JP2005261849A - マスクおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させる。
【解決手段】顔面の少なくとも口部を被う横長形状であるマスク本体部1の上端縁21の両端部間の長さを下端縁22の両端部間の長さよりも短くし、このマスク本体部1の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成される構成とする。
【選択図】 図4
【解決手段】顔面の少なくとも口部を被う横長形状であるマスク本体部1の上端縁21の両端部間の長さを下端縁22の両端部間の長さよりも短くし、このマスク本体部1の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成される構成とする。
【選択図】 図4
Description
本発明は、顔面に装着するマスクに関し、特に、顔面へのフィット感に優れたマスクおよびその製造方法に関する。
マスクはかぜをひいた人や花粉症の人が外部からの異物を体内に侵入させたくないときに口や鼻を覆って顔面に装着する。一般的なマスクは、図11に示すように口や鼻を覆う長方形状のマスク本体部1とマスク本体部1の各両端の筒状部2に挿通された一定の長さのひも状部材3から構成されている。そして、人はこのひも状部材3を両耳に掛けることによりマスクを装着する。このように一般的なマスクは口や鼻を覆うマスク本体部が長方形状であることが多い。
特開2001−321454号公報
しかしながら、従来のようなマスクでは以下のような問題が生じていた。すなわち、従来のマスクではマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間が生じることが多く、マスク装着時にそのすき間からの異物の侵入を十分に防ぐことができないという問題やそのすき間により顔面へのフィット感が十分に得られていないという問題があった。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることである。また、上記課題を解決したマスクを量産的に製造することである。
本発明者は、各種のマスクの形態を試作・実験し鋭意検討した結果、以下の手段をとることによりこの課題を解決できることを見い出した。その手段は以下の通りである。
まず、第1の発明は、顔面の少なくとも口部を被う横長形状のマスク本体部と、耳に掛けるために該マスク本体部の横長形状の長尺方向の両側に装着されるゴムひも等のひも状部材とからなるマスクであって、前記マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、該マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成されていることを特徴とする。
まず、第1の発明は、顔面の少なくとも口部を被う横長形状のマスク本体部と、耳に掛けるために該マスク本体部の横長形状の長尺方向の両側に装着されるゴムひも等のひも状部材とからなるマスクであって、前記マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、該マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明においてマスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短い状態とは、図1(a)に示すように、上端縁の両端部であるP1とQ1との間の長さP1−Q1が下端縁の両端部であるR1とS1との間の長さR1−S1よりも短くなっている状態を指している。
また、マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じである状態とは、図1(a)に示すように、マスク本体部1の両側縁の上端P1、Q1とそれに対応する下端R1、S1を結ぶ線P1−R1およびQ1−S1がその結ぶ線自体がマスク本体部1の両端縁の形状となっている状態である。一方、マスク本体部1の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線より少なくとも内側に形成されている状態とは、図1(b)に示すように、マスク本体部1の両端縁の形状(図中の実線)がマスク本体部1の両側縁の上端P2、Q2とそれに対応する下端R2、S2を結ぶ線P2−R2(図中の点線)およびQ2−S2(図中の点線)よりも内側に形成されている状態を指している。
本発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。これは、上記のような構成をとると、マスク本体部の両端が顔面に沿いやすくなるためと考えられる。
次に第2の発明は、上記した第1の発明に係るマスクにおいて、前記マスク本体部の上端縁と下端縁の中央が上下に突出した形状となるように形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明において「マスク本体部の上端縁と下端縁の中央が上下に突出した形状」とは、図1(c)に示すように、マスク本体部1の上端縁P3Q3の中央が上方へ突出しており、マスク本体部1の下端縁R3S3の中央が下方へ突出しているような状態を指している。図1(c)に示したマスクにおいては、上端縁21と下端縁22の中央が上下へやや湾曲した状態で突出している。
