JP3229410U - 衛生マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】飲料の摂取が可能で、暑苦しさを低減させる衛生マスクを提供する。【解決手段】衛生マスクは、左右に配置された対称構造の右側部21と左側部22のそれぞれの対向する縁部を円弧状に接合して、着用時に鼻口部において前方に膨出するような立体形状に造形されたマスク本体11を備える。右側部と左側部の接合部に口部に対向する開口部12が形成され、開口部を覆う被覆材16がマスク本体に重合状態で右側部及び左側部のいずれか一方に取付けられる。被覆材はマスク本体と同一材料から成り、開口部の長さは少なくとも8cmである。また、被覆材の重合状態を維持する留め具17が設けられる。【選択図】図1

Description

本考案は、かぜや花粉症、あるいは清掃の際等に用いられる衛生マスクに関するものである。
従来、衛生マスクとして、方形状の綿ガーゼの両側に耳掛けが設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような衛生マスクは、その両側における耳掛けを着用者の左右の耳に掛け回すことにより着用され、その綿ガーゼは、その着用者の顔面の鼻部や口部を覆うマスク本体となるものである。
そして、このような衛生マスクは、マスク本体を通過して濾過された空気を吸引し、又は着用者が吐出した空気をマスク本体に通過させて、濾過された空気を外部に放出することになり、風邪・感冒予防、花粉症対策、各種ウイルス、ハウスダスト等塵埃からの防御、鼻腔及び口元の保湿効果等を主な目的として着用されるものである。
一方、このような衛生マスクは、少なくとも着用者の顔面の口部を覆うことから、その衛生マスクを着用した状態での飲料の摂取が不能になる不具合があった。
この点を解消するために、マスク本体が折り畳まれた不織布等から成る場合に、その折り重なる部位に横長の切り込みを入れた衛生マスクが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この様なマスク本体に切り込みを入れた衛生マスクでは、着用した状態で切り込みを開くことにより、その切り込みを介してのストローでの飲料の摂取が可能となり、飲料の摂取の度に衛生マスクを取り外す必要が無いとしている。
特開2005−103201号公報 実用新案登録第3157299号公報
しかし、マスク本体が折り畳まれた不織布等から成る衛生マスクでは、装着時にマスク本体の幅方向の中央部分はその折り畳まれた部分が展開されて着用者の鼻口部を覆うことになり、その中央部分に形成された切り込みは何ら覆われること無く表出してしまう不具合がある。
このようにマスク本体に形成された切り込みが表出すると、その切り込みに空気が直接通過してマスク本体による濾過機能が低下し、マスク本体により濾過された吸気を呼吸し、又は吐出された空気を濾過して外部に放出するという衛生マスク本来の機能が損なわれる不具合があった。
また、近年の飲料はいわゆるペットボトルに入れられたものが多く、ストローを介すること無くペットボトルから直接飲料の摂取が可能になれば便利である。
また、このような衛生マスクは、マスク本体と顔面との間に形成される空間に、着用者が吐出した湿気を帯びた空気を留めおくことにより、鼻腔及び口元の保湿効果を保つ働きもあるけれども、暑い夏の盛りに衛生マスクを装着していると、その湿気の高さから暑苦しさを感じる不具合もあった。
この様な暑苦しさを回避するためには、装着不要な場合に衛生マスクを取り外し、必要に応じて再度装着し直すことが行われる。けれども、取り外した場合の衛生マスクの保管や、その取り外しと装着の繰り返しが煩わしい不具合があり、装着した状態であっても、暑苦しさを感じない様であれば便利である。
本考案の目的は、濾過機能を損なうこと無く、飲料の摂取が可能な衛生マスクを提供することにある。
本考案の別の目的は、必要に応じてマスク本体と顔面との間に形成される空間の空気を入れ換えて、暑苦しさを低減し得る衛生マスクを提供することにある。
本考案は、左右に配置された対称構造の右側部と左側部のそれぞれの対向する縁部を円弧状に接合して、着用時に鼻口部において前方に膨出するような立体形状に造形されたマスク本体を備えた衛生マスクの改良である。
その特徴ある構成は、右側部と左側部の接合部に口部に対向する開口部が形成され、開口部を覆う被覆材がマスク本体に重合状態で右側部及び左側部のいずれか一方に取付けられたところにある。
