JP2021163847A - 変性シリカ、及びこれを含む電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

変性シリカ、及びこれを含む電解コンデンサ用電解液 Download PDF

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Ayako Miyata
拓海 渡部
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Abstract

【課題】高温中で使用する場合の漏れ電流の抑制ができ、耐電圧が高く、かつ、電解液に用いられる各種の有機溶媒を用いつつ長期寿命を達成することできる変性シリカを提供することを課題とする。【解決手段】M単位ケイ素を有する基で表面が修飾された変性シリカであって、M単位ケイ素との結合のうち、シロキサン結合を形成する酸素原子との結合以外の少なくとも一つの結合が、下記の群1で表される基との結合であるM単位ケイ素を含み、かつ、変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、該群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量が、5mol%以上100mol%以下である、変性シリカ。(群1)アルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、炭素数1〜10の芳香族基、及びポリエーテル基から選択される少なくとも一つの基を有する基。【選択図】図1

Description

本発明は、変性シリカ、及びこれを含む電解コンデンサ用電解液に関する。
電解コンデンサは、アルミニウム、タンタルなどの絶縁性酸化皮膜層が形成され得るいわゆる弁金属を陽極に用い、その表面を陽極酸化処理等によって前記の絶縁性の酸化皮膜を誘電体層として形成したものを陽極側電極に用いる。
そして、この電解コンデンサの例として図1に例示されるような巻回型素子構造が一般に知られており、陽極側電極箔(1)に対向させて陰極側電極箔(2)を配置し、陽極側電極箔と陰極側電極箔の間にセパレータ(3)を介在させ、このセパレータに電解液を保持させている。これを図2に示すようなアルミニウム等の材質の外装ケース(5)に入れ、該ケースをブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴムなどのゴムパッキン(6)を介してフェノール樹脂積層板、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィドなどの封口板(7)を用いて密閉した構造となっている。
酸化アルミニウムを誘電体に用いたアルミ電解コンデンサでは、陽極側電極は、通常表面積の拡大のためエッチング処理されている。電解液は、この陽極側電極の凹凸面に密接して、陰極側電極の電界を伝達する実質的な陰極として機能するものである。このため、電解液の電気伝導率、温度特性などが電解コンデンサとしての電気的特性〔インピーダンス、誘電損失(tanδ)、等価直列抵抗(ESR)等〕を決定する要因となっている。また、電解液には、絶縁性の酸化皮膜の劣化や損傷を修復する役割(化成性)が要求され、これが電解コンデンサの漏れ電流(LC)や寿命特性へ影響を及ぼす。このように、電解液は電解コンデンサの特性を左右する重要な構成要素である。
電解液の電気伝導率は、電解コンデンサのエネルギー損失、インピーダンス特性などに直接関わることから、高い電気伝導率を有する電解液が好ましい。一方、安全性に対する要求の高まりから、電解コンデンサに対して定格電圧を越える異常電圧が印加されるような過酷な条件下においても、ショートや発火を起こさないようにより高い耐電圧を有する電解コンデンサが求められている。しかしながら、一般的に、用いる電解液の電気伝導率が高くなると電解コンデンサの耐電圧は低下する傾向にあり、電解コンデンサの開発を困難なものにしている(非特許文献1)。
そこで、高い電気伝導率を有する電解液を使用しながら、高い耐電圧が得られ、更に温度特性や長期使用に対する高い信頼性を得るために、電解液の添加剤としてシランカップリング剤やシランカップリング剤オリゴマー、変性シリコーン等を添加することが知られている(特許文献1〜3)。
また、電解液にシリカコロイド粒子を添加することにより、電解液の高い電気伝導率を維持しつつ耐電圧を上昇させる技術が提案されている(特許文献4〜6)。
特開平3−257811号公報 特開平6−310378号公報 特開平1−245508公報 特開平1−232713号公報 特開平6−151250号公報 特開2003−203827号公報
宇恵ら、ニューキャパシタ、3巻、55頁、1996年
シランカップリング剤を添加剤として用いた場合の効果としては、シランカップリング剤から得られるケイ素化合物の層が電極の酸化皮膜表面の水和反応を抑制し、静電容量の減少を抑制することが考えられる。しかしながら、シランカップリング剤は通常分子量が小さく十分な架橋構造を形成しにくいため、電極表面の保護効果が小さく、高温中で使用する場合の漏れ電流の抑制が出来ないという問題があった。
この問題を改良するため、シランカップリング剤をオリゴマー化し、保護層を均一形成することで、高温での安定性を向上させる検討もされているが、未だ十分ではない。
また、変性シリコーン等を添加した電解液は、電解液溶媒への溶解性や安定性は優れるものの、シリコーン部分の構造が直鎖状であり、電極を保護できる層を得にくく、耐電圧が低い問題があった。
また、シリカコロイド粒子を含有した電解液では初期の耐電圧は高いものの、寿命試験中に耐電圧が低下する等、長期寿命の点で問題があった。これは、シリカコロイドの電解液溶媒への分散安定性が悪くゲル化を起こすことが一因である。従って、シリカコロイドの分散安定性もしくは溶解性のよい溶媒を選択する必要があるため、その結果、電解液に使用できる溶媒が限定されるという点が問題となっていた。
そこで、本発明は、高温中で使用する場合の漏れ電流の抑制ができ、耐電圧が高く、かつ、電解液に用いられる各種の有機溶媒を用いつつ長期寿命を達成することできる変性シリカを提供することを課題とする。
これらの課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、有機基で修飾したシリカが、各種溶媒への分散性に優れ、電解液としての安定性も高く高耐電圧を得られる電解コンデンサを実現することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]M単位ケイ素を有する基で表面が修飾された変性シリカであって、
M単位ケイ素との結合のうち、シロキサン結合を形成する酸素原子との結合以外の少なくとも一つの結合が、下記の群1で表される基との結合であるM単位ケイ素を含み、かつ、
変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、該群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量が、10mol%以上100mol%以下である、変性シリカ。
(群1)アルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、炭素数1〜10の芳香族基、及びポリエーテル基から選択される少なくとも一つの基を有する基。
[2]前記群1が、環状エーテル基またはポリエーテル基を有する基である、[1]に記載の変性シリカ。
[3]前記環状エーテル基が、エポキシ基を有する基である、[1]又は[2]に記載の変性シリカ。