本発明によれば、顔面へのフィット感をさらに良好なものとすることができる。これは、上記のような構成をとると、上端縁の突出した部位部分が顔面の鼻の形状に沿いやすく、下端縁の突出した部位部分が顔面のあごの形状に沿いやすくなり顔面への密着性が増すためと考えられる。
次に第3の発明は、上記した第1の発明に係るマスクにおいて、前記マスク本体部の形状が台形であることを特徴とする。ここで、「台形」とは、図1(a)に示すように、マスク本体部1の上端縁の両端部を結ぶ線P1−Q1とその対辺となる下端縁の両端部を結ぶ線R1−S1が平行となる状態を指している。
本発明によれば、顔面へのフィット感を向上させるともに、マスクを量産しやすいというメリットがある。
本発明によれば、顔面へのフィット感を向上させるともに、マスクを量産しやすいというメリットがある。
次に第4発明は、上記した第1の発明から第3の発明のいずれかに係るマスクにおいて、前記マスク本体部の長尺方向の両側端部が顔面に沿ってたわみ得る軟質部材で構成されていることを特徴とする。
ここで、本発明における「顔面に沿ってたわみ得る」とは、人の顔面の形状に沿うようにひも状部材が耳への引っ張られることによってマスク本体部の両側端部がやや湾曲してたわんだりしてたわみ得ることを指している。このたわむ程度は、人の顔面の大きさやひも状部材の素材によってもその程度は異なる。また、「軟質部材」とは、布生地、不織布などある程度伸縮性があるソフトな素材を意味している。このような素材を用いると顔面への肌触りも良好な状態となる。
本発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。これは、上記のような構成をとると、マスク本体部の両端が特に顔面の頬付近で沿いやすくなるためと考えられる。
次に第5の発明は、上記した第1の発明から第4の発明のいずれかに係るマスクにおいて、前記マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせて形成されていることを特徴とする。「マスク本体部の略中央」とはマスク装着時に口や鼻が接触する部分周辺のことを指している。
本発明によれば、顔面へのフィット感が良好になるとともに、マスク装着時において鼻や口付近に空間ができるため呼吸や会話をスムーズに行うことができる。
本発明によれば、顔面へのフィット感が良好になるとともに、マスク装着時において鼻や口付近に空間ができるため呼吸や会話をスムーズに行うことができる。
次に第6の発明は、上記した第1の発明から第4の発明のいずれかに係るマスクにおいて、前記マスク本体部の長手方向に折れ目が形成されていることを特徴とする。この折れ目を形成させるにはマスク本体部にひだ(プリーツ)を付けることにより形成できる。例えば、図2(a)に示すマスク10には、マスク本体部1の長手方向に4つのひだ91が形成されている。このひだの付け方としては、マスク本体部1の中心部付近を中心として対称的にひだを形成させる箱ひだ型や片側に倒れるような形でひだが重なって続く車ひだ型など様々な折れ目として形成することができる。マスク本体部の端部側から見た箱ひだ型の断面図を図2(b)に、車ひだ型の断面図を図2(c)に示す。なお、マスクをバランスよく顔面に密着させるためには、図2(b)に示す箱ひだ型により折れ目を形成することが好ましい。
本発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。これは、上記のような構成をとると、マスク本体部が鼻から口にかけてスムーズなカーブ形状となるため、マスクの顔面への密着性がより増すためと考えられる。
次に第7の発明の特徴とするところは、上記した第5の発明のマスクの製造方法において、前記マスク本体部を構成する素材の上端縁及び下端縁の少なくとも一方の端縁を縦方向の所定幅だけ内側に折り曲げて重ね合わせ形成する工程と、前記工程で素材を重ね合わせ形成した箇所に、折り曲げた端縁方向に凸形状とした接合線を形成した型材をあてがって、該接合線にしたがって重ね合わせた素材箇所を接合する工程と、前記工程で重ね合わせた素材箇所を接合した後、重ね合わせた素材箇所から型材を取り除き、素材の端縁を前記接合した箇所を接合した箇所を折り返し線として折り返し形成する工程と、前記マスク本体部のその他の箇所を所定の構成に形成する工程と、前記マスク本体部の両側にゴムひも等のひも状部材を取り付ける工程からなることにある。
本発明によれば、凸形状とした接合線にしたがって重ね合わせた素材を接合し、その接合した箇所を折り返し線として折り返し形成することで、マスク本体部の略中央において膨らみをもたせてマスクを製造することができる。この凸形状の接合線としたはのは、その突出した部分が、折り返し形成した後に膨らみを形成する部分となるからである。すなわち、凸形状が大きく突出した場合には、その分だけ膨らみが大きくなる。また、型紙をあてがって接合させることで、接合の状態が均一となって膨らみの大きさも均一となりやすくなる。
ここで、「接合」には縫製、溶着、接着など種々のつぎあわす方法が含まれる。例えば、素材としてガーゼや布生地を用いた場合には、縫製により接合させることができ、素材として不織布を用いた場合には熱溶着により接合させることができる。なお、外観上の見栄えをよくするためには、接合線を反転して裏返した状態でマスク本体部を構成することが好ましい。従って、本発明によれば、ほぼ同じ程度の膨らみをもたせたマスクを量産的に製造することができる。