ここで、被覆材はマスク本体と同一材料から成ることが好ましく、開口部の長さが少なくとも8cmあることが好ましい。また、開口部を覆う被覆材の上縁と下縁が右側部と左側部の双方に延びて接合されたことが好ましく、被覆材の上縁と下縁の接合の間隔が右側部及び左側部のいずれか他方に向かって減少するように上縁の接合及び下縁の接合のいずれか一方又は双方が傾斜することが更に好ましい。
また、右側部及び左側部のいずれか他方に重合する被覆材に被覆材の重合状態を維持する留め具が設けられたことが好ましく、右側部及び左側部のいずれか他方に重合する被覆材の縁が膨出して形成された場合、留め具が被覆材の膨出端に設けられたことが好ましい。そして、留め具が雄パーツと雌パーツから成るバネホックであれば、被覆材に雄パーツが取付けられ、雄パーツに対向する右側部及び左側部のいずれか他方に雌パーツが取付けられたことが更に好ましい。
本考案の衛生マスクでは、少なくとも着用者の顔面の口部を覆うことから、その衛生マスクを着用した状態での飲料の摂取は不能になる。けれども、本考案の衛生マスクでは、右側部と左側部の接合部に口部に対向する開口部を形成したので、被覆材をマスク本体から離間させるようして開口部を表出させ、その開口部を押し広げることにより、その開口部を介しての飲料の摂取が可能となる。
そして、開口部の長さを少なくとも8cmとすれば、飲料の摂取にあって、その開口部に挿通させたストローでの飲料の摂取に限らず、ペットボトルの飲み口をその開口部に挿通させることも可能となり、ストローを用いること無く、開口部に挿通させた飲み口を介してペットボトルから直接飲料を摂取することが可能となる。これにより、飲料の摂取の度に衛生マスクを取り外す必要をなくすことが出来る。
また、本考案の衛生マスクでは、開口部を覆う被覆材を取付けたので、その被覆材により開口部を覆うことにより、開口部を介した空気の流通は防止される。これにより、通常の使用状態において、マスク本体による濾過機能が低下する様なことは無く、衛生マスク本来の機能を確保することが出来る。
そして、その開口部を覆う被覆材のマスク本体への重合状態を維持する留め具を設ければ、その留め具により、被覆材の浮き上がりは防止され、通常使用時における開口部の表出を確実に防止することが可能となる。
一方、本考案の衛生マスクでは、留め具による被覆材のマスク本体への係止を解消させることにより、開口部を介する空気の流れを生じさせることができる。すると、着用者の通常の呼吸により、マスク本体と顔面との間に形成される空間の空気は入れ換えられることになり、暑い夏の盛りにあっても、開口部を介する空気の流れを生じさせることにより、衛生マスクを装着することに起因する暑苦しさを低減させることができる。
本実施形態の衛生マスクの正面図である。 その衛生マスクの側面図である。 図4のA−A線断面図である。 その衛生マスクを着用した側面図である。 その衛生マスクの被覆材が取付けられる状態を示す正面図である。 その衛生マスクのマスク本体の組み立てを示す図である。 その衛生マスクの開口部を介して飲料を摂取する状態を示す図3に対応する断面図である。 その衛生マスクの開口部から吐息が排出される状態を示す図3に対応する図である。
次に本考案を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に本考案における衛生マスク10を示す。この衛生マスク10は、着用時に着用者Cの鼻部Nや口部Mを覆うマスク本体11と(図4)、そのマスク本体11の左右方向両側端に取り付けられた耳掛け31とを備える。
ここで、図2において、矢印A1で示す方向を前方とし、その反対方向を後方とする。また、図1において、矢印A2で示す方向を上下方向とし、矢印A3で示す方向を左右方向として、本考案の衛生マスク10を説明する。
この実施の形態におけるマスク本体11は、左右に配置された対称構造の右側部21および左側部22のそれぞれの対向する縁部を円弧状に接合して、着用時に鼻口部N,M(図4)において前方に膨出するような立体形状に造形される。