[4]前記環状エーテル基が、下記式(1)及び式(2)で表される基から選択される基を有する基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の変性シリカ。
Figure 2021163847

Figure 2021163847

(式(1)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、
式(2)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、a=0または1、0≦b≦8、0≦c≦8である。)
[5]平均一次粒子径が1nm以上1000nm以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の変性シリカ。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の変性シリカ、及び溶媒を含有する、溶媒分散シリカ
[7]ハロゲン含有量が10質量ppm以下である、[6]記載の溶媒分散シリカ。
[8]前記溶媒が、γ−ブチロラクトン、スルホラン、及びエチレングリコールから選択される少なくとも一つを含有する、[6]又は[7]に記載の溶媒分散シリカ。
[9][1]〜[5]のいずれか1項に記載の変性シリカ、又は[6]〜[8]のいずれか1項に記載の溶媒分散シリカを含有する、電解コンデンサ用電解液。
[10]電解液中に変性シリカを0.5質量%以上18質量%以下含有する、[9]に記載の電解コンデンサ用電解液。
[11]表面が有機基で修飾された変性シリカの製造方法であって、
ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物のシラノール基と、シリカ中のシラノール基とを脱水縮合反応させることによりヒドロシリル基含有シリカを得る脱水縮合反応工程と、
前記脱水縮合反応工程で得られたヒドロシリル基含有シリカと、ヒドロシリル化触媒と、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物とを反応させるヒドロシリル化反応工程とを有する、
変性シリカの製造方法。
本発明者らは、有機基で修飾したシリカは、各種溶媒へのシリカの分散性が優れることや、このシリカを溶媒に添加して得られる溶液を電解液として用いた場合、電解液としての安定性も高く高耐電圧を得られる電解コンデンサを実現することが可能であることを見出した。この知見から、本発明によれば、より低損失で、より長寿命な電解コンデンサを実現することが可能である。
また、本発明によれば、シリカ粒子を有機基で表面修飾することにより、電解液に用いられる各種の有機溶媒との親和性が向上し、粒子の凝集が妨げられ、高温で長時間放置してもゲル化や沈殿を抑制することができ、さらに、有機基を有しているため、電極表面と相互作用しやすく、電極表面と保護皮膜との結合力も高くなり、高耐電圧を得られる。
巻回型電解コンデンサの中心部分の構造の一例を示す説明図である。 外装ケースを有する電解コンデンサの構造の一例を示す説明図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらの説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
また、2つ以上の対象を併せて説明する際に用いる「独立して」とは、それらの2つ以上の対象が同じであっても異なっていてもよいという意味で使用される。
<変性シリカの構成>
本発明の一実施形態である変性シリカ(単に「変性シリカ」とも称する)は、M単位ケイ素を有する基で表面が修飾された変性シリカであって、
M単位ケイ素との結合のうち、シロキサン結合を形成する酸素原子との結合以外の少なくとも一つの結合が、下記の群1で表される基との結合であるM単位ケイ素を含み、かつ、
変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、該群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量が、10mol%以上100mol%以下である、変性シリカである。
(群1)アルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、炭素数1〜10の芳香族基、及びポリエーテル基から選択される少なくとも一つの基を有する基である。
M単位ケイ素を有する基とは、RSiO1/2で表される構成単位を有する基である。つまり、上記の変性シリカにおけるM単位ケイ素とは、RSiO1/2で表される構成単位を有する基であり、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、各々独立して、上記群1で表される基である基を意味する。なお、該構成単位で表される酸素原子は、シロキサン結合(Si−O−Si)を形成している。
そして、本実施形態に係るM単位ケイ素は、上述の通り、上記の構成単位におけるR、R、及びRの少なくとも一つが、上記の群1に含まれる基であればよく、その他に関しては特に限定されない。つまり、Rが群1に含まれる基で置換されていれば、R、Rは特に限定されることはないが、以下の群2から選ばれることが好ましい。
(群2)炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、又はケイ素とヒドロシリル基を形成する水素原子。
なお、変性シリカは、特段の断りがない限り、粒子状のものを示し、「変性シリカ粒子」とも称する。
上記の構成を満たす変性シリカを用いることにより、使用する溶媒へのシリカの分散安定性を高めたり、あるいは電解液中やコンデンサ中で溶質との相互作用や反応、また電極表面と反応や相互作用を起こしたりすることにより、以下に示す耐電圧の向上等の効果を示す、と本発明者らは考察している。
上記の構成を満たす変性シリカは、各種溶媒へのシリカの分散性が優れ、このシリカを溶媒に添加して得られる溶液を電解液として用いた場合、電解液としての安定性も高く高耐電圧を得られる電解コンデンサを実現することができる。
上記の構成を満たす変性シリカのように、シリカ粒子を特定の有機基で表面修飾することにより、電解液に用いられる各種の有機溶媒との親和性が向上し、粒子の凝集が妨げられ、高温で長時間放置してもゲル化や沈殿を抑制することができる。したがって、電解コンデンサ中のシリカ粒子の耐電圧向上効果を長時間持続することができる。さらに、有機
基を有しているため、電極表面と相互作用しやすく、電極表面と保護皮膜との結合力も高くなり、高耐電圧を得ることができる。粒子の凝集を抑制したり、電極表面との結合力を高めるためにも、変性シリカにおける有機物は多い方がよいと考えられるが、有機物の投入は少ない方がコスト的に望ましい。
また、後述する本発明の別の実施形態である変性シリカの製造方法によれば、塩酸などに代表されるハロゲンを使用しないので、電子部材等の腐食を抑制でき、耐久性に優れたコンデンサを提供できる。さらに、この製造方法によれば、例えば環状エーテル基などの酸やアルカリで開環しやすい有機基を閉環したままシリカへ修飾することができるので、より効率的に有機基を修飾することができ、より溶媒への分散安定性を高めることができる。また、より効率的に有機基を修飾することができるので、コスト的にも好ましい。
[群1]
M単位ケイ素を有する基、すなわちRSiO1/2で表される構成単位を有する基において、R、R、及びRのうち少なくとも1つは、各々独立して、上記の群1で表される基である。群1におけるそれぞれの基の具体的態様を以下に例示する。