次に第8の発明の特徴とするところは、上記した第7の発明に係る製造方法において、前記重ね合わせた素材箇所を接合する工程と前記折り返し形成する工程との間に、前記接合線より外側の素材部分を裁断する工程を設けることである。本発明によれば、外観上見栄えのよいマスクを製造することができる。
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
まず、第1の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第2の発明によれば、顔面へのフィット感をさらに良好なものとすることができる。
次に第3の発明によれば、顔面へのフィット感を向上させるともに、マスクを量産しやすいというメリットがある。
次に第4の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第5の発明によれば、顔面へのフィット感が良好になるとともに、呼吸や会話をスムーズに行うことができる。
次に第6の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第7の発明によれば、ほぼ同じ程度の膨らみをもたせたマスクを量産的に製造することができる。
次に第8の発明によれば、外観上見栄えのよいマスクを製造することができる。
まず、第1の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第2の発明によれば、顔面へのフィット感をさらに良好なものとすることができる。
次に第3の発明によれば、顔面へのフィット感を向上させるともに、マスクを量産しやすいというメリットがある。
次に第4の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第5の発明によれば、顔面へのフィット感が良好になるとともに、呼吸や会話をスムーズに行うことができる。
次に第6の発明によれば、マスク装着時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。
次に第7の発明によれば、ほぼ同じ程度の膨らみをもたせたマスクを量産的に製造することができる。
次に第8の発明によれば、外観上見栄えのよいマスクを製造することができる。
本発明に係るマスクは、口や鼻を覆って顔面に装着したときにフィット感に優れるマスクである。また、本発明に係るマスクは、主にマスク本体部とひも状部材から構成される。マスク本体部を構成する素材としてはガーゼ、布生地、不織布や紙等を用いることができる。敏感肌の人には、好ましくは天然素材が使用される。また、マスク自体に抗菌性をもたせる場合には、アパタイト系やゼオライト系などの化学物質を配合した抗菌素材を適用できる。
前記素材として、布生地、不織布などある程度伸縮性のある軟質部材を適用すると、マスク本体部の長尺方向の両側端部が顔面に沿ってたわみ得るため、顔面へのフィット感を向上させることができる。
図3および図4はマスク本体部とひも状部材の構成を示す説明図である。
マスク本体部とひも状部材の構成としては、図4に示すように、マスク本体部1にひも状部材3を別途取り付けて構成してもよいし、図3(a)に示すように所定形状の素材を打ち抜いて作製し、マスク本体部とひも状部材を一体的に構成してもよい。図3(a)に示すマスクは、所定形状の素材の両側付近を略半円状に打ち抜いてマスク本体部1とひも状部材3を構成としている。また、図3(b)に示すように、あらかじめ打ち抜いた2つのシート状の繊維材料31(図3(c)参照)をマスク本体部1の中央で左右対称に接合した立体型マスクとしてもよい。さらに、図3(d)に示すように、2つの紙状部材32(図3(e)参照)にひも状部材3を固定して配置して、マスク本体部の中央で左右対称に接合した立体型の防塵マスクとしてもよい。
マスク本体部とひも状部材の構成としては、図4に示すように、マスク本体部1にひも状部材3を別途取り付けて構成してもよいし、図3(a)に示すように所定形状の素材を打ち抜いて作製し、マスク本体部とひも状部材を一体的に構成してもよい。図3(a)に示すマスクは、所定形状の素材の両側付近を略半円状に打ち抜いてマスク本体部1とひも状部材3を構成としている。また、図3(b)に示すように、あらかじめ打ち抜いた2つのシート状の繊維材料31(図3(c)参照)をマスク本体部1の中央で左右対称に接合した立体型マスクとしてもよい。さらに、図3(d)に示すように、2つの紙状部材32(図3(e)参照)にひも状部材3を固定して配置して、マスク本体部の中央で左右対称に接合した立体型の防塵マスクとしてもよい。
また、図4に示すように、マスク本体部1のマスク装着時の鼻付近には鼻の形に変形して固定される長尺状部材4を内在させることもできる。長尺状部材4としては、好ましくはアルミニウムのような柔らかい金属製の短片が使用される。これにより、万人がマスクを装着してもフィット感を向上させることができる。