この実施の形態におけるマスク本体11は布製であって、図3に示す様に、着用時に着用者C側となる側に設けられた綿ガーゼ21a,22aと、着用時に表側となる側に設けられた表面織布21b,22bとを備え、それらの接合が縫着により行われるものとする。即ち、この実施の形態における右側部21と左側部22は、それぞれ、綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bとが重ねられて縫着することにより作られるものとする。
着用者C側となる側に設けられた綿ガーゼ21a,22aは、綿繊維を甘く撚った糸を粗めに平織りしたあと、晒して軟らかくに仕上げた生地であって、柔らかく肌触りが良く、吸水性や通気性に優れる生地である。この実施の形態における綿ガーゼ21a,22aは、40番手等の比較的細い糸を平織りしたものが用いられる場合を示すものとする。けれども、綿ガーゼ21a,22aの番手等は、これに限定されずに肌触りが良いものが使用されるものとする。
また、着用時に表側となる側に設けられた表面織布21b,22bは、着用時に表側となることから、立体的形状を維持するためにも、綿ガーゼ21a,22aよりも硬い織布であることが好ましい。例えば、この表面織布21b,22bは綿素材であることが好ましく、具体的には、手ぬぐい用生地や、シーツ用生地や、浴衣用生地などが挙げられる。
この表面織布21b,22bは、綿ガーゼ21a,22aと同様に白色のものを使用することができる。けれども、この表面織布21b,22bは、図3に示す様に、装着状態で外部に表出するものであるので、装着時における美感を向上させるために柄や模様が印刷されたものであっても良い。
特にこの実施の形態では、表面織布21b,22bを含むマスク本体11に後述する被覆材16を縫着するので、その縫い目SS,SU,SL(図1)をぼかして縫い目SS,SU,SLが明確になることに起因する見栄えの悪化を防止するためにも、柄や模様が印刷された表面織布21b,22bを用いることが好ましい。
図6(a)に示す様に、これら綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bは、それぞれ先端が円弧状を成すように型紙に合わせて裁断され、それら円弧状の先端縁をそれぞれ円弧状に縫い合わすことにより接合される。このとき、綿ガーゼ21a,22aにあっては、先端縁から離れた基端側を先端縁と同方向に折り返して縫い合わせることにより、その基端側のほつれを防止させる。
綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bのそれぞれ先端の長さは、図4に示す様に、得られたマスク本体11を装着した際に、着用者の鼻孔部N,Mを覆うに十分な長さとされる。即ち、図5に示す様に、それら先端の長さは、得られたマスク本体11の左右方向の中央部における接合部において、その上部が鼻部Nを覆い、下部が顎部Jを覆う様な長さLaであって、具体的に、この中央部の上下方向の長さLaが15〜18cmぐらいに成るように裁断されることが好ましい。
図6(a)に示す様に、綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bの先端縁における縫い合わせは、後述する開口部12(図5)を除く部分であって、図4に示す鼻部Nを覆う上部と、顎部Jを覆う下部において行い、口部Mに対向する部位の縫い合わせは行わないものとする。この実施の形態では、その先端縁の縫い合わせをしない長さLoは、少なくとも8cmはあるものとし、具体的には8cm〜9cmの長さにおいて縫い合わせを行わないものとする。
その後、これら先端縁の上下が縫い合わされた綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bは、図6(b)に示す様に、中表にして重ね合わされて、それらの上縁及び下縁が更に縫い合わされる。その後、内側が外側を向くように反転させて中表とし、縫い合わされた端縁を綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bにより挟まれる内側にする。
その後、図5に示す様に、この実施の形態では、綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bにより挟まれる右側部21と左側部22の上縁に沿ってそれらを貫通するノーズワイヤ13をそれぞれの内側に挿入し、そのノーズワイヤ13を挟むように、そのノーズワイヤ13を通す幅を開けて右側部21と左側部22の上部をそれらの上縁に沿って再び縫い合わせる。