アルケニル基を有する基としては、例えば、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられ、反応性が高いという観点から、好ましくはビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基であり、特に好ましくはビニル基である。
メタクリロイル基を有する基としては、例えば、メタクリロイロキシ基、メタクリロイロキシメチル基、メタクリロイロキシエチル基、メタクリロイロキシプロピル基、メタクリロイロキシブチル基、メタクリロイロキシペンチル基、メタクリロイロキシヘキシル基、メタクリロイロキシオクチル基が挙げられ、反応性及び相溶性が高いという観点から、メタクリロイロキシ基、メタクリロイロキシオクチル基が好ましい。
アクリロイル基を有する基としては、例えば、アクリロイロキシ基、アクリロイロキシメチル基、アクリロイロキシエチル基、アクリロイロキシプロピル基、アクリロイロキシブチル基、アクリロイロキシペンチル基、アクリロイロキシヘキシル基、アクリロイロキシオクチル基が挙げられ、反応性及び相溶性が高いという観点から、アクリロイロキシ基、アクリロイロキシオクチル基が好ましい。
アシル基を有する基としては、例えば、アセトキシ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などが挙げられ、反応性の観点から、アセトキシ基、アセチル基を有する基が特に好ましい。
環状エーテル基を有する基としては、例えば、エポキシ基などが挙げられるが、後述する態様とすることが好ましい。
炭素数1〜10の芳香族基を有する基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、ナフチル基などの環状構造を有する基が挙げられ、これらのうちフェニル基を有する基が特に好ましい。
ポリエーテルを有する基としては、例えば、ポリアルキレングリコールなどが挙げられ、溶媒への溶解性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールであることが好ましい。
群1は、環状エーテル基またはポリエーテル基を有する基であることが好ましく、さらに、環状エーテル基としては、エポキシ基を有する基が好ましく、下記式(1)及び式(2)で表される基から選択される基を有する基であることが特に好ましい。
Figure 2021163847

Figure 2021163847
式(1)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、
式(2)中、
は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、a=0または1、0≦b≦8、0≦c≦8である。
及びRは分岐構造や環状構造を含んでいてもよく、炭素原子、水素原子以外の原子を含んでいてもよい。R及びRは、炭素数1〜20の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の有機基であることがより好ましく、また、エーテル基を有していてもよい。炭素数が上記範囲内で少ない場合には、非極性部位が小さくなり、相溶性がより高まる。
及びRにおける有していてもよい置換基は、特段制限されないが、例えば、ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびリン原子からなる群より選ばれる1以上の原子で構成された基のことを表す。
具体的には、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、アルコキシ基又は非置換のアルキル基であり、より好ましくは非置換のアルキル基である。
aは、0または1であるが、反応性や相溶性の観点から、1であることが好ましい。
bまたはcは、0以上、8以下であるが、安定性の観点からb+c=2〜4が好ましい。
上述の群1におけるそれぞれの基として具体的に例示した基は、直接ケイ素に結合していてもよいが、連結させる基(「連結基」とも称する)を介して結合していてもよい。この場合、連結基を含めた基を群1で表される基とする。
連結基はシロキサン結合を有するものでなければ特段限定されないが、通常は二価の有機基が好ましく、分岐または環状またはその両方を含んでいてもよく、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子などのヘテロ原子を含んでいてもよく、また、連結基中に群1から選択される基を含んでいてもよい。具体的には例えば、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基や分岐アルキレン基、シクロへキシレン基、フェニレン基などの環状炭化水素基、エチレングリコール基、ジエチレングリコール基、トリエチレングリコール基などのオリゴエチレングリコール基などが好適に使用される。ただし、連結基が酸素原子を有する場合、連結鎖のうちポリオルガノシロキサン中のケイ素と直接結合する原子は酸素原子以外の原子である。
[群2]
上記のR、R、及びRのうち、上記の群1で表されるもの以外の残りのR、R、及びRは、各々独立して、下記群2から選択されることが好ましい。群2で表され
る基及び/又は水素原子の具体的態様を以下に例示する。
群2における炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10の範囲内であれば特段制限されず、例えば、直鎖アルキル基であるメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基のほか、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソアミル基、sec−アミル基、tert−アミル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基などの分岐構造を有する基、これらのうちメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。これらは1種類のみ用いてもよく、2種類以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
また、群2は、ケイ素とヒドロシリル基を形成する水素原子であってもよい。
変性シリカ中の有機基の含有量を適切な下限値以上とすることで、有機溶媒や電解液への分散安定性と、電極の保護層としての強度や均一性を両立することができて好ましい。また、適切な上限値以下とすることで、経時での液安定性の向上という理由で好ましい。
以下、変性シリカ中の群1及び2の含有量の好ましい範囲を示す。
変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量は、分散性や相互作用の観点から、10mol%以上であり、20mol%以上であることが好ましく、30mol%以上であることがより好ましく、40mol%以上であることがさらに好ましい。また、コストの面から、100mol%以下であるが、95mol%以下であることが好ましい。上記の含有量は、29Si−NMRを用いた測定から評価することができる。
変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、群2で表される基を有するM単位ケイ素の含有量は、コストの面から、0mol%以上、通常5mol%以上であり、10mol%以上であることが好ましい。また、シリカの凝集を抑制する観点から、通常90mol%以下であるが、85mol%以下であることが好ましく、80mol%以下であることがより好ましい。上記の含有量は、29Si−NMRを用いた測定から評価することができる。
