより縫製されていることを特徴とする手段1又は2に記載のマスク。
上記手段3によれば、ポリエステル製の布帛自体の伸びに規制がかからず、布帛紐に適度な伸縮性を持たせることができる。結果として、マスク本体が着用者の顔にフィットしやすくなると共に、マスクの着脱作業がより容易となる。
手段4.前記布帛紐は、帯状の布帛テープを両観音折りして形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のマスク。
上記手段4によれば、布帛紐が丈夫になるため、耳掛け部の太さをより細く設定することが可能となる。また、布帛を裁断して作った帯状の布帛テープの幅方向両端部の裁断面が外側に現れないため、ほつれの発生等を抑制することができる。結果として、上記手段1等の作用効果をさらに高めることができる。
手段5.前記マスク本体及び前記布帛紐が同一素材の布帛により形成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のマスク。
上記手段5によれば、マスク本体及び耳掛け部(布帛紐)が同一素材により形成されていることにより、収縮率が同一となるため、洗濯時等において変形しにくくなり、マスク機能の低下抑制を図ることができる。
手段6.ポリエステル製の布帛からなるマスク本体と、該マスク本体の左右両側部に設けられた一対の耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の左側を構成する左片部と、複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の右側を構成する右片部とを重ね合わせた状態で、マスク中央部となる部位の縫製を行う第1縫製工程と、
前記左片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の左側縁部となる部位の縫製を行う第2縫製工程と、
前記右片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の右側縁部となる部位の縫製を行う第3縫製工程と、
帯状の布帛テープを両観音折りして布帛紐としつつ、前記マスク本体の上縁部及び下縁部に対応する区間については、該上縁部及び下縁部を間に挟み込みつつ前記布帛紐を縫い付けていき、その他の区間については、前記耳掛け部として前記布帛紐を縫い合わせていく第4縫製工程とを備えたことを特徴とするマスクの製造方法。
複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の左側を構成する左片部と、複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の右側を構成する右片部とを重ね合わせた状態で、マスク中央部となる部位の縫製を行う第1縫製工程と、
前記左片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の左側縁部となる部位の縫製を行う第2縫製工程と、
前記右片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の右側縁部となる部位の縫製を行う第3縫製工程と、
帯状の布帛テープを両観音折りして布帛紐としつつ、前記マスク本体の上縁部及び下縁部に対応する区間については、該上縁部及び下縁部を間に挟み込みつつ前記布帛紐を縫い付けていき、その他の区間については、前記耳掛け部として前記布帛紐を縫い合わせていく第4縫製工程とを備えたことを特徴とするマスクの製造方法。
上記手段6によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏される。特に、1本の布帛紐をマスク本体に縫い付けていくだけで左右一対の耳掛け部を形成することができるため、製造工程の簡素化を図ることができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る立体型マスク(以下、単に「マスク」という。)1の着用時の状態を示す斜視図である。図2は、非着用時の折り畳まれた状態にあるマスク1の側面図である。
マスク1は、着用者の鼻口部を覆うマスク本体2と、着用者の耳に掛ける左右一対の耳掛け部3,3とを備えている。
マスク本体2は、その裏側(内側)から見て、左側半分を構成する左片部5と、右側半分を構成する右片部6とからなる。
左右両片部5,6は、左右対称形状をなし、マスク1の左右方向中央部(以下、「マスク中央部」という。)において縫い合わされている。より詳しくは、左右両片部5,6は、それぞれマスク中央部側(図2左側)の中央側側縁部5a,6aが、外方へ膨らんだ凸円弧状に形成されている。そして、左右両片部5,6の中央側側縁部5a,6a同士が縫い合わされることにより、マスク中央部に中央縫合部7が形成されている。