また、右側部21と左側部22の下縁にあっても、それらを連続させるように縫い合わせ、これにより、綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bとが重ねられて作られた右側部21と左側部22のそれぞれの対向する縁部が円弧状に接合されたマスク本体11を得る。
これらの縫い合わせは、予めアイロンを用いて綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bとを重ねた状態で双方を充分になじませた後に行われるものとし、実際の縫い合わせにあっては、ミシンを用いた従来からの縫着手段で可能であるけれども、ミシンを用いない、いわゆる手縫いであっても良い。ここで、これらの縫い合わせは、綿ガーゼ21a,22aや表面織布21b,22bの周囲のほつれを防止する必要から、かがり縫いをした後に重ね合わせ又は折り返して直線縫いを行うこともできる。
また、この実施の形態では、図3に示す様に、右側部21と左側部22において、着用時に幅方向(左右方向)の両側に位置する表面織布21b,22bを綿ガーゼ21a,22aより長くして、その表面織布21b,22bの側部を綿ガーゼ21a,22a側に折り返して縫着し、この折り返された表面織布21b,22bの両側に耳掛け31が装着されるものとする。
この実施の形態における耳掛け31は、伸縮自在のゴム紐であって、表面織布21b,22bの折り返された側部に挿通されて環状に設けられ、その環状のゴム紐を着用者Cの耳に掛け回すことにより(図4)、この衛生マスク10を着用可能に構成され、着用状態でマスク本体11は着用者Cの鼻口部MMを覆うように構成される。
ここで、表面織布21b,22bの側部の折り返した縫着は表面織布21b,22bに対して行い、その側部において表面織布21b,22bと綿ガーゼ21a,22aとの間に隙間を生じさせることが好ましい。このようにすれば、この隙間から例えば、シート状の保冷剤18を表面織布21b,22bと綿ガーゼ21a,22aとの間に挿入することが可能となる。
そして、本考案の特徴ある構成は、右側部21と左側部22の接合部に口部Mに対向する開口部12が形成され、その開口部12を覆う被覆材16がマスク本体11に重合状態で右側部21及び左側部22のいずれか一方に取付けられたところにある。
図3に示す様に、この実施の形態における右側部21と左側部22はそれぞれ綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bを有するので、口部Mに対向して開口部12に相当する綿ガーゼ21a,22a同士及び表面織布21b,22b同士は縫い合わせることをせずに、その左右に位置する綿ガーゼ21a,22aの突き合わせ部及び表面織布21b,22bの突き合わせ部は互いに内側に折り返して突き合すことにより、開口部12を形成することになる。
図3及び図5に示す様に、左右に位置して開口部12を形成する綿ガーゼ21a,22aの突き合わせ部及び表面織布21b,22bの突き合わせ部は、内側に折り返されて重合する状態で、縫い目SRがその開口部12を包囲する様に縫い合わされる。
即ち、内側に折り返されて突き合せられて開口部12を構成することになる綿ガーゼ21a,22a及び表面織布21b,22bの突き合わせ部位は、重合状態で互いに縫い合わされて、その開口部12において綿ガーゼ21a,22a及び表面織布21b,22bが互いずれるようなことは防止される。このようにして、右側部21と左側部22の接合部に上下方向に延びる少なくとも8cm、具体的には8cm〜9cmの長さLoの開口部12が形成される。
一方、この開口部12を覆う被覆材16は、開口部12より大きな布材であって、マスク本体11と同一材料から成る。即ち、この実施の形態における被覆材16は、図3に示す様に、マスク本体11と同様の綿ガーゼ16aと表面織布16bを有し、周囲が互いに縫い合わされたものが用いられるものとする。そして、その被覆材16は、開口部12を覆った状態で左側部22に縫い合わされて取付けられる場合を示す。
図1に示す様に、被覆材16を左側部22に縫い合わせた縫い目SSは開口部12に沿って上下方向に延びて形成され、この実施の形態では、被覆材16の上縁と下縁にあっても縫着されるものとし、この上縁と下縁は、右側部21と左側部22の双方に延びて縫着されるものとする。この実施の形態では、被覆材16の上縁の縫い目SUと下縁の縫い目SLは、その間隔が左側部22から右側部21に向かって減少するように上縁の縫着と下縁の縫着の双方がそれぞれ傾斜して成されるものとする。