変性シリカにおける全ケイ素原子中のM単位ケイ素の割合は、分散性や相互作用の観点から通常5mol%以上であり、10mol%以上であることが好ましく、15mol%以上であることがより好ましい。また、コストの面から、通常70mol%以下であり、65mol%以下であることが好ましく、60mol%以下であることがより好ましい。上記の割合は、29Si−NMRを用いた測定から評価することができる。
また、変性シリカ1gに対する上記の群1で表される基の含有量(mmol)は、分散性や相互作用の観点から、通常0.1mmol/g以上であり、0.2mmol/g以上であることが好ましい。また、コストの面から、通常1.0mmol/g以下であり、0.9mmol/g以下であることが好ましい。上記の割合は、29Si−NMRを用いた測定から評価することができる。
[M単位ケイ素を有する基で修飾されている部分以外の構成]
変性シリカにおける、M単位ケイ素を有する基で修飾されている部分以外の構成は、特段制限されず、公知のシリカの構成をとることができる。
[変性シリカ表面の官能基(有機基)の分析]
変性シリカ表面の官能基(有機基)は、29Si−NMRの測定により分析することができる。具体的な分析方法は、実施例に記載の通りである。
<変性シリカの特性>
変性シリカ粒子の平均粒子径は特段制限されないが、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。変性シリカ粒子の平均粒子径を適当な下限値以上とすることにより、粒子の凝集を防ぐことができ、電解液のゲル化が起こりにくくなる。また、この粒子径は、1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。この平均粒子径を適当な上限値以下とすることにより粒子の沈殿を防ぐことができ、安定なコロイドとすることができる。
本明細書において、シリカ粒子の平均粒子径は、BET法により測定したものとする。具体的には、比表面積自動測定装置を用いてコロイダルシリカの比表面積を測定し、下記式(A)を用いて平均1次粒子径を算出するものとする。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm))
・・・(A)
<変性シリカの製造方法>
上述の変性シリカの製造方法は、シリカの表面にRSiO1/2で表される構成単位を有する基を修飾させることができれば特段制限されず、公知の方法で合成して製造することができる。例えば、有機基等の官能基を有するジシロキサン化合物、官能基を有するジシラザン化合物などを原料として用いることで官能基の導入が可能である。いずれの製造方法であってもよく、複数の製造方法を組み合わせて使用しても構わない。
上記の通り、変性シリカの製造方法は特段制限されないが、以下に示す本発明の別の実施形態である変性シリカの製造方法であることが好ましい。
本発明の別の実施形態である変性シリカの製造方法(単に「変性シリカの製造方法」とも称する)は、表面が有機基で修飾された変性シリカの製造方法であって、
ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物のシラノール基と、シリカ中のシラノール基とを脱水縮合反応させることによりヒドロシリル基含有シリカを得る脱水縮合反応工程と、
前記脱水縮合反応工程で得られたヒドロシリル基含有シリカと、ヒドロシリル化触媒と、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物とを反応させるヒドロシリル化反応工程とを有する、変性シリカの製造方法。
以下、この変性シリカの製造方法について詳細に説明する。
[脱水縮合反応工程]
本実施形態に係る変性シリカの製造方法は、ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物のシラノール基と、シリカ中のシラノール基とを脱水縮合反応させることによりヒドロシリル基含有シリカを得る脱水縮合反応工程を有する。
具体的には、例えば、反応容器にシリカを投入した後、液体のヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物を投入し、これらを撹拌する。その後、加熱することにより、ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物のシラノール基と、シリカ中のシラノール基とを脱水縮合反応させ、ヒドロシリル基含有シリカを得る。
ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物は、特段制限されず、例えば、シラン化合物、その加水分解物、ジシロキサン化合物、その加水分解物、ジシラザン化合物、その加水分解物などが挙げられる。
脱水縮合反応前のシリカは、特段制限されず、公知のシリカを用いることができる。
上記のヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物、及びシリカは、市販品を用いることができる。
脱水縮合反応における反応温度は、特段制限されないが、通常−40℃以上であり、−
20℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。これより低い温度では、所望の反応が進行しにくくなる場合がある。また、通常200℃以下であり、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。これより高い温度では、官能基の分解等望まない反応が進行する場合がある。
脱水縮合反応における反応圧力は、特段制限されないが、通常0.6気圧以上であり、0.8気圧以上であることが好ましく、0.9気圧以上であることがより好ましい。この範囲より低い圧力では、溶媒を用いた際に溶媒の沸点が低下し、反応系内を適切な反応温度まで上げることができない場合がある。また、通常1.4気圧以下であり、1.2気圧以下であることが好ましく、0.9気圧以下であることがより好ましい。この範囲より高い圧力では溶媒の沸点が上昇し、反応系の温度を上昇させて反応を加速できる利点があるものの、加圧条件下での反応となるため、装置の破損や爆発のリスクを伴うこととなる。
脱水縮合反応における反応時間は、特段制限されないが、通常0時間以上であり、1時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましい。これより短い時間では、所望の反応が適切に進行しない場合がある。また、通常20時間以下であり、15時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましい。これより長い時間では、プロセス負荷が大きくなりコストが大きくなる。
脱水縮合反応における反応雰囲気は、特段制限されないが、所望の反応を適切に進行させる観点から、アルゴンガスや窒素ガスのような不活性ガスとすることが好ましい。
[ヒドロシリル化反応工程]
本実施形態に係る変性シリカの製造方法は、上述の脱水縮合反応工程で得られたヒドロシリル基含有シリカと、ヒドロシリル化触媒と、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物とを反応させるヒドロシリル化反応工程を有する。
具体的には、例えば、上述の脱水縮合反応工程で得られたヒドロシリル基含有シリカを反応容器から取り出し、別の反応容器に移す。その後、この別の反応容器にヒドロシリル化触媒、及び脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物を投入し、これらを撹拌する。その後、加熱することにより、ヒドロシリル化反応を生じさせ、変性シリカを得る。