まず、本実施例に係るマスク10の構成について図4および図5に基づき説明する。図5は、本実施例に係るマスク10の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、本実施例に係るマスク10は2枚の素材11を重ねて縫い合わせて形成されたマスク本体部1とひも状部材3から構成されている。マスク本体部1の形状は、上端縁21の両端部間の長さが下端縁22の両端部間の長さよりも短く、マスク本体部1の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じに形成されている。また、マスク本体部1の上端縁21と下端縁22の中央が上下に突出しており、図5に示すように、マスク本体部1の略中央において前方へ膨らみをもたせてある。
図4に示すように、本実施例に係るマスク10は2枚の素材11を重ねて縫い合わせて形成されたマスク本体部1とひも状部材3から構成されている。マスク本体部1の形状は、上端縁21の両端部間の長さが下端縁22の両端部間の長さよりも短く、マスク本体部1の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じに形成されている。また、マスク本体部1の上端縁21と下端縁22の中央が上下に突出しており、図5に示すように、マスク本体部1の略中央において前方へ膨らみをもたせてある。
また、マスク本体部1の両側縁には、筒状部2が設けられており、ひも状部材3が挿通されている。ひも状部材3には伸縮性のあるゴムひもなど種々の部材を適用できる。なお、ゴム過敏症の人やアレルギー症の人等へは、ひも状部材として肌触りのよいソフトな素材を用いることが好ましい。
次に、本実施例に係るマスク10の製造方法について説明する。
図6は、本実施例に係るマスクの製造方法を示す説明図である。マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせてあるマスクを以下のような製造方法にて作製した。なお、マスク本体部1を構成する素材11として綿素材の布地を用いた。
図6は、本実施例に係るマスクの製造方法を示す説明図である。マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせてあるマスクを以下のような製造方法にて作製した。なお、マスク本体部1を構成する素材11として綿素材の布地を用いた。
まず、図6(a)に示すように、素材11の上端縁71及び下端縁72の両端縁を縦方向の所定幅W1、W2だけ内側に折り曲げて重ね合わせて形成する。所定幅W1は、マスク装着時において鼻付近に膨らみをもたせるために設けるものである。従って、その幅はマスク本体部を構成したときにその上端から2分目から3分目程度となるよう考慮して配置することが好ましい。また、所定幅W2は、マスク装着時において口付近に膨らみをもたせるために設けるものである。従って、その幅はマスク本体部を構成したときにその下端縁から1分目から2分目程度となるよう考慮して配置することが好ましい。なお、素材11の上端縁71及び下端縁72はともに上方向にやや湾曲した形状となっている。このように、折り曲げて重ね合わせて配置された状態を示すのが図6(b)である。
次に、図6(c)に示すように、上述した工程で素材11を重ね合わせ形成した箇所に、折り曲げた上端縁51方向及び下端縁52方向に湾曲した接合線を形成した型紙6をあてがって、この接合線61、62にしたがって重ね合わせた素材箇所を縫製する(縫製される部分を図中の点線で示している)。これにより、重ね合わせ形成した箇所が均一に縫製されやすくなる。この縫製後には、接合線61,62の外側2.5mm程度の部分を残して裁断する(裁断される部分を図中の塗りつぶし部分で示している)。これにより、外観上見栄えのよいマスクを製造することができる。
次に、図6(d)に示すように、上述した工程で重ね合わせた素材箇所を縫製した後、重ね合わせた素材箇所から型紙6を取り除き、素材11の上端縁71及び下端縁72を縫製した箇所(図中の点線部)を折り返し線として上下方向の外側に開くように折り返して形成する。そして、縫製した箇所を反転して裏返して正面とした状態を示すのが図6(e)である。そうすると、上端縁71及び下端縁72はともに上方向にやや湾曲した形状となっているため、後にマスク本体部を構成した状態では、その上端縁と下端縁の中央が上下に突出した形状となる。
図6(e)に示すように、この縫製した箇所に対応する裏側の線が線L1、L2となる。このように、縫製した箇所(図(d)に示す点線)を反転し裏返して、その縫製した箇所側を顔面の装着側にすると、装着時に縫製した箇所が外観上見えなくなり見栄えがよい。従って、素材を2枚重ねて作製する場合には、互いの縫製した箇所を内側にして重ね合わせて形成すると好適である。
次に、図6(f)に示すように、素材11の各縁の端部にバイアステープ74を固定して取り付けるとマスク本体部1が構成される。そして、図6(g)に示すように、左右の縁の端部には筒状部2を形成し、この筒状部2を挿通するようにひも状部材3を取り付けると図6(h)に示す本実施例に係るマスク10が完成する。
次に、本実施例に係るマスクの装着状態について説明する。
図7(a)に従来のマスク(図11参照)の装着状態を示し、図7(b)に本実施例に係るマスク10の装着状態を示す。
図7(a)に示すように、従来のようなマスク本体部が長方形であるマスクでは、マスク本体部1の両側縁の上端A1と耳の上方部位部分B1を結ぶひも状部材A1−B1対して下端C1と耳の下方部位部分D1までを結ぶひも状部材C1−D1が斜め方向に配置されている。そのため、耳の上方部位部分B1と下方部位部分D11近傍で生じる耳への引っ張り方向への張力がアンバランスとなって、耳付近に異物感が生じやすくなる。また、マスク本体部1の両側の中央近傍と頬との間にすき間が多く生じている(図7(a)の矢印部分)。