これにより、マスク1は、着用時において、中央縫合部7が稜線となる山型状に前方へ膨らんだ立体的形状となり、その裏側に凹状の空間が形成されることとなる。その結果、着用者の口や鼻にマスク本体2が接触しにくくなり、着用者が呼吸を楽に行うことができるようになる。
一方、左右両片部5,6において、マスク中央部側とは反対側にあたる耳掛け部3側となる外方側側縁部5b,6bは、内方へ凹んだ凹円弧状に形成されている。これにより、マスク着用時に、マスク本体2の左側縁部(左片部5の外方側側縁部5b)及び右側縁部(右片部6の外方側側縁部6b)が着用者の頬に隙間なくフィットしやすくなる。
左右両片部5,6は、それぞれ表地及び裏地となる2枚の布帛片を重ねた二層構造となっている。本実施形態では、表地用布帛片及び裏地用布帛片が共に、ポリエステル100%の布帛、より具体的にはPET(ポリエチレンテレフタレート)100%製の布帛を裁断して形成されている。
尚、マスク着用者の鼻口部を覆う適当な大きさとしては、例えばマスク本体2の横寸法が10cm〜20cm程度が好ましく、縦寸法が8cm〜15cm程度が好ましい。勿論、これに限定されるものではなく、マスク本体2が着用者の鼻口部を覆うことが可能な大きさとなっていればよい。
一方、左右一対の耳掛け部3,3は、連続した一本の布帛紐10により形成されている。より詳しくは、布帛紐10は、マスク本体2の周囲に環状に配置され、その一部がマスク本体2の上縁部(左右両片部5,6の上縁部5c,6c)及び下縁部(左右両片部5,6の下縁部5d,6d)に縫い付けられている。
そして、布帛紐10のうち、マスク本体2の上縁部及び下縁部に縫い付けられた部分は、該上縁部及び下縁部を縁取る縁取り部となる。一方、マスク本体2に縫い付けられず、マスク本体2の左側縁部(左片部5の外方側側縁部5b)及び右側縁部(右片部6の外方側側縁部6b)からそれぞれ外方に突出した略U字状の部分が耳掛け部3,3となる。
尚、本実施形態における布帛紐10は、マスク本体2(左右両片部5,6)と同一素材であるPET100%製の布帛により形成されている。また、詳しくは後述するが、布帛紐10は、帯状の布帛テープ8を両観音折りすることにより形成されている〔図3(a)〜(c)参照〕。
次に、上記のように構成されたマスク1の製造方法について詳しく説明する。まずマスク本体2の縫製工程から説明する。
マスク本体2の縫製工程では、最初に、左右対称形状の左右両片部5,6それぞれの形状に対応して裁断された表地用布帛片及び裏地用布帛片をそれぞれ1枚ずつ用意し、これら計4枚の布帛片を所定の順序及び向きで重ね合わせる。
続いて、所定のミシンを用いて、重ね合わせた4枚の布帛片のマスク中央部側(左右両片部5,6の中央側側縁部5a,6a)をまとめて縫い合わせ、中央縫合部7を形成する。かかる縫製工程が本実施形態における第1縫製工程に相当する。
次に、左片部5を構成する表裏2枚の布帛片だけを重ね合わせた状態で、マスク本体2の左側縁部となる左片部5の外方側側縁部5bを縫い合わせる。かかる縫製工程が本実施形態における第2縫製工程に相当する。併せて、2枚の布帛片の位置ズレ等を防止するため、左片部5の上縁部5c及び下縁部5dの仮縫いを行う。
同様に、右片部6を構成する表裏2枚の布帛片だけを重ね合わせた状態で、マスク本体2の右側縁部となる右片部6の外方側側縁部6bを縫い合わせる。かかる縫製工程が本実施形態における第3縫製工程に相当する。併せて、2枚の布帛片の位置ズレ等を防止するため、右片部6の上縁部6c及び下縁部6dの仮縫いを行う。これにより、マスク本体2が完成する。
次に、布帛紐10の縫製工程について説明する。布帛紐10の縫製工程により、マスク本体2の縁取り部や耳掛け部3,3が作られる。かかる縫製工程が本実施形態における第4縫製工程に相当する。以下、詳しく説明する。
まず図3(a)に示すように、PET100%製の布帛を細長く裁断した帯状の布帛テープ8を用意し、その長手方向先端部を図示しない所定のミシンの四つ折りバインダーにセットする。
尚、本実施形態における布帛テープ8の長さは、マスク本体2の上縁部(左右両片部5,6の上縁部5c,6c)の長さと、マスク本体2の下縁部(左右両片部5,6の下縁部5d,6d)の長さと、右側の耳掛け部3の長さと、左側の耳掛け部3の長さとを足し合わせた長さよりも少し長めに設定されている。また、布帛テープ8の幅は、マスク本体2に縫い付けられる布帛紐10の幅W1(例えば6mm)の4倍程度となっている。