ヒドロシリル化触媒は、特段制限されないが、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが挙げられる。
脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物は、特段制限されないが、例えば、所望する官能基を有する外部アルケン、内部アルケン、外部アルキン、内部アルキンなどが挙げられる。反応性が高いという観点から、外部アルケン、外部アルキンがより好ましい。
上記のヒドロシリル化触媒、及び脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物は、市販品を用いることができる。
ヒドロシリル化反応における反応温度は、特段制限されないが、通常−40℃以上であり、−20℃以上であることが好ましく、0℃以上であることがより好ましい。これより低い温度では、所望の反応が進行しにくくなる場合がある。また、通常200℃以下であり、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。これより高い温度では、官能基の分解等望まない反応が進行する場合がある。
ヒドロシリル化反応における反応圧力は、特段制限されないが、通常0.6気圧以上であり、0.8気圧以上であることが好ましく、0.9気圧以上であることがより好ましい。この範囲より低い圧力では、溶媒を用いた際に溶媒の沸点が低下し、反応系内を適切な反応温度まで上げることができない場合がある。また、通常1.4気圧以下であり、1.2気圧以下であることが好ましく、0.9気圧以下であることがより好ましい。この範囲より高い圧力では溶媒の沸点が上昇し、反応系の温度を上昇させて反応を加速できる利点があるものの、加圧条件下での反応となるため、装置の破損や爆発のリスクを伴うこととなる。
ヒドロシリル化反応における反応時間は、特段制限されないが、通常0時間以上であり、1時間以上であることが好ましい。これより短い時間では、所望の反応が適切に進行しない場合がある。また、通常20時間以下であり、15時間以下であることが好ましく、10時間以下であることがより好ましい。これより長い時間では、プロセス負荷が大きくなりコストが大きくなる。
ヒドロシリル化反応における反応雰囲気は、特段制限されないが、所望の反応を適切に進行させる観点から、アルゴンガスや窒素ガスのような不活性ガスとすることが好ましい。
本実施形態に係る変性シリカの製造方法は、上述の脱水縮合反応工程及びヒドロシリル化反応工程以外の任意の工程を有していてもよい。この任意の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
本実施形態で変性シリカを製造する場合、溶媒を用いても用いなくてもよい。溶媒を用いる場合には、水、および/又は有機溶媒を使用することができるが、特に有機溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、ジクロロメタンがより好ましく、溶解性、除去の容易性、低環境有害性の観点から、テトラヒドロフラン、トルエン、メタノールがさらに好ましい。また、これらの溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよく、反応の工程によって溶媒種が異なっていてもよい。また、水を適量添加して加水分解を促すことができる。
変性シリカに導入された官能基を化学的手法により、別の官能基へ変換してもよい。例えば、酸化性物質を用いてアルケニル基を酸化し、エポキシ基へ変換する方法、ケイ素原子に直接結合した水素原子を有する変性シリカと官能基を有するビニル化合物との反応により別種の官能基へ変換する方法、変性シリカに導入された環状エーテル基を開環してアルコール性水酸基へ変換する方法、変性シリカに存在するアルコキシ基を加水分解してヒドロキシシリル基へ変換する方法などにより、別種の官能基へ変換して使用することができる
また、アルケニル基をエポキシ基に変換する方法としては、アルケニル基に酸化剤を反応させる方法、アルケニル基をハロヒドリン類に変換した後、塩基を作用させることにより閉環してエポキシ基とする方法が挙げられる。エポキシ化に用いられる酸化剤としては、メタクロロ過安息香酸、過酢酸などの有機過酸、過酸化水素と金属触媒の組み合わせ、過酸化水素とニトリル基を有する化合物との組み合わせ、ジメチルジオキシラン等のジオキシラン化合物等が挙げられる。
<溶媒分散シリカ>
上述の変性シリカは、ゾルゲル法や水ガラス法など公知のいずれの方法で合成されたシリカでもよいが、有機溶媒に分散させることを考慮すると、変性シリカ及び溶媒を含有する溶媒分散シリカ(コロイド状シリカ)であることが好ましい。
溶媒分散シリカの溶媒としては、水または有機溶媒のいずれも用いることができ、該有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類等を用いることができる。
上記の有機溶媒として用いることができるアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、プリピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、1,5−ペンタンジオール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
上記の有機溶媒として用いることができるエーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
上記の有機溶媒として用いることができるエステル類としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、トリプロピレングリコールジアリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
上記の有機溶媒として用いることができるケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
溶媒分散シリカ中の変性シリカの含有量は、特段制限されないが、通常1重量%以上であり、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。これ以下の含有量であると電解液などの組成を組むことが難しい場合がある。また、通常40重量%以下であり、35重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。これ以上の含有量であると、分散液中でシリカが凝集しやすくなる。
<電解コンデンサ用電解液の構成>
上述の変性シリカや溶媒分散シリカを含有する溶液は、電解コンデンサ用電解液の添加剤として用いることができる。
電解コンデンサ用電解液中の変性シリカの含有量は、特段制限されないが、0.5質量%以上、18質量%以下含有させることが好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上、特に好ましくは6質量%以上であり、また、より好ましくは10質量%以下である。上記の下限以上とすることで、電解液の耐電圧が向上するため好ましく、また、上記の上限以下とすることで、シリカの凝集が抑制され、ゲル化や沈殿が起こりにくく安定なコロイドとなりやすいため好ましい。