また、この被覆材16は、左側部22に縫い合わされる一方の縁は上下方向に真っ直ぐな直線になるように形成され、右側部21に重合して縫い合わされない他方の縁は幅方向の外側、即ち右側に膨出する様な山型に形成され、その山型に膨出した膨出端に留め具17が取付けられる。
この留め具17は、開口部12を覆った状態で左側部22に縫い合わせた被覆材16の右側を、その右側部21に重合させた状態で維持し、その右側部21から被覆材16が離間しないようにするものであって、この実施の形態における留め具17は、図3の拡大図に示す様に、雄パーツ17aと雌パーツ17bから成るバネホックである。この留め具17であるバネホックは、被覆材16の山型の膨出端に雄パーツ17aが縫着されて取付けられ、その雄パーツ17aに対向する右側部21に雌パーツ17bが縫着されて取付けられるものとする。
被覆材16は可撓性を有する布材からなり、開口部12を覆った状態でマスク本体11を構成する一方の左側部22に縫着されており、留め具17であるバネホックは、雌パーツ17bから雄パーツ17aを離脱させることが出来るので、雌パーツ17bから雄パーツ17aを離脱させた状態で、マスク本体11を構成する他方の右側部21に重合する被覆材16の右側をその右側部21から離間させるように折り返すことにより、開口部12を開放可能に構成される(図7)。
次に、本考案における衛生マスクの作用と使用方法について説明する。
本考案における衛生マスク10の不使用時には、マスク本体11における円弧状の縫着部である先端部を境に右側部21と左側部22を重ねることにより、2つ折りにすることが可能となり、その二つ折りされた状態で保管されるものである。
そして、その使用時には、マスク本体11を構成する右側部21と左側部22を広げて、図4に示す様に、そのマスク本体11を着用者Cの鼻口部N,M及び顎部Jに被せ、耳掛け31である環状のゴム紐を着用者Cの耳に掛け回すことにより着用状態と成り、マスク本体11を、その着用時に鼻口部N,Mにおいて上下間にわたって湾曲状に前方へ膨出するような立体形状とする。
図3に示すように、この衛生マスク10の着用にあっては、留め具17における雌パーツ17bに雄パーツ17aを係止させて、被覆材16の右側を右側部21に重合させた状態で維持させつつ、右側部21と左側部22が離間したマスク本体11を顔面に密着させることになる。
すると、マスク本体11は、その着用時の鼻口部N,Mを覆うので、着用者Cは、そのマスク本体11を通して空気を吸い込むことになり、そのマスク本体11において空気中の異物を捕捉・分離することができ、異物が鼻および口に侵入するのを防ぐという衛生マスク10に要求される本来の機能を発揮することになる。
この実施の形態では、マスク本体11の中央部が前方に突出する立体形状にしたので、この衛生マスク10の着用時において、着用者Cの顔面の鼻口部N,Mとマスク本体11の間に空間が生じるので、その呼吸は容易となり、被覆材16が開口部12を塞ぐので、開口部12を介する空気の流れは防止され、その空気の流れが生じることに依る衛生マスク10の本来の機能を害するようなことは無い。
ここで、被覆材16はマスク本体11と同一材料から成るので、被覆材16の存在が際立つことに依る外観上の見栄えの悪化は防止される。また、被覆材16の取付けが縫着により行われているので、開口部12を覆う被覆材16の上縁と下縁を右側部21と左側部22の双方に延びて縫着することにより、被覆材16のマスク本体11からの不要な浮き上がりが防止され、被覆材16の上縁と下縁の縫着の間隔が右側部21及び左側部22のいずれか他方に向かって減少するようにすれば、その不要な浮き上がりを効果的に防止することが出来る。
そして、右側部21及び左側部22のいずれか他方に重合する被覆材16に被覆材16の重合状態を維持する留め具17を設けているので、その留め具17により、被覆材16の浮き上がりは確実に防止され、通常使用時における開口部12の表出を効果的に防止することが可能となる。
ここで、右側部21及び左側部22のいずれか他方に重合する被覆材16の縁を膨出して形成しているので、被覆材16の膨出端に留め具17を取付けることにより、留め具17の取付け位置を確保することができ、留め具17が雄パーツ17aと雌パーツ17bから成るバネホックであるので、留め具17の存在を認識させることは少なく、外観上の見栄えの悪化を防止しつつ、その係止及び離脱を容易とすることができる。