続いて、布帛紐10の先端部を縫い付ける始点となるマスク本体2の所定位置(本実施形態ではマスク本体2の下縁部中央)をミシン針の位置に位置合わせした後、ミシンを駆動して布帛紐10の縫製を開始する。本実施形態では、マスク本体2の下縁部中央から左片部5の下縁部5dに沿って布帛紐10を縁取り部として縫い付けていく。
この際、布帛テープ8は、四つ折りバインダーを通過していくことで、両観音折り状態の布帛紐10となって左片部5の下縁部5dに縫い付けられていく。具体的に、布帛テープ8は、四つ折りバインダーを通過していくことによって、その幅方向両端縁部8a,8aがそれぞれ中央線C1に向かうように折り返された後〔図3(b)参照〕、さらに、その折り返し部9,9が中央線C1を中心に内側へ折り畳まれ〔図3(c)参照〕、該折り返し部9,9間に左片部5の下縁部5dを挟み込んだ状態で、布帛紐10となって縫い付けられていく。
尚、本実施形態において、布帛紐10は、縫い代W2(例えば1.5mm)を確保しつつ、チェーンステッチにより縫われる。
その後、縫付け位置(ミシン針の位置)がマスク本体2の下縁部左端位置(左片部5の下縁部5dの左端位置)を超えると、マスク本体2を介さずに折り畳まれた両観音折り状態の布帛紐10のみを続けて左側の耳掛け部3として縫い合わせていく。
そして、布帛紐10のみを縫い合わせた区間が所定長(耳掛け部3の長さ分)確保されると、マスク本体2の上縁部左端位置(左片部5の上縁部5cの左端位置)をミシン針の位置に位置合わせして、布帛紐10の間にマスク本体2の上縁部(左片部5の上縁部5c、及び、右片部6の上縁部6c)を挟み込みつつ、マスク本体2の上縁部に沿って布帛紐10を縁取り部として縫い付けていく。
その後、縫付け位置(ミシン針の位置)がマスク本体2の上縁部右端位置(右片部6の上縁部6cの右端位置)を超えると、マスク本体2を介さずに折り畳まれた両観音折り状態の布帛紐10のみを続けて右側の耳掛け部3として縫い合わせていく。
上記同様、布帛紐10のみを縫い合わせた区間が所定長(耳掛け部3の長さ分)確保されると、マスク本体2の下縁部右端位置(右片部6の下縁部6dの右端位置)をミシン針の位置に位置合わせして、布帛紐10の間にマスク本体2の下縁部(右片部6の下縁部6d)を挟み込みつつ、マスク本体2の下縁部に沿って布帛紐10を縁取り部として縫い付けていく。
そして、布帛紐10の後端部が、終点となるマスク本体2の下縁部中央位置に縫い付けられると、布帛紐10の縫製工程が終了し、マスク1が完成する。
以上詳述したように、本実施形態に係るマスク1は、一本の布帛紐10をマスク本体2の上縁部及び下縁部に縫い付けることで左右一対の耳掛け部3,3が形成されている。このため、仮に備蓄品として長期間保管した場合であっても、接着部が剥がれる等の不具合は発生せず、使用することができる。
また、従来のように耳掛け部をマスク本体に熱接着や一体形成した場合等と比べて、耳掛け部3,3(布帛紐10)の太さを比較的細く設定した場合でも、耳掛け部3,3がちぎれる等の不具合は発生しにくい。
特に左右一対の耳掛け部3,3が一本の布帛紐10により一体形成されていることで、マスク着脱時等において左右方向(布帛紐10の長手方向)に強い負荷がかかったとしても、マスク本体2には負荷がかかりにくい。
換言すれば、本実施形態では、耳掛け部3,3の太さを比較的細く設定できるため、マスク着用時に、耳掛け部3,3の付根部付近に連なるマスク本体2の側縁部が撓む等の不具合が発生しにくくなり、マスク本体2が着用者の頬に隙間なくフィットし、マスク機能の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態に係る布帛紐10は、帯状の布帛テープ8を両観音折りして形成され、丈夫であるため、耳掛け部3,3の太さをより細く設定することが可能となる。また、布帛を裁断して作った帯状の布帛テープ8の幅方向両端部の裁断面が外側に現れないため、ほつれの発生等を抑制することができる。結果として、上記作用効果をさらに高めることができる。
一方、本実施形態に係る布帛紐10はチェーンステッチにより縫製されているため、ポリエステル製の布帛自体の伸びに規制がかからず、布帛紐10に適度な伸縮性を持たせることができる。結果として、マスク本体2が着用者の顔にフィットしやすくなると共に、マスクの着脱作業がより容易となる。
加えて、不織布製マスクや、マスクの製造に必要な資材(例えばガーゼや耳掛けゴム紐など)を入手することが困難な状況下においても、本実施形態に係るマスク1は、比較的入手しやすい布帛を用いて安価に製造することができる。