変性シリカや溶媒分散シリカを含有する溶液は、特段制限されず、通常電解コンデンサに用いられる溶媒を用いることができ、例えば、エチレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブなどのアルコール溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン溶媒;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンなどのアミド溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート溶媒;3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリルなどのニトリル溶媒;リン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどのリン酸エステル溶媒;ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどのスルホン溶媒;ジメチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3
−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等のウレア溶媒;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のウレタン溶媒等あるいはこれらの混合物が挙げられる。中でも各種の溶質に対して大きな溶解力を有し、また温度特性に優れた電解液が得られる有機溶媒であるγ−ブチロラクトン、スルホラン、エチレングリコール、特に、コンデンサの長寿命化の観点から、γ−ブチロラクトン、スルホランが好ましい。これらは1種類のみ用いてもよく、2種類以上を任意の組合せ及び比率で用いてもよい。
電解コンデンサ用電解液中の溶媒の含有量は、特段制限されないが、電解質溶解性の観点から、通常40重量%以上であり、50重量%以上であることが好ましく60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、また、通常98重量%以下であり、95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがさらに好ましい。
なお、電解コンデンサ用電解液が溶媒分散シリカを含有する場合、電解コンデンサ用に含有させた溶媒には、溶媒分散シリカを含有させた溶媒のみならず、元から溶媒分散シリカに含有されていた溶媒も含まれる。
変性シリカの溶媒への添加方法は、特段制限されないが、一般に適当な分散媒に分散させた溶液として電解液に添加する方法が好ましい。ここで、分散媒は特に制限されないが、電解液に使用される溶媒を用いれば、基本電解液の特性上の影響も少なく、電解液中への拡散も容易である。分散媒として前記溶媒のうち、γ-ブチロラクトン、スルホラン、
エチレングリコールのいずれか1種類もしくは複数種類を組み合わせて用いることが好ましい。
電解コンデンサ用電解液は、溶質を含んでいてよい。この溶質の種類は特段制限されず、通常電解コンデンサに用いられる溶質を用いることができ、例えば、有機酸、無機酸のオニウム塩が挙げられる。
有機酸は、特段制限されないが、例えば、安息香酸、トルイル酸、クミン酸、t−ブチル安息香酸、サリチル酸、アニス酸などの芳香族モノカルボン酸類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、7−フェニル−7−メトキシ−1−オクタンカルボン酸、6−フェニル−6−メトキシ−1−ヘプタンカルボン酸などの脂肪族モノカルボン酸類;フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸など芳香族ジカルボン酸類;マレイン酸、シトラコン酸、ジメチルマレイン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸などの直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸類;ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、7−メチル−7−カルボメトキシ−1,9−デカンジカルボン酸、2,8−ノナンジカルボン酸、7,8,11,12−テトラメチル−1,18−オクタデカンジカルボン酸、1−メチル−3−エチル−1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジカルボン酸、5−メチル−1,7−オクタンジカルボン酸、7,12−ジメチル−1,18−オクタデカンジカルボン酸、7−エチル−1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、7,8−ジメチル−1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,6−ヘプタンジカルボン酸、6−メチル−6−カルボメトキシ−1,8−ノナンジカルボン酸、1,8−ノナンジカルボン酸、8−メチル−8−カルボメトキシ−1,10−ウンデカンジカルボン酸、6−エチル−1,4−テトラデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの分岐鎖を有する飽和脂肪族ジカルボン酸類;7−メチル−1,7,9−デカントリカルボン酸、6−メチル−1,6,8−ノナントリカルボン酸、8−メチ
ル−1,8,10−ウンデカントリカルボン酸などのトリカルボン酸類;リン酸ジブチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)などの酸性リン酸エステル類;2−エチルヘキシルホスホン酸(2−エチルヘキシル)などの酸性ホスホン酸エステル類等あるいはこれらの混合物が挙げられる。
無機酸成分は特段制限されず、例えば、ホウ酸、燐酸等が挙げられる。
上記の有機酸成分及び無機酸成分のうち、定格電圧100V以下の低圧用コンデンサで電気伝導率の高い電解液が得られる点からは、フタル酸、マレイン酸、安息香酸、アジピン酸が好ましい。また、定格電圧300V以上の高圧用コンデンサで耐電圧の高い電解液が得られる点からは、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、ホウ酸が好ましい。定格電圧100Vを越え、300V未満の中圧用コンデンサで適度の電気伝導率と耐電圧を有する電解液が得られる点からは、安息香酸、アジピン酸、アゼライン酸が好ましい。
オニウム塩は特段制限されないが、例えば、アンモニウム;メチルアンモニウム、エチルアンモニウムなどのモノアルキルアンモニウム;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、エチルメチルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウム;トリメチルアンモニウム、エチルジメチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウムなどの三級アンモニウム類;テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロリジニウム、N,N−テトラメチレンピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチルピペリジニウム、N,N−ジエチルピペリジニウム、N,N−テトラメチレンピペリジニウム、N,N−ペンタメチレンピペリジニウム、N,N−スピロビピロリジニルなどの四級アンモニウム類;1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムなどの四級イミダゾリウム類;1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリニウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウムなどの四級イミダゾリニウム類;1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,3−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、1−エチル−3−メチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリエチルテトラヒドロピリミジニウム、1−エチル−2,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、2−エチル−1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2−ジエチル−3−メチルテトラヒドロピリミジニウム、1,3−ジエチル−2−メチルテトラヒドロピリミジニウムなどのテトラヒドロピリミジニウム化合物類等あるいはこれらの混合物が挙げられる。