この衛生マスク10を着用すると、着用者Cの顔に接触する部位には、比較的軟らかく、肌触りの良い、従来から用いられている綿ガーゼ21a,22aを配置しているので、従来のものと同様に、着用時に違和感を生じさせることはない。そして、綿ガーゼ21a,22aより堅い表面織布21b,22bを綿ガーゼ21a,22aに重ねた状態で立体的に縫製しているので、肌触りを害することなく、その表面織布21b,22bによりマスク本体11の立体的形状を維持することが可能となる。
また、図4に示す様に、マスク本体11が覆う着用者Cの鼻部Nは前方へ突出するので、その鼻部Nの頬に連続する両側に凹みが生じることになる。このように、鼻部Nの両側における凹部にはマスク本体11との間に隙間が生じ易いので、ノーズワイヤ13を鼻部Nの形状に折り曲げて、マスク本体11の上縁をその鼻部Nの形状に一致させて、その上縁の密着の程度を向上させることになる。
一方、このような衛生マスク10は、少なくとも着用者Cの顔面の口部Mを覆うことから、その衛生マスク10を着用した状態での飲料の摂取は不能になる。けれども、本考案の衛生マスク10では、右側部21と左側部22の接合部に口部Mに対向する開口部12を形成したので、図7に示す様に、留め具17による被覆材16のマスク本体11への係止を解消させて、被覆材16をマスク本体11の他方である右側部21から持ち上げて開口部12を表出させ、その開口部12を押し広げることにより、その開口部12を介しての飲料の摂取が可能となる。
この実施の形態では、被覆材16が左側部22に縫い合わされて取付けられるので、右手による被覆材16の右側部21からの離脱が容易となり、特に右利きの方に便利となる。
そして、この飲料の摂取にあっては、その開口部12に挿通させたストローでの飲料の摂取に限らず、開口部12の長さを少なくとも8cmとしたので、ペットボトル19の直径が2〜3cmの飲み口19aをその開口部12に挿通させることも可能となり、開口部12に挿通させた飲み口19aを介してペットボトル19から直接飲料を摂取することにより、ストローを用いること無く、飲料の摂取が可能となる。これにより、飲料の摂取の度に衛生マスク10を取り外す煩わしさをなくすことが出来る。
また、本考案の衛生マスク10は立体的形状を有するため、マスク本体11と顔面との間に形成される空間に、着用者Cが口部Mから吐出した湿気を帯びた空気が溜まり、暑い夏の盛りには暑苦しさを感じることもある。このため、従来では、装着不要な場合には衛生マスクを取り外す様なことが行われる。
けれども、本考案の衛生マスク10では、右側部21と左側部22の接合部に口部Mに対向する開口部12を形成したので、留め具17による被覆材16のマスク本体11への係止を解消させることにより、その開口部12を介する空気の流れが生じ、暑苦しさは低減されることになる。
即ち、留め具17による被覆材16のマスク本体11への係止を解消させても、着用者Cが空気を吸引すると、マスク本体11と口部Mとの間の空間は負圧となり、図3に示す様に被覆材16はその吸引によりマスク本体11に密着して、マスク本体11の濾過機能は確保されることになる。
その一方、着用者Cが口部Mから息を吹き出すと、図8に示す様に、開口部12から吹き出される息により、被覆材16はマスク本体11の他方である右側部21から持ち上げられ、開放された開口部12からその息が排出され、マスク本体11と口部Mとの間の空間に着用者Cが吐出した湿気を帯びた空気が溜まる様なことは回避される。
そして、次に着用者Cが空気を吸引すると、その間の空間にマスク本体11により濾過された空気が溜まることに成る。これにより、着用者Cの通常の呼吸により、マスク本体11と顔面との間に形成される空間の空気は常に入れ換えられて、暑苦しさは低減されることになる。
特に、この実施の形態では、マスク本体11が布製であって、綿ガーゼ21a,22aと表面織布21b,22bとを重ねているので、マスク本体11の左右方向の両側から、それらの間に保冷剤18を挿入させることも可能となり、暑い夏の盛りには、それらの間に保冷剤18を挿入させると、マスク本体11が接触する部位を冷却することになり、暑苦しさを更に低減させることも可能となる。