図7(a)に従来のマスク(図11参照)の装着状態を示し、図7(b)に本実施例に係るマスク10の装着状態を示す。
図7(a)に示すように、従来のようなマスク本体部が長方形であるマスクでは、マスク本体部1の両側縁の上端A1と耳の上方部位部分B1を結ぶひも状部材A1−B1対して下端C1と耳の下方部位部分D1までを結ぶひも状部材C1−D1が斜め方向に配置されている。そのため、耳の上方部位部分B1と下方部位部分D11近傍で生じる耳への引っ張り方向への張力がアンバランスとなって、耳付近に異物感が生じやすくなる。また、マスク本体部1の両側の中央近傍と頬との間にすき間が多く生じている(図7(a)の矢印部分)。
一方、図7(b)に示すように、本実施例に係るマスクは、マスク本体部1の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短くなっているため、マスク本体部1の両側縁の上端A2と耳の上方部位部分B2までを結ぶひも状部材A2−B2と下端C2と耳の下方部位部分D2までを結ぶひも状部材C2−D2がほぼ平行となっている。このようなこともマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間を生じさせない一要因であると考えられる。また、マスク本体部1の上端縁21と下端縁22の中央が上下に突出しているため、上端縁21が鼻の横のラインにほぼ沿っており、下端縁22があごのラインにほぼ沿っているため密着性も良好になっている。さらに、マスク本体部1の略中央において前方へ膨らみをもたせてあるため、その膨らみを持たせた部分が鼻と口付近にフィットしており、鼻から口にかけての密着性も良好となっている。
本発明に係るマスクを実際に装着した実施例について説明する。図8は、本実施例で用いたマスク本体部の形状を示す正面図である。
図8(a)〜(g)に示す形状のマスクを作製し、5名の被験者に装着させて、顔面へのフィット感を確認するための試験を行った。また、試験は、性別、年齢、顔の形状が異なる被験者にて行った。被験者の一覧を表1に示す。
図8(a)〜(g)に示す形状のマスクを作製し、5名の被験者に装着させて、顔面へのフィット感を確認するための試験を行った。また、試験は、性別、年齢、顔の形状が異なる被験者にて行った。被験者の一覧を表1に示す。
試験で用いたマスク本体部の形状は以下の(1)〜(7)の通りである。なお、マスク本体部の素材は、いずれも綿素材を使用した。
(1)対照例1(図8(a)に示す)
マスク本体部の形状が長方形状のマスクである。
(2)対照例2(図8(b)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さが同じで、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線より内側に形成した(内側に湾曲した)マスクである。
(3)試験例1(図8(c)に示す)
マスク本体部の形状が台形のマスクである。マスク本体部をこのような形状とした場合は、量産しやすく生産工程上のメリットがある。
(4)試験例2(図8(d)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線よりも内側に形成さした(内側に湾曲した)マスクである。
(5)対照例3(図8(e)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線より外側に形成した(外側にやや湾曲している)マスクである。
(6)試験例3(図8(f)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、
このマスク本体部の上端縁と下端縁の中央を上下に突出させ、かつマスク本体部の前方へ膨らみをもたせて形成したマスクである。
(7)試験例4(図8(g)に示す)
マスク本体部の形状が台形であり、かつマスク本体部の長手方向に箱ひだ型のプリーツを形成させたマスクである。
(1)対照例1(図8(a)に示す)
マスク本体部の形状が長方形状のマスクである。
(2)対照例2(図8(b)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さが同じで、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線より内側に形成した(内側に湾曲した)マスクである。
(3)試験例1(図8(c)に示す)
マスク本体部の形状が台形のマスクである。マスク本体部をこのような形状とした場合は、量産しやすく生産工程上のメリットがある。
(4)試験例2(図8(d)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線よりも内側に形成さした(内側に湾曲した)マスクである。
(5)対照例3(図8(e)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、このマスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線より外側に形成した(外側にやや湾曲している)マスクである。