中高圧用コンデンサには、エチレングリコール溶媒と1,6−デカンジカルボン酸等のジカルボン酸類との組み合わせにおいて高い耐電圧を有する電解液が得られるアンモニアが好ましい。
低圧用コンデンサには、γ−ブチロラクトンやスルホラン等の溶媒とフタル酸などの組み合わせにおいて高い電気伝導率を有する電解液が得られる1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムが好ましい。
溶質の使用量は、溶媒と溶質との合計重量に対して5質量%以上、30質量%以下の範囲で含有させるのが好ましい。
また、化成性の向上などの目的で電解液に水を含有させることもできる。電解液中の水の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、30質量%の範囲であり、より好ましくは0.01質量%以上、10質量%以下の範囲である。
また、必要に応じて電解液にさらに他の添加剤を含有させることもできる。その他の添加剤としては、ホウ酸、ホウ酸と多価アルコール類(エチレングリコール、マンニトール、ソルビトールなど)との錯化合物などのホウ素化合物類;リン酸、酸性リン酸エステル類〔リン酸ジブチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)〕、酸性ホスホン酸エステル類〔2−エチルヘキシルホスホン酸(2−エチルヘキシル)など〕のリン化合物類;p−ニトロ安息香酸、m−ニトロアセトフェノンなどのニトロ化合物類などが挙げられる。
上述の電解液は、例えば、図1及び図2に示す巻回型のアルミニウム電解コンデンサに用いることができ、該電解液は、図中において3で示されるセパレータ(スペーサーとも言う)に含浸される。該セパレータは、クラフト紙、マニラ紙などが一般に使用される。
コンデンサに使用されている電解液や封口材料等は、ハロゲン化合物によって腐食反応が起こるため、電解液に含まれるハロゲンの量は、質量基準で10ppm以下が好ましく、5ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。電解液に含まれるハロゲンの量は、下限は特段制限されないが、意図的に添加しなくとも、微量程度含まれることがある、具体的には検出限界程度、つまり0.1ppm以上含まれることがある。前記ハロゲンとしては、塩素や臭素などが挙げられる。
また、上記の電解液中のハロゲンの量の条件は、溶媒分散シリカ中のハロゲンの量の条件としても好適に適用することができる。変性シリカ中のハロゲンの量は、燃焼−イオンクロマトグラフ法で測定することができる。
<電解コンデンサ用電解液の特性>
[伝導率(25℃)]
25℃における電解コンデンサ用電解液の伝導率は、特段制限されないが、抵抗が小さい方が好ましいとの観点から、通常1mS・cm−1以上であり、2mS・cm−1以上であることが好ましく、5mS・cm−1以上であることがより好ましく、10mS・cm−1以上であることがさらに好ましい。一方で、伝導率の上限は特段制限されないが、通常20mS・cm−1以下である。
伝導率の測定方法は、後述の実施例に示すように、水質計(例えば、東亜DKK製のマルチ水質計(MM−60R))を用いて測定することができる。
[耐電圧(125℃)]
125℃における電解コンデンサ用電解液の耐電圧は、特段制限されないが、高耐電圧用途のコンデンサに使用できるという観点から、通常80V以上であり、100V以上であることが好ましく、150V以上であることがより好ましく、200V以上であることがさらに好ましい。一方で、耐電圧の上限は特段制限されない。
伝導率の測定方法は、後述の実施例に示すように、コンデンサに定電流を印加し、電圧を測定することで得ることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の
実施例に限定して解釈されるものではない。なお、実施例で使用した材料及び評価項目の測定法は以下の通りである。実施例中の部、及び%は特に記載がない場合は質量基準である。
29Si−NMRによるシリカ表面に修飾された有機基の分析>
シリカの表面に修飾された有機基(官能基)は、29Si−NMRを用いて下記表1の条件に従い分析した。
分析に際し、29Si−NMRで得られた測定結果のフーリエ変換後のスペクトルの各ピークについて、ローレンツ波形とガウス波形の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメーターとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なった。
その結果、各成分のシグナル強度の面積%より、1g当たりの有機基の含有量(mmol/g)を算出した。
Figure 2021163847
<使用した試薬類>
本実施例で合成に使用した試薬及び溶媒等は下記のとおりである。
・イソプロパノール分散コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製、製品名:IPA−ST)
・1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
・γ−ブチロラクトン(東京化成工業株式会社製)
・トルエン(キシダ化学株式会社製)
・白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体 キ
シレン溶液(白金 〜2%;アルドリッチ社製)
・アリルグリシジルエーテル(大阪ソーダ株式会社)
・スルホラン(キシダ化学株式会社製)
<実施例1>
(変性シリカの合成)
イソプロパノール分散コロイダルシリカ10重量部、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン137重量部を混合した後、水を4重量部加えて、30℃で2h撹拌後、さらに50℃で2h撹拌した。次いで、トルエン118重量部とγ−ブチロラクトン27重量部との混合物で希釈し、ローターリーエバポレーターを用い、温度40℃、圧力15Torrの減圧下で、目視にて液が透明になるまで溶媒を留去した。さらに白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体 キシレン溶液200ppm、アリルグリシジルエーテル116重量部を加えて、85℃で1h撹拌した。続いて、ローターリーエバポレーターを用い80℃、圧力15Torrの減圧下で、目視にて溶媒の留出がなくなるまで溶媒を留去し、変性シリカ1を得た。前述の方法で求めたこの変性シリカの一次粒子径は120nm、官能基量は0.3mmol/gであった。また、変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、該群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量は、92mol%であった。なお、この方法であれば、ハロゲンが混入する可能性はほとんどないため、実質的に生成物中のハロゲンの含有量はゼロであると推測する。