従って、本考案の衛生マスク10では、装着した状態であっても、留め具17による被覆材16のマスク本体11への係止を解消させることにより暑苦しさを感じない様にすることが出来、衛生マスクを装着不要な場合に衛生マスクを取り外すことに起因する保管や、その取り外しと装着の繰り返しなどの煩わしさを回避することが可能となる。
なお、上述した実施の形態では、耳掛け31が伸縮自在のゴム紐であって、表面織布21b,22bの折り返された基端に挿通されて環状に設けられる場合を説明した。けれども、この耳掛け31は、ゴム紐に限らず、伸縮自在な合成繊維から成る織布や不織布を用いるようにしても良い。
また、上述した実施の形態におけるマスク本体11は、布製であって、対称構造の右側部21と左側部22の対向する縁を円弧状に縫着することによりそれらを接合して立体形状に造形する場合を説明した。けれども、マスク本体11の材質は布に限らず、立体網目構造を有するポリウレタンなどの化学物質であっても良い。この場合の接合は、溶着や接着などにより行うことが出来る。
また、上述した実施の形態では、留め具17としてバネホックが用いられる場合を説明したけれども、留め具17はこれに限らず、マスク本体11への被覆材16の重合状態を維持しうる限り留め具17は他のもの、例えばカギホック等であっても良い。
また、上述した実施の形態では、留め具17が取付けられる被覆材16の縁が山型に膨出する場合を説明したけれども、膨出させなくても良く、膨出させる場合、膨出の形状は、山型に限らず、円弧状であっても良く台形状であっても良い。
また、上述した実施の形態では、被覆材16の上縁と下縁の縫着による接合の双方を傾斜させる場合を説明した。けれども、それらの間隔が右側部21及び左側部22のいずれか他方に向かって減少する限り、いずれか一方のみ傾斜させるようにしても良い。
更に、上述した実施の形態では、被覆材16が左側部22に縫い合わされて取付けられる場合を説明したが、被覆材16は右側部21に取付けるようにしても良い。すると、左手で被覆材16の左側部22からの離脱が容易となり、特に左利きの方に便利な衛生マスク10となる。
10 衛生マスク
11 マスク本体
12 開口部
16 被覆材
17 バネホック(留め具)
17a 雄パーツ
17b 雌パーツ
21 右側部
22 左側部
N 鼻部
M 口部

Claims (8)

  1. 左右に配置された対称構造の右側部(21)と左側部(22)のそれぞれの対向する縁部を円弧状に接合して、着用時に鼻口部(N,M)において前方に膨出するような立体形状に造形されたマスク本体(11)を備えた衛生マスクにおいて、
    右側部(21)と左側部(22)の接合部に口部(M)に対向する開口部(12)が形成され、
    前記開口部(12)を覆う被覆材(16)が前記マスク本体(11)に重合状態で前記右側部(21)及び前記左側部(22)のいずれか一方に取付けられた
    ことを特徴とする衛生マスク。
  2. 被覆材(16)がマスク本体(11)と同一材料から成る請求項1記載の衛生マスク。
  3. 開口部(12)の長さが少なくとも8cmある請求項1又は2記載の衛生マスク。
  4. 開口部(12)を覆う被覆材(16)の上縁と下縁が右側部(21)と左側部(22)の双方に延びて接合された請求項1ないし3いずれか1項に記載の衛生マスク。
  5. 被覆材(16)の上縁と下縁の接合の間隔が右側部(21)及び左側部(22)のいずれか他方に向かって減少するように前記上縁の接合及び前記下縁の接合のいずれか一方又は双方が傾斜する請求項4記載の衛生マスク。
  6. 右側部(21)及び左側部(22)のいずれか他方に重合する被覆材(16)に前記被覆材(16)の重合状態を維持する留め具(17)が設けられた請求項1ないし5いずれか1項に記載の衛生マスク。
  7. 右側部(21)及び左側部(22)のいずれか他方に重合する被覆材(16)の縁が膨出して形成され、留め具(17)が前記被覆材(16)の膨出端に設けられた請求項6記載の衛生マスク。
  8. 留め具(17)が雄パーツ(17a)と雌パーツ(17b)から成るバネホックであり、被覆材(16)に雄パーツ(17a)が取付けられ、前記雄パーツ(17a)に対向する右側部(21)及び左側部(22)のいずれか他方に雌パーツ(17b)が取付けられた請求項6又は7記載の衛生マスク。
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