また、本実施形態に係るマスク1のマスク本体2は、左右対称形状となる左片部5と右片部6とが縫い合わされてなり、着用時において、マスク中央の中央縫合部7が稜線となる山型状に前方へ膨らんだ立体的形状となる。
これにより、マスク着用時にマスク本体2が着用者の顔にフィットしやすくなり、マスク機能を向上させることができる。さらに、マスク本体2の裏側(内側)に凹状の空間が形成されるため、着用者の口や鼻にマスク本体2が接触しにくくなり、着用者が呼吸を楽に行うことができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)マスクの形状は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる他の構成を採用してもよい。
例えば上記実施形態に係るマスク1は、マスク本体2が、左右対称形状となる左片部5と右片部6とが縫い合わされてなり、着用時において、マスク中央の中央縫合部7が稜線となる山型状に前方へ膨らんだ立体的形状となるよう構成されている。
これに限らず、例えばマスク中央部に縫合部のないマスク本体を採用してもよい。また、正面視矩形状の平型のマスク本体を採用してもよい。
また、上記実施形態では、マスク本体2の左右両側縁部(左右両片部5,6の外方側側縁部5b,6b)が凹円弧状に形成されているが、これに限らず、マスク本体2の左右側縁部が直線状に形成されていてもよい。
(b)上記実施形態では、マスク本体2(左右両片部5,6)が表地及び裏地となる2枚の布帛片を重ねた二層構造となっているが、これに限らず、異なる他の構成を採用してもよい。
例えばマスク本体2が1枚の布帛よりなる1層構造としてもよいし、3枚以上の布帛を重ねた複層構造としてもよい。
(c)マスク本体の素材は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる他の構成を採用してもよい。
例えば上記実施形態では、マスク本体2(左右両片部5,6)を構成する表地用布帛片及び裏地用布帛片がPET100%の布帛により形成されている。
これに限らず、他のポリエステル繊維により作られた布帛を用いてマスク本体2を形成してもよい。例えばポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維などにより作られた布帛を用いてマスク本体2を形成してもよい。
また、ポリエステル100%の布帛のみならず、ポリエステル繊維と他の素材(例えば綿)を混紡した布帛などを用いてマスク本体2を形成してもよい。但し、本発明に係る作用効果を得る上で、ポリエステル繊維の比率が他の素材の比率よりも高くなっていることが好ましい。
また、抗菌素材により作られた布帛(抗菌加工剤を付与したポリエステル繊維により作られた布帛)を用いてマスク本体2を形成してもよい。
(d)布帛紐の素材や形状など、布帛紐に係る構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる他の構成を採用してもよい。
例えば上記実施形態に係る布帛紐10は、マスク本体2(左右両片部5,6)と同一素材からなる布帛により形成されているが、これに限らず、マスク本体2とは異なる素材からなる布帛により形成されていてもよい。
また、上記実施形態に係る布帛紐10は、PET100%製の布帛により形成されているが、これに限らず、異なる他の素材からなる布帛により形成されていてもよい。例えばPEN繊維、PTT繊維、PBT繊維など、他のポリエステル繊維により作られた布帛を用いて形成してもよい。また、ポリエステル100%の布帛のみならず、ポリエステル繊維と他の素材(例えば綿)を混紡した布帛などを用いて布帛紐10を形成してもよい。
また、上記実施形態に係る布帛紐10は、帯状の布帛テープ8を両観音折りすることにより形成されているが、これに限らず、例えば帯状の布帛テープ8を2つ折りしたものを布帛紐10としてもよい。
(e)マスクの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、異なる他の方法を採用してもよい。
例えば上記実施形態では、マスク本体2を構成する4枚の布帛片を縫い合わせ、中央縫合部7を形成する第1縫製工程を行った後、マスク本体2の左側縁部(左片部5の外方側側縁部5b)を縫い合わせる第2縫製工程や、マスク本体2の右側縁部(右片部6の外方側側縁部6b)を縫い合わせる第3縫製工程を行う構成となっているが、これに限らず、上記第2縫製工程や上記第3縫製工程を行った後、上記第1縫製工程を行う構成としてもよい。