(電解液の作製)
フタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム(10質量部)にγ−ブチロラクトン(90質量部)を加えベース電解液を作製した。このベース電解液に変性シリカ1(6質量部)を添加し、さらに水を加え水分を1%に調整し、電解液を作製した。電解液の組成はフタル酸1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム(9.4質量%)、γ−ブチロラクトン(84.1質量%)、変性シリカ(5.6質量%)、水(1.0質量%)である。
(γ−ブチロラクトンへの溶解性)
前記方法で調製した電解液を目視で確認し、相分離または凝集・沈殿の有無を確認した。この評価結果を表2に示す。相分離や凝集・沈殿のないものを〇、一部に相分離や凝集・沈殿が見られるものを△、完全に相分離や凝集・沈殿しているものを×とした。
(電解液の安定性)
前記方法で調製した電解液を恒温槽中で125℃120時間加熱後、目視で凝集・沈殿の有無を確認した。この評価結果を表2に示す。凝集・沈殿のないものを〇、一部に凝集・沈殿が見られるものを△、完全に凝集・沈殿しているものを×とした。
(電解液の伝導率、コンデンサ耐電圧の測定)
こうして調整した電解液の伝導率及び耐電圧は東亜DKK製のマルチ水質計(MM−60R)を使用し、25℃の恒温槽中で測定した。
その結果、変性シリカ1を含む電解液の伝導率(25℃)は、6.0mS・cm−1であった。
(電解コンデンサの作製)
次に、図1に示す巻回型素子に上記の電解液を含浸し、該巻回型素子をアルミニウム外装ケースに収納して過酸化物で加硫したブチルゴムで封口した構造のアルミニウム電解コンデンサを作製した(図2)。
このアルミニウム電解コンデンサに、10mAの定電流を125℃にて印加したときの電圧−時間の上昇カーブで、初めにスパイク0あるいはシンチレーションが観測された電
圧値を耐電圧値として測定したところ、182Vであった。使用したアルミニウム電解コンデンサ素子の仕様は、ケースサイズ10φ×20L、定格電圧200V、静電容量20μFであった。
<比較例1>
変性シリカを添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行った。結果を表2に示す。無添加の場合は耐電圧が85Vであることが判る。
<比較例2>
変性シリカの代わりに、特開平10−241999号記載のエポキシ基で修飾した(修飾官能基の構造は表2に示す)有機修飾シリカゾルを添加し、実施例1と同様に評価を行おうと試みたが、ゲル化が起こり、コンデンサとしての評価はできなかった。結果を表2に示す。
Figure 2021163847
上記表2から、本実施形態に係る修飾基を有するシリカを含む実施例1の電解液は、γ
−ブチロラクトンへの溶解性、電解液の安定性、伝導率、及び耐電圧の全ての特性で優れることが分かった。一方で、実施例1の電解液と比較して、添加剤を含まない比較例1の電解液は、耐電圧で劣り、修飾基を有さないシリカを含む比較例2の電解液は、電解液への溶解性がなく、及び本実施形態に係る修飾基でない修飾基を有するシリカを含む比較例3の電解液は、γ−ブチロラクトンへの溶解性、電解液の安定性、伝導率、及び耐電圧で劣ることが分かった。
以上に示す通り、本発明によれば、より低損失で、より長寿命な電解コンデンサを実現することが可能できる。また、本発明によれば、シリカ粒子を有機基で表面修飾することにより、電解液に用いられる各種の有機溶媒との親和性が向上し、粒子の凝集が妨げられ、高温で長時間放置してもゲル化や沈殿を抑制することができ、さらに、有機基を有しているため、電極表面と相互作用しやすく、電極表面と保護皮膜との結合力も高くなり、高耐電圧を得られる。

Claims (11)

  1. M単位ケイ素を有する基で表面が修飾された変性シリカであって、
    M単位ケイ素との結合のうち、シロキサン結合を形成する酸素原子との結合以外の少なくとも一つの結合が、下記の群1で表される基との結合であるM単位ケイ素を含み、かつ、
    変性シリカ中のM単位ケイ素全体における、該群1で表される基を有するM単位ケイ素の含有量が、10mol%以上100mol%以下である、変性シリカ。
    (群1)アルケニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、アシル基、環状エーテル基、炭素数1〜10の芳香族基、及びポリエーテル基から選択される少なくとも一つの基を有する基。
  2. 前記群1が、環状エーテル基またはポリエーテル基を有する基である、請求項1に記載の変性シリカ。
  3. 前記環状エーテル基が、エポキシ基を有する基である、請求項1又は2に記載の変性シリカ。
  4. 前記環状エーテル基が、下記式(1)及び式(2)で表される基から選択される基を有する基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性シリカ。
    Figure 2021163847

    Figure 2021163847

    (式(1)中、
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、
    式(2)中、
    は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の二価の有機基であり、a=0または1、0≦b≦8、0≦c≦8である。)
  5. 平均一次粒子径が1nm以上1000nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の変性シリカ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性シリカ、及び溶媒を含有する、溶媒分散シリカ。
  7. ハロゲン含有量が10質量ppm以下である、請求項6に記載の溶媒分散シリカ。
  8. 前記溶媒が、γ−ブチロラクトン、スルホラン、及びエチレングリコールから選択される少なくとも一つを含有する、請求項6又は7に記載の溶媒分散シリカ。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変性シリカ、又は請求項6〜8のいずれか1項に記載の溶媒分散シリカを含有する、電解コンデンサ用電解液。
  10. 電解液中に変性シリカを0.5質量%以上18質量%以下含有する、請求項9に記載の電解コンデンサ用電解液。
  11. 表面が有機基で修飾された変性シリカの製造方法であって、
    ヒドロシリル基とシラノール基とを有する化合物のシラノール基と、シリカ中のシラノール基とを脱水縮合反応させることによりヒドロシリル基含有シリカを得る脱水縮合反応工程と、
    前記脱水縮合反応工程で得られたヒドロシリル基含有シリカと、ヒドロシリル化触媒と、脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有する化合物とを反応させるヒドロシリル化反応工程とを有する、
    変性シリカの製造方法。
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