(6)試験例3(図8(f)に示す)
マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、
このマスク本体部の上端縁と下端縁の中央を上下に突出させ、かつマスク本体部の前方へ膨らみをもたせて形成したマスクである。
(7)試験例4(図8(g)に示す)
マスク本体部の形状が台形であり、かつマスク本体部の長手方向に箱ひだ型のプリーツを形成させたマスクである。
被験者5名が上記のマスク(1)〜(7)を装着し、主にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間が生じないか、耳の後ろ側に異物感を感じないかという観点から総合的に装着時のフィット感の評価を行った。評価は、マスク装着時に「非常にフィット感がよい」と感じた場合には5点、「フィット感がよい」と感じた場合には4点、「フィット感は普通である」と感じた場合には3点、「フィット感がやや悪い」と感じた場合には2点、「フィット感がかなり悪い」と感じた場合には1点として、被験者5名の点数を合計し、その合計を平均してその平均点により評価を行った。これらの試験結果を以下の表2に示す。
表2に示すように、試験例1〜4のマスクの各平均点は、順に3.2点、3.6点、4.8点、5点となり、フィット感は良好であった(平均点が3点を上回った)のに対し、対照例1〜3のマスクの各平均点は、2.0点、2.4点、1.4点となり、フィット感が全体的に悪かった(平均点が3点を下回った)。これは対照例1および対照例2のマスクについては、マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さが同じであるため、マスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間が生じて、フィット感が悪くなったためと考えられる。これに対し、マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さより短くなっている。これにより、マスク本体部の両側の中央近傍と頬との間にすき間が生じにくくなり、フィット感が良好となったと考えられる。また、性別、顔の形状を問わず本実施例に係るマスクはフィット感よく装着できることが確認された。
また、対照例3のマスクについては、マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短いにもかかわらず、フィット感が最も悪い(平均点は1.4点)という評価となった。これはマスク本体部の長尺方向の両側縁が外側に湾曲しているため、装着時にその両端縁が浮き上がるような状態となってマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間に比較的大きなすき間ができたためであると考えられる。つまり、マスクのフィット感を向上させるには、マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短いことに加えて、マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成するこが必要であることが示唆された。
また、試験例1および試験例2のマスクの平均点が、3.2点および3.6点であったのに対し、試験例3および試験例4のマスクの平均点は、4.8点および5.0点となり、試験例1および試験例2のマスクよりもフィット感が良好であった。つまり、試験例3は、マスク本体部の上端縁と下端縁の中央が上下に突出した形状となるように形成することにより、上端縁の突出した部位部分が顔面の鼻のラインに沿い、下端縁の突出した部位部分が顔面のあごのラインに沿いやすくなるため顔面への密着性が増したものと考えられる。また、マスク本体部の前方へ膨らみをもたせて形成したこともフィット感をさらに良好したものと考えられる。試験例4のマスクは、マスク本体部の長手方向にプリーツが形成されているため、マスク本体部が鼻から口にかけてスムーズなカーブ形状となり、鼻や口元付近にバランスよく空間ができたためフィット感が向上したものと考えられる。さらに、マスクを装着したまま会話をしたところ、試験例4が最も違和感なく会話をすることができ、呼吸もしやすいという結果であった。
本発明は上記実施例の構成に限定されることはなく、その他種々の形態で実施ができるものである。
例えば、別の実施例として、図9に示すように、マスク本体部1の被覆部82の平面積内に通気性を有する軟質シートの機能材83をその上下端縁を着脱可能に保持する袋部84を設けた場合であってもよい。この場合、機能材83の交換により常に清潔な状態でかつ、フィット感も良好なままマスクを装着することができる。
例えば、別の実施例として、図9に示すように、マスク本体部1の被覆部82の平面積内に通気性を有する軟質シートの機能材83をその上下端縁を着脱可能に保持する袋部84を設けた場合であってもよい。この場合、機能材83の交換により常に清潔な状態でかつ、フィット感も良好なままマスクを装着することができる。
また、別の実施例として、図10に示すように、ひも状部材3を有端に形成すると、病院等での手術に使用する場合には好適である。この場合、マスク本体部1に着色すると(例えば、水色)、視覚的な衛生感が増すとともに、光の反射を抑えることができる。