また、上記実施形態では、左片部5を構成する表裏2枚の布帛片だけを重ね合わせた状態で、左片部5の上縁部5c及び下縁部5dの仮縫いを行い、右片部6を構成する表裏2枚の布帛片だけを重ね合わせた状態で、右片部6の上縁部6c及び下縁部6dの仮縫いを行う構成となっているが、左片部5の上下縁部5c,5d、並びに、右片部6の上下縁部6c,6dは、マスク1の完成時には布帛紐10により縁取りされる部位であり、布帛紐10の縫製工程において、布帛紐10と共に縫い合わされるため、上記左片部5の上下縁部5c,5dの仮縫い工程、並びに、右片部6の上下縁部6c,6dの仮縫い工程については省略してもよい。
また、上記実施形態では、ミシンの四つ折りバインダーを用いて、帯状の布帛テープ8を両観音折りしつつ、布帛紐10としてマスク本体2に縫い付けていく構成となっている。これに限らず、事前に帯状の布帛テープ8を両観音折りした布帛紐10を用意しておき、これをマスク本体2に縫い付けていく構成としてもよい。
また、上記実施形態では、チェーンステッチにより布帛紐10を縫製していく構成となっているが、布帛紐10の縫製方法(縫い目)は、これに限定されるものではなく、例えば本縫いなど、他の異なる縫製方法を採用してもよい。
1…マスク、2…マスク本体、3…耳掛け部、5…左片部、6…右片部、7…中央縫合部、8…布帛テープ、10…布帛紐。
Claims (6)
- ポリエステル製の布帛からなるマスク本体と、該マスク本体の左右両側部に設けられた一対の耳掛け部とを備えたマスクであって、
前記一対の耳掛け部が、連続した一本の布帛紐を前記マスク本体の上縁部及び下縁部に縫い付けることにより形成されていることを特徴とするマスク。 - 前記マスク本体は、マスク中央部を中心に左右対称形状をなす、少なくとも1枚の布帛片からなる左片部と、少なくとも1枚の布帛片からなる右片部とを有し、
前記左片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部と、前記右片部のマスク中央部側に形成された凸円弧状側縁部とが縫い合わされてなることを特徴とする請求項1に記載のマスク。 - 前記布帛紐は、チェーンステッチにより縫製されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク。
- 前記布帛紐は、帯状の布帛テープを両観音折りして形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスク。
- 前記マスク本体及び前記布帛紐が同一素材の布帛により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマスク。
- ポリエステル製の布帛からなるマスク本体と、該マスク本体の左右両側部に設けられた一対の耳掛け部とを備えたマスクの製造方法であって、
複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の左側を構成する左片部と、複数枚の布帛片からなり前記マスク本体の右側を構成する右片部とを重ね合わせた状態で、マスク中央部となる部位の縫製を行う第1縫製工程と、
前記左片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の左側縁部となる部位の縫製を行う第2縫製工程と、
前記右片部を構成する前記複数枚の布帛片を重ね合わせた状態で、前記マスク本体の右側縁部となる部位の縫製を行う第3縫製工程と、
帯状の布帛テープを両観音折りして布帛紐としつつ、前記マスク本体の上縁部及び下縁部に対応する区間については、該上縁部及び下縁部を間に挟み込みつつ前記布帛紐を縫い付けていき、その他の区間については、前記耳掛け部として前記布帛紐を縫い合わせていく第4縫製工程とを備えたことを特徴とするマスクの製造方法。
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JP3100614U (ja) * | 2003-09-24 | 2004-05-27 | ダイヤ製薬株式会社 | マスク |
JP3200497U (ja) * | 2015-08-03 | 2015-10-22 | 株式会社ナファ生活研究所 | マスク |
WO2017073675A1 (ja) * | 2015-10-30 | 2017-05-04 | 株式会社ジムウェイ | 抗ウイルス性衛生マスク |
-
2020
- 2020-04-06 JP JP2020068196A patent/JP2021165441A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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