また、上記実施例の製造方法では、素材の両端縁を縦方向の所定幅を内側に折り曲げて重ね合わせて形成した場合について説明したが、素材の上端縁のみを縦方向の所定幅だけ内側に折り曲げて重ね合わせて形成してもよい。この場合には、マスク装着時の鼻付近において前方へ膨らみができる。
1 マスク本体部
2 筒状部
3 ひも状部材
10 マスク
11 素材
21 上端縁
22 下端縁
82 被覆部
83 機能材
84 袋部
91 ひだ
2 筒状部
3 ひも状部材
10 マスク
11 素材
21 上端縁
22 下端縁
82 被覆部
83 機能材
84 袋部
91 ひだ
Claims (8)
- 顔面の少なくとも口部を被う横長形状のマスク本体部と、耳に掛けるために該マスク本体部の横長形状の長尺方向の両側に装着されるゴムひも等のひも状部材とからなるマスクであって、
前記マスク本体部の上端縁の両端部間の長さが下端縁の両端部間の長さよりも短く、該マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1に記載のマスクであって、
前記マスク本体部の上端縁と下端縁の中央が上下に突出した形状となるように形成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1に記載のマスクであって、
前記マスク本体部の形状が台形であることを特徴とするマスク。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したマスクであって、
前記マスク本体部の長尺方向の両側端部が顔面に沿ってたわみ得る軟質部材で構成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載したマスクであって、
前記マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせて形成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載したマスクであって、
前記マスク本体部の長手方向に折れ目が形成されていることを特徴とするマスク。 - 請求項5に記載したマスクの製造方法であって、
前記マスク本体部を構成する素材の上端縁及び下端縁の少なくとも一方の端縁を縦方向の所定幅だけ内側に折り曲げて重ね合わせて形成する工程と、
前記工程で素材を重ね合わせ形成した箇所に、折り曲げた端縁方向に凸形状とした接合線を形成した型材をあてがって、該接合線にしたがって重ね合わせた素材箇所を接合する工程と、
前記工程で重ね合わせた素材箇所を接合した後、重ね合わせた素材箇所から型材を取り除き、素材の端縁を前記接合した箇所を折り返し線として折り返し形成する工程と、
前記マスク本体部のその他の箇所を所定の構成に形成する工程と、
前記マスク本体部の両側にゴムひも等のひも状部材を取り付ける工程と、からなるマスクの製造方法。 - 請求項7に記載したマスクの製造方法であって、
前記重ね合わせた素材箇所を接合する工程と前記折り返し形成する工程との間に、前記接合線より外側の素材部分を裁断する工程を設けることを特徴とした製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004082888A JP2005261849A (ja) | 2004-03-22 | 2004-03-22 | マスクおよびその製造方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007097904A (ja) * | 2005-10-05 | 2007-04-19 | Kao Corp | マスク |
WO2008052342A1 (en) * | 2006-11-03 | 2008-05-08 | Primed Medical Products Inc. | Air filtering soft face mask |
JP2009273910A (ja) * | 2009-08-11 | 2009-11-26 | Nippon Suisan Kaisha Ltd | 織布製マスク |
JP4635129B1 (ja) * | 2010-02-09 | 2011-02-23 | 株式会社日本吸収体技術研究所 | マスク |
JP2016507666A (ja) * | 2012-12-27 | 2016-03-10 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 折り畳みフランジを有するフィルタ式フェースピースレスピレータ |
-
2004
- 2004-03-22 JP JP2004082888A patent/JP2005261849A/ja active Pending
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US11116998B2 (en) | 2012-12-27 | 2021-09-14 | 3M Innovative Properties Company | Filtering face-piece respirator having folded flange |
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